「よいサービスは当たり前,心のこもった驚くようなサービスが大事」,「スタッフの一人一人が神様,宝です」・・・。
これは,去る7月20日(金),当観光連盟が鹿児島市内のホテルで開催した「かごしま観光アカデミー講演会」(演題『観光鹿児島に期待するもの』)で,講演していただいた香港の訪日旅行最大手の「エバーグロスツアーズ社(以下「EGL」)」,袁文英社長の言葉だ。
袁社長は日本のツアーガイド等の経験を経て1986年にEGLを創立。日本への送客では7年連続一位,韓国へは8年連続一位の実績だ。最近では,6月末から9月初旬までの香港鹿児島の連続チャーター(ツアー27本)を企画販売して,各便ほぼ満席(164席)に近い盛況ぶりだ。こんな華々しい業績を挙げながら,袁社長は少しも尊大な態度をとったり,偉ぶるところがないのがよい。講演の中では,ユーモアたっぷりにご自分の体験を踏まえながらサービスに関する示唆に富む話しを披露された。
「サービスをするタイミングは極めて重要」。この例として,EGLが中国西域へのツアーを実施したとき、ツアー団が砂塵で困っているときに添乗員が用意していたマスクを提供して大変喜ばれたという。ツアー実施前にマスクを配布したらどうなるか?喜ばれるどころかお客は不安になってしまうと。
また,EGLではお客さんとの会話に関して9分間の会話では6回以上,10分以上の会話では8回以上相手の名前を言うようにしているとのこと。人間は自分の名前で呼ばれたらうれしいものであり,それにより親近感が強まると。
さらに,袁社長が奥さんと服を買いに香港のお店に入ったとき,1か月前に同店を訪れた際の自分の好みの色などを店員がよく覚えていて,とても驚いたという話等々。
EGLの成長の源は、冒頭の言葉のとおり,社員をとても大切にしている点だ。日本語の研修のため社員を日本へ派遣したり,また優秀な添乗員のご両親を食事に招待したり等々。賞与が一般的でない香港で不定期な賞与配給は社員の意欲を駆り立てる。
香港の観光業界の離職率が20%に対し,EGLは8%にとどまっていることからも社員を大切にする社風がわかる。
「香港の同業他社がEGLのサービスをまねても,EGLはまた新しいサービスを創造していきます」。袁文英社長の言葉には自信があふれていた。
「心のこもったサービス」,シンプルな言葉だがこれを実行するのはなかなか難しい。私たちが日頃行っているサービスが,お客さんに心底喜ばれるものになっているだろうか?心がこもった接客を行っているだろうか?袁社長のお話を聴いて,私はもちろんのこと自問自答する聴衆も多かったことと思う。
香港と鹿児島の片道の飛行時間は僅か3時間足らず。秋以降も継続して香港から連続チャーターが実行される計画もあるという。来鹿していただいた香港の人々をそれぞれの分野で「心のこもったサービス」でもてなしたい。
P.S.
袁社長の講演 ~ 会社の「ジンザイ」には次の5つがあるという。
1 「人材」:まさしく会社に貢献する人
2 「人財」:お金のことばかり考えてお客のことを考えない人
3 「人在」:会社内でうろうろして,会社にいるだけの人
4 「人罪」:仕事をしない,他のスタッフに迷惑をかけている人(クビの順番待ち)
5 「神在」:まさに天運。この運にめぐりあうように日々努力する。
*自分はどれに該当するのだろうかと少し考えた。
(社)鹿児島県観光連盟
海外誘致部 宮崎 剛
