700本もの梅が広がる梅園がまず目に飛び込んできた。大口市にある、農家民宿「昔日の宿(せきじつのやど)を訪ねた。
こちらは、伊佐うめ振興会の会員で㈲愛高梅園内にある農家民宿である。大きないろりのある休憩所でお話しを聞く。
こちらの梅園・民宿は、乙津忠義さん、愛子さんで運営をされているが、乙津さんは元々は建設業を営んでおられ、平成12年にこの梅園のある畑を購入されたのを機に、建設業から農業に転身されたとのこと。元々は、桑畑であったものを梅に切り替えてゼロから梅園を始められたとのことであった。場内には年々植えてきた約700本の梅の他にもさくらの木やしいたけ、宿の近くには菜園も新たに作られたとのこと。
桑畑を購入した際、宿泊施設もその敷地内にあり、当初は宿泊施設は処分する予定であったが、中を見てみると、かまどや五右衛門風呂があったため、取り壊すのはもったいないと思案していた時、農家民宿として活用しようと思ったとのことであった。
「日本は戦中・戦後の苦しい時代からめざましい発展を遂げた。しかし、現代は恵まれすぎて、今の幸せを認識しているのかどうか。昔を振り返って現代のありがたさを再確認してほしい。そのきっかけになればと思い、始めてみようと思った。」と熱く語られる乙津さん。長く建設業に携わってきたが、グリーン・ツーリズムには興味をもっていたと話される。梅栽培もゼロからのスタートで、和歌山やさつま町など、先進地に出向き勉強をされたとのこと。やっと梅にも実がなるようになったとにこやかに話される。
今の時期は、収穫後、つけ込んだ梅を引き上げ、天日に干す時期とのことで、梅の天日干し返しの体験をさせていただく。「こんなに大きいの」と梅の大きさに驚きながら、片面干してあった梅を返す。うめの酸っぱいにおいに包まれながらの体験であった。
その後は、かまどでの飯炊と風呂沸かし。こちらは自炊が原則となるので、米はかまどで炊く。もちろん風呂も薪で湧かす。実に20年ぶりくらいであったが、うまく着火した。(ただ、うまく火がついたことをいいことに 、 どんどん薪を入れたため、かなり熱い風呂となった。)
その後は、夕食(天ぷら)の食材探しということで、家庭菜園や周辺の山へ食材をさがしに行く。ウドやミョウガ、ゆきのした(初めて食した)、そして梅の葉も美味しいとのことで梅の木から拝借する。
夜は、ちょうど大口市に農業インターンで来ている人も交えてということになり、休憩場にあるいろり(主人制作)を囲んでの歓談となった。
宿泊があると、ご主人は必ず夜はお付き合いされるとのことで、梅づくりの話やこれからの地域づくりなど、熱く語られる。
翌朝、梅園からの朝日が美しいとのことで早起きし、夜明けを待つが、残念ながら雲に遮られる。ただ、連日猛暑が続く鹿児島市内と比べると、さすがに大口は涼しく清々しい。
朝食後、周辺のスポットを案内していただいたが、歴史的にも価値があるものなどたくさんあるのに、なかなか手入れが行きとどかなかったり、知られないままだったりとと嘆かれる主人であった。
主人は、「とびっきり不便な生活体験」と紹介されたが、改めて便利な現代生活のありがたさを実感するのはもちろんであったが、不便な生活の中で生まれるふれあいの大切さありがたさ、そして自然のありがたさを改めて感じる体験となった。(国内誘致部 平石征志)
昔日の宿(せきじつのやど) 大口市宮人1736-58 ㈲愛高梅園内 0995-28-0202
