「いらっしゃいませ~」
奥さんのやわらかい声と優しい笑顔で、不安の緊張が一気にほぐれた。庭先からも元気の良い声が聞こえてくる。
「温泉だったらこの近くにあるよ~!尾之間温泉が一番近い!面白い温泉だったら平内海中温泉や湯泊温泉!」真っ黒に日焼けされた大きな笑顔が何とも素敵なご主人だ。
今回、みかん農家の岩川政廣さん・絹代さん夫妻が営む民宿にお邪魔した。 屋久島南部、目の前には紺碧の太平洋、裏面はモッチョム岳など連なる屋久島前岳が望め、そして周辺はタンカン・ポンカンの果樹園に囲まれた自然豊かな民宿である。千尋の滝を過ぎて県道を南下すると、右手に大きな看板『農家民宿山ノ瀬』が目に付く。
民宿に家族共有のお風呂もあるが、今回はご主人お薦め温泉のはしごに行ってみた。
まずは、平内海中温泉(車で約9分)。太平洋の大海原を目の前に楽しめる海中に湧き出るユニークな温泉。1日2回、干潮時しか入れない秘湯として有名。地元の人が生まれたままの姿で堂々と入っていらっしゃる。軽くカルチャーショックを受けたが、その開放感は羨ましいくらいだった。海を眺めての足湯体験は、爽快。次に、湯泊温泉(平内海中温泉から車で2分)。ここも無人野天の露天風呂の一つとして知られている温泉。男女仕切りがあり、平内海中温泉よりは入りやすいかもしれない。最後に民宿から車で約7分の尾之間温泉入浴料200円が嬉しい。硫黄泉、湯は熱め。お湯のツルツル感がたまらない。浴槽底に敷き詰められた玉石の間から温泉が湧出している。天井も高く清潔で気持ちいい。
「山ノ瀬」の夕食は、その日ご主人が素潜りで獲ったおいしい魚貝類や自家栽培の採りたての野菜が食卓に並ぶ。県内産農林水産物を積極的に活用している飲食店等にあたえられる「かごしま地産地消推進店」に同宿は登録(平成19年1月)されている。地元小島で採れた食材をふんだんに使った田舎の郷土料理だ。多くのリピーターも絶賛!という意味が良く分かる。嬉しいのは、席に着いてから奥さんが少しずつ料亭のように出して下さる。揚げ物は熱いうちに食べてほしい、という奥さんの温かいおもてなしの心が伝わる。
①お刺身、カサ貝、へちま和え 等々
②はりせんぼんのすまし汁。これがまた本当に美味!はりせんぼんは骨が多いが、お汁と一緒にしゃぶると最高☆
③自家製ふりかけ(梅、じゃこ等多くの食材が食欲をそそる)
④飛び魚の唐揚。食べ方までご主人がきちんと教えてくれる。まずは胸ビレを取る。ここが一番美味しい。それから背の部分を箸で優しく、でも強く何度か押さえる。すると、身がきれいに取れる。
⑤カサ貝をたこ焼き器の上で焼き、マヨネーズとお醤油で頂く。焼酎「愛子」「三岳」に本当に良く合う。「『愛子』は女の子にしか飲ませない」と主人はにかっと笑う。地元でも10ヶ月待ちらしい。
⑥いこもち。はったい粉と呼ばれる地元の粉(きな粉のような味)が材料。
夕食後、ツアーガイドも務めるご主人お薦めのスポットに連れて行って頂いた。
まずは、民宿より車で約20分、「大川の滝」。夜に滝・・・?近くまで行くと、そんな思いも吹き飛ばされるほどの轟音。前日に台風が過ぎ去った事もあり、水量も半端じゃない。歩いて近づくと、100m程離れた場所からもう水しぶきがかかるほど。「懐中電灯を消してごらん。目を自然の中に慣らしてみて。滝が見えてくるから。」その雄大な大自然に包まれて、何とも至福の時。大感動の夜の滝。翌朝早くにも行ってみたが、「日本の滝100選」に選出されている落差88mを誇る大川の滝、その迫力は圧巻。
帰り道に海ガメ産卵の地である栗生浜海水浴場にも連れて行って頂いた。昼間は、白い砂浜が美しい海水浴場。毎年6~7月には海ガメが産卵の為、上陸する。二日前までは卵が孵化して小亀が戻って行ったとのこと。この日は、親亀の足跡しか見られなかったが、その大きさに驚いた。
ご主人はもちろん地元出身。この民宿開業を機に自らもツアーガイドとして活躍されている。自然溢れる山海の楽しみ方を知り尽くしている。
縄文杉、白谷雲水峡、宮之浦岳ツアーを始め、シュノーケリングやカヌー、磯釣りなど多彩な体験メニューもご用意。何度かTV番組でもタレントさんを案内されている。時期があえば、本業のポンカン・タンカンの収穫やじゃがいもの植え付け等の農業体験も可能。
とにかく笑顔が素敵なご主人。屋久島を愛し、誇りを持っていらっしゃる。そんなご主人に案内されたら誰でも屋久島に魅了されてしまうだろう。
朝食も地元素材でボリューム満点。
初めて食べたのが、地物のハンダマ(水前寺菜)は、ツルツルした食感と上品でヘルシーな味が美味。さすがみかん農家のタンカンは甘くてジューシー。
民宿前の畑にはパッションフルーツ・グアバ・パパイア等の熱帯果樹が実をつけ、採れたてを食べることもできる。
平成15年3月より営業許可を得て、開業されてから年間約500名~700名を受入れている。昨年11月には増築し、2部屋増やした。「常連さんが『ただいま~』と帰って来てくれるのが一番嬉しい。この年になって良く始めましたね、と言われるけれど、色んな人との交流で元気を頂ける。」と奥さんの絹代さん。ホームページでも掲示板やブログで山ノ瀬の日常が紹介されている。
この日、一緒になった関西からのカップルに屋久島の印象を聞くと、「想像していた以上に大満足。こういう場所があると、また是非来たいと思える。」との嬉しい言葉。
真心溢れる岩川夫妻の家庭的な温もりの宿。その雰囲気に居心地良さを感じてしまう。リピーターも自然と「ただいま~!」と帰ってくる場所がここにある。
【施設名】 農家民宿『山ノ瀬』
【住 所】 〒891-4405 鹿児島県熊毛郡屋久町小島17-31
【電 話】 0997-47-2862
【メール】 yamanose@trust.ocn.ne.jp
【 HP 】 http://www6.ocn.ne.jp/~yamanose/
【客室】 和室6畳(1室) 洋室6畳(4室) 定員 計10名
【宿泊料金】御一人様 一泊2食付き 6500円 (消費税込み)
*************最後に屋久島のお薦めのお店を2軒ご紹介!*************
まずは、見晴らしの良い海辺のレストラン『屋久どん』。民宿「山ノ瀬」のご主人もお薦めする場所。ガイドの時もお客さんを連れて行かれ、間違いはないというので行ってみた。その言葉通り。青い海を見ながら食べる屋久島料理。屋久杉製テーブルでサバ節や飛び魚のつけ揚げなど和・洋食で味わえる。店内には屋久島らしい屋久杉工芸品もずらり。噂の屋久島うどん(650円)を食べたかったが、うどん品切れの為、二人でエビカレー(850円)と飛び魚つけ揚げ(600円)を頂いた。エビカレーに海老は3匹ついてきた。優しく美味しい味に納得。飛び魚つけ揚げも弾力があり、味もしっかり。店の外は目の前が海。小さなガジュマルの木や椰子の木が可愛らしく、食後の散歩も気持ち良いい。最大60名まで受け入れ可能とのこと。
二軒目は、県道を走っていると、可愛らしい看板が目に付いて思わず入ってしまった『屋久島陶工房 恋泊』。「本日休業」にも関わらず、ギャラリーをご案内してくださった。屋久島の透明な水、深い森を表現したようなシンプルだが美しい器。ギャラリーや隣の家も屋久島と同化するように落ち着いた雰囲気でとてもお洒落。「こちらもどうぞ」と案内してくださったのが見事な庭・・・というよりガーデンパークと言いたくなる場所。一瞬にしてリゾート気分。ガーデンライフを楽しみながら体験教室もあるそうだ。東京より移住して来られたというご主人より屋久島の面白い魅力を伺えた。「屋久島では、自然の音が良く耳に入る。東京に行くと不要な音が騒音のように入ってくる。屋久島に来てから対向車線を見る癖が着いた。友達が手をあげてくれるから。東京に行くと、ついつい見てしまい目が疲れる。聞こえなくていいもの、見なくていいものが、都会と田舎は両極端。ゆっくりと流れる島時間も最初は戸惑ったが居心地いい。」
屋久島を周り、色んな店に入ってみた。とにかく皆さん気さくで親切。店を出る際には、外まで出て、手を振ってくださる。温かい雰囲気に包まれた屋久島は、鹿児島が世界に誇れる世界自然遺産の島。この素晴らしい屋久島を多くの人に味わって頂きたいと思う一方で、汚されず変わらずいて欲しいと強く願う。
(海外誘致部 森田)
