今年度の大学には、嬉しい事に鹿児島からの参加者は、本科生、聴講生合わせて6名。大学関係者も大変喜んでくださっている。南さつま市の地域を上げての取り組みをはじめ、今回は、仕事にも繋がるがまずは自分が「地域」を見直すためにと、大口市、鹿児島市、西之表市から個人での参加が特徴だ。こういう所から鹿児島に動きがでてくることは大変喜ばしい事と思う。自分も聴講生としての参加だが、積極的に毎月参加できるようにと考えている。是非、多くの皆さんに「地域を見つめる」きっかけに参加してみて欲しい。
以下、今回の講座での内容をまとめてみました。
今回は、2007年度九州ツーリズム大学の入学式ということもあり初日は講演、2日目講義となったが、講師陣をはじめ事務局のスタッフも研究員としてツーリズムを実践する上での経験が豊富でかつ理論的に説明をしていただき、大変分かりやすく勉強になった。小国の立地・環境がいいのか、「人」がいいのか、居心地の良い中での研修という印象。取り組む人々のフットワークの軽さとネットワークの良さを実感した。
鹿児島にも真剣に取り組んでいるNPO・市町村はあるが、私達はさらにその連携を育て支援いくことを考えていかなくてはいけないと感じた。
今回、参考になったのは熊本の阿蘇地域振興デザインセンター 坂元英俊事務局長の講義。この5年間、阿蘇でのツーリズムを組織的に動かすところまで育てているその実績もだが、地元の人が地域を見つめ直し地域を育てることで意識を持ちそのチームワークを生かしながら、観光の手法を取り入れ使い地域に経済的な活性化をもたらすことが「ツーリズム」と考えている点の話が大変分かりやすく、鹿児島の地域づくりにも参考になるのではないかと思う。私達は仕事上、観光という視点からだけで見つめがちだが、一朝一夕では出来上がらない「地域づくり」に視点を置くということの重要性が大変よく理解でき、是非、阿蘇の地域へ遊びに出掛けてみたいと思わせる内容だった。
以下、参考になった講師の方々のの講演・講義の要点を紹介します。
【ツーリズム大分 桑野和泉会長】
「ツーリズムを支えるひとづくり」をテーマに講演。
自分の役割は現場をつないでいくことだと考えている。住んで楽しいところが「来て楽しい」のは当然。地域があってこそ観光も成り立つのである。大分は観光資源が豊富で、独自の手法で全国にその名が広がっている地域が多い。その連携を上手に図り、さらに大分の過ごしやすさをPRしたい。
現在、湯布院温泉観光協会の会長にも就任、その他理事も若がえりを図った。地元に住む自分達は、どこにも逃げるわけにはいかないからこの風景を守っていかなければいけない。湯布院には地域づくりに関して素晴らしい諸先輩方がいらっしゃる。その方々の意見も参考に、さらに観光の手法を活用して人々を引きつけ定住の地としての地域を作り上げていけたらと考える。
【九州ツーリズム大学 宮崎暢俊学長】
地域定住を考えていかなくてはいけない。小国のまちづくりは、経済的な豊かさは当然だが、福祉、健康、食など地域に住む人々の暮しやすさを考える。地域にあるものと生かし、固定観念にとらわれない自由な発想が必要。ネットワークのネットは網であり、それで集まったものの中で、自分がワーク(外に向かって働く、動く、チャレンジする)しなければ、ネットワークは意味をなさない。
【岡崎昌之観光まちづくり学科長(法政大学教授)】
農山村では自己で判断できる能力が養われる。ライフスタイルがしっかり持てて、生活の場があり、日常が垣間見られるとツーリズムになる。
欧米での農山村ツーリズムでは、国土保全、環境保全の為に国民の税金を使う事を国民が認めており、インフラ整備なども素晴らしい。大都市が住人50人程度の村を支援する制度など充実している。
日本の環境破壊の第一歩は公が親切心からしているところが多い。
地域の地層を見る=自分の町の歴史・文化などを見て未来を見ることが地域づくり。個性があって初めて交流が成り立ちそこから新たな関係が始まる。無個性はただの行きずりで何も残らない。持続的産業が地元に根付いてこそツーリズムへつながる。
【九州ツーリズム大学 江藤訓重学長代理】
熊本ツーリズムコンソーシアムの設立について説明。
九州新幹線全線開業に焦点を合わせ、熊本県内各地のツーリズムの個性をそれぞれ伸ばしながら、県全体で全国発信していこうという取り組み。 すでに大分・湯布院から熊本・人吉までの連携を始めている。今後は鹿児島を視野に入れ、九州横断の縦のラインをつくり盛り上げたいと考えている。今回は鹿児島からの参加者が多く、これからの鹿児島の動きに期待したい。
【阿蘇地域振興デザインセンター 坂元英俊事務局長】
阿蘇カルデラツーリズムについて説明。
基 本 次の手段
町や村、人材を育て地域の住民の意識を変えながら、 住みよい地域の良さを観光の手法を使い、経済的な自立へ持っていく。 それがツーリズムとなる。 |
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阿蘇ではこれ全体を旅のしくみと考えている…「ツーリズムシステム」
カルデラツーリズムとは滞在型観光=平日にお客様に来てもらうことを考える。九州新幹線開業に向けての取り組みの一環で、今年で5年目を迎える。
自分の住んでいる30分圏内に好きなものがあるか、自信を持って言えるか。そこから地域を見直すことができる。地域で取り組む方が持続性もあり、後からの効果も大きい。
阿蘇では先ず商店街に手を加えたが、集落にもともとあった「ゆい」の組織を上手く活用してツーリズムまで育てた。その地域が自分達で機能する為に、AGTや国と組んで練習の意も込めて一緒に取り組む事も必要。
九州全体の構想を考えると、公共交通機関+JR+AIRですべてが繋がる。今後は、全体を見つめて取り組む事が大切と考える。
【佐藤誠北海道大学観光学高等研究センター教授】
生命力の豊かさが新しいライフスタイルの推進力になっている。リゾートツーリズムからグリーンライフへ移行している。ヘルス・食が特に重要になっている。いのちを豊かに生きるライフスタイルの追求が始まった。
今まで言われてきた「国の光を見る観光…観国光(易経)」から「風地観(卦)ツーリズム」へ移っている。生命溢れる、命の結びつきを考える人々がいるところにツーリズムが育つ。
また、生きていく手段としての経済から、健康で幸せな人生を実現する「目的」としての「経済」を作りだしていこうという提言。
さらに一つ先に進んだツーリズムの考え方で、欧米ではあたりまえのルーラリズムにも精通しておられ、話題が豊富で今回だけでは話が聞ききれなかった感がある。もう一度ゆっくりお話を伺いたい先生であった。
(総務部 鹿籠六貴子)
