6月20日~22日、第10回「観光・まちづくりネットワーク九州」(九州観光推進機構主催)が開催された。
今回は、日田市、小国町、杖立温泉、高千穂町が会場となり、カリキュラム内容は「人!人!人!」と表せるくらい、その地域づくりに取り組む人々から、中身の濃い充実した話を伺った。
それぞれの地域に「よそもん」「ばかもん」が存在している。これは「新しい風」「自分達が楽しむ」という事を表している。それがきっかけになり地域が動き出し元気になり、リーダーシップを取る人がいて、いろいろな分野でその役割を生かして活躍している印象を受けた。
日田は、まちづくりの手段として観光振興を上手くマネージメントしている姿、小国では調査・研究をすすめながら地域を作り上げていく姿、高千穂では、実践しながら地域を作り上げる姿と、それぞれの特徴を見せてもらった。
日田市では、(社)日田市観光協会事務局長 佐藤真一氏から「地域住民の内発力を高めることから始まる」との内容で、地域には資源が眠っているのではなく人が眠っているのだということ、自ら機会を創り出しその機会によってまず自らを変えること、そして考え抜いてすぐに実行すること、と話があった。「人」のネットワークは名刺を交わせばできる
が、人の言葉を理解して繋げ、「知」のネットワークづくりをすすめなくてはいけないと話していた。
講義の後、重要伝統的建造物保存地区に選定されている豆田町をガイドの案内で廻り、 明治からの古い商家が残る町並み散策を楽しむ。通りでは、電柱の地下埋没工事が進んでいて、昔の姿を取り戻しつつあり、国交省の「美しい町並み大賞」も受賞している。今、日田は「食」のPRにも取り組み、1回しか来ない100万人ではなく、10回リピートする10万人の観光集客を目指している。
九州ツーリズム大学で知られる小国町では、(財)学びやの里研究員 嵩和雄氏、商家民泊「ササク蔵ブ」主宰 北里香代氏、カフェバー「オジンヂ」他経営の穴井喜織氏のトークセッションを聞く。
旧国鉄宮原駅廃線をきっかけに地域デザイン(小国杉を活かした道の駅等施設)からまちづくりがすすみ、町外からの視察観光客が急増したところから、住み続けられる地域づくりをどう考えるか新しい旅のスタイルを提案するツーリズムという考えにいたっている。
頭に「グリーン」とつけなかったことで、門戸が広がり様々な人が参加できるものとなった。宮原(小国の商店街)での商家民泊やまち歩きのタウンツーリズムや、今の小国を紹介する若者対象のフリーペーパー発行などが一つの例ある。高校までしかない小国の子供達の地域教育に取り組み、自然体験プログラムや音楽イベントの開催などを重ね、将来の小国を支える人づくりに取り組んでいる。
日田とは違い「観光」という言葉が出てこない講義内容に質問も相次いたが、「楽しいことがなければ楽しいことをすればいい」と自然体の姿が良かった。
同じ小国の杖立温泉では、橋の上で「杖立体操」と呼ばれる気功を体験。これは、宿泊客が誰でも参加できるようにと、温泉街の中ほどにかかる橋の上で朝、実施されている体操である。
続いて路地裏散策(背戸屋めぐり)をしながら、杖立の歴史や取り組みを聞く。「チーム背戸屋、杖立プリン、杖立みちくさ案内」等、路地裏を楽しむためのネーミングの面白さや取り組みで、最近注目を集めている。
これは、住民が最盛期の10分の一にまで落ち込み、温泉の源泉を持つ人の力が強くて、他から意見が出ない状況だったが、「杖立ラボ」主宰 田北雅裕氏や地域住民で「引き算ワークショップ」を開いて余計な物を排除し、まちづくりをすすめたことから始まっている。
田北氏の講義で伺った内容は、環境・生活デザインから考える地域づくりにウェイト
を置いており、誰でも気軽に取り組めるというものではない。だが、住民のためになるポイントとして、「専門家としての“正しい知識”で“わかりやすく”理解させようと思わないこと。正しい解答はたくさんある」「『みんなのため』という発想ではなく、自分の事として考え、しくみを作ること」と自分が本気になる事を促していた。田北氏に、従来の観光地づくりとは違い、街全体をいろいろな面からデザインしながら、地域住民の意識に溶け込ませようとしている印象を受けた。
高千穂町では、高千穂町役場職員であり高千穂エイサーシンカ『ゆい』主宰の谷川裕一氏、高千穂町企画観光課補佐 飯干 淳志氏の話を伺う。ANA総合研究所から地域再生マネージャーとして赴任している柳田さん主導のもと地域再生プログラムを進める一方で、地元住民が、自分達でできる、「人・地域づくり」をすすめている。
夜神楽で有名な高千穂だが、若手で結成されたエイサー踊り(これは沖縄・南城市と姉妹都市の縁から)やヒップホップダンス(小学生から参加している)で他の地域のイベント等に参加して高千穂をPR、年配者と若手が共に食資源調査をしながら昔ながらの食を再現するCobiru(小昼)プロジェクトの実施している。
65歳以上のお年寄りが自分達の年金で移築した「神楽の館」では人が集う場所としてオープンし、最近2階の空きスペースで民泊を始めた。今はこの傍に、石蔵を移築しようと「千年の石蔵」プロジェクトが進められている。
国や県の補助に頼らず、住民から一口一万円で建設資金を集めて移築し、cobiruプロジェクトで出来上がったメニューを食べさせる計画だそうだ。ここ高千穂では、20~30代が中心にな
り自分の出来ることをやりながら、横のネットワークをつくって地域を考えている姿が、目に見えて分かりやすく頼もしかった。
夜の懇親会では、「夜神楽」の時に振舞われる地鶏の竹筒料
理やうどん、籠に盛られた煮しめ等が用意されており、地元の味を楽しみながらエイサーなどの披露もあり、地域の話で盛り上がった。
(国内誘致部 原田,総務部 鹿籠六)
