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No.450 旅育のススメ~家族で旅をしよう~

2017年2月27日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光


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 梅の満開の便りが各地から届き、春がそこまで来ていることを感じます。後1カ月で春休み、子供の卒業や進級の思い出に家族旅行を計画している家庭も多いのではないでしょうか。
 皆さん幼い頃、家族旅行に行った記憶がありますか。動物園での小さな動物との触れ合い、家族で一緒に入った温泉や夕食、小川での魚釣りなど懐かしい想い出として心に残っている方が多いのではないでしょうか。
 すこし古いデーターですが、JATAが消費者モニター組織を活用して、「親子の絆と旅行」をテーマにインターネット上で実施したアンケート結果のポイントをまとめました。(※JATA 2001年調査)


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 1点目は家族旅行に行った子どもは我慢強く、行かなかった子供はキレやすいという結果がでています。
 成人するまでに20回以上、つまり平均して年に1回以上家族旅行に行った人は、「我慢強い」「思いやりがある」「協調性がある」「社交的である」など、周囲とのコミュニケーションや気配りに長けている傾向が強く、一方、成人するまでの家族旅行回数が10回に満たない人は、「頭に血がのぼりやすい」「自分勝手なところがある」「我が強い」等の選択肢で過半数を占めており、わがままになりがちな様子が伺えます。
 また、20回以上家族で旅行している人は「創造性が豊かである」という選択肢でも多くの比率を占めており、子供の情操教育に家族旅行が非常に有効であることが明らかになっています。


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 家庭内暴力やいじめ、少年犯罪の低年齢化が大きな社会問題となっている今、家族旅行の意義に注目したいものです。
 2点目は子供が家族旅行に「入学」する年齢が年々低下しており、3歳になるまでに家族で国内旅行した子供の割合が増加しています。また、卒業するのは15歳がもっとも多くなっており、ちょうど中学校を卒業する時期に家族旅行も「卒業」していることがわかります。


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 3点目は家族旅行の主導権は息子のみの家では父親に、娘のみの家では母親となっており、家族の性別構成比の影響を受けて、男性が多数を占める家族では父親が、女性が多数を占める家族では母親が握っていると考えられます。
 また、成人した女性の家族旅行の約半数は母娘旅行で、父子旅行はほぼ皆無となっています。近年の消費動向の鍵を握っているのは母親と成人した女性であり、その絆の強さが理解できます。


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 旅行ジャーナリストの村田和子さんは、著書「村田和子式 親子の旅育メソッド」の中で、コミュニケーションがとれるようになる3歳が「旅育」デビューにはおすすめで、基礎的な脳が完成する9歳頃までは「実体験が何よりも大切」と記しています。
 また、旅行先で「こんにちは」「ありがとう」などの「挨拶をする」こと、車中では「皆が快適に過ごせるように静かにしよう」など、社会性や公共マナーを知り・学ぶことになります。
 旅行中の普段と違う世界との出会いや、子供が感ずる「なぜ?」は学びのチャンスであり、興味・関心の芽を育てる良い機会にもなるとも言っています。


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 子供の頃の海や山での体験、社会観察の機会が多いほど、その後の学習意欲や知らないことへのチャレンジ精神、外国へのあこがれ等関心度が高くなっていくのではないでしょうか。小さいころから親子のスキンシップを高め、自然体験など親子で楽しむ時間の必要性を感じます。


 少子高齢化など人口減少が続く鹿児島県にとって、観光による交流人口の拡大は、地域 活性化の重要な方策の一つです。南北600キロに及び、自然、温泉、歴史、食、離島の多さ等全国的に類のない魅力ある県です。
 しかし、学校を卒業すると県外へ出て行くため、それまでに郷土の魅力を知ることの必要性が問われているのではないでしょうか。


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 鹿児島は多くの偉人を輩出し、日本の近代化実現に大きな役割を果たしました。早くから西洋の技術を導入し、旧集成館事業は「明治日本の産業革命遺産」として「世界文化遺産」にも登録されています。
 また、郷中教育の精神から学ぶことが多くあります。出水兵児の教え、日新公のいろは歌など、今でも子供の精神修養になる教材です。薩摩藩英国留学生が残した業績を見ると、若い頃から海外にでて勉強する必要性を感じます。また、関ヶ原合戦での"島津の退き口"で知られる薩摩武士の心意気は、今でも20kmを歩いて参拝する「妙円寺詣り」として、その敵中突破の伝統が引き継がれています。


 日本で初めて世界自然遺産に登録された屋久島は、貴重な植物の垂直分布が見られ、環境保護にも努めています。
 奄美群島は、手つかずの自然や貴重な生態系が見られることから、奄美大島本島と徳之島の一部が2018年世界自然遺産登録を目指しています。


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 南北600キロに及ぶ長い県であり、特色ある「食」や「伝統芸能」などを生み育ててきました。子供たちがその魅力に触れ継承していくことが問われています。
 また、県内には先祖崇拝の精神が脈々と受け継がれています。お墓に毎日生花を飾る習慣があり、南薩地域のお墓は観光客が訪ねるほどの名所となっています。命の大切さを教える意味でも、子供の頃からゆかりの日には墓前に手を合わせることは大切なことと思います。


 「篤姫」放映時、今和泉駅周辺の子ども達がバスに手を降り、観光客に挨拶するなど、地域ぐるみの温かいおもてなしが話題となりました。おもてなしの心を小さい頃から身につけることは、人にやさしい心豊かな人格を育成します。


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最後に、「旅育」の意義・目的は、
 ①子どもの頃の体験を通して自然・環境・風土・文化を大切にする心を育む。
 ②地域を知り、地域を愛する人をつくり、郷土愛とホスピタリティの心を育む。
 ③旅を通じて家族の絆が深まり、親を含めた先人への感謝の気持ちを醸成する。
 ④異文化を知ることにより世界の国々への関心、冒険心を育む。
 ⑤子どもの頃の旅行体験が、日々のマナーや五感を刺激する機会となる。
   ことになるのではないかと思います。

 さて、春休みどこに連れて行きますか。


No.449 鹿児島空港の利用時間延長を活かす~経済効果を取り込むことが重要~

2017年2月20日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光


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 異動や社会への旅立ち、県外の大学入学等で鹿児島空港の利用客が増加する時期となります。特に旅立ちにあたっては、出発ぎりぎりまでロビーで別れを惜しんでいる姿が見られます。空港は日々喜びや別れの人生ドラマが生まれる場所です。


 1987年中島みゆきが、作詞、作曲し自ら歌ってヒットした曲です。

              空港日誌

 あなたの心が疲れていた頃へ  もう一度呼び出す 広島空港
 風が強くて YSは降りない  気の毒顔で、ゲートが閉まる

 「今夜の乗客は9人、乳飲み児が1人、女性が2人 あとは常連客
 尋ねられた名前は ありません」
 あの日にあなたが 博多にいたという 愛のアリバイを壊してあげたい
 写真ひとつで 幸せはたじろぐ 安い女と嘲笑うがいいわ

 もういちど むくわれぬ季節が あなたにくれば
 迷いに抱かれて 戻ってくるかと・・・・・・・
 今日も風は 飛行機を追い返す

 ドアから吹き込む12月の風が グランドスチュワーデス スカーフを揺らす
 ふっと 秘密を話したくなるから 冷たい声で事実を告げて

 「今夜の乗客は9人、乳飲み児が1人、女性が2人 あとは常連客
 尋ねられた名前は ありません」

 羽田へと向かう道にさえ乗っていない
 でも そんなこと百もわかりきってるけど

 *広島空港・・今の広島西空港、スチュワーデス・・今はこの名称は使われてない


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 現在の広島空港は市の郊外にあり、東京や札幌、沖縄便などに加えて海外路線網も充実しています。歌詞に出てくるYS機は日本で製造された飛行機で、近距離を中心に多くの飛行場を結んでいましたが、今では日本の空からは消えています。近距離や離島などは小型ジェット機の運航や管制設備の充実等で欠航も少なく快適な飛行が楽しめます。  


 ところで県は鹿児島空港の利用時間について、3月26日から1時間延長することを発表しました。
 現在利用時間は午前7時30分から午後9時30分までとなっていますが、前後30分延長されることになります。1時間延長というメリットを生かし最大限の経済効果をもたらす取組が求められます。


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 延長に対する今後の取組や課題等について整理したいと思います。
まず、利用時間が延長されることで滞在時間が長くなり、ショッピングや飲食する人が増え経済効果も期待できます。
 北海道の千歳空港内のレストランでは、夕方には特に出張族の姿が多くみられます。また、近くのゴルフ場でプレーした後、打ち上げを空港で行うことが定番となっています。


 最終便が遅くなることは、鹿児島での滞在時間が長くなることになり、出張の日帰りもより可能となるほか、観光客にとっても見学先が増え、ゆっくり見学できるようになることから、新たなコースの設定が可能となります。


 鹿児島県の平成28年の外国人宿泊客数は、11月の時点で前年を超えており過去最高になります。日本の魅力が定着して今年も訪日客の増加が期待されますが、新路線はインバウンドの拡大に不可欠です。
 海外から福岡空港は週350便就航していますが、鹿児島空港は18便となっています。


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 現在LCCが注目されており、時間延長は海外の新たな路線就航にもつながります。
バンコク、シンガポールなどの国際空港は24時間運航であり、現地を深夜に出れば鹿児島空港に早朝には到着できます。この地域からの需要開拓が見込めます。
 現在福岡空港は飽和状態であり、南の玄関口としての鹿児島空港の位置づけが重要になっています。そのためにはCIQの体制が整うことも重要になってきます。


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 2月24日から【プレミアムフライデー】がスタートし、多くの企業が賛同しています。金曜日から旅行に出る人が増えることが想定され、仕事を早めに切り上げ空港に向かい、鹿児島に行くことができる環境が整います。
受入側もこの運動に呼応して付加サービスの提供で顧客満足を高めてもらいたい。



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 一方では利用時間延長に伴い、空港バスも発着時間に合わせた運行が必要になってきます。
将来的には、騒音対策やCIQの体制強化、空港へのアクセスの充実等が図られ、さらなる延長が実現することを期待します。


 最後に、県民が鹿児島空港を利用する機会を増やし、経済効果を創出することが次の延長につながるのではないでしょうか。


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  早春の 銀の屏風に 新しき
  歌書くさまの 梅の花かな

          ~与謝野晶子~


No.448 若者の旅立ちに幸せあれ~故郷での活躍の場づくりが求められる~

2017年2月13日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光


 先日東京出帳の折、電車の中吊りの広告に目が留まりました。

              受験生の君へ

 当日の試験会場、隣の席の受験生が自信満々に見えたとしても大丈夫、
 隣の席から君もそう見えている。深呼吸をしよう。思い出そう。
 解いて 解いて 解きまくった方程式、
 覚えて 覚えて 覚えまくった英文法、
 やって やって やりきった1年を。
 不安も緊張も君だけじゃない。僕らは信じている。
 受験に立ち向かった記憶は、受験の先の人生で、
 君を励まし支える力になると。
 最後は自分を信じて、さあ、ラストスパートだ。
 You're the HERO                ※早稲田ゼミ広告より


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 ところで2月25日~26日は国公立大学の試験日です。共通一次試験の結果を踏まえて、受験校を変更した学生も多いことでしょう。受験生の心理はまさに広告文の通りで、1年間の努力を十分発揮して希望する学校に合格してほしいと願わずにはおられません。
 受験当日福岡市内では人気グループのコンサートと重なり、受験生の宿泊施設が足りない事態が発生しており、行政も宿確保に動いています。
 受験生を持つ親にとっては自らの受験生活がよみがえり、何とか良い環境で受験させたいと必死ではないでしょうか。


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 これから、卒業式のシーズンとなり進学や就職で鹿児島を離れる若者が多くなります。 特に多くの男子高校生は就職先として県外の企業を選んでいますが、県内に大きな企業がないこともあり、やむを得ないことと思います。大学生も関西、関東の大学に進むとそのまま都会で就職する人が大半です。


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 甑島では中学3年生になると、卒業に向けて夏にサツマイモを育てて、秋に蔵元で記念の焼酎ボトルを作ります。島での成人式で再会した時恩師や同窓生と封を開けて皆さんで飲むという伝統行事が残されています。
 焼酎のボトルには「島立ち」というラベルが貼られており、親が子供たちの成長を楽しみに5年間大事に保管しているそうです。


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 島に高校がないために島外に出るしかありませんが、子供たちにとっては、島や友人との絆を保つシンボルになっているのではないでしょうか。島を訪れた観光客に心にしみるこのストーリーを語ることは、島の人々の温かさを伝えることになります。
 3年後には、中甑島と下甑島をつなぐ藺牟田瀬戸架橋が完成の予定です。甑島が一つに結ばれ、観光振興による島の活性化が期待されます。


 唐の時代の詩人である「王維」が、友人を送る心情を書いた詩を紹介します。古代から中国国内の移動は大変であったと推測されますが、精一杯のおもてなしで人との別れを惜しんだのではないかと思います。


       元二の安西に使いするを送る  ~王維作~

           渭城 朝雨 潤軽塵
           客舎 青青 柳色新
           勧君 更尽 一杯酒
           西出 陽関 無故人

・渭城・・長安の渭水をはさんだ対岸の町
・客舎・・旅館
・陽関・・敦煌の郊外にある関所
・故人・・友人


渭城の朝のしっとりとした雨が、舞い上がっている軽い塵を濡らしている。
旅館の周囲にある柳の木が、雨に濡れて青々として美しい。
昨晩遅くまで語り合い楽しい酒を呑むことができた。
でも君に勧めたい。もう一杯飲んでくれ 。
陽関を通過した後は、一緒に楽しく酒を飲む友人はもういないだろうから。


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 日本では送別に際し、激励会を開きメッセージと供に花束を渡すことが行われていますが、中国では柳の枝を贈る習慣があります。別れを綴る詩には、友人を長く見送ることができる砂漠や大河がよく舞台として登場します。
 シルクロードを旅すると、詩に綴られた敦煌郊外の陽関の関所跡が見学できます。悠久の歴史が漂う敦煌の莫高窟や鳴沙山、楼欄の美女が眠るウルムチの新疆ウイグル博物館等をお尋ねください。


 日本では、転勤は住居と仕事内容など環境が変わり、自分自身を飛躍させる大きな転機になると思います。人事異動は会社から本人への最大のメッセージと捉え、与えられた場所で最大の努力をする心構えが大切ではないでしょうか。


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 鹿児島県は南北600キロにおよび、本土と離島との転勤も多くあり、港や空港での 涙の別れは感傷的です。
 それぞれの土地で新しい友人との出会いがあり、また、故郷のすばらしさを始めて知る 機会にもなります。
 鹿児島を離れて他県に行く人は、鹿児島の歴史、文化、温泉、食、祭り、自然遺産、文 化遺産、伝統行事などの魅力を是非多くの人に伝えてほしいものです。
 鹿児島の旬の情報が全国に発信されて、交流人口の拡大につながることを期待します。


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 鹿児島県は、文化遺産と自然遺産の2つの世界遺産を持つ唯一の県ですが、加えて2018年には奄美大島と徳之島の一部の地域が世界自然遺産登録を目指しています。また、2018年は明治維新150周年になり、NHK大河ドラマ「西郷どん」の放映等もあり鹿児島県は国内外から注目されます。
 節目の年に鹿児島の魅力を一段と認知させる取組みが求められます。


 少子高齢化による労働力人口の減少は、地域の活力低下の要因にもなっています。観光にきちんと取り組んでいる自治体は、若者のIターンも見られます。地域資源を磨き商品化を図ることが交流人口の拡大に結びつくのではないでしょうか。 


 観光関連産業に興味を持ち、卒業した後地域に活躍の場を求める人が増え、それを受け入れることができる環境づくりが不可欠です。

 皆様の旅立ちに「幸せあれ」と願っています。


No.447 変化する訪日外国人の観光スタイル~日本の自然美と伝統文化・生活の体験が人気に~

2017年2月6日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光


         年のはに 春の来らば かくしこそ
         梅をかざして 楽しく飲まめ
                    大令史野氏宿奈麿 ~万葉集~


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 昨年の秋庭先に植えた50個のチューリップが冬の寒さを乗り越え、1センチ程の芽をだし春の到来を待ちかねているようです。3月の初めには色とりどりの花をつけてくれると楽しみにしています。
 ところで日本を訪れる外国人観光客が急増しています。JNTOによると、2016年の訪日外国人旅行者数は累計で21.8%増の2403万9000人となり、待望の2000万人を突破しました。観光消費額は、中国人の買物支出が減少しましたが、7.8%増の3兆7496億円となっています。


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 訪日客の増加の要因として、クルーズ船の寄港数増や海外航空路線の拡充やLCCの就航、継続的なプロモーション、ビザ取得要件の緩和、消費税免税制度の拡充などがあげられます。多くの国からの訪日客が増加していますが、特に中国からは前年比27.6%増の637万人でトップとなっています。韓国が509万人、台湾は416万人、香港の184万人を加えた4市場で23.1%増の1747万人で全体の72.7%を占めています。


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 鹿児島県における28年の外国人宿泊客数は熊本地震の影響がありましたが、23万9000人余りで9.3%の伸びとなっており、国別では台湾、香港、韓国、中国となっています。『鹿児島県観光動向調査(抜粋)1月~11月累計』
 伸びている要因として、現地セールスや招聘事業の推進、LCCの香港エクスプレス航空の就航、円安基調等も追い風となっています。
また、隣県を加えた商品企画やルート設定が豊富になっていることや、定期的宣伝活動が寄与していること等があげられます。


 一方、鹿児島県の宿泊者総数は九州の中で第3位ですが、外国人宿泊者数で見ると、長崎県の約半分、熊本県、大分県の6割程度で第5位となっています。(平成27年実績)
 また、宿泊者数全体における外国人の割合は、5.3%であり、他県と比較すると低く、大きな伸び代が期待でき、10%の目標を掲げて取り組む必要があります。


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 国際線が充実している福岡県に来た外国人を、鹿児島まで誘致する有効な施策展開が不可欠です。国別では、九州に一番訪れている韓国人の宿泊者数が大きな差となっています。新幹線活用による南九州割引切符の年間設定や福岡空港と鹿児島空港に相互に就航しているキャリアを活用した商品企画が誘客に繋がります。


 県と観光連盟では、訪日外国人観光客の受入体制の整備充実を図るため、平成21年度から受入体制整備推進事業を進めており、今年も、自治体、宿泊施設、観光施設、ゴルフ場、飲食店、土産品店等の関係者が参加する「インバウンド実務担当者」の会議を開催します。毎年参加者が増加しており、訪日旅行に対する関心の高さの表れと感じます。


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 また、主要4カ国に加えて、タイ、シンガポール、ベトナム、マレーシアなど東アジアからの誘客やクルーズ船の誘致に努めています。FITが増加しており市中の案内表示、市内周遊バスの同一化、銀聯カード利用店の拡大、WiFiの整備、多言語表示等、まだまだ改善すべき多くの課題があります。
 一方では、外国人観光客の増加に対して、入国管理設備の改善、市中での両替や外国語HPの充実など早急に解決しなければなりません。


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 今、LCCの香港エクスプレス航空が高い搭乗率をキープしており、新たな需要開拓に繋がっています。先日鹿児島空港で香港からの利用客に話を伺いました。9割程度がFITで、レンタカーや列車を利用して5泊6日で南九州を周遊する客が多くいました。


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 鹿児島の情報入手に当たっては、インターネットやフェイスブック、ツイッター等SNSを活用しており、桜島、美しい海、砂浜、神社の参道、滝、花のある風景、着物姿が多くみられる場所、日本の祭りなどに興味を寄せていました。従来は宿泊施設の食事、部屋、風呂などに興味を示す観光客がほとんどでしたが、リピーターが増え、鹿児島の美しい自然や体験ができる地域が客の心を引き付けているように感じます。


 一方、中国人は爆買が鳴りを潜め、自分が使う生活必需品を買い求める姿があります。目薬、サロンパス、熱さまシート、胃薬、風邪薬など健康に関連するものが人気です。入国時の関税強化や中国国内でネットでのショッピングが可能になったことも影響しています。
中国では今、大気汚染への関心が高まり、新鮮な空気を求めて日本を旅する「肺をきれいにする旅行(洗肺游)」が流行っています。


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 今後宿泊施設での情報発信は、ホテル周辺の美しい自然や絶景、部屋から見える朝陽や夕日、着物姿のメイドさん、三つ指ついてのお出迎えの姿などが外国人には感動をもたらします。豪華な部屋、食事、風呂より、自然、日本文化を感じられる雰囲気の情報発信を求めています。


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 外国人は大都市圏から地方へ確実に流れは変わりつつます。最近、出水市の武家屋敷を着物で散策するツアーが人気です。着物を持ち帰ることができることも人気に拍車をかけています。
 また、寿司握り体験も定着してきました。日本文化に触れることができることから、消費は「モノ」から「コト」に変化しており、感動体験が消費に繋がります。東アジアには、美しい海や白砂青松、整備された緑の田畑の農村風景が少なく、我々が何気なく住んでいる地域に感嘆の声をあげます。香港の人には帰国日に「イチゴ狩り」などの体験も喜ばれるのではないでしょうか。


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 富裕層対策として、華道、茶道、日本舞踊等日本の格式の高い伝統的文化を提供することが、新たな需要獲得に繋がるのではないかと思います。これから日本は人口減少が進み、しかも市場は成熟しており、日本人の国内旅行の大きな伸びは期待できません。外国人の誘客は地域活性化に不可欠であり、定住人口1人減少分を外国人観光客10人でカバーできると試算しています。(観光庁資料)


 最後に、県民の外国人に対する理解度を高めるための講習会やPR活動も大切なことです。インバウンドの拡大は鹿児島の観光発展にとって重要な施策となると考えます。


No.446 ご夫婦旅行のおすすめ~旅行の同伴者に選ばれるために~

2017年1月30日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光


          家にして 見れど飽かぬを 草枕
          旅にも妻と あるが羨(とも)しさ
                       娘子~万葉集~


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 2018年NHK大河ドラマは『西郷どん』に決定し、県内各地域で受入体制づくりがスタートしています。林真理子と中園ミホの女性コンビで描かれる西郷隆盛像が、今から楽しみです。また、彼を支えた愛加那さんやイトさんの役を誰が演じるのか、興味津々ではないでしょうか。


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 2008年の大河ドラマは、江戸幕府第13代征夷大将軍の徳川家定に嫁いだ「篤姫」の波乱の人生を描いた物語でした。年間視聴率は、24.5%で、30.5%を獲得した1996年の「秀吉」以来の人気を集め、また、鹿児島地区での最終回視聴率も43.1%と、地元での関心の高さがうかがえました。小松帯刀という新しいヒーローも誕生しました。
 ちなみに、2016年人気を博した「真田丸」の全50回の期間平均視聴率は、関東地区で16.6%、関西地区で15.9%でした。


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 ところで、『篤姫』は、その放映効果もあり、薩摩の歴史に興味を持ち、偉人を育んだ郷土を誇りに思う人が増え、鹿児島県民に元気をもたらしたドラマでもありました。 これほどまでに支持を得た要因は、主人公のひたむきな生き方が、多くの女性の支持を得たことがあげられます。
 また日本人が忘れかけていた「家族愛」が描かれており、テレビの前で談笑しながら見ていた家庭が多く、ホームドラマ風の演出とあわせて、解りやすいストーリーが高視聴率につながったと思います。
 やはり女性がブームをつくったといっても過言ではありません。


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 ところで研修会に講師として呼ばれる機会が多いので、中高年の方が参加している会合では必ず質問することがあります。「退職後に誰(妻または夫、子供、友人)と旅行したいですか」と。男性の7割程度は妻と行きたいと手を挙げ、女性は子供(娘)、友人と続き、夫との旅行を希望するのは3割もいません。


 男性が妻への依存度が高いのに、女性の方が意外と夫との旅行を敬遠する傾向があります。理由を聞くと「旅先でもいつもの通り朝早く起きてお茶を催促し、昼間のショッピングの時間も退屈そうにしている。夫と旅行に行っても楽しくない。」等の答えが返ってきます。やはり非日常性を求める妻との認識のずれが、男性にはあるように感じます。


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 観光業界で定期的に消費者の意識調査をしていますが、55歳を過ぎる頃になると旅行の同行者に夫は妻を、妻は友人達を選ぶ傾向がでています。
旅行先の決定にあたっては女性が主導権を握っています。


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 ある女性情報誌の調査によると、妻が夫の定年後に困ることとして、「自分の生活のリズムが狂う」、「趣味やショッピングの自由がきかなくなる」、「友人との付き合いが減ってしまう」などの不満をあげています。
 夫に望むことは、身の回り(炊事洗濯、片付け等)のことは自分で行うこと、外で友人たちと楽しむ趣味(ゴルフ、囲碁、カラオケ、農作業、山登り等)を持つこと、社会参加すること(奉仕作業、ボランティアガイド等)などをあげています。


 現職時代と変わらず家庭にいる時間をできるだけ少なくすることを望んでいます。男性は長年にわたって企業戦士として粉骨砕身働き、退職後はゆっくりしたいと思っている方が多いと思いますが、現実はなかなか厳しい要求が突きつけられています。


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 年を重ねると男性は家にこもり、妻を頼りがちになります。逆に女性は子育てから解放されて、自分の要望を満たすために積極的な行動に出ることが多く、趣味や友人との交流を増やしていきます。
 妻が出かけると「どこに行くのか、俺の昼飯はどうなっているのか、何時ごろ帰るのか」と愚痴をこぼす夫が多いと聞きます。男としてやはりこの言葉を吐くことは避けたいですね。


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 ところで日本の平均寿命は、男女とも80歳を越え世界有数の長寿国となりました。定年後も20年以上あります。夫婦それぞれが趣味や友人を持ち、家庭以外での楽しみを持ち続けることも大切と思います。
 また長年の人生経験を生かし、ボランティア活動に積極的に参加し、地域貢献や生き甲斐づくりにもつなげたいものです。


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 好奇心旺盛な方には一人旅もお勧めします。今女性の一人参加のツアーが好評です。日本は少子高齢化社会が進み、年金問題や介護保険など行先不透明感がぬぐえません。
 健康寿命を延ばすには、元気な生活が支えとなります。四季折々の季節感が感じられる美しい日本各地を旅してはいかがですか。


 たまには、奥様から「来月二人で北海道旅行に行こうか」と誘われるようになるには、日頃からの信頼関係構築が大切です。
 何事も妻頼みではなく自立できる男でありたいものです。


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