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No.328 拠点地域からの広域観光周遊ルートの商品化を~観光客をいかに広げるか~

2014年9月16日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 赤とんぼの群れ飛ぶ姿が夕日に映え、秋の訪れを感じます。登下校の子供たちはジャージ姿が多く見られますが、運動会の練習の帰りでしょうか。また、味覚の秋を迎え、店頭には栗や柿の実が並び、北国では紅葉が始まります。

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 1年の内で一番観光客が動く時期になりました。鹿児島県内には年間680万人もの宿泊者がありますが、約70%が鹿児島市、霧島地区、指宿地区の3地域に集中しています。(観光庁2015年統計)今後の鹿児島の観光を考えるとき、この3地域からいかに観光客を広げるかが大きな課題となっています。

 この度、鹿児島地域発の広域観光周遊ルートのコースとして、いちき串木野・薩摩川内方面のモニターツアーを実施し、宿泊・観光施設、キャリア、エージェント、県、市、地域振興局等から56名の参加がありました。主な観光地の魅力と課題について整理したいと思います。

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 2018年(平成30年)は明治維新から150周年の節目を迎えますが、維新の立役者となった偉人を多く輩出しているのが薩摩藩です。1865年薩摩藩は、国禁を犯して15名の若者と随行者4名を英国に派遣します。いわゆる薩摩藩英国留学生です。その生徒の多くは開成所で学んだ若者で帰国後は官界、実業界で活躍します。

 留学生の足跡を見学できる施設として、いちき串木野市にオープンしたのが、「薩摩藩英国留学生記念館」で、その施設を最初に訪ねました。地元の田畑市長の出迎えを受け、記念館の設計から展示物まで手がけた砂田光紀プロデューサーの案内で、館内の見学を行いました。

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 留学生の苦難の渡英やその後の活躍のストーリーは、近代日本の成長に大きな足跡を残していると感じます。また、渡英前に過した羽島の人々との交流は、日本を離れる留学生たちの心の支えになったのではないでしょうか。


 留学生の中で村橋久成は、戊辰戦争の際砲台長として活躍し、その後北海道開拓使となり、サッポロビールの生みの親として語り継がれています。

 留学当時13歳と最年少であった長沢鼎は、その後アメリカに渡り生涯を過ごし、広大なぶどう園の経営とぶどう酒製造に尽くし、ワインの帝王と称されました。鹿児島でもナガサワワインとして親しまれています。

 今羽島地域では、ボランティアガイドや観光船運行の体制が整い、これからの地域づくりの支えになるのではないでしょうか。記念館前の駐車場が狭いため、シーズン中の車の誘導や団体バスの乗降に気をつけなければなりません。

 各市町村で、青少年の翼、青年の船等の海外派遣事業が盛んです。ぜひ、小・中・高校生等若い方々に見学して欲しい施設です。

 日本は人口の少子・高齢化時代に入り交流人口の拡大が不可欠であり、外国人観光客の誘客もより強く求められてきています。鹿児島の近代化遺産群が、世界文化遺産への正式登録を控えています。開成所から薩摩藩英国留学生に至る功績を学ぶことは、明治維新150年を検証することにもなります。人材育成の重要さも伝えたいものです。

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 食事施設としてマグロ船の形をモチーフに、資料館と物産館を併設したレストラン「まぐろの館」がオープンし人気を博しています。いちき串木野市は、マグロ船の船籍保有数は日本一となっていますが、マグロは主に焼津港や清水港に水揚げされます。

 まぐろの館の社長は、おいしいマグロを食べたいという顧客の要望に応えて、満を持してのオープンとなりました。北薩摩地域にこのような大型の食事施設がなかっただけに、観光ルート設定には役立ちます。県民へのPRも図らねばなりません。

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 次に訪れたのが薩摩川内市の市比野温泉地域です。かつて市比野温泉地域は、鹿児島市の奥座敷として多くの宴会や団体客で賑わっていました。今では宿泊施設は数軒のみで、昔を知る人には寂しい限りです。


 時代の流れは個人客が主流となり、それに対応することの難しさを感じます。それでも、与謝野晶子が宿泊した「みどり屋旅館」や文学碑、人気のお菓子屋があり、1時間程度の街歩きが楽しめます。

 地域おこしで始まった「よさこい祭り」は年毎に参加団体が増え、今では北薩を代表する祭りに成長しています。市比野温泉は泉質が素晴らしく、近隣のお客さまに愛されてきた温泉でもあります。昔の団体旅行全盛期のスタイルに戻るのではなく、ロマン漂う静かな温泉街の復活を望みたい。近くの道の駅「樋脇」も多くの買物客で賑わっています。入来麓武家屋敷、いむた池と一体となっての誘客が求められます。

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 入来麓武家屋敷群も整備され、美しい町並みが復活しました。清色城跡、旧増田邸、旧家入来院氏の家並みは必見の価値があります。ガイドさんの説明も楽しく、わかり易い解説でした。近くの入来小学校の子供たちが手を振り頭を下げる姿に、地域ぐるみで観光客を迎えているという「おもてなしの心」が醸成されていると感じます。

 武家茶房Monjoでの休憩時間も楽しく過すことができました。街の散策の途中に、小物店やカフェがあると助かります。地域に少しでも経済効果をもたらす仕組みづくりは不可欠です。 また、近くの大宮神社で奉納される入来神舞は、700年の歴史があり、その中で舞人が朗詠する「君が代」が国家の始まりと言われています。神社のPRと併せて駐車場、トイレ等の整備も必要です。

 薩摩川内市では、今回も地域ぐるみで歓迎幕をもって我々を出迎えてくれましたが、その取組は市全体に広がっているという好印象を受けました。

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 九州新幹線が全線開業して北薩摩地域は波及効果が少ないと指摘されていますが、地域は必死に頑張っています。それに応える為には、市や連盟ではPRやエージェントと連携した商品企画支援をもっと充実していく必要があります。


 知名度が主要3地域に比べて低いだけに、入込み客数だけにとらわれず、地域活性化の視点で捉えていく必要があります。そのことが3地域の発展にもつながるのではないでしょうか。

 これからも3地域からの観光周遊ルート定着に向けて、努力したいと考えています。いちき串木野市、薩摩川内市の方々にお礼を述べるとともに、頑張れとエールを送りたいと思います。

No.327 平成26年度の後半戦をいかに取り組むか~地域の総合力を結集した商品展開を~

2014年9月8日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

        葛(くず)の花 踏みしだかれて 色あたらし。
                   この山道を 行きし人あり  ~釈迢空~
*葛は秋の七草。日本人は葛の根からつくった葛粉を、昔から利用してきました。葛湯、くずきり、くず餅は、むかし懐かしい味です。

 二百十日が過ぎ、朝夕の涼しさに秋の気配を感じます。今年の夏は全国的に不順な天気が続き、集中豪雨による大きな被害が出ました。例年南九州地域は、水害がよく発生しますが、今年は、広島、福知山、北海道の利尻島・礼文島等が大きな被害を受けました。心からお見舞いを申し上げます。鹿児島で大水害が発生した時、全国から応援や見舞金を頂きました。今回は我々がお返しする立場です。被災地の早急の回復を祈念しています。

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 ところで、春先から宿泊客の減少が見られる鹿児島の観光ですが、夏も3度の台風の襲来でキャンセルが多く、厳しい結果になるのではないかと懸念しています。夏休みは、ファミリーの旅行が主流であることから、天候の不順は旅行の出控えにつながりました。

 また、九州新幹線の全線開通で中国地域から観光客が増加し、中でも広島県からのお客様が多かっただけに、今回の水害は今後の誘客に大きな影響があるのではと懸念しています。

 今年は大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンに、「ハリーポッター」の新しい施設がオープンしたこともあり、北部九州、中国、関西、関東地域から予想を大きく上回る入場者で賑わっています。昨年の伊勢神宮の式年遷宮効果も続いています。

 年当初より、今年の鹿児島の観光は厳しくなると予想していましたが、現状はあまり好転していません。秋から来春にかけての対策を急がねばなりません。全国主要都市での説明会では、「本物。鹿児島県」をキーワードに、従来の鹿児島市、霧島、指宿地域の魅力に加えて、近代化産業遺産群、頴娃町のお茶農家「茶寿会」による「グリーンティリズム」、本土最南端の始発・終着駅の枕崎駅や「出汁」文化、世界自然遺産の屋久島、バニラ・エアが就航した奄美大島、甑島、大隅半島の鹿屋、佐多岬、内之浦等をPRしてきました。

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 また、当連盟では、3拠点地域(指宿、霧島、鹿児島)発の広域観光周遊の新しいルートの提案を行い、新規需要開拓に努めているところです。今年度は大きなイベントもなく、大量の集客は厳しいものがあります。JRや航空会社、エージェントに対する商品企画支援もすでにスタートしています。

 10月からJR九州の、鹿児島VS大分キャンペーンがスタートします。そのテレビCMが9月1日から放送されています。大分県は、泉源数日本一でありますが、2位の鹿児島県も多彩な温泉が多く、またとないPRのチャンスです。黒牛、黒豚、黒さつま鶏、黒マグロ等食の対決も見もので、おもてなしの心を持って観光客を迎えることが地域の評価につながります。両県の相乗効果が期待されます。

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 ANA南九州キャンペーン(10月~3月)、JAL鹿児島キャンペーン(11月~1月)も展開されます。各社の持つメリットを活かし、誘客に努めなければなりません。ANAは熊本、宮崎と連携した商品造成が進んでいます。路線の多い鹿児島便は有利であり、各施設は地域の情報を積極的に発信してもらいたい。JALは離島にも就航しており、屋久島や奄美大島への誘客が期待されます。冬場の温暖な気候と美しい自然、生態系をPRしたいものです。オフ時期対策として貸切バス支援も実施します。(12月~2月)

 一方外国人は台湾、香港が好調に推移しています。中国は苦戦を強いられており、先日も上海で誘客対策をかねて、主要会社の訪問を行いました。有力メディアでの発信や富裕層向けの商品提供が必要であり、上海から一番近いところの県であることもPRしなければなりません。 韓国は冬場のゴルフツアーが人気商品であり、インセンティブや招聘事業を行いながら誘客をすすめています。

 各施設においては、地域のイベントや伝統的祭り、食等を組み込んだ企画を、秋以降の対策として展開していると思います。秋のメインは時間に余裕のある熟年層であり、比較的富裕層が旅行します。平日に宿泊するメリットも打ち出すことが必要です。

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 鹿児島が誇る温泉や食、近代化産業遺産群、ローカル列車等をPRして集客に結びつけて欲しい。今年世界文化遺産に群馬県の「富岡製糸工場」が登録されましたが、予想を超える観光客が押し寄せ大混雑しています。鹿児島の世界文化遺産候補地は、現在でも見学できる利点を誘客のポイントにしてもらいたい。

 2018年は明治維新150周年に当たりますが、鹿児島は一番注目を浴びる地域となります。それまでの出来事を時代ごとに、その背景とともに語ることが必要です。いちき串木野市には、「薩摩藩英国留学生記念館」やマグロ料理が堪能できる「まぐろの館」もオープンし連日賑わいを見せています。4月から甑島へは、新造された高速観光船が就航し人気を博しています。

 年末年始にかけては、忘年会・新年会企画が定番ですが、各施設のオリジナリティを出し、例年と違う演出が必要です。また、近場のお客様が多くなることから、平日に遅い時間からでもスタートできる宴会企画も喜ばれるのではないかと思います。

 最近の旅行は、一人旅も人気です。小さめの部屋を提供できるところは、企画に活かすことをお勧めします。女子のグループには、女性が好むスイーツやアメニティグッズの提供が感動をもたらします。

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 消費税アップに伴い、消費マインドが落ちています。積極的に情報発信しないと企画倒れに終わります。WEBの展開も不可欠です。各施設は従業員の力も活用し、同級生や親せきを動かす手立ても求められます。

 エージェントやキャリアだけに委ねるのではなく、地域内の資源を点検し施設、従業員が魅力を語り、総力戦で集客に努力する時ではないでしょうか。

No.326 激化する教育旅行誘致に求められるものとは~鹿児島ならではの体験メニューの提供を~

2014年9月1日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 8月20日と21日、東京と大阪で九州観光推進機構による九州7県合同の修学旅行誘致説明会が開催され、日本修学旅行協会、全国修学旅行研究協会、エージェント、学校関係者等各会場とも120名余の出席者がありました。


 各県が教育課程に適した体験メニュー、産業革命遺産、民泊の受入態勢等のPRを行いました。現在修学旅行の行先としては、関東地域の高校は沖縄、北海道、中学校は京都・奈良方面、関西地区の高校生は沖縄、北海道、九州、中学生は沖縄、九州が主流となっています。

 説明会では、他地域から九州へ変更した学校の取組の報告がありました。都立のJ高校は、修学旅行を「進路探索研修旅行」と位置づけ、異文化体験をメインに別府の「立命館アジア太平洋大学」を行先として北部九州を選択しています。中でも英語を活用するべく、着物着付や茶道、武道等日本の伝統的文化を紹介して、多くの留学生との交流を深め将来の進路に役立てるために、修学旅行をうまく活用していると感じました。

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 また、関西の中学校は行先を変更した要因として、九州の宿泊施設は収容力が大きくフロアー貸切等ができることから、生徒の管理がしやすいと九州の良さを語っていました。また、南九州へは集約列車が運行され、時間短縮や旅費の低廉化が図られたことも理由にあげていました。

 鹿児島への誘致策の一つとして、日程や行先に制約のない私立高校や、SSH(スーパーサイエンス・ハイスクール)の指定を受けている高校へのPRが必要と感じます。種子島や内之浦の宇宙関連施設の見学や、屋久島の世界自然遺産、奄美の島々、桜島の噴火、甑島の地形等科学、自然等に関する魅力をもっと前面に出してPRすべきと認識させられました。オンリーワンの見学地、そこでしか体験できないことが差別化となります。併せて受入体制の充実も行先変更の大きな要因となります。

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 中学校については、農・漁業体験や民泊の利用が定着しつつあります。体験メニューでは、グリーンツーリズムやブルーツーリズムの本物体験が不可欠です。最近の体験学習では、長崎県松浦、五島、壱岐や熊本県天草の御所之浦での、無人島体験、魚釣り、ペーロン競争等マリン体験も人気を博しています。

 鹿児島では垂水市漁協の餌やりやカンパチのさばき方体験が人気となっています。直接生き物に触れることができることが好評であり、県内で地引網や定置網漁などの体験できる新たな場所を開発しなければなりません。 25年度から修学旅行の集約列車が運行され、関西地域から南九州を行先に選ぶ学校が増えています。

 一方学校側からは乗り換えなしの直通運行や、更なる時間の短縮等の要望が出ました。JR西日本、JR九州さんの協力が不可欠であり、引き続き要望していきたいと思います。

 先日鹿児島市内で、関係者による「体験学習メニュー意見交換会」を開催しました。本年度から鹿児島への修学旅行を実施している姫路市のH中学校の先生に南九州の魅力を語ってもらいました。

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 先生によると、「知覧での平和学習」、「球磨川でのラフティング」、「出水の民泊」が生徒たちに好評であり、特に多くの生徒の印象では、民泊のおもてなしが良かったと言ううれしい報告もありました。今後は鹿児島市での街歩きや桜島の見学等も検討したいとも語りました。

 修学旅行の誘致競争は激化していますが、学生さんと農家との感動的な触れ合い、体験をいかに多くつくることができるかが、今後の定着に向けての課題です。南さつま地域からスタートした農家民泊は、25年度は県下全域に広がり(一部離島を除く)、教育旅行の取扱が2万人を超えました。1泊2日の滞在期間、野菜や果物の収穫、家畜の世話など、日頃農家の方が行っている仕事の体験と民泊が子供達に感動を与えています。直接土に触れることが生徒たちの心を動かします。

 日頃食べているものがどのような自然環境で育ち、日々の手入れはどのようにしているのか、また収穫されたものがどのようなルートで食卓に届いているのかを肌で感じることができ、食の大切さを理解する機会になるのではないかと思います。

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 ところで民泊については過去何回も述べていますが、旅館業法で決められた「簡易宿所営業許可」を取得することが、不可欠となっています。先進地の安心院、最近脚光を浴びている宮崎県小林地域は100%取得しています。

 旅館経営者の方々は、厳しい経済環境の中で耐震対策に取り組んでいます。農家の「簡易宿所営業許可」取得も、地域ぐるみで推進しなければなりません。

 大阪での説明会で、鹿児島を民泊地に選んだ学校の先生は、宿泊箇所がクラスごとに離れすぎて、打ち合わせが十分でできなかったと改善策を求めていました。せっかく良い体験ができたのに不満を残す結果となりました。コンプライアンスの徹底は、教育現場では特に大切なことと思います。早急な対策が急がれます。

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 ところで鹿児島県は、豊かな自然と多彩な観光資源に恵まれており、中でも農業産出額も北海道、千葉県に次いで第3位で、農業は鹿児島の経済を支えている基幹産業です。 (平成23年県勢概況統計)


 これから日本は人口減少が顕著となり、農業従事者も高齢化が進み農村地域の発展は厳しいものがあります。若い世代の就農者を増やすことは厳しいことですが、都会からの交流人口を増やし、農村地域の維持・発展をめざす取組強化が求められます。

No.325 スポーツ・ツーリズムの推進でかごしまの活性化を~スポーツ庁、来年度創設へ~

2014年8月25日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 オリンピック開催やスポーツ競技振興などスポーツ行政を一元的に推進する新たな組織として、スポーツ庁を2015年度創設することが明らかになりました。2010年に、国土交通省の外局として観光庁が発足して以来の庁の創設です。現在日本のスポーツ行政は、文部科学省が管轄し、各スポーツ団体が大会や運営や選手育成を行っていますが、専門の庁の創設で国家レベルでのスポーツ振興が期待されます。


 将来のオリンピック選手の発掘や育成に対する予算が大幅に増えることが期待されます。また、東京オリンピックに向けて金メダル獲得が期待できる競技やチームには、選手の海外遠征や合宿等に更なる強化策が推進されるものと思います。国内ではキャンプ地誘致競争が激化するのではないかと思います。

 昨年9月に2020年の東京オリンピック開催が決定し、スポーツ庁の創設は時期を得たものと言えます。子供から大人までスポーツに親しみ、裾野を広げることで地域活性化につながります。国体、インターハイ、中体連等の全国レベルの大会や、各種目別の大会等には一度に多くの選手が集まり、宿泊・観光施設、食事店、運輸機関等を利用することから経済的に大きなメリットがあります。

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 一方、スポーツ観戦ツアーは交流人口の拡大が図られることから経済効果も大きいものがあります。今年ブラジルで開催されたFIFAアールドカップサッカーには、多くの日本人サポーターが遠路ブラジルまで応援に行きました。プロの選手はオフ時期には体力づくりも兼ねて、秋季、春季のキャンプを行っており、しかも長期間に滞在します。

 県ではプロや学生のスポーツキャンプ・合宿誘致に力を入れており、福岡、関西地域でセミナー等を開催してきました。2013年度に県内でスポーツキャンプ・合宿を実施した県外の団体は1169団体、述べ人員は13万1404人で、ともに過去最高を記録しました。

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 学生のスポーツ等の合宿は、関西地域からの志布志港までの「さんふらわあ」利用が多く、市町村の補助金制度の充実もあり、今後も伸びが期待できます。プロと違って合宿地として選ばれる条件としては、練習時間の確保や学生が夜懇談できるスペースを提供することが求められます。

 今後は、国内外のプロチームのキャンプ・合宿や、知名度の高い競技・選手のキャンプをいかに誘致できるかが課題です。プロ野球の多くのチームは、沖縄でのキャンプが定着しています。プロサッカーチームは、宮崎でのキャンプが大半です。

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 プロサッカーチームがキャンプ地を選ぶ最大の要因は、天然の冬芝のグランドが整備されていることです。県内では、鹿児島市、指宿市、霧島市、南さつま市、さつま町しか天然冬芝のグランドがなく、キャンプできるチーム数が限られるのが現状です。


 2019年にはインターハイ、2020年には国体が開催されます。大会に照準を合わせてグランド整備が待たれます。大隅地域にある有明高校跡地に、トップアスリート専用の練習場が開設される予定です。宿泊施設の整備や鹿屋体育大学等との連携も求められます。奄美大島や徳之島では、プロ野球の合宿やマラソン選手の合宿が行われてきました。新たに成田空港からの定期便も就航しました。冬場の温暖な気候を活かし、他のスポーツキャンプの誘致も不可欠です。

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 ところで6月のワールドカップの事前合宿地に指宿が選ばれ、多くの報道陣が訪れました。観光客に加えて、選手の練習風景を見に多くのサポーターが指宿を訪れたことから、鹿児島市内の宿まで波及効果がありました。


 今までのオリンピックに参加する日本の野球チームの事前合宿地は、宮崎が選ばれていました。合宿期間中は、宮崎市内の宿が満員となり、霧島温泉に泊まる関係者が多くありました。

 東京オリンピックで関連では、大会までの合宿誘致合戦がスタートします。隣県の宮崎県は、早くから官民で組織された「スポーツランドみやざき推進協議会」がありますが、2013年度で約17万人のスポーツキャンプ・合宿を受け入れています。その組織の中に、「東京五輪おもてなし部会」が設置され、日本代表クラスや海外チームを受け入れる体制を整えました。

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 県内各地には温泉が湧き、トレーニング強化や練習後の疲労回復にも好環境が整っています。また、鹿児島県は日本第4位の農業県であり黒牛、黒豚、黒さつま鶏、魚、野菜等食材に恵まれ、選手の体力づくりにも最適です。

 東京オリンピックまで6年、2020年には鹿児島で国体も開かれます。県の組織として「国体準備課」が設置されました。スポーツ庁が創設されると、各スポーツ団体の組織強化や本庁との連携が強く求められます。

 東京オリンピックというビッグイベントを契機に、鹿児島からもオリンピック選手を輩出し、観光客誘致も図らねばなりません。国体での実施競技誘致に名乗りを上げている市町村は、開催競技に対する住民の意識付けも必要です。鹿児島市内では、フルマラソンの開催も知名度アップになります。

 温暖な気候と豊富な温泉、豊かな農業・水産業がもたらす食材、温かいおもてなしの心を持つ県民性等は、スポーツ選手に好印象をもたらすものと思います。鹿児島が誇る優位性を活かし、スポーツ庁創設を機にスポーツ・ツーリズムの推進を図り、かごしまの活性化に結び付けたいものです。

No.324 放置するとサービスは低きに流れる~創業の精神を忘れずに~

2014年8月18日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

      夏草や      兵(つわもの)どもが     夢の跡
      五月雨の     降りのこしてや   光堂
*1689年、松尾芭蕉が平泉の中尊寺を訪ねた時に詠んだ句です。
*光堂は中尊寺の金色堂のこと

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 先日、東北3県を旅する機会がありました。鹿児島からですと答えると、行く先々で「遠い所わざわざお越しくださりありがとうございます」と丁寧なあいさつを受け、清々しい気持ちになりました。旅の良し悪しは、地域に住む人々の印象だとあらためて感じました。

 観光客誘致の仕事を通じて日本全国を訪ねる機会が多く、また、タクシーに乗る機会も多くあります。初めての土地では駅前から目的地までタクシーを利用しますが、いつも不安と期待を抱えながら乗車します。目的地を告げると、不機嫌な態度を見せる運転手に遭遇することがよくあるからです。

 駅構内のタクシーは、観光地巡りや遠方までの客を待っている場合が多く、近距離は嫌がられます。しかし遠来の客は初めて訪れる場所では、地理に不案内なためタクシーに乗るのであり、親切な対応があれば、翌日の観光にそのタクシーを利用するかもしれません。第一印象が翌日の仕事に結びつくこともあります。

 鹿児島でも近距離乗車を嫌がり、口も利かない運転手に何回も会っています。友人の一人は駅前からのタクシーは避けて、ちょっと歩いて市中のタクシーを利用すると話していました。 「近くても遠慮なくお乗りください。」と快く声をかけてくれる運転手はまだまだ少数で、マナーに優れたドライバーを育てることが、企業の高評価に繋がり、そのことが顧客獲得に結びつくのではないでしょうか。

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 最近タクシー会社の合併が進み、新しい社是を制定し社員教育にも力を入れている会社があります。制服・帽子の着用、挨拶の励行、自らドアの開閉等顧客に安心と快適さを提供しようと必死の努力をしていますが、月日がたつにつれてマナーが悪くなっている運転手が増えているのも事実です。

 また、ドライバーの採用を厳選し教育にも力を入れたつもりが、いつの間にか創業時の精神を忘れ、評判を落としている会社があり愕然とします。企業の論理を優先し、サービス精神が忘れられているような気がします。

 経営者の皆様は、是非創業時の精神にかえり、社員教育を徹底してもらいたいと思います。乗務員のモラルがサービスの低下につながり、顧客離れが進むと認識すべきです。

 ところで鹿児島では、昔からおもてなしのひとつとして、「茶いっぺ」の心が受け継がれています。初めて降り立った駅や空港等で笑顔の元気なあいさつがあり、お茶のおもてなしがあれば観光客は感動します。

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 現在鹿児島空港では、霧島市の観光協会が「霧島茶」のPRを兼ねてお茶の無料サービスを実施しています。観光客に好評であり、売店でお土産に買って帰る人も多いということです。鹿児島県は日本第2のお茶の産地であり、鹿児島の優れた産品に直接触れる良い機会になると思います。

 また、道中で見知らぬ人から「こんにちは」とあいさつをされて、地域の温かさに触れた経験を持った方は多いと思います。地方に行けば、このような人々によく出会いますが、地域住民の素朴な温かい気持ちが伝わります。

 ところで、会社にいるとさまざまな訪問者があり、名刺交換やあいさつする機会が多くなります。しかし、24時間ビルの安全管理に努めている守衛さんや、毎日掃除をしているビル清掃会社の方々、宅配便の集荷や届ける方などへ率先して、感謝の気持ちを込めてあいさつすることを怠っているのではないでしょうか。そのようにがんばっている人々にも、顧客と同じ目線できちんと挨拶することの大切さを感じます。

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 昼休みには保険会社のセールスレディが訪問し、パンフや雑誌等を配布していますが、契約を取るための営業の苦労が伝わってきます。その姿に接するたびに、営業活動で苦労した入社の頃が思いだされて、あいさつと励ましの言葉をかけるよう心がけています。 事前に訪問時間がわかっている団体や顧客の歓迎看板も相手の心を動かします。

 今、日本は成熟社会を迎え、モノの豊かさより心の豊かさが求められる時代となっています。また、マーケットは日々変化しており、従来の発想では生き残れません。顧客満足は当たり前であり、「感動・感激」を経験した人だけが顧客になります。自ら積極的にあいさつし、感動体験を経験した人が、相手に対して「おもてなしの心」が提供できると思います。

 鹿児島では、来年「第30回国民文化祭」が県内全市町村で開催され、全国から参加者が集まります。地域ならではの「ふだん着のおもてなしの心」が求められます。それは、まず笑顔であいさつをすることだと思います。

 また、2018年は「明治維新150周年」の節目の年です。近代日本の礎を築いた偉人の多くを、薩摩から輩出しており、そのことは大きな誇りです。

 歴史遺産、自然、伝統芸術とともに、「あいさつの励行」や「お茶いっぺの心」等鹿児島のおもてなし文化として定着させねばなりません。そのことが名実ともに「観光立県鹿児島」に求められる課題です。笑顔で「こんにちは」という何気ないその一言が、人と人の心をつなぐ「おもてなしの心」になるのではないでしょうか。

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