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No.326 激化する教育旅行誘致に求められるものとは~鹿児島ならではの体験メニューの提供を~

2014年9月1日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 8月20日と21日、東京と大阪で九州観光推進機構による九州7県合同の修学旅行誘致説明会が開催され、日本修学旅行協会、全国修学旅行研究協会、エージェント、学校関係者等各会場とも120名余の出席者がありました。


 各県が教育課程に適した体験メニュー、産業革命遺産、民泊の受入態勢等のPRを行いました。現在修学旅行の行先としては、関東地域の高校は沖縄、北海道、中学校は京都・奈良方面、関西地区の高校生は沖縄、北海道、九州、中学生は沖縄、九州が主流となっています。

 説明会では、他地域から九州へ変更した学校の取組の報告がありました。都立のJ高校は、修学旅行を「進路探索研修旅行」と位置づけ、異文化体験をメインに別府の「立命館アジア太平洋大学」を行先として北部九州を選択しています。中でも英語を活用するべく、着物着付や茶道、武道等日本の伝統的文化を紹介して、多くの留学生との交流を深め将来の進路に役立てるために、修学旅行をうまく活用していると感じました。

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 また、関西の中学校は行先を変更した要因として、九州の宿泊施設は収容力が大きくフロアー貸切等ができることから、生徒の管理がしやすいと九州の良さを語っていました。また、南九州へは集約列車が運行され、時間短縮や旅費の低廉化が図られたことも理由にあげていました。

 鹿児島への誘致策の一つとして、日程や行先に制約のない私立高校や、SSH(スーパーサイエンス・ハイスクール)の指定を受けている高校へのPRが必要と感じます。種子島や内之浦の宇宙関連施設の見学や、屋久島の世界自然遺産、奄美の島々、桜島の噴火、甑島の地形等科学、自然等に関する魅力をもっと前面に出してPRすべきと認識させられました。オンリーワンの見学地、そこでしか体験できないことが差別化となります。併せて受入体制の充実も行先変更の大きな要因となります。

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 中学校については、農・漁業体験や民泊の利用が定着しつつあります。体験メニューでは、グリーンツーリズムやブルーツーリズムの本物体験が不可欠です。最近の体験学習では、長崎県松浦、五島、壱岐や熊本県天草の御所之浦での、無人島体験、魚釣り、ペーロン競争等マリン体験も人気を博しています。

 鹿児島では垂水市漁協の餌やりやカンパチのさばき方体験が人気となっています。直接生き物に触れることができることが好評であり、県内で地引網や定置網漁などの体験できる新たな場所を開発しなければなりません。 25年度から修学旅行の集約列車が運行され、関西地域から南九州を行先に選ぶ学校が増えています。

 一方学校側からは乗り換えなしの直通運行や、更なる時間の短縮等の要望が出ました。JR西日本、JR九州さんの協力が不可欠であり、引き続き要望していきたいと思います。

 先日鹿児島市内で、関係者による「体験学習メニュー意見交換会」を開催しました。本年度から鹿児島への修学旅行を実施している姫路市のH中学校の先生に南九州の魅力を語ってもらいました。

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 先生によると、「知覧での平和学習」、「球磨川でのラフティング」、「出水の民泊」が生徒たちに好評であり、特に多くの生徒の印象では、民泊のおもてなしが良かったと言ううれしい報告もありました。今後は鹿児島市での街歩きや桜島の見学等も検討したいとも語りました。

 修学旅行の誘致競争は激化していますが、学生さんと農家との感動的な触れ合い、体験をいかに多くつくることができるかが、今後の定着に向けての課題です。南さつま地域からスタートした農家民泊は、25年度は県下全域に広がり(一部離島を除く)、教育旅行の取扱が2万人を超えました。1泊2日の滞在期間、野菜や果物の収穫、家畜の世話など、日頃農家の方が行っている仕事の体験と民泊が子供達に感動を与えています。直接土に触れることが生徒たちの心を動かします。

 日頃食べているものがどのような自然環境で育ち、日々の手入れはどのようにしているのか、また収穫されたものがどのようなルートで食卓に届いているのかを肌で感じることができ、食の大切さを理解する機会になるのではないかと思います。

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 ところで民泊については過去何回も述べていますが、旅館業法で決められた「簡易宿所営業許可」を取得することが、不可欠となっています。先進地の安心院、最近脚光を浴びている宮崎県小林地域は100%取得しています。

 旅館経営者の方々は、厳しい経済環境の中で耐震対策に取り組んでいます。農家の「簡易宿所営業許可」取得も、地域ぐるみで推進しなければなりません。

 大阪での説明会で、鹿児島を民泊地に選んだ学校の先生は、宿泊箇所がクラスごとに離れすぎて、打ち合わせが十分でできなかったと改善策を求めていました。せっかく良い体験ができたのに不満を残す結果となりました。コンプライアンスの徹底は、教育現場では特に大切なことと思います。早急な対策が急がれます。

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 ところで鹿児島県は、豊かな自然と多彩な観光資源に恵まれており、中でも農業産出額も北海道、千葉県に次いで第3位で、農業は鹿児島の経済を支えている基幹産業です。 (平成23年県勢概況統計)


 これから日本は人口減少が顕著となり、農業従事者も高齢化が進み農村地域の発展は厳しいものがあります。若い世代の就農者を増やすことは厳しいことですが、都会からの交流人口を増やし、農村地域の維持・発展をめざす取組強化が求められます。

No.325 スポーツ・ツーリズムの推進でかごしまの活性化を~スポーツ庁、来年度創設へ~

2014年8月25日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 オリンピック開催やスポーツ競技振興などスポーツ行政を一元的に推進する新たな組織として、スポーツ庁を2015年度創設することが明らかになりました。2010年に、国土交通省の外局として観光庁が発足して以来の庁の創設です。現在日本のスポーツ行政は、文部科学省が管轄し、各スポーツ団体が大会や運営や選手育成を行っていますが、専門の庁の創設で国家レベルでのスポーツ振興が期待されます。


 将来のオリンピック選手の発掘や育成に対する予算が大幅に増えることが期待されます。また、東京オリンピックに向けて金メダル獲得が期待できる競技やチームには、選手の海外遠征や合宿等に更なる強化策が推進されるものと思います。国内ではキャンプ地誘致競争が激化するのではないかと思います。

 昨年9月に2020年の東京オリンピック開催が決定し、スポーツ庁の創設は時期を得たものと言えます。子供から大人までスポーツに親しみ、裾野を広げることで地域活性化につながります。国体、インターハイ、中体連等の全国レベルの大会や、各種目別の大会等には一度に多くの選手が集まり、宿泊・観光施設、食事店、運輸機関等を利用することから経済的に大きなメリットがあります。

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 一方、スポーツ観戦ツアーは交流人口の拡大が図られることから経済効果も大きいものがあります。今年ブラジルで開催されたFIFAアールドカップサッカーには、多くの日本人サポーターが遠路ブラジルまで応援に行きました。プロの選手はオフ時期には体力づくりも兼ねて、秋季、春季のキャンプを行っており、しかも長期間に滞在します。

 県ではプロや学生のスポーツキャンプ・合宿誘致に力を入れており、福岡、関西地域でセミナー等を開催してきました。2013年度に県内でスポーツキャンプ・合宿を実施した県外の団体は1169団体、述べ人員は13万1404人で、ともに過去最高を記録しました。

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 学生のスポーツ等の合宿は、関西地域からの志布志港までの「さんふらわあ」利用が多く、市町村の補助金制度の充実もあり、今後も伸びが期待できます。プロと違って合宿地として選ばれる条件としては、練習時間の確保や学生が夜懇談できるスペースを提供することが求められます。

 今後は、国内外のプロチームのキャンプ・合宿や、知名度の高い競技・選手のキャンプをいかに誘致できるかが課題です。プロ野球の多くのチームは、沖縄でのキャンプが定着しています。プロサッカーチームは、宮崎でのキャンプが大半です。

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 プロサッカーチームがキャンプ地を選ぶ最大の要因は、天然の冬芝のグランドが整備されていることです。県内では、鹿児島市、指宿市、霧島市、南さつま市、さつま町しか天然冬芝のグランドがなく、キャンプできるチーム数が限られるのが現状です。


 2019年にはインターハイ、2020年には国体が開催されます。大会に照準を合わせてグランド整備が待たれます。大隅地域にある有明高校跡地に、トップアスリート専用の練習場が開設される予定です。宿泊施設の整備や鹿屋体育大学等との連携も求められます。奄美大島や徳之島では、プロ野球の合宿やマラソン選手の合宿が行われてきました。新たに成田空港からの定期便も就航しました。冬場の温暖な気候を活かし、他のスポーツキャンプの誘致も不可欠です。

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 ところで6月のワールドカップの事前合宿地に指宿が選ばれ、多くの報道陣が訪れました。観光客に加えて、選手の練習風景を見に多くのサポーターが指宿を訪れたことから、鹿児島市内の宿まで波及効果がありました。


 今までのオリンピックに参加する日本の野球チームの事前合宿地は、宮崎が選ばれていました。合宿期間中は、宮崎市内の宿が満員となり、霧島温泉に泊まる関係者が多くありました。

 東京オリンピックで関連では、大会までの合宿誘致合戦がスタートします。隣県の宮崎県は、早くから官民で組織された「スポーツランドみやざき推進協議会」がありますが、2013年度で約17万人のスポーツキャンプ・合宿を受け入れています。その組織の中に、「東京五輪おもてなし部会」が設置され、日本代表クラスや海外チームを受け入れる体制を整えました。

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 県内各地には温泉が湧き、トレーニング強化や練習後の疲労回復にも好環境が整っています。また、鹿児島県は日本第4位の農業県であり黒牛、黒豚、黒さつま鶏、魚、野菜等食材に恵まれ、選手の体力づくりにも最適です。

 東京オリンピックまで6年、2020年には鹿児島で国体も開かれます。県の組織として「国体準備課」が設置されました。スポーツ庁が創設されると、各スポーツ団体の組織強化や本庁との連携が強く求められます。

 東京オリンピックというビッグイベントを契機に、鹿児島からもオリンピック選手を輩出し、観光客誘致も図らねばなりません。国体での実施競技誘致に名乗りを上げている市町村は、開催競技に対する住民の意識付けも必要です。鹿児島市内では、フルマラソンの開催も知名度アップになります。

 温暖な気候と豊富な温泉、豊かな農業・水産業がもたらす食材、温かいおもてなしの心を持つ県民性等は、スポーツ選手に好印象をもたらすものと思います。鹿児島が誇る優位性を活かし、スポーツ庁創設を機にスポーツ・ツーリズムの推進を図り、かごしまの活性化に結び付けたいものです。

No.324 放置するとサービスは低きに流れる~創業の精神を忘れずに~

2014年8月18日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

      夏草や      兵(つわもの)どもが     夢の跡
      五月雨の     降りのこしてや   光堂
*1689年、松尾芭蕉が平泉の中尊寺を訪ねた時に詠んだ句です。
*光堂は中尊寺の金色堂のこと

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 先日、東北3県を旅する機会がありました。鹿児島からですと答えると、行く先々で「遠い所わざわざお越しくださりありがとうございます」と丁寧なあいさつを受け、清々しい気持ちになりました。旅の良し悪しは、地域に住む人々の印象だとあらためて感じました。

 観光客誘致の仕事を通じて日本全国を訪ねる機会が多く、また、タクシーに乗る機会も多くあります。初めての土地では駅前から目的地までタクシーを利用しますが、いつも不安と期待を抱えながら乗車します。目的地を告げると、不機嫌な態度を見せる運転手に遭遇することがよくあるからです。

 駅構内のタクシーは、観光地巡りや遠方までの客を待っている場合が多く、近距離は嫌がられます。しかし遠来の客は初めて訪れる場所では、地理に不案内なためタクシーに乗るのであり、親切な対応があれば、翌日の観光にそのタクシーを利用するかもしれません。第一印象が翌日の仕事に結びつくこともあります。

 鹿児島でも近距離乗車を嫌がり、口も利かない運転手に何回も会っています。友人の一人は駅前からのタクシーは避けて、ちょっと歩いて市中のタクシーを利用すると話していました。 「近くても遠慮なくお乗りください。」と快く声をかけてくれる運転手はまだまだ少数で、マナーに優れたドライバーを育てることが、企業の高評価に繋がり、そのことが顧客獲得に結びつくのではないでしょうか。

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 最近タクシー会社の合併が進み、新しい社是を制定し社員教育にも力を入れている会社があります。制服・帽子の着用、挨拶の励行、自らドアの開閉等顧客に安心と快適さを提供しようと必死の努力をしていますが、月日がたつにつれてマナーが悪くなっている運転手が増えているのも事実です。

 また、ドライバーの採用を厳選し教育にも力を入れたつもりが、いつの間にか創業時の精神を忘れ、評判を落としている会社があり愕然とします。企業の論理を優先し、サービス精神が忘れられているような気がします。

 経営者の皆様は、是非創業時の精神にかえり、社員教育を徹底してもらいたいと思います。乗務員のモラルがサービスの低下につながり、顧客離れが進むと認識すべきです。

 ところで鹿児島では、昔からおもてなしのひとつとして、「茶いっぺ」の心が受け継がれています。初めて降り立った駅や空港等で笑顔の元気なあいさつがあり、お茶のおもてなしがあれば観光客は感動します。

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 現在鹿児島空港では、霧島市の観光協会が「霧島茶」のPRを兼ねてお茶の無料サービスを実施しています。観光客に好評であり、売店でお土産に買って帰る人も多いということです。鹿児島県は日本第2のお茶の産地であり、鹿児島の優れた産品に直接触れる良い機会になると思います。

 また、道中で見知らぬ人から「こんにちは」とあいさつをされて、地域の温かさに触れた経験を持った方は多いと思います。地方に行けば、このような人々によく出会いますが、地域住民の素朴な温かい気持ちが伝わります。

 ところで、会社にいるとさまざまな訪問者があり、名刺交換やあいさつする機会が多くなります。しかし、24時間ビルの安全管理に努めている守衛さんや、毎日掃除をしているビル清掃会社の方々、宅配便の集荷や届ける方などへ率先して、感謝の気持ちを込めてあいさつすることを怠っているのではないでしょうか。そのようにがんばっている人々にも、顧客と同じ目線できちんと挨拶することの大切さを感じます。

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 昼休みには保険会社のセールスレディが訪問し、パンフや雑誌等を配布していますが、契約を取るための営業の苦労が伝わってきます。その姿に接するたびに、営業活動で苦労した入社の頃が思いだされて、あいさつと励ましの言葉をかけるよう心がけています。 事前に訪問時間がわかっている団体や顧客の歓迎看板も相手の心を動かします。

 今、日本は成熟社会を迎え、モノの豊かさより心の豊かさが求められる時代となっています。また、マーケットは日々変化しており、従来の発想では生き残れません。顧客満足は当たり前であり、「感動・感激」を経験した人だけが顧客になります。自ら積極的にあいさつし、感動体験を経験した人が、相手に対して「おもてなしの心」が提供できると思います。

 鹿児島では、来年「第30回国民文化祭」が県内全市町村で開催され、全国から参加者が集まります。地域ならではの「ふだん着のおもてなしの心」が求められます。それは、まず笑顔であいさつをすることだと思います。

 また、2018年は「明治維新150周年」の節目の年です。近代日本の礎を築いた偉人の多くを、薩摩から輩出しており、そのことは大きな誇りです。

 歴史遺産、自然、伝統芸術とともに、「あいさつの励行」や「お茶いっぺの心」等鹿児島のおもてなし文化として定着させねばなりません。そのことが名実ともに「観光立県鹿児島」に求められる課題です。笑顔で「こんにちは」という何気ないその一言が、人と人の心をつなぐ「おもてなしの心」になるのではないでしょうか。

No.323 命の尊さを誰が教えるか~お盆は家族の絆を深める機会に~ 

2014年8月11日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 佐世保市で女子高校生が同級生を殺害し、しかも遺体を切断するという痛ましい事件が発生しました。佐世保市では10年前に小学生による同級生の殺人事件が発生し、「心の教育」に力を入れてきただけに、関係者の衝撃は計り知れないものがあります。16歳のクラスメイトで、日頃から仲も良かったということで、生徒さん方のショックも大きいと思います。再発防止に向けて家庭、学校、地域、自治体をあげて取り組まねばなりません。

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 ところでお盆を故郷で過ごすため、今年も国民の大移動が始まりました。一昔前まではお盆と正月は切符が取りにくい状況でしたが、飛行機、新幹線、フェリー、高速道路等の充実により特定日を除けば、帰省には問題がなくなりつつあります。また、LCC等の就航により、運賃の安い時期を選んで、故郷に帰る人も多くなっているのも事実です。

 お盆は、太陰太陽暦である和暦の7月15日を中心に日本で行われる祖先の霊を祀る一連の行事です。現在では、8月中旬(新暦8月15日、月遅れの盆)を「お盆」と称するため、「お盆」というと月遅れのお盆を指すことが全国的になっています。また、人が亡くなり49日法要が終わって最初に迎えるお盆は初盆と呼ばれて、厚く供養する風習があり多くの人が集まります。

 お盆には全国的にはさまざまな風習がありますが、比較的どこの家庭でも行われているのは、12日の夕刻に行う「迎え火」と15日と16日の「送り火」です。京都では「五山の送り火」が、奈良では「高円山大文字送り火」が行われます。長崎では「精霊流し」が行われ、多くの観光客が訪れます。

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 月遅れのお盆の時期とはずれますが、お盆に関連する行事としては、「富山市八尾町の越中おわら風の盆」、「岐阜県の郡上おどり」、「徳島県の阿波踊り」、などが有名ですが、団地や町内会単位での盆踊り大会も各地で定着しています。


 都会で育った子供にとって、先祖の墓は田舎にあることが多く、頻繁に訪れることはできません。夏休みは子供たちを始め兄弟、祖父、祖母、親戚等が集まりやすく祖先のお墓参りをする良い機会となります。墓前に手を合わせる機会をつくってあげることは、大人の責任であると考えます。

 先祖の名前が刻まれた墓前に静かに手を合わせ、お祈りすることで、家系のルーツを確認する場となり、自分の命は先祖から長く引き継がれているものであると知る機会となります。最近親子、同級生、友人等による悲しい殺人事件や簡単に人を傷つけるニュースを聞くたびに、命の大切さを教える機会を大切にしなければなりません。

 身内で営まれる葬儀、告別式には子供たちは積極的に参加させるべきだと思います。厳粛な雰囲気、悲しみに耐える家族、友人たち、また、最後の別れのシーンなど会場全体を包みこむ「生と死の尊厳」を身をもって感ずると思います。人の死がどんなに悲しいものなのか、直接ふれさせていかねばなりません。冠婚葬祭は子供が、人生の悲しみや喜びを素直に受け入れることができる機会ととらえねばなりません。

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 ところで鹿児島県は一人あたりの生花の消費量が、日本一です。その要因は定期的にお墓参りに行き、その度に新しいお花を購入しお供えする習慣があるからです。嫁ぎ先では姑さんが、先祖とお墓参りの大切さをお嫁さんに教えており、そのことが日々の生活の中で習慣として定着しています。

 先日訪ねた指宿市鰻池集落のおばあちゃんは、1日3回墓参りに行って、水換えを行っていると語ってくれました。

 鹿児島市内にある南州墓地は、明治10(1877)年の西南戦争で戦死した西郷隆盛をはじめ西郷軍の人々が祀られ、749基の墓石があり2023名が眠っています。観光に訪れた記念に参拝する人も多く、線香の煙が絶えません。

 観光バスが南薩地域に行くと、バスガイドさんが沿線のお墓を指差して、日々の手入れや参拝の習慣を説明してくれます。観光客は花の新鮮さとともに、先祖を大事にする地域の伝統文化の尊さに感激します。

 先日友人を桜島に案内した折、屋根付のお墓が多いのにも感激していました。降灰から先祖の霊を守る大切さが示されていると言っていました。

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 東北大震災では、多くの方が家族を亡くされて「家族の絆」とういう言葉が、より大切にされるようになりました。少子高齢化が進む日本ですが、日頃会えない親戚や家族との交流の大切さが、今、問われています。

 お盆は人の命の尊さを認識する良い機会です。今年もお盆に里帰りし、祖先の墓に線香とお花を供えて、元気で生かされている自分の感謝の気持ちを伝えたいと思います。

         閑さや   巖にしみいる   蝉の声    ~松尾芭蕉~

 1689年7月13日出羽国(現在の山形市)の立石寺を参詣した際詠んだ発句です。猛暑が続きます。ご自愛ください。

No.322 観光地の環境保護・美化を保つために~マナーを守り守らせる取組が大切~ 

2014年8月4日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 眼前に錦江湾と活火山桜島がそびえる鹿児島市は、世界に類のない美しい都市であり、多くの観光客を魅了してやまない九州本土最南端の県都です。天保山公園から海釣り公園までの海岸線は、夕方になると、夕陽に映える桜島が美しく見られます。奄美・沖縄航路の船が18時に鹿児島新港を出港する時間と重なり、青い海を白い船体がすべるように錦江湾を駆け抜けていきます。

 天保山公園は薩英戦争の際、口火を切った砲台が設置された場所で、その面影を残す砲台跡が美しい松林の中にあり、記念碑が残されています。今夏休みの期間ですが、公園では早朝からラジオ体操をする元気な子供たちの姿が見られます。

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 また、甲突川の河口は、慶応2年(1866年)に坂本龍馬が鹿児島入りした頃には、軍港としても利用されていました。公園近くの太陽橋のたもとに、龍馬とお龍の新婚旅行を記念した夫婦の像が建てられています。銅像は鹿児島中央駅広場にある薩摩藩英国留学生をモデルに造られた「若き薩摩の群像」の製作者、中村晋也氏の手によるものです。



 薩摩藩の財政改革を断行した調所広郷の像も近くにあります。市内には日本の近代化に尽くした偉人の像が100以上建立されており、そこを巡るだけでも観光鹿児島の魅力が理解できるのではないでしょうか。

 作家として、またテレビの脚本家として知られた向田邦子さんは、父の転勤で小学3年生から4年生まで鹿児島で過しています。天保山公園一帯はかつて美しい砂浜が広がり、よく海水浴をしたと「父の詫び状」の中で書いています。「故郷の山や河を持たない東京生まれの自分にとって、鹿児島はなつかしい「故郷もどき」なのである」と愛し、生前はよく鹿児島を訪れています。

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 私は、錦江湾を行き交う客船や時々噴煙を上げる桜島を見ながら、天保山公園から海沿いの道をウォーキングするのを楽しみにしています。のんびりと釣り竿を垂れる人も多く、市内中心部に格好の漁場があるのも鹿児島の良さです。もっと錦江湾の良さをPRし、滞在に繋げる必要があります。


 温泉、歴史、食、自然、マリンスポーツ等泊りたくなる魅力が揃っている街に住んでいることをいつも誇りに思っています。

 ところで最近ウォーキングしていると、景観を損なう光景に遭遇します。海岸の至る所に犬の糞がそのままになっているのを見かけます。早朝や夕暮れに散歩させる人が、そのままにして犬のフンの処理をしないのでしょう。

 誰か気づいたのか橋のたもとに張り紙がありました。「犬のフンの後始末をちゃんとしてください。処理できない人は飼主としての資格がありません」と。犬の散歩には、小さなスコップと袋を持参するのが当たり前です。衛生上も悪く、通行人が誤って踏んでしまうことがあります。また、食べた後の弁当箱、空き缶、ペットポトルが無造作に投げ捨てられています。観光地鹿児島のモラルが問われます。

 このように最近マナーを守らない人をよく見かけます。車の助手席から平気で火のついたたばこを捨てる若い女性、ガムをそのまま吐き捨てる中年男性、帰りの空港バスが混んでいるのに、座席に荷物を置いて他人を座れないようにしている若者、満員電車の中で、人に聞こえるぐらいボリュームを大きくして音楽プレーヤーを聞いている学生、お年寄りに席を譲らない人等枚挙にいとまがないほどマナーの低下が見られます。

 家庭での躾が第一と考えますが、日々の生活の中で気付いた人が注意すべきではないでしょうか。

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 先日バスの中で席を一人占めにした学生を注意したら、素直に席を詰めてくれました。にらみ返す若者もいますが、ほとんど聞き入れてくれます。皆さんが軋轢を恐れて注意しないケースが多いのではないでしょうか。

 また、バスや電車に乗ると、「荷物は膝に置き、お互いに席を譲り合い座りましょう」、「体の不自由な方には席を譲りましょう」という案内が流れます。テープの案内では心が通じません。運転手自ら言葉で語ることが、乗客の心を動かします。

 定期的にボランティア活動の一環として、市内の観光地の清掃活動が実施されますが、残念ながらいつも膨大なゴミが回収されます。 美しい海岸として有名なホノルルの浜辺は、早朝に多くの人の手で清掃活動が行われていることは、意外と観光客には知られていません。昼間でもほとんどゴミを見かけません。 

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 鹿児島市内では外国人の個人旅行の人が多くなっています。四季折々の花の植栽を増やし、外国語表記を充実させることが、美しい落ち着いた街の印象となります。景観を守ることは、市民にも課せられた使命です。


 これから県内各地で、花火大会や夏祭りが開催されます。ゴミは自分でも持ち帰ることが原則です。そのことが地域の環境美化につながります。きれいに掃除されたところには、人はゴミを捨てません。お互い住みやすい環境を守ることを大切にし、美しい観光地として維持していくことの大切さを醸成したいものです。

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観光プロデューサー
奈良迫 英光
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