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No.320 日頃の取組みが生み出すおもてなしの心~指宿商業高校の善行に感謝~

2014年7月22日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

          何となく 汽車に乗りたく 思ひしのみ
                   汽車を下りしに ゆくところなし ~石川啄木~

 6月21日指宿・枕崎線でJR九州の「指宿のたまて箱」が、崖崩れで発生した土壌に乗り上げ、脱線事故を起こしました。現場は、けが人が出ており一時の余裕もありませんでした。

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 その時、現場近くにある指宿商業高校が乗客の避難場所となり、生徒さん達が献身的に乗客の保護にあたりました。疲れた乗客にタオルや温かいお茶を振る舞い、汽車から荷物を運ぶなど、生徒さんたちは雨に濡れながらの行動を惜しみませんでした。

 数人が入院することになりましたが、その後全員退院されたとのことです。折角の鹿児島への旅行が不慮の事故で残念な結果となりましたが、生徒さん方の善意のおもてなしは通じたものと思います。

 運休となっていた「指宿のたまて箱」は12日から再開されました。予約率が80%を超える人気の列車であり、夏休みを前に運行再開されたことにほっとしています。

 ところで事故の際乗客のケアに当たった指宿商業高校の生徒さんが、地元指宿警察署から善行少年として表彰されました。雨の中生徒さんが取ったとっさの行動は、日頃から地域で育まれた「おもてなしの心」の賜物と思います。

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 学校周辺の今和泉地区は、NHKの大河ドラマ「篤姫」のゆかりの地として、放映時は多くの観光客が訪れました。その際、近くの今和泉小学校や指宿商業高校の生徒さんたちが、観光バスに手を振ったり、頭を下げるなどそのおもてなしの心が話題となりました。今でも今和泉駅構内には「篤姫ガイド」の事務所があり、ゆかりの地を訪ねてくる観光客に対し、温かいおもてなしで案内をしています。

 指宿市役所の職員の皆さまは、昼休みには近くを走る「指宿のたまて箱」に手を振って観光客を歓迎しています。その様子はテレビのナニコレ「珍百景」でも話題となりました。

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 指宿は全国に知られた温泉地であり、観光業界紙の温泉地人気投票では常にトップ10に入っています。「菜の花マラソン」、「菜の花マーチ」は多くの市民ボランティアが大会を支えています。市民、観光協会、各施設等の観光客への対応や、日頃のおもてなしの心がとっさの事故発生時でも自然な行動として現れたのではないでしょうか。

 県と観光連盟では、拠点地域から周辺市町村へ観光客が行きやすいルートづくりを進めています。「温かいおもてなしの心」も引き継いでいけたらと思います。

 ところで、今年は県内で大きなイベントやコンベンションも少なく前半から苦戦が予想されていました。九州新幹線全線開業から4年目に入り観光客の流れに少し蔭りも見られます。

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 外国人は台湾、香港を中心に順調に伸びていますが、九州各県と比べると福岡、長崎、熊本、大分に大きく離されています。北海道や東京、大阪等などは外国人受入のホテル、観光バス等の不足が深刻ですが、鹿児島は、修学旅行シーズンを除くとまだ対応可能ではないかと思います。外国人誘客にはもっと力を注がねばなりません。

 ところで、観光客に対するおもてなしは、最初に降り立つのが駅や空港であり、そこでの第一印象がその地域の印象となります。案内所、タクシー、電車、バス、街の人等の接遇の大切さが問われていますが、観光客から温かい評価の言葉を頂いています。

 その事例をいくつか紹介します。
・ホテルから乗車しましたが、「駅まで近くて申し訳ないです」と言うと、「タクシー代は620円ですが、5分で620円もらえる仕事がどこにありますか、これからも遠慮なくお乗りください」と運転手に言われ、涙が出るほどうれしく鹿児島の旅の印象が爽やかであった。
・タクシーを事前に予約しておいたが、時間に余裕があることを伝えるとルート以外の場所も追加料金を取らず案内してくれた。
・メイドさんが夕食時の食材について、育て方や料理の方法について細かく説明してくれた。美味しかったのでお土産に買って帰った。
・出発の際、主人の靴がきれいに磨いてあり、旅先で初めての経験で嬉しかった。旅館の細かい心配りに感心した。日本の旅館文化を再認識した。
・初めての鹿児島であったが、案内窓口で観光地への交通、郷土料理店、お土産等について地図を広げながら親切に説明してくれた。笑顔が素敵であった。
・ガイドブックを持って調べていたら、どこかをお探しですかと聞かれた。親切に教えてくれて、その場所までわざわざ案内してくれた。鹿児島の人は親切である。
・空港に着いたら温かい湯茶のサービスがあり驚きと感激で一杯でした。鹿児島のお茶が美味しく有名とは知らなかった。帰りにお土産に買い求めた。

 鹿児島には「心温まるおもてなしの心」を実践する人がたくさんいらっしゃることは、うれしい限りです。

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 自ら地域を愛し、語れる人が増えることが鹿児島のPRにつながります。そのためには、日頃から地域を回り、歴史、食、温泉、特産品、観光施設、観光ルートを知ることです。また、「地域の旬の情報」や滞在したときの「時間」の過ごし方を広くPRすることが必要です。

 「そこに行ってそこのものを食べたい」、「もう一度鹿児島のあの人に会いたい」、と言われるような地域や人を増やすことが求められます。  

 鹿児島の観光は、従来の「鹿児島市内」、「指宿地域」、「霧島地域」から少しずつではありますが、広がりが見られます。拠点地域と連携し、リピーターの誘客や新たな需要開拓が持続できる観光地に繋がります。

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 観光地の最終的な評価は人です。そして、県民一人ひとりが観光客を温かく、親切に迎える「おもてなし先進県鹿児島づくり」を実践して欲しいと感じます。今回の指宿商業高校の生徒さんの行動に学ぶべきことが多いのではないでしょうか。


          夏帽の へこみやすきを 膝にのせて
                わが放浪は バスになじみき  ~寺山修司~

No.319 かごしま黒豚の魅力とは~消費者へのコト化が需要拡大に~

2014年7月14日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 週末になるとガイドブックを持った観光客が、ある飲食店の前に列を作っている姿見られます。店の看板を見ると黒豚の店の表示があります。観光客が黒豚の美味しさを聞きつけて、並んでまで食べたいメニューになっているのではないでしょうか。


 鹿児島の養豚の歴史は、今から400年前の江戸時代に島津家18代当主・家久により鹿児島の地に移入されたことが始まりとされています。鹿児島の豚の美味しさが全国的に知られるようになったのは、幕末から明治にかけて外交問題の重鎮であった水戸藩主徳川斉昭をして「いかにも珍味、滋味あり、コクあり、なによりも精がつく」と言わしめました。また、西郷隆盛も豚肉をこよなく愛したといわれています。

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 農林水産省がまとめた2014年畜産統計によると、県内の養豚農家は637戸で前年 から29戸減りましたが、飼育頭数は全国で最も多い133万2千頭で、全国1位となっています。


 黒豚が普通の豚と違う点について下記のように説明しています。
①体毛は黒色で四肢、鼻梁、尾端の6箇所に白斑がある。一般に"六白"(ろっぱく)と呼ばれます。
②体質は強健で、資料の利用性に優れているものの、大型種に比べると産子数が少なく成長が遅い。
③肉は繊維が細かくやわらかい。
④肉は光沢と弾力に富み、保水性が高く肉がよくしまっている。
⑤脂肪の融ける温度が高く、べとつかず、さっぱりしている。
⑥うまみを引き出すアミノ酸の含有量が多いため、美味しく特有の小味がある。
⑦肉の臭みがない。
このように、かごしま黒豚には他の豚にない特徴があります。
                    ~鹿児島県黒豚生産者協議会HPより~

 かごしま黒豚は県ブランド産地指定基準(抜粋)で以下のとおり定められています。
①会員は黒豚生産者協議会の会員であり、出荷豚は、県内で生産・飼育・出荷されたもの である。
②肥育は肥育後期60日以上、甘藷を10%~20%添加した飼料を給与すること。概ね230~270日齢で出荷していること。
③品質については枝肉重量65~80kg、背脂肪の厚さ1.3cm以上(価格規格「上」 以上)。また、枝肉品質のチェック体制が整備できていること。 品質表示について、「かごしま黒豚証明書」を出荷時に届出業者が確実に添付できること。
④生産系列については届出業者を通じて、年間1,000頭以上出荷できること。
⑤流通体制については、届出業者を通じて流通したかごしま黒豚証明書を販売店・料理店から8割以上回収できること。

 かごしま黒豚は、かごしまブランドとして認証されており、徹底管理の流通体制が確立していると言えます。

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 観光客が鹿児島を訪れたら、かごしま黒豚を食べるということが、合言葉になるようファンを増やしていかねばなりません。黒豚の魅力をいかに伝えるか、プライオリティを発揮できる食材であることを、県民ももっと知る必要があります。


 課題として
①県民に黒豚のルーツを理解させる取組が必要です。飼料、肉質、料理の方法等理解している人は少ないと感じます。
②黒豚が"六白"であることが認知させるためには、黒豚を買った客に簡単な説明書を配ることで、そのルーツが浸透していくのではないでしょうか
③かつてJR九州のCMで「黒豚横丁」というネーミングが話題となりました。黒豚店がずらりと並ぶ飲食店街は存在しませんが、その言葉が黒豚の魅力発信になったと思います。新たなインパクトのあるキャッチコピーが必要ではないかと思います。
④最後に消費の主役は女性です。女性の意見を吸収し,レシピ等を作成し家庭での消費拡 大を図ることが、波及効果をもたらします。今の消費者ニーズは、希少性と地域性です。メディア戦略を常に意識して、イベントの開催、記事広告、試食等の展開が不可欠です。

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 県外観光客には、黒豚を食べた後に簡単な説明書を配布することも求められます。また、調理人の語りが印象に残るのではないでしょうか。あるとんかつ専門店では、店長自ら調味料の使い方、食べ方を観光客に教えているのが印象的です。

 香港や台湾、タイ等富裕層の観光客が増加しており、多言語のPRも必要です。千歳空港では、カニやジンギスカン肉を買う観光客が見られますが、鹿児島空港や鹿児島中央駅でも、黒豚の肉をお土産に買うお客様を増やさねばなりません。

 消費者のシニア化でプレミアム商品が売れています。黒豚は飼育から販売までチェック体制が厳しく、選ばれた肉であるというこだわり(コト化)が重要です。観光客だけでなく県民にも需要拡大を図ることが、生産意欲にもつながるのではないでしょうか。 

No.318 元気な街づくりをめざして~魅力ある生活の場作りが必要~

2014年7月7日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 日本の人口は2050年には1億人を割り込み、鹿児島県の人口も2040年には、130万人に減少し、消滅する町が発生する等、地域経済に大きな影響が出てくることが予想されます。かつて、近郊から買物客が押し寄せて、街に人があふれていましたが、シャッターが降りたままの商店街が増加しています。

 駅前や郊外に大型ショッピングセンターができ、無料の大きな駐車場があることなど、利便性も高まり、中心部から客足が次第に遠ざかっています。また、中心市街地を通っていた車も、バイパスができ空洞化に拍車がかかっています。道路が整備されることは良いことですが、一方では負の遺産も生み出しています。

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 運動施設や音楽ホール等、公的施設が郊外に移転し、中心市街地に多くの人を呼ぶことは、たやすいことではありません。観光地においても、大型バスの姿が少なくなり、レンタカーやマイカーの数が増えて、個人旅行の流れが如実に表れています。個人のニーズにいかに応えられるかが課題となっています。



 ところで私たちが、住居を選択する条件として
(1) 都市の中心街に住みたい理由は、
①医療機関や公的施設が近くにあり、緊急時を想定すると安心して暮らせる。
②日常の買い物が一度にでき、外食や映画館や音楽ホール等アミューズメント施設があり、気軽に行くことができる。交通アクセスが整っている。
③同じ建物の中にコンビニや病院があり、移動が少なく事が済ませることができる。
④高層マンションが増え、セキュリティが整っている。

(2)郊外に住みたい理由は、
①住宅や駐車場が広く取れ、近くに田園地帯や川があり、自然の美しさを楽しむことができる。
②公園や緑地が多く子育ての環境が整っている。健康的に過ごせる。
③近くに大型ショッピングセンターがあり、買い物等に事欠かない。
④地域コミュニティが確立しており、緊急時の協力態勢が確立している。
ことなどです。

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 人が集まる地域の魅力とはなんでしょうか。やはり日常生活に「魅力ある生活の場」が確保されることではないかと思います。多様なニーズに応える生活空間の創造が必要であり、子育て世帯や高齢者のための利便性の確保も求められます。


 そのためには、
①現代の井戸端会議ができる環境づくりが必要です。お年寄りサロン、よろず相談所など気軽に集まる憩いの場所があることです。
②遊戯の楽しめる場を提供し、子供の遊べる器具が整っている。ファッション性の あるステージがあり、若者の熱気を吸収できる施設がある。
③市街地の近くには、安価な駐車場があり、気軽に行ける地域となっている。また、外国人も楽しむことができる環境整備が必要であり、外国語表記やWiFiが使用できることです。
④病気になっても近くの病院から、大型病院への連携がスムーズにできる体制が整っている。
ことなどです。

 集客力を高めるためには、賑わいの創出が不可欠です。
①住民が参加できる場が必要であり、若者や子供が参画できるイベントが必要です。
②もの創りを楽しむ工房があり、カフェや小物の販売店が点在している。
③中心地に小川や水辺を取り入れ、花の回遊路やライトアップで夜も楽しめる演出 がある。
④平日は文化・芸能人を、休日は近隣の住民の参加型イベントを開催することが、よ り有効的な集客ができるのではないでしょうか。
⑤地域の祭りや県内で採れた農水産物の定期的市が開かれる。

 最後に、これからの地域づくりには、
①シングル世代や夫婦のみの家庭が多くなることから、商品提供の工夫が必要になっています。商品を小分けして、買いやすく、購買の機会を増やすことで売上増に繋げる必要があります。
②地域活性化には、循環型経済の確立が重要であり、農・商・工連携を活かした店舗の品揃えが求められています。原産品を加工し、調味料や菓子等オンリーワンの商品として価値を上げることが重要です。消費の主役は女性であり、女性を呼び込む仕掛けが必要です。
③地域にあるものに誇りを持ち、自らの思いを語れる人材の発掘と地域をコーディネートす る人材が不可欠です。

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 全国的にみて、元気な街として、高松市の丸亀商店街、長野県の小布施町、大分県豊後高田市、兵庫県豊岡市城崎等が脚光を浴びています。新規開発ではなく、既存の建物を活用した街の再生に取り組んでいる地域です。レトロ感覚のものは残し、地域資源を磨きあげることで、商店街が復活しています。

 今後は市街地と郊外をつなぎ、双方が栄える街づくりが必要ではないかと思います。最後に日本の人口は確実に減少していくため、交流人口の増大が不可欠です。交流人口を増やすには、「楽しい地域ならではの生活の場」が感じられる街づくりではないかと思います。日本の原風景を取り戻し、地域住民が生き生きと暮らせる場づくりが求められています。
       参考:実践!田舎力 小さくても経済が回る5つの方法:金丸弘美著
          中心市街地の成功方程式:細野助博著

No.317 JR九州「鹿児島VS大分」キャンペーンの展開~他県の良さを学ぶ機会に~

2014年6月30日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 温泉の源泉数・湧出量ともに圧倒的に全国1位を誇るのが大分県ですが、鹿児島県も源泉数第2位、湧出量第3位と全国指折りの温泉県です。

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 JR九州は、温泉、豊富な食材、おもてなし等両県の観光素材を対比することで、より両県の良さを発見していただこうと、「鹿児島VS大分」のキャンペーンを、2014年10月1日~2015年3月31日まで展開します。両県の同様なキャンペーンは平成17年10月1日~平成18年3月31日に行われており、今回が2度目の対決です。平成19年から平成20年の同期間には、「鹿児島VS佐賀」を展開しています。


 JR九州のキャンペーンは、対決素材を楽しめる温泉、グルメ等を組み入れた旅行商品が発売されます。また、新しい観光素材の発掘、地域の評価や課題等が浮き掘りになり、今後の観光振興にも役立てることができ、大きなPR効果をもたらすキャンぺーンとなります。

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 対決する大分県の観光地の特徴をあげてみたいと思います。従来大分県と言えば、日本一の温泉源を誇る「別府八湯」と、イベントや街の雰囲気が魅力の「湯布院」が、二大観光地として、全国的に知られています。また、「筋湯温泉」、「壁湯温泉」、「長湯温泉」、「鉄輪温泉」、「日田温泉」、」「天ケ瀬温泉」等個性的な温泉が県内に点在し、メディアでも良く紹介されます。

 「うすき竹宵」、「日田千年あかり」、「たけた竹灯籠」は、観光客の利便性を確保するため、11月に日を変えて開催され、竹灯りのイベントとしては九州一の動員力を誇ります。鹿児島県は竹林面積が日本一ですが、竹を活用した灯りのイベントとしては先を越された感じです。

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 大分県は、海の幸「関アジ」、「関サバ」が、全国ブランドとなっています。最近では、日豊海岸の海鮮グルメも人気です。佐伯市、津久見市、臼杵市周辺の飲食店では、黒潮に育まれた豊後水道の幸が満喫できます。特に東九州自動車道が開通し(一部区間除く)、北九州方面から宮崎に至るルートの時間短縮が図られ、多くの観光客が訪れています。

 歴史的には、福沢諭吉誕生地で、今年のNHKの大河ドラマの主人公「黒田官兵衛」のゆかりの地「中津」や、両子寺や富貴寺等の古刹がある国東半島が有名です。

 観光列車「ゆふいんの森」、「ソニック」は、鹿児島県内を走る「はやとの風」や「指宿のたまて箱」を手掛けた水戸岡鋭治さんに手によるものです。大分県出身の建築家磯崎新氏が設計した「由布院駅」と、100年を超える木造の駅舎「嘉例川駅」や「大隅横川駅」の対比も興味が湧きます。

 焼酎対決も楽しみです。大分県は「二階堂」や「いいちこ」等麦焼酎生産量が日本一で大きな蔵元があるのが特徴です。鹿児島県には芋焼酎の蔵元が100軒余り、銘柄も2000を超えて、しかもほとんどの市町村に蔵元があり、地元住民に育てられ愛されていることです。芋焼酎は生活に根付いたいろいろな飲み方があり、それを観光客に語ることでまた来たいと言う思いに駆られるのではないでしょうか。

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 ところで鹿児島県の平成25年の宿泊者数は703万人余りで、九州7県の中で第3位となっていますが、大分県は、604万人余りで第5位となっています。しかし大分県に大きく引き離されているのが外国人の宿泊者数で、鹿児島の1.7倍の33万人にもなっています。


 大分県は北部九州に近いことで、福岡空港からの外国人が誘客しやすいことや、杉の井ホテル等が早くから韓国人の誘客に力を注いできたことなどが増えた要因です。

 大分はアクセス面でみると、鹿児島からは九州の中で訪ねるのに一番時間がかかる位置 にあります。大分県からの鹿児島県への宿泊客数は、佐賀県に次いで少なく、両県にとって需要開拓の余地が残されていると言えます。

 鹿児島県民に訪ねて欲しい大分県の町は、景観に配慮した街づくりが魅力の「湯布院町」、レトロな昭和の町づくりで成功している「豊後高田市」、ご当地グルメの開発や天領ひな祭りが開催され、古い街並みが残る豆田町のある「日田市」、グリーンツーリズム受入の先進地「安心院」等です。人材育成や街づくり・観光地づくりの手法を学び、地域で活かして欲しい。

 鹿児島県としては、鉄道、温泉、食に加えて秋から冬にかけて、大分県にはない新たな魅力発信が求められます。地域としては、観光高速船が新たに就航した甑島、世界自然遺産の「屋久島」、新設された「薩摩藩英国留学生記念館」、紅葉の名所「千本いちょう園」、無料で行ける「佐多岬」、JR最南端の終着駅で、出汁で売り出し中の「枕崎」等です。

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 イベントとしては、「おはら祭り」、全国的に有名な「マラソン大会」や「ウォーキング大会」等で誘客促進を図らねばなりません。キャンペーンが半年に及ぶため、季節感を感じさせるめりはりのある企画が重要であり、紅葉、菊、ツル、梅、菜の花等の魅力も一緒にPRしなければなりません。

 特に県が勧める「拠点地域(指宿・霧島・鹿児島)発の広域観光周遊ルート」は、その魅力を徹底させるチャンスです。

 今回のキャンペーンでは、九州を中心に両県への誘客を図ることが主目的ですが、相互にPRしていくことが大切です。東九州自動車道を活用した新たな観光ルートの開拓を進めなければなりません。

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 最後に「鹿児島VS大分」に多くの観光関係者が参画して、我がふるさとの魅力を自慢し、いかにおもてなしの心を持って対応できるかが勝敗を左右します。各地域も新たな情報を発信できる機会として捉え、鹿児島への誘客を図るチャンスにしたいものです。 


(参考:観光庁:25年宿泊旅行統計 全てのホテル・旅館・簡易宿所を対象)
(参考:大分県観光ガイドブック  発行:公益社団法人ツーリズムおおいた)

No.316 屋久島里めぐりツアーの魅力~オフ時期の誘客強化につなげよう~

2014年6月23日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 屋久島は平成5年に、白神山地とともに日本で初めて「世界自然遺産」に登録され、昨年20周年を迎えました。屋久島は、観光関連の業界紙の調査によると、日本にある世界遺産の中で、行きたい場所のトップになっており、多くの日本人が一度は訪れたいあこがれの島です。



 屋久島は、面積約500平方キロメートル、周囲約130キロメートルのほぼ円形の島です。全面積の約9割が山岳地帯で、海岸沿いの平地に24の集落があります。それぞれの集落は、永年の伝統の中で育まれた歴史や文化が残されています。

 6月に入ってから、屋久島への登山客が増えています。ヤクシマシャクナゲは、年によって花の咲き具合が変わりますが、今年は花の状況が例年になく良い状態です。宮之浦岳至る登山道周辺では、美しい花が見られるのではないかと思います。

 ところで屋久島は、宮之浦岳、永田岳、縄文杉、白谷雲水峡、屋久杉ランドなど登山やトレッキングをメインとした山岳観光が注目されていますが、もう一つは里の魅力であり、各集落にさまざまな観光資源があります。「屋久島里めぐり協議会」では屋久島を訪ねる方々に、地元の歴史、文化、自然、産業など集落の見所を、地元の語り部のガイドさんと一緒に巡るツアーを実施しています。

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 今回は5つの里めぐりを紹介します。最初に吉田集落です。島の北西部に位置し、平家の落人が屋久島で最初に上陸した地と言われていることから、「屋久島最古の集落」として語り継がれています。屋久島に多い名字の「日高姓」のルーツとされる「日高神社」や、海岸の石を温めてつくる温泉「トンボレ」、サバ節の工場等が見ものです。平成14年から15年かけて放映されたNHKの朝の連続テレビ小説「まんてん」の舞台にもなりました。




 次に宮之浦集落です。人口3300人、約1500世帯が生活しており、屋久島の海の玄関口で、銀行や郵便局、大型スーパーや総合病院等が集中する屋久島の中心地となっています。屋久島奉行所跡や伊能忠敬の碑、石敢当等が見られ歴史豊かな集落でもあります。 最近は大型クルーズ船の入港も増えています。

 春牧集落は屋久島の南東に位置し、安房から安房川を渡ってすぐの集落です。ヤクスギランドや縄文杉、宮之浦岳など雄大な自然への玄関口として観光客も多く訪れます。農業や漁業、屋久杉工芸のお店や焼酎工場、飲食店、民宿等があり、屋久島の1~3次産業が集まっている集落です。屋久杉作り木工体験(別料金)もできます。夜は安房川に屋形船が浮かび、ほのかな灯りが旅情を掻き立てます。

 平内集落は屋久島南東部に位置し、島の中でも温暖な気候で沢山の自然に囲まれており、屋久島ポンカンの発祥の地として知られています。また、干潮時のみ入浴できる露天風呂「平内海中温泉」が特に有名で、ここをめざして訪れる観光客も多くいます。潮時の確認が必要です。

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 最後に中間集落です。島の南西に位置し、七五岳から流れ下る中間川の河口に広がっています。集落のシンボルは川沿いのガジュマルで、大木やその根が作りだす空間は、観光客だけでなく住民の憩いの場となっています。集落は、古い石垣や古民家など昔ながらの町並みが残っています。各家が軒を寄せ合い、全戸が家族のような雰囲気が漂う集落です。

 島の24の集落のほとんどに喫茶店があり、地域の人々が集まる団欒の場となり、コミュニティの確立にも役立っています。集落の生活・文化は、永年に渡って築かれた地域の財産であり、集落の団結の強さを醸し出しているのではないでしょうか。

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 「屋久島環境文化村センター」や「屋久杉自然館」は、環境保護の取組や世界自然遺産の島の全体像を把握でき、雨が多い屋久島ですが雨の日でも安心して見学できる施設です。



 また、屋久島は文学の舞台にもなりました。児童文学者の椋鳩十は、命の尊さと人間と動物とのふれ合いを題材に「片耳のオオシカ」、「ヤクザル大王」を書いており、小学校の教科書に登場します。宮之浦港近くの「なごりの松原公園」の中に、「道は雑草の中にあり」という著者の文学碑があります。

 林芙美子は長編小説の「浮雲」の最終章を安房の地にしています。彼女が「浮雲」を執筆するため宿泊した旅館が安房川の橋の近くにあり、その部屋からは当時の街の面影を垣間見ることができます。安房川の水の清らかさが、主人公の最後を美しく表現しているように感じる場所です。

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 また、36歳の時家族と共に屋久島に移り住み、農作業をしながら屋久島の自然と人々の暮らしを、「生命の島」という本で紹介しているのが日吉眞夫さんです。残念ながら数年前に本人は亡くなられましたが、奥様と息子さんが空港の近くで喫茶店を営み、店内には創刊号から最終号までの「生命の島」が展示されており、島の自然を守りたいという熱い思いが伝わってきます。是非店をお訪ねください。


 ところで屋久島への観光客は、4月から10月までが多く、秋から冬の期間の誘客が課題です。西部林道は日本最大級の照葉樹林で、海岸の亜熱帯性植物から照葉樹林、針葉樹へとつながり、標高差1900メートルに及ぶ植生の垂直分布が見られます。このような照葉樹林帯は非常に貴重であり、世界遺産の根拠となった大きな要因でもあります。

 冬の屋久島は山頂付近では雪が積もり、登山者は冬山対策が必要です。集落の魅力をもっとPRすることで1年中観光客を呼ぶことができ、島の更なる活性化につなげられます。種子島、指宿との連携や、交通費の軽減化、商品造成に支援を行うなどの取組も必要です。

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 旅行エージェントの屋久島のパンフレットは、縄文杉、ヤクスギランド、大川の滝、千尋の滝等観光地の掲載がほとんどであり、今後里めぐりのツアーも一緒に掲載してもらう努力が必要です。また、メディアで著名人の屋久島ツアーが紹介されますが、里で地域住民との触れあう機会を増やし、発信していくことも重要なことです。

 最後に屋久島の自然は、日本が誇る世界の遺産です。世界自然遺産登録20周年を経て、住民、観光客、自然が共生していくことの大切さが、今また問われています。 観光客にも屋久島の自然保護の実情を理解してもらい、応分の負担をお願いする時期に来ているのではないでしょうか。
      参考:屋久島里めぐり 発行:屋久島里めぐり推進協議会事務局

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