2013年5月20日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
県内に住む皆さん、また、ふるさとが鹿児島である人々にとって、最近明るい話題が発表されました。
日経リサーチがまとめた「2013地域ブランド調査」によると、都道府県を総合評価したブランド力指数(PQ)で、鹿児島県は7位にランクされています。2010年の調査では10位であり、3つランクをあげたことになります。
首位は北海道、京都、沖縄、東京都が続き、上位陣の顔ぶれは変わりません。九州では福岡県が8位で、「くまモン」人気が追い風になった熊本県が、21位から18位にランクを上げています。
2010年にも熊本、宮崎、鹿児島の3商工会議所が合同で全国イメージ調査を実施しています。全国の商工会議所の協力をえて、南九州3県以外に居住または通勤する人に、九州7県で行きたい県や観光地、食、人物などについて質問し、36都道府県から回答があり、「九州で行きたい県」では1位が鹿児島県、2位が長崎県、3位が宮崎県となっています。
県民は鹿児島県が九州本土最南端の県であることを不利と感じるのではなく、そのことがかごしまの魅力であり、自身を持ってもっとPRしなければなりません。県と観光連盟ではホームページの改善を図りながら情報発信に取組んでいますが、今一番アクセス件数が多いのが桜島です。
大正の大噴火から来年100周年を迎えます。噴火がもたらす不利性だけが注目されがちですが、桜島の時間ごとの山の色の変化、観光スポット、船から見る桜島、島の人々の暮らしや産業など自然が作り出す魅力を知らせることが大切です。
鹿児島県はPRが下手と言われますが、一般消費者から見ると魅力ある県の一つにあげられるのではないでしょうか。2010年に放映されたNHKの大河ドラマ「篤姫」や日本で最初の世界自然遺産に登録された「屋久島」、「本物。鹿児島県」の浸透、何と言っても九州新幹線の全線開業効果が知名度をあげているのではないでしょうか。
また、特色のある温泉、本物の食材、2箇所の宇宙発射基地、これから世界遺産登録を目指す「近代化産業遺産群」や「奄美群島」などポテンシャルの高い地域も存在します。
仙巌園や尚古集成館を見学し、日本の近代化に島津斉彬がいかなる思いで取組んだのかを理解することで、世界産業遺産登録の必然性を自ら感じることになるのではないでしょうか。2018年には明治維新150年を迎えます。その大変革をもたらした薩摩の風土や文化を学び、ふるさとの魅力をPRすることが重要です。
九州新幹線が全線開業し、今、関西・中国地域から多くの修学旅行生が訪れていますが、初めて鹿児島に来たと語る生徒がほとんどです。若い人の鹿児島の認知度はまだ低く、教育界への働きかけも重要と考え、集約臨時列車の利用地域拡大、農家民泊の整備、体験メニューの充実など仕組みづくりが必要であり、そのことで行先としての定着がはかられます。
ところで、新幹線開業前と街の様子が一変したと観光客は口々に言います。終着駅となる「鹿児島中央駅」周辺は、ホテルや「かごっまふるさと屋台村」のオープン、高見橋周辺の甲突川河畔のライトアップ等で夜遅くまで賑わいが増しています。 これから鹿児島の食のブランド化、大隅・南薩摩地域の観光ルートの開発、離島の魅力発信等まだまだPRしなければなりません。
地域で愛される「焼酎」や蔵元見学、「酒ずし」、「鶏飯」、最近話題のグルメ丼やラーメン等、伝統食と鹿児島の旬の情報提供等が求められます。 また、伝統的祭りに加えて若者が主体の新しいイベントも積極的なPRが必要です。
九州新幹線という幹から、枝となるローカル線への誘客が不可欠です。これからは連泊を可能とする態勢作りが重要であり、周辺地域を取り込んだ滞在型観光地づくりが求められます。
「指宿のたまて箱」は好調を維持しており、指宿温泉の宿泊を支えています。就航間もない「おれんじ食堂」はメディアで頻繁に取り上げられ、国内外のお客様が乗車しています。皆様にも一度は体験して欲しい列車です。エージェントの貸切企画も増えており、新幹線と結び北薩地域の知名度アップに繋げなければなりません。
10月15日から運行される「ななつ星in九州」は今話題の列車で、内装も豪華で旅行代金も高額になります。ツアーは、鹿児島が観光と宿泊先にも選ばれています。列車のコンセプトに合わせた地域での温かいおもてなしや沿線の景観整備が急がれます。日本各地だけでなく東アジアからの申し込みがあり、鹿児島のブランドをあげるチャンスにしたいものです。
最近の観光客は、顔の見える産物の購入や美しい田舎の景観が残る場所に足を延ばします。「地域の農水産物の直売所や直営レストラン」の充実など第一次・第二次産業の振興と連携が不可欠であり、行政の枠を超えた取組が大事になってきました。
かつて隆盛を極めた全国の大型温泉地が苦戦をしいれられているのは、癒しと宴会等娯楽だけに力を注いだことや、周辺地域の振興という視点が薄かったことが今の状況を生み出していると思います。
観光客の7割が個人旅行である現状では、滞在時間を増やす方策は、消費者ニーズの多様化に対し、地域の生活・文化や農水産物に触れさせる機会をいかに提供できるかにかかっています。生産現場や直売所など顔の見える場所を自然な形でみせる演出が不可欠です。
「本物。鹿児島県」を提供し続けることが、鹿児島県のブランド力強化になると信じます。
最後に何と言っても「おもてなしの心」の充実です。指宿市役所の方々の「指宿のたまて箱」に手を振る姿は、メディアでも取り上げられ大好評です。観光地の最終的な評価は地域に住む人々の対応次第です。
新幹線全線開業から3年目に入り、勢いに陰りが見えるのは事実ですが、常に進化している鹿児島の姿を県民が体感し、発信のチャンスと捉え、「住んで良し、訪れて良し」の鹿児島にしていかねばなりません。 自信を持ってふるさと鹿児島をPRしていきましょう。
春過ぎて夏来たるらし白妙(しろたえ)の
衣(ころも)干してふ 天の香具山
持統天皇
雨に濡れし夜汽車の窓に映りたる
山間(やまあい)の町のともしびの色
石川啄木
列車にて遠く見ている向日葵(ひまわり)は
少年のふる帽子のごとし
寺山修司
参考:日経リサーチ 「地域ブランド戦略サーベイ2013」
2013年5月13日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
ゴールデンウィークが過ぎ、県内各観光地には修学旅行生の姿が多くなりました。今年は日並びが悪く観光客の出足が心配されましたが、比較的天気に恵まれ、観光地はまずまずの盛況ではなかったかと思います。
3月の宿泊統計を見ると、前年比0.1%減ということで下げ止まり感も感じますが、これからの取組の真価が問われます。
昨年から就航している格安航空会社ピーチや、中華航空台北線はこの1年好調に推移してきましたが、一方、上海線は尖閣問題や鳥インフルエンザ等で苦戦を強いられています。
官民挙げての支援が必要であり、県民も補助制度を活用し大いに旅行してもらいたい。特にこれから気候も良くなり、上海から中国各都市に行きやすくなります。上海線は、絶対に維持しなければならない路線です。
鹿児島中央駅に新幹線が着くと、噴煙を上げる桜島が目に飛び込んできます。鹿児島市は目の前に美しい錦江湾があり、自然、温泉、歴史、食、文化施設、路面電車等観光資源に恵まれた県都です。私は北の都「札幌」と並んで、都市型観光の魅力が集積された街だと思います。
世界を旅してこれだけの観光資源に恵まれた都市は少ないのではないかと思います。
ところで、鹿児島中央駅近くの「かごっまふるさと屋台村」が、4月26日オープン1周年を迎えました。当初目標の年間30万人を大幅に上回る50万人が訪れました。関係者の方々の努力が来店客の増加に結びついていると感じます。
26日には、知事や鹿児島市長、関係者が出席し盛大な1周年の式典が行われました。 屋台村は、鹿児島中央駅近くの一角に固定された屋台の集合体ですが、南国殖産グループが、市街地の活性化、地産地消を中心に地域産業の振興、情報発信基地として県内のイベントや観光地の紹介、若手起業家の育成等を目的に始めた事業です。 かごっまふるさと屋台村は、25軒の個性あふれる屋台と1軒の焼酎専門店が軒を並べます。
現在、固定式の屋台村が全国にできていますが、業界関係者の話を聞くと、盛況を呈している屋台村は、鹿児島を入れて数カ所しかないということで、あらためて開設に携わってこられた方々に心からの敬意を表したいと思います。
成功の要因と今後の課題について述べてみたいと思います。 まず屋台村は、鹿児島中央駅の近くにあり、しかも電車通りに面していることから顧客に目につきやすいということです。観光客にとっても、発車時刻ぎりぎりまで滞在できるメリットがあります。
次に建物の構造上路地が多く、客が一度に先まで見渡せないため、気兼ねなく食事ができることです。混雑しているときは、酔客同士の肩がふれ合うこともありますが、狭い空間の中では、それがかえって和む雰囲気づくりにつながります。
各店舗が特徴あるメニューを提供していることも人気の要因の一つです。従来ラーメンやお好み焼きの専門店等が並ぶ場所では、店舗間の人気ランクがつき、店舗同志のコミュニケーションが減り、一方の店が退去するなどの弊害がありました。
鹿児島では、同種の店舗は少なく、焼酎料金の統一、ふるさとフェアなど屋台村全体の発展を目指す取組が継続されています。各地域の代表という意識で取り組んでおり、地産地消にこだわり、そこに行けばふるさとの人に会えるかも知れないという期待感も湧きます。人情感あふれる屋台村の存在が人を惹きつけます。
また、オープン当初から鹿児島弁にこだわることを提案してきましたが、これからも屋台村にいけば鹿児島人に会えると言うことを目指して欲しいと思います。
現在海外便が、ソウル、上海、台北へ就航して居ますが、東南アジアの人々は、屋台で食事することが定着しており、今後その観光客をいかに屋台村に誘客するかが問われます。 外国語表記のメニューの充実、従業員も外国語を学ぶ必要があります。簡単な言葉を覚え観光客と交流の場所になればと思います。
現在来店客の6割は、地元客でありそのことが盛況を維持している要因と思います。これからも定期的なイベントや県内各市町村のふるさと祭りを開き、話題を提供して欲しいと思います。
持続できるスポットになるには、県外観光客にどのようにPRしていくかも重要です。エージェントの商品企画に掲載される機会も増えてきましたが、旅行者だけでなくエージェントへのメリット提供も必要になっています。
「かごっまふるさと屋台村」の周辺は、近代日本の礎を築いた偉人を輩出した地です。夜は甲突川がライトアップされ一段と魅力的な一帯となりました。観光客が夜の街を楽しむことで、天文館も活性化し、地域の経済が循環することになります。従業員が夜の鹿児島の魅力を語ることを心がけて欲しいと思います。
屋台村ができたことで既存の店との競合も発生しています。それぞれの店が、「一期一会の心」を持ってサービスの向上に努め、相乗効果で来店客を増やして欲しいと思います。また、近隣のホテルの方々も積極的に屋台村をPRすることで、リピーターにつなげて欲しいと思います。
九州新幹線全線開業から、3年目に入り開業効果に陰りが見えつつあります。これからが鹿児島の真価が問われます。各施設は、おもてなしの充実、新たなメニュー開発やより地域色を出した演出に心がけ、常に進化している姿が求められます。
1周年式典では、『人情屋台「かごっまふるさと屋台村」おもてなし宣言』も読み上げられました。「かごっまふるさと屋台村」に行けば「鹿児島がある」ことを徹底的に貫いていただきたいと思います。
2013年5月7日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
霧島連山の新燃岳は、2011年1月に大きな噴火をしましたが、現在は噴火警戒レベルは3(入山規制)で、火口から半径2kmの範囲は立入規制区域となっています。 新燃岳(1421㍍)を望む韓国岳(1700㍍)や高千穂峰(1574㍍)は登山ができます。
県は、高千穂河原の登山口から新燃岳方面に向かう中岳探勝路を、4月27日から開放しました。探勝路はミヤマキリシマの群生地として登山者にはよく知られていますが、2011年の1月から立ち入りが規制となっていましたが、霧島連山の登山路拡大に大きな期待がかかります。
探勝路は、噴火の影響が心配されましたが、関係者によるとミヤマキリシマの新芽やつぼみが確認されており、5月の中旬が見頃と予想されています。
これから新緑とミヤマキリシマが美しい季節となり、多くの登山者で賑わい近くの霧島温泉郷は、宿泊者が増えるのではないかと思います。インターネットや顧客に対し情報発信の必要性を感じます。
ところで、新燃岳噴火当時は連日マスメディアで山の様子が報道されて、宿泊のキャン セルが相次ぎました。また、韓国人に人気のある韓国岳トレッキング、ゴルフツアー等が相次いでキャンセルとなったことも大きな痛手でした。
しかし、観光客が落ち込んだ時期に、霧島温泉地域では、おもてなしセミナーや接遇研修等サービス向上に努力した結果、「じゃらん人気温泉地ランキング2012」では、「温泉地満足度第一位」に選ばれるなど、地域ぐるみのおもてなしが評価されました。 その後の回復も早く、今でも九州を代表する温泉地として多くのファンに支持されています。
これからの霧島地域の課題は、連泊させる取組の推進です。従来の登山客、湯治客だけでなく、遠方からのお客様が周辺地域の観光地に出かけ、もう一泊させる態勢づくりが求められます。
まず地域連携の強化です。近隣の大隅地域には、悠久の森、大川原峡、溝ノ口洞穴、桐原の滝や都城市の関之尾滝があり、駅を起点にウオーキング等に最適な場所です。四季折々に変化する渓谷や田園風景を見ながら歩くと、美しい日本の原風景に出会えます。 湧水町には「霧島アートの森」が、伊佐市には「曽木の滝」、「曽木発電所遺構」等文化施設や名勝旧跡が点在します。
また、人吉までも約1時間30分の距離です。人吉は、青井阿蘇神社を中心に酒蔵廻りや醤油・味噌蔵など街の佇まいが中高年の旅情をかきたてる場所です。
霧島地域は鉄道の路線にも恵まれおり、「はやとの風」は人気の列車です。嘉例川駅に車を置き、吉松駅で「いさぶろう」「しんぺい」号を利用し、人吉で半日程度滞在し、嘉例川駅に戻る旅も沿線の風景が懐かしく、小旅行が楽しめます。
これからの霧島地域での重要課題は、教育旅行の誘致です。関西地域から25年度は5,200名、26年度は5,500名の生徒が集約臨時列車を利用し鹿児島を訪れます。
現在出水駅や鹿児島中央駅で下車し、県内に2泊していますが、新八代駅で下車した後、人吉でラフティングを体験し宿泊は霧島温泉で、翌日大隅地域で漁業やグリーンツーリズムを体験し、民泊する新しいコースを提案してはいかがでしょうか。
新幹線を利用し大隅地域に宿泊すれば錦江湾内のフェリーと運賃が補助される制度もあります。大隅地域は今グリーンツーリズムの誘致促進を図っています。 夏場の涼しい気候をPRして勉強やスポーツ合宿、各業界団体の県・九州大会等のコンベンションをもっと誘致しなければなりません。
他の地域に比べてJRの駅が多く、しかも空港や高速道路のインターが近く、移動する にはまさに恵まれた地域です。 また、温泉の質が多彩で、食、おもてなしの心、四季折々の自然が美しく何回訪れても飽きない地域です。多くの露天風呂が存在することから、外湯と農家レストラン、直売所廻りで過ごすのも良いのではないでしょうか。
ところで、霧島山の開放を心待ちしているのは、韓国の人々も同じだと思います。原発事故、竹島問題等課題は多くありますが、円安傾向になり、鹿児島を訪れる韓国人は増加傾向にあります。
今年の2月には、九州オルレに霧島妙見コースが選定されました。コースは約11km、 所要時間は4~5時間で連泊する条件としては、大きなインパクトになるのは間違いありません。しかも鹿児島に宿泊する外国人の33%は韓国人であり、大きな経済効果も見込めます。(24年実績)
夏休み旅行のエージェントの商品造成もこれからが本番です。霧島への商品企画をぜひ増やして欲しいと思います。
県と観光連盟では、噴火、登山、イベント、食、花等について、ホームページで適宜紹介しています。今回も早速ホームページで探勝路の開放について掲示しました。県民の皆さんも、霧島山へ出かけていただき、新しい霧島の魅力を県外の方々に伝えて欲しいと思います。
九州新幹線も、3年目に入り開業業効果の勢いにも陰りが感じられます。今回の探勝路開放でも新燃岳の近くまでは行けませんが、久しぶりにミヤマキリシマの群生が観察できるのではと思います。
新燃岳にできた新しい山の形は、霧島の名所になっています。霧島地域は世界ジオパークの認定を目指して、地域で様々な取組も推進しています。特に観光関連業界の方々は、自らの足で霧島地域周辺魅力を知り語って欲しいと願わずにはいられません。そのことが滞在者を増やすことになります。
県民の皆さんも山に登ることで、変化する霧島の山々の美しい姿に感動するのではないでしょうか。
2013年4月30日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
5月の4連休が間近となり、民家の庭先に高々と鯉のぼりが泳ぐ姿が美しい季節となりました。
【歌詞】こいのぼり 作詞:近藤宮子 作曲:不明
屋根より高い 鯉のぼり
大きい真鯉は お父さん
小さい緋鯉は 子どもたち
おもしろそうに およいでる
【歌詞】こいのぼり 作詞:不詳 作曲:弘田龍太郎
いらかの波と くもの波
重なる波の なかぞらを
橘かおる 朝風に
高く泳ぐや こいのぼり
2曲とも端午の節句に飾られる鯉のぼりをテーマとした日本の童謡・唱歌です。 こいのぼりは、元来日本の伝統的風習で、江戸時代に武家で始まったとされ、男児の出世を願って、家庭の庭先で鯉に模した吹き流しが飾られました。端午の節句である旧暦の5月5日までの梅雨の時期に飾られることから、「皐月のぼり」とも呼ばれます。
最近、田舎では子どもの出生が少なくなり、高々と大きな鯉のぼりを掲げる家庭も少なくなりました。一方、都会では集合住宅のベランダ内に飾る程度のこいのぼりしか見られなくなり、四季を表す日本の伝統的文化を強く受け継ぎたいものです。
日本各地では、こいのぼりにちなんだ行事をおこなっているところがあります。 熊本県と大分県の県境にある杖立温泉では、杖立川の両岸をロープでつなぎ全国から集められた3,500匹の鯉のぼりを泳がせており、その数は日本一と言われています。 多くのメディアにも取り上げられ、その光景をカメラに収めるため全国から観光客が訪れます。佐賀県の川上峡や南九州市の万之瀬川でも同様な光景が見られます。
土佐和紙の産地で知られる高知県いの町では、水にぬれても破れない和紙を用いて作られたこいのぼりが仁淀川に流され、川下りをしながら水中を泳ぐこいのぼりを見ることができます。普通は空を泳ぐこいのぼりですが、これを仁淀川という清流の中で生きる鯉のように泳がします。
これは、和紙文化と清流との関わりの深さを次世代に引き継がせるためであると、主催者は語っています。「鯉は水に帰って自由に泳ぐ」という発想から生まれたイベントが今や四国を代表する観光イベントになっています。
県内では薩摩川内市が川内川河川敷に幟を立て、こいのぼりを泳がせており、国道3号や新幹線からも臨むことができ、河畔を散策する人の目を楽しませています。伝統的行事を、子どもの頃から四季折々に見せることは、地域を愛する心を育てる良い機会になると思います。
ゴールデンウィーク中には県内でもさまざまなイベントが開催されます。
かのやばら園では、「かのやばら祭り2013春」が開かれています。8haの敷地に、約4,000種類5万株のばらが植栽され、GWが見頃となります。日本最大級のばら園では、切り花の体験やスケッチ大会等多彩なイベントが開かれます。
今年はイングリッシュローズガーデンも順調に開花しており例年にない美しい光景が見られるのではないでしょうか。かのやばら園は、静岡市のNPO法人から県内唯一の「恋人の聖地」にも認定されています。
近くにある鹿屋航空基地史料館は無料で見学でき、会館の外にある展示品は、かつて日本の空で活躍した実物の飛行機であり、親子で楽しめる施設ではないかと思います。
佐多岬に通ずる公園道路が無料化されたことにより、九州本島最南端の佐多岬に多くの観光客が訪れることが想定されます。GW期間中は旧レストハウス先の歌碑広場まで行くことができます。
山川~根占港を結ぶフェリーは、便数と車搭載に限度がありますので、GW期間中は、陸路で岬に行くことをお勧めします。周辺の諏訪神社、雄川の滝、神川の大滝、花瀬公園、岸良海岸、パノラマパーク西原台等春の自然の息吹が感じられる場所です。
南さつま市の「2013吹上浜砂の祭典」では、大小60数基の砂像展示、音と光のファンタジー、人気キャラクターショー等の演出など、子どもも一緒に楽しめるイベントが開催されます。
第1ステージ(2~6日)の期間中は、鹿児島中央駅と祭典会場を往復する便利な直行臨時バスも運行されます。松林から吹き抜ける風が爽やかで、多くの出店がありグルメも楽しめます。地元で収穫された「砂丘らっきょう」は、地域の特産として人気があります。 少し足を伸ばして、笠沙の大当の石垣群の里、谷山の段々畑、杜氏の里等美しい日本の原風景が残る地域を訪ねてみてはいかがですか。
枕崎内港水揚場一帯では、「こどもの日かつおまつり」があり、かつお一本釣り大会や、鰹節削り大会など枕崎ならではの催し物が開催されます。新鮮な魚や水産加工品、お茶などの展示即売会も大人気です。
JRの最南端の終着駅である枕崎の駅舎が復活しました。どこか旧駅舎を思わせるレトロ館漂うノスタルジックな造りで、六角形の屋根にはステンドグラスが施されています。
枕崎市では、商店街NO1決定戦Show-1グランプリで2年連続グランプリに輝いた「枕崎鰹船人めし」を売り出し中です。沿線の美しい茶畑や開聞岳の姿が美しい指宿枕崎線のゆったりとした汽車の旅も風情があります。ぜひ港町の風情が残る枕崎をお訪ね下さい。
鹿児島市の仙巌園では、島津家に伝わる大きな五月幟(のぼり)が登場します。高さは13mにもなります。GW期間中は、「GWは君が殿様だ!」の名の下に家族で楽しむことができるイベントが開かれます。遠出ができない方は、鹿児島の歴史に触れる最適の場所であり、噴煙を上げる桜島の雄姿も庭園から見ると格別です。
霧島山は、大浪池、韓国岳、高千穂峰への登山ができます。美しい新緑と変化した新燃岳の姿に会えると思います。登山で疲れた体を温泉で癒してはいかがですか、魅力的な露天風呂も点在しています。
その他、垂水市の高峠など県内各地でツツジが見頃を迎え、長島町では花フェスタ等も開催されています。
今年のゴールデンウィークは、5月5日にまだ空室のある施設があります。インターネット等の情報を検索してください。
こいのぼりが大空に高く泳ぐ日本の原風景を求めて、ゴールデンウィークは旅に出かけませんか。 今県内には、農林・水産物の直売所やレストランが165箇所あります。(25年3月15日現在:公益社団法人 鹿児島県農業・農村振興協会調査) 県内各地を訪ね鹿児島の農水産物、ふるさとの魅力を再発見する機会にしませんか。
ふるさとの 山にむかいて 言うことなし
ふるさとの山は ありがたきかな ~石川啄木~
2013年4月22日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
新学期に入り、修学旅行のシーズン到来です。
鹿児島中央駅に、学生服に真新しい旅行バッグを抱えた集団が見られるようになりました。JR西日本とJR九州の協力のもと、関西地域からの新幹線の修学旅行専用列車の運行が間もなく始まります。
平成25年度は、25校、5,200名の中学生が初めて関西地域から集約臨時列車を利用して鹿児島を訪れます。集約臨時列車とは、学生団体専用の貸切新幹線のことで、時間も特別に設定した列車です。(一部定期列車の利用あり)
普通学生団体の場合、運賃は半額になりますが、特急料金の割引はありません。この列車の特徴は料金が半額になることです。九州新幹線が全線開通したことにより、時間短縮効果が図られ、関西からの行く先として鹿児島の魅力が増したと言えます。
関西地域からの修学旅行の行先は、飛行機利用の沖縄や、博多までの新幹線を活用した西九州地域が主流です。時間短縮効果や集約臨時列車運行による料金軽減、体験メニューの豊富さ等が、行先の変更先として鹿児島への選択肢が増えたといえます。
最近の教育旅行のニーズは、名勝旧跡等の見学中心の旅行から農業・漁業などの自然体験、ものづくり、街を歩きながらの歴史の勉強、戦跡や史料館を通しての平和学習、ゴミ問題や水質汚染についての環境学習、地震・火山など災害への対応等さまざまであり、複数のカリキュラムを取り入れる学校が増えています。
通常鹿児島中央駅に着くと、桜島での火山学習をして鹿児島市内や指宿温泉に宿泊し、翌日は昼から南さつま地域でのグリーンツーリズムと民泊の体験、翌日は知覧での平和学習と鹿児島市内でのまち歩き歴史探訪等複数のプログラムを組み入れた旅行が多くなっています。
桜島の自然の凄さ、初めて触れる土の感触、新鮮な食べ物、親に勝る心で接してくれた民泊先の人々の温かさに感激し、また来たいと涙を流す生徒もいると聞きます。
鹿児島を修学旅行先として選ぶ学校が増えているため、体験民泊地は南さつま地域から大隅、種子島地域へと広がりをみせています。九州新幹線の全線開業で、時間短縮効果と、集約臨時列車の運行で、27年以降も鹿児島方面へ行先を変える学校が増加するのではないかと期待されます。
体験型教育旅行においては、大分県の安心院、長崎県の松浦や島原、小値賀、佐賀県の唐津が人気を博しています。鹿児島の優れた自然環境、歴史等を活かして他の地域との差別化を図り、新規需要の開拓が求められます。
そのためには、鹿児島ならではの体験メニューの提供、おもてなしの向上、また、受入側の安全面に対する意識を向上させ、体験学習における安全性を確保することが何よりも重要です。
昨年、旅行出発3日前に受入家庭が数軒変更になるという事態が発生し大きなクレームになりました。変更理由は、主人に業務が入って受入ができないということでした。 業務が入ることが想定されれば、最初から受入をしないことが相手に迷惑をかけないことになります。
学校側は修学旅行の出発前から十分な時間をとり、受入地域の研究、民泊に対する準備や指導を行っており、受入地域や家庭が変わることは、事前研究の見直し、父兄への連絡、プリントの印刷変更と大変な業務を伴います。学生の受入に当たっては慎重な対応が求められます。
また、生徒の宿泊先は登録許可をもつ簡易宿所ではなく、一般の農家・漁家がほとんどです。料理はみんなで作るというのが絶対的なルールであり、保健所の指導により、手洗いの励行、生ものを出さない、火を通すなど保健衛生面での格段の配慮が必要です。
また農業体験では、農機具などでの怪我や事故にあわないような格段の注意が必要です。都会の生徒の多くは、家での家族との会話が少なく、民泊先での温かい心のふれあいに 涙する生徒が多く、家族同様のおもてなしに感動します。
鹿児島県は、教育旅行のニーズに対応できる環境が九州のどの地域よりも揃っていると思います。そのためには、地域での人材の確保、学校現場が安心して生徒を宿泊できる環境にある簡易宿泊所の登録推進が求められます。
長崎県の松浦地区は年間3万人の学生を受け入れていますが、90%以上が「簡易宿所営業の許可」を取得していますが、鹿児島では、約1000件の受入農家のうち10%程度です。ぜひ許可を取得して、学校側の信頼を確保して欲しいと思います。
25年度は、24,800人の民泊が予定されていますが、もう1泊は、温泉地や市内でのホテル宿泊がほとんどです。連携し新しい需要開拓で相乗効果をもたらす努力が必要です。
新幹線による集約臨時列車の運行は、永続的に顧客を確保する一番の安定策であり、鹿児島への教育旅行が増加することは、経済的効果も大きく大変ありがたいことです。 一方では鹿児島の学校と実施時期が重なります。貸切バスやガイドさんの確保が厳しくなっています。昨年の高速バス事故等でより安全なバスの運行態勢がもとめられています。
また、ガイドさんへの就職希望者が少なく、各社ともガイドさんの絶対数が足りません。 県内の学校は、2泊3日の行程で九州管内をバスで利用する修学旅行のため、シーズンのガイドさん不足は切実な問題となっています。
県教育旅行受入対策協議会、鹿児島県観光連盟、鹿児島県バス協会で関係団体に、実施時期変更等の要請も行っています。学校行事を考えると大幅な変更は難しいのが現状です。 県外の学校は集約臨時列車の関係で2年前に実施時期が決定するのに対し、県内はほほ1年前に決定するのが通例となっており、計画の段階でバス不足が懸念されます。 このような状況が続くと教育的価値の高い修学旅行の実施が危ぶまれるため、何らかの打開策が必要です。
関西地区と同様に鹿児島中央駅発の集約臨時列車の設定を行い、現地で他県のバスを利用する方法も考えられます。また、オフ時期のバス、宿泊代等の軽減化で実施時期の変更も考えられます。関係する団体で協議会をつくり、諸問題の解決を図ることが求められています。
一度鹿児島を訪れた子供達は、成人したらまた来てくれるリピーターにもなります。温かいおもてなしで、子供達に大きな夢をもって帰ってもらいたいものです。 生徒さんたちに学生時代のよき思い出として残る修学旅行を提供できる場を提供していきたいものです。