前後しての報告となったが10月5日かごしま県民交流センターで開催された県内図書館の会議で『図書館とツーリズム』と題して講話する機会を得た。日頃はお声をかけて頂いてお話しすることが多い中、今回は県のご担当者に労を取って頂き、県立図書館長にお会いして、是非語りたいと訴えた。関係者のご支援、ご協力にこの場を借りて御礼申し上げたい。
私がこれからの地域振興には図書館が積極的に関わる必要性があると述べたのは赴任早々まとめた所謂『観光かごしま10の提言』に付随したコメントの中だった。時代が大きく変わる中で今までの群れから個に価値観が移転する中で、単に地域の光る資源だけではなく、反省や失敗も含めて、その土地が、そこに住む人々が生き続けて来た証を求めたいとする動きが出てきた。従来は良いことだけで観光は成り立ったが今からは違う。本物が見えない、本物を見せない観光地は間違いなく淘汰される時代だ。
しかし三位一体の改革とやらで仕事は増えたが歳入は増えない地方行政にとって今更箱・モノを用意する力は無い。だから街歩きを含め地域のボランティアの力も借りて我が町の成り立ち、歴史を歩いて見て回ることが一種のブームになりつつある。しかし時流に乗り損ねたくないというだけのファッション的な取り組みでは今までと同じだ。金と時間だけ使っても実りは期待できない。
昨日報告した農山漁村地域活性化シンポジウムでも発表したがこれからの人口減少により65歳以上が人口の半分を占めるような、地域コミュニティーとして機能しない限界集落が県内にも204カ所もあるという中で、地域が生き残る為には交流人口を活性化する道しか残されていないと考える。しかも新しい価値感覚を持ったツーリズム時代の客層は偽物を見破る眼力に優れ、生活者指向、本物指向が中心だ。だからこそ金をかけず、長続きする地域情報報の掘り起こしと域外者への情報発信・提供が必要になる。地域のほぼ真ん中(概ね役場の隣)に位置し、初めて足を運ぶ人にとってもアクセスにたいした支障がない地域図書館の存在は重要だ。しかも地域住民と域外者の交流拠点にもなりうる。日頃から地域情報に精通し、歴史を追って整理・保管している図書館にこの機能を求めることは県民総PR担当の時代決して酷とは思えない。しかも土・日・祝日は開いているのが公共図書館だ。図書館が町歩きのスタート地点となってもおかしくはない。地域団塊の世代の活躍の場にもなる。
県内の図書館を見て歩くと実際すでに域外者への情報サービスを違和感無く提供されている箇所も結構ある。九州・沖縄の中ではダントツ1位の人口比図書館数を誇る鹿児島だ。実際調べると東京23区よりはるかに恵まれている。今日の新聞にも2009年オープン予定の奄美県立図書館の話が掲載されていた。これだけ県内に張り巡らされた充実した図書館ネットワークを地域振興に生かさない手は無いと考えている。
図書館は建築家に頼めばできる物ではない。地域住民と行政のコラボレーションで初めてできる。頴娃町の図書館は11年もの歳月を掛けた結果だ。団塊の世代に限らず移住者の決定要素には情報格差より、地域医療、図書館サービスのレベルが大きく関わっている。だから定住促進の点からもいい図書館が必要だ。歳入厳しき折りではあるが更に充実した図書館立県鹿児島を目指して予算配分にも関係者のご理解を賜りたいと考える。


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