昨日午後1時15分より黎明館にて『かごしまの農泊』を考えるセミナーが開催された。昨年3月実施した農泊セミナーに続く企画だ。生憎昨日は雨で少し客足も鈍ったかと思うがそれでも多くの熱心な方々の参加を得たことは主催者として嬉しい限りだった。
今回は北海道大学観光学高等研究センターから佐藤誠教授をお招きした。先生は昨年まで熊大で教鞭を執られれていたこともあり、また今も小国のツーリズム大学の学科長も兼任されていることから県内にも先生の教えを受けた方々は増え始めた。元々経済学者だが日本の社会の成熟度に連動して日本の観光産業もマスツーリズムから個を重視したニューツーリズム、更には田舎の快適性(アメニティー)を軸とするグリーンライフ型への移行を予想し、ネオツーリズムの到来と称されている。この範疇は広く個人を中心とする観光性旅行、ロングステイ、二地域居住、UIターンもカバーする。
前夜の打ち合わせの席上、先生のパーソナリティーを全面に出して頂き、できるだけ柔らかく、面白く、冗談も遠慮無くとお願いしたが開会直後の基調講話だったせいか滑り出しはちょっと硬めだったようだ。笑いを得るところで会場の反応が鈍かったこともあって若干調子が狂ったようだと閉会後の先生の弁。でもいつもの通り主張は明確、直球型で私には心地良かった。
次に人吉から来られた農家民宿開業丸2年が経った『つばき坂』の上井さんの報告を
頂いた。私は1度上井さんの自宅を訪ねたことがあるが小高いところに土蔵と母屋それに客用の別棟がある古い農家だった。農産物の直売所を開設し、生まれて初めて自分で自分の商品に値段を付け、一ヶ月の売り上げに基づき初めて自分自身の預金口座に振り込みを貰った喜びは忘れないという。その後首都圏の女子大生の体験受け入れを数回こなして経験を積み、コツコツ貯めた自分の貯金を元手にご主人の退職金も一部借りる形で農家民泊を開設された。上井さんの魅力と身の丈の田舎流おもてなし、更にはご主人の理解もあって初年度からお客も付き、2年目は倍に伸び、3年目の今年は初の3桁を達成しそうだ。後でパネルディスカッションの中で私からホームページの開設は?と聞いたところ『同地区で開業されている人の中には高齢で自前でホームページが開設できない方もいらっしゃる。娘に頼めばできるんだが地域全体で伸ばそうという人吉市グリーンツーリズム協議会の趣旨もあって自分ではやらない。』とのこと。何と素晴らしい連携だろう。幸い市の方で同地区6軒の民泊紹介ページを作って貰っているとのこと。これは我々にも大いに参考になる話だ。
さてパネラーには『久富木ピンころ村事業』を展開するさつま町の満留さん、南さつま市の峰元新産業創造室長にもご登壇頂いた。それぞれ自分たちのフィールドに根ざしたグリーンツーリズムの受け入れに努力されている。旅行業者の支援・仲介がどこまで必要かも問うたが認可型農泊では不要、教育体験型では必要とする意見のようだった。県は平成11年に農家民泊の開業の手引きを作成しているようだ。だがこのことを知る人は少ない。私も今朝まで知らなかった。勉強不足は大いに反省するが県ももっとこの活用を呼びかけたらいい。ただその後の広域合併や状況の変化、規制緩和もあり、県では平成20年度にあらためて手引き書を作成するらしい。私はこれに期待している。ただ縦横無尽に網の目を細かくするのではなく、地域特性が十分生かせるような県のミニマムスタンダードでいいと考える。特に教育体験型農泊については急ぎ準備する必要があると思う。


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