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プロデューサーズコラム

九州新幹線全線開業に向けた観光振興方策についての提言

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2008年09月29日

良好な景観形成の必要性 

  2008年9月28日

          
  海外旅行先で感激することのひとつとして、広告や看板が少なく、落ち着いた雰囲気を醸し出している観光地があることです。スイスやドイツのロマンチック街道、カナダのバンフなど景観に配慮したまちづくりが施されています。
  日本では、景観法が2005年6月に施行されましたが、その対象は多岐にわたっています。基本理念には、《良好な景観は国民共通の資産》であると位置づけられており、地域の自然、歴史、文化等、地域の特性や特色を伸ばす必要性が指摘されています。

  景観を守ることは、観光まちづくりの根本をなすものと考えます。鹿児島市は錦江湾をはさんで、目の前に雄大な桜島がそびえており、その景観は世界に類の無いものです。しかし最近では至るところに高層ビルが建ち、いつのまにかその雄姿が見られないポイントが増えており、高さ制限の必要性を感じることがあります。県内の有名な観光地でも、旗の林立や派手な商品広告にがっかりさせられることがあります。
 まず公共空間や公的施設を持つ地域周辺では、看板の大きさ、字体を統一することが景観を守ることにつながります。

  全国的に景観形成に積極的に取り組んで成功している事例として、「伊勢市」、「川越市」、「彦根市」「北九州市の門司港レトロ地区」、「松本市」などが上げられます。これらの市は、屋外広告物の表示・掲出の制限や無電柱化を行っています。特に松本市は歴史的自然を活かしたまちづくりを促進するため、市街地の建物の高さを制限し松本城等の眺望景観を確保する取組を行っています。地域の特性を活かした取組の結果、大幅に観光客が増加しています。

  県内では、武家屋敷の残る「出水」、「知覧」「入来」 知覧武家屋敷 などは区域を限定して、広告や旗を制限して美しい武家屋敷群を守りたいものです。また、温泉地ではホテルの名称や位置を知らせる看板が林立していますが、まちの入り口にひとつの看板にまとめることで十分と考えます。インターネットの普及やカーナビを装置した車が多くなり目的地の検索は、観光客には容易になっています。「黒川温泉」が実践しています。古い建物や庭園が残る場所では、広告物そのものを規制することで地域としての評価が高まり、観光客が増加することが想定されます。

  今景観を維持していくために、地域の体制やまちづくりをどのようにすすめていくかが問われています。今まで景観の重要性について考える機会や、その背景も希薄であったと思います。これからは小さい頃から景観保護の重要性を、学校教育で教えることが大切です。いまこそ景観が地域の誇りであることを認識し、景観保全に取り組んでいる先進地を視察し、地域の景観形成についてどのように合意形成を進めているか研究する必要があります。  
 美しい景観を、先祖代々まで残していくことが、我々の義務であると考えます。

2008年09月22日

「地域の担い手」育成の必要性

                                                                                                           2008年9月22日
       
 時代とともに国民の旅行スタイルは大きく変わってきました。かつての観光の形態は、物見遊山的な周遊型の旅行が主 おはら祭り 流であり、宿泊先では豪華な宴会を伴うものが多くありました。しかし最近の旅行は、旅行者のニーズを組み込んだ個人旅行が中心であり、主要な旅行代理店の統計によると、団体旅行と個人旅行の取扱いは、3対7の割合となっています。旅行者の趣向も、訪れる地域の自然・生活文化・住民とのふれあいを求める「交流・体験型旅行」へと旅行スタイルが変化しています。熟年層では、特に自分流の旅行スタイルを求める人が増えてきています。地域は消費者のニーズに合っているかで選ばれる時代です。

 手配の方法も大きく変わってきています。いままでは、旅行会社、駅、宿泊施設の案内所等が多く、選択肢は限られていました。今は行きたい地域の情報については、パンフレット、雑誌、インターネット等多種多様なメディアで、自分のニーズをみたすものが簡単に入手できるようになりました。旅行手段も多様化し、また、目的や対象は広範囲に及び、自分の五感で体験する旅行を求める層にはより詳しい情報が求められています。

 地域においても、体験メニューをプログラム化した「体験型観光」、環境をテーマとした「エコ 妙円寺詣り ツアー」、街中を歩きながら観光する「まちあるき」、歴史的産業遺産を勉強する「ヘリテージツアー」、農業体験を盛り込んだ「グリーンツーリズム」など新たなツーリズムがブームになっています。  地域発の旅行商品づくりが注目されています。そのため、地域の受入れ側もより細かな地域情報の提供、おもてなしの心の醸成、観光客を案内する組織、人材の確保が必要になってきています。住民の創意や工夫を活かした観光まちづくりを推進するには、地域に愛着と誇りをもつ人のアイデアと意見が不可欠です。これが、地域をコーディネートする「担い手」の育成が求められる所以です。

担い手に求められる要件は、
① 地域活動において「活躍している」または「活躍する意欲のある」人材
② 得意分野を持ち、それを人に教えることのできる知識とスキルを有する人材
③ コミュ二ケーション能力に富み、常に好意をもって人に接することのできる人材
などです。得意分野は、学術等の専門知識に限定されるものではなく「ものづくり」、「伝統芸能」等の伝承も十分その対象です。地域住民の活力を活かし、来訪者を「もてなすこころの醸成」が交流人口の拡大を図ることを可能にします。

 観光連盟では、地域の担い手を育てる方策の一環として「かごしま観光人材育成塾」を、11月18日~21日の4日間の日程で開催いたします。九州各地の地域づくりで活躍している11人を講師として、地域素材の発掘、地域間の連携、旅行の商品化、情報の提供、おもてなしの心の醸成、などを学びます。またニュ―ツーリズムのワークショップやフィルドワーク、夜学塾も実施します。地域の活性化の手法を学ぶいい機会であり、参加者同士のネットワークづくりにも役立ちます。県内の多くの地域から参加されることを期待します。    
 参考資料「旅のもてなしプロデューサー」 ぎょうせい    

2008年09月16日

霧島の観光を考える

2008年9月16日

 全国商工会議所が公募した「平成20年度地域資源・全国展開プロジェクトの調査研究事業」で、霧島商工会議所の案件が採択され、その事業を推進する委員会に出席しました。霧島市は1市6町が合併し、県内で2番目の人口を誇る市です。市内には、国際空港と高速道路の5つのインターがあり、また、日豊本線や来年開通100周年を迎える肥薩線が通っており、アクセス的に大変恵まれた地域です。しかし県外の宿泊観光客は100万人前後でここ10年ほとんど増えず、苦戦を強いられています。

 霧島市の観光の現状と課題について検証してみました。 霧島連山 1点目は、霧島の観光の魅力が消費者に浸透していないために、単発型の宿泊地になっていることがあげられます。日本有数の温泉があり、登山、トレッキング、歴史、食と多くの観光素材に恵まれながら情報伝達や連携が不十分であり、観光客に霧島の良さが伝わってないと思います。いまの観光は、滞在や交流を求める人が多くなっています。連泊して地域の良さを体験していただく仕組みを作っていかなければなりません。ホテル間を回遊するバスや、共同してインフォーメーションをするなど観光客の利便性を図りながら、体験を中心とした着地型観光を充実させることが必要です。

 2点目は、伝統芸能や文化イベントをもっといかす取組が必要です。「きりしま九面太鼓」、「夜神楽」などは、週末には既存の施設で必ず観賞できるようにすることが観光客の定着に繋がります。また、「霧島国際音楽祭」は国際的にレベルが高く、知的興奮を伴うイベントであり、もっとPRし、県内はもとより全国からの誘客を図らねばなりません。来年は30周年を迎えます。「霧島国際音楽祭」が開催される町としての誇りとおもてなしの心を醸成するなど、地域あげての取組を強化し、行政サイドの資金的な援助も必要と考えます。

 3点目は、若者を活かしたまちづくりが求められています。市内に2つの大学があり、またソニーや京セラの工場があり、若者が多く住んでいます。若者が自ら企画し、参画するイベントの創出が観光客を呼び込みます。北海道の「よさこいソーラン」はその代表的な祭りです。イベントを興すには、地域単位でグループを作り、そのフィナーレとして本大会を中心部で開催すれば、盛り上がっていくと思います。観光には「よそ者」「若者」「ばか者」の感性が必要です。

 4点目は、来年100周年を迎える肥薩線の活用です。沿線には古い駅舎が残る「横川駅」や「嘉例川駅」があり、レトロ調の雰囲気は鉄道ファンだけでなく観光客を引きつける魅力があります。駅舎に、春には雛人形やこいのぼり、夏には風鈴、秋には鈴虫、冬にはクリスマスツリーや正月人形を飾るなどし、季節感を出すことで沿線の地域に観光客を呼び込むことが可能になると思います。来年は熊本から人吉までSLが走る予定です。地域連携を強化することで、誘客に繋がると思います。

 5点目は、担い手の養成です。霧島市は7市町が合併してできた町であり、しかも観光地も広域になります。今はそれぞれの地域が頑張っています。しかしいずれは市全体が一体となった観光振興が求められてきます。少子高齢化が進む中で、交流人口をいかに増やして地域を活性化するかが問われています。広い視野での観光客の誘致が大事であり、地域全体をコーディネイトする人が求められています。

 いま地域間競争は激化しており、観光は観光関連産業だけでなく、農林水産業、商業、工業、教育関連など多くの分野との連携が必須であり、まちづくりの根幹に位置づけるべき政策と考えます。霧島に課せられた課題は多く、新幹線全線開通までは残された時間は限られています。

2008年09月08日

「観光庁」の発足と地域再生への取組

       2008年9月8日

  10月に国土交通省の外局として「観光庁」が新設されます。平成15年に当時の小泉総理が国会演説で「観光立国宣言」を発表し、同年の4月官民あげての訪日旅行を推進するため、「ビジット・ジャパン・キャンペーン」がスタートしました。庁の発足はその延長線にあるもので、ようやく日本も観光立国への体制が整いました。外国では早くから観光の重要性が政策として示されており、日本は遅すぎた感がありますが、省庁再編が進められる中で新設は歓迎すべきことです。

 庁発足よりも一足早く19年1月に「観光立国推進基本法」が施行されましたがその概要は次のとおりです。
1 テーマ型広域観光モデルルートの開発や、地域の人材発掘と活用の推進を図り、 国際競争力の高い魅力ある観光地づくりを行うことです。
2 着地型旅行商品の創出・流通の取組支援や学校での教育の充実を図ることで、観光産業の国際競争力の強化と観光の振興に寄与する人材の育成を目指すものです。  
3 外国人が個人での旅行がしやすい環境整備と、空港での入国のスムーズ化、地方空港からの国際チャーター便の活性化支援を行い、国際観光を推進するものです。
4 有給休暇の取得促進や秋休みの普及による学校休業の多様化と柔軟化を促進し、国民が旅行に出やすい環境整備を推進するものです。
 分野ごとに数値目標をたて、さまざまな施策を展開することで観光振興を図り観光立国の実現を目指すものです。

 平成17年のわが国の国内旅行消費額は、24兆4千億円で、雇用創出効果は229万人と推計されます。この消費額がもたらす生産波及効果は55兆3千億円、雇用創出効果は469万人と推計され(平成19年観光白書)、観光がもたらす経済的効果は多くの分野に及んでいます。 

 観光庁の発足に呼応するかのように本年4月に部への昇格や人員増で観光部門の強化を図ったところが、15の県に及んでいます。それまでにも部の充実を図った県も多く、観光客誘致について、総力戦の様相を呈してきました。しかしここ10年間に国内の宿泊人員は3割減少しており、今後とも地域間競争は熾烈を極めると思います。各地域で誘客キャンペーンや旅行商談会、現地研修とあの手この手の誘致合戦が行われています。 

 しかし新たな需要開拓には地域の取組だけではなく、九州観光推進機構や隣県との広域連携が功を奏すると考えています。キャリアやエージェントの連携も大事になってきます。

   まち歩き またニューツーリズムへの関心の高まりや着地型観光のニーズに応えるため、商品作りやボランティアガイドの組織化が進められています。商品造成やまちあるきガイドの養成と併せて、地域住民と観光客が互いに交流し会える環境づくりが「訪れて良し、住んで良し」の町になると思います。鍵は地域にどれだけ人を呼び込むことができるかが重要なことです。そのためには、地域と観光客との間で商品開発や組織をコーディネートできる「担い手」が必要になってきています。観光は「観光客」と「住民」と「地域の文化・自然」が共生することで経済的効果が生み出され、持続的観光が成り立つものと考えます。観光は総合産業であり、地域全体でまちづくりに取組むことが重要です。
  観光庁の新設が、地域再生に大きく繋がることを期待します。

2008年09月02日

地域づくりに頑張る女性グループ―かごしまルネッサンスアカデミーから-

2008年9月1日

ルネッサンス1   鹿児島大学で開催された「かごしまルネッサンスアカデミー」の受講生の終了課題発表会に出席しました。この事業は、平成18年度から文部科学省より、鹿児島大学が受託した人材育成プログラムです。今回大学より健康管理文化コースで学ぶ2期生の成果の講評を依頼されました。
 このコースは、鹿児島の食を中心とした魅力を発信することを通して地域を再生していくことを目的としたコースで、飲食業、観光従事者、退職者や主婦など幅広い年齢層の方が受講しています。
 特に興味を持ったのは、チーム名が「かごしまプロジェクトX‘」で、4人の女性が取り組んでいる「おじゃったもんせ薩摩郡山」の発表でした。取組の趣旨は郡山の魅力を広く発信し、多くの人が何度も訪れたくなる地域になり、地域内外の人々との交流を通して、郡山地域が活性化することを目指しています。

 チームは、持続可能な観光には「楽しさ」が必要であり、 ルネッサンス3 また異なる感性や価値観を持った人たちでも「良識を共有する」ことでもっと密度の濃いコミュニケーションができ、そのことが持続可能な観光に繋がると考え、この2つのキーワードをもとに体験交流ツアーを実施しました。彼女たちは実施に当たり、自分たちがまず地元の方々となじみになることが重要と考え、昔の民家やお寺の住職を訪ね地域を知ることに努め、また棚田での農業体験に参加し住民との交流をするなど、本番の下地づくりを行っています。このような事前の取組をすることで、本番のツアーがスムーズに展開できたと考えます。

実証による分析・評価は次のようになっています。まず地元住 ルネッサンス2 民は他地域から人々が来ることを歓迎しており、今後も地域活性化のためには自然、農業、歴史を活かした交流が必要と感じています。交流は自分が変わり、地域が変わり、みんなが変わるとしています。   
 今後リピーターを増やして行くためには、なじみの店でのおいしい食事、催物の実施、なじみの人とのふれあい、温泉の活用などが必要だと分析しています。また、季節に応じた企画やコミュニケーションの時間を取るなどして郡山フアンを増やし、地元の人々との顔の見える交流をすることで輪が広がるとし、人間関係の構築が基本であると提案しています。
  信頼関係ができると定期的に訪問者が増え、農産物の購入にもつながり、地域経済に対する貢献も大きくなります。郡山は市内中心部から30分の距離です。旬の情報を伝達することが交流人口の拡大を可能にします。

 観光地づくりは、訪れる人と住む人がともに楽しく感じる「訪れて良し、住んで良し」の地域づくりです。人口の高齢化と少子化は、地域の活力を少しづつ失わせています。行政に頼るだけでなく、まず地域の取り組が大事です。また地域資源の活用は、一過性のものではなく継続した循環型の市場の創出が必要です。
  地域活性化に取り組む団体が、県内でも多くなってきましたが、女性だけによる取組はまだ少ないと思います。その意味で今回の事業に取り組んでいる篠原さん、小野さん、松元さん、幸福さんの4名グループの一生懸命な活動に拍手を送るとともに、今後の活動に期待したいと思います。

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