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「第2回かごしま観光人材育成塾」の開催について  〜観光プロデューサーズコラム〜

     
                    2009年9月28日
 
 
昨年に引き続き、「かごしま観光人材育成塾」の2回目を開催いたします。九州新幹線の全線開業を1年半後に控え、まさに「地域力のアップ」とそれを担う「人材の確保」が求められています。昨年はフィールドワークやワークショップなどの講座があり4日間の日程でしたが、今年は2日間の参加しやすい日程となっており、今年の講師は、実際に地域づくりを実践している方々が中心となっております。 
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県は今年から「よかとこ博覧会」を県内5地域で開催しますが、大隅地域の「おおすみわっぜよかど博覧会」の中心メンバーである「ローズリングかのや」の丸野里美さんが、今年の博覧会の組織づくりやメニューづくり、実践に至るまでの苦労や今後の課題について講義します。「おおすみわっぜよかど博覧会」は、参加者が500名を超え、盛況裡に終了しました。今まで大隅地域は、観光的には脚光を浴びることは少なかったと思います。地域素材をいかしたメニューづくりとそれに関わった人達の努力に感謝したいと思います。新幹線開業後も誘客は容易ではありませんが、地域づくりの方向性が語られるのではないかと期待しています。 

 NPO法人ウィズアス代表」の鞍本長利氏は、神戸市内で介助者も共に楽しめる優しいまちづくりを実践されており、大変好評を得ています。各地域では、今ハンディキャップをもった方々のために優しい街づくりがすすめられていますが、介助者も共に楽しめるユニバーサルな優しいまちづくりには何が必要か、鞍本さんの講義から我々に大きな指針を与えてくれるのではないかと思います。自治体の担当者には参考になると思います。 

 「(株)観BGoy149_01.jpg光ビジネスコンサルタンツ」の代表取締役 西川丈次氏は、年間300日の観光業の現場コンサルティングを通し、高い志を持った企業のネットワークづくりに努力されています。現在観光経済新聞に「観光業活性化ホスピタリティレポート」を毎週連載されており、記事を読んでいる方が多いのではないかと思います。経営ビジネス業界の雄である船井総研でも多くのセミナーを開催されています。また旅行代理店向けの著書「Monday Report 旅行業の夜明け!」の中で述べられている、顧客満足の創造=えこひいきビジネスの考え方が話題になっています。 

 N200909272349106544.jpgPO法人おぢかアイランドツーリズム協会」の専務理事の高砂樹史氏は、長崎県の五島列島の北端に位置し、人口3000人の島である小値賀(おぢか)島の地域おこしに情熱を注いでいます。夏にはアメリカの高校生を数百人単位で民泊の受入を行っており、また国際音楽祭の開催、最近では修学旅行の誘致にも取り組んでいます。多くの離島を抱える鹿児島県ですが、学ぶことが多いと考えます。 

 「地域創造プロデューサー」の二瓶長記氏は、イベントクリエーターとして、地域の負の遺産を活用したイベントを提案・実施して、多くの自治体のまち興しに貢献されています。神社の階段を活用した「ひな人形」の展示や、地域の小川を活用した「こいのぼりの清流流し」など、ユニークなイベントの実施は話題となりました。経験に基いた著書「このままではもったいない200909272352206544.jpg [発行:長崎出版」は、地域の観光まちづくり実践塾に良く利用されており話題となっています。

  野菜ソムリエ西迫峯洋氏が勤める「道の駅川辺 やすらぎの郷」は、県内の道の駅の中で常に売上げが上位にランクされるお店です。ここで作られる豆腐は美味しく多くのファンがいます。また地域の素材を生かした新しいスィーツの開発などに積極的に取り組んでいます。いま食に対する安全・安心が問われており、その中で特に道の駅の人気が高まっています。食と観光の連携についてこれからの戦略が楽しみです。 

 JR九州リテール(株)」の鹿児島支店長の中村修氏は、昨年に続いての講義となります。当時の国鉄に入社以来、赴任先の駅の美化とサービス向上に取り組まれ、特に初代鹿児島中央駅の駅長として奮闘され、駅を九州NO1のサービスの良い駅になるまでに育てられました。彼の小さい頃の苦労、母親に対する愛情、小学校時代の恩師との交流など頬を濡らす話は、参加者の感動を呼びました。新幹線全線開業をひかえて鹿児島の観光のあり方について、示唆に富んだ話が聴けるのではないかと思います。

  今観光はまさに人であり、現場で実践している人の体験に説得力があります。それぞれの講師の話が地域づくりに欠かせないと思います。また、期間中には講師、参加者との交流会も予定しています。
 
多くの参加者のもとで、有意義な育成塾になることを期待しています。

シニア向けの生涯教育学習プログラムの展開について 〜観光プロデューサーズコラム〜

2009年9月21日           

 今年も11月4日か2009092023062826833.jpgら13日間の予定で、「鹿児島大学シニア短期留学」が始まります。4回目となる今年のテーマは、「鹿児島の食と農業から見えるものとは」です。この講座は国立大学法人鹿児島大学が、地方自治体などの協力を得て実施する生涯学習プログラムであり、同様なプログラムを展開している大学としては、実施時期は異なりますが、北海道大学、弘前大学、岩手大学、信州大学、岐阜大学、滋賀大学、山口大学などがあります。  

  このような2009092100082328099.jpgシニア向けの生涯学習のカリキュラムを全国の大学が開催している背景には、次の理由が挙げられます。日本は今、急速な高齢化社会が進んでいますが、シニアの学びに対するモチベーションは高く、よりアカデミックな場で勉強したいというニーズがあります。また地域では人口が減少し、新しい取組で交流人口を増大させ、地域活性化をめざそうという動きが求められています。一方国立大学も法人化され、よりいっそうの経営感覚が求められており、大学のキャンパスを一般に開放することで、大学のイメージアップと地域社会への貢献が可能となり、大学を身近なものとしてPRすることができます。このような背景があり、シニア向けの知的好奇心を刺激するカリキュラムを用意する大学が増えてきています。 

 今年の講座2009092023142427236.jpgの内容は、?鹿児島の伝統産業や食文化のルーツを廻る。?歴史・文化を学ぶ。?鹿児島の自然と人間の共生を理解する。?アクティビティとして知覧茶、焼酎蔵、姶良牛の競売風景の視察、吹上浜の漂流物の観察など多彩なプログラムとなっています。
 
 鹿児島県は日本有数の農業県です。南北600キロに及ぶ自然の地理的特性から生み出される農産物は豊富にあり、生活のなかから創り出された食の魅力は、観光鹿児島を支えています。講座は教室での座学だけでなく、週末には受講者が自ら県内を回り、地域の方々との交流もでき、広く鹿児島の観光も楽しむこともできます。滞在しながら学ぶことで鹿児島の新たな魅力に触れる機会にもなり、リピーターになる可能性を秘めています。

  ところでいままで国内旅行の需要を支えてきたのは、60代のシルバー層でした。しかし近年その需要が急速に落ち込んでいます。やはり年金問題や医療費に対する不安が、財布のひもを堅くしているのではと思います。しかし地域の自然・歴史・生活・文化を探求するために、出かけて行って勉強したいという従来と違った旅行のスタイルが、シルバー層の需要開拓になります。日本の各地で郷土の歴史や民話、祭り、食、偉人の足跡などを学ぶ「地域学」が盛んになっています。大学も新規の講座開設や「地域学」を導入することで、開かれた大学として市民にも愛されることになると思います。 

 一方受講者をいnariakira_dozo_w240.jpgかに増やすかが課題でもあります。募集人員は25名ですが、全国からの申込者が増えることが波及効果が大きいと思います。カルチャーセンターと提携し講座への組み入れや、大学の広報体制を再検討してコアの層にPRしていくことが重要と考えます。 

 今年は「島津斉彬生誕200年」にあたり、関連するイベントが予定されています。集成館事業を中心に、日本の近代化を進めた斉彬の偉業を学ぶ良い機会にもなると思います。高い向学心を持つシニアに是非鹿児島大学のキャンパスに来ていただき、青春時代に還り交流を深めていただければと思います。 
  
 

連泊を可能にする指宿の地域づくり 〜観光プロデューサーズコラム〜

                2009年9月14日

                                      鹿児島県観光プロデューサー 
                                                        奈良迫 英光 

 
指宿温泉は、毎年観光経済新聞が実施する「プロが選ぶ温泉地の人気投票」で、常にトップ10に入る人気の温泉地です。 昨年は大河ドラマ「篤姫」の放映の効果で、延べ宿泊観光客数が172万人で前年比110%となり、地区別では一番の伸びとなりました。今和泉のボランティアガイドの方々の心温まる案内に対して、観光客から多くの感謝の声が届けられました。また近くの今和泉小学校と指宿商業高校の生徒さんの礼儀正しさも話題になりました。地域が盛り上がってきたと感じてい
100-0098_IMG.jpgます。 

 今年は経済不況に加え、大河ドラマの反動や円高による外国人の減少などで宿泊客が大きく減少しています。指宿地域は、豊富な温泉や食の宝庫であり、また知覧、坊津、笠沙など後背には優れた観光地が控えています。錦江湾を挟んで大隅半島や湾の先には種子・屋久を望むポテンシャルの高い観光地です。今後の指宿地域の観光振興について考えてみたいと思います。  

 個人旅行が主流となっている現在、滞在や交流ができる観光地づくりが求められています。隣の宮崎県は、空港から市内まで30分程度で行けます。代表的滞在型施設であるシーガイアには、タラソ、プール、エステ、ゴルフ場などの施設が隣接し、滞在に適した環境が揃っていますs_season1_0808.jpg。それに比べると、指宿は空港から2時間、中央駅から1時間とアクセス的には必ずしも恵まれているとは言えません。しかしながら滞在させるためには、指宿にきた観光客を連泊させる努力が必要です。特に旅行先で移動の手段を持たない交通弱者対策が必要です。坊津や枕崎方面には、週末にはホテルを巡りながら観光客を運ぶ周遊観光バスの運行も検討しなければなりません。また世界遺産の島「屋久島」は、指宿から日帰りが可能です。指宿からの観光ルートを、指宿の観光パンフには必ず記載することなどで認知度が高まり、連泊につながることになります。 

 又、指宿は世界sunamusi32.jpgに類の無い天然砂蒸し温泉があり、それを利用したIT湯治の実証実験が昨年から始まりました。人々が、今まで体感的に感じてきた湯治効果を、現代のIT技術で分析し、観光や日常の健康づくりに活かそうという試みです。昨年の12月から2月に行われた第3回の実験では、モニターのストレス変化等のデータを収集・解析し、IT湯治の試みが技術的に可能であること、予想通りの結果が得られることなどが確認されています。今後各宿泊施設が協力して、多くのデータが収集され分析されることで、温泉の利用が健康増進効果につながることが実証されれば、今後のPR効果がさらに高まると思います。また、メディポリス構想も進められており、温泉と先進医療が連携した事業が、滞在につながると確信します。 
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 ところで今、知林ヶ島の整備が進んでいます。大潮のとき島への砂州ができ、歩いて渡ることができます。砂州ができる状況を近くの魚見岳から観察し、その後島に渡るなどのコースをつくることで新たな指宿のPRにつながります。韓国の歌謡曲にも登場しますが、まさに海の割れるシーンを見ることができます。年間の潮の満ち引きは分っており、エージェントも商品企画が可能となり、誘客につながると思います。 

 指宿は年2009091323325016592.jpgで見ると、9月の後半から5月のGWまでは、比較的観光客の誘致がしやすい状況にあります。秋から冬には暖かい場所に観光客は流れやすく、指宿は温泉や花、食に恵まれており人を飽きさせません。又菜の花マラソンやウオーキングなど全国的なイベントも冬には定着しています。しかも「おもてなしの心」は日本一と思います。やはり今後の観光客誘致は、夏場対策に力を注ぐ必要があります。夏はファミリー旅行が主で、子供に選ばれる仕掛けが大事であり、地域の自然の活用が求められます。海、山、川、の活用と、イベントを組み合わせた子供の体験を盛り込むことで滞在につながると思います。 

 九州新soukenniwa1.jpg幹線全線開業まで1年半となりました。開業時には鹿児島中央から指宿まで特急の運行が計画されています。博多から指宿まで2時間余りとなり、多くの観光客が指宿を訪れると思います。指宿を基点に坊津、笠沙方面へ、遠くは大隅半島や屋久島まで行くことが可能となります。そのためには、指宿が連泊できる街として選ばれることです。美術館や植物園、女性に好まれる食やスイーツの店、小物を扱う雑貨店などの情報発信が必要です。
 
 将来的には小型のクルーズ船やヨットが寄港できる港の整備を行うことで、富裕層の滞在基地をめざすことも重要です。今後とも、指宿が鹿児島を代表する地域として発展することを信じてやみません。

 

北薩地域のグリーン・ツーリズムの推進について 〜プロデューサーズコラム〜

                     2009年9月7日
 
 
北薩地域のグリーンDSC05687.jpg・ツーリズムの推進について、関係者相互の情報交換と、今後の取組や方向性を議論する会合に出席しました。グリーン・ツーリズムは、農山漁村地域において、農林漁業の体験を通じて自然、文化、人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動です。近年消費者の価値観やライフスタイルが多様化する中で、「癒し」、「自然への回帰」、「安全・安心」など農への関心が高まっています。グリーン・ツーリズムが注目される背景には、日本の置かれた厳しい現実があります。日本の高度成長に伴い、人口は地方から都会へ若者を中心に流失したため、農村部では今高齢化が進んでいます。また、市町村合併で、限界集落が増えており、交流人口を拡大することによる地域の活性化が今求められています。また、教育現場では、豊かな人間性や社会性の育成に向け、小学校等における宿泊体験活動の取組を推進しており、その場所を農山漁村に求められています。 

 このような中で、県内では、グリーン・ツーリズムに関心を持つ団体が増えてきており、そR0011991.jpgの先駆的役割を担っているのが、下津公一郎さんが代表を務める「NPO法人エコ・リンク・アソシエーション」です。南さつま地域、川内地域を中心に、今年は約5000人を超える学生を取り扱っています。今回交流会を実施した北薩地域では、薩摩川内市が教育市場をメインに、阿久根市、長島町、さつま町では一般の農業体験や民泊を実施しています。出水市は水俣市と連携し、NPO法人が中心となり教育旅行誘致の準備を進めています。しかし地域全体としての統一した取組はなく、多くの課題があると思います。

 まず、宿泊代をきちんと収受できる「農林漁業体験民宿業」の登録を受けた機関は少なく、ほとんどがホームステイ型の農家民泊です。さつま町にある4軒の登録を受けた民宿は、一般客中心に体験メニューを充実させるなど、ファンづくりに努めています。今後とも保険を付けることが義務づけられた農家民宿の登録を受けるのが基本であり、そのことがお客様に安心を与えます。 

 一方では、教育市場の拡大につれて受け皿づくりが必要になっています。県では、教育市場に限定してホームステイ型の受入についてガイドラインを作りました。定期的な保健所の講習会参加や手洗いの励行、食事を全員で作るなど細かい基準を設けています。是非徹底してルールを守ってほしいと思います。教育旅行の受入地として、全国では今70箇所で本格DSC05718.jpg的な取組が実施されています。他の地域にない特性を出すことが必要になっています。 

 今後の誘客にあたっては、ターゲット先を明確にする必要があります。一般の場合は、日帰り体験と宿泊が伴う場合があります。芋掘りや果実の収穫体験は、初めての方も参加しやすく、バス会社とのタイアップや情報誌でのPRで呼ぶことができると思います、その際、行程に旬の特産品の購入や近くの温泉入浴などがあると集客効果を高めます。宿泊が伴う場合は、滞在時間が長くなり、多くの選択肢を提供するなど地域の魅力付けが必要と感じます。また、福岡など遠方からの誘客は難しく、近隣の都市からの集客が中心となりますが、リピーター化することが大切です。そのことが定期的に農産物を販売できることになり、農家の経営安定につながります。 

 教育旅行については、県内の学校はもとより、修学旅行先として新たに鹿児島を選択する学校が対象となりますが、2泊目の宿泊地がどこになるかが重要であり、ルートの設定が必要になります。新幹線全線開業後は、出水か川内駅で下車する方法と、2009090623464229401.jpg飛行機や全行程バスを利用する方法があり、当然宿泊地も変わってくると考えます。民泊先が広範囲になるほど、2日目の宿泊地の選択には注意が必要です。

 教育旅行の行く先の決定にあたっては、エージェントの企画提案が必要です。是非エージェント社員の現地研修を実施することをお奨めします。 体験の内容について、一般の場合は単なる遊び感覚の人と、本格的農業体験を希望する人に分かれており、事前の確認が必要です。重労働になりすぎると2度と参加しないと思います。農業体験を好む人には、植え付けと収穫の2度の体験をすることでリピーターになり、定期的な農産物購入にもつながると考えます。学生は決められたスケジュールの中で、メニューをこなします。事前指導も徹底されており、ありのままの収穫体験をさせることが、感動につながります。夜の懇談の場が子供にとって一番の思い出づくりです。 

 グリーン・ツーリズムの推進には、コーディネーターの存在が大きく影響します。特に教育旅行は、広範囲に業務が重なり、学校と農家を調整する役割として大きな役目を担っています。是非地域での人材の発掘と育成を急いでほしいものです。 最後にグリーン・ツーリズムのニーズは高まっていますが、参加者の農業に対する認識は必ずしも高くないと思います。また、農業経営は簡単ではなく、厳しい労働も伴います。農業の大切さを知り、鹿児島の農業の安全・安心のブランドづくりをPRし、顧客になってもらうこともひとつの目的です。多くの県民が農業に関心を持ち、地域が元気になり、少しでも県産品が流通する機会になることを期待します。