トップページ > プロデューサーズコラム

「最近の教育旅行の動向」 〜観光プロデューサーズコラム


                      2010年5月31日

            鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光

  平成21年の本県への修学旅行等の入込状況がまとまりました。学校数は506校で、前年と比較すると28校増加し、人数(延宿泊数)も66,053人で4,467人の増となりました。 
 地区別の人数では、指宿地区が3,945人、種子屋久地区が1,535人、奄美地区が3,359人増加しているのに対し、鹿児島地区が1,602人、霧島地区が、2,2010053023211519908.jpg770人減少しています。
   

 増えた要因として、指宿地区は知覧の平和学習や南薩、指宿での農業体験等のニーズが高いこと、種子屋久地区は屋久島の世界自然遺産を背景とした環境学習への関心が高いこと、奄美地区は奄美の自然や文化に対する人気の高まりがあると思います。 
 一方鹿児島地区は、中学校は増加しているものの小学校と高等学校が2,100人減少し、大幅な落ち込みとなっている霧島地区は、学校のニーズが高いグリーツーリズムの体験ができる環境整備が遅れていることがあげられます。
 

 最近の教育旅行のニーズは、物見遊山的な旅行から農業・漁業などの自然体験、工場でのものづくり、街を歩きながらの歴史の勉強、原爆や戦争を通しての平和学習、ゴミ問題や水質汚染についての環境学習などさまざまであり、複数のカリキュラムを取り入れる学校が増えています。

  昨年に続いて、鹿児島県を修学旅行先に選んだ奈良県の大瀬中学校のコースを検証し2010053023221519908.jpgたいと思います。鹿児島空港から、福山経由で垂水漁港に向かい、いけすでの餌やりとカンパチのにぎりずし体験からスタートです。生徒達は、初めて見る魚の飛び跳ねる姿に驚きの声を上げていました。その日は指宿温泉に宿泊し、翌日の昼から南さつま地域でのグリーンツーリズムと民泊の体験、翌日は知覧での平和学習と鹿児島市内でのまち歩き歴史探訪と、多くのプログラムを組み入れた旅行でしたが、生徒達は鹿児島に来て良かったと、満足していると、校長先生は語っていました。従来の行先は東京ディズニーランドだったということで、体験学習について心配されていましたが、自然の生き物の姿や初めて触れる土の感触、応対してくれた漁協、農家の人々の温かさが子供達を感激させたのではないかと思いま2010053023292319673.jpgす。 
 
ところで、大瀬中学校は来年度も同コースでの実施を予定していますが、鹿児島を修学旅行先として選ぶところが、奈良県から兵庫県、広島県と広がりをみせています。九州新幹線が全線開業することにより、新大阪から直通の「さくら」が運行されることもあり、来年以降鹿児島方面へ行先を変える学校が増加するのではないかと期待がふくらみます。
 
体験型教育旅行においては、大分県の安心院、長崎県の松浦や平戸、佐賀県の唐津が人気を博しています。鹿児島の優れた自然環境、歴史等を活かして他の地域との差別化を図り、新たな需要の開拓が求められます。
 
そのためには、学校のニーズに合うユニークな体験メニューの提供、また、受入側の安全面に対する意識を向上させ、体験学習における安全性を確保することが何よりも重要です。 

 鹿児島県で2010053023122719673.jpgは、農山漁村生活体験学習に係わる取扱指針を平成21年3月に作成しました。主な内容は、体験学習の範囲の明確化、受入農家等が食事を提供する際の制限、安全対策責任者の配置と講習会への参加、対価の受け取り範囲の明確化などを示しています。
 
生徒の宿泊先は、現在は登録許可をもつ民宿ではなく、農業体験をする農家であり、料理はみんなで作るというのが絶対的なルールであり、学校のキャンプの延長線として捉えなければなりません。

 また、保健所の指導により、手洗いの励行、生ものを出さない、火を通すなど保健衛生面での格段の配慮が必要です。また農業体験では、農機具などでけがや事故にあわないような体験メニュ2010053023270620155.jpgーを組み入れる必要があります。 また、受入農家等に対しては農林漁業体験、調理、家での団らん等の機会を併せて提供することを指導しています。特に感動するのは、夕食後の農家の人との団らんの時間です。都会の生徒の多くは、家庭での両親との会話が少なく、民泊先での温かい心のふれあいに涙する生徒が多く、子供達の情操教育にも役立っているのではと感じます。 

 新幹線の全線開業は、鹿児島への観光客の誘因効果を高めることは間違いありません。しかし永続的に安定した利用客を確保するためには、京都に代表されるように修学旅行生を誘致することが、一番の安定策です。鹿児島県は、教育旅行のニーズに対応できる環境が九州のどの地域よりも揃っていると思います。そのためには、地域での人材の確保、宿泊代として収受できる簡易宿泊所の登録推進、他の温泉地との連携などが必要と感じます。 また、教育旅行でのもう1泊は、温泉地でのホテル宿泊がほとんどです。経営者は、民泊先にお客が取られると非難するのではなく、新しい需要開拓で相乗効果をもたらすという考えに立つべきと思います。 一度鹿児島を訪れた子供達は、成人したらまた来てくれるリピーターにもなります。温かいおもてなしで、子供達に大きな夢をもって帰ってもらいたいものです。

「これからの屋久島の観光振興について」 〜観光プロデューサーズコラム〜


                   2010年5月24日  

          鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光                                     

            

 屋久島の初201005231703122328.jpg夏のイベントである「第17回超自然・屋久島ツーデーマーチ」が、15日・16日の2日間にわたって開催され、島外、島内から合わせて、750名の参加者がありました。この大会は、平成5年12月に、太古からはぐくまれてきた屋久島の貴重な自然が、世界自然遺産として登録されたのを記念して始められたものです。

  歩きながら屋久島の大自然を堪能できる素晴らしい大会であるといつも感じています。コースには、映画「もののけ姫」の舞台となった白谷雲水峡コース、ラムサール条約に登録された永田浜の近くをスタートし、西部林道を歩き大川の滝をゴールとする世界遺産コース、安房や尾201005231707123008.jpg之間集落など里山を歩きながら地域住民の身近な生活を感じることができるコースなど6コースがあり、参加者は屋久島の大自然を満喫している様子でした。
 
神奈川県から来た71才のご夫婦は、会社を退職したのを機に、ウォーキングを始めて全国を歩いているということで、残り2つの大会を歩けば、全国のメジャー大会の15大会を走破できると元気な声をかけてくれました。確かに足取りが軽いなと感じました。 

 小生は12回目の参加ですが、今回は白谷雲水峡の周辺の5キロを歩くコースと、13キロの里山を歩くコースに参加しました。白谷雲水コースでは、空き缶やごみが201005231824484312.jpg一つも落ちていないことに、ウォーカーも一様に感嘆の声を上げていました。また、さくらツツジが満開で、渓谷のせせらぎにその姿が映え一段とその美しさが印象的でした。また里山コースでは、到着地の尾之間温泉入浴が疲れた体を癒してくれました。透明な温泉ながら、つるつるした感触が屋久島の温泉の魅力であると改めて感じました。 

 ところで来春の3月に九州新幹線が全線開業しますが、屋久島は再びブームが起きるのではないかと、期待と不安を持っています。終着の鹿児島中央駅まで博多から80分、広島から2時間余りと近くなり、世界自然遺産の屋久島に行きやすくなります。また、新幹線の到着に合わせて指宿枕崎線には特急列車の運行も計画されており、その指宿から高速船で屋久島に行くこともでき、広域の観光ルートが可能201005231945376301.jpgとなります。 

 しかし課題は、増加する観光客に対して屋久島の自然をどのように守っていくかということです。縄文杉登山者のメインルートである荒川登山口までは、車の乗り入れが季節によって規制されています。しかしトイレの設置や携帯トイレ等の準備はまだまだ不十分です。登山者のマナー遵守を徹底させる取組が必要です。旅行エージェントのパンフでは、屋久島の環境保護の取組を掲載していますが、クーポンを渡すときに顧客への説明をするなど出発地で徹底することが事前準備につながると思います。また、宿泊先での事前指導や登山ガイドさんの協力なしには徹底できません。経済的価値を追求するあまり、環境保護が後手になるようでは、世界自然遺産の島が守れません。 

 屋久島で開校している「屋久島おおぞら高校」には、年間に全国から5千人を超える生徒が、訪れて美しい自然環境の下で勉強しています。島には学校の統廃合により空R0013491.jpgいた施設があり、これらを使って、全国の大学やカルチャーセンターなどを対象に、屋久島の自然環境を題材にしたカリキュラムを提供することも、シーズンを通して入り込み客の確保や屋久島の環境保護を理解させる機会にもなります。屋久島は、秋から春までの来島者の確保が課題と思います。 

 一方屋久島では、景観保護の取組も重要になってきています。最近量販店やコンビニの広告などが目立っており、道路沿いの旗や看板は、島のイメージを悪くします。観光客は、世界自然遺産の島として期待を持って島を訪れます。景観条例の制定など先進地の事例を参考に取り組んで欲しいと思っています
 屋久島の環境を守ることが、世界の屋久島としての価値を高めることにつながります。
 
いつまでも美しい屋久島の自然を守って行きたいものです。 

「若者が参加する新しい祭りと地域興し」 〜観光プロデューサーズコラム


                   2010年5月17日

            

         鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
                    

 鹿児島市の春の2010051623021919733.jpg一大イベントである「かごしま春祭り大ハンヤ2010 〜はじける想い かごしま一直線〜」が、4月24日(土)・25日(日)に天文館をはじめ鹿児島市中心市街地(全13会場)で、盛大に開催されました。開催に努力された鹿児島商工会議所をはじめ、協賛企業、実行委員会の皆様の努力に心から感謝したいと恩います。 
 年を重ねるごとに参加団体が増加し、今年は県内外から101団体、1320名が参加し、独特のコスチュームとリズムに合わせて華麗なパフォーマンスを披露し、多くの市民や観光客を楽しませてくれました。
 

 久しぶりに中心市街地が賑わった2日間であり、やはり若者が街に集まることが、商店街の活性化につながると感じました。鹿児島中央駅地区、天文館地区、ウォーターフロント地区の3地区の会場を回る人が多くみられ、日頃から回遊性を確保する街づくりが必要であることを、示唆してくれた祭りであったと思います。 

 市民参加型の祭りとして、高知の「よさこい」を取り入れた祭りが、全国的に広がりを見せています。県内では薩摩川内市の市比野温泉で、11月下旬に「よさこい祭り」が開催されていますが、そのきっかけとなったのが、毎年6月、北の都札幌市で開催される「YOSAKOIソーラン祭り」です。この祭りは、平成3年8月、当時北海道大学の1人の学生が、高知のよさこい祭りに感動したことに始まります。 

 街中で2010051623061819580.jpgきこえるよさこい節と、鳴子のリズム、同年代の若者が積極的に祭りに参加し、輝く姿の踊り子や、参加者だけでなく観光客も感動に包まれ、北海道民みんなが参加できる祭りをやりたい。参加者の生き生きとした姿を見たい。そんな思いを集まった学生たちに呼びかけ、官公庁や企業と交渉して、よさこい祭りと北海道の民謡ソーラン節を組み合わせた「YOSAKOI」が始まりました。 

 平成4年6月の第1回の参加チームは、10チーム、参加者は1000名で、観客は20万人でした。その後、年々成長し、2009年、第18回を迎えた祭りは、参加316チーム、参加人員3万3000人、観光客動員数は、延べ178万7700人にものぼり、祭りの経済効果は220億3850万となり、「さっぽろ雪まつり」と並んで北海道の夏の一大イベントに成長しています。 

 この祭りの柱は、?ルールとマナーを守ることを条件に、誰でも参加できる祭りづくりを目指す。?市民の自由な創造を基本とし、創意工夫を尊重する。?地域社会のコミュニケーションを大切にし、地域社会に元気と感動を届けることを目指す、の3つとなっています。
 
踊りについては、?鳴子を持って踊ることと、?演舞に使う曲に「ソーラン節」のフレーズを入れることのみで、ほかの制約はありません。自由に踊れることが参加しやすいことにつながっています。15日間の大会期間中には、会場周辺で食の物産店も開かれ、全国から訪れる観光客を楽しませてくれます。 

 ところで、日2010051623073519808.jpg本各地には伝統芸能として、「神楽」、「文楽」、「田舎歌舞伎」、「薪能」、「田楽」など人々が日常生活の中で生み出し、継承してきた民族無形文化財があり、根強い人気があります。しかしながら、それを演じる人は高齢化しており、各種イベントでの出演の機会を増やしたり、観光客が鑑賞できる場を提供するなどして若者に興味を持たせ、後継者を養成していく取組が求められています。 

 一方では、新しい祭りを創り出したり、従来の祭りのスタイルを変えるなどして、参加者を増やし、観光客誘致など地域の活性化つなげていく取組をしている地域もあります。

 「YOSAKOI」がその代表ですが、ここ数年急激に観光客が増加している「長崎ランタンフェステ2010051623111920103.jpgィバル」や、「大道芸ワールドカップIN静岡」、一部の山車を観光客に引かせる「ねぶた祭り」などがあります。若者を惹きつけ、参加型の祭りで盛り上げを図ろうとする動きが感じられます。県内でも、後継者不足から伝統的芸能の継承が厳しくなっている祭りもあります。やはり若者を積極的に起用することが、求められています。 「YOSAKOI」が盛り上がってきた要因としては、制約を最低限に抑えて若者が参加しやすくしたことや、コンテストを組み入れることで、競って衣装や音楽に工夫を加えることが、お互いの刺激となっているからだと思います。また、晴れの舞台で自分たちの踊りを披露できる喜びと連帯感が、今の若者にフィットしています。

 ところで35_pic.jpg、あるテレビ局のディレクターが、「祭りにおける単純な踊りの繰り返しは、お客様が飽きる」と中継の難しさを語っていましたが、動きが激しく、変化に富んだ祭りが、観客受けするのかもしれません。 


 今年の「かごしまハンヤ」を見学して、参加者のイキイキした姿に喜びが全身にあふれていると感じました。この祭りがこれからも益々発展していくなと強い期待感を持ちました。来年はもっと多くのチームが参加することを期待しながら、祭りを見つめていました。


   参考:観光とまちづくり 「社団法人日本観光協会発行」

「かごしま茶のPRと消費拡大を」 〜観光プロデューサーズコラム〜


                 2010年5月10日

        鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
          
  ゴールデンウs201005061403181.jpgィークも終り、新緑が一段と映える頃となりました。八十八夜という季語がありますが、立春から数えて八十八日目のことで、5月2日頃になります。この頃から茶摘を始めることが、昔から多かったようです。昔から、この日に摘み採られたお茶を飲むと、一年間無病息災で元気に過ごせると言い伝えられています。新茶の特徴は、若葉の「さわやかで、すがすがしい香り」にあります。  

 鹿児島県は、荒茶の生産高が静岡県に次いで全国第二位になっており、県内各地に茶畑が見られます。特に知覧、頴娃、有明、溝辺地区には広大な茶畑が広がっており、生産額も多く地域経済に大きく貢献しています。日本人は昔からお茶を飲む習慣があり、休憩時間やお客様のおもてなしとして出す飲物として、重宝がられてきました。しかしながら、手軽に飲める飲み物として、安いペットポトルのお茶が201004270916171.jpg、自動販売機等で簡単に買えるようになり、また、会議等でも出される場合も多くなっています。そのことが、お湯を沸かして飲むお茶の消費量が減少し、お茶の葉の売り上げが低迷している要因のひとつです。 
 一方、旅行に行く場合は、かつては弁当とお茶を入れた携帯ポットを持参していましたが、旅先でペットポトルを購入することが当たり前になっています。
  
 業界団体では、お茶の消費と販売拡大にさまざまな取組を展開しています。空港や駅での新茶のサービス、イベント開催時の休憩施設での試飲会などで
PRをおこなっています。
 
観光の面からも、お茶の消費拡大に貢献する必要があると考えています。宿泊観光客は、年間延べ約500万人にもなります。これらのお客様に、かごしま産のお茶を飲んでもらう機会を提供することが大切です。宿泊施設では、必ず県内の産地名を記入したお茶を提供することで、安全・安心感を与えることができます。メイドさんから宿泊客にお茶の産地や地域の特徴を語っていただくことで、そこの地域に足を運ぶと思います。 

 旅行商品企画でも、積極的に茶畑や工場見学、直売所などを行程に組み入れ、おいしいお茶の飲み方などを伝えることが、かごしま茶の販路拡大につながると思います。 

 知覧町では、img-507131732-0001.jpg観光客が施設で買い物をするとスタンプを押し、一定の金額になると、お茶をプレゼントするスタンプラリーの取組を、今年から始めました。また、グリーンツーリズムの取組として、お茶摘体験メニューを実施しており、知覧茶の販売拡大に努めています。有明町のW社では、お茶工場に隣接した販売所の敷地にホールを建設して地域コミュニティの場所として開放し、文化事業に合わせて、お茶の流通促進を図っています。

  最近イベント会場の一角に、赤い毛氈を敷いた茶屋を設置し、和菓子と小さな急須一杯のお茶を提供するなどして、かごしま産のお茶のPRに努めているケーP1020103.jpgスをよく見かけます。

 お客さんは、飲んだお茶に満足し、購入することが多いと聞きました。やはり沸かしたお湯で飲むお茶が格別です。 一方お茶は飲むだけでなく、お菓子の材料として、また料理等にも幅広く活用されており、飲食店でお茶を使ったメニューが増えることを期待します。お茶は各種の実験で、健康に良いというデーターが示されており、もっとPRすべきと思います。 
 
鹿児島では、「お茶一杯のおもてなし」ということが、昔からよく言われてきました。お客が来たら、まずお茶を出しなさいということで、そこからコミュニケーションが生まれるという考えです。かごしまの特産品であるお茶を、県内外にもっと広めていく必要があるのではないでしょうか。 

 最後に、今の季節にふさわしい文部省唱歌「茶摘」の歌詞です。口ずさんではいかがですか。            

   一、 夏も近づく八十八夜、野にも山にも若葉が茂る。
      「あれに見えるは 茶摘ぢやないか。 
      あかねだすきに菅の笠。」
 

   二、 日和つづきの今日此の頃を、心のどかに摘みつつ歌ふ。
      「摘めよ、摘め摘め、摘まねばならぬ、
         
摘まにや日本の茶にならぬ。」      

   昭和7年(1932年)『新訂尋常小学校唱歌』第三学年用
          参考「d-score楽譜」

「垂水市の観光振興に期待する」 〜観光プロデューサーズコラム〜

                    2010年5月3日

          鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光


 
垂水市img-430153048-0001.jpgは、錦江湾を挟んで鹿児島市の対岸に位置していますが、昭和30年代に3万人を超えていた人口は、現在約1万8千人余りであり、最近は桜島の降灰に悩まされている地域です。その垂水市の明るい話題として、新しい観光スポットとなる「猿ヶ城渓谷森の駅 たるみず」がオープンしました。猿ヶ城渓谷は、県立自然公園・おおすみ自然休養林に指定されている高隈山の麓に位置します。すばらしい緑の中に清冽な水が流れ落ち、所々に花崗岩の奇岩・巨岩が連なり、体全体に降り注ぐ緑と水のシャワーは爽快です。刀剣山の断崖には赤松(南限地)の美しい並木が続き心を和ませてくれます。 

 その猿ヶ城渓谷にオープンした施設は、工作や料理などの体験実習室や会議室を備えたふれimg-430153105-0001_1.jpgあい館が1棟、宿泊コテージが8棟、トイレシャワー棟1棟、炊飯棟1棟、オートキャンプ場などを備えており、コテージには80名余りが宿泊できます。夏場を中心に、学校行事のキャンプや登山者の宿泊基地、家族旅行、職場旅行、地域コミュニティの場所として活用できると思います。渓谷のスリルと自然のダイナミックをたっぷり味わえるワクワク、ドキドキのアドベンチャーランドとして、都会の喧騒を離れ、おいしい森林の空気と清流の音に触れる癒しの場所として人気が高まることを期待しています。1年を通していかに集客できるか、季節ごとの魅力発信が重要と考えます。特に教育市場で、年間の3分の一を確保することが安定的な経営になると思います。また、週末には港からの連絡バスの運行、「道の駅たるみず 湯っ足り館」との連携による宿泊増対策が欠かせません。 

 市では今、垂水市観光・地域活性化協議会が窓口となり体験メニューづくりに力をいれており、現在20のプログラムが用意されています。そのうち12のプログラムは、森の駅たるみずで体験できます。「草木染め」や「美しい水で作るそばうち」、20100503101607606.jpg「椿油でオリジナル美用品作り」「椿油でリップクリーム・石鹸作り」など、この地ならではのメニューが揃っています。  

 水迫市長は、就任以来まちづくりの重要政策の1つとして、交流人口の拡大による地域の活性化をあげられており、その中心となるのが観光振興です。市内には、桜島を望む場所にあり足湯が人気の「みちの駅たるみず」、つつじの名所高峠公園、アコウの巨木並木が続く宮脇公園などの名所があり、今回の「森の駅たるみず」が新たな観光スポットとして加わりました。 

 また、昨年20100503100732394.jpgから教育旅行のメニューとして、海潟地区垂水市漁業協同組合の「海の桜勘カンパチ餌やり体験」が、注目を浴びてきています。昨年1校であった教育旅行が、本年度はすでに4校の予約が入っており、今後増加していくと予想しています。錦江湾の波静かな海と桜島の絶景を望む位置にあることや、比較的に空港や鹿児島中央駅に近いこと、漁協の対応の良さなどが学校の信頼を得ていると思います。また、定期的に一般消費者向けにPRイベントを開催するなどの取組が、漁協が経営する直営レストラン「桜勘」の人気定着に繋がっています。観光客にもっとPRしていきたいものです。 

 その他市には20100503100808857.jpg、垂水島津館、宇喜多秀家公潜居跡、牛根地域の仏教遺跡など歴史遺産も多くあります。また、大野地区には、地元の中馬さんが長年に渡って育て、NPO法人かごしま探検の会の東川隆太郎氏が名付けた、「僕立公園」の一つである「垂水千本イチョウ園」があり、秋には銀杏拾いで賑わいます。中馬さんは、昨年から始まった「大隅よかとこ博覧会」の主催者のひとりとして、頑張っていただいています。  

 ところで後10ヶ月で九州新幹線が全線開業します。今まで鹿児島は、鹿児島市、霧島、指宿、屋久島といった地域に観光客が集中していまし201005031015221022.jpgた。全線開業により、博多駅と鹿児島中央駅間が1時間20分で結ばれ、終着駅からより遠くに観光客は行くことができます。大隅半島は、宮崎自動車道等の開通もあり長年観光ルートから外れていましたが、新幹線の時間短縮効果を大隅地域に引き込むチャンスです。今の観光のニーズは、物見遊山ではなく、食、体験、交流など地域の人・生活・文化にふれることを求めています。その意味で垂水地域に残る自然、歴史、文化遺産は貴重な財産です。観光客を呼び込むことで、経済効果だけでなく、人が育ち新たな取組へと発展します。年間を通して安定的に観光客を誘致して、地域の活性化につなげたいものです。