2010年8月30日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
中国産ギョ
ウザへの農薬の混入、ラベル張替えによる産地や日付の偽装など食の安全をめぐる報道が目に付きます。かつて問題となったBSEや食の大量廃棄なども、本質的には日本の食料問題に関することがらです。今まさに
食の安心・安全が問われており、日本の農業の在り方が問われています。旅行の途中に気軽に立ち寄れる「道の駅」が注目されていますが、道の駅の食材は、生産者の顔が見えることが購買者の心を捉えていると思います。顔写真が掲示されており、産品に作り手の熱意が感じられ一層親近感が高まります。ところで、団塊の世代の大量退職時代を迎え農業に関心を持つ人が増え、田舎暮らしを希望する人も増えています。貸し農園や果樹などのオーナー制度を導入する地域も増えており、食と農の在り方について見直しの環境が整いつつあると思います。
い環境を整備することが必要です。簡単な植え付けはやるけれども、日々の管理は農家に委託し、収穫作業は楽しんでするなどレジャー感覚で取り組んでいる人もいます。今農協の直営店舗である大分県大山農協の「木の花ガルテン」が話題となっています。福岡市に2店舗、大分県内に6店舗営業しており、形態も「農家もてなしバイキング」と農産物直売所の両方を兼ね備えている店舗3軒と、農産物直売所のみに別れています。特
に大山町の本店は、近くを流れる川や木々の緑が美しく、景観に配慮し、店舗に観光客が立ち寄りたくなる雰囲気づくりがなされています。また、地域の特産品を加工した調味料や梅製品、ジャム、ジェラードなどを販売しており、地域を感じる品揃えがなされており、通信販売に活かされています。 福岡県
岡垣町にあり「グラノ24K」が経営する「ぶどうの樹」は、農場の中にレストランを併設し、農園の中で結婚式やパーティを実施するなど多角的経営で話題となっています。自分の農場や近くの農家で収穫された農産物を積極的に取り入れ、パン、ハムソ−セージの製造、レストランでは定期的なメニューの入れ替えに農家の意見を反映させるなどお客様に対する安全・安心だけでなく、また地域全体の繁栄に主眼をおいています。
2つの会社に共通していることは、安全・安心の地域の産品にこだわっており、周辺の農家とともに地域全体の繁栄を目指して行く姿勢が明確です。特に「こだわりの商品」など地域ならではの商品開発に力を注いでいます。
鹿児島では新たな取組みとして、グリーンツーリズムへの動きが活発となってきました。平成23年度には、県外から1万人を超える学生の農業体験と民泊の予約が入っており農村の振興にもなると思います。新たな農業へのチャレンジとして、農業公園の設置や古民家を活用した農家レストランを始める人も出てきています。農村との都市との交流の機会が活発となり、活力ある地域づくりに寄与することを信じてやみません。
2010年8月23日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
ナポリ通
り沿いの甲突川右岸緑地等において、「“今の鹿児島”を体感!にぎわいの交流空間“ナポリ広場”の創造」を基本コンセプトに、市民や観光客が楽しく周遊・散策できるよう観光交流センターやオープンテラス等が整備され、8月4日に共用が開始されました。交流センター2階のテラスからは、桜島や甲突川沿いの緑、また夜間のライトアップも見ることができます。10月にはレストランもオープンの予定であり、女性が集まり観光客を呼び込む起爆剤にと期待が膨らみます。対岸にあ
り1994年4月に開館した「維新ふるさと館」は、鹿児島を代表する歴史資料館です。大河ドラマ「篤姫」が放映された翌年は、多くの観光施設の入場者が減少した中でも入館者が増加しており、根強い人気を誇っています。ところで甲突川
右岸緑地整備事業が完成したことで、中央駅を基点とする一つの観光のゾーンができたのではないかと思います。中央駅で下車した観光客は、今までシティビューに乗車して市内観光する人がほとんどです。これから新幹線の待ち時間に、ナポリ通りから甲突川右岸を散策し、交流センターで休憩し、南州橋を渡り「維新ふるさとの道」、「維新ふるさと館」、西郷隆盛や大久保利通の生誕地等を巡り、駅に戻る1時間程度のコースが人気を博すると思います。
ところで鹿児島市には、12の「鹿児島ぶらりまち歩き」コースもありますが、まず市民が参加し、わが街の魅力を知り語る必要があります。また、200名余りが登録している鹿児島ボランティアガイドさんの稼働率を上げるのも課題です。
鹿児島市は、加治
屋町一帯だけでなく、城山周辺、南州神社、磯地域、天保山海岸地区など、長崎に優る多くの魅力ある歴史遺産、観光施設等があります。12のコースに多くの市民が参加されることが、鹿児島の観光にとっても多くの宣伝マンを育てることになります。そして12すべてのまち歩きコースに参加者された方には、マスター賞などの称号を与えることで、励みと良い記念になると思います。市民の1%でもその称号を手に入れることで、鹿児島の観光に弾みがつきます。また、「○○サンと歩く」など常に話題を提供し、参加者の増を図らねばなりません。歩くことで日頃見えない鹿児島市の新たな魅力を発見することにつながり、また健康にもいい効果をもたらします。
来年の3月には、九州新幹線が全線開業し、終着駅効果で鹿児島市内には多くの観光客が訪れることが予想されます。案内所を訪れた観光客に、鹿児島の歴史をまず理解していただく場所として、今回整備された地域をPRしてほしいものです。新しい魅力が増えた甲突川河畔に、多くの観光客が集まる姿が浮かびます。温かいおもてなしの心をもって、観光客を迎えたいものです。
2010年8月16日
観光庁
によると、2009年の訪日外国人の総数は679万人で前年比18.7%と大幅な減少となりましたが、要因としてリーマンショックによる世界的経済不況、新型インフルエンザ等の影響があげられます。国・地域別で見るとアジア地域(韓国、台湾、中国、香港、タイ、シンガポール)から481万人と全体の70.9%を占めています。中国は、101万人で0.6%の伸びとなりましたが、他の地域は大幅な減少となっています。
ところで、鹿児島県を訪れる外国人は、韓国人が最も多く、次いで台湾、香港、中国となっており、
中国からの誘客が課題となっています。誘客については、定期的に韓国、香港、台湾、中国へのエージェントセールスを展開しています。鹿児島には、現在上海線が週2便、ソウル線が3便ありますが、台湾、香港はチャーター便に頼っているのが実情です。特に台湾については、定期便のある宮崎と連携した誘客が必要です。訪日旅行市場において、中国での最大のシェアは、華東地域(上海市、浙江省、江蘇省)です。7月中旬に中国の深セン、広州地域から誘致のため現地大手旅行社5社を訪問しましたが、各旅行社の日本担当者は、九州へは直行便が1路線(広州〜福岡)しかなく、しかも席数が少なくて料金が高く、ツアーの設定が難しいと語っていまし
た。広州地域からの九州への誘客は当面厳しいと捉えており、本県から距離的にも近く、定期便のある上海からの誘致を強化すべきと考えます。
現在福岡を訪れた外国人の次の訪問先は、長崎、大分、熊本の隣県に集中しており、要因としては、JRや高速道路を利用して2時間程度で行ける利便性にあります。長崎にはハウステンボスが、大分には人気の湯布院があり、熊本は阿蘇など話題に欠きません東アジアの観光客の主流は2泊3日であり、「福岡」+「熊本・阿蘇」+「湯布院・別府」のゴールデンコースに人気があります。幸い、来年3月に鹿児島まで九州新幹線が全線開通し、博多と1時間20分で結ばれます。
鹿児島県としては、
、今の中国人の旅行スタイルを見ると、その時代を彷彿させているようです。
2010年8月9日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
7月
30日に発表された6月の観光動向調査によると、県内主要ホテル・旅館の宿泊客数は14万6400人で、前年同時期より11.5%減少しました。宮崎県で発生した口蹄疫問題が大きく影響していると考えられます。地区別では指宿地区、霧島地区が17%、鹿児島地区も8%の減少となっています。特にゴールデンウイークの大型イベントの中止や入園施設の閉園が続いたことが、人の移動の制限になりました。宿泊を伴う旅行だけでなく日常の経済活動にも影響が出ました。
非常事態宣言の解除を受けて県では、観光客が落ち込んでいる地域の観光協会等の団体に対して、客を呼び込む活動経費などを助成することになりました。対象の経費は、リーフレットやノベルティの作成費用、キャン
ペーン特典経費、インターネット・文書発送等の経費、県外誘客活動の旅費・会場使用料などで、交付額は、1団体100万円が上限となっており、多くの団体に活用して欲しいと思います。
口蹄疫の風評被害が今回の落込みの最大の要因と考えられますが、通常時と変わらない鹿児島の観光地の現況についてあらためてPRするとともに、誘客促進を図らなければなりません。即効性のある商品の展開や延期になっている教育旅行を早めに実施することで回復機運が高まると思います。先日霧島市、姶良市、鹿児島市で撮影された大河ドラマ「龍馬伝」の新婚旅行等のシーンが、9月19日全国放映されますが、茶の間の話題となり、問い合わせも増加することが予想されます。ぜひ誘客の起爆剤にしたいと思います。
宮崎県では、対策として宿泊した県外観光客を対象に宮崎牛等が当たるキャンペーンなど
を実施していますが、鹿児島県では地域の連絡協議会や観光協会等の組織支援が中心となります。それぞれの地域の取組や安全面を強調することで、地域全体としてのPR効果を高めることが望ましいと考えています。サーズや新型インフルエンザ、家畜の伝染病が発生するたびに観光客はメディアの情報
に敏感に反応し、県内は観光客が減少していますが、終息宣言が出ると一気に回復してくるのが今までの傾向です。今回も回復にはそれほどの時間はかからないと思いますが、秋は全国的に紅葉、祭り、気候に恵まれ、一年で一番の観光シーズンとなります。通常でも需要が増加する時期であり、観光施設も供給には限界があります。口蹄疫で影響を受けた分をカバーするためには、施設によっては、シーズンオフとなる8月末から9月の中旬、12月に企画を集中させることも一つの方策と思います。
今回でも明らかになったように、消費者は安全・安心ということに敏感であり、また、隣県はもちろん、九州全体が口蹄疫に汚染されていると捉えているのではないか
と思われます。予約のキャンセルが6月以降急激に増加したことや、宮崎県や熊本県から入る観光コースが影響を受けたのもその例です。地域連携の重要性があらためて問われていると思います。
隣県ということで、本県の家畜が影響を受けることがないよう県境を中心として万全の防疫体制がしかれました。結果として発症家畜は出ませんでした。対策業務に従事された関係者に改めて敬意を表したいと思います。鹿児島の特産品である「黒牛」、「黒豚」は鹿児島のトップブランドであり、今回経済的に大きなダメージを受けたことは事実です。しかし「本物。鹿児島県」の信頼は保っていかねばなりません。これからも観光客に対して正しい情報を伝えることが何よりも大切ではないかと思います。
2010年8月2日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
NHKの大
河ドラマ「龍馬伝」の撮影が、霧島市、姶良市、鹿児島市で行われました。今回の
ロケは、霧島での龍馬とおりょうの新婚旅行の行動が中心です。ロケが実現したのは、伊藤知事をはじめ、鹿児島市、霧島市、鹿児島商工会議所、県誘致協、観光連盟などのNHKへの訪問など、日頃の働きかけの賜と思います。27日に行われた高千穂登山のロケは、県、観光連盟、霧島市のボランティアスタッフに加えて、NHKの撮影スタッフ合わせて200名あまりの協力のもと実施されました。スタッフ全員が高千穂河原に早朝4時に集まり、撮影は6時過ぎからスタートし、高千穂河原から高千穂峰の山頂までのシーン撮影が無事に終わり、高千穂河原に着いたのは夕日が沈む頃となっていました。登山道、山頂など足元の悪い厳しい自然環境の中で、無事に撮影ができたのも、ボランティアスタッフの協力あってのことと思います。
坂本龍馬と薩摩は、小松帯刀、西郷隆盛、吉井幸輔などを通して関係が深く、二人の霧島への旅行は、日本で最初の新婚旅行と言われています。慶応2(1866)年1月22日、京都の小松帯刀邸において薩長同盟が成立したその2日後、寺田屋で襲撃を受けた坂本龍馬は、手に傷を負い薩摩藩にかくまわれます。そして西郷隆盛などの薦めもあり、寺田屋のおりょうとともに鹿児島に向かうことになります。初めは鹿児島城下で過ごしますが、日頃から霧島の温泉の効用を知っていた小松帯刀らの助言により、ふたりはけがの治療のため霧島
への旅に出ます。日当山や塩浸、硫黄谷の栄之尾といった温泉を楽しみ、犬飼の滝や高千穂峰などの霧島の大自然にもふれる旅は、龍馬とおりょうの両人に深い印象を残したことと思います。二人の人生にとって霧島への旅行は、つかの間の休息であり、充実した時間ではなかったかと思います。
ところで、県内は宮崎県で発生した口蹄疫の影響等で観光客の減少という厳しい経済環境にありますが、宮崎県に隣接している霧島地域に特に大きな影響が出ています。県では、対策として観光関連団体が実施する事業への支援策を計画しており、一
日も早い回復を祈るばかりです。