トップページ > プロデューサーズコラム

「指宿地域の観光の再生について」 〜観光プロデューサーズコラム〜

                                          2010年11月29日 

            鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光 

 鹿児島市、霧島地域と並んで、鹿児島を代表する観光地の一つである指宿地域の宿泊客が低迷している。先日、nishiooyama_31.jpg鹿児島市在住者で組織されている「鹿児島指宿会」で講演する機会があり、指宿地域の現状と課題について話をした。
 
指宿地区の宿泊者は、4月から9月まで前年実績を割り込んでおり、特に7月は29.1%、9月は、23.8%の大幅な減少となっている。同じ温泉地を持つ霧島地区が、減少幅が小さく回復傾向にあるのに対して不振を極めている。県全体として、宮崎県で発生した口蹄疫の影響が大きく影を落としているが、指宿地域の現状は、必ずしも口蹄疫の影響だけではなく、地域の魅力が薄れてきているのではないだろうか。先月首都圏でのエージェントの企画担当者と話す機会があったが、指宿の売り方に苦心していると語っていた。

 指宿地域の課題について整理したいと思う。
指宿地域は、かつては新婚旅行のメッカとなり、第一次ブームが起きた。その後はバブルの恩恵で招待旅行や、大都市圏からの企画商品がヒットし、団体旅行を中心としてにぎわいを継続してきた。指宿の人気を支えてきたものは、世界に類のない「天然の砂蒸し温泉」であったが、あまりにもそれに頼ってきたのではないか。また近隣の知覧にある「100-0096_IMG_1.jpg武家屋敷と特攻平和会館」を訪れる観光客の恩恵も受けてきたが、年代層も代わり入館者も激減しており、その影響も受けている。また、団体旅行にあわせてつくった大きな部屋、宴会場などは、個人旅行が主流の今では効率が悪くなっているのも現状である。
 

 最近の観光客は、宿泊施設では洋室を好み、和室が主流の指宿温泉は敬遠されつつあるのも事実である。観光を済ませた後は、鹿児島市内のホテルに宿泊する人が多いという声を聞いている。飽食の時代になり、毎晩出される会席料理は観光客に飽きられており、街にでて好きな料理を食べることが望まれている。その意味で洋室が多く、1泊朝食型に対応できる施設が多い鹿児島市に人を集めているのではないだろうか。 

 指宿の街づくりでは、まず駅前の賑わいの創出が不可欠である。観光客が降り立つ駅周辺は、街の印象を左右する。宿泊したいと思わせる商店街の復活が望まれる。また温泉地には、人が集まりやすいたまり場が必要である。草津温泉の「湯畑」が代表的な存在であるが、指宿温泉はホテルが点在しており、その意味でも各ホテルから中心的位置にある指宿港に隣接した市場や物産館の設置が望ましい。 
nishiooyama_32.jpg
 また、指
宿港からは、世界で一番美しいといわれるロケット基地のある種子島や、世界遺産の屋久島に高速船が就航しており、指宿を拠点に日帰り観光も可能となる。もっと連携したPRや商品企画が求められる。JR最南端の駅「西大山駅」を基点に、レンタサイクルなどで近辺の観光地めぐり、坊津などローカル列車を活用した商品企画が滞在につながると思う。佐多岬、鹿屋バラ園との共同宣伝、周遊ルート定着には、一日も早いフェリーの再開が望まれる。
  

 温暖な気候を利用したスポーツキャンフの誘致や、グリーンツーリズムの推進は、宿泊施設だけでなく、農・水・商工業者にも大きな経済効果をもたらすと思う。将来的には、錦江湾を活用したヨットのサンセットクルーズや医療観光も指宿のイメージアップにつながると期待される。  

 ところでSEB201010200071.jpg新幹線全線開業に合わせて、指宿まで新たに観光特急「指宿のたまて箱」が運行されることとなった。外装が黒と白に半分ずつ分けられ、ドアが空くとミストが吹き出す仕掛けとなっており、座席は30席の2両編成で、すべて錦江湾を向いているなど快適な車両となっている。早く乗ってみたいという思いが募る列車だ。運行開始日には、観光協会の職員が乗車し、おしぼりのサービスや到着駅からレトロなバスを運行するなど盛り上げが必要である。また、列車はすべて指定席のため座席を満席にする努力が地域でも問われている。 

 最後に指宿地域には、
・感動を共有できるまちづくりを基本に、地域の素材を磨く、活かす発想で公共空間をいかに魅力的に創造できるか。
・一つの企業が恩恵を受けるだけでは継続できない。地域全体に経済効果をもたらすことが重要である。
・知林ヶ島や2010112821002823956.jpgフラワーパーク、開聞山麓などを活用し、半日もしくは1日観光客が楽しめる着地型メニューを提供し、多くの団体が協力して販売する仕組みが必要である。
・マーケットの主役は女性である。女性を意識した地域づくりと商品企画が求められる。・新幹線は多くの人を運んで来るけれども、誘客できるかは地域の取組にかかっており、四季折々の魅力アップと情報発信、人材の育成が求められる。 
 

 新幹線開業まで3か月足らず、1月には、「いぶすきなのはなマラソン」と、「なのはなマーチ」の2大イベントが開催される。指宿温泉の復活ののろしを上げたいものである。 

「第3回かごしま観光人材育成塾」を終えて 〜観光プロデューサーズコラム〜

                 2010年11月22日


          鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光

  鹿児P1040744.jpg島の今後の観光を担う人材の育成と地域づくりを目指して、「第3回かごしま人材育成塾」を開催し、今年は、過去最高の70名が受講しました。今年は九州新幹線の全線開業を意識して、新幹線がもたらす影響や今後の地域づくり、商品づくり、増加する県外観光客に対するおもてなしの態勢づくりなど、取り組むべき課題について7講座を設けました。 

 講座で述べられた内容について簡単に紹介したいと思います。
 
第12010112123461421977.jpg講座は、九州旅客鉄道(株)取締役鹿児島支社長の宮崎正純氏が、「九州新幹線全線開業について」講義されました。最速で新大阪から3時間45分、博多から1時間20分となり、その時間短縮効果は人、物、金の流れが大きく変わり、博多まで通勤距離圏内となる。ストロー現象も懸念されるが、大阪以西の沿線の人口は、2,827万人で大きな経済効果が期待される。鹿児島県にとっては2度目の開業であり、その効果を最大限活用してほしい。指宿まで新たに運行される観光特急「指宿のたまて箱」は、外装が黒と白に半分ずつ分けられ、ドアが空くとミストが吹き出す仕掛けとなっている。座席は30席の2両編成で、すべて錦江湾を向いているなど快適な車両の概要説明がありましたが、早く乗ってみたいという思いが募る列車です。列車はすべて指定席のため、座席を満席にする努力が地域でも問われると思います。 

 第2講2010112123482821841.jpg座は、オフィスフィールドノート代表取締役の砂田光紀氏による「観光の原点〜ドラマを生む素材と思想〜」についての講義であった。鹿児島には古くから「石の建造物」、「近代建築」、「美しい庭園」、「匠の技」等が残り、それらにもう一度光を当て、街を磨き、心を洗って旅人を迎えることがドラマを生み、旅人達に光を観せる原点となる。新幹線全線開業前夜の今、新しい視点で鹿児島の魅力を見つめるチャンスである。感動を共有できるまちづくりを基本に、地域の素材を磨く、活かす発想で公共空間の創造をいかに魅力的に作り上げるかではないかという内容でした。 

 第Mr.hirata.jpg3講座は、「おもしろ旅企画ヒラタ屋」の平田信也氏の「選ばれる観光地、施設とは」で、90分間舞台をいっぱい使いながら、観光客が満足する究極のおもてなし等について話があり、感動の連続であった。お客様には、非日常を徹底的に提供し、元気にさせることが第一である。マーケットを支えているのは女性であり、美、健康、食など差別化された商品を提供し、期待を裏切ることなく驚きと満足を与えることである。平田氏は2万2000名の「ファンクラブ」を持ち、まさに「カリスマ」的存在である理由が理解でき、90分の話に飽きることなく「おもてなしのこころ」の神髄に聞き惚れていました。  

 第4講IMG_6438.jpg座は、(財)飫肥城下町保存会の郡司均事務局長の、「賑わいと営みを復活させた飫肥城下町のまちづくり」についてでありました。飫肥は九州で最初に国の「伝統的建造物群保存地区」に選定されましたが、城から150m離れた本町通り商店街は衰退の危機に瀕していました。様々な団体を取り込み、町ぐるみで再生に取り組んでいるのが「食べあるき・町あるき」事業です。難産の末12軒の商店などでスタートした事業は、今では参加が41軒に増え、通りに賑わいが戻り商店街も活気が出てきたとのことです。地域の商店を取り込んだチケット販売の発想と、定期的イベントの仕掛けによる誘客は、まちづくりの参考になり、メディアの取材や自治体の視察が絶えないとのことでした。地域総力戦での取組が、町を復活させたと感じています。 

 第5講m-takahashi0002.jpg座は、九州観光推進機構事業本部副本部長の高橋誠氏が、「九州のインバウンド戦略」について講義しました。日本の人口はこれから減少し、国内旅行も伸びない。今後は外国人の受入が、地域活性化の一つである。受入にあたっては、それぞれの国の文化を知ることが大切である。ソウル〜釜山の新幹線線が開通し、ビートルを利用した観光客が鹿児島に来ることが可能となる。なお一層の受入態勢の充実が求められる。中国人には個人ビザが解禁となったが、日本では東名阪が主要なコースであり、九州まではもう少し時間がかかるのではないか。クルーズ船は順調に伸びており、今後も博多港を母港とするクルーズが定着するのではとの期待を込めた報告もありました。鹿児島でも外国船受入協議会の充実が求められます。  

 第6講P1040743.jpg座は、「森の弁当やまだ屋」の山田まゆみ氏が、「百年の旅物語かれい川の駅弁〜3年連続九州一になった秘訣」について、そのスタートから今までの成功の物語を熱く語りました。100年の歴史を持つ嘉例川駅周辺の活性化に役立ちたいという思いが、弁当の開発につながった。最初は30個作ったが売れず、近所の人に販売した苦労があった。メディアや九州駅弁コンクールで入賞するなどして人気が高まり、3年連続1位に輝くなどその弁当の人気は全国に広がっている。駅弁は、肉、魚等贅沢な食材を使っているのではなく、素朴な地元の食材にこだわり、また、お品書きにその履歴を表示し安全・安心の内容が評価されていると思う。販売箇所を「はやとの風」の車内と嘉例川駅に限定していることなども根強い人気につながっていると思います。 

 P1040748.jpg7講座は、JR九州リテール(株)鹿児島支店長の中村修氏が「おもてなし=思いやり=目配り・気配り」について熱く語りました。新入社員時代にトイレ掃除で表彰され、それがその後の人生の大きな励みとなった。九州新幹線部分開業時の鹿児島中央駅の初代駅長となり、同駅を九州管内の駅で「おもてなしNO1の駅」に育てた秘訣は、構内の美化とおもてなしであった。クレームに対しては、お詫びと感謝の気持ちを相手に伝えることが次につながると、自らの経験にもとづいた話は、時には熱くなり、涙を交えることもあり参加者の感動を呼びました。
 

  全体を通して講師の方々の話を要約すると

・地域の良さは、そこに住んでいる人々にはわかりづらい。よそ者、若者の視点で捉えるべきである。・観光の良さは、人を癒し元気にさせることである。
・町並を保存するだけでは、町に人は来ない。地域の文化財を活用しながら町を活性化する取組が必要である。
・一社だ2010112123411921767.jpgけがもうかってもだめである。多くの企業が参画し、地域にお金が循環することが大切である。
・一過性のイベントではだめ。連続性、継続性、安定性を追求し、多くの地域の団体を加えて事業展開することが不可欠である。
・顔の見える食材にこだわる。地域で取れた食材に限定し、お品書きにストーリーを書くことで消費者の信頼を得る。
・品数を限定し、売り場を絞るなどして商品価値を維持していくことが大切である。事業をスタートするには、大きな苦しみが伴う。賛同者を増やし、継続し、良いものを提供すれば、後から人はついてくる。
・いつまでも行政頼りでは、進歩しない。自らの努力で財政基盤をつくっていかないと事業は展開できない
・新幹線は多くの人を運んで来るけれども、誘客できるかは地域の取組にかかっており、四季折々の魅力アップと情報発信、人材の育成が求められる。
・マーケットの主役は女性である。女性を意識した商品企画と差別化が必要である。目的を絞った宣伝が効果的である。
・満足は当たり前、感動、感激を提供し、顧客を創り出さねばならない。リピート客をいかに獲得するかである。
・安価なものP1040750.jpgには、人の心は動かない。良い商品は高くても買ってくれる。 

 など参加者の皆さんの心に深く刻まれた講義内容と信じております。

 また、夜学塾では、参加者同志や講師陣とのコミニユケーションが図られたと思います。今まで人材育成塾を受講した方の多くが、それぞれの地域で頑張っていることは大きな励みになります。3回続けて受講された方が5人いました。新幹線開業まで4か月足らず、この講座が地域活性化の人材育成につながることを期待し、来年も多くの参加者が集まることを期待します。

「種子島の魅力とは」 〜観光プロデューサーズコラム〜

                2010年11月15日 

        鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光


 「第5回おもてなし100-0098_IMG_1.jpgセミナー」で、種子島を訪れました。本土最南端の佐多岬から南東約40Kmの位置にあり、鹿児島空港から35分、鹿児島港から高速船で1時間45分と比較的本土に近い島です。
 
かつてポルトガル人から鉄砲が伝えられた地であり、また、世界一美しいといわれるロケット基地があるなど、教科書にも登場し良く知られた島です。しかしながら県外の方は、他にどのような魅力があるのか、また、どこにある島なのかその位置を正確に答えられる人は多くいません。 

 島の魅力とPRについて考えてみたいと思います。種子島の東南端の海に囲まれたまばゆい景勝の地に、日本最大のロケット発射場である「種子島宇宙センター」があります。同敷地内にある「宇宙科学技術館」には、実物大のモデルやゲームなどを通して、宇宙開発におけるさまざまな分野を楽しみながら理解することができます。打ち上げの模様を大画面で体感することができ、子供たちが宇宙に興味を持つことができる貴重な施設と思います。小中学生にぜひ見学してほしい施設です。また定期的に発射場の近くまで行ける無料の見学バスがあり、大人も楽しめる場所です。いつか本番の打ち上げを見学し、その迫力を体験したいものです。 

 千座775t.jpg(ちくら)の岩屋は、太平洋の荒波で削られてできた洞窟であり、千人が座れる広さがあることからその名前が付いています。白砂を踏みしめながら、近づくと潮の満ち引きで変化する洞窟の姿が現れます。洞窟の中から望む夕日は格別です。また、近くにはメヒルギの自生地があり、教育旅行の体験に行かせるのではないかと思います。 

 島は遠浅のビーチが数多くあり、シーカヤックやダイビングなどマリンスポーツには最適な場所です。まだ、太平洋の荒波が打ち寄せる鉄浜海岸など、絶好のサーフポイントとなる海岸には、全国から多くのサーファーが集まり1年中楽しんでいます。島の飲食店には、昼はサーフィンで、夜は店で働いている若い男女を多く見かけます。サーフィンの全国大会を開催し、島のビッグイベントに育ててほしいと思います。 

 西之2010111420154212452.jpg表市内には赤尾木城址、日本初の火縄銃製造に成功し日本の歴史を大きく変えた「種子島時堯公の像、鉄砲の歴史が一目でわかる鉄砲館などがあります。また「月窓亭」は、大日本池坊総会頭職を務めた羽生道則などを輩出し、名だたる名家である羽生家の屋敷であり、明治以降においては、歴代種子島当主が居住するなどたいへん由緒ある建物です。
 
これら一帯を今、ボランティアガイドさんの案内で廻ることができます。西之表市は種子島の玄関口であり、高速船の発着に合わせて多くの乗降客があります。船の2時間程度の待ち時間をぜひ町歩きで楽しんでください。 

 西之表港は、大型クルーズ船が寄港します。島内観光だけでなく入港時には、島の特産品の販売や街でショッピングが楽しめ、経済効果をもたらす仕組づくりが求められます。 一方、種子島空港はジェット機が就航できる体制が整い100-0059_IMG.jpgましたが、乗降客は低迷しています。新たな航空路線の開拓やチャーター便の誘致も重要です。そのためには、世界遺産の島として知名度の高い屋久島との連携が不可欠です。両方の島に宿泊させるため、それぞれの違った島の魅力を提供することが求められます。共同パンフレットを作成するなど宣伝効果を高め誘客に努める必要があります。 

 島には新鮮な魚介類、日本でいちばん早く収穫されるお米、糖度の高い安納芋など食材も豊富です。グリーンツーリズムによる教育旅行の誘致は最適です。おもてなしの心を島ぐるみで醸成し、多くの観光客に応えていくことも重要です。また九州新幹線全線開業により、鹿児島、指宿がより近くなり日帰り観光も可能となります。これからの種子島の発展を心から期待します。  

「おおすみわっぜよかど博覧会?」へ参加しませんか 〜観光プロデューサーズコラム

                   2010年11月8日
 
        
            
鹿児島県観光プロデューサー  奈良迫 英光

 大隅地201011072239316461.jpg域で、「おおすみわっぜよかど博覧会?」が始まりました。九州新幹線全線開業に向けて、各地域では観光客を呼び込もうと、さまざまな取組を行っています。昨年の「おおすみわっぜよかど博覧会」には、900名を超える参加者がありました。地域の人が主役となった滞在メニューの新鮮さが、参加者の心を捉えたと感じています。
 
魅力ある美しい自然の残る大隅地域と、今年の主なプログラムを紹介します。  

 大隅半島の最南端の「佐多岬」は、太平洋の荒い波が打ち寄せ、突端に立つ灯台は、錦江湾や南の島へ行き交う船舶の目印とし重要な役割を果たしています。展望台からは、種子島、屋久島、硫黄島、対岸の薩摩半島の開聞岳を望むことができ、東シナ海に沈む夕日は格別です。佐多岬のある南大隅町では、地元の隠れた食材を使った「星空の下のディナー」が開催されます。厳選した、南大隅のフルコースをご堪能ください。 

 道を北201011072243466564.jpg上し、内陸部に入ると「花瀬自然公園」があり、川の中に見渡すかぎり石の絨毯を敷き詰めたような景観は、流れる水から湧き上がるしぶきが白い花のように見えることから「花瀬」と名づけられました。かつて薩摩藩主「島津斉彬」が開いた茶会のお茶亭跡が、川の近くに残っており、当時の情景が偲ばれます。花瀬では、「猪鹿倉集落の歴史散歩と郷土色ランチ」のメニューです。山奥の原生林を訪ねて、歴史ある猪鹿倉集落に在住する名人が作った、絶品のお弁当を手にゆっくり、のんびり秋の風景を楽しんでください。 

 「花瀬」から渓谷を抜けると、「岸良」の海岸に出ます。近くの畑を通ると老人が仕事を休めにっこりと手を振ってくれることがよくあります。田舎の良さは自然の美しさだけでなく、人の魅力をも残していることです。旅先で温かい人情にふれると心が和みます。  

 なだらかな坂道を走らせると、太平洋を見下ろす場所に「内之浦宇宙空間観測所」があり、resize_13.jpg国産ロケットの発射はここから始まりました。国見トンネルを抜け国道448号から220号線を行くと志布志に着きます。志布志は、古くから港町として栄え、古い商家の佇まいや、国指定名勝の武家屋敷が軒を連ねます。また、古くからの湧水が至るところにあり、番所跡や城址に神社仏閣など、歴史を感じさせる街づくりが旅人を魅了します。志布志観光ガイドが案内する「歴史探訪と自分探しの旅」を紹介します。まずは座禅(写経)で自分を見つめ、夜は田んぼに囲まれた民宿で芋焼酎を飲みながら満天の星と語りあいます。秋の虫の音色が聞こえそうです。大隅地域は焼酎工場が多く、体験として「世界に1本!オリジナルラベルの焼酎をつくりませんか?」のメニューにチャレンジしませんか。世界に一つの焼酎をつくり友人にプレゼントしませんか。 

 鹿resize_56.jpg屋には、「かのやばら園」がありますが、4000種、50000株のばらは、西日本一の規模で、大隅地域の観光の核となる施設です。近くの鹿屋市漁港では、「突撃!漁師の晩ごはん」の体験メニューを準備します。カンパチ漁師が腕を揮うプリプリのカンパチの刺身、芳醇な燻製・アツアツのカマ焼き。どれをとっても価値ある逸品です。秋の夜長を楽しんでください。 

 垂水地域では、「宇喜多秀家公潜居跡を訪ねて」の400年前にタイムスリップしたメニューが実施されます。平家の落人・平野氏は、牛根に隠れ住み、財力をつけて、関が原の戦いで破れた西軍の武将・宇喜多秀家の世話をしたと伝えられています。子孫の方が供養されている場所を、地元の案内人と一緒に訪ねます。興味ある関が原の戦いが語られるのではないかと思います。 
 最後に桜島の絶景を見ながら快適フィッシング「錦江湾イカダ釣り」です。船で錦江湾に浮かぶ大きなイカダに渡り、桜島の雄姿を間近に見ながら釣りを楽しみ、船上では、バーベキューコンロで船上パーティです。桜島の噴火する姿を見るチャンスもあるかもしれません。
 

 今年は201011072244266564.jpg、紹介したメニューを含めて93のプログラムが実施されます。大隅地域は、美しく移らう四季、豊かな自然、美味しい食材などが豊富にあり、郷愁を感じさせます。多くの人との出会いが、きっとあなたの旅情を高めてくれるはずです。四季折々の美しい草花が咲き乱れる田畑、森、太平洋の黒潮が押し寄せる荒々しい岬や白砂青松の美しい海岸、小鮒が泳ぐ清流など日本の原風景がいたる所に残り、「故郷」や「赤とんぼ」、「夕焼小焼」、「早春賦」などの小学唱歌が似合います。あなたもぜひ「おおすみわっぜよかど博覧会?」に参加し、大隅の魅力を堪能しませんか。                        

   参考:みちくさ10月号

「がんばろう“奄美大島”」 〜観光プロデューサーズコラム〜

                    2010年11月1日                   

            鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光 

                 
 
先日の1.jpg記録的な豪雨で奄美大島は、大きな被害を受けました。赤木名から古仁屋に至る国道58号線は、数カ所が崖崩れで通行止めになり、沿線の住民の一部は、避難生活を送るなど不自由な生活を強いられています。集落に通じる道路が寸断され、ライフラインの復旧が遅れた奄美市住用町戸玉と市の2集落は、24日ようやく停電が解消されました。 

 今回の豪雨で奄美大島への観光客の入込みが懸念されます。連日現地の状況が全国に報道され、奄美大島には行けないと錯覚してしまうからです。過去にも地震や水害が発生するたびに、国内で同じようなケースが発生しています。災害が発生した地域に行くのは、地域に迷惑がかかるという考えを持つ人が多いのも事実です。道路が復旧し、ライフラインが整備された場合は、観光に積極的に出かけて、人々を励まし、宿泊施設や飲食店を利用することが、地域貢献になると思います。 

 被害が大きk_manglobe1.jpgかった住用町の住用川と役勝川の河口には、マングローブの林が広がります。両河川には、絶滅危惧種リュウキュウアユが生息し、マングローブ周辺が冬場の稚魚の成育場所にもなっています。その原生林をカヌーで回ることができ、水面からみる風景は、ジャングルの奥地を探検している気分になります。学生団体や熟年の体験ツアーが人気となっており、今では年間2万人の利用があります。1日も早い再開を望んでいます。 
 心配されていた「横浜ベイスターズ」の秋季キャンプは、予定通り実施されることが決まり、奄美の関係者はほっとしていることだろうと思います。
 
奄美はこれからが観光のシーズンです。温暖な気候と、地域住民のおもてなしが観光客を温かく迎えます。県民の皆様もぜひ奄美に観光に出かけて欲しいものです。 

 ところで、奄美の島々は港が整備され、クルーズ客船の寄港が可能となり、今では国内外かCABQ8S8J.jpgら観光客が訪れています。しかし一方では、ジェット機の就航が可能となり、入込客は昭和50年に比較すると、船が2分の1に,飛行機が2.3倍となり、完全に空路優先となっています。時間短縮効果は大都市圏からの誘引効果を高め、ゴルフ客や冬場のスポーツ合宿等の新たな客層の需要開拓につながっています。奄美には生活に根ざした独特の伝統文化が残っており、島唄は、集落に伝わる民話を唄に託したもので、三線の音色に誰ともなく輪ができ、居酒屋では遠来の客も時を忘れ、島唄の調べに宴が盛り上がってきます。50才の時奄美に移り住み、清貧で孤高な生き方を通した田中一村は、奄美の自然をこよなく愛し、絵筆でその美しさを表しており、彼の魂の鼓動が聞こえる奄美パークは、島のシンボルといえる建物です。 
 
また、奄美群島は、太陽に輝くエメラルドグリーンの海や珊瑚礁に色とりどりの熱帯魚が遊泳しama01.jpg、ダイバーを楽しませてくれます。歩けばサクッサクッと音がする白い砂浜を、ソテツやアダンの並木が取り囲み、海の青とのコントラストが映えて一段と美しく、誰もが感動します。金作原原生林には、巨大なシダ、ヒカゲヘゴが育ち、ルリカケスやオオトラツグミ、アカヒゲ、オオゴマダラが生息しており、これら貴重な動植物が織りなす幻想的な大自然は、「東洋のガラパゴス」と呼ばれています。 

 環境省は、国の天然記念物アマミノクロウサギなど固有種が生息する奄美群島を新たな国立公園候補にあげ、早ければ2011年度の指定を目指しています。 奄美群島は沖縄に比べて手つかずの自然が残っており、稀少種が生息し生物の多様性が世界的な価値をもつと言われています。そして今回国立公園候補地になったということは、世界自然遺産登録への条件整備が進むことにもなり、大きな意義があります。海、山、川の自然生態系に癒される奄美を、皆さんで応援し、1日も早く元気な島を取り戻して欲しいと願うばかりです。