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九州新幹線全線開業 「南大隅町」の観光振興を考える 〜観光プロデユーサーズコラム〜

2011年1月31日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光

201101302122298139.jpg  南大隅町は九州本島の最南端に位置する町であり、旧佐多町と旧根占町が合併し、人口8,900人の町です。高齢化が進み1世帯当たり2.16人で、今後も人口減が続くことが想定されています。地元の商工会の依頼で、商店街の活性化と観光振興について話す機会がありました。

 南大隅町は最南端の佐多岬を最大の観光資源として、昭和40〜50年にかけては年間20万人にのぼる観光客が訪れ、特に新婚旅行のメッカとして賑わった時代がありました。しかしながら新婚旅行は海外が主流となり、また九州自動車道宮崎ルートの開通により、団体旅行のバスツアーも日南海岸〜都井岬〜志布志〜佐多岬〜根占〜山川というコースが減少していき、佐多岬ロードパークの入り込み客は、今では4万人程度まで落ち込んでいます。

 人口と観光客の減少は、地域の商店街にも大きな影響を与えており、観光振興による交流人口の拡大が求められています。今後の商店街の活性化と観光の在り方に考えてみたいと思います。

img-126140714-0001.jpg  商店街の活性化については、地域のイラストマップにお店や特産品を記入し、住民や観光客に目につきやすい場所に置く等のPRが必要です。またお年寄りが多くなり自由に動けない人が出てきており、電話やFAXなどでの申し込みを受け付け配達するなどの配慮が必要です。一人暮らし、二人暮らしが多くなり消費のサイズが小さくなっており、商品はこまめにしてチョイスできるような工夫が必要と感じます。田舎流のおもてなしを心がけ、店先に木製の椅子や花を飾るなど入りやすい雰囲気づくりをしたり、団らんの場所としてたまり場をつくることも大切と思います。

 観光については地域の自然・歴史遺産を四季折々の魅力とともに情報発信することが求められます。花の季節(桜、つつじ、菜の花、コスモス、梅)やくだもの(みかん、ぶどう、レイシなど)の旬の情報が必要です。県内で定着してきたグリーンツーリズムの受け皿づくりも重要です。遊休地の活用は経済効果をもたらし、年寄りの生き甲斐づくり、コミニティの確立には最適であり、最南端の町での体験は話題になります。 地域にある神社の階段に赤絨毯を敷き、家庭に眠っているひな人形を展示したり、鯉のぼりを河川に泳がせる演出で人を呼べるのではないでしょうか。

zanteihyousi.jpg  公共交通の整備されていない観光地へは、車での移動が主流となりますが、目的地までの誘導が大切です。そのためには、パーク&ライドの推進が必要です。国道沿いの「道の駅」まで車で来ていただき、そこを集合場所として観光地までの巡回バスを走らせることも一つの方法と考えます。特にトレッキングや田園・山岳方面へは活用方があると思います。帰路には元の場所に戻り、地域産品を購入する機会にもなります。

   南大隅町は九州本島最南端の町であり、それを活用した観光客誘致もおもしろいと思います。町内にある郵便局、学校、幼稚園、神社、お寺、銀行、食堂、漁協、農協など最南端100選を選定してスタンプラリーを展開し、訪問箇所数に応じて観光客に町の証明書を発行すれば記念になります。最初は10箇所から始めてもいいと思います。

  201101302131068572.jpg  これからの観光は地域連携が大切です。鹿屋航空隊の航空ショーや「かのやばら園」にきた観光客を誘客する必要があります。二つのパンフレットにはぜひ南大隅町の魅力を掲載して欲しいものです。 根占にあるネッピー館は、大学生のスポーツ合宿への活用方が求められます。周辺のグランドや信号機の少ない道路を活用し球技、陸上競技など利便性があると思います。昼間は地域の住民に、夜は合宿所としての利用拡大が地域への経済効果をもたらします。

 ところで、大隅半島と薩摩半島を結ぶフェリーの休止が、観光客誘致の妨げになっていることは言うに及びません。陸路佐多岬を訪ねて、また同じ道を引き返すことの不便性を観光客にはPRできません。新幹線も全線開業する機会に一日も早い再開が望まれます。そのことが南大隅町にとっては観光客誘致の生命線と考えています。
 最南端という不利性を、全線開業を糧にぜひ優位性に変える取組を展開したいと思います。

「九州新幹線全線開業 「きゃんぱく」の成功に向けて」 〜観光プロデューサーズコラム

2011年1月24日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光

IMG_2637_1.jpg   3月12日の九州新幹線全線開業まで、1ヶ月あまりとなりました。川内駅には、新大阪直通の「さくら」が1日上下計21本停車します。市、議会、市民団体が足並みをそろえて陳情した成果が、結果として示されたのではないかと思います。しかし終着駅鹿児島中央駅に近く、お客様が素通りにするのではないかと懸念されており、受け皿づくりが急がれる地域であります。川内駅で観光客を下車させるためには、魅力ある街づくりと地域の情報発信が求められます。先日「第6回おもてなしセミナー」を薩摩川内市で開催したところ、今まで最高の230人もの参加者があり、開業の熱気であふれていました。

img-117112634-0001.jpg  ところで、「旅の思い出」になる「ふれあいの"モト"」を体験できるプログラムが完成し、2月11日から5月8日まで「きゃんぱく」と銘打って、地元の人が主役となる博覧会を開催することになり、すでに予約がスタートしています。  「創る」、「味わう」、「めぐる」、「動く」、「いやす」をキーワードに、薩摩川内市全域を対象に102の旅のプログラムが用意されています。薩摩川内市は、平成16年に1市4町4村が合併し、県内一の面積を誇る市です。九州新幹線全線開業に合わせて、街を全国にPRするいい機会となると思います。今回の「きゃんぱく」では、各地域に3、500人を超えるサポーターが登録されており、集客や運営に大きく貢献してくれるものと思います。サポーターが、1人集客すれば催行率が高まります。また、市の職員も積極的に参加し、一市民の立場で街を観察し、これからの業務に活かして欲しいと願っています。

img-117112704-0001.jpg  薩摩川内市のこれからの街づくりについて、考え方を述べたいと思います。国道3号線が走るメインストリートは、シャッターの閉まっている店が目立ってきました。やはり新幹線の駅を中心に、賑わいの創出が求められています。3月18日から「花かごしま2011」が、開催されます。川内駅が人の集まる場所となり、四季折々の花を飾るなど情報発信の中心とならなければなりません。駅から3号線まで花壇をつくり、美しいプロムナードが必要です。
   また、川内川河畔にも四季折々の草花を植え、春には「こいのぼり」、夏は「河原でのビヤガーデン」、秋には「月見の宴」、冬には「竹灯り」のイベントなどを開催するなど市民が出かけやすい雰囲気を創り出し、市中に人が流れる仕組みが必要です。
 川内川を活用したボート、カヌーなどのスポーツイベントを積極的に誘致することが需要です。川内まごころ文学館には、有島3兄弟の文学、絵画の資料や総合雑誌「改造」を創設した山本實彦と交友のあった著名な文学者の資料が多く展示されており、大学の文化系サークルやカルチャーセンターなどへの全国的なPRが不足しているのではないでしょうか。また、丸武産業は、時代劇の着用甲冑シェア90%以上の製造を行う現代に甦る甲冑工房であり、大河ドラマの武士の衣装の多くはここで作られており、旅番組などへの紹介が誘因効果をもたらします。西郷隆盛が好んだ温泉として知られている川内?城温泉は、景観の保護に努め、昔の風情を保つなど秘湯としての魅力を発信することが求められます。

1217550820521_SERVER_001_1217548357166_image1.jpg  薩摩川内市の西に位置する甑島は、市が誇る最大の魅力ある観光地です。串木野港から高速船と定期船が就航していますが、新幹線と結びつけ、観光客がいかに行きやすくすることができるかが課題です。また個人旅行が主流となっており、交通体系の整備やワンストップで予約が完了する仕組み作りが必要です。伝統的行事の「トシドン」は、2009年鹿児島県として初めて、ユネスコの無形文化遺産に登録されており、観光客に披露する機会を増やしてほしいと思います。一方では島の魅力が知られていないので、テレビドラマの舞台として売りだすこともPRの方法です。「Dr、コトー」のモデルの院長先生も健在です。業務に支障がない程度に観光にもっと活かすべきです。漁業体験など着地型のメニューが充実しており、教育旅行の誘致にも力を注ぎたいものです。

 入来の武家屋敷は、ボランティアガイドさんの案内で回ることをお勧めします。市比野温泉は、かつて与謝野鉄幹・晶子夫妻も訪れており、鹿児島の奥座敷として栄えました。 田舎の良さを売りに体験型のメニューを充実し、教育旅行の誘致やスポーツイベントの開催などで宿泊者を増やすことが新たな顧客づくりになります。

kanoko-sea-330.jpg  グリーンツーリズムの誘致や、プロスポーツキャンプが増え街に活気が出てきました。しかし、九電関連の宿泊者の固定客がいることなどで旧市の宿泊施設は、今のところ安定していますが、大型資本の進出も目立っており安閑としてはおられません。業界全体として観光客をどのように受け入れるかその姿勢が問われています。また、沿線の魅力が豊富な肥薩おれんじ鉄道を利用した韓国人のツアーが好評です。新幹線との組合せが乗降客を増やします。

 今までの新幹線開業では、2年目から苦戦を強いられています。新幹線全線開業という100年に一度のビッグイベントを、地域の活性化につなげる最大のチャンスです。「きゃんぱく」の開催は持続的な観光地づくりの一歩になると思います。今後の取組を期待するとともに、観光連盟でも「きゃんぱく」の魅力を大いにPRしていきたいと考えています。

「九州新幹線全線開業〜我が町の魅力をもっと知ろう〜」観光プロデューサーズコラム

2011年1月17日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光

 

P1010434_1.jpg  先日、ある企業の研修会で講演する機会がありました。代表者から、本店内の従業員に対して行った鹿児島の観光地に対する認知度のアンケート調査の報告があり、興味深く聞いていました。 過去2年間に次の観光地に行った経験のある人や新幹線などに関する認知度の割合です。

   (1)観光地を訪問した人
     屋久島・・19%  桜島・・51% 指宿の砂蒸し温泉・・34%
知覧の武家屋敷・・80% 東郷平八郎の銅像・・35%
br />    (2)新幹線の認知度や食への関心など
      開業日を知っている・72%  新幹線の列車の名称・・・・67%
 黒豚を食べた・・・・94% 鹿児島の醤油は甘い・・・・72%

 比較的若い社員が多い職場であるため、東郷元帥の銅像がある場所などは、歴史に興味がなければなかなか行かないのではと感じました。鹿児島が誇る代表的な観光地である屋久島への訪問者が少ないことは、PRや県民に対してもっと行きやすくする環境整備が必要ではないかと思います。

IMG_2637.jpg  新幹線に対する認知度が高いのは、開業への期待感と鹿児島が大きく変わる予感を感じます。若い人たちにどんどん新幹線に乗車してもらい、そしてまた県外の友人達に鹿児島の魅力をPRしてもらいたいと思います。アンケートからやはり食に対しての関心が高いということを感じました。誘客には、食の魅力の発信が重要と感じています。

 ところで停車駅となる「出水駅」と「川内駅」からは、駅発着観光周遊バス「クレイン号」と「きゃんせ号」の実証実験が始まっています。(クレイン号はコースを変更して運行中)。市民にもっと地域の魅力を知ってもらい、誘客につなげるの目的です。しかしながら告知期間が短かったこともありますが、乗車人員が少ないのが気になります。議会や市の職員が積極的に乗車して地域の魅力や課題を知る機会と捉え、今後につなげてほしいと思います。

また、鹿児島市の「まちあるき」や「よりみちクルーズ」も同様です。好評を博している「長崎さるく」は、参加者の7割は市民であり、市民自らがわがまちの魅力を語ることなくして広がりは生まれないのではないでしょうか。

IMG_0025_5.jpg  鹿児島県は南北に600kmに及ぶ広い県であり、鹿児島市から大阪市までの長さになります。域内の観光を積極的に推進し、県民はまず地元の良さを体感し、自らの言葉でその魅力を語る必要を感じます。鹿児島に宿泊した観光客から「どこか次にお勧めできる観光地はありませんか」と聞かれたら、ぜひ各地の魅力を語って欲しいものです。そのためには、我が町の魅力を知らなければなりません。市町村合併により、PRも広域となっています。まず自分が住んでいる町の生活・文化を語ることが大切です。指宿地域を訪ねると、お墓にいつも新鮮な花が供えてありますが、その理由をガイドさんが説明すると観光客は感激し、地域の伝統文化の素晴らしさに改めて地域の魅力を再確認しています。

2011011622323827905.jpg  また、自治体の宣伝PRは、大都市圏に眼が行きがちですが、まず隣町、鹿児島市などに力を注ぐ必要があると思います。そのことが広がりをもたらすと感じます。一方では、自分の町には観光客に見せるものは何もありませんと応える人が多くいます。よそ者の視点でみると、観光素材はたくさんあります。観光素材はつくるではなく、探して拾い活用するものだと思います。漂流物、清流、棚田、橋、ローカル線、突端の地、伝統行事、神社の長い階段、火山灰、お花畑など鹿児島には活用できる観光素材が至るところに残っています。新幹線で訪れた方々に再訪を促す意味でも、我が町の魅力を多くの住民が語って欲しいものです。

「九州新幹線全線開業〜これからのマーケティングについて〜」 観光プロデューサーズコラム

2011年1月10日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光

 九州新幹線開業まで2か月あまりとなり、県内各地で地域づくりや、新しいホテルのオープン、店舗の進出が最終段階を迎えています。開業効果で増加する観光客を見込んだ戦略の一つと考えられます。
   これからのマーケティングについて考え方の一端を述べてみたいと思います。

  2.jpg  まず女性を意識した戦略が重要と考えます。今の消費は女性が主役であり、業界の調査によると、ご夫婦旅行の行き先については8割の女性が決定権をもっており、購買動機を喚起する仕掛けが必要と思います。女性は、「美」、「食」、「健康」、「ファッション」、「本物」、「限定」といったものに関心があります。選ばれる宿泊施設になるためには、女性だけの特徴ある洗面グッズの提供、食後のスイーツの提供、浴衣の選択など工夫をこらす必要があります。また、道の駅の人気の背景には、安全・安心で顔の見える食材の購入ができるからです。日帰り旅行の帰りに、道の駅に立ち寄ることが当たり前となってきています。
   女性の口コミから広がる人気度は、確実性があります。日置市にある「江口蓬莱館」は、九州管内でも指折りの売上げを誇り、平日でも行列ができるほどの店舗に成長しています。

  karukan.jpg  次に消費のサイズが小さくなっていることへの対応が求められています。バブルの頃までは、貸切バスで来た観光客は、立ち寄る休憩店で大量のおみやげを購入していました。しかし最近では、おみやげが売れないという声を聞きます。不況ということもありますが、旅行参加者の構成も変わっています。かつては、企業のインセンティブや職場旅行等の団体旅行が主であり、従業員や近所へのおみやげとして必然的に購入していましたが、いまではご夫婦や友達同士の小さな単位となり、費用は家計からの支出がほとんどで、財布のひもも堅くなっています。

   おみやげは、自分自身のために買う時代となり、量も少なくなっています。箱にたくさん入っているお菓子を買うのではなく、チョイスして種類を多く選ぶ時代です。そして良いものを何回も買っていただくことが、顧客として定着していきます。現在日本の人口の世帯構成比は、2010年の統計では、単身とご夫婦二人暮らしの総数が半分を超えており、今後その構成比が高くなり、消費のサイズはますます小さくなることが明らかです。宿泊する際は二人部屋が主流となり、バブル時代につくった大部屋は効率が悪くなっています。改築時には、このような状況を考慮した部屋タイプにすべきと考えます。

  about02_img_02.jpg  かつて旅行需要を牽引してきた若者世代の意識の変革もおきています。好景気には、卒業旅行がはやりましたが、今はそのスタイルは減少しています。就職できない学生が多くなった影響もありますが、旅行に対してのニーズはあるものの、携帯電話やパソコンの購入などにお金をかける比重が高くなっています。
 また居酒屋でのスタイルも、畳に座ることより椅子や掘りごたつ形式が好まれており、飲食店の在り方も問われています。また、若者は祭り好きですが、規制にはめられた祭りは人気がありません。若者を集めて賑わいの創出を図るには、踊りでは最低限のフレーズだけ決めて、後のパフォーマンスは自由にして競わせることが大切です。北海道の「よさこいソーラン祭り」の成功は、コスチュームやパフォーマンスを自由にしたことが、出演団体の増加につながっています。伝統的祭りは別として、夏祭りやイベントでの若者の動員には、工夫が必要と感じます。

1_1.jpg  最後に団塊の世代が大量に定年を迎えることもありますが、レトロ感覚のモノが見直される時代となっています。和の作りが脚光を浴びています。九州新幹線つばめの車内は、木目模様が施され、窓ガラスのすだれは、い草が使われています。新型車両のさくらには、川辺仏壇に使用されている金箔が使用されています。
また、田舎を感じさせるものも人気を博しています。3年連続九州の駅弁コンクールで1位となった「100年の旅物語かれい川」の駅弁の中身は「がねの天ぷら」、「しいたけの煮物」、「タケノコ」など田舎の素材と味にこだわっており、弁当箱も竹の皮でできており、鉄道ファンの心を惹きつけています。古い駅舎とレトロな列車が走る肥薩線の人気が続いているのも、時代を反映しているのではないかと思います。日本人の国内旅行は成熟しており、また飽食の時代となり逆に素朴な田舎の懐かしい味が好まれる状況となっています。

img_03.jpg  これから新幹線の速さとゆっくりしたローカル列車の旅が、人気を博すのではないかと思います。物事が効率的に運ぶデジタルの世界から、柱時計がひとつひとつ時を刻むように、ていねいな応対が求められるアナログの世界が貴重になっています。一人一人のお客様を大事にすることの大切さが今問われているのではないでしょうか。マーケットは変化しても、ひとの心は変わらないと思います。新幹線で多くの観光客が訪れます。一期一会の心で迎えたいものです。

「2011年鹿児島を変える年に」〜観光プロデューサーズコラム〜

2011年1月3日
   鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光

2010123015474218296.jpg  明けましておめでとうございます。
 昨年はリーマンショックによる経済の停滞と4月に発生した口蹄疫の影響で、鹿児島の観光は、未曾有の苦しさを経験し、鹿児島の経済に大きな影を落とした1年でした。また、羽田空港国際化が強化され、割安の海外ツアーが鹿児島の誘客にも影響が出ています。今年は、いよいよ九州新幹線が全線開業します。鹿児島が変わる明るい年にしたいものです。
 今年の干支は「卯」です。「卯」は十二支の中で第4番に数えられ、『史記』律書によると「茂る」(ぼう:しげるの意味)で、また『漢書』律暦志によると「冒」(ぼう:おおうの意味)草木が地面を蔽うようになった状態を表しているとされ、後に覚え易くするために動物の兎が割りあてられたということです。兎に関することわざとして「兎の上り坂」がありますが、兎は坂を上るのが早いということから、ものごとが良い条件で順調に進むことを言います。出典:『ウィキペディア』

2010123015404317944.jpg    また、草木からは多くの芽が出ていずれは若葉が姿を現すことから、兎年が持つ春の気のおかげで、これまで動きのなかった人、モノ、地域が動き出して欲しいものです。

    ところで九州新幹線の全線開業まで2か月あまりとなり、県内各地の地域づくりも忙しくなってきました。博多駅から鹿児島中央駅まで最速1時間19分となり、人の流れが大きく変わることが予想されます。停車駅がある出水、川内地域では、特に下りに降ろすことの重要性が増していると思います。「出水駅」と「川内駅」からは、駅発着観光周遊バス「クレイン号」と「きやんせ号」の実証実験が始まり、地域の魅力や課題を知る機会と捉え、開業に活かしてほしいと思います。

220px-Sun-Flower_Ivory_JAPAN.jpg    終着駅から遠い大隅地域では、新幹線開業効果をもたらすことが大変厳しい条件の中で、新たな取組が始まっています。垂水漁港での漁業体験には、今年は関西・中国地域から昨年より10校多い14校の予約が入り、鹿屋・志布志地域では、スポーツ合宿が増加しており、地域の自然環境を活かした取組が大きな成果となって表れています。安全と教育的価値の提供が仕向地として定着につながると考えております。また、大隅地域の売りは、「食」の魅力を全面に出したルートの設定が必要と考えています。関西地域からの「さんふらわ」の利用拡大が不可欠です。

SEB201010200071_4.jpg  霧島地域では、肥薩線のレトロな列車のゆっくりした旅と新幹線のスピードを活用した企画がおもしろいですね。「霧島アートの森」や「「みやまコンセール」を訪ねるカルチャーツーリズムの提案も新しい企画となるでしょう。
 東北新幹線の話題が一段落し、次は南の終着駅「鹿児島中央」が脚光を浴びます。博多からは日帰り圏内となり、宿泊させるには駅から天文館、照国神社周辺の回遊性を高め、滞在したくなる街づくりが求められます。「まちあるき」は市民がもっと参加し、また、桜島に渡らせる努力も必要です。「長崎さるく」は市民が多く参加しており、市民自らがわがまちの魅力を語ることなくして広がりは生まれないと思います。「指宿のたまて箱」という観光特急の運行も決まり、指宿駅からの周遊バスも、夢を与える演出が必要です。特に種子・屋久との連携を強めることで、滞在するメリットを強調していく必要があります。

 日本の国内旅行は成熟し、しかも人口の減少を考慮すると、外国人の誘致は欠かせません。特に新幹線を活用した福岡からの誘客が必要で、韓国、中国人にはリーズナブルな料金と目的にあったコース設定が重要であり、誘致に大きな影響力を持つランド業者等の招聘を積極的に進めたいと考えています。

2010123015304517630.jpg  鹿児島県と鹿児島県観光連盟では、「かごしま観光人材育成塾」、県下7箇所での「おもてなしセミナー」、「タクシー乗務員接遇研修」等を開催し、「おもてなし先進県鹿児島」づくりを進めています。観光はまさに人が財産であり、リピーター創りには人材が欠かせません。
 ところで、開業時は「花かごしま2011」が開催されます。県内いたる所を花で飾り、開業を盛り上げたい。また、エージェントの「開業ツアー」が多くなり、その効果はGW頃までは続くと考えられますが、その後の展開が重要になっており、季節ごとの鹿児島の魅力や行きやすくなる離島の情報発信、エージェントとの商品造成による共同キャンペーン等を展開し、持続的な観光客誘致が必要となってきます。鹿児島県に行くとどこかでイベントが開催され、常に新しい感動に出会えるという楽しみを提供していきたい。また、観光客の楽しみは地域ならではの食である。施設では、お品書きを添えるなどストーリーを語り、「本物。鹿児島県」の食材を積極的に提供すべきです。

 ところで、開業効果で観光客が増え、サービスが低下し地域のイメージを失墜させ、その後お客が遠ざかっていった事例が今まで多くありました。一期一会の心で観光客をもてなしたい。

 今までの新幹線開業では、2年目から観光客が激減し、特に終着駅に近い駅が苦戦を強いられています。観光客に境界はなく、県民が県内の魅力をPRすることが連泊につながります。初めて鹿児島に来られた方々に、「鹿児島はすばらしかった。ぜひ友人に勧めたい」と心に残る「感動」と「感激」を与えリピーターを創造することです。「九州新幹線全線開業」という100年に一度のイベントで、県内に大きなうねりを起こすことが鹿児島が大きく変わるきっかけになるのではないでしょうか。

   2011年が皆様にとって素晴らしい年になりますよう、心からお祈りいたします。

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