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「花かごしま2011」の成功を街づくりに生かそう~観光プロデューサーズコラム~

              2011年5月30日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光

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  九州新幹線全線開業の最大のイベントである第28回全国都市緑化かごしまフェア「花かごしま2011」が、22日に閉幕しました。66日間の会期中に、目標の80万人を上回る約96万人が訪れました。
  このイベントは、都市緑化の意識高揚と、都市緑化に関する知識の普及等を図ることにより、緑豊かな潤いのある都市づくりに寄与することを目的として、建設省(現国土交通省)の提唱により、昭和58年から毎年開催されてきました。次回開催県は、東京都です。
  鹿児島でのメイン会場は吉野公園で、サブ会場が鹿児島ふれあいスポーツランドとなっていましたが、鹿児島市中心市街地のまちなか会場や県内6エリアの協賛会場・回遊拠点など、鹿児島県全域で取組が行なわれました。フェアのテーマは「南からの風にのせて ~よかまち、よか花、よか緑~」で、各地にある県立公園や駅前、商店街、公的施設などにも花壇が設置され、3月12日に全線開業した九州新幹線の話題とともに、花の魅力で鹿児島をPRするチャンスとなったと思います。

  3月11日に発生した東日本大震災の影響で、オープン当初は入場者が 少なく目標達成が危ぶまれましたが、ゴールデンウイークの前半から入場者が急激に増えて、目標を16万人上回る結果となりました。関係者の努力に対し心から感謝の意を表したいと思います。
花かごしま.jpg   今回のイベントは2箇所での分散開催で、しかも中心市街地から離れており、マイカーの駐車場もなく入場者にとっては、極めて不便が強いられることが想定されました。しかし鹿児島中央駅と鹿児島駅からシャトルバス(無料)が運行され、利便性が確保されたことや、駐車場の利用状況や渋滞情報がラジオで随時放送され、安心して会場に行くことができたのではないかと思います。花は、誰もが親しみを持って接することができる植物です。両会場で約900種類、110万株の花と植物が展示されましたが、メイン会場に展示された深紅のバラ「篤姫ローズ」の前で、足を止めてじっくり見学している人を多く見かけました。かごしま絵巻・にっぽん花絵巻・ふるさと絵巻のエリアは、日本各地の自然・歴史・文化が花で表現され、旅で訪れた地域を彷彿させる場所ではなかったかと思わず写真に収めました。また、平日にも多彩なプログラムが実施され、友人はガーデニングの勉強のため 毎週出かけたと語っていました。

桜島.gif   桜島の美しい景観が望める吉野公園の会場は、入場ゲートから一面に敷き詰められた草花が観光客を温かく迎えてくれました。加えて時折噴火する桜島の姿と錦江湾の美しさが、一段と美しく感じられました。
  また、会場内のボランティアガイドさんの親切な案内や、体の不自由な方に対しての対応も心を打たれました。かごしまのおもてなしの心の高さを感じました。多くの入場者が今回のイベントに満足しているのではないかと思います。
  咲き誇る花壇を見ながら、弁当を広げている家族の姿が多く見られました。ところで吉野公園の会場で感じた方は多いと思いますが、チリ箱は置いてありませんでしたが、ゴミくずがほとんど落ちていないことに驚かされました。入場者のほとんどが弁当持参であり、もしゴミ箱があると、弁当の包みや食べ残したものを、捨てて帰る方が多かったと想定されます。ごみの散乱は、花会場の印象をいっぺんに悪くしてしまいます。
  従来から吉野公園は、ゴミ箱の設置はありませんが、今回は当然ゴミ箱ぐらい設置されると思った方も多かったと思います。ゴミ箱が無ければ、 皆さんがゴミをきちんと持ち帰ってくれるという意識の高さは、大きな教訓になったと思います。ゴミの処理だけでも、多くの人手と費用がかかり、分別収集など大変な業務が発生したことを想定すると、今後のイベントに生かすべきことと思います。

  今回の「花かごしま2011」では、県内の多くの人々がこのイベントに参画し、花作りに協力しました。特に各エリアの会場や街角にさまざまな花壇が設置され、観光客だけでなく地域住民も花に対する興味をいっそう抱いたと思います。サブ会場の花は、2500人の方に抽選でプレゼントされました。これから鉢に年中花を植え、イベントの想いをつないで欲しいと思います。また、今後花作りに興味を持つ人が増え、花壇や垣根に花が咲き誇る場所が増えることが期待され、そのことで地域は魅力がアップします。

  長島町では、県道の沿線に160もの花壇が設置され、その日々の管理は地域住民が行っており、地域のコミュニケーションづくりにもつながっています。今後花によるまちづくりを強力に推進することを、町政の柱に置いています。名実ともにフラワーアイランドとして、その魅力が県内外に浸透する日も近いと思います。他の市町村でも、街の沿線に花を植える取組が定着することを期待します。
  今回のイベントで示された花に対する県民の意識の高さを、自然あふれる美しい鹿児島づくりに生かして行きたいものです。

「ぐるっと長島 ~花の町づくり~」 ~観光プロデューサーズコラム~

        2011年5月23日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光

 

  長島町は、鹿児島県の北西部に位置し、四方を東シナ海、八代海、長島海峡等の海に囲まれ、北部一帯は雲仙天草国立公園に指定されるなど、自然に恵まれた地域です。

04-01.jpg   町は、2006年3月20日、「平成の大合併」により旧長島町と東町が合併して誕生し、人口は1万1千人あまりで、農業と水産業が盛んな町です。(2011年3月現在)

  長島町は鹿児島県の最北端に位置することから、熊本県の牛深市や水俣市との交流も盛んです。また、阿久根市と長島町の間にある海峡黒之瀬戸には橋が架かっており、鹿児島市などに行くには車が多いと聞きました。

    主要水産物の養殖ブリは、「海峡育ち鰤王」のネーミングで売り出し、「かごしまのさかな」に指定され、大阪、東京市場をはじめアメリカにも輸出されています。稚魚から5kgの親魚に育て上げ、その魚を新鮮・安全に出荷するための加工技術が整備されています。

10-01.jpg 中心となる東町漁協では、一般の観光客も食堂でその味を堪能することができます。ここ2年間赤 潮の発生で、漁協は大きな被 害を受けました。今年こそ漁師さんたちの努力が報われるよう赤潮が発生しないことを祈りたいとものです。

  また、島は独特の赤土に恵まれ良質のじゃがいもが採れます。訪問したときは「春じゃがいも」の収穫時期であり、蒸かしたてに塩をつけて食べると、その新鮮さと甘さが格別でした。

花加護しあ.jpg   ところで長島町は花による町興しを展開中です。3月20日から5月22日まで「花かごしま2011」が、鹿児島市の吉野公園と鹿児島ふれあいスポーツランドの2つの会場で開催され、80万人を超える入場者があり人気を博しました。
  長島町では協賛イベントとして、「夢追い長島  花フェスタ」が開催され、県内外から多くの観光客が訪れ、長島の魅力に 触れる機会になったと思います。小生も県の景観アドバイザーとして、16日に街づくりの皆さ んの勉強会に参加する機会に恵まれ、事前に町内を一周しました。道路沿いに160箇所の花壇が設置され、春の花が綺麗に咲き誇っている姿は、手入れが行き届いていることを感じさせてくれました。メイン会場の町文化ホール周辺や、サブ会場の「太陽の里」、針生公園の2箇所は、花の種類も多く、周りの風景とマッチし一段と美しく感じられました。

  長島町は2007年に、「夢追いふるさと景観条例」を施行し、今年3月の九州新幹線の全線開業をにらんで、美しい石積と四季折々の花々を活用したまちづくりを進めてきました。協力者を集めた「ふるさと景観協定認定団体」を組織し、それを建設業者、老人クラブや地域グループが支えています。地域の魅力づくりに、島の財産である石積を保護し、花を植えるという取組は、全国的にも例がないと思います。

header01.jpg   花は人間誰でも興味を抱く植物であり、しかも四季折々にさまざまな種類の花があります。しかし美しい花を咲かせるためには、日頃からの土の手入れ、毎日の水かけが大切です。長島町では、そこを地域の住民グループが支えているところに素晴らしさがあります。

  沿線の花壇の側に駐車場を確保し、お茶のサービスや地元産品の販売をすることで地域との交流が深まると思います。観光は地域に住んでいる人が、自分の街の魅力を感じることなくしてPRはできません。観光客が増えることで地域住民の意識も変わってくると思います。

  ところで長島町を車で走ると、美しい段々畑や海の青さが視界に入ってきます。道路沿いには花が咲いており、フラワーロードの名の下に、ドライブコースとしてもっと売りだす必要があります。夕日10選を選定しリピーターの確保や、沿線に小物の店や海を臨む場所に喫茶店等があれば若者がもっと集まると思います。

  黒之瀬戸大橋を渡った所にある「だんだん市場」には、島で獲れる農水産物が展示即売されており、ゴールデンウイークには周辺の道路が2km渋滞したという。事前の駐車場対策や店舗における商品の陳列、販売の流れなど工夫が必要と感じました。

  九州新幹線が全線開業し、観光客の動きもようやく活発になってきましたが、出水駅から蔵之元港までの連絡バスの乗車率は伸びていません。まだまだPR不足です。現在は、マイカーやレンタカーを利用した人が主流であり、夏休みはファミリーが中心となることを考えると、体験メニューの充実や宿泊させる取組が必要です。また、新幹線停車駅の出水と連携し、武家屋敷やツル見学の観光客を長島に誘導する仕掛けも必要です。

  長島町ならではの田舎流のおもてなしが大切であり、お客様に取れたての蒸かしたじゃがいもを出すのもひとつです。

  カナダのバンクーバーから1時間30分の所にヴイクトリアという島があり、そこに世界的に有名な「ブッチャードガーデン」という公園があります。必見の価値があります。

  花フェスタのキャッチフレーズにあった「橋を渡るとそこはフラワーアイランド」が、印象に残りました。長島町が日本を代表するフラワーアイランドになることを祈りながら、美しい花に囲まれた島を後にしました。

「ゴールデンウイークの勢いを夏休みへ繋げよう」~観光プロデューサーズコラム~

2011年5月16日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光

  祝・全線開業  3月12日に全線開業した九州新幹線の利用者は、新燃岳噴火の風評被害、東日本大震災や福島原発事故による旅行自粛等で伸び悩んでいましたが、今年のゴールデンウイークについては、全線開業効果が表れたと言えるのではないかと思います。

  県内の宿泊施設や定期観光バスは、軒並み前年を大きく上回る状況で、特に鹿児島市内、指宿が好調でした。3日に鹿児島中央駅で観光客や関係者にお話を伺い、また、県内の宿泊施設や交通機関から聞き取り調査をしました。今年のゴールデンウイークの特徴として下記の点が上げられると思います。

  ・例年に比べ岡山、広島、山口など中国地域からの観光客が目立った。

  ・新幹線で初めて鹿児島を訪れた方が多かった。その方々は、まず鹿児島の主要観光地を訪れる人が多く、や指宿地区など知名度の高い場所が最初に埋まった。

  ・鹿児島中央駅からの利用交通機関は、レンタカーや列車、シティビューを利用し、タクシーによる観光は、予想したより少なかった。

  ・4月20日過ぎてからの予約が急激に増えた。自粛ムードに対する国民の理解が払拭され、我慢をしていた人々が観光に出かけたことが大きい。
 
  ・日本列島が1本のレールでつながっていたが、鹿児島中央駅が新幹線の南の終着駅であることや、連休前に東北新幹線が復旧したことによるPR効果が表れた。

  ・例年鹿児島への県外からの宿泊者は、約25%が関東地域からとなっており、その傾向からみると、今年は原発の影響が大きくその地域からの観光客は低迷している。

R0012142.JPG   もし震災が無ければ関東地域から募集団体のツアーが多く、さらに観光客が増加したものと思われます。課題としては


  ・北部九州からは日帰り観光客が多く、今後滞在させ宿泊させる取組が重要であり、イベントへの誘客や体験メニューの充実などPRの必要性を感じます。

  ・新幹線開業効果を、県内全域に広げるための方策を推進していますが、ゴールデンウイーク期間でみると、その効果はまだまだです。

  ・一部観光客から、飲食店で不愉快な思いをしたとクレームも上がっています。また来ていただくためには、「おもてなしの心」を徹底させねばなりません。

  ・中央駅のお土産品の売り上げは絶好調であり、特に鹿児島ならではのものが売れたと言う。今後も鹿児島の素材を活用し、安全・安心の新商品開発が必要です。

  ところでゴールデンウイークは、西日本地域を中心に多くの観光客が訪れましたが、一年の内で一番人が動く、夏休みの受入態勢作りを急がねばなりません。しかも夏休みはファミリー層がメインとなります。

九州新幹線   しかし今年は例年と違って、電力問題が観光に大きく影響をもたらすと思います。電力使用の削減ムードが広がることが予想され、国民は涼を求めて旅行先を決めると思います。その意味で今年の夏のキーワードは"涼"と考えています。子供が楽しめる地域や、自然の涼しさを提供できる施設が人気を博するものと思います。

  リゾート地域では、子供には海では海水浴の他に魚貝類取り、山では昆虫採集や川での小魚釣りなど体験メニューが必要です。また、夜は思い出作りとして花火などを用意するのも喜ばれます。都市部では、早朝の市場見学、水族館や博物館の見学などのアクティビティが好まれます。

  地域や施設では涼を感じる仕掛けが必要です。風鈴を吊るし、七夕の短冊を用意して竹ざおに下げてもらうなどの演出も必要です。

  また、夏休みは期間が長いために、離島に足を運ぶ若者が増えることが予想されます。離島に行くには前泊・後泊の要る島もあり、県内には28の有人の離島があり、それぞれ特異の自然と生活文化が残っています。日本列島が、新青森から鹿児島中央まで新幹線でつながったことにより、今まで不利と見られていた鹿児島県が大きく飛躍できる環境が整ってきました。

  震災が無ければ、日本列島を縦断する若者中心の「弾丸ツアー」が何本も企画されていました。この層をターゲットしたツアーも増えると期待しています。

黒豚  九州新幹線全線開業から2ヶ月、ようやく鹿児島も開業効果が多くの分野に表れてきました。また激減している外国人観光客の誘致については、県独自の取組だけでは安全面の認知度には限界があり、九州観光推進機構と連携し、招聘事業や現地でのPR活動を強化しており、復活も近いと考えています。

  一方では、ゴールデンウイークの好調さに浮かれてばかりはいられません。例年鹿児島への需要が落ち込む6月から夏休み前までの期間の取組が重要です。首都圏でのPRを強化すると共に、新燃岳の風評被害の払拭、大隅地域のレンタカープランの販促、離島の魅力発信など夏休みにつなげる取組を推進して行きたいと考えています。

  地域での連携や各施設でも独自の夏休み企画砂むしの造成をお願いいたします。九州新幹線開業効果を活かし、持続できる観光地として自立することが今求められています。

「緑の火山島 もう一つの島 口永良部島の魅力」~観光プロデューサーズコラム~

2011年5月9日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光

  口永良部島は、屋久島の西方約12Kmに位置し、ひょうたん型をしており人口150人の島です。宮之浦港から町営船「フェリー太陽」で1時間40分余り、島全体が霧島屋久国立公園となっています。

本村港2小.jpg   緑と火山と海に抱かれ、切り立つ断崖はどこまでも険しくそびえ、いたるところに湧き出す温泉がすべての疲れを癒してくれます。国の天然記念物であるエラブコウモリも生息するなど貴重な生態系を有しています。また、島にいると豊かな自然があれば何もいらないことを感じさせ、「時間が止まった島」と言う言葉が似合う島です。

  島の中心は本村地区で、フェリーの発着地となっており、屋久島町口永良部出張所が置かれ、職員は一人が常駐し、島民のあらゆる相談に応じています。

本村1小.jpg   港の近くに金岳小学校・金岳中学校があり、生徒数は合わせて17名で、「南海ひょうたん島留学」と名づけて本土からの山海留学生を受け入れています。島全体が、学習材料で、自然教室そのものです。
  校門で写真を撮っていると、ちょうど下校時間であり、元気な子供たちが挨拶をして帰っていく姿が印象的でした。いま本土の学校では、警備上の問題から校門は閉ざされ入ることもできませんが、島の学校はオープンで、緑の芝生を無邪気に駆け回る生徒と子犬の姿に、かつては日本のどこの学校でも見ることができた光景ではなかったかと、小生も小学校時代に思いをはせていました。

  島はいたるところに温泉が沸き、「本村温泉」、「湯向温泉」、「寝待温泉」、「西之湯温泉」が整備され、だれでも入浴できます。最近では珍しい乳白色の温泉もあり、秘湯ファンが訪れています。南の島々の温泉を訪ねて、旅をしている京都からの学生に遭遇しました。

   本村温泉小.jpg 自転車にテントと着替えを積み、秘湯を訪ねていると言います。石鹸やシャンプーなどもなく、自分で水や海水を入れて湯加減を調整するなど自然の姿を残した温泉であり、海に沈む夕日を見ていると、時を忘れてしまうとその魅力を語っていました。

  ところで島にはこれといった産業もなく、交流人口を増やして島を活性化することが課題となっています。公共交通機関がなく、宿泊施設は民宿が10軒で、収容人員は110名余りで大きな団体は受入ができず、島内移動も簡単ではありません。

  まず誘客にあたって、船の運航体制を考えると屋久島に観光に来た人を、オプションとして、個人客を中心に口永良部島への1泊2日を売ることが最適と考えます。波が高いと欠航率が高くなることも考慮せねばなりません。また、定期的な交流人口を増やす方策として、大学生のゼミ旅行等が最適と考えます。島で長期滞在し、動食物の生態系の観察、火山の研究などフィルドワークを中心とした研究ができると場所ではないでしょうか。

  また、「島旅のファン」を組織化しているエージェントや、カルチャーセンターの講座の一つとして、島での体験を組み込むのも効果があると思います。そのためには、「島10選の選定」やオンリーワンの素材の情報発信、島の魅力を語るボランティアガイドの養成も必要です。

会議小.jpg   到着日に島の活性化に取組んでいる皆さんと勉強会を開催しました。人口を増やし、島を何とか元気にしようと取組んでいる姿に心を打たれました。その夜宿泊した民宿「くちえらぶ」の経営者も会議に参加しました。
  大学の同窓であり、都会に暮らしていたご夫婦が、島暮らしの構想を温めてから民宿経営をスタートさせるまでの、熱い思いを語ってくれました。
  民宿は森の中の一軒家で、夜は満天の星が輝き、晴れた日には硫黄島が正面に見ることができるロケーションです。建物は廃校になった学校の廃材や備品を活用し、森の学校という雰囲気で、とてもリラックスできました。皆様もぜひ訪れてその雰囲気を堪能してください。
  今ご主人は、アトリエ作成中であり、大学時代に美術を学んだ経験を活かし、ライフワークとして取組んでいると熱い思いを語ってくれました。完成までには数年かかる予定であり、その完成が待たれます。

  ところで県内には、28の有人の島があり、それぞれ自然の魅力や文化、歴史があり訪ねてみたい島ばかりです。しかし多くの島はアクセスが不便であり、必ずしも観光客誘致には恵まれているとは言えません。しかしあまり行けない島だからこそ都会の人にとっては、行ってみたい場所になります。
  島独特の生活・文化は観光素材として欠かせません。またユニークな海岸線、生物、温泉などは魅力です。厳しい自然や離島というハンディの中で生きてきた島の人々の暮らしの知恵は、われわれの生活に多くの示唆を与えてくれます。 南北600キロある鹿児島県ですが、本土の長さより離島の長さが上回ります。

古岳東.jpg   アクセスや宿泊施設の条件が不備でも、ニーズに合えば人は訪れます。島でしか体験できないものを商品化し、情報をどこに発信するかが課題です。又、島民は温かいおもてなしで観光客を迎えます。離島と言う不利性を、むしろ稀少価値として捉え、優位性に転換することが大事です。

  港で釣りをしている老人に会いました。餌を付けない釣り針で、小さなさばやアジが、面白いように釣れます。毎日この場所で食事の材料を調達できると言います。まさに自然の恵みです。島民の温かいおもてなしに感謝し、ひと時時間を忘れるほど自然を満喫した1泊2日の旅でした。

「インバウンドの復活に向けて~南九州の安全・安心をPR~」 ~観光プロデューサーズコラム~

2011年5月2日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光

P1000691.JPG   東日本大震災の影響は、国内旅行だけでなく海外からの観光客も激減という深刻な状況となっています。外国人の内、台湾からの鹿児島への訪日観光客の多くは、宮崎への定期便を利用しており、その定期便も部分運休するなど、厳しい運行状況です。

  そこで鹿児島県と宮崎県が協力し、台湾の旅行会社や新聞、テレビ、雑誌社の社員など30人を招待し、直接観光地や宿泊施設の運営状況を視察してもらいました。

  鹿児島では福島第1原発の事故の影響がないことを確認するため、城南町の県環境放射線監視センターを訪問しました。放射能分析室においては、同室職員が放射線量の測定方法などを説明し、1秒ごとの値を示す機器を見学し、数値の意味についての説明を受けました。

  参加者は、震災前後の変化や数値の意味について熱心にメモを取っており、あるメディアの社員は、「台湾に帰り鹿児島の安全性を伝えたい」と語っていました。

  また、多くの観光客で賑わっている「花かごしま2011」会場での放射能の数値も、監視センターと同じであり、参加者に鹿児島の安全性を再確認してもらいました。

P1040046.JPG   霧島温泉での意見交換会では、霧島市の前田市長が「新燃岳の噴火があったが、観光にはなんら支障はない。また原発事故の放射能の影響も及んでない。安心して霧島温泉に来ていただきたい。」と歓迎の挨拶がありました。

  参加者の中の団長を務めた中華航空の台湾地区マーケティング本部長の李ケン光氏から、「鹿児島の安全性を十分確認することができた。また、鹿児島の景観は美しく、すばらしい温泉も多くある。台湾のエージェントに南九州への送客を強化するよう要請したい。」と心強い言葉がありました 。

  また、汎佳旅行社の総経理梁廷祐氏からは、鹿児島に3000名送りたいと力強い決意が示されました。これからの集客が楽しみです。

  帰国後、参加者が鹿児島の状況について順次メディアで伝えています。鹿児島の観光地の安全性が、どのように国民に認識されているかは判断できませんが、少なくとも台湾の関係者が自分の目で確かめていただいたことは、大きな意義があったと思います。

sakurajima (1).jpg   インターネットなどで身近に情報が伝えることができる状況にありながら、日本の正しい姿が、伝わっていかないもどかしさを感じている方は、多いと思います。

  連日伝えられる日本の観光地の現状は、外国人観光客が激減した寂しい街の様子ばかりです。 このような状況を打破するには、今回のケースのように、自国民に直接伝えることのできるメディアや、影響力のある国家レベルでの対応が求められています。

  観光庁の溝畑長官は22日韓国を訪問し、ソウル市内で韓国メディア向けの会見を開きまた、韓国観光相との対談も行いました。東日本大震災の復旧状況や福島第1原発の対応を説明し、日本の安全性をPRし、観光に支障のないことを強調しました。

  D-0813_IMG.JPG  4月28日現在、主要国・地域からの日本への渡航勧告のうち、台湾、香港、韓国においては、一部内容が緩和されています。これも東日本地域が中心であり、宮崎、鹿児島は対象地域になっているわけではありませんが、日本全体が汚染地域と受け取られていることが、観光客の激減となって表れています。

  3月の鹿児島県内の外国人宿泊者は、前年比67、4%減の3200人と大幅な減となり、中でも台湾は74,0%となっています。

  県と観光連盟では、引き続き九州各県、九州観光推進機構と連携しながら招聘事業を積極的に推進していきたいと考えており、今回のケースのように、放射能の数値を直接確認できる形で参加者に伝えるのも、方策の一つではないかと思います。原発事故が終息しないとインバウンドの回復には時間がかかると想定されますが、納得しやすい方法が今一番求められています。多くのメディアを活用して、鹿児島の現状について、外国へのPRを強化していきたいと考えています。

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