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「緑の火山島 もう一つの島 口永良部島の魅力」~観光プロデューサーズコラム~

2011年5月9日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光

  口永良部島は、屋久島の西方約12Kmに位置し、ひょうたん型をしており人口150人の島です。宮之浦港から町営船「フェリー太陽」で1時間40分余り、島全体が霧島屋久国立公園となっています。

本村港2小.jpg   緑と火山と海に抱かれ、切り立つ断崖はどこまでも険しくそびえ、いたるところに湧き出す温泉がすべての疲れを癒してくれます。国の天然記念物であるエラブコウモリも生息するなど貴重な生態系を有しています。また、島にいると豊かな自然があれば何もいらないことを感じさせ、「時間が止まった島」と言う言葉が似合う島です。

  島の中心は本村地区で、フェリーの発着地となっており、屋久島町口永良部出張所が置かれ、職員は一人が常駐し、島民のあらゆる相談に応じています。

本村1小.jpg   港の近くに金岳小学校・金岳中学校があり、生徒数は合わせて17名で、「南海ひょうたん島留学」と名づけて本土からの山海留学生を受け入れています。島全体が、学習材料で、自然教室そのものです。
  校門で写真を撮っていると、ちょうど下校時間であり、元気な子供たちが挨拶をして帰っていく姿が印象的でした。いま本土の学校では、警備上の問題から校門は閉ざされ入ることもできませんが、島の学校はオープンで、緑の芝生を無邪気に駆け回る生徒と子犬の姿に、かつては日本のどこの学校でも見ることができた光景ではなかったかと、小生も小学校時代に思いをはせていました。

  島はいたるところに温泉が沸き、「本村温泉」、「湯向温泉」、「寝待温泉」、「西之湯温泉」が整備され、だれでも入浴できます。最近では珍しい乳白色の温泉もあり、秘湯ファンが訪れています。南の島々の温泉を訪ねて、旅をしている京都からの学生に遭遇しました。

   本村温泉小.jpg 自転車にテントと着替えを積み、秘湯を訪ねていると言います。石鹸やシャンプーなどもなく、自分で水や海水を入れて湯加減を調整するなど自然の姿を残した温泉であり、海に沈む夕日を見ていると、時を忘れてしまうとその魅力を語っていました。

  ところで島にはこれといった産業もなく、交流人口を増やして島を活性化することが課題となっています。公共交通機関がなく、宿泊施設は民宿が10軒で、収容人員は110名余りで大きな団体は受入ができず、島内移動も簡単ではありません。

  まず誘客にあたって、船の運航体制を考えると屋久島に観光に来た人を、オプションとして、個人客を中心に口永良部島への1泊2日を売ることが最適と考えます。波が高いと欠航率が高くなることも考慮せねばなりません。また、定期的な交流人口を増やす方策として、大学生のゼミ旅行等が最適と考えます。島で長期滞在し、動食物の生態系の観察、火山の研究などフィルドワークを中心とした研究ができると場所ではないでしょうか。

  また、「島旅のファン」を組織化しているエージェントや、カルチャーセンターの講座の一つとして、島での体験を組み込むのも効果があると思います。そのためには、「島10選の選定」やオンリーワンの素材の情報発信、島の魅力を語るボランティアガイドの養成も必要です。

会議小.jpg   到着日に島の活性化に取組んでいる皆さんと勉強会を開催しました。人口を増やし、島を何とか元気にしようと取組んでいる姿に心を打たれました。その夜宿泊した民宿「くちえらぶ」の経営者も会議に参加しました。
  大学の同窓であり、都会に暮らしていたご夫婦が、島暮らしの構想を温めてから民宿経営をスタートさせるまでの、熱い思いを語ってくれました。
  民宿は森の中の一軒家で、夜は満天の星が輝き、晴れた日には硫黄島が正面に見ることができるロケーションです。建物は廃校になった学校の廃材や備品を活用し、森の学校という雰囲気で、とてもリラックスできました。皆様もぜひ訪れてその雰囲気を堪能してください。
  今ご主人は、アトリエ作成中であり、大学時代に美術を学んだ経験を活かし、ライフワークとして取組んでいると熱い思いを語ってくれました。完成までには数年かかる予定であり、その完成が待たれます。

  ところで県内には、28の有人の島があり、それぞれ自然の魅力や文化、歴史があり訪ねてみたい島ばかりです。しかし多くの島はアクセスが不便であり、必ずしも観光客誘致には恵まれているとは言えません。しかしあまり行けない島だからこそ都会の人にとっては、行ってみたい場所になります。
  島独特の生活・文化は観光素材として欠かせません。またユニークな海岸線、生物、温泉などは魅力です。厳しい自然や離島というハンディの中で生きてきた島の人々の暮らしの知恵は、われわれの生活に多くの示唆を与えてくれます。 南北600キロある鹿児島県ですが、本土の長さより離島の長さが上回ります。

古岳東.jpg   アクセスや宿泊施設の条件が不備でも、ニーズに合えば人は訪れます。島でしか体験できないものを商品化し、情報をどこに発信するかが課題です。又、島民は温かいおもてなしで観光客を迎えます。離島と言う不利性を、むしろ稀少価値として捉え、優位性に転換することが大事です。

  港で釣りをしている老人に会いました。餌を付けない釣り針で、小さなさばやアジが、面白いように釣れます。毎日この場所で食事の材料を調達できると言います。まさに自然の恵みです。島民の温かいおもてなしに感謝し、ひと時時間を忘れるほど自然を満喫した1泊2日の旅でした。

プロフィール

古木 圭介プロデューサー
鹿児島県
観光プロデューサー
古木 圭介
(平成29年4月より就任)
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