2011年7月4日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
東北地方を中心に未曾有の被害をもたらした東日本大震災から、3か月が経過しました。震災の影響は国民生活に大きな影を落としており、観光関連では国内旅行だけでなく、海外からの観光客も激減という深刻な状況となっています。
また、宿泊施設の倒壊、原発事故による放射能汚染の風評被害などで、観光地再開のめどが立たない地域もあります。
先日三陸海岸の被災地を訪ねました。海岸の後片付けは進んでいますが、レストランの多くは休業状態で、観光客もまばらという状況で、復旧にはまだ時間がかかると思いました。一日も早い復興を国民総意でなしとげたいものです。
インターネット調査会社の株式会社マーシュは、1都3県(神奈川、千葉、埼玉県)に在住する20歳~69歳の男女を対象に、インターネット調査で「東日本大震災後の意識に関する調査」を実施しています。調査の中で、地震体験後意識の変化が「あった」と8割の人が答えています。
我々も教訓とすべき興味ある回答を紹介します。
・世界の日本に対する見方が思ったより好意的だったことを知った。募金やボランティアに対して懐疑的だったが素直に見ることができるようになった。(39歳男性)
・節電・節水に今まで以上に気を遣っている。人間は本当に優しくて思いやりのある生き物だと感じた。隣にだれが住んでいるのかさえ、気にしない人たちが多いと言われているのに、世の中捨てたもんじゃないなぁと思った。(49歳男性)
・今まで日本人は明るい照明や十分な冷暖房に慣れていたが、やろうと思えばずいぶん省エネできるんじゃないかと思った。(57歳男性)
・現代の生活が便利すぎていたということ、電気はみんな必要ないほどの過剰な量を使っていたということなどに気づかされた。(20歳女子学生)
・災害時の備えやどう行動するか等、全く準備していなかった。子供が生まれ、自分だけどうにか逃げるというわけにもいかなくなったので、色々考えたり用意しようと思うようになった。(33歳主婦)
・今まで大地震や津波の被害も実生活に変化がなかったので、他人事のように感じていた面が反省させられた。特別な被害は受けて無いが、大きな揺れを実体験し、スーパーでの買い占めを目にしたり、不安に感じたり、募金を色々な所でしたのも初めてです。(51歳)
・普通の生活ができることが本当に幸せなことなのだということが、実感できるようになった。(62歳女性)
回答から今までの消費生活の反省や省エネ、無駄をなくすことへの意識の変化が感じられます。家族の絆や思いやりの心を持つことの大切さを教えています。
また、今の幸せを実感するとともに、明日への備えの意識が高まったのではないかと思います。
観光連盟では特産品協会と共同で鹿児島中央駅での募金活動を行い、義援金を日本赤十字社を通して被災地に送りました。自分にできることを精一杯やりたいと、進んで献金した方が多かったと捉えています。
ところで、旅行需要が一番大きくなる夏休みが近づきました。GWは4月の前半まで低調でしたが、その後間際で急に予約が伸びました。
その背景は、余震が減ったこと、計画停電の中止、日常生活の回復とともに気分転換に旅行をという意識変化の表れと考えられます。
今年の夏の旅行はどうなるでしょうか。猛暑が予測されていますが、一方では節電の取組が求められており、例年より帰省の早期化や長期の夏休みをとる人が増えるのではないかと思います。7月になり休暇計画が決定すれば、家族旅行の予約が急激に増えることも予想されます。
また、地域では西日本地域が主流となり、地震や原発事故の影響で、海より山の宿泊地が混むと想定しています。

一方高速道路料金の上限が撤廃されたため、ファミリー層が主体の夏休みは、経費軽減の意味では近場の旅行が増えることも考えられます。
県内においては、高速道路に近い霧島温泉地域が、遠方からの客の減少が懸念されます。最近のお客様のニーズは、温泉に入るということだけではなく、時間を過ごす時(こと)の充実を求めています。山や渓谷の魅力や地域の生活・文化の発信、体験メニューの充実等で連泊促進を図るべきです。
例年より2週間早く、南九州の梅雨明けが発表されました。今年の夏のキーワードは"涼"です。滞在してゆっくり時を過ごし、癒しのできる場所としての魅力を発信していきたいものです。
参考資料:地震・震災に関するアンケート:実施期間4月5日~8日 調査:株式会社マーシュ