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「第4回かごしま観光人材育成塾」を終えて ~地域づくりに貢献できる人材の育成へ~

2011年11月28日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

今年も残すところ30日余りとなり、北海道からは雪の便りが届く時期になりました。北国のリゾートホテルでは、雪解けの来春まで閉店するところもありますが、鹿児島は新幹線開業効果が続いており、平日も予約が取れない宿泊施設もあります。うれしい悲鳴ですが、おもてなしの心を忘れずリピーターにつなげて欲しいと思います。

持続的に観光客を誘致するためには、常に地域の新しい商品開発と情報発信を行い、おもてなしの心を定着させることが重要です。また、地域の活性化に何よりも必要なことは、地域の観光を担う人材が重要と考えています。

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今年も、地域の素材を活用した商品作りや食のブランド化、着地型観光の仕組みづくり、情報発信等を学ぶ「第4回かごしま観光人材育成塾」を開催し、初めて海外からの講師や、3回連続して塾生として参加した方を講師として招くなど7講座を開催し、56名の参加がありました。

講座の概要について簡単に報告します。

第1講座は、肥薩おれんじ鉄道(株)代表取締役社長の古木圭介氏が、「肥薩おれんじ鉄道のサバイバル戦略」[~過去・現在・未来~]について講義しました。
古木社長は、厳しい経営状況にある会社を引き受けるにあたっての思いと強い決意を、「挑戦欲」という登山で培われた言葉に代えて、その胸の内を語りました。

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肥薩おれんじ鉄道の沿線は、人口減少が顕著であり、まさに日本が抱える地方の縮図みたいな場所である。施設の老朽化や社員の高齢化が進み、新しい人材の投入と営業促進が不可欠であるとも話されました。 特に海外の営業に力を入れ、韓国から1000名の誘客に成功しています。

今後も東アジア戦略を進め、ローカル線沿線の魅力をPRしていきたい。また、イベント列車の運行や駅を拠点としたウォーキング大会の実施など大きな成果をあげており、今後も観光客の目線で企画を行っていく、ということでした。
最後に、何といっても「社員が宝である」、「leadership is action , not position」という言葉が印象的で、社員を大事にしながら自ら行動される社長の姿勢が伺えました。

第2講座は、九州観光推進機構本部長の大江英夫氏の、「九州の広域観光戦略~震災後の取組と新幹線開業後の課題」についてでした。

首都圏での消費者の調査では、九州の認知度は、北海道、沖縄に比べて極めて低く、イメージアップを高めるためには、九州が一丸となったPR戦略が必要である。
今年は震災の影響でインバウンドが激減しており、九州知事会、経済界が一緒になり韓国、中国で、九州の安全PRを行った。

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また、前倒しで東アジアからの旅行エージェント・マスコミの招聘事業を展開しており、台湾、香港など回復基調に向かっている。
鹿児島県民の観光客に対する好感度も高く、さらなるホスピタリティーのアップを期待したい。鹿児島は新幹線の終着駅で大事な場所となっており、ローカル線や隣県の魅力も語ってほしいという注文がありました。
協調して九州に誘客し、そして各県が競争してそれぞれの県に滞在させることが大切であると感じます。

第3講座は、九州旅客鉄道株式会社の鉄道事業本部 営業部長の古宮洋二氏が、「JR九州の鉄道戦略」について語りました。
九州新幹線が全線開業し、博多駅から鹿児島中央駅まで最速1時間19分で結ばれ、縦の時間短縮により九州各地への移動が便利になりました。

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鹿児島中央駅の乗降人員は予想を超えている。観光特急列車「指宿のたまて箱」は、平日も満員となるなど、指宿温泉の入込客に拍車がかかっている。7本の観光特急が走る南九州は、新幹線と組み合わせた新たな鉄道ファンを開拓しています。
新しい九州の幕開けを予感する新幹線全線開業です。JR九州の次の展開が楽しみです。

第4講座は、リクルートじゃらんリサーチセンター エグゼクティブプロデューサーのヒロ中田氏が、[食による地域活性化の一手法~「新・ご当地グルメ」の創り方~]について、今全国的に展開しているご当地グルメ開発による地域興しを語りました。

「新・ご当地グルメ」の7カ条について
①地産地消を前提とした企画開発型ご当地グルメである。
②「域内循環」、「地域活性化」など大義がある。
③地域に人を呼び込む「誘い水」的商品として位置づける。
④その地域の特産物を有効利用した「統一ブランド料理」であり、コンセプトが定められ、守るべき定義・ルールが明文化されている。
⑤コンプト・定義・ルールをきちんと守ったり、プロモーション企画を考えたりする「組織」がある。
⑥「通年」で提供でき、お店が「複数店舗」ある。⑦「昼食」を前提とした立ち寄りグルメである。
として位置づけています。

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中田氏は「いつ行っても味わえる、わざわざ食べに行く価値がある地場産食材に徹底的にこだわった企画開発型の統一ブランドおもてなしメニューで、そのメニューの品質保持のために、明確なコンセプトと定義・ルールを持ち、それを守りあう組織(チーム)を持っている」とまとめています。

県内でも地域グルメの開発が多くなっていますが、真の意味で独り立ちできるまでには、かなりハードルが高いと感じます。

第5講座は、釜山広域市観光協会会長の李根厚氏の、「国際化を推進する釜山観光の現況と鹿児島への提案」についてでした。

李会長は、日本語が堪能で、原稿なしで90分、観光に対する熱い思いを語ってくれました。
鹿児島は、新幹線全線開業という国家プロジェクトが完成した。これを活かし、鹿児島は努力して欲しい。桜島は悠久の遺産であり、人々が生活する近くにこんなに素晴らしい景観が在るのは世界でここだけである。もっと市民力を高めて活用しなければならない。

おもてなしの心とは「忘己利他」の心を持つことである。相手の立場に立っていかに観光客を満足させられる行動を取れるかである。お迎えするのはホテル、観光施設、飲食店だけでなく、県民、市民である。上質なサービスを提供できる土壌を築かねばならない。

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釜山では1200社の会員が同じ気持ちで取り組んでいる。日本でももっと観光産業の位置付けを高くして、真の観光立国に向けて努力してほしい。イベント、祭りなども積極的にPRし、韓国の食も加えるなど国際化を進めて欲しいと熱いまなざしで語ってくれました。
今後釜山との友好関係をさら強化していきたいと思います。

第6講座は、Hotel&Residence南洲館社長室チーフの橋本龍次郎氏が、[もし「かごしま観光人材育成塾」の皆様がホテルマンの『S話』を聴いて観たら]について語りました。

南州館が開発した「くろくま鍋」の誕生は、大手資本が進出する中で、足元を見つめなおした中でのあるヒントからでした。九州・山口の鍋コンクールで最優秀賞に輝き、今ではホテルの名物料理として口コミでその人気が広まっています。

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また、観光マップ「エスタイル・カゴシマ」も、街角で遭遇した観光客の姿を見て思いついたと語りました。「おもてなし」とは、ちょっとした目配り、気配り、心配りから始まり、自分の幸せがお客様への「おもてなし」につながる、と永年の経験から悟った心境がビシビシと伝わる話でした。

橋本氏は、これまでの3回の観光人材育成塾に塾生として参加され、若手ホテル経営者の仲間と市場見学ツアーなど独自の取組もされています。地域へのこだわりと、お客に対する熱い思いが感じられました。

第7講座は、(社)全国旅行業協会鹿児島支部長の中間幹夫氏です。

中間氏は、全旅メンバーのまとめ役として奔走され、地域活性化に対する取組としての着地型商品の開発と販促に取り組んでいます。

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着地型商品の企画から流通・販売までの現在の厳しい取組の現状を語りました。
これからの販売拡大には、オンリーワンの素材の発掘と商品化、ネットワークの構築が不可欠であり、人材の育成や収益性の確保など課題も指摘されました。

最後に垂水千本いちょう園の中馬さん、出水商工会議所の井樋さん、全旅の中間氏と小生の4人で、地域素材の商品化と着地型観光についてパネルディスカションをしました。

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地域の素材を発掘し、商品化し、流通に乗せ、商品として売り出すには、まず地元住民の参加が必要であり、認知度を高めることが大切である。国や県支援の公募には積極的に応募し、補助金等の確保に努め、PR経費を獲得することの重要性も認識しました。 着地型商品の定着にはまだ時間がかかると思います。

今回の講師は、日頃から各地を回られ、経験とそれに裏打ちされた話は、皆さんの心に深く刻まれたと思います。また、夜学塾は、参加者同志や講師陣とのコミニユケーションの場になったと思います。

4回の「かごしま観光人材育成塾」を通して、200名を超える塾生が誕生しています。地域・職場で観光の魅力を語り、地域づくりに貢献してくれるものと信じます。
この講座が地域活性化の人材育成につながることを期待し、来年も多くの参加者が集まることを期待します。

新しい時代の武家屋敷観光に期待する

平成23年11月21日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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文化財保護法では、「伝統的建造物群保存地区」とは、城下町・宿場町・門前町・寺内町・港町・農村・漁村などの伝統的建造物群が残り、これと一体となして歴史的風致を形成している環境を保存するために、市町村が定める地区を指しています。

この制度は、文化財としての建造物を「点」(単体)ではなく「面」(群)で保存しようとするもので、保存地区内では社寺・民家・蔵・などの建築物はむろん、門・土塀・石垣・水路・墓・石塔・石仏・燈籠などの「工作物」、庭園・生垣・樹木・水路などの「環境物件」を特定し保存措置を図ることとされています。我が国にとってその価値が特に高いものを重要伝統的建造物群保存地区として選定しており、2011年6月現在、日本全国で91地区が指定されています。

薩摩藩は、領内を113の区画に割り、それぞれに地頭仮屋を設け、その周囲に「麓」という武士の集落を作り、その地域の行政と軍備を管轄させました。この制度は島津家当主の内城に対して外城といい、歴史用語として外城制と言われています。県内では、「知覧」、「出水麓」、「入来麓」の3地域が保存地区に選定されており、いずれの地域も武家屋敷群を中心とした武家町の名残を留めています。

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この度、出水市の渋谷市長の呼びかけで、3市が連携して伝統的建造物保存地区をもっと観光資源として活用し、広域的な観光への展開を図ろうという趣旨で「武家屋敷 SUMMIT 2011」が開催され、薩摩川内市の岩切市長、南九州市の霜出市長のトップ3人が出席しました。

パネルディスカッションでは、小生がコーディネーターとなり「新しい時代の武家屋敷観光」をテーマに、市長とそれぞれの武家屋敷保存会の会長の6人が、今後の展開について意見を交換しました。
武家屋敷の魅力を一緒に情報発信し、旅行客がそれぞれの地域を周遊できる環境整備に努めたいということや、また、リピーターを確保するため、スタンプカードの発行やボランティアガイドの充実を図ることなども語られました。

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最後に、歴史的資源を活かし相互に連携・協調して活動する証として協定書を交換しました。内容は、新幹線各駅やバスを活用した薩摩半島観光ルートの開発、武家屋敷を保存・活用している団体の相互交流の推進、3市が協力しての県外客誘客活動の展開、の3つとなっています。

武家屋敷を活用して観光客の誘致を図るという目的は同じであり、今後ホームページ等でそれぞれの地域の四季折々の情報を提供し、「検索や広告などのコストを軽減させ」、「口コミや外部ネットワーク効果を創りだす」などプラットホーム戦略の推進が必要です。

また、来訪者に武家屋敷の魅力を語ることも重要です。この3地区には、ガイド協会がありませんでしたが、今度知覧武家屋敷にガイド協会が誕生し、お披露目がありました。まだ研修中ということですが、週末にはすでに予約が入り、勉強に余念がないということで、知覧の武家屋敷の新たな魅力発信につながるものと思います。

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庭園に興味ある人は、歴史ある佇まいを見るだけで感動しますが、一般の観光客は、人の語りがあって始めて庭園の造りに納得します。地元の方が、成り立ち、地域の歴史・文化・生活を伝えることで「そうだったのか」、「何度も来たけど初めて知った」となると思います。いくら物事がデジタル化されても、「人が人に伝える」という魅力は欠かせません。

ところで、従来、伝統的重要建造物など文化財は、保存することに重点を置いてきたと感じています。今後は保存しながら活用することで、観光客誘致につなげる取組が求められると思います。

日本の人口は確実に減少していきますので、交流人口を拡大し、地域に活力をもたらすためには、観光客誘致は欠かせません。日本の良き伝統の証であり、先人達が築いてきた文化財を、多くの人々に見学してもらう機会を提供することは重要なことです。そのことにより地域全体に波及効果がもたらされるものと思います。

日南市にある飫肥は、伊東氏5万1千石の名残をとどめる城下町ですが、5年前までは衰退が続く町でした。そこで飫肥城下町保存会が立ち上がり、「食べ歩き・まち歩き」のチケット付きマップを発売し、地域一体となって町の再生に努めています。日南線に観光特急列車「海幸山幸」が走り、今や九州を代表する元気な町となっています。

知覧武家屋敷庭園と知覧まち商店街を、約7000個の竹や紙の灯ろうで、幻想的な夜を演出する取組も始まります。今後各庭園で、ひな人形やこいのぼりの展示、野点の開催など四季を感じるイベントを創りだし、武家屋敷を有効的に活用することも魅力の一つになるのではないでしょうか。歴女と呼ばれる歴史に興味を持つ女性も増加しています。PRに若者を起用するなど、宣伝にも工夫が必要です。

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また、観光客に地元産品を味わうことのできる食事店や直売店等の情報も発信し、地域全体に経済効果をもたらすことも併せて取組む必要があります。 県内には、3か所以外にも、蒲生、加世田、甑島の里と手打、志布志、今和泉等にも武家屋敷が残っており、整備が進んでいます。今後の活用が求められます。

                参考:フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」

鹿児島流グリーンツーリズムの定着を

2011年11月14日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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九州でグリーンツーリズムに取り組んでいる人たちと、自治体、観光関係者を交えた「九州グリーン・ツーリズムシンポジウム2011in鹿児島」が、さつま町で開催されました。500名を超える参加者があり、最近のグリーンツーリズムへの関心の高さが表れていると思います。

県内で学生を中心に農家民泊のコーディネートをしているNPO法人エコ・リンク・アソシエーション代表理事である下津公一郎氏から、2004年に360名からスタートしたが、2011年には約10,000人の受入人数になり、修学旅行の希望先として民泊の人気が高まっていることの報告がありました。

県内では現在受入可能な農家は、2町12市におよび782軒にもなっており、県全体に広がっていることがあげられます。

他県からの参加者は、どうして県全域に広げることができたのか、という質問がありました。
下津氏は、鹿児島県は全国有数の農業県であり、広域で農業が営まれているという優位性、二つ目には、漁業体験、自然工芸体験、平和学習、歴史学習など学校のニーズに合うメニュー開発に取り組み、もう1泊に必要な大型宿泊施設が近くにあることが、誘致しやすい環境にあることをあげています。

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また、農家を集めての研修会や、日帰りモニターツアー、先進地視察を行うことで農家の組織づくりを図って受入態勢づくりを進めており、年間60、000人の受入態勢をつくるという固い決意を示していました。

また、NPO法人環不知火プランニング出水事務所長の宮田成夫氏からは、新幹線の停車駅のメリットを活かしたグリーンツーリズムの推進をしているとの報告がありました。
修学旅行の3要素(学習、遊び、体験)を含んだモデルコースを提案しているが、出水地域で体験できないメニューは、水俣の環境学習、人吉のラフティング等を取り入れるなど広域連携することで、学校の評価を得ているとのことです。

一方では、地域の魅力を地域の人が語れるようにすることが重要であるとの報告がありました。来年度はすでに10校、1850名の予約が入っており、簡易宿泊許可農家を増やすことを並行して取り組んでいると強い決意を語りました。
グリーンツーリズムの推進にあたっては、下津氏や宮田氏のように強いリーダーシップをもったリーダーが必要であり、学校、農家、エージェントの3社をコーディネートする能力が問われています。

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夕方の交流会では、各地域のグリーンツーリズム団体の方々が地元の食材を活用した料理を提供してくれました。竹の子、椎茸、大根の煮しめ、お漬物、お菓子、炊き込みご飯、そして地元産の焼酎が並べれられており、遅くまで賑わっていました。会員は、1年ぶりの再会だけに、多くの語らいの場ができていました。

宿泊は「民泊ひぐらし」にお世話になりました。かつてのたばこの乾燥室を改装し、談話室として利用しており、その部屋で炭火で生の椎茸を焼きながら、焼酎片手に今後のグリーンツーリズムの在り方、地域の方向性について夜のふけるのを忘れて語りました。
田舎の朝は、鳥の声で目がさめます。入来の諏訪温泉まで朝風呂に出かけました。江戸時代に開かれた温泉は、腰痛、肩こりに効能があるとのことで、2週間ぐらい滞在する人が多く、同じような病気で悩んでいる方はぜひ訪ねてはいかがですか。
「民泊ひぐらし」の代表である満留様には大変お世話になりました。ご夫婦で協力しながら民泊を経営することが、運営上も大切かも知れません。

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昼の体験は、竹の子村でのタケノコ堀りでした。日本一早出しが取れ、長さ10cm程度のもので、築地市場ではキロ4、000円~8、000円程度で取引されるとのことで、これからが本番とのこと。鹿児島は日本一の竹林面積があり、もっとタケノコを売りだせないかと思います。

ところで民泊について提起されているのがコンプライアンスです。現在の受入家庭のほとんどが、旅館業法で定められた「簡易宿泊所営業」の許可を取っていないということです。農家の方々が食事を提供し宿泊代を請求することは違法です。昼間は農作業の体験をし、朝晩の食事は農家の皆さんと一緒に食事を作り、夜は農家の一室を借りて寝起きするということで、その対価として体験料を農家に支払うことになります。「安心院」や「松浦」の受入家庭は、簡易宿泊所営業の許可を取得しています。

旅行エージェントの教育旅行担当者からは、簡易宿泊所営業の許可を持っている施設の要望が、学校サイドから強くなっているということでした。今は、県の農政部が作成した受入指針に基づき受入を行うということを遵守しなければなりません。教育現場では、一旦問題が起こると厳しい対応が求められます。

簡易宿泊所営業許可証の取得には、25、000円程度の手続料がかかります。壁のカーテンや換気扇の有無、部屋の構造などが審査されますが、ぜひ取得に向けて取り組んで欲しいと思います。教育市場は安定した市場ですが、法的整備も重要です。

今日本は食の安心・安全が問われており、農業の在り方が問われています。また、団塊の世代の大量退職時代を迎え農業に関心を持つ人が増え、田舎暮らしを希望する人も増えています。

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午前中だけ農業体験をして農家で昼食をとるなどして、地元産品に触れる機会をつくり、産品の定期購入者となることが農業の安定にもつながります。
農家の後継者育成には、安定した収入の確保が前提であり、グリーンツーリズムの定着が方策の一つになることを期待します。

厳しい現状にある香港、中国からの訪日旅行誘致策は

2011年11月7日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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今年3月に発生した東日本大震災の影響により、訪日外国人の数が大幅に減少しています。観光庁が実施した4~6月の外国人の延べ宿泊客数調査(暫定値)によると、日本全体で67%の減少、全都道府県が前年を下回っており、鹿児島県は58%の減少となっています。国別では、最も減少率が大きいのは中国(81%減)となっています。

このような厳しい環境の中、県と観光連盟では韓国、台湾に次いで香港地区や深圳・広州といった成長著しい中国の都市において、鹿児島市、指宿市の自治体やバス、宿泊・入場施設などの民間企業の参加を得て、12名で現地セールスを実施しました。

各地域の訪日旅行の現状と課題について報告します。

香港では、EGL,パッケージツアーズ、ウィンオントラベル、ポロトラベルなど6社を訪問しました。香港からの訪日旅行者数は、震災前の7割程度までは回復しており、来年は増加するのではないかという見通しでした。鹿児島へは直行便がないため、チャーター便の利用や福岡、大阪などへの定期便とフェリーを活用した商品で対応しているということでした。

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香港の人々は狭い都市で生活しており、移動時間の長いバス旅行は敬遠されており、福岡からは新幹線利用がベストであり、もっと料金が安くなれば利用価値が増すものと思います。震災前に成田空港から仙台に行く場合は、片道バス、片道新幹線(新幹線料金は半額)がよく売れていたのが事実です。

香港の人々にとっては5泊6日が人気であり、福岡までの定期便を利用し、比較的利用者が少ない昼間の新幹線の割引率を適用することが集客につながるのではないかと思います。
また、上海に1泊する中国東方航空の定期便を利用する商品があります。地元空港発着便の利用促進にもつながります。

今回訪問したEGLでは、社員が我々12名の名前が書かれたボードを掲げて、玄関で迎えてくれました。オフィスに入るとまた、テレビモニターの画面にそれぞれの名前が映し出され、新たな感動を覚えました。会社は、今年創立25周年を迎えますが、躍進続ける企業のエネルギーとホスピタリティ、顧客本位の経営姿勢に学ぶべき点が多いといつも感じています。

続いて香港の隣にあり、中国本土の南の玄関口である深圳の旅行社4社を訪問しました。深圳市は小生が初めて訪ねた1976年頃は、人口2万人ほどの小さな漁村地帯にすぎませんでした。しかし、現在では1,400万人を超え、1年間に3万人の人口が増えるといわれるなど中国の発展のシンボルとなっており、日本企業も多く、これからも発展が期待される市です。また、出発空港が香港となるため、直行便の充実が求められると思います。

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最後に広州の3社を訪問しました。広州の最大手の廣之旅国際旅行社では、3月の震災以降5月までは日本への送客はゼロであったが、10月に入りほぼ前年並みに戻っているとのことです。少しずつ回復基調にありますが、香港と同様に直行便があればと語っていました。

最近の傾向として、日本への修学旅行を希望する学校が増えており、交流の可能な学校を選定して欲しいという要請がありました。

鹿児島では、平成11年から15年頃までは海外修学旅行が多く、北京、天津、西安、上海等で学校交流を実施していました。今度は鹿児島の学校が、積極的に要請に応えるのが重要と考えます。

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最後に、中国東方航空(MU)香港支店と香港エクスプレス航空を訪問しました。MUでは、鹿児島は魅力的な観光地が多いのでもっと香港でPRを強化して欲しいと要請されました。


2012年に香港→上海→鹿児島→上海→鹿児島→香港の団体、個人旅行の企画を検討しており、行きの上海1泊はMUが提供予定であり、今月中には会社の判断が出るだろうという提案もありました。旅費の軽減になり利用者増につながるのではと思います。

同社では、責任者で30歳代のWayne Wang氏に面会できました。現在日本には、成田、沖縄、関西、札幌に就航しているが、来年1月、A300を複数機入れる予定で就航先を検討しており、最初は香港の旅行社と組んでチャーター便の運行をという話でした。懇意にしているEGLとも話をこれから煮詰めるということです。ぜひ鹿児島にも飛ばして欲しいものです。

話の中で京セラの創業者の稲盛会長が鹿児島県出身との話題を提供したところ、表情がさらに柔らかくなり、「稲盛さんは中国の若いビジネスマンに良く知られており、自分も尊敬している経営者」と喜んでいました。

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これらの地域の全体的な要望としては、円高で日本のランドフィーが上がっており、九州新幹線のインバウンド料金の適用拡大や、「かごしま水族館」など中国人が関心の高い入場施設料金を特別に割り引いて欲しいという要望がありました。

また、ショッピングができる場所の紹介や案内業務の充実も挙げていました。ほとんどの旅行商品の1日当たりの滞在費は、1万円位下であり、かなり厳しい条件が課せられます。その意味で乗り物、入場施設等についてははかなりの英断と、将来的な展望を考えて対応する必要もあります。

現状での旅行商品は、安値志向がかなり強いのが事実です。しかし、鹿児島の質の高い観光素材への期待は高く、中国の富裕層をはじめとして東名阪などゴールデンルートに向かっている人たちを、鹿児島に誘客するためには、各旅行社との信頼関係づくりが非常に大切だと感じました。

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国内旅行が伸びない中で、外国人特にアジアからの誘客は重要になってきます。
JNTOの調査によると、中国人観光客の訪日動機は、自然景観、ショッピング、温泉となっており、鹿児島はそれに十分対応できます。今は我慢の時ですが、将来に明るい展望を持って誘致に努めたいものです。