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出水のさらなる発展を願って~新幹線開業2年目を迎えて~

2012年3月5日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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今年もツルの北帰行が始まりました。荒崎の田んぼの上空を何回も旋回しながら、出水に別れを告げているようです。出水には昭和2年頃から飛来してきており、今年も1万羽を超えるツルが、越冬しました。 地域の人々の温かい保護活動が続けられた結果、このように多くのツルが飛来するようになったのではないかと思います。

昨年は鳥インフルエンザの発生でツル観察センターは閉鎖されましたが、23年度は65,000人の入館者が見込まれており、出水の観光はツルの存在が大きな支えになっていることを感じます。

この時期になると、長島町の行人岳にはツルの北帰行を見る人が訪れます。ツルにとって行人岳は、上昇気流をつかむ絶好のポイントとなっており、出水方面から徐々に高度を上げ頂上付近で上昇気流をつかむと、旋回をはじめて一気に急上昇し、一路繁殖地のシベリアを目指して飛んでいきます。今年11月には、また多くのツルが帰って来ることを祈りたいと思います。

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ところで、九州新幹線全線開業からまもなく1年になります。観光プロデューサーに就任した平成20年に第1回の「出水の観光を考える会」で講演を依頼され、その後出水市を度々訪れるようになりました。今回3回目の会合に出席し、今後の出水の観光について観光関係者と語る機会がありました。

全線開業2年目を迎える出水の観光戦略について述べてみたいと思います。

出水市への観光客は、九州新幹線が部分開業した平成16年は伸びましたが、その後は苦戦し、全線開業の23年度は回復基調にあります。現在新大阪からは、上下3本の列車が停車しますが、3月のダイヤ改正で17本に増発される予定であり、その効果をいかに活かすかが課題です。

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まず、どの地域をターゲットに何を売りにするか、出水で降りたくなる動機付けが必要です。関西以西をメインに、ツルの渡来世界一や武家屋敷等オンリーワンの素材をPRし、四季折々の過ごし方を提案し誘客する取組が求められます。


持続できる観光地になるためには、新ご当地グルメの定着やスイーツのブランド化も必要です。また、おもてなしの心の醸成も不可欠です。

今後、海外からの誘客が急がれます。昨年シンガポールの旅行エージェント招聘を実施しましたが、農家民泊や農園レストラン、肥薩おれんじ鉄道への期待が高かったと思います。

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新幹線の速さと「肥薩おれんじ鉄道」のゆっくり旅を提案し、観光施設や宿泊先での日本文化の提供が、外国人の心を捉えます。琴の演奏、日本舞踊、お茶、生け花、ゆかた着付等を堪能していただく仕掛けが重要です。3月25日から台湾便が就航し、東アジアからの誘客がさらに可能になりました。

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昨年から大きく伸びているのが教育旅行で、24年度はすでに11校、2,326名が決定しています。新幹線の利便性を前面に出し、駅からスタートできるグリーンツーリズムのメリットが誘致をより可能にしています。

対象エリアは関西・中国地域であり、出水ならではの体験メニューを提供することで、さらに他地域との差別化が図られます。NPO法人環不知火プランニングとの連携による取組を強化し、簡易宿所の登録拡大やコンプライアンスの徹底により、学校に対して安全・安心をアピールする取組も求められます。

旅行エージェントの商品企画に取り上げてもらうことが個人旅行への販売につながります。今まで停車本数や旅行エージェントに対する提供席数も少なかったために、商品造成が難しい点がありました。ホテルの方々は積極的に個人型のフリープラン商品を作っていただき、季節に応じた弾力的な価格設定で販売拡大に繋げて欲しいと思います。

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  一方では、近隣の市町村との連携が重要になっています。出水市に不足しているものは他の地域と連携しカバーする必要があります。観光客に県境はありません。水俣、牛深、天草、人吉、伊佐、霧島市などとの広域連携が必要です。

教育旅行の誘致に成功しているのは、水俣との連携が大きな要因です。たとえば、3月31日から開催される「夢追い長島花フェスタ」の参加者を呼びこむため、町のGSなどにパンフレットを置くことで観光客の流れを呼び込むことが可能となります。

ところで、各自治体とも人口の減少や税収の伸び悩みで各種の事業展開が厳しくなっています。国の公募事業を活用するのも一つの方策で、国土交通省、内閣府、経済産業省、総務省などの支援事業に応募し、採択されれば資金援助が受けられます。また、県の魅力ある観光地づくりにも積極的に応募して欲しいと思います。

出水の武家屋敷は規模が大きく見応えがありますが、敷地内の自動販売機は木の枠組みで囲み、宣伝広告板や旗は禁止するなど景観保護に努めるべきです。そのことが魅力アップになります。

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昨年締結された知覧、入来の武家屋敷との連携を強化して、共通のパンフレット作成や共同宣伝、共通チケットの導入やスタンプラリーなどの取組が、3地域への誘因効果をもたらします。昨年オープンした交流ハウス「和」の利用促進が出水の武家屋敷の価値を高めることにもなります。

また、秋に開催された「出水ツルマラソン」に続くイベントとして、ウオーキングや女性のスポーツ大会を創設するなど、人が集まる仕掛けが必要です。教育関係や業界の各種大会の誘致も新たな需要層の開拓につながります。 新幹線開業を期にスタートした周遊バス・クレイン号の継続運行が重要です。やっと定着しつつあり、今後行政の支援を受けながら自力で運行可能な道を目指して欲しいと思います。

最後に、今出水商工会議所が進めている「出水ブランド」の新しい商品展開を、市のイメージアップに役立てる必要があります。グルメ3品、スイーツ3品が新しく開発され、市民への定着をいかに図るかが成功の鍵となります。各種団体の名刺でもPRし、ホテル、道の駅、商店街等で土産物として購入してもらう取組が出水に経済効果をもたらします。

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出水は九州新幹線が停車する12の駅の一つであり、駅を基点に様々な取組ができます。果敢なチャレンジを行い、新幹線増発を機にさらに地域が発展していくことを期待してやみません。

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