トップページ > プロデューサーズコラム

佐多岬が持つ観光地としての魅力

2012年4月23日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

        「黒潮の海に昇りし天津日は 佐多乃岬を日ねもす照らす」

この歌は、佐佐木信綱門下の歌人であり、「新古今集」の研究家として知られる川田順の歌で、佐多岬の展望所近くに歌碑が建立されています。川田順が昭和11年に長崎鼻を訪れた際、対岸に見える佐多岬を見て詠んだ歌と言われており、当日は快晴ではなかったかと想像されます。

佐多岬灯台は、1871年(明治4年)に完成しましたが、戦争で被害を受け、1950年に建て替えられ現在の白亜の灯台として生まれ変わりました。太平洋に突き出した半島の先端にあり、九州本土最南端にある灯台で、「日本の灯台50選」にも選ばれています。

佐多岬(灯台).jpg

太平洋の黒潮が押し寄せる突端に立つ灯台は、錦江湾や南の島へ行き交う船舶の目印として重要な役割を果たしています。対岸に薩摩半島の開聞岳を望み、東シナ海に沈む夕日は格別です。晴れた日には、種子島、屋久島を望むことができます。



佐多岬の入口に位置する大泊には、北緯31度線(エジプトのカイロと同じ位置)の表示塔が立っており、車を止めて写真に収める観光客が見受けられます。

ところで佐多岬への観光客は、昭和40年代の前半から50年代の前半までがピークでした。新婚客のゴールデンルートとして、宮崎~日南海岸~鹿屋~佐多岬~根占~山川~指宿が賑わいました。その後新婚旅行が海外に移り、バブルが終焉し団体旅行も激減し、薩摩半島との架け橋であったフェリーが休航した期間もあり、いつのまにか佐多岬も忘れられた存在でした。

吾平山上陵.jpg

佐多岬への観光客が減少したことにより、広範囲に影響がでてきました。かつての宮崎からのゴールデンルートを通る観光客はほとんどいません。「かのやばら園」まで来た客は、引き返して鹿児島に戻っていきます。一方対岸の指宿方面からの観光客の流れも減少しました。

しかし、団塊の世代の退職や国内旅行の個人化・多様化が進み、今では交通の便が悪く秘境と呼ばれる地域が脚光を浴びています。佐多岬も、例外ではありません。

しかしながら、現在の佐多岬の周辺は休憩施設もなく、展望台は修復工事の傷跡が深く観光客が楽しめる雰囲気が感じられません。灯台が望める最先端まで行く途中には、かつて住んでいた「古い灯台守の館」が藪の中にひっそりと佇んおり、整備すれば産業遺産として活かせると思います。

その意味でも佐多岬の魅力づくりが、鹿児島市、指宿、宮崎からの観光ルート定着になり双方にメリットが出てくると思います。今年度は県の予算で調査費が付いており、佐多岬の課題が改善されることを期待しています。

さたでい号.jpg

佐多岬周辺の魅力をあげると、大泊港から出ている半潜水艦の水中展望船があります。「さたでい号」と名付けられ、ビロウ島、佐多岬沖など佐多岬海中公園内を30分かけて周遊し、黒潮の中を泳ぐ熱帯魚を目のあたりに鑑賞できます。


また、岬では、ハイビスカス、ブーゲンビリアなど数多くの亜熱帯植物が生い茂り、熱帯のジャングルにいるような気分に浸ることができます。ソテツの自生地も圧巻です。
自力歩行で最南端を目指すトレッキングツアーもあります。いくつかの山越、崖越え、しかもロープを頼りに一人ずつしか登り降りできないというスリリングな箇所もあり、それゆえに最南端への到達したときの達成感は大きいものがあります。体験型観光の醍醐味を味わうことができます。

九州新幹線が全線開通したことにより、時間短縮効果で大隅地域への誘客もより可能となりました。

諏訪神社.jpg

佐多岬のある南大隅町までの沿線には、かのやばら園、吾平山上陵、内之浦宇宙空間観測所、花瀬公園、神川の大滝、雄川の滝、並列鳥居のある諏訪神社等特色のある観光地や、農・漁家の直売所、錦江湾に沈む幻想的な夕陽が望めるレストランなど旅情を感じさせる店もあります。

これらの観光地を線で結び、地域全体に波及効果をもたらす取組が重要であり、そのためには、まず県民に訪ねてもらうことが大切ではないかと思います。そして県外の方々に南大隅地域の魅力を語って欲しいと思います。

御崎神社.jpg

最南端の神社として有名な御崎神社は、最近パワースポットとして人気があり記念写真に納まるカップルの姿が多く見受けられます。吾平山上陵と諏訪神社、御崎神社の3箇所をパワースポットとして売りだすのも効果が期待できます。


北海道の最北端宗谷岬はこれからの季節、本州方面から多くの観光客が訪れます。その後日本海に浮かぶ利尻島、礼文島まで足をのばします。最北端と最南端を結ぶツアーもおもしろいと思います。

なんきゅう.jpg

根占~山川フェリーの再開で薩摩半島との往来もできるようになりました。かつて「岬めぐり」というツアーがヒットしました。都井岬、佐多岬、長崎鼻を巡るツアーの復活も楽しみです。


根占港の隣には、新たに南大隅町の農産物や採れたての魚等を取り揃えた「なんたん市場」もオープンしました。フェリーの待ち時間に是非立ち寄って欲しい場所です。
最南端にある大泊郵便局を訪ね、記念スタンプを押し九州本土最南端の地に来たことを実感し、喜んでくださるお客さんを多く呼びたいものです。

            参考:南大隅町観光ガイドマップ:南大隅町役場企画振興課

プロフィール

奈良迫プロデューサー
鹿児島県
観光プロデューサー
奈良迫 英光
詳しいプロフィールはこちら