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No.330 免税店の設置で県産品の販売拡大を~外国人旅行者向け消費税免税制度の変更を活かそう~

2014年9月29日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 2013年の訪日外国人旅行者数は、1036万人で悲願の1千万人を達成しました。全体の76.7%がアジアからの旅行者です。国別では、韓国、台湾、中国、香港、タイの順となっています。8月は22.4%増の111万人で、1月からの累計は25.8%増の863万8千人となり好調を維持しています。

 訪日客が伸びている要因として、ビザの緩和、円安、LCCの就航、和食の世界無形文化遺産登録による日本ブーム、東日本大震災から3年半が経過していること等があげられます。このまま推移すると、年間では1200万人程度となり、2020年の2000万人達成も現実味を帯びてきました。

 鹿児島県の2013年の訪日外国人の宿泊者数は21万人余りで、26.3%増となっています。台湾、香港が大きく伸び、韓国や中国からは竹島や尖閣諸島問題もあり減少しました。

 2014年は、台湾、香港が引き続き順調で、中国は回復基調で、韓国は旅客船沈没事故等の影響もあり減少傾向でしたが、冬場のゴルフ客等の回復が期待できます。7月の観光動向調査によると、宿泊客は15.5%増の12,158人となっています。このまま推移すると、今年は過去最高の外国人宿泊者数になるのではと想定しています。

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 ところで、外国人旅行者向け消費税免税制度について、今年の10月1日から、消耗品(食品・飲料、化粧品、薬品等)が新たに免税対象となり、全品目が免税対象となります。

 これにより各地の銘菓、酒、米、調味料、薬、伝統工芸品といった地域ならではの特産品も免税販売が可能となることから、訪日外国人の旅行消費を促し、地域経済の活性化とリピーターの創出に繋がるものと思います。対象品目の拡大に加えて、手続きも簡素化されます。

 今回の制度改正を鹿児島においても最大に活かす取組が求められます。国では2020年の東京オリンピックに向け、全国各地の免税店を10,000店規模へ倍増させることを目標に、さらなる免税手続きの利便性の向上等に取り組むこととしています。

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 県内には現在14店舗の免税取扱店がありますが、デパート、量販店、電気店等に限られており、今後取扱店舗の拡大が求められます。これから免税店設置を申請するにあたっては、態勢づくりも求められます。外国語表記、中国語や英語を話せるスタッフの養成や異文化への理解、Wi-Fiの設置等が不可欠です。

 現在免税店を扱う店舗は、鹿児島市内に集中しています。今後の免税店設置については、貸切バスが駐車できる郊外の大型店、道の駅、土産品を置いている食事店、散策中に立ち寄れる中心市街地、宿泊者に便利なホテル等が、適しているのではないでしょうか。

 先日上海の有力企業グループの幹部と会う機会がありました。グループ内に旅行部門を持ち、今年はすでに長崎県を中心に、九州へ1200人の訪日客を取り扱っています。幹部によると、今後九州に送客しやすい要件の一つとして、多種品目を扱う免税店が身近な場所にあることが不可欠と語っていました。

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 上海の人々が今日本に行って買いたいものは、安全安心の食材が一番である。電気製品やデジカメはすでに大衆に普及しているとのことでした。富裕層も増加し健康・長寿に関心があり、日本の美味しいブランド米、調味料、粉ミルク、薬品、化粧品等に人気があると言っていました。

 米は日本より4倍も高く、宿泊先で食べた美味しい米を手に入れたいという旅行者のニーズが高くなっていると語っていました。また赤ちゃんがいる世帯や老人層は、粉ミルクや薬品等を重宝しています。自国の製品より日本産のブランドを信用している姿が感じられます。

 このように中国からの観光客は、行程の中で生活用品が買える免税店への立ち寄りを望んでいます。人口や経済発展を考えると、鹿児島への訪日客は、今後上海からが一番伸びるのではと考えています。その意味でも上海線の利用促進を図りたいものです。

 また、福岡空港からの入国者が鹿児島を観光し、最後にショッピングを楽しみ、鹿児島空港から出国し易い環境を整えることが経済効果をもたらします。そのためには新幹線の片道切符の大幅な割引をすべく、JR九州との交渉も求められます。

 今回全品目に消費税免税制度が拡大されたことで、県産品の販売拡大を図ることで、地域の活性化につなげねばなりません。食料品では、早場米、醤油・味噌、黒酢、調味料、干物、黒砂糖、郷土銘菓、焼酎、水、薬品、健康補助食品等、又富裕層は、ガラス工芸品、薩摩焼、屋久杉製品、薩摩錫器等にも関心を持つのではないでしょうか。

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 鹿児島を訪れた外国人が、「免税店シンボルマーク」に気づいて来店したら、気軽に応対できる店を増やして行く必要があります。訪れた地域に免税店がなければ、購買のチャンスを逸し、2度と鹿児島を訪問する機会を絶ってしまいます。


 日本の人口は確実に減少して行くことから、観光交流人口増大による地域活性化は不可欠です。観光庁の資料によると、定住人口1人減少分を外国人観光客11人でカバーできると試算しています。

 県内各地域に、外国人がゆっくりショッピングできる免税店を増やすことが、外国人誘客の一つになるのではないでしょうか。

No.329 第7回かごしま観光人材育成塾」の開催について~まちづくり・観光地づくりに求められるものとは~

2014年9月22日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 天候不順が続いた今年の夏も終わり、朝夕の涼しさに秋の気配が濃くなり、えびの高原ではススキの穂が色づき始めています。九州新幹線全線開業から3年半が経過し、開業効果が一段落しているものの、週末の観光地は多くの観光客で賑わっています。

 鹿児島市内の食の有名店には、ガイドブックを持った若者たちが列をなし、修学旅行生は、天文館のかき氷店で「白くま」を食べている姿が印象的です。そのまちに観光客の姿を見れば、元気さがわかるような気がします。

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 ところで、九州新幹線全線開業後二次交通の整備や新たな地域づくり、情報発信が功を奏し、従来通過地点であった地域に観光客が訪れるなど変化が起きています。一方では個人旅行が主流となった今、それに十分対応できなくなった施設が厳しい状況におかれる可能性があります。

 今年も、これからの地域づくりや情報発信を担う人材育成を目指し、「第7回かごしま人材育成塾」を開催します。地域づくりやおもてなし、情報発信、地域資源を活用した特産品等の開発、よそものから見た地域おこし等、鹿児島が今後取り組むべき課題について学ぶ6つの講座を開催します。

 講師と講座の内容について簡単に紹介します。

 第1講座は、県観光交流局の倉野観光課長が、「観光かごしまの現状」について講演します。県が毎年取組んでいる「魅力ある観光地づくり事業」の現況や今後の重点課題の一つである「プロスポーツの振興」等についての講座です。プロスポーツについては、「キャンプ誘致」や6年後の東京オリンピック、国体の開催をにらんだ戦略の一端が語られるのではと楽しみです。

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 第2講座は、「株式会社まちづくり計画研究所 代表取締役 今泉重敏」さんによる【まちづくり仕掛けのハウツー】です。今泉さんは、かつて福岡県久山町の職員を10年間経験された後独立され、今では九州における地域づくり、まちづくりの"のぼせもん"仲間のネットワークの代表世話人として活躍されています。


 首長、議員、地域づくりリーダー、女性団体等の、約1万人の人的ネットワークを持つ、笑顔のバイタリティあふれるまちづくりコーディネーターです。自治体の総合計画、観光ビジョン、中心市街地の活性化計画、過疎地活性化計画、小学校単位のまちづくり協議会等の将来ビジョンの策定等、これまで150以上のプランを策定した経験の持ち主です。自治体の多くの職員の皆さまに聞いていただきたい講義です。

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 第3講座は、「第30回国民文化祭におけるおもてなし」です。来年10月31日~11月15日まで開催されるこの大会は、日本における文化の最大の祭典です。県内全ての市町村文化行事が開催されることから、県全体としておもてなしのレベルアップが求められます。


 講師の中村朋美さんは、地元メディアの元アナウンサーとして活躍され、温泉、焼酎、美術・工芸、食等にも造詣が深く、常にお客様の視点で語りかける姿勢は、誰もが信頼を寄せています。社会貢献活動にも積極的に取り組まれています。「おもてなしの極意」や鹿児島の新たな観光の在り方について示唆に富んだ話が聞けるのではと思います。

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 第4講座は、日本一の鰹節の産地である枕崎市で、新たな食文化に取り組む中原水産株式会社常務の中原晋司氏による【出汁(だし)による地域活性化】です。日本食がユネスコの世界無形文化遺産に登録され、日本の伝統的食材が脚光を浴びています。



 枕崎の漁師が船上で食べる丼飯からヒントを得た「枕崎鰹船人めし」は、県内の地域グルメのNO1を決める「Show 1グランプリ」で2年連続1位に選ばれました。中原常務は、特産の鰹節で街を活性化したいと出汁の魅力を日々PRし、新商品開発にも取り組むとともに、海外での営業活動も始めています。枕崎を「出汁のふるさと」としたいと言う大きな夢が語られると思います。食の関係者にぜひ聞いてもらいたいテーマです。

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 第5講座は、株式会社 トラベルジップ代表取締役 大泉敏郎氏による【観光業界・観光客のトレンドとWebサイト活用方法】です。現在県・連盟のホームページについて、ご指導いただいているのが大泉氏です。大泉氏の指導・助言により連盟のホームページへのアクセス回数は飛躍的に伸びています。


 顧客が求める情報はどこにあるのか、また見たくなるホームページのあり方について、革新的な提案がなされるものと思います。各自治体で広報や観光宣伝を担っている人の最適な講座と思います。是非参加ください。

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 最後の第6講座は、薩摩川内市の甑島で「地域おこし協力隊」として活躍されている関美穂子さんによる、【「ヨソの目」が地域に入ることって?~地域おこし協力隊の事例紹介~】です。地域おこし協力隊とは簡単に述べると、「都会の若者を地方に呼んで、地域活動をしてもらいながら地域力を維持強化していきましょう」、という事業で総務省の人材活性化・連携交流室の事業の一つです。

 関さんは大学卒業後、エージェントで海外旅行のツアー企画造成、予約や担当され旅行業務には精通してこられました。日頃から地域が主体の着地型観光に興味を持っており、薩摩川内市が公募していることを知り、採用された一人です。現在下甑島に暮らしながら、特産品開発や旅行商品の企画等に取り組んでいます。

 よそものの視点で捉えた甑島の魅力をどのようにして商品化し、PRして販売していくのかそのサクセススト-リーが聞けるのではないかと思います。甑島には、水戸岡鋭治氏設計による、観光高速船が就航し話題の島となっています。島の魅力とともに彼女の活躍ぶりに拍手を送りたいと思います。

 今回から、講座の選択も可能となりました。どの講師の方々も豊富な経験を持ち、それに裏打ちされた講演は、皆さんの活動に必ず役立つと信じます。また、夜学塾は、参加者同志や講師陣とのコミュニケーションの場であり、講座で聞けないより具体的な話が聞けると思います。

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 地域づくり・観光地づくりには、まず人材の育成が重要と考えています。今まで人材育成塾を受講した方の多くが、それぞれの地域で頑張っていることは、鹿児島の観光にとって大きな財産となっており、7回連続で受講を申し込んでいる方もいらっしゃいます。

 九州新幹線全線開業から3年半、転換期をむかえている鹿児島の観光です。この講座が人材育成とさらなる地域活性化につながることを期待し、多くの受講者が参加されることを期待します。

No.328 拠点地域からの広域観光周遊ルートの商品化を~観光客をいかに広げるか~

2014年9月16日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 赤とんぼの群れ飛ぶ姿が夕日に映え、秋の訪れを感じます。登下校の子供たちはジャージ姿が多く見られますが、運動会の練習の帰りでしょうか。また、味覚の秋を迎え、店頭には栗や柿の実が並び、北国では紅葉が始まります。

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 1年の内で一番観光客が動く時期になりました。鹿児島県内には年間680万人もの宿泊者がありますが、約70%が鹿児島市、霧島地区、指宿地区の3地域に集中しています。(観光庁2015年統計)今後の鹿児島の観光を考えるとき、この3地域からいかに観光客を広げるかが大きな課題となっています。

 この度、鹿児島地域発の広域観光周遊ルートのコースとして、いちき串木野・薩摩川内方面のモニターツアーを実施し、宿泊・観光施設、キャリア、エージェント、県、市、地域振興局等から56名の参加がありました。主な観光地の魅力と課題について整理したいと思います。

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 2018年(平成30年)は明治維新から150周年の節目を迎えますが、維新の立役者となった偉人を多く輩出しているのが薩摩藩です。1865年薩摩藩は、国禁を犯して15名の若者と随行者4名を英国に派遣します。いわゆる薩摩藩英国留学生です。その生徒の多くは開成所で学んだ若者で帰国後は官界、実業界で活躍します。

 留学生の足跡を見学できる施設として、いちき串木野市にオープンしたのが、「薩摩藩英国留学生記念館」で、その施設を最初に訪ねました。地元の田畑市長の出迎えを受け、記念館の設計から展示物まで手がけた砂田光紀プロデューサーの案内で、館内の見学を行いました。

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 留学生の苦難の渡英やその後の活躍のストーリーは、近代日本の成長に大きな足跡を残していると感じます。また、渡英前に過した羽島の人々との交流は、日本を離れる留学生たちの心の支えになったのではないでしょうか。


 留学生の中で村橋久成は、戊辰戦争の際砲台長として活躍し、その後北海道開拓使となり、サッポロビールの生みの親として語り継がれています。

 留学当時13歳と最年少であった長沢鼎は、その後アメリカに渡り生涯を過ごし、広大なぶどう園の経営とぶどう酒製造に尽くし、ワインの帝王と称されました。鹿児島でもナガサワワインとして親しまれています。

 今羽島地域では、ボランティアガイドや観光船運行の体制が整い、これからの地域づくりの支えになるのではないでしょうか。記念館前の駐車場が狭いため、シーズン中の車の誘導や団体バスの乗降に気をつけなければなりません。

 各市町村で、青少年の翼、青年の船等の海外派遣事業が盛んです。ぜひ、小・中・高校生等若い方々に見学して欲しい施設です。

 日本は人口の少子・高齢化時代に入り交流人口の拡大が不可欠であり、外国人観光客の誘客もより強く求められてきています。鹿児島の近代化遺産群が、世界文化遺産への正式登録を控えています。開成所から薩摩藩英国留学生に至る功績を学ぶことは、明治維新150年を検証することにもなります。人材育成の重要さも伝えたいものです。

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 食事施設としてマグロ船の形をモチーフに、資料館と物産館を併設したレストラン「まぐろの館」がオープンし人気を博しています。いちき串木野市は、マグロ船の船籍保有数は日本一となっていますが、マグロは主に焼津港や清水港に水揚げされます。

 まぐろの館の社長は、おいしいマグロを食べたいという顧客の要望に応えて、満を持してのオープンとなりました。北薩摩地域にこのような大型の食事施設がなかっただけに、観光ルート設定には役立ちます。県民へのPRも図らねばなりません。

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 次に訪れたのが薩摩川内市の市比野温泉地域です。かつて市比野温泉地域は、鹿児島市の奥座敷として多くの宴会や団体客で賑わっていました。今では宿泊施設は数軒のみで、昔を知る人には寂しい限りです。


 時代の流れは個人客が主流となり、それに対応することの難しさを感じます。それでも、与謝野晶子が宿泊した「みどり屋旅館」や文学碑、人気のお菓子屋があり、1時間程度の街歩きが楽しめます。

 地域おこしで始まった「よさこい祭り」は年毎に参加団体が増え、今では北薩を代表する祭りに成長しています。市比野温泉は泉質が素晴らしく、近隣のお客さまに愛されてきた温泉でもあります。昔の団体旅行全盛期のスタイルに戻るのではなく、ロマン漂う静かな温泉街の復活を望みたい。近くの道の駅「樋脇」も多くの買物客で賑わっています。入来麓武家屋敷、いむた池と一体となっての誘客が求められます。

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 入来麓武家屋敷群も整備され、美しい町並みが復活しました。清色城跡、旧増田邸、旧家入来院氏の家並みは必見の価値があります。ガイドさんの説明も楽しく、わかり易い解説でした。近くの入来小学校の子供たちが手を振り頭を下げる姿に、地域ぐるみで観光客を迎えているという「おもてなしの心」が醸成されていると感じます。

 武家茶房Monjoでの休憩時間も楽しく過すことができました。街の散策の途中に、小物店やカフェがあると助かります。地域に少しでも経済効果をもたらす仕組みづくりは不可欠です。 また、近くの大宮神社で奉納される入来神舞は、700年の歴史があり、その中で舞人が朗詠する「君が代」が国家の始まりと言われています。神社のPRと併せて駐車場、トイレ等の整備も必要です。

 薩摩川内市では、今回も地域ぐるみで歓迎幕をもって我々を出迎えてくれましたが、その取組は市全体に広がっているという好印象を受けました。

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 九州新幹線が全線開業して北薩摩地域は波及効果が少ないと指摘されていますが、地域は必死に頑張っています。それに応える為には、市や連盟ではPRやエージェントと連携した商品企画支援をもっと充実していく必要があります。


 知名度が主要3地域に比べて低いだけに、入込み客数だけにとらわれず、地域活性化の視点で捉えていく必要があります。そのことが3地域の発展にもつながるのではないでしょうか。

 これからも3地域からの観光周遊ルート定着に向けて、努力したいと考えています。いちき串木野市、薩摩川内市の方々にお礼を述べるとともに、頑張れとエールを送りたいと思います。

No.327 平成26年度の後半戦をいかに取り組むか~地域の総合力を結集した商品展開を~

2014年9月8日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

        葛(くず)の花 踏みしだかれて 色あたらし。
                   この山道を 行きし人あり  ~釈迢空~
*葛は秋の七草。日本人は葛の根からつくった葛粉を、昔から利用してきました。葛湯、くずきり、くず餅は、むかし懐かしい味です。

 二百十日が過ぎ、朝夕の涼しさに秋の気配を感じます。今年の夏は全国的に不順な天気が続き、集中豪雨による大きな被害が出ました。例年南九州地域は、水害がよく発生しますが、今年は、広島、福知山、北海道の利尻島・礼文島等が大きな被害を受けました。心からお見舞いを申し上げます。鹿児島で大水害が発生した時、全国から応援や見舞金を頂きました。今回は我々がお返しする立場です。被災地の早急の回復を祈念しています。

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 ところで、春先から宿泊客の減少が見られる鹿児島の観光ですが、夏も3度の台風の襲来でキャンセルが多く、厳しい結果になるのではないかと懸念しています。夏休みは、ファミリーの旅行が主流であることから、天候の不順は旅行の出控えにつながりました。

 また、九州新幹線の全線開通で中国地域から観光客が増加し、中でも広島県からのお客様が多かっただけに、今回の水害は今後の誘客に大きな影響があるのではと懸念しています。

 今年は大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンに、「ハリーポッター」の新しい施設がオープンしたこともあり、北部九州、中国、関西、関東地域から予想を大きく上回る入場者で賑わっています。昨年の伊勢神宮の式年遷宮効果も続いています。

 年当初より、今年の鹿児島の観光は厳しくなると予想していましたが、現状はあまり好転していません。秋から来春にかけての対策を急がねばなりません。全国主要都市での説明会では、「本物。鹿児島県」をキーワードに、従来の鹿児島市、霧島、指宿地域の魅力に加えて、近代化産業遺産群、頴娃町のお茶農家「茶寿会」による「グリーンティリズム」、本土最南端の始発・終着駅の枕崎駅や「出汁」文化、世界自然遺産の屋久島、バニラ・エアが就航した奄美大島、甑島、大隅半島の鹿屋、佐多岬、内之浦等をPRしてきました。

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 また、当連盟では、3拠点地域(指宿、霧島、鹿児島)発の広域観光周遊の新しいルートの提案を行い、新規需要開拓に努めているところです。今年度は大きなイベントもなく、大量の集客は厳しいものがあります。JRや航空会社、エージェントに対する商品企画支援もすでにスタートしています。

 10月からJR九州の、鹿児島VS大分キャンペーンがスタートします。そのテレビCMが9月1日から放送されています。大分県は、泉源数日本一でありますが、2位の鹿児島県も多彩な温泉が多く、またとないPRのチャンスです。黒牛、黒豚、黒さつま鶏、黒マグロ等食の対決も見もので、おもてなしの心を持って観光客を迎えることが地域の評価につながります。両県の相乗効果が期待されます。

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 ANA南九州キャンペーン(10月~3月)、JAL鹿児島キャンペーン(11月~1月)も展開されます。各社の持つメリットを活かし、誘客に努めなければなりません。ANAは熊本、宮崎と連携した商品造成が進んでいます。路線の多い鹿児島便は有利であり、各施設は地域の情報を積極的に発信してもらいたい。JALは離島にも就航しており、屋久島や奄美大島への誘客が期待されます。冬場の温暖な気候と美しい自然、生態系をPRしたいものです。オフ時期対策として貸切バス支援も実施します。(12月~2月)

 一方外国人は台湾、香港が好調に推移しています。中国は苦戦を強いられており、先日も上海で誘客対策をかねて、主要会社の訪問を行いました。有力メディアでの発信や富裕層向けの商品提供が必要であり、上海から一番近いところの県であることもPRしなければなりません。 韓国は冬場のゴルフツアーが人気商品であり、インセンティブや招聘事業を行いながら誘客をすすめています。

 各施設においては、地域のイベントや伝統的祭り、食等を組み込んだ企画を、秋以降の対策として展開していると思います。秋のメインは時間に余裕のある熟年層であり、比較的富裕層が旅行します。平日に宿泊するメリットも打ち出すことが必要です。

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 鹿児島が誇る温泉や食、近代化産業遺産群、ローカル列車等をPRして集客に結びつけて欲しい。今年世界文化遺産に群馬県の「富岡製糸工場」が登録されましたが、予想を超える観光客が押し寄せ大混雑しています。鹿児島の世界文化遺産候補地は、現在でも見学できる利点を誘客のポイントにしてもらいたい。

 2018年は明治維新150周年に当たりますが、鹿児島は一番注目を浴びる地域となります。それまでの出来事を時代ごとに、その背景とともに語ることが必要です。いちき串木野市には、「薩摩藩英国留学生記念館」やマグロ料理が堪能できる「まぐろの館」もオープンし連日賑わいを見せています。4月から甑島へは、新造された高速観光船が就航し人気を博しています。

 年末年始にかけては、忘年会・新年会企画が定番ですが、各施設のオリジナリティを出し、例年と違う演出が必要です。また、近場のお客様が多くなることから、平日に遅い時間からでもスタートできる宴会企画も喜ばれるのではないかと思います。

 最近の旅行は、一人旅も人気です。小さめの部屋を提供できるところは、企画に活かすことをお勧めします。女子のグループには、女性が好むスイーツやアメニティグッズの提供が感動をもたらします。

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 消費税アップに伴い、消費マインドが落ちています。積極的に情報発信しないと企画倒れに終わります。WEBの展開も不可欠です。各施設は従業員の力も活用し、同級生や親せきを動かす手立ても求められます。

 エージェントやキャリアだけに委ねるのではなく、地域内の資源を点検し施設、従業員が魅力を語り、総力戦で集客に努力する時ではないでしょうか。

No.326 激化する教育旅行誘致に求められるものとは~鹿児島ならではの体験メニューの提供を~

2014年9月1日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 8月20日と21日、東京と大阪で九州観光推進機構による九州7県合同の修学旅行誘致説明会が開催され、日本修学旅行協会、全国修学旅行研究協会、エージェント、学校関係者等各会場とも120名余の出席者がありました。


 各県が教育課程に適した体験メニュー、産業革命遺産、民泊の受入態勢等のPRを行いました。現在修学旅行の行先としては、関東地域の高校は沖縄、北海道、中学校は京都・奈良方面、関西地区の高校生は沖縄、北海道、九州、中学生は沖縄、九州が主流となっています。

 説明会では、他地域から九州へ変更した学校の取組の報告がありました。都立のJ高校は、修学旅行を「進路探索研修旅行」と位置づけ、異文化体験をメインに別府の「立命館アジア太平洋大学」を行先として北部九州を選択しています。中でも英語を活用するべく、着物着付や茶道、武道等日本の伝統的文化を紹介して、多くの留学生との交流を深め将来の進路に役立てるために、修学旅行をうまく活用していると感じました。

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 また、関西の中学校は行先を変更した要因として、九州の宿泊施設は収容力が大きくフロアー貸切等ができることから、生徒の管理がしやすいと九州の良さを語っていました。また、南九州へは集約列車が運行され、時間短縮や旅費の低廉化が図られたことも理由にあげていました。

 鹿児島への誘致策の一つとして、日程や行先に制約のない私立高校や、SSH(スーパーサイエンス・ハイスクール)の指定を受けている高校へのPRが必要と感じます。種子島や内之浦の宇宙関連施設の見学や、屋久島の世界自然遺産、奄美の島々、桜島の噴火、甑島の地形等科学、自然等に関する魅力をもっと前面に出してPRすべきと認識させられました。オンリーワンの見学地、そこでしか体験できないことが差別化となります。併せて受入体制の充実も行先変更の大きな要因となります。

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 中学校については、農・漁業体験や民泊の利用が定着しつつあります。体験メニューでは、グリーンツーリズムやブルーツーリズムの本物体験が不可欠です。最近の体験学習では、長崎県松浦、五島、壱岐や熊本県天草の御所之浦での、無人島体験、魚釣り、ペーロン競争等マリン体験も人気を博しています。

 鹿児島では垂水市漁協の餌やりやカンパチのさばき方体験が人気となっています。直接生き物に触れることができることが好評であり、県内で地引網や定置網漁などの体験できる新たな場所を開発しなければなりません。 25年度から修学旅行の集約列車が運行され、関西地域から南九州を行先に選ぶ学校が増えています。

 一方学校側からは乗り換えなしの直通運行や、更なる時間の短縮等の要望が出ました。JR西日本、JR九州さんの協力が不可欠であり、引き続き要望していきたいと思います。

 先日鹿児島市内で、関係者による「体験学習メニュー意見交換会」を開催しました。本年度から鹿児島への修学旅行を実施している姫路市のH中学校の先生に南九州の魅力を語ってもらいました。

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 先生によると、「知覧での平和学習」、「球磨川でのラフティング」、「出水の民泊」が生徒たちに好評であり、特に多くの生徒の印象では、民泊のおもてなしが良かったと言ううれしい報告もありました。今後は鹿児島市での街歩きや桜島の見学等も検討したいとも語りました。

 修学旅行の誘致競争は激化していますが、学生さんと農家との感動的な触れ合い、体験をいかに多くつくることができるかが、今後の定着に向けての課題です。南さつま地域からスタートした農家民泊は、25年度は県下全域に広がり(一部離島を除く)、教育旅行の取扱が2万人を超えました。1泊2日の滞在期間、野菜や果物の収穫、家畜の世話など、日頃農家の方が行っている仕事の体験と民泊が子供達に感動を与えています。直接土に触れることが生徒たちの心を動かします。

 日頃食べているものがどのような自然環境で育ち、日々の手入れはどのようにしているのか、また収穫されたものがどのようなルートで食卓に届いているのかを肌で感じることができ、食の大切さを理解する機会になるのではないかと思います。

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 ところで民泊については過去何回も述べていますが、旅館業法で決められた「簡易宿所営業許可」を取得することが、不可欠となっています。先進地の安心院、最近脚光を浴びている宮崎県小林地域は100%取得しています。

 旅館経営者の方々は、厳しい経済環境の中で耐震対策に取り組んでいます。農家の「簡易宿所営業許可」取得も、地域ぐるみで推進しなければなりません。

 大阪での説明会で、鹿児島を民泊地に選んだ学校の先生は、宿泊箇所がクラスごとに離れすぎて、打ち合わせが十分でできなかったと改善策を求めていました。せっかく良い体験ができたのに不満を残す結果となりました。コンプライアンスの徹底は、教育現場では特に大切なことと思います。早急な対策が急がれます。

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 ところで鹿児島県は、豊かな自然と多彩な観光資源に恵まれており、中でも農業産出額も北海道、千葉県に次いで第3位で、農業は鹿児島の経済を支えている基幹産業です。 (平成23年県勢概況統計)


 これから日本は人口減少が顕著となり、農業従事者も高齢化が進み農村地域の発展は厳しいものがあります。若い世代の就農者を増やすことは厳しいことですが、都会からの交流人口を増やし、農村地域の維持・発展をめざす取組強化が求められます。

No.325 スポーツ・ツーリズムの推進でかごしまの活性化を~スポーツ庁、来年度創設へ~

2014年8月25日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 オリンピック開催やスポーツ競技振興などスポーツ行政を一元的に推進する新たな組織として、スポーツ庁を2015年度創設することが明らかになりました。2010年に、国土交通省の外局として観光庁が発足して以来の庁の創設です。現在日本のスポーツ行政は、文部科学省が管轄し、各スポーツ団体が大会や運営や選手育成を行っていますが、専門の庁の創設で国家レベルでのスポーツ振興が期待されます。


 将来のオリンピック選手の発掘や育成に対する予算が大幅に増えることが期待されます。また、東京オリンピックに向けて金メダル獲得が期待できる競技やチームには、選手の海外遠征や合宿等に更なる強化策が推進されるものと思います。国内ではキャンプ地誘致競争が激化するのではないかと思います。

 昨年9月に2020年の東京オリンピック開催が決定し、スポーツ庁の創設は時期を得たものと言えます。子供から大人までスポーツに親しみ、裾野を広げることで地域活性化につながります。国体、インターハイ、中体連等の全国レベルの大会や、各種目別の大会等には一度に多くの選手が集まり、宿泊・観光施設、食事店、運輸機関等を利用することから経済的に大きなメリットがあります。

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 一方、スポーツ観戦ツアーは交流人口の拡大が図られることから経済効果も大きいものがあります。今年ブラジルで開催されたFIFAアールドカップサッカーには、多くの日本人サポーターが遠路ブラジルまで応援に行きました。プロの選手はオフ時期には体力づくりも兼ねて、秋季、春季のキャンプを行っており、しかも長期間に滞在します。

 県ではプロや学生のスポーツキャンプ・合宿誘致に力を入れており、福岡、関西地域でセミナー等を開催してきました。2013年度に県内でスポーツキャンプ・合宿を実施した県外の団体は1169団体、述べ人員は13万1404人で、ともに過去最高を記録しました。

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 学生のスポーツ等の合宿は、関西地域からの志布志港までの「さんふらわあ」利用が多く、市町村の補助金制度の充実もあり、今後も伸びが期待できます。プロと違って合宿地として選ばれる条件としては、練習時間の確保や学生が夜懇談できるスペースを提供することが求められます。

 今後は、国内外のプロチームのキャンプ・合宿や、知名度の高い競技・選手のキャンプをいかに誘致できるかが課題です。プロ野球の多くのチームは、沖縄でのキャンプが定着しています。プロサッカーチームは、宮崎でのキャンプが大半です。

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 プロサッカーチームがキャンプ地を選ぶ最大の要因は、天然の冬芝のグランドが整備されていることです。県内では、鹿児島市、指宿市、霧島市、南さつま市、さつま町しか天然冬芝のグランドがなく、キャンプできるチーム数が限られるのが現状です。


 2019年にはインターハイ、2020年には国体が開催されます。大会に照準を合わせてグランド整備が待たれます。大隅地域にある有明高校跡地に、トップアスリート専用の練習場が開設される予定です。宿泊施設の整備や鹿屋体育大学等との連携も求められます。奄美大島や徳之島では、プロ野球の合宿やマラソン選手の合宿が行われてきました。新たに成田空港からの定期便も就航しました。冬場の温暖な気候を活かし、他のスポーツキャンプの誘致も不可欠です。

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 ところで6月のワールドカップの事前合宿地に指宿が選ばれ、多くの報道陣が訪れました。観光客に加えて、選手の練習風景を見に多くのサポーターが指宿を訪れたことから、鹿児島市内の宿まで波及効果がありました。


 今までのオリンピックに参加する日本の野球チームの事前合宿地は、宮崎が選ばれていました。合宿期間中は、宮崎市内の宿が満員となり、霧島温泉に泊まる関係者が多くありました。

 東京オリンピックで関連では、大会までの合宿誘致合戦がスタートします。隣県の宮崎県は、早くから官民で組織された「スポーツランドみやざき推進協議会」がありますが、2013年度で約17万人のスポーツキャンプ・合宿を受け入れています。その組織の中に、「東京五輪おもてなし部会」が設置され、日本代表クラスや海外チームを受け入れる体制を整えました。

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 県内各地には温泉が湧き、トレーニング強化や練習後の疲労回復にも好環境が整っています。また、鹿児島県は日本第4位の農業県であり黒牛、黒豚、黒さつま鶏、魚、野菜等食材に恵まれ、選手の体力づくりにも最適です。

 東京オリンピックまで6年、2020年には鹿児島で国体も開かれます。県の組織として「国体準備課」が設置されました。スポーツ庁が創設されると、各スポーツ団体の組織強化や本庁との連携が強く求められます。

 東京オリンピックというビッグイベントを契機に、鹿児島からもオリンピック選手を輩出し、観光客誘致も図らねばなりません。国体での実施競技誘致に名乗りを上げている市町村は、開催競技に対する住民の意識付けも必要です。鹿児島市内では、フルマラソンの開催も知名度アップになります。

 温暖な気候と豊富な温泉、豊かな農業・水産業がもたらす食材、温かいおもてなしの心を持つ県民性等は、スポーツ選手に好印象をもたらすものと思います。鹿児島が誇る優位性を活かし、スポーツ庁創設を機にスポーツ・ツーリズムの推進を図り、かごしまの活性化に結び付けたいものです。

No.324 放置するとサービスは低きに流れる~創業の精神を忘れずに~

2014年8月18日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

      夏草や      兵(つわもの)どもが     夢の跡
      五月雨の     降りのこしてや   光堂
*1689年、松尾芭蕉が平泉の中尊寺を訪ねた時に詠んだ句です。
*光堂は中尊寺の金色堂のこと

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 先日、東北3県を旅する機会がありました。鹿児島からですと答えると、行く先々で「遠い所わざわざお越しくださりありがとうございます」と丁寧なあいさつを受け、清々しい気持ちになりました。旅の良し悪しは、地域に住む人々の印象だとあらためて感じました。

 観光客誘致の仕事を通じて日本全国を訪ねる機会が多く、また、タクシーに乗る機会も多くあります。初めての土地では駅前から目的地までタクシーを利用しますが、いつも不安と期待を抱えながら乗車します。目的地を告げると、不機嫌な態度を見せる運転手に遭遇することがよくあるからです。

 駅構内のタクシーは、観光地巡りや遠方までの客を待っている場合が多く、近距離は嫌がられます。しかし遠来の客は初めて訪れる場所では、地理に不案内なためタクシーに乗るのであり、親切な対応があれば、翌日の観光にそのタクシーを利用するかもしれません。第一印象が翌日の仕事に結びつくこともあります。

 鹿児島でも近距離乗車を嫌がり、口も利かない運転手に何回も会っています。友人の一人は駅前からのタクシーは避けて、ちょっと歩いて市中のタクシーを利用すると話していました。 「近くても遠慮なくお乗りください。」と快く声をかけてくれる運転手はまだまだ少数で、マナーに優れたドライバーを育てることが、企業の高評価に繋がり、そのことが顧客獲得に結びつくのではないでしょうか。

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 最近タクシー会社の合併が進み、新しい社是を制定し社員教育にも力を入れている会社があります。制服・帽子の着用、挨拶の励行、自らドアの開閉等顧客に安心と快適さを提供しようと必死の努力をしていますが、月日がたつにつれてマナーが悪くなっている運転手が増えているのも事実です。

 また、ドライバーの採用を厳選し教育にも力を入れたつもりが、いつの間にか創業時の精神を忘れ、評判を落としている会社があり愕然とします。企業の論理を優先し、サービス精神が忘れられているような気がします。

 経営者の皆様は、是非創業時の精神にかえり、社員教育を徹底してもらいたいと思います。乗務員のモラルがサービスの低下につながり、顧客離れが進むと認識すべきです。

 ところで鹿児島では、昔からおもてなしのひとつとして、「茶いっぺ」の心が受け継がれています。初めて降り立った駅や空港等で笑顔の元気なあいさつがあり、お茶のおもてなしがあれば観光客は感動します。

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 現在鹿児島空港では、霧島市の観光協会が「霧島茶」のPRを兼ねてお茶の無料サービスを実施しています。観光客に好評であり、売店でお土産に買って帰る人も多いということです。鹿児島県は日本第2のお茶の産地であり、鹿児島の優れた産品に直接触れる良い機会になると思います。

 また、道中で見知らぬ人から「こんにちは」とあいさつをされて、地域の温かさに触れた経験を持った方は多いと思います。地方に行けば、このような人々によく出会いますが、地域住民の素朴な温かい気持ちが伝わります。

 ところで、会社にいるとさまざまな訪問者があり、名刺交換やあいさつする機会が多くなります。しかし、24時間ビルの安全管理に努めている守衛さんや、毎日掃除をしているビル清掃会社の方々、宅配便の集荷や届ける方などへ率先して、感謝の気持ちを込めてあいさつすることを怠っているのではないでしょうか。そのようにがんばっている人々にも、顧客と同じ目線できちんと挨拶することの大切さを感じます。

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 昼休みには保険会社のセールスレディが訪問し、パンフや雑誌等を配布していますが、契約を取るための営業の苦労が伝わってきます。その姿に接するたびに、営業活動で苦労した入社の頃が思いだされて、あいさつと励ましの言葉をかけるよう心がけています。 事前に訪問時間がわかっている団体や顧客の歓迎看板も相手の心を動かします。

 今、日本は成熟社会を迎え、モノの豊かさより心の豊かさが求められる時代となっています。また、マーケットは日々変化しており、従来の発想では生き残れません。顧客満足は当たり前であり、「感動・感激」を経験した人だけが顧客になります。自ら積極的にあいさつし、感動体験を経験した人が、相手に対して「おもてなしの心」が提供できると思います。

 鹿児島では、来年「第30回国民文化祭」が県内全市町村で開催され、全国から参加者が集まります。地域ならではの「ふだん着のおもてなしの心」が求められます。それは、まず笑顔であいさつをすることだと思います。

 また、2018年は「明治維新150周年」の節目の年です。近代日本の礎を築いた偉人の多くを、薩摩から輩出しており、そのことは大きな誇りです。

 歴史遺産、自然、伝統芸術とともに、「あいさつの励行」や「お茶いっぺの心」等鹿児島のおもてなし文化として定着させねばなりません。そのことが名実ともに「観光立県鹿児島」に求められる課題です。笑顔で「こんにちは」という何気ないその一言が、人と人の心をつなぐ「おもてなしの心」になるのではないでしょうか。

No.322 観光地の環境保護・美化を保つために~マナーを守り守らせる取組が大切~ 

2014年8月4日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 眼前に錦江湾と活火山桜島がそびえる鹿児島市は、世界に類のない美しい都市であり、多くの観光客を魅了してやまない九州本土最南端の県都です。天保山公園から海釣り公園までの海岸線は、夕方になると、夕陽に映える桜島が美しく見られます。奄美・沖縄航路の船が18時に鹿児島新港を出港する時間と重なり、青い海を白い船体がすべるように錦江湾を駆け抜けていきます。

 天保山公園は薩英戦争の際、口火を切った砲台が設置された場所で、その面影を残す砲台跡が美しい松林の中にあり、記念碑が残されています。今夏休みの期間ですが、公園では早朝からラジオ体操をする元気な子供たちの姿が見られます。

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 また、甲突川の河口は、慶応2年(1866年)に坂本龍馬が鹿児島入りした頃には、軍港としても利用されていました。公園近くの太陽橋のたもとに、龍馬とお龍の新婚旅行を記念した夫婦の像が建てられています。銅像は鹿児島中央駅広場にある薩摩藩英国留学生をモデルに造られた「若き薩摩の群像」の製作者、中村晋也氏の手によるものです。



 薩摩藩の財政改革を断行した調所広郷の像も近くにあります。市内には日本の近代化に尽くした偉人の像が100以上建立されており、そこを巡るだけでも観光鹿児島の魅力が理解できるのではないでしょうか。

 作家として、またテレビの脚本家として知られた向田邦子さんは、父の転勤で小学3年生から4年生まで鹿児島で過しています。天保山公園一帯はかつて美しい砂浜が広がり、よく海水浴をしたと「父の詫び状」の中で書いています。「故郷の山や河を持たない東京生まれの自分にとって、鹿児島はなつかしい「故郷もどき」なのである」と愛し、生前はよく鹿児島を訪れています。

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 私は、錦江湾を行き交う客船や時々噴煙を上げる桜島を見ながら、天保山公園から海沿いの道をウォーキングするのを楽しみにしています。のんびりと釣り竿を垂れる人も多く、市内中心部に格好の漁場があるのも鹿児島の良さです。もっと錦江湾の良さをPRし、滞在に繋げる必要があります。


 温泉、歴史、食、自然、マリンスポーツ等泊りたくなる魅力が揃っている街に住んでいることをいつも誇りに思っています。

 ところで最近ウォーキングしていると、景観を損なう光景に遭遇します。海岸の至る所に犬の糞がそのままになっているのを見かけます。早朝や夕暮れに散歩させる人が、そのままにして犬のフンの処理をしないのでしょう。

 誰か気づいたのか橋のたもとに張り紙がありました。「犬のフンの後始末をちゃんとしてください。処理できない人は飼主としての資格がありません」と。犬の散歩には、小さなスコップと袋を持参するのが当たり前です。衛生上も悪く、通行人が誤って踏んでしまうことがあります。また、食べた後の弁当箱、空き缶、ペットポトルが無造作に投げ捨てられています。観光地鹿児島のモラルが問われます。

 このように最近マナーを守らない人をよく見かけます。車の助手席から平気で火のついたたばこを捨てる若い女性、ガムをそのまま吐き捨てる中年男性、帰りの空港バスが混んでいるのに、座席に荷物を置いて他人を座れないようにしている若者、満員電車の中で、人に聞こえるぐらいボリュームを大きくして音楽プレーヤーを聞いている学生、お年寄りに席を譲らない人等枚挙にいとまがないほどマナーの低下が見られます。

 家庭での躾が第一と考えますが、日々の生活の中で気付いた人が注意すべきではないでしょうか。

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 先日バスの中で席を一人占めにした学生を注意したら、素直に席を詰めてくれました。にらみ返す若者もいますが、ほとんど聞き入れてくれます。皆さんが軋轢を恐れて注意しないケースが多いのではないでしょうか。

 また、バスや電車に乗ると、「荷物は膝に置き、お互いに席を譲り合い座りましょう」、「体の不自由な方には席を譲りましょう」という案内が流れます。テープの案内では心が通じません。運転手自ら言葉で語ることが、乗客の心を動かします。

 定期的にボランティア活動の一環として、市内の観光地の清掃活動が実施されますが、残念ながらいつも膨大なゴミが回収されます。 美しい海岸として有名なホノルルの浜辺は、早朝に多くの人の手で清掃活動が行われていることは、意外と観光客には知られていません。昼間でもほとんどゴミを見かけません。 

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 鹿児島市内では外国人の個人旅行の人が多くなっています。四季折々の花の植栽を増やし、外国語表記を充実させることが、美しい落ち着いた街の印象となります。景観を守ることは、市民にも課せられた使命です。


 これから県内各地で、花火大会や夏祭りが開催されます。ゴミは自分でも持ち帰ることが原則です。そのことが地域の環境美化につながります。きれいに掃除されたところには、人はゴミを捨てません。お互い住みやすい環境を守ることを大切にし、美しい観光地として維持していくことの大切さを醸成したいものです。

No.321 訪日外国人の誘客にもっと力を入れよう~日本人の国内旅行は確実に減少する~

2014年7月28日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 県と観光連盟では、訪日外国人観光客の受入体制の整備充実を図るため、平成21年度から受入体制推進事業を進めています。今年は、自治体、宿泊施設、観光施設、ゴルフ場、飲食店、土産品店等の関係者約200名が参加して、「訪日外国人旅行者受入研修会」を開催しました。会を重ねるごとに観光関連業者以外の参加者も増加しており、訪日旅行に対する関心が浸透していることを感じます。

 最初に、県観光課より鹿児島県の外国人受入の現状について説明がありました。その中で平成25年の訪日外国人旅行者は、21万4,810人で25.9%増加したという明るい報告がありました。国別宿泊者数は、台湾、韓国、中国、香港の順で、台湾からの訪日者数が全体の40%です。【観光庁「宿泊旅行統計」(対象施設はすべてのホテル・旅館・簡易宿泊所)

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 伸びた要因として、台湾線が宮崎便と併せてデイリー化されたことで、商品企画やルート設定がこれまで以上に豊富になっていることや、両県で行っている定期的宣伝活動が寄与していること等があげられます。また、韓国線の増便、上海線の利用促進策、香港線のプログラムチャーターの運航、円安基調等も追い風となっています。

 ところで鹿児島県は、長崎県、大分県、熊本県に比べると、外国人宿泊客は3分の1程度です。鹿児島県の宿泊者全体における外国人の割合は、2.9%であり、福岡県6.4%、長崎県5.8%、大分県6.1%、熊本県5.9%と比較すると極端に低くなっています。

 国際線が充実している福岡県に来た外国人を、鹿児島まで誘致する有効な施策が展開できていないことです。国別では、九州を一番訪れている韓国人の宿泊者に大きな差がついています。新幹線特定便の割引拡大や福岡空港と鹿児島空港にも就航しているキャリアとのタイアップによる運賃の軽減化が不可欠です。

 現在鹿児島空港は海外4路線があり、九州の中では福岡県に次いで路線網は充実してお り、国際線の乗降客も第2位です。しかし県民のパスポート取得率や出国者数は全国的に見ていずれも40位以下と低い位置にあります。

 昨年上海への県庁職員等の派遣が話題となりましたが、パスポートを取得した人が増えたことは次の渡航に繋がります。夏休みに入りましたが、子供のころから海外への見聞を広めることは大切なことです。グループで補助金制度を活用し、積極的に鹿児島空港からの利用拡大を図る必要があります。

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 観光連盟には、外国人観光客受入推進員と外国語情報発信推進員が配置され、台湾、香港、中国、韓国、タイ、シンガポールなど東アジアからの誘客やクルーズ船の誘致・PRに努めています。日頃から宿泊施設、観光施設、交通機関等に対し受入態勢や接遇の指導も行っています。

 FITが増加しており市中の案内表示、アクセスの同一化、銀聯カードの拡大、WiFiの整備、多言語表示等、まだまだ改善すべき多くの課題があると感じました。一方では、外国人観光客の増加に備えて、入国管理設備の改善、免税店や外国語HPの充実など早急に解決しなければなりません。

 2013年訪日外国人が1千万人を超え、観光庁も2千万達成へ向けて様々な事業を展開していきます。観光振興は多くの分野に波及効果をもたらすことから、国民の関心も高まってきていると感じます。

 これから日本の人口は確実に減少していきますが、定住人口1人減少分を、外国人観光客11人でカバーできると試算しています。(観光庁資料)観光庁は、東アジアからの一層の訪日旅行強化のため、ビザの解禁、受入体制の整備に取り組んでいます。今年の10月1日より、免税対象品目を全品目に拡大する予定です。

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 また、今回の研修会の講師を務めた(株)J.I.S社長の中村好明氏は、「鹿児島の未来をインバウンドで切り拓け」と題して、観光で外貨を稼ぐ、インバウンド=輸出であることなど外国人誘客の必要性について、強く訴え多くの参加者が共鳴したと思います。

 会社では、天文館に鹿児島店開設の準備を進めており、年末にはオープンの予定です。これに先駆けて英語、中国語、韓国語、タイ語の4カ国語による県内の観光・店舗情報、街歩きマップ、アプリと連動したYOKOSO!マップを2万部作成しました。

 中村社長は、外国人が集まる新宿、大阪、横浜など人気スポットのエリアマップ作成を手がけています。外国人のニーズに応えるためには、老舗デパートや食事店、お土産品店、ホテル、エンターテイメント施設等業種を超えて、エリアの魅力発信が重要であり、そのことが地域への誘引効果をもたらすと語りました。

 最近、出水市の農家にシンガポールから学生が、垂水市にはインドネシアの修学旅行生が、曽於市に台湾からのツアーが訪れ、美しい日本の自然を満喫し、住民との交流を深めました。東南アジアの人々は、日本のグリーンツーリズムやブルーツーリズムの提供が喜ばれます。

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 また、華道、茶道、着物着付等日本の伝統的文化を提供することが、永続的な交流が続く方策ではないかと思います。これから日本は人口が減少していき、しかも国内市場は成熟しており、国内旅行の大きな伸びは期待できません。外国人の誘客は地域活性化に不可欠です。

 また、市民の外国人に対する理解度を高めるための講習会やPR活動も大切なことです。訪日客が急速に回復しており、インバウンドの拡大は日本経済を維持・発展させるための重要な施策と考えます。

No.320 日頃の取組みが生み出すおもてなしの心~指宿商業高校の善行に感謝~

2014年7月22日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

          何となく 汽車に乗りたく 思ひしのみ
                   汽車を下りしに ゆくところなし ~石川啄木~

 6月21日指宿・枕崎線でJR九州の「指宿のたまて箱」が、崖崩れで発生した土壌に乗り上げ、脱線事故を起こしました。現場は、けが人が出ており一時の余裕もありませんでした。

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 その時、現場近くにある指宿商業高校が乗客の避難場所となり、生徒さん達が献身的に乗客の保護にあたりました。疲れた乗客にタオルや温かいお茶を振る舞い、汽車から荷物を運ぶなど、生徒さんたちは雨に濡れながらの行動を惜しみませんでした。

 数人が入院することになりましたが、その後全員退院されたとのことです。折角の鹿児島への旅行が不慮の事故で残念な結果となりましたが、生徒さん方の善意のおもてなしは通じたものと思います。

 運休となっていた「指宿のたまて箱」は12日から再開されました。予約率が80%を超える人気の列車であり、夏休みを前に運行再開されたことにほっとしています。

 ところで事故の際乗客のケアに当たった指宿商業高校の生徒さんが、地元指宿警察署から善行少年として表彰されました。雨の中生徒さんが取ったとっさの行動は、日頃から地域で育まれた「おもてなしの心」の賜物と思います。

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 学校周辺の今和泉地区は、NHKの大河ドラマ「篤姫」のゆかりの地として、放映時は多くの観光客が訪れました。その際、近くの今和泉小学校や指宿商業高校の生徒さんたちが、観光バスに手を振ったり、頭を下げるなどそのおもてなしの心が話題となりました。今でも今和泉駅構内には「篤姫ガイド」の事務所があり、ゆかりの地を訪ねてくる観光客に対し、温かいおもてなしで案内をしています。

 指宿市役所の職員の皆さまは、昼休みには近くを走る「指宿のたまて箱」に手を振って観光客を歓迎しています。その様子はテレビのナニコレ「珍百景」でも話題となりました。

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 指宿は全国に知られた温泉地であり、観光業界紙の温泉地人気投票では常にトップ10に入っています。「菜の花マラソン」、「菜の花マーチ」は多くの市民ボランティアが大会を支えています。市民、観光協会、各施設等の観光客への対応や、日頃のおもてなしの心がとっさの事故発生時でも自然な行動として現れたのではないでしょうか。

 県と観光連盟では、拠点地域から周辺市町村へ観光客が行きやすいルートづくりを進めています。「温かいおもてなしの心」も引き継いでいけたらと思います。

 ところで、今年は県内で大きなイベントやコンベンションも少なく前半から苦戦が予想されていました。九州新幹線全線開業から4年目に入り観光客の流れに少し蔭りも見られます。

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 外国人は台湾、香港を中心に順調に伸びていますが、九州各県と比べると福岡、長崎、熊本、大分に大きく離されています。北海道や東京、大阪等などは外国人受入のホテル、観光バス等の不足が深刻ですが、鹿児島は、修学旅行シーズンを除くとまだ対応可能ではないかと思います。外国人誘客にはもっと力を注がねばなりません。

 ところで、観光客に対するおもてなしは、最初に降り立つのが駅や空港であり、そこでの第一印象がその地域の印象となります。案内所、タクシー、電車、バス、街の人等の接遇の大切さが問われていますが、観光客から温かい評価の言葉を頂いています。

 その事例をいくつか紹介します。
・ホテルから乗車しましたが、「駅まで近くて申し訳ないです」と言うと、「タクシー代は620円ですが、5分で620円もらえる仕事がどこにありますか、これからも遠慮なくお乗りください」と運転手に言われ、涙が出るほどうれしく鹿児島の旅の印象が爽やかであった。
・タクシーを事前に予約しておいたが、時間に余裕があることを伝えるとルート以外の場所も追加料金を取らず案内してくれた。
・メイドさんが夕食時の食材について、育て方や料理の方法について細かく説明してくれた。美味しかったのでお土産に買って帰った。
・出発の際、主人の靴がきれいに磨いてあり、旅先で初めての経験で嬉しかった。旅館の細かい心配りに感心した。日本の旅館文化を再認識した。
・初めての鹿児島であったが、案内窓口で観光地への交通、郷土料理店、お土産等について地図を広げながら親切に説明してくれた。笑顔が素敵であった。
・ガイドブックを持って調べていたら、どこかをお探しですかと聞かれた。親切に教えてくれて、その場所までわざわざ案内してくれた。鹿児島の人は親切である。
・空港に着いたら温かい湯茶のサービスがあり驚きと感激で一杯でした。鹿児島のお茶が美味しく有名とは知らなかった。帰りにお土産に買い求めた。

 鹿児島には「心温まるおもてなしの心」を実践する人がたくさんいらっしゃることは、うれしい限りです。

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 自ら地域を愛し、語れる人が増えることが鹿児島のPRにつながります。そのためには、日頃から地域を回り、歴史、食、温泉、特産品、観光施設、観光ルートを知ることです。また、「地域の旬の情報」や滞在したときの「時間」の過ごし方を広くPRすることが必要です。

 「そこに行ってそこのものを食べたい」、「もう一度鹿児島のあの人に会いたい」、と言われるような地域や人を増やすことが求められます。  

 鹿児島の観光は、従来の「鹿児島市内」、「指宿地域」、「霧島地域」から少しずつではありますが、広がりが見られます。拠点地域と連携し、リピーターの誘客や新たな需要開拓が持続できる観光地に繋がります。

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 観光地の最終的な評価は人です。そして、県民一人ひとりが観光客を温かく、親切に迎える「おもてなし先進県鹿児島づくり」を実践して欲しいと感じます。今回の指宿商業高校の生徒さんの行動に学ぶべきことが多いのではないでしょうか。


          夏帽の へこみやすきを 膝にのせて
                わが放浪は バスになじみき  ~寺山修司~

No.319 かごしま黒豚の魅力とは~消費者へのコト化が需要拡大に~

2014年7月14日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 週末になるとガイドブックを持った観光客が、ある飲食店の前に列を作っている姿見られます。店の看板を見ると黒豚の店の表示があります。観光客が黒豚の美味しさを聞きつけて、並んでまで食べたいメニューになっているのではないでしょうか。


 鹿児島の養豚の歴史は、今から400年前の江戸時代に島津家18代当主・家久により鹿児島の地に移入されたことが始まりとされています。鹿児島の豚の美味しさが全国的に知られるようになったのは、幕末から明治にかけて外交問題の重鎮であった水戸藩主徳川斉昭をして「いかにも珍味、滋味あり、コクあり、なによりも精がつく」と言わしめました。また、西郷隆盛も豚肉をこよなく愛したといわれています。

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 農林水産省がまとめた2014年畜産統計によると、県内の養豚農家は637戸で前年 から29戸減りましたが、飼育頭数は全国で最も多い133万2千頭で、全国1位となっています。


 黒豚が普通の豚と違う点について下記のように説明しています。
①体毛は黒色で四肢、鼻梁、尾端の6箇所に白斑がある。一般に"六白"(ろっぱく)と呼ばれます。
②体質は強健で、資料の利用性に優れているものの、大型種に比べると産子数が少なく成長が遅い。
③肉は繊維が細かくやわらかい。
④肉は光沢と弾力に富み、保水性が高く肉がよくしまっている。
⑤脂肪の融ける温度が高く、べとつかず、さっぱりしている。
⑥うまみを引き出すアミノ酸の含有量が多いため、美味しく特有の小味がある。
⑦肉の臭みがない。
このように、かごしま黒豚には他の豚にない特徴があります。
                    ~鹿児島県黒豚生産者協議会HPより~

 かごしま黒豚は県ブランド産地指定基準(抜粋)で以下のとおり定められています。
①会員は黒豚生産者協議会の会員であり、出荷豚は、県内で生産・飼育・出荷されたもの である。
②肥育は肥育後期60日以上、甘藷を10%~20%添加した飼料を給与すること。概ね230~270日齢で出荷していること。
③品質については枝肉重量65~80kg、背脂肪の厚さ1.3cm以上(価格規格「上」 以上)。また、枝肉品質のチェック体制が整備できていること。 品質表示について、「かごしま黒豚証明書」を出荷時に届出業者が確実に添付できること。
④生産系列については届出業者を通じて、年間1,000頭以上出荷できること。
⑤流通体制については、届出業者を通じて流通したかごしま黒豚証明書を販売店・料理店から8割以上回収できること。

 かごしま黒豚は、かごしまブランドとして認証されており、徹底管理の流通体制が確立していると言えます。

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 観光客が鹿児島を訪れたら、かごしま黒豚を食べるということが、合言葉になるようファンを増やしていかねばなりません。黒豚の魅力をいかに伝えるか、プライオリティを発揮できる食材であることを、県民ももっと知る必要があります。


 課題として
①県民に黒豚のルーツを理解させる取組が必要です。飼料、肉質、料理の方法等理解している人は少ないと感じます。
②黒豚が"六白"であることが認知させるためには、黒豚を買った客に簡単な説明書を配ることで、そのルーツが浸透していくのではないでしょうか
③かつてJR九州のCMで「黒豚横丁」というネーミングが話題となりました。黒豚店がずらりと並ぶ飲食店街は存在しませんが、その言葉が黒豚の魅力発信になったと思います。新たなインパクトのあるキャッチコピーが必要ではないかと思います。
④最後に消費の主役は女性です。女性の意見を吸収し,レシピ等を作成し家庭での消費拡 大を図ることが、波及効果をもたらします。今の消費者ニーズは、希少性と地域性です。メディア戦略を常に意識して、イベントの開催、記事広告、試食等の展開が不可欠です。

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 県外観光客には、黒豚を食べた後に簡単な説明書を配布することも求められます。また、調理人の語りが印象に残るのではないでしょうか。あるとんかつ専門店では、店長自ら調味料の使い方、食べ方を観光客に教えているのが印象的です。

 香港や台湾、タイ等富裕層の観光客が増加しており、多言語のPRも必要です。千歳空港では、カニやジンギスカン肉を買う観光客が見られますが、鹿児島空港や鹿児島中央駅でも、黒豚の肉をお土産に買うお客様を増やさねばなりません。

 消費者のシニア化でプレミアム商品が売れています。黒豚は飼育から販売までチェック体制が厳しく、選ばれた肉であるというこだわり(コト化)が重要です。観光客だけでなく県民にも需要拡大を図ることが、生産意欲にもつながるのではないでしょうか。 

No.318 元気な街づくりをめざして~魅力ある生活の場作りが必要~

2014年7月7日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 日本の人口は2050年には1億人を割り込み、鹿児島県の人口も2040年には、130万人に減少し、消滅する町が発生する等、地域経済に大きな影響が出てくることが予想されます。かつて、近郊から買物客が押し寄せて、街に人があふれていましたが、シャッターが降りたままの商店街が増加しています。

 駅前や郊外に大型ショッピングセンターができ、無料の大きな駐車場があることなど、利便性も高まり、中心部から客足が次第に遠ざかっています。また、中心市街地を通っていた車も、バイパスができ空洞化に拍車がかかっています。道路が整備されることは良いことですが、一方では負の遺産も生み出しています。

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 運動施設や音楽ホール等、公的施設が郊外に移転し、中心市街地に多くの人を呼ぶことは、たやすいことではありません。観光地においても、大型バスの姿が少なくなり、レンタカーやマイカーの数が増えて、個人旅行の流れが如実に表れています。個人のニーズにいかに応えられるかが課題となっています。



 ところで私たちが、住居を選択する条件として
(1) 都市の中心街に住みたい理由は、
①医療機関や公的施設が近くにあり、緊急時を想定すると安心して暮らせる。
②日常の買い物が一度にでき、外食や映画館や音楽ホール等アミューズメント施設があり、気軽に行くことができる。交通アクセスが整っている。
③同じ建物の中にコンビニや病院があり、移動が少なく事が済ませることができる。
④高層マンションが増え、セキュリティが整っている。

(2)郊外に住みたい理由は、
①住宅や駐車場が広く取れ、近くに田園地帯や川があり、自然の美しさを楽しむことができる。
②公園や緑地が多く子育ての環境が整っている。健康的に過ごせる。
③近くに大型ショッピングセンターがあり、買い物等に事欠かない。
④地域コミュニティが確立しており、緊急時の協力態勢が確立している。
ことなどです。

農家の人たち.jpg

 人が集まる地域の魅力とはなんでしょうか。やはり日常生活に「魅力ある生活の場」が確保されることではないかと思います。多様なニーズに応える生活空間の創造が必要であり、子育て世帯や高齢者のための利便性の確保も求められます。


 そのためには、
①現代の井戸端会議ができる環境づくりが必要です。お年寄りサロン、よろず相談所など気軽に集まる憩いの場所があることです。
②遊戯の楽しめる場を提供し、子供の遊べる器具が整っている。ファッション性の あるステージがあり、若者の熱気を吸収できる施設がある。
③市街地の近くには、安価な駐車場があり、気軽に行ける地域となっている。また、外国人も楽しむことができる環境整備が必要であり、外国語表記やWiFiが使用できることです。
④病気になっても近くの病院から、大型病院への連携がスムーズにできる体制が整っている。
ことなどです。

 集客力を高めるためには、賑わいの創出が不可欠です。
①住民が参加できる場が必要であり、若者や子供が参画できるイベントが必要です。
②もの創りを楽しむ工房があり、カフェや小物の販売店が点在している。
③中心地に小川や水辺を取り入れ、花の回遊路やライトアップで夜も楽しめる演出 がある。
④平日は文化・芸能人を、休日は近隣の住民の参加型イベントを開催することが、よ り有効的な集客ができるのではないでしょうか。
⑤地域の祭りや県内で採れた農水産物の定期的市が開かれる。

 最後に、これからの地域づくりには、
①シングル世代や夫婦のみの家庭が多くなることから、商品提供の工夫が必要になっています。商品を小分けして、買いやすく、購買の機会を増やすことで売上増に繋げる必要があります。
②地域活性化には、循環型経済の確立が重要であり、農・商・工連携を活かした店舗の品揃えが求められています。原産品を加工し、調味料や菓子等オンリーワンの商品として価値を上げることが重要です。消費の主役は女性であり、女性を呼び込む仕掛けが必要です。
③地域にあるものに誇りを持ち、自らの思いを語れる人材の発掘と地域をコーディネートす る人材が不可欠です。

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 全国的にみて、元気な街として、高松市の丸亀商店街、長野県の小布施町、大分県豊後高田市、兵庫県豊岡市城崎等が脚光を浴びています。新規開発ではなく、既存の建物を活用した街の再生に取り組んでいる地域です。レトロ感覚のものは残し、地域資源を磨きあげることで、商店街が復活しています。

 今後は市街地と郊外をつなぎ、双方が栄える街づくりが必要ではないかと思います。最後に日本の人口は確実に減少していくため、交流人口の増大が不可欠です。交流人口を増やすには、「楽しい地域ならではの生活の場」が感じられる街づくりではないかと思います。日本の原風景を取り戻し、地域住民が生き生きと暮らせる場づくりが求められています。
       参考:実践!田舎力 小さくても経済が回る5つの方法:金丸弘美著
          中心市街地の成功方程式:細野助博著

No.317 JR九州「鹿児島VS大分」キャンペーンの展開~他県の良さを学ぶ機会に~

2014年6月30日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 温泉の源泉数・湧出量ともに圧倒的に全国1位を誇るのが大分県ですが、鹿児島県も源泉数第2位、湧出量第3位と全国指折りの温泉県です。

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 JR九州は、温泉、豊富な食材、おもてなし等両県の観光素材を対比することで、より両県の良さを発見していただこうと、「鹿児島VS大分」のキャンペーンを、2014年10月1日~2015年3月31日まで展開します。両県の同様なキャンペーンは平成17年10月1日~平成18年3月31日に行われており、今回が2度目の対決です。平成19年から平成20年の同期間には、「鹿児島VS佐賀」を展開しています。


 JR九州のキャンペーンは、対決素材を楽しめる温泉、グルメ等を組み入れた旅行商品が発売されます。また、新しい観光素材の発掘、地域の評価や課題等が浮き掘りになり、今後の観光振興にも役立てることができ、大きなPR効果をもたらすキャンぺーンとなります。

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 対決する大分県の観光地の特徴をあげてみたいと思います。従来大分県と言えば、日本一の温泉源を誇る「別府八湯」と、イベントや街の雰囲気が魅力の「湯布院」が、二大観光地として、全国的に知られています。また、「筋湯温泉」、「壁湯温泉」、「長湯温泉」、「鉄輪温泉」、「日田温泉」、」「天ケ瀬温泉」等個性的な温泉が県内に点在し、メディアでも良く紹介されます。

 「うすき竹宵」、「日田千年あかり」、「たけた竹灯籠」は、観光客の利便性を確保するため、11月に日を変えて開催され、竹灯りのイベントとしては九州一の動員力を誇ります。鹿児島県は竹林面積が日本一ですが、竹を活用した灯りのイベントとしては先を越された感じです。

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 大分県は、海の幸「関アジ」、「関サバ」が、全国ブランドとなっています。最近では、日豊海岸の海鮮グルメも人気です。佐伯市、津久見市、臼杵市周辺の飲食店では、黒潮に育まれた豊後水道の幸が満喫できます。特に東九州自動車道が開通し(一部区間除く)、北九州方面から宮崎に至るルートの時間短縮が図られ、多くの観光客が訪れています。

 歴史的には、福沢諭吉誕生地で、今年のNHKの大河ドラマの主人公「黒田官兵衛」のゆかりの地「中津」や、両子寺や富貴寺等の古刹がある国東半島が有名です。

 観光列車「ゆふいんの森」、「ソニック」は、鹿児島県内を走る「はやとの風」や「指宿のたまて箱」を手掛けた水戸岡鋭治さんに手によるものです。大分県出身の建築家磯崎新氏が設計した「由布院駅」と、100年を超える木造の駅舎「嘉例川駅」や「大隅横川駅」の対比も興味が湧きます。

 焼酎対決も楽しみです。大分県は「二階堂」や「いいちこ」等麦焼酎生産量が日本一で大きな蔵元があるのが特徴です。鹿児島県には芋焼酎の蔵元が100軒余り、銘柄も2000を超えて、しかもほとんどの市町村に蔵元があり、地元住民に育てられ愛されていることです。芋焼酎は生活に根付いたいろいろな飲み方があり、それを観光客に語ることでまた来たいと言う思いに駆られるのではないでしょうか。

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 ところで鹿児島県の平成25年の宿泊者数は703万人余りで、九州7県の中で第3位となっていますが、大分県は、604万人余りで第5位となっています。しかし大分県に大きく引き離されているのが外国人の宿泊者数で、鹿児島の1.7倍の33万人にもなっています。


 大分県は北部九州に近いことで、福岡空港からの外国人が誘客しやすいことや、杉の井ホテル等が早くから韓国人の誘客に力を注いできたことなどが増えた要因です。

 大分はアクセス面でみると、鹿児島からは九州の中で訪ねるのに一番時間がかかる位置 にあります。大分県からの鹿児島県への宿泊客数は、佐賀県に次いで少なく、両県にとって需要開拓の余地が残されていると言えます。

 鹿児島県民に訪ねて欲しい大分県の町は、景観に配慮した街づくりが魅力の「湯布院町」、レトロな昭和の町づくりで成功している「豊後高田市」、ご当地グルメの開発や天領ひな祭りが開催され、古い街並みが残る豆田町のある「日田市」、グリーンツーリズム受入の先進地「安心院」等です。人材育成や街づくり・観光地づくりの手法を学び、地域で活かして欲しい。

 鹿児島県としては、鉄道、温泉、食に加えて秋から冬にかけて、大分県にはない新たな魅力発信が求められます。地域としては、観光高速船が新たに就航した甑島、世界自然遺産の「屋久島」、新設された「薩摩藩英国留学生記念館」、紅葉の名所「千本いちょう園」、無料で行ける「佐多岬」、JR最南端の終着駅で、出汁で売り出し中の「枕崎」等です。

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 イベントとしては、「おはら祭り」、全国的に有名な「マラソン大会」や「ウォーキング大会」等で誘客促進を図らねばなりません。キャンペーンが半年に及ぶため、季節感を感じさせるめりはりのある企画が重要であり、紅葉、菊、ツル、梅、菜の花等の魅力も一緒にPRしなければなりません。

 特に県が勧める「拠点地域(指宿・霧島・鹿児島)発の広域観光周遊ルート」は、その魅力を徹底させるチャンスです。

 今回のキャンペーンでは、九州を中心に両県への誘客を図ることが主目的ですが、相互にPRしていくことが大切です。東九州自動車道を活用した新たな観光ルートの開拓を進めなければなりません。

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 最後に「鹿児島VS大分」に多くの観光関係者が参画して、我がふるさとの魅力を自慢し、いかにおもてなしの心を持って対応できるかが勝敗を左右します。各地域も新たな情報を発信できる機会として捉え、鹿児島への誘客を図るチャンスにしたいものです。 


(参考:観光庁:25年宿泊旅行統計 全てのホテル・旅館・簡易宿所を対象)
(参考:大分県観光ガイドブック  発行:公益社団法人ツーリズムおおいた)

No.316 屋久島里めぐりツアーの魅力~オフ時期の誘客強化につなげよう~

2014年6月23日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 屋久島は平成5年に、白神山地とともに日本で初めて「世界自然遺産」に登録され、昨年20周年を迎えました。屋久島は、観光関連の業界紙の調査によると、日本にある世界遺産の中で、行きたい場所のトップになっており、多くの日本人が一度は訪れたいあこがれの島です。



 屋久島は、面積約500平方キロメートル、周囲約130キロメートルのほぼ円形の島です。全面積の約9割が山岳地帯で、海岸沿いの平地に24の集落があります。それぞれの集落は、永年の伝統の中で育まれた歴史や文化が残されています。

 6月に入ってから、屋久島への登山客が増えています。ヤクシマシャクナゲは、年によって花の咲き具合が変わりますが、今年は花の状況が例年になく良い状態です。宮之浦岳至る登山道周辺では、美しい花が見られるのではないかと思います。

 ところで屋久島は、宮之浦岳、永田岳、縄文杉、白谷雲水峡、屋久杉ランドなど登山やトレッキングをメインとした山岳観光が注目されていますが、もう一つは里の魅力であり、各集落にさまざまな観光資源があります。「屋久島里めぐり協議会」では屋久島を訪ねる方々に、地元の歴史、文化、自然、産業など集落の見所を、地元の語り部のガイドさんと一緒に巡るツアーを実施しています。

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 今回は5つの里めぐりを紹介します。最初に吉田集落です。島の北西部に位置し、平家の落人が屋久島で最初に上陸した地と言われていることから、「屋久島最古の集落」として語り継がれています。屋久島に多い名字の「日高姓」のルーツとされる「日高神社」や、海岸の石を温めてつくる温泉「トンボレ」、サバ節の工場等が見ものです。平成14年から15年かけて放映されたNHKの朝の連続テレビ小説「まんてん」の舞台にもなりました。




 次に宮之浦集落です。人口3300人、約1500世帯が生活しており、屋久島の海の玄関口で、銀行や郵便局、大型スーパーや総合病院等が集中する屋久島の中心地となっています。屋久島奉行所跡や伊能忠敬の碑、石敢当等が見られ歴史豊かな集落でもあります。 最近は大型クルーズ船の入港も増えています。

 春牧集落は屋久島の南東に位置し、安房から安房川を渡ってすぐの集落です。ヤクスギランドや縄文杉、宮之浦岳など雄大な自然への玄関口として観光客も多く訪れます。農業や漁業、屋久杉工芸のお店や焼酎工場、飲食店、民宿等があり、屋久島の1~3次産業が集まっている集落です。屋久杉作り木工体験(別料金)もできます。夜は安房川に屋形船が浮かび、ほのかな灯りが旅情を掻き立てます。

 平内集落は屋久島南東部に位置し、島の中でも温暖な気候で沢山の自然に囲まれており、屋久島ポンカンの発祥の地として知られています。また、干潮時のみ入浴できる露天風呂「平内海中温泉」が特に有名で、ここをめざして訪れる観光客も多くいます。潮時の確認が必要です。

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 最後に中間集落です。島の南西に位置し、七五岳から流れ下る中間川の河口に広がっています。集落のシンボルは川沿いのガジュマルで、大木やその根が作りだす空間は、観光客だけでなく住民の憩いの場となっています。集落は、古い石垣や古民家など昔ながらの町並みが残っています。各家が軒を寄せ合い、全戸が家族のような雰囲気が漂う集落です。

 島の24の集落のほとんどに喫茶店があり、地域の人々が集まる団欒の場となり、コミュニティの確立にも役立っています。集落の生活・文化は、永年に渡って築かれた地域の財産であり、集落の団結の強さを醸し出しているのではないでしょうか。

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 「屋久島環境文化村センター」や「屋久杉自然館」は、環境保護の取組や世界自然遺産の島の全体像を把握でき、雨が多い屋久島ですが雨の日でも安心して見学できる施設です。



 また、屋久島は文学の舞台にもなりました。児童文学者の椋鳩十は、命の尊さと人間と動物とのふれ合いを題材に「片耳のオオシカ」、「ヤクザル大王」を書いており、小学校の教科書に登場します。宮之浦港近くの「なごりの松原公園」の中に、「道は雑草の中にあり」という著者の文学碑があります。

 林芙美子は長編小説の「浮雲」の最終章を安房の地にしています。彼女が「浮雲」を執筆するため宿泊した旅館が安房川の橋の近くにあり、その部屋からは当時の街の面影を垣間見ることができます。安房川の水の清らかさが、主人公の最後を美しく表現しているように感じる場所です。

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 また、36歳の時家族と共に屋久島に移り住み、農作業をしながら屋久島の自然と人々の暮らしを、「生命の島」という本で紹介しているのが日吉眞夫さんです。残念ながら数年前に本人は亡くなられましたが、奥様と息子さんが空港の近くで喫茶店を営み、店内には創刊号から最終号までの「生命の島」が展示されており、島の自然を守りたいという熱い思いが伝わってきます。是非店をお訪ねください。


 ところで屋久島への観光客は、4月から10月までが多く、秋から冬の期間の誘客が課題です。西部林道は日本最大級の照葉樹林で、海岸の亜熱帯性植物から照葉樹林、針葉樹へとつながり、標高差1900メートルに及ぶ植生の垂直分布が見られます。このような照葉樹林帯は非常に貴重であり、世界遺産の根拠となった大きな要因でもあります。

 冬の屋久島は山頂付近では雪が積もり、登山者は冬山対策が必要です。集落の魅力をもっとPRすることで1年中観光客を呼ぶことができ、島の更なる活性化につなげられます。種子島、指宿との連携や、交通費の軽減化、商品造成に支援を行うなどの取組も必要です。

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 旅行エージェントの屋久島のパンフレットは、縄文杉、ヤクスギランド、大川の滝、千尋の滝等観光地の掲載がほとんどであり、今後里めぐりのツアーも一緒に掲載してもらう努力が必要です。また、メディアで著名人の屋久島ツアーが紹介されますが、里で地域住民との触れあう機会を増やし、発信していくことも重要なことです。

 最後に屋久島の自然は、日本が誇る世界の遺産です。世界自然遺産登録20周年を経て、住民、観光客、自然が共生していくことの大切さが、今また問われています。 観光客にも屋久島の自然保護の実情を理解してもらい、応分の負担をお願いする時期に来ているのではないでしょうか。
      参考:屋久島里めぐり 発行:屋久島里めぐり推進協議会事務局

No.315 最大の需要月をいかに取り込むか~夏休みの対策は十分ですか~

2014年6月16日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 南九州は梅雨入りし、田植えが終わった田には青々とした苗が育ち、田いっぱいに張られた水が、そよ風に揺れています。鹿児島県においては、笠ノ原台地や野井倉台地等不毛と言われた大地が、通水のおかげで緑なす豊かな大地として生まれ変わりました。美しい日本の田園風景が残っているのは、先人たちの畑かん事業の賜物であると思います。

       紫陽花(あじさい)の 藪(やぶ)を 小庭の 別座敷  ~松尾芭蕉~

 梅雨が明けると本格的な夏の到来です。24年の県の観光統計でみると県内の宿泊人員は、8月が74.5万人余りで、1年の内で一番宿泊者が多い月となっています。地域別で見ると、鹿児島地区に次いで霧島、指宿が大きな宿泊先となっています。霧島地区は避暑地としての役割も果たしています。一方指宿地域は、海が近いことやプールを備えたホテルが多いことから、ファミリー層で賑わいます。

 夏休みの特徴として家族連れが主流で連泊が多いことがあげられます。隣県や県内の方が多く、数日間滞在するグループもあり、日替わりの滞在メニューの提供が求められます。

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 霧島地区は池巡り、トレッキングに加えて、隣接する曽於市や都城市との連携も欠かせません。特に霧島温泉は9種類の泉質に恵まれています。また、近隣の山は、昆虫採集や植物採集には最適の場所です。嘉例川駅、横川駅など歴史ある鉄道遺産があり、日帰りで人吉への鉄旅などもお勧めです。

 また、奥天降渓谷のエコツアーは、小学校の高学年以上には、スリルがあって大自然を満喫できるツアーではないかと思います。是非ガイドさんの同行をお勧めします。霧島から曽於地域の「悠久の森」、「桐原の滝」、「溝ノ口洞穴」、都城市にある「関之尾の滝」等は、車で気軽にまわれる場所で、いたる所に清流や滝が点在し、森林浴やキャンプ地として賑わいます。

 錦江湾に面した指宿は、大隅半島やロケット基地見学ができる種子島、世界自然遺産の屋久島方面、南薩摩地域の拠点として、便利な位置にあります。市内には「岩崎美術館」や「薩摩伝承館」、「COCCOはしむれ」等カルチャー施設も整い子供たちの学習教材にも最適です。

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 大隅半島に渡り無料となった佐多岬、滝壺の近くまで行ける雄川の滝、清流が美しい花瀬、内之浦ロケット基地見学等多彩なコースがあり、県と観光連盟が作成した拠点地域からの「南大隅広域観光周遊ルート」が参考になるのではないでしょうか。


 また南薩地域では、JR最南端の駅西大山駅、番所鼻自然公園や釜蓋神社が整備されています。大野岳周辺での「茶もみ体験」など受入態勢が整ってきました。また、「杜氏の里笠沙」や「明治蔵」など鹿児島が誇る焼酎文化にも触れていただきたい。坊津は、梅崎春生の小説「幻化」の舞台であり、密貿易で栄えた街の面影が、随所に残り街歩きにも最適な地域です。

 枕崎駅は本土最南端の終着駅で駅舎も復元されたことから、全国から観光客が訪れています。今鰹節を活用した出汁が全国的に注目を浴びています。「Show-1グルメグランプリ本大会」で優勝し、殿堂入りの「枕崎鰹船人めし」や「かつおラーメン」なども是非ご賞味ください。「指宿から始まるかごしマップ 南薩摩広域観光周遊ルート」を参考にしてください。

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 夏休みは特に、宿泊施設や観光地でのファミリー向きの企画を充実させることが必要です。昼間は、森林でのカブトムシ獲り、魚やえび、かに等を網で掬う等小川での水遊びが楽しみです。また、裸足で砂浜を歩かせ、貝殻拾いや漂流物の観察をさせることは、子供にとって環境の大切さを学ぶチャンスです。

 夜は星空観測やホテルのロビーに縁日をもうけ、かき氷、花火等を提供することで、大人も童心に帰り一緒に楽しめるのではないでしょうか。

 ところで、7月1日から成田~奄美大島間にLCCの「バニラ・エア」が就航します。大市場を抱える関東圏からの就航は、新たな需要開拓につながります。特に低価格帯の運賃は若者に支持され、今年の奄美はサーフィンやダイビングに加えて、多様性の動植物が生育する島の「金作原原生林」、「住用のマングローブ」、「加計呂麻島」等人気のスポットになりそうです。世界自然遺産登録候補地として、その魅力をPRするとともに、「おもてなしの心」を忘れず対応していただきたい。

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 4月から高速の新造船が就航した甑島も、人気スポットの一つになるのではないかと 期待しています。5月の連休中は昼食する場所が少なく、来島者に不便をおかけしました。宿泊施設、食事施設が少ない島だけに、キャンプ施設の整備点検や浜辺でのバーベキュー等島ならではのおもてなしが、求められます。

 夏に向けて、キャンプ場の整備や担当者の教育も不可欠です。特に海や川遊び、登山等は天気予報等最新の注意が必要です。長期予報によると、今年の夏はエルニーニョ現象で冷夏の予想になっています。平成5年の夏には鹿児島は未曽有の大雨となり、いわゆる8・6水害で大きな事故が発生しました。自らの施設や周辺のアクセスの状況等には常に配慮し、最盛期の需要を取り込み、鹿児島の魅力をさらに広げる機会にしたいものです。                   

No.314 地域活性化は若者の雇用拡大から~観光関連産業は受け皿になりうるか~

2014年6月9日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 鹿児島市内に、夜はホテルやレストランで等で働き、昼間は宿泊関連業務、鹿児島の観光の魅力、おもてなしの心等を学ぶ専門学校「鹿児島ホテル短期大学校」があります。

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 先日、今年の新入生35名に講義する機会がありました。学生さんは朝の仕事を終えて、午前中1番目の授業でしたが、きちんとした挨拶を受け、授業中誰一人頭をたれる学生もなく真摯な態度に、職場や学校での教育が行き届いていると感じました。観光立県鹿児島にとって、このような教育を受けた学生さんたちの雇用の拡大が図られることを期待しています。

 日本の観光教育の現状と課題等について述べたいと思います。日本において、観光について学べる大学は、現在国公立では和歌山大学と山口大学、琉球大学、奈良県立大学の4校です。私立大学は、立教大学、文教大学、長崎国際大学等35大学に関連する学部、学科があります。

 また、専門的な分野を勉強する大学院では、国立は北海道大学と琉球大学、私立は札幌国際大学等4大学のみです。観光学部は、人文科学を中心としたもの、観光地・地域づくりに主眼を置いたもの、観光産業における接遇者養成を主にしたもの、経営学を主眼としたもの等に分けられます。

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 大きな課題としては、これらの大学を卒業しても観光関連の企業、団体に就職できる保 証はなく、学生時代に学んだ観光の知識が、入社に優位性を発揮できる企業は多くありま せん。多くの企業が学部を問わず、オープンで人材を求めていることがあげられます。

 観光関連の企業が、観光学部卒の採用の枠を設けることができれば入学者数も増えると考え られます。出口の確保が不可欠です。観光関連の学部は、学生確保に苦労している現状が あり、来年度募集を停止している大学もあります。

 次に最近重点施策の中に、観光振興をあげている自治体が多く見られます。その意味で授業の一環として、地域創生や情報発信の方策について学ぶことが役に立つのではないでしょうか。観光地づくりは、地域づくりにつながります。

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 日本の国内旅行は成熟し、従来の団体旅行やエージェント依存だけでは、今後大きな発展は期待できません。日本の第1次・2次産業をもっと観光に活かすべく、都会との交流を増やすことで、グリーンツーリズム、ブルーツーリズム、ものづくり、産業遺産、伝統工芸、食、祭り、伝統行事等が魅力になります。これからは、都会の人が田舎を学ぶ時代にしていかねばなりません。

 宿泊施設で見ると、従来の1泊2食の形態から泊食分離が進み、地域の飲食店等で食事 をとる客が増えているのも事実です。日本旅館で食事を取っていただくためには、「おもてなしの心」や「和食の魅力」を伝えることが大切であり、人手と教育を要し応分の経費もかかります。日本の旅館文化を継承していくため、大学のカリキュラムに、接遇、日本料理、器、出汁等について学ぶ機会をつくってほしいと思います。

 今後益々増加するインバウンドへの対応や6年後のオリンピックを控えて、おもてなし の心の醸成や、和食の世界無形文化遺産登録による「日本の文化の伝承」が重要になってきます。産学連携によるしっかりとした人材育成が求められています。

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 またビジネスホテルやシティホテルは、WEBを活用し、弾力的な価格体系で顧客獲得に力を注ぐ一方、低価格が常態化して苦戦を強いられている施設もあります。インターネットの普及は今、ホテルにとって諸刃の剣になりつつあります。特に地方のホテルが厳しく、資金力を武器に全国展開しているホテルは、安売り攻勢をかけています。

 最近のマーケットは、団体旅行から個人旅行にシフトし、しかもインターネットの急激な普及で、販売方法や商品体系が変化し、コンピューターに精通した人材も必要です。地域のホテルが生き残るには、地域からの希少な情報発信、着地型ツアーの提供、手書きのレターを添える等、宿泊者に感動をもたらす「おもてなしの心」が必要です。

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 ヨーロッパの観光地では、景観整備や環境を守る取組が徹底されています。看板や登り旗等はほとんど見られません。日本でも子供ガイドやボランティアガイドの組織運営に、今以上の支援が必要です。地域を愛する「郷土愛」の構築が不可欠です。

 日本の人口は確実に減少していきます。その対策として交流人口の拡大が不可欠であり、外国人の誘致は欠かせません。2013年、訪日外国人が1千万人を超えました。これから東アジアを中心にインバウンドの増加が期待できます。

 現在の受け入れ状況は、価格、宿泊、観光のありかた等業界にとってすべてOKという状況ではありません。外国人が観光地で動きやすく、また、一定の経済効果をもたらす仕組みを整えることが迎える側にも求められます。若者も外国の文化を大いに勉強しなければなりません。

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 最後に和食は、鰹節、昆布、味噌、しょうゆ等日本の出汁文化に特徴があり、調理人が作りだす包丁の巧みな技、器、盛り付け等が、世界の人々を魅了します。この素晴らしい日本の伝統文化を国内外の人にPRするのが、観光の役割の一つです。観光を日本の重要な産業とするには、人材教育の徹底と雇用をきちんと確保することです。

 持続できる観光地とは、そこに住む人が地域の文化をしっかりと守り、観光客にとって居心地の良い場所でなければなりません。鹿児島が真の意味で、観光立県になるためには、若者が観光に興味を持ち、雇用の拡大が図られることではないでしょうか。 

No.313 「簡易宿所営業」許可取得がなぜ必要か~民泊の受け入れ条件になる可能性が~

2014年6月2日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 今日も鹿児島中央駅には、関西からの修学旅行生を乗せた集約臨時列車が到着しました。平成25年から運行開始された新幹線専用列車は、鹿児島への修学旅行をより可能にしています。秋には筑紫地区の連合中学校23校約4,000人が、九州新幹線の専用列車で鹿児島を訪れます。

 平成25年に鹿児島県に宿泊した修学旅行生は、前年比1万5611人増の10万9959人となりました。

 大幅増の要因として、新幹線臨時列車を利用して、近畿地区の中学校25校約5.000人の生徒が来鹿したことなどです。また、鹿児島が誇る歴史、自然、温泉や、農水産業を活用した体験メニューが学校のニーズにマッチしていることもあげられます。

 地区的には、霧島、鹿児島地域が大幅な伸びとなりましたが、種子・屋久地区だけが減少しています。一度に多くの学生の受け入れが難しいことや、SSHのように関連する学科を持ち、専門性を学ぶ少人数の学校が増加していることも減少の要因です。今後種子・屋久地域を増やす方策としては、宇宙や世界自然遺産を前面に、体験メニューの差別化が必要です。

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 種子島では、千座の岩屋、鉄浜海岸等奇岩や美しい砂浜の散策、JAXA種子島宇宙センターの施設見学等が優位性を発揮します。来島中にロケットの発射日に重なり、打ち上げの瞬間に遭遇できるかもしれない楽しみもあります。種子島地域でもグリーンツーリズムの取組も始まっています。

 屋久島では縄文杉登山や屋久杉ランド、白谷雲水峡見学等、世界自然遺産に触れる機会や里ツアーの充実と地域住民との交流が年間を通してできれば増加が期待できます。

 鹿児島県は、豊かな自然と多彩な観光資源に恵まれ、農業産出額は、4,069億円で北海道、千葉県に次いで第3位となっており、鹿児島の経済を支えている基幹産業です。 (平成23年県政概況統計)

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 鹿児島で農業体験し、南さつま地域からスタートした農家民泊は、県下全域に広がり、25年は教育旅行の取扱が2万人を超えました。1泊2日の滞在期間、さつまいもや果物の収穫、家畜の世話など、日頃農家の方が行っている仕事を子供たちも体験し、食事は農家の人と一緒に作るなど家庭の一員として一日を過ごします。

 都会の子供たちは、土に触れる機会が少なく、日常食べている野菜、果物等がどのような姿で生育し、収穫されるか興味津津です。また、寝るのを忘れて懇談し、日頃家では味わえない心温まる体験が、子供たちの心を動かします。

 食事は農家の方と生徒が一緒に作るということも当然のことです。コンプライアンスの徹底が不可欠です。このように鹿児島が誇る農業が修学旅行の誘致や子供たちの情操教育に役立ち、また農家の人々の生き甲斐づくりになることを考えると、これからもっとグリーンツーリズムを推進しなければなりません。

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 一方鹿児島県の農家受入の課題として、旅館業法に基づく「簡易宿所営業許可」の取得が遅れていることが上げられます。現在県内での取得状況は、受入農家1000軒の約2割程度です。先進地の長崎県松浦や大分県安心院地区では90%を越えており、「宿泊料」を収受して人を宿泊させることができる営業許可取得が、今後学校に対しての信頼にもつながります。


 韓国のフェリー事故もあり、学校現場は安全対策には敏感となっています。学校からの仕様書の条件に「宿泊先は簡易宿泊営業許可をもつ民泊」が求められると営業許可を受けていない農家は、宿泊地として除外される可能性があります。消防署の点検を受け、障子や襖、絨毯等防火対策をきちんと整えることが不可欠です。許可申請には約25,000円の費用がかかりますが、積極的に取り組んでいかねばなりません。

 これからの体験メニューとしては、カンパチ等への「えさやり体験」、吹上浜等での地引網や砂浜散策等海の体験が人気となるものと思います。

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 また、明治維新150周年の舞台を巡る「歴史学習」、知覧や鹿屋での「平和学習」、桜島や霧島での火山・防災に関する「自然学習」、世界自然遺産屋久島での「環境学習」、種子島や内之浦での先端技術を知る「科学学習」、どれをとっても他県に負けないカリキュラムになっています。

 学校のニーズに合うユニークな体験メニューの提供、また、受入側の安全面に対する意識を向上させ、体験学習における安全性を確保することが不可欠です。

 教育旅行は県内に2泊する学校が多く、1泊は市内や温泉地でのホテル宿泊がほとんどです。農家民泊と既存の宿泊施設との摩擦が懸念されますが、新しい需要開拓という視点に立ち、「競争」と「協調」の姿勢が、全体的な入込客増大に結びつきます。

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 鹿児島県には、最盛期には約25万人の修学旅行生が来ていました。生徒数の減少や行先分散化で、急激な増加は厳しいものがありますが、3年後には20万人の誘致を目指しています。目標達成に向けて官民挙げて課題解決に努力し、安全・安心が第一の教育旅行に関係者の心を一つにして頑張りたいものです。

No.312 文化の香りが漂う地域に ~芸術や日本の伝統文化を守ることの大切さ~

2014年5月26日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 夏目漱石、志賀直哉、川端康成、太宰治氏らは、多くの名作を残しています。その名作には日本旅館に滞在した宿の雰囲気や、地域の情感が醸し出されています。夏目漱石は、阿蘇で「二百十日」、道後温泉では「坊っちゃん」を、志賀直哉は城崎温泉で「城の崎にて」、川端康成は伊豆を舞台に「伊豆の踊子」、越後湯沢温泉では、「雪国」を書き上げています。



 太宰治は静岡県の三津浜・大瀬崎で「斜陽」を執筆しています。また、歌人若山牧水、与謝野鉄幹・晶子夫妻、北原白秋、斎藤茂吉等は、全国を旅して多くの歌を詠んでいますが、ゆかりの宿には記念の硯や色紙等が残されて、宿泊客の旅情を誘います。

    水鳴れば 谷かと思ひ 遠き灯の
               見ゆれば原と 思ふ湯場の夜
                             ~与謝野晶子~
*与謝野晶子夫妻が宿泊した市比野温泉旅館「みどり屋」の近くに歌碑があります。

 日本旅館はこれまで、多くの文人墨客に愛されてきました。落ち着いた畳の間、窓越しに聞こえる渓谷の水の流れ、四季折々に変化する田園の姿、温泉の湯けむり等が、作家たちの疲れをいやし、作品の構想を創り上げるのに最適な場所と思われます。

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 今その旅館の数が減少傾向にあり、日本の伝統文化を提供してきた施設が、厳しい経営環境にさらされています。現在日本旅館協会に登録している施設は、約3,200軒ありますが、その数は毎年減少しています。

 要因として、バブル崩壊後宴会が主体の団体需要が激減し、それに頼っていた温泉地の大型旅館の倒産があげれらます。また、人口減少等による日本人の国内旅行や宿泊者数の伸び悩みが続き、将来の経営見込みが不透明であることから、後継者不足もあって、廃業する施設が多くなっています。

 さらにここにきて、耐震診断の義務化と補強工事等で経費がかかることから、営業を断念している施設が多くなっていることも事実です。国の何らかの支援の必要性を感じます。

 一方では、宿泊とバス料金をセットにして低価格で販売し、運営を続けている施設が多く見られます。このような施設は、メイドさんのおもてなしや部屋食等のサービスをなくして、二食ともバイキングにするなど効率を第一に考えた経営を進めています。

 ところで、昨年「和食」がユネスコの世界無形文化遺産に登録され、日本食が注目されています。日本食は、調理人が創り出す匠な包丁さばき、盛り付け、料理をのせる皿、また、日本独特のみそ、しょうゆ、干物等から作りだされる出汁等が特徴の一つです。

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 日本には伝統的陶磁器の産地が各地にあり、日本料理を引き立たせる茶碗や皿を作り出しています。九州の旅館では、有田焼、伊万里焼、薩摩焼、京都の清水焼等の器がよく使われます。日本料理は器が命であり、自ら窯元を尋ねる調理長も多くいます。


 最近日本の出汁が外国人にも注目されています。料理に化学調味料を使用する機会が増える中で、日本料理は、みそ、しょうゆ、煮干し、こんぶ、かつお節等自然加工した食材がメインです。安全・安心の食材や伝統的料理方等が、和食が世界無形文化遺産に登録された要因でもあります。

 枕崎市は日本一の鰹節の産地であり、それを活用した出汁や地域グルメを積極的にPRしており、メディアで取り上げられる機会も増えてきました。鰹節から作られる出汁が注目を浴び、需要拡大と地域の経済活性化につながるものと期待されます。日本人は今食の安全・安心に敏感であり、まず観光客に鰹節の魅力を広めていかねばなりません。

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 ところで、毎年霧島温泉地域で開催される「霧島国際音楽祭」が35周年の節目の年を迎えます。世界一流の音楽家の演奏が、身近で安い料金で聴くことのできる機会は全国的にみても、少ないのではないでしょうか。


 県はPR等最大の支援をしており、県民が気軽に一流の音楽を聴く機会を提供しています。期間中はホテルでのロビーコンサートも開催されます。県民のみなさまも国際音楽祭に対する関心をもっと高めてほしいと思います。

 霧島温泉地域は、この音楽祭をPRすることで「文化の香りのする街」として、日本旅館の魅力を世界に発信できる機会を見逃してはなりません。霧島温泉地区は、9の泉質があり全国的に知られた地域です。

 オーストリアの「ザルツブルク」は人口15万の小さな街ですが、「ザルツブルク音楽祭」開催の5週間に、世界中から観光客が訪れます。 松本市で開催される小澤征爾氏らを中心として開催される「サイトウキネン・フェスティバル松本」は鹿児島からも愛好家が訪れます。

 また、湯布院では定期的に音楽祭や美術展が開催され、周りの環境も幸いし多くの滞在客があります。これから観光客を滞在させるには、文化的な香りのする街の魅力が求められます。地域住民はその街に住んでいる誇りと、自信を持つべきです。

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 指宿にも「岩崎美術館」や、中国古来の美術品が展示されている「薩摩伝承館」があり、必見の価値ある施設です。指宿は著名な温泉地で日本旅館も多く、地域が誇る優れた両施設を地域全体でPRして、街の知名度を上げることも大切なことです。


 日本の人口はこれからも減少していきます。外国人の誘客は不可欠であり、日本旅館での和食、おもてなし等日本の伝統的文化の提供が求められています。日本人のサービスは親切で、人手を要します。安価な料金では永続性がありません。

 日本旅館は、お茶の接待、お風呂(大浴場)、夕食、寝具や洗面具の提供、夕食、朝食等のサービスを提供し、また昼夜にわたり宿泊者の安全・安心確保に努めており、応分の対価を払うことは、当然のことと思います。

 2020年には東京オリンピックも開催され、多くの外国人が日本各地を観光するものと考えられます。日本旅館が多くある鹿児島をPRし、質の高いおもてなしでお招きしたいものです。

No.311 鹿児島の魅力を再発見~「旅のスパイス鹿児島」を活用してPRを~

2014年5月19日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 鹿児島に永年住んでいると、素晴らしい景観が当たり前のこととなり、四季の変化にさえ気づかなくなります。鹿児島市内から美しく眺められる桜島は、天気の良い日は山の姿が7回変化すると言う。朝起きると目の前にある桜島はあって当然であり、今日も降灰が市内に来なければと願っている市民が多いのではないでしょうか。

     志ろ山と さくら島 かけあなさやけ
                  正月虹の 立ちわたりたり  ~牧暁村~
     (注)志ろ山とは、城山のことです。桜島にこの歌碑があります。

 しかし県外から初めて訪れた観光客や外国人は、錦江湾に浮かぶ桜島の雄姿や、噴火して黙々と上がる噴煙を身近に観察できることに、この世で初めて遭遇したような驚きと喜びの声を表わします。

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 我々鹿児島には何気なく過ごしている日常の暮らしの中に、県外の方が"びっくり"するような光景や生活があります。それらは鹿児島ならではの風土や習慣、文化です。

 この度鹿児島県ホテル旅館組合青年部の皆さんが、鹿児島での旅に味を加えてもっと楽しくなるようにと「旅のスパイス鹿児島」というタイトルの絵はがきを完成させました。2012年から取り組み、1年かけて約1000の観光客の"生"の声を集めることができ、そこには気づきやたくさんの再発見がありました。

 絵はがきの裏にあるタイトルの文を紹介します。(文章は絵はがきの原文の通り)

「克灰袋」・・桜島の火山灰を入れる袋です。以前は「降灰袋」でしたが、桜島の灰に負けないぞ(克服するぞ!)という意味で「克灰袋」に改名されたそうです。

「のんかた」・・鹿児島のお湯割りの焼酎グラスにはメモリがついています。メモリに合わせて焼酎とお湯を混ぜると美味しく呑めます。お湯を先に入れないと「先輩」に怒られることもあるので、お気をつけて。おつまみにはガランツがおすすめ。意味は鹿児島の誰かに聞きましょう。

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「桜島の風向」・・鹿児島のニュース・天気予報には桜島上空の風向きが表示されます。みんな風向の予報を見て火山灰の流れに注意し洗濯物や洗車のタイミングを考えたりします。洗車したあとには、だいたい火山灰に降られ、灰まみれに。とても残念な気分になります。

「ちけもん」・・鹿児島のだいたいのラーメン屋さんではラーメンと一緒に漬物が出されます。漬物を食べお茶を飲みながらラーメンが出るのを待ちましょう。鹿児島では「ちけもん」ともいいます。


「両棒餅(じゃんぼもち)」のような甘いものと一緒に出されることも多いです。両棒餅は、仙巌園付近で食べることができます。

「おはな」・・鹿児島の人はお墓や記念碑をこまめに掃除をしてお花をたやしません。

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「温泉」・・鹿児島市内の銭湯は、ほとんどが温泉。家族風呂も日常のヒトコマです。鹿児島の誰かにおすすめを聞きましょう。指宿の海岸には砂むし温泉もあります。

「まゆげ」・・西郷さんの様にまゆげが太く濃い人が多いです。太く濃いまゆげと鹿児島弁はとても安心感を与えます。

「さくらじま」・・桜島を見るとホットします。そんなあなたは、もう鹿児島人です。 その他「しろくろ」と「へへへ」の絵はがきがあります。

 どの絵はがきも私たちの日々の生活の中で当たり前に感じている事柄ですが、文を読んでみると、あらためて先人が育んだ知恵と行動に驚かされます。桜島の降灰を物語風に面白く描き、掃除の苦労も忘れてしまいます。

 また、お墓について生花が飾られている光景に出合うと貸切バスのガイドさんは、先祖代々受け継がれている鹿児島の先祖崇拝の風習を語ります。メモリがある焼酎グラスは、県外の観光客と一献傾ける際には説明し易く、鹿児島のお土産としても勧めています。

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 鹿児島県ホテル旅館組合青年部の方々は、新幹線全線開業を控えて着地型観光の定着に積極的に取り組んできました。宿泊者を対象に、早朝の鹿児島魚類市場見学ツアーもその一つです。夏休みには子供たちの参加も多く、市場内での食堂で新鮮な魚を食べる朝食も人気を博しています。青年部の日々の努力が、鹿児島の観光を支えていると感じます。

 最近の観光は、宴会型団体旅行から、地域の生活・文化に触れる個人旅行が主流となっています。今回の取組は、それを面白く楽しく伝えることができる絵はがきであり、書いた方の温かさも伝わります。

 「旅のスパイス鹿児島」の絵はがきは、県内の36青年部施設を中心に配布・販売しており、5枚セット300円です。宿泊者に一声かけることで、絵はがきの認知度も高まります。今「郷土愛」の構築や「旅育」という取組が大切になっています。ふるさとの良さを伝える良い教材にもなります。この絵はがきも活用して、県外の友人に鹿児島の四季折々の魅力や伝統文化を伝える機会にしたいものです。
      参考:鹿児島県ホテル旅館組合 青年部事業 ~旅のスパイス鹿児島~

No.310 発信力より受信力に十分な検証を~ 顧客に届ける有効な情報戦略とは~

2014年5月12日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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くれないの 二尺伸びたるばらの芽の

         針(はり)やわらかに 春雨の降る

                    ~正岡子規~

 ゴールデンウィークが終わり、観光地はしばし静けさが戻っていますが、鹿児島中央駅は修学旅行生の姿が目につきます。関西方面からの集約臨時列車の運行が大きく寄与しています。

 これから各地域とも夏から秋に向けての誘客に熱が入ります。各自治体、観光協会等が地域へ観光客を誘致するため、パンフレット、情報誌やインターネットなどメディアを使った宣伝手法が多く見られます。又キャラバン隊を組織して、大都市のデパートや東京駅や大阪駅の地下街で通行人に観光宣伝を行うケースもあります。最近ではホームページを充実させて、最新の情報を掲示することが日常的に行われています。

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 旅行先や宿泊施設の決定手段として、インターネットによる情報を参考に、経験者の話(いわゆる口コミ)が一押しとなっています。総務省の調査によると、日本人の75%に当たる約9千万の人がインターネットを利用しており、今後も拡大すると予想しています。ホームページは24時間利用できることから、家庭での情報収集の有効な手段となっています。 



 ところで、地域の宣伝をする手法として、自治体や観光協会の職員が大挙し、○○大使を帯同し大都市圏の地下街等で、パンフレットや地域産品を通行人に配るなどしてPRするケースを良く見かけます。通行人がどっと押し寄せ、たちまちのうちに配布物がなくなることが多くあると思います。担当者はパンフレットが何万部配布できたと喜んでいます。

 しかしその効果の程はどうでしょうか。近くの地下街のトイレやくず箱に、パンフレットは捨てられていることがよくあります。イベントの開催状況を調べて、単に景品をもらうためだけに繰り返し並んでいる人も多いと感じます。不特定多数への宣伝には十分研究すべきです。むしろマスコミ各社等を訪問して地域情報をきちんと伝え、番組で取り上げてもらう努力が必要です。

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 このように日頃からパンフレット、メディア等を利用して、また多くの需要を抱える大都市圏での情報発信に力を注いできました。発信することに時間と経費をかけ、地域の盛りだくさんの最新の話題を伝えることが、誘客につながる有効な手段であると捉えてきました。

 しかし発信することにエネルギーを注ぐあまり、相手に十分受信されているかの検証が十分なされてないのではないかと思います。何万部というパンフレットを配りながら、必要とする消費者に地域の情報がどの程度伝わり、旅行につながっているかを検証することには関心が疎かったのではないかと思います。

 メディア販売を主としている旅行社の担当者は、初めから全国紙を広告媒体に利用するのではなく、ミニコミ紙や折り込みで消費者の反応を探るテストマーケティングを行っています。各自治体とも多くの媒体に広告を載せていますが、効果のほどを検証するまでには至っていないのではないでしょうか。

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 たとえばパンフレットの活用度合いを検証するため、情報誌に半券を付け、それを持参した方に特典を提供したり、スタンプカードに訪問先の印鑑を押してもらい回数に応じて特産品のプレゼント等の交換などを可能にすることで、情報誌の反応度合が把握できます。また情報誌がどの地域で一番読まれているのか、どのような読者層に届けられるかも重要なマーケティングとなります。


 そのことで情報の価値や配布先の需要層等が把握できるのではないでしょうか。複数の情報誌やメデイアを組み合せて、地域によってその配布方を変えることも必要です。また、セグメントされた顧客を抱える媒体の活用も求められています。いずれにしても、消費者にきちんと情報が届く仕組みが必要です。

 自治体の観光パンフは地域の情報を網羅するため、豪華でしかも多くのページを用いることがあります。しかし利用者にとってはわかりにくい場合が多く、オンリーワンのイベント・祭り、桜や紅葉の隠れた名所、伝統の食や話題のグルメ等季節ごとの特化したパンフを作ることが、成熟した国内旅行には必要かもしれません。

 自治体等で運行している無料観光バスが盛況を博しています。しかし無料であるから乗っているということもあります。訪れた人が地域で、「お土産」や「食事」等にどれだけ消費しているのか、また、リピーターになっているのか、毎回アンケートを取り分析する必要があります。それを今後の観光振興に活かすことが、無料観光バス運行に求められる課題です。

 最近ではエージェントの商品企画に反映させるために、大都市圏で説明会や、個別の相談会を開催して効果があがっています。商品企画に当たっては、エージェントは半年先の情報が必要であり、そうすることで企画に反映させることができます。自治体の観光素材がどのような過程で商品化され、流通させていく仕組みを理解せずして単なる宣伝は、効果が得られません。

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 一方観光客には県境はなく、初めて訪れる人は広域に回ります。自治体の宣伝は、広域の観光協議会を組織して活動することで効果があると思います。九州観光推進機構は定期的に大都市圏で、「九州は一つ」の合言葉で、九州7県の広域の宣伝活動を展開しています。エージェントやメディアとの人脈づくりにも役立っています。

 海外から見ると九州は小さな島であり、九州全体の位置付けをPRし、その中で鹿児島の『優位性』・・東アジアに近く、世界自然遺産、桜島、食、砂蒸し温泉、宇宙基地、世界文化遺産と明治維新150年等・・PRすることで、他県との差別化となります。人脈づくりにも役立っています。

 有効な宣伝方法とは、費用対効果を検証することです。もう一度自分の地域の宣伝手法を見直してみませんか。これから夏休み、秋から来春に向けての積極的な提案をしていかねばなりません。夏休みはファミリー、秋はシニア市場であり、春は卒業を控えた学生マーケットです。シニア世代は平日も動けるフットワークのいいお客様で、しかも料金にあまり左右されず質の良い旅行を求めます。

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 従来の観光パンフレットから脱却し、読んでみたくなるキャッチコピーの表示、拠点から動きやすいアクセスの説明、地域の生活文化に会える場所、パワースポット、トレッキング、地元の食を堪能できる施設、旅人を楽しませてくれる人や居酒屋等、受信力が高まる発信の取組が今求められています。

No.309 香港便の再開を鹿児島の経済活性化に繋げる~成熟した訪日市場への取組~

2014年4月28日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 3月31日、5年ぶりに香港便が就航しました。香港からの訪日旅行者は、首都圏への観光客回復、関西の人気上昇、LCCの就航等で、2013年は55%の伸びで、74.6万人となっています。



 高いリピーター率(10回目以上が20.7%)と、個人旅行率(FITが70.8%)が、高いことが上げられます。また、旅行者の主流は家族と若者で、日本での滞在日数は「4~6日」となっています。(観光庁の調査)

 最も成熟している訪日旅行市場と言えますが、宿泊地としては、大都市圏と北海道、沖縄で全体の75%、その他地域が25%です。香港に近い沖縄への観光客は、84,300人で鹿児島の約7倍となっています。一方、1972年に日本航空が定期便を就航したこともあり、香港での鹿児島の知名度はかなり浸透しており、今回の香港便の就航は、新たな需要開拓につながると期待がかかります。

 今回の就航にあたっては、香港のエージェントが一定の席をギャランティしているため、鹿児島発の席が少ないのが現状で、当面は香港からの観光客を長く県内に滞在させる取組が求められます。

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 香港人が今求めるものは、「食」、「体験」、「地方」がキーワードです。リピーターを意識した「本物。鹿児島県」の食、レンタカーと観光列車の組み合せ、世界遺産、地方の美しい自然景観、「日本旅館での砂蒸し温泉・和食文化や質の高いおもてなし」の提供等が長期滞在を可能にします。

 個人旅行が主流になり、「レール&ドライブ」のシームレスな予約システムの構築が急がれます。県内には「はやとの風」、「おれんじ鉄道」、「指宿のたまて箱」、「ななつ星in九州」の観光列車や九州新幹線の終着駅があり、観光客には対応しやすい環境にあります。

 和食が世界無形文化遺産に登録されたことや、2020年の「東京オリンピック」開催が決まり、日本への関心が一段と高まっているのも追い風です。県内には「料理・サービスに優れた旅館」や、「おもてなしの心」で評判の宿が多いのも強みです。

 また、農・水産業を活かした体験メニューも整備されてきました。果物狩りやお茶摘み、漁協での餌やりや寿司握りも好評です。歴史的遺産や世界自然遺産があるのも鹿児島の優位性を発揮できます。

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 「近代化産業遺産群」の世界文化遺産登録も準備が進められており、また、仙巌園では四季折々の草花とともに美しい桜島の景観が楽しめます。県内各地に残る武家屋敷で、お茶会や生花展、着物で散策できるイベント等は、日本の生活・文化に触れる機会にもなります。

 最も成熟した訪日旅行市場の香港では、屋久島の世界自然遺産を活用した「エコツアー」が喜ばれ、大自然や緑が少ない香港人にとっては驚きの観光地であると思います。

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 増便の機運が高まる中、路線維持拡大には、観光客に加えて物流の促進が不可欠です。鹿児島が誇る「黒牛」、「黒豚」、「黒マグロ」、「かんぱち」、「焼酎」等食の魅力をいかに浸透させるかです。鹿児島の食材を流通させるには、有名料理店やホテルとのコラボも必要です。


 個人旅行が主流となり、外国語表記、Wi-Fiの整備、受入施設での外国語の対応は、今後インバウンド態勢づくりには不可欠です。また、入国審査に関わる時間短縮が問われている鹿児島空港は、スペースの拡張、要員配置などインバウンド拡大に伴う国家戦略の一つとして取組まねばなりません。

 最後に映画「慕情」を鑑賞し、香港に思いを馳せ、海外旅行先として香港を最初に選んだ方も多いと思います。主演のウィリアム・ホールデンとジェニファー・ジョーンズの悲恋物語とともに、香港の美しい海と街をバックに流れる主題歌「Love is a many splendored thing」は、今でも映画ファンには懐かしい曲です。

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 日々変化を続ける世界屈指の貿易都市香港、香港から高速船で気軽に行けるマカオをぜひお訪ねください。マカオは、ラスベガスを凌ぐ観光・カジノの街として発展を続けています。



 次回のコラムはゴールデウイークに入るため、5月12日になります。4月28日から5月1日までは、県内の宿泊施設は空きが多くあり、今からでも予約が可能です。楽しい休日をお過ごしください。

No.308 開成所開設から薩摩藩英国留学生へ~明治維新の基礎づくりに人材教育の重要性を知る~

2014年4月21日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 つい先日まで県民の心をしばし楽しませてくれた桜は、いつの間にか葉桜となりましたが、街かどの花壇にはスイトピーやツツジの花が咲き誇り、道行く人を楽しませてくれます。



 また、新緑が美しくなり、ピンクや赤色の様々な花が鮮やかで、鶴丸城の城壁も池に一段と鮮やかに映り、日本の美しい四季の移ろいを感じられます。温もりが心地良く感じるこの時期は、中学校時代に習った次の詩が浮かびます。

                   春 暁       孟浩然
            春眠不覚暁 【春眠 暁を覚えず】
            処処聞啼鳥 【処処(しょしょ) 啼鳥(ていちょう)を聞く】
            夜来風雨声 【夜来(やらい) 風雨の声】
            花落知多少 【花落つること 知る多少(いくばく)】
【注釈】
春の眠りは心地よく、夜が明けたことを知らずにぐっすり眠り込んでしまった。
気がつけば外では鳥のさえずりが聞こえてくる。天気もよさそうだ。
夜更けから風雨が強かったので、満開の花がたくさん散ったことだろう。

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 ところで2018年(平成30年)は明治維新から150周年の節目を迎えます。明治維新の立役者となった偉人を多く輩出しているのが、薩摩藩の中心地であった鹿児島市です。鹿児島市では、2012年から2018年までの期間に、「明治維新150年カウントダウン事業」として、明治維新までの激動の時代を歩んできた薩摩藩の足跡を振り返るイベントなど様々な取組を推進しています。 


 今年は開成所開設から150年になります。開成所は元治元年(1864)年6月に、科学や軍事に関する人材育成のために設立された洋学校で、島津斉彬が在任中に計画し、蘭学者石河確太郎に設立準備を命じていたものです。

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 場所は琉球館の海岸通りにあったとされ、現在の小川・滑川市場の付近と推定されます。学習科目は陸海軍砲術、兵法、地理学に航海術、測量、医学に至るまで多岐にわたってい ました。当時の様子を残す跡はありませんが、ここで教授をしていた郵便制度の創設者である前島密を評したポストが、桜島海岸通りの交差点に立てられています。



 翌年(1865年)薩摩藩は、国禁を犯して15名の若者と随行者4名を英国に派遣します。「薩摩藩英国留学生」と呼ばれており、優秀な人材が集まる開成所からほとんどが選ばれ、その中にただ一人薩摩藩以外で土佐藩を脱藩した「高見弥一」もいました。

 また、「開成」という名は、歴史的に謂われある名辞であるため、校名に「開成」を冠する中学・高校があります。優秀な学生が集まることで知られる東京の「開成高校」は32連続東京大学合格者がトップとなっています。

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 留学生たちは、帰国後は官界、実業界で活躍し、近代日本の礎を築く活躍をします。畠山義成は、出航からロンドン到着直後の様子をまとめた「畠山義成洋行日記」を遺しています。1866年にはフランスに渡り見聞を広めています。帰国後「岩倉使節団」にも招集されました。その後文部省に出仕し、東京開成学校(現在の東京大学)初代校長として、日本の大学の基礎作りに貢献しています。


 町田久成は、維新改革の流れの中で、多くの美術品の破壊や海外への流出を惜しみ、博物館事業の重要性を認識し、博物館創設事業に携わり、東京帝室博物館(後の東京国立博物館)の初代館長に就任しました。

 森有礼は中国大使や初代文部大臣を務め、教育制度の改革を行います。村橋久成は、戊辰戦争の際砲隊長として活躍し、その後北海道開拓使となり、サッポロビールの生みの親として語り継がれています。

 留学当時13歳と最年少であった長沢鼎は、その後アメリカに渡り生涯を過ごし、広大なぶどう園の経営とぶどう酒製造に尽くし、ワインの帝王と称されました。鹿児島でもナガサワワインとして親しまれています。随行者の五代友厚は、初代大阪商工会議所会頭に就任し、商都大阪の経済発展に寄与します。寺島宗則は外務大臣として活躍します。 

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 今年の7月20日、船出したいちき串木野市羽島に「薩摩藩英国留学生記念館」がオープンします。会館の中には、留学生の足跡をたどる資料も展示される予定です。会館の完成を期に、多くの小・中・高校生が遠足等で訪れて、海外への夢を掻き立てて欲しいと思います。

 各市町村で青少年の翼、青年の船等の海外派遣事業が盛んですが、参加者のその後の成長の軌跡を検証することも必要です。個人情報保護の関係で、個人情報を求めることは難しくなっていますが、学校の選択や社会人生活に役立っていること等海外派遣の重要性を語り繋げていく必要性を感じます。

 日本へのインバウンド数が昨年1千万人を超え、今年に入ってからも昨年以上の伸びとなっています。日本人の国内旅行が増えない中で、各県とも外国人誘致に力を注いでいます。

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 一方、海外に興味を示さない若者が増えているのも事実です。県民が外国の生活や文化を経験することは重要なことであり、視野を広めるべく、若い内に海外に出掛ける仕組みづくりや海外でのカリキュラム取得を可能とする等支援態勢整備の必要性を痛感します。

 海外修学旅行やホームスティの積極的な推進、留学生の受け入れ拡大やその人たちを活用した日本文化の海外への発信等も求められます。また、日本は人口の少子、高齢化時代に入り、地域の活性化には海外との交流人口の拡大が不可欠です。

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 最後に、「旧集成館事業」等5つの構成資産が、2015年度中に「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」として世界文化遺産登録を目指しています。薩摩が日本の近代化に果たした役割を世界にPRする時です。

 その基礎作りに貢献した「開成所」や「薩摩藩英国留学生」の偉業を学ぶことで、人材教育の大切さを知る機会にもしたいものです。

        資料:鹿児島市【明治維新150年カウントダウン事業】付録より

No.307 新航路開設で新たな需要開拓を~沖縄と差別化された情報の発信が誘客につながる~

2014年4月14日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 鹿児島から南へ約380キロの洋上に浮かぶ奄美大島、県の離島で一番大きな島で、鹿児島市から中心都市名瀬港まで、約12時間の船旅が楽しめます。エメラルドグリーンの海には、サンゴ礁がいたるところに見られ、熱帯魚の群れがひときは美しく観察できます。

 奄美群島には亜熱帯の植物やルリカケスやオオトラツグミ、アカヒゲ等の天然記念物、特別天然記念物のアマミノクロウサギなど固有種の動物が多く生育し、その生態系の貴重さが、世界自然遺産登録の候補地ともなっており、2016年度中の正式登録を目指しています。

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 レジャー・リゾート路線を展開するLCC,バニラエアが7月1日より、成田~奄美大島間に新路線を開設することを発表しました。首都圏から奄美大島への定期航空路線の就航は、羽田~奄美大島路線以来であり、大きな期待がかります。運航機材はエアバスA320-200型が1日1往復予定されています。

 A320型は座席数が160~180席で、グループの予約が可能となり、観光客誘致に弾みがつくのではないでしょうか。

 就航に当たり代表取締役社長の石井知祥氏は、「成田空港から奄美大島まで片道、約2時間半。手つかずの美しい自然が残り、その豊かさを後世に伝えるべく、世界自然遺産登録をめざしているリゾートです。

 この度『奄美群島振興交付金制度』が創設され、その中で『交流需要喚起対策事業』との連携を前提に今回の就航を決定した。地域の皆さまと一緒に奄美大島の魅力をより多くの方にお届けしたいと思います」と抱負を語られました。奄振事業が大きな役割を果たしていると思います。

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 奄美群島への誘客について従来ネックになっているのが、航空運賃の高さです。現在東京から奄美大島と沖縄への片道普通運賃を比較すると、距離的に短い奄美大島が5,400円高くなっています。さらに旅行エージェントの2泊3日のフリータイムの商品で比較すると、2万円以上奄美の商品が高くなっています。

 沖縄への観光客が伸びている理由として、沖縄(那覇)へは全国20の空港から路線があり、競合路線が多いことや、米軍基地が多くあることから、振興策の中で航空運賃への支援策が充実し、運賃が割安になっていることも大きく影響しています。(3月末現在)

 今回のバニラエアの就航により航空運賃の低廉化が図られることが、観光客の誘致に大きな効果を発揮するものと思います。東京からの便はビジネスの需要が高く、搭乗率も安定しており、観光客の誘致には不都合な点もありました。今回の就航は、関東地域から広く誘客が可能となったことが大きなメリットです。

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 次に成田空港という国際空港がもたらす効果も大きいものがあります。奄美群島は「奄美・琉球」として2016年度の世界遺産登録を目指しています。世界遺産登録を目指す島として世界中で注目されており、海外からの誘客が成田乗り継ぎで可能となります。

 課題としては、奄美群島の魅力が県内外にあまり知られていないことであり、今後いかに情報発信を強化して認知度を高めるかが重要な点です。

 おりしも昨年奄美群島は本土復帰60周年の節目の年を迎え、メディアで取り上げられた機会も増えてきました。また今年は、大島高校が21世紀枠として選抜高校野球大会に初出場し、優勝チームに大敗しましたが、はつらつとしたプレーが話題となりました。しかも島出身者だけのチームであり、そのことも併せて島の存在が大きく取り上げられたことも大きかったと思います。

 これから沖縄とは違う魅力をいかに消費者に届けるかです。奄美の自然は手つかずの自然が至るところに残り、その生態系が注目されています。また、どこか哀愁漂う旋律が心に響く島唄は、集落に伝わる民話が原点となっており、各集落で唄い継がれ、居酒屋では宴が深まると、だれともなくサンシンの音で興が始まります。

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 鶏飯、油ソーメン、ヤギ料理等を中心とした郷土料理、奄美でしか作れない黒糖焼酎、伝統職人が作りだす大島紬、国の重要無形民俗文化財に指定されている「ショチョガマ」、「平瀬マンカイ」「諸鈍シバヤ」など奄美独特の風習を伝える祭りは、都会の人々には興味津津に映るのではないでしょうか。




 就航が7月1日であることから、夏に向けて若者へのマリーンスポーツのスポットの提供や、大学生のゼミ旅行などの誘致も欠かせません。手つかずの自然が残る奄美の海は、どこにもまして素晴らしいと自負して憚りません。体験型の交流プログラムの充実も求められます。奄美海峡にある近畿大学水産試験場は、クロマグロ研究施設として見学も可能です。

 ところで平成26年度中には奄美市から古仁屋までトンネルが全通し、45分で行くことができます。空港からは2時間程度で加計呂麻島まで行くことができ、奄美本島南部地域の観光が便利になります。

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 古仁屋の対岸に位置する加計呂麻島は戦跡が多く、文学者島尾俊雄の代表作「死の棘」や「出孤島記」の舞台となっています。また、「寅さんシリーズ」の最後の撮影地であり、昨年はNHKの土曜ドラマ「島の先生」の舞台にもなりました。


 加計呂麻島の魅力と世界自然遺産地域をセットでPRすることで滞在客も増加するものと思います。空港からのレンタカーや小型バスの利便性を図ることが重要です。

 現在日本人の国内観光は成熟しており、従来の物見遊山を中心とした観光地は苦戦を強いられています。最大の需要がある首都圏地域から、自然豊かな奄美大島への利便性を確保することは永年の課題でした。その意味で今回のバニラエアの就航は、奄美大島にとって飛躍できる大きなチャンスとなりました。

 空港に近い龍郷町は都会からのIターン者がペンションや、エコガイド等で生活を営んでいます。利便性が高くなることから、首都圏の人々に冬場の温かい気候や花粉症が少ないことをPRし、「2地域2居住」をすすめることも定住促進につながります。

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 奄美群島観光物産協会が設立されて2年が経過しました。群島全体の観光地、物産等を点検し、首都圏のお客さまが行きたくなる、沖縄と違ったより斬新な情報発信を提供しなければなりません。首都圏で奄美の物産を手掛けるバイヤーに話を聞くと、奄美の物産は人気が高いという。それは自然豊かな未知の島の物産で、安全・安心が魅力となっているように感じます。

 このようにハンディが大きい奄美大島に、LCCが飛ぶことが大きなインパクトとなり観光客には行きにくい島だからこそ、行きたくなる場所になるのではないでしょうか。 観光客の増加に対する「おもてなしの心」の充実も大切です。就航が待ち遠しい路線です。

No.306 消費税アップに伴う旅行需要の冷え込みをいかに乗り切るか~商品企画と積極的なPRを展開しよう~

2014年4月7日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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桜花 時は過ぎねど 見る人の

    恋(こ)ふる盛(さか)りと 今し散るらむ

                万葉集~作者不詳~


 消費税が上がる前の駆け込み需要で、今年の春休みは例年になく交通機関や宿泊施設は混雑していました。満開の桜は、週末の強風と大雨にさらされ無残な姿となり、楽しみにしていた今年の桜の宴は、幻に終わりました。ぱっと咲いて惜しまれながら散る桜は日本人の心に残ります。これから桜前線は北上し、ゴールデンウィークの頃には北海道に上陸し、松前城や五稜郭は花見客でにぎわいます。

 ところで4月1日に消費税が8%となり、一時的に消費が冷え込むことが予想されます。これから旅行シーズンを控えて観光客の出足が懸念されますが、各エージェントの企画担当者の話によると、4月の商品は売れ行きが悪く、軒並み前年を割っています。

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 今年のゴールデンウィークは、5月に4連休があり後半は好調に推移しています。これから新年度の行事が終わり、ゴールデンウィークの話題がでてくるとお客様の動きも活発になってくるのではないかと思います。昨年は伊勢神宮や出雲大社の式年遷宮、東京ディズニーランド30周年、NHK大河ドラマ「八重の桜」の放映等があり、4月~7月は南九州への入込は低迷しました。今年に期待したいと思います。


 県内の話題を紹介すると、4月2日から甑島に川内港から高速新造船の運行が開始され、新たなスポットとして賑わいを増すのではないでしょうか。断崖絶壁の岩や奇岩、美しい長目の浜、ニシノハマカンゾウやカノコユリが咲き、ウミネコが生息する島は自然そのものが魅力です。

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 例年ゴールデンウイーク期間の大型イベントである「吹上浜砂の祭典」が、連休期間の1週間から5月2日~31日まで長期に渡って開催されることから、県内外からのバスツアー等が増えるものと予想しています。連休中は団体の部屋が取りにくく、平日に期間が延長されたことが好材料となり、バス旅の企画も増え、指宿方面が混んでくるのではないでしょうか。エージェントの商品企画に取り込んでいただく必要があります。

 また、修学旅行の農家民泊が増加しており、農漁業体験の途中に砂の芸術作品を見せる時間を作って欲しいと願っています。南薩摩地域はこのイベントを活かして、自分の地域への誘引効果をもたらして欲しいと思います。

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 新燃岳噴火が落ち着いた霧島地域は、新緑やミヤマキリシマが美しい時期となります。えびの高原周辺の池めぐりも大いに宣伝しなければなりません。今年は、国立公園「霧島」指定80周年の節目の年です。霧島地域の温泉は、泉質や色など多種多様な湯が湧出する日本屈指の温泉郷であり、温泉の魅力を前面にPRが必要です。

 連泊を可能とするには、宿泊地周辺の市町村との連携が欠かせません。特に「悠久の森」や「桐原の滝」、「溝ノ口洞穴」、「関之尾滝」等曽於市、都城市との連携が欠かせません。翌日の行程を宿泊客に具体的に説明できるように、職員に対して日頃からの研修等が必要ではないでしょうか。一方韓国の人にはオルレのコースが人気となっています。

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 海外路線が4つに増えて外国人の誘客が一段と便利になりました。3月30日から就航した香港路線は、予約状況が好調であり、これから1年先まである程度の集客が期待されます。FITが増える中で、レンタカーやレストランの外国語対応、鹿児島らしい体験メニュー等受入態勢の整備が求められます。

 ゴールデンウイークから急激に増えるのが、屋久島への登山客です。縄文杉や宮之浦岳への登山が多くなり、宿泊施設は、ホテルや旅館だけでなく、民宿までいっぱいとなりテントでキャンプする人が増加します。決められた場所でのキャンプ、また、トイレのし尿処理問題も決められたルールを徹底して守って欲しいと思います。旅行エージェントの皆さまにも、来島者に対して屋久島登山の注意事項を徹底してもらいたいと思います。

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 今旅行先として注目されるのが大隅地域です。お薦めのスポットを紹介します。 岬までの取り付け道路が無料化された佐多岬は、昨年10月の無料化以来観光客が増加しています。九州本土最南端の岬が整備され、かつての賑わいが戻りつつあります。晴れた日の展望は絶差に尽くしがたい景観が広がります。開聞岳、種子島、屋久島、硫黄島を洋上はるかに望めます。


 南大隅町の雄川の滝や諏訪神社、パノラマパーク西原台などの景勝地も一緒に回ることをお薦めします。また錦江町の「神川の大滝」、「花瀬公園」はこれから川岸の緑が一段と鮮やかになり、見ごろを迎えます。

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 海上自衛隊鹿屋航空基地では、「エアーメモリアルinかのや2014」が開催されます。南九州最大のイベントであり、今年は基地内見学ツアーも新たに開かれます。史料館の庭に展示されている飛行機の数々は、子供たちにとって最高の思い出づくりになるのではないでしょうか。

 おりしも、鹿屋航空基地が登場する映画「永遠の0」がヒット中であり、過去最高の人出が予想されます。会場周辺での地域産品の展示販売の強化が求められます。

 近くにある「かのやばら園」では8haの敷地に5万本のばらが植栽されており、6月1日までばら祭りが開催されます。出口にあるショップが混雑するため、見学の途中に中でお土産品を買える施設の設置が不可欠です。

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 また、宇宙基地のある肝付町の内之浦では、4月12日から5月4日まで「春のえっがね丼祭り」が開催されます。全店統一の価格2,500円で販売されます。宇宙基地見学と一緒に地元で獲れた新鮮なえびを堪能してください。錦江湾側から田代~内之浦と抜ける国道448号は、景観が素晴らしく県内一のドライブコースと思います。

 ところで、ゴールデンウイークの宿泊客の主流は近隣の客で、しかも家族旅行等は出足が遅い傾向にあります。メディア等でゴールデンウイークの人出の予想やイベント情報等が発表されると、急に予約が増えるなどこれから動きが活発となります。タウン誌や大型商業施設等で県内の人たちへの情報発信を強化してもらいたい。

 宿泊施設では空き情報を前広に把握して料金体系を換えるなど、臨機応変の対応が望まれます。特に4月後半の需要が鈍いと捉えておく必要があります。 国民が楽しみにしているゴールデンウィークまで1カ月余り、準備怠りなく需要を吸収できる態勢づくりが望まれます。

No.305 環境にやさしい宿泊者に~日本型宿泊スタイルからの脱皮を~

2014年3月31日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 春休みに入り、若い観光客の姿が目に付くようになりました。卒業旅行でパワースポットや、露天風呂巡りなどを楽しんでいるのではないでしょうか。 鹿児島県は南北600キロに及び、鹿児島市から大阪市までの距離に相当します。


 大分県に次ぐ第2位の泉源数があり、多彩な泉質を含む温泉地が点在しています。また屋久島の世界自然遺産や、二つのロケット基地は他県にない魅力です。近代化日本の礎を築いた偉人を多く輩出し、歴史遺産も鹿児島市内を中心に整備されており、まち歩きなどにも最適です。

多様な生態系が見られる奄美群島は、2016年度「奄美・琉球」として世界自然遺産を目指しています。近代化遺産群と奄美が世界遺産に登録されると、飛躍的に観光客が伸びると思われます。

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 平成25年、鹿児島県における宿泊客数は703万人で、前年比102.3%の伸びとなり、観光客の約80%が鹿児島市、指宿地域、霧島地域に宿泊しています。(暫定値) 宿泊観光客の増加に伴い、ゴミ処理、汚水対策、ペットポトル、空き缶対策など宿泊客が残した廃棄物の処理に、各自治体は多額の費用がかかり、その対策に頭を悩ましているのも事実です。観光客が滞在する宿泊箇所での環境対策が今必要になってきています。

 欧米系の観光客は、小さいころから環境への対応をきちんと学びその習慣が定着しており、自然の大切さや環境に負荷を与えない行動ができていると感じます。一方日本人の宿泊パターンは、非日常を求めて、過度の快適さと利便性を追い求める宿泊スタイルになっており、環境に負荷を与えているように感じます。また、宿泊施設の過度のサービスが、環境悪化を招いているようにも感じます。

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 エコホテルの定着を目指している施設が多くなっているのも事実ですが、宿泊者と事業者が環境を守るという同じ考え方に立ち、実現可能な項目から着手する必要に迫られています。2005年には京都議定書が締結され、日本も本格的に環境対策に力を注いでいます。これから東アジアからの観光が急激に伸びることが予想されることから、環境対策を徹底していくことの重要性が問われています。

 宿泊者とそれを受け入れる施設の実情や、100ルームの部屋を持つホテルの支配人から聞き取り調査等を行い課題について整理しました。

1.宿泊者がもたらす環境問題については、
 ・宿泊者は平均して、滞在中に2回以上入浴し、泡立ちの良いシャンプーやリンス等を大量に使用し、化粧品、ヘアケア、歯磨きなど化学物質を含んだものを水と一緒に流す。大浴場で月平均63リットルのシャンプーが使用される。
 ・一人平均3枚以上のタオルを使用し使用後の洗濯に使う洗剤も膨大となる。
 ・夕食、朝食は平均して20%程度を残し、残飯として処理される。食後の使用済皿は、 洗浄に多量の洗剤が必要になる。
 ・使い捨ての歯ブラシや、煙草の吸殻、飲み食いの残飯処理に時間がかかる。チェックアウト後1晩で約20袋のゴミが収集される。
 ・宴会中のクーラー、電気のつけっぱなしが多く見られる。
 ・貸切バスやマイカー利用者が到着時に大量のゴミを持ちこむ。
  等が施設の抱える環境問題です。

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2.環境に負荷を与えない取組としては
 ・化学物室を含まない石鹸の提供も必要である。
 ・連泊のお客様にはタオル、シーツの連続使用をお願いし理解してもらう。
 ・生ごみは肥料や飼料にして再利用を考える。
 ・宿泊者への啓蒙運動を推進する。(環境への取組の理解、水や電気はまめに消す)

3.宿泊者への理解を深める方策としては
 ・分別収集のお願いをする。連泊においてはタオル、シーツは連続使用とする。
 ・宴会等部屋不在時の電気を消すことを了解してもらう。
 ・洗面道具(歯ブラシ、洗髪用のグッズ等)はフロントに置き、必要な方のみ渡す。

4.地域・業界の取組としては
 ・環境問題は一施設だけで取組んでも限界がある。地域全体で取り組むことに意義がある。実現可能なものから宿泊者、従業員の理解の元にすすめる必要があります。
 ・宿泊施設は、夕方のチェックインから翌朝まで安心して滞在できるよう常に警備等に配慮しています。また2度の食事の提供、片づけ、布団敷など重労働です。それに対する対価としての宿泊代があまりに安く設定されているように感じます。双方が満足できる料金体系が必要であり、そのことで環境対策にも取り組むことができます。

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 交流人口の拡大が不可欠な今、経済効果を追求すれば、消費の拡大を促し環境問題が惹起されることは当然です。従来日本人の宿泊スタイルは顧客の要望に応じて、過度のサービスを提供してきたと感じます。そのことがゴミ問題や水の汚染、有害物質の氾濫などが生活や健康に悪影響を与えています。

 余暇活動を享受できることは、素晴らしいことであり、周りの環境に配慮した行動が 求められる時代になってきたのではないでしょうか。自然と地域住民、観光客が共生で きる環境づくりが必要であると感じます。

No.304 ムスリム市場への取組~相手の慣習を理解することから~

2014年3月24日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 2013年の訪日外国人は、過去最高の1,036万4千人となり、前年比24.0%の伸びとなりました。中でも東南アジアからの訪日外国人が急増しています。主な要因として査証免除や緩和、経済発展に伴う中間層の増大、LCCの就航、円安による日本への旅行の割安感があげられます。

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 先日インドネシアの高校生12名が鹿児島を訪れて、垂水市での民泊や垂水漁協のいけすの餌やり体験などを楽しみました。今後の波及効果が楽しみです。インドネシアはムスリム(イスラム教信者)が人口の87%をこえており、約2億700万人に及びます。ムスリム市場は拡大しており、2010年の統計では、世界で約16億人の人口を占めています。

 ムスリムが多いインドネシア、マレーシア、シンガポールからの2013年訪日観光客数は、50万2千人を超え、35%の伸びとなっています。今後も大きな伸びが期待されるムスリムの受け入れに当たって、留意すべき点について述べたいと思います。

 まずムスリムの受け入れに当たっては、宿泊施設などでは礼拝場所の設置が不可欠です。1日5回の礼拝が戒律となっており、男女別に礼拝と小浄ができる清潔な部屋が必要です。部屋には礼拝の方角を示すキブラの設置や、礼拝時に必要な備品の設置も求められます。先日鹿児島空港国際線ターミナルの一角に礼拝場所が設けられました。ムスリムの受け入れの一歩ができたと思います。

 また、ムスリムにはハラール(認証)の食事の提供が求められます。豚肉は厳禁であり、またそれらを原料とした調味料なども口にすることは禁じられています。料理の処理方法によっては、口にできない食事もあり十分な点検が必要です。

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 ムスリムで禁じられているのが、酒を飲むことです。食事の際だけでなく、日常も許されていません。ムスリムにとって、ハラールの食品のみを口にすることは神の教えに忠実に従うこと、すなわち信仰そのものなのです。

 また、イスラム教にはラマダーンと呼ばれるヒジュラ暦の第9月(西暦2014年では6月28日~7月27日にあたる)。この月の日の出から日没まで間、「断食」として食事を立つことが行われ、約1か月間続きます。かつて小生がモロッコを旅した時、ドライバーがラマダーンの期間に入ったら断食を実行していたのを覚えています。

 このようにムスリムの受け入れに当たっては事前に理解しておくべきことが多々あります。取扱旅行社と事前の確認を行うことが必要であり、やたらに不安がるのではなく、日々しっかりと検証していくことが大切です。

 先日、九州観光推進機構が鹿児島市で開催した「おもてなしフォーラムin九州」の分科会で、ムスリムの受け入れについての研修会もありました。福岡にあるムスリム寺院の関係者は、受け入れに当たって神経質になるのではなく、旅行者とのコミニュニケーションを図りながら楽しい旅を提供すことが大切であると語っていました。

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 ムスリム市場はASEAN地域が多く、これからも訪日が一番期待される地域です。 昨年7月1日からのビザ免除の追い風もあり、今年は、インドネシア、シンガポール、マレーシアの3国だけでも70万人を越えるのではないかと想定されます。


 ASEAN諸国の若者は、テレビ、アニメ、漫画、ドラマ、映画等に加えて、桜、紅葉、美しい清流、海等美しい日本の自然景観に憧れを持っています。また、温泉にも関心があります。湯船の中に集団で裸になる習慣がないムスリムの人々には、個室の貸切風呂での温泉の入り方や、効能等について説明する必要があります。

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 世界無形文化遺産に登録された「日本の食」にも関心を示します。鹿児島は「本物。鹿児島県」に代表される豊富な食材があり、ムスリムの観光客には喜ばれるのではないでしょうか。県内を走る観光列車「おれんじ鉄道」、「はやとの風」、「いぶすきの玉手箱」等も売りの一つです。

 ムスリム市場に対して、鹿児島が誇る火山、温泉、ロケット基地、美しい海、「日本式旅館でのおもてなしの姿や食」等を前面に、受入態勢ができるガイドブック等の制作の必要性を感じます。

 現在はASEAN諸国から鹿児島への直行便がなく、当面は上海、台北、ソウル、香港、福岡からの経由便やチャーター便に頼らざるを得ません。

 各県もムスリムの誘致に力を入れてきました。礼拝室の設置、ホテルの部屋にはメッカの方向を示すキブラ(矢印)をつける、ハラール料理の提供等、今後新たな市場としてムスリムの誘致を図るべく、基本的な受け入れ態勢の知識を深めることの大切さを感じます。

No.303 九州本島最南端の町の魅力を活かす ~田舎の景観保護と魅力ある情報発信が課題~

2014年3月17日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 南大隅町は大隅半島の最南端に位置し、西側は錦江湾および東シナ海、東側は太平洋、南側は大隅海峡に囲まれて、佐多岬の近くを北緯31度線が通り、エジプトのカイロと同じ緯度に位置します。旧佐多町と旧根占町が合併した2005年当時の人口は、9,897人でしたが、2014年2月には7,925人と約1000人減少しており、県内で高齢化率が一番進んでいる町です。今後も人口減が続くことが想定されます。

 最南端にある佐多岬という最大の観光地が魅力となり、昭和40~50年代にかけては新婚旅行のメッカとして、年間20万人にのぼる観光客が訪れていましたが、その後観光客は激減して、平成24年は年間38,000人でした。平成25年10月末の佐多岬公園線が無料化されたこともあり、昨年は約69,000人と1.8倍となりました

 南大隅町の景観保護と観光振興について考える「景観セミナー」が開催され、森田町長をはじめ3名の町の有識者、町民を交えて意見を交換する機会に恵まれました。

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 人口と観光客の減少は、地域経済に大きな影響を与えており、観光振興による交流人口 の拡大が求められています。南大隅町には佐多岬をはじめ、パノラマパーク西原台、雄川 の滝など有数の景勝地があり、これらの良好な景観を活かし、来町される方々に対して、 住民が一体となり「おもてなし」を伝えるために,自然・景観(風景)を守り、調和のと れた観光まちづくりをどのように進めていくかを考える機会となりました。

 まず森田町長から、観光振興に対する取組の方向性が示されました。「平成17年3月から、南端まちづくり活動として、地域の小中高校生や一般、老人クラブの皆様方が中心となって、毎月第3土曜日に清掃活動をするなど、継続的な取組がなされている。

 また、平成25年から「花いっぱい活動」を庁舎各課、ボランティア団体「ハイビスカス」のグループが島泊から大泊までの県道区間において、花壇等ハイビスカスなどの花の植栽を実施している。先進地視察として、花いっぱい運動を進めている長島町を訪れて研修し、地域の景観形成に活かしている」ことなどが報告されました。

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 パネラーの方からは、町の海・山・川の観光資源はすばらしいが、その魅力を十分活かし切れないでいる。また、南大隅町の住民が自分の町の良さを知らない実態などについて、地域資源を守り景観を活かしたまちづくりには,人が重要であるという考え方を強調されました。リーダーとなる人材育成が急務であると。また、景観を活かすには、南大隅町のオリジナルとしての看板、街路灯、カラー歩道など、統一性を持たせることが必要である。

 新しい箱ものは必要ない。今ある田舎の有様を大切にし「おもてなし」を伝えて行くこ とが重要である。人の連携が第一であり、異年齢との交流の場を増やすことで、伝統芸能、伝統文化を伝えていくことにつながる。

 観光客を呼ぶには、観光資源である海・山・川の自然を活用したイベントの開催(ソフ ト)事業がもっと必要であると。「ドラゴンフェスティバル」は地域住民含めて国内外から2万人の参加者があり、大隅地域を代表するイベントに成長している。イベント開催時は周辺市町村までの宿泊効果が出ている。

 そして、町に来てくれてありがとうと思う「おもてなしの心」も芽生えつつあり、行政・住民・関係団体との連携や食や女性の心をつかむ商品づくりが必要である」との意見も出されました。

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 今後の南大隅町の観光に求められるものについて考え方を述べたいと思います。まず観光客誘致には地域の生活文化、歴史遺産等を四季折々の魅力とともに情報発信することが求められます。季節の移ろいを感じる旬の情報が必要です。


 最南端にある御崎神社では、神輿が集落を巡るという伝統的祭りが行われ、中央からのメディア取材もありました。日本で最古の通貨である通貨の和同開珎(708年)の開基である神社で、現在では縁結びの神として、訪れる恋人たちが願かけをしています。

 また、諏訪神社の二重の鳥居は珍しく、この対になっている鳥居が縁結びにとても御利益があると言われています。左から入って右の鳥居から出る習わしです。2つの神社をパワースポットとして売り出すのも効果があると思います。

 最近話題の「雄川の滝」や小生が県下一の絶景地と自認する「パノラマパーク西原台」は、遊歩道や頂上までのアクセスの整備が不可欠ですが、行政サイドですでに検討されていることはありがたいことです。自然景観が素晴らしく見過ごしできない観光地です。 

 「最南端」というロゴを活用した観光客誘致もおもしろいと思います。町内にある郵便局、学校、幼稚園、神社、お寺、銀行、食堂、漁協、農協、商店など「本土最南端○○○」と表示することで、そこを目指して観光客が訪れます。

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 これからの観光振興には地域連携が大切です。「鹿屋航空基地史料館」、「かのやばら園」、「内之浦宇宙空間観測所」、「花瀬公園」、「神川の大滝」等に来た観光客を誘客する必要があります。各自治体のパンフレットにはぜひ近隣の町の名所を掲載して欲しいものです。

 港の近くにあるネッピー館は、高校生、大学生のスポーツ合宿への活用方が求められます。特に町内に全国に数少ない自転車競技練習場を持つことから、信号機の少ない道路を活用したイベントを積極的に誘致する必要があります。

 ところで、山川・根占を結ぶフェリーの再開は指宿地域からの誘客を可能にしました。指宿地域には鹿児島に宿泊する観光客の約20%が宿泊しています。日帰りの旅としては、最適の地です。根占港から佐多岬までのシャトルバスの運行やレンタカーの設置が欠かせません。

 また、観光地の魅力は地域ならではの食です。獲れたての魚や農産物を活用した地域グルメの開発やお土産品の開発も求められます。そのことが地域に経済的効果をもたらします。

 最後に景観保護の必要性について述べたいと思います。良好な景観は、地域の個性(魅力)を伸ばすことにつながります。地域の自然・歴史・文化等と人々の生活、経済活動との共生が重要になってきます。農村景観・自然景観を守ることが大切です。特に棚田、川、畑、池、石垣、渓谷、港、滝、夕日のスポット等は点検が必要です。

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 また、古い町並み、路地は、日本の伝統を醸し出す重要な要素となります。古い街並みの保存や大規模な土地利用の転換を図る再開発事業では、既存の地区をどのように整備するかが課題です。美しい農村景観や水路を守り、電柱の地中化を図るなど、日本の原風景を大切にしてほしいと思います。川の生物が住める環境を確保し、堤防はできるだけ石積みにする等の配慮が必要です。

 田舎の「道」は貴重な観光資源であり、街道沿いの竹藪、雑木を伐採し景観を保ち、駐 車場の整備、花を植栽、案内板を統一した形、色とすることで調和が保てます。ガードレールや橋の色、形に配慮が必要です。山や川、道路は多くの自治体をつなぐパイプであり、景観形成には周辺の市町村が統一して取組まないと進展しないと思います。

 最後に最南端の町のオンリーワンの魅力や旬の情報をいかに楽しく情報発信するかです。歴史的遺産はストーリー性を持たせることが重要です。南九州市の「釜蓋神社」は、釜の蓋をかぶって参拝する姿が、「ナニコレ珍百景」で放映され、その後エージェントの商品企画に組み入れられ今では、年間20万人を超える観光客が訪れます。

 最南端の町には、大きな看板、旗、幟、原色の屋根等は似合いません。道路沿いの四季の草花や、錦江湾に映える幻想的な夕陽、観光客に手を振り、頭を下げる姿に観光客は感動します。童謡や唱歌に歌われた日本の原風景が、南大隅町にはいたるところに残っています。新婚旅行で訪れた世代は、現役を退き今国内旅行の最大のターゲット客です。 最南端という不利性を、逆にプラスと捉え、優位性に変える取組を展開したいという思いにかられたセミナーでした。

No.302 島立ちは新造船にのって~ウミネコがあなたの来島を歓迎します~

2014年3月10日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 薩摩川内市の西約30キロの東シナ海に浮かぶ島が甑島で、上甑島、中甑島、下甑島と縦に3つの島が連なり、奇岩と断崖が海にせまり、釣り人のメッカとして人気があります。


 その甑島に川内港から上甑島・里港―下甑島・長浜港を結ぶ高速船が4月2日から就航します。甑島商船が運行する「高速船甑島」は、全長45・7メートル、幅7メートル、総トン数199トンで定員は200名となっています。

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 JR九州の「はやとの風」、「指宿のたまて箱」、「ななつ星in九州」等の観光列車を設計された、水戸岡鋭治さんが手掛けたものです。新幹線の川内駅から港までの電気バスや、港の待合所も水戸岡さんのデザインです。船体は白を基調に、内装は「ななつ星in九州」でもファンを唸らせたウッドが使われており、乗船客に新たな驚きと感動を与えるのではないでしょうか。

 甑島へは現在串木野港から船が出ていますが、高速船は川内港からとなり、従来のシーホークに代わって新高速船に代わることになります。30日には市民400人の体験試乗会も予定されています。新幹線とのアクセスが便利になることから、観光客が増加することが想定されています。

 島には一般の宿泊施設が少ないことや島内のアクセスに課題がありますが、民宿や観光施設の従業員を対象におもてなしの研修会や、またコミュニティバスの活用を図る等受入体制の整備にも努めています。

 甑島は四方を海に囲まれているため、良い漁場に恵まれ太公望が訪れます。きびなごをはじめ、赤イカ、石鯛、シマアジ、タカエビ等が獲れ、豊富な海の幸が宿泊施設で味会うことができます。

長目の浜.jpg

 自然が作り出した甑島の地形は、地学の教科書に登場する生きた教材となります。沿岸流と波の作用で海底の砂礫が水面上に現れた細長い地形のトンボロ上に、里地区の集落が形成されています。砂州の内海にできた池はナマコ池と呼ばれ、「長目の浜」から全長4キロにも及ぶ景観が望めます。

 荒波に削られた鹿島断崖には、奇岩、巨石が多く遊覧船で近づくことができます。下甑の瀬々野浦の海上に突き出た高さ127mの奇岩(通称ナポレオン岩と呼ばれる)は、自然が造り出した芸術品です。

 下甑島では恐竜の化石が発見され、化石の島とも呼ばれています。大学生のゼミ旅行や教育旅行の体験場所として最適の環境が整っています。 また、手打集落の入江に沿って武家屋敷通りが700メートルも続き、積み上げられた玉石群に、きれいに刈り込まれた木々の並木が調和し、落ち着いた雰囲気を醸し出しています。

ウミネコ.jpg

 甑島にはウミネコが住み着いており、漁船に乗っての餌付け体験が5月~6月頃にかけて楽しめます。餌をめがけて集まる300~500羽のウミネコは圧巻です。上陸したら海岸で海鮮バーベキューも甑島ならではのツアーです。6月になると、ニシノハマカンゾウが黄色い花をつけ、続いて薩摩川内市の花となっているカノコユリが、鹿島断崖の一帯の草原を薄紅色に染めます。

 ところで、甑島島内には高校がないため、中学生は卒業と同時に島から旅立っていきます。これを甑島では「15の島立ち」といい、子どもたちを励ます会を開いて見送ります。また、三年生になると、自らの手で芋を植え、その芋でできた焼酎が『島立ち』と名付けられ、年間数百本しか製造されない幻の焼酎となっています。

島立ち.jpg

 一升瓶を封印する小さなラベルには、中国の唐の時代の詩人・王維が友人の旅立ち送る「元二の安西に使するを送る」の詩の一節、『勧君更盡一杯酒(君に勧む更に盡くせ一杯の酒を)』が書かれています。卒業生が5年後二十歳になって帰ってきたときに最初に飲むのがその時の芋で作った焼酎『島立ち』です。


 甑島にはこのような心温まる絆が受け継がれています。ふるさとを忘れない心が自然に育っていくのではないでしょうか。辛いとき、悲しいとき島のことを忘れずがんばって欲しいと願わずにはいられません。

 甑島を舞台にした「島立ちの春」という曲がありますが、里港の乗降場の正面に次の詩が刻まれた歌碑が建立されています。子供を送り出すさびしい気持ちと、将来へ夢を託す 親の愛情が心にしみる歌詞です。

     俺も十五で島立ちしたが 倅(せがれ)もこの春 島を立つ
             海は広いが、世間も広い デッカイ男になって来い
                    笑顔がかわいいヨオー  嫁でもつれて来い

 今年は新造船で子供たちは島を旅立っていくのではないでしょうか。

 鹿児島県旅行業協同組合が主催している「魅旅」では、甑島のコースが県民にも人気となっていますが、九州新幹線全線開通後、関西方面から島を訪れる観光客が増えています。県の大阪事務所に出向している薩摩川内市の職員の地道な営業努力が、エージェントの商品企画に反映されています。

 薩摩川内市と隣接するいちき串木野市の羽島に、7月20日「薩摩藩英国留学生記念館」がオープンします。一緒にPRすることで地域への誘客効果が高まります。 藺牟田瀬戸架橋が平成29年完成(予定)すると島はひとつに結ばれ、1日で観光巡りが可能となり、多くの観光客が訪れものと期待がかかります。

ナポレオン岩.jpg

 「長目の浜」、「鹿島断崖」、「鹿の子大橋」、「瀬尾の観音三滝」、「武家屋敷通り」等の名勝や「Dr.コトーのモデルの医師」、「孤島の野犬」等の舞台となった甑島を新造船でぜひおたずね下さい。船が鹿島の沖に近づくと、ウミネコが船の周辺を飛び回りあなたの来島を歓迎してくれるでしょう。

No.301 小説の舞台や、童謡・唱歌に歌われた景観とは ~美しい日本の原風景を大切に~

2014年3月3日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

道がつづら折りになって、いよいよ天城峠に近づいたと思う頃、雨脚が杉の密林を白く染めながら、すさまじい早さで麓から私を追って来た。
                ~川端康成『伊豆の踊子』から

 上記の文章は、ノーベル文学賞を受賞した川端康成の「伊豆の踊子」の冒頭の文です。何回読んでも素晴らしい文章です。川端康成は、「上海」や「旅愁」の著で知られる横光利一と並んで、新感覚派を代表する作家の一人です。「伊豆の踊子」や「雪国」は、過去何回も映画化され、小説の舞台となった伊豆の湯ヶ島や下田、越後湯沢温泉等はロケ地として有名になりました。

 伊豆の天城峠を訪ねると、苔の生えた石造りの天城トンネルやスギ林に囲まれた坂道が続き、小説の舞台がそのままあり、川端康成が愛してやまなかった伊豆の魅力を醸し出しています。

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 ところで、童謡や唱歌は、日本の美しい田園風景や四季の移ろいが詩となり、それにメロディが付けられ、子供のころから口ずさんでいる歌が多いのではないでしょうか。「故郷」、「春の小川」、「夏の思い出」、「赤とんぼ」等美しい日本の四季が浮かび上がります。

 小学生のころ音楽が苦手で、いつも口をもごもごして声を出さないでいると、先生に叱られた記憶や、中学生になり声の変性期と重なり「椰子の実」の歌を男子生徒が歌わず、音楽の先生を泣かしたのを覚えています。

 今ではその頃のやんちゃな頃を忘れて、日本の美しい情景が唱歌と一緒に流れると、菜の花やレンゲ畑の畔道を、ミツバチを追いながら自転車で中学校に通った頃を思い出します。「メダカ」や「うなぎ」が泳ぐ小川が校庭の隅を流ており、美しい田舎の原風景がそこにはありました。

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 国語学者金田一春彦氏は、ある式典で同席された美智子皇后様から、「私が好きな唱歌は『朧月夜』と・・・・『冬景色』です」とお聞きして、自分と同じ曲であるとポンとひざを打ちたかったという。二つの曲は、春と冬の日本の自然の情景が美しく描かれ、目の前に出てくるような錯覚を覚える素晴らしい曲です。

 奈良時代に編纂された「万葉集」やその後の「古今和歌集」、「新古今和歌集」には、美しい四季の歌がありますが、自然現象に託して故郷への想いや恋心を伝えています。

 日本は四季がはっきりし、気候の変化は美味しい農水産物をも生み育てます。穀物やくだもの、野菜、近海の豊饒な海では、タイやアジ、キスなどが獲れます。山林や火山が多い地形は、美味しい水が湧きでるという恵みをもたらしています。また、冬は赤い椿が白い雪に映え、春になると桜前線が日本列島を縦断し、夏は朝顔やひまわりが咲き、秋になると野山は紅葉し、色とりどりの景観が列島を南下します。

 桜や紅葉の美しさは日本人だけでなく、多くの外国人の心をひきつけます。外国人は桜や紅葉の美しさに憧れて日本を訪れます。訪日外国人が1000万人を超えた今、鹿児島が持つ自然の美しさ、温泉、食、おもてなしの心を持って誘客に努めなければなりません。

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 鹿児島では「郷中教育」、「日新公のいろは歌」、「出水兵児修養掟」など、人として生きる心構えを教えており、薩摩の偉人が育つ環境づくりに役立ったと感じます。 子供のころから、古里の美しい田園風景や、歴史、祭り等を学ぶ機会を増やして行かねばなりません。そのことが故郷を愛する心を育むことにつながります。

 また、日本の伝統的生活や文化、歴史、美しい自然が歌われている、童謡・唱歌の舞台を訪ねるのも旅の楽しみではないでしょうか。

 鹿児島にはいたるところに、日本の原風景が残されています。白砂青松の海岸、レンゲソウの美しい畑、田植えの後のきれいに水を張った棚田、整然と植えられた杉林、石を積み重ねて造られた段々畑等人々の知恵が生きています。

 都市周辺部では、開発が進み昔フナやコイが泳いでいた小川は、コンクリートの蓋で隠れて見る影もありません。滝廉太郎が作曲した「花」では、当時の隅田川は次のように表現されています。

桜(ふんわり).jpg

春のうららの隅田川 上り下りの舟人が 
櫂(かい)のしずくも 花と散る
ながめを何に たとふべき
見ずやあけぼの 露浴びて われにもの言ふ 桜木を
見ずや夕ぐれ 手をのべて
われさしまねく 青柳(あおやぎ)を

 明治時代の隅田川は清流の川でした。われわれは、美しい日本の原風景をいつまでも残していくことが求められています。そのことが、外国人にも支持される国になるのではないでしょうか。

No.300 これからの鹿児島の観光に求められるものとは~インバウンドやMICEへの取組強化を~

2014年2月24日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

          岩ばしる 垂水の上の さわらびの
             もえいずる春に なりにけるかも
                           志貴王子~万葉集~

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 一雨ごとの温かさにひがん桜が満開となり、メジロの鳴き声が一段と美しい音色に変わってきました。3年前の3月12日、九州新幹線が全線開業し、「みずほ600号」が多くの人々の万歳の声に送られて新大阪駅にむかった姿が、鮮明によみがえります。東日本大震災直後で人の動きが懸念されましたが、その年のゴールデンウイーク以降急速に回復してきました。

 ここ3年間の宿泊客数は、何とか前年を超えて推移しています。2018年が明治維新150周年に当たることから、これから5年間関連する行事が予定されており、新しい情報を提供して誘客を図らねばなりません。

 今後の鹿児島の観光にとっての課題を整理したいと思います。 日本人の人口が減少していくことから、国内旅行の大きな伸びは期待できず、各地域と も外国人の誘客が課題となっています。平成25年、県内の外国人宿泊客数は、約14万人で全体の4%程度に過ぎませんが、年々増加の傾向にあります。昨年日本への外国人の入り込み客数は、待望の1000万人を越え、東アジアを中心にタイやシンガポール、マレーシアなどASEAN諸国からの伸びが顕著となっています。(25年観光動向調査<サンプル調査>)

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 鹿児島県におけるインバウンドの実績は、台湾、韓国、香港、中国の順となっています。3月30日から香港便が就航し、海外が4路線となり、今後大幅な伸びが期待されます。先日JNTOのシンガポール事務所の加藤次長をお招きし「外国人観光客受入体制推進講習会」を開催しました。

 インバウンドに対する受入施設の関心も高まっています。各施設では多言語のホームページが必要になっていますが、少なくとも英語だけでも対応できるように準備を進めて欲しいと思います。

 海外からの誘客は、現地エージェントやランドオペレーターを介する場合が多くありますが、最近はインターネットで直接予約する人が急増しています。FITが主流となっており、ブロガー対策として有力メディアの招聘、鹿児島でのWiFiや外国語表記の充実が求められます。ミッションのあり方について再検討の必要性を感じます。

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 東日本大震災被災地での日本人の整然とした行動や支援の姿に、外国人は日本人のモラルの高さに驚嘆の声をあげました。また昨年日本食がユネスコの世界無形遺産に登録され、日本への旅行の関心が高まっており、今後のインバウンドに期待がかかります。 路線が増え、鹿児島からの海外旅行も身近なものとなり、若いうちから海外の文化を学ぶべく、修学旅行や少年の翼等研修の機会を増やすことが大切ではないかと思います。

 個人旅行が7割を占める中で、団体の集客が見込めるMICEへの取組強化が求められます。MICEのM(Meeting)はミーティングです。企業や団体が主催する各種の会議やセミナー、講演会などの開催は数日に及ぶこともあり、宿泊費や飲食代など経済的な効果も大きくなります。経済セミナーや著名人によるスキルアップ研修など、教育の機会として捉え多くの会議を誘致すべきです。

 I(Incentive)は、インセンティブです。企業が従業員や代理店等の売上や貢献度に応じて、実施する報奨旅行です。旅費、パーティ、ゴルフ等現地で消費される金額は大きく、数千名を超す規模のものもあります。車のディラー、外資系の保険会社、化粧品会社、女性の服飾チェーン等が定期的に実施しており、大型のリゾートホテルやゴルフ場が隣接していることは、誘致が可能となります。福岡市内での大会、会議の後のインセンティブの行き先として、鹿児島を提案しており、エージェントへのセールスを強化しています。

 C(Convention)は、コンベンションです。学術団体や業界団体の会議、国際会議と様々です。大都市圏では国際会議の誘致に力を注いでいます。昨年鹿児島市で開催された世界火山会議などがその例です。医学部系の大学がある都市では、各種の病理の研究学会が、また、経済関連の業種別大会、ロータリー、ライオンズクラブ等の組織団体、教育関連では、校長会、PTA、各教科等は、九州、全国大会が持ち回りで毎年必ず開かれています。  県都だけではなく地方での大会誘致が必要です。

 E(Exhibition / Event)は、エキシビションとイベントです。エキシビションは、出展者と来場者の商談を目的とした展示見本市や、数ヶ月に渡って開催されるエキスポや花の博覧会等があります。2011年県内各地で開かれた「都市緑化フェア」は成功事例です。

 イベントは全国規模のスポーツ大会があり、国体、インターハイ、各種競技、文化団体では、合唱コンクール、吹奏楽や来年開かれる「国民文化祭」等があり、大きな集客力が見込め、観光資源としては多くの人を集めるコンテンツにもなります。  指宿の「菜の花マラソン」や「菜の花マーチ」は、毎年2万人近くが集まる大会となっています。また、地域興しの手法として、地域の食材を活用した「Show ― 1グランプリ」など食のイベントも集客効果が見込めます。

 MICEは、広い分野に経済効果をもたらします。料飲、宿泊、輸送機関といった観光業者だけでなく、広告、印刷等イベント関連業者への波及効果がも大きくなります。現在、県内で開催されるMICEの多くは鹿児島市内に集中していますが、規模や業種によっては、指宿、霧島、鹿屋、薩摩川内市などで開催することも一つの方策です。 

 また、鹿児島の優位性を活かした自然遺産や宇宙科学等、離島で開催するのも参加者が増える要素にもなります。参加者が、大会後県内各地に足を運ぶことから、地域に関する情報発信がなされることも大きなPR効果をもたらします。鹿児島県は九州本島最南端にあり、温泉、食、火山、自然遺産、離島、歴史、宇宙科学等MICEの誘致には、魅力的な観光、研究素材が豊富です。積極的な誘致が求められます。

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 比較的順調に伸びている教育旅行の課題です。関西・中国地域から27年は集約臨時列車で7,000人の中学生が訪れます。農業・漁業体験を実施する学校が増加し、知覧の平和学習、桜島や霧島の火山・自然学習、鹿児島市の歴史探訪等が、優位性を発揮しています。

 県内全域に、約1000軒の農家民泊の供給が広がる中で、「簡易宿所営業」許可を取得している施設は15%程度にすぎず、学校側から「簡易宿所営業」取得が民泊先の条件として提示されると、鹿児島は、教育旅行の行先からはずされてしまい、既存の宿泊施設にも影響が及びます。

 他県では「簡易宿所営業」の許可を取る施設が増えており、ぜひ各地域でこの問題に取組むことが必須となっています。各自治体、NPO法人、エージェントと連携し早期の取組が望まれます。そのことが安定的に鹿児島へ教育旅行を誘致できる条件となります。

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 2015年には「明治日本の産業革命遺産 九州・山口及び関連地域」が、世界文化遺産に正式登録の準備が進められており、そのリストに「近代化産業遺産」の5箇所が入っています。明治維新150年周年と文化遺産の価値をセットでPRしなければなりません。そのことが近代日本を創りあげた薩摩の偉大さを世に示すこととなり、観光客誘致につながります。

 また、スポーツツーリズムの推進も急がれます。2020年には、東京オリンピックとパラリンピックの開催が決定しており、事前キャンプ誘致等もスタートします。特にバリアフリーに整備の重点を置き、他県との差別化を図ることが誘致のプラス効果をもたらします。

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 鹿児島県は南北600キロに及び魅力多彩な観光資源があります。「鹿児島市」、「霧島地域」、「指宿地域」から、いかに宿泊先を広げるかが問われています。今年は、ここ数年で一番厳しい1年になると想定しており、スピード感をもって諸課題に取り組まねばなりません。 


 最後に、今回のコラムが300回目となりました。これまでの叱咤激励に心から感謝申し上げます。これからも引き続き手厳しい批判をお寄せいただきますようよろしくお願いいたします。

          いにしへの 道を聞いても 唱えても
               わが行いに せすばかひなし
                          日新公(島津忠良) ~いろは歌~

地域情報を顧客にいかに届けるか~インターネット利用者80%時代を迎えて~

2014年2月17日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 先日、福岡市内のホテルにエージェント・マスコミ等70名を招き、県内19の自治体・関係団体によるランチミーティングを開催しました。各地域の新しい情報や商品企画の素材を提供し、鹿児島から持ち寄った食材のPRも行いました。


 今年の鹿児島の話題としては、4月2日に川内港から甑島へ、JR九州の観光列車生みの親である水戸岡鋭冶さんが設計された「高速船の運航」、7月20日にいちき串木野市羽島に「薩摩藩英国留学生記念館」のオープン、南さつま市では、5月2日から30日まで延長された「砂の祭典」の開催等が上げられます。

 また、2018年の明治維新150周年に向けた取組や、今後「旧集成館」事業等の世界文化遺産や「奄美・琉球」の世界自然遺産登録への話題等も提供しました。 エージェントのこれからの商品に反映されるものと思います。

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 県と観光連盟では毎年県内の自治体に呼びかけて、共同でエージェントへの説明会を開催してきました。関係者が一堂に会することから経費的にも安く上がり効果も大きいと判断しています。個人情報の管理が厳しくなり、個々によるエージェントの訪問も限られてきています。特にエージェントの企画担当者が集まることから、個別商談方式を行っており、人間関係作りにも役立ちその後のセールスやプレゼンがしやすくなります。

 各自治体の商品企画支援策については、エージェントは宣伝費用の補填や継続して商品を造ることができ重宝がられます。又全国的に販売する商品は半年先の情報が必要であり、担当者間の連携を図ることも大切と考えています。

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 ところで自治体や観光協会が、地域の宣伝をする手法として、○○大使を帯同し大都市圏の地下街等でパンフレットや名産品を通行人に配るなどしてPRするケースを見かけます。通行人がどっと押し寄せ、たちまちのうちに配布物がなくなります。関係者はパンフレットが何万部配布できたと喜んでいます。しかしその効果の程はどうでしょうか。地下街のトイレやくず箱に、パンフレットが捨てられていることがよくあります。

 単に景品もらいに集まり、何回も並ぶ人を見かけます。来訪につながるプレゼンが必要であり、地域の売りは何なのか、来訪したらどのような楽しみ方があるのか、周辺のアクセス等の説明が必要です。施設の割引クーポンや現地でしか入手できない特産品の購入抽選券等を配ることなども求められます。

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 せっかく○○大使等を連れて行くのであれば、マスコミ等を訪問して情報番組に出演し、地域の旬の情報をきちんと伝え、応募していただいた方に抽選で、宿泊券や特産品をプレゼントするなどその後の検証ができる方法が重要と考えます。


 消費者は、旅行先や宿泊施設の決定について何を参考にしているか、日本観光振興協会が毎年調査しているデータでみると、インターネットの活用、ガイドブック、パンフレットの情報、家族・友人の話と続いています。多くの資料を集めて、旅行に行って体験した人の口コミが最後の一押しとなっているように感じます。おもてなしの充実など旅先の印象が重要な要素となっています。

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 今インターネットによる情報収は当たり前となり、しかも家庭での活用が顕著となっています。総務省の調査によると、日本人の79.5%に当たる約9,652万人が、13歳~49歳では90%の人インターネットを活用しており、家庭での利用が1位となっています。

 24時間いつでも利用できることから、観光情報等の入手については自治体や観光協会、施設等のホームページが有効な情報源となっています。 シームレスにワンストップで検索できるホームページの充実が求められており、多言語化は必須になっています。 

 自治体の観光パンフレットは地域情報を網羅するため、多岐にわたりしかも多くのページを用いています。祭り、イベント、旬の花、食、紅葉等は、タイムリーにホームページで詳しく紹介していくことが重要です。特に歴史や地域文化を訪ねる人に対しては、カルチャーセンター、文化講座、生きがい大学など、趣味の団体に情報を発信することが効果をもたらすと思います。

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 また、自治体のパンフレットはわが町だけの位置を掲載しているものを多く見かけますが、県の中のどの位置にわが町があるのか、また、隣接する著名な市町村を一緒に示すことが不可欠です。最近高校の社会科の授業では地理を選択しない学校が増え、各県の位置がわからない学生が多いと、観光学部のある大学の先生が嘆いていました。初めて訪れる人にも市町村の位置を把握できるようにすることが大切です。

 エージェントの社員も添乗を経験することが少なく、現地事情に疎くなりがちです。企画や店頭社員の現地研修も欠かせません。海外からの誘客については、キーマンの招聘が求められます。

 一方観光客は、遠方から来る人ほど広域に回ります。自治体の宣伝は、広域の観光協議会を組織して活動することで効果があると思います。九州観光推進機構は定期的に大都市圏で、「九州は一つ」の合言葉で広域の宣伝活動を展開しており、一定の効果をあげています。大都市圏での知名度は、「北海道」、「沖縄」が圧倒的であり、まず九州を売り込み、その後は各県が競争して誘客に努めることが重要と思います。特に海外からの誘客には九州全体のイメージアップが必要です。

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 ここ3年程度で見ると、県内で観光地としての魅力度が高まっているところは、甑島、南九州市の番所鼻やタツノオトシゴハウス、釜蓋神社、垂水千本いちょう園、垂水漁協、加計呂麻島等です。共通していることは、いずれも地域の人が頑張っており、メディアに積極的に取り上げられていることです。

 地域の人々の協力を得て生活・文化に触れる機会を提供し、「直売店」や「農家レストラン」を活用するなど地域ならではの魅力発信に努めています。国内旅行が成熟している中で、地域の観光資源を売り出すには、より地域の物語性が求められています。

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 今、県内における宿泊客の7割は個人客です。九州新幹線全線開業に伴い、観光列車の運行や周遊バスの充実が図られています。自分たちの地域に来ていただき滞在させるためには、インターネットコミニュケーションの充実を図り、より細かい情報の発信も必要になっています。

 情報を顧客に届けるためには、費用対効果を検証することも大切です。いつどこで宣伝するのか、どの地域からお客を呼ぶのか、誰を対象とするのか、来ていただいたら何を見せて体験させるのか、どの媒体を活用するのか、もう一度自分の地域の宣伝手法を見直してみませんか。

参考:平成24年通信利用動向調査:総務省 

驚きの顧客満足度経営~待っても乗りたいタクシー会社、お客様が先、利益が後~

2014年2月10日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 九州新幹線が全線開業し、3月で4年目に入ります。25年の県の観光動向調査によると、年間の延宿泊者数は前年比0.7%増加となっています。特に外国人は前年比26.3%の増加とななっており、台湾線の就航や韓国からのゴルフ客が大幅に増加したことが要因の一つです。

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 県では、国内外から来られるお客様に対して、「鹿児島に来て良かった、そしてまた来てみたい」という印象を持っていただけるよう、県民一人一人が心を配り、「温かいおもてなし先進県鹿児島づくり」の実現に向けて「おもてなしセミナー」を開催してきました。今年はタクシー会社の経営者、乗務員を対象に接遇研修会を開催し、277名の参加者がありました。

  今回はお客様からの感謝の手紙が絶えず、優良運転手表彰を数多く受賞され、今年めでたく定年を迎えられた旭交通の稲満運転手の体験談と、さくらコミニュケーションズ の古川智子さんの「最高のおもてなしをするために 行えるようにしておかねばならない10のこと」と題しての実践を通した講習会でした。

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 稲満さんは日頃から地域の観光地を廻り勉強し、各種の試験も受けて資格を取る等自己研鑚に努めています。知覧の特攻記念館にある兵士の手記を暗記するため、奥様をお客様に見立てて何回も練習するなど涙ぐましい努力をされ、観光客に車内で披露されています。その一端を会場でも披露されました。

 特に近距離利用の客にもいやな顔をせず、「3分間で600円も払ってくださる大切なお客様」として真心を持って接しておられます。 また、自分はタクシードライバーとして、当然のことを自然体で日々行っており、そのことで表彰されることについて謙遜されていました。

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 古川さんは、永年東京の老舗企業に努めて、人材教育・教育研修講師を担当された経験に基づき、おもてなしの心の真髄を語っていただきました。おもてなしには、「身だしなみ」、「笑顔」、「一生懸命さ」、「やさしさ」、「感謝の心」が必要であると、実践を交えての講義は、参加者の誰一人として眠ることなく集中した内容でした。

 常におもてなしの心を持って顧客に接することがいかに重要であるか、リピーターづくりが企業の信頼度アップにも貢献していくことの大切さを知る機会となりました。お客様におもてなしの心を持って接することは、今の消費者にとっては当然の心理であり、次回利用するときに、たくさんある選択肢の中から選んでもらえるかの一つにすぎません。

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 「値段(もの)」を「価値(こと)」に変えて提供することが、「感動」をもたらします。それに必要な要素は人間の感性であり、これこそがホスピタリティです。一度の出会いで感動を提供し、リピーターになってもらうためには、積極的にお名前を笑顔で呼ぶことも大切です。徹底したサービス精神の姿が、口コミで伝わり多くの顧客を獲得することになります。

 長野市に「中央タクシー」という会社があります。車両数は100台あまりですが、売 り上げが約15億円で県下NO1、しかも地方で経営するタクシーの9割が赤字と言われる中、2012年度の経営利益は過去最高を記録しています。市内のタクシー会社はⅠ2社ありますが、「1日当たりの運行回数」や「1台当たり月間売上」で、他社を圧倒的に引き離しての1位です。たとえば1台当たりの月間売上で、中央タクシーは平均120万弱、他の11社の平均は60万円程で2倍も違うのです。

 この会社は、90%が予約客で埋まるほどのリピーターの信頼を得ていることが特徴で、会社の転機は、1998年に開催された長野オリンピックでした。他社はオリンピック特需を狙って、選手や報道各社優先に予約を受けていましたが、中央タクシーは従来からのお年寄り、病人、お得意さんを大事にし、オリンピック期間の特需に見向きもせず、従来の顧客を大事にしてきたのです。そのことがオリンピック後の不況時にも、従来の顧客が大きな支えとなり今の隆盛を築いています。

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 宇都宮恒久会長は、「仕事を通してお客様の人生を守るというのが、私どもの仕事と思っている。」「当社の仕事は、お客様をただA地点からB地点にお乗せするだけでなく、地域を楽しくするお手伝いです。」と語る言葉に、顧客を大事にする姿勢が表れています。

 経営理念の一部を紹介しますと、「私たちはお客さまにとって、いつまでもこのうえなく、なくてはならない人としてあり続け、この人がいてくれて本当に助かりますと、思わず涙とともに喜んでいただける。わが社はそんな人々によってのみ構成されている会社です。」とうたっています。従業員をまず大切にしている会社でもあります。

 中央タクシーには、接客マニュアルは存在せず、質の高いサービスを支えているのは、 従業員の仲の良さです。「社内の良い人間関係こそが、良いサービスを生み出す」としており、社員の切磋琢磨の行動がサービスに磨きをかけています。

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 また、ドライバーは皆、親切すぎるほど親切。高齢者にはさっと手を貸し、さりげなく 買い物袋を運び、雨の日には傘もさす。そして車内の会話を通して客の家族のことを気に かけ、300メートルという超近距離でも喜んで運行することを大切にしています。

 赤字知らずの会社ですから、本社は市内の一等地に建つと考える方が多いかもしれませ んが、中央タクシーは長野駅から30分、人里離れた山奥にあります。建物はプレハブ造 りで、洗車には井戸水を使用し、しかも無料というメリットを活かしています。

 ホスピタリティという感性を身につけるには、日常生活の中で日々実践していくことが 大切です。身の周りで誕生日やお祝い事等があったら、電話やメールで喜びを伝えることが、自分の中に感性を育てていく非常に大事な要素となっていきます。

 ホスピタリティへの取組強化は、経営者自ら実践することであり、会社本来の目的に立ち返り従業員の声に耳を傾けることが可能となります。そのことが、接遇のレベルアップをはかり、観光客を温かく迎える態勢の確立につながると考えています。

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 観光客の地域の最終的評価は、そこに住む「人の接遇」です。一度訪れた観光客が、こんな素晴らしいおもてなしを実践する従業員のいるタクシー会社が鹿児島にあったのかと、認識してもらうことが重要です。長野市の「中央タクシー」のように、今回の研修会がホスピタリティという感性を育て、各企業の発展につながるきっかけとなることを期待します。

参考:驚きの顧客満足経営で愛される長野の中央タクシーとはーNAVERまとめ

大島高校のセンバツ出場を祝す~全国に奄美群島の魅力を伝える機会に~

2014年2月3日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 鹿児島市内から南約380キロ位置する島が奄美大島です。島ではもう緋寒桜が咲き始め、九州本土より一足早く春の訪れを感じます。昨日の「第6回奄美観光桜マラソン」には、全国から1600人余りの参加者があり、ハイビスカスの花や、コバルトブルーの海に白波が打ち寄せる海岸沿いを、ランナーたちは地元の温かい声援に励まされながら走り抜けていきました。

 奄美群島は昨年12月25日に日本復帰60周年を迎えましたが、その節目を飾るのにふさわしいビッグな朗報が届きました。第86回選抜高校野球大会の21世紀枠として、硬式野球部ができて42年目になる大島高校が選ばれました。鹿児島の離島校としては初めてであり、数々のハンディを乗り越えての出場は全国的に話題になりそうです。昨年は大隅半島から初めて「尚志館高校」が選抜大会に出場し話題となりました。

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 鹿児島県からは九州代表5校の1校として「神村学園高校」も出場します。21世紀枠の選考基準は「部員不足や恵まれない環境の克服、文武両道の実践、清新の気風あふれたチーム、積極的な地域貢献活動など他の学校の模範となる学校」となっています。

 野球部員は日頃から地域貢献活動にも積極的に参加しています。2010年に奄美大島を襲った豪雨で大きな被害が発生しましたが、部員は復旧活動に尽力し、また近隣の海岸の清掃活動にも参加しています。

 大島高校は、離島というハンディがあり、鹿児島まで来るのに船で約12時間、試合ごとに前泊代、交通費等の経費がかかります。雨で試合が中止になると宿泊代が追加となるなど思いがけない出費も発生します。また、離島ということで練習試合をするにも学校が少なく、実践を積む機会も限られています。

 昭和46年、徳島県の山あいにある小さな公立高校が甲子園初出場ということで話題になりました。その池田高校は昭和49年の大会では、さわやかイレブンの名のごとく11名の部員で闘い、見事に準優勝しています。甲子園での大島高校の活躍が楽しみです。

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 奄美群島のある首長さんは、試合当日は大島高校の応援席が関西の奄美群島出身者で満員になるでしょうと語ってくれました。関西地域にある奄美群島の郷友会の活動は特に活発であり、各市町村単位で毎年ふるさと会を開いています。島唄や、太鼓や口笛を鳴らしながらの踊りは、奄美の出身者の絆の深さを感じます。その姿が見られるのが待ち遠しく思われます。


 ところで、関西地域への直接の交通機関は、飛行機が奄美空港から大阪空港へ一日一便(定員144席)と、船は神戸・大阪航路が週1便であり、島からの応援団の移動が課題です。試合決定日が間際となるため、鹿児島までの船の定期船と新幹線の利用、チャーター船等の手配が不可欠ですが、関西地域の奄美群島出身者が応援団の中心になるのではないでしょうか。

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 一方離島から初出場ということで、全国的に奄美群島をPRするチャンスです。今、「奄美・琉球」の世界自然遺産登録の準備が進められていますが、甲子園出場を機に、島民が一致団結するチャンスにし奄美群島の魅力を語ることも大切なことです。

2013年の奄美空港の乗降客利用状況によると、総乗降客数は55万6111人となり、前年比2万745人の増加となっています。本土復帰60周年効果も表れていると思いますが、全国的には奄美群島の位置や魅力については、十分知られていないのが実情です。

 甲子園球場では大きな旗やのぼり等での応援は規制されており、奄美群島の位置を印刷した応援のうちわを作り、スタンドで応援するのも一つです。 恒例となっていますが、広島県代表は、必勝と書いた宮島シャモジを持って応援しています。

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 昨年大隅半島から初めて出場した尚志館高校は1回戦を突破しました。大島高校も離島のハンディを乗り越えて、全国の離島の高校の皆さんに元気と勇気を与えて欲しいと思います。また一緒に出場する神村学園は甲子園ではなじみの学校となりました。中学校から学園で学んでいる生徒も多く活躍が期待されます。

 甲子園球場は新幹線の新神戸駅からも、50分の場所にあり鹿児島中央駅から日帰りもできます。今年の春休みは、甲子園球場に出かけて郷土チーム2校を応援しませんか。

   奄美の代表的島唄  「朝花節」より
       ハレーカナー 稀(ま)れ 稀れ 汝(な)きゃ拝(うが)でぃ
       (イチヤヌカラン ナマヌカランヨ)
       神ぬ引き合わせに ハレ 稀れ稀れ 汝きゃ拝でぃ

       「久しぶりにあなた方にお会いできて嬉しいです。
       神様のお引き合わせによって こうしてまたお会いできたのですね。」

スポーツツーリズムの推進を ~鹿児島ユナイテッドFCを支援しよう~

2014年1月27日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

    花の香を 風の便りに たぐへてぞ
                うぐいす誘ふ しるべには遣(や)る
                            紀友則~古今和歌集~

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 出水平野に越冬していたツルは17季節連続1万羽を超え、多くの観光客が訪れていますが、まもなく北帰行が始まります。また、今年の「指宿菜の花マラソン」には1万8千人余りが参加し、開聞山麓の黄色い絨毯を敷いたような満開の菜の花畑の中を、ランナー達が駆け抜けていきました。一方北国では大雪に見舞われ、厳しい寒さが続いています。南国鹿児島は春がそこまで来ています。

 プロ野球やプロサッカーのキャンプインが近づきました。今年はブラジルで「2014FIFAワールドカップ」が開催されます。日本チームも参加することから、6月12日から1ヶ月間テレビに釘付けとなる人が多くなるのではないかと思います。

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 日本チームの司令塔である遠藤保仁選手の激例会が、約850人の参加のもと盛大に開催されました。鹿児島市長やガンバ大阪の社長、県内外の後援会関係者等が激励の言葉を送り、JIリーグやワールドカップでの活躍に期待を寄せました。


 ところで、将来のプロサッカーリーグ(Jリーグ)加盟をめざし、2つの地元のクラブが合併して「鹿児島ユナイテッドFC」が誕生しました。クラブ名については、「連合・合併」という意味に加えて、薩摩・大隅の両半島を含む鹿児島県民全体で協力してチームを盛り上げていくことや、県内外の鹿児島を愛する人々の団結力が込められています。

 統合クラブは昨年のJFL理事会で、JFLの入会が承認され、ホームスタジアムは、「鹿児島県立鴨池陸上競技場」となっています。これからJ3、J2、そしてJ1を目指すことになります。

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 高校サッカーにおいては、鹿児島実業、神村学園、城西高校等が全国大会で活躍してきました。また、前園、遠藤兄弟、城、大迫選手等多くの優秀な選手を輩出してきましたが、ほとんどが県外に本拠地を置くチームに所属しています。プロサッカー選手を目指す若者には、地元での活躍の場がなかっただけに、今度のチーム誕生は大きな励みとなります。また、県民も郷土チームの応援に熱が入ると思います。

 プロリーグの開催試合は、ホームとアウェーで半分ずつ行われるため、アウェーチームの来鹿の際はサポーターも宿泊するため、宿泊、飲食等大きな経済効果をもたらします。 鹿児島に来たサポーターを温かく迎え、鹿児島ならではのおもてなしで歓迎しなければ なりません。鹿児島中央駅前の「かごっまふるさと屋台村」は、試合終了後のたまり場になるのではないかと思います。また、関連グッズの販売も欠かせません。

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 今年のサッカーのキャンプは、宮崎県で23チーム、県内では韓国のチームを含めて12チームが、鹿児島市、霧島市、指宿市、薩摩川内市、南さつま市、さつま町でキャンプを張ります。J1リーグの清水エスパルス、浦和レッドダイヤモンズ、柏レイソルや、J2のジュビロ磐田、京都サンガF・C、は永年にわたり県内でキャンプを張っており、多くのサポーターも訪れます。

 プロの選手はキャンプ期間中練習だけでなく、キャンプ地の住民との交流会や野球・サッカー教室等を開くなど交流を深めています。そのことが人気に拍車をかけています。県内でキャンプしているサッカーチームには、郷土出身者も在籍しています。 球場に親子で出かけて、日ごろはなかなかできない貴重なふれあいを深め、サッカーファンになって欲しいと思います。

 ところで今年のプロ野球のキャンプは、沖縄県で11チーム、宮崎県が5チームと両県に集中しています。キャンプチームが集中していることは、練習試合にも都合がよく、開幕に向けての調整もしやすい環境にあります。

 県内では薩摩川内市で、千葉ロッテマリーンズのファームが、鹿児島市で韓国のロッテジャイアンツがキャンプを張ります。練習場に恵まれ、温泉があること、市民あげての温かいおもてなしが定着していることも、鹿児島が選ばれている理由ではないでしょうか。

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 キャンプ地として選ばれることは、選手の宿泊だけでなく多くの応援ツアー、取材陣が訪れます。キャンプ地レポートとして毎日地域のことが全国に放送されることから、観光地としての知名度アップにもなります。2013年の沖縄県におけるプロキャンプによる、関係者、マスコミの取材、ファンの訪問者等宿泊、飲食施設の利用等その経済効果は81億円と推定しています。(りゅうぎん総合研究所試算)

 今回「鹿児島ユナイテッドFC」が誕生しましたが、有力スポンサーを核に県民からの寄付も募り、支援体制を確立することが重要です。ファンクラブの創設による応援団の確保も不可欠です。

 最期に2020年に東京オリンピック開催が決定し、事前キャンプ誘致や大会後の観光客誘致にも力を注がねばなりません。オリンピックは夏に開かれるため、体調を慣らす意味では、鹿児島は事前キャンプを行うには適地と思います。情報発信や人材の活用等オリンピックの対応窓口も求められます。同じ年に鹿児島国体も開催され話題も豊富です。

 鹿児島県は冬場の気候は温暖で、温泉も県内各地にあり、また、豊富な食材、飛行機や新幹線等交通アクセスも格段に整備されキャンプ誘致の条件も整っています。 今回のプロサッカーチーム誕生をまちづくりや交流人口の拡大につなげ、スポーツツーリズムの推進になお一層努めたいものです。   

感動・感激をもたらすおもてなしとは~加賀屋の流儀に学ぶ~  

2014年1月20日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 北陸の能登半島は冬場は厳しい寒さにさらされ、観光客も少なくなります。その玄関口にある七尾湾に面し、温泉旅館が立ち並ぶ場所が全国有数の高級温泉街と知られる和倉温泉です。

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 その中でも旅館「加賀屋」は、「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」(旅行新聞社主催)の総合部門で、34年間第1位の表彰を受けている日本を代表する旅館の一つです。ちなみに、指宿温泉のホテル秀水園が料理部門で30連覇しています。

 加賀屋は客室数248、総宿泊客室定員が1450人、年間宿泊者は約22万人、客室稼働率は70~80%であり、それを従業員650人で支えています。徹底したサービス精神の姿が、口コミで伝わり多くの顧客の支持を得ています。2010年には、台湾に「加賀屋 北投」をオープンしています。

 加賀屋は、建物、客室、浴場、オープンスペースともすばらしい造りとなっていますが、企業理念として「笑顔で気働き」を掲げ、おもてなしのサービスを最大の商品として位置づけ、宿泊者に対しそこで働く従業員で最高のおもてなしを提供することを目指しています。女将がすべての客室に出向いて挨拶するなどトップ自らおもてなしを実践しています。 

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 お客様の来館の目的を事前に察知すれば、可能な限りそれに沿ったサービスを提供しています。還暦の旅行と知れば、赤い帽子や服装の準備を、法事の等に関する旅行では、亡くなったひとのために陰膳を準備します。期待を超えるサービスを、お客様から言われる前に提供して行くことを徹底しているのが加賀屋の流儀です。

 また、過去に宿泊した顧客のデータベース化を進め、サービス提供につなげています。人は自分の名前を呼ばれた時に、その存在を認められたものとして、喜びを感じるものですが、一度の出会いで感動を提供し、リピーターになってもらうため、積極的に相手の名前と顔を知ることにも努めています。

 寝床の枕の硬さの具合、薬を常用される方の部屋には、氷無しの水だけのポット、アレルギーの有無、食事の好き嫌い等事前のチエックを十分行っています。

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 お客様が到着してお部屋に案内するまでの間に、館内の説明や翌日の予定を聞き的確な方法でサービスを提供できるよう心がけています。体の不自由な方が、翌日の指定券が取れていない場合は、乗車予定の列車の席を確保する為、前の駅まで職員が行きそこで自由席に座り、「和倉温泉駅」で交代してその席に座らせる努力も惜しまないといいます。

 「お客様の思い」を具体的な「こと」に変えて提供することが、「価格」を超えた「感動」を生みます。それは人の行動であり、これこそがホスピタリティです。

 和風旅館で高品質のおもてなしを機械化することは難しいことです。加賀屋では、料理の運搬等の機械化を進め、客室係がお客様にサービスを提供する時間をできるだけ長く確保できるよう改善を図っています。そのことで盛り付けの崩れや食器等の破損も少なくなるなどの効果も生まれています。

 従業員の定着や子供の教育環境改善にも努めており、企業内保育所の設置や母子家庭の社宅も併設されています。そのことが客室係にとっては、おもてなしに専念できる精神的な支えとなっています。

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 加賀屋では、誰がやっても同じサービスを提供できる仕組みづくりや、経験豊かな客室係が、新しく入ってきた客室係に伝承していくことなど社員教育にも日頃から取組んでいます。年間3万通のアンケートを分析し、指摘された課題は速やかに対応し、お褒めの言葉は掲示するようにして、すべての従業員が共有できるようにしています。

 また、従業員の仕事の効率化をすすめ、チェックアウト時は人手が要るため、フロント や売店やコーヒーショップ等へ作業の支援を行っています。人をお送りするとき細かい配慮がなされています。

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 顧客への「満足」が創り出すものは、次回の宿泊先として、たくさんある選択肢の一つに残してもらえることです。サービスに接する時、お客様はこれまでの体験から事前期待を持ちます。この期待を超えた時に、感動が生まれます。 加賀屋の従業員一人ひとりが、感動・感激を与えるサービスを提供するんだという自信と誇りを持っていることが、施設への信用と人気となっていると感じます。


 ところで、大手情報誌リクルート社「じゃらん宿泊旅行調査2013」の調査によると、鹿児島県の観光地としての総合評価は、沖縄県に次いで2位、おもてなし好感度は第4位となっています。鹿児島弁でおの出迎え、新茶とふるさとの駄菓子によるおもてなし、野に自然に咲く花をお部屋に飾る、火山灰の入った灰皿を置く、見送りは車が見えなくなるまで手を振る等鹿児島らしい優しい対応が求められます。

 観光客の地域の最終的評価は、そこに住む「人」です。一度訪れた観光客が、リピーターとなり、居住してみたいと思わせる環境づくりも必要です。

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 鹿児島県では、観光客を温かく迎える「観光まごころ県民運動」を展開しています。しかしながら企業によって取組みに差があり、十分徹底してないところもあります。 「司馬遷」の「史記」の中に「桃李もの言わざれども 下自ずから渓を成す」という言葉があります。信頼される施設への努力を日頃から全従業員で取組む必要性を感じます。  企業経営における顧客に対するおもてなしの姿勢が問われます。

 日本の和食が、昨年ユネスコの世界の無形文化遺産に登録されました。日本旅館での「おもてなし」が今以上に国内外から注目されています。アベノミクス効果も徐々に表れており、宿泊単価の上昇も見られるようになり、高品質を売りとする宿泊施設の稼働が顕著となっています。

 日本は成熟社会を迎え、モノの豊かさより心の豊かさが求められる時代となっています。 加賀屋のおもてなしに学ぶべきことが多いのではないでしょうか。

          参考:「最強のサービス」の教科書 内藤耕 講談社現代新書

焼酎文化でおもてなしの提供~焼酎の消費拡大につなげよう~

2014年1月14日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 1月も半ばとなり、開聞山麓は菜の花が見ごろを迎え、観光客の目を楽しませています。年明けの各種会合では、焼酎での宴会が例年になく話題となったのではないでしょうか。焼酎は鹿児島県の特産品であり、平成22年度の本県製造品の出荷額としては、配合肥料、部分肉(冷凍肉含む)に次いで第3位で、約1,260億円となっています。

 また、焼酎は製造に従事する製造業者が、特定の企業の独占状態ではなく、全県的に分布していることが他県との違いです。また、原料生産者(農家)、酒販業、料飲業等関連産業が多い産業です。

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 第一次産業として、さつまいも、米、さとうきびの活用、第2次産業として、包装資材、燃料、飼料製造、第3次産業としては、運送業、宿泊施設、料飲店、酒販店等多くの分野に経済効果をもたらしています。本県の農産物を加工・販売を行うという農商工等連携のモデルと位置づけられています。

 県内の焼酎蔵元数は111あり、銘柄は1000種類を超え、さつまいもを主原料とする「薩摩焼酎」と、奄美群島に限って製造が認められている「奄美黒糖焼酎」があります。出荷量については、本格焼酎ブームがおきた平成18年度が最高となり、1升瓶換算で約1億2千万本相当となっていましたが、その後減少し平成24年度では、1億本相当(18年比84%)となっています。焼酎の販売を維持・拡大していくためには、県内産のさつま芋の安定的確保が不可欠です。

 ところで観光庁では、昨年「酒蔵ツーリズム推進協議会Ⓡ」を設立し、日本の伝統的酒である日本酒をPRし販売拡大につなげるとともに、酒蔵を観光資源として地域の活性化に活かす取組を推進しています。時あたかも、日本の伝統的な和食文化が認められ、ユネスコの無形文化遺産への登録が決定しました。外国人の入込客が1,000万人を超えたこともあり、日本酒文化を定着させる良い機会が訪れたと思います。

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 全国的に「日本酒での乾杯」をすすめる条例の施行が相次いでおり、すでに京都市を皮切りに9市町と佐賀県で成立しています。県内では、いちき串木野市が「焼酎で乾杯」条例をつくり、地元焼酎での乾杯の習慣を広めようと、市や業者、市民が協力して取り組んでいます。

 鹿児島県議会は昨年のⅠ2月の議会で、特産品の焼酎の普及を目指し、県外からの来客を焼酎でもてなすことを求めた「かごしま本格焼酎の産業振興と焼酎文化おもてなし県民条例」を全会一致で可決し、今年の1月1日から施行されました。条例に規定する取組等が強制とならないよう「個人の嗜好と意思を尊重する」ことも明記されており、また、乾杯だけにこだわらず焼酎によるおもてなしに努めることを盛り込んでいます。

 特産品の焼酎の普及を目指し、県外からの来客を焼酎でおもてなしすることを目的に、需要拡大、鹿児島のイメージアップにもつなげる必要があります。 販路拡大や認知度向上の取組としては、「ボージョレヌーボー」の解禁日がメディアで大々的に宣伝され国民にも定着しています。

 「新酒まつり」や「本格焼酎の日」、「黒糖焼酎の夕べ」、「焼酎ソムリエのイベント」等を開催することで、新たな需要開拓が可能となります。他の業界では『バレンタインデー』や『ホワイトデー』等の事例が需要拡大につながっています。

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 一方観光客や県外客に対し新商品開発やおいしい飲み方の提案が欠かせません。度数の低い焼酎、口当たりまろやかな飲物、スパークリング、季節(夏用、冬用)や食材(肉料理、魚料理)、場所(ビヤホール、結婚式、法事)等にあった焼酎の提供も求められます。

 また、時間をかけて寝かせる前割、お茶割、水割、ロック割、お湯との配分を変える割り方等原料の味を失わない中で、飲み方の工夫や伝授が必要です。目盛りのついたグラスを用意することも喜ばれます。

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 外国人観光客が急増する中で、飲食時に焼酎を提供しファンになっていただき、PR効果をもたらす取組が必要です。焼酎は蒸留酒であり、ワイン好きの外国人には親しみやすい飲みものではないかと思います。原料や製造法について書かれた外国語表記のパンフも欠かせません。

 観光地のルート上にある蔵元を訪ねるツアーを提案し、焼酎づくりの体験や購入予約をパッケージにした旅行商品の企画も求められます。記念品として、ラベルにオンリーワンの工夫をしたマイボトルを作ることをお勧めします。

 薩摩の焼酎造りは、明治時代薩摩半島の風光明媚な笠沙の地で、3人の若者が焼酎造りの技術を伝え、黒瀬の集落にまたたく間に広がり、彼らは季節になると九州一円の酒造に出稼ぎにおもむき杜氏、蔵子として腕をふるったと言われています。「杜氏の里笠沙」に行くとその歴史を学ぶことができます。鹿児島の経済を支えている焼酎を、県外客にもっと広める意味でも、おもてなしの視点で、焼酎文化を作り上げることが重要です。

 ところで、子供の頃正月や祭りの宴席で大人たちが、木の棒を手に隠して、面白い言葉で数当てをし、焼酎を楽しく飲みながら親睦を図っている光景がよく見られました。南九州に古くから伝わる「なんこ遊び」です。

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 なんこは対戦する二人が向き合い、固い樫の木でつくられた10センチ程度のなんこ珠を3本後ろ手に隠して持ち、その何本かを右手に移して畳の上(なんこ盤)に突き出し、合計数を予想して言い、互いに手を開いて持っている本数を見せ合い、勝ち負けを決める遊びです。負けた方が、事前に盃に盛られた焼酎を飲むことになります。

 手つきでなんこ棒を出す姿は滑稽であり、仲間の笑いを誘います。次から次に選手が交代し、座は一変に盛り上がっていき、焼酎の量も増えていきます。又外国人に教えると、手のしぐさや数字の言い方になど伝統的日本文化の遊び方に興味を示します。

 焼酎の需要が足踏みしている中で、なんこ遊びを定着させ焼酎の新たな楽しみ方を提供し、おもてなしの一環として焼酎のファンを開拓して売り上げにつなげたい思いがあります。又、特産品の薩摩焼の一つである「黒じょか」に焼酎を入れ盃につぐという伝統的飲み方を教えることで、お土産としてセットで買ってもらうことにもつながります。

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 なんこは漢字では「南交」と書き、南方と交易が盛んであった薩摩藩が取引の祭、接待の一つとして活用した高尚な遊びと言われています。県外の方がみえた時、なんこ遊びを教えることで交流も深まり、思い出に残ります。 鹿児島の伝統的遊びである「なんこ遊び」を復活させ、焼酎文化の復活に一躍を担いたいものです。

 かごしまの固有の歴史、伝統、自然が育んだ地域の食文化を保護・継承し発展させていくことも重要なことです。県内のいたるところに焼酎の蔵元が点在しており、今回の「かごしま本格焼酎の産業振興と焼酎文化おもてなし県民条例」の制定を機に、食と一緒に地域ならではのおもてなしを提供したいものです。
 参考:かごしま本格焼酎の産業振興と焼酎文化でおもてなし県民条例の制定について

2014年を果敢に戦い抜こう ~足元を見つめ自ら行動する年に~

2014年1月6日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 明けましておめでとうございます。年末年始は最大で9連休となり、1泊以上の旅行に出かけた人は、過去最高の旅行者数となったのではないでしょうか。近隣の温泉地で正月を過された方も多いのではないですか。


 今年の干支は「午」で、動物にあてはめると馬になります。十二支の7番目、午の刻は、昼の12時およびその前後2時間のことで、そのため昼の12時を「正午」といい、「午前」「午後」という言葉が生まれました。

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 日本では、初詣や受験前に「絵馬」に願い事を書いて奉納します。神様が乗る神馬を奉納する習わしが、馬の絵を描いて代用する「絵馬」の由来です。 今年は、怒涛の如く走りだす馬にあやかり、年初からスピード感を持って対処していくことが求められます。

 アベノミクス効果等で日本経済は、ゆるやかな回復基調にあり、個人消費も伸びています。また、円安効果でインバウンドが好調で、昨年の12月20日念願の1000万人を達成しました。

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 ところで日本経済は、4月に消費税が8%に上がることから、3月までは駆け込み需要で多くの分野で拡大が望めますが、その後は買い控えなどの動きが顕著となり、レジャー等への支出は減速しかねません。

 また、世界中が1カ月間熱狂する「2014FIFAワールドカップ」が、6月12日から7月13日までブラジルで開催されます。4年に一度のサッカーの祭典には、日本チームも参加することから、その期間中は国内旅行に出かける人が少なくなることが、前回大会でも示されています。

 日本経済が回復傾向にあることから、政府も様々な施策を推進し、消費税アップに伴う経済減速の歯止めに期待しているところです。昨年後半から国内旅行の回復基調が見られるのは明るい話題です。和食がユネスコの世界の無形文化遺産に登録されたことも、日本食の価値を高めています。

 今年の取組について触れたいと思います。まず県民が県内の魅力を知り、県外の方々に自らPRできることが重要であることから、域内観光の販促にも力を注ぎます。 県と観光連盟では次の3つの施策を展開します。
 ①主要観光地域(指宿・霧島・鹿児島)発の広域観光周遊ルートの整備
 ②源泉数全国2位を誇る本県温泉地の優位性を生かした温泉地めぐりルートの整備
 ③鹿児島のNO1の観光素材である桜島の再評価と眺望スポットめぐりルートの整備
  を中心にPRの強化と受入体制の充実も図っていきたいと考えています。  

 県内の話題としては、4月2日から川内港から甑島(里、長浜)へ高速船の運行が開始 されます。JR九州の観光列車を手掛けた水戸岡氏のデザインによるものです。

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 初夏に「ニシノハマカンゾウ」が黄色い花を咲かせると、その後を追うように薄紅色の「カノコユリ」が草原一体に咲き乱れ、甘い香りを漂わせます。テレビドラマ「Drコトー」や、椋鳩十の小説「孤島の野犬」ゆかりの島が脚光を浴びると思います。


 次に「吹上浜砂の祭典」が従来のGW期間中から、5月2日~31日まで会期が延長さ れて開催されます。連休中はバスが渋滞に巻き込まれる懸念があることから、エージェントがツアー企画を渋っていましたが、平日の企画が可能となり、バスツアー等の企画が多くなることが想定され、周辺の観光地、宿泊地は新たな需要が発生します。

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 7月20日には薩摩藩英国留学生記念館がオープンします。近代日本の若き原動力とな った薩摩人の偉業を学ぶことができる施設で、教育旅行には最適な施設であり、一日遠足や修学旅行誘致の目玉にしなければなりません。また、留学生にちなんだ飲料やグッズ等の開発も求められます。甑島とセットでコースが組めるのではないでしょうか。

 3月16日は、霧島国立公園が指定80年周年を迎えます。日本で初めての国立公園で あり、様々な誘客対策が計画されています。えびの高原一帯のトレッキングや韓国岳登山、変化した新燃岳の姿等、登山愛好者だけでなく、外国人、霧島温泉の連泊対策としてぜひ PRしていただきたい。周辺の人吉市、えびの市、曽於市、都城市との連携も不可欠です。

 地域の隠れた観光素材の商品化には、エージェントと自治体との連携が欠かせません。着地型観光については、「鹿児島県旅行業協同組合」が「魅旅」のネーミングで商品化に努めており、地域の活性化に寄与しています。今後も積極的な支援体制が地域への交流人口の拡大や人材育成に繫がると考えています。地域は素材を提供し、主要観光地からの誘客を働きかけて欲しい。

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 離島については、FDAやJACを活用し、オンラインのない空港からのチャーター便を増やし、時間的短縮を図ることで旅費の割高感を払しょくできると思います。また、時間にゆとりのある熟年層には豪華な船旅を、若者には夏の美しい海や大学のゼミのフィールドとして売り込まねばなりません。

 種子島の宇宙基地、屋久島の世界自然遺産、「奄美・琉球」の世界自然遺産を目指す取組等が、離島の魅力を引き出すことになります。

 鹿児島市は、日本を代表する都市型観光の魅力を備えた街で、歴史、自然、温泉に加え、食の魅力が観光客の滞在を可能にしています。県都として県内全域を見据えた観光振興策が重要であり、県内各地域の魅力が増すことが結果として鹿児島市に宿泊することになります。アクセスや大会設備の充実等を活かし、MICEの積極的誘致も不可欠です。

 2015年には「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」が、世界文化遺産に正式登録の準備が進められており、そのリストに「近代化産業遺産」の5箇所が入っています。明治維新150周年と文化遺産の価値をセットでPRしなければなりません。

 大都市圏からの若者層を誘客すべく、体験を主とした現地研修を進めてきました。今年は具体的に商品造成し誘客する年です。若者に共感されるパワースポット、貴重な動植物の生態系、ストーリー性のある旅、マリンスポーツなどゼミの教材にも使える情報等の提供が、九州本島最南端の県に向かわせるきっかけになると思います。

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 スポーツツーリズムの推進も求められます。スポーツ合宿は「さんふらわあ」の活用で大隅地域が特に増加しています。昨年県内3箇所で、韓国のプロ野球チームが秋季キャンプを張りました。今後はサッカーのキャンプ誘致も必要であり、プロが使用できるサッカー場として整備することで、温暖な気候と宿泊施設の充実がそれを可能にします。

 温泉地指宿は野球場の整備を急ぎ、プロ野球のキャンプ誘致が不可欠です。2020年には、東京オリンピック開催が決定しており、事前キャンプ誘致等もスタートします。

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 今年も比較的順調に伸びるのが教育旅行です。関西地域から集約臨時列車で6,000人の中学生が訪れます。農業・漁業体験を実施する学校が増加し、知覧の平和学習、桜島や霧島の火山・自然学習、鹿児島市の歴史探訪等が、優位性を発揮しています。県内全域に、約1000軒の農家民泊の供給が広がる中で、「簡易宿所営業」の取得を強力に進めていかねばなりません。

 キャンペーンの中心は、今年も最大のマーケットである関東地域や、身近に来ることができる福岡地区でのPRに努めていくことが得策と考えます。東京線は航空機の供給量が多く、商品企画が容易であり、MICEが誘致しやすいことも上げられます。

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 今後日本の人口は確実に減少することから、外国人観光客の誘致は欠かせません。イン バウンドについては上海線の利用促進やソウル線の夏場の搭乗率アップ、台湾線は宮崎線が週3便となり両県で7便体制となり、職場旅行や教育旅行の誘客対策が必要になっています。    

 特に上海線については、上海からの誘客が課題であり、現地エージェントの招聘と企画 商品造成支援、現地でのPR体制の強化が、鹿児島の認知度を高めることになります。またFITが主流となってきており、ブロガー対策や有力メディアの招聘、鹿児島でのWiFiや外国語表記の充実が求められます。ビザ解禁で観光客が急増しているタイ、マレーシア等ASEAN諸国からの誘客態勢の整備も必要です。

異人館.jpg

 WEB販売が急激に伸びる中で、情報化社会に対応できる新たな需要吸収の仕組みづくが必要となっています。楽天やじゃらん等とタイアップし、旬の情報提供が欠かせません。また、インターネットの普及で可視化が進む中、コンプライアンスの向上と迅速・正確な情報提供が求められます。

 今年は土曜日を入れた3連休以上が8回あり、旅行需要を喚起する取組を各機関自ら早目に展開することが必要です。春は、卒業式や入社式等の歓送迎会、GWのファミリー対策、夏は納涼や滞在型企画、秋は熟年旅行や企業のインセンティブ、冬は慰労会や忘・新年企画と早目の季節感あふれる企画が必要です。周辺市町村の祭りや、花、食、伝統行事等を組み込んだ、生活・文化の香りがする商品企画が求められています。

 鹿児島県は南北600キロに及び魅力多彩な観光資源があります。これからは、県民が足元の魅力を知り、住んでいる街を誇りに思うことが「おもてなしの心」につながります。厳しい1年になりますが、スピードをもって果敢に挑戦する気概で取り組まねばなりません。2014年が皆様にとって素晴らしい年になりますよう心からお祈りいたします。

  新しき 年の初めの 初春の
              今日降る雪の いやしけ吉事(よごと)
                             ~大伴家持~ 万葉集  


2013年を振り返る~地域連携の取組が始まる~

2013年12月24日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 今年も1週間余りとなりました。日本経済はアベノミクス効果等もあり、少しずつではありますが回復基調にあるのではないでしょうか。日経平均株価が久しぶりに1万5千円を超え、個人消費の拡大が観光業界にも好影響を与えています。また円安効果も寄与して、インバウンドが好調であり外国人の入込客は念願の1000万人に達することが確実視されています。

東京スカイツリー .jpg

 大きな周年行事や大河ドラマの舞台は、日本列島の東がメインとなった年でした。 東京ディズニーランドが開業30周年を迎えて、新しいアトラクションが次々に導入され、1年を通して賑いました。大人から子供まで幅広く人気が定着し、入場者数は、2,000万人を超え過去最高が予想されています。また1昨年オープンした「東京スカイツリー」効果も続き、富士山が「世界文化遺産」に登録されたこともあり、東京周辺の観光地は盛況の1年でした。

   今年のNHKの大河ドラマは「八重の桜」で、戊辰戦争では銃を持って勇敢に戦い、後に同志社大学の創始者新島襄と結婚した「新島八重」が主人公でした。前半は会津若松、後半は京都が舞台となりましたが、関連する地域には多くの観光客が訪れました。あらためて大河ドラマ放映の効果が示されています。東日本大震災で大きな被害を受けた東北地域は、官民挙げての取組が成果を上げ観光客が戻りつつあります。

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 県では官民あげて27年の大河ドラマに誘致に努力しましたが、長州が舞台となる「花燃ゆ」に決定しました。「八重の桜」には西郷隆盛や大山巌等薩摩ゆかりの人物が登場し、幕末における薩摩藩の影響力の強さを感じました。

 「花燃ゆ」は吉田松陰の妹が主人公で、幕末の動乱期の物語ですが、薩長同盟の関係もあり観光面では、プラスになると思います。28年の大河ドラマ誘致に向けて官民挙げての動きがスタートしました。粘り強い誘致活動を展開していきたいと思います。  

 三重県の伊勢神宮では、20年に一度の式年遷宮が開かれ、近年のパワースポットブームが追い風となり、予想をはるかに上回る約1300万人が訪れました。また出雲大社も式年の行事が行われ、周辺の玉造温泉や松江地域の宿泊施設は、連日満員という盛況でした。

 このように日本列島の東に話題が多かった中で、九州新幹線開業3年目を迎えた鹿児島の現状はどうだったでしょうか。宿泊人員でみると、5月から9月までは前年を超え、大きなイベントがない中、頑張っている地域の取組が実績としてあらわれています。宿泊施設では、高額商品の販売が好調となっています。日本食が、ユネスコの世界無形文化遺産に登録され、日本旅館の良さが再認識された年であったと思います。

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 3月から「おれんじ食堂」が運行し、エージェントの企画や台湾、韓国の観光客に大好評でした。10月からは「ななつ星イン九州」の豪華観光列車も運行され、霧島温泉地域が宿泊地に選ばれ話題となりました。沿線のおもてなしも話題となり、来年の6月出発分までは予約が埋まるほどの人気です。

 2014年4月には、川内港から甑島に高速船が運行予定です。JR九州の観光列車を手掛ける水戸岡悦治さんのデザインによるもので、甑島への来島者が一段と増えるものと思われます。

佐多岬01.jpg

 九州本土最南端の佐多岬への道路が無料化され、また老朽化した施設の撤去などが進み、昨年1年間の1,5倍の観光客が訪れています。(10月末現在)大隅地域は、交通の不便さや宿泊施設が少ないこともあり、旅行商品化やPRが課題となっていました。今年から指宿地域と連携したルートづくりを進めています。

 第一次産業を活用した教育旅行への「民泊」の推進や、「さんふらわあ」を利用したスポーツ合宿が伸びています。「鹿屋航空基地史料館」は、新たな学習先として人気が高まっています。

 霧島地域は新燃岳の噴火が落ち着き、温泉地としての魅力が復活してきました。霧島は「九州オルレ」の認定コースとなり、韓国からのウオーカーも増加しています。ホテルの従業員自ら山に登り、コースを確認するなど地域を学ぶ取組も始まりました。

霧島温泉2.jpg

 南薩地域では、「釜蓋神社」、「番所鼻公園」、「タツノオトシゴハウス」が脚光を浴びています。「茶寿会」を中心に、お茶を観光に活かす取組を始めており、温泉地指宿と連携したさらなる活動が期待されます。枕崎や坊津等を組み込んだ着地型商品の定着がかぎとなります。

 世界で一番美しいロケット基地のある種子島へは、「SSH」(スーパーサイエンスハイスクール)の修学旅行が、「世界自然遺産登録20周年」を迎えた屋久島では、縄文杉登山に加えて新たに里を廻るツアーが商品化され、オフ時期の誘致強化になるのではないかと思います

奄美中央林道.jpg

 奄美群島は本土復帰60周年を迎え、また、「琉球・奄美」が世界自然遺産の暫定リストに記載されました。今後国立公園の指定を経て、2016年の登録に向けて環境整備が進むものと思います。

 着地型観光の推進については、「鹿児島県旅行業協同組合」が「魅旅」のネーミングで各地域の隠れた観光素材を商品化に努めています。今後も積極的な支援体制が地域の活性化と人材育成に繫がると考えています。

 九州新幹線全線開業による時間短縮効果もあり、関西地域から修学旅行専用の集約臨時列車を利用して、5,200人の中学生が訪れました。初めて鹿児島を訪れる学校が多く、農業・漁業体験や知覧での平和学習、鹿児島市内の歴史散策等鹿児島が誇る体験メニューが優位性を発揮しています。また、県内全域に、約1000軒の農家民泊の供給が広がる中で、学校の信頼を得る意味でも「簡易宿所営業」の取得を強力に進めていかねばなりません。

 若者層の誘客を進めるべく「鹿児島カレッジ」を展開し、エージェントの商品化を推進しました。柏木由紀さんをモデルにした鹿児島の観光PRが若者に共感を与え、パワースポット、食、マリンスポーツ等の認知度が高まっており、息の長い情報発信が必要になっています。

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 ターゲット先としては、最大のマーケットである首都圏での誘客をさらに強化していくことが得策と考えます。東京線はJAL.ANA,スカイマーク、ソラシドエア等航空機の供給量が多く、商品企画が容易であり、また、修学旅行やインセンティブの仕向地としても選択肢が広がります。

 ところで日本人の国内旅行は成熟しており、大きな伸びは期待できず、加えて日本の人口減少による経済規模縮小は明らかであり、アジアの時代における鹿児島県の将来の発展の基盤づくりとして、地理的優位性を活用した交通ネットワークの拡大が求められており、海外との交流人口の拡大は不可欠です。

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 上海は大きな経済成長が見込まれる環黄海地域の主要都市の一つです。南に開かれたアジアの玄関口として、上海はその中心に位置し、また、鹿児島県と同緯度にあり、100分程度で行けることからも、益々重要な都市となります。中国東方航空の上海線利用率アップが課題となっています。

 上海での鹿児島の魅力を紹介するメディアの出稿を増やす取組や、上海経由の東アジアへの商品企画の充実等官民挙げての支援が必要であり、相互交流が重要です。

 一方、台湾線については、宮崎便が3便となり、両県でデーリー化され、福岡とも連携した新たなコースの設定が可能となりました。修学旅行や職場旅行など安定的な需要開拓が必要です。

 ソウル線は12月22日から3月2日までデーリー化されますが、ゴルフ客や富裕層を中心に誘客に努め、年間のデーリー化が必要です。秋には韓国のプロ野球3球団が、鹿児島市、日置市、薩摩川内市で1カ月間秋季キャンプを張りました。延約5,000人が宿泊し経済効果は1億円を上回ると想定されます。地理的に近く、温暖な気候をPRしてキャンプ地定着に努めなければなりません。

 香港へは定期便はありませんが、ブロックチャーター等の取組で今年も多くの観光客が訪れました。また、シンガポール、タイ、マレーシア等ASEAN諸国へのアプローチも求められています。

鹿児島県観光サイト「本物。の旅かごしま」トップ画面.jpg

 インターネットやスマホを活用したWEB販売等の急速な進展に伴い、情報発信力の強化を図り、新たな需要層の獲得が不可欠です。県のホームページには毎日約6,000件のアクセスがあります。英語、韓国語、中国語「簡体字、繁体字」の4カ国語の対応も行っており、観光連盟に専門の担当者を配置し、観光地、歴史、アクセス、施設、イベント、食等の情報提供を行っています。また各自治体と連携を強化し、解りやすくシームレスな対応ができるよう改善に努めているところです。

 県のキャラクター「ぐりぶー」の動きも活発になっています。県民にどんどん利用され、国内外での宣伝のチャンスを増やすことが重要です。

尚古集成館1.jpg

 ところで、「明治日本の産業革命遺産 九州・山口その関連地域」が、世界遺産の国内候補地に選ばれ、2年後の世界文化遺産の登録を目指しています。薩摩藩が始めた「集成館事業」は後に日本が飛躍的な近代化を果たす大きな原動力になりました。「日本近代化の原点は鹿児島にあり」と世界の人々に伝えることが、県民としての誇りであり永続的な誘客につながると考えます。

 鹿児島県は南北600キロに及び魅力多彩な観光資源があり、域内観光も推進しなければなりません。観光客は、地域に残る行事、祭り、花、地元の人が食べる食材や居酒屋、田舎流のおもてなし、地域で輝いている人等に魅力を感じます。

 住民が地域の魅力を知りPRできることが、何回も訪れたくなる施設・地域になることにつながります。リピーターを増やすことが何よりも大切です。「観光立県」の確立には、県民一人ひとりの「おもてなし」が不可欠です。

ぐりぶー(イラスト).jpg

 最後に今年も毎週コラムをお届けでき、292回目となりました。叱咤激励をいただき感謝申し上げます。来年の干支は「午」です。怒涛の如く駆け抜ける馬のようにスタートから頑張りたいものです。よいお年をお迎えください。

田舎の自然の魅力にひかれる旅 ~地域資源を活かした広域観光の推進を~

2013年12月16日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

霧島温泉郷(昼).JPG

 鹿児島を代表する宿泊地といえば、霧島、鹿児島、指宿があげられます。平成24年の宿泊人員で見ると全体の64%がこの3地域に泊っています。最近は連泊も増加しており、この3地域を基点に周辺の観光地に足を伸ばしているのではないでしょうか。

 他の地域は観光素材はあるものの宿泊施設が少ないために、昼間の交流人口を増やす努力が必要であり、3地域はそこと連携して宿泊者を創出することが求められています。

 県と観光連盟ではこれまで拠点地域間のルートづくりや特性を活かした観光地づくりに努めてきましたが、主要地域からの複数の広域観光周遊コースの整備が必要になっています。各地域は拠点地域からの誘客を図るため、地域素材の商品化やPR戦略が重要となってきており、観光素材の発掘や人材育成も求められています。

 今回は、霧島発広域観光周遊ルート(北大隅地域)のモニターツアーを実施し、霧島地域のホテル従業員、姶良・伊佐地域振興局、大隅地域振興局、霧島市、曽於市、県、観光連盟から45名の参加者がありました。

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 今回のモニターツアーの対象となった曽於市の財部地域の魅力について触れたいと思います。財部町はJRの駅が3箇所あり、また鹿児島空港から90分、都城インターチェンジが近くにあり交通アクセスは便利な環境にあります。


 清流の森「大川原峡」は奇岩と清流が織りなす渓谷が2キロにも及びます。水しぶきや冷気が顔を洗い、川面に映る森林を堪能しながら、トレッキングが楽しめます。

 また「全国遊歩百選の森」に認定されている「悠久の森」は、片道3,5キロの川岸をエコガイドさんの説明を受けながら、珍しい植物の生態系にふれることができます。「今後永久に木を伐採せず、子孫に引き継ぐこと」を曽於市では条例で定めています。

 毎年11月には「悠久の森ウオーキング大会」が開催され多くのウオーカーが訪れます。近くの「大川原駅」に特急電車も臨時停車します。

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 もみじの植栽に力を注いでおり、数年後には1万本を超える森となり、垂水市の「千本いちょう」と並んで、大隅地域の2大紅葉の地になるのではないでしょうか。  今後森の中には、植物の説明書以外の看板は一切なくして、自然の姿を守っていかねばなりません。

 キャンプ場管理事務所から5分の場所に「桐原の滝」があります。水しぶきをあげて流れ落ちる滝は爽快であり、周辺には春は菜の花、夏はひまわり、秋は紅葉、冬は椿の花が咲き、青い水とのコントラストが見事です。CMの撮影場所にも選ばれました。

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 車で10分の場所には霧島ジオパークのジオサイトのひとつ「三連轟」や縄文人が住んだ遺跡が残る「溝ノ口洞穴」があります。道路の幅が狭いので、離合や案内標識に注意しなければなりません。 



 少子高齢化が進み疲弊していく地域が多い中で、財部地域には元気な集落「中谷地区」の存在があげられます。宮崎県境にある山林に囲まれた水田地帯にあり、人口300人余りの限界集落ですが、地域ぐるみで地域活性化に取り組んでいます。

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 これまで知事賞や農林水産大臣賞、「共生・協働のむらづくり表彰」を受賞しています。平成22年7月、地区を記録的な豪雨が襲い、一夜にして多くの農道や道路が泥や流木等で埋め尽くされる大きな被害を受けました。


 しかし地区の団結の強さは災害にも負けず、「中谷地区むらづくり委員会」を中心に、用水路の整備や彼岸花の植栽を行うなど住民一丸となって復興に取り組み、ほぼ元通りの姿となりました。今美しい緑と水に恵まれた中谷地区の村おこしが注目されています。

 そのひとつに「ふるさとを思いやる会ゴッタン倶楽部」の取組があります。ゴッタンは、旧薩摩藩の領域だった鹿児島と宮崎の一部に古くから伝わる民俗楽器で、板三味線や箱三味線とも呼ばれています。

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 今回中谷公民館で、倶楽部の皆さんが、ゴッタンの音色を奏でて我々を歓迎してくれました。懇談会ではゴッタンの講習会も開かれ、手取り足とりの指導に参加者は皆さん大感激、踊りまで始まりました。出張も可能ということで宿泊ホテルで演奏する機会をつくっていただければと思います。

 霧島地域の宿泊施設に、ゴッタンの説明書や観光パンフレットを置くのも一つの方策です。ボランティアということですが、交通費や一定の出演料を収受することで、後継者の育成やスキルアップにつながるのではないでしょうか。

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 県境にある「関之尾の滝」には天然記念物の甌穴があり、滝とともに周辺の紅葉も見応えがあります。大川原峡、悠久の森、桐原の滝、三連轟、溝ノ口洞穴と続く、ルートづくりには欠かせない観光地です。


 今回の研修で感じたことは下記の点です。
 今回の参加者は、財部方面は初めての方が大半であり、身近にある観光地を関係者が知らないという現実にふれ、PRや現地研修の大切さをまず感じました。また、国道やJRの駅から大川原峡に至る案内板や渓谷の整備が必要です。散在しているゴミや、飲食施設の撤去を急がねばなりません。

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 次に悠久の森については、入口からの距離の表示、中間地点に自然にマッチしたトイレの設置、携帯がつながらない為緊急用の電話があれば、安心してウオーキングができるのではないでしょうか。また桐原の滝や溝ノ口洞穴に至る道路は、マイクロバスでも離合が厳しく案内表示が求められます。

 美しい自然が残る「悠久の森」一帯の魅力を県民もほとんど知らないのが実情です。交通手段はレンタカーやマイカーがメインとなりますが、行程や周辺の物産館の紹介も不可欠です。

 最近の観光客は安全・安心の食材を求めて、地域の直売所に立ち寄るケースが多く、顔の見える商品の品揃えが大切です。今回訪ねた「きらら館」はアクセスが便利な場所にあり、さらなる充実が求められます。

 最後に、財部地域は中谷地区をはじめ農業の盛んな地域です。団結の強さをグリーツーリズムに活かし、教育旅行の受け入れ態勢づくりが求められます。地区全体で一つの学校の受入が可能であり、ゴッタンのおもてなしも感動するのではないでしょうか。

 ゴッタンの講習会をしている公民館横のグランドでは、老人たちが大きな声を出しながらグランドゴルフに講じていました。いつまでも元気で明るい地域であってほしいと願って一首。

       里山の柿や紅葉は色づきて
                 ゴッタンの音(ね)に明日を思えり
                                      ~英光~

身近な場所に貴重な観光資源が~かごしまの石橋文化を訪ねる~

2013年12月9日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 

楓 橋 夜 泊  張継

月 落 烏 啼 霜 満 天
江 風 漁 火 対 愁 眠
姑 蘇 城 外 寒 山 寺
夜 半 鐘 声 到 客 船

 楓橋の近くに泊めた船の中で休んでいたが、チラチラする漁火に照らされた赤いもみじが眼にしみる。寒山寺から真夜中を告げる鐘の音が船まで届いてきた。何ともいえない旅愁をそそる旅人の心を歌にしたものです。

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 東洋の「ベネチア」と呼ばれる蘇州は、江蘇省の東南部、長江下流のデルタ地帯に位置する江南地方を代表する都市です。蘇州の旧市街から西に約5キロの場所にあるのが、「楓橋夜泊」に歌われている寒山寺です。蘇州は水郷を中心として発展し、いたるところに小さな石橋がかけられていますが、有名なのが江村橋とこの楓橋です。

 上海から1時間半の位置にある蘇州市の寒山寺は、大晦日の除夜の鐘で良く知られており、年末年始多くの日本人が訪れます。また、世界遺産で中国四大名園の一つ「拙政園」やイタリアのピサの斜塔と並び称せられる「虎丘」、冬の味覚「上海蟹」も有名です。鹿児島からの上海便を利用してぜひお気軽にお出かけください。

 ところで中国では隋~唐の時代からアーチ式石橋が独自に発展します。7世紀初め架橋された河北省の安斉橋には、洗練された意匠と高度な技術が使われています。

 また、北京市の南西約15Kmの場所に「盧溝橋」がありますが、マルコポーロが「東方見聞録」の中で「世界中どこを探しても匹敵するものはないほどの見事さ」と書いた橋です。「日中戦争」の発端となった衝突事件が発生した場所で、源頼朝が征夷大将軍に任命された1192年に架橋されています。今では観光地として多くの人が訪れます。

 鹿児島でも江戸時代に造られた石橋を見ることができます。 石橋記念館展示解説書 鹿児島城下と五石橋によると「近世鹿児島の城下町は、鶴丸城を中心に整備され、文政9年(1826年)には人口が約7万2千人達し、名古屋、金沢と並ぶ有数の都市になります。

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 しかし、西から南へ城下を囲むように流れる甲突川はたびたび氾濫する暴れ川でした。天保9年(1838年)の氾濫を契機に、新上橋から下流の河川工事が行われ、合わせて4つの木橋を石橋に架け替え、さらに玉江橋が新しく架けられます。


 石工は肥後(熊本)から招かれた岩永三五郎で、4キロメートルの区間に5つの長大石橋が架かる城下町が誕生することになったのです。架橋に至る経緯が書かれています。

 その五つの石橋は、創建以来150年余の間、鹿児島市内の街々を結ぶ重要な橋として利用されてきました。しかし平成5年8月6日の集中豪雨で2つの橋(新上橋と武之橋)が流失したことから、残された3つの橋(玉江橋、高麗橋、西田橋)を貴重な文化遺産として後世に残すことになりました。5石橋の歴史や架橋技術を伝える「石橋記念館」が整備され、石橋記念公園として平成12年にオープンしました。

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 かつて薩摩藩主が参勤交代で通行した西田橋は、石橋記念公園に、また、高麗橋と玉江橋は隣接の祇園之洲公園に移設されました。特に城下の玄関口にあった西田橋は、欄干の擬宝珠や扇状の石積みなど薩摩藩の威厳を示す豪華な橋として造られています。

 NHKの大河ドラマ「篤姫」では、江戸に興入れの際の一行の行列シーンが撮影されました。アーチ越しに眺める桜島の絶景はすばらしく、旅番組や映画のロケもよく行われています。橋の下の「水の流れ」は、水道水が循環されており、子供たちの格好の遊び場として提供されています。一日遠足や家族連れで弁当を広げているシーンを見かけます。

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 石橋記念公園では、全国的にめずらしい子供ガイドが活躍しています。授業の合間に勉強を重ね、休日には観光客にガイドを行っており、大好評を博しています。子供の頃から地域の歴史に親しみ、おもてなしの心を習得することは観光鹿児島にとって大変ありがたいことです。

 その努力に対し心から敬意を表したいと思います。資料館も公園も無料開放となっており、皆様もぜひ石橋記念公園を訪れて鹿児島の石橋文化を学び、公園から見る桜島の雄大さを確認してください。

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 石橋記念公園の周辺には多賀山公園、仙巌園、水族館、桜島桟橋、ドルフィンポート等など散策コースとして楽しめるスポットが点在しています。一方では、鹿児島駅を基点に、海岸線等の整備も急がれます。


 また、磯地域の5つの近代化遺産群が、2015年世界文化遺産への正式登録を目指しています。2018年は明治維新150周年の節目の年を迎えます。これからイベントの開催も多くなりますが、身近にあるすばらしい歴史遺産や観光施設を訪ねて、鹿児島の先人たちの偉業とその価値を確かめ、国内外に発信することが求められているのではないでしょうか。

参考:鹿児島県立石橋記念公園 鹿児島県発行

「第6回かごしま観光人材育成塾」を開催~おもてなしの極意は人の感動にあり~ 

2013年12月2日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 今年もカレンダーが1枚となり、街角にはジングルベルの音が賑やかな季節となりました。年末年始は日並びが良く、観光関連業界の方にとっては明るい話題ですが、おもてなしの心を持って対応したいものです。

 県内の観光の概況は、宿泊客数で見ると5月から前年を越えて、9月までは前年をクリアーしており高止まりで推移している状況です。今年は奄美群島日本復帰60周年、屋久島世界自然登録から20年、イプシロンの打ち上げ成功や佐多岬の無料化等による大隅地域への観光客の増加、関西、中国地域からの修学旅行専用列車の運行による教育旅行の増加、インバウンドの好調等に支えられています。

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 また、「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連施設」が、ユネスコの世界文化遺産への推薦が決定し、2015年に正式登録を目指しています。県内には5つの遺産群がありますが、県民がその価値を認識し、明治日本の原動力になった薩摩藩の偉業を世界にPRして行かねばなりません。

 ところで日本の人口はこれから減り続け、少子高齢化が顕著となり、鹿児島県では30年後には、約40万人減少します。地域の活性化には交流人口の拡大が不可欠であり、観光振興による地域づくり・観光地づくりが求められています。

 観光客誘致には、地域素材の商品化やPR戦略が不可欠であり、人材育成も欠かせません。その手法を学ぶ一つとして、今年も「第6回かごしま観光人材育成塾」を開催しました。従来の2日間全講座受講から、希望の講座だけでも受講できるように変更したこともあり、過去最高の86名の参加者がありました。

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 今年の講義の主眼は、明治維新150周年を5年後に控えて、かごしまの魅力をどのようにPRし、誘客に繋げていくかでした。 全国的に話題となっているJR九州の列車「ななつ星in九州」の取組や、観光振興に特に力を入れている薩摩川内市の観光客受入態勢づくり、誘客に欠かせないおもてなしの心の極意等について学ぶ7つの講座を開催しました。



 まず、県観光課の森対策監が「鹿児島の観光の現状と佐多岬の今後の展望について」、5月から宿泊観光客が増加している現状や、外国人誘致の重要性についての説明がありました。九州本島最南端の佐多岬については、無料化以降前年の2倍近い観光客が訪れている現状や今後の開発・整備についての概要の報告がありました。

 特に最南端佐多岬への入込客を増やすことが、大隅地域だけではなく、薩摩半島の活性化につながるとの指摘がありました。かつての賑わいが復活すべくこれからの整備が楽しみです。

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 第1講座は、霧島山上ホテル営業支配人の内山竹文氏が「まちの駅ネットワークを活かした地域づくり」について講演しました。
 まちの駅は、「みちの駅」に比べて認知度は低いものの、設置数は138駅にもなり、今では観光を強く意識した取組も行っています。「休憩」、「案内」、「交流」、「連携」のルールのもと、観光客が迷った時に何でも相談できる「よろず相談所」の役割も果たしています。

 地域コミュニティの活性化のために「ストリートピアノ」を11台寄贈するなど、社会奉仕にも取り組んでいます。また、「まちゼミ商店塾」を開催し、人と人、そして経済が循環する活動等まちづくりに取り組んでいます。200の駅づくり取組むという力強い発表もありました。県内全域のネットワークを活かし、地域産品の販売や観光PRなど大きく飛躍できる仕組みが出来上がりつつあると感じます。

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 第2講座は、有限会社 オフィスフィールド代表 砂田光紀氏が、「★鹿児島ななつ星プラン★民官チームで描く最良の観光未来像」として鹿児島をどのようにデザインしていくか」について講演しました。砂田氏は、来年いちき串木野市にオープンする「薩摩藩英国留学生記念館」を手掛けており、1865年の旅立ちを思い出させるそのコンセプトについて詳しく語りました。

 また、観光が「地域を開き発展の一助となり、定住促進につながり雇用や生きがいを生み出す。住民とっても快適な豊かな生活がそこにあることが求められる。デザインが観光の真の価値をもたらす」と携わる人の周辺や立ち振る舞いが問われると厳しい注文を付けました。海外の街並や伝統的文化財を例に「古きを守り、新しきを拒まず」の姿勢を貫くことが大切であると説いていました。

 仙厳園地域一帯の「近代化遺産群」、が世界文化遺産に推薦することが決定した今、都市と地方の未来像と「鹿児島ならでは観光」の創出について考えさせられる講演でした。

 第3講座は、山口県観光連盟の専務理事松井邦昭氏による「薩長連携による観光振興と紙芝居を通した地域づくり」でした。薩摩と長州は明治維新に深く関わり、また観光客誘致においても連携した取組を推進しています。

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 紙芝居への取組は、平成20年から始まりイベントへの参画、ボランティア活動を通じての地域振興に役立てています。また、紙芝居を通じて高齢者の生きがいや社会参加の促進等幅広い波及効果が表れています。


 現在我々の日常生活における娯楽は、テレビや映画、ゲームなど一方向のメディアです。紙芝居は読み手と観客の双方向のメディアであり、特に人間的な温かさが必要であり、そこに詠み手の演技力も問われますが、松井専務の演じる姿は、プロ顔負けの演技でした。鹿児島でも各地に残る民話を紙芝居に変えて伝えるのも一つの方策ではないかと思います。  

 第4講座は、JR九州のクルーズトレイン本部次長の仲義雄氏が、『JR九州の地域づくり戦略「ななつ星in九州」』について講演しました。

 10月15日からスタートした列車は、3泊4日コースの最高金額が55万円もする豪華な旅ですが、来春6月の出発分までは完売となっています。なぜ今この豪華列車に人気が集まるのか、JR九州の熱い想いが語られました。

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 唐池社長と水戸岡デザイナーの二人三脚での一流・本物へのこだわり、車内で使われている調度品の選択にも熟慮を重ね、微塵の妥協も許さない姿勢が随所に見られます。九州という地を売るため、ターゲットはヨーロッパの客層であり、そのことが九州各県のPRにつながるという壮大な考えが、ななつ星の魅力を作り上げていると感じました。

 ななつ星の構想発表以来、メディア効果は100億円を超え、製造コスト33億円の3倍以上となっています。社員教育に1年を重ねるなど、おもてなしの心にも細心の注意を払う姿勢にも感激しました。今後どのように進化していくのか夢多い列車です。

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 第5講座は、観光ネットワーク奄美の水間忠秀氏が、「奄美のエコツアーの歩みと世界遺産登録に向けた取組」について講演しました。奄美群島は、特異な動植物群の生態系が保護されていることから、本年2月「世界遺産暫定一覧表」に「奄美・琉球」を記載することが決定しました。

 水間さんは日頃から、観光客に美しい奄美の自然の姿を案内しながら、動植物の保護に努めています。自然と観光が共生することの大切さを強く訴えており、小さな虫一匹も轢かないように車の運転にも気をつけている姿勢が講義の中で感じられました。世界遺産登録に向けて今後の活動が楽しみであり、県民ももっと奄美の自然の美しさを学んで欲しいと思います。

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 第6講座は、「薩摩川内市のシティセールス~観光による地元盛り上げ作戦」と題して、薩摩川内市の古川英利氏が講演しました。薩摩川内市は九州新幹線の終着駅一つ前の駅であり、全線開業後も苦戦が予想されていました。


 地域の活性化には交流人口の拡大が不可欠であり、周辺の観光資源の磨き上げと商品化が必要と考え、着地型観光の推進(きゃんぱくの開催)、甑島の商品化、観光人材の発掘、観光協会と特産協会が合併した株式会社の設立、高速船の運行(24年春予定)等新しい取組を次々に推進しています。地域サポーターが4300人を超え、住民を動かし地域を愛する人が育っていることが薩摩川内市の強みです。

 これといった観光の目玉がない中で、地域をいかに盛り上げるかの取組がひしひしと伝わってくる講義内容でした。自治体からの参加した人にとって良い研修の場になったと思います。

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 第7地講座は、「おもてなしの極意」と題してのトークショーでした。旭交通のドライバーで、顧客から多くの礼状が寄せられている稲満和明氏と、JTBの顧客満足度90点以上を13年連続受賞している城山観光ホテルで、フロント業務を担当している西田朱里さんです。お二人とも常におもてなしの心を持って顧客に接しており、企業の信頼度アップにも貢献しています。

 稲満さんは日頃から地域の観光地を廻り勉強し、各種の試験も受けて資格を取る等自己研鑚に努めています。知覧の特攻記念館にある兵士の手記を暗記して、車中で観光客に語る等涙ぐましい努力をされています。その一端を会場でも披露されました。 また、自分はタクシードライバーとして、当然のことを自然に日々行っており、そのことで評価されることについて謙遜されていました。

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 西田さんは、忙しいフロント業務でもいつも笑顔を絶やさず、外国語の会話や業務知識の習得に勤しんでいます。クレームへの的確な対応処理、帰路につく外国人に対して航空券の手配等献身的に対応し、感謝の礼状が届くなどおもてなしの達人でいらっしゃいます。二人とも常に満足を超えた感動・感激を提供しています。このような従業員が増えて欲しいと願うばかりです。

   今回の講師の方々はそれぞれの部署で活躍され、経験とそれに裏打ちされた話は、皆さんの心を捉え、これからの業務に必ず役立つものと信じます。 地域づくりには、人材の育成が重要と考えています。今まで人材育成塾を受講した方の多くが、それぞれの地域で頑張っていることは、鹿児島の観光にとって大きな財産となっています。

   2014年には「薩摩藩英国留学生記念館」のオープン、甑島航路への水戸岡氏デザインによる観光高速船の運航、2015年には「国民文化祭」の開催、2016年は薩長同盟、霧島への坂本龍馬新婚旅行から150年と続きます。 そして2018年が明治維新150周年の節目の年になります。それぞれ節目の年でイベントが予定されています。

 この講座を受講された方々が、地域でのイベントに積極的に参画し地域活性化に取り組んでいただけたら幸いです。来年の参加もお待ちしています。

第30回国民文化祭・かごしま2015の開催の意義とは~文化を県民の身近なものに近づける好機に~

2013年11月25日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 甲斐の守護大名であり、軍旗に「風林火山」の文字を掲げ「甲斐の虎」の異名を取った武田信玄(晴信)は、領国経営に優れた戦略家といわれています。

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 「甘柿も渋柿も、ともに育てよ」、「渋柿は渋柿として使え、継木をして甘くすることなど小細工である。」、「晴信の弓矢は欲の為でなく、民百姓を安楽にするためだと民に知らせれば、わしが軍を進めるのを待ち望むようになる。」、「人は城、人は石垣、人は掘、情けは見方、仇は敵なり」等多くの名言を残しており、現在でも通用する組織運営や人身掌握の術を語っています。

 甲府駅前には高さ3.1mの台座の上に、同じ高さの信玄侯の銅像が鎮座しており、像は川中島の戦いの陣中における姿を模したものといわれ名将にふさわしい堂々とした姿です。

 その山梨県で「第28回国民文化祭・やまなし2013」文化まるごとフェスティバルが開催され、第30回鹿児島大会の参考にするため視察に出かけました。富士山が世界文化遺産に正式に登録されたこともあり、夏は観光を兼ねた参加者が多かったと関係者が語ってくれました。

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 県立図書館会場で開催された茶道の祭典には、多くの県民が訪れており、日本古来の文化に親しんでいるようでした。隣の会場では華道の31の流派の作品の展示がされており、足を止めて静かに観賞しているご婦人方を多く見かけました。


 また、初めての経験でしたが、公益財団法人「お香の会」による香木の香りを聞く会に参加しました。香二種四包を聞き、各々の聞きに応じて名目を書き添える優雅な香の世界に浸る遊びです。  次の歌が証歌となっています。

        秋風の 吹きあけにたてる 白菊は
                花かあらぬか 波の寄するか
                          ~古今集 菅原道真~

 めったに体験できない伝統文化ですが、「公益社団法人お香の会」の事務局長は鹿児島の大会にも参加したいと意欲を語ってくれました。鹿児島での再会が楽しみです。

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 秋のステージ総合フェスティバル閉会式は、富士吉田市で開催され、大会の裏方で活躍した県民やボランティア団体、次期開催県秋田県の関係者の姿がそこにあり、富士山のモチーフやナマハゲに扮した人物も登場し印象的なフィナーレでした。


 来年の開催県に大会旗が引き継がれ、10ヶ月にわたる大会の幕が下ろされました。 来年の秋田での閉会式では鹿児島大会を印象付け、参加したくなる余韻を残す演出が必要ではないかと思いました。

 鹿児島大会の意義は、県民一人ひとりが先人が創り上げてきた誇るべき鹿児島の風土や文化芸術に触れ親しむなかで、我々が「違い」に寛容で、進取と含羞の心を併せ持つ「鹿児島県民」であることへの誇りを共有し、再認識することです。

 また、県、国境を越えた地域や人々との連携交流などから生まれる新たな文化芸術の創造や脈々と受け継がれてきた伝統的な文化芸術の価値や重要性を尊重しつつ、未来へと繋ぐ契機となるような国民文化祭にしたいとしています。(大会要綱から抜粋)

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 開催期間は、
(1)主催事業 2015年 10月31日(土)~11月15日(日)[16日間 ]
(2)協賛事業 2015年  7月 ~ 11月 [5か月間 ]です。
 テーマは、「本物。鹿児島県」~文化維新は黒潮に乗って~で、  愛称は、「ひっとべ!かごしま国文祭」となっています。

 県内全ての43市町村で何らかの文化イベントが開催されることから、地域での国民文化祭への関心を高めることが第一です。各自治体ではすでに実行委員会がスタートしていますが、来年の秋田大会には関係者が参加し、多くの来訪者の誘致につなげてもらいたい。

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 ところで文化イベントは、集客が難しい大会です。そのためには、地域の自然や文化、 周辺の観光地などを定期的に所属団体にPRするなど情報発信力が問われます。さらに、参加者との事前の接点を増やす努力や「お茶一杯の心」、「お客様に手を振る」等地域のおもてなし醸成の機運を高めていかねばなりません。

 鹿児島大会は離島でも各イベントが開催されることから、大会スローガンにある黒潮に乗ってのイメージを大切にしたいと思います。県内には28の有人の離島がありますが、それぞれ独特の文化や風土があり、観光を兼ねて多くの大会参加者が島に行くことが考えられます。世界自然遺産、ロケット基地、島唄、美しいサンゴ礁の魅力等が旅情を誘います。

 また、2015年は、「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」が世界遺産登録を目指しています。鹿児島の近代化産業遺産が5つ含まれており、関心を集めることになります。国民文化祭において、薩摩藩が日本の近代化に貢献したストーリーを発信し、その価値を知るいいチャンスにしなければなりません。

 教育の現場でも、地域の文化を知る機会を増やし郷土愛を育てるきっかけにしてほしいと思います。開催まで県民の関心をいかに引き寄せることができるかが問われています。

地域を知ることの大切さ~故郷の山に登りかごしまの魅力を体感しよう~

2013年11月18日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 霧島市の牧園町にある霧島ホテルでは、従業員有志によるトレッキング部が発足し、火口湖めぐりや韓国岳登山、大浪の池めぐりを実施しました。部員は現在15名で、フロント、客室、調理、警備等管内の多くの部署から集まっており、職員の結束とホテルのPR強化につながると信じます。

 霧島に住みながら初めての登山の方もおり、今後宿泊客に対し積極的な情報伝達ができるのではないでしょうか。特に若い職員には山歩きの注意点やコースの特徴など自らの足で体験できたことは、大きな収穫と思います。 霧島には温泉の魅力に惹かれた観光客が大半ですが、連泊して楽しんでいただくには、職員自らが霧島山の季節ごとの魅力を知り、それらの魅力を職員自らの言葉で語ることが大切です。

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 また、観光客は施設の魅力ではなく、地域の魅力に惹かれます。職場などで、観光客を温かくお迎えする心を醸成するなど、地域総力戦で取り組む必要があります。来られた方々が、「また来たい」と感じられる魅力ある地域であり続けることが大切です。霧島ホテルの動きが霧島地域全体に広がる取組になることを期待します。

 リピーター創りには強力なリーダーシップのもと、人材育成も欠かせません。なお一層のサービス態勢づくりが必要であり、日頃と変わらないおもてなしが何よりも求められています。

 一方、宿泊施設に恵まれた鹿児島市、霧島地域、指宿地域から、周辺地域に観光客を広げることができるかが、鹿児島への観光客の安定的確保につながると信じます。 誘客活動は激化しており、常に新しい感動に出会えるというワクワクする情報を提供し ていく必要があります。

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 観光客が求めているものは、地域のオンリーワンの情報です。「今だけ、ここだけ、あなただけ」の情報をタイムリーに届けて行くことが重要です。生産者が運営している直売店や居酒屋など地域を感じる店等、「本物。鹿児島県」の魅力を積極的に提供することが求められています。

 県のホームページを英語、韓国語、中国語(簡体語、繁体語)の表示にしていますが、 海外からのアクセスもかなり増加しています。バナーを増やすなどワンストップで検索でき、シームレスな情報提供に向けて努力していきたいと思います。

 毎年2,000万人を超える入場者数を誇る東京ディズニーランド(TDL)は、リピーター率が、2回以上で98%と驚異的な数字となっています。社員、アルバイトが同じ気持ちで、入場者(ゲスト)に対し「おもてなしの心」をもって接しています。常に社員教育に力を注いでおり、「子供とは同じ目線で話をする」、「トイレは子供が遊べる状態に掃除を徹底する」、「誰に尋ねても園内のことは答えることができる」等サービスに対する徹底がなされています。来園者に常に感動を与える姿が支持を得ています。

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 県と観光連盟では観光関連業界の皆様を対象に、「おもてなしの心」を徹底すべく研修会を定期的に実施してきました。サービスの改善に努めている機関も多くありますが、クレームが発生しているのも事実です。乗客に名前を名乗り、挨拶を励行し評判の良かったタクシー会社が、最近では挨拶もしない運転手が多くなっているのが気になります。 「観光立県」の確立には、県民一人ひとりの「おもてなし」が不可欠です。

 鹿児島県は南北600キロメートルに及び、鹿児島市から大阪市までの距離になり、また、有人の離島が28あるなど観光資源は豊富です。子どもたちは学校を卒業すると県外の大学や企業に就職する生徒が多く、ふるさとを離れてしまいます。生まれた土地の魅力をできるだけ多く吸収して旅立ち、県外でのPR役を務めて欲しいと願っています。

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 ところで鹿児島県の人口は、1956年(昭和31年)には210万人でしたが、2010年(平成22年)の国勢調査によると、約170万人となっています。これからも人口は減少し、2030年には145万人になると予想され、25万人も減少します。 これからは交流人口の拡大は地域活性化に欠かせない取組です。

 地域に行くと、自分の町には観光客が来るような魅力はありませんと、そっけなく語る人が多いのは残念なことです。日本人の国内旅行は成熟しており、温泉地で豪遊し、名勝旧跡を主とする観光客は減少しています。観光客は、地域に残る行事、祭り、神社・仏閣、地元の人が食べる食材や居酒屋、田舎流のおもてなし、地域で輝いている人等に魅力を感じます。住民が地域を知ることにもっと力を注ぎたいものです

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 新規顧客の開拓には、リピーターを確保するより大きなエネルギーと時間を要します。来ていただいたお客様を大事にし、リピーターに変える努力が今必要です。都会からの誘客に力を注ぐことも欠かせませんが、まず地元の客を大事に、何回も訪れたくなる施設・地域になることが求められています。


 2年後に世界文化遺産の登録を目指す「集成館事業」の価値を県民が知り、「日本近代化の原点は鹿児島にあり」と世界の人々に伝えることが、県民としての誇りであり永続的な誘客につながると考えます。

 民俗学者で知られた宮本常一は、父から旅に出たら地域の一番高い所に登り、町の景観を確かめよと諭されたという。皆さんも故郷の山に登り、住んでいる我がまちの魅力を確認しませんか。

  ふるさとの 山に向かひて 言ふことなし
               ふるさとの山は ありがたきかな  ~石川啄木~

心がなごむ時を持とう~見えないものに感謝する心の大切さ~

2013年11月11日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

     けふもまた こころの鉦(かね)を うち鳴らし
                    うち鳴らしつつ あくがれて行く
                                     ~若山牧水~

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 会社の行き帰りに利用するバス停の近くに、小さなお地蔵さまが立っています。誰が掃除をしているのか、いつも小さな季節の花が飾られています。私は毎朝必ずこのお地蔵さまに手を合わせて、「いつも見守ってくれてありがとうございます。今日も一日よろしくお願いします」と数秒頭を垂れます。こうすることで、なんとなく心が落ち着き安心して一日がおくれるのです。


 松尾芭蕉の「奥の細道」では、旅に誘う神様として道祖神が冒頭に登場します。

 月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり。舟の上に生涯を浮かべ、 馬の口とらへて老いを迎ふる者は、日々旅にして、旅を栖とす。・・・・途中略
 やや年も暮れ、春立てる霞の空に、白河の関越えんと、そぞろ神の物につきて心を狂はせ、道祖神の招きにあひて取るもの手につかず、ももひきの破れをつづり、笠の緒つけ替へて・・・・・・以下略     「奥の細道」より

 かつて民間の旅行エージェントに勤めていたころ、添乗員として国内外に多くのお客さまをお連れしていましたが、そのお客様の道中の無事を祈り、朝夕近くのお地蔵様に頭を下げる習慣が身に着きました。信州の安曇野の里を歩くと、500体を超える道祖神に会うことができ、昔から地域の人々の暮らしや旅人の安全を見守っているように感じられます。

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 鹿児島でも農村地帯を歩くと、ユーモラスでにこやかな顔をした田の神様(さあ)が、田畑の片隅やあぜ道の曲がり角に鎮座しいています。姿も様々で、手にしゃもじやたすきを持ったものや、頭にシキの網目の傘、田植えをしている姿など見て回るだけでも楽しいものです。南九州の農村地帯ではおよそ2000体あると言われています。

 大地に生きる人たちは、風水害や干ばつなど人の力ではどうすることもできない自然の脅威を、昔から伝え聞いて育っています。だからこそ太陽、水、風、土など自然に日頃から感謝する心を持ち「今年も豊作でありますようにと」と石像を作り祭ってきたのです。

 小生が子供のころは、田の神様を1年ごとに持ち回りで農家に預ける習慣があり、集落の若者が籠に乗せて次の家に運んでいました。預かった家では、守り神としてひな壇に据えて、毎朝掃除とお供え物をしていました。県内には姶良、加治木、蒲生周辺や大隅地域にさまざまな形をした田の神さまが見られます。稲刈りの終わった田んぼを歩くと、ほほえましい田の神さまに会うことができ、先人たちの心に思いをはせることがあります。

 ところで日本人は初詣で神社やお寺に参拝する習慣が定着しています。境内に掲げられた絵馬には、「大学受験に合格しますように」、「家族全員が一年無事に暮らせますように」、「いい就職口が見つかりますように」等のお願い事が書かれています。

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 無理なお願いごとと思いながら、静かな祈りに時間を忘れます。旅の途中車中からでも通りすがりの神社に手を合わせ、また道すがら出会うお地蔵さまに自然と頭を下げることで、感謝の気持ちが生まれ、心に余裕ができるのではないでしょうか。


 県内には、日本一のお地蔵さまが出水市の八坂神社の境内にあります。一刀彫りの石像で台座まで含めると高さが4・15mにもなります。近くに寄るとさすがにその大きさに驚かされます。

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 また、近くの箱崎八幡神社の境内には、日本一の大鈴があり、直径3.4m、重さ5tにもなり総金箔の鈴で作られています。社殿、神門の上に吊下がっている光景は、参拝者の度肝を抜く感じです。

 米どころ出水平野には今年もツル飛来の知らせが届きました。冬の訪れが近いことを知らせてくれます。来年の初詣はこの2箇所を廻り、縁起もののツルを見学し御利益を祈願したらいかがですか。

 小さいころから人だけではなく、見えないものにも感謝する心を持つということは、大切なことと思います。
           参考 かごしまよかとこ100選:かごしま再発見「浪漫の旅」

PR大使の笑顔が観光かごしまを支える~ひとの印象が旅行先の決定に~

2013年11月5日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

それとなく 郷里(くに)のことなど 語りいでて
                  秋の夜に焼く 餅のにほいかな
                                       ~石川啄木~

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 九州新幹線全線開業から3年目に入りましたが、県内に宿泊する観光客の数は、5月以 降前年を上回り、各地域とも必死に頑張っている姿が数字に表れています。夏から台風の 接近も多く大きな被害が心配されましたが、24号による与論島の被害を除けば、大きな 被害は発生していません。与論島の復旧を急ぐとともに、これ以上台風が来ないことを祈 りたいと思います。

 ところで消費者が宿泊先を決める要素として、インターネット、旅行社、パンフレット、 雑誌等からの情報収集があげられますが、最後には行った人の口コミをあげている人が多く、人の伝えることの重要さが問われています。

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 鹿児島には「心温まるおもてなしの心」を実践する人がたくさんいらっしゃいますが、 観光の顔として地域を売り出すのが、親善大使やPR大使です。 その役割と「おもてなしの心」の極意を学ぶ研修会が開かれ、県内12地区から23名 のPRレディーと2014ミスユニバースの鹿児島の最終選考会に残っている3名の26名が参加しました。

 最初に県観光課の倉野課長が「鹿児島県の観光事情」と題して、入込状況や観光振興策等を説明しました。PR大使にも鹿児島の観光の概要を理解して、今後の活動に活かして欲しいと思います。

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 11月2日で任期が終わる鹿児島市の「かごしま親善大使」である田中瑛子さんは、「親善大使の役割とは何か」、「親善大使として活躍するための大切なことはなにか」について、1年間の実践を通して感じたことを解りやすく話してくれました。


 「大切なのは技術よりも心。一生懸命な想いは聞き手に必ず伝わる。」とまた、「興味ある分野だけでも、知識を深める」、「自分なりの切り口で、鹿児島を再発見、再体験することが、自分のPRの幅を広げてくれる」と自ら地域を知ることの大切さについて自信を持って語ってくれました。

 最後に「親善大使の役割は「プロ」には出せない、鹿児島を愛する一市民としての等身大の情熱でかごしまをPRすること」、「生き生きとして活躍するには、自分なりの見つめ方、学び方、感じ方で鹿児島の魅力を再認識し、それを自分の言葉で伝えること」と語りました。自分のありのままの姿が鹿児島の印象となる、いつも笑顔を持って対応することの大切さを述べていました。

 田中さんの自信に溢れた堂々とした発表の姿に1年間の活動の成果が凝縮されているように感じました。彼女の今後の活躍に期待したいと思います。

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 今回の研修会では、講師の中村朋美さんがPR大使としての「大衆の前での話し方」、「座るときのマナー」、「おもてなしの仕方」、「名刺の受け取り方」等について2時間あまり実践スタイルで講義しました。各PR大使も中村講師の緊張の中にユーモアあふれる話に、後半は楽しく勉強していたように感じます。

 これからの親善大使、PR大使に望むことは次の点です。
・自ら地域を愛し語れる人になってほしい。そのためには、日頃から地域を回り、歴史、 食、温泉、自然、農水産物、観光施設等を知ることが大切です。特にストーリーを交えて自分の言葉で地域を楽しく語れる人が印象に残ります。

・観光客は訪れたい地域の情報を、出来るだけ多く事前に収集したいと考えています。 周辺の市町村の魅力やアクセス等にも理解を深めることも大切です。最近の観光は個人旅行が主流であり、地域の生活・文化を語ることも求められます。説明会の会場では、地域を覚えてもらうためには、名産品や歴史上の人物、スポーツ等で活躍している人を例に出し、郷土色を出すのもいいと思います。

・滞在したときの「時間」の過ごし方や「情報」を伝授する場所でもあります。「鹿児島の人が行く温泉や食を堪能したい」「明治維新のルーツを訪ねたい」、「もう一度大使の住む鹿児島の魅力を知りたい」等、かごしまのファン作りに努力して欲しい。  

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 今回の研修会でPR大使同士のコミュニケーションも深まりました。相互に切磋琢磨し ながら、実践力を培って鹿児島の観光の誘客に努力して欲しい。 鹿児島の観光は、地域の人々の日頃の情報発信やおもてなしの心で支えられおり、PR 大使の発する微笑みや印象が、鹿児島に行ってみたい旅心を誘う役割を担っています。

 鹿児島中央駅前では、時々各県の親善大使やPR隊が誘客宣伝を行っており、皆さん一生懸命努力されている姿が伝わってきますが、他の地域との魅力の違いがはっきりせず、物産の提供におわれているように感じます。「わが地域の売りはこれです。来ていただければこのような体験ができます」等の強力なアピールも必要です。

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 東京オリンピック招致会場における滝川クリステルさんの「お・も・て・な・し」のPRは歴史に残る最終プレゼンでした。 観光地の最終的な評価は人です。県民一人ひとりがPR大使に負けず観光客を温かく迎える取組を定着させたいものです。

「ななつ星in九州」の運行開始~最高のおもてなしでかごしまの思い出を提供しよう~

2013年10月28日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 JR九州の豪華寝台列車「ななつ星in九州」(以下ななつ星)の第一便が15日、博多駅を出発し大分、宮崎県を通り16日、霧島市の隼人駅に到着しました。豪華列車を一目見ようと地元住民や、鉄道ファンなど約2000人が小旗を振って出迎え、ホームや駅は賑わいました。

 乗客たちは、鹿児島神宮で初午祭で披露される「鈴懸け馬踊り」を見学し、宿泊地である隼人町の温泉地に向かいました。乗車したバスの豪華さに、見物に来ていた多く方から感嘆の声が上がっていました。駅前では、地域づくりに頑張っている若者たちが、「ななつ星」の"7"にこだわり、7本で7,777円の焼酎セットを販売し、少しでも地域の発展につなげようと頑張っている姿が印象的でした。

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 「ななつ星」はJR九州が約30億円かけた国内初のクルーズトレインで、ワインレッド色の鮮やかな車体が青空に映え、一段と豪華にみえました。 客車5両とラウンジ車、ダイニング車、機関車の8両で構成され、客室は14室で定員は30人となっています。

 一人当たりの料金(2名1室利用の場合)は最高客室で55万~56万6000円と高額になりますが、来年の6月出発分までの国内向け予約はすでに完売となっています。JR九州の発表によると、申込者は年代別では60歳代が26%と一番多く、50歳代と続いています。仕事をリタイアし、時間と経済的に余裕のあるシニア世代が多いのが特徴です。

 豪華列車の代名詞といえば、1883年にパリとインスタンブール間に就航した「オリエント急行」が知られています。アガサクリスティのミステリー小説や映画の題材にも登場しました。

 今ではオリエント急行の誕生当時を彷彿させる豪華寝台列車「ベニス・シンプロン・オリエント・エクスプレス」が、ロンドン~パリ~ベニスや、ベニス~フィレンツェ~ローマ、ウイーンやブタペスト行きが運行され、日本人向けのツアーも人気商品となっています。

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   国内では豪華寝台列車といえば、大阪駅と札幌駅を結ぶ「トワイライトエクスプレス」や上野駅と札幌駅を結ぶ「カシオペア」、「北斗星」が有名ですが、どの列車も予約が取りづらいことで有名ですが、「ななつ星」はさらに予約が取りにくい列車となっています。

 数十万円もかかる旅行代金は、国内の列車を利用した商品としては初めてであり、予約状況が心配されましたが、今年秋以降の分も7倍を超える抽選倍率となり、人気の高さを物語っています。

 鹿児島県は、始発の博多駅から一番遠いという地理的条件が、県内へのななつ星の運行につながっていると思います。 鹿児島に入るコースは、博多発が毎週火曜日で、大分、宮崎を経由して翌日の14時18分に隼人駅に到着し、宿泊は霧島市隼人町の温泉です。鹿児島市内の観光が木曜日となっており、その日の夕方肥薩線経由で熊本、阿蘇、大分と廻り金曜日に博多駅に着く3泊4日の行程です。

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 また、香港の最大の旅行会社「EGLツアーズ」との旅行商品への販売契約が締結され、アジアからの富裕層が増えることが予想されます。鹿児島への外国人観光客が増加することを考えれば大きな経済効果がもたらされます。県民としては、県内の温泉地が宿泊地として選ばれたことに対し、感謝するとともに今後とも最高のおもてなしを続けていかねばなりません。


 「いぶすきのたまて箱」が高乗車率を維持できているのは、錦江湾の景観の美しさ、沿線の住民が列車に手を振る歓迎の姿、指宿駅でのおもてなし等が定着していること等が口コミで広がり、一度は乗ってみたい列車の人気につながっていると思います。

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 ところで我々の時代は、1990年代後半までは長距離の移動にはブルートレインの愛称で親しまれた夜行寝台車が人気でした。西鹿児島駅(現在鹿児島中央駅)と東京駅を結んでいた「はやぶさ」、日豊本線を経由していた「富士」、新大阪駅とは「なは」や「あかつき」、等が運行され、車中で巡り合った人との飲み会は、時間を忘れて楽しんだものでした。

 その意味でも今回の豪華列車の運行は、チケットを入手することは困難ですが、一度は乗りたいという願望にかられる列車です。

 「ななつ星」自体が観光商品ですが、美しい街を走る光景は絵葉書きにもしたくなります。藪払いや古びた看板の撤去などに日頃から目配りするなど、沿線の景観整備には特に注意を払わねばなりません。

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 新幹線というスピードが売り物の列車に加えて、道中を楽しむというクルーズトレインの運行は鹿児島にまた、新しい魅力をもたらしました。「第6回かごしま観光人材育成塾」では、JR九州の仲義雄氏を講師に迎えて、《JR九州の地域づくり戦略「ななつ星in九州」》と題して講演をしていただきます。

 「ななつ星」が走り、乗客の宿泊地に選ばれたことは、「本物。鹿児島県」の知名度をアップさせる好材料が揃いました。いつまでも大事に育てていきたい列車でありたいと思います。

スポーツ合宿15万人を目指して~地域連携とホスピタリティをいかに提供できるか~

2013年10月21日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 「かごしまスポーツ合宿セミナーin関西」が、10日京都、11日大阪で開催され、両日で17大学56サークルから合わせて114名の学生が参加しました。

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 一昨年から京都と大阪と別れて開催しているのは、両地域の学生の利便性の確保や、同席することに遠慮がちになる気風をかんがみ、2箇所で実施しています。県内から13市町村の行政・宿泊・運動施設関係者も同席し、受入体制の状況や支援制度など詳しく説明し、誘客を図りました。

 垂水市からは尾脇市長自らトップセールスを展開されました。自治体のトップが参加することで、自治体の熱心さが解りサークルも安心して申し込みするのではないでしょうか。

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 相談会での意見は、学生が合宿地を決める要件として、「宿泊施設と料金」、「自由に使える運動施設」、「温泉と食の魅力」、「夜遅くまで懇親会ができる」、「近くに海水浴場や観光地がある」ことなどをあげていました。


 合宿終了後は、鹿児島の観光地を訪ねて帰る学校が多くあります。特に十分な練習時間が確保できることが、遠い鹿児島まで足を伸ばすことの大きな理由になっているように思います。チームによっては、鹿児島での宿泊地と練習会場が別の自治体となるケースもありますが、今後に繋げる意味でも各施設は温かく迎えて欲しいと思います。

 また、学生は夕食の後ミーティングを兼ねて遅くまで懇親を深める傾向があり、その点も理解して欲しいと思います。 学生が合宿地に求める条件には、宿泊先の近くにコンビニやコインランドリー、緊急の時診療を受けることができる病院があることが望ましいと思います。 自治体の担当部署と担当者を明確にし、合宿期間中の相談窓口を設けることが持続的に合宿地に選ばれる条件ではないかと思います。

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 セミナー終了後は、各自治体から提供された食材が料理されてテーブルに並び、生徒さんは鹿児島の食の魅力に感嘆の声をあげていました。 また、各施設から提供された無料宿泊券や「さんふらわあ」の乗船券が当たる抽選会もあり、いやがおうにもキャンプ誘致のセールスが盛り上がっていました。 関西でのセミナー開催効果もあり鹿児島で合宿をする大学は毎年増加しており、10年前に比べると倍増しています。

 スポーツ合宿のメリットは、一度に多くの学生が、数日に亘って宿泊するのが特徴です。今そのスポーツ合宿の受け皿づくりが、県下に広がりつつあります。 県の統計によると、平成21年度から2年連続で9万5千人を記録し、平成24年度は、12万2千人と過去最高となっています。

教育旅行と人員では拮抗しています。増加している理由として、県に専任の担当者を配置していることや、官民による積極的な誘致活動を継続してきたこと、一度訪れたサークルの口コミ等で魅力が浸透していることがあげられます。

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 平成24年度は市町村別では、鹿屋市、南さつま市、志布志市、さつま町、鹿児島市の順で、鹿屋市と南さつま市が大きく伸びており、両市とも韓国からの学生が増えています。 11月には、関西地域から大隅地域への「かごしまスポーツ合宿招待ツアー」を実施し、誘致に繋げたいと考えています。

 ところで、プロのチームの誘致には、整備された冬芝のあるグランド、充実した宿泊施設、歓楽街が近くにあることなど条件が厳しいことが上げられますが、その点学生は、条件を多くは求めません。県内にある公的施設等でも十分と考えており、オフ時期の利用促進にもつながります。

 ここ数年学校の統廃合で、不使用のグランドや体育館が増えています。廃校が決定した有明高校の跡地には、「大隅地域スポーツ合宿の拠点施設整備計画」の検討が進んでいます。県内外のチームが利用したくなる施設の建設がのぞまれます。

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 また、学生の財政事情を考えると、一定の補助金の支援制度がある自治体も選択肢の条件ではないかと思います。今回参加の自治体は、宿泊日数に合わせて補助金を出しており、学生も候補地として決定しやすいのではないかと思います。


 従来の観光客誘致は、一般客や修学旅行を対象としたものがメインでしたが、これからは新たな需要開拓と、県下全域に波及効果をもたらす意味からも、スポーツ合宿の誘致は重要であり、受入態勢づくりを広げなければなりません。

 スポーツ合宿の誘致は、大規模な宿泊施設がない地域でも誘致が可能です。学生のスポーツ合宿を誘致することで、その後のリピーター化につながり、地域の活性化にもなります。

 2019年には鹿児島でのインターハイ、2020年には東京オリンピックが開催され、スポーツに関心が高まり施設の充実も進みます。プロチームやオリンピック事前合宿の誘致ができる環境整備も必要です。 3年後には15万人を達成すべく多くの自治体が今後もスポーツ合宿誘致に力を入れることを望みます。

 現在より2万人以上増やすためには、新たな学校と多岐にわたるクラブの勧誘、滞在期間の延長、補助金の充実などの取組が必要です。 今回のセミナーをコーディネートしたエージェントの話によると、他県で学生のスポーツ合宿に積極的に取り組んでいる県は少なく、九州では鹿児島県だけの取組であると語っていました。

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 「さんふらわあ」の協力態勢や県と各自治体が日頃から連携が取れているからこそ実施できるセミナーであり、今後も継続して開催していく必要があります。誘客にあたっては、各自治体は競争関係にありますが、それぞれの地域のマイナス部分を補完し合っていることも事実です。

 鹿児島県への観光客誘致にあたって、県外で他県の関係者と同席する機会が多くあります。県や各自治体、民間組織の協力態勢がうまく機能していることに他県の担当者は、学ぶべきことが多いと羨ましがっていました。 皆さんでスポーツ合宿15万人目指して頑張りましょう。

農業の6次産業化の推進を~生産者から経営者の育成を~

2013年10月15日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 南北600キロに及ぶ鹿児島県は、豊かな自然や多彩な観光資源に恵まれ、農業の産出額は、4,011億円にもなり北海道、茨城県、千葉県に次いで第4位となっています。また、観光客がもたらす消費額は3,538億円で、農業と観光は鹿児島の経済を支えている基幹産業です。(平成22年県政概況および観光交流局統計)

 特に九州新幹線全線開業による時間短縮効果で、関西から以西の観光客がのびていますが、鹿児島が誇る多彩な温泉や、世界遺産、歴史、文化、豊富な農水産物が観光客に喜ばれています。観光客と農業との接点をいかに多くつくることができるかが、地域に大きな経済効果をもたらすことになります。宿泊先では地元産品を提供し、農家はより新鮮なものを安定的に供給することが相互のメリットとなります。

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 今「道の駅」や農協・生産者の「直売店」が人気を集めているのは、顔の見える安全・安心の食材が魅力となっており、ドライブや旅行の帰りの立ち寄りどころとして定着しています。観光客は、「本物。鹿児島県」の魅力に気づき始めていると思います。


 一方、農産物は季節波動や価格競争にさらされ、鮮度の管理も難しいものがあります。原産品を調味料や干物、お菓子などに加工して観光客に提供できれば、販路の拡大にもつながるのではないでしょうか。

 農業の所得を増やすためには生産(一次産業)だけにとどまらず、加工(二次産業)、流通・販売(三次産業)まで手がける"六次産業化"が求められています。 一般的に農家が誰よりも立派なものを作っても、販売が他人任せでは他の人と一緒の市場に流れ、価格も市況に左右されます。

 自分の意図する値段で買ってもらうためには、「作った人の顔が見える」ことが大切です。作る人、買う人が一緒になって農業に参画していくことがこれからの農業には必要であり、農家の生きる道ではないかと思います。

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 零細農家の生きがいづくりとして、農家民泊の推進もその一つではないかと思います。 南さつま地域からスタートした農家民泊は、25年度は県下全域に広がり(一部離島を除く)、教育旅行の取扱が2万人を超えています。1泊2日の滞在期間、さつまいもや果物の収穫、家畜の世話など、日頃農家の方が行っている仕事の体験と民泊が子供達に感動を与えています。


 都市部に住む人にはグリーンツーリズムは人気ですが、従来から鹿児島に住んでいる人は、子供の頃から何らかの形で農業と関係し、また農村地域に住んでいた人も多く、農家民泊より、収穫体験やランチを組み合わせたメニューが人気を呼ぶのではと思います。 一方、鹿児島の農産物のブランド化、PRの強化が求められています。特に温暖な気候で鹿児島が優位性を発揮できる農産物の消費者へのメッセージが必要です。

 鹿児島が誇る「緑茶」や指宿地域で取れる早出しの「ソラマメ」のブランド化、沖永良部で収穫される春ジャガイモ、くだものでは、「徳光すいか」、「マンゴウ」、「パッションフルーツ」、「桜島小みかん」、屋久島の「たんかん」など、季節感と、地域を象徴するネーミングが必要であり、観光客にも収穫体験させることで、旅行の企画にも組み入れられます。また、最近注目を浴びている「薩摩なた豆」や「うこん」などの栽培拡大も課題の一つです。

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 熊本県の菊池市にある「コッコファーム」は、農業の循環型テーマパークです。地域との共生を柱に、「都市と農村の交流」、「農業の未来」、「地域の未来」、「環境の未来」の4つのテーマを掲げ、観光バナナ園、ふれあい館、健康館などをオープンし、その核となるのが年間93万人も訪れる「たまご庵」です。

 「たまご庵」のレストランでは、とれたての野菜やくだもの、新鮮な肉、たまごをたっぷり使った食事を楽しむことができます。体験工房では、自分たちで作った大豆を使って味噌や醤油づくりの体験もできます。また、蓋なしのダンボールに、バラに詰めたたまごを「三キロ入り朝取りたまご」として売り出したところ、1日に千箱も売れるほどのヒット商品となり、毎朝行列ができるほどになっています。

 近燐の住民をはじめドライブ帰りの観光客、貸切バスの立ち寄りも多く、多くのリピーターがおとずれています。売上高は23億円、167名の雇用も生み出しており、地域活性化に大きな貢献をしています。(平成23年実績)

 創業者の松岡義博会長は、【生活者にとって大切な農業は、「生産者の顔が見える」ということである。生活者は自分や家族が口にするものをどこの誰が、どんなふうにして作ってくれて、食卓に届けているのがわかると、買ってくれる人も安心できるし、一面では農業に参画していることになると思う】と語っています。

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 これから日本は人口減少が顕著となり、農業従事者も高齢化が進み農村地域の発展は厳しいものがあります。儲かる農業、生きがい作りのある農業を推進するためには、若い世代の就農者を増やすことが求められます。また、企業との契約栽培の拡大も安定的経営に繫がります。農業生産者で経営者の感覚を持った人を育て・支援することが重要と思います。

 地域はこれまで、自動車、電気、IC等の工場誘致に努めてきましたが、今ではその多くが海外に移転し撤退する企業も相次いでいます。これからは、地域の特産物を加工・商品化して売り出し、地域の雇用を確保することが重要ではないかと思います。

 観光による交流人口を増やし、地域を守るためには農業の発展は不可欠です。日本には美しい山河があり、各地においしい湧水が出るのは田畑があるからだと思います。 農業の六次産業化で雇用を増やし、地域を活性化していくことが問われています。

参考文献:コッコファーム創業者の「人生十訓」松岡義博

価格≪価値となるおもてなしの心を~リピーターの確保が企業の成長を支える~

2013年10月7日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 10月に入り、えびの高原のススキが色づき、コスモスは彩りが鮮やかとなり、秋の風に吹かれている姿が美しく感じられます。韓国岳や出水市にある上場高原は、今度の連休は賑わうのではないでしょうか。


 9月29日~10月1日の2泊3日の日程で、日本旅行作家協会のメンバーと関係者が初めて鹿児島を訪問し、県、観光連盟、4市(鹿児島市、霧島市、指宿市、南九州市)が協力して、受入の準備を行いました。

 会長は「不良老年のすすめ」、「二人暮らしを楽しむ」、「この1句 108人の俳人たち」等の著書で知られる元NHKアナウンサーの下重暁子さん、専務理事は、「YS―11世界を翔けた日本の翼」など、飛行機に関する著書で知られる航空評論家の中村浩美さんです。

 29日の夜霧島で開かれた交流会は民家を開放して行われ、地域の皆様手作りによる郷土料理に舌鼓を打っていました。旅行作家協会の会員の話では、民家を利用した交流会は初めてのことであり、周囲の景観がかがり火に映え、クラッシク音楽の演奏、太鼓や島唄、地元焼酎等のおもてなしもあり、参加者は感激していました。

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 また、鹿児島での行程は、黒酢工場、牛根側から噴火する桜島の観察、世界文化遺産への推薦が決定した尚古集成館、美しい庭園が魅力の仙巌園、山川ヘルシーランドでの入浴、釜蓋神社の参拝、知覧武家屋敷、特攻記念館等を見学し、鹿児島の奥深い魅力を堪能できたのではないかと思います。 いつか鹿児島を題材とした小説やエッセイを発表していただければと思っています。

 九州新幹線が全線開業して2年半が経過しましたが、5月から前年を越えるなど開業効果がなんとか維持されていると感じます。しかし宿泊数は、好調な施設とそうでない施設がはっきりしてきており、リピーターの確保が数字に反映しています。国内外から来られるお客様に対して、「鹿児島に来て良かった、そしてまた来てみたい」という印象を持っていただけるよう、「温かいおもてなし先進県鹿児島づくり」を推進していかねばなりません。

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 ところで、大手情報誌「と-りまかし」から「じゃらん宿泊旅行調査2013」の結果が発表されました。それによると「総合的な満足度」は、鹿児島県は、沖縄県に次いで2位となっています。3位が京都府、以下北海道、広島県、大分県と続き、熊本県が10位に入っています。沖縄県は調査依頼8年連続でトップを維持し、その差は2,6ポイントで、1位を目指してさらなる努力が必要です。


 「地元のホスピタリティを感じた」では、1位は沖縄県で2位、3位は震災の影響を払拭するべく頑張っている「秋田県」、「岩手県」です。鹿児島県は、昨年から大きく順位を上げ4位となっています。 「魅力ある特産品や土産物が多かった」では、沖縄県が1位で、鹿児島県は4位と健闘しています。

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 「地元ならではのおいしい食べ物が多かった」では、沖縄県がやはり1位で、鹿児島県は8位です。海の幸、ブランド肉等のほか、ソーキそば(沖縄県)、讃岐うどん(香川県)などご当地グルメが人気のエリアが上位に入っています。「黒豚・黒牛・黒さつま鶏」、「かごしま茶」、「芋焼酎・黒糖焼酎」、「さつまあげ」、「さつま汁や豚骨料理」、「鶏飯」等に加えて、最近S1グランプリで注目度が高く、鹿児島を感じる食の魅力をもっとPRする必要を感じます。

 ところで誘客には「おもてなしの心」が不可欠ですが、「株式会社観光ビジネスコンサルタンツ」の西川丈次さんは、「リピーターの育て方」について次のように語っています。 リピーターを育てるには一人一人が鹿児島の四季の魅力を語る必要があります。「満足」 は当たり前、これが今の消費者である。「満足」が創り出すものは、次回の購買時にたくさんある選択肢の一つに残してもらえることです。

 観光客が初めての土地で立ち寄る案内所の雰囲気が、旅人が訪れる街の最初の印象となる。最高のホスピタリティは、お客様に言われる前に実行することである。「もの」の価値の行き着く場所は「価格競争」である。「もの」を「こと」に変えて提供することが、「価格」を超えた「感動」を生む。「こと」化に必要な要素は、人間力であり、これこそがホスピタリティである。

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 人は自分の名前を呼ばれた時に、その存在を認められたものとして、喜びを感じるもの である。一度の出会いで感動を提供し、リピーターになってもらうためには、積極的にお名前を笑顔で呼ぶことである。


 サービスに接する時、お客様はこれまでの体験から事前期待を持つ。この期待を超えた 時に、感動が生まれる。サービスを受けるということに、今では当たり前の行為と捉えています。ホスピタリティへの取組強化を、経営者自ら実践し、おもてなしの心を職場、地域ぐるみで醸成していくことが重要です。
          ~平成20年おもてなし研修会より~

 また、ベストサービスセンターの国友隆一氏はサービスについて次のように語っています。
①不快にするサービス
店内は倉庫のように雑然として、きちんと接客する気もない。従業員同士、私語に夢 中になり声をかけると話を中断されたため不快そうな顔をする。通常と違う業務を頼むと、 あからさまに面倒くさそうに対応する。
②不満を残すサービス
お客さまにサービスを提供する意思はあるが、それが気分の段階にとどまっているため 対応にむらがある。個人的な感情に支配されがちである。機嫌のいいときは愛想がいい。 しかし気分次第で不機嫌な顔を露わにする。
③満足を与えるサービス
お客様の立場にたって対応することの必要性や意義は頭で理解しているが、ただそれを 「義務」ととらえているため、どこかとってつけたような感じが残り、なかなか平均点以上にいかない。マニュアル通りにできても、心が通っていない。
④感動を与えるサービス
一人ひとりのお客さまのニーズに焦点を合わせ、オンリーワンのサービスを展開する。 お客さまの、自分できづいていなかったニーズを引き出し、それが満たされるようにする。
⑤無償のサービス
お客さまからいただいた代金以上の価値を提供する。心を込めたワン・ツゥー・ワンの サービスを、人間性のレベルで、あえて意識しなくても実行できる。それが「感動を与え るサービス」です。
               ~9割のお客がリピーターになるサービス~国友隆一著

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 価格=価値ではなく、価格≪価値になることがお客様に感動を与えるサービスとなるのではないでしょうか。鹿児島への観光客を増やすためにはリピーターの確保が最重要であり、加えてメディアでの魅力発信が欠かせません。そのためには、おもてなしの心をさらに向上させる取組が必要です。


 先日福岡で乗車したタクシードライバーには感激しました。手を挙げると車を止めて自らドアを開け、乗車したら会社名と名前を名乗り「暑くありませんか冷房を強くしましょうか」、「いつも通っている道はありますか」、「会議時間まで余裕はありますか」と話しかけてくれて、到着地まで会話が弾み、降りる時もドアを開け帽子を取り挨拶してくれました。都会のまん中でしかも猛暑の中での数分間の時間でしたが、爽やかな印象が残りました。鹿児島でもこのような運転手が増えて欲しいと思います。

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 日本旅館協会に加盟している宿泊施設は、約3300軒ありますが、隆盛をきわめている施設は、日本の伝統的良さである「おもてなしの心」を大切にして、リピーターに支持されています。


 従業員は「いつまでも初々しい新入社員」の心で接することで顧客に指示され、水で薄めない温かいサービスの提供がお客様に喜んでもらうことになります。 サービスを提供する側も、達成感が高まり従業員は成長していきます。多くの職場で実践できることが、企業発展にも繫がります。 観光客から、素晴らしいおもてなしを提供する施設であると推奨され、口コミで広がっていくことが今求められています。 

「第6回かごしま観光人材育成塾」の開催について 明治維新150周年に向けて~地域づくりに求められるものとは~

2013年9月30日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 今年は猛暑に加えて異常気象が続き、日本各地が水害に見舞われましたが、鹿児島では桜島の爆発が続いているものの大きな被害は発生していません。 宿泊客数で見ると5月から前年を越えており、夏も好調に推移した機関が多く見られ、なんとか踏ん張っている感じです。

 奄美群島日本復帰60周年、イプシロンの打ち上げ成功、「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連施設」が、本年度にユネスコの世界文化遺産への推薦が決まるなど、鹿児島が話題となる出来事があったことも幸いしています。

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 ところで「かごしま人材育成塾」を開催しますが、今年で6回目となります。これからの地域づくり・観光地づくりには人材の育成が不可欠です。今年は、明治維新150周年を5年後に控えて、鹿児島を毎年どのようにPRしていくのかを主題に置いています。

 地域連携の必要性、全国的に話題となっているJR九州の列車「ななつ星in九州」の取組、世界自然遺産の登録を目指す奄美のエコツアーへの取組、九州新幹線開業前から観光振興に特に力を入れている薩摩川内市の観光客受入態勢づくり、誘客に欠かせないおもてなしの心の極意等150周年に向けて、地域づくりのあり方について学ぶ8つの講座を開催します。

 講師と講座の内容について簡単に紹介します。
 第1講座は、魅力ある観光地づくりについて、「佐多岬の今後の展望について」県観光課の森対策監が講演します。大隅地域はスポーツ合宿の増加やイプシロンの打ち上げ成功、「鹿屋航空基地史料館」への学生団体の増加、「永遠の0」の映画の舞台になるなど話題の地域です。九州本土最南端の佐多岬がかつての賑わいを復活すべく、その展望が語られると思います。

 第2講座は、霧島山上ホテル営業支配人の内山竹文氏が「まちの駅ネットワークを活かした地域づくり」について講演します。内山支配人は、第1回から連続して参加している受講者の一人ですが、今回は講師としての登場です。
 まちの駅は、「みちの駅」に比べて認知度は低いものの、設置数においては県内だけでも100箇所を越えています。「休憩」、「案内」、「交流」、「連携」のルールのもと、観光客が迷った時に何でも相談できる「よろず相談所」の役割を果たしています。各地の観光パンフレットや地域ならではの土産品を置くなど地域貢献にも積極的です。これからの地域活性化に向け組織の連携と情報発信に努めています。

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 第3講座は、有限会社 オフィスフィールド代表 砂田光紀氏が、「明治維新150周年に向けて 鹿児島をどのようにデザインしていくか」について講演します。砂田氏はまちづくりや博物館などの専門家であり、仙巌園の集成館事業や来年いちき串木野市にオープンする「薩摩藩英国留学生記念館」も手掛けています。

 海外の街並や伝統的文化財の保護・保存等にも造詣が深く、多くの市町村の事業に係わっています。鹿児島市の「旧集成館」、「寺山炭窯跡」、「関吉の疎水溝」が世界文化遺産に推薦することが決定した今、タイミング的にも絶好の機会ではないでしょうか。 明治維新150年に向けて鹿児島のまちづくり・地域づくりについて専門的な眼での話が楽しみです。

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 第4講座は、山口県観光連盟の専務理事松井邦昭氏による「薩長連携による観光振興と紙芝居を通した地域づくり」です。薩摩と長州は明治維新に深く関わり、また観光客誘致においても旅連を中心に一緒に取り組んでいます。1865年に薩摩藩が英国に派遣した留学生14人が現地でお世話になったのが、その2年前にロンドン大学に留学していた伊藤博文を中心とした長州ファイブのメンバーでした。

 共に激動の時代を駆け抜けた薩長の連携が今また、脚光を浴びる日が近いのではないかと思います。山口県は、全国的に珍しい「紙芝居」による地域の再発見に取り組んでいます。松井専務の紙芝居を演じる姿も見ものです。こうご期待待下さい。

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 第5講座は、JR九州のクルーズトレイン本部次長の仲義雄氏が、『JR九州の地域づくり戦略「ななつ星in九州」』について講演します。10月15日から出発するこの列車は、3泊4日コースの最高金額が55万円(二人一部屋)もする豪華な旅です。


 最初の宿が霧島地区の妙見温泉となっており、すでに秋の出発分は完売となっています。なぜ今この豪華列車に人気が集まるのか、また次々に生み出される観光列車の魅力について、JR九州の思いが語られるのではないでしょうか。

 第6講座は、観光ネットワーク奄美の水間忠秀氏が、「奄美のエコツアーの歩みと世界遺産登録に向けた取組」について講演します。奄美群島は、特異な動植物群の生態系が保護されていることから、本年2月国の「世界遺産暫定一覧表」に「奄美・琉球」を記載することが決定しました。

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 今後国立公園等の保護地域指定、ユネスコ世界遺産センターへの推薦書の提出、国際自然保護連合による現地調査、世界遺産委員会の審査を経て、早ければ平成28年の世界遺産登録を目指しています。水間さん達は日頃から、観光客に美しい奄美の自然の姿を案内しながら、動植物の保護に努めています。奄美の自然を守る取組、観光と共生することの大切さが語られると思います。


 第7講座は、「薩摩川内市のシティセールス~観光による地元盛り上げ作戦」と題して、薩摩川内市の古川英利氏が講演します。薩摩川内市は九州新幹線の終着駅一つ前の駅であり、開業後も苦戦が予想されていました。地域の活性化には交流人口の拡大が不可欠であり、周辺の観光資源の磨き上げと商品化が必要です。
 その中心として活躍されているのが観光・シティセールス課長の古川氏です。着地型観光の推進(きゃんぱくの開催)、甑島への商品化、観光人材の発掘、観光・特産品の株式会社の設立、高速船の運行(24年春予定)等新しい取組を次々に推進しています。その戦略が語られると思います。

 第8地講座は、「おもてなしの極意」と題して3人によるトークショーです。
 一人目は、顧客の評価が高いタクシー会社・旭交通のドライバーで、顧客から多くの礼状が寄せられている稲満和明氏です。
 もう一方はJTBの顧客満足度90点以上を13年連続受賞している城山観光ホテルで、フロント業務を担当している西田朱里さんです。お二人とも顧客からの評価は抜群であり、企業の信用にも貢献しています。 小生がコーディネーターとしてお二人から、なぜおもてなしの心なのか、その神髄に迫りたいと思います。

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 どの講師の方々もそれぞれの部署で活躍され、鹿児島の観光に大いに貢献しています。経験とそれに裏打ちされた話は、皆さんの心を捉えこれからの業務に必ず役立つものと信じます。また、夜学塾は、参加者同志や講師陣とのコミニユケーションの場であり、講座で聞けないより具体的な話が聞けると思います。

 これからも地域づくりには、まず人材の育成が重要と考えています。今まで人材育成塾を受講した方の多くが、それぞれの地域で頑張っていることは、鹿児島の観光にとって大きな財産となっており、すでに6回連続で受講を申し込んでいる方もいらっしゃいます。

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 2018年が明治維新150周年の節目の年になります。2014年には「薩摩藩英国留学生記念館」のオープン、甑島航路への観光高速船の運航、2015年には「国民文化祭」、その後明治150周年までは様々なイベントが予定されています。 この講座が人材育成と地域活性化につながることを期待し、多くの受講者が集まることを期待します。

第6回 かごしま観光人材育成塾 イベントページ

タイからの誘客促進を~成長著しいASEAN諸国~

2013年9月24日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 東南アジアの中心に位置し、国土面積が日本の約1.4倍、マレーシア、カンボジア、ラオス、ミャンマーと国境を接しているのが今注目のタイです。人口は日本の約半分の6387万人で、主な宗教は仏教(91.8%)、イスラム教(4,5%)となっています。


 2012年の訪日人数は26万859人で、前年比21.4%の伸びとなり、韓国・中国・台湾・香港・アメリカ人に次ぐ第6位となっています。 今年は、1月~7月で23万人を超え、前年同期比56%増と好調に推移しており、国別の伸び率は訪日外国人の中でトップとなっています。7月1日からのビザ免除の追い風もあり、年間では40万人を越えるのではないかと想定されます。

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 そのタイの首都バンコクで、九州運輸局の支援のもと、九州管内の自治体、宿泊施設、運輸機関等の関係者による観光客誘致の商談会と交流会が開催されました。鹿児島県からは7県で一番多い18名が参加し、タイの観光団体、旅行エージェント等約90名との交流を図りました。

 商談会の冒頭では、TJTA会長で泰信旅遊有限公司の社長であるクン・アネーク氏からの歓迎の挨拶があり、また、九州運輸局の橋本企画観光部長もわざわざ福岡から駆けつけていただき、九州の魅力や訪日の要請を行っていただきました。

 個別相談会では、九州各県の参加者がブースごとに別れて具体的なPRを行いました。 タイ側の参加者は、九州各県の名所旧跡や祭り、食、ショッピング等に熱心に聞き入り質問をしていました。特にタイ語で書かれたパンフレットは人気でした。商談会後は交流会が開催され、両国の新たな交流のスタートになったのではないかと思います。

 商談会の前には、タイ国観光・スポーツ省のオフィスを訪問して、クン・アネーク氏も同席する中で、省の大臣であるドクター・スワット氏と1時間会談することができました。 大臣はまず、東京オリンピックが決定したことにお祝いを述べられ、タイ国として協力を惜しまない旨の発言をされました。

 またタイへの観光客が増加していることに触れられ、観光客の安全確保には全力を注いでいることを強調されました。日本への誘客については、タイでの広報活動の強化、メディアやエージェントのファムトリップの積極的展開、九州を印象づける観光素材の提供とPR活動の徹底等を述べられました。予定をオーバーする会談で気さくな人柄が印象に残りました。

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 翌日から2日間、JNTOバンコク事務所、タイ語でのガイドブックを制作している「まるごとタイランド」の丸山社長、今年の秋九州へのファムツアーを予定しているAAトラベル、鹿児島への送客を手掛けている「ROONGSARP TORAVEL」、「SAY HI」という訪日旅行専門番組を制作・放映している「ノーススタータイランド」の岡田社長の事務所を訪ね、鹿児島への誘客をお願いをしました。

 最終日には前述のクン・アネーク氏の事務所も訪問し、今回のミッションのお礼と今後の取組課題をご教授いただきました。夜には、タイ鹿児島県人会の大山会長、宮内事務局長とも交流を深め、今後の鹿児島のPRや誘客について懇談しました。

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 現在タイには200人余りの鹿児島県人が在住していますが、ASEAN地域全体で定期的な交流を実施しているとの報告がありました。ASEAN地域は、「経済成長が著しい、中流階級が増加している、平均年齢が若い」ことなどが成長の追い風となっていると思います。


 ところでタイは、ASEAN10カ国(ベトナム、シンガポール、ブルネイ、カンボジア、ラオス、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、タイ)の構成メンバーです。ASEAN全体で、人口は6億人を抱え経済的にも急激な発展を遂げており、毎年訪日客も増えています。

タイ人の平均年齢は、34.2歳で若者を中心に日本の文化に憧れを持っており、特に7月からNOビザとなり、日本への関心が急速に高まっていることがあげられます。 誘客の第一にあげられるのが「日本の食事」の魅力です。タイ国内で日本食を提供できる施設は、約1000軒あり、今生活に深く浸透しています。

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 我々がバンコク市内で訪れた日本食レストランには、タイの若者が多く訪れており従業員も片言の日本語で応対していました。経営者は社員を定期的に日本に研修に出し、おもてなしの心などを勉強させていると話していました。鹿児島は豊富な食材があり、タイ人観光客には喜ばれるのではないでしょうか。

 次に「日本の四季や自然」に関心を持っていることです。雪、桜、紅葉、美しい清流、海等美しい景観に憧れを持っています。説明会の会場で配布したパンフレットの写真を見ながら、開聞山麓の菜の花やミヤマキリシマ、仙巌園から見る桜島、屋久島の渓谷、農村風景等に興味を示していました。タイは熱帯性の気候で四季がなく、田畑も日本ほど整備されていないために、優れた日本の自然の光景にあこがれるのでしょう。

 また、桜島の噴煙の姿や砂蒸し温泉にも関心があり、噴煙の生活への影響や湯船の中に集団で裸になる習慣がないタイの人々に、温泉の入り方や効能にについて詳しく説明しました。特に砂蒸し温泉には驚いていました。県内を走る「おれんじ食堂」、「はやとの風」、「いぶすきの玉手箱」等レトロな列車にも興味を示していました。 今タイの若者は、テレビ、アニメ、漫画、ドラマ、映画等にも関心があり、鹿児島を題材としたドラマや歴史・文化をいかに伝えていくが重要です。

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 タイの人々の今の訪問エリアは、雪やラベンダーの花咲く北海道、ショッピングや食が楽しめる東京、大阪が中心となっていますが、リピーターが増加しており、そこに九州への誘客のチャンスがあると判断します。


 鹿児島が誇る火山、温泉、ロケット基地、美しい海等、タイにない自然や「日本式旅館でのおもてなしの姿や食」を前面に、継続的なメディアでのPRが必要と感じます。「これは鹿児島だ」と意識させるものが必要と感じます。

 現在はタイから鹿児島への直行便がなく、当面は上海、台北、ソウルからの経由便やチャーター便に頼らざるを得ません。福岡への直行便を利用して、九州新幹線で1時間余りのメリットを活かし、まず噴火する桜島の景観や世界遺産の登録が目前の「産業革命遺産群」を印象づけるなど鹿児島を意識した戦略が求められます。JRのインバウンド料金の軽減化も不可欠です。今年はタイからの誘客に向けて努力したいと思います。

人口減少とインターネットの普及が市場を変える~マーケットの変化にどのように対応するか~

2013年9月17日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 日本の人口は1億2,700万人(2012年統計)ですが、今後毎年減少し2035年には1億1,200人となり1,500万人減少します。 国立社会保障・人口問題研究所から人口および世帯の将来推計が発表されました。

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 2035年には一人暮らし世帯が、全世帯の37.2%、夫婦のみ世帯が21.2%となり約60%が二人以下の世帯となります。要因として結婚しない人や離婚する人が増加していることなどがあげられます。また夫婦と子供が暮らす世帯は、2010年の27.9%から23.3%となり核家族が一段と進みます。一方全世帯数は5184万世帯から2019年には5307万世帯へと増加します。

 このような世帯構成人員の減少は、マーケットにどのような変化をもたらすのでしょうか。まず消費のサイズが小さくなり、一度に大量に物を買う人が減少することに現れています。かつて旅行に行くと、10数個入りのお菓子や、同じお土産を複数個買う人が多くいましたが、最近は宿泊先の土産コーナーでも大量に買う人は少なくなっています。 またお菓子でも、違ったものを数個ずつチョイスして買う人が目立っています。

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 核家族化が進み、近所との付き合いも少なくなり、昔ほどお隣さんにお土産を渡す必要もなくなっています。お土産は自分のために買う人が多くなり、好きなものをチョイスして必要な分だけ買うスタイルが益々定着しています。観光施設ではお土産の並べ方、包装紙のデザインの工夫、地域の特色を出すなどして、購買意欲を刺激する演出をしないと売れない時代ではないかと思います。

 また旅行の参加者も、単独、二人参加者、夫婦と子供1人など少数化しています。二人部屋のニーズが高まっています。バブル全盛期に新築・増築した施設は、部屋の広さが大きく、団体向けに造られており効率が悪くなっています。改築する際は、このような状況も考慮して小さめな部屋を増やす努力が必要です。温泉地が多い県内の宿泊施設では、世帯のサイズに合わせた料金体系や受入態勢作りも求められています。

 最近スーパーマーケットのお米売場に行くと、20キロ、10キロの袋よりも5キロ、3キロといった小さなサイズのコーナーが目立ちます。世帯の変化に的確に対応していると思います。またコンビニの惣菜コーナーは、1人の適量に合うサイズで売られており、ひとり暮らしや深夜の時間でも買物し易い環境を整えています。

 二つ目はインターネット利用者の急激な増加に対する対応です。 平成24年通信利用動向調査(総務省)によると「日本のインターネット人口」は9,652万人で、人口普及率は79.5%となっています。平成14年の調査では18.0%であり大幅な伸びとなっています。子供や老人を除くとほとんどの人がインターネットを駆使していることがあげられます。

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 宿泊業界の関係者に聞くと、全宿泊者数の3割程度はインターネット経由であり毎年増加しているとのことです。ビジネスマンをターゲットにしたホテルでは価格競争も激しくなり、朝の料金を、夕方には下げざるを得ない状況が続いていると苦悩を語っていました。また地元と県外資本の戦いも厳しさを増しており、経営体質の強化が問われています。 



 ある大型ホテルでは、インターネットの部屋数を限定し、他のサービスの充実や「おもてなしの心」など本来の宿泊者の滞在を楽しくする施策を展開し、価格を維持しながら高稼働を維持しています。近燐の施設との連携や地産地消を徹底するなど顧客の満足を提供し、リピーター作りにも努めています。

 県の観光ホームページには毎日6,000件を越えるアクセスがあります。英語、韓国語、中国語「簡体字、繁体字」の4カ国語の対応も行っており、観光連盟に専門の担当者を配置し、観光地、歴史、アクセス、施設、イベント、食等の情報提供を行っています。 また各自治体と連携を強化し、解りやすくシームレスな対応ができるよう改善に努めているところです。

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 ところで、社団法人日本観光振興協会の「平成24年度版 観光の実態と志向」によると、宿泊観光旅行の目的地を決定する際に参考にするものは、「インターネット」、「ガイドブック」、「パンフレット」等と並んで「友人・知人の話」が常に上位にランクしています。多くの情報を集めて、最終的な決め手は経験した人の話、評価ではないかと思います。

 情報入手の手段は多岐に及んでいますが、やはり人の話が説得材料になります。「おもてなしの心」を大切にまた来たい観光地、施設を目指したいものです。

資料:南日本新聞

今年の反省を来夏の対策に活かす~7月の宿泊統計から~

2013年9月9日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

    秋風に たなびく雲の 絶間より もれいづる月の 影のさやけさ
                      左京大夫顕輔~新古今集~

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 朝夕の涼しさに猛暑が少しずつ和らいでいるのを感じ、夕方の空には赤とんぼが飛び、秋が近づいていることを教えてくれます。四季の変化は美しい自然の光景を生み出し、そこに詩や歌が生まれます。また、田や畑、山では美味しい味覚が育ち、秋は旅行をするのにベストなシーズンです。

 ところで、平成25年7月の観光動向調査が発表されました。「宿泊施設(調査対象85施設)」の宿泊数は、関東地域や九州地域、海外では特に台湾・香港からの観光客が増加したことにより、前年同期比4.5%の増となり、5月から連続で増加しています。 一方「観光入場施設・ドライブイン(調査対象23施設)」の入場・来場者数は全体として2.5%減少しています。猛暑の影響で日中の観光を控えたことが、減少の要因ではないでしょうか。

 地区別で見ると鹿児島・指宿・北薩・奄美地区が増加しています。猛暑に見舞われた今年の夏でしたが、比較的涼しい霧島地域や屋久島地区が減少しているのが気になります。 首都圏の登山用品専門店では、例年夏は屋久島が人気ですが、今年富士山が世界文化遺産に登録されたことにより、富士登山の人気が高まっていると話していました。

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 そのことが屋久島への一時的減少につながっていると思います。トレッキング愛好者や登山者は地域の気候に熟知していますが、一般の人はその実情をあまり知らないと思います。霧島は平地と比較した毎日の温度差を、屋久島は世界自然遺産の植物の生態や渓谷の魅力に加えて、里の魅力をもっとPRして誘客に努める必要があります。



 発地別宿泊客数は、九州地域が全体の50.1%で最も多く、その中でも県内の宿泊者が53,000人で49.1%を占めています。従来から域内観光の重要性について述べてきましたが、地元のお客様をもっと大事にして情報発信していく必要があります。地域と共に生きる施設であって欲しいと思います。 夏休みは特に県内客が増加しますが、それは家族旅行が多くなるシーズンであるからです。来年に向けてファミリー向けの商品のいっそうの充実が求められます。

 県外では関東地域から46,800人が訪れています。羽田空港からの便数が多いことや5月31日から成田空港からのジェットスターが就航し、新たな需要開拓がなされたことも寄与しています。 何といっても東京という最大のマーケットをいかに取込むかが常に問われています。東京からの情報発信を欠かさず、需要を喚起できる商品提供が求められます。

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 これからの商品企画に活かせる鹿児島の新たな情報について述べたいと思います。 ロケット・イプシロンの発射基地「内之浦宇宙空間観測所」は今話題の場所です。「秋のえっがね祭り」も始まりました。新鮮な魚介類が多く、また佐多岬に到る沿線は自然景観がすばらしく、ぜひドライブコースとしてお勧めしたい。

 百田尚樹さんのベストセラー「永遠の0」が12月21日から全国で公開になります。小説の舞台に鹿屋海軍航空基地が登場し、主題歌「蛍」はサザンオールスターズが手がけ話題となっています。大隅地域をPRする良い機会です。

 また、鹿児島が舞台となり撮影が行われた「六月燈の三姉妹」が、11月9日から鹿児島、宮崎で先行ロードショーされます。話題の「薩摩剣士隼人」も出演しています。鹿児島の夏の伝統的風物詩「6月灯」を、観光に活かすきっかけにしたいものです。

 来春には川内港から甑島の里港へ高速船が就航します。「はやとの風」、「指宿のたまて箱」等JR九州の観光列車を手がけている水戸岡悦治さんの設計であり、「おれんじ食堂」と組み合わせることで水戸岡ワールドが楽しめ、甑島への来島者が増加するものと想定されます。

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 鹿児島では2018年の明治維新150周年に向けて、毎年様々な行事が計画されていきます。2014年春には、いちき串木野市羽島に「薩摩藩英国留学生記念館(仮称)」がオープン予定です。留学生の滞在中の足跡、帰国後の活躍等の資料が展示され、当時の薩摩藩の先見性を学ぶ施設となるのではないでしょうか。学生をターゲットに誘客を図る必要があります。

 日本列島今年は猛暑、集中豪雨等異常気象が重なり、全国的に甚大な被害が出ました。鹿児島では大きな水害はなかったものの、噴煙が5千メートルにおよぶ桜島の大噴火があり、メディアでも大きな話題となり宿泊客のキャンセルという事態が起こりました。 世界的に温暖化現象が見られる中で、猛暑や豪雨などの異常気象は、来年もまた日本で発生するのではないかと、私は懸念しています。

 今年の夏の取組を反省し、商品企画や情報発信に活かさなければなりません。 秋の旅行の中心は熟年で、比較的ゆっくりした旅行が好まれます。「おもてなしの心」を忘れず、リピーターへ繋げて欲しいと思います。 最後に「本物。鹿児島県」の魅力を積極的にPRし、夏の落ち込み分をカバーし、来春を睨んだ展開も進めたいものです。

桜島の噴火の影響を最小限に~日常と変わらない生活の姿を発信~

2013年9月2日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 先月18日に桜島が、観測史上最も高い噴煙を上げ、5000メートルの上空まで達しました。現在噴火しているのは昭和火口で、爆発は今年500回目を数えました。 噴火のたびに、鹿児島市内や周辺の街に大量の火山灰が降り、市民はその対策に頭を痛めているのが実情ですが、自然現象であり大きな災害につながらないよう防災の意識を日頃から徹底しなければなりません。

 鹿児島を訪れた観光客は、錦江湾に浮かぶ桜島の雄姿、もくもくと上がる噴煙のスケールの大きさに驚嘆の声を上げ、特に外国人にはその驚きが顕著なようです。

 今回の爆発的噴火で鹿児島市内が薄暗くなり、マスクをした市民、ライトを付けた車が走り、フロントガラスに降り注ぐ大量の火山灰の様子等が、当日の夕方のNHKトップニュースで報道されました。また民放各社は、翌朝のワイドショーでも大きく取り上げていました。

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 噴火の翌日、小生は教育旅行誘致で神奈川県と横浜市役所の訪問、首都圏での説明会等にのぞみました。会う人ごとに「桜島が大爆発しましたね」、「大量の火山灰による健康被害はないですか」、「生活はちゃんとできますか」等心配する声とともに、「秋に修学旅行を予定していますが、大丈夫ですか」と旅行実施を危惧する質問もありました。

 訪問先で述べたのは、「鹿児島では桜島の噴火は日常茶飯事であり、特別生活に支障はありません。火山灰が堆積し、風により舞い上がり、その除去や洗車、洗濯物が外に干せないなどの影響はあります。」と桜島の影響を払拭するのに大変でした。 桜島の噴火を経験していない県外の方々は、メディアで報道される桜島や市民の姿に驚きと恐怖感を覚えたのではないでしょうか。

 爆発による取消等が発生しているのも事実です。特に桜島近辺の施設は影響が大きくなっています。きちんとした情報を提供し、噴火の風評被害の終息を図らねばなりません。

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 これから2学期になると、修学旅行生が多く訪れます。通常の時期であればバスガイドさんが、「鹿児島に滞在中に皆さんに桜島の噴火の雄姿をぜひ見せてあげたい」と説明します。運良く噴火をし、生徒さんが感激したという話を聞きました。生きた火山の姿を目のあたりにするのも、鹿児島ならではの観光の魅力ではないでしょうか。

 霧島の新燃岳噴火の際は、影響が長引き観光に大きな影響がでました。在福のメディアや都市圏のエージェントを訪問し、霧島温泉の実情や日頃と変わらない生活の実態を説明し、風評被害の拡大防止に努めました。

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 今回の噴火後はすぐに、県のホームページに桜島の噴火の情報を詳しく掲載しました。また、JNTOや東南アジアのエージェント、県の海外事務所、九州観光推進機構、国内のエージェントに対し、観光には全く支障がない旨の情報を発信しました。

 ところで今運行している「よりみちクルーズ」に加えて、9月から「錦江湾魅力再発見クルーズ」が運行されます。(9/14~11/9の土曜日、10/5を除く) 海から見る鹿児島市と反対側から見る桜島の魅力や奥錦江湾、昭和火口、新島等違った景観が眺められるのが今回の就航船の特徴です。

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 噴火が続いている桜島ですが、厳しい生活環境の中でも約5,800人の住民が住み、限られた農地では「びわ」、「桜島大根」、「桜島小みかん」などの農産物が収穫され、島の特産品として人気があります。


 桜島には、桜島ビジターセンター、国際火山砂防センター、黒神埋没鳥居など火山に関する施設、噴火遺跡があるのに、その魅力が意外と伝わっていないのではないかと思います。噴火は現実問題として捉え、桜島を1つのフィールドとして位置づけ、自然と対峙している島民の暮らしにもっとスポットを当て、生きている火山を学ぶ教材として小中学校の勉強にも活かすべきです。

 桜島の噴火を負の遺産として捉えるのではなく、噴火がもたらす自然の贈り物をプラスに変える取組が必要ではないでしょうか。

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 一方、観光客は県内を広域に回るため爆発と報じられると桜島だけでなく、県内の宿泊地にも多くの宿泊のキャンセルが発生します。霧島の新燃岳噴火のときは、霧島温泉だけでなく県全体への観光客の減少につながり、情報発信の正確性が問われました。

 毎年桜島では、避難訓練が行われるなど万全の体制で危機管理がなされており、そのような情報もきちんと伝える必要を感じています。

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 作家梅崎春生は、小説「桜島」の最終章で、桜島を次のように表現しています。 「崖の上に、落日に染められた桜島岳があった。私が歩くに従って、樹々に見え隠れした、赤と青との濃淡に染められた山肌は、天上の美しさであった。」桜島の美しさは今でも変わらず魅力的です。


 県民の皆さんも国内外の友人に、桜島の噴火による影響等について、正しい情報発信を宜しくお願いします。

先人が成し遂げた改革に学ぶ~明治維新150周年~

2013年8月26日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 2018年は、明治維新150周年の節目の年となり、偉人たちの足跡をたどり、薩摩の新進気鋭の精神を学び、受け継いでいく取組が求められています。 250年以上続いた幕藩体制に終止符を打ち、新しい政治体制を作り上げたのが薩摩藩、長州藩、土佐藩、肥前藩を中心とする西南の雄藩でした。


 28代当主島津斉彬は、日本の近代化を牽引した名君と称せられます。早くから海外事情や科学、文化などに造詣が深く、欧米列強の力が日本に及ぶことをいち早く察知して様々な事業を展開します。

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 1865年串木野の羽島港を出立した14名の「薩摩藩英国留学生」は、斉彬公の生前の発案と言われ、国禁を犯して渡欧した若き薩摩の俊英たちは、帰国後多くの分野で近代日本の礎となり活躍しました。

 初代文部大臣となった森有礼、東京国立博物館を創設した町田久成、東京開成学校(後の東京大学)初代校長の畠山義成、日本初のビール工場の設立に尽くした村橋久成、アメリカに渡り、ぶどう農園の経営に成功してカリフォルニアのぶどう王と呼ばれナガサワワインで有名な磯長彦助(後の長沢鼎)らです。

 2014年春には、羽島の地に記念館がオープンします。鹿児島の小・中・高校生に必ず見ていただき、海外への夢を抱いて欲しいと思います。(島津斉彬は1858年急死している。)

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 また、斉彬公は近代国家建設には、新しい産業の創出が不可欠と考え、反射炉、製鉄溶鉱炉、ガラス製造所、紡績工場など日本で初めて近代的な工場群「集成館」事業を展開します。当時アジア地域では最大の工場群といわれています。


 また、新田開発、かんがい事業などの農業、真珠やコンブの養殖等の漁業、錫の増産する鉱業等の事業にも着手します。それはやがて明治維新の「富国強兵」や「殖産興業」という大きな政策として受け継がれていきます。

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 一方、斉彬公は人を見抜く才能に長けており、身分を問わず積極的に人材登用につとめ、西郷隆盛、大久保利通、小松帯刀らは、幕末・明治維新体制の中枢として活躍していきます。

 大局を見抜く能力、将来の人材として見抜き育てる力、新しい産業の創出と、島津斉彬が展開した日本近代化への道筋には、学ぶべき事が多くあります。彼なくして日本の変革はありえず、このことは世界にも十分PRしていかねばならないことです。  不透明感のぬぐえない現在の時代において、十分活かせるものがあるのではないでしょうか。

 勝海舟は、著書『開国起源』の中で「幕末において世界の大勢を察する活躍を有した人は、薩摩侯斉彬だけだった。・・・・その辛苦経営の力によって開国の基礎はできた」と称賛しています。

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 幕末から明治にかけて西郷隆盛、大久保利通らの活躍は、現在放映中のNHK大河ドラマ「八重の桜」でも描かれています。 明治維新150周年まで5年足らずです。「近代化遺産事業」の世界遺産登録は、150周年事業の最大のテーマであり、鹿児島の魅力を世界に発信する最大の力となります。

 薩摩藩とりわけ島津斉彬が先見の明を持って日本の近代化に取組んだ偉業を、県民の皆様がもっと関心を持ち広げていくことが、明治維新150周年の意義であり、鹿児島の風土や文化を受け継いでいくことになります。

 県、市町村、経済界、観光団体と一緒になり、薩摩を題材とした次の大河ドラマ制作の働きかけを行っています。新幹線開業効果が、一段落しつつある中で継続した運動が必要です。明治維新150周年という年に向けて、毎年話題性のある取組を展開していきたいと思います。

参考:かごしまよかとこ100選

環境保護の取組が屋久島の魅力に~世界自然遺産登録20周年~

2013年8月19日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 屋久島と白神山地(青森県、秋田県)の世界自然遺産登録20周年を記念するトークセッションが開催されました。両県知事をはじめ関係者が参加し、世界遺産保護や環境問題について活発な討議がなされました。 鹿児島県と青森県は、湾を挟んで2つの半島があり地図を反対にすると、地形が似たような県であることがわかります。

 日本で初めて屋久島と同時に世界自然遺産に登録された白神山地について説明したいと思います。

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 白神山地は「神々の住む森」といわれます。遥か彼方まで広がる広大な森の姿に、人知を超えた偉大な力を感じ、神々の姿を想起したのかもしれません。白神山地とは、青森県南西部から秋田県北西部にまたがる13万ヘクタールに及ぶ広大な山地帯の総称で、このうち原生的なブナ林で占められている約1万7千ヘクタールが世界自然遺産に登録されました。

 ここには、東アジアで最大級の原生的なブナ林、約500種の植物相、ニホンカモシカ(特別天然記念物)、ニホンザル、イヌワシ(天然記念物)、クマゲラ(天然記念物)、クマタカ、無脊椎動物などによる、豊かな生態系が存在しています。 こうした豊かな自然あふれる白神山地は、一般に「原生林」として知られていますが、決して人々の暮らしと離れた場所ではなく、マタギをはじめとする人々が古くから暮らしの糧を得てきた場所でした。

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 ブナの森は、薪炭、山菜、熊を与え、森が蓄えた水は川魚育むとともに穀倉地帯の水源となり、伏流水とともに海に流れ出た水は豊富な魚介を育んできまし礎となり、白神山地の恵みや厳しさと共生してきた人々の暮らしは、多くの文化人も惹きつけてきました。白神山地の周りの地域=環白神地域には、そうした、様々な魅力があふれています。

 一方屋久島は、鹿児島港から高速船で約2時間で行くことができます。洋上アルプスと呼ばれる屋久島最高峰の宮之浦岳をはじめ、1000メートルを越える山が連なり高い地域は北海道と同じ亜寒帯の気候と植生となっています。島の低い地域は亜熱帯であり、日本列島が縦に並んでいるのが、屋久島の姿です。

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 かつて屋久杉は藩の重要な財源であり、多くの木が切り出され、島外に搬出されました。切り出された屋久杉は、トロッコで麓まで運ばれていましたが、今でもその名残の線が残されています。 縄文杉登山には、毎年約10万人が訪れていますが、そのトロッコ列車の軌道を歩きながら渓谷を登っていくのも魅力の一つです。



 また、屋久島は文化人にも愛され、林芙美子の「浮雲」、椋鳩十の「片耳の大鹿」、「大造じいさんとガン」などの文学作品の中に屋久島の自然の美しさが描かれています。映画「もののけ姫」で一躍有名になった「白谷雲水峡」は、散歩姿で訪れることができ幻想的な森の姿に遭遇できます。

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 屋久島は「大川の滝」、「千尋の滝」、「ヤクスギランド」など気軽に車で行ける観光地も多く、年間の入込み観光客は25万人を越えています。(平成11年度) 二つの町が合併して島は一つになり人口減が少ないのは、安定した観光客の入込みによる観光産業の発展が地域への経済効果をもたらしているからだと思います。

 一方では今、屋久島の自然をいかに守るかが問われおり、登山者増による縄文杉の保護対策、繁忙期の一部地域への車の乗り入れ規制や、環境に優しいエコカーの導入等などが進められています。


 ところで昔から葛飾北斎や安藤広重などの絵で有名な富士山が、世界文化遺産に登録されました。富士山は日本の象徴として親しまれています。

 この度静岡県と山梨県では、富士山の保全協力金の名目で「入山料」の徴収を試験的に実施しました。その結果7月25日から10日間で、34,327人の登山者から3,412万円の協力金が得られました。両県では今回の協力金を環境保全に役立てる計画であり、来年度からの本格的導入に向けて検討を進めることにしています。

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 今回のシンポジウムで両県の知事は環境問題の大切さを再発信すべきと訴えていました。伊藤知事は、現在の任意の協力金で管理されている山岳トイレ問題にふれ、入山料を公的に徴収した方が良いかもしれないと問題提起されました。

 また、三村知事は地球環境をみんなで考え、ブナ型文化の動きにつなげようと訴えていました。いずれにしても環境問題と地域経済の発展が両立できることの重要性を感じました。

 2つの世界自然遺産は日本で最初の登録であり、その後、知床、小笠原と続きました。今「奄美・琉球」が暫定リストに掲載されています。正式登録が待たれるところです。

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 世界自然遺産20周年を機に、屋久島の自然保護の大切さについて入山者のみならず、県民ももっと理解を深める必要があります。屋久島での自然保護が徹底されることが、屋久島の魅力を世界に発信することにつながり、そのことが持続できる観光地になるのではないでしょうか。

参考:世界自然遺産 白神山地 発行環白神エコツーリズム推進協議会

武家屋敷を観光に活かす取組~日本の四季をいかした情報発信が必要~

2013年8月12日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 薩摩川内市の入来町にある入来麓は「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されており、歴史的景観に優れた「建築物」、門・石垣・土塀などの「工作物」、生垣・樹木・水路などの「環境物件」が残されています。

 今年の4月には、入来麓武家屋敷群の「旧増田家住宅」が3年かけて大正期の姿に復元され、現在一般公開されています。

 薩摩藩は、領内を113の区画にわり、それぞれに地頭仮屋を設け、その周囲に「麓」という武士の集落を作り、その地域の行政と軍備を管轄させました。この制度は島津家当主の内城に対して外城といい、歴史用語として外城制と言われています。県内では、「出水麓」、「知覧」、「入来麓」の3地域が保存地区に選定されており、いずれの地域も武家屋敷群を中心とした武家町の名残を留めています。

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 このたび、出水市の渋谷市長、南九州市の霜出市長、地元薩摩川内市の岩切市長や、武家屋敷保存会、観光協会の役員等が参加し、3市の貴重な観光資源である「武家屋敷群」を観光に活かす取組をメインとした「重要伝統的建造物群保存地区」~武家屋敷サミット2013~が、入来麓の「旧増田家住宅」で開催されました。

 入来麓は、江戸時代の古い建築物もありますが、中世から近世の遺稿が残り、石垣と生垣が連続した区割りと入口から玄関まで何度も折れ曲がる入口が配され、これらの武家住宅の様相が残る武家屋敷群となっています。3つの武家屋敷群の中では、歴史的に一番古く、特に屋敷の配置や区割り、庭園・石垣など全体的な歴史的な景観が魅力的です。

 3つの「重要伝統的建造物群保存地区」を観光にいかに活かすかが課題となっており、3市が協調し連携することで新たな観光に発展させることを目的に、サミットを開催してきました。今までモニターツアー、共同宣伝などの取組を推進し一定の成果も上がっています。一方では武家屋敷群を核に、地域に波及効果をいかにもたらすかが問われています。武家屋敷群の活用方について述べてみたいと思います。

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 まず「知覧」に比べて他の武家屋敷群は県民にも十分知られていないと思います。メディアでの四季の情報発信や旅行エージェントの商品企画に反映させることが認知度を高めることになります。


 武家屋敷群を活用した様々なイベントの取組も必要です。日本の各地には四季折々に伝統的行事が残されており、それを活かす場所としてふさわしいと思います。 正月の式典、3月のひな祭りの人形の展示、春の桜の開花に合わせた花見の宴、5月の節句のこいのぼりの掲揚、秋の月見の宴、静かな音楽のコンサート、年越しの行事、年間を通しての野点や生花展等会場としては最高の舞台となります。そして女性を意識したイベントの中身が問われます。

 今多くの県民が訪れている大隅地域をめぐる「かごしま宝探し大冒険の旅」の武家屋敷版も面白いのではないかと思います。それぞれの武家屋敷に3つ程度の宝箱を設置して、回遊してもらえば全体の魅力を感じてもらえるのではないでしょうか。県民が訪れていない歴史的遺産であり、夏休みの親子の旅を誘因できる企画となります。 鹿児島で開催される歴史に関する学会のアフターコンベンションや、大学生のゼミの教材の場所としてPRすれば誘客のチャンスにもなります。

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 また、景観保護の大切さと地域全体に観光の波及効果をもたらす取組も求められます。 「旧増田住宅」では、高台の城跡に入来小学校が、目の前に民家がありますが、色彩に配慮し広告がなく景観が守られています。伝統的町並みが残る地域では、看板・広告等景観に特に配慮しなければなりません。

 観光客が地域を訪れる楽しみは、食や農産物などそこでしか味わえないものに触れる期待感です。手づくりの調味料や飲料水、スイーツ、地域の産物を加工したおみやげ物などを求めます。

 入来麓の古民家レストランでは、大馬越地区で取れたシソに、炭酸を入れたジュースがのどを潤おしてくれました。また、東京からIターンした女性従業員のおもてなしがすばらしく、地元野菜や豚肉を活用したランチが提供され、夏の盛りのひと時を過すことができました。

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 観光地の評価は人のおもてなしであり、そのことがリピーターを育て、持続できる観光地になるのではないでしょうか。子供たちが観光客に挨拶をし、手を振る姿は印象に残ります。

 3市の連携により、武家屋敷群をはじめ地域全体の活性化がなされることを期待し、ミンミンゼミが鳴き、緑の池垣と美しい田園風景が続く入来を後にしました。

         不来方(こずかた)のお城の草に 寝ころびて
                   空に吸われし 十五の心
                                   ~石川啄木~

参考:清色城跡と入来麓:薩摩川内市教育委員会
フリー百科辞典「ウィキペディア」

夏から秋を見据えた商品企画を~需要を的確に取込む為に~

2013年8月5日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

          ころがりし カンカン帽を 追うごとく
                    ふるさとの道駆けて帰らん
                              ~寺山修司~

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 夏休みも佳境に入り、日本人の民族移動が始まりました。高速道路や交通機関はお盆でふるさとへ帰る人や、旅行に行く人で大混雑です。 日本人は正月とお盆にはふるさとへ帰る習慣があり、心のよりどころであるふるさとに何かを求めているのではないでしょうか。

 戦後日本は、どちらかというと農魚村から離れることが当たり前となっていました。鹿児島では高度成長時期に多くの若者が職を求めて都会に旅立ちました。人の流れは田舎から都会へ、農業から工業へと転換し、その結果過疎や過密、田畑の崩壊、限界集落の増加、環境汚染、高齢化と少子化等様々な問題が浮き彫りになっているのが現状ではないかと思います。

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 田舎を出た若者は都会で結婚し定住します。生まれた子ども達にとって親が生まれ育ったふるさとを訪ねて、日本の原風景や祖母や祖父の元気な姿に触れさせることは、子供の教育にとっても貴重な経験と思います。

子供たちに魚が泳ぐ清流や、稲穂が黄色づいた田やさつまいも畑、クワガタムシ、セミが鳴く森林等を訪ね、美しい景観や自然の生態を見せることは、子供の心に大きな印象を与えることになります。

 また、帰省を機に3世代一緒に旅行に出かけることが多くなります。宿泊施設では、子供たちに夏の思い出作りのため工夫が必要であり、ロビーに縁日を作り金魚すくいや風船釣り、外では昆虫採集や花火のイベント等の演出が必要です。 親が子供のころ体験したことを、宿泊施設や周辺の自然の中でできる環境を与えることが必要です。

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 お盆が過ぎると観光地や宿泊施設では、暇の時期となります。誘客対策として、夏休み終盤の企画として、「夏山トレッキング」、「静かな部屋で残りの宿題をすませませんか」、「課題のテーマとして昆虫採集や貝掘りなどしませんか」などの名目で、夏休みにまだ旅行に行ってない人達をその気にさせる努力が必要です。

 また、子供たちのお世話で忙しく、休む暇がなかったお母さん方のために「お母さんの夏休み」と題して、女性向けのリラックスできる宿泊企画も求められます。

 鹿児島の観光にとって9月以降は、大きなイベントや大会もなく正念場を迎えます。紅葉の美しい北海道、TDL30周年や東京スカイツリーで賑わいが続く東京、「八重の桜」効果が出てきた東北、式年遷宮が佳境を迎える伊勢神宮と、東の方が相変わらず話題となります。

おれんじ食堂(外観).jpg

 そのためには、秋の鹿児島の魅力をPRしなければなりません。秋は熟年層の旅行が多くなります。「七つ星in九州」が運行され話題となり、「はやとの風」、「いぶすきのたまて箱」、「いさぶろう・しんぺい号」、「おれんじ食堂」等の観光特急列車も運行されています。 以前鹿児島に来ていただいた人々には列車の旅がお勧めです。県民の皆様もぜひ乗ってもらいたい列車です。

 また、無料化になった佐多岬や、イプシロンロケットの打ち上げのある内之浦等大隅半島も見どころ満載です。

 28日のNHKの「ダーウィンが来た」でアマミノクロウサギが取り上げられ、その生態と奄美の自然の素晴らしさが放映されました。奄美群島は、琉球諸島とともに世界自然遺産の登録候補地として暫定リストに記載され、平成28年度登録を目標に準備が進められています。(平成25年1.31政府決定) 奄美群島は、離島観光の目玉の一つであり、皆様もぜひ奄美の夏を訪ね、美しい自然美を堪能しPRしていただきたい。

アカトンボ.jpg

 海岸をウォーキングしていると、夕方の夏空に赤とんぼが飛んでいました。「アブラゼミ」とともに「ミンミンゼミ」の鳴く声が木々の間から聞こえて来ます。夏の暑さも少しずつ和らいでいるように感じます。 各観光施設では夏休みの後半から秋にかけての商品企画を、早めに顧客に提供していくことが求められています。

         思い出の一つのようで そのままにしておく
                     麦わら帽子のへこみ
                              ~俵万智~

奄美のすばらしさとは~自然を守る人達の取組に感謝~

2013年7月22日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

あやまる岬.jpg

 日本には多くの島がありますが、沖縄本島、佐渡島に次いで大きいのが奄美大島です。県内には、28の有人の島があり、それぞれ独特の文化、歴史、自然の魅力があり訪ねてみたい島ばかりです。しかし多くの島は交通が不便であり、必ずしも観光客誘致には恵まれているとは言えません。

 厳しい自然や離島というハンディの中で生きてきた島の人々の暮らしの知恵は、われわれの生活に多くの示唆を与えてくれます。

あまみシマ博覧会パンフレット.jpg

 島に客を呼ぶ方法としていくつかの方策が考えられます。イベントを開催する場合には、限られた船便や飛行機には定員があり、一度に多くの誘客は厳しくなりますが、南の島でしか見ることができない動植物などの希少価値や美しい海を活用した体験などを売りにPRすることが必要です。

 今年も13日から、「あまみシマ博覧会」が始まりました。 奄美の郷土料理をつくる、味わう。自然を歩き野生動物を見る、観察する。伝統的な工芸や芸能を体験する。美しい海でのマリンスポーツを体験する等、奄美群島で70のプログラムが用意されています。取材のために奄美を訪ね、今年のプログラムを体験しました。

 一日目は、観光ネットワーク奄美事務所の水間さんのガイドによる「亜熱帯の森・金作原原生林探検」です。 原生林の近くは道路の横まで木々が生い茂っているため、途中で車を乗り換えることとなった。

金作原原生林.jpg

 奄美の市街地から車で30分、金作原(きんさくばる)原生林では、10メートルを超えるヒカゲヘゴやイタジイ、タブノキ、イジュといった巨大な植物群をみることができます。また、アマミノクロウサギやルリカケスなど貴重な動物が生息する固有林で、その神秘的なジャングルは、映画「ゴジラ」の舞台ともなっています。

 水間さんのガイドは、奄美の成り立ちから、現在の動植物の生態系まで具体的な説明があり、理解しやすく興味深く聞いていました。原生林はひんやりとして涼しく、下界とは別世界の感じです。鳥や虫の鳴き声がいたるところからきこえてきます。いつまでも美しい神秘な自然が保たれることを祈りながら2時間あまり散策しました。

 2日目は奄美群島観光物産協会の石原さんの案内で、南部にある黒糖焼酎工場の見学と宇検村、湯湾岳、大和村を廻りました。奄美特産のひとつである「奄美黒糖焼酎」は、古くから長寿の酒として楽しまれており奄美群島でしか作ることができない焼酎です。

 黒糖焼酎の命は黒砂糖と水にありますが、宇検地域は後背に奄美で一番高い湯湾岳があり、そこに降る雨が湧き水となり、美味しい酒を作り出しています。特に音楽の振動音で美味しい酒を造る手法には、興味が惹かれました。また、工場誘致は地域での雇用を生み出していることで、地域づくりのあり方を示唆しているように感じます。

湯湾岳展望台からの眺望.jpg

 湯湾岳に到る渓谷沿いには、奄美独特の植物で他の植物に着生し成長する「オオタニワタリ」が見られます。豊富な水がこの植物を育てています。山頂から見る奄美の自然はすばらしく、世界遺産候補の一部になっている地域は特定できませんが、どこまでも続く森林とはるかに見える海の青さが印象的であり、この自然をぜひ世界自然遺産に登録したい思いにかられました。

 大和村に入ると、「島育ち」の歌詞に歌われている立神のある美しい海岸線にでます。 高倉を集めた群倉(ぼれぐら)が道路沿いにありますが、工事中の看板の置き方や休憩用に置かれた長椅子の背には飲料水メーカーの広告があるなど、まわりの景観に不具合で残念な気持ちになりました。美しい自然の中では、景観には特に配慮する必要があります。

アマミノクロウサギ.jpg

 夜は、24時間眠らない奄美の森、夜行生の生物が多く生息する山中の見学で「奄美の森のナイトウォーク・リスニングツアー」です。「観光ネットワーク奄美事務所」の越間さんに案内していただいた。暗い山道をゆっくりと車を運転しながら移動し、ウサギを見つけると、車のライトを消して息を止めて観察です。夜行性であるため灯りを警戒しています。

 今回は特別天然物のアマミノクロウサギ、オオトラツグミ、アマミイシカワガエル等貴重な動物に遭うことができました。特に絶滅危惧種に指定されているアマミノクロウサギには、7羽ほど会うことができ一同大感激です。暗い夜道にはカエルや昆虫がおり、ガイドさんは虫一匹も轢かないようにと慎重に運転していました。エコガイドの皆さんはそのような心構えで自然保護に努めていると、語った言葉が印象的でした。

 ハブは猛毒を持つ動物ですが、エコガイドさんの話によると、本来ハブは人間を襲うものではなく、従来から健康食品や傷薬に加工され共存共栄の道を歩んできたのも事実であり、最近では街角ではほとんど見かけることはないとのことです。 我々も3日間の滞在中、野生のハブに出会うことはありませんでした。奄美の大自然と共生していくことの大切さを教えてくれました。

 今後島への誘客に当たっては、エージェントのクラブ組織、大学やカルチャーセンター等で島の生活や文化を学ぶ機会を増やす取組や、自然保護の重要性を事前に学習する必要があると思います。そのことが奄美の価値を高めることになります。

スタンドアップパドルサーフィン2.jpg

 最後の日に赤木名の海岸で、スタンドアップパドルというマリンスポーツを体験しました。台風接近で、予定していた笠利の東海岸は荒れてできませんでしたが、半島の反対側の海岸は凪の状態で海の魅力を堪能できました。


 サーフボートに立ちパドルで漕ぎ進むNEWスポーツで、小学生からご年配まで楽しめます。東京からのIターンの福田さんは、永年ハワイに住み、そのすばらしさを知り尽くしているひとりですが、今後奄美の海をこのスポーツのメッカにしたいと意気込んでいました。

 ところで2013年1月31日に、「奄美・琉球」を世界遺産暫定リストに記載することが決定しました。その理由として「地史を反映した独特な種文化・系統的多様化の過程を明確に表す見本」があることと、「世界的に重要な絶滅のおそれのある種の生育・生息地など生物多様性の生息域内保全にとってもっとも重要な自然の生育・生育地を抱合した地域」であることをあげています。

 日本で初めて「世界自然遺産」に登録された屋久島は、登山者の急増で、ごみやし尿処理が大きな課題となっており、登山制限や入山料などの問題が議論されています。登録前にきちんと条例を定めて、自然保護の大切さを知らしめる必要があります。

 また、地域一体となり、自然保護の重要性、世界自然遺産に登録されることの価値を共有しなければなりません。その意味でもエコガイドさんの考え方をいかに浸透させるかが「世界自然遺産登録」の重要なかぎとなると信じます。

宇検村田検バス停.jpg

 45年前から奄美を訪ねていますが、あらためて奄美の自然のすばらしさ、貴重な動植物を保護することの重要性を認識しました。 13日から「あまみシマ博覧会」が始まっていますが、エコガイさんの案内で島の自然の魅力に触れてください。今年の夏は新たな体験で、本土と違った自然の姿に感動するのではないでしょうか。

少年たちは異国に何を求めたか~日本の近代化に貢献した若者の息吹を感じる施設に~

2013年7月8日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

薩摩英国留学生渡欧の碑.jpg

 1865年(慶応元年)4月17日19名の若者を乗せた蒸気船「オースタライエン号」が、密かに英国に向けて串木野の羽島を出港しました。 当時日本は鎖国状態であり、甑島、大島出張という名目での密航でした。2か月後の6月21日にロンドンに到着しロンドン大学に留学しますが、途中の船上で髷を切り落としています。

 留学生を派遣した理由は、産業革命を経たヨーロッパ列強は、19世紀初頭には市場を求めてアジアに進出して来ていました。当時の薩摩藩は日本本土最南端の藩として、琉球を治めており、地理的位置からも外国の危機に直面していました。

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 特に清国とイギリスとの間に1840年アヘン戦争が起こり、危機感を感じた28代藩主島津斉彬は集成館事業に代表される、近代事業に取組み、その一貫として欧米への留学生の派遣を計画していました。しかし1858年斉彬候が急死したため、計画は中断されていました。

 しかし1863年、薩摩藩は生麦事件が発端となり、イギリスと戦争(薩英戦争)をおこし、欧米列強の圧倒的な強さを知ることとなります。それでも薩摩藩は、1865年江戸幕府が鎖国令が出ている中、4人の使節団と15名の留学生を旧敵のイギリスに派遣することになったのです。留学生たちはロンドン大学で勉強した後それぞれの道を歩み、日本に帰った若者は明治維新の政府の中心として活躍しました。

 1865年といえば、幕末の志士坂本龍馬が長崎で日本で最初の貿易商社「亀山社中」を創設した年です。日本が激動の中で薩摩藩がいかに先見の明を持って、若者を異国の文化に触れさせる努力をしていたかが解ります。

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 この度留学生が船出した、いちき串木野市の羽島港の近くに「薩摩藩英国留学生記念館」が開設されることになり、先日新築工事の安全祈願祭が行われました。完成は2014年の春の予定であり、命をかけて世界を見聞しようとした若者たちの情熱や生きざまが甦ります。

 主な人の足跡を紹介します。
 村橋久成は、戊辰戦争の際砲台長として活躍し、その後北海道開拓使となり、サッポロビールの生みの親として語り継がれています。鹿児島で「サッポロビールの愛飲の会」が結成されていることなども、彼の足跡が大きいと思います。

 留学当時13歳と最年少であった長沢鼎は、その後アメリカに渡り生涯を過ごし、広大なぶどう園の経営とぶどう酒製造に尽くし、ワインの帝王と称されました。鹿児島でもナガサワワインとして親しまれています。

 畠山義成は、出航からロンドン到着直後の様子をまとめた「畠山義成洋行日記」を遺しています。1866年にはフランスに渡り見聞を広めています。帰国後「岩倉使節団」にも招集されました。その後文部省に出仕し、東京開成学校(現在の東京大学)初代校長として、日本の大学の基礎作りに貢献しています。 

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 羽島港の建設予定地の海岸には、彼の
「君か為 忍ふ旅路と知りながら きょうの別れをいかて 忍ひん」
の句碑があります。若者に託された使命と異国への旅立の不安が交錯している気持ちを歌った句です。

 鹿児島中央駅前は「薩摩藩英国留学生」の若き群像のモニュメントが建立されていま す。ぜひ碑に刻まれた彼らの功績をご覧下さい。

 ところで来春開館する記念館を観光客誘致にいかに活かすかが問われています。全国の博物館や仙巌園など近代化遺産群のまちづくりをコーディネートされた砂田光紀さんが、総合プロデューサーとして開設の準備に当たっています。

羽島海岸2.jpg

 JRの串木野駅から20分の距離で国道から離れていることもあり、観光ルートに繰り込むには、かなりの宣伝力とエージェントへの売り込みが必要です。海外に船出した留学生の年齢を考えると、若者にPRすることが大切です。

 インターネットや各種メディアの普及により、リアルに海外の情報が入手できるようになり最近の若者は以前ほど海外に興味を示しません。その意味からも海外に渡ることの必要性をもっと抱かせるチャンスです。留学生たちの思いのこもった貴重な資料が展示される予定であり、校外学習の格好の教材になります。

 県内の小中高生に在学中に一度は、遠足等で訪れて欲しいと思います。学校行事のカリキュラムに組み入れてもらう必要があります。また、薩摩川内、いちき串木野地域へのグリーンツーリズムも増加傾向にあります。民泊先と提携し、体験のメニューとして会館の見学をぜひ組み入れていただきたいと思います。県外の学生さんに、留学生の夜明けは鹿児島から始まったことを伝える良い機会にもなります。

 また、知名度が十分でないため、NHKの「歴史秘話ヒストリア」や土曜劇場などの番組で取り上げていただく運動も引き続き行わなければなりません。くしくも2015年は、留学生派遣から150年目の節目の年を迎えます。「薩摩藩英国留学生」のヒストリーを語り、若いうちに海外に行くことの重要性を問いかける必要があります。

串木野サンセットパーク.jpg

 串木野の中心部から離れた羽島の海岸に立つと、広大な海が前に広がり、後背は緑の山に囲まれ、密航するには都合の良い地ではなかったかと想像されます。  若者に海外への志向を惹起させる会館として、大いにPRして多くの人々が訪れる施設にしたいものです。  

「六月灯」を日本の祭りに~郷愁の思いがつのる伝統行事に触れる機会を~

2013年7月1日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 通勤の途中に見かける団地の庭先に植えられた朝顔が、一雨ごとに上に伸びていく姿が見え、花が咲くのも間近であることを感じます。七月に入り八坂神社を皮切りに県内各地の神社、お寺では「六月灯」が始まります。

照国神社六月灯(縦).jpg

 「六月灯」の始まりは、江戸時代2代藩主島津光久候が上山寺新照院の観音堂を造り仏像を安置した折、供養のために旧暦6月18日に沿道に灯籠を掲げ、道の明かりにしたのが始まりといわれ、鹿児島の夏の風物詩となっています。

 子供の頃浴衣姿に着替えて、金魚すくいや、かき氷、風船、綿飴、アニメの仮面等夜店が並ぶ参道を親に連れられて、そろぞ歩きした思い出があるのではないでしょうか。六月灯が始まると梅雨明けが間近となり、夏休みへ思いをはせる時期でもあります。

 ふるさとを離れた人々にとって「六月灯」は、郷愁を感じさせる場所であり、また子どものころを懐かしむ時間でもあります。今年も多くの場所で「ふるさとのかおり」を求めて出かける人が多いのではないでしょうか。


        ふるさとの 訛りなつかし 停車場の
                  人ごみの中に そを聴きにゆく
                                ~石川啄木~

         はなび花火 そこに光を 見る人と
                   闇を見る人いて 並びおり
                                 ~俵 万智~

 鹿児島市の照国神社の六月灯は、7月15日、16日の2日間にわたって開催され、境内には大小1000個あまりの燈篭が献燈され、沿道にはたくさんの夜店が並び、毎年多くの市民で賑わいます。その数は2日間で10万人を超え、県下最大の「六月灯」となっています。

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 ところで今年の5月に鹿児島でオールロケを敢行した「六月燈の三姉妹」がクランクアップしました。11月から鹿児島では先行ロードショーが行われます。

 大型ショッピングセンターの進出により客足が減少し、経営に苦しんでいる家族経営の菓子屋の再建物語です。複雑な家庭環境をかかえながら、一つの目標に向かって、夏祭り六月燈の夜にそれぞれが必至に起死回生の大作戦に出るが、その結末は・・・


 今、人口減少やモータリゼーションの発達、大型店の郊外進出、インターネットの普及等で消費構造の急激な変化がおこり、かつて賑わっていた商店街は苦戦を強いられています。 日本各地で同じような現象が起きていますが、映画は「六月灯」という地域に残る伝統的祭りを通して、家族の再結集を図り、お互いの信頼関係を取り戻す心温まる協奏曲です。

 主演は鹿児島出身の西田聖志郎が、他に、市毛良枝、吹石一恵、吉田羊、徳永えり、井上順等が出演します。市内の神社が舞台となり、地元の多くの人がエキストラとして映画づくりに参加しまし た。公開が楽しみな映画です。

六月灯3.jpg

 ところで鹿児島の「六月灯」は県外の方には意外と認知度が低いと感じます。京都の「祇園祭」、博多の「祇園山笠」、熊本県の「山鹿灯籠まつり」等に比べてもメディアに登場することもなく、地域の祭りに終わっている気がします。

 一か月以上にわたって県下全域で行われている祭りは、全国にはなく大変貴重な祭りです。旅行パンフレットでの紹介や宿泊施設、飲食店、運輸機関等では期日ごとの開催場所を記載したパンフレットの設置や、「県人会」を通して知らせることが、誘客につながるのではないでしょうか。

 特に7月は鹿児島県への観光客が減少する時期であり、鹿児島らしさを感じる「六月灯」をもっと活かして宿泊客を増やす努力が必要です。

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 鹿児島には「六月灯」以外にも様々な夏祭りがありますが、長年人々の生活や風習に育まれ、四季の風情を感じさせる地域ならではの伝統行事となっています。 特に夏休み期間の祭りは、都会に出た人々の帰省の時期と相まって、懐かしい人との再会など感慨深いものがあります。

 人口減少が進む中地域の守り神の象徴である神社・寺院に集まり、年一回の祭りを集落の人総出で準備しているのがこの頃の祭りの姿ではないでしょうか。地域に残る先祖崇拝、神々への感謝の心は根強いものがあります。伝統的祭りを引き継いでいくことで、ふるさと意識が目覚め、魅力ある地域として生き残っていけるのではないでしょうか。

六月灯2.jpg

 しかし最近の祭りは、厳粛な行事というよりも華やかさも組み込まれた祭りに変化しており、屋台(縁日広場)、特設舞台での歌謡ショーや、アニメのヒーローを中心としたキャラクターショーなども行われています。そのことは子どもの参加が増え賑わいの演出に繫がっているのかもしれません。

 今年の夏は、近くの六月灯に家族で出かけ、「ふるさとのかおり」を味わいましょう。そして秋に公開される「六月燈の三姉妹」のPRに努力したいものです。
  参考:「六月燈の三姉妹」のパンフレット

三県連携による教育旅行の誘致~各県の優位性を活かす~

2013年6月24日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

沖縄はすでに梅雨明けとなりましたが、本土では梅雨も中休み、紫陽花の花に雨が恋しいこの頃の暑さです。

紫陽花に 草子干す時 暑さかな  ~飯田蛇忽~

修学旅行(新幹線のホーム).jpg

5月の連休以降鹿児島中央駅は関西・中国地域からの修学旅行生で連日賑わっていましたが、春の集約臨時列車の運行も終わり、今一段落という状況です。

県内への平成24年の修学旅行の入込状況がまとまりました。学校数は674校で、前年の642校と比較すると32校増加し、人数(延宿泊者数)も94,348人で、前年か1,143人の増となっています。

地区別では指宿地区、鹿児島地区、種子・屋久地区が大きく伸びたのに対し、奄美地区、南薩摩地区が減少しています。奄美地区は台風の来襲でヨロン島の受入が大幅に減少したことが影響しています。

農家民宿お迎えの風景.jpg

南薩摩地区は、県内における農家民泊受入のパイオニア的な存在でしたが、県内全域で受入が可能になっていることで、分散化傾向となりつつあることが減少の要因です。大隅、伊佐地区は、従来修学旅行の行先でなかった地域ですが、民泊の受入態勢が整い増加傾向にあります。

子ども達は生物の生態、農産物の植え付け・収穫体験を通して、自然の営みの大切さ・不思議さに感動します。両地域は元来農業生産地帯であり、体験メニューが豊富でありこれからが楽しみな地域です。

垂水市漁業体験201306.jpg

最近の学校現場の修学旅行のニーズは、平和学習、農漁業体験、環境・自然学習、まちあるき等ですが、鹿児島県はそれに対応できる豊富なメニューが揃っており入込増の要因となっています。また、九州新幹線の全線開業による時間短縮効果も関西・中国地域からの誘客を可能にしています。

現在、熊本県、宮崎県、鹿児島県の三県で「南九州修学旅行誘致受入対策会議」を組織して、南九州への修学旅行誘致に努めています。三県全体での修学旅行の受入実績は、平成22年度187,571人となっています。

ちなみに長崎県は、433,710人、沖縄県は、426,163人で圧倒的に差を付けられており、今後三県の連携による誘致促進が求められています。

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ここ10年来首都圏、関西地域からの修学旅行の行先は沖縄が主ですが、九州方面では福岡~長崎~佐世保方面がメインのコースとなっています。長崎に行く理由としては、原爆に関する平和学習、ペーロン競争など海の体験、松浦、島原地区での民泊体験等が充実していることがあげられます。

また、永年に渡り、集約列車の運行や民泊の条件整備、市民を巻き込んだ「まちあるきボランティアガイド」育成等官民あげて修学旅行誘致に取り組んできたことが実績として表れています。

毎年東京、名古屋、大阪等で九州観光推進機構主催による「九州七県修学旅行誘致説明会」が開催されます。東京での説明会の終了後は、三県合同による教育旅行関係支店を訪問しPRと誘致に努めています。

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今後三県へ誘致するにあたっては、下記の点に配慮しながら誘致を強化する必要があります。まず首都圏のターゲットとしては、旅費と日程の関係で高校生が中心となり、輸送手段としては、航空機が主流となります。長崎は福岡空港を利用することで大量輸送が可能です。三県では往路と復路の発着地を変えるなど効率的なルート設定が可能です。

関西・中国地域からは九州新幹線が全線開業し、集約臨時列車の運行による時間短縮効果が顕著となり、高校、中学校とも誘致しやすくなりました。南九州三県ならではの教育ニーズにマッチしたメニュー提供や地域の特徴を活かしたコースを作ることが重要です。

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阿蘇地域でのホーストレッキング、天草での化石採掘、水俣の環境学習、人吉のラフティング、宮崎青島でのマリンスポーツ体験、霧島や桜島での火山・防災学習、垂水での漁業体験、鹿屋・知覧での平和学習、内之浦や種子島での宇宙基地見学、鹿児島市での歴史探訪と多彩なカリキュラムが提供できます。

今後は日修協や全修協の組織を活用して先生方に、三県の新たな魅力を直接見ていただく機会を提供しなければなりません。また、エージェントの新人の営業マンを対象に現地視察を積極的に勧める必要があります。

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ところで、経費や日程に制限のない学校に対しては、離島の屋久島や種子島、甑島等をお勧めします。世界自然遺産の屋久島は環境学習に、種子島にはロケット発射基地がありSSH校を、甑島は地形・地質など特徴があり地学の学習に最適です。 最近では、海の体験を望む学校が増えており、農業体験の後、砂浜での貝殻採集、砂像作り、海に沈む夕陽の見学などが都会の子ども達は喜びます。

先日開かれた「南九州修学旅行誘致受入会議」では、バスとガイドさん不足が指摘されました。単県での解決は難しく、運輸局、教育委員会、学校、エージェント等に対し、実施時期の平準化、JR輸送の拡大などの要望が出されました。三県で関係機関への陳情も必要です。

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特に県内の春の学生の修学旅行は、関西・中国地域からの入込時期と重なり、バス不足に拍車がかかっています。課題解決の一つが、JRの運賃、料金が半額となる鹿児島中央発の集約臨時列車を活用できる仕組みをつくりあげることです。このことが行先の選択肢を広げ、バス問題解決の糸口にもなります。

新幹線を活用した修学旅行の実施に向けて、教育委員会の理解を得るための粘り強いアプローチが重要です。各県にとっては、実施時期の平準化と安定的入りこみが最も求められています。

最後に教育旅行の利点は、一度に多くの生徒が動く団体旅行であり、又、好、不況に関係なく実施され、しかも2年前に決定することから経営的にも経済的効果も大きいと言えます。

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教育旅行の際に取り入れられる農業体験などのグリーンツーリズムの推進は、地域活性化にも繫がります。 宿泊、運輸、食事等の機関にとって、修学旅行の受入は経営の見通しが立てられるなど 安定した顧客といえます。今の時代に修学旅行に変わる大型団体は見つかりません。それほど重要な顧客です。

修学旅行は1887年(明治20年)に始まり、教育課程の中でずっと続いてきた伝統行事で日本独特の文化の一つです。これからも子供達の思い出づくりの場として、大切にされる時間であり、「温かいおもてなしの心」で迎える環境づくりが必要です。 各県の優位性を尊重し、また、不足するメニューは補完し合い、新しいメニューの開発、共同セールスの実施等で三県への修学旅行の誘致に努めたいものです。

上海線の重要性について~環黄海経済地域の発展を学ぶ機会に~

2013年6月17日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 昨年から就航している格安航空会社ピーチや、中華航空台北線はこの1年順調に推移してきましたが、一方、上海線は現在週2便体制ですが、尖閣問題や環境問題等の影響もあり利用者が伸び悩み、フライトキャンセルの便がでるなど苦戦を強いられています。そこで県では、この路線の重要性に鑑み、上海派遣短期特別研修として民間の方々も含め1,000人を派遣する計画です。

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 上海線の重要性について述べてみたいと思います。日本の人口減少による経済規模縮小は明らかであり、アジアの時代における鹿児島県の将来の発展の基盤づくりとして、地理的優位性を活用した交通ネットワークの拡大が求められており、交流人口の拡大は不可欠です。

 また、農林水産物の輸出促進は、アジアの活力を取り込み、地域活性化の観点から極めて重要なことです。上海は大きな経済成長が見込まれる環黄海地域(中国では、北京市、天津市、河北省、遼寧省、上海市、江蘇省、山東省。韓国では釜山、仁川、光州、太田、京幾道、中清南道、済州道、全羅北道、慶尚南道)の主要都市の一つです。  南に開かれたアジアの玄関口として、上海はその中心に位置し、また、鹿児島県と同緯度にあり、100分程度で行けることからも、これから益々重要な都市となります。

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 中国の環黄海地域の沿岸部には、3億人の人口がおり比較的富裕層が多いとされており、3千万人が海外旅行に行くともいわれ、日本への渡航者も増えています。これからも医療、観光、物流等上海との交流は、鹿児島として大きな経済効果が期待されます。特に鹿児島が誇る「温泉」、「世界自然遺産」、「おもてなし」、「食」、「ゴルフ」等は、魅力です。

 鹿児島から上海経由で中国の主要都市、ヨーロッパ各地へも行けます。また、全線開通した九州新幹線と福岡空港・鹿児島空港を組み合わせることで、ベトナム、タイ、シンガポール、台湾、ソウル、香港等アジアの主要都市との交通ネットワークが形成されます。

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 今回の研修で、発展する都市上海の姿をつぶさに勉強し、人脈を広げることで鹿児島との大きな経済交流が広がります。また、教職員にとっては、中国3千年の歴史に触れ、古い中国と新しい中国の姿をみて、将来の若者の交流に繋げて欲しいと思います。路線開設当初は多くの青少年交流団体が往来し、両国の絆を強くしました。

 また、「歴史部会」、「地理部会」、「書道部会」、「国語部会」等教職員の専門分野の訪中団も活発でした。修学旅行先として、県内の多くの高校が上海を訪れ、事前の生徒同士の交流や学校訪問も行いました。観光は平和のパスポートです。中国への再訪を期待したいと思います。

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 ところで上海周辺には、歴史的遺産を始め多くの観光地がありますが、その魅力についてご紹介します。上海市から1時間の距離にある蘇州は、絹織物の一大産地でシルクの工場が多いことで知られています。また、運河による水運が生活に溶け込んでいることから、旧市街地及び周辺の水郷地帯を含めて運河が多く、「東洋のヴェニス」とも呼ばれます。


 また、世界遺産の拙政園は池や堀が多くあり、四季の草花が池に映え、その景観を参考にする日本の造園業者の視察が絶えません。虎丘は、8角7層の虎丘塔からなり、現在少し傾いているため「イタリアのピサの斜塔」と比べられます。 高校の国語の教科書にも出てくる寒山寺の旅情を詠った「楓橋夜泊」の漢詩は有名です。

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 江蘇省の省都である南京市の郊外には、広大な敷地に中山陵がありますが、近代中国建国の祖孫文の墓陵です。孫文は日本に通算約9年間滞在していたこともあり、日本での生活を支えていた人は千人をこえていると言われており、彼の人物像が日本でも語り継がれています。

 「無錫旅情」で有名な無錫は、太湖に接し典型的な中国の古い城壁に囲まれた都市で、日本からの進出企業が多いことでも知られています。 杭州は、かつてマルコポーロが東洋一美しい街と賞賛した中国八大古都の一つです。市の西側には世界遺産の西湖があります。

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 上海は、中華人民共和国の経済の中心地であり、その発展にはすさまじいものがあります。京セラやSONY、トヨタ等日本の一流企業が進出し、鹿児島県人も多く働いています。中心部にある外灘(ワイタン、バンドとも呼ぶ。)は、昔の面影が残る黄浦区にあり、上海随一の観光エリアです。外灘の「観光地下トンネル」の演出には驚かされます。

 また、上海は、租界時代の行政と経済の中心であったことから、現在でも金融関係や官庁が多くありますが、大型のブランドショップや洋装店、レトロな雰囲気を活かした飲食店が多く、おしゃれな街に変貌をとげています。最近の街づくりも参考としたいものです。

 さらに、空港から市内までリニアモーターカーで結ばれており、時速400キロの高速鉄道の快適さを堪能して欲しいと思います。また、高さ492m、101階を誇る上海ヒルズからの眺望は必見の価値があります。

 小生は、これまで中国には40数回渡航し、変化する中国の姿を見てきました。鹿児島とほぼ同じ緯度に位置する上海は、東京より近く、気軽に行ける国際観光都市です。今、アジアの拠点である上海とのアクセスが無くなると、鹿児島の将来にとって、大きな損失となります。上海線の路線維持については、官民挙げての支援が必要であり、相互交流が重要です。

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 県交通政策課にある鹿児島空港国際化促進協議会(099-286-2459)では、鹿児島空港国際線ご利用の6人以上の団体・グループに、渡航経費の一部を助成しており、6月から補助金額も増額されています。県民の皆さんもこの補助制度を利用して、NOビザで行くことができる上海へでかけませんか。                     

大隅半島と薩摩半島を繋ぐ取組~田舎の魅力発信とアクセスの整備が課題に~

2013年6月10日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 拠点地域と各地域双方の活性化を目的としたツアーの第2弾を実施しました。今回は、指宿発の広域観光周遊ルート(南大隅方面)モニターツアーを実施し、指宿のホテル、運輸、メディア、行政関係者50名が参加しました。行きは山川港から新造船「フェリーなんきゅう」(136トン)に乗船しました。

 船は大型バス2台と乗用車6台、旅客95人が同時に乗船出来るようになっていますが、客室に全員が入れるスペースがないために、半分近くは到着までの50分デッキで過ごすことになります。冬場や年寄りが多いツアーへの対応が課題となります。

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 根占港からバスに分乗して、無料開放となった佐多岬を訪ねました。あいにくの雨と突風で、灯台も煙に巻かれている感じでしたが、九州本土最南端の自然の姿を見ることができたように感じます。展望台や廃墟となっていたレストラン跡地は更地となり、本来の自然の姿に戻っていました。建物がないことが逆に新鮮に映ります。

 霧に煙っていた佐多岬灯台は、九州本土最南端の太平洋に突き出した半島の先端にあり、「日本の灯台50選」に選ばれています。太平洋の黒潮が押し寄せる海は荒く、錦江湾や南の島へ行き交う船舶の目印として重要な役割を果たしています。対岸には薩摩半島の開聞岳を望み、東シナ海に沈む夕日は格別です。晴れた日には、種子島、屋久島を望むことができます。岬には下記の句碑があります。

 「黒潮の海に昇りし天津日は 佐多乃岬を日ねもす照らす」 川田順

 ところで佐多岬は、かつて「宮崎~日南海岸~鹿屋~佐多岬~根占~山川~指宿」を巡る新婚客のゴールデンルートとして賑わいました。その後新婚旅行が海外に移り、団体旅行も激減し、また、フェリーの休止等もあり佐多岬への観光客も減少し、広範囲に影響がでてきました。

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 しかし、団塊の世代の退職や国内旅行の個人化・多様化が進み、今では交通の便が悪く秘境と呼ばれる地域が脚光を浴びています。その意味でも佐多岬の魅力づくりが、宿泊者の多い指宿方面からの観光ルート定着につながり、双方にメリットが出てくると思います。今年度は県の予算で調査費が付いており、佐多岬の課題が改善されることを期待しています。

 次に訪ねたのが、雄川の滝です。県の魅力ある観光地づくり事業で、錦江町側から滝を臨む場所に展望台が設置されました。南大隅町側からも行くことができますが、駐車場までの道路の拡幅が課題です。川岸を歩いて滝まで行くこともお勧めします。

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 昼食は花瀬公園でした。地域興しグループ「うんめもんの会」の方々が、地元で取れた食材を中心に盛り付けた「竹皮弁当」で環境にも配慮した包装でした。旅の楽しみは食であり、やはり安全・安心が旅人の心に残るのではないでしょうか。

 花瀬には、歴代の薩摩藩主が訪れたお茶亭跡や、2kmに及ぶ千畳敷の石畳があり、春から秋にかけて花や紅葉が水に映えて一段と魅力的になります。

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 その後高さ25m、幅30mもある神川の大滝を訪ねました。雨の影響でいつもより下り落ちる水量が多く一段と迫力を感じました。これからの季節、近くの「大滝の茶屋」は、そうめん流しで賑わいます。是非大隅地域で訪れたい場所です。

 港に向かう途中に二つの鳥居が並ぶ「諏訪神社」がありますが、参拝者が増えています。吾平山上陵と諏訪神社、佐多岬にある御崎神社の3箇所をパワースポットとして売りだすのも期待がもてます。かつてヒットした「岬めぐり」にあやかり都井岬、佐多岬、長崎鼻を巡るツアーの復活も楽しみです。

 帰路、根占ドームで「NPO法人愛・あいネット」の皆さんによる「地元産の十割そば」の提供があり、参加者一同大感激です。移動販売を通して、障がい者と健常者との交流を増やし、健常者の方々の「心のバリアフリー」の推進と同時に障がい者の方々の「社会参加の意欲」の後押しに繫がると事業を推進しています。地元産の食材にこだわり、高齢化対策にも貢献している事業に感動しました。

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 最後の「なんたん市場」では、参加者のほとんどが地元の旬の魚や野菜を買いもとめていました。旅先にこのような直売店があると、立ち寄りたくなります。直売店の職員も多くの物産が売れたことに喜びを感じ、全員が手を振って見送りしてくれました。地域の温かさに触れた旅でした。

 北海道の最北端宗谷岬はこれからの季節、本州方面から多くの観光客が訪れます。最北端と最南端を訪ねた方には、抽選で記念品を渡す取組を両地域で計画し、発信すればおもしろいと感じます。九州本土最南端の地に来たことを実感できる岬でありたいと思います。

 ところで人口と観光客の減少は、地域経済にも大きな影響を与えており、観光振興による交流人口の拡大が求められています。今、日本人の国内旅行は成熟し、旅行スタイルも変化してきており、地域のニューツーリズムが注目をあびてきています。グリーンツーリズム、ブルーツーリズム、エコツーリズム、まち歩きなどがその代表です。

 従来の物見遊山的な観光、温泉での豪遊などから、個人の趣味や価値観を大切にする時間消費型の観光スタイルに変化してきています。田舎の良さを活用した旅が求められています。

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   大隈地域は海、山、川の豊穣な自然がつくりだした食の宝庫であり、スローライフ、スローフードに最適な地です。 今グリーンツーリズムの体験は、教育旅行には欠かせない素材です。担い手の育成を図 り、地域をコーディネートする人の存在が大事になってきました。

 新幹線の全線開業で鹿児島への観光客は伸びています。鹿児島市から垂水経由で大隅地 域を観光して1泊し、翌日は内之浦、田代、佐多岬などを廻り山川に渡るコースも出来るようになりました。大隅地域で活用できる「無料レンタカープラン」も是非利用してもらいたい。

 今国内旅行の7割は個人旅行です。公共交通の整備されていない観光地へは、車での移動が主流となりますが、移動の足のない客には目的地までの利便性を図ることが大切です。そのためには、港を集合場所として、観光地までの巡回バスやタクシープランを充実させることも一つの方法と考えます。指宿のあるホテルでは、プランを作り宿泊者に案内しています。

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 県内を回って感じることは、大隅半島に行ったたことのない県民が多いことに驚かされ ます。日本の原風景が至るところに残る大隅路を訪ねて、地域の生活・文化にも触れてほしいと思います。指宿地域と大隅地域が連携し、それぞれに恩恵をもたらし持続できる観光地になるには、アクセスの改善と行きたくなる地域としての魅力の発信が今以上に求められています。  

離島ならではの魅力発信を~NHKの土曜ドラマ「島の先生」始まる~

2013年6月3日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 天然の良港を抱える大島海峡を挟んで、瀬戸内町の古仁屋の街の対岸にあるのが、映画「男はつらいよ」の最終作の舞台となった加計呂麻島です。

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 大島海峡をステージに開かれる「奄美シーカヤックマラソンin加計呂麻」は、シーカヤックの国内最大級の大会です。また、湖を思わせるおだやかな豊穣な海では、クロマグロや黒真珠の養殖も行われています。

 奄美大島最南端の港町・古仁屋から定期船で25分の位置にあり、海岸線はどこにいっても綺麗で美しい砂浜が続きます。西安室の集落から見る東シナ海に沈む赤々とした夕陽は、心が動かさずにはいられません。

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 諸鈍にあるデイゴの並木は5~6月にかけて真っ赤な花を咲かせ、青い空と海に映えて一段と美しく感じられます。毎年旧暦9月9日には、近くの大屯神社で国指定重要文化財の伝統芸能「諸鈍シバヤ」が奉納され多くの人で賑わいます。

 また、明治末期から太平洋戦争時にかけ、本土防衛のために設けられた砲台や弾薬庫、特攻艇の艇庫が、この島にありました。今なお残る、戦争の傷跡がいたるところに残っています。戦争末期この島で震洋艇の指揮官として作家島尾敏雄は、出撃を待った。しかし出撃の命令は下らずに終戦を迎えています。

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 そうした極限状況の体験をもとに「出弧島記」、「出発は遂に訪れず」等の作品を残しています。加計呂麻島は島尾敏雄の妻ミホさんの生まれた島ですが、小説「死の棘」では極限状態で結ばれた夫婦が、断絶の危機に合い、絆を取り戻そうとする様を情感豊かに描いたもので、映画化されました。静かな入江となっている呑之浦には、文学碑が建立されています。

 NHKの土曜ドラマ「島の先生」が始まりましたが、諸鈍の美しい海岸も登場します。小さな小学校を舞台に、教師と子どもたちの成長の日々をハートフルに描くドラマです。

 ドラマの〈内容〉は、
 離島の学校(小中併設)には、東京や大阪などから、さまざまな問題を抱えた児童・生徒たちが留学し、里親のもとで暮らしている。
 都会のマンモス校でいじめや不登校に苦しみ、集団の中で隠れるように過ごしてきたこどもたちも、全校わずか十数人の学校では、生徒会・運動会・学習発表会・・、何をやるにも毎日が主役となる。

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 島人たちの深い人情や温かい視線に育まれ、自分がこの世界で必要とされて入ることを実感し、こどもたちは再生への糸口をつかむ。島を必要としているのは、こどもたちだけではない。日々の生活に疲れた大人たちにとっても、島は、限りなく深い癒しと新しい活力を与えてくれる。"島は日本の保健室"なのだ。

 島の学校で教師をしているのは、ヒロインの夏村千尋(なつむら・ちひろ)先生。千尋自身が、実母との関係に苦しみ、中学生時代にこの島で留学生活を送ったことがある。生徒たちの問題を一緒になって悩みながら、千尋先生も、もう一度人生をやり直そうと励んでいる・・・。
                        NHK広報局 土曜ドラマ 『島の先生』より

 主演の先生役は仲間由紀恵さんが演じ、チーフディレクターの屋敷陽太郎氏と音楽担当の吉俣良さんは、大河ドラマ「篤姫」のコンビで、主題歌「未来」は長淵剛さんが担当します。

 美しい自然と、地域の温かい感情が生み出すドラマは、大きな感動をもたらし、終了後は多くの観光客が訪れると予想されます。 今回のドラマは6回シリーズで放映されます。ぜひご覧下さい。

 ところで鹿児島市から100キロの地にある三島村も山村留学を受け入れています。三島村の硫黄島は人口112名程度であり、小中学校生は13名で典型的な過疎の島です。島の北部には、旅人が是非一度は訪れたい温泉に上げられている「東温泉」という天然の露天風呂があります。白浪が打ち寄せる岩場に湧く天然の温泉で、全国の秘湯ファンの人気を集めています。朝日や夕日を拝みながら入る風呂は格別です。

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 また、島では5月中旬から6月初旬にかけては、タケノコ刈りが楽しめ、2月には椿が満開になり、9月には椿油作りが楽しめます。又落人伝説の史跡や太公望にはたまらない釣りの良場、恋人岬など歴史、自然、温泉などが自然にコンパクトに配置された魅力的な島です。西アフリカ発祥の伝統楽器「ジャンベ」を本格的に習得できるアジアで唯一の施設もあります。今は亡き中村勘三郎さんが、二度「俊寛」を題材とした歌舞伎を演じた島としても知られています。

 また、県内には28の有人の島があり、それぞれ自然の魅力や文化、歴史があり訪ねてみたい島ばかりですが、多くの島は交通が不便です。島独特の祭りや食文化は観光素材として欠かせません。またユニークな海岸線、砂浜、生物、温泉などは魅力です。厳しい自然や離島というハンディの中で生きてきた島の人々の暮らしの知恵や、島唄、伝統芸能はわれわれの生活に多くの示唆を与えてくれます。

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 島に観光客を呼ぶ方法としていくつかの方策が考えられます。島でしか取れない産物や、島でしか咲かない花、珍しい生物など希少価値を売りに、情報発信することが重要です。

 大学とタイアップし、ゼミの講座の一つに島の生活や文化を取り上げてもらう取組や、カルチャーセンターや市民講座のカリキュラムに、島を訪れるコースを加えることで一定の入込客を確保できます。夏休みの若者向けのキャンプも売りの一つです。最近のエージェントの企画では、「日本の島を巡る旅」が人気を博しています。

 離島と言う不便性を、むしろ稀少価値として捉え、優位性に転換することが大事です、 南北600キロある鹿児島県ですが、海岸線は本土の長さより離島の長さが上回ります。 ぜひ今年は、まず「島の先生」の舞台加計呂間島を訪ねて、離島の学校の魅力を発見しませんか。美しい自然と温かいおもてなしが、あなたの来訪を歓迎するでしょう。
        〔参考〕しま旅:鹿児島県観光連盟、かごしまよかとこ100選:鹿児島県

長崎鼻の魅力発信の取組~南国情話のふるさと~

2013年5月27日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 昭和40年代の初めからから50年代前半にかけて、指宿駅に新婚客を乗せた列車が着くたびに、次の曲が流れ歓迎していました。

        『南国情話』 作詞:石本美由紀 作曲:三界 稔

   岬の風に 泣いて散る 浜木綿悲し 恋の花
                 薩摩娘は 長崎鼻の 海を眺めて 君慕う

   開聞岳の 山の巣に  日暮れは鳥も 帰るのに
                 君は船乗り 竹島遙か 今日も帰らず 夜が来る

   悲しい恋の 舟歌を 歌うて一人 波枕
             あの娘思えば 男のくせに 握る櫓綱(ろずな)もままならぬ

   逢えない人を 慕わせる 今宵の月の 冷たさよ
                 可愛いあの娘も 長崎鼻で 一人眺めて 泣くだろう

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 何となく情感がこもった詩とメロディは、指宿を訪れる人々の心に深い印象を残してきました。 「あこがれのハワイ航路」や「長良川艶歌」、「矢切の渡し」と2年連続日本レコード大賞を受賞した石本美由紀さんが、昭和29年に作詞されたもので、来年が発表から60周年にあたります。

 この歌に出てくる「長崎鼻」は、薩摩半島の最南端に位置し、荒波が押し寄せる灯台の近くまで行くと、西には開聞岳が、晴れた日には、屋久島や硫黄島を臨むことができ風光明媚な場所として知られています。

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 かつて都井岬、佐多岬と岬を巡るツアーや、新婚旅行全盛期には近くの長崎鼻パーキングガーデンや開聞山麓の新婚植樹園とともに多くのカップルで賑わいました。 しかし、バブルの崩壊による景気低迷で団体客が減り、新婚客は海外へシフトし、昔の賑わいはなくなりました。

 そこで、九州新幹線が全線開業し、「いぶすきのたまて箱」も運行され注目を浴びている今、地域の人たちが立ち上がり、もう一度長崎鼻に観光客を取り戻そうと竜宮城からの招待状と銘打った「指宿長崎鼻龍宮城まつり」というユニークなイベントを開催しました。

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 イベントの中心となったのは、長崎鼻の近くで「休憩店」を営む有村隆雄社長で、有志で集めた資金や人手を動員し手作りのイベントを創り上げました。
 「癒し、美と健幸、ふれあい」をコンセプトに、国内外で大活躍中のヨガの第一人者chamaさん、新進気鋭のストリートダンサーNayuさん、日本一の栄冠に輝いた山川ツマベニ少年太鼓、まち歩きの達人東川隆太郎氏らが参加する一大イベントでした。
 当日は小雨の降る天気でしたが、長崎鼻を臨む海岸の砂浜ではchamaさんによるヨガ教室もあり、老若男女多くの参加者があり、小生も元気をもらった感じです。

 また、オリビン万華鏡つくり体験や、長崎鼻から3つの海に向かって大声で叫ぶイベントには、近隣の小中学生が参加し盛り上げていました。有村会長は今日がスタートであり、来年はもっと多くの人を集めたいと語っていました。イベントの開催に尽力された有村様の並々ならぬご苦労に心からの感謝の気持ちを申し上げたいと思います。

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 岬の近くにある「龍宮神社」は、浦島太郎の伝説で有名であり、御祭神は豊玉姫命(とよたまひめのみこと・乙姫様)です。龍宮神社は、観光特急「いぶすきのたまて箱」のネーミングの由来にもなっており、人気急上昇中のパワースポットです。


 参道の近くには、地域グルメや農産物の展示即売会も開かれており、多くの観光客で賑わっていました。 指宿から「長崎鼻」に至る海沿いのルートは、遠回りにはなりますが、山川港、琉球貿易の遺跡、かつお節工場、ヘルシーランド、砂蒸し温泉、地熱発電、フラワーパークなど素晴らしい景観が残りもっとPRが必要です。

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 山川~根占航路が再開されましたが、全盛期は多くの新婚客で賑わい、タクシーの積み残しが出るほどの人気でした。観光客は、大型バスで宮崎から日南海岸をめぐり、都井岬、志布志、鹿屋、佐多岬と大隅半島の沿線の魅力を堪能し、対岸の指宿に宿泊するツアーが人気でした。

 今、国内ではかつて観光客が押し寄せて賑わっていた大型温泉地が苦戦を強いられています。高速道路の開通による観光ルートの変更、宴会型団体旅行の激減、物見遊山の旅行の減少、少子高齢化による旅行需要の停滞等マーケットは変化しており、観光地は常に進化している姿を提供しなければなりません。地域の生活・文化に触れる取組が重要です。 担い手の育成を図り、地域をコーディネートする人の存在が大事になってきました。

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 鹿児島を代表するパワースポットとして多くの参拝客が訪れているのが、南九州市頴娃町にある釜蓋神社です。頭の上に釜蓋を乗せて鳥居から賽銭箱までの約10mを歩ききったら願いが叶うというユニークな願掛けが人気となり、勝負・武の神を祀ることからスポーツ選手も多く参拝しています。

 この神社が有名になったのは、テレビ番組の「ナニコレ珍百景」で紹介されたのが始まりです。その後ロンドンオリンピックの女子サッカーチーム「なでしこジャパン」の活躍が、この神社に参拝したご利益のおかげとのスポーツ紙の報道もあり、一気にその人気に火が付きました。今では多くの旅行エージェントの企画にも取り上げられています。

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 3年前まではほとんど無名に近かった釜蓋神社が、多くの参拝客を呼ぶようになったのは、神社のストーリーとともに珍しい参拝スタイルが、メディアで取り上げられたことが大きいと思います。「龍宮神社」、「枚聞神社」、「釜蓋神社」の3社を巡るツアーも人気がでています。

 また、熟年層を対象に、かつてハネムーンのメッカであった南九州ゆかりの地を訪ねる企画も求められます。長崎鼻のストーリーを語ることで新しい魅力が生まれるのではないでしょうか。

 新幹線の全線開業から3年目に入り一服感がある鹿児島ですが、指宿地域は善戦しています。新幹線のブームが続いている間に次の魅力を創出する必要があります。指宿に連泊させる方策としては、2日目は、大隅半島にわたる企画も考えられます。

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 冒頭の「南国情話」の美しいメロディは、岬に至る参道のお店から流れてきます。口ずさみながら歩くと目の前に広い海が広がり、振り返ると秀麗な開聞岳が眺められ、この歌が長崎鼻の雰囲気を醸し出していると感じます。
 長崎鼻を訪れたら、「龍宮神社」に参拝し、「南国情話」のCDをぜひお買い求め下さい。「南国情話」の復活が、地域の活性化の一翼になればと思います。

         大隅の佐多の岬は 海越しに
                  突き出て青し 鷹棲むといふ
                                    川田 順

皆さん、ふるさとかごしまに自信を持とう~地域ブランド力調査で第7位に躍進~

2013年5月20日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

県内に住む皆さん、また、ふるさとが鹿児島である人々にとって、最近明るい話題が発表されました。

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日経リサーチがまとめた「2013地域ブランド調査」によると、都道府県を総合評価したブランド力指数(PQ)で、鹿児島県は7位にランクされています。2010年の調査では10位であり、3つランクをあげたことになります。

首位は北海道、京都、沖縄、東京都が続き、上位陣の顔ぶれは変わりません。九州では福岡県が8位で、「くまモン」人気が追い風になった熊本県が、21位から18位にランクを上げています。

2010年にも熊本、宮崎、鹿児島の3商工会議所が合同で全国イメージ調査を実施しています。全国の商工会議所の協力をえて、南九州3県以外に居住または通勤する人に、九州7県で行きたい県や観光地、食、人物などについて質問し、36都道府県から回答があり、「九州で行きたい県」では1位が鹿児島県、2位が長崎県、3位が宮崎県となっています。

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県民は鹿児島県が九州本土最南端の県であることを不利と感じるのではなく、そのことがかごしまの魅力であり、自身を持ってもっとPRしなければなりません。県と観光連盟ではホームページの改善を図りながら情報発信に取組んでいますが、今一番アクセス件数が多いのが桜島です。

大正の大噴火から来年100周年を迎えます。噴火がもたらす不利性だけが注目されがちですが、桜島の時間ごとの山の色の変化、観光スポット、船から見る桜島、島の人々の暮らしや産業など自然が作り出す魅力を知らせることが大切です。

鹿児島県はPRが下手と言われますが、一般消費者から見ると魅力ある県の一つにあげられるのではないでしょうか。2010年に放映されたNHKの大河ドラマ「篤姫」や日本で最初の世界自然遺産に登録された「屋久島」、「本物。鹿児島県」の浸透、何と言っても九州新幹線の全線開業効果が知名度をあげているのではないでしょうか。

また、特色のある温泉、本物の食材、2箇所の宇宙発射基地、これから世界遺産登録を目指す「近代化産業遺産群」や「奄美群島」などポテンシャルの高い地域も存在します。

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仙巌園や尚古集成館を見学し、日本の近代化に島津斉彬がいかなる思いで取組んだのかを理解することで、世界産業遺産登録の必然性を自ら感じることになるのではないでしょうか。2018年には明治維新150年を迎えます。その大変革をもたらした薩摩の風土や文化を学び、ふるさとの魅力をPRすることが重要です。

九州新幹線が全線開業し、今、関西・中国地域から多くの修学旅行生が訪れていますが、初めて鹿児島に来たと語る生徒がほとんどです。若い人の鹿児島の認知度はまだ低く、教育界への働きかけも重要と考え、集約臨時列車の利用地域拡大、農家民泊の整備、体験メニューの充実など仕組みづくりが必要であり、そのことで行先としての定着がはかられます。

ところで、新幹線開業前と街の様子が一変したと観光客は口々に言います。終着駅となる「鹿児島中央駅」周辺は、ホテルや「かごっまふるさと屋台村」のオープン、高見橋周辺の甲突川河畔のライトアップ等で夜遅くまで賑わいが増しています。 これから鹿児島の食のブランド化、大隅・南薩摩地域の観光ルートの開発、離島の魅力発信等まだまだPRしなければなりません。

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地域で愛される「焼酎」や蔵元見学、「酒ずし」、「鶏飯」、最近話題のグルメ丼やラーメン等、伝統食と鹿児島の旬の情報提供等が求められます。 また、伝統的祭りに加えて若者が主体の新しいイベントも積極的なPRが必要です。


九州新幹線という幹から、枝となるローカル線への誘客が不可欠です。これからは連泊を可能とする態勢作りが重要であり、周辺地域を取り込んだ滞在型観光地づくりが求められます。

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「指宿のたまて箱」は好調を維持しており、指宿温泉の宿泊を支えています。就航間もない「おれんじ食堂」はメディアで頻繁に取り上げられ、国内外のお客様が乗車しています。皆様にも一度は体験して欲しい列車です。エージェントの貸切企画も増えており、新幹線と結び北薩地域の知名度アップに繋げなければなりません。

10月15日から運行される「ななつ星in九州」は今話題の列車で、内装も豪華で旅行代金も高額になります。ツアーは、鹿児島が観光と宿泊先にも選ばれています。列車のコンセプトに合わせた地域での温かいおもてなしや沿線の景観整備が急がれます。日本各地だけでなく東アジアからの申し込みがあり、鹿児島のブランドをあげるチャンスにしたいものです。

最近の観光客は、顔の見える産物の購入や美しい田舎の景観が残る場所に足を延ばします。「地域の農水産物の直売所や直営レストラン」の充実など第一次・第二次産業の振興と連携が不可欠であり、行政の枠を超えた取組が大事になってきました。

かつて隆盛を極めた全国の大型温泉地が苦戦をしいれられているのは、癒しと宴会等娯楽だけに力を注いだことや、周辺地域の振興という視点が薄かったことが今の状況を生み出していると思います。

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観光客の7割が個人旅行である現状では、滞在時間を増やす方策は、消費者ニーズの多様化に対し、地域の生活・文化や農水産物に触れさせる機会をいかに提供できるかにかかっています。生産現場や直売所など顔の見える場所を自然な形でみせる演出が不可欠です。

「本物。鹿児島県」を提供し続けることが、鹿児島県のブランド力強化になると信じます。

最後に何と言っても「おもてなしの心」の充実です。指宿市役所の方々の「指宿のたまて箱」に手を振る姿は、メディアでも取り上げられ大好評です。観光地の最終的な評価は地域に住む人々の対応次第です。

新幹線全線開業から3年目に入り、勢いに陰りが見えるのは事実ですが、常に進化している鹿児島の姿を県民が体感し、発信のチャンスと捉え、「住んで良し、訪れて良し」の鹿児島にしていかねばなりません。 自信を持ってふるさと鹿児島をPRしていきましょう。

      春過ぎて夏来たるらし白妙(しろたえ)の
                 衣(ころも)干してふ 天の香具山
                                     持統天皇
      雨に濡れし夜汽車の窓に映りたる
                 山間(やまあい)の町のともしびの色
                                     石川啄木
      列車にて遠く見ている向日葵(ひまわり)は
                 少年のふる帽子のごとし
                                     寺山修司

参考:日経リサーチ 「地域ブランド戦略サーベイ2013」

「かごっまふるさと屋台村」の1周年を祝う ~地産地消と「一期一会の心」を持って接しよう~

2013年5月13日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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ゴールデンウィークが過ぎ、県内各観光地には修学旅行生の姿が多くなりました。今年は日並びが悪く観光客の出足が心配されましたが、比較的天気に恵まれ、観光地はまずまずの盛況ではなかったかと思います。

3月の宿泊統計を見ると、前年比0.1%減ということで下げ止まり感も感じますが、これからの取組の真価が問われます。

昨年から就航している格安航空会社ピーチや、中華航空台北線はこの1年好調に推移してきましたが、一方、上海線は尖閣問題や鳥インフルエンザ等で苦戦を強いられています。

官民挙げての支援が必要であり、県民も補助制度を活用し大いに旅行してもらいたい。特にこれから気候も良くなり、上海から中国各都市に行きやすくなります。上海線は、絶対に維持しなければならない路線です。

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鹿児島中央駅に新幹線が着くと、噴煙を上げる桜島が目に飛び込んできます。鹿児島市は目の前に美しい錦江湾があり、自然、温泉、歴史、食、文化施設、路面電車等観光資源に恵まれた県都です。私は北の都「札幌」と並んで、都市型観光の魅力が集積された街だと思います。

世界を旅してこれだけの観光資源に恵まれた都市は少ないのではないかと思います。

ところで、鹿児島中央駅近くの「かごっまふるさと屋台村」が、4月26日オープン1周年を迎えました。当初目標の年間30万人を大幅に上回る50万人が訪れました。関係者の方々の努力が来店客の増加に結びついていると感じます。

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26日には、知事や鹿児島市長、関係者が出席し盛大な1周年の式典が行われました。 屋台村は、鹿児島中央駅近くの一角に固定された屋台の集合体ですが、南国殖産グループが、市街地の活性化、地産地消を中心に地域産業の振興、情報発信基地として県内のイベントや観光地の紹介、若手起業家の育成等を目的に始めた事業です。 かごっまふるさと屋台村は、25軒の個性あふれる屋台と1軒の焼酎専門店が軒を並べます。

現在、固定式の屋台村が全国にできていますが、業界関係者の話を聞くと、盛況を呈している屋台村は、鹿児島を入れて数カ所しかないということで、あらためて開設に携わってこられた方々に心からの敬意を表したいと思います。

成功の要因と今後の課題について述べてみたいと思います。 まず屋台村は、鹿児島中央駅の近くにあり、しかも電車通りに面していることから顧客に目につきやすいということです。観光客にとっても、発車時刻ぎりぎりまで滞在できるメリットがあります。

屋台村風景.jpg

次に建物の構造上路地が多く、客が一度に先まで見渡せないため、気兼ねなく食事ができることです。混雑しているときは、酔客同士の肩がふれ合うこともありますが、狭い空間の中では、それがかえって和む雰囲気づくりにつながります。

各店舗が特徴あるメニューを提供していることも人気の要因の一つです。従来ラーメンやお好み焼きの専門店等が並ぶ場所では、店舗間の人気ランクがつき、店舗同志のコミュニケーションが減り、一方の店が退去するなどの弊害がありました。

屋台村(電車通り側).jpg

鹿児島では、同種の店舗は少なく、焼酎料金の統一、ふるさとフェアなど屋台村全体の発展を目指す取組が継続されています。各地域の代表という意識で取り組んでおり、地産地消にこだわり、そこに行けばふるさとの人に会えるかも知れないという期待感も湧きます。人情感あふれる屋台村の存在が人を惹きつけます。

また、オープン当初から鹿児島弁にこだわることを提案してきましたが、これからも屋台村にいけば鹿児島人に会えると言うことを目指して欲しいと思います。

桜島(長島美術館).jpg

現在海外便が、ソウル、上海、台北へ就航して居ますが、東南アジアの人々は、屋台で食事することが定着しており、今後その観光客をいかに屋台村に誘客するかが問われます。 外国語表記のメニューの充実、従業員も外国語を学ぶ必要があります。簡単な言葉を覚え観光客と交流の場所になればと思います。

現在来店客の6割は、地元客でありそのことが盛況を維持している要因と思います。これからも定期的なイベントや県内各市町村のふるさと祭りを開き、話題を提供して欲しいと思います。

持続できるスポットになるには、県外観光客にどのようにPRしていくかも重要です。エージェントの商品企画に掲載される機会も増えてきましたが、旅行者だけでなくエージェントへのメリット提供も必要になっています。

甲突川ライトアップ.jpg

「かごっまふるさと屋台村」の周辺は、近代日本の礎を築いた偉人を輩出した地です。夜は甲突川がライトアップされ一段と魅力的な一帯となりました。観光客が夜の街を楽しむことで、天文館も活性化し、地域の経済が循環することになります。従業員が夜の鹿児島の魅力を語ることを心がけて欲しいと思います。

屋台村ができたことで既存の店との競合も発生しています。それぞれの店が、「一期一会の心」を持ってサービスの向上に努め、相乗効果で来店客を増やして欲しいと思います。また、近隣のホテルの方々も積極的に屋台村をPRすることで、リピーターにつなげて欲しいと思います。

屋台村宣言.jpg

九州新幹線全線開業から、3年目に入り開業効果に陰りが見えつつあります。これからが鹿児島の真価が問われます。各施設は、おもてなしの充実、新たなメニュー開発やより地域色を出した演出に心がけ、常に進化している姿が求められます。

1周年式典では、『人情屋台「かごっまふるさと屋台村」おもてなし宣言』も読み上げられました。「かごっまふるさと屋台村」に行けば「鹿児島がある」ことを徹底的に貫いていただきたいと思います。

霧島に連泊したくなる取組を~変化した霧島連山を見るチャンスに~

2013年5月7日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

霧島連山の新燃岳は、2011年1月に大きな噴火をしましたが、現在は噴火警戒レベルは3(入山規制)で、火口から半径2kmの範囲は立入規制区域となっています。 新燃岳(1421㍍)を望む韓国岳(1700㍍)や高千穂峰(1574㍍)は登山ができます。

春の霧島(ミヤマキリシマ).jpg

県は、高千穂河原の登山口から新燃岳方面に向かう中岳探勝路を、4月27日から開放しました。探勝路はミヤマキリシマの群生地として登山者にはよく知られていますが、2011年の1月から立ち入りが規制となっていましたが、霧島連山の登山路拡大に大きな期待がかかります。

探勝路は、噴火の影響が心配されましたが、関係者によるとミヤマキリシマの新芽やつぼみが確認されており、5月の中旬が見頃と予想されています。
これから新緑とミヤマキリシマが美しい季節となり、多くの登山者で賑わい近くの霧島温泉郷は、宿泊者が増えるのではないかと思います。インターネットや顧客に対し情報発信の必要性を感じます。

ところで、新燃岳噴火当時は連日マスメディアで山の様子が報道されて、宿泊のキャン セルが相次ぎました。また、韓国人に人気のある韓国岳トレッキング、ゴルフツアー等が相次いでキャンセルとなったことも大きな痛手でした。

霧島温泉2.jpg

しかし、観光客が落ち込んだ時期に、霧島温泉地域では、おもてなしセミナーや接遇研修等サービス向上に努力した結果、「じゃらん人気温泉地ランキング2012」では、「温泉地満足度第一位」に選ばれるなど、地域ぐるみのおもてなしが評価されました。 その後の回復も早く、今でも九州を代表する温泉地として多くのファンに支持されています。

これからの霧島地域の課題は、連泊させる取組の推進です。従来の登山客、湯治客だけでなく、遠方からのお客様が周辺地域の観光地に出かけ、もう一泊させる態勢づくりが求められます。

まず地域連携の強化です。近隣の大隅地域には、悠久の森、大川原峡、溝ノ口洞穴、桐原の滝や都城市の関之尾滝があり、駅を起点にウオーキング等に最適な場所です。四季折々に変化する渓谷や田園風景を見ながら歩くと、美しい日本の原風景に出会えます。 湧水町には「霧島アートの森」が、伊佐市には「曽木の滝」、「曽木発電所遺構」等文化施設や名勝旧跡が点在します。

また、人吉までも約1時間30分の距離です。人吉は、青井阿蘇神社を中心に酒蔵廻りや醤油・味噌蔵など街の佇まいが中高年の旅情をかきたてる場所です。

嘉例川駅(外観).jpg

霧島地域は鉄道の路線にも恵まれおり、「はやとの風」は人気の列車です。嘉例川駅に車を置き、吉松駅で「いさぶろう」「しんぺい」号を利用し、人吉で半日程度滞在し、嘉例川駅に戻る旅も沿線の風景が懐かしく、小旅行が楽しめます。


これからの霧島地域での重要課題は、教育旅行の誘致です。関西地域から25年度は5,200名、26年度は5,500名の生徒が集約臨時列車を利用し鹿児島を訪れます。

現在出水駅や鹿児島中央駅で下車し、県内に2泊していますが、新八代駅で下車した後、人吉でラフティングを体験し宿泊は霧島温泉で、翌日大隅地域で漁業やグリーンツーリズムを体験し、民泊する新しいコースを提案してはいかがでしょうか。

新幹線を利用し大隅地域に宿泊すれば錦江湾内のフェリーと運賃が補助される制度もあります。大隅地域は今グリーンツーリズムの誘致促進を図っています。 夏場の涼しい気候をPRして勉強やスポーツ合宿、各業界団体の県・九州大会等のコンベンションをもっと誘致しなければなりません。

他の地域に比べてJRの駅が多く、しかも空港や高速道路のインターが近く、移動する にはまさに恵まれた地域です。 また、温泉の質が多彩で、食、おもてなしの心、四季折々の自然が美しく何回訪れても飽きない地域です。多くの露天風呂が存在することから、外湯と農家レストラン、直売所廻りで過ごすのも良いのではないでしょうか。

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ところで、霧島山の開放を心待ちしているのは、韓国の人々も同じだと思います。原発事故、竹島問題等課題は多くありますが、円安傾向になり、鹿児島を訪れる韓国人は増加傾向にあります。

今年の2月には、九州オルレに霧島妙見コースが選定されました。コースは約11km、 所要時間は4~5時間で連泊する条件としては、大きなインパクトになるのは間違いありません。しかも鹿児島に宿泊する外国人の33%は韓国人であり、大きな経済効果も見込めます。(24年実績)



夏休み旅行のエージェントの商品造成もこれからが本番です。霧島への商品企画をぜひ増やして欲しいと思います。

県と観光連盟では、噴火、登山、イベント、食、花等について、ホームページで適宜紹介しています。今回も早速ホームページで探勝路の開放について掲示しました。県民の皆さんも、霧島山へ出かけていただき、新しい霧島の魅力を県外の方々に伝えて欲しいと思います。

九州新幹線も、3年目に入り開業業効果の勢いにも陰りが感じられます。今回の探勝路開放でも新燃岳の近くまでは行けませんが、久しぶりにミヤマキリシマの群生が観察できるのではと思います。

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新燃岳にできた新しい山の形は、霧島の名所になっています。霧島地域は世界ジオパークの認定を目指して、地域で様々な取組も推進しています。特に観光関連業界の方々は、自らの足で霧島地域周辺魅力を知り語って欲しいと願わずにはいられません。そのことが滞在者を増やすことになります。

県民の皆さんも山に登ることで、変化する霧島の山々の美しい姿に感動するのではないでしょうか。

ゴールデンウィークはどこに行きますか?~県内の魅力を再発見する機会に~

2013年4月30日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

5月の4連休が間近となり、民家の庭先に高々と鯉のぼりが泳ぐ姿が美しい季節となりました。

【歌詞】こいのぼり 作詞:近藤宮子 作曲:不明
                  屋根より高い  鯉のぼり
                  大きい真鯉は  お父さん
                  小さい緋鯉は  子どもたち
                  おもしろそうに およいでる

【歌詞】こいのぼり 作詞:不詳 作曲:弘田龍太郎
                  いらかの波と  くもの波
                  重なる波の   なかぞらを
                  橘かおる    朝風に
                  高く泳ぐや   こいのぼり

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2曲とも端午の節句に飾られる鯉のぼりをテーマとした日本の童謡・唱歌です。 こいのぼりは、元来日本の伝統的風習で、江戸時代に武家で始まったとされ、男児の出世を願って、家庭の庭先で鯉に模した吹き流しが飾られました。端午の節句である旧暦の5月5日までの梅雨の時期に飾られることから、「皐月のぼり」とも呼ばれます。

最近、田舎では子どもの出生が少なくなり、高々と大きな鯉のぼりを掲げる家庭も少なくなりました。一方、都会では集合住宅のベランダ内に飾る程度のこいのぼりしか見られなくなり、四季を表す日本の伝統的文化を強く受け継ぎたいものです。

日本各地では、こいのぼりにちなんだ行事をおこなっているところがあります。 熊本県と大分県の県境にある杖立温泉では、杖立川の両岸をロープでつなぎ全国から集められた3,500匹の鯉のぼりを泳がせており、その数は日本一と言われています。 多くのメディアにも取り上げられ、その光景をカメラに収めるため全国から観光客が訪れます。佐賀県の川上峡や南九州市の万之瀬川でも同様な光景が見られます。

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土佐和紙の産地で知られる高知県いの町では、水にぬれても破れない和紙を用いて作られたこいのぼりが仁淀川に流され、川下りをしながら水中を泳ぐこいのぼりを見ることができます。普通は空を泳ぐこいのぼりですが、これを仁淀川という清流の中で生きる鯉のように泳がします。

これは、和紙文化と清流との関わりの深さを次世代に引き継がせるためであると、主催者は語っています。「鯉は水に帰って自由に泳ぐ」という発想から生まれたイベントが今や四国を代表する観光イベントになっています。

県内では薩摩川内市が川内川河川敷に幟を立て、こいのぼりを泳がせており、国道3号や新幹線からも臨むことができ、河畔を散策する人の目を楽しませています。伝統的行事を、子どもの頃から四季折々に見せることは、地域を愛する心を育てる良い機会になると思います。

ゴールデンウィーク中には県内でもさまざまなイベントが開催されます。

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かのやばら園では、「かのやばら祭り2013春」が開かれています。8haの敷地に、約4,000種類5万株のばらが植栽され、GWが見頃となります。日本最大級のばら園では、切り花の体験やスケッチ大会等多彩なイベントが開かれます。


今年はイングリッシュローズガーデンも順調に開花しており例年にない美しい光景が見られるのではないでしょうか。かのやばら園は、静岡市のNPO法人から県内唯一の「恋人の聖地」にも認定されています。
近くにある鹿屋航空基地史料館は無料で見学でき、会館の外にある展示品は、かつて日本の空で活躍した実物の飛行機であり、親子で楽しめる施設ではないかと思います。

佐多岬に通ずる公園道路が無料化されたことにより、九州本島最南端の佐多岬に多くの観光客が訪れることが想定されます。GW期間中は旧レストハウス先の歌碑広場まで行くことができます。

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山川~根占港を結ぶフェリーは、便数と車搭載に限度がありますので、GW期間中は、陸路で岬に行くことをお勧めします。周辺の諏訪神社、雄川の滝、神川の大滝、花瀬公園、岸良海岸、パノラマパーク西原台等春の自然の息吹が感じられる場所です。

南さつま市の「2013吹上浜砂の祭典」では、大小60数基の砂像展示、音と光のファンタジー、人気キャラクターショー等の演出など、子どもも一緒に楽しめるイベントが開催されます。

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第1ステージ(2~6日)の期間中は、鹿児島中央駅と祭典会場を往復する便利な直行臨時バスも運行されます。松林から吹き抜ける風が爽やかで、多くの出店がありグルメも楽しめます。地元で収穫された「砂丘らっきょう」は、地域の特産として人気があります。 少し足を伸ばして、笠沙の大当の石垣群の里、谷山の段々畑、杜氏の里等美しい日本の原風景が残る地域を訪ねてみてはいかがですか。

枕崎内港水揚場一帯では、「こどもの日かつおまつり」があり、かつお一本釣り大会や、鰹節削り大会など枕崎ならではの催し物が開催されます。新鮮な魚や水産加工品、お茶などの展示即売会も大人気です。

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JRの最南端の終着駅である枕崎の駅舎が復活しました。どこか旧駅舎を思わせるレトロ館漂うノスタルジックな造りで、六角形の屋根にはステンドグラスが施されています。
枕崎市では、商店街NO1決定戦Show-1グランプリで2年連続グランプリに輝いた「枕崎鰹船人めし」を売り出し中です。沿線の美しい茶畑や開聞岳の姿が美しい指宿枕崎線のゆったりとした汽車の旅も風情があります。ぜひ港町の風情が残る枕崎をお訪ね下さい。

鹿児島市の仙巌園では、島津家に伝わる大きな五月幟(のぼり)が登場します。高さは13mにもなります。GW期間中は、「GWは君が殿様だ!」の名の下に家族で楽しむことができるイベントが開かれます。遠出ができない方は、鹿児島の歴史に触れる最適の場所であり、噴煙を上げる桜島の雄姿も庭園から見ると格別です。

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霧島山は、大浪池、韓国岳、高千穂峰への登山ができます。美しい新緑と変化した新燃岳の姿に会えると思います。登山で疲れた体を温泉で癒してはいかがですか、魅力的な露天風呂も点在しています。


その他、垂水市の高峠など県内各地でツツジが見頃を迎え、長島町では花フェスタ等も開催されています。 今年のゴールデンウィークは、5月5日にまだ空室のある施設があります。インターネット等の情報を検索してください。

こいのぼりが大空に高く泳ぐ日本の原風景を求めて、ゴールデンウィークは旅に出かけませんか。 今県内には、農林・水産物の直売所やレストランが165箇所あります。(25年3月15日現在:公益社団法人 鹿児島県農業・農村振興協会調査) 県内各地を訪ね鹿児島の農水産物、ふるさとの魅力を再発見する機会にしませんか。

      ふるさとの 山にむかいて 言うことなし
          ふるさとの山は ありがたきかな    ~石川啄木~

参考 このままではもったいない:二瓶長記著:長崎出版
こいのぼり:Wikipedia

修学旅行の専用列車の運行開始~かごしま流のおもてなしで仕向地としての定着を~

2013年4月22日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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新学期に入り、修学旅行のシーズン到来です。
鹿児島中央駅に、学生服に真新しい旅行バッグを抱えた集団が見られるようになりました。JR西日本とJR九州の協力のもと、関西地域からの新幹線の修学旅行専用列車の運行が間もなく始まります。


平成25年度は、25校、5,200名の中学生が初めて関西地域から集約臨時列車を利用して鹿児島を訪れます。集約臨時列車とは、学生団体専用の貸切新幹線のことで、時間も特別に設定した列車です。(一部定期列車の利用あり)

普通学生団体の場合、運賃は半額になりますが、特急料金の割引はありません。この列車の特徴は料金が半額になることです。九州新幹線が全線開通したことにより、時間短縮効果が図られ、関西からの行く先として鹿児島の魅力が増したと言えます。

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関西地域からの修学旅行の行先は、飛行機利用の沖縄や、博多までの新幹線を活用した西九州地域が主流です。時間短縮効果や集約臨時列車運行による料金軽減、体験メニューの豊富さ等が、行先の変更先として鹿児島への選択肢が増えたといえます。

最近の教育旅行のニーズは、名勝旧跡等の見学中心の旅行から農業・漁業などの自然体験、ものづくり、街を歩きながらの歴史の勉強、戦跡や史料館を通しての平和学習、ゴミ問題や水質汚染についての環境学習、地震・火山など災害への対応等さまざまであり、複数のカリキュラムを取り入れる学校が増えています。

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通常鹿児島中央駅に着くと、桜島での火山学習をして鹿児島市内や指宿温泉に宿泊し、翌日は昼から南さつま地域でのグリーンツーリズムと民泊の体験、翌日は知覧での平和学習と鹿児島市内でのまち歩き歴史探訪等複数のプログラムを組み入れた旅行が多くなっています。

桜島の自然の凄さ、初めて触れる土の感触、新鮮な食べ物、親に勝る心で接してくれた民泊先の人々の温かさに感激し、また来たいと涙を流す生徒もいると聞きます。

鹿児島を修学旅行先として選ぶ学校が増えているため、体験民泊地は南さつま地域から大隅、種子島地域へと広がりをみせています。九州新幹線の全線開業で、時間短縮効果と、集約臨時列車の運行で、27年以降も鹿児島方面へ行先を変える学校が増加するのではないかと期待されます。

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体験型教育旅行においては、大分県の安心院、長崎県の松浦や島原、小値賀、佐賀県の唐津が人気を博しています。鹿児島の優れた自然環境、歴史等を活かして他の地域との差別化を図り、新規需要の開拓が求められます。


そのためには、鹿児島ならではの体験メニューの提供、おもてなしの向上、また、受入側の安全面に対する意識を向上させ、体験学習における安全性を確保することが何よりも重要です。

昨年、旅行出発3日前に受入家庭が数軒変更になるという事態が発生し大きなクレームになりました。変更理由は、主人に業務が入って受入ができないということでした。 業務が入ることが想定されれば、最初から受入をしないことが相手に迷惑をかけないことになります。

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学校側は修学旅行の出発前から十分な時間をとり、受入地域の研究、民泊に対する準備や指導を行っており、受入地域や家庭が変わることは、事前研究の見直し、父兄への連絡、プリントの印刷変更と大変な業務を伴います。学生の受入に当たっては慎重な対応が求められます。

また、生徒の宿泊先は登録許可をもつ簡易宿所ではなく、一般の農家・漁家がほとんどです。料理はみんなで作るというのが絶対的なルールであり、保健所の指導により、手洗いの励行、生ものを出さない、火を通すなど保健衛生面での格段の配慮が必要です。

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また農業体験では、農機具などでの怪我や事故にあわないような格段の注意が必要です。都会の生徒の多くは、家での家族との会話が少なく、民泊先での温かい心のふれあいに 涙する生徒が多く、家族同様のおもてなしに感動します。


鹿児島県は、教育旅行のニーズに対応できる環境が九州のどの地域よりも揃っていると思います。そのためには、地域での人材の確保、学校現場が安心して生徒を宿泊できる環境にある簡易宿泊所の登録推進が求められます。

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長崎県の松浦地区は年間3万人の学生を受け入れていますが、90%以上が「簡易宿所営業の許可」を取得していますが、鹿児島では、約1000件の受入農家のうち10%程度です。ぜひ許可を取得して、学校側の信頼を確保して欲しいと思います。


25年度は、24,800人の民泊が予定されていますが、もう1泊は、温泉地や市内でのホテル宿泊がほとんどです。連携し新しい需要開拓で相乗効果をもたらす努力が必要です。

新幹線による集約臨時列車の運行は、永続的に顧客を確保する一番の安定策であり、鹿児島への教育旅行が増加することは、経済的効果も大きく大変ありがたいことです。 一方では鹿児島の学校と実施時期が重なります。貸切バスやガイドさんの確保が厳しくなっています。昨年の高速バス事故等でより安全なバスの運行態勢がもとめられています。

また、ガイドさんへの就職希望者が少なく、各社ともガイドさんの絶対数が足りません。 県内の学校は、2泊3日の行程で九州管内をバスで利用する修学旅行のため、シーズンのガイドさん不足は切実な問題となっています。

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県教育旅行受入対策協議会、鹿児島県観光連盟、鹿児島県バス協会で関係団体に、実施時期変更等の要請も行っています。学校行事を考えると大幅な変更は難しいのが現状です。 県外の学校は集約臨時列車の関係で2年前に実施時期が決定するのに対し、県内はほほ1年前に決定するのが通例となっており、計画の段階でバス不足が懸念されます。 このような状況が続くと教育的価値の高い修学旅行の実施が危ぶまれるため、何らかの打開策が必要です。

関西地区と同様に鹿児島中央駅発の集約臨時列車の設定を行い、現地で他県のバスを利用する方法も考えられます。また、オフ時期のバス、宿泊代等の軽減化で実施時期の変更も考えられます。関係する団体で協議会をつくり、諸問題の解決を図ることが求められています。

一度鹿児島を訪れた子供達は、成人したらまた来てくれるリピーターにもなります。温かいおもてなしで、子供達に大きな夢をもって帰ってもらいたいものです。 生徒さんたちに学生時代のよき思い出として残る修学旅行を提供できる場を提供していきたいものです。

第30回国民文化祭・かごしま2015の成功に向けて~県民の参画意識をいかに高めるかがかぎ~

2013年4月15日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

国民文化祭は、全国各地で行われている各種の文化活動を全国規模で発表、競演する機会を提供することにより、国民への文化活動への参加の機運を高め、新しい芸術文化の創造を促すことを目的として開催されます。

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昭和61年から毎年、各都道府県持ち回りで開催されている国内最大の文化の祭典であり、記念すべき第30回大会が、2015年鹿児島県で開催されます。


本県で国民文化祭を開催する意義として、
県民一人ひとりが、企画・運営に主体的に携わり、常に進取の気性に富み、異文化とのふれあいを通じて先人が創り上げてきた誇るべき鹿児島の風土や文化芸術に触れ親しむなかで、我々が「違い」に寛容で、進取と含羞の心を併せ持つ「鹿児島県民」であることへの誇りを共有し、再認識することです。

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また、県、国境を越えた地域や人々との連携交流などから生まれる新たな文化芸術の創造や脈々と受け継がれてきた伝統的な文化芸術の価値や重要性を尊重しつつ、現代の「鹿児島らしさ」を失ってしまった「鹿児島らしさ」を見つめ直し、未来へと繋ぐ契機となるような国民文化祭にしたいとしています。

今回の国民文化祭の特徴として、県下43の全ての市町村で何らかのフェスティバルが開催されることです。これまで「ねんりんピック」や「都市緑化フェア」など大型のイベントが開催されましたが、参加人員では、それらを大幅に上回る参加者が予定されています。平成22年の岡山大会では、190万人が参加しました。

すでに実行委員会が組織され、準備がスタートしています。

1 開催期間については、
(1)主催事業 2015年 10月31日(土)~11月15日(日)[16日間 ]
(2)協賛事業 2015年  7月 ~ 11月 [5か月間 ]

2 テーマは、
本物。鹿児島県 ~文化維新は黒潮に乗って~ です。

3 マスコットキャラクターは、
かごしまPRキャラクター「ぐりぶー」とかごしまPRサポーターの「さくらじまん」を活用します。

4 愛称、ロゴマーク
ひっとべ!かごしま国文祭 です。

5 主催事業開催等
(1)総合フェスティバル(2事業)
(2)シンポジウム(5事業)
(3)分野別フェスティバル(102事業)
(4)県民自主提案事業
となっています。

今後大会の成功に向けて、県民あげての協力が必要であり、観光振興にも役立てていかねばなりません。
まず始めに県内全ての43市町村で何らかの文化イベントが開催されることから、国民文化祭への関心をいかに高めるかが第一です。

開催まで2年あまり、プレイベントを開催するなど告知を徹底する必要があります。文化イベントは、スポーツイベントに比べて集客が難しく、日頃から趣味で楽しんでいる人々しか参加しないケースがよくあります。多くの市民に参画させる努力が必要です。

おはら祭り.jpg

そのためには、前年に開かれる大会の下見ツアー等を実施して市民の関心を高める必要があります。また、地域の自然や文化、周辺の観光地なども定期的に所属団体にPRして、開催地としての情報発進力が問われます。さらに、交流を第一に参加者との事前の接点を増やす努力や地域のおもてなし力が問われます。

今回の大会は離島でも各イベントが開催されます。大会のスローガンにあるように、黒潮に乗ってのイメージを大切にしたいと思います。県内には28の有人の離島がありますが、それぞれ独特の文化や風土があり、大会後の観光客誘致のためのPRの大切さを感じます。

ぐりぶー(イラスト).jpg

国民文化祭では、多くの子どもやお年寄りを参加させることで、後継者の養成にもつなげねばなりません。学校を卒業すると地元を離れることが多い鹿児島の子ども達にとって、地域の文化を知ることは郷土愛を育てることになります。



県内で文化事業を興行しても、中々集客が厳しい土壌であると関係者から聞きます。今回の国民文化祭は、カルチャー文化を育てるいいチャンスにしたいものです。開催まで市民の関心をいかに引き寄せることができるか問われています。国民文化祭がその機会になることを期待します。

                      偶  成
                少 年 易 老 学 難 成
                一 寸 光 陰 不 可 軽
                未 覚 池 塘 春 草 夢
                階 前 梧 葉 已 秋 声

参考:第30回国民文化祭・かごしま2015
基本構想 鹿児島県

MICEへの取組強化で地域の活性化を~集客・交流で新たなビジネスの構築~

2013年4月8日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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平成19年1月に施行された観光立国推進基本法に基づき、政府は観光立国の実現に関するマスタープランを作成しましたが、その重点施策の一つが国際会議の誘致促進です。 2010年日本での国際会議の開催件数は741件で、東京(190件)、横浜(82)、京都(61)、神戸(45)、大阪(32)、札幌(31)と続き、大都市圏に集中しています。

日本が国際会議への取組強化を進める背景には、交流人口の拡大は国の成長戦略に不可欠であり、特に急激な経済発展を続けるアジアからの誘客は、重要な戦略となっています。 国内外を問わずビジネス・観光を兼ねた多くの人が集まることから、経済効果は宿泊、交通、通信、通訳、飲食店、お土産品、観光関連施設等多くの業種に及びます。

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アジアでは、24時間空港を持つシンガポールやソウルが国際会議の誘致に力を注いでいます。 国際会議の誘致しやすい条件としては、会議場や宿泊施設が整っている。国際空港が近い。会場までの交通アクセスが便利である。通訳・案内業務がスムーズにいく態勢ができていることなどです。
日本国内でも国際会議の誘致を含めて、MICEに積極的に取り組んでいる自治体が増加しています。


MICEとは下記の4つの頭文字「M」「I」「C」「E」からとった造語です。

・Meeting
企業の会議、セミナー等
グループ企業の表彰式、投資向け金融セミナー、商談会、キックオフセミナー
銀行が行うクライアント向けの投資セミナー、企業の支店長会議、周年事業

・Incentive Travel
従業員やその代理店の表彰や研修などの目的で実施する旅行
保険会社が保険獲得優秀社員への報奨旅行、ディーラーや電気店の販売店の目標達成旅行、ホテル貸切による社員感謝祭

・Convention
国際団体、学会、業界団体、学術会議や総会
世界ロータリークラブ大会、ライオンズクラブ大会、商工会議所大会、
日本PTA大会、校長大会、医学界総会、全国法人会総会、商工会全国大会、
弁護士会総会、各教科別の研究大会、各業種の大会

・Event/Exhibition
音楽・文化・スポーツイベント、展示会、見本市、農業祭
国民文化祭、モーターショー、オリンピック、ワールドカップ、郷土芸能祭
市民マラソン会、ウォーキング大会、国体、県民体育大会、インターハイ等

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一つの大きな国際会議を開くためには、メイン会場の他にいくつかのサブ会場が必要です。東京、大阪、京都、神戸、札幌の大都市に比べると、鹿児島は、本格的な国際会議場の不足はゆがめません。また、外国語表記、通訳の確保、銀聯カードの使用店の拡大等も不可欠です。

九州においては、北九州市、福岡市、別府市、長崎市、宮崎市、熊本市に国際会議場を備えた施設があります。国際会議の誘致にはこれから各都市がしのぎをけずります。コンベンション誘致態勢の強化や会場整備を急ぎたいものです。

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一方国内コンベンションの開催は鹿児島市での一極集中であり、指宿市、霧島市、鹿屋市、出水市、薩摩川内市、奄美市などでも大会を誘致する必要があります。 また、桜島ハーフマラソン、指宿菜の花マラソン、菜の花ウォーク、霧島市のハネムーンウォーク、屋久島ツーデーマーチ、ヨロンマラソン、出水ツルマラソン、種子島ロケットマラソン、南さつま市の砂の祭典等県内には多くのイベントがあります。イベントを活性化させるには、隣県や県内からいかに集客するかが問われています。

1000名程度の大会であれば、国内の会議やスポーツ大会等の開催は、地方でも可能ではないでしょうか。そのためには、誘致するための組織体制の確立が必要です。 行政や観光団体と連携し、定期的に各種団体の事務局や教育委員会、大学等をセールスし我が町での開催を働きかけねばなりません。春休み、夏休みを利用した学生のスポーツ大会等は、スポンサーを確保して運営することが経費の面でも助かります。

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自治体の統廃合や学校の閉校などで、グランドや体育館等の空きは多く、宿泊施設の不足分は近隣の市町村と連携すれば解消できます。特に離島は、生活文化の違いや自然の魅力を売りに、大会誘致を進めることが得策です。離島甲子園や離島サミット、島巡りマラソン、ウォーク等は、離島の知名度アップにつながります。

「世界自然遺産登録20周年」の屋久島、「日本復帰60周年」の奄美群島は、今年は大会誘致にはいいタイミングではないかと思います。

一方ではアフターコンベンションの受入を強化することも重要です。鹿児島で全国大会を開くと、終了後のエクスカーションの参加者が多くなります。それは観光資源に恵まれていることや、九州本土最南端の県であることから、延泊して指宿や霧島、離島などに行く人が多くなるからです。屋久島へのツアーは特に集客が見込めます。

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鹿児島は豊かな自然に恵まれ「本物。鹿児島県」の魅力は、観光客の心を捉えます。特産品や飲食店への波及効果も大会誘致のメリットです。 自治体は、最初から国際会議や全国規模の大会ではなく、九州大会や県大会などのコンベンションの誘致、食やスポーツのイベント等を開催することから始めるのが得策ではないかと思います。



MICEの分野は広く、受入可能な市場から開拓し地域の活性化に繋げることが必要です。交流人口の増大は、多くの経済的効果を生み出します。今こそ地域総力戦で、MICEに取り組むことが求められています。

グリーンツーリズムの受入で教育旅行のメッカに~屋久島との連携でオンリーワンの体験メニューを~

2013年4月1日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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平成25年度が今日からスタートとします。4月1日が月曜日ということでなにかと良い年の巡り合わせを感じます。 自治体や学校では新年度が始まりますが、新しい組織や新たなポストでのスタートの人にとっては、気の引き締まる年度始めではないかと思います。

         石ばしる
            たるみの上のさわらびの
                  萌えいづる春になりにけるかも
                         志貴 皇子~万葉集~

新学期になると、まもなく修学旅行も始まります。鹿児島県において民泊型教育旅行の受入は平成16年からであり、関東からの高校生が最初でした。

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特定非営利活動法人エコ・リンク・アソシエーションの調査によると、2校360名の受入が、25年度は67校、19,224人の取り扱いとなります。出水地域と与論島は独自の組織で受入を行っており、その数を合わせると93校、人員で24,800人になります。 受入農家は約1030軒(平成24年10月末現在)となり、一部の離島を除いて県下全域に広がっているのが他県との違いであり、今年から種子島での受入も始まります。

先日種子島で「グリーン・ツーリズムフォーラム」が開催され、熊毛支庁、西之表市、中種子町、南種子町、観光協会、受入農家等が参加して研修会を実施しました。南さつま市で「陽なたぼっこのよしおちゃん家」という民宿を経営している宮崎トミ枝さんから、受入の実情についての具体的説明がありました。受入前と帰るときの生徒さんの生活態度が大きく変わることについて、驚きや受入体制の責任の重さを感じました。

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種子島の本格的な受入は、26年度から始まりますが、1市2町の農家・漁家では定期的な研修会や先進地視察等を行って受入体制づくりの強化をはかっています。 26年には東京の著名な女子高校を受入する予定であり、これが試金石になると思います。

これからの課題としては、簡易宿所営業の許可を取得する農家・漁家を増やすことであり、それが他地域との差別化になります。取得には25,000円程度の経費がかかりますが、自治体の支援を含めて後押しが必要です。

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種子島は、本土最南端の佐多岬から南東約40Kmの位置にあり、鹿児島港から高速船で1時間45分と比較的本土に近い島です。日本で初めて鉄砲が伝わった地で、また、世界で一番美しいといわれるロケット基地があり、小中学校の社会の教科書には必ず掲載される島です。しかし県外の方には、どこにあるのか、どのような魅力があるのか、正確に答えられる人は少ないと思います。今後のPRが必要です。

行先として種子島という離島を選択していただいたからには、島ならではのオンリーワンの体験メニューとおもてなしを提供する必要があります。日本でいちばん早く収穫されるお米、糖度の高い安納芋、サトウキビ、レザーリーフファンなど豊富にあり、平坦な土地を活用し、グリーンツーリズムによる体験型教育旅行の誘致は最適と思います。

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島の東南端の海に囲まれたまばゆい景勝の地に、「種子島宇宙センター」があります。同敷地内にある「宇宙科学技術館」には、実物大のモデルやゲームなどを通して、宇宙開発におけるさまざまな分野を楽しみながら理解することができ、子供たちが宇宙に興味を持つことができる貴重な施設です。また発射場の近くまで行ける無料の見学バスがあり、大人も一緒に楽しめる場所です。子ども達に、いつか本番の打ち上げと、その迫力を体験させたいものです。特にSSH(スーパーサイエンスハイスクール)の誘致には最適な施設です。

また、島は遠浅のビーチが数多くあり、太平洋の荒波が打ち寄せる鉄浜海岸などは、絶好のポイントとなり、全国から多くのサーファーが集まり1年中楽しんでいます。農業体験の終了後、砂浜を素足で歩き、打ち上げられた漂流物や、貝殻を集めるなど海の体験は都会の子どもたちにとっては、貴重な体験です。

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千座(ちくら)の岩屋は、太平洋の荒波で削られてできた洞窟であり、千人が座れる広さがあることからその名前が付いています。白砂を踏みしめながら、近づくと潮の満ち引きで変化する洞窟が現れます。洞窟から太平洋に沈む夕日を見ると、生徒たちは感動に震えるのではないかと思います。生徒達にぜひ体験させたいメニューです。

西之表市内には赤尾木城址、日本初の火縄銃製造に成功した「種子島時堯公」の像、鉄砲の歴史が一目でわかる鉄砲館などがあります。また「月窓亭」は、大日本池坊総会頭職を務めた羽生道則などを輩出し、名だたる名家である羽生家の屋敷であり、明治以降においては、歴代種子島当主が居住するなどたいへん由緒ある建物であり、歴史の勉強に役立つのではないでしょうか。特に女子生徒には、生け花や茶道の体験場所としては最適です。

また、西之表港は種子島の玄関口であり、鹿児島、指宿、屋久島との高速船の発着港として恵まれた場所です。

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種子島への誘客には、「世界遺産の島・屋久島」との連携が不可欠です。それぞれの違った島の魅力を提供し、両島に宿泊させる取組が重要です。 佐世保市から定期船で3時間かかる小値賀島は、人口2700人の小さな島ですが、民泊を中心に年間修学旅行を10校受け入れており、島の活性化に大きく貢献しています。

24年度からスタートした錦江湾・離島航路修学旅行利用促進事業補助金制度もあります。九州新幹線全線開業による時間短縮効果が図られ近くなった種子島へ、グリーンツーリズムの魅力を活かし、教育旅行を誘致したいものです。

「着地型旅行」の魅力とは~「魅旅」の取組が地域の活性化に~

2013年3月25日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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人口減少や少子高齢化の進展に伴う地域の疲弊が進む中、交流人口の拡大で地域を活性化しようという動きが各地で見られるようになりました。受入側の地域が、地域資源を活用した旅行商品や体験プログラムを企画運営する体制が整いつつあります。

鹿児島県旅行業協同組合は、"魅旅"という愛称で着地型商品を造成し、地域への観光客誘致に努めています。

「発地型旅行」は「着地型旅行」と比較すると、都市圏の大手旅行エージェントが中心となり、交通機関や宿泊施設、観光施設を一括して安く仕入れして、大量にしかも安価で販売しているのが特徴であり、しかも大型温泉地や観光地巡りなど型にはまった旅行になりやすい。

一方着地型旅行は、地域の旅行会社が、従来大手エージェントが手掛けてこなかった地域資源を活用し、自治体や地域住民を参画させた独自性の高い旅行企画となっています。

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ここ数年着地型旅行が人気を博しているのは、まず、最近の旅行者のニーズが多様化していることがあげられます。鹿児島県の平成23年の宿泊統計で見ると、団体旅行が3割、個人旅行が7割となっており圧倒的に個人中心の旅行となっています。従来の名勝旧跡の見学、宴会型旅行が敬遠され、目的がはっきりした個人趣向の要素が強くなっています。

旅先で「現地をゆっくり歩きたい」、「地元の人が集まる店で一緒に歌い地元料理を食べたい」、「地元のひとの暮らしをもっと勉強したい」、「田舎の祭りに自分も参加したい」等個人が求めるニーズも多岐にわたっています。

そのことで地域と連携し、観光客のニーズに答えることが求められており、自治体の協力も得やすい環境になっています。地域に眠る資源の掘り興しと商品化で「観光まちづくり」にもつながります。

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一方では地元の人たちも知恵を出し、工夫をこらしたプログラムづくりが必要です。 観光まちづくりを進めることで、地域の新たな価値を創りだし、交流人口が増加し、そこに住んでいる人々も我が町に誇りを持つようになるのではないでしょうか。


ところで、「魅旅」は24年度は89本のツアーを催行し、2,004人を集客しています。方面別実績で見ると大隅地域が41本、離島の三島が16本、北薩方面が17本、南薩方面が6本、その他が8本となっており、圧倒的に大隅方面へのツアー催行率が高くなっています。

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やはり大隅地域は未開拓の観光地であり、県民も行っていない場所が多いのではないかと思います。大隅地域へのツアー参加者のアンケート分析結果を報告します。

男女別では全体の73%が女性で、男性は27%となっており、年齢別では60歳以上の占める割合は、男性参加者で83.9%、女性参加者が77.9%、合わせて78.8%となっており高齢者の参加者が多いのが特徴です。定年退職者は生活にゆとりがあり、自分の時間を自由に使える世代ではないかと思います。

参加者の居住地で見ると、鹿児島市内の方が82%と圧倒的で、企画募集の際は人口の多い大都市圏が有利です。県外をターゲットするよりまず鹿児島市からの誘客に力を注ぐべきです。同伴者では女性が友人・知人が多いのに対し、男性は家族同伴が主流であり、他人より身内を優先しています。男性は奥様に引っ張られて旅行に出かける人が多いのが特徴です。 

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参加回数は、初めての方が61%を占め、大隅地域の知名度の低さがあげられますが、2回以上の方も38%います。しかも参加者の満足度では、87%が満足しており大隅地域の魅力発信が重要であり、今後の企画にはずみが付くのではないでしょうか。

情報入手の方法は、新聞告知に続いて口コミが多くなっています。口コミは経験者が直接語ることで、確実に集客につながります。 また、申込みの手段としてHPからの情報入手は少なく、インターネットの活用が高齢者に一般化するのには、まだ時間がかかると判断せざるを得ません。

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参加した理由は、「行先に魅力を感じる」がもっとも多く、「体験メニュー」や「知人の勧め」、「食」と続き、行ったことのない大隅地域の未知の部分に惹かれているのではないでしょうか。



最後にツアー中の買い物金額は1千円~3千円が55%で多く、意外と消費金額が少ないと感じます。特産品やお土産を買う施設が少ないことをあげています。大隅地域は鹿児島県有数の農業生産地であり、直売店や魅力ある商品の開発が求められます。また、女性は物づくり体験や買い物、男性は散策や歴史、自然観賞、広域の観光等を望んでいることが伺えます。

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地域の魅力を探し出し、磨き、地域のブランド力を高める取組が今強く求められています。大隅地域は従来著名な観光地が少なく、行ったことのない県民が多いのも事実です。 九州本土最南端の佐多岬公園が無料化され、観光客を呼べる環境が整います。地域の人たちが住んでいる何気ないまちの日常生活や祭り、イベント、食等が新たな視点と感性で、着地型の商品に生まれ変わります。


鹿児島県旅行業組合の「魅旅」は、県民には知られていなかった地域資源を探し、磨き上げ商品化し誘客に努力しています。 これからの商品造成に期待するとともに、引き続き支援を強化していく必要があります。 そのことが県全体に新幹線開業効果を広げることになると信じます。
                      参考:体験交流型観光ビジネスモデル確立事業
                          鹿児島県旅行業協同組合 魅旅

大正大噴火から100周年を迎えて~桜島の魅力をいかに発信するか~

2013年3月18日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

錦江湾に浮かぶ桜島は、大正3年の大爆発で大隅半島と陸続きとなり、来年がその噴火から100年になり、記念イベントも計画されています。

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私の祖父はかつて桜島の対岸の牛根に住んでいましたが、大爆発の影響で大隅半島に転居を余儀なくされました。今でも牛根地区に親戚が住んでいることから、子供の頃は夏休みになると、近くの海岸でよく泳いだものでした。小生のルーツは桜島を望む地であり、噴火には特に関心があります。 近年爆発の回数が増え、今年はすでに250回を超えています。(3月15日現在)

活発な噴火活動を続ける桜島には約5,000人が、海を挟んでわずか4kmの市街地には60万人の人口が住んでいます。常に噴火を繰り返す活火山の近くに、このような大きな都市が存在している地域は世界中どこにもありません。

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爆発は大量の火山灰を伴い、周辺地域の農畜産物に大きな被害をもたらします。しかし訪れる観光客は桜島の噴火を目の当たりに接すると、自然の凄さに感嘆の声をあげます。先日海外のお客様を案内していると、垂水の牛根付近を通過中に桜島が爆発し、路肩に車を止めて噴火の姿をカメラに収めました。彼らは「ワンダフル」と驚嘆の声をあげていました。まさに世界に誇る鹿児島の観光資源です。

鹿児島中央駅前(以前は西鹿児島駅)に大きなビルがない時代は、駅前広場で観光客は、錦江湾にそびえる桜島をバックに記念写真を撮る姿がよく見られました。今では新幹線が到着すると、ホームの先端まで行き写真を撮る観光客が目につきます。

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市内に宿泊した観光客は、対岸にある湯之平展望所や桜島一周等に出かける人は意外に少ないと感じます。城山に登れば全体が見える山ですが、ぜひ島を巡ってその魅力を体感して欲しいと思います。


フェリーは24時間運行で一日83往復あり、わずか15分で桜島港(袴腰)と結ばれ気軽に行くことができます。 桜島に渡ることで、大自然の息吹に直接触れることができ、桜島の偉大さに気づくのではないでしょうか。宿泊者に対するホテルの従業員のお勧めや市民の後押しが必要です。

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桜島周辺には、豊富な温泉や、おいしい水など自然の恵みが湧き出ています。また、溶岩園や噴火口の近くを望める「湯之平展望所」、歌手の長渕剛さんがオールナイトコンサートを実施した「赤水展望広場・叫びの肖像」、大噴火の記憶をとどめる「黒髪埋没鳥居」等観光の名所となっています。

海から桜島と錦江湾の魅力を探る「よりみちクルーズ」が新たな観光コースに加わりました。春になると「ビワ」、秋は世界一小さい「さくらじま小みかん」、冬は世界一大きい「桜島だいこん」と厳しい自然のなかで育った農産物は、桜島の名産品として観光客に喜ばれています。

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桜島を訪ねたらぜひ立ち寄って欲しいのが、「さくらじま旬彩館」です。桜島で収穫された農産物を加工した製品が並べられています。特産の小みかんを活用したドレッシング、スパイス、ジャム、酢味噌等「おふくろ」たちの手による、おいしいアイデアあふれた加工品が観光客に人気です。

また、桜島には多くの文人墨客が訪れています。文化の香りが漂う句碑巡りも楽しみの一つです。名作「放浪記」を残した林芙美子の文学碑は、古里温泉を見下ろす公園にあり、彼女の生き様を表すような「花のいのちはみじかくて苦しきことの多かりき」の文章が刻まれています。林芙美子の母親の本籍地は、古里温泉であり「放浪記」の書き出しの部分にその記述があります。

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桜島港を望む高台にある月読神社の近くには、高浜虚子の「溶岩に秋風の吹きわたりけり」の句が、なぎさ遊歩道周辺には、金子兜太、角川晴樹、水原秋桜子や、志布志市出身の藤後左右の「夏山と溶岩(らば)の色とはわかれけり」の句碑があります。

また、太平洋戦争中、通信隊の基地があった桜島の洞窟陣地で終戦を迎えた梅崎春生は、戦後その体験を元に小説「桜島」を発表しています。

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「溶岩なぎさ公園」の中にある文学碑には次の文章が刻まれています。 「赤と青との濃淡に染められた山肌は、天上の美しさであった」。今も昔も変わらない桜島の美しさを表現しています。 公園内には全長100mもある日本最大級の足湯があります。熱い温泉で旅の疲れを癒し、桜島の雄大な景色を堪能してはいかがですか。

また、桜島では子どものイベントがよく開催されていますが、応援のため家族も一緒にわたることから観光の面からもメリットが大きく、これからも市街地に近い利点を活かしスポーツイベントの開催などを積極的に推進することが求められます。 

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また最近では、教育旅行のフィルドとして人気があり、NPO法人桜島ミュージアムの職員が、同行し説明を行っており、桜島の自然を活用した貴重な体験ができるメニューが人気を博しています。「温泉掘り」や「桜島ガイドウォーク」、「溶岩でピザ釜&ピザづくり」等は桜島ならでの経験です。 降灰という負の遺産を優位性に変え、身近に観察できる大自然の息吹を活かすことが大切です。


錦江湾にもし桜島がなければ、鹿児島市は印象の薄い都市となり、観光客を呼ぶことは大変厳しいと思います。 ぜひ多くの県民が桜島に渡り、その魅力に直接触れていただき、また、クルーズ船に乗り、海から見る桜島や鹿児島市街地の魅力も知っていただき全国にPRすることが、今求められています。

桜はなぜ日本人の心を惹きつける~地域に育つ桜の点検を~

2013年3月11日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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啓蟄(けいちつ)が過ぎ一雨ごとに温かくなっているように感じるこの頃です。北国では厳しい天候が続き、3月になっても雪に覆われた地域もあり、春はまだ遠いという状況ではないかと思います。狭い日本の中でこれほど気象の差に驚かされます。

日本は四季がはっきりしており、そのことが春夏秋冬それぞれ美しい自然景観をつくり出しています。美しい山河がもたらす自然の恵みを、私たちは草花や食を通して感じることができます。

春と言えば桜の開花が気になります。ウエザーマップ『さくら開花予想2013』によると、今年の開花日は高知県が3月21日で一番早く、鹿児島は3月25日で九州では一番遅い開花日予想となっています。桜前線は日本列島を北上し、北海道の函館での開花日は、4月30日となっています。(3月1日発表)

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開花予想は、ソメイヨシノの木を対象に全国54地点(奄美・沖縄地方をのぞく)の予想を発表しています。なぜ桜の開花予想がソメイヨシノかと言うと日本で一番多い桜の品種であり、全国的に生育している桜であるからです。


桜の開花予想は、旅行商品の販売には重要なポイントとなります。桜は開花から満開、葉桜へと長くても2週間程度で推移するため短期間の販売となります。 桜の開花に合わせて周辺の観光地を組み入れるツアーは苦労します。特に開花予想から雨や気温の差で早まったり遅くなったりで、常に緊張感を持って臨んでいるのが桜の旅行商品企画ではないかと思います。

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全国に桜の名所は数多くありますが、日本の5大桜と言えば、福島県の「三春滝桜」、埼玉県北本市の「石戸蒲桜」、山形県北杜市の「神代桜」、岐阜県本巣市の「薄墨桜」、静岡県富士宮市の「狩宿の下馬桜」です。


他にも北海道の松前城、五稜郭公園、東北の角館、弘前城公園、上野公園、長野県の髙遠城址公園、京都岡崎公園、大阪造幣局、奈良吉野山、福岡舞鶴公園、熊本城、都城市の母智丘公園、などが有名です。県内では、日本さくら100選の伊佐市の忠元公園、知覧平和会館、鹿児島市の吉野公園、甲突川河畔などが有名です。

今年全国的に話題となるのは、福島県の会津若松城や三春の滝桜ではないかと思います。 NHKの大河ドラマ「八重の桜」が放映中ということもあり、多くの見物客で賑わうことと思います。ちなみに福島の開花予想は4月10日となっています。

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桜は奈良、平安の時代から多く小説や歌の中で取り上げられています。源氏物語、枕草子、土佐日記等に加えて、万葉集、古今和歌集、新古今和歌集などがあります。また近代の文人にも愛され多くの文学作品や短歌、俳句の題材となっています。 戦争に行く若者の激励や戦争で亡くなった人々を祀る神社等の歌詞にも使われています。

また、百円硬貨や警察官や自衛官の階級章等にも使用され日本人には、とりわけ愛着のある花ではないかと思います。豊臣秀吉は醍醐寺に700本の桜を植えさせ、盛大な花見を催したと言われています。

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これほど桜が慕われるのは、開花から散るまでの期間が短くて潔い印象が残り、また、色鮮やかさと木全体に彩りを放ちます。そのことが日本人の心を捉えるのではないでしょうか。 また入学や社会人へのスタートの時期と重なり思い出に残る花として、植樹される機会も必然的に多くなります。桜の前で撮影した思い出の写真をお持ちの方は多いと思います。

桜の咲いている期間は短いですが、多くの人々を惹きつけ、夜桜見物や花見の宴は楽しいものです。熊本県阿蘇にある九州一の銘木「一心行の桜」は、全国から多くの観光客を集め、公園の周辺には物産展や夜店が並びます。

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皆様の地域にも立派な枝振りで多くの花を付ける桜があるはずです。たとえば地域の銘木10本を選定し、簡単なパンフレットと位置図を作りPRしてはいかがですか。ウオーキング大会等で神社の境内や公園の桜を見せる努力が必要です。そして地域に来た人に農家レストランや直売店に立ち寄ってもらうことで、地域産品の販売につながります。まず周辺の住民や県民へのPRが必要です。

また桜の巨木や多くの桜が咲く公園では、地域の伝統芸能の発表会や農業市等を開催することで多くの誘客が図れます。地域の桜をもう一度点検されたらいかがでしょうか。桜の開花まで後2週間です。

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   山桜 咲きそめしより 久方の
           雲居に見ゆる 滝の白糸
                          源俊頼
   清水へ 祇園をよぎる 桜月夜
           こよひ逢ふ人 みなうつくしき
                          与謝野晶子
    夕桜あの家この家に 琴鳴りて
                          中村草田男

観光振興の目指すものは~組織の壁をいかに乗り越えるか~

2013年3月4日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

3月に入り各自治体では25年度予算の議会審議が始まりました。最近では観光振興に力を注ぐ自治体が増えており、議会の行方にも注目したいものです。

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2008年10月1日に「国土交通省」の外局として「観光庁」が設置されました。 日本も国策として観光が推進されることになったのですが、外国に目を転じると観光大臣を置いている国が多く、日本はむしろ遅すぎるぐらいの庁の設置ではなかったかと思います。本格的な少子高齢化社会を迎え、交流人口拡大による地域活性化は、自治体にとって重要な政策であり、観光振興は不可欠なものとなっています。

観光振興の推進にあたっては、行政、経済団体、業界、民間事業者の力が大きな柱になります。観光振興をすすめる観点で捉えると、それぞれの壁をいかに乗り越えるかが課題となっています。 まず、行政と行政の壁です。各自治体は税収が伸び悩む中で、多岐にわたる町の振興が必要であり、効率的な予算執行が求められています。

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そこで観光のパンフレットを点検すると、ほとんどが自分の市町村に関することしか掲載されていません。少なくとも県内のどの位置にあるのか、最寄駅もしくはインターチェンジ、空港等に合わせて隣接する市町村を載せることで相乗効果が生まれます。自分の町は知られていると思っている人が多いのではないでしょうか。

町民も訪ねたことがない遺跡や渓谷、神社仏閣が多いのが事実であり、我が町の存在を知らせるためには、他の町との連携が欠かせません。有名温泉地を持つ自治体は隣町と共同でPR活動を行うことで、着地型観光の誘客が宿泊につながります。

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ところで、単独で大阪や福岡の地下街等でPR大使を伴って宣伝をするケースが多く見られますが、その効果は疑問です。パンフレットを1万枚配ることができたと喜んではいられません。多くのパンフレットが地下街のゴミ箱に捨ててあり、来店客は商品欲しさに何回も並んでいる人が多くいます。 むしろ広域連携でPR組織を作り、テレビ局訪問等で情報番組に出演し、地域特産品の提供等を行うことが大きな宣伝効果を生み出します。

また、旅番組の誘致も知名度アップとなります。エージェントに対しては、ホテル等での説明会や商談会を開催することで、旅行商品の造成や人脈づくりにつながりその後のセールスにも役立ちます。

旅行エージェントの担当者と話をすると、単独の町で来られても個人情報の関係で店内での面談には制限があり、挨拶程度に終わり兼ねないと印象が薄いと言っています。 我が町をPRし、誘客したい理由はわかりますが、認知度、商品造成等を考えると自治体の連合でやる方が、費用も少なくてすみ効果が上がるのではないでしょうか。

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例年福岡、京都、大阪で毎年スポーツ合宿のセミナーを開催していますが、着実に実績が上がっています。県内の多くの自治体が参加しており、また、セミナーへの大学の参加校が増えているのは、一度に多くの自治体の施設・補助金・受入体制等の概要がわかり選択肢が広がり、その後の人脈づくりと合宿誘致に結びついています。行政と行政の壁を越え、連携体制が誘客に効を奏しています。

次は行政と業界との壁です。観光振興には商工会議所、商工会、農協、漁協、NPO法人等民間組織の役割も大きいものがあります。地域のイベントを実施する場合は行政と業界の協力なしには開催できないのがほとんどです。協賛金等の収受も大きな課題となります。 また、実施本部を作るとなると、誰をトップに据えるかでもめることがよくあります。プロジェクトの立ち上げにおいても同様で、組織作りに時間がかかり、肝心の実務体制 が後手に回ることがよくあります。

地域全体でイベントに取り組む場合は、自治体の関係者をトップに据えて、民間のリーダーを実行委員長において業務遂行した方がスムーズに行くのではないでしょうか。

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指宿の「菜の花マラソン」と「菜の花マーチ」は、行政と業界の役割分担がはっきりしており、成功しているイベントと思います。現場で時間的制約を受けにくいのは、民間の力ではないかと思います。組織作りに時間をかけるよりいかに動ける組織を作り上げるかが課題と感じます。

次に民間事業者と民間事業者との壁です。かつて日本の温泉地は、夕食の後は浴衣がけで歓楽街に出かけて、地域住民が行く店に繰り出し街もそれなりの活気を誇っていました。 バブル時期の日本の有名温泉地は、大型ホテルの建設、部屋の増設と多額の投資を行いました。また、「カラオケ酒場」や「夜食店」等二次会ができる施設を館内に作ったために宿泊客は外に出なくなり、歓楽街は寂れてしまいました。現在では個人旅行が主流となり、大型施設の中に作られた飲食店に入る人も少なく、施設の維持も困難となり、倒産や競売の施設が多く見られます。

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一方地域ぐるみで街づくりを行っている温泉地や県民が支持している地域は、いまでも活気があります。黒川温泉は、個々の施設よりも地域全体のまちづくりが重要と捉え、各施設が看板をなくすなど、地域の景観づくりに協力しています。山口県湯田温泉の西の雅「ホテル常磐」では、女将自ら演じるナイトショーは人気があります。自館の宿泊者だけでなく温泉街の他の施設の宿泊者にも無料で開放しています。


経営という面から捉えると自分の施設の売上げが優先しますが、他の施設とも連携して誘客に努めることが、地域全体の活性化になると思います。 スポーツキャンプやコンベンション等は一度に多くの宿泊客があるため、地域全体で受け皿を整える必要があります。地域で1軒の施設のみが栄えるより、魅力に富んだ個々の施設が生まれることが地域全体の魅力につながります。

日本は本格的な少子高齢化時代に入り、大きな消費拡大も望めず地域間競争も激しくなり誘客も難しくなっています。連携を強化して動ける組織を構築し、形より実のある成果が出るよう努力したいものです。 行政と行政、行政と業界、民間事業者と民間事業者それぞれ自分の立つ位置を貫けば、摩擦が起き仕事の成果は難しくなります。

観光の6次産業化が言われていますが、それぞれの部門の垣根を越えることは容易ではありません。しかし今や地域総力戦の気概で取り組まないと、持続できる観光地づくりは厳しいものがあります。

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観光振興の基本は、いつまでに何をし、どのような成果が期待できるかであり、そのことで組織や役割分担も決まってくるのではないでしょうか。これからは費用対効果がより厳しく問われることになり、行政・業界・民間事業者それぞれの壁を越えた取組が求められます。


最後に今回のコラムが250回目となりました。皆様の叱咤激励で今日までくることができました。心から御礼申し上げます。
                                   感 謝

「奄美・琉球」の世界自然遺産暫定リスト入りを地域浮揚に~屋久島の先例に学ぶ~

2013年2月25日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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奄美諸島は、鹿児島の南380~580キロメートルの海上に点在する島々で、奄美群島とも呼ばれています。環境省は今回の世界自然遺産暫定リストでは、奄美大島、徳之島、沖縄本島北部、西表島の4島を軸に対象地域を検討しています。 早ければ2015年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)へ推薦し、2016年夏の世界自然遺産登録実現を目指しています。



奄美・琉球が登録されると、県内では屋久島に次いで2箇所目となり、鹿児島県の知名度が飛躍的に上がるのは確実です。国内では白神山地(青森、秋田県)、知床(北海道)、小笠原諸島(東京都)に次いで5件目の世界自然登録となります。 また、「九州・山口の近代化産業遺産群」はすでに暫定リスト入りしており、その中に鹿児島の「集成館事業」も含まれており登録が待たれるところです。

ところで、知床や小笠原諸島は世界遺産の有力候補にあがりながら暫定リスト入りが遅れたのは、重要地域の法的保護担保措置が不十分であったためとも言われており、環境省は、奄美群島について2013年度の国立公園化にむけて、林野庁は奄美大島、徳之島の国有林の森林生態系保護地域の指定に向けてそれぞれ取組を進めています。

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このことから世界自然遺産登録への大きな一歩が踏み出されたと言えます。長い年月をへて育まれた奄美群島の豊かな自然、貴重な動植物の保護とともに、観光客への自然保護に対する意識向上、地域住民との共生をいかに図っていくかが問われています。

登録に向けて観光の視点から、屋久島を例に課題を整理したいと思います。 今年12月屋久島は、世界自然遺産登録から20周年を迎えます。屋久島は、亜熱帯から冷温帯の連続した植物の垂直分布が見られ、また、樹齢千年を超える屋久杉は標高700mから1800mくらいまでの樹林帯で見られます。1993年「白神山地」と一緒に世界自然遺産に登録されました。

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その後観光客は増え続け、2007年には屋久島への入込客は40万人を超え最高となりました。遺産登録時は1万人にすぎなかった入山者は、2011年は約9万3千人となっています。今では登山家の憧れの島として人気が定着しています。(入山者数は環境省屋久島自然保護官事務所の調査)

しかし登山者の増加に伴い縄文杉の展望デッキ、登山道やトイレの設置など整備は進んでいますが、植生の荒廃、し尿処理問題等が大きくクローズアップされています。 屋久島の自然を守るために町が2011年6月議会に提出した「入山制限条例案」は、様々な意見もあり否決されました。自然保護と観光振興の狭間で屋久島は、世界自然遺産の島を守りながらいかに経済的価値を求めていくかが問われています。

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遺産登録時の山岳ガイド数は20人程度でした。一般の観光客が山に登る機会が増えて、屋久島地区エコツーリズム協議会は、2006年からガイド登録制度を始めました。しかし従来から登録ガイドの基準が明確でないため、2012年11月現在82人が登録しているにすぎません。また、観光協会も登録制度を持っていますが、両方合わせて200人程度で正確な人数把握はできていません。また、夏場だけのにわかガイドの存在も指摘されています。

これからも自然保護や安全対策上登録ガイドの資格取得をぜひ進めて欲しいと思います。また入島者に対しては、「屋久島憲章」を、旅行エージェントに対しては、募集段階でのパンフレット上での自然保護の遵守等の告知徹底が必要です。

奄美群島はこれから「世界自然遺産登録」に向けて、エコガイドの養成や登録制度、自然を守る取組を、屋久島の取組を参考に進めていく必要があります。「世界自然遺産登録の意義」や「観光客増加への対応」等地域住民への日頃からの細かい情報発信も求められます。

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また、沖縄と差別化したPR戦略が求められます。奄美は手つかずの美しい海や森林地帯が多く、多種にわたる動植物が生息していることから、自然の生態を見せることが求められます。春先は本土に比べて花粉が少ない島であることから、ヘルスツーリズムの推進も欠かせません。島唄や伝統的踊り、島料理など本土と異質な生活・文化も残っています。 名瀬港は大型クルーズ船の寄港が容易であり、登録後は外国人観光客が増加することから、受入体制の充実も求められます。

奄美群島は、すでに世界自然遺産に登録されている「白神山地」、「知床」に比較すると、温暖な気候に恵まれ1年中行くことができます。また、「小笠原諸島」は飛行機の定期便がなく、東京から船で24時間かかります。同じ離島にありながら奄美大島と徳之島は、飛行機の定期便もありアクセス的には優位性があります。

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ところで奄美群島は、今年日本復帰60周年にあたります。「世界自然遺産暫定リスト」入りの効果を奄美大島と徳之島の2島に終わらせるのではなく、群島全体にメリットもたらすことが重要です。各地を訪問した際は、「日本復帰60周年」、「世界自然遺産暫定リスト入り」の二つのロゴ入り名刺やパンフレットを渡してPRしてもらいたい。また奄美群島出身者の県人会は、関西、関東、鹿児島等多く組織されており、その人たちを通じてのPRもお願いしたい。

長年観光の仕事に携わっていますが、県外の方々は、意外と奄美群島の位置や魅力を知りません。今回の暫定リスト入りはPRの絶好の機会と捉えて、奄美群島一体となり宣伝を強化して、群島の知名度アップと経済的浮揚に繋げる必要があります。昨年発足した奄美群島観光物産協会は、大きな重責を担うことになります。奄美全体をコーディネートする人材の育成も急務です。

小生が始めて奄美大島を訪れたのは、44年前ですが当時は、1500トンクラスの船は、デッキまで人があふれており、特に若い女性層が奄美群島を訪れていました。 今後は年代層を問わず世界各国から世界自然遺産の島を訪ねることが予想されます。周到な準備を進めたいものです。

世界自然遺産登録が奄美に大きな変化をもたらすとともに、交流人口が増大し新たな産業や雇用が生まれます。県民あげて盛り上げをはかりたいものです。  

ふるさとを愛する心を育む~郷土の魅力を語れる若者であれ~

2013年2月18日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

卒業式のシーズンがやってきました。それぞれ学校での思い出を胸に、進学や社会人となる新しい人生へのスタートにあたり、夢を持ってがんばって欲しいものです。

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小生の50年前の小学校の卒業式は、在校生も参列する中で古い木造の講堂で行われたことを記憶しています。外では桜のつぼみも大きくなり開花間近の春の陽気でした。式の最後は在校生、卒業生、先生、父兄全員で「仰げば尊し」の歌の合唱です。当時は歌詞の意味が良く解らず歌っていましたが、静かな雰囲気の中で、格別な思い出として残っています。

しかしながらこの歌が、様々な理由により卒業式で歌われないのは残念です。歌詞は、先生方に対する感謝の気持ち、学校を育っても何事にも心を尽くすことの大切さ、慣れ親しんだ学び舎でのお互いの努力への感謝、希望にふくらませて卒業することへの誇り、お世話になった人々へのお礼と感謝、人間として努力することの誓い等を表しています。

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教育の価値は、卒業後30年たって理解できると言った人がいましたが、私にとってこの歌は何事にも替えられない「絆の大切さ」を問うているように感じます。 裕福な時代ではなかったけれども、明るく、みんなが一生懸命前向きに過ごしていた子供時代が懐かしく思い出されます。

ところで、卒業を機にふるさとを離れる人が多くなる時期です。日本は少子高齢化が進み、地方を中心に過疎化が進んでいます。かつて学んだ学校は閉校となり、今では地域の交流の場所として、衣替えしているところが多くなっています。 県内を旅すると、廃校になった校門の横に学校の歴史を刻む記念碑を見ることがよくあります。かって子ども達が走り周ったりキャッチボールをした運動場は、土のグランドが消え一面に草が茂り、過ぎた月日の長さを物語っています。

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鹿児島県は南北600キロメートルに及び、これは鹿児島市から大阪市までの距離になります。有人の離島は28ありますが、その中に小さな学校が多いのも特徴の一つです。子ども達は島に高校が無いためにやむなく県本土の学校に進学する生徒が多くなります。 また、高校を卒業すると県外の大学や企業に就職する生徒が多く、ふるさとを離れてしまいます。卒業後地元に帰る人は少なく、生まれた土地の魅力を語る機会も少なくなっています。

鹿児島県は、1956年(昭和31年)には210万人の人口でしたが、2010年(平成22年)の国勢調査によると、約170万人となっています。これからも人口は減少し、2030年には145万人と予想され25万人も減少します。 これからは交流人口を拡大することが不可欠であり、地域活性化の一つになるのではないでしょうか。

そのためには、県民が地域の魅力を悟り、自らPRすることで誘客を可能にすることが問われています。 地域に行くと、自分の町には観光客が来るような魅力はありませんと、語る人が多いのは残念なことです。日本人の国内旅行は成熟しており、温泉地で豪遊したり、名勝旧跡を主とする観光客は減少しています。

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今観光客は、地域に残る行事、祭り、ローカル線沿線の景観、地元の人が食べる食材、田舎のおもてなし、地域で輝いている人等に魅力を感じています。地域の情報発信力が問われています。 中央駅前にある「かごっまふるさと屋台村」が賑わっているのは、そこに行けば「かごしまの味」があり、「かごしまの人」に会えるからです。

今地域に人を呼び込むには、地域の生活・文化を旅人に提供することです。 雇用基盤が十分確立していない地域で生活することは大変厳しいことですが、交流人口を増やすことで新たな事業展開が可能となり、生活基盤を安定させる取組も欠かせません。 鹿児島は観光素材に恵まれ、また九州新幹線全線開業で県内各地へも行きやすくなりました。

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地域の魅力に触れる着地型観光が定着しつつあります。 ぜひ県外に出て行く若者に、鹿児島の魅力を語る人になって欲しいと思います。若者の旅立ちにエールを送るとともに、いつまでも「ふるさと」を忘れないで欲しいと思います。


      石がけに 子ども七人 こしかけて
                   ふぐをつりおり 夕焼け小焼け
                                       北原白秋
      海恋し 潮の遠鳴り 数えては
                   少女(おとめ)となりし 父母の家
                                       与謝野晶子

プロのキャンプがスタート~キャンプ誘致を地域活性化に活かせ~

2013年2月12日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

        冬ながら 空より花の 散りくるは
               雲のあなたは 春にやあるらむ
                        清原 深養父(清少納言の曾祖父)

     (注釈) 冬なのに 空から花が舞い散ってきた。
                 雲のかなたはもう春だというのだろうか
          *「空より花」は、雪のことを表し、雪→白→梅の花を連想している

立春が過ぎ、県内各地から早い春の便りが届いています。出水平野に越冬していたツルの北帰行が始まりました。開聞山麓では黄色い絨毯を敷いたような満開の菜の花畑に、薩摩富士と呼ばれる開聞岳が一段と美しく映えています。

奄美大島では、早春の訪れを告げるヒカンザクラが満開となり、3日には「奄美さくらマラソン」が開催され、全国からの多くの参加者で賑わいました。 先日春一番が吹き、鹿児島は春近しという感じです。

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プロ野球もキャンプインしました。沖縄県で8チーム、宮崎県が4チームと両県に集中していますが、途中から海外にキャンプ地を移すチームもあります。キャンプ地の選定には冬の気象条件が重要であり、平均気温が高いことや、晴天の日が多い場所が選ばれています。

その点両県はキャンプに適していると言えるのではないでしょうか。 また、沖縄県内に野球チームが集中していることは、練習試合にも都合がよく、開幕に向けての調整もしやすい環境にあります。

県内では薩摩川内市で、千葉ロッテマリーンズのファームが1ヶ月間キャンプを張ります。練習場に恵まれ、温泉があることや、市民あげての温かいおもてなしが定着していることが、毎年キャンプ地として選ばれている理由ではないでしょうか。

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一方サッカーでは、宮崎県で22チーム、県内では韓国のチームを含めて15チームが、鹿児島市、霧島市、指宿市、薩摩川内市、南さつま市、さつま町でキャンプを張っています。J1リーグのジュビロ磐田、清水エスパルス、浦和レッドダイヤモンズ、柏レイソル、J2の京都サンガF・C、は永年にわたり県内でキャンプを張っており、多くのファンが付いています。


キャンプ地として選ばれることは、地域に大きな経済効果をもたらしています。選手の宿泊、飲食に伴う経費は大きなものがあります。また多くの取材陣が訪れます。キャンプ地レポートとして毎日地域のことが全国に放送されることから、観光地として知名度アップにもなります。

2011年の沖縄県におけるプロ野球キャンプによる、関係者、マスコミの取材、ファンの訪問者等宿泊、飲食施設の利用等その経済効果は110億円と推定しています。(琉球銀行系研究所試算)

ところで、週末には一流選手の技を見るため多くの観光客や県民が訪れます。キャンプを受け入れている地域では、最大限の歓迎を持って受け入れる体制づくりが求められます。 交通整理や選手の安全確保にも努めて欲しいと思います。キャンプ滞在中怪我なく過ごせることが重要であり、地域の皆様の協力体制も不可欠です。

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また、プロ選手は、練習後や休日には飲食街に出かけたり、ゴルフを楽しんだりしますので、そこで選手に会えるチャンスもあります。 キャンプ期間中は、練習だけでなく、キャンプ地の住民との交流会や野球・サッカー教室等を開くなど交流を深めています。そのことが人気に拍車をかけています。県内でキャンプしているサッカーチームには、郷土出身者もいます。キャンプの休養日には親子で出かけて、日ごろはなかなかできない貴重なふれあいを深めて、ファンになって欲しいと思います。

鹿児島県は子供の頃からサッカー熱が高く、高校サッカーの全国大会では、優勝校を輩出しながらも、今までJリーグ所属のチームは誕生していません。いつまでも選手供給県でいるのではなく、一日も早くJリーグに加盟できるチームを育てなければなりません。有力スポンサーを核に県民からの寄付も募り、支援体制を確立することが重要です。九州新幹線全線開業で、福岡からの応援団も日帰りが可能となりました。

そのことで鹿児島での公式戦が可能となり、サッカーファンの増加、雇用の確保、応援ツアーによる宿泊者増、物販の販売等地域に大きな経済効果をもたらすことにつながります。

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ところでプロサッカーチームの誘致には、気象条件も大切な要素ですが、冬芝の完備されているグランドが不可欠です。県内には自治体や学校の統廃合で遊休地となっているグランドが多くあります。ぜひ数年かけて冬芝の育成に取組、プロを呼べる施設を作り上げて欲しいものです。県内には豊富な温泉が湧き、練習後の休養には最適な地域が多くあります。官民あげての誘致活動も必要です。

プロのキャンプが終わり春休みになると、学生の合宿・キャンプがスタートします。最近は県内全域に広がっているのが特徴です。鹿児島が誇る自然環境、練習場の豊富さ、温泉、食の魅力、おもてなしの心、宿泊に対する補助制度の充実を図り誘致を強化しなければなりません。

最後に県観光課では、「キャンプ地めぐりスタンプラリー」を実施しています。各キャンプ会場に設置されているスタンプを2種類集め、各キャンプ地に設置されている応募箱に入れると、後日抽選で特産品やチームグッズやユニホームが当たります。多くのキャンプ地を訪れてどんどん応募してください。(詳しくはパンフレットを参照)

今年はキャンプ地を訪ね、地域の食材にも触れ、鹿児島の素晴らしさを再確認しませんか。春はそこまで来ていますよ。              

尚志館高校のセンバツ甲子園大会出場を祝す~大隅地域の知名度アップにつなげよう~

2013年2月4日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

志布志市は宮崎と県境を接する農業と漁業の町です。古くは密貿易の港町として栄え、宝満寺跡や大慈寺等の名刹を持つ門前町と栄えました。志布志は、かつて国鉄の3線の始発・終着駅でした。鹿屋から国分に至る大隅線、末吉から宮崎県西都城に至る志布志線がありましたが、現在では油津を通り南宮崎駅に至る日南線1線が残るのみです。

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志布志湾はかつて美しい白砂青松の海岸が数十キロに渡って続いていました。しかし現在では湾の埋め立てにより、大崎から波見にかけての海岸がその面影を一部残しています。 湾周辺には、多くの古墳や伝説が残されており、鹿屋市吾平町には、初代天皇である神武天皇御父君・御母君の墓塚「吾平山稜」があり、正月には多くの参拝客で賑わいます。 また、戦時中は急造の飛行場や、防空壕等が築かれ、戦争遺跡として一部は公開されています。

市内の宝満寺跡境内で、4月29日に行われる「お釈迦祭り」は、花嫁を乗せたしゃんしゃん馬や、踊り連のパレード、多くの市民や観光客で賑わう県内指折りの大きな祭りです。境内には湧き水が流れ、安産の地と知られ妊婦さんの参拝がたえません。

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また、大隅の國やっちく松山藩「秋の陣まつり」も見応えのある祭りです。まつりの期間だけ見ることができる「幻の一夜城」をはじめ、奉納武者行列は必見です。地元の若者たちが独自にアレンジした城下町風の会場は、驚きと感動の連続です。入場待ちの列がとぎれることのない「忍者屋敷」や「やっちくサスケ」等は、様々な仕掛けが施されており、一日遊んでも飽きることはありません。今年の秋の祭りにはぜひお出かけ下さい。

ところで第85回記念選抜高校野球大会が、3月22日から13日間の予定で阪神甲子園球場で開催されます。出場校は36校(一般選抜32校、21世紀枠4校)で、組合せ抽選会は3月15日に行われます。

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昨年秋の九州大会でベスト4まで勝ち進んだ志布志市の「尚志館高校」の出場が決定しました。大隅半島から春夏を通じて甲子園初出場となり、地域にとっても朗報です。従来鹿児島県の甲子園出場校と言えば、鹿児島市内の学校がほとんどであり、中には県外出身者が主力を占めている学校も従来見受けられました。

尚志館高校は、部員26人全員が大隅半島出身者であることが、地域の大きな誇りであり自信を持って甲子園に送り出せるチームです。甲子園という大舞台での活躍が今から楽しみです。

志布志市では、昨年の秋に志布志高校3年生の山口観弘(やまぐち あきひろ)くんが、岐阜県で行われた国民体育大会の競泳200メートル平泳ぎで、2分7秒01の世界記録を樹立しました。鹿児島県の期待の星誕生です。

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山口君は大脇雄三さんという名伯楽に子供の頃から育てられ、世界のトップスイマーに成長しました。卒業後は、オリンピック2連覇を達成した北島康介選手を育てた平井コーチの元で次のオリンピックでのメダル獲得を目指し、東洋大学に進学します。 志布志という地が高校生の活躍で、日本中に知れ渡りました。山口君のこれからの活躍に期待がかかります。

大隅半島は錦江湾を隔てて対岸にあり、交通アクセスも不十分なことから、観光客誘致にはなにかと不便を囲っているのも事実です。しかしスポーツ合宿の誘致においては、関西の大学生をターゲットに、京都・大阪で毎年セミナーを開催していますが、大阪南港と志布志港を結ぶ「さんふらわあ」の活用や練習グランドの充実、自治体の補助金の拡充等もあり、大隅地域の魅力が浸透し実績に結びついています。また、高校生を中心にグリーンツーリズムを活用した、「民泊」という取組が大隅全体に広がっているのも地域の活性化につながっています。

ところで昨秋には、永年の懸案であった佐多岬公園に通ずる道路問題が解決し、佐多岬周辺の整備とあわせて大隅地域の観光を大きく前進させる年です。

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道路の無料化は誘客の大きな要因となります。しかも佐多岬は、九州本島最南端の岬であり、宮崎県の都井岬、指宿市の長崎鼻を巡る「岬ツアー」が脚光を浴びると思います。 大隅半島へのアクセスは、先述の「さんふらわあ」の利用、宮崎からの列車、バスやマイカー利用が大半です。県民の多くに大隅地域の魅力を知らせることが求められています。

今回の甲子園大会出場で、大隅地域のことがメディアで放映され、その知名度が上がることは間違いありません。「篤姫」放映の際、番組の後半で必ず「その時薩摩では」というナレーションで、薩摩のことが話題になり、鹿児島への認識が深まりました

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大会期間は春休みであり、「さんふらわあ」や全線開通した新幹線を活用し、甲子園に出かけましょう。最後に尚志館高校生の活躍により、大隅地域が全国的に話題になるよう皆さんで応援しましょう。

川内髙城温泉の復活に向けて~鄙びた温泉地の魅力づくり~

2013年1月28日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

川内髙城温泉は、国道3号線から6キロ、JR川内駅から北方15キロの山間にある静かな佇まいの温泉で、その泉質の良さと湯量の豊富さから平成2年に「日本の名湯百選」に選ばれています。

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泉質は単純硫黄泉で神経痛、リューマチ、腰痛、婦人病、病後の疲労回復に効能があるとされ、秘湯として人気があります。九州新幹線の川内駅からバスで30分、肥薩おれんじ鉄道の西方駅から車で5分の距離にあり、アクセスは十分ではありませんが時間的には恵まれた場所にあります。

川内髙城温泉の課題とこれからの取組について整理したいと思います。

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まず認知度をいかに高めるかが問われています。県民がその場所や、魅力を知らないことがあげられます。西郷隆盛が愛好した温泉であり、指宿の「鰻温泉」、霧島市の「日当山温泉」もよく訪れたと言われ、それぞれの地にゆかりの記念碑があります。3つの地域で連携し、情報発信力を高める必要があり、手作りの温泉街のPRパンフや、情報誌の取材等を積極的に受け入れる必要があります。

2点目は団体依存の宴会型宿泊からの脱皮が求められます。高度経済成長期やバブル時代に全盛を極めた団体型宴会旅行は減少し、個人旅行中心の旅行が主流となり、企業のインセンティブも激減しています。宿泊客がゆっくり滞在し、そぞろ歩きを楽しむことができる温泉地への脱皮が不可欠です。また今の観光客は地域ならではの食を求めて、旅先を選びます。周辺に農家レストランや直売店があることが宿泊客を増やすことになります。

そして他地域、施設との連携が不可欠です。今の旅行は自分の地域だけでは完結しません。肥薩おれんじ鉄道と連携しPRに努めることが誘客につながります。3月から観光列車「おれんじ食堂」が運行されます。観光列車で川内駅で下車した人を、髙城温泉に宿泊してもらう取組が必要です。

3点目は各温泉施設の整備と他施設への入浴を可能とすることが重要です。地域内の外湯巡りを可能にするには、入湯手形を販売し、3箇所程度の温泉施設に入ることができれば、滞在時間も増加し消費につながります。特に女性の脱衣場のプライバシーの保護や清潔感を保つことも重要なことです。

イベントの開催には工夫が必要です。ウォーキング大会やマラソン大会の開催に当たっ ては、ゴールを温泉街にすることで終了後の入浴と宿泊を可能とします。また、多くの人 が参加することで、温泉地全体に波及効果をもたらします。

4点目は地域の人がたまり場となる施設を整備し、丸太づくりの椅子や卓袱台を用意し地域の人もくつろげる場所が必要です。お茶一杯の心で、井戸端会議のできる店が必要なのではないでしょうか。地元の人と観光客が交流できる場所としても活用できます。

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最後に消費の主役は女性であり、女性が訪れたくなる施設と仕掛けが必要です。露天風呂 の作りや洗面台の仕切り等女性は清潔感を求めます。小物の販売店や魅力あふれるカフェの設置も訪問意欲を駆り立てます。女性は、「美」や「健康」、「食」等に敏感です。また、女性の口コミは確実に広がります。ぜひ女性に好まれる温泉地を目指して欲しいと思います。

景観保護の観点から髙城温泉全体の景観を保つ取組が重要で、地域の自然・歴史・文化等と人々の生活、経済活動との共生を基本にまちを整備する必要があります。まちづくりをリードする公共施設の整備や周辺の自然景観を守り、看板や旗を無くすることも求められており、街道には木や花を植栽し、季節感を出すことが街に潤いを与えます。 街並みの前面からごみ箱を撤去し、宿泊施設や飲食店の位置を一つの看板にまとめることで、通りが甦ります。

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熊本県黒川温泉では、宿泊施設の位置は温泉街の入口の看板にまとめて書かれており、落ち着いた温泉の雰囲気を醸し出しています。髙城温泉も温泉の入口に案内板を設置することで、温泉街から余計な広告物が消えて、古い温泉情緒が出るのではないでしょうか。また、街灯もレトロ調の灯りに替えることで夜の雰囲気が変わります。

終わりに、地域住民が我が町に誇りを持つことが大切であり、地域に経済的効果をもたらすことが持続的な観光地となります。地産地消にこだわり、街全体に賑わいが戻ることが大切です。また、人の心に残るものはその土地の人の第一印象であり、琴線に触れるおもてなしの提供が求められます。

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日本の温泉地を見ると、バブル期に大型投資をした多くの地域・施設が今では、苦境に立たされています。古い建物を活用し、民具や人形を飾り、花や木を植栽し地域全体で落ち着いた小綺麗な街づくりを行っているところが元気です。若者の経営者を中心に新しいまちづくりに取り組んでは行くことも求められています。

地元のお客様を大切にし、徹底的に田舎にこだわることが人を感動させるのではないでしょうか。髙城温泉の復活を期待します。

出水のツルの越冬に学ぶ ~リピーターの確保が企業を支える~

2013年1月21日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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出水市の出水平野には、今年は1万3138羽のツルが飛来し、史上2番目の羽数となりました。(1月12日の調査) これほどのツルが永年にわたり飛来してくるのは、行政、地域の人々、ツル監視員の皆様の温かい保護政策が、これまでの実績づくりにつながっていると思います。 餌やり、傷ついたツルの保護、観光客の車の整理と越冬地でのツルの安全確保に努めています。

23年1月には鳥インフルエンザが発生し、ツルへの感染が心配されましたが、県や出水市、各機関の皆様の協力体制の下で危機を乗り切りました。小生も出水平野の近くまで取材に行きましたが、万全の防疫体制が敷かれていました。

今年の年末年始は天候に恵まれ多くの観光客が訪れました。朝、ねぐらから飛び立ち、夕方太陽が沈む頃ねぐらに帰りますが、朝日・夕日に映えるツルの姿はまことに秀麗です。 多くのカメラ愛好家がその姿を収めるために待ち構えている様子が、あちこちで見られます。また、ツルは縁起の良い動物で、長寿やお祝いの象徴として重宝されます。

遣唐使で中国に渡る吾が子の無事をツルに託した詩です。

       旅人の 宿りせむ野に 霜降らば
          吾が子 羽ぐくめ 天(あま)の鶴群(たづむら)
                       ~遣唐使人の母 万葉集より~

          (注釈)舟で唐に旅する人は碇泊して野宿するという。
               霜が降りたら吾が子をあなたの羽根の下に
               つつんでやっておくれ 空と飛ぶ鶴たちよ

ツルの越冬は地域への観光客誘致につながり、地域経済への発展にも寄与しています。 ツル観察センターは1989年に開館されましたが、入館者は今年1月13日には150万人目となり、記念式典も開かれました。出水市では、秋には「ツルマラソン」が開催され、全国から参加者があります。

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まもなくツルの北帰行が始まります。荒崎の田畑の上空で別れを惜しむかのように何回も旋回し、北に向けて飛び立ちます。長島町の行人岳はツルの北帰行を見る人で賑わいます。ツルが全部飛びたつと出水平野に春が訪れます。


毎年ツルの越冬地として選ばれることは、永年お世話になっている地域の人々への「ツルの恩返し」として感謝し、これからも大事に育て見守ることが大切です。ツルはまさに出水のリピーター客です。

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出水平野を走る肥薩おれんじ鉄道からもツルの姿を見かけることがあります。また、沿線の景観がすばらしいことから、東南アジアの観光客に人気となっています。 3月24から観光列車「おれんじ食堂」が運行されます。旅の楽しみがまた一つ増えることになり、運行が待ち遠しい列車です。

ところで観光施設では、リピーターを年間通していかに獲得するかが問われています。 毎年2,000万人を超える入場者数を誇る東京ディズニーランド(TDL)は、リピーター率が、2回以上で98%、10回以上で60%と驚異的な数字となっています。 常に感動を提供し、社員2,000人、アルバイト18,000人が同じ気持ちで、入場者(ゲスト)に対し「おもてなしの心」をもって接しています。

TDLは常に社員教育に力を注いでおり、「子供とは同じ目線で話をする」、「大切な言葉は何度も口に出す」、「常にごみ拾いのスタッフがいる」、「誰に尋ねても園内のことは答えることができる」等統一されたサービスが徹底されています。 来園者に常に感動を与える姿が、支持を得ているのではないでしょうか。

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先日博多に出張の折タクシーに乗りましたが、久しぶりの感動体験に出会いました。 車が止まると、運転手が車を降りてドアを開け閉めし、発車前に後ろを向いて帽子を取り挨拶しました。車中では、「寒くありませんか、暖房の温度上げましょうか」と、また行き先について「いつものルートがありますか」と客に対する気配りを感じました。  降りるときも運転席を離れ、ドアの開け挨拶をしてくれました。さわやかな気持ちで車を送りました。

福岡市内はタクシー会社が多くて顧客獲得競争が激しく、このようなタクシー会社が増えることが、街の印象が良くなり観光客が安心して利用するようになるのではないでしょうか。

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県と観光連盟では新幹線開業を見据えて、観光関連業界の皆様を対象に「おもてなしの心」を徹底すべく研修会を2年間に渡って実施してきました。マナーの改善がなされた機関も多くありますが、一部にはクレームが発生しているのも事実です。 帽子を取り、名前を名乗ることを励行していたタクシー会社が、最近では挨拶もしない運転手が多くなっているのが気になります。おもてなしの徹底は、トップの姿勢が問われていると感じます。

先日日頃から全国の宿泊機関に泊まっている女性グループの代表者と話す機会がありました。宿泊施設の印象は、建物や部屋の立派さより到着したとき従業員の最初の挨拶や応対が、その施設の評価になると話していました。また、女性の声に積極的に耳を傾けて欲しいとも注文がありました。消費はまさに女性に左右されると思います。

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挨拶や「おもてなしの心」を徹底するなど従業員に対する教育に力を注ぐことが、リピーターづくりの基本ではないかと思います。 人口減少が続き経済のスモール化が進む中で、消費拡大を図るには感動体験を与えることが不可欠であり、そのことが企業の価値を高め発展につながると信じます。


「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」で32年連続総合日本一に輝く「加賀屋」は、おもてなしの神髄が徹底され、国内外から多くの支持を得ています。 永年にわたり出水を訪れるツルのごとく、リピーターに愛される地域、施設を目指したいものです。

ローカルツーリズムの推進を~地域の魅力を語る人を増やすことが滞在につながる~

2013年1月15日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

      何となく 今年は良い事 あるごとし
                     元旦の朝 晴れて風無し
                                      石川啄木

各種団体の新年互礼会も終わり、経済活動も本格的にスタートしました。 観光業界に目を転じると、年末から年始にかけて日並びが良く、天気に恵まれたこともあり各地の観光地は例年になく賑わっていました。

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宿泊関連では、1月4日まで満室の施設が多く、関係者は出足が良いと喜んでいました。新幹線や航空機の利用者も前年を上回り、今年の観光業界はまずまずのスタートではないかと思います。今年は巳年ですが、蛇は脱皮することから「復活と再生」を連想させます。果敢にチャレンジし逞しく戦い抜く姿勢が大切ではないでしょうか。

鹿児島にとって今年は、年初のコラムで述べたように厳しい試練が待ち受けており、しっかりとした計画をたて着実に実行することが求められます。今年の最大の関心事は政府による東北復興支援であり、大河ドラマ「八重の桜」の動向です。第1回の放送をご覧になった方の感想を聞くと、このドラマは展開が楽しみで、福島や京都が話題になると語っていました。初回の視聴率(総合テレビ)は、ビデオリサーチの調査によるとは関東地区で21.4%でした。ちなみに昨年の「平清盛」の初回視聴率は17.3%で、鹿児島が舞台の「篤姫」は、20.3%でした。

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首都圏や関西地区の旅行エージェントの店頭には、大河ドラマ関連の多くの商品が並んでおり、GW以後観光客は東北に向くと考えておかねばなりません。東京ディズニーランド30周年や東京駅の改装、東京スカイツリーの話題に加えて、伊勢神宮の「式年遷宮」と日本の東方でなにかと話題が多いのが今年の特徴です。

我々はこの状況の中で誘客を図って行かねばなりません。今年は、地方での周年行事や話題があり、九州新幹線開業効果を県内全域に広めるため、ローカルツーリズムを浸透させる良い機会ではないかと思います。

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今年の県内の話題と言えば、JR九州の観光列車を手掛ける水戸岡悦治さんのデザインによる肥薩おれんじ鉄道の観光列車「おれんじ食堂」が3月24日から運行されます。 2両編成で、1日3便、定期運行日数は215日間で、貸切運行も38日程度予定されています。1号車(ダイニング・カー)は、旅行商品として「運賃+座席指定席料金+飲物付き」の飲食パッケージプランのみで、全区間(新八代・八代と川内往復)乗車を原則としています。

料金は12,800円~(小人8,200円)となっていますが、車内でのおもてなしが話題になると思います。おれんじ食堂1号は、新八代を10時16分に出て川内駅に13時33分に到着します。川内駅に到着したお客様を高速船で甑島に誘導するのも一つの方策です。また、新幹線と「おれんじ食堂」、そして周辺の観光地を組み合わせた宿泊に繋がる旅行商品が増えて欲しいと思います。北薩地域の鄙びた温泉も魅力です。事前の人気も上々で、すでに旅行エージェントから貸切予約が殺到しています。

10月からクルーズトレイン「ななつ星in九州」も運行されますが、3泊4日のコースに鹿児島も行程に入っており話題になるのではないでしょうか。

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屋久島は、世界自然遺産登録から20年を迎えます。登録後、縄文杉や九州一の宮之浦岳を目指す登山客は増加し、地域経済の活性化に繫がっているのは紛れもない事実です。  しかし増え続ける登山に伴い、植生の荒廃、し尿処理問題が提起されています。登山道入口では、山の環境整備のための協力金を頂いていますが、登山者の善意に頼っているのが現状です。登山者の意識改革と山岳ガイドさんの協力を得て、一定金額の協力金を収受し、登山道の安全対策や自然保護に力を注いでいくことが重要なことです。

日本が世界に誇れる屋久島の自然を守り、次世代に引き継ぐことが屋久島の価値を高めることになります。世界自然遺産登録の原点に返り、その趣旨を島民だけでなく登山者にも徹底させることが求められています。

また、屋久島は、山だけでなく各集落にも魅力があります。特に登山ができない冬場は、インタープリターを活用するなど、里の魅力を語り観光客を惹きつける努力が必要と感じます。昨年は屋久島への入りこみ客は減少しましたが、今年はメディアでの発信が増え、多くの登山者が見込まれます。世界自然遺産登録20年という節目の年を活かし屋久島の魅力を全国にPRしたいものです。

隣の種子島は、ジェット機が離発着できる空港があり、本土からのチャーター機の運行も可能です。鉄砲伝来の地、千座の岩屋、世界で一番美しいと言われる宇宙センター基地の見学等を教育旅行の教材としてPRし、SSH校の誘致が求められます。またグリーンツーリズムの推進も課題です。

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奄美群島は、本土復帰60年の年です。沖縄がブームになる昭和50年代前半までは、奄美が若人の夏のメッカでした。その後は空港の拡張や大型機の導入で、格安の運賃が魅力の沖縄に取って代わられましたが、開発が進み自然の美しさが失われつつあります。

その点奄美群島は手つかずの自然が残っており、「奄美・琉球諸島」として世界自然遺産暫定登録をめざしています。秋から冬場にかけてプロのキャンプ地として、春先は花粉症に悩む人の避処地に、夏場は時間に余裕のある大学生へのPRが欠かせません。特に加計呂麻島、与論島は、滞在して時間を忘れる程の魅力があります。 また、島唄や長寿の島として観光客との交流を組み入れた観光が求められます。

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大隅地域では、佐多岬が無料化され老朽化した施設の撤去などが終わるGW以降は、人気が復活するものと思います。佐多周辺地域への旅行商品化やPRを推進するため、指宿地域と連携したルートづくりを進めます。


大隅地域はスポーツ合宿の取組が成果を上げていますが、昨年に引き続いて、宝探しプランや、無料レンタカープランの継続で新規顧客の開拓が必要です。「花瀬公園の渓谷」や「神川の大滝」「照葉樹の森」は他地域にない魅力です。「さんふらわあ」を利用した関西からの誘客も必要です。

また、南薩地域では、「釜蓋神社」、「番所鼻公園」や坊津地域への観光ルートづくりにも欠かせません。指宿での宿泊者を両地域へ誘導することが、滞在につながります。

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霧島地域は、新燃岳の噴火が落ち着きトレッキングや、「霧島アートの森」、「みやまコンセール」等のアートの旅が人気を得ています。霧島地域に宿泊した人を翌日は、曽於市の「悠久の森」、「桐原の滝」、「溝ノ口洞穴」都城市の「関之尾の滝」、人吉市内等に案内することで連泊に繫がります。

宿泊施設の整った地域では、地域の人、ホテル、観光施設の従業員が周辺の魅力を自ら知り、語ることが重要です。鹿児島市のある観光施設では、鹿児島中央駅の案内所の職員を自らの施設に招待し、詳しい説明をするなど直接見ていただく機会をつくり成果を上げています。

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ところで、ひと頃ブームになった焼酎の魅力を再度PRすることも必要です。鹿児島では会合後の懇親会は、ビールで始まるケースがほとんどですが、焼酎で乾杯というスタイルを定着させたらと思います。また、地域にある蔵元の見学や「黒じょか」による飲み方の伝授、なんこ遊びの復活等鹿児島ならではの焼酎文化を、これからのツーリズムとして定着させたいと考えています。


鹿児島県は南北600キロに及び魅力多彩な観光資源があります。県民が県内の魅力を知るためにも、県内をもっと旅行して欲しいと思います。

年度末になると、卒業謝恩会や、職員の異動送別会、旅立ちの祝いなど身近なところで宿泊を伴う行事が多くなり、地元、県内のお客様の掘り起こしも大切です。今年は日並びが良く土曜日を入れた3連休以上がこれから9回あり、遠方に行きやすくなります。

今年こそ鹿児島市、指宿、霧島と言った観光地だけでなく、ローカルにお客様を引っ張る努力が必要ではないでしょうか。

2013年をいかに乗り切るか~厳しい時代へ果敢なチャレンジを~

2013年1月7日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

明けましておめでとうございます。 先行き不透明感がぬぐえない日本経済ですが、昨年末に日経平均株価が8か月半ぶりに1万円を超えました。景気回復につながり、個人消費の拡大が観光業界にも波及効果をもたらすことを期待したいものです。

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今年は巳年です。巳(み、し)は十二支の一つで、第6番目に数えられます。「巳」は『漢書』律歴志によると、「巳(い:「止む」の意味)」で、草木の生長が極限に達した状態を表しています。蛇が冬眠から覚めて地上にはい出す姿を表していると言われ「起こる、始まる」などの意味があります。また、蛇は脱皮することから「復活と再生」を連想させ、餌を食べなくても長く生きることから、全国に蛇神を守る神社もあります。いずれにしても今年は、逞しく生き抜く姿勢が大切ではないでしょうか。

今年の日本の観光を取り巻く環境は、東高西低という現状ではないかと思います。 東京ディズニーランド(以下TDL)が開業30周年を迎え、新しいアトラクションが登場し、1年を通して賑わうものと思います。TDLは大人から子供まで幅広く人気が定着しており、年間2000万人が訪れる日本最大の観光地です。また昨年オープンした「東京スカイツリー」も相変わらずの人気で、2つのビッグ施設で大きな集客効果があります。

今年のNHKの大河ドラマは「八重の桜」です。戊辰戦争では銃を持って勇敢に戦うなど「幕末のジャンヌ・ダルク」と言われ、後に同志社大学の創始者新島襄と結婚した「新島八重」が主人公で、福島県と京都府が舞台になるのではないかと思います。春の桜、新緑、東北四大祭り、紅葉と東北地域は話題に欠きません。 東日本大震災から復興しつつある東北地域への誘客に向けて、官民挙げての取組が進められています。

首都圏の旅行エージェントの店頭には、早くも大河ドラマ関連の多くの商品が並んでおり、ドラマの放映が始まるとさらに認知度が高まり、特にGW以後観光客は東北に向くと考えておかねばなりません。

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次に三重県でも大きな行事が年間を通して開催されます。伊勢神宮では、20年に一度の式年遷宮が開かれます。「お伊勢詣り」という旅が日本の旅行の始まりとされていますが、遷宮は社殿を造り替える大祭で、690年から始まり、今年は第62回式年遷宮にあたり、年初から10月の「遷御」の式典まで様々な行事が行われます。

前回の遷宮では800万人が訪れており、近年のパワースポットブームが追い風となり、今回は約1000万人が訪れるものと想定されています。全国にある8万の神社関連の人だけではなく、多くの観光客が訪れるものと思います。

このように日本列島の東に話題が多い中で、九州新幹線開業効果を県内全域に広め、年間を通していかに誘客できるかが問われています。 今年の県内の話題と言えば、まず3月から就航する「おれんじ食堂」の運行であり、列車ファンのみならず海外の方々に大いにPRできる列車で、すでに旅行エージェントから貸切予約が殺到しています。ぜひ宿泊に繋がる企画が増えて欲しいと思います。

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また2014年春には、川内港から甑島に高速船が運行予定であり、関西地域で抜群の認知度を誇る島への観光客が増加するものと期待されます。高速船は、「おれんじ食堂」などJR九州の観光列車を手掛ける水戸岡悦治さんのデザインによるものです。

大隅地域では、佐多岬が無料化され老朽化した施設の撤去などが進み、人気が復活するものと思います。大隅地域は従来観光素材に恵まれながら、旅行商品化やPRのための推進体制が課題となっていました。今年は指宿地域と連携したルートづくりを進める予定です。また、「釜蓋神社」、「番所鼻公園」や県内屈指のお茶どころ南薩地域への観光ルートづくりにも取り組みます。

地域の隠れた観光素材の商品化には、地元エージェントと自治体の連携が欠かせません。着地型観光の定着には時間と労力を要します。「鹿児島県旅行業協同組合」は「魅旅」のネーミングで商品化に努めており、積極的な支援体制が地域の活性化と人材育成に繫がると考えています。

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今年はまた、「離島キャンペーン」の展開が必要と考えています。世界で一番美しいロケット基地のある種子島へは、「SSH」(スーパーサイエンスハイスクール)の教育旅行を、世界遺産屋久島へはエコツアーに加えて、里の魅力をPRすることでオフの誘致強化になります。 奄美大島は世界自然遺産への暫定登録に向けて、島民の意識向上と体験メニュー充実など沖縄との違いを打ち出した展開が必要です。

鹿児島市は、今や日本を代表する都市型観光の魅力を備えた街です。歴史、自然、温泉に加え、食の魅力が観光客の滞在を可能にしています。県都として県内全域を見据えた観光振興策が重要であり、県内各地域の魅力が増すことが結果として鹿児島市に宿泊することになります。

また、JRとの連携は欠かせません。1月から全国主要駅1300箇所に柏木由紀さんのポスターが掲示され注目を浴びると思います。鹿児島中央駅」が新幹線最南の終着駅になり、新大阪駅から直通の新幹線が運行され、時間短縮効果が顕著となりましたが、3月から広島始発の新幹線が運行予定であり、教育旅行を中心に利用が増えると予想しています。これからは、名古屋、京都、滋賀、奈良、和歌山や、四国の高松地域でのPRも必要です。

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昨年秋から「鹿児島カレッジ」を展開し、若者層へのアプローチを進めていますが、今年は具体的に商品造成し誘客する年です。柏木由紀さんをモデルにした鹿児島の観光PRが、海外志向の強い若者にどのようにフィットするかが楽しみです。関西・中国地域の若者に共感を与えるパワースポット、食、マリンスポーツ等の体験、ゼミの教材等の情報の提供が必要ではないでしょうか。


新幹線停車駅からルートの設定も必要です。出水駅から天草地域へ、川内駅から甑島等への誘客の重要性が増していると思います。指宿は、今年が正念場で、種子・屋久や大隅地域、南薩地域と連携し、連泊の定着に取り組むべきです。

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霧島地域は、新燃岳の噴火が落ち着き「トレッキング」の魅力や、「霧島アートの森」、「みやまコンセール」等のマニアックな旅の提案も霧島ならではのものです。 鹿児島を訪れる観光客の主流は熟年層であり、新たな需要層開拓に向けてアクティブシニアへの取組も求められます。

今日本人の国内旅行は成熟しており、大きな伸びは期待できず、今後の人口減少を考慮すると外国人の誘致は欠かせません。海外からの誘客については、台湾線のデーリー化に向けて修学旅行の誘致や職場旅行の行先としてのPRが欠かせません。韓国からはゴルフ、トレッキング等の誘客に、上海からは、有力なエージェントを中心に民間交流が必要です。

好調な台湾線については、宮崎や福岡と連携した新たなコースの設定が、香港は定期便がないため、ブロックチャーター等の取組が必要です。また、シンガポール、タイ、マレーシア等へのアプローチも求められています。

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今年比較的順調に推移するのが教育旅行です。関西地域から集約臨時列車で5,600人の中学生が訪れますが、定期列車でも修学旅行生が訪れます。特に初めて鹿児島を訪れる学校が多く、漁業・農業体験を実施する学校が増加しています。県内全域に、約1000軒の農家民泊の供給が広がる中で、他県との差別化を図る意味でも「簡易宿所営業」の取得を強力に進めていかねばなりません。

今年は東に観光客が流れる中で、首都圏での消費者の選択肢を広げるため、最大のマーケットでPRに努めていくことが得策と考えます。東京線は航空機の供給量が多く、商品企画が容易であり、また、オフ期の設定を増やすことが必要です。北九州地域も鹿児島にとっては重要な地域であり、自動車を利用した商品企画にも力を注ぐべきです。

インターネットやスマホを活用したWEB販売の強化等を進めるなど、情報化の急激な進展への新たな観光客誘致が必要となってきます。 今年は日並びが良く土曜日を入れた3連休以上が10回あり、旅行需要を喚起するには恵まれています。

鹿児島県は南北600キロに及び魅力多彩な観光資源があります。これからは県民が自分の地域だけでなく、他の地域の魅力も語れる人をいかに増やせるかが大切なことです。そして県民が県内の魅力を知る機会を増やすため、域内観光を推進しなければなりません。

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「鹿児島はすばらしかった。また行きたい」と心に残る「感動」と「感激」を与え、リピーターを増やすことが何よりも大切です。一期一会の心で観光客をおもてなしすることを定着させることが重要です。厳しい年になりますが、果敢に挑戦する気概で取り組まねばなりません。

2013年が皆様にとって素晴らしい年になりますよう心からお祈りいたします。

2012年を振り返る~地域資源を点検し、観光に活かす取組が始まる~

2012年12月25日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

今年も残り1週間となりました。九州北部災害や高速道路でのツアーバス事故、トンネル崩壊等災害に見舞われた年でしたが、ロンドン五輪での「なでしこジャパン」や「女子バレーボール」の活躍などの明るい話題もありました。九州新幹線全線開業2年目を迎え、開業効果に陰りが見える鹿児島の観光ですが、2012年を振り返ってみたいと思います

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観光業界でまず話題になったことといえば、「東京スカイツリー」の開業であり、鹿児島にも大きな影響をもたらしました。5月22日の開業から半年間で入場者は330万人に上り、東京の新たな名所となっています。 また、震災から1年が経過し、東北全域を博覧会会場に見立てた東北観光博も開催されました。 今春まで西へ流れていた客が東に向き、鹿児島を訪れる観光客は減少傾向となり、6月以降の宿泊実績にも如実に表れています。これからも「TDL」と「東京スカイツリー」のビッグな施設がある東京への流れが加速するのではないかと捉えています。

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次はLCCの台頭です。ピーチに続き、ジェットスター、エアアジアなどが国内線に就航し、格安航空運賃を武器にシェアを伸ばし、新たな空の旅需要の開拓につながっていることです。

関西空港~鹿児島線に就航したピーチ・アビエーションは搭乗率が8割を超え、12月15日からは6便体制となりました。長距離バス料金と変わらない運賃が人気となり、その煽りで関西からの運行を休止したバス会社も出ています。東南アジアの航空会社がこれからも日本への乗り入れを計画しており、LCCの人気は定着していくものと思います。

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観光業界におけるネット販売は勢いを増しています。楽天トラベルやじゃらん、一休の取扱高の伸びは既存のエージェントを脅かし、またスマホ、タブレットPCは旅行ツールとしての可能性をさらに認識させた年でもありました。


鹿児島の観光に目を転じれば、インバウンドは震災の影響が残り、中国や韓国からの入り込が回復していません。それに拍車をかけたのが竹島や尖閣諸島問題で、秋以降大きな落ち込みとなっています。中でも上海線は11月以降3割を切り、週2便体制となっても厳しい状況が続いています。公的な需要の復活が遅れており、当面は民間交流で路線の維持を図っていく必要があります。

一方3月に就航した台北線は好調で、11月の利用率は71%となり、また、7月~8月にかけて香港からのチャーター便の運行もあり、鹿児島空港の国際線の年間利用者数が、11月末現在約8万7000人となり、これまでもっとも多かった平成2年の約7万8000人を上回り、2012年は過去最高の利用実績となっています。

今年も韓国、上海、台北、香港、シンガポールへ官民一体で誘致セールスを展開しました。東名阪などゴールデンルートがメインコースとなっている人たちを誘客するためには、温泉、ゴルフ、食、自然等他県にない鹿児島の魅力を発信し、エージェントの選択、招聘事業の絞込み、需要層にあった支援体制が必要と感じます。今後も国内旅行の伸びが期待できない中で、インバウンドの推進にあたっては、継続した人脈作りの重要性を感じています。

鹿児島への入り込み客は6月以降苦戦が続いていますが、地域での新しい動きも出ています。県観光課が進めている「魅力ある観光地づくり事業」は、毎年10億円の予算をかけ地域づくりに貢献しており、それを活用した整備が進んでいます。

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頴娃町は従来、知覧や指宿、坊津に抜ける通過場所に過ぎませんでしたが、「大野岳」、「釜蓋神社」、「番所鼻公園」等の整備が進み多くの観光客が訪れています。 頴娃の活性化には人材育成による観光地づくりが必要と考え、業種や、官民の枠を超えた「NPO法人頴娃おこそ会」を結成し、定期的に会合を開き、地域づくりの勉強会や先進地視察を行い誘客に努めています。

垂水市でも、地域づくりの取組が活発になっています。秋の風物詩となった「千本イチョウ園」、牛根地域の「埋没鳥居展望公園」、「宇喜多秀家候ゆかりの地」の整備が進んでいます。

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また桜島の噴火口を望む「道の駅たるみず湯っ足り館」の横に「昇平丸モニュメント」、「記念石碑」、「国旗掲揚塔」が建立されました。「垂水市は近代造船発祥の地・国旗日の丸のふるさと」という歴史・文化を伝えたいという地域の熱い思いが、寄付金として寄せられ実現の運びとなりました。垂水市だけではなく大隅地域の新たな魅力になるのではないでしょうか。

鹿児島県旅行業組合が、「魅旅」のネーミングで企画している着地型のツアーが成果を上げています。今まで知られていなかった地域の生活、文化、人、祭り、食等にスポットを当てており、新たな需要開拓につながっています。着地型ツアーは始まったばかりで、地域素材の掘り興しや人材育成等地域活性化に大きく貢献しており、今後も定着させるべく強力な支援が必要と思います。

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鹿児島中央駅前に4月に誕生した「かごっまふるさと屋台村」は、半年あまりで年間目標の30万人を突破しました。屋台村は、25軒の個性あふれる屋台と1軒の焼酎専門店が軒を並べます。それぞれの店は小規模ですが家族的な雰囲気が味わえるのが特徴で、鹿児島の食文化を堪能できる場所としての魅力が浸透しています。地域づくりのヒントになる施設です。

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また、指宿枕崎線の観光列車「指宿のたまて箱」は週末に増結し運行されていますが、乗車率が80%を超え好調を維持しています。地域の皆様方が観光客に手を振るなど温かいおもてなしが評価され、JR九州より「指宿商業高校」、「今和泉地域づくり団体」等4団体が表彰されました。 指宿は九州新幹線全線開業時、急激な観光客の増加におもてなしが追いつかず、クレームが寄せられましたが、地域ぐるみでサービス向上の回復に努めたことが今回の受賞に繫がったと思います。

霧島温泉地域は、トレッキングの観光客が回復基調にあります。今後も熊本、宮崎両県と連携した取組が求められます。

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種子・屋久地域、奄美群島は台風が4回襲来し、観光客は伸び悩みました。気候が温暖であることから、夏、秋以外の誘客が重要であり、大学生、島旅ファンなどターゲットを絞ったお客さんの開拓が必要です。 「鹿児島カレッジ」を開催し、若者の意見を商品企画に活かす取組がスタートしました。今後エージェントでの商品造成が楽しみです。次のターゲットは、アクティブシニアと感じます。

教育旅行の誘致は確実に成果が上がっています。JR西日本とJR九州による修学旅行専用列車の設定がなされ、25年度には新たに関西地域から25校5,200名が訪れますが、26年度はそれを上回る学校の申し込みがきています。

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学生が体験する農家民泊も順調に伸びています。2012年は16,000名でしたが、2013年は約20,000人の予約が入っており、農業県鹿児島の魅力が高まっています。県内では受入可能な家庭は約1000家庭にもなり、県全体に広がっていることがあげられます。 ところで、民泊について提起されているのがコンプライアンスです。農家民泊先進地の長崎県の松浦地区は、年間30,000人の受入を行っていますが、ほとんどの農家が「簡易宿所営業」の許可を取得しています。旅館業法で定められた許可を取得することが学校の信頼を得ることになります。

修学旅行は、一度に多くの生徒が動き、不況時でも実施され、取消しがなく、受入機関にとっては経営の見通しが立てられるなど安定した顧客といえます。これからも誘致に力を注ぎたいと思います。

また、学生のスポーツキャンプ・合宿を誘致すべく、福岡、大阪、京都でセミナーを開催しました。学生のスポーツ合宿は、プロに比べて宿泊施設や天然芝の運動施設等の条件が厳しくなく、十分に運動ができる施設が整っていることが大切です。大隅地域は「さんふらわあ」利用による関西からの誘客がしやすく、人気が高まっています。 廃校となる高校跡地にスポーツキャンプの新たな施設ができる予定であり、誘致に拍車がかかるものと思います。

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大隅半島への観光客が伸びてきました。夏の「かごしま宝さがし大冒険の旅」の展開や「無料でレンタカーでおおすみへ行こう」の実施で大隅地域の魅力が認知されるようになりました。また山川~根占航路の復活や、11月から佐多岬公園が無料化されたことなど、これからのPRに弾みがつきます。かつて新婚旅行のメインルートであり、都井岬、佐多岬、長崎鼻を巡る「岬めぐりツアー」の復活も楽しみです。


今年は鹿児島市電が開業100年を迎えましたが、「九州・山口の近代化産業遺産群」の世界遺産登録や「第30回国民文化祭・かごしま2015」開催に向けての準備も着実に進められています。

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2016年は薩長同盟150周年、2017年は明治維新150周年を迎えます。鹿児島の歴史を再認識させる取組も大切です。鹿児島ゆかりの人物や歴史を題材にした大河ドラマや番組の制作を要請するため、官民一体で定期的にNHKへの働きかけを行ってきました。26年の大河ドラマは「軍師官兵衛」に決まりましたが、引き続きドラマ制作の要請を行っていきたいと思います。メディアの観光への波及効果は大きく、年間を通してしかも県全体に及ぶことです。

九州新幹線は来年3年目に入り、鹿児島の観光の真価が問われる年です。日本全体で見ると、来年はTDLが30周年を迎え、またNHK大河ドラマは「八重の桜」で福島が舞台で、観光客は東に向くことが予想されます。鹿児島市、霧島、指宿地域は、離島や北薩、南薩、大隅地域とのさらなる連携が重要です。 また販促活動は、首都圏対策が重要と捉えています。

県民の方々が、メインな観光地だけでなく、それぞれの地域の魅力を語ることで観光の広域化が可能となり、持続的に観光客が訪れる「観光立県鹿児島」の確立に繫がるものと思います。地域・ふるさとを思う人をどれだけ創るかが求められています。

最後に今年も毎週コラムを配信でき、通算241号となりました。1年間ご支援いただき心から感謝申し上げます。ありがとうございました。 来年は1月7日からスタートします。皆様良いお年をお迎えください。

観光振興による雇用の拡大を~地域を担う若者の人材育成の必要性~

2012年12月17日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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自治体や観光業界等の依頼で、年間50回程度の講演やシンポジウムのコーディネーターを引き受けていますが、中でも楽しみなのは学生を対象にした講義です。 今年は、九州産業大学、鹿児島国際大学、鹿児島ホテル短期大学で行い、来春に鹿児島大学で講義する予定です。

先日鹿児島国際大学で、120名の生徒に対し「観光立県鹿児島のこれから」と題して90分の講義をしました。卒業後は観光業界や自治体に入社して観光分野の仕事につきたいという学生が多く、熱心にメモを取っており大変緊張した講義でした。

日本は都市圏に人口が集中し、加えて少子高齢化の進展に伴い、地域は過疎化に拍車がかかり限界集落等が顕著となっています。これからも日本の人口は減少し、鹿児島県では2030年には、現在よりも約25万人の人口が減少します。今後活力ある地域として生き残るためには観光振興も一つの方策であり、交流人口の拡大を図り、それを担う人材の育成が求められています。

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「観光立国日本」の推進を図る目的で、2008年10月1日に、国土交通省の外局として発足したのが観光庁です。 それまで日本における観光は、地域経済に大きく貢献しながらも国の重要な政策と捉えられませでしたが、観光庁の発足を機に、観光振興の意義が認識されるようになりました。

大学での観光学部の創設や、自治体における観光予算の増額など観光を取り巻く環境は大きく前進しています。 大学で観光を学ぶ学生が増えていることも事実です。卒業後受け入れる企業や自治体、地域を増やすことが大きな課題です。

最近の観光を取り巻く環境と課題について整理したいと思います。

九州新幹線全線開業効果で、第3次産業を中心に雇用の拡大が図られ、飲食店やホテル関連業種では採用が増加し、特に九州新幹線の終着駅である鹿児島中央駅周辺は、新設の店舗が目立っており、賑わいに拍車がかかっています。 今年の宿泊実績の推移を見ると、6月以降減少し開業効果に陰りが出ていますが、一昨年よりはまだ増加しており、これを維持することが重要なことです。

一方、市町村においては、担当部署の人員増等で組織強化を図っているところが多くなり、他の部署と一緒になって地域のPRや県の大阪、東京事務所に職員を派遣して営業強化に努めています。 また、観光協会においても、部外から新たな人材を登用するなど従来の案内業務から、営業に力を注いできています。

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観光分野の発展は、雇用に結びつき、新たなビジネスが生まれます。今、着地型観光の推進が求められていますが、地域資源を点検し、生活・文化を核に、地域の食を組み合わせるなどプログラムづくりに経験者を採用し、誘客を図っているところもあります。若者は汗をかくことを厭わず、積極的に地域づくりに貢献できると思います。



県内ではIターンの人ががんばっている地域もあります。甑島、頴娃、垂水、種子島、屋久島、奄美大島、加計呂麻島、与論島等鹿児島の魅力に惹かれて移り住み、特産品の開発、ペンション経営や観光ガイドとして働いている人もいます。

鹿児島県は南北600キロに及び、これは鹿児島市から大阪市の距離に匹敵し、多くの観光資源が点在します。これらの豊富な観光資源を活用して観光客を誘致し地域経済の発展に繋げることが重要です。 そのためには観光客を増やす努力が必要です。そのことが、雇用を確保し、観光客の受け皿を増やすことになります。

これから誘客に力を注がねばならないのは、まず外国人です。鹿児島県へのこれまでの外国人の延べ宿泊入員の最高は12万6千人ですが、それでも長崎県の3分の1、熊本県の40%程度です(平成22年実績)。 日本人の国内宿泊人員は毎年減少しており、人口減を考えると今後の伸びは期待できません。ここに外国人誘致に力を入れる理由があり、そのことが通訳ガイドなどの雇用が発生します。

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また、九州新幹線全線開業で大幅な伸びが期待されるのが教育旅行です。関西からの専用列車の運行もあり、25年は大きな伸びが期待できます。体験型修学旅行が主流となり、農家民泊の需要が増加し、コーディネートできる人材の育成も急務です。


最近の観光は、物見遊山から体験・交流・滞在というスタイルに変化しています。それに対応できる人材の育成が必要であり、また、観光客は、様々な手段で情報を入手しており、ホームページのリニュアルや定期的情報をリアルタイムで更新できる人材が求められます。

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観光従事者として地元の人しか知り得ないオンリーワンの情報を提供することが、顧客満足度のアップにつながり滞在を可能とします。また、自然・環境・風土・文化を大切にする心を育み、特に地域の生活や文化を語ることが今求められています。


鹿児島県は多彩な観光資源に恵まれており、お客様がこれらの情報を得て、様々な体験をすることでリピーターになります。かごしまの魅力を語れる人材も求められています。

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リピーター確保には、ソフトの充実があげられます。「指宿のたまて箱」の髙い乗車率は、地域の人々が歓迎の手をふるなど地域ぐるみのおもてなしが定着してきたことです。 観光の仕事の基本は「サービス イズ アワビジネス」です。一生懸命努力する姿に人は感動します。経験不足は、働くその姿で解消されると信じています。



最後に学生に望むことは、常に勉強し時代の変化に対応できる素養を身につけることです。インターネットや携帯電話等のめざましい普及により、情報は簡単に入手できるようになりました。日頃から勉強していないと逆に情報に流されてしまいます。

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若い頃から読書の習慣があると情報を部品として使いこなし、判断力が養われます。1日30分でも活字に目を通し、いろいろなジャンルの本を読み社会への造詣を深くして欲しいと思います。その積み重ねが、仕事をする上での貴重な財産として役に立つと思います。

学生が観光について興味を持ち勉強し、卒業後就職できる場所を確保できることが、地域への居住、地域の活性化をもたらし、一方では大学の存在意義を高めることになります。観光で地域を元気にしたい、学生に観光の魅力を伝えたい、そんな思いで学生に講義を続けています。

新しい大人世代への旅のPRを~アクティブシニアが旅のスタイルを変える~

2012年12月10日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

鹿児島を訪れる観光客の主流は、65才以上の熟年層ですが、今年は若い人を誘致する目的で、JR西日本とタイアップした「鹿児島カレッジ」が開催されました。関西・中国地域の大学生を鹿児島に招聘し、商品づくりに向けての現地視察を行いました。先日の発表会では、エージェントに対して具体的な商品企画案も提案され、春からの展開が楽しみです。

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ところで、鹿児島の次のターゲットは40代後半から50代にかけてのアクティブシニアではないかと思います。 この世代の多くは、子どもが高校生以上になり、ようやく子育ても一段落したところです。しかし、これからの教育費やローンの返済等家庭の支出を考えると、まだまだ余裕はありません。家事や仕事といった日々の暮らしに忙しく、これまでの夫婦関係を振り返ったり、将来の二人きりの老後生活を考える余裕がないというのが典型的なシニア層ではないかと思います。

これら日々厳しい経済・労働環境の中で、家族を支え必死にがんばっている人に向けてのメッセージが「新しい大人世代の旅」の支援です。

そのミドル層への様々なアンケート分析によると、「生まれ変わっても一緒になりた いか」との問いに対して、イエスは男性が67.2%、女性は50.4%で、しかも、女性の4人に一人は『NO』と否定的な回答をしています。(博報堂の調査)

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しかし別のアンケートでは、「お金や時間は、夫婦関係をよくするために使いたい」かと いう問いに対しては、肯定的な回答が男性68.3%、女性は68.1%とほぼ同じ結果となっており、「夫婦関係を良くするためには努力したい」という姿勢が伺え、男女とも夫婦関係の改善には前向きです。

また、40代後半の世代は、一昔前とは異なる「新しい大人世代」であることも見逃せ ません。消費意欲も旺盛であり、「自分の年齢層は、これからもいつも新しい生き方やライフスタイルをつくっていく世代でありたい」かという問いでは、40代が67.3%、50代が76.0%という肯定的な結果です。 従来のお仕着せのサービスには満足せず、自分のスタイルを貫き、良いものであればお 金に糸目を付けず進んで買う世代ではないか思います。

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一方海外旅行を多く経験した人ほど国内旅行への回帰がより強くなります。 ここにアクティブシニアに対する旅行の需要が発生すると考えており、鹿児島へ誘客す る方策として、この層にどのようなメニューを提供できるかが課題です。 アクティブシニア層の多くは、新婚旅行でハワイに行った人が多く、フリータイム型の のツアーには抵抗がなく、個人で自由に動けることで行動範囲が広いのが特徴です。

鹿児島県は日本第2位の泉源を誇り、多様な温泉施設があります。桜島を望める鹿児島 市内の温泉、天然砂むし温泉のある指宿・山川地区、2012年温泉地満足度第1位に輝いた霧島温泉、世界遺産屋久島のリゾート温泉等他地域にない魅力ある温泉が点在しています。

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また、奄美大島や与論島には、ハワイに負けない美しいエメラルドグリーンのビーチが望める地域があります。このような地域の施設を活かし、アーリーチェックイン・レイトチェックアウト等ゆったりと滞在できる、「一つ上の」「ちょっと贅沢な」「上質な」な宿泊プランが求められます。

またおもてなしの心も不可欠です。本格フレンチレストランやカップルで楽しめるアロ ママッサージ、部屋は贅沢にプレミアムオーシャンビューでのステイや記念日を彩る思い出プレゼントなどサプライズの仕掛けも必要です。

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この年代層は自分で車を運転して観光地を巡ることに慣れています。「錦江湾しおかぜ街 道」や南薩方面、大隅方面は、海を見ながらの景観が優れドライブが楽しめます。沿線で休憩できるカフェや地産地消を推奨しているレストランや直売店のPRも必要です。 また、県内には多くのゴルフ場があり、ゆっくりとプレイでき都会に住む人にとっては、まさにリゾート感覚で楽しむことができます。

一方では、身近な手段で手軽に情報が入手できることから、価値ある情報の発信が欠かせません。アクティブシニアにフィットするには、鹿児島ならではの滞在メニューをWEBサイト上で提供することも重要です。薩摩焼やガラス工房でおそろいの皿やグラスづくりの体験も興味をそそるのではないでしょうか。また、四季折々の花の開花、夕陽のスポット、ライブハウス、イベント、祭り、食の情報も欠かせません。

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平成23年3月に発生した東日本大震災では、東北地方を中心に甚大な被害が発生し、 人生で一番大切なのは家族や夫婦の絆であることが認識されました。アクティブシニアに対し、鹿児島で夫婦の絆やライフスタイルについて考える機会を提供し、思い出づくりをお手伝いしたいものです。

参考 ;観光とまちづくり:社団法人日本観光振興協会 ;沖縄観光コンベンションビューロー;サイト

「第5回かごしま観光人材育成塾」を終えて~塾生のこれからの活躍に期待する~

2012年12月3日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

師走に入り、街角ではクリスマス飾りも賑やかとなり、また、鹿児島市役所前のみなと大通公園のイルミネーションの灯りに誘われて、行き交う人も楽しそうです。衆議院選挙が予定され、街は忙しさに拍車がかかるのではないでしょうか。

県内では、佐多岬公園が無料化され、大隅地域への観光客が増えており、また従来無名であった頴娃町の「釜蓋神社」、「タツノオトシゴハウス」などにも観光客が訪れています。一方、開業効果で急激に観光客が増えてサービスが追いつかず、顧客からの不満が寄せられた地域もありましたが、地域ぐるみの「あらたなおもてなし」の取組をスタートさせ成果が実りつつあります。

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これから地域の観光を担う人材育成を目指し、「第5回かごしま人材育成塾」が開催され、「地域づくりやJRとタイアップした商品づくり」、「グリーンツーリズムと食の魅力づくり」、「外国人受入の態勢づくり」、「顧客管理とおもてなし」、「地域資源の開発」、など、今後取り組むべき課題等について7つの講座を実施しました。

最初に県観光課の本課長から「鹿児島県における観光の現状と取組」について、6月以降宿泊客が前年を割り込むなど新幹線効果に陰りが見えていますが、クルーズ船の寄港や教育旅行、スポーツ合宿が順調に推移していることの説明がありました。また、24年度の観光PR関係の主な施策、アジアの時代を迎えて鹿児島の可能性について、詳しい内容の説明があり、受講者は鹿児島の観光の現状が理解できたのではないかと思います。

講座の内容について簡単に報告いたします。
第1講座は、九州旅客鉄道株式会社鹿児島支社長の松本喜代孝氏が、「JR九州の概要と今後の取組について」講演しました。支社長は鹿児島に赴任以来、精力的に県内を廻っておりその感想として、「市内の銭湯は温泉である」、「お墓にいつも生花が耐えない先祖崇拝の文化が残る」、「大隅地域には日本の原風景がいたるところに残っている」、「美しい渓谷や水が豊富」など、県民がもっと鹿児島の魅力をPRする必要があると語りました。

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また博多から鹿児島中央駅まで最速1時間17分となり、時間短縮効果が図られ、観光列車も好調に推移しており、地域はもっと駅を活用したイベントや誘客に努めて欲しいと語りました。また、2013年10月から運行される九州一周寝台列車「ななつ星in九州」は、鹿児島への運行も決まり予約は順調に推移しています。一度は乗ってみたい列車です。

第2講座は、郷土の家庭料理「ひまわり亭」を経営している本田節さんが「食資源を活かした交流によるまちづくり」について講演しました。 本田さんは、人吉市で郷土料理伝承塾を主宰しており、食文化の研究にも熱意を注いでいます。

地域づくりは、ふるさとに自信を持つ人を育てることであり、特にまちづくりには、Star(人)、Story(物語性)、Service(おもてなし)、Special(差別化)、Surprise(わくわく、驚き)、Smile(笑顔)、Small Bisiness(地域への経済効果)、Social Bisiness(社会貢献)の8つのSが求められる。地元食材にこだわり、安全・安心を追求し、地域に経済が循環することが地域の発展につながると語っています。 また、「日本食文化の世界無形文化遺産」の登録にむけての運動の必要性も語りました。

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最後に行政への批判を言っても始まらない。むしろ行政と協調してそれぞれの役割分担を強化することが必要と語りました。 本田さんは、年100回を超える講演活動で全国を飛び回っている元気なお母さんですが、日頃は朝早くから、梅干やラッキョウ漬けに自ら取り組まれています。

レストランは開店と同時にお客さんが埋まるなど、その人気は驚くばかりです。常にチャレンジ精神を持って、全力で生きていらっしゃるパワフルな本田社長の講演でした。

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第3講座は、香港エバーグロスツアーズ 代表取締役社長 袁 文英氏で、「香港からみた鹿児島のインバウンド」でした。GLツアーズの日本向けの送客数は、香港の業界でそのシェアはNO1です。今年の7月15日から8月30日にかけて実施した香港から鹿児島への22回の連続チャーターでは、2,892人の送客がありました。

また、事業規模が拡大する中でも、常に社員を大切にされ、お客様の視点での経営を貫いています。社会貢献活動にも積極的に取り組まれており、東日本大震災では多額の寄付をされました。

「おもてなしの極意」について、サプライズの提供をどこで行うかそのタイミングの重要性を認識しました。また、個人旅行が増える中で、客室のあり方、常に温かい食事の提供、館内表示は絵が解りやすい等、ホテル・旅館の受入体制についての示唆に富んだ講義でした。

第4講座は、東京港区芝にある「セレスティンホテル」の取締役総支配人の若林正雄氏が、「薩摩とセレスティンホテルの歴史的・文化的つながりと心に残るおもてなし」について講演しました。

ホテルのある芝・三田エリアは、「ビジネス」・「文化」・「教育」の拠点で、週末は人通りも少なく、立地条件に恵まれているとはいえません。所在地のある芝3丁目は、旧薩摩藩屋敷跡という由緒ある場所で、食材に鹿児島産のお茶や黒牛、黒豚などを使ったメニューの提供を行い、ホテル周辺住民にもその人気が定着しており、フェア等を定期的に開催するなど、顧客にも細かい情報発信に努めています。

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リピーター率が60%、年間稼働率が90%を超えるまでになったその取組の一端を披露しましたが、特に女性と外国人の誘客に力をそそいでいます。おもてなしの極意として、お客様から言われる前にする、無いものは探す、常にお客様の声に耳を傾け、実践することなど、常にお客様目線の経営姿勢が人気の源となっていると感じます。

ホテルは感動を与える場所であり、それをいかに実践できるかにかかっている言う言葉が印象的でした。首都圏での厳しいホテル戦争を勝ち抜くため、顧客をいかに大事にしているかその戦略が理解できた講座でした。

第5講座は、南国殖産(株)取締役執行役員都市開発事業部長・企画部長の今村浩氏が、「『かごっまふるさと屋台村』など鹿児島中央駅東口開発について」講演しました。

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4月26日に鹿児島中央駅東口近くのホテルの跡地にオープンした「かごっまふるさと屋台村」は、目標の30万人を半年で達成しました。また、相乗効果で、南国センタービルや鹿児島中央ターミナルビルにも多くの人が訪れています。この事業を進められた南国殖産グループの「地域の発展なくして企業の発展はない」という企業精神が冒頭に語られ感銘を受けました。

屋台村は、鹿児島の産品の情報発信基地であり、中心市街地の活性化、観光かごしまのおもてなしの拠点、企業家の育成等を設置目的にしています。また、店舗代表者による問題提起やコミユニケーションの場づくり、新たなイベント作りに知恵を絞っており、そのことが各店舗の緊張感をもたらし、お店が順調に推移している要因ではないかと思います。鹿児島の食材にこだわり、そこに行けば鹿児島に会えるというコンセプトが誘引効果を高めていると感じます。

一方九州新幹線全線開業で、鹿児島中央駅前一番街の再開発や交通混雑の解消など新たな課題にも直面していますが、将来を見据えた東口開発の構想の一部が語られました。その中心メンバーとしてこれからの今村様の活躍が期待されます。鹿児島中央駅東口の将来の姿が楽しみです。

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第6講座は、垂水千本イチョウ代表 中馬吉昭氏が、「垂水千本イチョウに育てるまで」について講演しました。中馬さんは、東京でのサラリーマン生活を切り上げて垂水の地で、30年前から夫婦2人で育ててきたのが、今の千本イチョウです。

帰省後地域の疲弊に危機感を感じた中馬さんは、ふるさとの山に多くの果樹や木々を植栽し、また「道の駅たるみず」では、オープン当初出展者の代表を務めるなどその礎を築かれました。「大隅よかとこ博覧会」では、中心メンバーとして、着地型観光メニューの開発に取り組み、多くの参加者を集めました。

千本イチョウ園の一般への開放に当たっては、「第1回かごしま観光人材育成塾」に塾生として参加したことがきっかけとなったと話しました。今では多くのメディアでの発信効果もあり、昨年の黄葉の時期には、昼食場所を求めて観光客が詰め掛け、垂水市の飲食店が満杯になりました。鹿児島県の第1回景観大賞も受賞しています。

今年の見頃は、例年より早く12月の上旬であり、垂水港からシャトルバスの運行も予定されています。30年間イチョウづくりに懸けた熱い思いが感動を呼びました。

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第7講座は、観光養殖場「タツノオトシゴハウス」のオーナー加藤潤氏でした。加藤氏は、埼玉からのIターン者で「NPO法人頴娃おこそ会」のメンバーとして、よそ者視点での、地域素材の発掘に取組んでいます。タツノオトシゴは、オスが出産するという珍しい生物で、しかも夫婦仲が良いことから、施設には若いカップルや熟年の女性が多く訪れています。

頴娃町はこれまで、観光というイメージとはほど遠い地域でしたが、「タツノオトシゴハウス」、「釜蓋神社」、「番所鼻公園」の人気定着は、新しい観光ルートの開発につながったといえます。おこそ会では、今大野岳、番所鼻公園から釜蓋神社までの海岸ルートの歩道、石垣地域のまち歩き等の整備を課題としてあげており、「県の魅力ある観光地づくり」等の事業にも積極的に応募しています。地域づくりは点から線、線から面への広がりが重要であり、その手法を学ぶ良い機会になりました。 

どの講師の方々も、経験とそれに裏打ちされた講演は、塾生の皆さんに心深く伝わり、これからの活動に必ず役立つと信じます。また、夜学塾は、参加者同志や講師陣とのコミニユケーションの場となりました。

これからの地域づくりについては、下記の視点で取組んで欲しいと思います。
・地域資源を点検し、ストーリーを磨くことが重要であり、オンリーワンの素材を売り出す。誘客に当たっては、近隣市町村、鹿児島市をまずターゲットとする。
・地域にないもの(宿泊や休憩施設)をカバーするには、他地域と連携しPRすることで誘客が可能となる。広域の観光ルート設定や情報発信が必要
・メディアに積極的に情報を提供し、着地型メニューなどは体験して取材してもらう。外国人、子供、女性、老人が主役のイベントの創出が不可欠
・地域の食材を活用した安全・安心のメニューの提供。地域を感じる産品の開発を優先
・消費の主役は女性であり、女性を対象としたマーケティングが必要
・道の駅や農家直売所を充実させ、都会からの応援団を確保する。
・おもてなしの心の醸成し地域あげての取組が必要
・地域を愛し、自ら汗をかく人をどれだけ育てられるかが重要
・地域をまとめるリーダーを育てる環境が必要

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今まで人材育成塾を受講した方の多くが、それぞれの地域で頑張っていることは、鹿児島の観光にとって大きな財産となっています。この講座で学んだ人が地域で自ら汗をかき、ネットワークを構築し、地域活性化に努力されることを期待します。

南九州市頴娃地域が今熱い ~他地域との連携で誘客の促進を~

2012年11月26日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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今、鹿児島を代表するパワースポットとして多くの参拝客が訪れているのが、南九州市頴娃町にある釜蓋神社で、正式名称は射楯浜主神社となっています。頭の上に釜蓋を乗せて鳥居から賽銭箱までの約10mを歩ききったら願いが叶うというユニークな願掛けが人気となり、勝負・武の神を祀ることからスポーツ選手も多く参拝しています。

この神社が有名になったのは、テレビ番組の「ナニコレ珍百景」で紹介されたのが始まりです。その後ロンドンオリンピックの女子サッカーチーム「なでしこジャパン」の福元選手が、ゴールキーパーとしてシユートをことごとく防いだのは、この神社に参拝したご利益のおかげとのスポーツ紙の報道もあり、一気にその人気に火が付きました。

今では、サッカーの中村俊輔や澤ほまれなどのプロスポーツ選手や、県内外のスポーツ団体の参拝がたえません。旅行エージェントの企画にも取り上げられ、今秋から週末には指宿観光協会が、唐船峡と釜蓋神社を巡る着地型のバスツアーを始めました。海に突き出た場所にある朱塗りの神社の両岸は、白波が押し寄せ旅情をかきたてます。

3年前まではほとんど無名に近かった釜蓋神社が、多くの参拝客を呼ぶようになったのは、神社のストーリーとともに珍しい参拝スタイルが、メディアで取り上げられたことが大きいと思います。皆様の地元でも地域に眠る観光素材を点検し、ストーリーを語ることで新しい魅力が生まれるのではないでしょうか。

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また、釜蓋神社から5分の所にある「タツノオトシゴハウス」も注目の施設です。 頴娃町の海にはタツノオトシゴが生息していますが、この施設は国内唯一の専業養殖場で、養殖出荷量は日本一となっています。 竜の容貌を持ち、夫婦仲がよく、オスが子供を身ごもるという珍しい生物で、そのことが観光客の話題となり、「タツ年」である今年は、月平均4000名を超える観光客が訪れており、無料で公開しています。

タツノオトシゴは、「幸運、健康、恋愛成就&夫婦円満、子宝、安産」のシンボルで、一度に1000匹の子供を生みます。施設では、Iターン者で代表の加藤潤さんが、映像を通しての出産シーンや、生簀の中で生き生きと動き回るタツノオトシゴの生態を詳しく説明してくれます。オンリーワンの施設で、オスが出産するというストーリーが観光客の人気の秘密ではないかと思います。

小生が訪れたとき、若いカップルや熟年の女性グループが、加藤さんのユーモアあふれる説明に笑い声が起こっていました。釜蓋神社までの海岸散策ルートの整備が急がれます。

すぐ近くにある番所鼻自然公園も見所の一つです。「薩摩富士」と呼ばれる開聞岳から昇る日の出は特にすばらしい。

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江戸時代に日本全国を歩いて測量し日本地図を作った伊能忠敬が、『けだし 天下の絶景なり』と、日本一の絶景として称賛した場所で、元内閣総理大臣の鳩山一郎氏の揮毫による伊能忠敬の石碑が建てられています。海を見下ろす場所に、「幸福の鐘(吉鐘)」があり、下にはタツノオトシゴをモチーフにしたハート型のかわいいオブジェも作られています。

訪れる人が鳴らす鐘の音に、散策している人の足も一時止まります。絶景の地に立つ「いせえび荘」で、開聞岳の雄姿を眺めながら味わう「いせえび料理」も格別です。ぜひお尋ねください。

360度のパノラマが広がる標高466mの大野岳も、見ごたえがあります。自動車で頂上付近まで登ることができ、展望台までの茶寿と呼ばれる108の階段には、還暦や喜寿、米寿などの記載があり、楽しみながら登れる場所です。東シナ海、桜島、佐多岬を一望でき、空気が澄んでいると遠くに種子島、屋久島、硫黄島を望むことができ、四季折々の展望が楽しめます。  課題としては、大野岳までの案内標識やトイレの整備が急がれます。

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ところで、頴娃町は従来知覧や指宿、坊津に抜ける通過の場所に過ぎず、番所鼻に食事に来る人しか目だった観光客はいませんでした。 頴娃の活性化には観光地づくりが必要と考え、業種や、官民の枠を超えた組織が結成されています。今地域一体での魅力発信に取組んでいるのが、「NPO法人頴娃おこそ会」のメンバーです。

いせえび荘の西村社長やタツノオトシゴハウスの加藤潤さんを始め、地域の若者から年配者まで集まり定期的に会合を開き、地域づくりの勉強会や先進地視察を行っています。

これからは、指宿、知覧、坊津に行く途中、立ち寄りたくなる地域になって欲しいと思います。頴娃町は温暖で県下屈指のお茶・花の産地であり、これを活用した地域ならではの特産品作りが求められます。宿泊施設が少ない中で、滞留人口を増やすことが地域経済の発展には不可欠です。 これから活力のある地域や商店街になるには、食の魅力が求められます。

釜蓋神社、タツノオツシゴハウス、番所鼻自然公園、大野岳に続く地域の観光素材の掘り起こしが望まれます。指宿枕崎線沿線は自然の原風景が残り、無人駅を活用した列車とバスを組み合わせたツアーも魅力があります。

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頴娃の茶畑は美しく、農道も整備されドライブにも最適であり、途中に美味しいお茶を飲む休憩施設や体験メニューの充実も急がれます。冬の風物詩「大根やぐら」もまもなく見られますが、やぐらのライトアップも一度試してみたらどうだろうか。


1月には、「いぶすきなのはなマラソン」と、「なのはなマーチ」の2大イベントが開催されます。イベントに参加されたお客様を頴娃地域に誘客することも可能です。

ところで頴娃地域から30分あまりの場所には、坊津があります。 坊津は、梅崎春生が自分の軍隊生活の経験をもとに、小説「桜島」の舞台として取り上げた場所で往昔、遣唐使が船出したところでもあります。また、遺作となった「幻化」でも美しい坊津の景観と人々の暮らしが描かれています。

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かつて、日本三津とうたわれ、古来から仏教文化が伝来して栄え、また中世から続いた交易港として多くの船が出入りしました。坊泊小学校の近くの高台にある「上人墓地」は四角形の珍しい墓であり、南北朝時代から明治維新までの勅願寺一乗院の歴代住職の墓所となっています。仁王像や石垣が残り当時の栄華を伝えています。

「輝津館(きしんかん)は、中国や琉球の交易の軌跡、一乗院を中心とした坊津の仏教文化や漁に関する民族資料など、坊津の歴史を語るものが展示されています。

坊津は、酒造メーカーのCMの舞台に、また、ショーン・コネリー、丹波哲郎、浜美枝が共演した「007は二度死ぬ」ではロケ地になり、秋目の鑑真和上上陸記念碑近くの駐車場に「007撮影記念碑」が建立されています。坊津には旅情をかきたてる場所が多く残っています。また、ゆっくりと歩きながらいにしえ人の行き交った石畳や、石垣が残る路地を巡るのも坊津を知る一つの方法と思います 

頴娃町は、鹿児島市から知覧、指宿のルートに加え、坊津に出かける人の休憩地点としての位置づけができます。観光客に境界はなく、知名度の高い地域とも連携し、ルートのPRも誘客には得策です。

頴娃町の恵まれた地理的条件を活かし、立ち寄りたくなる地域としての更なるブラッシュアップが求められます。 地域の皆様のご活躍に期待します。

「かごっまふるさと屋台村」の来場者30万人達成を祝す~そこは、日常のかごしまに会える場所であり続けたい~

2012年11月19日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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九州新幹線全線開業から1年9か月が経過しましたが、宿泊者の実績で見ると今年の6月から前年を下回り一服感が見られるのも事実です。一昨年の実績と比較すると上回っていますが、大幅に伸びていた関西以西からの宿泊客が鈍化しており、これから格段のPRと誘客対策が求められています。

ところで鹿児島中央駅前に4月に誕生した「かごっまふるさと屋台村」が、10月末で年間目標の30万人を突破しました。半年間での目標達成であり、関係者の努力に敬意を表します。

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「かごっまふるさと屋台村」は、25軒の個性あふれる屋台と1軒の焼酎専門店が軒を並べます。それぞれの店は小規模で8席しかなく、隣席の方とすぐに仲良くなれるなど家族的な雰囲気が味わえるのが特徴です。

また、鹿児島の旬の食材を活かしたこだわりの料理と焼酎をリーズナブルな価格で提供しており、鹿児島の食文化を堪能できる場所としての魅力が浸透しています。 現在屋台村は全国にできていますが、震災で大きな被害を受けた宮城県気仙沼市にも「復興屋台村 気仙沼横丁」がオープンし話題となっています。

屋台村の盛況の要因と今後の課題等について述べてみたいと思います。
まず屋台村は、鹿児島中央駅に近くてアクセスに恵まれ、出張のビジネスマンの時間つぶしや帰りがけのサラリーマンにとって便利な場所にあることです。また、電車通りに面しており宣伝効果は抜群で、レトロ調の入口とあわせて、のれんをくぐってみたいという気持ちに駆り立てられます。

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特に地産地消を中心とした地元食材にこだわっていることが人気の要因です。 10月5日から31日まで秋の大収穫祭と銘打ってイベントが開催されました。南さつま市、鹿屋市、長島町、姶良市各地域の自慢の食材を使って、各店舗が腕によりをかけたメニューを提供し、来店客をもてなしました。屋台でしか味わえない楽しさや、雰囲気がお客様に感動を与えました。


11月3日には、秋の収穫祭のフィナーレを飾るイベントが行われ、4つの市町村の名産品が当たる抽選会も開催されました。当選された方は、必ずやリピーターになるのは確実です。

従来ラーメン横丁やお好み焼きの専門店等が並ぶ場所では、人気店舗とそれ以外の店舗との優劣が付き、店舗同志のコミュニケーションがなくなり、店が退去するなどの弊害も起こっています。

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そのような弊害を少なくする方策の一つとして、スタンプラリーを実施し、屋台村全体の発展を目指す取組が効を奏しています。また、同業種が少ないことや、それぞれの店が切磋琢磨しながら、競争と協調の心をもって一体感を維持していることで常に緊張感を持った経営がなされていると判断します。

これからも屋台村は、貪欲に鹿児島らしさにこだわる必要があり、鹿児島の魅力を発信する場所にしなければなりません。従業員は今以上に鹿児島弁で、観光客に鹿児島の魅力を語ることが求められます。

「かごっまふるさと屋台村」は、青森県の「八戸屋台村 みろく横丁」がモデルとなっていますが、みろく横丁では、15日からボージョレイヌーボー祭りが開催され、ご来店の方にヌーボーが1杯サービスされるイベントが開かれています。常に話題を集めるイベントを開催しているのも特徴です。

今後、餅つき大会、クリスマス会、年始や成人の祝いなどの開催等で常に季節を感じる話題を提供することが集客効果をもたらします。来春になると市内でのプロスポーツのキャンプもスタートします。プロ選手との出会いも楽しみです。メディアでの積極的な情報発信が求められます。

屋台村の成功は、若い起業家の誕生をサポートする機会にもなり、これからの成長が期待されるプロジェクトになると信じます。

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ところで、鹿児島市は錦江湾越しに桜島を望み、歴史、温泉、食、路面電車、海など県都としての魅力が集約され、宿泊施設の充実等観光客誘致には大変恵まれた環境にあります。屋台村の周辺は、近代日本の礎を築いた偉人を輩出した地域であり、中でも「維新ふるさと館」は大変人気がある施設です。夜は甲突川がライトアップされ一段と魅力的な一帯となります。

しかし天文館までの客足は伸びず、地域全体に経済が循環するまでには至っていません。「2次会は天文館で」を合い言葉に、各店舗のオーナーは観光客に天文館の魅力を語って欲しいと思います。

一方、屋台村にはビジネスマンが多く訪れていますが、新幹線の時間短縮効果は、ビジネスマンの日帰出張を加速し、鹿児島市内はホテルが供給過多となりシングル料金の値下げ合戦も見られ、中央と地元資本との戦いになっています。このまま行くと資金力が弱い地元のホテルは苦戦が予想されます。 屋台村内でも県内でのイベント開催や花の開花、紅葉、釣り等の情報提供を行うことで、遠方まで足を伸ばすきっかけをつくり、滞在させる取組が求められます。

周辺の既存の店との競合も激化していますが、「おもてなしの心」を持ってサービスの向上に努め、相乗効果で来店客を増やして欲しいと思います。また、近隣のホテルの方々も積極的に屋台村をPRすることで、連泊につなげて欲しいと思います。

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また、現在海外路線は、台北、ソウル、上海便が就航していますが、アジアの人々は、屋台で食事することが定着しており、今後東アジアの観光客が増加すると思います。外国語標記の徹底や簡単な言葉を覚えることで、海外観光客との交流の場所になればと思います。市民にも屋台村の魅力が浸透しており、より多くの人々が訪れる場所として定着することを期待します。

「ふるさとかごっま屋台村」に行けば「本物。鹿児島県」、日常のかごしまに会えると、観光客に誇れる場所であり続けてほしいと願っています。

グリーンファーム(鹿児島市観光農業公園)に期待する~体験メニューの充実と平日の誘客が課題~

2012年11月12日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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11月15日、鹿児島市喜入一倉町に、グリーンファーム(鹿児島市観光農業公園)がオープンします。 交流と体験のフィールドとして大きな期待がかかる施設です。東京ドーム約9個分の敷地にグリーンツーリズム関連施設やキャンプ場、遊歩道などが整備され、豊かな自然の中で、農業や食・環境などについて体験や学習を楽しむことができます。

ところで農産物をブランド化し、その加工品で収益をあげ、地元農家と連携したレストランや体験型メニューで観光客を呼び、それらの複合的な事業を一貫して行う「ファーム」というスタイルを成功させたのが、三重県伊賀市の農事組合法人「伊賀の里モクモク手づくりファーム」(以下ファーム)です。

「安全・安心」にこだわり、「生産者と消費者とのつながり」を重視したファームのファンづくりが、人気を集めています。その結果ファーム自体が一種のブランドとなり、近郊に直営のレストラン7店舗を出店するまで成長しており、JR名古屋駅の駅ビル・セントラルタワー内にも店があります。自然ビュッフェのお店で、昼食時間には100名以上が並ぶほど賑わっています。

ファームは、名古屋、大阪から車でおよそ1時間半。三重と滋賀の県境近くの山中、西湯舟にあり、近燐の県から年間50万人が訪れています。ファームでは、生産だけでなく、加工、直販、レストラン経営まで含めた複合的な手法、いわゆる6次産業化を進めています。

さらに会員制の宅配サービス、手づくりウインナー教室などの体験メニューや温泉・宿泊施設、さらには定年帰農のニーズを見込んだ体験農園など食や農業に関心の高い消費者と観光客を巻き込む仕掛けづくりで大きな注目を集めています。 また、年間を通じて50以上のイベントを開催し集客に努めており、家族連れが多く訪れます。直営レストランを含めて全体の売り上げは43億円にも上っています。(2008年の実績)

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観光客が体験し、買い物のできる農業関係施設としては、従来から観光農園(みかん狩りやイチゴ狩り、芋ほり等)や、観光牧場が各地にありますが、「モクモクファーム」は地元ブランドの食材を開発し、そこを核にして近燐の野菜農家や県内の農家とも連携して地域全体にお金を落とすシステムをつくりあげていることです。

消費者ニーズを具体化して体験型メニューを実施しており、特に好評をえているのがウインナー教室です。餌や飼育方法を変えながら試行錯誤して改良し、「伊賀豚」をつくり上げ、その肉を使って完成させたのがファームのウインナーです。


現在では、生産者の顔、生産現場を見せ、「安全・安心」、「本物の味わい」というコンセプトを感動的な体験として具体的に提示し、大人も子供も楽しめることが人気を博しています。

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2005年に制定された「食育基本法」では、子どもたちに農業体験や食の安全、地場の農産物に触れる機会を作ることを奨励しています。 ファームでは、早くから体験施設をつくり、地元の農産物を使うレストランを運営し、子どもたちのための田んぼの生き物調査や、牛や豚の観察、星の観察などのイベントをカリキュラム化してきた。そんな活動が多くの小・中学校に注目されることになり、体験や修学旅行で訪れる人がどっと増え、2006年以降訪れた小・中学校の数は毎年500校をこえています。

今度オープンするグリーンファームは、「育てる」、「楽しむ」、「味わう」、「学ぶ」の4つの体験ができる県内では初めての本格的施設です。その魅力と課題について整理したいと思います。

まず体験メニューの充実をいかに図るかです。単なる農業体験は、既存の観光農園や農家で体験することができます。入園者が広い農園の中で、自然との触れ会いを通して、生産する喜びや収穫、「安全・安心」の食材の魅力をいかに感じることができるかが重要です。すでに収穫してある農作物を集めるだけでは本物の体験になりません。

農園で生産される農産物から十割そばの提供や絞りたての牛乳、ジェラート、飼育されている豚や牛の肉を使ったバーベキュー等のメニューは人気を呼ぶものと思います。スーパーやコンビニとの差別化を図り無添加の安全・安心の商品づくりが必要です。周辺住民が、農産物を買いに訪れ、また、ファームのレストランでは、園内で収穫される農産物や地元食材にこだわった食事を提供することが求められます。

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次に平日にいかに集客効果を高めるかです。休日は一定の入場者は見込めますが、市内から1時間程度の場所に出かけるとなると、平日は一般の人ではそれなりの目的がある人になります。その意味でも教育現場のカリキュラムを平日にいかに組み入れるかが重要です。

まず市内の小・中学校は、9年間の中で必ず1回は、グリーンファームでの体験を入れることが、年間入園者を確保することになります。また、子供の体験が親の誘因効果をもたらすものと思います。数時間の体験メニューや、雨の時のメニューの準備も求められます。 また団塊の世代が多く退職する時代となり、農業に関心をもつ人も増えて、趣味の一つとして農園を利用したい人が増加しています。そのような人に対する指導者の配置も求められます。

また、グリーンファームは、国道から離れており、気軽に立ち寄ることは大変厳しいと言わざるをえません。エージェントとのタイアップ企画や四季折々の魅力をメディアでPRすることが不可欠です。1年間は市民の関心もありますが、持続的な誘客には、施設のブランド化が何よりも求められており、市民の皆さんに愛され、支持される施設になることです。

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一方、県内ではグリーンツーリズムの取り組みが盛んになってきました。平成25年度は、南さつま地域、北薩地域、大隅地域を中心に約2万人を超える学生の農家民泊の予約が入っており県内全域に広がっています。一般のお客様を受け入れるため「簡易宿所営業」の認可を取得する地域も出てきており、誘致、受入競争も激化しています。

「道の駅」や「農家の直売所」が増え、身近な処で気軽に「安全・安心」の食材を購入することができます。グリーンファーム独自のオリジナル商品を作ることが重要です。 観光振興にとって大切なことは、地域全体に経済効果をもたらすことです。観光客に地域産品や加工品を購入していただく取り組みが求められており、 魅力ある加工品づくりと販売ルートの確立も必要です。

距離のハンディを克服し顧客を獲得するためには、他の地域に負けない「おもてなしの心」をいかに提供できるかも大切なことです。 グリーンファームが、県内のグリーンツーリズムのリード役になることを期待します。

参考:田舎力 ヒト・夢・カネが集まる5つの法則 金丸弘美著作

大隅地域への教育旅行の誘致を~優位性をいかに売り込むか~

2012年11月5日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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鹿児島を教育旅行の行先に選ぶ学校が増加していますが、教育旅行は、定期的に行先を変える傾向があります。それはマンネリ化を防ぎ、先生方が新しい旅行先を求めていることや、教育課程の変更等が大きな要因です。その際、新しい体験メニューの開発やアクセスが整備されると、行先として選ばれるチャンスが訪れることになります。

従来県外の学校があまり関心を示していなかった大隅地域が注目をあびています。九州 新幹線の全線開業効果で、大きな時間短縮が図られ行き易くなったことや、新大阪から集約臨時列車や直通列車が増発されたことが大きく、25年度以降の誘致に向けて大隅地域をPRしていきたいと思います。

そのポイントとなるのが3つの施設と考えています。 一つは、「鹿屋航空基地史料館」です。史料館に行くとまず目に入るのが前庭に展示されている二式大型飛行艇12型。昭和15年当時世界一高性能の大型飛行艇と言われています。

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米国国内に保管されていた、世界に一機しかない当時の技術を駆使してつくられた飛行機で、関係者の努力で、その後海上自衛隊第一航空隊が引き渡しを受け現在の場所に展示されているもので、当時の日本のものづくりの水準の高さを知ることができます。 前庭に展示されている数々の飛行機は、かつて日本の空を飛び、災害や人命救助等に活躍したものです。

特攻基地と言えば南九州市知覧が有名であり、旧日本陸軍の航空基地がおかれた場所です。鹿屋市には旧日本海軍航空基地があり、太平洋戦争のとき特攻基地として使用され、多くの尊い命が飛び立っていきました。鹿屋航空基地からは908名が飛び立って再び帰ることはできず、その数は知覧の数を上回っています。現在は海上自衛隊鹿屋航空基地が置かれ、東シナ海・日本海・太平洋地域等の防衛警備や災害派遣、医師のいない離島等への急患輸送等も行っています。

海上自衛隊鹿屋航空基地正面横にあるのが「鹿屋航空基地史料館」で、現在無料で見学できます。海上自衛隊の歴史、特別攻撃隊関連の資料展示があり、戦争を知らない学生さんには、ものづくり、平和、日本の国防等考えさせられる施設で、「知覧特攻平和会館」と違った施設であることも魅力の一つです。

日本領土を取り巻く国際環境は緊張感が高まっていますが、国のあり方等も考えさせられる施設ではないかと思います。 駐車場に隣接して鹿屋市の物産館が設置されています。教育旅行の誘致を通してさらなる充実が望まれます。

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次に教育旅行の注目をあびているのが、「内之浦宇宙空間観測所」です。 内之浦宇宙空間観測所は、昭和37年に東京大学生産技術研究所の付属施設として設置され、昭和45年、日本で初の人工衛星「おおすみ」を打ち上げて以来、大小385機にのぼる科学観測ロケット及び科学衛星の打ち上げを行い、またそれらの追跡・データ取得等も行っています。

市街地から離れた場所にあり、物資の輸送が便利で東側に開けており、かつ国内で地球の自転速度が速い地域ということで選定された、世界でも珍しい山地に設置されたロケット基地です。

平成15年5月9日には、小惑星「イトカワ」でのサンプル採取とリターンをミッションとした小惑星探査機「はやぶさ」もここから打ち上げられており、「はやぶさ」の母港としても有名です。 打ち上げから帰還までの取組を題材とした映画「はやぶさ」も作られ話題となりました。多くの人々の苦労が偲ばれる映画でした。来年の6月から9月にあらたなロケットの発射も予定されており、全国的に注目されている地域です。学生たちがロケットの歴史や科学衛星について楽しく学び、宇宙開発への憧れを持って欲しいと思います。

先日もSSH(スーパー サイエンス ハイスクール)の認定校である福岡市のT高校が、研修旅行先として訪れていました。これからもSSHを中心に誘致を進めたいと思います。内之浦地域ではここ数年「えっがね祭り」を開催し、食の魅力が多くの人を呼んでいます。種子島にも宇宙センターがありますが、ここの施設のPRもしていきたいと考えています。

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3箇所目は「垂水市漁協」です。 垂水市漁協は錦江湾に浮かぶ桜島と大隅半島が接続している南側に位置し、波静かな湾と桜島を望む好位置にあります。 かつて高倉健が主演した映画「ホタル」の撮影地になった場所でもあります。平成20年から始まった「餌やり体験」は人気が高まり、24年度は11校の予約が入っています。

安全対策には特に配慮しており、学校側の信頼を得ています。県外に同様な好条件に恵まれた漁港は少なく、漁業体験をしたい学校が増えている中で、大きな誘致の柱になっています。垂水市では漁業体験に続いて漁師の家での民泊の受け入れも始まりました。

このように教育現場のニーズにあったメニューを提供できることが魅力ですが、加えてグリーンツーリズムの素材に恵まれているのも大隅地域です。学生を受け入れる魅力としては、食の宝庫であり、いろいろな体験ができることです。サツマイモ、ピーマン、米、お茶、メロン、みかん、落花生、牛、豚など農畜産が盛んであり、地域全体での受け入れが可能で大型の農家が多いのが特徴です。また、気候が温暖で一年中受入ができることです。

また、今年から農家民泊の受入もスタートしました。最近の教育旅行のニーズは、名所 旧跡の見学から農業・漁業などの体験、火山や震災などの自然学習、街を歩きながらの歴 史・文化の探訪、戦争に関する資料を通しての平和学習、宇宙への興味を抱かせる科学学 習等さまざまであり、複数のカリキュラムを取り入れる学校が増えています。体験型修学旅行においては、農業・漁業体験を組み込む学校がほとんどです。そのためには、他県にないユニークな体験メニューの提供、また、受入側の体験学習における安全性を確保することが何よりも重要です。

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受入の課題としては生徒の宿泊先の多くは、「簡易宿所営業」の登録許可をもつ民宿ではなく、農家、漁家であり、料理はみんなで作る等コンプライアンスの徹底が重要です。また、保健所の指導により、手洗いの励行、絶対に生ものを出さないなど保健衛生面での格段の配慮が必要です。農業体験では、農機具などでけがや事故にあわないような最善の注意が必要です。

また、民泊のスタート、解散地の集合場所をどこに置くかが重要になります。クラス別に受け入れ地域を決めるため、中心となる公民館や集会所のある場所が必要になります。受け入れに当たっては、エージェントと学校、農家との様々な折衝が必要になります。体験メニューの設定、保健衛生面の指導、受け入れ農家の割り当てなどです。そのためには地域を熟知したコーディネーターの存在が不可欠です。

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大隅地域の魅力は、県民にも十分浸透していませんが、スポーツ合宿の誘致では大きな成果が出てきています。また、佐多岬公園が無料化され、九州本土最南端としての魅力も増しています。 教育旅行で新幹線を利用し大隅地域に宿泊すると、錦江湾内のフエリー等が補助される制度もできました。

他県になく優位性が発揮できる「鹿屋航空基地史料館」、「内之浦宇宙空間観測所」、「垂水市漁協」の3箇所の魅力と、大隅地域が誇るグリーンツーリズムの体験、民泊を前面に教育旅行の誘致に努めたいと思います。

参考:アスナビ、Wikipedia、垂水市漁港HP

                                                                                           

行ってみたいと旅心を誘うPR大使に~Smile is Everything and Cost Nothing~

2012年10月29日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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新幹線時間短縮効果で、九州本土最南端の県であることがプラス要素となり、鹿児島には多くの観光客が訪れています。最初に降り立つのが駅や空港であり、第1印象がその地域の印象となります。案内所、タクシー、バス、街の人等の接遇の大切さが問われています。

昨年の九州新幹線全線開業以来、運輸機関、観光施設、そこで働く従業員、また、市民 に対して多くの温かい評価の言葉を頂いています。 その事例をいくつか紹介します。

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『タクシーについて』
・タクシーに乗降する際、帽子を取り名刺を渡して挨拶し、ドアを開け閉めしてくれた。前日観光地で撮影した写真を額に入れてわざわざ届けてくれた。
・宿泊施設から駅まで短い距離であったが、沿線のことを丁寧に説明してくれた。
・タクシーで3時間コースを事前に予約しておいたが、時間に余裕があることを伝えるとルート以外の場所も追加料金を取らず案内してくれた。
・30分間の乗車中、鹿児島の歴史や観光地について詳しく説明してくれた。また、利用したい。

『宿泊施設で』
・子供が料理をこぼし畳が汚れたが、すぐ雑巾を持ってきて、明るい応対で対処してく れた。新しい茶碗をすぐ用意してくれた。
・夜に子供に熱が出たが、フロントの方がわざわざ薬を届けてくれた。
・料理の内容について、メイドさんが丁寧に地域の食材について説明してくれた。
・出発の際、置かれた主人の靴がきれいに磨いてあり、今までの旅行で初めての経験で嬉しかった。ホテルの細かい気配りに感心した。
・忘れ物を駅までわざわざ届けてくれた。親切心に感動した。
・ホテルは大変混んでおり、若い新入社員が対応したが、一生懸命な姿が好感を持てた。自分の娘にも見習わせたい。

『案内所で』
・ホテルを尋ねたら道路まで出て方向や信号機を目印に親切に教えてくれた。
・初めての鹿児島であったが、観光地への交通、名物料理、お土産等について地図を広 げながら親切に説明してくれた。
・空港に着いたらおいしい湯茶のサービスがあり驚きであった。お土産にも買った。

『街角で』
・行きたいレストランを聞いたら、近くまで同行して連れて行ってくれた。
・ガイドブックを持っていたら、どこかをお探しですかと聞いて親切に教えてくれた。鹿児島の人は親切である。
鹿児島には「心温まるおもてなしの心」を実践する人がたくさんいらっしゃることは、うれしい限りです。

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ところで、観光の顔として地域を売り出すのが、各市町村のPR大使ですが、その役割 と「おもてなしの心」の極意を学ぶ研修会が開かれ、県内9地区から20名のPRレディーが参加しました。県観光課の本課長が最近の観光動向を説明し、県内各方面への入込状況や、大都市圏からの誘客の大切さ、地域の情報発信の重要性を説明しました。

11月で任期が終わる鹿児島市の「かごしま親善大使」である原口優さんは、PR大使の仕事の役割やPRの手法について、1年間の実践を通して感じたことを解りやすく話してくれました。

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鹿児島市のPRだけでなく、県内各地域の説明もできるだけするように心がけたこと、また、自分の印象が鹿児島の印象となる、いつも笑顔を持って対応することの大切さを述べていました。小生は昨年のPR大使の審査に加わった一人として、原口さんの成長振りに目を見張りました。

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今回の研修会では、講師の中村朋美さんからPR大使としての心構えやマナー、コミュニケーション方法等について2時間あまり熱心に学びました。各PR大使が連携しながら、鹿児島のPRに努めて欲しいと思います。1年後の成長が楽しみです。



これからのPR大使に望むことは次の点です。
・主役はいつもお客様です。最初の印象が大切。いつも笑顔を忘れず、自ら先に頭を下 げることを心がけて欲しい。
・自ら地域を愛し語れる人になってほしい。そのためには、日頃から地域を回り、歴史、 食、温泉、特産品、観光施設等を知ることが大切です。また、周辺地域の魅力も知り、観光ルートを語れる人が求められています。
・一生懸命には信頼がついてくる。お客様がフォローしてくれる。「わかりません」、「できません」はその場で言わない。調べて後で連絡することが大切です。
・観光客は訪れたい地域の情報を、出来るだけ多く事前に収集したいと考えている。訪問先では自分の地域を解りやすく説明する必要があります。
・説明会等では、滞在したときのくつろぐ「時間」の過ごし方や「情報」を伝授する場所である。「もう一度あの人に会いたい」、「大使のふるさとを訪ねたい」と言われる人になり、かごしまのファン作りに努力して欲しい。

鹿児島の観光は、地域の人々の日頃の情報発信やおもてなしの心で支えられています。PR大使が鹿児島の観光伝道師として、観光客が訪れてみたいという旅心を誘う役割 を担って欲しいと思います。

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新幹線開業効果に陰りが見える鹿児島ですが、観光地の最終的な評価は人です。そして、県民一人ひとりが観光客を温かく親切に迎える「おもてなし先進県鹿児島づくり」を定着させたいものです。

今垂水の観光が熱い~不利性を優位に変える取組~

2012年10月22日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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垂水市は、錦江湾を挟んで鹿児島市の対岸に位置していますが、人口減少が続き、現在約1万6千人余りであり、県下の市では西之表市に次いで人口の少ない市です。最近は桜島の爆発が増加し、1年を通して降灰に悩まされている地域です。桜島の噴火を身近に感じる地域として、それをプラスに捉える取組が求められています。

その垂水市が地域活性化の柱として取り組んでいるのが「第1次産業の6次産業化と観光振興」です。

垂水市の魅力と取組について紹介します。歴史については、「垂水島津家」の存在があげられます。島津77万石を支える一門家(加治木・重富・垂水・今和泉)のひとつである垂水島津家は、初代忠将から16代貴暢まで約250年間垂水を治めていました。

垂水島津家墓地内には歴代領主や、一族、大小100余の豪壮な墓碑が一堂に並び、歴史的に大変貴重な史跡です。13代将軍徳川家定の妻『篤姫』より先に妻候補に挙がった『八百姫』もこの墓地に眠っています。ぜひ見学を兼ねて参拝下さい。

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垂水市は、近代造船発祥の地・国旗「日の丸」のふるさとと言われています。幕末、西欧列強が東アジアに進出してきた時代に、島津家28代当主島津斉彬は、溶岩で埋没する以前の「大隅半島と桜島の間の海峡」の造船所で洋式帆船を建造しました。

その後日本各地で船が造られましたが、日本の船の印が必要となり、斉彬が提案したのが「白地に朱丸一つ」の日の丸です。これが幕府に受け入れられ、日本の総船印となり、後に国旗になったのです。そして、はじめて日本を示す旗として、日の丸が「大隅半島と桜島の間の海峡」で造られた昇平丸に掲げられたと言われています。

このように近代日本の創業時と歴史的関連が深い垂水市では、有志による「国旗日の丸発祥の碑建立期成会」が発足し、「道の駅たるみず 湯っ足り館」の敷地内に「昇平丸モニュメント」、「記念石碑」、「国旗掲揚塔」を建立する計画が進んでおり、12月12日に除幕式典を予定しています。

道の駅たるみずは、桜島の噴火する姿を真正面に望む絶好の場所にあり、九州の道の駅177箇所の中で、顧客満足度第7位にランクされています。(じゃらん24年度調査)桜島を望む足湯や、新鮮な魚介類が豊富なレストランも人気です。

そこに碑が建立されることは、新たな名所になると思います。近くにある牛根埋没鳥居展望公園は、県の「魅力ある観光地づくり事業」で整備が進み、今年の4月から一般公開されています。

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また、関ヶ原の戦いで敗れた宇喜多秀家が、島津義弘に匿われた場所が国道220号沿いの辺田駅跡近くにあり、潜居跡の石碑が立っています。近くにある平野家では秀家公を上屋敷に匿い、下屋敷に移り住みました。現在では、36代目の平野利孝さんご一家がお住まいです。

牛根地域には仏教遺跡など歴史遺産も多くあります。松ヶ崎地区では、郷土史研究会の方々が、駐車場の確保やガイドの養成、休憩施設の設置などを要望しており、これからの周辺整備が課題となっています。

垂水市出身の著名人としては、瀬戸口藤吉がいます。「軍艦マーチ」の作曲家で知られる瀬戸口翁は、明治元年に垂水市に生まれ、錦江湾の海を見て育ち、海洋と人間への感動を歌に託しました。市では、平成11年から、『瀬戸口藤吉翁記念行進曲コンクール』が開催されています。

もう一人は、洋画家として活躍した和田英作です。明治・大正・昭和にわたり、富士とばらの画家として有名となりました。「海辺の早春」、「波頭の夕暮」、「思郷」、「斜陽」等多くの名画を残しており、市の中心部に「和田英作画伯顕彰碑」も建立されています。

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「猿ヶ城渓谷森の駅 たるみず」も魅力あふれる施設です。猿ヶ城渓谷は、県立自然公園・おおすみ自然休養林に指定されている高隈山の麓に位置します。すばらしい緑の中に清冽な水が流れ落ち、所々に花崗岩の奇岩・巨岩が連なり、体全体に降り注ぐ緑と水のシャワーは爽快です。刀剣山の断崖には、岩から生え出たような赤松が枝を張り、水墨画のような景観を呈しています。

夏場を中心に、学校行事のキャンプや登山者の宿泊基地、家族旅行、職場旅行、地域コミュニティの場所として活用されています。渓谷のスリルと自然のダイナミックをたっぷり味わえるワクワク、ドキドキのアドベンチャーランドとして、都会の喧騒を離れ、おいしい森林の空気と清流の音に触れる癒しの場所として人気が高まっています。

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1年を通して一般の方の利用をいかに高めるか、季節ごとの魅力発信が重要と考えます。特に教育市場で、年間の半分程度を確保することが安定的な経営になると思います。大隅地域では、格好な登山が楽しめる山として高隈山がありますが、スタートになるのが猿ヶ城です。 週末には「道の駅たるみず 湯っ足り館」との連携による宿泊者を増やす対策が欠かせません。

尾脇市長は、就任以来まちづくりの重要政策の1つとして、交流人口の拡大による地域の活性化をあげており、その中心となるのが観光振興です。

先日大阪市内で、大学生を中心とした「かごしまスポーツ合宿セミナーIN関西」が開催されましたが、市長自ら学生の相談相手になって誘客に努めていました。練習場に恵まれ、豊富な温泉や水、おもてなしの心は学生たちに感動をもたらすことは間違いありません。これから関西からのスポーツキャンプが増えるものと思います

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20年度から教育旅行のメニューとして、垂水市漁業協同組合は「海の桜勘カンパチ餌やり体験」の受入を行っています。1校で始まった漁業体験旅行が、24年度は9校1161名の受入となり、今後も増加していくと予想しています。錦江湾の波静かな海と桜島の絶景を望む位置にあることや、比較的に空港や鹿児島中央駅に近いこと、漁協の安全対策や対応の良さなどが学校の信頼を得ていると思います。

また、定期的に一般消費者向けにPRイベントを開催するなどの取組が、漁協が経営する直営レストラン「桜勘」の人気定着に繋がっています。漁業体験だけでなく、教育旅行における民泊も定着してきました。降灰というマイナスの要素を、噴火を真正面から見ることができる場所であるというプラスに変えることが大切です。海潟漁港は、映画「ホタル」のロケ地にもなっておりもっとPRしていきたいものです。

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また、大野地区には、地元の中馬さんが30年に渡って育てて、NPO法人かごしま探検の会の東川隆太郎氏が「世間遺産」の一つにあげた「垂水千本イチョウ園」があります。 1200本のイチョウが棚田状に山の斜面に植えられており、11月中旬から色づき12月になると美しい黄色の絨毯が楽しめます。

高台からは、桜島や開聞岳が一望できる絶景ポイントです。今や鹿児島の秋を代表する一大観光地となっています。今年の週末には、垂水港からシャトルバスが運行される予定です。地域づくりに地元の人の力がいかに大切か、そのモデルとなるのではないでしょうか。

ところで九州新幹線が全線開業し1年8か月経過しました。今まで鹿児島は、鹿児島市、霧島、指宿、といった地域に観光客が集中していました。全線開業により、博多駅と鹿児島中央駅間が最速1時間17分で結ばれ、鹿児島中央駅から垂水市までは、1時間程度で行くことができます。

大隅半島は、長年観光ルートから外れていましたが、新幹線の時間短縮効果や、「錦江湾なぎさ街道」の整備、「大黒イルカランド」のオープン、宇宙衛星「はやぶさ」の帰還、また、佐多岬公園が11月から無料になることから大隅地域へ誘客するチャンスです。今の観光のニーズは、食、体験、交流など地域の人・生活・文化にふれることを求めています。

道の駅、森の駅、漁港のレストラン、温泉、歴史等をうまく繋ぐことが重要です。 垂水地域は県都鹿児島市の対岸にあり、アクセスも恵まれています。桜島の噴火を優位に捉えて、年間を通して交流人口を増やし、地域の活性化につなげたいものです。

参考:垂水市観光パンフレット、広報たるみず、国旗日の丸発祥の碑建立期生会

古里温泉と佐多岬の観光について~鹿児島固有の観光資源をいかに活かすか~

2012年10月15日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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10月3日の新聞に、古里温泉の老舗旅館「ふるさと観光ホテル」の閉鎖と「佐多岬道 町購入へ」の対象的な記事が載りました。両方とも鹿児島の観光にとって大きな意味を持つ発表の記事でした。



まず古里温泉については、皆様も観光やドライブの途中に立ち寄った経験があり、身近な温泉として親しみをもっていた方は多いと思います。かつて林芙美子の小説の舞台にも登場しています。

 

 [私は北九州の或る小学校で、こんな歌を習った事があった。
              更けゆく秋の夜 旅の空
                  侘しき 思いに 一人なやむ
                        恋しや古里 なつかし父母
私は宿命的に放浪者である。私は古里を持たない。父は四国の伊予の人間で、太物(ふともの)の行商人であった。母は、九州の桜島の温泉宿の娘である。母は他国者と一緒になったというので、鹿児島を追放されて父と落ちつき場所を求めたところは、山口県の下関という処であった。私が生まれたのはその下関の町である。――故郷に入れられなかった両親を持つ私は、したがって旅が古里であった。それ故、宿命的に旅人である私は、この恋しいや古里の歌を、随分侘しい気持ちで習ったものであった。]
                                   「放浪記」:林芙美子

錦江湾に面した入り江に古里温泉はあり、露天風呂から見る朝日や夕陽は格別です。国道の高台には、林芙美子の文学碑があり
             「花の命は短くて苦しきことのみ多かりき」
女性を花にたとえ、楽しい若いときは短く、苦しい時が多かった自らの半生を歌った文が刻まれています。

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ふるさと観光ホテルの閉鎖は、一ホテルの閉鎖ということではなく、地域全体に大きな影響があると考えねばなりません。ホテルの露天風呂は、目の前に海があり、白い浴衣を身につけて入る姿が多くのメディアで取り上げられ、「龍神風呂」の魅力は全国的に知られています。また、近くにある有村展望所から見る噴煙を上げる桜島の姿は、迫力があります。

 

今度のホテルの閉鎖は桜島や古里温泉のイメージだけでなく、大隅地域にまで影響が出ると判断しなければなりません。また、現在垂水からや霧島市に至る一周のルートに人気がでてきています。せめて龍神風呂と休憩施設の存続を望みたいものです。

佐多岬.jpg

次に佐多岬道を南大隅町が購入した件です。旧佐多岬ロードパークは1963年に開通し、64年に有料道路として開業しました。昭和40年代の前半から50年代の前半までは新婚旅行のメッカとして、宮崎から佐多岬、指宿温泉に至るゴールデンルートとして人気がありました。また、指宿温泉は大安の翌日は、ほとんどのホテルが新婚客であふれていました。

 

しかし、その後新婚旅行が海外に移り、バブルが終焉し団体旅行も激減し、薩摩半島との架け橋であったフェリーが休航した期間もあり、いつのまにか佐多岬も忘れられた存在となりました。岬にあったレストハウスは閉店し、展望台も永年の風雨にさらされ老朽化が目だっています。

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一方、太平洋に突き出した半島の島には黒潮が押し寄せ、先端にある灯台は九州本土最南端にあり「日本の灯台50選」にも選ばれ、錦江湾や南の島へ行き交う船舶の目印として重要な役割を果たしています。対岸に薩摩半島の開聞岳を望み、東シナ海に沈む夕日は格別です。

 

晴れた日には、種子島、屋久島を望むことができます。佐多岬の入口に位置する大泊には、北緯31度線(エジプトのカイロと同じ位置)の表示塔が立っており、車を止めて写真に納める観光客が見受けられます。

 

しかし、佐多岬展望公園に入るのに500円の入園料も徴収されることから改善策が求められていましたが、この度南大隅町が道路を購入することとなり、それにあわせて11月1日から園内の入園料が無料となります。
団塊の世代の退職や国内旅行の成熟化・多様化が進み、今では交通の便が悪く秘境と呼ばれる地域が脚光を浴びています。佐多岬も、例外ではありません。

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これからの佐多岬の魅力づくりが、宮崎、鹿屋、佐多岬、指宿、鹿児島への観光ルート定着になり、両県にメリットが出てくると思います。今年度は県の予算で調査費が付いており、佐多岬の公園整備を進める第一歩になると捉えています。 灯台が望める最先端まで行く途中には、かつて灯台守が住んでいた「灯台守の館」が藪の中にひっそりと佇んおり、整備すれば産業遺産として活かせると思います。

鹿児島県旅行業協同組合(中間幹夫会長)では、大隅の地域資源を活用した着地型商品「魅旅」を造成し集客も堅実で、地域からの大きな支持を得ています。大隅地域への誘客は県の観光振興にとって重要課題であり、今後佐多岬を組み入れた多くのツアーが造成されるものと思います。
山川~根占フェリーは、車の搭載には限度があり、お客様だけ根占港で受けてバスで、佐多岬周辺の観光を楽しむ方策も検討しなければなりません。

岬にはハイビスカス、ブーゲンビリアなど数多くの亜熱帯植物が生い茂り、熱帯のジャングルにいるような気分に浸ることができます。ソテツの自生地も圧巻です。 かつて「岬めぐり」というツアーがヒットしましたが、都井岬、佐多岬、長崎鼻を巡るツアーの復活も楽しみです。

最南端の神社として有名な御崎神社は、吾平山上陵と諏訪神社と一緒にパワースポットとして売りだすのも期待がもてます。

御崎神社.jpg

また、御崎神社からジャングルの道を下ると、黒潮が押し寄せている海岸に出ることができ、灯台を目の前に望むことができます。ロープを頼りに一人ずつしか登り降りできないというスリリングな箇所もあり、トレッキング等体験型観光の醍醐味を味わうことができます。

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大隅地域の「錦江湾なぎさ街道」周辺には、荒平天神、かのやばら園、神川の大滝、雄川の滝、並列鳥居のある諏訪神社等特色のある観光地や、農・漁家の直売所、錦江湾に沈む幻想的な夕陽が望めるレストランなど旅情を感じさせる店もあります。


根占港の隣には、南大隅町の農産物や採れたての魚等を取り揃えた「なんたん市場」もオープンしています。フェリーの待ち時間に立ち寄り地産品を買って欲しいものです。 最南端にある役場、郵便局、小学校、ガソリンスタンド、駐在所、展望台等を訪ね、記念スタンプを押し九州最南端の地に来たことを実感したいものです。

 

最後に、佐多岬道の無料化に合わせて、佐多岬公園の整備が進むこととなり、これからの誘客についても弾みがつくものと確信します。そのためには、まず県民に訪ねてもらうことが大切ではないかと思います。

子供たちに故郷の良さを感じさせるために~南北600キロの魅力をいかに伝えるか~

2012年10月9日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

高千穂の峰.jpg

学校を卒業し県外に就職すると、なにかにつけて想い出されるのは故郷の懐かしい光景ではないでしょうか。日本各地で、山の風景はどこでも見られることですが、故郷の山となれば格別です。校歌に故郷の山河を取り入れた歌詞が多く見られますが、日本の四季の美しさは、歌人にも歌われています。

    ふるさとの 山に向かいて 言う事なし
                   ふるさとの山は ありがたき哉
                                 ~石川啄木~

    はてもなく 菜の花つづく 宵月夜
                   母が生まれし  国美しき
                                 ~与謝野晶子~

9月28日、霧島市の霧島、日当山中学校の生徒約250人が鹿児島大学の井村准教授や霧島ジオパークのガイドさんの案内で、昨年1月に大噴火した霧島連山・新燃岳の火口にたまった溶岩や変化した火口の様子を、韓国岳の山頂から見学しました。生徒さんたちは、今しか経験できない貴重な体験をしたと思います。きっと霧島市を離れても、今回の登山で確認した霧島連山の美しさ、新燃岳の変化、遠くに望む錦江湾や桜島の姿が脳裏に刻まれたことと思います。

昭和生まれの世代の方々は、小・中学校の遠足や修学旅行で高千穂峰登山の経験がある方が多いのではないでしょうか。子供の頃から地域のシンボル的な山に登ることは貴重な経験になると思います。

垂水漁港.jpg

また、垂水中央中学校の生徒さんが、県外の修学旅行で人気沸騰中の垂水漁港での給餌や加工を経験しましたが、地域の一大産業である水産業への理解を深める機会となり、県外の方々にも自らPRできる体験となりました。 地元にいると地元の良さが理解できず、子供のころから地域を知る機会を増やすことが大切と感じます。

ところで、観光による交流人口の拡大は、地域活性化の重要な方策の一つですが、鹿児島県は、南北600キロに及び、自然、温泉、歴史、食、離島の多さ等全国的に類のない魅力に富んだ県です。子ども達は、就職や大学入学等で県外へ出て行く人が多いため、それまでに郷土の魅力を知る機会を増やすことが重要となっています。

子ども達に体験させたい鹿児島の魅力を述べたいと思います。

まず自然の素晴らしさに触れる機会が大切です。
新幹線が到着しまず目に入るのが、爆発を繰り返す活火山桜島の雄姿です。観光客は時折噴煙を上げ、錦江湾に雄々しく鎮座する山に感嘆の声をあげます。対岸から見る鹿児島市街地も素晴らしく、ぜひ「よりみちクルーズ」に乗船し、下船後桜島を一周し島の魅力を体感して欲しいと思います。噴火している霧島新燃岳、硫黄島、口永良部島も同じく生きた教材です。

薩摩川内市の西にある甑島には、砂州が形成した美しい「なまこ池」や「トンボロ」の景観が見られ、その地形の成り立ちは地理の勉強にも最適です。島では中学校を卒業すると「旅立ち」の行事で見送り、成人式には一時島に戻り、中学時代に造った焼酎を飲むという楽しい盛大な伝統行事が残っています。故郷意識が高揚する行事です。

次に歴史の魅力です。鹿児島は多くの偉人を輩出し、日本の近代化実現に大きな役割を果たしました。早くから西洋の技術を導入し、集成館事業の偉業を成し遂げ、「殖産興業」の土台を築きました。

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また、郷中教育の精神から学ぶことが多くあります。出水兵児の教え、日新公のいろは歌など、今でも子供の精神修養になる教材です。薩摩藩英国留学生の残した資料を集めた史料館が、25年度に、英国に船出した「いちき串木野市」の羽島にオープンします。子ども達にぜひ見学させたい資料館です。

関ヶ原合戦での"島津の退き口"で知られる薩摩武士の心意気は、今では20kmを歩いて参拝する「妙円寺詣り」として、その敵中突破の伝統が引き継がれています。小・中学生時代に遠行にぜひ参加させたいものです。

文化面では、「吉井淳二」、「海老原喜之助」など郷土の有名な画家の作品が展示されている「鹿児島市立美術館」や、「霧島アートの森」、「上野原縄文の森」は、ゆっくり見学させたい施設です。また、みやまコンセールでは、毎年夏には「霧島国際音楽祭」が開催されており、国内外で有名な奏者の演奏を聴く機会を提供しなければなりません。

日本で初めて世界自然遺産に登録された屋久島は、貴重な植物の垂直分布が見られ、登山家の憧れの山です。島の子ども達は、在学中に宮之浦岳登山や自転車で屋久島一周のサイクリングをするなど島を知る体験を行っています。

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奄美大島は、手つかずの自然や貴重な生態系が見られることから、東洋のガラパゴスとして称されています。科学的分野では、「はやぶさ」が帰還した内之浦宇宙空間観測所や、世界で一番美しいロケット基地のある種子島宇宙センターは、宇宙科学に興味を持たせる絶好の施設です。

離島は大人になっても行く機会が少なく、「少年の船」や「スポーツ合宿」等の場所としても最適であり、小・中学生時代に行かせたい所です。

また、県内には先祖崇拝の精神が脈々と受け継がれており、奄美群島などは特にその心が色濃く今でも残っています。本土でもお墓に毎日生花を飾る習慣があり、南薩地域のお墓は観光客が訪ねるほどの名所となっています。命の大切さを教える意味でも、子供の頃から、墓参りをさせることは大切なことと思います。

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九州新幹線が全線開業し、県外観光客が増加していますが、観光客に手を振ったり、駅でお茶のサービスをするなど地域ぐるみの温かいおもてなしが話題となっています。おもてなしの心を小さい頃から身につけることは、人にやさしい心豊かな人材を育てます。子どもの頃から故郷の自然や歴史に接し、地域を知ることは郷土愛の構築にも役立ちます。

これからの鹿児島のためには、「郷土愛」を育む取組が必要と感じます。
①地域の自然、歴史、伝統文化を学ぶ機会をつくる。
②農業や漁業体験に親しみ、食糧の大切さや生物の真の姿を教える。
③南方文化、先祖崇拝、海の大切さを知り、離島の魅力を語る。
④近代産業の歴史、郷土料理、特産品など地元の産業・企業から学ぶ機会を増やす。
⑤郷土が生んだ偉人の足跡を学ぶ。
⑥おもてなしの心を小さい頃から身につける機会を提供する。
ことではないかと思います。

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最近の修学旅行は、県外のアミュズメント施設が主流となり、地元の良さを知る機会は、少なくなっています。せめて遠足や課外活動で故郷の良さを知る機会を子ども達に提供し、郷土を愛する心を育む取組が大切です。
世界情勢も緊迫しており、郷土愛の構築や日本を愛する心を育てることが今求められているのではないでしょうか。

黒糖焼酎を愛飲しよう ~奄美に息づく地域の文化~

2012年10月1日 
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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柿や栗の実が色づき、本格的な秋の到来です。週末の朝になると、運動会の開催を知らせる花火が、清んだ秋空に上がっています。また、芋焼酎の新酒の出荷を控え、新酒祭りの広告も目立つようになりました。


旅を愛し、旅にあって各所で歌を詠んだ若山牧水は、大の酒好きで知られていました。 酒を入れる容器として竹筒や瓢箪を持ち歩いて旅を続けていたといわれています。明治18年宮崎県東臼杵郡東郷村(現日向市)の生まれで、延岡中学校に入学してから短歌と俳句を始め、18才のとき、号を牧水としています。友人であった石川啄木の臨終にも立ち合っています。

今の季節にぴったりの歌として
              白玉の 歯にしみとおる 秋の夜の
                 酒は静かに 飲むべかりけり
              幾山河 越えさり行かば 寂しさの
                 はてなむ国ぞ 今日も旅ゆく
があります。

酒と言えば鹿児島では焼酎ですが、現在約100社の蔵元があり、銘柄は800種類にもなり、県内各地で造られているのが特徴です。原料となる米、サツマイモ、サトウキビや水に恵まれていることが、鹿児島の多種の焼酎を造り出しています。

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9月20日に福岡市内のホテルで、「第7回かごしま焼酎を楽しむ会」が開かれ、これまで最も多い愛飲家240人が参加しました。今回のテーマは「奄美」で、各島の観光PRや島唄の披露があり、特に「黒糖焼酎」に関心を持っている方が多かったと思います。

黒糖焼酎の歴史と特徴について簡単に触れたいと思います。

奄美におけるサトウキビ栽培の歴史は、今から400年ほど前に遡るといわれています。1609年奄美の島々は薩摩藩の直轄地になりますが、その14年後には、焼酎の貢納を命じていることから、このとき、すでに蒸留技術があったと推測されます。

明治になると、泡盛の製法は沖縄から奄美に伝えられ、自家製造が盛んになりますが、第二次世界大戦後の米軍統治下では、不足する米の替わりに黒糖を溶かし入れるようになり、現在にいたる黒糖焼酎が完成しました。 昭和28年12月、奄美群島が日本に復帰するときに、この実績が配慮され、日本の酒税法の特例通達で、黒糖を使っての製造は奄美群島にかぎり認められたものです。

現在、黒糖焼酎が造られている奄美群島の5つの島(奄美大島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島)には25の蔵元があり、代表銘柄(18銘柄)を含む約170銘柄の多種多様な黒糖焼酎が造られています。

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この多彩な銘柄が生まれる理由には、各蔵元の製法の違いとともに、各島々の自然が大きく関係しています。水は黒糖焼酎造りには大切な原料の一つです。喜界島や沖永良部島、与論島はサンゴ礁が隆起した島であるため、カルシュウムとマグネシウム量が多い硬水で、古い地層の山や森が多い奄美大島はその分量が少なくソフトな口当たりの軟水、またその両方を持つ徳之島では硬水と軟水が取水され、それぞれの製法の違いを生み出しています。

また、島ごとに黒糖焼酎を育んでいる歴史や文化に違いが見られます。奄美黒糖焼酎は、島々の自然と伝統文化を受け継ぐ情熱的な島民に育まれ、歴史を刻んできたのです。

奄美の島々に出かけて、黒糖焼酎を地元の人々が集う居酒屋や集会所で飲むことで島の自然や文化に触れることになります。島の人々は、旅人を温かく迎えてくれます。与論島では客をもてなす「与論献奉」が根付いており、杯を交換すると一晩で友人になれるのではないかと思います。

黒糖焼酎は、ロックやお湯割りやカクテルなど、いろいろなバリエーションが楽しめるのも大きな特徴で、二日酔いになりにくく、健康にやさしいお酒としても幅広い人気を集めています。

お酒は昔から「百薬の長」といわれていますが、ギネスブックに長寿世界一と認定された泉重千代さん(享年120才)、明治から平成の世を明るく生きた本郷かまとさん(享年116才)はともに徳之島の伊仙町の出身で、黒糖焼酎を少し嗜んでいたことが長生きの秘訣になったのではないでしょうか。

また、奄美には自然の恵みを活かした多様な郷土料理があり、ニガウリ、よもぎ、ハンダマ、肉では、豚や鶏、ヤギ等を利用した料理が有名です。郷土料理を堪能しながら、奄美の唄と踊りに興じるのも旅の楽しみです。

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奄美の島唄の特徴は、裏声を多用することで、世界的に珍しい歌唱法だといわれています。奄美を代表するアーティスト、元ちとせ、中孝介にも継承されていますが、民謡日本一を5名も輩出しています。

八月踊りは、豊作への感謝と五穀豊穣を願って一年の節目(旧暦8月)に踊られた踊りで、男女が円陣になり、チヂン(太鼓)のリズムにあわせて交互に歌い踊る風習は古代の歌垣に通じるといわれています。歌い継がれる島唄と踊りに参加し地元の黒糖焼酎で語り合うのが島旅の魅力ではないでしょうか。

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また、9月27日から奄美~沖縄航路に、新船「フェリー波之上」(8072トン)が就航しました。現行船より大型となり旅客スペースを拡大し、授乳室を設けるなど女性にも配慮した部屋の設置、車椅子の人と介護者が泊まれる専用個室を設けるなどバリアフリーに配慮した設計となっています。

奄美群島では、世界自然遺産登録に向けた取組もスタートしています。ぜひ船内でも黒糖酒を飲みながら奄美群島への船旅を味わってください。

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ところで、子供の頃正月や祭りの宴席で大人たちが、木の棒を手に隠して、面白い言葉で数当てをし、焼酎を楽しく飲みながら親睦を図っている光景がよく見られました。いまではあまり目にする機会は少なくなりましたが、南九州に古くから伝わる「なんこ遊び」です。

なんこは漢字では「南交」と書き、南方と交易が盛んであった薩摩藩が取引の際、接待の一つとして活用した高尚な遊びと言われています。 地域の伝統祭事は高齢化が進み、行事の後に必ずおこなっていた宴会も減ってきており、なんこ遊びを伝授することが難しくなっています。地域コミュニティの衰退が、伝統的遊びにも影響しています。

ひところの焼酎ブームが去り需要が足踏みしていましたが、昨年度は焼酎の売上げが伸びました。かごしまが誇る特産品に薩摩焼がありますが、その一つの「黒じょか」に焼酎を入れ盃につぐという伝統的飲み方を教えることで、お土産として焼酎もセットで買ってもらうことになります。 これからも焼酎のいろいろな飲み方を提供し、焼酎のファンを開拓して売り上げにつなげたいものです。

地域での祭事が減り、地域住民の寄り合う機会が少なくなり、ますます地域の伝統文化は忘れられていきます。また宿泊施設での宴席の後は、カラオケ遊びと変わっています。
南九州の伝統的遊びである「なんこ遊び」の復活や黒糖焼酎の魅力を伝え、焼酎文化の新たな復活を目指したいものです。

参考資料:「奄美黒糖焼酎」宣伝・販売拡大委員会/奄美大島酒造協同組合
:しま旅 公益社団法人鹿児島県観光連盟

第5回かごしま観光人材育成塾」の開催について ~受講経験者が地域活性化の力に~

2012年9月24日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

九州新幹線全線開業から1年半が経過し、開業効果に陰りが見えるものの、鹿児島には多くの観光客が訪れています。

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また、二次交通の整備や新しい地域づくりが進み、従来無名であった地域に観光客が押し寄せるなど変化が起きています。一方では、急激な観光客の増加に「おもてなしの心」が追いつかず、サービスの低下が指摘されているのも事実です。

これからの観光を担う人材の育成と地域づくりを目指し、「第5回かごしま人材育成塾」を開催します。今年は、グリーンツーリズムの推進、地域づくりやJRとタイアップした商品づくり、情報発信、顧客管理、地域資源の開発、外国人受入の態勢づくりなど、鹿児島が今後取り組むべき課題について学ぶ7つの講座を開催します。

講師と講座の内容について簡単に紹介します。

第1講座は、九州旅客鉄道株式会社鹿児島支社長の松本喜代孝氏が、「JR九州の概要と今後の取組について」講演します。

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松本支社長は、九州新幹線博多駅の開業プロジェクトを担当されました。博多から鹿児島中央駅まで最短1時間17分となり、時間短縮効果は人、物、金の流れを大きく変えています。2013年10月から運行される九州一周寝台列車「ななつ星in九州」は、九州の新たな魅力発掘と需要開拓になると信じます。 JR九州の今後の戦略が語られるのではないでしょうか。


第2講座は、人吉市で地産地消をコンセプトに、郷土の家庭料理「ひまわり亭」を経営している本田節さんが「食資源を活かした交流によるまちづくり」について講演します。

本田社長は、「国土交通省地域振興アドバイザー」や「地域づくり団体全国協議会幹事」など多くの要職を兼務しながら、グリーンツーリズムに関する活動を精力的に展開されています。また、郷土料理伝承塾を主宰し、食文化の研究にも熱意を注がれています。
講演は年100回に及び、食、農、女性、教育、リーダー育成、グリーンツーリズム、地域づくりなど、様々なテーマで講演を行うなど全国を飛び回っている元気なお母さんです。常にチャレンジ精神を持って夢をかなえる為、全力で生きていらっしゃるパワフルな本田社長の講演になることは間違いありません。

第3講座は、香港エバーグロスツアーズ 代表取締役社長 袁 文英氏で、「香港からみた鹿児島のインバウンド」です。

EGLツアーズの日本向けの送客数は10万人を超え、香港の業界でそのシェアはNO1です。今年の7月15日から8月30日にかけて実施した香港から鹿児島への22回の連続チャーターでは、2,892人の送客がありました。
袁社長の経営方針を学びたいと、全国の自治体から講演依頼が絶えないなど有名な企業経営者です。仲間6人と1986年に会社を設立され、昨年25周年を迎えています。昨年の11月には香港のコンベンションセンターで盛大な25周年パーティが開催され、日本からの500人を含む国内外から1500人が参加し、その偉業を称えました。

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また、事業規模が拡大する中でも、常にお客様の視点での経営を貫いています。社会貢献活動にも積極的に取り組まれており、平成17年のスマトラ津波・地震の際は、被災地に対し従業員と会社で多額の義捐金を送られています。また、昨年の東日本大震災で被災した岩手県、宮城県、福島県に総額1億1955万円を届けています。

「おもてなしの極意」や鹿児島におけるインバウンドの在り方について示唆に富んだ話が聞けるのではと思います。

第4講座は、東京港区芝にある「セレスティンホテル」の取締役総支配人の若林正雄氏が、「薩摩とセレスティンホテルの歴史的・文化的つながりと心に残るおもてなし」について講演します。

ホテルのある芝・三田エリアは、「ビジネス」・「文化」・「教育」の重要拠点として、また、幕末の歴史が各所に刻まれている地として知られています。ホテルの所在地である芝3丁目は、旧薩摩藩屋敷跡という由緒ある場所です。ホテルでは、食材に鹿児島産をふんだんに使ったメニューの提供や休憩フロアーには、鹿児島県を紹介する書籍がづらりと並ぶなど、いたる所に鹿児島色を感ずることができます。
首都圏での厳しいホテル戦争を勝ち抜くため、顧客獲得をいかに進めているのか、その戦略が語られるのではないかと思います。

第5講座は、南国殖産(株)取締役執行役員都市開発事業部長・企画部長の今村浩氏が、「『かごっまふるさと屋台村』など鹿児島中央駅東口開発について」講演します。

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2012年4月26日に鹿児島中央駅東口近くのホテルの跡地にオープンしたのが、「かごっまふるさと屋台村」です。オープン当時から県内外から多くの人で賑わっていますが、そのプロジェクトリーダーが、今村浩氏です。また、中央駅前には、南国センタービルや鹿児島中央ターミナルビルが開設され、多くの観光客が訪れています。
一方九州新幹線全線開業で、駅前1番街の再開発や交通混雑の解消など新たな課題にも直面しています。その中心メンバーとしてこれからの取組が期待されます。鹿児島中央駅東口の将来の姿が語られるのではと楽しみです。

第6講座は、垂水千本イチョウ代表 中馬吉昭氏が、「垂水千本イチョウに育てるまで」について講演します。

中馬さんは、東京でのサラリーマン生活を切り上げて垂水の地で、30年前から夫婦2人で育ててきたのが、今の千本イチョウです。 春先の枝の伐採から、定期的な堆肥まき、雑草の除去等日頃からの手入れが、現在の千本イチョウを作りだしています。多くのメディアでの発信効果もあり、昨年の黄葉の見頃には、昼食場所を求めて観光客が詰め掛け、垂水市の飲食店が満杯になりました。

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また、垂水市内で信号待ちの車が発生し、千本イチョウを見に来た観光客の多さを物語っています。見頃は11月末から12月の上旬であり、今年は垂水港からシャトルバスの運行も予定されています。中馬さんは第1回から観光人材育成塾に参加されています。30年間イチョウづくりに懸けた熱い思いが聞けるのではないかと楽しみです。

第7講座は、観光養殖場「タツノオトシゴハウス」のオーナー加藤潤氏です。南九州市は、知覧が観光の中心ですが、最近話題になっているのが、「タツノオトシゴハウス」です。

加藤氏は、埼玉からのIターン者で「NPO法人頴娃おこそ会」のメンバーとしても活躍されています。よそ者視点での、地域素材の発掘が成功に結びついたのではないでしょうか。頴娃町はこれまで、観光というイメージとはほど遠い地域でしたが、知覧、指宿との3角地点にあることから、加藤氏らの努力が実り「タツノオトシゴハウス」、「釜蓋神社」、「番所鼻公園」の人気定着は、新しい観光ルートの開発につながったといえます。講演は地域づくりの手法を学ぶ良い機会になると思います。 

どの講師の方々もそれぞれの部署で活躍されており、経験とそれに裏打ちされた講演は、皆さんのこれからの活動に必ず役立つと信じます。また、夜学塾は、参加者同志や講師陣とのコミニユケーションの場であり、講座で聞けないより具体的な話が聞けると思います。

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地域づくりには、まず人材の育成が重要と考えています。今まで人材育成塾を受講した方の多くが、それぞれの地域で頑張っていることは、鹿児島の観光にとって大きな財産となっており、5回連続で受講を申し込んでいる方もいらっしゃいます。九州新幹線全線開業から1年半、この講座が人材育成と地域活性化につながることを期待し、多くの受講者が集まることを期待します。

地域資源を活かしたまちづくり ~これからのコミュニティづくりと地域再生~

2012年9月10日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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九州・沖縄地域で地域づくりに取組む団体の関係者が集まり、「九州沖縄地域づくり会議INかごしま」が、黎明館で開催されました。会議のメンバーは市長、大学の先生、商店街のリーダー、NPO法人、一般市民等、地域の活性化に取り組んでいる人など多彩なメンバーが参加し、地域資源を活かした地域づくりや後継者の養成、新しいコミュニティづくりなどについて活発な議論が展開されました。

ワークショップでは、県内3地域からコミュニティづくりを中心とした事例発表があり、参加者の関心を引いていました。取組について紹介します まず、南さつま市大坂地区からは、『元気集落「高齢化率60%超」からの挑戦』の発表がありました。

南さつま市の大坂地区は、鹿児島市の谷山地区から15分の位置にありながら、高齢化 率60%超の集落が点在しており、交流人口を増やし地域をどう活性化していくかが大きな課題となっています。

このような状況の中、山間のいわゆる限界集落である「長谷集落」では、『NPO法人プロジェクト南からの潮流』を中心に各種のプロジェクトに取り組んでおり、最近では笑顔にあふれた人々が集う元気あふれた集落となり、平成23年度には、「交流人口拡大のため、棚田づくりをはじめ、地域資源や歴史を活動を積み重ね、地域の絆をつくった」ことが評価され、総務省と全国過疎地域自立促進連盟から、過疎地域の自立・活性化に取り組む優良事例として表彰を受けています。

そして今年の4月に物産販売・交流施設「大坂ふれあい館」がオープンし、コミニュティビジネスに向けた動きも出てくるなど、新しい風が吹き始めています。市内から南さつま市に到る道路沿いにあることから、小生も「砂の祭典」の見学の帰りに立ち寄りました。

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地元の産品がところ狭しと並び、また地域住民が手塩にかけて育てた野菜の苗や、花が販売されており、生き生きとして働いている高齢者の姿が印象的でした。また、秋には「竹とうろう」のイベントも予定されており、多くの見学者で賑わうものと思います。ぜひお出かけください。

次に薩摩川内市の大馬越地区コミニュティ協議会の「コミニュティ復活で村おこし」の事例発表です。 大馬越(おおまごえ)地区は、薩摩川内市入来町の山間部に位置する約350世帯の小さな地区です。入来町大馬越地区コミニュティ協議会は、市町村合併を受けて平成17年に大馬越小学校校区に設置されました。日本の原風景が到るところに残り、農林業を主な産業とし、お茶、キンカン、ゴーヤ等が特産品として知られています。

大きな商業施設や産業があるわけでもなく、年々小学校の生徒数も減少傾向にあり、「過 疎化」という大きな問題を抱えています。しかし地区に住む大人から子供まで元気に活動しており、特産品づくりや手芸教室、オヤジバンド、短歌教室、さらに小学生と一緒の運動会、飛び入り参加自由の「大盛り上がり文化祭」など住民が生き生きと活動しています。

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地域ぐるみで地区の活性化に取り組んでいる印象を受けました。地区の取組は、全国的に話題となり、国、県、地域づくり団体、メディアの取材もたえません。交流会では、年長者の詩吟に合わせて、地区の子ども達が元気よく演舞を披露し、コミュニティが定着しているなと地域の強い絆を感じました。 

地区で手作りしている「しそジュース」を買って帰りましたが、飲んでみると新鮮なし その香りがなんとも言えないほど、地域の本物のおいしい味がしました。 この地区で育った子ども達はふるさとを離れても、きっと故郷での想いをいつまでも大 切にする人になるだろうと思います。

  石川啄木は故郷 渋民村を想い次のように歌っています。

       かにかくに渋民村は恋しかり
                    おもいでの山 おもいでのかわ
       その昔小学校の柾屋根に
                    我が投げし鞠 いかになりけむ

次に志布志市松山町の「大隅の國やっちく松山藩」のイベントを活かした地域活性化の 取組です。 松山町は、大隅半島の東部、かつての曽於郡のほぼ中央部に位置し、人口4,600人、 農業が基幹産業で、野菜と畜産の複合経営が盛んな地域です。近年は企業立地の取組、若者定住住宅の整備、むらおこし活動、産業振興等により、人口の減少は鈍化しています。

やっちく祭り.jpg

パロディ王国大隅の國やっちく松山藩は、平成元年、若者有志が町内各種団体に呼びかけて発足し、「秋の陣まつり」というイベントを開催して、町民に大きなインパクトを与えました。地域づくりの第一に「人づくり」を掲げ、毎月定例企画会議を開催し、「若者が住みたくなるまちづくりとは何か」をメインテーマに掲げ、行政と連携しながら、あらゆる分野の検討・協議を重ねています。

イベント開催中には、地域で収穫された野菜の無料配布や牛の丸焼きなど「やっちく」の町にふさわしいイベントの充実を図り、人と人とのふれあいと、そこでの温かいおもてなしの心を提供しています。

イベントが継続できている要因として、「手づくり」へのこだわりです。地域に残る歴史 物語を、独自でアレンジをして祭りで表現しています。自分たちで企画したものを自分たちの手で制作し、実現していく。「手づくり」にこだわるかぎり、「人」の力が必要となります。地域づくりの第一に「人づくり」を掲げ、様々な人材がお互いに知恵を出し、汗を出し合う事をその手法とし、「手つくり」にこだわる事を実践し続けていることがすばらしいことです。

スタッフとして係わった一人一人を大切にし、その協力の度合い関係なしに、それぞれが主役になるよう役割を与え、活動の底辺を広げています。現在では中高校生も多数ボランティアとして係わっています。行政は、"お金は出すが口は出さない"という姿勢であり、行政職員が黒子に徹していることも継続できている大きな要因かも知れません。

食(かきあげ).jpg

3地域の活動に共通していることは、箱物づくりから地域の自然、歴史、文化、生活を経済活動と結びつけ、「地域特性」を生かした地域づくりをおこなっていることです。 農・商・工連携による地域全体の連携を図り「食」、「祭り」、「特産品」、「花」、「灯り」などを有機的につなぐことが、地域の魅力付けにつながります。

また、地域住民の理解と協力を得て、多くの住民を参画させることが大切であり、そのことが我が町に誇りを持つことになります。「地産地消」を推進することで、多くの分野で経済効果が生まれます。

大分県の「日田市」、「佐伯市」、「竹田市」、鹿児島の「さつま町の宮之城地域」では、地元産の竹を使った「灯りのイベント」