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No.371 中間幹夫氏の(株)全旅の社長就任を祝す~5500の会員各社に鹿児島をPRするチャンスに~

2015年7月27日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 梅雨明けが遅れましたが、夏休みに入り国民の大移動が始まりました。家族旅行や海外旅行の手配、イベントの集客、高校野球の選手・応援団の輸送、外国人の受入、地域への誘客等旅行会社の役割も多岐にわたっています。

一般社団法人全国旅行業協会(ANTA)ロゴ.jpg

 日本には1万社に近い旅行会社があり、観光庁長官登録が必要な第1種旅行業と、本社所在地の都道府県知事の登録が必要な第2種旅行業、第3種旅行業があります。業界の団体組織としては、一般社団法人日本旅行業協会(JATA)と一般社団法人全国旅行業協会(ANTA)があります。

 JATAは、正会員1127社と協力会員446社、賛助会員93社、在外賛助会員や旅行業に密接な関係のある者517社が加入し、全国8支部が設けられており比較的全国的に営業を展開しているのが特徴です。(2015年7月10日現在)

 一方、ANTAは、全国47の都道府県に支部を置き、日本全国5500社を超える会員により、地域に密着した営業をしているのが特徴です。

中間支部長1.jpg

 この度ANTAの事務受託会社である(株)全旅の代表取締役社長に、鹿児島県の中間幹夫氏が就任しました。(株)全旅は、会員の取引先である宿泊、観光施設、キャリア等の保証会社としての役割も担い、クーポン決裁事業や各種旅行商品、電子クーポン等を取り扱っています。2014年度は、取扱額、利益とも過去最高の実績を達成しています。

 ANTAの各社が企画造成しているのが、着地型旅行「地旅」と呼ばれるもので次の特徴があります。
①「テーマや目的」が明確で、生活文化など地域資源を活かした旅行商品が多い。
②地域住民、各種団体(自治体、観光協会、NPO法人)等と協力し企画造成している。
③地元の食材や伝統工芸、祭り、イベント等を活用し地域振興に貢献している。
④地元との交流や体験、地域ならではの生活・文化などの魅力を語り、伝えるための観 光素材(ボランティアガイドの確保)などが含まれている。
日頃から地元と密着している会社ならではの商品が特徴です。

 ANTAでは、毎年「国内旅行活性化フォーラム」を開催し、地元の観光素材を生かしたさまざまなモデルプランを造成し、旅行需要の拡大を図っています。

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 ANTA主催の国内観光フォーラムと全旅主催の「第2回地旅博覧会inかごしま」が2016年3月16日~19日までの4日間、鹿児島での開催が決まり、2万人余りの参加者が予定されています。参加者の宿泊先を分散させることで、「市町村と地元ANTAがアイディアを出す機会」にしたいと中間会長は、力強く語っています。

 記念講演は、2010年4月5日に「スペースシャトル ディスカバリー」に搭乗し、宇宙に滞在した山崎直子氏です。県内には日本で唯一の宇宙基地が2箇所あり、多くの会員が見学に訪れるのではないでしょうか。

 日本の国内旅行は、大手エージェントによる「発地型団体旅行」を中心に拡大してきましたが、地域主導・地域密着による「着地型旅行」も人気を博しています。

 大手旅行社が、積極的には取り組んでいない地方の生活・文化等を商品化しているのがANTAの会員であり、地域を熟知している住民や観光協会、NPO法人、自治体職員等と共同で、創意工夫に満ちた新規な商品も造成しています。

佐多岬01.jpg

 ところで、鹿児島県内に宿泊するお客様の70%が個人旅行となっており、宿泊した翌日にどのような行程で地域を巡るかが課題です。その際、周辺を半日でも観光できるメニューがあれば、地域の魅力に触れる機会にもなりリピーターに繋がります。

 そこで、地域の人々との触れ合いや地元食材を十分に活用したレストラン等が組み込まれた商品企画が必要になるのです。ANTA会員の情報収集力が求められるのです。

一方、著名な観光地が少なく、大きな宿泊施設を持たない地域では、マニアックな旅が好きな客を対象に、様々な情報手段を活用し、地域の魅力を届けることが重要となっています。

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 集落の伝統的祭り、1年に1回しか公開されない神社・仏閣の宝蔵品、域内でしか流通してない旬の食材、珍しい植物、めったに見ることができない自然現象等地域資源を点検し、誘客に繋げる手段が必要です。


 鹿児島県旅行業協同組合は、従来から中間氏を中心に積極的に事業展開をしています。今、「魅旅」という着地型商品を開発し、大手エージェントにも販売ルートを開拓しています。最近では、バリアフリーツアーや過疎地域に特化したツアーなど社会貢献や地域経済の活性化等積極的に取り組んでいます。

 鹿児島県は南北600kmに及び、県下全域に観光客を広げることが大きな課題であり、そのことが経済波及効果をもたらすことになります。

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 「魅旅」では、「第30回国民文化祭・かごしま2015」の参加者に地域の魅力も知ってもらうために、地域発のツアーが商品化されており、鹿児島を訪れる皆さんに新たな感動を与えるのではないでしょうか。


 中間会長のもと、地元の会員が全国のANTA会員に鹿児島の地域の魅力を発信し、地域の活性化に努力されることをご期待申し上げます。

 最後に、昭和40年代頃までは、夜になると蚊に刺されないように多くの家庭で蚊帳を釣って寝ていました。家族全員が雑魚寝して寝ていた頃が懐かしく思い出されます。

  垂乳根(たらちね)の 母が釣りたる 青蚊帳を
                すがしといねつ たるみたれども
                            ~長塚節~

No.370 「人の語り」が感動をもたらす~心からのおもてなしの気持ちを伝えるために~

2015年7月21日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 7月5日に、旧集成館(反射炉跡、旧鹿児島紡績所技師館、機械工場)、関吉の疎水溝、寺山炭窯跡の3つの構成資産が、「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」として、世界文化遺産に登録されました。

寺山炭窯跡.jpg

 国内では2つの世界遺産を持つ唯一の県となり、県民にとっても大きな誇りです。県民とともに喜び、観光振興にも大いに活用していかねばなりません。翌日から訪問者が増加しており、「関吉の疎水溝」と「寺山炭窯跡」の2か所には、11日から土日と祝祭日には新たにボランティアガイドが常駐し、案内業務がスタートしました。

 今回の世界文化遺産は、各構成資産を一つのストーリーとして分りやすく説明することで、文化財登録の価値が理解しやすくなります。

 今回は「シリアル・ノミネーション」として推薦していることがあげられます。一つ一つでは「顕著で普遍的価値」の要件を満たさない遺産を、同じ歴史一文化群のまとまりとして関連付け、全体で顕著な普遍的価値を有するものとして、世界遺産に推薦したことです。

 複数の遺産がつながっているからこそ、インタープリテーション(解説)が遺産に対する価値を高め、観光客も満足度が高まり「おもてなしの心」も伝わります。

 *今度の産業革命遺産は、ボンの世界遺産委員会で「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼 造船 石炭産業」として登録されました。

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 ところで、観光客だけでなく日頃の応対には「おもてなしの心」が欠かせません。先日、大雨の日に、市内の菓子店で経験したことです。ケーキを買ってレジで精算を済ませ受け取ろうとすると、若い女性の従業員がお持ちしますと外まで運んでくれました。

 私が鞄を持っていたこともあり、傘を開いてくれて、雨に濡れないようにナイロンの袋をかぶせたケーキの箱を渡してくれました。帰る際には、「雨脚が激しいので、足元に気を付けてお帰りください」と声をかけ、一礼してしばらくしてから店の中に入って行きました。店は少し混んでいましたが、雨の日ということもあり特に顧客への配慮を感じました。思いがけない心配りに感動し、またその店で買いたいという心境に駆られました。

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 最近急増しているコンビニエンスストアで経験することです。昼間の空いている時間帯でしたが、ドアが開き入店したことがわかると、奥のほうから「いらっしゃいませ」と大きな声が聞こえてきました。棚に商品を並べていたのでしょうか、顔が見えません。店員はしばらくしてからレジのほうに戻ってきました。

 客が入店したというシグナルが発せられるのに、声だけでは誠意が伝わりません。仕事を中断して、お客様のほうを向き挨拶をするのが誠意ある応対と思います。下を向いて「いらしゃいませ」というだけでは、ただマニュアル通りに作業をしているのであり、仕事をしているとは言えません。従業員教育の基本姿勢を見直しする必要があります。

 コンビニエンスストア業界は、各地域で出店競争が激しくなっていますが、価格や利便性だけでなく「おもてなしの心」等人材教育が、勝ち残りになるのではないでしょうか。

 小生の「プロデユーサーコラム」で、「感動のおもてなし」を実践しているドライバーとしての紹介したこともある指宿ハニ交通の冨山剛招さんから、うれしい連絡がありました。

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 5月の鹿児島県タクシー協会の総会で、優良運転手として表彰されたということです。 冨山ドライバーは、故郷の指宿にUターンして10年になります。観光客を案内する際 には、予定された料金のコースだけでなく、時間を超えても顧客が喜びそうな場所を自ら案内し、スナップを撮っては無料で宿泊先に届け、また、自宅にも写真を送っています。


 お客様からのお礼状はこれまで400通を超え、その「おもてなしの心」はドライバーの鏡です。県タクシー協会と観光連盟が主催する研修会で、3年前に体験談を語ってもらいましたが、お客様にいかに喜んでもらうか、また来たいと思うような接遇を実践し、訪れる人々が喜んでいただけるサービス精神を持ち合わせています。観光地の評価は、まさに「人にあり」ではないでしょうか。

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 今鹿児島の観光は、口良永部島新岳噴火による屋久島への風評被害、長雨や「指宿のたまて箱」の運休等が続き、6月以降の観光客が伸び悩んでいます。県内の観光地は平常通り営業し、観光客への被害も発生していません。積極的なPR活動が必要です。

 「明治日本の産業革命遺産」の世界文化遺産の登録も決定し、反転攻勢を駆け夏休み以降の誘客を図らなければなりません。10月31日からは「第30回国民文化祭・かごしま2015」も開催されることから、誘客に向けてツアーの割引や宿泊客への特典等も準備されています。

 「リクルートじゃらん」が実施している県ごとの全体的な評価(観光地の魅力や認知度、食、お土産品、おもてなし等)では、鹿児島県は毎年いつも上位にランクされています。

 世界文化遺産登録をチャンスととらえて「おもてなしの心」を常に忘れず、観光客を温かく迎え、リピーターの創客につなげることが大切です。

  向日葵は 金の油を 身にあびて
                ゆらりと高し 日のちひささよ
                           ~前田夕暮~

  わが夏を あこがれのみが 駆けされり
                麦わら帽子  かぶりて眠る
                           ~寺山修司~

No.369 地域を救うものは何か~観光は地域総力戦で盛り上げよう~

2015年7月13日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 長崎で講演の機会があり、世界文化遺産に登録されたばかりの「端島(軍艦島)」を訪ねました。4つの会社がクルーズ船を運航していますが、秋までは予約がほぼ埋まっているという状況です。

 メディアでの放映の機会も多く、しばらくはブームが続くのではないでしょうか。長崎駅には、世界文化遺産の案内所が設置されていました。

 2014年、鹿児島県全体で年間758万人もの宿泊者があり、九州では第2位となっていますが、地区別では約64%が鹿児島市、霧島地区、指宿地区の3地域に集中しており、今後この地域からいかに観光客を広げるかが大きな課題となっています。

 そこで県と観光連盟では「これらの3地域を拠点に、地域資源の再評価と活用を図るため周遊ルートづくり」等3本の施策を展開し、広域観光の推進を図っています。他県に負けない観光資源を持ちながら県民にも意外と知られていない場所も多くあり、新たなルートを設定して誘客につなげる必要に迫られています。

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 観光のトレンドは、団体旅行から個人旅行にシフトしており、県の宿泊機関のデー タでみると7割が個人客となっています。名所旧跡巡り、宴会を主とした狭義の観光から、体験・交流などを通して地域の生活、文化等の魅力に触れる旅へと顧客のニーズは広がっており、安全・安心、本物の提供が観光客の心を捉えます。

 地域では受入態勢の整備が急がれ、大都市圏から地方への流れも進んでくるものと 想定されます。地域づくり・観光地づくりには人の存在が重要であり、県内の地域資源を旅行商品化し、そして地域全体をパッケージ化、また、プロモーションするという組織力が問われています。

 九州新幹線全線開業を契機に市町村においては、観光関連部署の人員増等で機能を強化し、他の自治体と一緒になって地域のPR活動に取り組んだり、県の福岡、大阪、東京事務所に職員を派遣して営業強化に努めているところもあります。観光協会においては、部外から新たな人材を登用するなど従来の案内業務から誘客に力をそそいでいます。

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 今、着地型観光(地域の魅力的な資源を地域から情報発信する観光)の推進が求められており、地域資源を点検し、生活・文化を核に、食を組み合わせるなどこれまでにないプログラムづくりを進め、地域へ誘客する努力が求められています。

 商工会議所、商工会等と連携し、新しいグルメの開発や着地型メニューの開発などの取組を行い、訪れた観光客が「本物。鹿児島県」の魅力に触れる機会を増やし、地場産業の活性化等に力を注いでいます。様々な取組が相乗効果をもたらし、持続できる地域創りが可能となります。

 県の2014年の農業産出額は、4,054億円で北海道、千葉県、茨城県に次いで第4位となっており、鹿児島の経済を支えている基幹産業です。

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 一方、観光は多くの分野と関連があり、地域の総合産業として捉える必要があります。農業のみならず、漁業、商工業、歴史、生活・文化等を観光資源として捉え、ストーリー性を加えて商品化することで、異業種、異分野間で経済の循環が持続できる地域となります。

 イベントは他地域と連携する等継続できることで地域ブランドとして育っていき、民間の活力、人材の育成等が継続の力となります。

 安定的市場である教育旅行やスポーツキャンプの誘致も重要です。知覧や鹿屋での平和学習、桜島や口永良部島新岳噴火等への「危機管理への対応」、鹿児島市内の歴史探訪、垂水漁協での漁業体験、屋久島の環境学習、内之浦、種子島の科学学習等が差別化になります。

 農家・漁家民宿については、県下全域での受入が可能になり約1,000軒となっており、コンプライアンスの徹底と「簡易宿所営業」の許可取得を推進することが欠かせません。農家民泊と既存の宿泊施設は、新しい需要開拓という視点に立ち、「競争」と「協調」の姿勢が、全体的な入込客増大に結びつきます。

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 国内外のプロチームのキャンプ・合宿や、知名度の高い競技・選手のキャンプを誘致すると、経済効果も大きくなります。県内ではキャンプできるチーム数が限られており、プロサッカーチーム誘致には、天然の冬芝のグランド整備が欠かせません。

 2019年にはインターハイ、2020年には国体が開催されることから、大会に照準を合わせてグランド整備が待たれます。大隅地域にトップアスリート専用の練習場が開設されることが決定し、宿泊施設の整備や鹿屋体育大学等との連携が求められています。

 ところで訪日外国人旅行者が急増しています。2014年の本県への訪日外国人旅 行者は、26万9,110人で25.3%増加しています。国別宿泊者数は、台湾、韓国、香港、中国の順で、台湾からの訪日者数が全体の39%を占めています。

 しかし、鹿児島県の宿泊者全体における外国人の割合は3.5%であり、福岡県6.4%、長崎県5.8%、大分県6.1%、熊本県5.9%と比較すると極端に低くなっています。東アジアから九州への入込観光客は、海外からの交通アクセスが充実している北部九州がメインであり、鹿児島へのシャワー効果がおよんでいません。

 博多からの所要時間は最短でわずか1時間17分ですので、やはり、移動コストの軽減化が求められています。また、WiFiや外国語標記の整備、免税店の充実や外国人の雇用等、訪日外国人旅行者を温かく安心して迎える態勢づくりも必要です。特に、自国を出発前に鹿児島のブランド力をいかに伝えられるかが課題です。

 クルーズ船のさらなる誘致促進も必要です。県内各港には2013年には69隻、2014年は54隻、今年は73隻(国内船含む)のクルーズ船が寄港予定で、さらに増える見込みです。一度に多くの観光客が訪れることから、経済効果も大きくなります。入国審査の時間短縮の働きかけや中心市街地までのバスの運行が欠かせません。

国民文化祭ロゴ.jpg

 最近、各県がイベントや国際会議などの催し物(MICE)の誘致に力を入れています。今年の10月には「第30回国民文化祭・かごしま2015」が開催されることから、多くの参加者が県内各地域に足を運ぶこととなります。

 先月福岡で開催された「AKB48選抜総選挙」では、福岡市内を含め周辺のホテルが2日間満員となり、数億円の経済効果をもたらしたと言われています。MICEの誘致には、通訳施設を備えた大型会議場が必要で、また、音楽・演劇などが鑑賞できるホール等を併設した施設が若者の誘客には欠かせません。

 個人旅行が主流となり、FIT(宿や乗り物を個人で手配する旅行)が増加しています。市中の案内表示、アクセスの同一化、クレジットカード取扱店拡大、Wi-Fiの整備、多言語表示等改善すべき多くの課題があります。

 また、ユニバーサルツーリズムの先進地へと態勢を整える必要があります。障がい者の旅行には、必ず同行者があり、観光施設ではこれらの層を増やすことが、来場者増となります。旅の感動に「バリア」はありません。また、高齢化社会を迎えて、バリアフリーの受入拡大を図るべく施設の改善をすすめなければなりません。ユニバーサルツーリズムの先進地を目指し、人材育成、研修教育の機会を増やすことが重要です。

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 大学と地域とのコラボレーションも重要なキーワードとなります。各自治体は、若者が減少し商品開発や情報発信が遅れがちになります。都会に住む大学生の新鮮な発想で、地域の宣伝者としての役割が求められています。


 地域は大学との連携を深めることで、地域資源を活用した商品開発や販路拡大が可能となります。年間講義のカリキュラムに、地域に滞在しての勉強や住民との交流、商品づくりを組み入れることで、双方のメリットが享受できます。

 素晴らしい日本の伝統文化を国内外の人にPRするのが、観光の役割の一つです。観光が持続できる産業となるには、人材教育の徹底と観光関連産業の雇用をきちんと確保することです。観光地は、そこに住む人が地域の文化をしっかりと守り、観光客にとっても居心地の良い場所でなければなりません。鹿児島が真の意味で、観光立県になるためには、若者が観光に興味を持ち、雇用の維持・拡大が図られることです。

 日本の国内旅行は成熟し、従来の団体旅行やエージェント依存だけでは、地域は大きな発展は期待できません。ものづくり、産業遺産、伝統工芸、食、祭り、MICE、グリーンツーリズム、ブルーツーリズム等地域資源を活用し、地域総力戦で取り組むことが誘客につながり経済効果をもたらします。

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 「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」が世界文化遺産に登録され、鹿児島の3つの構成資産が含まれています。構成資産のストーリーを語ることが、薩摩の先見性や、日本の近代化に果たした役割の重要性を国内外に示すことになります。

 最後に、「域内の定住人口減少」を「域外からの交流人口増大」で補う方策の一つとして、観光による交流人口の拡大が、「地域経済の活性化」に及ぼす効果が大となることを期待してやみません。

No.368 「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」の 世界文化遺産登録を寿ぐ~各県と連携し「顕著な普遍的価値」を活かす取組を~

2015年7月6日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 ドイツのボンで世界遺産委員会が開催され、「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」の、世界文化遺産への登録が決定しました。

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 8県11市の全23の資産が対象ですが、鹿児島市内にある旧集成館『反射炉跡、旧鹿児島紡績所技師館(異人館)、旧集成館機械工場(現・尚古集成館本館)』と、関吉の疏水溝、寺山炭窯跡の3つの資産が含まれています。


 世界遺産の登録までの主な取組経緯について簡単に説明します。平成17年7月に鹿児島県主催で「九州近代化産業遺産シンポジウム」が開催され、「かごしま宣言」を取りまとめました。平成18年6月九州知事会議における政策連合項目として、「九州近代化産業の保存・活用」が決定し、関係県での取組へと発展していきました。

 平成20年9月文化庁において世界遺産暫定登録一覧表への追加記載が決定し、同年10月に、九州・山口の関係6県11市により鹿児島県知事を会長とする世界遺産登録推進協議会を設置しました。(その後8県11市体制となります。)

 その後、様々な推進会議や有識者を招いてのシンポジウムも開催されました。平成26年1月には推薦書(正式版)をユネスコに提出することが閣議で了承され、平成27年5月4日に、イコモスによる「記載」勧告が出されて、今回の正式登録に至ったものです。 鹿児島県は当初から事務局を担当する等、中心的な役割を果たしてきました。関係者に心からの敬意を表したいと思います。

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 世界遺産は、1972年のユネスコ総会で採択された「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」に基づいて世界遺産リストに登録された、遺跡、景観、自然等、人類が共有すべき「顕著な普遍的価値」を持つ物件のことで、移動が不可能な不動産やそれに準ずるものが対象となっています。

 幕末の薩摩藩は、1840年のアヘン戦争で香港がイギリスの植民地となったことをきっかけに、欧米列強のアジア進出に危機感を抱いていました。第11代薩摩藩主島津斉彬は産業や軍備の近代化が急務と考え、殖産興業と富国強兵を唱え、集成館事業を推進しました。

 集成館事業は、製鉄、ガラス、陶器、繊維、大砲、造船、蒸気機関、化学工場等幅広い分野に渡って取り組み、当時としては東洋一の工場群を形成していました。これらの研究、生産施設群は、1850年代初頭から1860年代という極めて短い期間に整備構築されました。集成館事業は、我が国の産業革命の先がけであり、その後に続く日本近代化の礎となりました。

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 寺山の炭窯で焼かれた火力の強い白炭や、関吉の疎水溝から引かれた水力が燃料と動力源となり、磯地域の工場群の稼働を可能としたストーリーを語ることで、今回の世界文化遺産登録の全体像が見えてくるのではないでしょうか。


 日本国内には、14件の文化遺産と4件の自然遺産の合計18件の世界遺産が登録されており、今度の「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」は、19番目となります。

 鹿児島県は、自然遺産と文化遺産の2つの世界遺産を持つ唯一の県となり、国内外に認知度の向上が図られ、観光客誘致に大きな弾みがつくものと期待されます。

 今回の世界文化遺産登録の意義や今後の課題について整理したいと思います。鹿児島市内の3箇所の構成資産のうち「寺山炭窯跡」、「関吉の疏水溝」は、市民にもほとんど知られていない場所であり、場所のPRやアクセス等が大きな課題です。施設周辺に駐車場が少ないこともあげられます。初めて訪れる方は、友人の案内やボランティアガイドの同行が必要ではないでしょうか。

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 今回の世界文化遺産登録地は8県11市に及んでおり、明治の我が国における産業革命において関連性があることから、それぞれの県がその魅力をPRすることで世界遺産の価値が高まります。


 その中で鹿児島県としては、集成館事業が我が国の産業革命の先がけとなり、その後に続く日本近代化の礎となった事業であるという登録の意義やストーリーを語ることで、他県の施設を超える価値があることをより一層アピールできるのではないでしょうか。

 世界遺産登録で外国人が増加することが予想されることから、英語表記等の充実が求められます。最寄り駅である鹿児島駅は観光客が乗降する場所となります。屋久島や2017年度に世界自然遺産を目指す奄美へのアクセスを考えると、ウォーターフロント地区の再整備も急がれます。

 ところで、日本にある世界文化遺産は、登録後数年経過すると入場者の伸びが低迷しているのが実情であり、自然遺産に比べてリピーターの確保が厳しい点があります。遺構や建物は一度見ると再び訪れる可能性は低くなります。リピーターを創造するには、他地域との連携や四季折々の姿を見せる工夫が必要です。

 桜の時期や菊の満開の頃の仙巖園から見る桜島の景観や、また、曲水の宴や月見の宴等伝統行事と一緒にPRするなど見せ方や活用に工夫を加え、一時的なブームに終わらせないことです。

 公開されている施設を巡るスタンプラリーを展開するのも認知度を高め、観光客を増やす方策になります。「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」は、広域に廻ることでその価値が理解できます。

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 今年の秋に開催される「第30回国民文化祭・かごしま2015」には大きな追い風となります。世界文化遺産に登録されたことをインパクトにして、鹿児島への誘客につなげねばなりません。口永良部島の新岳の噴火で落ち込んでいる屋久島への観光客回復にも期待がかかります。

 今年は薩摩藩英国留学生の派遣から150年になります。この事業を発案したのも島津斉彬ですが、彼なくして日本の近代化は語れません。(斉彬は1858年に急死)幕末からわずか50年余りで産業化を達成し、日本の近代化の礎を築いたのは、鹿児島市の3件の遺産が重要な役割を果たしおり、それを推進した彼の先見性や人材育成等の功績を再認識する機会にもしなければなりません。

 人口減少が続き地域創生が問われている時代です。「世界文化遺産」登録は、薩摩が果たした功績を学び、郷土を愛する心を育てる機会にもしなければなりません。皆さんもぜひ3つの構成資産をお訪ねください。

参考:鹿児島の近代化産業遺産...鹿児島県世界文化遺産課
  :かごしま近代化産業遺産パートナーシップ会議...鹿児島市文化遺産登録推進室

No.367 宇宙へ飛び立つ島の魅力を語る~噴火の影響を種子島と屋久島の魅力でカバー~

2015年6月29日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 種子島は、九州本島最南端の佐多岬から南東約40Kmの洋上に位置する島です。周囲166km、長さ58km、最大幅12km、島の最高地点は282mと比較的平坦な細長い島で、鹿児島空港から35分、鹿児島港から高速船で1時間45分と本土に近く、屋久島にも30分で行くことができます。種子島の魅力について触れたいと思います。

 かつてポルトガル人が鉄砲を伝えた島として、中学校の社会科の教科書に登場します。1575年織田信長と徳川家康の連合軍が、当時最強の騎馬隊と恐れられていた武田軍団を3000挺の鉄砲で三段打ちを行い、壊滅させた戦いがあります。「長篠の戦い」と呼ばれ、信長が「天下人」として足固めにした戦です。

 鉄砲が、日本の歴史を変えるほどの武器となった物語は、戦国の時代を語る際には必ず語られます。種子島では、イベントの開始やクルーズ船が寄港した際、火縄銃の発砲が行われており、参加者を楽しませます。

 種子島開発総合センター(鉄砲館)には、1543年に伝わったポルトガル銃や国産第1号銃が展示されています。もっと観光客に展示内容をPRした方がいいのではないでしょうか。また、施設のネーミングも代えることで来館者が増えるのではないでしょうか。

 また、世界一美しいといわれるロケット基地があることも種子島の魅力です。島の東南端の海に囲まれたまばゆい景勝の地に、「種子島宇宙センター」があります。

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 同敷地内にある「宇宙科学技術館」では、実物大のモデルを通して、宇宙開発におけるさまざまな分野を楽しみながら理解できるよう展示内容も工夫されていて、子供たちが宇宙に興味を持つことができる貴重な施設です。


 打ち上げがない時期には、発射場の近くの施設を見学できる無料バスがあります。本番の打ち上げの迫力は想像を絶するものがあり、宇宙ケ丘公園からは、発射の瞬間を望むことができます。気象条件等で延期になることが多いので、余裕を持った行程が必要です。

 千座(ちくら)の岩屋は、太平洋の荒波で削られてできた洞窟であり、千人が座れる広さがあることから、その名前が付いたといわれます。周辺の白砂が映えて、洞窟の中から望む夕日は格別です。天気が良く波静かな日は、変化していく夕方の空に、星が輝き始め幻想の世界に浸ることができます。

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 種子島には遠浅のビーチが数多くあり、太平洋の荒波が打ち寄せる鉄浜海岸などは、絶好のサーフポイントとなり、近年では全国から若者たちが訪れています。昼はサーフィンを楽しみ、夜は飲食店で働いている若い男女も多く見かけ、サーフィンの仲間が集う聖地となっています。

 また、西之表市内から15分程度で行ける浦田海水浴場は、日本の海水浴場88選の一つに選ばれており、青い海とビーチが広がる静かな入り江の中にあります。キャンプ施設も整っており、夏場は多くの家族連れが訪れ、海水浴客で賑わいます。

 その他「よきの海水浴場」は、開聞岳、屋久島、硫黄島等を望むことができる絶好のポイントです。これからも美しい白砂の海岸線を守って欲しいと思います。時折、ハングル文字で書かれたビン類や木材の破片が漂着することも多く、清掃作業が大変です。自然を守ることの大切さを改めて感じます。今年の夏は種子島の海で海水浴やサーフィン、キャンプ等をお楽しみください。

 今年は「第30回国民文化祭・かごしま2015」が県下全域で開催されますが、西之表市では「華道の祭典in種子島」と「黒潮文化交流の祭典」が開かれます。鹿児島県内在住の華道17流派と種子島の華道家が一堂に会して華道展を開催し、全国から訪れる多くの方々に「華道」に親しんでもらい、おもてなしの心で交流が図られるものと期待されます。

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 華道の祭典の会場の一つが、赤尾木城文化伝承館「月窓亭」です。「月窓亭」は、大日本池坊総会頭職を務めた羽生(はぶ)道則などを輩出した名だたる名家である羽生家の屋敷であり、明治以降においては、歴代種子島家当主が居住するなどたいへん由緒ある建物です。

 作家司馬遼太郎や多くの著名人が訪れており、庭から見る月は、名前にふさわしくまさに絶景です。

 中種子町では、アーティスト河口洋一郎氏を迎えて、「CGアートフェスティバル」が、南種子町では、広田遺跡ミュージアムと宇宙科学技術館を舞台に「黒潮が育んだ古代文化と宇宙芸術展」が開催されます。古いものと新しいものがコラボすることで、鹿児島の新しい観光文化資源の創出になるのではないでしょうか。

 種子島と屋久島を比較すると、入込客は屋久島が9千人程度多くなっています。(26年度熊毛支庁統計)種子島空港はジェット機が就航できる体制が整いましたが、乗降客が低迷しているのが現状です。大都市圏からの新たな路線の開拓や海のない県からのチャーター便の誘致が重要であり、また、世界遺産の島として知名度の高い屋久島との連携が欠かせません。

 種子島では新鮮な魚介類、日本でいちばん早く収穫されるお米、糖度の高い安納芋など豊富な農水産物が獲れます。大都市圏からのSSH校や私立学校をターゲットにした体験型教育旅行、温暖な気候を活用したスポーツ合宿誘致が求められます。種子島の宇宙科学と屋久島の世界自然遺産は、他県にない教育資源です。

大川の滝.jpg

 現在、口永良部の新岳の噴火で、島民全員が12km 離れた同じ町内の屋久島に避難しています。噴火の影響で夏場の屋久島の予約状況が今一歩です。梅雨が明け本格的な夏が訪れると、海と山のシーズン到来です。是非屋久島の魅力を発信して風評被害を一掃していかねばなりません。

 まもなく「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」の世界文化遺産登録も決定するものと思います。鹿児島としては、反転攻勢をかけるきっかけにし、そして秋の国民文化祭に向けて勢いを付けなければなりません。

 「鉄砲が伝来し、ロケットが打ち上げられる島」種子島、「世界自然遺産の島」屋久島は隣接していることを国内外の人々にPRし、夏場の誘客につなげたいものです。

   風そよぐ ならの小川の 夕暮れは
   みそぎぞ夏の しるしなりける  ~藤原家隆~小倉百人一首より

No.366 霧島と鹿児島市の中間に位置する条件を活かせ~立ち寄りたくなる街づくりへ~

2015年6月22日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 姶良市は、姶良町、蒲生町、加治木町の旧3町が合併して、平成22年3月に誕生した人口75,000人あまりの県下5番目の市です。

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 有識者らで創る「日本創生会議」は、国立社会保障・人口問題研究所が2014年に公表した将来推計人口を基に、子どもを産む中心の若者女性について、2010年と比較した30年後の数を試算をしています。それによると、県内では全市町村が少なくなりますが、姶良市は奄美大島の龍郷町に次いで減少数が小さくなっています。

 県都である鹿児島市に近くアクセスに恵まれ、住宅環境等に恵まれていること等がその要因にあげられるのではないでしょうか。

 姶良市には、歴史的遺産等県内最多を誇る文化財や、錦江湾を眺望できる多くの絶景スポット、手作り工房、多彩な民家レストラン等が点在していますが、意外とその魅力が浸透していません。

 この度、県と観光連盟では「鹿児島発広域観光周遊ルート」を開発すべく、「姶良方面」のコースを宿泊施設、エージェント、自治体、メディア関係者等53人で視察しました。

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 姶良市の魅力と課題について整理したいと思います。初めに白砂青松が素晴らしい重富海岸を訪ねました。かつてゴミが散乱し、海岸は荒れ放題でしたが、「NPO法人くすの木自然館」や地域の皆様方の努力で、美しい渚が復活しています。

 今では海岸の定期清掃も行われており、バードウォッチング、ネイチャートレッキング、干潟の観察会等も開催できるほどに整備されています。これから、保護と保全に万全を期し、利用者との調和を図り環境共生型の場づくりに努めてもらいたい。

 また、戦国武将「島津義弘」のゆかりの地です。初陣の地である「岩剣城址」や晩年を過ごし、その生涯を閉じた終焉の地「加治木島津屋形跡」や「精矛神社(くわしほこじんじゃ)」などゆかりの史跡が点在します。

 「山田凱旋門」は、現存する石造りの凱旋門では唯一のもので、明治39年(1906年)に建設されたものです。凱旋門の近くには、山田の出身で日露戦争を前に司令長官を更迭された日高荘之丞翁の記念碑が建てられています。

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 日高荘之丞に纏わるヒストリーは、興味あるものです。ボランティアガイドさんが案内の中で少し触れられましたが、日露戦争の開戦を控えて、山本権兵衛海軍大臣は、日高荘之丞を更迭し、東郷平八郎を司令長官に推挙します。


   薩摩の軍人である山本の決断に、明治天皇から「なぜ日高を東郷に代えたのか」と直に下問があり、山本は「東郷は運のいい男ですので」と奏答したといわれています。同じ薩摩出身の3人の中で何があったかは知るすべもありませんが、ガイドさんの話には自然と引き込まれていきます。

 山田の凱旋門で聞くのも、歴史を遡り旅が楽しくなります。小生も司馬遼太郎の「坂の上の雲」の中で興味を惹かれた部分です。その後の3人の足跡も興味深いものがあります。是非小説をお読みください。

 山田地域では9月中旬になると、県道40号線沿いに様々な工夫を凝らした「かかし」が展示され、道行く人を楽しませます。童謡「かかし」の一説に出てくる「山田の中の一本足のかかし」を彷彿させます。凱旋門と一緒に秋にもお訪ねください。たわわに実を付けた稲穂が美しくみられる地域です。日本の原風景が至る所に残っています。

龍門司坂02(よかとこ100選)縮小.jpg

 ところで、今では歴史的遺産となっている道を御存知ですか。薩摩国と大隅国の国境にある「白銀坂」、江戸時代から地方街道の要所で多くの人が往来していた「掛橋坂」、西南戦争の際には6000人の薩摩兵士が熊本へ向かった「龍門司坂(たつもんじざか)」があり、「姶良の三坂」と呼ばれています。白銀坂には「布引の滝」があり、ウォーキングの途中の疲れを癒してくれます。

 龍門司坂は、大河ドラマのロケ地としても知られています。近くの「龍門の滝(りゅうもんのたき)」は、大雨の後の流れ落ちる水量と音の豪快さには圧倒されます。

 旧蒲生町には、くすの巨木で知られる「蒲生八幡神社」があります。幹回りが24.2mあり昭和63年に日本一の巨樹と認定されました。神社周辺には、武家門通りが残されており、途中の「御仮屋門」は、1826年に再建されたもので蒲生地頭仮屋の正門で、現存している門としては数少ない貴重な門です。

 蒲生町では公開されている武家屋敷を散策し、フォンタナの丘「かもう」の温泉で疲れをいやし、地元食材を堪能してください。

 町の活性化には、今も続く「カモコレ」の着地型イベントや、春の桜、紅葉の時期等に武家屋敷を活用したお茶会や生け花、月見の宴等を開催して、地元や鹿児島市から気軽に人を呼ぶことが得策ではないでしょうか。

 姶良市は鹿児島市や鹿児島空港に近く、お客様を誘致しやすい位置にありますが、素通り客が多いのではないでしょうか。週末のイベントやPR態勢を強化して、もっと各施設の認知度を高め、経済効果をもたらすことが重要です。四季折々の花の名所や直売店が多く、民家レストランが充実していることも女性層を惹きつけます。

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 また、野球場が充実していることから、学生スポーツの練習会場としての魅力が高まっています。宿泊施設の不足は歪めませんが、年間を通して稼働できるかが課題であり、従来ある施設の利用率を高めることが第一です。学生は練習時間の確保と食事が重要であり、宿泊施設の豪華さではないと思います。温泉施設も十分であり、泊食分離も検討の余地があります。


 今後も、県内最大の人が住む鹿児島市からのリピーター創出に力を注ぐべきと考えます。特に鹿児島市内に泊まった観光客に日帰りコースの提案や、エージェントの商品企画では空港に行く最終日の行程に組み込んでもらう努力が必要です。途中立ち寄りたくなる仕掛けが必要であり、しゃれた小物店や、カフェ等散策しても飽きない街づくりが求められています。

 最後に、姶良市のボランティアガイドさんが作詞した「姶良音頭」が市の魅力をかたっています。

               姶 良 音 頭
        作詞:後藤典五  作曲:橋口真由美

一番 アイラサーアイラサー           *冒頭 各番共通
      桜島から煙があがりゃ 晴れた青空かすみがかかる
      今日は東か南の風か ここはよかとこ元気なまちよ
      さあさおいでよ 姶良の街へ     *最後も各番共通
      みんなそろって アイラブユー

二番 白銀坂を踏みしめ登りゃ 重富干潟に鳥舞い踊る
      山田の案山子と凱旋門が 笑顔で迎える明るいまちよ

三番 蔵王岳から朝日が昇りゃ 滝のしぶきに希望もはねる
      つなぐ歴史の龍門司坂  史跡が息づく文化のまちよ

四番 八幡さまの鳥居を抜けりゃ 遙かロマンの風ふきわたる
      武家門並ぶ石垣通り 大楠見守る緑のまちよ

五番 姶良カルデラ錦江湾は ふるさと自慢でひときわ光る
      姶良加治木と蒲生の街が 手と手をつないで栄えるまちよ

参考『ウィキペディア』

No.365 心から快適な船旅を楽しむために~非常口の確認や船内のルールを守り安全な旅を~

2015年6月15日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 クルーズ船の旅が人気です。平成26年に県内の港に入港したクルーズ船は70回、乗船客数は約74,900人で、25年に比べると入港数で16回、客数で41,300人それぞれ増加しています。


 クルーズ船社への定期セールス、香港とマイアミで開催されたクルーズコンベンションへの参加、クルーズ船のファムツアー受入等の努力が実を結んでいます。今年はすでに72回の入港が予定されており、前年実績を超えるのは確実です。
(5月31日現在:観光課調査)

 日本ではクルーズ人気が高まり、日本近海だけでなく海外に出かけて、地中海クルーズやアラスカクルーズ等を楽しむ人が増えています。

 大型客船と言えば、昨年韓国で発生した「セウォル号」の沈没事故を忘れてはなりません。多くの修学旅行生がなくなりました。日本でもかつて、青函連絡船や宇高連絡船の事故で多くの乗船客がなくなっています。今では最新の安全対策が義務付けられており、最近は大きな事故は発生していません。

 ところで中国の三峡下りのクルーズを経験された方が多いと思います。長江の流れに乗り、峡谷が織りなすパノラマが、乗船客を喜ばせます。船上から眺める光景は、幻想的で風景画の世界に入り込んだような感覚を覚えます。

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 「三国志」の物語は、世界中から多くの人々をこの地に誘います。国語の教科書に登場する次の漢詩は、唐の時代の詩人「李白」が書いたもので、1500年前の世界に浸り、美しい光景が浮かんでくる詩です。


             早発白帝城      李白

     朝辞白帝彩雲間    朝に辞す白帝彩雲の間
     千里江陵一日還    千里の江陵一日にして還る
     両岸猿声啼不住    両岸の猿声啼いて住(や)まざるに
     軽舟已過萬重山    軽舟已に過ぐ 萬重(ばんちょう)の山

  [文略]       朝早く白帝城を出発する

   朝早く朝もやに映える白帝城を出発する。
   千里先の江陵へは、一日の行程である。
   舟が行く両岸の崖からは、悲しい猿の声が聞こえ旅情をさそう。
   軽やかな私の舟は、幾重にも重なる山並みを見ながら、通り過ぎて行く

 白帝城は長江の上流に位置し、川の両岸は延々200キロの峡谷が続き、切り立った崖からは猿の鳴き声が聞こえ、静粛の川の流れに美しく響きます。白帝城は「三国志」にも登場しますが、蜀の劉備玄徳が、自分の死後のことについて、部下の諸葛孔明に託した場所としても有名であり、内部にはその様子を紹介している塑像があります。今島となった白帝城には毛沢東が揮毫したこの詩の記念碑があります。

 三峡は、雄大な嬰塘(くとう)峡、秀麗な巫(ふ)峡、険峻な西陵(せいりょう)峡からなっていますが、見上げるほどの絶壁や山肌に驚くと思います。

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 しかし三峡ダム工事が進み、長江三峡地区の水位は、2003年に標高135メートルに、そして2009年の竣工後には、最終水位が標高175メートルまで上昇しました。 流域の景観が大きく変わり、有名な古桟道跡が水没し、また三国時代の皇帝である劉備玄徳が死んだ白帝山は「白帝島」に変わってしまいました。

 しかし先日、この三峡下りを楽しんでいた456名が乗った「東方乃星」というクルーズ船が転覆し、400人以上が死亡するという大事故が発生しました。漢詩や歴史小説で有名な地をクルーズ船で巡る旅は、中国でも人気が定着していただけに残念です。

 日本では重慶まで飛行機で飛んで、3泊4日のクルーズが人気です。原因が解明され、ツアーが以前と変わりなく催行されることを祈っています。

 ところで、クルーズの良さは荷物の移動がなく、寄港地では観光地巡りと退屈させないスケジュールとなっています。航海中は、昼間は講演会や船上パーティ、プールなどで過ごし、夜はナイトショーやダンスパーティーが開催され、楽しい時間を過ごすことができます。女性にとっては着替えをする楽しみがあります。

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 鹿児島に寄港する外国船は、ほとんど夫婦参加となっています。日本人は急ぎ足の旅行には慣れていますが、船内で長時間滞在する旅行は苦手です。本格的なクルーズ時代を迎え、まず日本近海の短期間のクルーズ船でその良さを味わうことから始めても良いと思います。

 韓国、中国での事故を教訓にして、船の運航会社には安全対策の徹底と法令を順守してもらい、船旅をする人は自ら非常時の対応を確認し、いざという時混乱しないよう周到な準備が必要です。鹿児島市のマリンポートに入港する大型クルーズ船の船内見学をすると、必ずや船旅をしたいという衝動に駆られるのではないでしょうか。

No.364 一日も早い全員の帰島を~日頃から災害への危機管理の確認を~

2015年6月8日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 昨年の御嶽山の噴火、箱根山大涌谷周辺の火山性地震の増加、連日の桜島の爆発的噴火等日本各地で火山活動が活発になっています。

 5月29日午前9時59分に、屋久島町・口永良部島の新岳が爆発的噴火をし、噴煙は9千メートル以上に達し、火砕流が発生しました。鹿児島地方気象台は噴火警戒レベルを最高の5に引き上げ、島民は全員屋久島に避難しました。日頃から噴火に備えて避難訓練等を行ってきたことで、スムーズに島民が避難することができたのではないでしょうか。

 口永良部島は、屋久島の西方約12キロに位置する島で、全域が屋久島国立公園となっており、3か所の天然温泉を持つ火山の島です。素朴な温泉が、秘湯ファンを惹きつけます。

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 満潮前になると温泉が湧き出る「西の湯温泉」、湯が乳白色で湯治湯として親しまれてきた「寝待温泉」、湯の花が浮かぶ湯が評判の「湯向温泉」があります。数年前島を訪れた際、船に自転車を積みリュクサックを背負った東京からの若者に会いました。目的は口永良部島の温泉と言っていました。

 島では明治時代の中頃から硫黄の採掘が行なわれ、最盛期には1000人を超える人口がいましたが、たび重なる噴火で島を離れる人もあり、現在では130人あまりとなっています。

 産業としては農業と畜産が主であり、さつまいもの栽培や町営と私設の牧場が数か所あります。放牧されている牛も多く、避難者の中で餌が心配だと語っている方が印象的でした。一日も早く島に帰る日が来ることを願わずには居られません。

 鹿児島県内では桜島が日常噴火していることから、火山の報道については、慣れている市民が多いと思いますが、風評等で経済的には大きな影響が出ます。新燃岳噴火の際は、連日マスメディアで報道されて、霧島温泉では、宿泊のキャンセルが相次ぎました。また、韓国の観光客に人気のあるトレッキング、ゴルフツアー等も相次いでキャンセルとなり、地域経済にも大きな影響を与えたことは紛れもない事実です。

 昨年多くの犠牲者がでた木曽の御嶽山噴火から間もないこともあり、火山情報には敏感です。年初に、気象庁が「山体膨張と考えられる現象がみられる」という情報を発表したこと等もあり、桜島の観光クルーズ船やフェリー客が減少しています。

 桜島については、噴火は継続しているものの、そこに5千人の人が日頃と変わらない生活をしていることを県のホームページ等で全国に発信しています。

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 今回も、口永良部島の新岳が噴火したことを受けて、近隣の観光地・特に屋久島に関する情報についてホームページに掲載しました。また、海外からの問い合わせに備えて、4カ国語での標記も行いました。口永良部島と屋久島の位置関係、屋久島への交通機関は通常と変わらず運行していることを伝えています。

 鹿児島の温泉、ゴルフ、歴史、食に加えて、円安、免税制度の拡充等があり、鹿児島を訪れる外国人は増加しています。台湾、香港、上海からの観光客が大きく伸びており、韓国からの観光客も回復基調にあります。

 鹿児島には現在4路線が就航していますが、外国人は火山や地震については敏感に反応します。東日本大震災では、長期にわたって日本へのインバウンドが低迷しました。外国人にも早く正確な情報提供が求められます。

 ところで、これから夏休みにかけて屋久島の旅行商品が多く見られます。エージェントは全国にネットワークをもっており、迅速に情報を伝達できる強みがあります。新燃岳噴火時も地元支店と連携をとり、定期的にインターネットで社内への情報発信に努めていただきました。

 危機管理に敏感な全国の教育旅行支店や旅行商品の企画部署への正確な情報発信が特に重要です。県民の皆さんも、これからも鹿児島の正確な情報を、県外の方々に伝えて欲しいと思います。

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 「日本で最初の世界自然遺産」の島である屋久島が、今回の避難地になっています。 屋久島は口永良部島から12キロしか離れていませんが、同じ町内で安全な場所として選ばれています。屋久島の知名度の高さに加えて、自然や集落の魅力もPRしなければなりません。そのことが風評被害を少しでも軽減することになるのではないでしょうか。

 噴火から4日目の6月1日には、島民の代表と消防団、気象庁等20名余りが一時帰島し、噴火後の家の点検、家畜への餌やりなどを行いました。待ちかねていたかのように豚が小屋の塀まで登り、必死に餌を求めている姿が、いとおしく感じられました。

 出来ることならば定期的にこのような一時帰島が実現することを望んでいます。小中学生は、屋久島での新たな学校も決まり登校しています。温かい心で子供たちを励ましてほしいと思います。

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 口永良部島には、魚釣りや秘湯を求めて観光客が訪れることから、民宿で生計を営んでいる方もいます。一日も早い全員帰島が実現し、観光客の姿や港の近くにある金岳小中学校のグランドから子ども達の歓声が聞こえる日を待ち望んでいます。

 県民の皆様の物心両面のご支援が、避難島民を元気づけることになります。鹿児島県は日本列島の南に位置することから、梅雨時期の集中豪雨や台風の襲来が多く、特異なシラス土壌がもたらす風水害や、火山噴火による地震等災害が多く発生する県です。 

 今回の噴火を教訓に、県民も防災への関心を高め、災害発生時の行動を定期的にきちんと確認し、危機管理に備える必要性が高まっているのではないでしょうか。

No.363 マナーの良さは日々の行動に宿る~小学生の行動に学ぶ~

2015年6月1日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 奄美地方が全国で最初に梅雨入りし、鹿児島県本土もまもなく梅雨入りとなります。毎年のことながら梅雨末期には集中豪雨が発生し、大きな被害が出ることも多く、天気予報には十分気を付けたいものです。ここ数年は予期せぬ場所で災害が発生しています。崖の近くや川の周辺に住んでいる方は、特に注意が必要です。

 北海道は梅雨がなく、ライラックやアカシヤの木、ポプラ並木が美しくなり観光のベストシーズンがやってきます。北海道夏の最大のイベントである「第24回YOSAKOIソーラン祭り」が、6月10日から14日にかけて大通公園ほか札幌市内約20か所で開催され、札幌は若者の熱気で賑わいます。

 天才歌人、薄幸の詩人として国民から敬慕されている石川啄木は、釧路、札幌、小樽、函館等での生活を通して、多くの歌を残しています。

   東海の  小島の磯の  白砂に
               われ泣きぬれて 蟹とたわむる
               *函館市の立待岬の墓碑に刻まれている
   潮かをる 北の浜辺の  砂山の
               かのハマナスよ 今年も咲けるや
               *函館市大森浜には、啄木像と歌碑がある
   かなしきは 小樽の町よ 歌ふこと
               なき人々の 聲の荒さよ
               *小樽市相生の水天宮境内に歌碑がある

 九州新幹線全線開通後、博多や熊本、出水等への出張にはよく新幹線を利用します。九州新幹線の内装は木をふんだんに使い、落ち着いた雰囲気を醸し出しています。特に座席は幅が広く快適な旅ができるよう十分な配慮がなされています。リクライニングシートの設備も快適です。

 先日、博多まで乗車して読書していると、いきなりシートが倒れて来て置いたコーヒーがカップからこぼれて、床を汚してしまいました。前の席の乗客が、「席を倒しますが、よろしいでしょうか」と、一言あれば、床を汚すこともなかったのにと、怒りを覚えた次第です。前の席の客は、なにくわぬ顔で眠りにつきました。座席は前の客には背もたれになりますが、後ろの客はテーブルを使用することから、共通の設備である配慮の必要性を感じます。

 飛行機に乗った時にも同じようなことをよく経験します。機内は席が狭い上に、テーブルを出すと余計に身動きが取れなくなります。新聞を読んだり読書をしている人がいる場合には、一言声をかけて「椅子を倒します」と了解を求めることは、相手への気配りです。

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 電車やバスの車内でも、独りよがりでマナーを無視した大人の姿をよく見かけます。通勤バスで、二人掛けシートにハンドバッグを置いて、化粧をしている女性、スポーツバッグを横において、声をかけないと席を譲らない大学生、お年寄りが乗ってきても居眠りのふりをして、足を大きく開いて席を譲らない若いサラリーマンと朝夕の通勤途中で苛立つ光景です。

 また、空港からの最終バスに乗ると、怒りを抑えられないことがあります。満席が予想されるのに、前方の通路側の席に座って、窓側に荷物を置いて席を占領し何食わぬ顔でいる人を見かけます。人がどんどん乗り込み、補助椅子に座ろうとしているのに動こうとしません。運転手さんが乗り込んで、席を見回して荷物を動かしてくださいと催促されて、しぶしぶ席を譲っています。

 鹿児島を訪れた観光客の姿には、鹿児島でのバスの車内での第一印象が観光地の印象となります。混雑時でも座席に荷物を置いて席を占領している人もおり、ドライバーが直接マイクで「お互いに譲り合いましょう」と、声かけをすることが大切です。日本人のマナーがここまで堕落しているかと思うと残念でなりません。

バスの座席.jpg

 ところで、先日はうれしい光景に出合いました。3人の小学生が中央駅からバスに乗車し立っていましたが、席が開いていたため運転手さんが「危ないですからお座りください」とアナウンスがあると、児童たちは着席しました。


 2つ目のバス停から老夫婦が乗車すると、我先にと立ち上がり、二人に席をゆずり、一人の児童も友達と一緒にずっと立っていました。老夫婦は何度も児童に頭を下げてお礼を言っていました。

 通学時の車内でのマナーについて指導がきちんとなされており、家庭や学校での躾がしっかりしているなと感じた次第で、思わず学校名を聞き、頭をなでてあげたい心境でした。外国人はハンディキャップのある人への対応や、レディファーストの心がけが定着しており、エレベーターに乗る際にそのマナーの良さが自然に出ます。

 今、公的な施設の多くは、バリアフリー化が進み入りやすくなっています。高齢化社会が急速に進展していますが、運賃の安い公共交通機関を利用せざるを得ない人がほとんどです。健常者はバスや電車等に乗車した際は、周りに気配りするなど配慮が必要です。

 ところで、県内における宿泊客数は、平成23年の新幹線全線開業以来、九州7県の中で鹿児島県だけが毎年前年を超えています。鹿児島の魅力が浸透し、全域に広がりつつあります。観光客に楽しく過ごしていただくためには、「おもてなしの心」の定着が欠かせません。

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 「指宿のたまて箱」は、沿線の住民や平日には指宿市役所の職員が列車に手を振っており、現在でも乗車率が80%を超える人気の観光列車です。そのお客様への心配りや、九州各県において観光客を温かく迎える態勢づくりができていることが、豪華観光列車「ななつ星in九州」の誕生につながったと、先日関係者が語っていました。

 今年は、県内のすべての市町村が参画する「第30回国民文化祭」が開催されます。また、「明治日本の産業革命遺産 九州山口と関連地域」が、7月には「世界文化遺産」に正式登録される予定です。多くの観光客が鹿児島を訪れることが想定されます。

 日々の行動においてマナーや気配りが自然とでき、観光客が「感動」を覚えるおもてなしを育くむために、県民一人ひとりの意識が問われています。県民がまずマナーを守る取組が重要であり、そのことが観光客への対応として現れます。 何気ない気配りは、日々の行動に宿ると思います。

No.362 教育旅行の誘致競争に勝ち抜くために~料金アップへの対応と感動体験の提供を~

2015年5月25日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 平成21年から連続して鹿児島への修学旅行を実施している奈良県生駒市の大瀬中学校が、今年も垂水市を訪れました。垂水市漁協で、漁船に乗って生簀での餌やりや、採れたての魚を自分たちで料理して寿司を作る体験を行いました。自然の生態に触れ、初めて食べる刺身に驚きを隠せない様子でした。

 大瀬中学校の鹿児島への誘致活動は、平成20年に大阪で開催された「教育旅行誘致説明会」からスタートしました。当時の校長先生が、従来のTDL方面から海の体験ができ、民泊のできる地域への変更を模索しており、垂水市での漁業体験に興味を示され誘致が実現しました。海のない県であることから、鹿児島の優れた資源が活かされています。

 県と観光連盟では、毎年サツマイモの苗を送り、校庭の菜園で育てたサツマイモが、秋の文化祭では生徒たちを喜ばせています。また、昨年から垂水中央中学校との交流も深まり、今年は記念植樹も行いました。

 7年も続く背景には、美しい自然景観の中での漁業体験や、垂水市、垂水市漁港の対応が学校側の信頼を得ていると感じます。今年垂水市にNPO法人の協議会が組織され、民泊等の受入もおこなっています。


 ところで平成26年度の県全体の教育旅行の受入は、校数は増加したものの宿泊人員は減少しました。1校当たりの生徒数が減少しています。(28日の鹿児島県教育旅行受入協議会の総会で説明)

 特に前年から倍近くに増えた体験型農家民泊が、約4千人減少したことが影響しています。1週間前になって受入家庭が替わったケースや、受入地域がクラスによってはかなり離れており、連絡が取りづらかった等学校側からの問題提起もあり、改善しなければなりません。

 今年は民泊の受入も2万人近くまで戻っており、きちんとした対応が求められます。消費税のアップやバス料金の改定で、旅行代金が3割程度アップしています。従来の行程で実施すると、市町村の教育委員会が定めた旅行費用の枠を超えるため、学校やエージェントでは行程の見直しを迫られています。

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 修学旅行用指定新幹線で鹿児島を訪れている関西地域の学校は、昨年が35校、5,687人、今年は41校、7,700人となっています。県内の学校と実施時期が重なることから、関西方面からの修学旅行のバス不足を補う方策として、鹿児島市内の街歩きやシティビュー等の活用も求められます。

 また、誘致対象地域を、中国地区、福岡、佐賀、長崎方面へともっと広げなければ、需要拡大は望めません。「世界文化遺産」の正式登録を控えて、新たなコースの提案が必要です。

 今後は平準化対策も重要です。春と秋に集中している状況を少しでも改善するためには、オフ期の弾力的料金の設定や付帯サービスを提供することで、分散化を促進し、受け皿が広がるのではないでしょうか。修学旅行生はリピーター化につながり、今後も大事にしなければならない顧客です。

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 教育旅行の誘致は、受入機関にとっては様々なメリットがあります。 FIT化が進む中で、団体旅行は毎年減少しており、鹿児島県の平成26年度の宿泊統計調査によると、宿泊人員の団体の比率は30%であり、毎年減少しているのが実情です。

 宗教団体やイベント等を除くと、バス4~5台と動く団体は修学旅行ぐらいで、宿泊施設にとって、経営の見通しが立ち有難い貴重な団体です。2年前に業者が決定する地域もあり、営業も計画的にできます。

 一般の個人客は、個々に食事の提供や寝具の準備が必要であり、従業員の確保が切実な問題です。一般は2名1室が多く手間がかかりますが、学生団体は一部屋に4~5名入ることも珍しくなく効率のよいことがあげられます。しかも修学旅行は、平日宿泊がほとんどであり、休前日は一般のお客様の予約が可能です。企画募集団体は、人数の確定が遅く間際で取り消しになることもあり、受入機関にとっては、空き部屋を短期間でうめることは厳しい状況です。

 ところで全国的に農家民泊を始める地域が増えてきました。九州では南島原地区、小林地域の人気が出てきています。両地域とも簡易宿所営業の許可を取得し、受け入れる生徒数も制限し、内容の充実を図っています。定期的研修会や営業活動を行い、リーダーの指示のもと団結力が図られているのが強みです。

 鹿児島県は全国第4位の農業県であり、1年を通して様々な体験ができます。生徒さんが直接土に触れ、自らの手で収穫した農産物を農家の人と一緒に食事を作ることが重要です。自然の姿をそのまま見せることが、都会の子供たちには感動をもたらします。 学校行事は細心の注意を払う必要があり、地域全体でレベルアップを図っていく取組が大切です。安全・安心を徹底し、コンプライアンスの遵守が不可欠です。

 既存の宿泊施設はお客を取られるという発想ではなく、新しい顧客開拓のためにその一役を担うという考え方に立ち、旅館と農家が共存していく姿勢が求められます。

 また、砂の祭典、六月灯、伝統行事等地域のイベントや祭りの開催に遭遇した日は、学生にも積極的に見せる機会を作ってもらいたい。都会の子どもたちが地域との関わり、日本文化の大切さを学ぶことで、国を愛する心を育むことになるのではないでしょうか。

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 4月から始まった修学旅行用指定新幹線を活用した近畿地区からの修学旅行は、6月17日まで続きます。鹿児島中央駅に到着する日は、「鹿児島県教育旅行受入対策協議会」で歓迎の出迎えを行っています。これからも鹿児島の地が、修学旅行の行先として選ばれ続けるよう関係者で努力を重ねたいと思います。

 庭先の紫陽花が色づき始めました。梅雨入りも間近です。

 あじさいの 下葉にすだく 蛍をば
              よひらの数の 添ふかとぞみる
                          ~藤原 定家~

No.361 世界文化遺産正式登録を目前に控えて~先人の航跡を学び、郷土愛を構築する機会に~

2015年5月18日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」について、ユネスコの諮問機関が世界文化遺産へ登録(記載)するよう勧告しました。8県11市の全23の資産が対象ですが、鹿児島市内にある旧集成館(反射炉跡、旧鹿児島紡績所技師館「異人館」、機械工場)、関吉の疎水溝、寺山炭窯跡の3つの資産が含まれています。

 世界遺産は、1972年のユネスコ総会で採択された「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」に基づいて世界遺産リストに登録された、遺跡、景観、自然等、人類が共有すべき「顕著な普遍的価値」を持つ物件のことで、移動が不可能な不動産やそれに準ずるものが対象となっています。

 世界遺産は、その内容によって文化遺産、自然遺産、複合遺産に大別されます。2014年の第38回世界遺産委員会終了時点での条約締約国は、191カ国、世界遺産の登録数は1,007件(161カ国)となっています。

 日本国内には、14件の文化遺産と4件の自然遺産の合計18件の世界遺産が登録されています。「屋久島」は「白神山地」と共に、日本で初めて世界自然遺産に登録されました。「明治日本の産業革命遺産 九州・山口の関連地域」が、7月に正式登録(記載)されると、鹿児島県は唯一、自然遺産と文化遺産の2つの世界遺産を持つ県となり、観光客誘致に大きな弾みがつくものと期待されます。7月初めにドイツのボンで開催される世界遺産委員会の審査で正式に決まる予定です。

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 「世界遺産勧告」の報道以来、8県の文化遺産候補地には多くの観光客が訪れています。県内の候補地も例外ではなく、「関吉の疎水溝」、「寺山炭窯跡」は、今まで一般の人にはほとんど知られていない施設であることもあり、場所、アクセス等を尋ねる人が多くみられました。

 世界遺産登録の意義や今後の課題について整理したと思います。昨年6月「富岡製糸場と絹産業遺産群」が世界文化遺産に登録されましたが、富岡製糸場の入館者数は4カ月間で70万人が訪れました。前年は年間で31万人であり、予想を超える入館者があり、当初は混乱を極めました。

 鹿児島においても、正式登録まで2カ月足らずであり、今から十分整備することは不可能ですが、まず公共交通機関を利用していただくようマップの作成や交通機関の案内が欠かせません。特に「関吉の疎水溝」と「寺山炭窯跡」は十分な対策が必要です。

 東名阪の大手旅行エージェントの情報では、現在作成中の秋の南九州の企画に、正式登録後を見据えて、世界遺産の表示を加えると語っています。九州にある文化遺産を巡るツアーも企画されるのではないでしょうか。

 世界遺産登録で顕著な動きが現れるのは外国人であり、特に欧米系の人が増えることが予想されており、英語表記等の充実が求められます。登録地までの公共交通機関の時刻表には、平日と休日の時刻の区別など配慮が必要です。

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 今年の秋に開催される「第30回国民文化祭」には追い風となり、主催団体には、周辺の観光資源と一緒に文化遺産登録地の魅力も一体的にPRしてもらいたい。正式登録されると、世界文化遺産が目玉となり、行ってみたいという衝動に駆られるのではないでしょうか。

 「屋久島」は日本初の世界自然遺産地であり、大手エージェントの調査によると、日本人が一番行きたい世界遺産となっています。

 今回の23の資産は8県に及び、関連性があることから、登録の意義やストーリーを語る等人材育成が求められます。駅や空港の案内所、ホテル、タクシー乗務員、観光施設従業員等を対象に、現地研修や勉強の機会を設ける必要があります。

 又、市内には200名を超えるボランティアガイドさんや、NPO団体も存在することから、教育の機会を増やすことで「おもてなしの心」の醸成にもなり、リピーターの創出につながります。

 自然は四季の変化があり、訪れる時期によって違った姿を見ることができます。文化遺産は、一回見ると満足し年数が立つごとに入館者が減少していく傾向にあります。世界文化遺産登録後は、リピーターをいかに確保するかが課題です。他の地域資源も活用し、四季折々の話題や食と一緒に常に話題になることで施設の付加価値が高まります。

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 今年は薩摩藩英国留学生の派遣から150年の年になります。いちき串木野市羽島に昨年完成した「薩摩藩英国留学生記念館」は順調に入館者が伸びています。留学生たちは帰国後日本の近代化に貢献しました。今一度彼らの航跡をたどるのも鹿児島の文化を知る機会にもなります。

 集成館事業を進めたのは、28代当主「島津斉彬」ですが、彼なくして日本の近代化は語れません。日本が50年余りで産業化を達成し、近代化の礎を築いたのは、鹿児島市の3件の資産が重要な役割を果たしています。彼の先見性や人材育成等の功績、薩摩藩の果たした役割を全国的に認知させる機会にもしなければなりません。

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 来年は「薩長同盟150年」、2017年は「奄美・琉球の世界自然遺産」登録(予定)と続きます。そして2018年は明治維新150周年にあたります。明治維新は鹿児島が全国的に一番注目を浴びる地域であり、それを活かさねばなりません。

 県民の皆様も世界文化遺産登録地をこの2ヶ月の間に訪れて、正式登録の際は、感激を新たにして欲しいと願っています。

 人口減少が続き地域創生が問われている時代です。先人が残した世界文化遺産の偉大さを知ることで、郷土を愛する心を育てる機会にもなるのではないでしょうか。

参考:ウィキペディア:世界遺産

No.360 「かごっまふるさと屋台村」の新たなスタートに期待する~ふるさとの訛りが聞こえ、観光の情報発信基地として~

2015年5月11日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 ゴールデンウィークが終わり、修学旅行生の姿が県内各地に見られます。農業・漁業体験が旅行に組み込まれ、鹿児島が誇る第一次産業が活かされています。九州新幹線全線開業から4年が経過しましたが、新幹線は気軽な乗り物として県民の足として定着している感じです。

 3月の北陸新幹線金沢開業が好調であることから、来年3月開業予定の北海道新幹線も大きな期待がかかります。

 観光庁が発表した「26年の宿泊旅行統計調査」でみると、最近の観光は、都市型観光と地域観光に2極化しているように感じられます。テーマパークのある千葉、東京、大阪やMICEの開催が順調に伸びている福岡が顕著な伸びです。鹿児島県は、台風の襲来が4回あったにも関わらず、3.6%増で全国の伸びを上回っており、地域の頑張りが鹿児島の観光を底支えしていると感じます。

 ところで県都である鹿児島市は、目の前に桜島を仰ぎ、自然、温泉、歴史、文化、食、アクセス、宿泊施設の充実等観光客誘致には大変恵まれた環境にあります。また、4日には、集成館事業に関する鹿児島の3資産を含む23資産の「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」を世界文化遺産に「登録」(記載)するようユネスコの諮問機関が勧告しました。

 正式登録が実現すると、世界自然遺産と2つの世界遺産を持つ県として、大きなPR効果が発揮できます。

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 4月23日に鹿児島中央駅から5分の場所にある「かごっまふるさと屋台村」がリニュアールオープンしました。プレオープンセレモニーには、伊藤知事、池畑県議会議長(県観光連盟会長)、森鹿児島市長をはじめ県内の6市町村長も出席されて盛大なお披露目となりました。

 今回12店舗が入れ替わり、新しい体制で2期目のスタートとなりました。「地産地消でおもてなし」、「笑顔と会話でおもてなし」、「お手頃価格でおもてなし」と、人情屋台「かごっまふるさと屋台村」おもてなし宣言が、村長より力強く述べられました。

 ところで、もともと屋台は、屋根が付いた移動可能な店舗であり、営業が終わると引いて帰るという飲食店です。今では、衛生面の管理や道路使用許可等の問題もあり、屋台の数は少なくなっています。中でも博多の屋台は伝統があり、約200店が営業し、サラリーマンや観光客に親しまれています。

 現在は固定式の屋台村が主流となっています。「全国屋台村連絡協議会」には、16の施設が加盟しており、商店街の活性化や地産地消の取組を推進しており、地域づくり、街づくりの有効的手段として注目されています。帯広市・北の屋台、八戸市・屋台村みろく横丁、気仙沼市・気仙沼横町、宇都宮市・宇都宮屋台横丁、かごっまふるさと屋台村等が活況を呈しています。

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 「かごっまふるさと屋台村」は、25軒の個性あふれる屋台と1軒の焼酎専門店が軒を並べます。平成24年にオープン以来多くの観光客や市民に支えられて、130万人ものお客様が来店され、地域経済の活性化に貢献してきました。

 地域興し団体や行政、経済界の視察が絶えない等全国的に注目されている施設に成長しました。鹿児島の新名所として定着しており、場所を提供していただいている「南国殖産」の関係者の方々に対し心から感謝の気持ちで一杯です。

 これからの屋台村の展望と課題等について述べてみたいと思います。屋台村の設置は、市街地の活性化や地産地消を中心とした地元食材の提供、情報発信基地として県内のイベントや観光地の紹介、若手起業家の育成等が設置目的の一つになっています。

 屋台村は、鹿児島市内としては初めて平地にできた食の集合体の施設であり、地域全体への波及効果をもたらす取組が不可欠です。それぞれの店が切磋琢磨し、競争と協調の心をもって一体感を維持していくことも大切です。

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 地産地消を徹底し、あくまでも鹿児島らしさにこだわる必要があり、鹿児島の魅力を発信する場所にしなければなりません。従業員は鹿児島弁を使い、観光客に鹿児島の魅力を語ることが求められ、そのことが鹿児島らしさの演出となります。

 季節を通して各種のイベントを開催し、観光客と市民が交流できる場所としての魅力づけが必要です。新年の振る舞い酒、節分、ひな祭り、こいのぼりの掲揚、七夕、夏祭り、月見、餅つき大会等日本の伝統的行事を意識した演出が人を惹きつけます。

 また地域色を全面に出し、市町村に関連した食材やおもてなしを提供することで、ふるさと出身者のたまり場となります。若者には、婚活や交流会などのイベントが話題性があり誘客に繫がり、メディアや映画の舞台として提供するのもPR効果を高めます。

 鹿児島市は北の札幌と並んで、都市型観光の魅力が集約された街です。公共空間の整備が進み、滞在して飽きない街の姿が整ってきました。近くを流れる甲突川周辺の加治屋町一帯は、西郷隆盛、大久保利通など近代日本の礎を築いた偉人を輩出し、「郷中教育」の源と言われる地域であり、「維新ふるさと館」は観光客に大変人気な施設です。

 夜は甲突川がライトアップされ一段と魅力的な一帯となりました。明治維新150年に向けて昼夜人が集まる地域にしなければなりません。

 ところで、新幹線の時間短縮効果は、ビジネスマンの日帰り出張を加速しています。屋台村の皆さんが鹿児島の魅力を語ることで、遠方まで足を伸ばし滞在するきっかけにもなります。今回全店休業日が設けられたことを活かして、お店の従業員を対象に県内を視察する研修の機会を設けて欲しいと思います。従業員の方は、意外と県内の魅力に触れる機会は少ないのではないでしょうか。

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 現在海外へは、ソウル、上海、台北、香港に週14便就航しています。隣県の宮崎には、ソウル、台湾、香港便が就航し海外からの誘客が一段と便利になりました。日本全体として外国人観光客が増加し、しかもFITが目立つようになりました。

 鹿児島市も例外ではありません。東アジアの人々は、外で食事することが習慣となっています。WIFIも使えるエリアであることから、店の方々も簡単な会話ができることで、外国人も安心して過ごせる場所となります。4カ国表示や観光パンフレットを置くなど立ち寄りたくなる場所であって欲しいと思います。

 屋台村の人気が定着することは、既存店との競合も発生します。地域全体で「おもてなしの心」を持ってサービスの向上に努め、相乗効果で来店客を増やして欲しいと思います。また、宿泊施設や運輸機関の関係者も積極的に屋台村をPRすることで、連泊を推進し、翌日の観光につなげて欲しいと思います。

 今秋には「第30回国民文化祭」が、2016年は薩長同盟150周年、2017年は「奄美・琉球」の世界自然遺産登録、2018年は、「明治維新150周年」の年となります。常に話題を提供を出来る場所が観光には必要です。

 「かごっまふるさと屋台村」が、「ふるさとの訛りが聞こえる」、「鹿児島に会える」場所であると、多くの人々に浸透していくことを期待します。

 人の世に たのしみ多し 然(しか)れども
                酒なしにして なにのたのしみ
                            ~若山牧水~

 今宵は、「かごっまふるさと屋台村」で友と語り、ゆっくり旅の一夜をお過ごしください。

No.359 上海線は鹿児島からの客をいかに増やすか~悠久の歴史に触れる旅を~

2015年4月27日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 春雨にぬれた木々の緑がいっそう鮮やかに見える季節になりました。早場米の田植えも終わり、田には一面に水が張られ、夏の頃の収穫に向け、これから雑草取りや定期的な肥料の散布が行われます。

       一点の 偽りもなく 青田あり    山口誓子

 田舎の庭先には赤、青、黒のこいのぼりや吹流しが空高く泳ぎ、学校帰りの子どもたちが立ち止まり眺めている姿が微笑ましく感じられます。日本の原風景がそこにあり、いつまでも残したい光景です。

 春は雨が多く草花の成長には恵みの雨ですが、満開の花は一夜風雨に晒されると、無残に散ってしまいます。中学校の国語の教科書に出てくる次の詩を覚えている方は多いのではないですか

                春暁     孟浩然
         春眠不覚暁        処処聞啼鳥
         夜来風雨声        花落知多少

[注釈] 春の眠りは心地よく 夜明けも知らないで寝てしまった。
    鳥のさえずりが聞こえてくる。昨夜は風雨が強かったようだ。
    せっかく満開になった花がたくさん散ったことだろう

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 ところで、4月1日から鹿児島~上海線が週4便体制となりました。定期路線があることは外国人誘致には不可欠であり、しかも増便は需要増につながります。中国東方航空系列の旅行社が商品造成に力を注いでおり、集客も好調に推移しています。

 全国的に中国人の伸びが顕著ですが、「爆買」と称される程ショッピングも旺盛であり、大きな経済効果をもたらします。中国人の買物は、かつては電気製品やデジカメ等が多かったのですが、最近では、地方の銘菓、薬、化粧品、赤ちゃん関連の衛生品等、安全・安心の日本の生活用品が大量に売れています。中国人の生活意識の変化が感じられます。

 鹿児島県は、温泉や自然景観、食等に恵まれていることや、上海に近いという利点もあり、今後も中国からの訪日客は順調に推移すると思われます。2年前に職員研修等で話題になった路線ですが、鹿児島県サイドの取組が中国側には好印象として捉えられ、今回の増便のきっかけにもなったのではと感じています。 

 ところで、海外の路線維持には双方向の利用促進が欠かせません。年内は予約状況が好調ですが、上海からの利用者に支えられているのが現状です。しかし、いつまでも一方通行では、経済状況の変化、行先の変更等で搭乗率の悪化を招くことも想定されます。鹿児島からの利用率向上を常に念頭におかねばなりません。

 小生は、1977年に初めて中国を旅しましたが、その後70回程度中国各地を訪ねました。中国の魅力について触れたいと思います。

 北には、初夏の頃のアカシヤ並木が美しく、ヨーロパの雰囲気が漂う街「大連」、日露戦争の戦場となり、司馬遼太郎の「坂の上の雲」に描かれた「203高地」のある「旅順」があります。

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 北京郊外にある「万里の長城」や「紫禁城」、「天壇公園」などはスケールが大きく、悠久の歴史を感じさせる中国ならではの醍醐味を感じます。

 内陸部には、河南省の省都「鄭州」の西部に位置し、世界遺産に指定されている「龍門石窟」のある「洛陽」がおすすめです。石窟にある『龍門二十品』は北魏時代のもので、日本の書道家はここの石窟に刻まれた字を見るために訪れます。

 「馬王堆古墳」で知られ、鹿児島市の姉妹都市である「長沙」は湖南省の省都で気候が温暖で、日系企業も多く商・工業都市として発展しています。毛沢東の生家は長沙市の南「韶山」にあり見学もできます。

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 西には、遣唐使の一員として阿倍仲麻呂が留学し、唐の時代は長安と呼ばれ、「兵馬俑」や「秦の始皇帝稜」で有名な「西安」があります。また、敦煌、ウルムチ、トルファン、カシュガルと東ヨ-ロッパへと続くシルクロードゆかりの地も必見の価値があります。

 是非おすすめしたいのが、シルクロードの分岐点として栄え、オアシス都市と知られる敦煌です。井上靖の小説「敦煌」の舞台である「漠高窟」や砂山が美しくラクダで巡る「鳴砂山・月牙泉」、日本でも送別会で披露されることが多くある王維の唐詩「送元二使安西」で有名な「陽関」があります。

 南には、少数民族が住む「昆明」があり、カルスト地形の奇岩が立ち並ぶ「石林」が世界的に知られています。また、昔からの中国の貿易の拠点であり春秋の交易会が開かれる「広州」、水彩画の世界に浸り「漓江下り」が美しい「桂林」など、魅力ある都市が中国には点在しています。

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 上海近郊では、日本企業が多く進出している「蘇州」が有名です。日本では除夜の鐘で知られ、張継の「楓橋夜泊」に詠われた寒山寺が有名です。上海は中国一の商業都市で、近代ビルが立ち並び日々変化している街に世界中から人が集まっています。

 ところで、日本と中国との間には、様々な政治的問題が絡んでいますが、観光はそれを乗り越えねばなりません。日本と中国は長い歴史の中で多くの往来があり、様々な文化を育んできました。平成14年当時は、県内の30校余りの公立高校が中国への修学旅行を実施していました。その後同時テロの発生で行先が変更になりましたが、今では1学年の定員も少なくなり定期便で輸送できます。海外修学旅行の復活を望んでいます。

 これから秋にかけて、中国への観光はベストシーズンとなります。中国東方航空は上海を基点に中国全土に広く就航しており、乗継も便利です。

 日本人の国内旅行は成熟しており、人口減少等を考えると日本人の宿泊客の大きな伸びは期待できず、外国人誘客が大きな課題になります。昨年の訪日外国人総数は1,341万人で、中国人は240万で前年比83.3%の伸びとなっています。

東方航空飛行機.jpg

 中国の人口の数等を考えると、これからも中国人観光客は、ますます増加すると予測され、鹿児島は地理的条件からも他県に比べて恵まれています。4便体制の維持には県民の利用が欠かせないと考えています。3000年の歴史に刻まれた中国各地に足を延ばし、悠久の歴史に触れてください。

 まもなくゴールデンウイークがやってきます。楽しい休日をお楽しみください。次回は連休明けの5月11日(月)から配信します。

No.358 ゴールデンウイークはどこに行きますか~県内の魅力に触れる機会に~

2015年4月20日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 桜島が連日噴煙を上げ爆発回数も350回を超え、活発な動きを見せており、年初には風評被害で観光客の減少が見られました。最近はPRの強化や皆様の口コミ効果もあり、少しずつですが現状が理解されてきており、落ち着いている感じです。 外国人観光客の姿が顕著です。

 これから風向きが変わり、鹿児島市方面への降灰が多く見られるようになります。冬から春にかけては大隅方面へ、夏から秋は鹿児島方面へと気象の変化に左右されます。

 県外観光客は、近い場所にある桜島が噴火し、灰が降る光景に驚き、偶然の自然現象に感動しカメラを向けています。垂水市では火山灰を缶に詰めて売り出しており、記念に買い求める人もいます。負の遺産をプラスに変えている事例です。自然現象は変えることはできませんが、見せ方によっては大きな観光資源となります。

 ゴールデンウイークが近づきました。4月29日が水曜日にあたるために、30日と5月1日を休めば、8日間の休みとなります。例年ゴールデンウイークは、近場への家族旅行が増えるのが特徴です。県内には家族で楽しめるイベントとして、「第5回夢追い長島花フェスタ」、「2015吹上浜砂の祭典」、「かのやばら祭り2015春」等があります。

 長島花フェスタは、今年が長島町合併10周年に当たることから、例年にも増してフラワーロードが整備されています。長島町の町づくりは、集落単位で花づくりが推進されており、至る所に美しい花壇が見られます。また、サンセットの丘、川床ふれあいの郷会場では、広い花畑のじゅうたんが見られます。

 名産品の「ふかしじゃがいもの」の試食も楽しめます。黒之瀬戸大橋を渡ると、そこはフラワーアイランドであり、島一周のドライブコースも楽しめます。道の駅等では、取れたての魚を味わうことができ、お土産物として地産品が豊富です。帰りに近隣の阿久根駅や出水の武家屋敷等も訪ねてはいかがですか。

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 南さつま市で開催される「砂の祭典」は、金峰町の「砂丘の杜きんぽう内特設会場」が舞台であり、今年は「ハッピードライブ」がテーマです。メインの砂群は、8m級1基と6m~2m級25基で、夕刻に開催される音と光のフンタジー(5月1日~6日)は必見の価値があります。小学生、中学生、国内選手権大会の砂像群や体験コーナーもあり、子供連れにも楽しい時間が過ごせるのではないでしょうか。

 見学後はいにしえの趣を感じさせる大当の石垣群や、歴史の町坊津まで行くことをおすすめします。輝津館(きしんかん)の展示品をみると、密貿易で栄えた頃の文化財があり脈々と息づく先人たちの足跡を知ることができます。坊津一帯の海は漁場に恵まれ、太公望にも人気です。

 大隅半島での大きなイベントの一つが、4月25日~5月31日に開催される「かのやばら祭り2015春」です。かのやばら園は、8haの広大な敷地に5万株の色とりどりのばらが咲き誇り、日本最大級のばら園です。園内では切り花の体験もできます。

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 また、「薔薇カレー」や「ばらソフト」を食したり、ショッピングも楽しめます。近くの公園からは鹿屋航空基地を望むこともでき、帰りに史料館の見学がおすすめです。戦時中の特攻基地の様子や、日本の防衛体制の概要も知ることができる施設です。

 4月25日~26日には「2015エアーメモリアルinかのや」が開催され、多くの入場者が見込まれており、体験搭乗や現役の航空機も真近で見学できます。大隅半島へは、アクセス等不便性もあり、県民が行く機会が少なく大隅の魅力が浸透してないのが残念です。イベント見学の機会に周辺を観光することで、大隅地域の魅力に触れる絶好の機会になるのではないでしょうか。

 九州本島最南端の佐多岬は取り付け道路が無料化されたこともあり、行き易くなりました。沿線の神川の大滝、雄川の滝、パノラマパーク西原台、内陸部にある花瀬の渓谷等は薩摩半島にはない魅力があります。大隅側の錦江湾しおかぜ街道を下りながら、錦江湾に沈む夕日や開聞岳の雄姿も格別です。道の駅等も随所にあり、地元産品が揃っています。是非、大隅地域に足をお運びください。

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 ところで、「観光かごしま大キャンペーン推進協議会」では、「かごしまフロ(風呂)マラソン」のスタンプラリーと「桜島七十七景」眺望スポットを大募集しています。フロマラソンは県内5地域の温泉を巡る企画ですが、大分県に次いで第2位の温泉県鹿児島の魅力を県民の皆様にまず体験していただきたい。



 桜島七十七景は、鹿児島最大の観光資源である桜島の魅力を再認識し、桜島の絶景とともに、地域の自然、歴史、食、特産品等を一緒にPRし、新たな誘客に繋げるものです。今年のゴールデンウイークの予定が無い方は、ぜひこの企画にチャレンジしてください。各地のイベントに参加する楽しみも増えるのではないでしょうか。

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 ゴールデンウィークに観光客を呼ぶには地元の人たちも知恵を出し合い、工夫をこらしたメニューづくりが必要です。ターゲットとしてまず鹿児島市からの誘客に力を注ぐべきです。地域資源を点検し、磨き、地域のブランド力を高める取組が今強く求められています。地域の人たちが住んでいる何気ないまちの日常生活や祭り、イベント、特産品、食等新たな視点と感性で商品価値を創り出し、需要拡大を図りたいものです。


 参考資料:①かごしまフロ(風呂)マラソン、②桜島七十七景眺望スポット大募集

No.357 広告の規制や看板の統一がまちの魅力を醸し出す~これから街づくりに欠かせないものとは~ 

2015年4月13日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 1週間前まで県内の観光地を彩っていた桜の花が、風雨にさらされ、いつのまにか葉桜となり、変わって山の新緑が一段と美しい季節となりました。自然の移ろいは早いものです。

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 霧島高原の「まほろばの里」の芝桜が満開となり、紫の絨毯を敷いたような光景は、自然の色の美しさとともに、周りの緑の木々とのコントラストが見事です。切子制作や焼き物の体験もでき、家族で楽しめる施設です。長島町では沿道の至る所に植えられた花が開花し、ドライブを楽しませてくれます。「夢追い長島花フェスタ」も始まりました。是非皆さんでお出かけください。


 これから家々の庭から「こいのぼり」が高く泳ぐ姿が見られ、地方に出かける楽しみが増えます。最近では、川岸にポールを立てて、家庭で眠っている「こいのぼり」を泳がせている地域もあり、美しい日本の原風景がいたるところに見られるのはうれしい限りです。

 また、おぼろに景色がかすむ様子は日本の春の風景です。下の唱歌が浮かんできます。
          朧(おぼろ)月夜   作詞:高野辰之  作曲:岡野貞一
  1 菜の花畠に   入り日薄れ   見渡す山の端(は)  霞ふかし
      春風そよふく  空を見れば   夕月かかりて    にほひ淡し

  2 里わの火影(ほかげ)も  森の色も   田中の小路を  たどる人も
      蛙(かわず)のなくねも  かねの音も  さながら霞める  朧月夜

   歌の場所は、現在の長野県飯山市の付近で、作詞者の高野辰之が小学校に通う途中に見 た菜の花畑を思い出して作詩したと言われています。

  与謝野晶子は春の情景を菜の花に託して次の歌を詠んでいます。
      「はてもなく 菜の花つづく 宵月夜 母が生まれし 国美しき」

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 ところで海外で感動する光景に、広告や看板がなく、ゴミが無くて落ち着いた美しい雰囲気を醸し出している観光地があることです。オランダのチューリップ畑、スイスのアルプスへの登山電車の沿線風景やドイツのロマンチック街道、アメリカやカナダのロッキー山脈周辺、バンフなど景観に配慮したまちづくりが施されています。

 日本でも景観法が施行され、その対象は多岐にわたっています。基本理念には、《良好な景観は国民共通の資産》であると位置づけられており、地域の自然、歴史、文化等、地域の特性や特色を伸ばす必要性が指摘されています。

 景観を守ることは、観光まちづくりの根本をなすものと考えます。いちき串木野市と、日置市が景観法に基づく景観行政団体となったことから、両市の景観づくりが動き出しており、市民向けのセミナーも開催されました。

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  「薩摩藩英国留学生記念館」がある羽島は150年前、19名の留学生が船出した港であり、その雰囲気を復活すべく整備が始まりました。また日置市の「美山地域」は、薩摩焼発祥の地であり、博物館、古民家、工房、竹林等があり、落ち着いた街の雰囲気が魅力です。

 電柱の地中化、駐車場の整備、看板等の規制などに取り組み、県を代表する景観保護モデ地域として発展していくことを望みたい。鹿児島市内から30分余り、観光客誘致には便利な場所です。

 鹿児島市は錦江湾をはさんで、目の前に雄大な桜島がそびえ、その景観は世界に誇れるものです。しかし、いつのまにかその雄姿がさえぎられるポイントが増えており、高さ制限の必要性を感じます。

 県内の有名な観光地でも、旗の林立や派手な商品広告にがっかりさせられることがあります。看板の大きさ、字体等を統一する等、公共空間や公的施設を整備する際には配慮が必要です。

 全国的に景観形成に積極的に取り組んで成功している事例として、「伊勢市」、「川越市」、「彦根市」、「松本市」、「長野県の小布施町」などが上げられます。これらの街は、屋外広告物の表示・掲出の制限等を行っています。歴史や自然を活かしたまちづくりを促進するため、市街地の建物の高さを制限し地域の特性を活かした取り組みを進め、観光客誘致に努めています。

 県内では、武家屋敷群の残る「出水」、「入来」「知覧」は、「伝統的建造物群保存地区」として広告や旗等を制限しており、四季折々の魅力が醸し出されます。

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 宿泊地では各ホテルの標識や位置を、ひとつの看板にまとめることで十分と考えます。インターネットの普及やカーナビを装置した車が多くなり、目的地の検索は容易になっており、「黒川温泉」、「由布院温泉」はすでに実施しています。


 景観を維持していくために、地域の体制やまちづくりをどのようにすすめていくか、市民を交えた議論も重要です。今まで景観の重要性について考える機会や、その背景も希薄であったと思います。

 県内には28の有人の離島がありますが、広告のない島があっていいのではないでしょうか。全国的に注目されることで、住民の意識も変わりPRにもなります。

 子どもの頃から景観保護の重要性を、学校教育で教えることも大切です。美しい景観が地域の誇りであることを認識し、地域の景観形成についてどのようにして合意形成を進めていくか、先進地を研究する必要もあります。美しい景観を、先祖代々まで残していくことが、我々の責務であると考えます。

No.356 地方創生事業で誘致間競争は激化する~持続可能な地域が勝ち残る~

2015年4月6日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 今年の鹿児島の桜は予想に反し、全国で一番早く開花となり、満開の桜の下で、美しい日本の春を楽しんでいる方が多いのではないでしょうか。桜前線はこれから日本列島を北上し、北海道に上陸するのは5月になります。桜は日本人が最も愛する花の一つです。

 六歌仙の一人である在原業平は、桜を次のように詠んでいます。
「世の中に 絶えて桜のなかりせば 春の心は のどけからまし」
                             ~古今和歌集より~

 この世の中に全く桜の花がなかったならば、春を迎える人の心は、おだやかでいられるだろう。と訳されますが、実際は美しい桜があるせいで、いつ咲くだろうか、いつ散ってしまうだろうかと、どうか散らないでほしいと心配しながら過している。という意味に解釈されています。「美しい花よどうぞ散らずに、このままずっと咲いいてほしい」と、はかない桜の命を惜しむ思いをこめており、裏返しの意味で表現した歌です。

 平安時代の歌人で、江戸時代の松尾芭蕉が最も影響を受けたと言われる「西行法師」は
「願わくは 花の下にて春死なん そのきさらぎの望月の頃」
と詩っています。

 情熱の詩人「与謝野晶子」は
「清水へ 祇園をよぎる桜月夜 こよひ逢ふ人 みなうつくしき」
と夜桜に映える京都の街や行きかう人々の楽しい姿を詠んでいます。日本人の心が伝わってくる情緒豊かな詩ではないでしょうか。

 また、桜は文部省歌や校歌、歌謡曲にも多く取り上げられています。「弘前城のしだれ桜」、「福島県三春町の滝桜」、「岐阜県根尾村の薄墨桜」、「伊那市の高遠城址公園の桜」は全国的に知られた桜の名所です。

 桜前線を追うように桜のツアーも北上していきます。2ヵ月間に渡り、花のツアー企画ができるのも、桜の花だけだと思います。これほどまでに日本人の心を惹きつける桜の魅力とはなんでしょうか。冬の寒さに耐え、土筆が芽を出す頃美しく咲いて、ぱっと散るところが、日本人の心を捉えます。

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 アメリカ合衆国の首都ワシントンD・Cのポトマック河畔の桜並木は、世界の名所の一つになっています。1912年当時の尾崎行雄東京市長がプレゼントして植えたもので、今では盛大に「桜まつり」が開催され、「桜の女王」が選ばれる等全米から観光客が訪れます。

 ところで、観光庁より「宿泊旅行統計調査」の平成26年年間値(暫定値)が発表されました。調査によると、鹿児島県の延宿泊者数は7,584千人泊で、3,57%増となり、うち外国人は、269千人泊で25,28%増となっています。(全施設を対象にした実績)

 九州内における延宿泊者数の順位は、福岡県に次いで第2位となり、平成25年からこの位置をキープしています。4回の台風襲来や大きなイベントがない中で、前年を超えることができたことは、関係者の誘客の努力に加えて、鹿児島県の魅力が定着しつつあると感じています。

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 全施設を対象とした統計ではあることから、小規模施設への入込状況も把握できます。個人旅行化が進み、また旅行ニーズが多様化している中で県内各地域への分散傾向も見られ、少しずつではありますが、受け皿づくりが整いつつあると感じます。九州新幹線開業による時間短縮効果もそれを可能にしています。



 また、「拠点地域(指宿・霧島・鹿児島)発の広域観光周遊ルートづくり」、「かごしま・風呂マラソン」、「桜島七十七景ルートづくり」、着地型メニュー等を充実させて、地域への誘客を進めなければなりません。

 外国人延宿泊者数は大きく伸びましたが、九州の中では第5位となっています。全国的には、外国人の宿泊者数は30,8%の伸びであり、4つの海外路線を持つ鹿児島としては、もっと伸びる要素があります。

 韓国人の入込数で大きな差が出ており、熊本まで来ている外国人をいかにして鹿児島まで誘致できるかにかかっています。課題は、鹿児島までの交通費であり、新幹線の特別料金の設定や福岡空港と鹿児島空港を発着としている同一キャリアを活用することで、効率的ルートの設定が可能となります。

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 上海線、香港線の増便や、新たに宮崎~香港線の就航等は追い風となります。個人旅行が増加しており、外国語表記、免税店の対応改善などさらなる誘致策が求められます。



 ところで貸切バスの新運賃制度が本格的に導入され、バス料金が30%程度アップしています。企画商品を中心に集客状況が懸念されますが、料金値上げは、乗務員の待遇改善や安全運航確保の必要条件であり、事業者、エージェントも消費者に理解してもらう努力が必要です。

 地方創生事業で、旅行商品の割引や地域商品券など、多くの県が観光客誘致にしのぎを削っています。割引のみでは一過性の客となる懸念があり、訪れる方に感動をもたらしリピーターに繋げる「おもてなし」が大切です。「本物。鹿児島県」を提供し、「一期一会」の心で対応しなければなりません。

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 今年は「世界文化遺産」登録や「第30回国民文化祭」が開催されることから誘客の目玉はそろっています。特に国民文化祭は、43市町村が競って誘客に努め、我が町をPRする機会としなければなりません。

 地域資源を点検し、ストーリー性を持った商品開発が不可欠であり、常に話題を提供し、進化し続ける地域であることをPRし、官民一体での努力が求められます。そのことが持続できる地域になる要因ではないかと思います。23年から4年連続で鹿児島県の宿泊客数は伸びています。27年も慢心することなく、誘客に努めたいものです。

No.355 「第30回国民文化祭」を「明治維新150周年」につなげよう~市町村の事前取組が課題~

2015年3月30日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 今年は、国、最大の文化イベントである「第30回国民文化祭」が、10月31日から16日間、県下43全ての市町村で開催されます。テーマは、「本物。鹿児島県 ~文化維新は黒潮に乗って~」、また、愛称は「ひっとべ!かごしま国文祭」となっています。 

 国民文化祭は、全国各地からアマチユアを中心とした文化団体や愛好者が集まり、各種文化活動の成果や発表・競演・交流することにより、国民への文化活動への参加の機運を高め、新しい芸術文化の創造を促すことを目的に開催されてきました。 

 鹿児島開催まで半年あまり、県民あげての盛上げが必要であり、各市町村の事前取組が 大会の成功を左右すると考えていますが、住民への浸透度は今一歩です。主要拠点にカウントダウンボードも設置されました。文化、教育、観光、農水産業、商工関連団体等が連携強化して我が町の魅力を発信し、参加者増を図らねばなりません。

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 文化イベントは、スポーツイベントに比べて市民の関心が低く、集客に苦労します。国体等代表選手が参加する大会には経費等の補助がありますが、国民文化祭は趣味を同じにする人たちの発表の場であり、自費参加が主体となっています。


 ここに国民文化祭に対する集客の厳しさがあり、いかにして各事業への参加者を増やすかが問われています。県では国民文化祭のイベントを通して、多くの人に鹿児島に来ていただく対策として、地方創生に関連した予算も計上され、団体の参加を促すことにつながると思います。

 昨年の秋田大会の経済波及効果は133億5500万円とする推計を、秋田銀行のシンクタンクである「秋田経済研究所」は発表しています。鹿児島県が誇る歴史、温泉、自然遺産、食等は、秋田県に優るとも劣らない魅力が十分揃っています。九州本島最南端の県と言う魅力も活かし、関連団体への事前のPRが何よりも大切です。

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 6月には、「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」の「世界文化遺産」登録が予定されており、鹿児島市内にある5つの関連施設が対象で、登録が実現すると、「世界文化遺産」の視察を兼ねて多くの参加者があると期待され、国民文化祭の開催にも弾みがつくことが想定されます。

 薩摩藩は、明治維新の原動力となった多くの偉人を輩出し、「旧集成館事業」や「薩摩藩英国留学生」、「郷中教育」等の歴史に触れることで、薩摩の文化の高さや先進性を学ぶことができるのではないでしょうか。また、食、祭り、くらし等地域文化を情報発進することで、行って見たい大会としての魅力付けが大切になっています。各市町村が競争と協調を図り、文化祭終了後にわが町への誘地を図る努力も求められています。

 鹿児島県は南北600キロに広がり独特の文化を育んできました。中でも焼酎は、110余りの蔵元と2000を超える銘柄があり、地域に根付いています。与論では与論献奉という独特のおもてなしの手法で接待します。

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 県議会においては、本格焼酎の産業振興とそれに関する郷土の伝統文化への理解の促進を図るため「かごしま本格焼酎の産業振興と焼酎文化でおもてなし条例」を制定し、平成26年1月1日から施行されました。参加者と住民との交流の機会を多く設け、地域ならではの「ふだん着のおもてなし」が求められています。

 一方インバウンドに目を向けると、円安やビザ取得要件の緩和、和食の「世界無形文化遺産」登録、「安全安心の国日本」への関心が高くなり、外国人が急増しています。県内在住の外国人にも、鹿児島の文化の発信者になってもらうことも大切です。本県では、ソウル、上海、台北、香港の4国際航空定期路線があり、また、市町村は姉妹都市との交流を定期的に進めており、国民文化祭を機に海外からの参加者を増やし、さらなる文化交流も深めてもらいたいと思います。

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 大会のテーマは、南に広がる鹿児島のイメージを象徴しています。県内に28の有人の離島があることは意外と知られていません。大会後に離島を訪れる参加者が多くなることが期待されます。「奄美・琉球」は、平成29年の「世界自然遺産」登録を目指しており、PRのよい機会となります。



 国民文化祭を開催することで県外の出演団体に加えて、交流の機会の場が増えることは、地域の活性化につながることが期待されます。また、地域文化の継承には後継者の養成が不可欠で、子どもやお年寄りの出演の機会をつくることが求められています。そのことで、地域の伝統文化を学ぶ、郷土愛を育てることになります。

 「世界文化遺産」登録、来年の「薩長同盟150周年」、鹿児島を舞台とした2017年の「NHK大河ドラマ」の誘致、そして、2018年の「明治維新150周年」につなげる国民文化祭にしなければなりません。「第30回国民文化祭」の成功が、これからの鹿児島にとっても重要なインパクトになるイベントであることを認識し、県民一人ひとりが参画意識を強く持ち「おもてなしの心」で迎えたいものです。

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 『木曽路はすべて山の中である。あるところは岨(そば)づたいに行く崖の道であり、あるところは数十間の深さに臨む木曽川の岸であり、あるところは山の尾をめぐる谷の入口である。一筋の街道はこの深い森林地帯を貫いていた。』
              夜明け前:島崎藤村

*小説「夜明け前」の冒頭の部分です。今では観光地となっている馬籠と妻籠が舞台です。
*鹿児島大会では、「最南端佐多岬旅の文学フェスティバル」が南大隅町で開催されます。

No.354 離島の活性化に若者の発想を生かす~変わらない美しい自然と人々の温かさ~

2015年3月23日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 先日、奄美海運が運航する新造船「フェリーきかい」の就航記念披露会に出席しました。新造船は2,500総トン型で、旅客定員196名、トラック18台、乗用車11台、コンテナ60個を積む能力があり、従来の船よりも高速運行が可能となりました。


 バリアフリー化や各種の設備を整え、鹿児島~喜界~名瀬~古仁屋~平土野~知名の奄美群島の各港を結びます。小生の学生時代の頃に比べると、離島航路は船の大きさ、設備、スピード等格段の進化を遂げています。

 40数年前から訪れている離島の魅力について触れたいと思います。鹿児島県は南北600kmに広がり、また、28の有人離島が点在し、独特の文化や日本では珍しい生態系が見られます。昭和47年に沖縄が日本に復帰するまで、与論島が日本の最南端の島であり、都会から女子大生を中心に多くの若者が訪れていました。昭和45年の奄美航路の利用者は、約35万人で43年の3.5倍にも達し、離島ブームの到来を感じさせてくれました。

 高校時代から地理という科目が好きで、将来は高校の社会の先生を夢見ていました。大学入学後、迷いなく入部したのが「地理学研究会」でした。部員は20名足らずでしたが、各県出身の旅好き仲間が集まり、アルバイトの資金で、休みの度に離島の生活・文化の調査を兼ねて合宿を行っていました。   

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 奄美航路の船はデッキまで人が溢れるほど混んでおり、佐多岬を過ぎ、大海に出ると大きく揺れましたが、夏場は潮風に吹かれながら満天の星空を眺め、ざこ寝した思い出が懐かしく思い出されます。早朝の名瀬港は荷降し作業や出迎えの人でごった返し、「島育ち」の曲が流れ、今とは考えられないほど賑わっていました。

 南海の海はコバルトブルーに輝き、ズーニーブーの「白いサンゴ礁」という曲が若者の心を捉えて、与論の浜辺では水着姿の若者が闊歩し、民宿も多く誕生し、商店街はさながら与論銀座の様相を呈していました。

 我々のクラブ活動は離島の人口動態、経済、生活等の調査が目的であることから、自治体は、集落の公民館等を好意的に宿舎として提供してくれました。農家を訪ねると、黒砂糖やお茶でおもてなしを受け、島の人々の温かさに胸が熱くなり、日本にこんなに素晴らしい地域があるのだと部員で語り合ったことが懐かしく思い出されます。

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 昭和44年の沖永良部島での調査では、発見されてまもない「昇竜洞」を見学することができました。十分整備されていない洞窟の中は、裸電球が付けら島の住民が案内役をかってくれました。昇竜洞の美しさにただ目を見張るばかりで、今ではケイビングツアーのメッカとして全国的に知られるようなりました。

 研修先として次の訪問地の与論島に渡る計画でしたが、南方海上で台風が発生し急遽台風を避けて帰ることになり、島の西側の伊延港に移動して、沖合に停泊している船にはしけで渡り帰途につきました。当時から伊延港は避難港としての役割を果たしていました。離島の生活環境の厳しさに触れた出来事でもありました。

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 屋久島合宿では、安房からトロッコの軌道を小杉谷まで15キロを5時間かけて歩きました。縄文杉(当時は大岩杉)や大王杉は今ほど有名ではなく、途中の小杉谷荘(今は廃業されている)が、宮之浦岳登山客で賑わっていました。


 昭和45年、自然保護運動の高まりの中でヤクスギ伐採も終わり、営林所や家族が住んでいた小杉谷集落、そして小杉谷小・中学校も廃校となりました。訪ねた頃は校門跡に残された記念碑や、生徒たちが走り周った校庭に残る僅かのグランドが、賑わっていた時代を物語っていました。今では雑草が生え、昔を知るすべもありません。

 林芙美子の小説「浮雲」は屋久島が舞台ですが、自然の美しさは46年前とあまり変わっていないと思います。平成5年日本で初めて「世界自然遺産」に登録され、多くの観光客が訪れていますが、今の自然環境を守って行くことが、屋久島の価値を高めることになると信じています。

 その後も喜界島、奄美本島、徳之島、甑島、種子島、新島と休みの度に各島を訪れ、美しい海、人々の温かい心に触れすっかり離島のファンとなりました。離島の魅力を国内外の人々にPRしたい思いで就職活動を行い、結果として旅行エージェントに籍を置くこととなりました。

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 営業活動で離島を訪ねることも多く、修学旅行の添乗では、生徒を港から沖合の定期船迄、漁師の協力も得て小さなはしけで運ぶこともありましたが、今では港の改修で大型フェリーの接岸が可能となり、浴場や個室を備えた豪華船となり、隔世の感があります。

 仕事で多くの国々や全都道府県を訪ねましたが、鹿児島の離島の魅力は世界に誇れるものがあると思います。今年秋には「第30回国民文化祭」が、全市町村で開催されます。全国から多くの参加者が離島を訪れることを期待しています。

 2017年に「奄美・琉球」が「世界自然遺産」登録を目指しており、登録後は屋久島と奄美群島をつなぐ新たな観光ルートの誕生が期待されています。奄美群島全体の観光振興につなげたい思いです。

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 離島の島々は国防の観点からも、住民が暮らし続けていける環境を保っていくことが重要なことです。人口減が顕著となり、交流人口の拡大が不可欠となっています。今離島の自治体にとっても、大学とコラボして、商品開発や情報発信に努めることが地域活性化につながるのではないでしょうか。

 スポーツ合宿、ゼミの研修先、避暑地としての役割も果たせるものと思います。学生時代の貴重な離島体験が今でも役立ち、私の人生の原点は、大学時代のクラブ活動にあると思っています。

      春の岬  旅の終りの  かもめ鳥
                        浮きつつ遠く なりにけるかも
                               ~三好達治(『測量船』)~

No.353 甑島(こしきしま)が新たに国定公園に~多様な海岸景観が観光客を魅了する~

2015年3月16日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 薩摩川内市の西に位置する甑島は、多様な海岸景観をはじめとした景観等が評価され、「甑島国定公園」として、3月16日誕生します。国定公園は、日本において国立公園に準ずる景勝地として自然公園法に基づいて、自然の保護と利活用を目的に指定される「自然公園」の一種です。 今回の指定は国内で57カ所目、鹿児島県内では、奄美群島、日南海岸に続き3カ所目の国定公園となります。


 甑島周辺沿岸が日本の重要湿地500に、鹿島断崖に見られる特異な地質構造である「甑島の白亜紀―古第三紀層」が日本の地質100選にされています。また、「甑島の鹿の子断層」が日本の地質構造100選に選定されるなど、その自然環境は高く評価されています。

 薩摩川内市の川内港から「高速船甑島」で40分で上甑島の里港に到着します。高速船は、JR九州の観光列車を手掛けている水戸岡鋭治さんデザインによるもので、話題性に富み多くの利用客で賑わっています。

 甑島は、上甑、中甑、下甑3島などからなり、現在中甑島と下甑島を結ぶ架橋が平成29年の開通を目指して工事中であり、完成後は島が一つに結ばれてさらに魅力が増すのではないでしょうか。

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 最初に船が着く里港は里の中心地です。里は島の中では、平坦地が多く美しい入り江と自然が造った景勝地がいたるところにあります。里はトンボロと呼ばれる地形の上に発展した町で、海底の砂礫が海岸流によって運ばれ、波の作用によって水面上にあらわれたものです。函館市も同じような地形の所に発展した町です。

 里町には、丸い石を丹念に積み重ねた玉石垣の美しい街並みが残っており、昔の風情が感じられる通りがあります。その石垣から四季の花々が顔を出し観光客を和ましてくれます。上甑島の「長目の浜」は、およそ4キロにわたって延びる砂州とその内陸部に並ぶ、なまこ池、貝池、鍬崎池という3つの池からなる甑島有数の景勝地です。

 上甑と中甑を結ぶ「鹿の子大橋」から見る夕日は、絶賛に価します。浦内湾には30キロを超えるクロマグロが、いけすの中で養殖されており、漁師の巧みな手さばきで一瞬のうちに捕獲され、内蔵を取りのぞき大きな箱に格納されていきます。

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 定期的に大都市圏の市場に出荷しています。甑島はクロマグロの養殖場としては、水温、海流、海面の深さなど好条件に恵まれた場所であり、漁場拡大が今後の地域経済への発展につながると思います。


 下甑島の入口にある鹿島海岸は、高さ200mにも及ぶ険しい断崖が続き、池矢崎、門口、鶴穴など様々な名称の奇岩や大岩が点在し大自然の威容を見せています。断崖絶壁の岩の巣には、ウミネコが生息しており、クルージングをしながら餌をやる体験ができます。船上からきびなごの餌を空中に投げると、あっという間に餌を捕まえて飛んでいきます。その姿は壮観であり学生が喜ぶ海の体験の一つになります。

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 また、市の花にも指定されている鹿の子百合の自生地もあります。初夏になると、二シノハマカンゾウが黄色い花を咲かせます。鹿の子百合はそのあとを追うように、草原一帯に、薄紅色の花がじゅうたんを敷きつめたように咲き乱れます。百合の野生の花や球根を取ることは禁じられています。

 昼食を港の近くの浜辺で、取れたてのあじやきびなご、いかなどの海の幸のバーベキューをいただくのも島ならではの醍醐味です。

 甑島で忘れてならない魚にキビナゴがあります。近海で獲れたキビナゴは、その日のホテルの朝食に並びます。刺身やちょっと火であぶることで甘みが残り、おいしく食べられます。メニューに工夫をこらし観光客に提供することで、島のブランド品にもつながります。

   数年後には中甑島と下甑島が橋で結ばれますが、完成後は里から下甑島の手打まで2時間程度となり島も大きく変貌すると思います。下甑島には、ナポレオン岩、瀬尾観音三滝等の景勝地に加えて、椋鳩十の小説「孤島の野犬」の像、「おふくろさん」の歌碑もあり、観光客にとっても魅力のコースです。また、テレビドラマ「ドクターコトー」のモデルとなった医師と診療所があり、写真を撮る観光客の姿も見られます。

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 甑島では「地域おこし協力隊」が頑張っており、関西・中国地域から新幹線と高速船を利用した観光客誘致に努めています。今後のさらなる観光客誘致を図るためには、国定公園の島として何が売りなのか、他の島にない魅力をPRすることです。


 素朴な自然を活用した体験メニューを充実させ、都会の人々と島の人々との交流の機会を増やすことが重要です。また、大学生の地理や地学のゼミ研修場所として最適な場所です。 一方では、国定公園指定を受け地域の自然を守る取組も強化しなければなりません。島を上げて国定公園指定を喜び、観光客を温かく迎える心を醸成したいものです。

                資料:薩摩川内市ホームページ、薩摩川内観光マップ

No.352 安全で快適なバス旅行を提供するために~新制度定着には、消費者への周知と理解を深める努力を~

2015年3月9日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 平成24年4月に発生した高速ツアーバス事故等により、貸切バス市場の現状について様々な問題が提起され、改善を図るべく新しい運賃・料金制度が平成26年4月から実施されました。今まで貸切バス料金は、「時間制運賃」、「キロ制運賃」、「時間・キロ選択制運賃」、「行先別運賃」を採用していました。

 今回の制度の見直しは、貸切バスの安全性向上への取組であり、それに伴い運賃制度を根本的に見直し、安全と乗務員の労働環境改善コストを反映したものです。

 新しい運賃制度の概要は下記の通りです。
1.時間制運賃とキロ制運賃を合算として計算
①時間制運賃
バスの出庫から入庫までの時間に、出庫点検・帰庫点検の各1時間ずつ合計2時間を加えて、時間制運賃を乗じることになります。(最低保障として、3時間に点検時間の2時間を加算した5時間です。)
②キロ制運賃
バスの出庫から入庫までの距離にキロ運賃を乗じます。

2.料金の種類
①深夜早朝運行料金
22:00~5:00に係る運行は、その係る時間については2割を限度とした割増料金が適用されます。
②交替運転者配置料金
長距離・長時間・夜間料金運行など安全運行のために交替運転手を配置した場合に適用されます。*各運輸局が公示した料金になります。
③特殊車両割増料金
サロンカー、リフト付バス等は運賃の5割以内の割増しを限度として適用されます。
④ガイド料、有料道路、航送料、駐車料金、乗務員宿泊料などは、実費負担となります。

3.行政処分が厳しくなります。(平成26年7月から)
①バス事業者
初違反 ⇒ 20日間の車両使用禁止 再違反 ⇒ 40日間の車両使用禁止
②旅行事業者
貸切バス事業者が、届出運賃違反で行政処分を受け、旅行業者の関与が疑われる場合、地方運輸局より国土交通本省を通じて観光庁に通達され、旅行業者等に対して立入検査等旅行業法に基づく措置が講じられます。(資料:日本バス協会)

 従来から貸切バス運転手の労働環境は厳しく、早朝に車庫を出て深夜に車庫に帰ることも珍しくないことです。また、駅に団体を送った後すぐに新しい団体を乗せるなど綱渡りの業務もあり、道路渋滞などでは迎えの時間に間に合わないこともしばしばです。

 貸切バス業務は厳しい労働環境にあることから、バスの運転手の後継者不足は深刻であり、運転手の高齢化も進んでいることから、10年後は貸切バスの運転手はいなくなるのではとあるバス事業者は懸念していました。

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 今回の改正は、バスの安全な運行に欠かせない最低限のコストや運転手の労働環境を加味して設定されています。バス事業者、旅行業者のより強いリーダーシップが求められています。労働環境を改善し、雇用確保が図られることも重要です。今回の新運賃導入を契機に、事業者、バス利用者双方がメリットを享受しなければなりません。 

 ところで平成26年4月に導入された料金制度は、新規契約から適用されます。料金アップに特に影響を受けるのが、1日遠足や修学旅行の学校行事です。修学旅行は旅費の上限が各自治体で決められており、その範囲で行ける行先を選択してきました。関西・中国地域からは修学旅行の新幹線専用列車の運行が始まり、運賃・料金が半額となることから鹿児島への修学旅行が実現しました。

 今度バス旅金がアップすることから、平成27年度秋の実施分から影響が出ると思われます。旅費の上限が変わらなければ、3日間バスを活用した日程を、変更しなければなりません。対策として、1日は自由散策等を入れることで軽減が図れます。鹿児島市内のボランティアガイドを活用した「まち歩き」や、「シティビューやまち巡りバス」を利用したツアーや、農漁業体験を1日組み入れて、民泊を体験するのも対策の一つです。

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 駅から民泊先が近い出水地域では、バス代が掛からないことをメリットとして誘致対策の強化が求められます。1日遠足のバス旅行は身近な行事であり、教育委員会等を通じて、新制度について学校や父兄に広く理解を求めることも重要です。


 大都市圏から鹿児島へ来る一般の商品では、鹿児島市や指宿温泉、霧島温泉等に宿泊する企画が多くあります。価格上昇に伴い消費者の選択肢を広げるには、従来の周遊型商品に連泊とフリータイムを加えることで、旅行代金に弾力性を持たせることができ、消費者の選択肢が広がることになるのではないでしょうか。

 従来旅費を安く抑えるために、送迎等にホテルのバスを依頼しているケースがありますが、路線の認可を受けている以外は、やめるべきです。

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 外国人が急増しており、大都市圏ではバスの予約が取れない状況にあります。鹿児島県として、平成31年には外国人宿泊客を、今の約2倍の43万人を目標としています。貸切バスの確保は不可欠です。一度安価な料金で受けるとそれがベースとなり料金アップは難しくなります。

 新制度を着実に適用することが生き残りとなります。今回の新制度導入は、運転手の労働環境改善だけでなく、事業者の経営改善にもつながります。

 最後にバス旅行は楽しく、1年間に200回も参加している友人がいます。1日バスに乗り観光地を巡り、豪華昼食を食べ、お土産付きで5000円程度の旅行は気軽に参加できます。労働環境が確保されている職場で働く運転手さんこそ安全な運転ができ、参加者も安心して旅行を楽しむことができると思います。

 旅行業者にとっては、値上げにより一時的に集客が厳しくなることが予測されますが、一方では企業のメリットも増加すると考えられます。バス事業者、旅行業者、消費者の3者が理解し合う事で制度改正が定着するものと信じます。

No.351 若者の旅立ちを祝す~好奇心のアンテナを高く掲げて努力を~

2015年3月2日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 卒業式のシーズンとなり進学や就職で鹿児島を離れる若者が多くなります。甑島では中学3年生になると、卒業に向けてサツマイモを育てて、収穫したイモは蔵元で記念の焼酎ボトルを作り、5年後の成人式で再会した時恩師や同窓生で封を開けて皆さんで飲むという伝統行事が残されています。

 焼酎のボトルには「島立ち」と印刷されており、家庭で親が子供たちの成長を楽しみに5年間大事に保管しているそうです。島に高校がないために島外に出るしかありませんが、子供たちにとっては、島や友人との絆を保つシンボルになっているのではないでしょうか。

 唐の時代の詩人である「李白」が、友人を送る心情を書いた詩を紹介します。古代から中国国内の移動は大変であったと推測されますが、精一杯のおもてなしで人との別れを惜しんだのではないかと思います。

                  友人を送る       李 白
   青山横北郭 白水遶東城  青山北郭に横たわり 白水東城を遶る
   此地一為別 弧蓬万里征  此の地一たび別れを為し 弧蓬万里に征く
   浮雲遊子意 落日故人情  浮雲遊子の意 落日故人の情
   揮手自茲去 䔥々班馬鳴  手を揮って茲より去れば 䔥々として班馬鳴く

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[文訳]
山が青々と町の北側に横たわり、川が白く輝き、町の東方を遶っている。君はここで一たび別れを告げたなら、一本の蓬が風に翻るように万里の旅路に向かうのだ。君の心は空に浮かんだ雲のように寄る辺なく、友人である私の気持ちは、落ちかかる夕日のように切ない。さあ、いよいよ出立の時となって手を振りきると、別れ別れになる馬さえも悲しげに嘶(いなな)いた。

・・訳「唐詩」100選 佐久 協
[故人]・・旧来の友人、[遊子]・・旅人、[䔥䔥]・・馬の嘶き、[班馬]・・別れる馬

 情感がこもった友人への、惜別と激励の詩です。日本では送別に際し、激励会を開きメッセージと供に花束を渡すことが日常行われています。中国では別れを綴る詩では、友人の姿を長く見送ることができる丘陵や大河がよく舞台として登場します。

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 日本では、異動は住居と仕事内容など環境が変わり、人にとっては自分を変える大きな転機となると思います。それぞれの土地での出会いがいい経験となり、古里である鹿児島のすばらしさを、他の県に住んではじめて知る機会にもなるのではないでしょうか。


 鹿児島県は南北600キロにおよび、本土と離島との転勤も多くあり、港や空港での別れのシーンは鹿児島の年中行事の一つではないかと思います。鹿児島を離れて他県に行く人は、鹿児島の歴史、温泉、食、祭り、自然遺産、おもてなしの心などの魅力を、任地で是非多くの人に伝えてほしいものです。皆様の口コミで鹿児島の生きた情報が全国に発信され、交流人口の拡大につながることを期待します。

 ところで進学や就職していく若者の皆さんには、日頃から読書することの大切さを、身につけて欲しいと思います。日本文学や古典、歴史、経済、科学等専門分野以外も読書することで、人の生き方、考え方を学び、自分の考えに幅が生まれ、客観的な物事の判断ができるようになるのではと思います。

 総務省の調査によると、インターネットが普及し、情報の発信量は10年前の530倍にもなっています。情報は一方通行になりがちであり、より重要な情報を見逃さず、蓄積しいかに活用していくかが大切です。

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 「落日燃ゆ」、「男子の本懐」、「価格破壊」、「粗にして野だが卑ではない ~石田礼助の生涯~」、「官僚たちの夏」、「外食王の飢え」などの小説を書き、伝記小説という一つの系譜を定着させたのが作家城山三郎です。主人公が過した時代を通して、信念に基づく生き方を男のロマンとして鮮明に描いています。これからの人生の参考になるのではないかと思います。小生も好きな作家のひとりです。


 最後に、入社試験のため東京に出てきた若者に、創業者が読書の大切さを語るシーンです。小説の一部を紹介します。是非文庫本をお読みください。

 馬場は、さらにいった。「けど、勉強はしろよ」「はい」目を上げて答える高島に馬場は、「人間は、日に四度、メシを食うものだ」「はあ?」「三度は、ふつうのメシを食う。あとの一度は、活字のメシを食え。つまり、読書だ」。(「臨3311に乗れ」城山三郎著 集英社文庫)

No.350 心遣いは日々の行動のディテールに宿る~感動を与え、享受できる人に~

2015年2月23日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 皆様の職場には日頃から多くの訪問客があると思いますが、帰るとき出口までお送りする機会はどれだけありますか。

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 日頃顧客と接していると、様々な送りの場面に出会います。顧客をエレベーターまで案内し、扉が閉まるまで頭を垂れることはよくあります。駅のホームで顧客を見送るときは、ドアが閉まり電車が動き出して、電車が見えなくなってからホームを離れることが大切ではないかと感じます。

 ところで宿泊施設では、以前は玄関に宿泊する方の名前をボードに書くことで歓迎の意を表していました。最近では個人情報保護法の関係もあり、団体以外は宿泊者名を書かない施設が増えています。

 宿泊施設の支配人に尋ねると、迎えの時より送る時に、より気を遣うということです。送迎という言葉がありますが、また来館して宿泊していただくリピーターにするには、両方とも大事ですが、特に送りの時の印象が大事ではないでしょうか。

 お客様を送る際、バスやタクシー、マイカー等に乗車される時に「ありがとうございました」と頭をさげ、車が見えなくなるまで手を振ってくれる旅館があります。

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 お客さんは朝までお世話になったこともあり、出発した後、自然と振り返り宿に向かって頭を下げることがあります。従業員が手を振っていると申し訳ない気持ちとともに、素直にうれしい気持ちになるものです。



 日頃から見送りの際、顧客に手を振る習慣を徹底している旅館の経営者から伺った話です。

 お客様が下見に来られて帰られる際に、従業員はいつもの通り「良かったら是非お泊りにお越しください」と挨拶し、車が見えなくなるまで手を振ってお送りしました。下見に来られたご夫婦は、車内から後ろを振り返ると、予約もしていないのに手を振ってくれていたとのことでした。

 夫婦はその姿に感動し、この旅館なら間違いはないだろうと車を引き返して来て、宿泊したいと申し出たとのことです。実際に宿泊された際、きめ細かなサービスと季節感あふれる食事の内容に感激し、その後ずっとその旅館のファンになっているとのことです。

 「人が見ていない場所でこそ、一生懸命に業務に励むことが大切である。」と日頃から従業員に話していると言います。この施設は、従業員全員が同じような心がけを持ち、「おもてなしの心」で仕事に取り組んでおり、そのことがお客様への評価として表れていると思います。当旅館は今でも人気旅館として多くの顧客の支持を得ています。

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 指宿市役所の職員の皆様は、毎日欠かさず「いぶすきのたまて箱」の列車に手を振って乗客を歓迎しています。「ナニコレ珍百景」でも放映され話題となりましたが、継続していることが立派です。



 家庭でも、日頃から来客をもてなすことには慣れているとは思いますが、家に主人が不意の客を連れてきて戸惑うことがあるのではないでしょうか。夜更けに客が帰ると、玄関を出た後灯りを「バチッ」と、すぐ消してしまうことも多いのではないかと思います。

 家族に連絡もなく客をつれてきた夫が悪いのは理解できます。客にとってみると玄関を出た後すぐに灯りが消えると、自分は招かざる客ではなかったかと寂しい気持ちとともに、申し訳ない心が残るのではないでしょうか。

 お客様はマンションの玄関を出て、しばらくしてから訪問先を振り返ることがよくあり、玄関に灯りがついていると気持ちがなごみます。玄関から道路に出て客を見送り、歩き出して客が見えなくなってから帰路の無事を祈って頭を下げ、家の中に入り灯りを消すぐらいのおおらかな気持ちを持ちたいものです。

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 ところで卒業や入学、社会人のスタート、異動の時期が近づきました。かつてあまり目立たなかった友人が、いつの間に責任ある立派な地位に就き、驚かれることもあるのではないでしょうか。友人は学生時代に増して、日々勉学や仕事に精進し努力したおかげではないでしょうか。

何気ない「温かく思いやりのしぐさ」は、日々の行動のディテールに宿るのではないでしょうか。 卒業や入学、異動の時期を迎え、恕の心を持って日々友人たちとの絆を深めることも大切です。人の成功をうらやむより心から祝福できる器量を持ちたいものです。

          友が皆 我より えらく見ゆる日よ
                          花を買いきて 妻と親しむ

          こころよく 人をほめて みたくなりにけり
                           利己の心に 倦めるさびしさ
                                      ~石川啄木~

今回のコラムが350回目となりました。
いつも拙稿にお付き合いいただき感謝申し上げます。 

No.349 桜島噴火の風評被害を最小限に~皆様のネットワークの活用で的確な情報発信を~

2015年2月16日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 最新の桜島の情報について、山の膨張が見られるなど活動が活発化しているということが、全国的にメディアで放映されました。この火山情報が発表されたこともあり、鹿児島への入込み客減が懸念されており、観光面については正確な情報発信が問われています。

 鹿児島中央駅の案内所には、「桜島へ渡れますか」と訪ねる旅行者が増えていると職員が語っていました。昨年発生した御嶽山噴火事故が影響しており、噴火と報じられただけで観光客は敏感になっていることが伺えます。

 2011年1月の新燃岳噴火の際も、霧島連山の状況が連日マスメディアで報道されたこともあり、霧島地域のホテル・旅館は危険地域から離れているにもかかわらず、キャンセル等が相次ぎました。観光客の減少は、多くの業種に影響があり、地域経済にも大きな打撃となりました。

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 噴火や地域の状況を細かく知らせるために、県、霧島市、県観光連盟、霧島市観光協会等で連携し、旅行エージェント、マスコミ等を直接訪問し、道路の規制や周辺の山への登山の可否、通常と変わりなく営業している霧島温泉の情況報告を行い、送客支援と適切な報道のお願いをしました。

 関東地域からは鹿児島へのツアーも多いことから、首都圏のメディアツアーを主に扱っているエージェントに対して、企画募集展開の強力な要請も行いました。また、鹿児島市内のテレビ局や新聞社も訪問し同様のお願いをしました。

 桜島についても、今まさに風評被害をいかに食い止めるかが問われています。桜島は鹿児島の観光のシンボルであり、城山の展望台に立つと目の前にその雄姿が真っ先に飛び込んできます。桜島について県内の人はその位置関係はよく解りますが、県外から訪れる観光客は、錦江湾をはさんで鹿児島市に以外と近いことや、時々噴煙を上げる活火山の麓に人々が住んでいることに驚きます。また、湯之平展望所から間近に見える桜島の豪快な山肌にも驚かされます。

 桜島は、これまで幾多の噴火を繰り返し、大正3年の大爆発の時には流れ出した溶岩流は、大隅半島と陸続きとなりました。作家梅崎春生は自らの戦争体験にもとづき、小説「桜島」を書いています。

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 また、林芙美子の文学碑がある古里温泉は、彼女の母が育ったところです。桜島は永年の噴火で火山灰の土壌が堆積し、農作物や果樹を作るには困難をきわめますが「世界一大きい桜島だいこん」や「世界一小さい桜島小ミカン」が収穫されます。


 最近では桜島の自然を活用した「溶岩でのピザ焼き」や「温泉掘り」など体験観光が注目を浴びてきています。「NPO法人桜島ミュージアム」では、桜島を一つのフィールドとして捉え、桜島の真の魅力を観光客が自ら「楽しむ」ことができるような体験プログラムが用意されています。

 桜島から「地球の成り立ち」や、「防災への備え」を学ぶことができ、自然学習のカリキュラムとして取り入れる学校が増えています。火山活動を続けている山の姿は生きた教材です。平成25年9月24日には「桜島・錦江湾ジオパーク」として日本ジオパークに認定されました。

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 桜島には6000人近くの住民が生活しており、火山の近くにこれほどの人々が住んでいる地域は、世界どこにもありません。桜島は天気の良い日は、7回その姿が変わると言われます。鹿児島市民は、借景としてその姿を毎日見ていますが、もし桜島がなければ、鹿児島市は味気ない街になるかも知れません。溶岩や噴煙を上げる山をゆっくり望みながら錦江湾を巡る「よりみちクルーズ」も人気となっていますので、桜島のすばらしさを多くの県外客にPRしてもらいたいものです。

 霧島市のあるホテルでは、今年春の修学旅行が1校取り消しとなりました。霧島は桜島の絶景が望め、しかも離れた場所にあります。火山情報に対して父兄の不安の声が寄せられて、行先が変更になりました。正確で安心感を与える情報を継続して発信することが重要になっています。鹿児島市のメインの観光地である「かごしま水族館」の1月~2月の入館者が伸び悩んでいます。桜島桟橋のすぐ近くにあり、フェリーの乗船者数が入館者の動向にも影響を与えます。

 桜島火山の情報は、県内全域に影響が及ぶと捉えねばなりません。マスコミ、旅行エージェントへは特に働きかけが必要です。メディアでは、噴火が起こると過去の大きな噴火のシ-ンも報道することがあり、視聴者は爆発的噴火がまた、発生したと捉えがちです。

 桜島は現在も登山禁止の山であり、噴火警戒レベル3で半径2キロは立ち入りも規制されています。桜島は時折、噴火していますが、観光するには支障はなく、また住民はいつもと変わらぬ生活を送っています。

 県と県観光連盟では、桜島の魅力を再発見する「桜島七十七景ルート」の選定を平成27年度に行います。多くの応募をお待ちしています。

 気象庁は、3月末から桜島降灰予報をより具体的に発表することになりました。生活情報として生かすことができます。

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 最後に、スマートフォン、携帯電話、パソコンなどの情報手段をほとんどの人がお持ちと思います。友人等にぜひ桜島の状況を発信して風評被害を少しでも軽減できればと願っています。皆様のネットワークの活用で、的確な情報発信が鹿児島への観光誘致に役立ちます。よろしくお願いいたします。

No.348 観光振興への追い風を活かせ~効果を数値化し、次の展開に繋げる取組を~

2015年2月9日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 3月に入ると各自治体では27年度予算の審議が始まります。最近は観光振興に力を注ぐ自治体が増えており、多くの予算が計上されることを望みます。2008年に「観光庁」が設置されて、日本も観光振興の重要性が叫ばれており、インバウンドが2014年、1300万を超えるなど着実に成果が上がっています。

 今年は、国が地方創生に力を入れており、先日の知事の定例会見では、重要施策として第1次産業と観光産業の振興を挙げられました。本格的な少子高齢化社会を迎え、交流人口拡大による地域活性化は、自治体にとって重要な政策であり、観光振興は不可欠なものとなっています。

 観光振興あたっては、行政、経済団体、業界、民間事業者等の連携が大きな柱になりますが、一方では、それぞれの壁をいかに乗り越えるかが課題となっています。

 各自治体は税収が伸び悩む中でも、多岐にわたる町の振興が必要であり、効率的な予算執行が求められています。観光宣伝の在り方においても、遠方だけの活動に力がはいりがちです。我がまちにも博物館、美術館、温泉施設等が多くあり、利用促進には住民へのPRや、隣接する市町村との連携が欠かせません。

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 有名温泉地を持つ自治体は隣町と共同でPR活動を行うことで、他地域からの日帰り客を宿泊につなげることができます。広域連携で組織を作り、観光ルートや食、地域産品等の情報発信を行うことで大きな宣伝効果を生み出します。費用も少なくてすみ、効果が上がるのではないでしょうか。

 エージェントに対しては、ホテル等での説明会や商談会を開催することで、旅行商品造成や人脈づくりにつながりその後のセールスにも役立ちます。多くの営業マンが集まり易い場所の設定が大切です。

 例年福岡、京都、大阪で毎年スポーツ合宿誘致のセミナーを開催しており、着実に実績が上がっています。県内の多くの自治体が参加することもあり、セミナーへの大学の参加校が増えています。大学にとっては一度に自治体の施設・補助金・受入体制等の概要が解ることで、選択肢が広がります。自治体は合宿の実施時期、競技の練習メニュー、食事等が事前に把握でき、施設の有効的な活用が可能となります。

 観光振興には経済同友会、商工会議所、商工会、農協、地域づくり団体、NPO法人等民間組織との連携が重要になっています。地域のイベントを実施する場合は行政やこれらの団体の協力なしには開催できないのがほとんどです。協賛金等の収受も大きな課題となります。

 また、実施本部を立ち上げるとなると組織作りに時間がかかり、肝心の実務体制が後手に回ることがよくあります。地域全体でイベントに取り組む場合は、自治体の関係者をトップに据えて、民間のリーダーが実行委員長に就任した方がスムーズに行くのではないでしょうか。

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 指宿の「菜の花マラソン」、「菜の花マーチ」は、行政と業界の役割分担がはっきりしており、成功しているイベントと思います。現場で時間的制約を受けにくいのは、民の力ではないかと思います。組織作りに時間をかけるよりいかに動ける組織を作り上げるかが課題です。

 ところで、バブル時期までの日本の有名温泉地では、大型ホテルの建設、部屋の増設と多額の投資が行なわれました。現在では個人旅行が主流となり、宴会から2次会までできるような大型宿泊施設は敬遠され、宿泊者も減少しており、施設の維持が困難となっているところも見られます。

 一方地域ぐるみで街づくりを行っている温泉地や、地元や県民に親しまれている施設はいまでも活気があります。由布院温泉や黒川温泉は、個々の施設よりも地域全体のまちづくりが重要と捉えており、食材はできるだけ地域で調達し、各施設の看板も少なくするなど地域の景観づくりにも努力しています。

 経営という面では自分の施設の売上げが優先しますが、他の施設とも連携して誘客に努めることが、地域全体の活性化になると思います。スポーツキャンプやMICE等は長期に多くの宿泊客があるため、地域全体で受け皿を整える必要があります。地域で1軒の施設が栄えるより、魅力に富んだ個々の施設が生まれることが地域全体の魅力アップにつながります。

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 日本人の国内旅行は成熟し、しかも本格的な少子高齢化時代に入り、大きな消費拡大は望めず、誘客も難しくなっています。連携を強化して動ける組織を構築し、形より実のある成果が出るよう努力したいものです。


 産業の6次産業化が言われていますが、情報も多岐に渡りそれぞれの部門の垣根を越えることは容易ではありません。今や地域総力戦の気概で取り組まないと、持続できる観光地づくりには時間がかかります。外国人の受入態勢の整備も急がれます。

 観光の戦略としては、長期的には魅力ある観光地づくりや海外クルー船、新たな地域からの教育旅行の誘致、大型コンベンションの誘致等が必要であり、短期的には年度内に開催されるイベントや、話題性のある地域をターゲットとして絞り、大都市圏、九州管内などを主に、具体的なプロモーションを推進することで需要開拓が可能となります。

 そのことで組織や役割分担、予算規模も決まってくるのではないでしょうか。無料バス等を運行して集客する手法は安易な施策ですが、費用対効果をより厳しく分析し、次に繋げる取組としなければなりません。

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 ブームに乗り一度に多くのお客様が来訪するより、継続して来てくれる観光地が求められます。情報発信を心がけ、常に注目されている地域に人は魅力を感じます。行政、業界、民間事業者等がそれぞれの壁を越えて連携した取組が求められます。 

No.347 ボランティアガイドの活躍に学ぶ~地域を越えた連携を~

2015年2月2日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 2月に入り、プロ野球のキャンプがスタートしました。宮崎県は「スポーツランドみやざき」をキャッチフレーズに、プロスポーツキャンプ誘致に努めています。今年はプロ野球7チーム、サッカー21チームがキャンプを張ります。


 その宮崎市で、「九州観光ボランティアガイド研修会in宮崎」が、九州7県から90団体200名、大会関係者27名が参加して盛大に開催され、鹿児島県からは23団体49名が参加しました。

 事例発表会や分科会では、日頃の活動報告やネットワークづくり、ガイドの資質の向上、役割等について真剣な議論が展開されました。ガイドさんたちは今回が8回目となることから、お互いなじみの方々が多く1年ぶりの再会を喜んでいました。

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 最近の旅行形態は、団体旅行から個人旅行への流れが顕著であり、しかも地域の生活、文化に触れる旅が多くなっています。街歩き、エコツアー、歴史探訪等ボランティアガイドさんの役割が求められており、加えて地域のおもてなし力が問われています。

 ガイドをする上で日頃の準備や行程での心掛けも大切な要素で、予約を受けたお客さんの地域の概況を把握して、最初の挨拶でふれると親近感が高まります。日頃から街の成り立ち、暮らし、地域の名産品店等を勉強しストーリーを加えて語ることが印象に残ります。

 特に地域の生活・文化を語ることは、観光客が地域を知る良い機会となります。専門的な知識の羅列だけでは、参加者は飽きてしまいます。客の表情を伺い、案内の内容を変え、場所によっては説明の濃淡をつけることも必要と考えます。また、最近は熟年の参加が増えており、ルート沿いのトイレの場所や病院等も頭にいれておく必要があります。

 ボランティアガイドの組織がうまく機能するためには、特定の人だけに予約が集中することは、組織に亀裂を生じさせます。全員のスキルアップの機会を増やして日頃の勉強会を増やすなどの取組みが大切です。

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 日常活動に困窮している団体も多く、まさにボランティアでの活動に支えられているのが実情です。勉強会の際は会場等は自治体が無償で提供し、また、今回のような年1回の九州大会への参加については、バス代等の支援が求められます。日頃から観光客の案内やおもてなしに関わっており、その対価としては必要なことではないでしょうか。

 一方では、傷害保険を組み入れてガイド料金を収受している地域もあり、その資金でスキルアップ研修を実施している団体もあります。自己負担を減らして行く取組も必要です。

 ところで、九州観光推進機構の調査によると、首都圏女性の九州観光に対するイメージは、北海道、沖縄に比べてかなり劣っています。インバウンドが伸びており、外国人の受入体制充実も求められています。

 南九州の魅力ある観光ルートを定着させるためには、県境を越えた連携が必要になっています。遠方から来る観光客は広域に回り、県境の意識はありません。これからも隣県と協調しながら誘客に努め、一方では競争して地域を磨くことも必要ではないでしょうか。ボランティアガイドさんを活用した蘊蓄のあるツアーが人をひきつけます。 

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 指宿の「篤姫観光ガイド」さんと、対岸にある「南大隅町歴史研究会」のガイドさんが相互の地域の視察や勉強会を開くなど連携し、船上でのガイドも努めています。九州本島最南端の佐多岬への道路が無料化されたこともあり、観光客が増えていますが、アクセスが不便なこともあり、相互で案内することで観光客の利便性を図っています。

 霧島市、曽於市、湧水町は、隣県のえびの市、小林市、都城市、高原町の7市町村で「環霧島会議」を設立して、「霧島山」をキーワードに、市・町境や県境を越えて連携し、環境、観光、防災等に関わる様々な施策・事業について、お互いに知恵を出し合い、共通する課題や目的に向かって協働することにより、地域活性化を目指しています。周遊列車を運行する等の取組が成果を上げています。

 ところで旅行エージェントの南九州方面の旅行は、2泊3日のコースが一番多く、2県を回る企画が大勢を占めています。宮崎空港から日南海岸~霧島~鹿児島市内~南薩~指宿~鹿児島のコースや九州自動車道を利用して人吉~霧島~桜島~鹿児島~知覧~指宿のコースが人気です。いずれも県境を越えて広く回ります。地域から地域へ、ボランティアガイドさんの語りが観光客を楽しませます。東九州自動車道が開通し、北九州方面からの新たな観光ルートが魅力です。

 ボランティアガイドの九州大会は一巡したこともあり、今年から新たなスタートとなります。県内には51団体、928名のボランティアガイドさんが登録しています。数年後に鹿児島大会が巡って来た時は、温かいおもてなしの心で迎えたいものです。皆さんもボランティガイドさんの案内で、地域を巡るツアーに参加して下さい。地域住民が地域の魅力を知り、語ることが地域の発展に求められます。

        けふもまた こころの鉦(かね)を うち鳴らし 
                うち鳴らしつつ あくがれて行く
                    ~若山牧水~ *牧水は現在の延岡市生まれ

No.346 プロサッカーのキャンプ誘致を地域活性化に活かそう~今年も鹿児島ユナイテッドFCの支援を~

2015年1月26日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

       君ならで 誰にか見せむ わが宿の 軒端ににほふ 梅の初花
                                   源実朝 ~金槐和歌集~

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 大寒が過ぎ、あぜ道には「ふきのとう」が芽を出し、開聞山麓では黄色い絨毯を敷いたような満開の菜の花畑に、薩摩富士と呼ばれる開聞岳が一段と美しく映えています。「菜の花マラソン」と「菜の花マーチ」が開催され、全国から訪れた参加者が一足早い春を楽しんでいました。

 奄美大島では、ヒカンザクラが満開となり、「奄美観光桜マラソン」が2月1日に開催されます。出水平野に越冬していたツルの北帰行が昨季より16日早く始まり、鹿児島は春近しという感じです。

 プロサッカーのキャンプインです。県内では韓国のチームを含めて、昨年より4チーム増の18チームが、鹿児島市、霧島市、指宿市、薩摩川内市、さつま町でキャンプを張ります。Jリーグのジュピロ磐田、清水エスパルス、浦和レッドダイヤモンズ、柏レイソル、京都サンガFC等が永年にわたり県内でキャンプを行っています。鹿児島市の友好都市である松本市を本拠地とする、「松本山雅FC」がJ1に昇格しましたが、今年も鹿児島でキャンプを行います。

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 宮崎県ではJ1、J2,J3合わせて21チームが県内各地域でキャンプを行います。今年初めてJリーグ開催に先がけて、宮崎、鹿児島でプレシーズンマッチの新規大会「ニューイヤーカップ」の開催が決定しました。鹿児島では、J1浦和、清水、J2磐田、熊本の4チームによる総当たりで競います。

 プロリーグの試合が複数見られることは、鹿児島では珍しく例年になく賑わうのではないでしょうか。サッカーのキャンプ地としては、宮崎県と鹿児島県が定着してきた感があり、観光客誘致に活かせばなりません。

 プロチームがキャンプを行うことは、地域に大きな経済効果をもたらします。選手の宿泊、飲食に伴う費用は大きなものがあり、また多くの取材陣が訪れます。キャンプ地レポートとして定期的に全国に放送されることから、知名度アップにもつながります。週末には一流選手のプレイを見るため県外からのファンや観光客が訪れます。キャンプを受け入れている地域では、最大限の歓迎を持って受け入れる体制づくりが求められます。

 また、プロの選手は、練習後や休日には街に出かけたり、ゴルフを楽しんだりします。キャンプ期間中は、練習だけでなく、キャンプ地の住民との交流会やサッカー教室等を開くなど交流を深めています。キャンプしているチームには、郷土出身者もいます。親子で出かけて、日ごろはなかなかできないふれあいを深めることがチームにとっても大きな支えとなり、ファンづくりとなります。

 鹿児島県は子供の頃からサッカー熱が高く、高校サッカーの全国大会では、優勝、準優勝校を輩出しています。また、ワールドカップに出場し、日本チームの司令塔である遠藤保仁選手は桜島町の出身であり、先日から始まった「アジアカップ」でも大活躍しています。ヨーロッパのチームでは、南さつま市出身の大迫勇也選手が活躍しています。彼に続く選手が生まれることが期待されます。

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 昨年JFLの鹿児島ユナイテッドFCが誕生し、年間で第3位と健闘しました。J3、J2、J1とチームのJリーグへの昇格には時間を要しますが、今年も昨年以上の支援体制が必要です。特に鹿児島でのゲームでは応援に出かけて欲しいと思います。そのことがサッカーファンの増加につながり、応援ツアー催行、物販の販売等地域に経済効果をもたらすことにつながります。

 ところでプロサッカーチームのキャンプを増やすには、冬芝の完備されているグランドが不可欠です。県内には自治体や学校の統廃合で遊休地となっているグランドが多くあります。ぜひ冬芝の育成に取り組み、プロを呼べる施設を作り上げて欲しいものです。5年後には国体や東京オリンピックが開催予定であり、事前キャンプ等の誘致には欠かせない条件です。県内には豊富な温泉が湧き、練習後の休養には最適な地域が多くあります。官民あげてのキャンプ誘致活動が求められます。

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 春休みになると、関西や福岡県からの学生のスポーツ合宿団体が多くなります。特に関西地域からは、「さんふらわあ」を利用して多くの学生が訪れます。自治体の支援制度や大隅地域の利便性が合宿の誘致に役立っています。鹿屋体育大学との連携も重要になっています。

 鹿児島が誇る温泉、食の魅力、練習会場のPR、おもてなしの心の醸成、宿泊に対する自治体の補助制度の充実を図り誘致を強化しなければなりません。

 最後に県観光課では、「キャンプ地めぐりスタンプラリー」を実施しています。チームグッズやキャンプ地の自治体の特産品が当たります。今年はキャンプ地を訪ね、観光地巡りや温泉に浸る等地元の人にも触れる機会をつくり、鹿児島の魅力を再認識してください。春はそこまで来ています。              

                      早春賦
             作詞:吉丸一昌 作曲:中田章
       春は名のみの  風の寒さや  谷のうぐいす  歌は思えど
       時にあらずと  声もたてず  時にあらずと  声もたてず
                          *歌の舞台は信州安曇野です。

No.345 鹿児島のラーメンの魅力とは~地域で愛され続ける食べ物に~

2015年1月19日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 日本人が好きな食べ物の一つにラーメンがあります。どんぶり一杯に作り手の想いが込められ、又食べたくなる後味の良さ、それがラーメンの魅力です。

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 1週間に一度は必ず昼食として食べる人、宴会の後の締めとしてお気に入りの店に立ち寄る人、出張先で必ずご当地のラーメンを探して食べる方等、日本人はラーメンファンが多いのではないでしょうか。


 市場や屋台などで食べることができ、地域の生活を感じることができる食べ物です。ラーメンの特集を取り上げている情報誌もよく見かけます。こだわりのスープが話題となって行列のできるラーメン店がありますが、その経営者はまさにラーメンづくりに命を懸けているように感じます。

 ところで鹿児島は10万人あたりのラーメン店の数は、山形、栃木、新潟、秋田県に次いで全国第5位で、九州ではNO1です。鹿児島のラーメンには、地域の特産品を活用して新たに開発されてものもあり、薩摩川内市のきびなご、いちき串木野市のマグロ、加世田のかぼちゃ、志布志のハモ、枕崎のかつおラーメン等です。いずれもそこに行かなければ食べられないラーメンです。

 全国的には、札幌ラーメンや福島県の喜多方、九州の博多、久留米、熊本ラーメンが有名ですが、鹿児島のラーメンはまだまだ知名度が低いのではないでしょうか。
 鹿児島のラーメンは
① 茶うけに食べ放題の漬物が出され店が多くあります。
② 太い麺が多く、料金は他県に比べて少々高めの設定です。
③ スープは半濁でにごっているものが多く、キャベツ、もやし、メンマ、しいたけ等具が多いことがあげられます。

 従来から鹿児島の食と言えば、黒牛、黒豚、黒さつま鶏、クロマグロ等に代表される黒シリーズやカンパチ、うなぎ等を主としてPRしてきました。今後はB級グルメとしてもっとPRをしていきたいと考えています。

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 この度県内の民放局が主催する「第1回鹿児島ラーメン王決定戦」が、実施されることになりました。前段として、県民10,000人アンケートによる上位30店舗を発表するイベントが開催され、観光に活かすべくコメンテーターとして参加しました。

 県内各地域で集めた様々な人のアンケート結果により30店舗が選ばれましたが、小生はその中で13社のラーメンしか食べたことがなく、鹿児島のラーメンの広がりを感じました。また、故郷の志布志から1社が15位以内に入り、よく行く店であるためホッとしているところです。

 来る2月21日(土)~22日(日)鹿児島本港区のウォーターフロントパークで、上位15店舗が出店して、来場者による投票で第1回の鹿児島ラーメン王が決定します。本大会にも「ラーメンデーターバンク会長 大崎裕史」さんも参加されますが、アンケート調査で選ばれた上位15社が一堂に会することは、他県でも例のないことで多くの来場者で賑わうのではないでしょうか。第一回鹿児島ラーメン王決定戦を契機として、県民が鹿児島のラーメンの魅力を再認識する機会になることを期待しています。

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 鹿児島はラーメンスープの素となる豚や鶏の全国屈指の生産県であり、味に対しての評価は高いものがあると思います。また、干シイタケ、煮干し、昆布、かつお節、野菜などからも出汁をとっています。その手法はマル秘としている店が多いのも事実です。

 各地域に永年にわたって支持されているラーメン店があります。40年前のことですが小生が大学生のころ、アルバイトの帰りに先輩が「ごはん付きで100円のラーメン」をおごってくれましたが、その美味しかった味を忘れません。今でもその店は天文館で営業を続けており、夜遅くまで酔客が訪れているのを見ると多くのファンに支えられている店だと感じます。

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 名山町の産業会館の近くには、昼になると行列ができるラーメン店があります。経営者の「いらっしゃいませ」の明るい笑顔が何よりも入りやすい雰囲気を作っています。「おもてなしの心」が伝わり、デパート帰りの買物客やサラリーマン、離島帰りのリュックを背負った観光客の姿も見られます。皿一杯のお漬物が、ラーメンが出来上がるまでの時間の長さを忘れさせてくれます。

 今年秋には「第30回国民文化祭」が県内全市町村で開催され、全国から参加者が集まります。各地域で鹿児島のラーメンを食べる機会を提供していただきたい。新幹線全線開業から3年10ヶ月経ちますが、食の魅力が観光客誘致につながっています。最近では、鹿児島に替え玉が特徴である博多ラーメンも進出し、競争も激しくなっています。気軽に食べられるラーメン店が近くにあることは観光客の楽しみの一つです。

 最後に、県内には103の焼酎の蔵元があり、銘柄は2,000種類を超えています。ラーメンも地域の皆さまに愛され続けて欲しいと思います。今回の決定戦は、桜島が望めるすばらしい場所で開催されます。多くの方が会場に足を運んでいただき、大会を盛り上げていただきたいと思います。

No.344 地域創生に求められるもの ~地域資源を活用し、新事業の創出と雇用拡大を~

2015年1月13日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 昨年の総選挙で自民党が圧勝し、安倍政権が再スタートしました。政策の目玉に地域創生を掲げており、人口減に苦しむ地方にとっては待ったなしの重要課題となっています。

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 日本創成会議が発表した将来の人口推計によると、2040年までに人口の再生産を担う20~39歳女性の割合が5割以下に減り、「消滅」の危機がある自治体が全国で約896あり、県内でも43の自治体のうち30の市町村がその危機にあると予測しています。

 地域の人口減に一定の歯止めをかけるためには、地域資源を活用し、新事業を創出して「若者の雇用拡大」による定住人口の確保や、Uターン・Iターン者などの受入拡大が不可欠となっています。

 鹿児島県は、28の有人の離島があるなど南北600キロにも及びます。県の基幹産業は農業と観光ですが、農業は後継者不足等もあり地域の人口減少に歯止めがかからないのが実情です。農・水産業の6次産業化を進め、定住人口を増やす取組が求められています。 

 人口減が進む自治体の中で、若者が比較的に多い離島の2つの町を紹介します。

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 はじめに奄美群島にある「龍郷町」です。龍郷町は県全体で、20代~30代女性の減少率が一番少ない町です。奄美空港と奄美市中心部との中間にあり、島外に行くには便利な距離に位置しています。観光的には美しい海岸線に恵まれ、手広ビーチは日本有数のサーフィンの聖地です。西郷隆盛が幕末に3年間過した家が残されており、歴史ファンが訪れます。

 また、秋名集落で開かれる「ショチョガマ」、「平瀬マンカイ」は、山と海で同日に奉納される神聖なアラセツ(新節)行事で、南方文化を色濃く反映した祭りで必見の価値があります。龍郷町には都市圏から若者が移り住み、マリンスポーツ、エコツアー等の会社を立ち上げ、観光客相手の体験メニューを提供し、ペンションやレストランを経営して生活を営んでいます。

 隣接する奄美市の奄美空港は東京や成田、大阪等大都市圏と結ばれており、そのメリットを活かして、人・もの・情報の交流をすすめ、翻訳業務やIT関連のプログラム作りなどの事業を立ち上げている起業家もいます。インターネットの普及により、活動の場が必ずしも都会でなくても地方でも可能となっています。

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 大都市圏での通勤時間や事務所維持費等を考慮すると、交通アクセスに恵まれた地域に仕事場があることは、定住しやすい環境にあるのではないでしょうか。冬でも温かい地域であり「2地域2居住」を推進することで、人口減対策にもなります。

 奄美群島は「琉球・奄美」として世界自然遺産の暫定リストに登録されており、2017年度中の正式登録を目指しています。登録後は多くの観光客が訪れるものと予想され、新たなビジネスが生まれるものと思います。若者の雇用拡大が期待され、立地条件を活かした取組が人口増につながります。

 次に世界自然遺産地域がある「屋久島町」は、龍郷町、姶良市、霧島市に次いで、20代~30代女性の将来人口減少率が少ない町です。今では世界からクルーズ船や観光客が訪れます。やはり世界遺産というブランドが大きな魅力となっています。日本人が行ってみたい「世界遺産」の中で第一位に選ばれており、今後も一定の観光客が訪れるものと思います。エコツアーガイド、レストラン、お土産品店、民宿経営と全国から様々な人が移り住んでいます。

 県民に意外と知られていないのが、平内地区に2005年に開校した「屋久島おおぞら高校」です。通信制の高校で年間を通して千数百人の高校生が来島し、スクーリングを受けています。屋久島という素晴らしい自然は、一度学校をやめた生徒たちの受入環境に適しています。キャンパスでは全国から集まった若者が生き生きとした姿で学んでいます。

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 卒業後屋久島で観光関連の仕事に就いたり、大学卒業後屋久島に戻ってくる学生もいます。 また、豊かな自然や温泉、安価な住宅事情が魅力となり、リタイヤした人が移り住んでいます。テレビの旅番組で放映されることも多く、これからも都市圏からのIターン者を迎え入れる魅力を持っています。

 自然環境への取組のPRや、外国語表記、通訳エコガイドの充実等を図ることで、これからインバウンドの誘致に弾みがつくのではないでしょうか。大都市圏から外国人を呼べる地域の魅力を備えており、雇用の拡大にもつなげられます。

 若者が減少していくと、活力が低下し新しい商品開発や情報発信が遅れがちになります。都会に住む大学生の新鮮な発想を地域活性化に活かすべきです。地域は大学との連携を深めることで、地域資源を活用した商品開発や販路拡大が可能となります。大学は年間のカリキュラムに、地域連携事業を組み入れることで、入学者や就職増などメリットが享受できます。

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 素晴らしい日本の地域文化を国内外の人にPRするのが、観光の役割の一つです。持続できる観光地づくりには、そこに住む人が地域の文化をしっかりと守り、住民にとっても居心地の良い場所でなければなりません。若者が観光に興味を持ち、雇用の拡大が図られることです。

 海外航空路線の拡大や円安、ビザ要件の緩和等により外国人も急激に増えてきました。FITが増加しており、外国語の案内表示、銀聯カードの拡大、WiFiの整備、免税店の拡大等改善すべき多くの課題もあります。外国人の受入態勢強化には、若者同士の交流が重要になっています。

 鹿児島では、今年「第30回国民文化祭 かごしま2015」が全市町村で開催され、全国から参加者が集まることが期待されます。地域の「文化力」が問われます。子供や若者の出番を増やし、地域の魅力を発信する機会としなければなりません。

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 最後に観光は地域の農林水産業、商業、工業、土木、建築、教育関連等多くの分野と関連があり、総合産業として位置づけ、雇用拡大につなげることが重要です。市町村を繋ぐ観光地の整備や着地型商品の充実、地域産品の充実等が、広域観光ルート定着の鍵となります。

 龍郷町と屋久島町に見られるように地域資源を活用した事業を展開し、若者が定住しやすい環境を作り、若者の雇用拡大と、交流人口の拡大につなげることが「地域創生」には不可欠ではないでしょうか。

       田児の浦に うちい出て見れば 白妙の
                    富士の高嶺に 雪はふりつつ
                               山部赤人 ~万葉集~

No.343 2015年を「明治維新150周年」に向けて飛躍の年に~鹿児島の伝統・文化をPRする機会に~

2015年1月5日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 明けましておめでとうございます。今年の干支は「未」で、動物にあてはめると羊になります。十二支の中でも牛や馬と並んで人に馴染みのある動物です。干支の由来については、未は字義が「味」(み:あじ)であり草木の果実がいよいよ熟し、丁度滋養溢れた状態になることを指しており、後に羊の字があてられました。

 羊はめでたい善良な動物であり、同じ行動を取って大勢で暮らすことから、群の漢字は羊から作られました。群れをなす羊は、家族の安泰を示しいつまでも平和に暮らすことを意味しています。 年末年始は最大で9連休となり、海外旅行や温泉地で正月を過された方も多いのではないですか。初詣に行かれて今年の幸せを祈願されたことと思います。羊の群れるごとく鹿児島の観光が順調に進むことを祈りたいと思います。

 昨年末に総選挙があり、観光業界にとってもあわただしい年越しでした。インバウンドが好調で、年間で1,300万人を達成しました。要因として、「円安」、「和食」や日本の伝統的文化財が海外に紹介されその魅力が浸透してきたこと、LCCの就航による航空運賃の軽減化、免税品の拡大、ビザ取得要件の緩和等に伴い東アジアから訪日しやすくなったことなどがあげられます。鹿児島でも、インバウンドは好調に推移しており、さらなる誘致体制の強化が求められます。

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 交流人口拡大を目指して、各自治体が誘客に努力していますが、今年の取組や課題について述べたいと思います。観光客を県内全域に広げることが、今大きな課題です。連泊やリピーター創出につなげるべく、まず次の3つの施策を展開します。


 ①主要観光地域(指宿・霧島・鹿児島)発の広域観光周遊ルートの整備
 ②源泉数全国2位を誇る本県温泉地の優位性を生かした「風呂マラソン」の展開
 ③鹿児島のNO1の観光素材である桜島の再評価と眺望スポットをめぐる「桜島七十七 景ルート」の選定を行います。  

 昨年は、拠点地域からの周遊ルートづくりのために、関係者のモニターツアーを実施して課題等を整理しました。今年は、具体的ルートの設定と商品化、PRと受入体制の充実について推進していきます。

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 地域では「吹上浜砂の祭典」が、今年も約1カ月間開催されます。告知期間もあることから、例年以上の集客が期待できます。南薩摩地域で民泊を受け入れている家庭では、「砂の祭典」見学を組み込み、生徒さん達に珍しい砂像づくりを体験させ、思い出づくりの一端を担って欲しいと思います。また、学校行事やバスツアーの企画、遠足等への売り込みも急がれます。

   入館者が3万人を超えた「薩摩藩英国留学生記念館」は今年が正念場です。近代日本の原動力となった若き薩摩人の偉業について、「明治維新」とセットでPRしていくことが、その価値を高めます。留学生にちなんだ飲料やグッズ、地域産品を活かした新たな製品開発が地域経済への貢献になります。

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 離島については、アクセスの利便性が観光客の誘致につながります。奄美空港へのバニラエアの就航は、新たな需要開発につながりました。加えてオンラインのない空港からのチャーター便を増やし、時間的短縮を図ることで旅費の割高感を払しょくできると思います。

 時間にゆとりのある熟年層にはクルーズを、若者には夏の美しい海や大学のゼミのフィールドとして売り込まねばなりません。甑島の変化に富んだ地形、種子島の宇宙センター、屋久島の世界自然遺産、「琉球・奄美」の世界自然遺産候補地等が離島の魅力を引き出すことになります。

 スポーツツーリズムの推進も求められます。スポーツ合宿は「さんふらわあ」の利便性が定着し、大隅地域が特に増加しています。今後はサッカーのキャンプ誘致も必要であり、プロが使用できるサッカー場の整備が求められます。2020年には、東京オリンピック開催が決定しており、事前キャンプ誘致等も過熱していきます。

 今年も関西地域から集約臨時列車で5,500人、筑紫地区から3,500人の中学生が訪れます。垂水漁協での餌やり体験、知覧、鹿屋での平和学習、桜島の火山・自然学習、鹿児島市の歴史探訪等が優位性を発揮しています。県内全域に、約1000軒の農家民泊の供給が広がる中で、「簡易宿所営業」の取得を強力に進めていかねばなりません。

 鹿児島市は、日本を代表する都市型観光の魅力を備えた街で、歴史、自然、温泉に加え、食の魅力が観光客の滞在を可能にしています。県都として県内全域を見据えた観光振興策が重要です。アクセスや大会設備の充実等を活かし、MICEの積極的誘致が不可欠です。アフターコンベンションの企画提案も重要であり、県内各地域の魅力が増すことが結果として鹿児島市に宿泊することになります。

 地域の隠れた観光資源の商品化には、エージェントと自治体との連携が欠かせません。着地型観光については各自治体の支援体制充実が、地域への交流人口の拡大や人材育成に繫がると考えています。一時的な観光客誘致ではなく、持続できる観光地になるべく新たな観光素材提供や情報発信が不可欠です。

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 今年の最大の関心事は「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」が、世界文化遺産に正式登録されるかです。リストに「近代化産業遺産」の鹿児島市内の5箇所が入っています。明治維新150周年と文化遺産の価値をセットでPRしなければなりません。登録後の観光客増加を見据えて早目の対策を立てる必要があります。



 10月31日から11月15日まで「第30回国民文化祭 かごしま2015」が開催されます。全市町村で開催されることから、参加者を県内各地域に呼び寄せるチャンスです。事前のPRを十分行い、それぞれの地域ならではのおもてなしを提供することが、鹿児島のファンづくりになります。各地域の「文化力」が問われる年になりそうです。

 キャンペーンの中心は、今年も最大のマーケットである関東地域や、新幹線で最速1時間17分で来ることができる福岡地区でのPR強化に努めていくことが得策と考えます。3月に北陸新幹線・金沢ルートが開通し、首都圏から北陸方面に観光客が流れると予測しています。首都圏の需要は大きく、飛行機利用の商品造成に力をいれ従来以上の販促活動が必要です。

 今後日本人の国内旅行は減少することから、外国人観光客の誘致は欠かせません。インバウンドについては上海線の利用促進やソウル線の夏場の搭乗率アップ、台湾線は宮崎線が週3便となり両県で7便体制となり、職場旅行や教育旅行の誘客対策が必要になっています。定期便の維持には双方向の集客が不可欠です。

 特に上海線については、鹿児島からの搭乗率アップが課題です。海外ではFITが増加しており、ブロガー対策や有力メディアの招聘、WiFiや外国語表記、「免税店」等の充実が求められます。インドネシア、タイ、マレーシア等ASEAN諸国からの誘客には、受入態勢やハラール認証の整備が欠かせません。

 情報化社会に対応できる新たな需要吸収の仕組みづくが必要となっています。楽天やじゃらん等とタイアップし、旬の情報提供が欠かせません。また、インターネットの普及で可視化が進む中、コンプライアンスの向上と迅速・正確な情報提供が求められます。県のホームページも刷新していますが、ワンストップで県下の情報が入手できるように、さらなる改修も求められます。

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 今年は土曜日を入れた3連休以上は6回で、昨年より少なくなることから旅行需要を喚起する取組を各機関自ら早目に展開し、季節感あふれるオンリーワンの情報発信が必要です。周辺市町村の祭りや、花、食、伝統行事等を組み込んだ、生活・文化の香りがする商品企画が求められています。

 最後に今年のNHK大河ドラマは「花燃ゆ」で幕末の長州が舞台で、薩摩が登場する機会もあるのではないでしょうか。2016年は「薩長同盟150周年」になります。山口県と連携し、広域での誘客も求められます。

 2015年が皆様にとって素晴らしい年になりますよう心からお祈りいたします。

       わが卓に めでたく白き 寒牡丹
                   ひとつ開きて 初春はきぬ
                                   ~与謝野晶子~   

No.342 2014年を振り返る~外国人観光客が顕著に、交流人口のさらなる拡大が重要~

2014年12月22日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 今年も残り9日となりました。大型台風の襲来や集中豪雨、木曽御嶽山の噴火と自然災害に見舞われた年でした。冬季オリンピックで41歳の葛西選手の銀メダル、羽生選手の金メダル獲得や、ゴルフ界では地元鹿児島出身の15歳勝みなみ選手の史上最年少優勝の活躍など明るい話題もありました。

 選抜高校野球大会に、21世紀枠として、大島高校が鹿児島の離島から始めて選抜され、島の人々に大きな勇気を与えました。九州新幹線全線開業から3年9カ月経過し、開業効果に陰りが見える鹿児島の観光ですが、地域は必死になって誘客に努めています。2014年の取組等を振り返ってみたいと思います。

 鹿児島県全体の入り込み客は2月以降苦戦が続いていましたが、9月から回復基調にあります。県観光課が進めている「魅力ある観光地づくり事業」は、毎年10億円の予算をかけ地域づくりに貢献しており、それを活用した整備が進んでいます。

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 頴娃町地域では、官民の枠を超えた「NPO法人頴娃おこそ会」が頑張っており、定期的に会合を開き、地域づくりの勉強会や視察等を受入れています。地域づくりは、まさに人の存在が重要であると思います。


 垂水市でも、「千本イチョウ園」に加えて牛根地域の「埋没鳥居展望公園」、「宇喜多秀家候ゆかりの地」が整備されました。大隅地域は佐多岬や雄川の滝の整備が進み、新たな観光地になるのではないでしょうか。

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 北薩では、川内港から甑島へ水戸岡鋭治さんデザインによる高速観光船が就航し、多くの観光客が訪れ、ゴールデンウイーク中は昼食がとれないほど賑わいました。英国への留学生が船出したいちき串木野市の羽島には、「薩摩藩英国留学生記念館」が完成し、すでに3万人の来館者があり、人気となっています。来年が本当の勝負の年となります。


 鹿児島を訪れる観光客は、九州管内に次いで関東地域からが多いのが現状です。7月から、LCCのバニラ・エアが成田から奄美大島に就航し話題となりました。今まで羽田から1便しかなく、運賃が高くて商品企画が難しく、観光客の誘致に不便をかこっていただけに朗報となりました。

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 就航以来80%を超える搭乗率で、新たな需要開拓に繋がっています。年間を通じての誘客対策が重要です。格安航空運賃を武器に、ピーチ、ジェットスターなどが鹿児島線に就航しており、LCCの人気は定着していくものと思います。 


 着地型観光は、今まで知られていなかった地域の生活、文化、人、祭り、食等にスポットを当て、地域資源の掘り興しや人材育成等地域活性化につなげることが重要です。

 鹿児島中央駅前の「かごっまふるさと屋台村」は、来年が店舗の更新の時期であり、新たな出店も予想されており楽しみが増えます。屋台村は、25軒の個性あふれる屋台と1軒の焼酎専門店が軒を並べます。店は小規模ですが家族的な雰囲気が味わえるのが特徴で、鹿児島の食文化を堪能できる場所としての魅力が浸透し、外国人も多く訪れています。地域づくりのヒントになる施設です。

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 また、指宿枕崎線の観光列車「指宿のたまて箱」は、好調を維持しています。地域の皆様方が観光客に手を振るなど温かいおもてなしが評価されています。大雨によるがけ崩れに列車が巻き込まれる事故が発生しましたが、近くの指宿商業高校の生徒さん達が機敏な対応を行い、負傷者の救護にあたりました。



 日頃からの訓練と、おもてなし心が活かされ、乗客から多くの感謝の声が寄せられました。献身的な行動に対してJR九州より表彰を受けました。地域でのおもてなしの心が確実に醸成されつつあります。

 種子島宇宙センターから「はやぶさⅡ」が打ち上げられ、多くの見学者が訪れました。6年後の帰還に夢がふくらみます。屋久島は、JTBの調査で、日本にある世界遺産の中で日本人が一番行きたい場所に選ばれ、今後の誘客に弾みがつきます。

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 2回目の「鹿児島カレッジ」では、若者の意見を商品企画に活かすべく現地研修会を実施しました。今回は「教育旅行」をテーマにしており、新鮮なアイデアが寄せられています。今後関西、中国地域からの新たな教育旅行の商品として期待されます。


 教育旅行の誘致は確実に成果が上がっています。JR西日本とJR九州による修学旅行専用列車の設定がなされ、関西地域から34校、5,500人、筑紫地区から23校、4,520人の学生が利用しました。

 体験する農家民泊も順調に伸びています。県内で受入可能な家庭は約1000軒にもなり、県全体に広がっていることがあげられます。民泊について提起されているのがコンプライアンスです。農家民泊先進地の長崎県の松浦地区は、年間50,000人の受入を行っていますが、ほとんどの農家・漁家が「簡易宿泊所営業の許可」を取得しています。旅館業法で定められた許可を取得することが学校の信頼を得ることになります。

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 修学旅行は、一度に多くの生徒が動き、不況時でも実施され、取消しがなく、受入機関にとっては経営の見通しが立てられるなど安定した顧客といえます。今後は、バス料金のアップが予定されており、行先変更も考えられます。旅費の上限を考慮すると、佐賀県や山口、広島地域からの誘致に力を注ぐ必要があります。マリンスポーツの体験メニューの充実も求められます。

 また、学生のスポーツキャンプ・合宿を誘致すべく、福岡、大阪、京都でセミナーを開催しました。学生のスポーツ合宿は、宿泊施設や運動施設等の条件が厳しくなく、十分に練習時間が取れ、夜遅くまで使える施設が整っていることがあげられます。

 大隅地域は「さんふらわあ」利用による関西からの誘客がしやすく、支援策等も充実しており人気が高まっています。廃校となる高校跡地にスポーツキャンプの新たな構想がまとまり、誘致に拍車がかかるものと思います。

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 販促活動は、需要の多い首都圏対策が重要と捉えています。また、鹿児島市、霧島、指宿の3拠点地域から県内に広げる取組が必要であり、関係者によるモニターツアーを実施しました。北薩、南薩、大隅、離島地域とのさらなる連携も重要です。


 県民の方々が、それぞれの地域の魅力を語ることで観光の広域化が可能となり、持続的に観光客が訪れる「観光立県鹿児島」の確立に繫がるものと思います。地域・ふるさとに愛着を持つ人をどれだけ創るかが求められています。

 インバウンドは香港線の就航、宮崎~台湾線の増便、円安、免税品目の拡大等で追い風となり、過去最高の来訪者数となっています。官民あげて誘致策が効果をあげています。今年も韓国、上海、台北、香港、シンガポール、マレーシア、タイへ官民一体の誘致セールスを展開しました。他県と違う多様な観光資源の魅力を発信するため、メディア事業者の招聘を強化する必要があります。

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 エージェントの選択、招聘事業の絞込み、需要層にあった支援体制が必要と感じます。今後も国内旅行の大幅な伸びが期待できない中で、インバウンドの推進にあたっては、継続した人脈作りの重要性を感じています。日本全体で2014年は、1、300万人を達成すると予測されています。鹿児島でもさらなる誘客態勢が望まれます。

 市場におけるインターネットの利用は拡大して、しかも急速な変化も見られ、ネット販売は勢いを増しています。スマホ、タブレットPC、facebook等は旅行ツールとしての重要性が高まり、県のホームページの改修も定期的に実施しています。改修後のアクセス数は1日8,000件を超え140%の伸びとなっています。

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 2015年の「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」の世界遺産登録や「第30回国民文化祭・かごしま2015」の開催に向けての準備が着実に進められています。鹿児島の文化遺産を県民が学び、伝える機会にしなければなりません。

 2016年は薩長同盟150周年、2018年は明治維新150周年と続きます。鹿児島の歴史を再認識させる取組も大切です。鹿児島ゆかりの人物や歴史を題材にした大河ドラマや番組の制作を要望するため、官民一体で定期的にNHKへの働きかけを行ってきました。メディアの観光への波及効果は大きく、年間を通してしかも県全体に及ぶことです。

 2015年のNHK大河ドラマは「花燃ゆ」で、幕末の長州が舞台となることから、薩摩も関連があり、登場する機会が多くなるのではないでしょうか。観光客は西の方に向くことが予想されます。

 最後に今年も毎週コラムを配信でき、通算342号となりました。1年間ご支援いただき心から感謝申し上げます。ありがとうございました。来年は1月5日からスタートします。皆様良いお年をお迎えください。

            初雪や 水仙の葉
                      たわむまで
                             ~松尾芭蕉~

No.341 「先用後利」の精神 ~富山の薬売りの心に学ぶ~

2014年12月15日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 今年は日本列島例年になく冬の訪れが早く、北国から大雪の便りが届きます。雪の少ない鹿児島でも、慌ててストーブを出した家庭も多いのではないでしょうか。私の故郷大隅半島は鉄道が廃止され、今では車が移動の手段です。小学生の物心ついたころ、大きな袋を抱えて、年に数回家を訪問する薬売りのおじさんを良く見かけました。



 箱から薬を出して畳に並べ、在庫を数え少なくなった種類の薬を確認し、新しいものを箱に詰めている様子が印象的で、子供全員で取り囲んで見ていました。薬屋さんが最後にくれる四角い紙風船をもらうのが、何よりもうれしかったのを覚えています。空気を吹き込み破れるまで遊んだ経験をお持ちの方が多いのではないでしょうか。体の具合が悪いとすぐ箱から薬を取り出して、母親が飲ませてくれました。

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 富山の薬売りは、「越中売薬」と言われ、300年以上の歴史があります。医者が少なく、交通機関もない江戸時代から全国津々浦々を回り、貧富の差を問わず家に薬を置かせてもらっていました。しかもくすり屋さんは、「先用後利」という考え方に立ち、「先に使ってもらい、使った分だけ後で料金をいただく」というシステムです。

 まず、各家庭を訪ねて薬の箱を置いてもらう。この時点ではお金はいただかない。箱には「風邪薬、塗り薬、腹痛の薬、虫下し、傷薬、赤チンキ等」が入っており、緊急の際大変役に立っていました。数か月後、また、薬を置いた家庭を一軒一軒訪ねてまわり、使った分の薬代を払ってもらうシステムでした。信頼関係、助け合いの精神がなければ成り立たない商売です。

 苦しかった時代に農家の方々を励まし助けたエピソードが残っています。昭和の始めの頃、北海道が2年続けて凶作に襲われ、農家は大きな被害を被りました。苦しかったのは農家だけでなく、「富山の薬売り」にとっても大きな痛手となりました。

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 くすりの入れ替えに農家を訪問しても、凶作で十分食事も取れてない家庭もあり、子供たちの顔を見ると、とても代金は取れない心境になり「お金のことは心配せずに、病気になったら薬を飲ませて子供を元気にしてください。私は富山に帰ったら畑や田がありますから大丈夫です。」と新しく薬だけ補充して帰って行ったといいます。

 農家の人を励まし、笑顔を絶やさず、「越中おわら節」を唄いながら村を歩き、中には富山からお米を取り寄せ、袋に少しずつ分けて配って歩いた薬売りもいました。厳しい時代には富山の自分の畑や田を売って薬売りの仕事を続けた方もいたと言います。

 その後北海道は、大豊作に恵まれました。それまで滞っていた薬代が、一度に回収できるようになり、薬屋が宿泊している宿まで届ける農家の方もいたと言います。また、「他の支払いを後回しにして、薬代を先に払わなければ」と恩義を感じて、雪解けを待ち続けた家もあったと言う。「お客様は家族同然」という強い信頼関係の構築までには、永年にわたる家庭と「富山の薬屋さん」との、琴線に触れる助け合いの物語があると思います。

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 最近はテレビショッピングが盛んで、薬、健康器具、食品、電気製品、衣類等ほとんどの品物が電話一本で買えます。「効果抜群」、「30日以内は返品自由」、「今電話いただいたらプラス1本サービス」等巧みな言葉に引きこまれ、製品を購入している方も多いと感じます。

 購入は本人の自由判断であり、止める理由もありません。しかし「富山の薬売り」と比べると、心の通い方が全然違います。直接会って商売することと、効率よく電話で注文を取ることの違いだけですが、「富山の薬売り」は、直接目の前で説明されることで安心感と信頼関係が生まれるような気がします。永年顧客から信頼されている企業は、なるほどと言う取り組みが定着しています。160年の歴史を誇る老舗の菓子屋さんは、お釣りは必ず新札で渡します。

 日中国交回復に貢献した故田中角栄首相の心を動かしたのは、中国の故周恩来首相が指示して出した新潟県柏崎市の味噌と言われます。

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 田中首相が訪中した折、田中首相の好みを事前に調べ、徹底的に研究し、首相の好みの天保2年創業の「越後みそ西」の、田舎みそを使ったみそ汁を朝食に出したところ、本人が大感激し、周恩来さんの気配りに心を動かされ、交渉がスムーズに進んだと言われています。

 これからの企業発展には、経営者の「志」が反映され、「オンリーワン」、「ファ―ストワン」の商品を提供し、商品のストーリを語ることが勝ち残る条件になると思います。

 「富山の薬売り」の信頼関係構築に学ぶことが多くあります。成熟時代を迎え、物が売れにくい環境にありますが、顧客との信頼関係を構築することで、価値の高い「こだわりの品」が売れる時代ではないかと思います。
                            参考:おもいやりの心:木村耕一著

          薬のむ ことを忘れて 久しぶりに
                    母にしかられしを うれしと思へ(え)る
                                    ~石川 啄木~

No.340 商品と地域のブランドづくりに必要なものとは~差別化、品質保証、優位性、住民への浸透がかぎ~

2014年12月8日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 日本の各地域が交流人口拡大につなげようとブランドづくりに努力しています。ブランドづくりの方策として、商品開発や魅力あるまちづくり等があげられます。地域が「世界遺産」に登録されると知名度は一気に上がり、ブランド化が取り組み易くなります。

 ブランドの語源は、ヨーロッパのアルプス地方で行われている羊や牛などの家畜に押す焼印(BURNED)に由来すると言われています。他人の家畜と区別するために使われ、現代では他の類似品との違いを明確にするために使われています。

 ブランドとは、他との比較において優位性を認める記号であり、かつその記号に象徴される世界観であると定義されます。ブランドは生活者の心の中につくられるもので、認証マークやネーミングを作り、商品に付けたとしてもブランドが作られるものではありません。

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 地域ブランドとは、地域発の産品・商品・サービスのブランド化と地域のイメージそのもののブランド化(統合された地域ブランド)が相互に作用しあって形づくられたものです。屋久島や尾瀬、富良野など特徴のある自然・景観を有する地域は、地域イメージから新たな商品を生み出し、経済的効果の創発も可能となります。



 地域イメージの特徴の薄い地域では、地域の商品やサービスを開発することで、地域そのもののイメージのブランド化を図ることが可能となります。一度形成されたブランドも常に新しく変革して行かねば、生活者の心の中に留まることはできません。

 地域をブランドすることで得られる効果も大きいものがあります。他の地域と明確に違う優位性を確保できれば、「商品」は高く販売でき、多くの利用者が集まることになります。軽井沢や神戸、湯布院が良い例です。

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 継続して価値を創造し、地域ブランドを拡張していくことで、地域の商品への波及効果も大きくなります。地域をブランディングすることは、消費者から選んでもらえる地域にもなることです。他の地域ない優位性や独自性を発信し続ける努力も必要です。

 また、地域をブランディングすることで地域住民が地域に誇りと愛着心を持つことにも繋がります。来訪者の増加にもつながり、地域経済への波及効果も大きくなります。

 日本各地で地域資源を活用してブランド価値を高めている町を紹介します。町並み保存では、福島県の「大内宿」、愛媛県の「内子町」、南九州市の「知覧町」等があります。国の重要伝統的建造物群保存地域がその代表的な例です。

 大内宿には、かやぶき屋根の古民家が並び、訪れる人が参勤交代の途中の宿に立ち寄る雰囲気に浸ります。3つの地域に共通していることは、看板の制限や古民家の保護、生垣や庭園等が整備されているのが特徴であり、小奇麗な町並みが保全されていることです。歴史的遺産を地域住民がきちんと守ってきたことが、地域ブランド化を図ることに結びついていると感じます。

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 生態系の保護地区では、釧路湿原、尾瀬沼、四国の四万十川、屋久島等があげられエコツーリズムの推進には最適な地域です。JTBが調査した「日本人が行きたい世界遺産地域」として、屋久島が第一位に選ばれました。

 屋久島の住民は、世界自然遺産の島に住んでいることをもっと誇りを持っていいのではないでしょうか。四万十川は清流がブランドであり、尾瀬沼の景観は、「夏の思い出」の唱歌にでてくる自然が人々を惹きつけます。

 「奄美・琉球」が世界遺自然産に登録されると、奄美ブランドとしてその魅力が世界中に発信され多くの観光客が訪れるものと思います。外国語表記の充実、通訳案内人の養成、おもてなしの心の醸成等がブランド価値を高めます。

 民話・伝統芸能も地域のブランドづくりに欠かせません。岩手県の遠野市は、柳田国男の「遠野物語」で紹介され、「民話の里」として有名になりました。市民演劇も開催され、日本の原風景に憧れ多くのファンが訪れています。

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 富山市八尾町の「おわら風の盆」は、越中おわら節の哀切感に満ちた旋律にのって、町の道筋で無言の踊り手たちが洗練された踊りを披露します。哀愁のある音色を奏でる胡弓の調べなどが観光客を魅了します。元々旧八尾町の町内の住民が大切に守り育んだ民謡行事です。9月1日から3日にかけて行われており、今では25万人もの観光客が訪れます。 

 町の踊りが、全国的に有名となり、富山県を代表するブランドとして人気が高まっています。高山市、金沢市等近隣の県まで宿泊客が及びます。

 「東北4大祭り」、「京都3大祭り」、奈良「東大寺2月堂のお水取り」、「博多どんたく」、「徳島の阿波踊り」、「高知のよさこい踊り」、「長崎おくんち」等ブランド力のある祭りがありますが、地域の生活文化に根差して全国的に人気が定着していることがブランド価値を高めています。

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 約300年前から伝承される薩摩川内市の「東郷文弥節人間浄瑠璃」は、国内で4か所にのみ伝承される貴重な伝統芸能です。もっと出演の機会を提供し、日本の伝統文化を引き継ぐ若者を養成するなどして大切に保存して行く努力が求められます。そのことがブランド化に繋がるのではないでしょうか。



 商品のブランド化には、品質保証、差別化、優位性、地域住民にも浸透していることが不可欠です。わが町をブランド化するには、本物のストーリー性を持った商品展開と継続した情報発信ができる態勢づくりが重要ではないでしょうか。
             参考:旅のもてなしプロデユーサー技編 ぎょうせい

    津軽の雪
         こな雪 つぶ雪 わた雪 みづ雪 かた雪 ざらめ雪 こほり雪
                              ~太宰治の小説『津軽』から~

No.339 国内外からの交流人口をいかに増やすか~地域総力戦で誘客を~

2014年12月1日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 今年も残り1カ月となりました。衆議院の解散で、12月14日投票日となり、年末商戦をひかえて、旅行需要が停滞することが想定されます。後半の忘年会旅行等を取り込まねばなりません。

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 ところで、2011年に国立社会保障・人口問題研究所が発表した県の総人口将来推計は、2010年と比較して2031年には25万2千人減少します。人口減少に伴う県内消費額は20年間、毎年約152億円も減少していきます。


 また、「日本創生会議」からショッキングな調査データも発表されました。子供を産む年代の若者女性の数が、2040年には 10年と比較すると、県内の30市町村で半減すると指摘しています。地域別将来推計人口が公表され、大きなショックを受けた方が多いのではないでしょうか。消滅する市町村も想定されるなど人口減少は、今深刻な課題を我々に突き付けています。

 観光庁の試算によると、定住人口の1人当たりの年間消費額(124万)は、旅行者の消費に換算すると外国人旅行者10人分、国内旅行者(宿泊)26人分、国内旅行者(日帰り)83人分にあたるとしています。『観光交流人口増大の経済効果(観光庁:2013年試算)』

 少子高齢化と人口減少に対応し、地域の活性化には持続的な交流人口の増大が不可欠となっています。

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 ところで、JNTOから外国人の入込客の速報値が発表されました。1月~10月までの国全体の累計では1,100万9,000人となり、すでに昨年の年間実績を上回っています。このままで推移すると、1,300万人に達すると上方修正しています。

 好調の要因として円安効果、入国ビザの緩和、LCCの就航、免税品目の拡大、和食や祭り等伝統的日本文化の魅力が浸透していることなどがあげられます。本県においても外国人の宿泊客は20%以上の伸びとなっており、今年は過去最高の外国人が訪れるものと思います。

 このように市場環境の変化を考えると、地域は国内外を問わず積極的に交流人口拡大を推進する必要に迫られています。地域資源を活用して、県外か県内、海外、教育旅行等、わが町にどの地域からどのような需要層を誘客するのか、具体的な対応を講じていかねばなりません。観光のスタイルも変化しており、それに対応できる地域づくりも求められます。

 まず団体旅行から個人旅行の流れが顕著となり、個人旅行が全体の7割となっていることから、駅や拠点地域からのルート整備が不可欠です。鹿児島市はシティビューが運行され、観光地巡りには事欠きません。地域に於いて周遊バスの運行は、経費の面で難しい面がありますが、拠点地域や駅と連動した送迎バスの運行、レンタカーやタクシーの常駐など利便性の確保が重要です。

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 また流通構造が変化しており、予約行動にも大きな変化をもたらしています。インターネットはすでに日本人の約8割が活用しています。宿泊施設では空室状況が検索でき、直接予約できるシステムの構築が必要であり、それに対応できる人材の配置が不可欠です。

 観光協会、地域おこし団体等では、ホームページの日々の更新等が求められます。鹿児島県観光サイト「本物。の旅かごしま」には毎日約8,000人のアクセスがあり、前年比で140%の伸びとなっています。

 観光のニーズも変化しています。名所旧跡巡り、宴会を主とした狭義の観光から生活、文化等地域の魅力に触れる旅へと広がっています。観光は6次産業の視点で、地域の総合産業として捉える必要があります。異業種、異分野と経済が循環することが持続できる地域となります。農業、漁業、商工業、歴史、生活・文化、住民等を観光資源として捉え、ストーリーを加えて商品化することが求められます。

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 体験・交流が顧客のニーズであり、安全・安心、本物の提供が観光客の心を捉えます。特にイベントは一過性に終わらせるのではなく、他地域と連携する等いかに継続できるかが地域ブランドとして育っていきます。指宿の「菜の花マラソン」や「菜の花マーチ」は、全国から人が集まるまでに5年はかかっています。行政頼みではなく、民間の活力、人材の育成等が継続の力となります。

 また、外国人誘致も今後地域活性化の重要な課題となります。日本人の国内旅行は、少子・高齢化でマーケットは縮小していきます。台湾、香港、韓国、中国、ASEAN諸国等からは確実に増加しています。相手国の生活・習慣を知り、外国語表記、通訳案内人の育成、留学経験者や受入外国人を活用して、地域の魅力を発信し告知力を高めることです。

 他県にない鹿児島ならではのメニュー提供が差別化となります。砂蒸し温泉、桜島の噴火、世界自然遺産、漁業体験、武家屋敷での着物や華道等日本文化体験が喜ばれます。

 最後に観光客に県境はありません。隣県や同じ観光資源を持つ競争地域と連携することも知名度が上がり誘客につながります。市町村を繋ぐ観光地の整備や着地型商品の充実が、広域観光ルート定着の鍵となります。

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 自分の町は知られていないという考え方に立って、食、特産品、お祭り等をPRして、地域のことを解り易く発信することも重要です。旅行者の満足度を向上させるためには、おもてなしの心をいかに定着させるかも問われます。


 今年は、大きなイベントもなく観光客誘致には厳しい面もありました。甑島への高速観光船運行、「薩摩藩英国留学生記念館」オープン等北薩摩地域で話題が多い年でした。2年目以降も、観光客を維持できるかはこれからの取組にかかっています。常に新しい情報の発信に努め、市民もわが町の魅力を語り伝えることが大切です。

 来年は、「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」の世界文化遺産登録目標や、「第30回国民文化祭」の開催が大きな目玉となります。交流人口拡大は地域活性化の重要課題です。ポテンシャルの高い優れた地域資源を活用し、地域総力戦で戦う時ではないでしょうか。

       「寒いね」と話しかければ
                「寒いね」と答える人のいるあたたかさ
                                   ~俵万智~

No.338 バリアフリー旅行の受入拡大がなぜ必要か~旅の感動に段差はありません~

2014年11月25日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 高齢化社会を迎えて「バリアフリー旅行」についての関心が高まっています。県と観光連盟では、かごしま観光人材育成塾の一環として、今回初めて『ユニバーサルツーリズムセミナー』を開催したところ、110名の参加者がありました。初めて知るマーケットの実態や現場の具体的取組が報告され、今後参考になる点が多く皆さん熱心に講演を聞いていました。

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 観光庁は「ユニバーサルツーリズム」について、「すべての人が楽しめるように創られた旅行であり、高齢者や障害などの有無にかかわらず、誰もが気兼ねなく参加できる旅行」と定義しています。バリアフリー旅行より広義に及び、妊産婦や子ども連れなども含めています。

   団塊の世代が退職し、老後はゆっくり旅をしたいというニーズの高まりや、健常者と障害者が安心して旅行を楽しむことができる「バリアフリー旅行」のマーケットが拡大しています。しかし住民や受入機関によって関心の度合いに温度差があり対応が遅れているのも事実です。

 今回まず、特定非営利活動法人日本バリアフリー観光推進機構の中村元氏から、現在の取組状況や今後の課題等についての基調講演がありました。講演を受けて、九州運輸局企画観光部長の榎本道也氏、特定非営利活動法人 eワーカーズ鹿児島理事長の紙屋久美子氏、霧島温泉 旅行人山荘代表取締役の蔵前壮一氏を交えてパネルディスカッションを実施しました。

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 中村氏の本業は水族館プロデューサーであり、顧客視点に立った展示や運営、及び入館したくなるプロモーションを行う等集客対策を専門とされています。伊勢の鳥羽水族館にバリアフリー対策を講じ、施設や実際見学している状況等のPRを実施したところ入場者数が大幅に増加した実例を発表されました。中村さんがプロデュースされた施設では、来館者が増加しています。

 障害者手帳を持参している人は、一人での来館は少なく同行者を含めると4人程度で来る方が多く、障害者手帳を持った方の入館者が増えると、全体の入館者増に繋がると話されました。また、障害者が観光地に行きたいとういう願望を実現するためには、健常者も同行して楽しめる環境づくりが重要と感じました。

 中村氏はバリアフリー旅行について、マーケットの需要があるのを見のがしている。また、来訪者を増やす対策としてはパーソナル基準を守り、トラブルをなくすためにも、積極的に相談センターを活用して欲しいと熱く語りました。

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 榎本部長は、バリアフリーと福祉が混同されて業務改善が進まないことや、自分が同行し世話することは困難である、マーケットは小さいと思っている人が多く、対応できる施設が増えないこと等をあげていました。


 観光庁として、全国20箇所ある相談センターを今後増やし、点から面への展開をすすめて、2020年の東京オリンピック、パラリンピックを見据えて海外からのお客様への対応も考慮しなければならないと語りました。

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 紙屋さんは実際日々バリアフリー対策に取り組んでいる中で、住民への理解不足を解消すべく情報を広げることが重要であると。また受入施設の拡大や施設の具体的表示の重要性も語りました。


 霧島温泉で人気のある宿泊施設を経営している蔵前社長は、障害者が利用しやすいように部屋に露天風呂を造り、エレベーターを増設する等受入態勢の充実に努めています。

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 また、教育の機会を増やす等ソフト面の充実にも力を入れており、障害者への言葉遣いやおもてなしの心を学ぶ勉強会を開催しています。その効果もあり、日頃受け入れている宿泊者から従業員の対応について、感謝の言葉が増えているという相乗効果も語られました。

 最近の旅行エージェントの企画を見ると、「旅をあきらめない!夢をあきらめない!」、「杖や車いすで旅を楽しむ」等バリアフリーの旅が増えています。また専門の部署を持つ会社もあります。旅行はエージェントだけでなく、鉄道、バス会社、宿泊機関やその他関係機関の協力、それに従事する職員の努力が顧客満足に繋がります。これからバリアフリーのマーケットは拡大しますが、内容の充実が求められおり、ツアーを企画する会社もその点に十分配慮して欲しいと思います。

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 前述したように、バリアフリーツアーは、物理的障害を取り除くだけではなく、情報、文化、規範、そして我々の心や考え方等様々なところに存在する「バリア」を取り除くことが、まず大切ではないでしょうか。国民の意識の中にバリアフリーツアーの考え方を理解して浸透させることが、日本においてユニバーサルツーリズムが定着できるかの「鍵」になると信じます。

 皆さまの家族、親戚、友人、あるいは周囲に、高齢者や障害を持っている方は多くいらっしゃると思います。皆さんに旅行の感動を味わせたいものです。心の中の「バリア」を取り除き、一緒に旅に出て楽しみましょう。

         小春日和の青白い光が、山麓の村に降りそそいでいる。
                    『たそがれ清兵衛』の最終章:藤沢周平

 小説の舞台である「海坂藩(うなさかはん)」のモデルは、庄内藩(現在の山形県鶴岡市が含まれる)です。鹿児島市の姉妹都市です。ぜひ桜の花が咲く頃お訪ねください。

No.337 地域資源の旅行商品化と地域全体のパッケージ化の重要性~プロモーション力をいかに強化できるか~

2014年11月17日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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おりたちて けさの寒さを おどろきぬ
      つゆしとしとと かきの落ち葉深く
                   ~伊藤左千夫~

 11月も半ばを過ぎ、朝夕の涼しさに冬の訪れが近いことを感じます。

 県の9月の観光動向調査が発表されました。(サンプル調査)それによると、宿泊客数は9月単月では0.2%の増となり、1月以来前年を超えましたが、累計では2%の減となっています。最シーズンの8月に大きな台風が来襲して、宿泊等の取消が相次ぎ観光客の減少に繋がりました。残された2カ月で減少分を取り戻すべく、積極的な誘客活動に努めたいと思います。

 今年も、これからの地域づくりや観光地づくり、観光素材発掘、商品造成、情報発信等を担う人材育成を目指し、「第7回かごしま人材育成塾」を開催しました。今回は、過去最高の120名が参加しました。

 講座の概要について簡単に紹介します。

 第1講座は、県観光交流局の五田観光地整備対策監が、「観光かごしまの現状、魅力ある観光地づくり、スポーツツーリズム」について講演しました。

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 地域の人口が1名減少すると、1年間で120万円の消費が失われて、それをカバーするためには宿泊観光客や外国人観光客の誘致が不可欠であると強調されました。また、毎年取組んでいる「魅力ある観光地づくり事業」では佐多岬の整備計画が進み、バリアフリー対策などを施し、2年後には新たな魅力ある観光地として脚光を浴びるのではないでしょうか。

 「スポーツツーリズム」について、「さんふらわあ」を活用し関西地域からの大学生のスポーツ・合宿が増加して、大隅地域の活性化につながっているという事例も発表されました。また「プロキャンプ誘致」や6年後の東京オリンピック、国体の開催をにらんだ整備、誘客態勢について戦略の一端が語られました。

 第2講座は、「株式会社まちづくり計画研究所 代表取締役 今泉重敏」さんが【まちづくり仕掛けのハウツー】について講義しました。

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 元町役場の職員を10年間経験され、今では九州における地域づくり、まちづくりの"のぼせもん"仲間のネットワークの代表世話人として活躍されています。全国に約1万人の人的ネットワークを持ち、まちづくりコーディネーターとして実践に基づいた笑いの絶えない講話でした。

 自治体の総合計画、観光ビジョン、中心市街地の活性化、過疎地活性化、校区単位のまちづくりや将来ビジョンの策定等には、住民が喜ぶ(楽しめる、求める)姿を描く必要がある。絵に書いた餅に終わらないよう、小さな成功事例を創っていくことの大切さを語りました。沿道や集落に、自ら仕掛けた人形や案山子などユニークな展示物は、観光客誘致だけでなく、住民の参画意識を育てているという話など目からウロコが落ちる心境になりました。

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 地域や商店街の活性化に向けた「笑標語」として、「笑売繁盛 笑顔の店には客・福来る」、「笑顔あふれる笑店街 上笑気流に乗る笑人の町」等「笑」という言葉を組み込んだ造語には、なるほどと感心させられるばかりでした。また聞きたい話でした。


 第3講座は、「第30回国民文化祭におけるおもてなし」でした。

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 中村朋美さんから、「おもてなし10カ条」や挨拶の仕方等具体的な手法で、参加者が眠る隙もなく、講義されていました。挨拶の仕方として「同時礼」より、言葉を発して後から頭を下げる「語先後礼」が丁寧であると、また、押すドアと引くドアではお客様の案内の仕方が逆になるなど我々が日頃気付かない貴重な話を聞くことができました。

 国民文化祭は、県内全ての市町村で文化行事が開催されることから、県全体としておもてなしのレベルアップが求められます。「おもてなしの極意」や鹿児島の観光をつなぐ示唆に富んだ話でした。

 第4講座は、日本一の鰹節の産地である枕崎市で、新たな食文化に取り組んでいる中原水産常務の中原晋司氏による【出汁(だし)による地域活性化】でした。

 いま、日本の伝統的食文化が脚光を浴びています。枕崎の漁師が船上で食べる丼飯からヒントを得た「枕崎鰹船人めし」は、県内の地域グルメのNO1を決める「Show 1グランプリ」で2年連続1位に選ばれました。

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 枕崎市の人口減に危機感を感じている中原常務は、特産の鰹節を活用して特産品の開発やPR活動、イベントの創出等地域おこしを自ら実践されています。観光客の前で鰹節を削り、香りが漂うその出汁を顧客に提供することで、安全安心をもたらし、関心を持って観光客は迎えてくれます。

 枕崎を「出汁のふるさと」にしたいと言う大きな夢も抱き、物産と観光を融合させ地域に人を呼び込み、元気にしたいと言う取り組みは、必ずや広がっていくと思います。今度指宿、枕崎線を利用して、指宿の観光協会と連携しワイン列車を走らせ、地産品のつまみ等もPRします。ローカル線を守る取組の一つにもなるのではないでしょうか。

 第5講座は、現在県・連盟のホームページについて、指導いただいている株式会社 トラベルジップ代表取締役 大泉敏郎氏による【観光業界・観光客のトレンドとWebサイト活用方法】でした。

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 大泉氏によると、10年程前は航空券のエージェントの発券率が7割を占めていましたが、現在では75%がインターネットの直接予約にかわっているとのことで、流通構造の変革が急速に進んでいることを指摘されました。大泉氏の指導により県観光サイト「本物。の旅かごしま」 も改善しており、アクセス回数は飛躍的に伸びています。

 観光客が求める情報はどこにあるのか、また見たくなるホームページのあり方について、具体例をあげて説明がありました。ホームページに掲載する情報は、正しい順位と優先順位を常にチェックする必要があると鋭い指摘がありました。地域の情報発信には、人材育成と情報の商品化、PR体制の強化が不可欠と感じた塾生が多かったのではないかと思います。

 最後の第6講座は、薩摩川内市の甑島で「地域おこし協力隊」として活躍されている関美穂子さんによる、【「ヨソの目」が地域に入ることって?~地域おこし協力隊の事例紹介~】でした。

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 地域おこし協力隊とは総務省の人材活性化・連携交流室の事業の一つです。 関さんはエージェントでの経験から、日頃より地域が主体の着地型観光に興味を持っており、薩摩川内市に採用された一人です。現在下甑島に暮らしながら、特産品開発や旅行商品の企画等に取り組んでいます。

 島の住民に地域の活性化策を理解してもらうために、自分の意見を無理強いするのではなく、どうしたらお手伝いできるか、ヨソものがもっているものが地域を元気にする契機となる思いで取組んできました。ヨソの地域に入り込むためには、お互いの差異の自覚、尊重、相互の強みをいかしていくことの必要性を強く語りました。

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 よそものの視点で捉えた甑島の観光素材を商品化し、PRして販売していくそのサクセススト-リーが聞けたのではないかと思います。甑島には、水戸岡鋭治氏設計による、観光高速船が就航し話題の島となっています。島の魅力とともに彼女の今後の活躍に拍手を送りたいと思います。

 今回受講者が増加したのは、講座の選択も可能としたことが上げられます。また、夜学塾は、参加者同志や講師陣とのコミニユケーションの場となり、講座で聞けないより具体的な話が聞けたのではと思います。

 観光のトレンドは、団体旅行から個人旅行にシフトしており、県内の宿泊機関のデータでみると7割が個人客です。そのことが翌日の行動に現れます。趣味を求めて、トレッキング、美術館・博物館・歴史資料館巡り、温泉、ショッピング、ドライブ等行動範囲も広くなり、地域の情報をWEBサイトでいかに発信できるかが重要です。

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 またエージェントへの依存だけでなく、地域主導の着地地型商品の充実も求められます。今年に入り外国人が増加しており、県全体での累計では19.9%増加しています。増便や円安効果、免税制度の拡大など追い風が吹いています。


 地域では受入態勢の整備が急がれます。大都市圏から地方への流れも一気に進んでくるものと思います。地域づくり・観光地づくりには人の存在が重要であり、地域資源を旅行商品化し、そして地域全体をパッケージ化して、プロモーションするという作り込みが必要です。

 今まで人材育成塾を受講した方の多くが、それぞれの地域で頑張っていることは、鹿児島の観光の広がりが進みつつあり、大きな財産となっています。九州新幹線全線開業から3年8ヶ月、転換期をむかえている鹿児島の観光です。この講座が人材育成とさらなる地域活性化につながることを期待しています。

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三七七八米の富士の山と、立派に相対峙し、みじんもゆるがず、なんと言うのか
金剛力草とでも言いたいくらい、けなげにすっくと立っていたあの月見草は、よかった。
富士には、月見草がよく似合う。
         ~太宰治『富嶽百景』から~

No.336 癒しの旅のおすすめ~LCCの就航や割安運賃で気軽に行ける奄美の島々へ~

2014年11月10日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 南北600キロに及ぶ鹿児島県は、本土の長さより離島の長さが上回ります。県内には、28の有人離島があり、それぞれ自然の魅力や文化、歴史があり訪ねてみたい島ばかりです。それぞれの島には定期船が通っていますが、アクセスが十分とはいえない島もあります。

 しかし、あまり行けない島だからこそ都会の人にとっては、行ってみたい場所になります。大陸、琉球、日本文化の接点に位置し、多彩な伝統文化、風俗、歳時、食文化などが残り、旅人を楽しませてくれます。島々は、手つかずの自然が残る貴重な島でもあり、都会の人にとっては、まさに秘境です。

 島全体を自然教室と捉えることができます。加計呂麻島の学校の校門で写真を撮っていると、ちょうど下校時間で元気な子供たちが挨拶をして帰っていく姿が印象的でした。

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 いま本土の学校では、警備上の問題から校門は閉ざされ入ることはできませんが、島の学校はオープンで、緑の運動場の芝生を無邪気に駆け回る子供と子犬の姿に、かつては日本のどこの学校でも見ることができた原風景がそこにあり、ふるさとの小学校時代に思いをはせました。

 40数年前、奄美群島への旅は船旅が主流でした。離島ブームと重なり、夏休みはリュックを背負った若者の姿がデッキまで溢れていました。

 ところで今年の7月1日、LCCのバニラ・エアの成田~奄美直行便が就航しましたが、格安運賃の導入もあり、7月~9月の首都圏からの利用客は大幅な伸びとなりました。県の観光動向調査によると、3カ月間の宿泊客数は、1,608人の増加となりました。(奄美地区9施設を対象)

 従来首都圏から奄美へは、羽田空港から日本航空が1日1便就航していました。首都圏から奄美への航空運賃は沖縄より高く、特に企画商品の価格に大きな差があり、観光客の誘致には不利をかこっていました。

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 LCCの就航は、奄美への新規顧客の開拓に繋がり、奄美の魅力を発信するチャンスとなりました。奄美大島ではホテルやレンタカー体験観光の利用者が増加して、観光需要の底上げが図られているのではと思います。11月の予約も好調ですが、これからも高搭乗率を維持してリピーターを確保するには、受け皿づくりが不可欠です。

 「奄美・琉球」は、ユネスコの世界遺産暫定リストに記載されており、2017年度中の世界自然遺産登録を目指しています。奄美地域の魅力は、生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地が含まれていることです。

 世界的にもまれな亜熱帯性降雨林をはじめ、温帯林の特徴を残す山地林から河口域のマングローブ林、熱帯性植物からなる海岸植生、砂浜からサンゴ礁までバラエティーに富んだ景観美を示しています。

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 また、沖縄と違う、どこか哀愁漂う旋律が心に響く島唄、スローフードの郷土料理、大切に引き継がれた祭りや紬工芸品、特有の方言も観光客の心を癒してくれます。在るものに神秘な力を感じる島です。代表的な行事である「八月踊り」は、太鼓の軽快なリズムに合わせて唄い、額に汗して笑顔で踊る姿にそこに住む人々のパワーを感じます。



 日本航空は、奄美群島航空・航路運賃軽減協議会が新たに実施する「奄美群島交流需要喚起対策特別事業」で東京/羽田・大阪/伊丹・福岡~奄美大島線と鹿児島~喜界島・徳之島・沖永良部・与論線を対象に、一部運賃の値下げを行うことになりました。

 東京/羽田~奄美大島線では、「スーパー先特」として片道14,700円から設定しています。(10月26日~2015年3月28日搭乗分)従来の3割程度の運賃であり、インパクトのある価格設定です。個人客がさらに増加するのではと期待がかかります。

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 LCCの就航と割安運賃の設定で行きやすくなった奄美の観光を、一時的なブームに終わらせるのではなく、年間を通じて誘客できる態勢づくりが必要です。これから奄美はシーズンオフ時期に入ることから、格安運賃で新たな需要の掘り起こしができるものと思います。

 大学生のゼミ旅行や合宿、メディア系旅行社とタイアップした趣味の会等の誘客がし易く、特に島の生活や文化にふれる旅が求められます。

 奄美は冬でも暖かく、プロ野球の秋季キャンプや陸上選手のロードの練習会場として人気があります。首都圏地域からの誘客のネックとなっていた運賃の高さや、アクセスの不便さが少しは解消されるのではないでしょうか。

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 また、春先になると、本土では花粉症に悩む人が多くなります。奄美大島は花粉症の原因である杉が少なく、避癇地としての魅力を発信することが求められます。都会の人々には、2地域2居住をすすめたいものです。

 地域の伝統文化である八月踊りや島唄ライブの実演を体験できる会場の確保も求められます。これまで個別の島で実施していた宣伝活動は、「奄美ブランド」定着を目指し群島全体の情報として発信を強化しなければなりません。

 今日本は外国人旅行者が急激に伸びており、大都市圏ではバスや宿泊の確保、不法駐車、渋滞等様々な課題が露呈しています。奄美は「世界自然遺産登録」が実現すると、クルーズ船の寄港等で多くの外国人観光客の来島が予測されます。外国語教育、外国語表記、食事、おもてなし等の整備も進めなければなりません。

 空港から奄美市内までの景観整備も必要です。奄美は、沖縄との差別化を図り、手つかずの自然を活かした観光地づくりが不可欠です。奄美市と空港の中間にある龍郷町は、県内の自治体の中で人口減が少なく、最近は都会からIターンしてきた若者が多くなっています。マリンスポーツやエコガイド、ペンション経営など奄美の自然を活かした事業に携わり、生計を立てている人々が多く住んでいます。

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 先日加計呂麻島の海岸で、東京から来た若者に会いました。自転車にテントと炊飯道具を積み、奄美の島々を訪ねて昼間はサイクリングしながら移動し、浜辺でキャンプを張っていると言う。海に沈む夕日を見ていると、時を忘れてしまう程感動するとその魅力を語っていました。

 訪れた人々を癒し元気にしてくれる奄美の島々を皆さま是非お訪ねください。

参考:しま旅:公益社団法人鹿児島県観光連盟

No.335 霧島連山・えびの高原(硫黄山)の正確な情報発信を~「環霧島会議」の趣旨をいかそう~

2014年11月4日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 鹿児島地方気象台は24日、霧島連山・えびの高原(硫黄山)で小規模な噴火の可能性があるとして、火口周辺警報を発表、「平常」から「火口周辺危険」に引き上げました。えびの市は24日、硫黄山から半径1キロの範囲を立ち入り禁止としました。

 宮崎県から発表された規制は下記の通りです。
1 規制の概要
 (1)規制開始日時
    平成26年10月24日(金) 午後5時 (当分の間)
 (2)規制内容
    ①入山規制(えびの市)
      硫黄山から概ね1kmの範囲
    ②県道1号(小林えびの高原牧園線)
     ・規制区間起点:小林市南西方環野 料金所跡
     (生駒高原よりえびの高原方面へ2km地点)
     ・規制区間終点:えびの高原 県道30号えびの高原小田線との交点
     ・規制区間延長:約13km
     *県道30号を利用して、えびの市から鹿児島県への通行は可能です。
    ③登山道(県、えびの市)
     ・えびの高原から硫黄山を経由して韓国岳に登るルート
     ・えびの高原から甑岳に登るルート
     ・えびの高原から六観音池及び白紫池を周遊するルート
2 その他
  平成26年10月24日午前10時:宮崎県及びえびの市に情報連絡本部を設置

 尚、霧島市では、えびの高原に至る道路に規制を知らせる看板を設置しました。今回の規制は、宮崎県のえびの高原周辺がほとんどですが、報道では霧島連山・えびの高原と報道されており、近隣の霧島温泉では風評被害等が懸念されています。

 新燃岳噴火の際は、宮崎県の高原町や都城市一帯に降灰があり、地域住民は大変厳しい生活を強いられました。噴火当時は連日マスメディアで報道されて、霧島温泉では、宿泊のキャンセルが相次ぎました。また、韓国の観光客に人気のあるトレッキング、ゴルフツアー等も相次いでキャンセルとなり、地域経済にも大きな影響を与えたことは紛れもない事実です。

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 しかし、観光客が落ち込んだ時期に、おもてなしセミナーや近隣の観光地視察等を実施し、地域ぐるみで誘客を図り回復に努めたことは、記憶に新しいことです。今回の硫黄山の影響を最小限に収める必要があります。

 今回の規制発表の際、多くのメディアが平成23年1月に発生した新燃岳噴火の様子を取り上げ、視聴者は霧島の山がまた噴火したのではと、錯覚したのではないかと思います。また、多くの犠牲者がでた木曽の御嶽山噴火から間もないこともあり、正確な情報を伝えなければ、国内外に新たな不安を与えかねません。

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 霧島連山の新燃岳は、現在は火山性地震も少なくなっており、警戒範囲は1キロに縮小されています。韓国岳からは変化した新燃岳の火口が望むことができます。韓国岳は、えびの高原方面からは当面登ることはできませんが、多くの登山者が利用する大浪池登山口から大浪池経由で韓国岳には登山できます。紅葉見学にはこのルートがベストではないかと思います。

 ところで、エージェントの鹿児島を訪れる商品企画では、1泊は霧島が組み入れられているコースが多く見られます。また、エージェントは全国にネットワークをもっており、迅速に情報を伝達できる強みがあります。新燃岳噴火時も地元支店と連携をとり、定期的にインターネットで社内への情報発信に努めていただきました。

 また、円安、LCCの就航、免税制度の拡充等があり、鹿児島を訪れる外国人は増加しています。台湾や香港からの観光客が大きく伸びており、鹿児島を訪れる外国人の5割を占める韓国人も回復基調にあります。

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 海外の友人に、今回の状況を正確に伝えていただき、安心して霧島に来ていただくよう要請していただきたいと願うばかりです。国内外での説明会では、桜島の噴火と防災対策に常に触れて、そこに6千人の人が住み生活をしていることを伝えています。


 県と観光連盟では、アクセス、イベント、紅葉情報等について、関係者と連絡を取りながら、ホームページで適宜発表していますが、今回も早速ホームページで第一報を掲示しました。危機管理に敏感な全国の教育旅行支店や商品造成箇所への正確な情報発信が特に重要です。

 県民の皆さんも、これから紅葉が本番を迎えます。霧島へ出かけていただき、秋の美しい霧島の魅力を県外の方々に伝えて欲しいと思います。

 霧島地域は今、世界ジオパークの認定を目指して、地域で様々な取組を推進しています。 また、霧島市、えびの市など5市2町で「環霧島会議」を設立し、連携強化に努めています。

 その設立趣旨には、【日本最初の国立公園である1つである霧島屋久国立公園の「霧島山」をふるさとの山と捉える自治体が、それぞれの行政区域を超えて連携し、環境、観光、防災及び教育等に関わる様々な施策・事業について、お互いに知恵を出し合い、協働することにより、地域活性化を図る。「平成19年11月9日」】となっています。

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 新燃岳噴火の際には、環霧島会議の設立趣旨に基づき、関係市町村が協力して難局を乗り越えました。今回の霧島連山・えびの高原(硫黄山)の立ち入り規制の影響を最小限度に収め、いつもと変わらぬ霧島地域の魅力を発信して、誘客に努めたいものです。

No.334 「忘己利他の心」で信頼関係の構築を~人の心を動かす行動とは~

2014年10月27日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 日頃お世話になっているS旅館の会長の奥様(女将)の葬儀に参列しました。香典返しの礼状に次のような文が添えられていました。「自分はいつも二の次三の次。常に周囲の方々のことを気に掛け、誰かの力になりたいと日々励む頑張り屋でした。S旅館を営む父に尽くし、表舞台には立たなかった母。旅館の裏方を一手に引き受けて陰ながら支えておりました。・・・おかあさんありがとう。」~娘 Y子

 女将さんの人生は、戦後の高度成長期、南九州への新婚旅行ブーム、バブル到来による団体旅行の隆盛、バブル崩壊による厳しい時代を克服された波乱の人生でした。葬儀には自治体、観光関係者に加えて、定年退職された多くの仲居さんの姿がありました。

 旅館は毎日宿泊客があることから、24時間安全・安心の管理に気が抜けません。食事の提供や後片付け、夜具の準備等で遅くなることが当たり前となっています。仲居さん達に夜食を作り苦労をねぎらう等、相手に対し常に思いやりの気持ちを、身をもって接する女将さんでした。

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 旅館経営は「おもてなしの心」が不可欠であり、日本の良き伝統的文化を提供・継承しています。しかし日本旅館は人手がかかることや、生活スタイルは洋風志向が強くなり、少人数の部屋の需要が多くなっています。


 その中でも、玄関で三つ指をついてのお出迎えや、バイキング方式を取らずにメイドさんの手による食事のサービスを守る等、日本旅館の良き伝統を守り抜いてきた経営は、多くの人の支持を得ています。

 「桃李もの言わざれども下自ずから渓をなす」のごとく、従業員は女将さんの周りに集まり相談することが多かったとのこと。常に従業員を大切にしてくれる人だったと口々にその死を悼んでいらっしゃいました。

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 今、和食がユネスコの「世界無形文化遺産」に登録されたこともあり、日本旅館の良さが再認識されています。日本旅館の伝統を引き継ぎ、それを支える女将さんの苦労は並大抵のことでは務まりません。また、女性の多い職場での人間関係の融和も大切です。

 会長と供に築かれたS旅館は「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」の「料理部門」で、30年連続第一位を獲得しています。これからも女将さんの精神は、引き継がれるものと思います。

 仕事で実績があがると、「私がしてあげた。」、「俺が動いたからうまく行ったのだ。」と主張する人が多いのが世の常です。女将さんは、まさに「忘己利他の心」を貫いた人生ではなかったかと思います。

 先日鹿児島中央駅からタクシーに乗った際、運転手さんの取った行動に感動を覚えました。当日は雨が降っており、休日ということもあり駅前のタクシーは大変混んでいました。車に乗ると、「雨に濡れて大変ですね」と親切な挨拶を受けました。

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 車がなかなか前に進まず、運転手さんも申し訳なさそうな顔をされていました。その時タクシーのメーターを入れていないことに気づき「運転手さん賃走になっていませんよ」と促すと、雨や朝晩の混雑しているときは、電車通りに出てからメーターを入れるようにしているとのこと。

 労働環境が厳しい中で、2回は料金が上がり稼げるのにと申し訳ない気持ちになりました。いまどきこのような律儀な運転手がいることにも感心させられました。

 鹿児島中央駅からタクシーに乗ると、混雑時は車が進まずメーターだけ上がり、いらいらすることもしばしばです。運転手さんはお客さんの気持ちを察して、メーターを入れないという行動を取ったのでしょう。会社で指導されている訳でもなく、自らの意思で行っていると話されていました。自分は損をしてでも他人を利するという行為を受けて、胸がじんとくるものがあり、釣銭は取らずに下車しました。このような運転手は稀ですが、せめて車内では客を和ませる努力が必要と感じます。

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 ところで、1年の内で観光客が最も多いシーズンに入りましたが、台風19号の襲来で県内の観光施設は大きな影響を受けました。指宿や霧島の大型旅館では、1000名を超える取り消しがあり大きな打撃となりました。台風18号でも多くの施設で取り消しが発生しており、2週続けて大きな痛手となりました。

 離島では台風が南方海上に発生すると、その後の進路や交通機関の乱れを想定して、4~5日前から取り消しが発生しており、本土よりも深刻な状況です。今年は県内で大きなイベントもなく、観光客誘致には苦戦が予想されていましたが、台風や水害の発生は、それに追い打ちをかけることとなりました。

 これから少しでも回復に全力を上げねばなりません。修学旅行の振替作業や顧客の掘り起こし、職場旅行、農閑期の旅行、忘年会、新年会、卒業旅行とターゲットを決めて商品企画や営業体制の強化を図る必要があります。 

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 また、宿泊施設では空き日をチェックして、積極的にエージェントやインターネット上で情報を発信することが求められます。今年は日本各地で自然災害が発生し、観光地は大きな痛手となりました。旅行需要の回復は比較的早いと言われますが、誘客活動の厳しさはどこも同じです。11月には2度の3連休、年末年始は31日から年明けの4日まで5日間の休みがあります。周辺の紅葉情報、イベント、新酒、旬の食材の魅力等を商品企画に盛り込み、挽回に努めたいものです。

         秋萩の 花咲きにけり
                高砂の 尾上の鹿は 今や鳴くらむ
                             ~藤原敏行:古今和歌集~ 

No.333 武家屋敷を活かす新たな取組~着物姿であなたも、しばしお姫様に~

2014年10月20日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 出水市は鹿児島県の最北端に位置し、自然や歴史、豊富な農水産物等魅力ある市です。秋になると上場高原では、コスモスが青く澄んだ青空の下に赤やピンクの可憐な花をつけ、絨毯を敷き詰めたような光景に出会います。


 11月になるとシベリアから冬の使者、ツルが飛来しその数は毎年10,000羽を超えます。訪れる人々は幸せを託し、ツルは多くの感動を与えてくれます。年が明け水ぬるむ頃になると、ツルは群れをなし別れを惜しむかのように荒崎の田畑の上空を何度も旋回し、北へ飛び立っていきます。永年に渡ってツルを保護してきたことが、飛来地として選ばれておりまさに「鶴の恩返し」のようです。

 出水市では、外国人へのグリーンツーリズムの取組に力を注いでおり、シンガポールや香港の学生の農家民泊が人気です。出水平野には恵まれた田園地帯が広がり、農家も日頃から研修を行うなど受け入れ態勢の充実に努めています。

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 今の時期みかんの収穫体験が人気です。新幹線が停車し博多駅から1時間余り、外国人の誘客には適した地域ではないかと思います。ビザの緩和、円安、免税制度の拡大など外国人の誘客には追い風が吹いています。日本人の国内旅行が伸び悩む中、外国人による交流人口拡大は不可欠となっています。

 出水駅を通る「肥薩おれんじ鉄道」も人気です。特に東シナ海に沈む夕日は圧巻であり、ぜひ乗車して体験していただきたい。また東アジアの観光客に人気の「おれんじ食堂」や「おれんじカフェ」も一度は乗って味わってください。

 また、出水市は全国第2位の鶏卵の生産地です。それを活かした新ご当地グルメ「いずみ親子ステーキごはん」は、2011年2月の発売以来25,000食を超えました。「出水の食」として知名度も上がっています。

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 ところで出水市には、南九州市の知覧、薩摩川内市の入来麓と並んで「国の重要伝統的建造物群保存地域」が残されています。島津氏は、軍備と地方行政の目的から外城制度を設けました。藩内の102の外城でも規模の大きかったのが、出水の麓です。

 碁盤の目のように整然と区切られた道路、玉石を積んだ風格あるたたずまい。風雪を耐えた生け垣や武家門に、武の国薩摩の威厳がただよいます。薩摩の玄関口だけに、時の支配者たちは出水に大きな力をそそぎました。

 地頭仮屋の御仮屋門(現在は出水小学校正門)は、江戸時代初期に島津家17代義弘が、帖佐から移させたものといわれています。いにしえの鼓動が聞こえる、歴史に、文化に、時を越えた浪漫が感じられる地域です。NHKの大河ドラマ「篤姫」の撮影が武家屋敷でも行われました。

 いま、その武家屋敷を活用し、日本の伝統文化を体験できる新たな取組が人気を博しています。それは着物文化との融合です。その概要は下記の通りです。

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 タイトルは、「着物で武家屋敷を歩こう会」、家庭で眠っていた着物と帯に命をあたえませんか!着た着物と帯はお持ち帰り!!です。期日は、平成26年11月30日(日)【小雨決行】で、参加費は1人5,000円(着付料を含む)。持ち帰りができる着物と帯は先着順に選ぶことができます。履物、足袋、長襦袢のレンタル料も含まれています。途中武家屋敷の中で庭園を鑑賞しながら、お茶、お菓子のおもてなし、琴の演奏もあります。




 実行委員会は、鹿児島まちの駅連絡協議会北薩ブロック、出水異文化交流の会、NPO法人さわやか出水女性の集い「さわやか出水来て喜テサロン」で、後援として出水市、出水商工会議所、鶴の町商工会、他NHKや民放各社等12団体が参画しています。

 先日東京で開催されたトラベルマートでPRしたところ外国人にも大好評でした。過去2回の開催では外国人の参加もあり、日本文化にふれる良い機会となっています。

 出水の武家屋敷は、重要伝統的建造物保存群地域というブランド価値が付加されていることから、そのストーリーを語ることでお客様を地域に誘客できます。加えて日本の伝統的文化のひとつである着物で散策し、途中お茶とお菓子の提供、琴の演奏という演出が参加者の満足度を高めます。

 武家屋敷の一角には、地産地消の食事店や大阪の著名なシェフが経営するレストランもあり、観光の後ゆっくり寛げます。帰りに特産品や焼酎等を買っていただければ、地域にとってメリットが享受できます。

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 武家屋敷という観光資源を活用し、今回のイベントが旅行商品になるための要素が整っています。観光客が着物姿で歩き、お茶や琴という日本の伝統文化を体験できることが商品の価値となります。それをメディアに情報提供、発信することで誘客につなげることがプロモーションです。

 家庭に眠る雛人形、こいのぼり、地域の神社・仏閣、伝統芸能等を旅行商品として売り出す際の参考になるのではないでしょうか。

〈参考〉出水市観光パンフレット(発行:出水市産業振興部観光交流課)
「第3回着物で出水武家屋敷を歩こう会」チラシ

 最後に武家屋敷には次の歌が似合います。あなたも着物姿で武家屋敷を散策しませんか。

                   「わたしの城下町」

             作詞:安井かずみ 作曲:平尾昌晃

          格子戸を くぐりぬけ  見上げる 夕焼けの空に
          誰が歌うのか 子守唄  わたしの城下町
          好きだとも いえずに  歩く川のほとり
          行きかう人に なぜか目をふせながら 心は燃えてゆく

          家並が とぎれたら お寺の鐘が聞こえる
          四季の草花が 咲き乱れ わたしの城下町
          橋のたもとに ともる 灯りのように
          ゆらゆらゆれる 初恋のもどかしさ きまずく別れたの

No.332 『第30回国民文化祭・かごしま2015』を御存じですか~各市町村の事前取組が成功への近道~

2014年10月14日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 秋田県で第29回国民文化祭が始まりました。国民文化祭は、各種の文化活動を全国規模で発表、競演する機会を提供することにより、国民への文化活動への参加の機運を高め、新しい芸術文化の創造を促すことを目的に開催されてきました。

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 来年の第30回大会は、鹿児島県で開催されます。鹿児島の国民文化祭の特徴は、県下43全ての市町村で何らかの文化的行事が開催されることです。特に離島での開催は、観光をかねて参加することができ、参加者が増えるのではと期待が膨らみます。

 開催期間は、2015年の10月31日(土)~11月15日(日)までの16日間で、テーマは、「本物。鹿児島県 ~文化維新は黒潮に乗って~」となっています。愛称は、「ひっとべ!かごしま国文祭」で、ロゴマークもすでに発表されており、関心の度合いも少しずつですが浸透しているのではないでしょうか。

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 『本県で国民文化祭を開催する意義として、県民一人ひとりが、企画・運営に主体的に携わり、常に進取の気性に富み、異文化とのふれあいを通じて先人が創り上げてきた誇るべき鹿児島の風土や文化芸術に触れ親しむなかで、我々が「違い」に寛容で、進取と含羞の心を併せ持つ「鹿児島県民」であることへの誇りを共有し、再認識することです。』
―第30回国民文化祭基本構想―

 開催まで1年あまり、県民あげての盛上げが必要であり、各市町村の取組強化が大会の成功を左右します。出演者を増やし、地域の魅力を発信する機会と捉えねばなりません。文化イベントは、スポーツイベントに比べて市民の関心が低く、人を集めることに苦労します。

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 また、国体等代表選手が参加する大会であれば出張経費等の補助がありますが、国民文化祭は趣味を同じにする人たちの発表会の場であり、自費参加が主流となっています。ここに国民文化祭に対する集客の厳しさがあり、各事業の参加者をいかに増やすかが、問われます。 

 そのためには、地域の自然や食、特産品、周辺の観光地などを定期的に関係団体にPRして、行きたくなる開催地としての魅力を情報発進することが重要です。さらに、参加者との交流の機会を設ける等地域ならではの「ふだん着のおもてなし」の醸成が求められます。また、各市町村のトップの理解と担当者の集客に対する意気込みが問われます。

 鹿児島県は南北600キロに及び、言葉、食、祭り、暮らし等独特の文化を育みました。県内には、113の蔵元と2000を超える銘柄がありますが、いろいろな焼酎の飲み方や「なんこ遊び」等は鹿児島ならではの文化です。与論に行くと、与論献奉という独特のおもてなしの手法で接待されます。

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 今、和食が世界無形文化遺産に登録される等、日本文化への関心が高くなっています。県内には多くの外国人が住んでおり、鹿児島の文化の発信者になってもらうことが大切です。海外航空路線は4都市へ、また各市町村は海外の姉妹都市との交流を定期的に進めており、今回の国民文化祭に海外から友人を呼ぶことで、鹿児島の文化を知ってもらういい機会になります。

 2015年、「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」が「世界文化遺産」登録をめざしています。鹿児島市内にある5つの関連施設がイコモスの調査を受けました。登録が実現すると、国民文化祭の開催にも弾みがつき、観光を兼ねて多くの参加者があると期待されます。

 薩摩藩は多くの偉人を輩出し、明治維新の原動力になりました。「郷中教育」や「薩摩藩英国留学生」、「近代化産業遺産群」等の歴史を学ぶことで、薩摩の文化を感じることができます。大会参加者に薩摩の文化を認識してもらえる絶好の機会としなければなりません。

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 今回の大会は離島の市町村も会場となります。大会のスローガンに、「文化維新は黒潮に乗って」の言葉がありますが、鹿児島大会のイメージを象徴しています。県内に28の有人の離島があることは意外と知られていません。大会後に離島を訪れる参加者が多くなるのではないでしょうか。

 また、地域文化の継承には後継者の養成が不可欠であり、子どもやお年寄りのために出演の機会をつくってあげなければなりません。また、地域文化を掘り起こし、学ぶ機会を提供することは郷土愛を育てることになります。

 最後に国民文化祭開催を機に、鹿児島に新しい文化を根付かせるいいチャンスにしなければなりません。機会あるごとに祭典の意義、大会への参画を促すことが求められます。プレイベントや来年の大会を意識した事業プログラムもあり、大会への関心を高める取組が進みつつあります。各県の新聞社やテレビ局が主催している「カルチャーセンター」へのPRも誘因効果をもたらします。出演団体が増えることで人が集まり交流の機会ができることは、地域の活性化に繋がります。

 第30回国民文化祭の成功に向けて、県民一人ひとりが参画意識を持って、おもてなしのこころで迎えたいものです。

       妹の小さき歩み いそがせて
             千代紙(ちよがみ)買いに 行く月夜かな
                                      ~木下利玄~

No.331 個人旅行と外国人受入態勢の確立を~旅行形態の変化にいかに対応するか~

2014年10月6日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

        名も知らぬ山のふもと邊(べ)過(よ)ぎむとし
                        秋草のはなを摘みめぐるかな
                                       若山牧水

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 10月に入り北海道では紅葉が盛りとなり、阿寒湖、摩周湖の周辺では国道沿いの木々が赤、黄色の鮮やかなトンネルとなり、観光客がしばし車を止めて撮影する姿が見られます。道東では10日のマリモ祭りが終わると冬支度の準備です。紅葉はこれから十和田湖、八幡平、奥日光と南下し、京都が美しい紅葉に包まれるのは例年11月の中旬頃です。特に洛北の紅葉は必見の価値があります。

 県内で近年話題となっている垂水の「千本イチョウ」は11月下旬から12月上旬までで見られます。紅葉情報に注意しながら、ぜひ平日にお尋ねください。ライトアップもなされる夜のイチョウ園の景観も見事です。 

 ところで県内を訪れる観光客の宿泊動向を見ると、全体の70%がグループ、個人客となっており団体旅行が減少していることがあげられます。かつて宴会を伴った団体の招待旅行や報奨旅行が激減し、また、金融機関が実施していた積立旅行や簡保旅行も見られなくなりました。

 国民生活も豊かになり、日々生活する中で近隣の温泉に出かけたり、各地域の料理等を味わう機会も増え、団体旅行で出かける必要性も少なくなっているのではないでしょうか。今では修学旅行が数少ない大型団体です。鹿児島県では九州新幹線全線開業を好機と捉え、誘致に力を注いでいます。

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 先日会った霧島温泉のある支配人の話によると、最近は卒業の周年旅行や還暦同窓会等が増えており、昔の絆を大切にする世代がそれを支えています。ホテルでは、専任の担当者を配置し、記念旅行の盛り上げを図っているということです。時代の変化を読み取り、それにいかに態勢を整えるかが大切です。

 ところで日本旅館は従来の1泊2食だけでなく、1泊朝食や素泊まりも受入れている施設もあり、伝統的日本の文化をいかに守っていくかが問われています。鹿児島に来る観光客は、2泊3日が主流ですが、1泊は温泉地、2泊目は鹿児島市内のシティホテルというコースが人気であり、2日目は街にでて、夜は地元料理を食べるという観光客もいます。鹿児島中央駅前にある「ふるさとかごっま屋台村」に行くと、そのような旅人によく出会います。

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 一方ビジネスホテルでは、じゃらんや楽天など場貸しサイトに部屋を提供し販売するシステムを導入している施設もあります。全国展開しているホテルが、資金力を武器に安売り攻勢をかけています。特に地元資本のホテルは厳しく、地域ならではの「おもてなし」やサービスの提供が勝ち残り戦略の一つです。

 日本の国内旅行は成熟し、個人旅行も多様化しています。温泉地域の施設では、バブル時代に造った大きな部屋は効率が悪くなっており、小部屋に分割し、露天風呂付きの部屋やレストランの席数を増やすなど個人旅行に対応できる仕組みづくりが求められます。

 また、翌日宿泊客が半日程度でも滞在できるメニューや地域の魅力づくりが必要であり、第一次・二次産業をもっと商品企画に活かすべきです。グリーンツーリズム、ブルーツーリズム、ものづくり、産業遺産、伝統工芸、食品、祭り、伝統行事、蔵元ツーリズム等です。従業員自ら地域を回り、地域の観光資源を宿泊者にPRできることが、連泊やリピーターの創造に繋がります。 

 一方地域は、人口が急激に減少していくことから交流人口の拡大も不可欠です。現在訪れている観光客が、地域にどの程度の経済効果をもたらしているか、データの分析が必要です。県内でもいくつかの市町村が日帰り観光バスを運行して、誘客に努めています。

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 集客できている要因はバス料金が安価であることも大きな理由ですが、参加者がどの程度地域で買物をし、リピーター化に繋がっているか、地域の活性化の視点で定期的に分析する必要があります。いつまでも税金を投入するだけでは、議会や住民の理解は得られません。きちんと経済効果の分析や参加者の声を、今後の街づくりに活かすことが大切ではないかと思います。

 また、今後は外国人の受入態勢づくりが不可欠です。2013年訪日外国人が1千万人を超え、これからも東アジアを中心に増加することは確実です。最近鹿児島市内で、ガイドブックを持った台湾や香港、韓国のグループに良く出会います。クルーズ船が入港すると欧米系の方は、夫婦で電車やシティビューで市内見学をしています。

 現在の受け入れ状況は、宿泊代や食事代が安く、必ずしも受入サイドにメリットばかりではありません。適正な価格設定が重要であり、地域間、関係機関の連携も大切になっています。

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 「ななつ星in九州」の乗客は富裕層が多く、鹿児島が誇る高級食材や、伝統的工芸品のPRも欠かせません。10月1日から免税品が全品目に適用され、免税店の設置も地域には必要になっています。


 最後に、和食がユネスコの世界無形文化遺産に登録され、日本に興味を持つ外国人が増えています。この素晴らしい文化を国内外の人にPRする方策の一つが観光振興です。外国人観光客を鹿児島に根付かせることが地域を元気にすることと信じてやみません。

No.330 免税店の設置で県産品の販売拡大を~外国人旅行者向け消費税免税制度の変更を活かそう~

2014年9月29日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 2013年の訪日外国人旅行者数は、1036万人で悲願の1千万人を達成しました。全体の76.7%がアジアからの旅行者です。国別では、韓国、台湾、中国、香港、タイの順となっています。8月は22.4%増の111万人で、1月からの累計は25.8%増の863万8千人となり好調を維持しています。

 訪日客が伸びている要因として、ビザの緩和、円安、LCCの就航、和食の世界無形文化遺産登録による日本ブーム、東日本大震災から3年半が経過していること等があげられます。このまま推移すると、年間では1200万人程度となり、2020年の2000万人達成も現実味を帯びてきました。

 鹿児島県の2013年の訪日外国人の宿泊者数は21万人余りで、26.3%増となっています。台湾、香港が大きく伸び、韓国や中国からは竹島や尖閣諸島問題もあり減少しました。

 2014年は、台湾、香港が引き続き順調で、中国は回復基調で、韓国は旅客船沈没事故等の影響もあり減少傾向でしたが、冬場のゴルフ客等の回復が期待できます。7月の観光動向調査によると、宿泊客は15.5%増の12,158人となっています。このまま推移すると、今年は過去最高の外国人宿泊者数になるのではと想定しています。

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 ところで、外国人旅行者向け消費税免税制度について、今年の10月1日から、消耗品(食品・飲料、化粧品、薬品等)が新たに免税対象となり、全品目が免税対象となります。

 これにより各地の銘菓、酒、米、調味料、薬、伝統工芸品といった地域ならではの特産品も免税販売が可能となることから、訪日外国人の旅行消費を促し、地域経済の活性化とリピーターの創出に繋がるものと思います。対象品目の拡大に加えて、手続きも簡素化されます。

 今回の制度改正を鹿児島においても最大に活かす取組が求められます。国では2020年の東京オリンピックに向け、全国各地の免税店を10,000店規模へ倍増させることを目標に、さらなる免税手続きの利便性の向上等に取り組むこととしています。

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 県内には現在14店舗の免税取扱店がありますが、デパート、量販店、電気店等に限られており、今後取扱店舗の拡大が求められます。これから免税店設置を申請するにあたっては、態勢づくりも求められます。外国語表記、中国語や英語を話せるスタッフの養成や異文化への理解、Wi-Fiの設置等が不可欠です。

 現在免税店を扱う店舗は、鹿児島市内に集中しています。今後の免税店設置については、貸切バスが駐車できる郊外の大型店、道の駅、土産品を置いている食事店、散策中に立ち寄れる中心市街地、宿泊者に便利なホテル等が、適しているのではないでしょうか。

 先日上海の有力企業グループの幹部と会う機会がありました。グループ内に旅行部門を持ち、今年はすでに長崎県を中心に、九州へ1200人の訪日客を取り扱っています。幹部によると、今後九州に送客しやすい要件の一つとして、多種品目を扱う免税店が身近な場所にあることが不可欠と語っていました。

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 上海の人々が今日本に行って買いたいものは、安全安心の食材が一番である。電気製品やデジカメはすでに大衆に普及しているとのことでした。富裕層も増加し健康・長寿に関心があり、日本の美味しいブランド米、調味料、粉ミルク、薬品、化粧品等に人気があると言っていました。

 米は日本より4倍も高く、宿泊先で食べた美味しい米を手に入れたいという旅行者のニーズが高くなっていると語っていました。また赤ちゃんがいる世帯や老人層は、粉ミルクや薬品等を重宝しています。自国の製品より日本産のブランドを信用している姿が感じられます。

 このように中国からの観光客は、行程の中で生活用品が買える免税店への立ち寄りを望んでいます。人口や経済発展を考えると、鹿児島への訪日客は、今後上海からが一番伸びるのではと考えています。その意味でも上海線の利用促進を図りたいものです。

 また、福岡空港からの入国者が鹿児島を観光し、最後にショッピングを楽しみ、鹿児島空港から出国し易い環境を整えることが経済効果をもたらします。そのためには新幹線の片道切符の大幅な割引をすべく、JR九州との交渉も求められます。

 今回全品目に消費税免税制度が拡大されたことで、県産品の販売拡大を図ることで、地域の活性化につなげねばなりません。食料品では、早場米、醤油・味噌、黒酢、調味料、干物、黒砂糖、郷土銘菓、焼酎、水、薬品、健康補助食品等、又富裕層は、ガラス工芸品、薩摩焼、屋久杉製品、薩摩錫器等にも関心を持つのではないでしょうか。

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 鹿児島を訪れた外国人が、「免税店シンボルマーク」に気づいて来店したら、気軽に応対できる店を増やして行く必要があります。訪れた地域に免税店がなければ、購買のチャンスを逸し、2度と鹿児島を訪問する機会を絶ってしまいます。


 日本の人口は確実に減少して行くことから、観光交流人口増大による地域活性化は不可欠です。観光庁の資料によると、定住人口1人減少分を外国人観光客11人でカバーできると試算しています。

 県内各地域に、外国人がゆっくりショッピングできる免税店を増やすことが、外国人誘客の一つになるのではないでしょうか。

No.329 第7回かごしま観光人材育成塾」の開催について~まちづくり・観光地づくりに求められるものとは~

2014年9月22日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 天候不順が続いた今年の夏も終わり、朝夕の涼しさに秋の気配が濃くなり、えびの高原ではススキの穂が色づき始めています。九州新幹線全線開業から3年半が経過し、開業効果が一段落しているものの、週末の観光地は多くの観光客で賑わっています。

 鹿児島市内の食の有名店には、ガイドブックを持った若者たちが列をなし、修学旅行生は、天文館のかき氷店で「白くま」を食べている姿が印象的です。そのまちに観光客の姿を見れば、元気さがわかるような気がします。

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 ところで、九州新幹線全線開業後二次交通の整備や新たな地域づくり、情報発信が功を奏し、従来通過地点であった地域に観光客が訪れるなど変化が起きています。一方では個人旅行が主流となった今、それに十分対応できなくなった施設が厳しい状況におかれる可能性があります。

 今年も、これからの地域づくりや情報発信を担う人材育成を目指し、「第7回かごしま人材育成塾」を開催します。地域づくりやおもてなし、情報発信、地域資源を活用した特産品等の開発、よそものから見た地域おこし等、鹿児島が今後取り組むべき課題について学ぶ6つの講座を開催します。

 講師と講座の内容について簡単に紹介します。

 第1講座は、県観光交流局の倉野観光課長が、「観光かごしまの現状」について講演します。県が毎年取組んでいる「魅力ある観光地づくり事業」の現況や今後の重点課題の一つである「プロスポーツの振興」等についての講座です。プロスポーツについては、「キャンプ誘致」や6年後の東京オリンピック、国体の開催をにらんだ戦略の一端が語られるのではと楽しみです。

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 第2講座は、「株式会社まちづくり計画研究所 代表取締役 今泉重敏」さんによる【まちづくり仕掛けのハウツー】です。今泉さんは、かつて福岡県久山町の職員を10年間経験された後独立され、今では九州における地域づくり、まちづくりの"のぼせもん"仲間のネットワークの代表世話人として活躍されています。


 首長、議員、地域づくりリーダー、女性団体等の、約1万人の人的ネットワークを持つ、笑顔のバイタリティあふれるまちづくりコーディネーターです。自治体の総合計画、観光ビジョン、中心市街地の活性化計画、過疎地活性化計画、小学校単位のまちづくり協議会等の将来ビジョンの策定等、これまで150以上のプランを策定した経験の持ち主です。自治体の多くの職員の皆さまに聞いていただきたい講義です。

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 第3講座は、「第30回国民文化祭におけるおもてなし」です。来年10月31日~11月15日まで開催されるこの大会は、日本における文化の最大の祭典です。県内全ての市町村文化行事が開催されることから、県全体としておもてなしのレベルアップが求められます。


 講師の中村朋美さんは、地元メディアの元アナウンサーとして活躍され、温泉、焼酎、美術・工芸、食等にも造詣が深く、常にお客様の視点で語りかける姿勢は、誰もが信頼を寄せています。社会貢献活動にも積極的に取り組まれています。「おもてなしの極意」や鹿児島の新たな観光の在り方について示唆に富んだ話が聞けるのではと思います。

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 第4講座は、日本一の鰹節の産地である枕崎市で、新たな食文化に取り組む中原水産株式会社常務の中原晋司氏による【出汁(だし)による地域活性化】です。日本食がユネスコの世界無形文化遺産に登録され、日本の伝統的食材が脚光を浴びています。



 枕崎の漁師が船上で食べる丼飯からヒントを得た「枕崎鰹船人めし」は、県内の地域グルメのNO1を決める「Show 1グランプリ」で2年連続1位に選ばれました。中原常務は、特産の鰹節で街を活性化したいと出汁の魅力を日々PRし、新商品開発にも取り組むとともに、海外での営業活動も始めています。枕崎を「出汁のふるさと」としたいと言う大きな夢が語られると思います。食の関係者にぜひ聞いてもらいたいテーマです。

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 第5講座は、株式会社 トラベルジップ代表取締役 大泉敏郎氏による【観光業界・観光客のトレンドとWebサイト活用方法】です。現在県・連盟のホームページについて、ご指導いただいているのが大泉氏です。大泉氏の指導・助言により連盟のホームページへのアクセス回数は飛躍的に伸びています。


 顧客が求める情報はどこにあるのか、また見たくなるホームページのあり方について、革新的な提案がなされるものと思います。各自治体で広報や観光宣伝を担っている人の最適な講座と思います。是非参加ください。

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 最後の第6講座は、薩摩川内市の甑島で「地域おこし協力隊」として活躍されている関美穂子さんによる、【「ヨソの目」が地域に入ることって?~地域おこし協力隊の事例紹介~】です。地域おこし協力隊とは簡単に述べると、「都会の若者を地方に呼んで、地域活動をしてもらいながら地域力を維持強化していきましょう」、という事業で総務省の人材活性化・連携交流室の事業の一つです。

 関さんは大学卒業後、エージェントで海外旅行のツアー企画造成、予約や担当され旅行業務には精通してこられました。日頃から地域が主体の着地型観光に興味を持っており、薩摩川内市が公募していることを知り、採用された一人です。現在下甑島に暮らしながら、特産品開発や旅行商品の企画等に取り組んでいます。

 よそものの視点で捉えた甑島の魅力をどのようにして商品化し、PRして販売していくのかそのサクセススト-リーが聞けるのではないかと思います。甑島には、水戸岡鋭治氏設計による、観光高速船が就航し話題の島となっています。島の魅力とともに彼女の活躍ぶりに拍手を送りたいと思います。

 今回から、講座の選択も可能となりました。どの講師の方々も豊富な経験を持ち、それに裏打ちされた講演は、皆さんの活動に必ず役立つと信じます。また、夜学塾は、参加者同志や講師陣とのコミュニケーションの場であり、講座で聞けないより具体的な話が聞けると思います。

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 地域づくり・観光地づくりには、まず人材の育成が重要と考えています。今まで人材育成塾を受講した方の多くが、それぞれの地域で頑張っていることは、鹿児島の観光にとって大きな財産となっており、7回連続で受講を申し込んでいる方もいらっしゃいます。

 九州新幹線全線開業から3年半、転換期をむかえている鹿児島の観光です。この講座が人材育成とさらなる地域活性化につながることを期待し、多くの受講者が参加されることを期待します。

No.328 拠点地域からの広域観光周遊ルートの商品化を~観光客をいかに広げるか~

2014年9月16日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 赤とんぼの群れ飛ぶ姿が夕日に映え、秋の訪れを感じます。登下校の子供たちはジャージ姿が多く見られますが、運動会の練習の帰りでしょうか。また、味覚の秋を迎え、店頭には栗や柿の実が並び、北国では紅葉が始まります。

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 1年の内で一番観光客が動く時期になりました。鹿児島県内には年間680万人もの宿泊者がありますが、約70%が鹿児島市、霧島地区、指宿地区の3地域に集中しています。(観光庁2015年統計)今後の鹿児島の観光を考えるとき、この3地域からいかに観光客を広げるかが大きな課題となっています。

 この度、鹿児島地域発の広域観光周遊ルートのコースとして、いちき串木野・薩摩川内方面のモニターツアーを実施し、宿泊・観光施設、キャリア、エージェント、県、市、地域振興局等から56名の参加がありました。主な観光地の魅力と課題について整理したいと思います。

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 2018年(平成30年)は明治維新から150周年の節目を迎えますが、維新の立役者となった偉人を多く輩出しているのが薩摩藩です。1865年薩摩藩は、国禁を犯して15名の若者と随行者4名を英国に派遣します。いわゆる薩摩藩英国留学生です。その生徒の多くは開成所で学んだ若者で帰国後は官界、実業界で活躍します。

 留学生の足跡を見学できる施設として、いちき串木野市にオープンしたのが、「薩摩藩英国留学生記念館」で、その施設を最初に訪ねました。地元の田畑市長の出迎えを受け、記念館の設計から展示物まで手がけた砂田光紀プロデューサーの案内で、館内の見学を行いました。

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 留学生の苦難の渡英やその後の活躍のストーリーは、近代日本の成長に大きな足跡を残していると感じます。また、渡英前に過した羽島の人々との交流は、日本を離れる留学生たちの心の支えになったのではないでしょうか。


 留学生の中で村橋久成は、戊辰戦争の際砲台長として活躍し、その後北海道開拓使となり、サッポロビールの生みの親として語り継がれています。

 留学当時13歳と最年少であった長沢鼎は、その後アメリカに渡り生涯を過ごし、広大なぶどう園の経営とぶどう酒製造に尽くし、ワインの帝王と称されました。鹿児島でもナガサワワインとして親しまれています。

 今羽島地域では、ボランティアガイドや観光船運行の体制が整い、これからの地域づくりの支えになるのではないでしょうか。記念館前の駐車場が狭いため、シーズン中の車の誘導や団体バスの乗降に気をつけなければなりません。

 各市町村で、青少年の翼、青年の船等の海外派遣事業が盛んです。ぜひ、小・中・高校生等若い方々に見学して欲しい施設です。

 日本は人口の少子・高齢化時代に入り交流人口の拡大が不可欠であり、外国人観光客の誘客もより強く求められてきています。鹿児島の近代化遺産群が、世界文化遺産への正式登録を控えています。開成所から薩摩藩英国留学生に至る功績を学ぶことは、明治維新150年を検証することにもなります。人材育成の重要さも伝えたいものです。

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 食事施設としてマグロ船の形をモチーフに、資料館と物産館を併設したレストラン「まぐろの館」がオープンし人気を博しています。いちき串木野市は、マグロ船の船籍保有数は日本一となっていますが、マグロは主に焼津港や清水港に水揚げされます。

 まぐろの館の社長は、おいしいマグロを食べたいという顧客の要望に応えて、満を持してのオープンとなりました。北薩摩地域にこのような大型の食事施設がなかっただけに、観光ルート設定には役立ちます。県民へのPRも図らねばなりません。

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 次に訪れたのが薩摩川内市の市比野温泉地域です。かつて市比野温泉地域は、鹿児島市の奥座敷として多くの宴会や団体客で賑わっていました。今では宿泊施設は数軒のみで、昔を知る人には寂しい限りです。


 時代の流れは個人客が主流となり、それに対応することの難しさを感じます。それでも、与謝野晶子が宿泊した「みどり屋旅館」や文学碑、人気のお菓子屋があり、1時間程度の街歩きが楽しめます。

 地域おこしで始まった「よさこい祭り」は年毎に参加団体が増え、今では北薩を代表する祭りに成長しています。市比野温泉は泉質が素晴らしく、近隣のお客さまに愛されてきた温泉でもあります。昔の団体旅行全盛期のスタイルに戻るのではなく、ロマン漂う静かな温泉街の復活を望みたい。近くの道の駅「樋脇」も多くの買物客で賑わっています。入来麓武家屋敷、いむた池と一体となっての誘客が求められます。

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 入来麓武家屋敷群も整備され、美しい町並みが復活しました。清色城跡、旧増田邸、旧家入来院氏の家並みは必見の価値があります。ガイドさんの説明も楽しく、わかり易い解説でした。近くの入来小学校の子供たちが手を振り頭を下げる姿に、地域ぐるみで観光客を迎えているという「おもてなしの心」が醸成されていると感じます。

 武家茶房Monjoでの休憩時間も楽しく過すことができました。街の散策の途中に、小物店やカフェがあると助かります。地域に少しでも経済効果をもたらす仕組みづくりは不可欠です。 また、近くの大宮神社で奉納される入来神舞は、700年の歴史があり、その中で舞人が朗詠する「君が代」が国家の始まりと言われています。神社のPRと併せて駐車場、トイレ等の整備も必要です。

 薩摩川内市では、今回も地域ぐるみで歓迎幕をもって我々を出迎えてくれましたが、その取組は市全体に広がっているという好印象を受けました。

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 九州新幹線が全線開業して北薩摩地域は波及効果が少ないと指摘されていますが、地域は必死に頑張っています。それに応える為には、市や連盟ではPRやエージェントと連携した商品企画支援をもっと充実していく必要があります。


 知名度が主要3地域に比べて低いだけに、入込み客数だけにとらわれず、地域活性化の視点で捉えていく必要があります。そのことが3地域の発展にもつながるのではないでしょうか。

 これからも3地域からの観光周遊ルート定着に向けて、努力したいと考えています。いちき串木野市、薩摩川内市の方々にお礼を述べるとともに、頑張れとエールを送りたいと思います。

No.327 平成26年度の後半戦をいかに取り組むか~地域の総合力を結集した商品展開を~

2014年9月8日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

        葛(くず)の花 踏みしだかれて 色あたらし。
                   この山道を 行きし人あり  ~釈迢空~
*葛は秋の七草。日本人は葛の根からつくった葛粉を、昔から利用してきました。葛湯、くずきり、くず餅は、むかし懐かしい味です。

 二百十日が過ぎ、朝夕の涼しさに秋の気配を感じます。今年の夏は全国的に不順な天気が続き、集中豪雨による大きな被害が出ました。例年南九州地域は、水害がよく発生しますが、今年は、広島、福知山、北海道の利尻島・礼文島等が大きな被害を受けました。心からお見舞いを申し上げます。鹿児島で大水害が発生した時、全国から応援や見舞金を頂きました。今回は我々がお返しする立場です。被災地の早急の回復を祈念しています。

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 ところで、春先から宿泊客の減少が見られる鹿児島の観光ですが、夏も3度の台風の襲来でキャンセルが多く、厳しい結果になるのではないかと懸念しています。夏休みは、ファミリーの旅行が主流であることから、天候の不順は旅行の出控えにつながりました。

 また、九州新幹線の全線開通で中国地域から観光客が増加し、中でも広島県からのお客様が多かっただけに、今回の水害は今後の誘客に大きな影響があるのではと懸念しています。

 今年は大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンに、「ハリーポッター」の新しい施設がオープンしたこともあり、北部九州、中国、関西、関東地域から予想を大きく上回る入場者で賑わっています。昨年の伊勢神宮の式年遷宮効果も続いています。

 年当初より、今年の鹿児島の観光は厳しくなると予想していましたが、現状はあまり好転していません。秋から来春にかけての対策を急がねばなりません。全国主要都市での説明会では、「本物。鹿児島県」をキーワードに、従来の鹿児島市、霧島、指宿地域の魅力に加えて、近代化産業遺産群、頴娃町のお茶農家「茶寿会」による「グリーンティリズム」、本土最南端の始発・終着駅の枕崎駅や「出汁」文化、世界自然遺産の屋久島、バニラ・エアが就航した奄美大島、甑島、大隅半島の鹿屋、佐多岬、内之浦等をPRしてきました。

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 また、当連盟では、3拠点地域(指宿、霧島、鹿児島)発の広域観光周遊の新しいルートの提案を行い、新規需要開拓に努めているところです。今年度は大きなイベントもなく、大量の集客は厳しいものがあります。JRや航空会社、エージェントに対する商品企画支援もすでにスタートしています。

 10月からJR九州の、鹿児島VS大分キャンペーンがスタートします。そのテレビCMが9月1日から放送されています。大分県は、泉源数日本一でありますが、2位の鹿児島県も多彩な温泉が多く、またとないPRのチャンスです。黒牛、黒豚、黒さつま鶏、黒マグロ等食の対決も見もので、おもてなしの心を持って観光客を迎えることが地域の評価につながります。両県の相乗効果が期待されます。

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 ANA南九州キャンペーン(10月~3月)、JAL鹿児島キャンペーン(11月~1月)も展開されます。各社の持つメリットを活かし、誘客に努めなければなりません。ANAは熊本、宮崎と連携した商品造成が進んでいます。路線の多い鹿児島便は有利であり、各施設は地域の情報を積極的に発信してもらいたい。JALは離島にも就航しており、屋久島や奄美大島への誘客が期待されます。冬場の温暖な気候と美しい自然、生態系をPRしたいものです。オフ時期対策として貸切バス支援も実施します。(12月~2月)

 一方外国人は台湾、香港が好調に推移しています。中国は苦戦を強いられており、先日も上海で誘客対策をかねて、主要会社の訪問を行いました。有力メディアでの発信や富裕層向けの商品提供が必要であり、上海から一番近いところの県であることもPRしなければなりません。 韓国は冬場のゴルフツアーが人気商品であり、インセンティブや招聘事業を行いながら誘客をすすめています。

 各施設においては、地域のイベントや伝統的祭り、食等を組み込んだ企画を、秋以降の対策として展開していると思います。秋のメインは時間に余裕のある熟年層であり、比較的富裕層が旅行します。平日に宿泊するメリットも打ち出すことが必要です。

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 鹿児島が誇る温泉や食、近代化産業遺産群、ローカル列車等をPRして集客に結びつけて欲しい。今年世界文化遺産に群馬県の「富岡製糸工場」が登録されましたが、予想を超える観光客が押し寄せ大混雑しています。鹿児島の世界文化遺産候補地は、現在でも見学できる利点を誘客のポイントにしてもらいたい。

 2018年は明治維新150周年に当たりますが、鹿児島は一番注目を浴びる地域となります。それまでの出来事を時代ごとに、その背景とともに語ることが必要です。いちき串木野市には、「薩摩藩英国留学生記念館」やマグロ料理が堪能できる「まぐろの館」もオープンし連日賑わいを見せています。4月から甑島へは、新造された高速観光船が就航し人気を博しています。

 年末年始にかけては、忘年会・新年会企画が定番ですが、各施設のオリジナリティを出し、例年と違う演出が必要です。また、近場のお客様が多くなることから、平日に遅い時間からでもスタートできる宴会企画も喜ばれるのではないかと思います。

 最近の旅行は、一人旅も人気です。小さめの部屋を提供できるところは、企画に活かすことをお勧めします。女子のグループには、女性が好むスイーツやアメニティグッズの提供が感動をもたらします。

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 消費税アップに伴い、消費マインドが落ちています。積極的に情報発信しないと企画倒れに終わります。WEBの展開も不可欠です。各施設は従業員の力も活用し、同級生や親せきを動かす手立ても求められます。

 エージェントやキャリアだけに委ねるのではなく、地域内の資源を点検し施設、従業員が魅力を語り、総力戦で集客に努力する時ではないでしょうか。

No.326 激化する教育旅行誘致に求められるものとは~鹿児島ならではの体験メニューの提供を~

2014年9月1日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 8月20日と21日、東京と大阪で九州観光推進機構による九州7県合同の修学旅行誘致説明会が開催され、日本修学旅行協会、全国修学旅行研究協会、エージェント、学校関係者等各会場とも120名余の出席者がありました。


 各県が教育課程に適した体験メニュー、産業革命遺産、民泊の受入態勢等のPRを行いました。現在修学旅行の行先としては、関東地域の高校は沖縄、北海道、中学校は京都・奈良方面、関西地区の高校生は沖縄、北海道、九州、中学生は沖縄、九州が主流となっています。

 説明会では、他地域から九州へ変更した学校の取組の報告がありました。都立のJ高校は、修学旅行を「進路探索研修旅行」と位置づけ、異文化体験をメインに別府の「立命館アジア太平洋大学」を行先として北部九州を選択しています。中でも英語を活用するべく、着物着付や茶道、武道等日本の伝統的文化を紹介して、多くの留学生との交流を深め将来の進路に役立てるために、修学旅行をうまく活用していると感じました。

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 また、関西の中学校は行先を変更した要因として、九州の宿泊施設は収容力が大きくフロアー貸切等ができることから、生徒の管理がしやすいと九州の良さを語っていました。また、南九州へは集約列車が運行され、時間短縮や旅費の低廉化が図られたことも理由にあげていました。

 鹿児島への誘致策の一つとして、日程や行先に制約のない私立高校や、SSH(スーパーサイエンス・ハイスクール)の指定を受けている高校へのPRが必要と感じます。種子島や内之浦の宇宙関連施設の見学や、屋久島の世界自然遺産、奄美の島々、桜島の噴火、甑島の地形等科学、自然等に関する魅力をもっと前面に出してPRすべきと認識させられました。オンリーワンの見学地、そこでしか体験できないことが差別化となります。併せて受入体制の充実も行先変更の大きな要因となります。

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 中学校については、農・漁業体験や民泊の利用が定着しつつあります。体験メニューでは、グリーンツーリズムやブルーツーリズムの本物体験が不可欠です。最近の体験学習では、長崎県松浦、五島、壱岐や熊本県天草の御所之浦での、無人島体験、魚釣り、ペーロン競争等マリン体験も人気を博しています。

 鹿児島では垂水市漁協の餌やりやカンパチのさばき方体験が人気となっています。直接生き物に触れることができることが好評であり、県内で地引網や定置網漁などの体験できる新たな場所を開発しなければなりません。 25年度から修学旅行の集約列車が運行され、関西地域から南九州を行先に選ぶ学校が増えています。

 一方学校側からは乗り換えなしの直通運行や、更なる時間の短縮等の要望が出ました。JR西日本、JR九州さんの協力が不可欠であり、引き続き要望していきたいと思います。

 先日鹿児島市内で、関係者による「体験学習メニュー意見交換会」を開催しました。本年度から鹿児島への修学旅行を実施している姫路市のH中学校の先生に南九州の魅力を語ってもらいました。

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 先生によると、「知覧での平和学習」、「球磨川でのラフティング」、「出水の民泊」が生徒たちに好評であり、特に多くの生徒の印象では、民泊のおもてなしが良かったと言ううれしい報告もありました。今後は鹿児島市での街歩きや桜島の見学等も検討したいとも語りました。

 修学旅行の誘致競争は激化していますが、学生さんと農家との感動的な触れ合い、体験をいかに多くつくることができるかが、今後の定着に向けての課題です。南さつま地域からスタートした農家民泊は、25年度は県下全域に広がり(一部離島を除く)、教育旅行の取扱が2万人を超えました。1泊2日の滞在期間、野菜や果物の収穫、家畜の世話など、日頃農家の方が行っている仕事の体験と民泊が子供達に感動を与えています。直接土に触れることが生徒たちの心を動かします。

 日頃食べているものがどのような自然環境で育ち、日々の手入れはどのようにしているのか、また収穫されたものがどのようなルートで食卓に届いているのかを肌で感じることができ、食の大切さを理解する機会になるのではないかと思います。

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 ところで民泊については過去何回も述べていますが、旅館業法で決められた「簡易宿所営業許可」を取得することが、不可欠となっています。先進地の安心院、最近脚光を浴びている宮崎県小林地域は100%取得しています。

 旅館経営者の方々は、厳しい経済環境の中で耐震対策に取り組んでいます。農家の「簡易宿所営業許可」取得も、地域ぐるみで推進しなければなりません。

 大阪での説明会で、鹿児島を民泊地に選んだ学校の先生は、宿泊箇所がクラスごとに離れすぎて、打ち合わせが十分でできなかったと改善策を求めていました。せっかく良い体験ができたのに不満を残す結果となりました。コンプライアンスの徹底は、教育現場では特に大切なことと思います。早急な対策が急がれます。

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 ところで鹿児島県は、豊かな自然と多彩な観光資源に恵まれており、中でも農業産出額も北海道、千葉県に次いで第3位で、農業は鹿児島の経済を支えている基幹産業です。 (平成23年県勢概況統計)


 これから日本は人口減少が顕著となり、農業従事者も高齢化が進み農村地域の発展は厳しいものがあります。若い世代の就農者を増やすことは厳しいことですが、都会からの交流人口を増やし、農村地域の維持・発展をめざす取組強化が求められます。

No.325 スポーツ・ツーリズムの推進でかごしまの活性化を~スポーツ庁、来年度創設へ~

2014年8月25日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 オリンピック開催やスポーツ競技振興などスポーツ行政を一元的に推進する新たな組織として、スポーツ庁を2015年度創設することが明らかになりました。2010年に、国土交通省の外局として観光庁が発足して以来の庁の創設です。現在日本のスポーツ行政は、文部科学省が管轄し、各スポーツ団体が大会や運営や選手育成を行っていますが、専門の庁の創設で国家レベルでのスポーツ振興が期待されます。


 将来のオリンピック選手の発掘や育成に対する予算が大幅に増えることが期待されます。また、東京オリンピックに向けて金メダル獲得が期待できる競技やチームには、選手の海外遠征や合宿等に更なる強化策が推進されるものと思います。国内ではキャンプ地誘致競争が激化するのではないかと思います。

 昨年9月に2020年の東京オリンピック開催が決定し、スポーツ庁の創設は時期を得たものと言えます。子供から大人までスポーツに親しみ、裾野を広げることで地域活性化につながります。国体、インターハイ、中体連等の全国レベルの大会や、各種目別の大会等には一度に多くの選手が集まり、宿泊・観光施設、食事店、運輸機関等を利用することから経済的に大きなメリットがあります。

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 一方、スポーツ観戦ツアーは交流人口の拡大が図られることから経済効果も大きいものがあります。今年ブラジルで開催されたFIFAアールドカップサッカーには、多くの日本人サポーターが遠路ブラジルまで応援に行きました。プロの選手はオフ時期には体力づくりも兼ねて、秋季、春季のキャンプを行っており、しかも長期間に滞在します。

 県ではプロや学生のスポーツキャンプ・合宿誘致に力を入れており、福岡、関西地域でセミナー等を開催してきました。2013年度に県内でスポーツキャンプ・合宿を実施した県外の団体は1169団体、述べ人員は13万1404人で、ともに過去最高を記録しました。

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 学生のスポーツ等の合宿は、関西地域からの志布志港までの「さんふらわあ」利用が多く、市町村の補助金制度の充実もあり、今後も伸びが期待できます。プロと違って合宿地として選ばれる条件としては、練習時間の確保や学生が夜懇談できるスペースを提供することが求められます。

 今後は、国内外のプロチームのキャンプ・合宿や、知名度の高い競技・選手のキャンプをいかに誘致できるかが課題です。プロ野球の多くのチームは、沖縄でのキャンプが定着しています。プロサッカーチームは、宮崎でのキャンプが大半です。

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 プロサッカーチームがキャンプ地を選ぶ最大の要因は、天然の冬芝のグランドが整備されていることです。県内では、鹿児島市、指宿市、霧島市、南さつま市、さつま町しか天然冬芝のグランドがなく、キャンプできるチーム数が限られるのが現状です。


 2019年にはインターハイ、2020年には国体が開催されます。大会に照準を合わせてグランド整備が待たれます。大隅地域にある有明高校跡地に、トップアスリート専用の練習場が開設される予定です。宿泊施設の整備や鹿屋体育大学等との連携も求められます。奄美大島や徳之島では、プロ野球の合宿やマラソン選手の合宿が行われてきました。新たに成田空港からの定期便も就航しました。冬場の温暖な気候を活かし、他のスポーツキャンプの誘致も不可欠です。

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 ところで6月のワールドカップの事前合宿地に指宿が選ばれ、多くの報道陣が訪れました。観光客に加えて、選手の練習風景を見に多くのサポーターが指宿を訪れたことから、鹿児島市内の宿まで波及効果がありました。


 今までのオリンピックに参加する日本の野球チームの事前合宿地は、宮崎が選ばれていました。合宿期間中は、宮崎市内の宿が満員となり、霧島温泉に泊まる関係者が多くありました。

 東京オリンピックで関連では、大会までの合宿誘致合戦がスタートします。隣県の宮崎県は、早くから官民で組織された「スポーツランドみやざき推進協議会」がありますが、2013年度で約17万人のスポーツキャンプ・合宿を受け入れています。その組織の中に、「東京五輪おもてなし部会」が設置され、日本代表クラスや海外チームを受け入れる体制を整えました。

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 県内各地には温泉が湧き、トレーニング強化や練習後の疲労回復にも好環境が整っています。また、鹿児島県は日本第4位の農業県であり黒牛、黒豚、黒さつま鶏、魚、野菜等食材に恵まれ、選手の体力づくりにも最適です。

 東京オリンピックまで6年、2020年には鹿児島で国体も開かれます。県の組織として「国体準備課」が設置されました。スポーツ庁が創設されると、各スポーツ団体の組織強化や本庁との連携が強く求められます。

 東京オリンピックというビッグイベントを契機に、鹿児島からもオリンピック選手を輩出し、観光客誘致も図らねばなりません。国体での実施競技誘致に名乗りを上げている市町村は、開催競技に対する住民の意識付けも必要です。鹿児島市内では、フルマラソンの開催も知名度アップになります。

 温暖な気候と豊富な温泉、豊かな農業・水産業がもたらす食材、温かいおもてなしの心を持つ県民性等は、スポーツ選手に好印象をもたらすものと思います。鹿児島が誇る優位性を活かし、スポーツ庁創設を機にスポーツ・ツーリズムの推進を図り、かごしまの活性化に結び付けたいものです。

No.324 放置するとサービスは低きに流れる~創業の精神を忘れずに~

2014年8月18日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

      夏草や      兵(つわもの)どもが     夢の跡
      五月雨の     降りのこしてや   光堂
*1689年、松尾芭蕉が平泉の中尊寺を訪ねた時に詠んだ句です。
*光堂は中尊寺の金色堂のこと

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 先日、東北3県を旅する機会がありました。鹿児島からですと答えると、行く先々で「遠い所わざわざお越しくださりありがとうございます」と丁寧なあいさつを受け、清々しい気持ちになりました。旅の良し悪しは、地域に住む人々の印象だとあらためて感じました。

 観光客誘致の仕事を通じて日本全国を訪ねる機会が多く、また、タクシーに乗る機会も多くあります。初めての土地では駅前から目的地までタクシーを利用しますが、いつも不安と期待を抱えながら乗車します。目的地を告げると、不機嫌な態度を見せる運転手に遭遇することがよくあるからです。

 駅構内のタクシーは、観光地巡りや遠方までの客を待っている場合が多く、近距離は嫌がられます。しかし遠来の客は初めて訪れる場所では、地理に不案内なためタクシーに乗るのであり、親切な対応があれば、翌日の観光にそのタクシーを利用するかもしれません。第一印象が翌日の仕事に結びつくこともあります。

 鹿児島でも近距離乗車を嫌がり、口も利かない運転手に何回も会っています。友人の一人は駅前からのタクシーは避けて、ちょっと歩いて市中のタクシーを利用すると話していました。 「近くても遠慮なくお乗りください。」と快く声をかけてくれる運転手はまだまだ少数で、マナーに優れたドライバーを育てることが、企業の高評価に繋がり、そのことが顧客獲得に結びつくのではないでしょうか。

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 最近タクシー会社の合併が進み、新しい社是を制定し社員教育にも力を入れている会社があります。制服・帽子の着用、挨拶の励行、自らドアの開閉等顧客に安心と快適さを提供しようと必死の努力をしていますが、月日がたつにつれてマナーが悪くなっている運転手が増えているのも事実です。

 また、ドライバーの採用を厳選し教育にも力を入れたつもりが、いつの間にか創業時の精神を忘れ、評判を落としている会社があり愕然とします。企業の論理を優先し、サービス精神が忘れられているような気がします。

 経営者の皆様は、是非創業時の精神にかえり、社員教育を徹底してもらいたいと思います。乗務員のモラルがサービスの低下につながり、顧客離れが進むと認識すべきです。

 ところで鹿児島では、昔からおもてなしのひとつとして、「茶いっぺ」の心が受け継がれています。初めて降り立った駅や空港等で笑顔の元気なあいさつがあり、お茶のおもてなしがあれば観光客は感動します。

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 現在鹿児島空港では、霧島市の観光協会が「霧島茶」のPRを兼ねてお茶の無料サービスを実施しています。観光客に好評であり、売店でお土産に買って帰る人も多いということです。鹿児島県は日本第2のお茶の産地であり、鹿児島の優れた産品に直接触れる良い機会になると思います。

 また、道中で見知らぬ人から「こんにちは」とあいさつをされて、地域の温かさに触れた経験を持った方は多いと思います。地方に行けば、このような人々によく出会いますが、地域住民の素朴な温かい気持ちが伝わります。

 ところで、会社にいるとさまざまな訪問者があり、名刺交換やあいさつする機会が多くなります。しかし、24時間ビルの安全管理に努めている守衛さんや、毎日掃除をしているビル清掃会社の方々、宅配便の集荷や届ける方などへ率先して、感謝の気持ちを込めてあいさつすることを怠っているのではないでしょうか。そのようにがんばっている人々にも、顧客と同じ目線できちんと挨拶することの大切さを感じます。

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 昼休みには保険会社のセールスレディが訪問し、パンフや雑誌等を配布していますが、契約を取るための営業の苦労が伝わってきます。その姿に接するたびに、営業活動で苦労した入社の頃が思いだされて、あいさつと励ましの言葉をかけるよう心がけています。 事前に訪問時間がわかっている団体や顧客の歓迎看板も相手の心を動かします。

 今、日本は成熟社会を迎え、モノの豊かさより心の豊かさが求められる時代となっています。また、マーケットは日々変化しており、従来の発想では生き残れません。顧客満足は当たり前であり、「感動・感激」を経験した人だけが顧客になります。自ら積極的にあいさつし、感動体験を経験した人が、相手に対して「おもてなしの心」が提供できると思います。

 鹿児島では、来年「第30回国民文化祭」が県内全市町村で開催され、全国から参加者が集まります。地域ならではの「ふだん着のおもてなしの心」が求められます。それは、まず笑顔であいさつをすることだと思います。

 また、2018年は「明治維新150周年」の節目の年です。近代日本の礎を築いた偉人の多くを、薩摩から輩出しており、そのことは大きな誇りです。

 歴史遺産、自然、伝統芸術とともに、「あいさつの励行」や「お茶いっぺの心」等鹿児島のおもてなし文化として定着させねばなりません。そのことが名実ともに「観光立県鹿児島」に求められる課題です。笑顔で「こんにちは」という何気ないその一言が、人と人の心をつなぐ「おもてなしの心」になるのではないでしょうか。

No.322 観光地の環境保護・美化を保つために~マナーを守り守らせる取組が大切~ 

2014年8月4日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 眼前に錦江湾と活火山桜島がそびえる鹿児島市は、世界に類のない美しい都市であり、多くの観光客を魅了してやまない九州本土最南端の県都です。天保山公園から海釣り公園までの海岸線は、夕方になると、夕陽に映える桜島が美しく見られます。奄美・沖縄航路の船が18時に鹿児島新港を出港する時間と重なり、青い海を白い船体がすべるように錦江湾を駆け抜けていきます。

 天保山公園は薩英戦争の際、口火を切った砲台が設置された場所で、その面影を残す砲台跡が美しい松林の中にあり、記念碑が残されています。今夏休みの期間ですが、公園では早朝からラジオ体操をする元気な子供たちの姿が見られます。

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 また、甲突川の河口は、慶応2年(1866年)に坂本龍馬が鹿児島入りした頃には、軍港としても利用されていました。公園近くの太陽橋のたもとに、龍馬とお龍の新婚旅行を記念した夫婦の像が建てられています。銅像は鹿児島中央駅広場にある薩摩藩英国留学生をモデルに造られた「若き薩摩の群像」の製作者、中村晋也氏の手によるものです。



 薩摩藩の財政改革を断行した調所広郷の像も近くにあります。市内には日本の近代化に尽くした偉人の像が100以上建立されており、そこを巡るだけでも観光鹿児島の魅力が理解できるのではないでしょうか。

 作家として、またテレビの脚本家として知られた向田邦子さんは、父の転勤で小学3年生から4年生まで鹿児島で過しています。天保山公園一帯はかつて美しい砂浜が広がり、よく海水浴をしたと「父の詫び状」の中で書いています。「故郷の山や河を持たない東京生まれの自分にとって、鹿児島はなつかしい「故郷もどき」なのである」と愛し、生前はよく鹿児島を訪れています。

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 私は、錦江湾を行き交う客船や時々噴煙を上げる桜島を見ながら、天保山公園から海沿いの道をウォーキングするのを楽しみにしています。のんびりと釣り竿を垂れる人も多く、市内中心部に格好の漁場があるのも鹿児島の良さです。もっと錦江湾の良さをPRし、滞在に繋げる必要があります。


 温泉、歴史、食、自然、マリンスポーツ等泊りたくなる魅力が揃っている街に住んでいることをいつも誇りに思っています。

 ところで最近ウォーキングしていると、景観を損なう光景に遭遇します。海岸の至る所に犬の糞がそのままになっているのを見かけます。早朝や夕暮れに散歩させる人が、そのままにして犬のフンの処理をしないのでしょう。

 誰か気づいたのか橋のたもとに張り紙がありました。「犬のフンの後始末をちゃんとしてください。処理できない人は飼主としての資格がありません」と。犬の散歩には、小さなスコップと袋を持参するのが当たり前です。衛生上も悪く、通行人が誤って踏んでしまうことがあります。また、食べた後の弁当箱、空き缶、ペットポトルが無造作に投げ捨てられています。観光地鹿児島のモラルが問われます。

 このように最近マナーを守らない人をよく見かけます。車の助手席から平気で火のついたたばこを捨てる若い女性、ガムをそのまま吐き捨てる中年男性、帰りの空港バスが混んでいるのに、座席に荷物を置いて他人を座れないようにしている若者、満員電車の中で、人に聞こえるぐらいボリュームを大きくして音楽プレーヤーを聞いている学生、お年寄りに席を譲らない人等枚挙にいとまがないほどマナーの低下が見られます。

 家庭での躾が第一と考えますが、日々の生活の中で気付いた人が注意すべきではないでしょうか。

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 先日バスの中で席を一人占めにした学生を注意したら、素直に席を詰めてくれました。にらみ返す若者もいますが、ほとんど聞き入れてくれます。皆さんが軋轢を恐れて注意しないケースが多いのではないでしょうか。

 また、バスや電車に乗ると、「荷物は膝に置き、お互いに席を譲り合い座りましょう」、「体の不自由な方には席を譲りましょう」という案内が流れます。テープの案内では心が通じません。運転手自ら言葉で語ることが、乗客の心を動かします。

 定期的にボランティア活動の一環として、市内の観光地の清掃活動が実施されますが、残念ながらいつも膨大なゴミが回収されます。 美しい海岸として有名なホノルルの浜辺は、早朝に多くの人の手で清掃活動が行われていることは、意外と観光客には知られていません。昼間でもほとんどゴミを見かけません。 

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 鹿児島市内では外国人の個人旅行の人が多くなっています。四季折々の花の植栽を増やし、外国語表記を充実させることが、美しい落ち着いた街の印象となります。景観を守ることは、市民にも課せられた使命です。


 これから県内各地で、花火大会や夏祭りが開催されます。ゴミは自分でも持ち帰ることが原則です。そのことが地域の環境美化につながります。きれいに掃除されたところには、人はゴミを捨てません。お互い住みやすい環境を守ることを大切にし、美しい観光地として維持していくことの大切さを醸成したいものです。

No.320 日頃の取組みが生み出すおもてなしの心~指宿商業高校の善行に感謝~

2014年7月22日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

          何となく 汽車に乗りたく 思ひしのみ
                   汽車を下りしに ゆくところなし ~石川啄木~

 6月21日指宿・枕崎線でJR九州の「指宿のたまて箱」が、崖崩れで発生した土壌に乗り上げ、脱線事故を起こしました。現場は、けが人が出ており一時の余裕もありませんでした。

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 その時、現場近くにある指宿商業高校が乗客の避難場所となり、生徒さん達が献身的に乗客の保護にあたりました。疲れた乗客にタオルや温かいお茶を振る舞い、汽車から荷物を運ぶなど、生徒さんたちは雨に濡れながらの行動を惜しみませんでした。

 数人が入院することになりましたが、その後全員退院されたとのことです。折角の鹿児島への旅行が不慮の事故で残念な結果となりましたが、生徒さん方の善意のおもてなしは通じたものと思います。

 運休となっていた「指宿のたまて箱」は12日から再開されました。予約率が80%を超える人気の列車であり、夏休みを前に運行再開されたことにほっとしています。

 ところで事故の際乗客のケアに当たった指宿商業高校の生徒さんが、地元指宿警察署から善行少年として表彰されました。雨の中生徒さんが取ったとっさの行動は、日頃から地域で育まれた「おもてなしの心」の賜物と思います。

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 学校周辺の今和泉地区は、NHKの大河ドラマ「篤姫」のゆかりの地として、放映時は多くの観光客が訪れました。その際、近くの今和泉小学校や指宿商業高校の生徒さんたちが、観光バスに手を振ったり、頭を下げるなどそのおもてなしの心が話題となりました。今でも今和泉駅構内には「篤姫ガイド」の事務所があり、ゆかりの地を訪ねてくる観光客に対し、温かいおもてなしで案内をしています。

 指宿市役所の職員の皆さまは、昼休みには近くを走る「指宿のたまて箱」に手を振って観光客を歓迎しています。その様子はテレビのナニコレ「珍百景」でも話題となりました。

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 指宿は全国に知られた温泉地であり、観光業界紙の温泉地人気投票では常にトップ10に入っています。「菜の花マラソン」、「菜の花マーチ」は多くの市民ボランティアが大会を支えています。市民、観光協会、各施設等の観光客への対応や、日頃のおもてなしの心がとっさの事故発生時でも自然な行動として現れたのではないでしょうか。

 県と観光連盟では、拠点地域から周辺市町村へ観光客が行きやすいルートづくりを進めています。「温かいおもてなしの心」も引き継いでいけたらと思います。

 ところで、今年は県内で大きなイベントやコンベンションも少なく前半から苦戦が予想されていました。九州新幹線全線開業から4年目に入り観光客の流れに少し蔭りも見られます。

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 外国人は台湾、香港を中心に順調に伸びていますが、九州各県と比べると福岡、長崎、熊本、大分に大きく離されています。北海道や東京、大阪等などは外国人受入のホテル、観光バス等の不足が深刻ですが、鹿児島は、修学旅行シーズンを除くとまだ対応可能ではないかと思います。外国人誘客にはもっと力を注がねばなりません。

 ところで、観光客に対するおもてなしは、最初に降り立つのが駅や空港であり、そこでの第一印象がその地域の印象となります。案内所、タクシー、電車、バス、街の人等の接遇の大切さが問われていますが、観光客から温かい評価の言葉を頂いています。

 その事例をいくつか紹介します。
・ホテルから乗車しましたが、「駅まで近くて申し訳ないです」と言うと、「タクシー代は620円ですが、5分で620円もらえる仕事がどこにありますか、これからも遠慮なくお乗りください」と運転手に言われ、涙が出るほどうれしく鹿児島の旅の印象が爽やかであった。
・タクシーを事前に予約しておいたが、時間に余裕があることを伝えるとルート以外の場所も追加料金を取らず案内してくれた。
・メイドさんが夕食時の食材について、育て方や料理の方法について細かく説明してくれた。美味しかったのでお土産に買って帰った。
・出発の際、主人の靴がきれいに磨いてあり、旅先で初めての経験で嬉しかった。旅館の細かい心配りに感心した。日本の旅館文化を再認識した。
・初めての鹿児島であったが、案内窓口で観光地への交通、郷土料理店、お土産等について地図を広げながら親切に説明してくれた。笑顔が素敵であった。
・ガイドブックを持って調べていたら、どこかをお探しですかと聞かれた。親切に教えてくれて、その場所までわざわざ案内してくれた。鹿児島の人は親切である。
・空港に着いたら温かい湯茶のサービスがあり驚きと感激で一杯でした。鹿児島のお茶が美味しく有名とは知らなかった。帰りにお土産に買い求めた。

 鹿児島には「心温まるおもてなしの心」を実践する人がたくさんいらっしゃることは、うれしい限りです。

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 自ら地域を愛し、語れる人が増えることが鹿児島のPRにつながります。そのためには、日頃から地域を回り、歴史、食、温泉、特産品、観光施設、観光ルートを知ることです。また、「地域の旬の情報」や滞在したときの「時間」の過ごし方を広くPRすることが必要です。

 「そこに行ってそこのものを食べたい」、「もう一度鹿児島のあの人に会いたい」、と言われるような地域や人を増やすことが求められます。  

 鹿児島の観光は、従来の「鹿児島市内」、「指宿地域」、「霧島地域」から少しずつではありますが、広がりが見られます。拠点地域と連携し、リピーターの誘客や新たな需要開拓が持続できる観光地に繋がります。

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 観光地の最終的な評価は人です。そして、県民一人ひとりが観光客を温かく、親切に迎える「おもてなし先進県鹿児島づくり」を実践して欲しいと感じます。今回の指宿商業高校の生徒さんの行動に学ぶべきことが多いのではないでしょうか。


          夏帽の へこみやすきを 膝にのせて
                わが放浪は バスになじみき  ~寺山修司~

No.319 かごしま黒豚の魅力とは~消費者へのコト化が需要拡大に~

2014年7月14日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 週末になるとガイドブックを持った観光客が、ある飲食店の前に列を作っている姿見られます。店の看板を見ると黒豚の店の表示があります。観光客が黒豚の美味しさを聞きつけて、並んでまで食べたいメニューになっているのではないでしょうか。


 鹿児島の養豚の歴史は、今から400年前の江戸時代に島津家18代当主・家久により鹿児島の地に移入されたことが始まりとされています。鹿児島の豚の美味しさが全国的に知られるようになったのは、幕末から明治にかけて外交問題の重鎮であった水戸藩主徳川斉昭をして「いかにも珍味、滋味あり、コクあり、なによりも精がつく」と言わしめました。また、西郷隆盛も豚肉をこよなく愛したといわれています。

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 農林水産省がまとめた2014年畜産統計によると、県内の養豚農家は637戸で前年 から29戸減りましたが、飼育頭数は全国で最も多い133万2千頭で、全国1位となっています。


 黒豚が普通の豚と違う点について下記のように説明しています。
①体毛は黒色で四肢、鼻梁、尾端の6箇所に白斑がある。一般に"六白"(ろっぱく)と呼ばれます。
②体質は強健で、資料の利用性に優れているものの、大型種に比べると産子数が少なく成長が遅い。
③肉は繊維が細かくやわらかい。
④肉は光沢と弾力に富み、保水性が高く肉がよくしまっている。
⑤脂肪の融ける温度が高く、べとつかず、さっぱりしている。
⑥うまみを引き出すアミノ酸の含有量が多いため、美味しく特有の小味がある。
⑦肉の臭みがない。
このように、かごしま黒豚には他の豚にない特徴があります。
                    ~鹿児島県黒豚生産者協議会HPより~

 かごしま黒豚は県ブランド産地指定基準(抜粋)で以下のとおり定められています。
①会員は黒豚生産者協議会の会員であり、出荷豚は、県内で生産・飼育・出荷されたもの である。
②肥育は肥育後期60日以上、甘藷を10%~20%添加した飼料を給与すること。概ね230~270日齢で出荷していること。
③品質については枝肉重量65~80kg、背脂肪の厚さ1.3cm以上(価格規格「上」 以上)。また、枝肉品質のチェック体制が整備できていること。 品質表示について、「かごしま黒豚証明書」を出荷時に届出業者が確実に添付できること。
④生産系列については届出業者を通じて、年間1,000頭以上出荷できること。
⑤流通体制については、届出業者を通じて流通したかごしま黒豚証明書を販売店・料理店から8割以上回収できること。

 かごしま黒豚は、かごしまブランドとして認証されており、徹底管理の流通体制が確立していると言えます。

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 観光客が鹿児島を訪れたら、かごしま黒豚を食べるということが、合言葉になるようファンを増やしていかねばなりません。黒豚の魅力をいかに伝えるか、プライオリティを発揮できる食材であることを、県民ももっと知る必要があります。


 課題として
①県民に黒豚のルーツを理解させる取組が必要です。飼料、肉質、料理の方法等理解している人は少ないと感じます。
②黒豚が"六白"であることが認知させるためには、黒豚を買った客に簡単な説明書を配ることで、そのルーツが浸透していくのではないでしょうか
③かつてJR九州のCMで「黒豚横丁」というネーミングが話題となりました。黒豚店がずらりと並ぶ飲食店街は存在しませんが、その言葉が黒豚の魅力発信になったと思います。新たなインパクトのあるキャッチコピーが必要ではないかと思います。
④最後に消費の主役は女性です。女性の意見を吸収し,レシピ等を作成し家庭での消費拡 大を図ることが、波及効果をもたらします。今の消費者ニーズは、希少性と地域性です。メディア戦略を常に意識して、イベントの開催、記事広告、試食等の展開が不可欠です。

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 県外観光客には、黒豚を食べた後に簡単な説明書を配布することも求められます。また、調理人の語りが印象に残るのではないでしょうか。あるとんかつ専門店では、店長自ら調味料の使い方、食べ方を観光客に教えているのが印象的です。

 香港や台湾、タイ等富裕層の観光客が増加しており、多言語のPRも必要です。千歳空港では、カニやジンギスカン肉を買う観光客が見られますが、鹿児島空港や鹿児島中央駅でも、黒豚の肉をお土産に買うお客様を増やさねばなりません。

 消費者のシニア化でプレミアム商品が売れています。黒豚は飼育から販売までチェック体制が厳しく、選ばれた肉であるというこだわり(コト化)が重要です。観光客だけでなく県民にも需要拡大を図ることが、生産意欲にもつながるのではないでしょうか。 

No.321 訪日外国人の誘客にもっと力を入れよう~日本人の国内旅行は確実に減少する~

2014年7月28日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 県と観光連盟では、訪日外国人観光客の受入体制の整備充実を図るため、平成21年度から受入体制推進事業を進めています。今年は、自治体、宿泊施設、観光施設、ゴルフ場、飲食店、土産品店等の関係者約200名が参加して、「訪日外国人旅行者受入研修会」を開催しました。会を重ねるごとに観光関連業者以外の参加者も増加しており、訪日旅行に対する関心が浸透していることを感じます。

 最初に、県観光課より鹿児島県の外国人受入の現状について説明がありました。その中で平成25年の訪日外国人旅行者は、21万4,810人で25.9%増加したという明るい報告がありました。国別宿泊者数は、台湾、韓国、中国、香港の順で、台湾からの訪日者数が全体の40%です。【観光庁「宿泊旅行統計」(対象施設はすべてのホテル・旅館・簡易宿泊所)

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 伸びた要因として、台湾線が宮崎便と併せてデイリー化されたことで、商品企画やルート設定がこれまで以上に豊富になっていることや、両県で行っている定期的宣伝活動が寄与していること等があげられます。また、韓国線の増便、上海線の利用促進策、香港線のプログラムチャーターの運航、円安基調等も追い風となっています。

 ところで鹿児島県は、長崎県、大分県、熊本県に比べると、外国人宿泊客は3分の1程度です。鹿児島県の宿泊者全体における外国人の割合は、2.9%であり、福岡県6.4%、長崎県5.8%、大分県6.1%、熊本県5.9%と比較すると極端に低くなっています。

 国際線が充実している福岡県に来た外国人を、鹿児島まで誘致する有効な施策が展開できていないことです。国別では、九州を一番訪れている韓国人の宿泊者に大きな差がついています。新幹線特定便の割引拡大や福岡空港と鹿児島空港にも就航しているキャリアとのタイアップによる運賃の軽減化が不可欠です。

 現在鹿児島空港は海外4路線があり、九州の中では福岡県に次いで路線網は充実してお り、国際線の乗降客も第2位です。しかし県民のパスポート取得率や出国者数は全国的に見ていずれも40位以下と低い位置にあります。

 昨年上海への県庁職員等の派遣が話題となりましたが、パスポートを取得した人が増えたことは次の渡航に繋がります。夏休みに入りましたが、子供のころから海外への見聞を広めることは大切なことです。グループで補助金制度を活用し、積極的に鹿児島空港からの利用拡大を図る必要があります。

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 観光連盟には、外国人観光客受入推進員と外国語情報発信推進員が配置され、台湾、香港、中国、韓国、タイ、シンガポールなど東アジアからの誘客やクルーズ船の誘致・PRに努めています。日頃から宿泊施設、観光施設、交通機関等に対し受入態勢や接遇の指導も行っています。

 FITが増加しており市中の案内表示、アクセスの同一化、銀聯カードの拡大、WiFiの整備、多言語表示等、まだまだ改善すべき多くの課題があると感じました。一方では、外国人観光客の増加に備えて、入国管理設備の改善、免税店や外国語HPの充実など早急に解決しなければなりません。

 2013年訪日外国人が1千万人を超え、観光庁も2千万達成へ向けて様々な事業を展開していきます。観光振興は多くの分野に波及効果をもたらすことから、国民の関心も高まってきていると感じます。

 これから日本の人口は確実に減少していきますが、定住人口1人減少分を、外国人観光客11人でカバーできると試算しています。(観光庁資料)観光庁は、東アジアからの一層の訪日旅行強化のため、ビザの解禁、受入体制の整備に取り組んでいます。今年の10月1日より、免税対象品目を全品目に拡大する予定です。

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 また、今回の研修会の講師を務めた(株)J.I.S社長の中村好明氏は、「鹿児島の未来をインバウンドで切り拓け」と題して、観光で外貨を稼ぐ、インバウンド=輸出であることなど外国人誘客の必要性について、強く訴え多くの参加者が共鳴したと思います。

 会社では、天文館に鹿児島店開設の準備を進めており、年末にはオープンの予定です。これに先駆けて英語、中国語、韓国語、タイ語の4カ国語による県内の観光・店舗情報、街歩きマップ、アプリと連動したYOKOSO!マップを2万部作成しました。

 中村社長は、外国人が集まる新宿、大阪、横浜など人気スポットのエリアマップ作成を手がけています。外国人のニーズに応えるためには、老舗デパートや食事店、お土産品店、ホテル、エンターテイメント施設等業種を超えて、エリアの魅力発信が重要であり、そのことが地域への誘引効果をもたらすと語りました。

 最近、出水市の農家にシンガポールから学生が、垂水市にはインドネシアの修学旅行生が、曽於市に台湾からのツアーが訪れ、美しい日本の自然を満喫し、住民との交流を深めました。東南アジアの人々は、日本のグリーンツーリズムやブルーツーリズムの提供が喜ばれます。

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 また、華道、茶道、着物着付等日本の伝統的文化を提供することが、永続的な交流が続く方策ではないかと思います。これから日本は人口が減少していき、しかも国内市場は成熟しており、国内旅行の大きな伸びは期待できません。外国人の誘客は地域活性化に不可欠です。

 また、市民の外国人に対する理解度を高めるための講習会やPR活動も大切なことです。訪日客が急速に回復しており、インバウンドの拡大は日本経済を維持・発展させるための重要な施策と考えます。

No.318 元気な街づくりをめざして~魅力ある生活の場作りが必要~

2014年7月7日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 日本の人口は2050年には1億人を割り込み、鹿児島県の人口も2040年には、130万人に減少し、消滅する町が発生する等、地域経済に大きな影響が出てくることが予想されます。かつて、近郊から買物客が押し寄せて、街に人があふれていましたが、シャッターが降りたままの商店街が増加しています。

 駅前や郊外に大型ショッピングセンターができ、無料の大きな駐車場があることなど、利便性も高まり、中心部から客足が次第に遠ざかっています。また、中心市街地を通っていた車も、バイパスができ空洞化に拍車がかかっています。道路が整備されることは良いことですが、一方では負の遺産も生み出しています。

天文館アーケード前.jpg

 運動施設や音楽ホール等、公的施設が郊外に移転し、中心市街地に多くの人を呼ぶことは、たやすいことではありません。観光地においても、大型バスの姿が少なくなり、レンタカーやマイカーの数が増えて、個人旅行の流れが如実に表れています。個人のニーズにいかに応えられるかが課題となっています。



 ところで私たちが、住居を選択する条件として
(1) 都市の中心街に住みたい理由は、
①医療機関や公的施設が近くにあり、緊急時を想定すると安心して暮らせる。
②日常の買い物が一度にでき、外食や映画館や音楽ホール等アミューズメント施設があり、気軽に行くことができる。交通アクセスが整っている。
③同じ建物の中にコンビニや病院があり、移動が少なく事が済ませることができる。
④高層マンションが増え、セキュリティが整っている。

(2)郊外に住みたい理由は、
①住宅や駐車場が広く取れ、近くに田園地帯や川があり、自然の美しさを楽しむことができる。
②公園や緑地が多く子育ての環境が整っている。健康的に過ごせる。
③近くに大型ショッピングセンターがあり、買い物等に事欠かない。
④地域コミュニティが確立しており、緊急時の協力態勢が確立している。
ことなどです。

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 人が集まる地域の魅力とはなんでしょうか。やはり日常生活に「魅力ある生活の場」が確保されることではないかと思います。多様なニーズに応える生活空間の創造が必要であり、子育て世帯や高齢者のための利便性の確保も求められます。


 そのためには、
①現代の井戸端会議ができる環境づくりが必要です。お年寄りサロン、よろず相談所など気軽に集まる憩いの場所があることです。
②遊戯の楽しめる場を提供し、子供の遊べる器具が整っている。ファッション性の あるステージがあり、若者の熱気を吸収できる施設がある。
③市街地の近くには、安価な駐車場があり、気軽に行ける地域となっている。また、外国人も楽しむことができる環境整備が必要であり、外国語表記やWiFiが使用できることです。
④病気になっても近くの病院から、大型病院への連携がスムーズにできる体制が整っている。
ことなどです。

 集客力を高めるためには、賑わいの創出が不可欠です。
①住民が参加できる場が必要であり、若者や子供が参画できるイベントが必要です。
②もの創りを楽しむ工房があり、カフェや小物の販売店が点在している。
③中心地に小川や水辺を取り入れ、花の回遊路やライトアップで夜も楽しめる演出 がある。
④平日は文化・芸能人を、休日は近隣の住民の参加型イベントを開催することが、よ り有効的な集客ができるのではないでしょうか。
⑤地域の祭りや県内で採れた農水産物の定期的市が開かれる。

 最後に、これからの地域づくりには、
①シングル世代や夫婦のみの家庭が多くなることから、商品提供の工夫が必要になっています。商品を小分けして、買いやすく、購買の機会を増やすことで売上増に繋げる必要があります。
②地域活性化には、循環型経済の確立が重要であり、農・商・工連携を活かした店舗の品揃えが求められています。原産品を加工し、調味料や菓子等オンリーワンの商品として価値を上げることが重要です。消費の主役は女性であり、女性を呼び込む仕掛けが必要です。
③地域にあるものに誇りを持ち、自らの思いを語れる人材の発掘と地域をコーディネートす る人材が不可欠です。

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 全国的にみて、元気な街として、高松市の丸亀商店街、長野県の小布施町、大分県豊後高田市、兵庫県豊岡市城崎等が脚光を浴びています。新規開発ではなく、既存の建物を活用した街の再生に取り組んでいる地域です。レトロ感覚のものは残し、地域資源を磨きあげることで、商店街が復活しています。

 今後は市街地と郊外をつなぎ、双方が栄える街づくりが必要ではないかと思います。最後に日本の人口は確実に減少していくため、交流人口の増大が不可欠です。交流人口を増やすには、「楽しい地域ならではの生活の場」が感じられる街づくりではないかと思います。日本の原風景を取り戻し、地域住民が生き生きと暮らせる場づくりが求められています。
       参考:実践!田舎力 小さくても経済が回る5つの方法:金丸弘美著
          中心市街地の成功方程式:細野助博著

No.317 JR九州「鹿児島VS大分」キャンペーンの展開~他県の良さを学ぶ機会に~

2014年6月30日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 温泉の源泉数・湧出量ともに圧倒的に全国1位を誇るのが大分県ですが、鹿児島県も源泉数第2位、湧出量第3位と全国指折りの温泉県です。

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 JR九州は、温泉、豊富な食材、おもてなし等両県の観光素材を対比することで、より両県の良さを発見していただこうと、「鹿児島VS大分」のキャンペーンを、2014年10月1日~2015年3月31日まで展開します。両県の同様なキャンペーンは平成17年10月1日~平成18年3月31日に行われており、今回が2度目の対決です。平成19年から平成20年の同期間には、「鹿児島VS佐賀」を展開しています。


 JR九州のキャンペーンは、対決素材を楽しめる温泉、グルメ等を組み入れた旅行商品が発売されます。また、新しい観光素材の発掘、地域の評価や課題等が浮き掘りになり、今後の観光振興にも役立てることができ、大きなPR効果をもたらすキャンぺーンとなります。

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 対決する大分県の観光地の特徴をあげてみたいと思います。従来大分県と言えば、日本一の温泉源を誇る「別府八湯」と、イベントや街の雰囲気が魅力の「湯布院」が、二大観光地として、全国的に知られています。また、「筋湯温泉」、「壁湯温泉」、「長湯温泉」、「鉄輪温泉」、「日田温泉」、」「天ケ瀬温泉」等個性的な温泉が県内に点在し、メディアでも良く紹介されます。

 「うすき竹宵」、「日田千年あかり」、「たけた竹灯籠」は、観光客の利便性を確保するため、11月に日を変えて開催され、竹灯りのイベントとしては九州一の動員力を誇ります。鹿児島県は竹林面積が日本一ですが、竹を活用した灯りのイベントとしては先を越された感じです。

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 大分県は、海の幸「関アジ」、「関サバ」が、全国ブランドとなっています。最近では、日豊海岸の海鮮グルメも人気です。佐伯市、津久見市、臼杵市周辺の飲食店では、黒潮に育まれた豊後水道の幸が満喫できます。特に東九州自動車道が開通し(一部区間除く)、北九州方面から宮崎に至るルートの時間短縮が図られ、多くの観光客が訪れています。

 歴史的には、福沢諭吉誕生地で、今年のNHKの大河ドラマの主人公「黒田官兵衛」のゆかりの地「中津」や、両子寺や富貴寺等の古刹がある国東半島が有名です。

 観光列車「ゆふいんの森」、「ソニック」は、鹿児島県内を走る「はやとの風」や「指宿のたまて箱」を手掛けた水戸岡鋭治さんに手によるものです。大分県出身の建築家磯崎新氏が設計した「由布院駅」と、100年を超える木造の駅舎「嘉例川駅」や「大隅横川駅」の対比も興味が湧きます。

 焼酎対決も楽しみです。大分県は「二階堂」や「いいちこ」等麦焼酎生産量が日本一で大きな蔵元があるのが特徴です。鹿児島県には芋焼酎の蔵元が100軒余り、銘柄も2000を超えて、しかもほとんどの市町村に蔵元があり、地元住民に育てられ愛されていることです。芋焼酎は生活に根付いたいろいろな飲み方があり、それを観光客に語ることでまた来たいと言う思いに駆られるのではないでしょうか。

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 ところで鹿児島県の平成25年の宿泊者数は703万人余りで、九州7県の中で第3位となっていますが、大分県は、604万人余りで第5位となっています。しかし大分県に大きく引き離されているのが外国人の宿泊者数で、鹿児島の1.7倍の33万人にもなっています。


 大分県は北部九州に近いことで、福岡空港からの外国人が誘客しやすいことや、杉の井ホテル等が早くから韓国人の誘客に力を注いできたことなどが増えた要因です。

 大分はアクセス面でみると、鹿児島からは九州の中で訪ねるのに一番時間がかかる位置 にあります。大分県からの鹿児島県への宿泊客数は、佐賀県に次いで少なく、両県にとって需要開拓の余地が残されていると言えます。

 鹿児島県民に訪ねて欲しい大分県の町は、景観に配慮した街づくりが魅力の「湯布院町」、レトロな昭和の町づくりで成功している「豊後高田市」、ご当地グルメの開発や天領ひな祭りが開催され、古い街並みが残る豆田町のある「日田市」、グリーンツーリズム受入の先進地「安心院」等です。人材育成や街づくり・観光地づくりの手法を学び、地域で活かして欲しい。

 鹿児島県としては、鉄道、温泉、食に加えて秋から冬にかけて、大分県にはない新たな魅力発信が求められます。地域としては、観光高速船が新たに就航した甑島、世界自然遺産の「屋久島」、新設された「薩摩藩英国留学生記念館」、紅葉の名所「千本いちょう園」、無料で行ける「佐多岬」、JR最南端の終着駅で、出汁で売り出し中の「枕崎」等です。

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 イベントとしては、「おはら祭り」、全国的に有名な「マラソン大会」や「ウォーキング大会」等で誘客促進を図らねばなりません。キャンペーンが半年に及ぶため、季節感を感じさせるめりはりのある企画が重要であり、紅葉、菊、ツル、梅、菜の花等の魅力も一緒にPRしなければなりません。

 特に県が勧める「拠点地域(指宿・霧島・鹿児島)発の広域観光周遊ルート」は、その魅力を徹底させるチャンスです。

 今回のキャンペーンでは、九州を中心に両県への誘客を図ることが主目的ですが、相互にPRしていくことが大切です。東九州自動車道を活用した新たな観光ルートの開拓を進めなければなりません。

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 最後に「鹿児島VS大分」に多くの観光関係者が参画して、我がふるさとの魅力を自慢し、いかにおもてなしの心を持って対応できるかが勝敗を左右します。各地域も新たな情報を発信できる機会として捉え、鹿児島への誘客を図るチャンスにしたいものです。 


(参考:観光庁:25年宿泊旅行統計 全てのホテル・旅館・簡易宿所を対象)
(参考:大分県観光ガイドブック  発行:公益社団法人ツーリズムおおいた)

No.316 屋久島里めぐりツアーの魅力~オフ時期の誘客強化につなげよう~

2014年6月23日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 屋久島は平成5年に、白神山地とともに日本で初めて「世界自然遺産」に登録され、昨年20周年を迎えました。屋久島は、観光関連の業界紙の調査によると、日本にある世界遺産の中で、行きたい場所のトップになっており、多くの日本人が一度は訪れたいあこがれの島です。



 屋久島は、面積約500平方キロメートル、周囲約130キロメートルのほぼ円形の島です。全面積の約9割が山岳地帯で、海岸沿いの平地に24の集落があります。それぞれの集落は、永年の伝統の中で育まれた歴史や文化が残されています。

 6月に入ってから、屋久島への登山客が増えています。ヤクシマシャクナゲは、年によって花の咲き具合が変わりますが、今年は花の状況が例年になく良い状態です。宮之浦岳至る登山道周辺では、美しい花が見られるのではないかと思います。

 ところで屋久島は、宮之浦岳、永田岳、縄文杉、白谷雲水峡、屋久杉ランドなど登山やトレッキングをメインとした山岳観光が注目されていますが、もう一つは里の魅力であり、各集落にさまざまな観光資源があります。「屋久島里めぐり協議会」では屋久島を訪ねる方々に、地元の歴史、文化、自然、産業など集落の見所を、地元の語り部のガイドさんと一緒に巡るツアーを実施しています。

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 今回は5つの里めぐりを紹介します。最初に吉田集落です。島の北西部に位置し、平家の落人が屋久島で最初に上陸した地と言われていることから、「屋久島最古の集落」として語り継がれています。屋久島に多い名字の「日高姓」のルーツとされる「日高神社」や、海岸の石を温めてつくる温泉「トンボレ」、サバ節の工場等が見ものです。平成14年から15年かけて放映されたNHKの朝の連続テレビ小説「まんてん」の舞台にもなりました。




 次に宮之浦集落です。人口3300人、約1500世帯が生活しており、屋久島の海の玄関口で、銀行や郵便局、大型スーパーや総合病院等が集中する屋久島の中心地となっています。屋久島奉行所跡や伊能忠敬の碑、石敢当等が見られ歴史豊かな集落でもあります。 最近は大型クルーズ船の入港も増えています。

 春牧集落は屋久島の南東に位置し、安房から安房川を渡ってすぐの集落です。ヤクスギランドや縄文杉、宮之浦岳など雄大な自然への玄関口として観光客も多く訪れます。農業や漁業、屋久杉工芸のお店や焼酎工場、飲食店、民宿等があり、屋久島の1~3次産業が集まっている集落です。屋久杉作り木工体験(別料金)もできます。夜は安房川に屋形船が浮かび、ほのかな灯りが旅情を掻き立てます。

 平内集落は屋久島南東部に位置し、島の中でも温暖な気候で沢山の自然に囲まれており、屋久島ポンカンの発祥の地として知られています。また、干潮時のみ入浴できる露天風呂「平内海中温泉」が特に有名で、ここをめざして訪れる観光客も多くいます。潮時の確認が必要です。

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 最後に中間集落です。島の南西に位置し、七五岳から流れ下る中間川の河口に広がっています。集落のシンボルは川沿いのガジュマルで、大木やその根が作りだす空間は、観光客だけでなく住民の憩いの場となっています。集落は、古い石垣や古民家など昔ながらの町並みが残っています。各家が軒を寄せ合い、全戸が家族のような雰囲気が漂う集落です。

 島の24の集落のほとんどに喫茶店があり、地域の人々が集まる団欒の場となり、コミュニティの確立にも役立っています。集落の生活・文化は、永年に渡って築かれた地域の財産であり、集落の団結の強さを醸し出しているのではないでしょうか。

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 「屋久島環境文化村センター」や「屋久杉自然館」は、環境保護の取組や世界自然遺産の島の全体像を把握でき、雨が多い屋久島ですが雨の日でも安心して見学できる施設です。



 また、屋久島は文学の舞台にもなりました。児童文学者の椋鳩十は、命の尊さと人間と動物とのふれ合いを題材に「片耳のオオシカ」、「ヤクザル大王」を書いており、小学校の教科書に登場します。宮之浦港近くの「なごりの松原公園」の中に、「道は雑草の中にあり」という著者の文学碑があります。

 林芙美子は長編小説の「浮雲」の最終章を安房の地にしています。彼女が「浮雲」を執筆するため宿泊した旅館が安房川の橋の近くにあり、その部屋からは当時の街の面影を垣間見ることができます。安房川の水の清らかさが、主人公の最後を美しく表現しているように感じる場所です。

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 また、36歳の時家族と共に屋久島に移り住み、農作業をしながら屋久島の自然と人々の暮らしを、「生命の島」という本で紹介しているのが日吉眞夫さんです。残念ながら数年前に本人は亡くなられましたが、奥様と息子さんが空港の近くで喫茶店を営み、店内には創刊号から最終号までの「生命の島」が展示されており、島の自然を守りたいという熱い思いが伝わってきます。是非店をお訪ねください。


 ところで屋久島への観光客は、4月から10月までが多く、秋から冬の期間の誘客が課題です。西部林道は日本最大級の照葉樹林で、海岸の亜熱帯性植物から照葉樹林、針葉樹へとつながり、標高差1900メートルに及ぶ植生の垂直分布が見られます。このような照葉樹林帯は非常に貴重であり、世界遺産の根拠となった大きな要因でもあります。

 冬の屋久島は山頂付近では雪が積もり、登山者は冬山対策が必要です。集落の魅力をもっとPRすることで1年中観光客を呼ぶことができ、島の更なる活性化につなげられます。種子島、指宿との連携や、交通費の軽減化、商品造成に支援を行うなどの取組も必要です。

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 旅行エージェントの屋久島のパンフレットは、縄文杉、ヤクスギランド、大川の滝、千尋の滝等観光地の掲載がほとんどであり、今後里めぐりのツアーも一緒に掲載してもらう努力が必要です。また、メディアで著名人の屋久島ツアーが紹介されますが、里で地域住民との触れあう機会を増やし、発信していくことも重要なことです。

 最後に屋久島の自然は、日本が誇る世界の遺産です。世界自然遺産登録20周年を経て、住民、観光客、自然が共生していくことの大切さが、今また問われています。 観光客にも屋久島の自然保護の実情を理解してもらい、応分の負担をお願いする時期に来ているのではないでしょうか。
      参考:屋久島里めぐり 発行:屋久島里めぐり推進協議会事務局

No.315 最大の需要月をいかに取り込むか~夏休みの対策は十分ですか~

2014年6月16日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 南九州は梅雨入りし、田植えが終わった田には青々とした苗が育ち、田いっぱいに張られた水が、そよ風に揺れています。鹿児島県においては、笠ノ原台地や野井倉台地等不毛と言われた大地が、通水のおかげで緑なす豊かな大地として生まれ変わりました。美しい日本の田園風景が残っているのは、先人たちの畑かん事業の賜物であると思います。

       紫陽花(あじさい)の 藪(やぶ)を 小庭の 別座敷  ~松尾芭蕉~

 梅雨が明けると本格的な夏の到来です。24年の県の観光統計でみると県内の宿泊人員は、8月が74.5万人余りで、1年の内で一番宿泊者が多い月となっています。地域別で見ると、鹿児島地区に次いで霧島、指宿が大きな宿泊先となっています。霧島地区は避暑地としての役割も果たしています。一方指宿地域は、海が近いことやプールを備えたホテルが多いことから、ファミリー層で賑わいます。

 夏休みの特徴として家族連れが主流で連泊が多いことがあげられます。隣県や県内の方が多く、数日間滞在するグループもあり、日替わりの滞在メニューの提供が求められます。

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 霧島地区は池巡り、トレッキングに加えて、隣接する曽於市や都城市との連携も欠かせません。特に霧島温泉は9種類の泉質に恵まれています。また、近隣の山は、昆虫採集や植物採集には最適の場所です。嘉例川駅、横川駅など歴史ある鉄道遺産があり、日帰りで人吉への鉄旅などもお勧めです。

 また、奥天降渓谷のエコツアーは、小学校の高学年以上には、スリルがあって大自然を満喫できるツアーではないかと思います。是非ガイドさんの同行をお勧めします。霧島から曽於地域の「悠久の森」、「桐原の滝」、「溝ノ口洞穴」、都城市にある「関之尾の滝」等は、車で気軽にまわれる場所で、いたる所に清流や滝が点在し、森林浴やキャンプ地として賑わいます。

 錦江湾に面した指宿は、大隅半島やロケット基地見学ができる種子島、世界自然遺産の屋久島方面、南薩摩地域の拠点として、便利な位置にあります。市内には「岩崎美術館」や「薩摩伝承館」、「COCCOはしむれ」等カルチャー施設も整い子供たちの学習教材にも最適です。

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 大隅半島に渡り無料となった佐多岬、滝壺の近くまで行ける雄川の滝、清流が美しい花瀬、内之浦ロケット基地見学等多彩なコースがあり、県と観光連盟が作成した拠点地域からの「南大隅広域観光周遊ルート」が参考になるのではないでしょうか。


 また南薩地域では、JR最南端の駅西大山駅、番所鼻自然公園や釜蓋神社が整備されています。大野岳周辺での「茶もみ体験」など受入態勢が整ってきました。また、「杜氏の里笠沙」や「明治蔵」など鹿児島が誇る焼酎文化にも触れていただきたい。坊津は、梅崎春生の小説「幻化」の舞台であり、密貿易で栄えた街の面影が、随所に残り街歩きにも最適な地域です。

 枕崎駅は本土最南端の終着駅で駅舎も復元されたことから、全国から観光客が訪れています。今鰹節を活用した出汁が全国的に注目を浴びています。「Show-1グルメグランプリ本大会」で優勝し、殿堂入りの「枕崎鰹船人めし」や「かつおラーメン」なども是非ご賞味ください。「指宿から始まるかごしマップ 南薩摩広域観光周遊ルート」を参考にしてください。

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 夏休みは特に、宿泊施設や観光地でのファミリー向きの企画を充実させることが必要です。昼間は、森林でのカブトムシ獲り、魚やえび、かに等を網で掬う等小川での水遊びが楽しみです。また、裸足で砂浜を歩かせ、貝殻拾いや漂流物の観察をさせることは、子供にとって環境の大切さを学ぶチャンスです。

 夜は星空観測やホテルのロビーに縁日をもうけ、かき氷、花火等を提供することで、大人も童心に帰り一緒に楽しめるのではないでしょうか。

 ところで、7月1日から成田~奄美大島間にLCCの「バニラ・エア」が就航します。大市場を抱える関東圏からの就航は、新たな需要開拓につながります。特に低価格帯の運賃は若者に支持され、今年の奄美はサーフィンやダイビングに加えて、多様性の動植物が生育する島の「金作原原生林」、「住用のマングローブ」、「加計呂麻島」等人気のスポットになりそうです。世界自然遺産登録候補地として、その魅力をPRするとともに、「おもてなしの心」を忘れず対応していただきたい。

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 4月から高速の新造船が就航した甑島も、人気スポットの一つになるのではないかと 期待しています。5月の連休中は昼食する場所が少なく、来島者に不便をおかけしました。宿泊施設、食事施設が少ない島だけに、キャンプ施設の整備点検や浜辺でのバーベキュー等島ならではのおもてなしが、求められます。

 夏に向けて、キャンプ場の整備や担当者の教育も不可欠です。特に海や川遊び、登山等は天気予報等最新の注意が必要です。長期予報によると、今年の夏はエルニーニョ現象で冷夏の予想になっています。平成5年の夏には鹿児島は未曽有の大雨となり、いわゆる8・6水害で大きな事故が発生しました。自らの施設や周辺のアクセスの状況等には常に配慮し、最盛期の需要を取り込み、鹿児島の魅力をさらに広げる機会にしたいものです。                   

No.314 地域活性化は若者の雇用拡大から~観光関連産業は受け皿になりうるか~

2014年6月9日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 鹿児島市内に、夜はホテルやレストランで等で働き、昼間は宿泊関連業務、鹿児島の観光の魅力、おもてなしの心等を学ぶ専門学校「鹿児島ホテル短期大学校」があります。

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 先日、今年の新入生35名に講義する機会がありました。学生さんは朝の仕事を終えて、午前中1番目の授業でしたが、きちんとした挨拶を受け、授業中誰一人頭をたれる学生もなく真摯な態度に、職場や学校での教育が行き届いていると感じました。観光立県鹿児島にとって、このような教育を受けた学生さんたちの雇用の拡大が図られることを期待しています。

 日本の観光教育の現状と課題等について述べたいと思います。日本において、観光について学べる大学は、現在国公立では和歌山大学と山口大学、琉球大学、奈良県立大学の4校です。私立大学は、立教大学、文教大学、長崎国際大学等35大学に関連する学部、学科があります。

 また、専門的な分野を勉強する大学院では、国立は北海道大学と琉球大学、私立は札幌国際大学等4大学のみです。観光学部は、人文科学を中心としたもの、観光地・地域づくりに主眼を置いたもの、観光産業における接遇者養成を主にしたもの、経営学を主眼としたもの等に分けられます。

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 大きな課題としては、これらの大学を卒業しても観光関連の企業、団体に就職できる保 証はなく、学生時代に学んだ観光の知識が、入社に優位性を発揮できる企業は多くありま せん。多くの企業が学部を問わず、オープンで人材を求めていることがあげられます。

 観光関連の企業が、観光学部卒の採用の枠を設けることができれば入学者数も増えると考え られます。出口の確保が不可欠です。観光関連の学部は、学生確保に苦労している現状が あり、来年度募集を停止している大学もあります。

 次に最近重点施策の中に、観光振興をあげている自治体が多く見られます。その意味で授業の一環として、地域創生や情報発信の方策について学ぶことが役に立つのではないでしょうか。観光地づくりは、地域づくりにつながります。

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 日本の国内旅行は成熟し、従来の団体旅行やエージェント依存だけでは、今後大きな発展は期待できません。日本の第1次・2次産業をもっと観光に活かすべく、都会との交流を増やすことで、グリーンツーリズム、ブルーツーリズム、ものづくり、産業遺産、伝統工芸、食、祭り、伝統行事等が魅力になります。これからは、都会の人が田舎を学ぶ時代にしていかねばなりません。

 宿泊施設で見ると、従来の1泊2食の形態から泊食分離が進み、地域の飲食店等で食事 をとる客が増えているのも事実です。日本旅館で食事を取っていただくためには、「おもてなしの心」や「和食の魅力」を伝えることが大切であり、人手と教育を要し応分の経費もかかります。日本の旅館文化を継承していくため、大学のカリキュラムに、接遇、日本料理、器、出汁等について学ぶ機会をつくってほしいと思います。

 今後益々増加するインバウンドへの対応や6年後のオリンピックを控えて、おもてなし の心の醸成や、和食の世界無形文化遺産登録による「日本の文化の伝承」が重要になってきます。産学連携によるしっかりとした人材育成が求められています。

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 またビジネスホテルやシティホテルは、WEBを活用し、弾力的な価格体系で顧客獲得に力を注ぐ一方、低価格が常態化して苦戦を強いられている施設もあります。インターネットの普及は今、ホテルにとって諸刃の剣になりつつあります。特に地方のホテルが厳しく、資金力を武器に全国展開しているホテルは、安売り攻勢をかけています。

 最近のマーケットは、団体旅行から個人旅行にシフトし、しかもインターネットの急激な普及で、販売方法や商品体系が変化し、コンピューターに精通した人材も必要です。地域のホテルが生き残るには、地域からの希少な情報発信、着地型ツアーの提供、手書きのレターを添える等、宿泊者に感動をもたらす「おもてなしの心」が必要です。

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 ヨーロッパの観光地では、景観整備や環境を守る取組が徹底されています。看板や登り旗等はほとんど見られません。日本でも子供ガイドやボランティアガイドの組織運営に、今以上の支援が必要です。地域を愛する「郷土愛」の構築が不可欠です。

 日本の人口は確実に減少していきます。その対策として交流人口の拡大が不可欠であり、外国人の誘致は欠かせません。2013年、訪日外国人が1千万人を超えました。これから東アジアを中心にインバウンドの増加が期待できます。

 現在の受け入れ状況は、価格、宿泊、観光のありかた等業界にとってすべてOKという状況ではありません。外国人が観光地で動きやすく、また、一定の経済効果をもたらす仕組みを整えることが迎える側にも求められます。若者も外国の文化を大いに勉強しなければなりません。

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 最後に和食は、鰹節、昆布、味噌、しょうゆ等日本の出汁文化に特徴があり、調理人が作りだす包丁の巧みな技、器、盛り付け等が、世界の人々を魅了します。この素晴らしい日本の伝統文化を国内外の人にPRするのが、観光の役割の一つです。観光を日本の重要な産業とするには、人材教育の徹底と雇用をきちんと確保することです。

 持続できる観光地とは、そこに住む人が地域の文化をしっかりと守り、観光客にとって居心地の良い場所でなければなりません。鹿児島が真の意味で、観光立県になるためには、若者が観光に興味を持ち、雇用の拡大が図られることではないでしょうか。 

No.313 「簡易宿所営業」許可取得がなぜ必要か~民泊の受け入れ条件になる可能性が~

2014年6月2日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 今日も鹿児島中央駅には、関西からの修学旅行生を乗せた集約臨時列車が到着しました。平成25年から運行開始された新幹線専用列車は、鹿児島への修学旅行をより可能にしています。秋には筑紫地区の連合中学校23校約4,000人が、九州新幹線の専用列車で鹿児島を訪れます。

 平成25年に鹿児島県に宿泊した修学旅行生は、前年比1万5611人増の10万9959人となりました。

 大幅増の要因として、新幹線臨時列車を利用して、近畿地区の中学校25校約5.000人の生徒が来鹿したことなどです。また、鹿児島が誇る歴史、自然、温泉や、農水産業を活用した体験メニューが学校のニーズにマッチしていることもあげられます。

 地区的には、霧島、鹿児島地域が大幅な伸びとなりましたが、種子・屋久地区だけが減少しています。一度に多くの学生の受け入れが難しいことや、SSHのように関連する学科を持ち、専門性を学ぶ少人数の学校が増加していることも減少の要因です。今後種子・屋久地域を増やす方策としては、宇宙や世界自然遺産を前面に、体験メニューの差別化が必要です。

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 種子島では、千座の岩屋、鉄浜海岸等奇岩や美しい砂浜の散策、JAXA種子島宇宙センターの施設見学等が優位性を発揮します。来島中にロケットの発射日に重なり、打ち上げの瞬間に遭遇できるかもしれない楽しみもあります。種子島地域でもグリーンツーリズムの取組も始まっています。

 屋久島では縄文杉登山や屋久杉ランド、白谷雲水峡見学等、世界自然遺産に触れる機会や里ツアーの充実と地域住民との交流が年間を通してできれば増加が期待できます。

 鹿児島県は、豊かな自然と多彩な観光資源に恵まれ、農業産出額は、4,069億円で北海道、千葉県に次いで第3位となっており、鹿児島の経済を支えている基幹産業です。 (平成23年県政概況統計)

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 鹿児島で農業体験し、南さつま地域からスタートした農家民泊は、県下全域に広がり、25年は教育旅行の取扱が2万人を超えました。1泊2日の滞在期間、さつまいもや果物の収穫、家畜の世話など、日頃農家の方が行っている仕事を子供たちも体験し、食事は農家の人と一緒に作るなど家庭の一員として一日を過ごします。

 都会の子供たちは、土に触れる機会が少なく、日常食べている野菜、果物等がどのような姿で生育し、収穫されるか興味津津です。また、寝るのを忘れて懇談し、日頃家では味わえない心温まる体験が、子供たちの心を動かします。

 食事は農家の方と生徒が一緒に作るということも当然のことです。コンプライアンスの徹底が不可欠です。このように鹿児島が誇る農業が修学旅行の誘致や子供たちの情操教育に役立ち、また農家の人々の生き甲斐づくりになることを考えると、これからもっとグリーンツーリズムを推進しなければなりません。

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 一方鹿児島県の農家受入の課題として、旅館業法に基づく「簡易宿所営業許可」の取得が遅れていることが上げられます。現在県内での取得状況は、受入農家1000軒の約2割程度です。先進地の長崎県松浦や大分県安心院地区では90%を越えており、「宿泊料」を収受して人を宿泊させることができる営業許可取得が、今後学校に対しての信頼にもつながります。


 韓国のフェリー事故もあり、学校現場は安全対策には敏感となっています。学校からの仕様書の条件に「宿泊先は簡易宿泊営業許可をもつ民泊」が求められると営業許可を受けていない農家は、宿泊地として除外される可能性があります。消防署の点検を受け、障子や襖、絨毯等防火対策をきちんと整えることが不可欠です。許可申請には約25,000円の費用がかかりますが、積極的に取り組んでいかねばなりません。

 これからの体験メニューとしては、カンパチ等への「えさやり体験」、吹上浜等での地引網や砂浜散策等海の体験が人気となるものと思います。

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 また、明治維新150周年の舞台を巡る「歴史学習」、知覧や鹿屋での「平和学習」、桜島や霧島での火山・防災に関する「自然学習」、世界自然遺産屋久島での「環境学習」、種子島や内之浦での先端技術を知る「科学学習」、どれをとっても他県に負けないカリキュラムになっています。

 学校のニーズに合うユニークな体験メニューの提供、また、受入側の安全面に対する意識を向上させ、体験学習における安全性を確保することが不可欠です。

 教育旅行は県内に2泊する学校が多く、1泊は市内や温泉地でのホテル宿泊がほとんどです。農家民泊と既存の宿泊施設との摩擦が懸念されますが、新しい需要開拓という視点に立ち、「競争」と「協調」の姿勢が、全体的な入込客増大に結びつきます。

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 鹿児島県には、最盛期には約25万人の修学旅行生が来ていました。生徒数の減少や行先分散化で、急激な増加は厳しいものがありますが、3年後には20万人の誘致を目指しています。目標達成に向けて官民挙げて課題解決に努力し、安全・安心が第一の教育旅行に関係者の心を一つにして頑張りたいものです。

No.312 文化の香りが漂う地域に ~芸術や日本の伝統文化を守ることの大切さ~

2014年5月26日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 夏目漱石、志賀直哉、川端康成、太宰治氏らは、多くの名作を残しています。その名作には日本旅館に滞在した宿の雰囲気や、地域の情感が醸し出されています。夏目漱石は、阿蘇で「二百十日」、道後温泉では「坊っちゃん」を、志賀直哉は城崎温泉で「城の崎にて」、川端康成は伊豆を舞台に「伊豆の踊子」、越後湯沢温泉では、「雪国」を書き上げています。



 太宰治は静岡県の三津浜・大瀬崎で「斜陽」を執筆しています。また、歌人若山牧水、与謝野鉄幹・晶子夫妻、北原白秋、斎藤茂吉等は、全国を旅して多くの歌を詠んでいますが、ゆかりの宿には記念の硯や色紙等が残されて、宿泊客の旅情を誘います。

    水鳴れば 谷かと思ひ 遠き灯の
               見ゆれば原と 思ふ湯場の夜
                             ~与謝野晶子~
*与謝野晶子夫妻が宿泊した市比野温泉旅館「みどり屋」の近くに歌碑があります。

 日本旅館はこれまで、多くの文人墨客に愛されてきました。落ち着いた畳の間、窓越しに聞こえる渓谷の水の流れ、四季折々に変化する田園の姿、温泉の湯けむり等が、作家たちの疲れをいやし、作品の構想を創り上げるのに最適な場所と思われます。

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 今その旅館の数が減少傾向にあり、日本の伝統文化を提供してきた施設が、厳しい経営環境にさらされています。現在日本旅館協会に登録している施設は、約3,200軒ありますが、その数は毎年減少しています。

 要因として、バブル崩壊後宴会が主体の団体需要が激減し、それに頼っていた温泉地の大型旅館の倒産があげれらます。また、人口減少等による日本人の国内旅行や宿泊者数の伸び悩みが続き、将来の経営見込みが不透明であることから、後継者不足もあって、廃業する施設が多くなっています。

 さらにここにきて、耐震診断の義務化と補強工事等で経費がかかることから、営業を断念している施設が多くなっていることも事実です。国の何らかの支援の必要性を感じます。

 一方では、宿泊とバス料金をセットにして低価格で販売し、運営を続けている施設が多く見られます。このような施設は、メイドさんのおもてなしや部屋食等のサービスをなくして、二食ともバイキングにするなど効率を第一に考えた経営を進めています。

 ところで、昨年「和食」がユネスコの世界無形文化遺産に登録され、日本食が注目されています。日本食は、調理人が創り出す匠な包丁さばき、盛り付け、料理をのせる皿、また、日本独特のみそ、しょうゆ、干物等から作りだされる出汁等が特徴の一つです。

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 日本には伝統的陶磁器の産地が各地にあり、日本料理を引き立たせる茶碗や皿を作り出しています。九州の旅館では、有田焼、伊万里焼、薩摩焼、京都の清水焼等の器がよく使われます。日本料理は器が命であり、自ら窯元を尋ねる調理長も多くいます。


 最近日本の出汁が外国人にも注目されています。料理に化学調味料を使用する機会が増える中で、日本料理は、みそ、しょうゆ、煮干し、こんぶ、かつお節等自然加工した食材がメインです。安全・安心の食材や伝統的料理方等が、和食が世界無形文化遺産に登録された要因でもあります。

 枕崎市は日本一の鰹節の産地であり、それを活用した出汁や地域グルメを積極的にPRしており、メディアで取り上げられる機会も増えてきました。鰹節から作られる出汁が注目を浴び、需要拡大と地域の経済活性化につながるものと期待されます。日本人は今食の安全・安心に敏感であり、まず観光客に鰹節の魅力を広めていかねばなりません。

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 ところで、毎年霧島温泉地域で開催される「霧島国際音楽祭」が35周年の節目の年を迎えます。世界一流の音楽家の演奏が、身近で安い料金で聴くことのできる機会は全国的にみても、少ないのではないでしょうか。


 県はPR等最大の支援をしており、県民が気軽に一流の音楽を聴く機会を提供しています。期間中はホテルでのロビーコンサートも開催されます。県民のみなさまも国際音楽祭に対する関心をもっと高めてほしいと思います。

 霧島温泉地域は、この音楽祭をPRすることで「文化の香りのする街」として、日本旅館の魅力を世界に発信できる機会を見逃してはなりません。霧島温泉地区は、9の泉質があり全国的に知られた地域です。

 オーストリアの「ザルツブルク」は人口15万の小さな街ですが、「ザルツブルク音楽祭」開催の5週間に、世界中から観光客が訪れます。 松本市で開催される小澤征爾氏らを中心として開催される「サイトウキネン・フェスティバル松本」は鹿児島からも愛好家が訪れます。

 また、湯布院では定期的に音楽祭や美術展が開催され、周りの環境も幸いし多くの滞在客があります。これから観光客を滞在させるには、文化的な香りのする街の魅力が求められます。地域住民はその街に住んでいる誇りと、自信を持つべきです。

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 指宿にも「岩崎美術館」や、中国古来の美術品が展示されている「薩摩伝承館」があり、必見の価値ある施設です。指宿は著名な温泉地で日本旅館も多く、地域が誇る優れた両施設を地域全体でPRして、街の知名度を上げることも大切なことです。


 日本の人口はこれからも減少していきます。外国人の誘客は不可欠であり、日本旅館での和食、おもてなし等日本の伝統的文化の提供が求められています。日本人のサービスは親切で、人手を要します。安価な料金では永続性がありません。

 日本旅館は、お茶の接待、お風呂(大浴場)、夕食、寝具や洗面具の提供、夕食、朝食等のサービスを提供し、また昼夜にわたり宿泊者の安全・安心確保に努めており、応分の対価を払うことは、当然のことと思います。

 2020年には東京オリンピックも開催され、多くの外国人が日本各地を観光するものと考えられます。日本旅館が多くある鹿児島をPRし、質の高いおもてなしでお招きしたいものです。

No.311 鹿児島の魅力を再発見~「旅のスパイス鹿児島」を活用してPRを~

2014年5月19日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 鹿児島に永年住んでいると、素晴らしい景観が当たり前のこととなり、四季の変化にさえ気づかなくなります。鹿児島市内から美しく眺められる桜島は、天気の良い日は山の姿が7回変化すると言う。朝起きると目の前にある桜島はあって当然であり、今日も降灰が市内に来なければと願っている市民が多いのではないでしょうか。

     志ろ山と さくら島 かけあなさやけ
                  正月虹の 立ちわたりたり  ~牧暁村~
     (注)志ろ山とは、城山のことです。桜島にこの歌碑があります。

 しかし県外から初めて訪れた観光客や外国人は、錦江湾に浮かぶ桜島の雄姿や、噴火して黙々と上がる噴煙を身近に観察できることに、この世で初めて遭遇したような驚きと喜びの声を表わします。

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 我々鹿児島には何気なく過ごしている日常の暮らしの中に、県外の方が"びっくり"するような光景や生活があります。それらは鹿児島ならではの風土や習慣、文化です。

 この度鹿児島県ホテル旅館組合青年部の皆さんが、鹿児島での旅に味を加えてもっと楽しくなるようにと「旅のスパイス鹿児島」というタイトルの絵はがきを完成させました。2012年から取り組み、1年かけて約1000の観光客の"生"の声を集めることができ、そこには気づきやたくさんの再発見がありました。

 絵はがきの裏にあるタイトルの文を紹介します。(文章は絵はがきの原文の通り)

「克灰袋」・・桜島の火山灰を入れる袋です。以前は「降灰袋」でしたが、桜島の灰に負けないぞ(克服するぞ!)という意味で「克灰袋」に改名されたそうです。

「のんかた」・・鹿児島のお湯割りの焼酎グラスにはメモリがついています。メモリに合わせて焼酎とお湯を混ぜると美味しく呑めます。お湯を先に入れないと「先輩」に怒られることもあるので、お気をつけて。おつまみにはガランツがおすすめ。意味は鹿児島の誰かに聞きましょう。

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「桜島の風向」・・鹿児島のニュース・天気予報には桜島上空の風向きが表示されます。みんな風向の予報を見て火山灰の流れに注意し洗濯物や洗車のタイミングを考えたりします。洗車したあとには、だいたい火山灰に降られ、灰まみれに。とても残念な気分になります。

「ちけもん」・・鹿児島のだいたいのラーメン屋さんではラーメンと一緒に漬物が出されます。漬物を食べお茶を飲みながらラーメンが出るのを待ちましょう。鹿児島では「ちけもん」ともいいます。


「両棒餅(じゃんぼもち)」のような甘いものと一緒に出されることも多いです。両棒餅は、仙巌園付近で食べることができます。

「おはな」・・鹿児島の人はお墓や記念碑をこまめに掃除をしてお花をたやしません。

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「温泉」・・鹿児島市内の銭湯は、ほとんどが温泉。家族風呂も日常のヒトコマです。鹿児島の誰かにおすすめを聞きましょう。指宿の海岸には砂むし温泉もあります。

「まゆげ」・・西郷さんの様にまゆげが太く濃い人が多いです。太く濃いまゆげと鹿児島弁はとても安心感を与えます。

「さくらじま」・・桜島を見るとホットします。そんなあなたは、もう鹿児島人です。 その他「しろくろ」と「へへへ」の絵はがきがあります。

 どの絵はがきも私たちの日々の生活の中で当たり前に感じている事柄ですが、文を読んでみると、あらためて先人が育んだ知恵と行動に驚かされます。桜島の降灰を物語風に面白く描き、掃除の苦労も忘れてしまいます。

 また、お墓について生花が飾られている光景に出合うと貸切バスのガイドさんは、先祖代々受け継がれている鹿児島の先祖崇拝の風習を語ります。メモリがある焼酎グラスは、県外の観光客と一献傾ける際には説明し易く、鹿児島のお土産としても勧めています。

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 鹿児島県ホテル旅館組合青年部の方々は、新幹線全線開業を控えて着地型観光の定着に積極的に取り組んできました。宿泊者を対象に、早朝の鹿児島魚類市場見学ツアーもその一つです。夏休みには子供たちの参加も多く、市場内での食堂で新鮮な魚を食べる朝食も人気を博しています。青年部の日々の努力が、鹿児島の観光を支えていると感じます。

 最近の観光は、宴会型団体旅行から、地域の生活・文化に触れる個人旅行が主流となっています。今回の取組は、それを面白く楽しく伝えることができる絵はがきであり、書いた方の温かさも伝わります。

 「旅のスパイス鹿児島」の絵はがきは、県内の36青年部施設を中心に配布・販売しており、5枚セット300円です。宿泊者に一声かけることで、絵はがきの認知度も高まります。今「郷土愛」の構築や「旅育」という取組が大切になっています。ふるさとの良さを伝える良い教材にもなります。この絵はがきも活用して、県外の友人に鹿児島の四季折々の魅力や伝統文化を伝える機会にしたいものです。
      参考:鹿児島県ホテル旅館組合 青年部事業 ~旅のスパイス鹿児島~

No.310 発信力より受信力に十分な検証を~ 顧客に届ける有効な情報戦略とは~

2014年5月12日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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くれないの 二尺伸びたるばらの芽の

         針(はり)やわらかに 春雨の降る

                    ~正岡子規~

 ゴールデンウィークが終わり、観光地はしばし静けさが戻っていますが、鹿児島中央駅は修学旅行生の姿が目につきます。関西方面からの集約臨時列車の運行が大きく寄与しています。

 これから各地域とも夏から秋に向けての誘客に熱が入ります。各自治体、観光協会等が地域へ観光客を誘致するため、パンフレット、情報誌やインターネットなどメディアを使った宣伝手法が多く見られます。又キャラバン隊を組織して、大都市のデパートや東京駅や大阪駅の地下街で通行人に観光宣伝を行うケースもあります。最近ではホームページを充実させて、最新の情報を掲示することが日常的に行われています。

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 旅行先や宿泊施設の決定手段として、インターネットによる情報を参考に、経験者の話(いわゆる口コミ)が一押しとなっています。総務省の調査によると、日本人の75%に当たる約9千万の人がインターネットを利用しており、今後も拡大すると予想しています。ホームページは24時間利用できることから、家庭での情報収集の有効な手段となっています。 



 ところで、地域の宣伝をする手法として、自治体や観光協会の職員が大挙し、○○大使を帯同し大都市圏の地下街等で、パンフレットや地域産品を通行人に配るなどしてPRするケースを良く見かけます。通行人がどっと押し寄せ、たちまちのうちに配布物がなくなることが多くあると思います。担当者はパンフレットが何万部配布できたと喜んでいます。

 しかしその効果の程はどうでしょうか。近くの地下街のトイレやくず箱に、パンフレットは捨てられていることがよくあります。イベントの開催状況を調べて、単に景品をもらうためだけに繰り返し並んでいる人も多いと感じます。不特定多数への宣伝には十分研究すべきです。むしろマスコミ各社等を訪問して地域情報をきちんと伝え、番組で取り上げてもらう努力が必要です。

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 このように日頃からパンフレット、メディア等を利用して、また多くの需要を抱える大都市圏での情報発信に力を注いできました。発信することに時間と経費をかけ、地域の盛りだくさんの最新の話題を伝えることが、誘客につながる有効な手段であると捉えてきました。

 しかし発信することにエネルギーを注ぐあまり、相手に十分受信されているかの検証が十分なされてないのではないかと思います。何万部というパンフレットを配りながら、必要とする消費者に地域の情報がどの程度伝わり、旅行につながっているかを検証することには関心が疎かったのではないかと思います。

 メディア販売を主としている旅行社の担当者は、初めから全国紙を広告媒体に利用するのではなく、ミニコミ紙や折り込みで消費者の反応を探るテストマーケティングを行っています。各自治体とも多くの媒体に広告を載せていますが、効果のほどを検証するまでには至っていないのではないでしょうか。

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 たとえばパンフレットの活用度合いを検証するため、情報誌に半券を付け、それを持参した方に特典を提供したり、スタンプカードに訪問先の印鑑を押してもらい回数に応じて特産品のプレゼント等の交換などを可能にすることで、情報誌の反応度合が把握できます。また情報誌がどの地域で一番読まれているのか、どのような読者層に届けられるかも重要なマーケティングとなります。


 そのことで情報の価値や配布先の需要層等が把握できるのではないでしょうか。複数の情報誌やメデイアを組み合せて、地域によってその配布方を変えることも必要です。また、セグメントされた顧客を抱える媒体の活用も求められています。いずれにしても、消費者にきちんと情報が届く仕組みが必要です。

 自治体の観光パンフは地域の情報を網羅するため、豪華でしかも多くのページを用いることがあります。しかし利用者にとってはわかりにくい場合が多く、オンリーワンのイベント・祭り、桜や紅葉の隠れた名所、伝統の食や話題のグルメ等季節ごとの特化したパンフを作ることが、成熟した国内旅行には必要かもしれません。

 自治体等で運行している無料観光バスが盛況を博しています。しかし無料であるから乗っているということもあります。訪れた人が地域で、「お土産」や「食事」等にどれだけ消費しているのか、また、リピーターになっているのか、毎回アンケートを取り分析する必要があります。それを今後の観光振興に活かすことが、無料観光バス運行に求められる課題です。

 最近ではエージェントの商品企画に反映させるために、大都市圏で説明会や、個別の相談会を開催して効果があがっています。商品企画に当たっては、エージェントは半年先の情報が必要であり、そうすることで企画に反映させることができます。自治体の観光素材がどのような過程で商品化され、流通させていく仕組みを理解せずして単なる宣伝は、効果が得られません。

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 一方観光客には県境はなく、初めて訪れる人は広域に回ります。自治体の宣伝は、広域の観光協議会を組織して活動することで効果があると思います。九州観光推進機構は定期的に大都市圏で、「九州は一つ」の合言葉で、九州7県の広域の宣伝活動を展開しています。エージェントやメディアとの人脈づくりにも役立っています。

 海外から見ると九州は小さな島であり、九州全体の位置付けをPRし、その中で鹿児島の『優位性』・・東アジアに近く、世界自然遺産、桜島、食、砂蒸し温泉、宇宙基地、世界文化遺産と明治維新150年等・・PRすることで、他県との差別化となります。人脈づくりにも役立っています。

 有効な宣伝方法とは、費用対効果を検証することです。もう一度自分の地域の宣伝手法を見直してみませんか。これから夏休み、秋から来春に向けての積極的な提案をしていかねばなりません。夏休みはファミリー、秋はシニア市場であり、春は卒業を控えた学生マーケットです。シニア世代は平日も動けるフットワークのいいお客様で、しかも料金にあまり左右されず質の良い旅行を求めます。

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 従来の観光パンフレットから脱却し、読んでみたくなるキャッチコピーの表示、拠点から動きやすいアクセスの説明、地域の生活文化に会える場所、パワースポット、トレッキング、地元の食を堪能できる施設、旅人を楽しませてくれる人や居酒屋等、受信力が高まる発信の取組が今求められています。

No.309 香港便の再開を鹿児島の経済活性化に繋げる~成熟した訪日市場への取組~

2014年4月28日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 3月31日、5年ぶりに香港便が就航しました。香港からの訪日旅行者は、首都圏への観光客回復、関西の人気上昇、LCCの就航等で、2013年は55%の伸びで、74.6万人となっています。



 高いリピーター率(10回目以上が20.7%)と、個人旅行率(FITが70.8%)が、高いことが上げられます。また、旅行者の主流は家族と若者で、日本での滞在日数は「4~6日」となっています。(観光庁の調査)

 最も成熟している訪日旅行市場と言えますが、宿泊地としては、大都市圏と北海道、沖縄で全体の75%、その他地域が25%です。香港に近い沖縄への観光客は、84,300人で鹿児島の約7倍となっています。一方、1972年に日本航空が定期便を就航したこともあり、香港での鹿児島の知名度はかなり浸透しており、今回の香港便の就航は、新たな需要開拓につながると期待がかかります。

 今回の就航にあたっては、香港のエージェントが一定の席をギャランティしているため、鹿児島発の席が少ないのが現状で、当面は香港からの観光客を長く県内に滞在させる取組が求められます。

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 香港人が今求めるものは、「食」、「体験」、「地方」がキーワードです。リピーターを意識した「本物。鹿児島県」の食、レンタカーと観光列車の組み合せ、世界遺産、地方の美しい自然景観、「日本旅館での砂蒸し温泉・和食文化や質の高いおもてなし」の提供等が長期滞在を可能にします。

 個人旅行が主流になり、「レール&ドライブ」のシームレスな予約システムの構築が急がれます。県内には「はやとの風」、「おれんじ鉄道」、「指宿のたまて箱」、「ななつ星in九州」の観光列車や九州新幹線の終着駅があり、観光客には対応しやすい環境にあります。

 和食が世界無形文化遺産に登録されたことや、2020年の「東京オリンピック」開催が決まり、日本への関心が一段と高まっているのも追い風です。県内には「料理・サービスに優れた旅館」や、「おもてなしの心」で評判の宿が多いのも強みです。

 また、農・水産業を活かした体験メニューも整備されてきました。果物狩りやお茶摘み、漁協での餌やりや寿司握りも好評です。歴史的遺産や世界自然遺産があるのも鹿児島の優位性を発揮できます。

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 「近代化産業遺産群」の世界文化遺産登録も準備が進められており、また、仙巌園では四季折々の草花とともに美しい桜島の景観が楽しめます。県内各地に残る武家屋敷で、お茶会や生花展、着物で散策できるイベント等は、日本の生活・文化に触れる機会にもなります。

 最も成熟した訪日旅行市場の香港では、屋久島の世界自然遺産を活用した「エコツアー」が喜ばれ、大自然や緑が少ない香港人にとっては驚きの観光地であると思います。

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 増便の機運が高まる中、路線維持拡大には、観光客に加えて物流の促進が不可欠です。鹿児島が誇る「黒牛」、「黒豚」、「黒マグロ」、「かんぱち」、「焼酎」等食の魅力をいかに浸透させるかです。鹿児島の食材を流通させるには、有名料理店やホテルとのコラボも必要です。


 個人旅行が主流となり、外国語表記、Wi-Fiの整備、受入施設での外国語の対応は、今後インバウンド態勢づくりには不可欠です。また、入国審査に関わる時間短縮が問われている鹿児島空港は、スペースの拡張、要員配置などインバウンド拡大に伴う国家戦略の一つとして取組まねばなりません。

 最後に映画「慕情」を鑑賞し、香港に思いを馳せ、海外旅行先として香港を最初に選んだ方も多いと思います。主演のウィリアム・ホールデンとジェニファー・ジョーンズの悲恋物語とともに、香港の美しい海と街をバックに流れる主題歌「Love is a many splendored thing」は、今でも映画ファンには懐かしい曲です。

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 日々変化を続ける世界屈指の貿易都市香港、香港から高速船で気軽に行けるマカオをぜひお訪ねください。マカオは、ラスベガスを凌ぐ観光・カジノの街として発展を続けています。



 次回のコラムはゴールデウイークに入るため、5月12日になります。4月28日から5月1日までは、県内の宿泊施設は空きが多くあり、今からでも予約が可能です。楽しい休日をお過ごしください。

No.308 開成所開設から薩摩藩英国留学生へ~明治維新の基礎づくりに人材教育の重要性を知る~

2014年4月21日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 つい先日まで県民の心をしばし楽しませてくれた桜は、いつの間にか葉桜となりましたが、街かどの花壇にはスイトピーやツツジの花が咲き誇り、道行く人を楽しませてくれます。



 また、新緑が美しくなり、ピンクや赤色の様々な花が鮮やかで、鶴丸城の城壁も池に一段と鮮やかに映り、日本の美しい四季の移ろいを感じられます。温もりが心地良く感じるこの時期は、中学校時代に習った次の詩が浮かびます。

                   春 暁       孟浩然
            春眠不覚暁 【春眠 暁を覚えず】
            処処聞啼鳥 【処処(しょしょ) 啼鳥(ていちょう)を聞く】
            夜来風雨声 【夜来(やらい) 風雨の声】
            花落知多少 【花落つること 知る多少(いくばく)】
【注釈】
春の眠りは心地よく、夜が明けたことを知らずにぐっすり眠り込んでしまった。
気がつけば外では鳥のさえずりが聞こえてくる。天気もよさそうだ。
夜更けから風雨が強かったので、満開の花がたくさん散ったことだろう。

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 ところで2018年(平成30年)は明治維新から150周年の節目を迎えます。明治維新の立役者となった偉人を多く輩出しているのが、薩摩藩の中心地であった鹿児島市です。鹿児島市では、2012年から2018年までの期間に、「明治維新150年カウントダウン事業」として、明治維新までの激動の時代を歩んできた薩摩藩の足跡を振り返るイベントなど様々な取組を推進しています。 


 今年は開成所開設から150年になります。開成所は元治元年(1864)年6月に、科学や軍事に関する人材育成のために設立された洋学校で、島津斉彬が在任中に計画し、蘭学者石河確太郎に設立準備を命じていたものです。

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 場所は琉球館の海岸通りにあったとされ、現在の小川・滑川市場の付近と推定されます。学習科目は陸海軍砲術、兵法、地理学に航海術、測量、医学に至るまで多岐にわたってい ました。当時の様子を残す跡はありませんが、ここで教授をしていた郵便制度の創設者である前島密を評したポストが、桜島海岸通りの交差点に立てられています。



 翌年(1865年)薩摩藩は、国禁を犯して15名の若者と随行者4名を英国に派遣します。「薩摩藩英国留学生」と呼ばれており、優秀な人材が集まる開成所からほとんどが選ばれ、その中にただ一人薩摩藩以外で土佐藩を脱藩した「高見弥一」もいました。

 また、「開成」という名は、歴史的に謂われある名辞であるため、校名に「開成」を冠する中学・高校があります。優秀な学生が集まることで知られる東京の「開成高校」は32連続東京大学合格者がトップとなっています。

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 留学生たちは、帰国後は官界、実業界で活躍し、近代日本の礎を築く活躍をします。畠山義成は、出航からロンドン到着直後の様子をまとめた「畠山義成洋行日記」を遺しています。1866年にはフランスに渡り見聞を広めています。帰国後「岩倉使節団」にも招集されました。その後文部省に出仕し、東京開成学校(現在の東京大学)初代校長として、日本の大学の基礎作りに貢献しています。


 町田久成は、維新改革の流れの中で、多くの美術品の破壊や海外への流出を惜しみ、博物館事業の重要性を認識し、博物館創設事業に携わり、東京帝室博物館(後の東京国立博物館)の初代館長に就任しました。

 森有礼は中国大使や初代文部大臣を務め、教育制度の改革を行います。村橋久成は、戊辰戦争の際砲隊長として活躍し、その後北海道開拓使となり、サッポロビールの生みの親として語り継がれています。

 留学当時13歳と最年少であった長沢鼎は、その後アメリカに渡り生涯を過ごし、広大なぶどう園の経営とぶどう酒製造に尽くし、ワインの帝王と称されました。鹿児島でもナガサワワインとして親しまれています。随行者の五代友厚は、初代大阪商工会議所会頭に就任し、商都大阪の経済発展に寄与します。寺島宗則は外務大臣として活躍します。 

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 今年の7月20日、船出したいちき串木野市羽島に「薩摩藩英国留学生記念館」がオープンします。会館の中には、留学生の足跡をたどる資料も展示される予定です。会館の完成を期に、多くの小・中・高校生が遠足等で訪れて、海外への夢を掻き立てて欲しいと思います。

 各市町村で青少年の翼、青年の船等の海外派遣事業が盛んですが、参加者のその後の成長の軌跡を検証することも必要です。個人情報保護の関係で、個人情報を求めることは難しくなっていますが、学校の選択や社会人生活に役立っていること等海外派遣の重要性を語り繋げていく必要性を感じます。

 日本へのインバウンド数が昨年1千万人を超え、今年に入ってからも昨年以上の伸びとなっています。日本人の国内旅行が増えない中で、各県とも外国人誘致に力を注いでいます。

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 一方、海外に興味を示さない若者が増えているのも事実です。県民が外国の生活や文化を経験することは重要なことであり、視野を広めるべく、若い内に海外に出掛ける仕組みづくりや海外でのカリキュラム取得を可能とする等支援態勢整備の必要性を痛感します。

 海外修学旅行やホームスティの積極的な推進、留学生の受け入れ拡大やその人たちを活用した日本文化の海外への発信等も求められます。また、日本は人口の少子、高齢化時代に入り、地域の活性化には海外との交流人口の拡大が不可欠です。

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 最後に、「旧集成館事業」等5つの構成資産が、2015年度中に「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」として世界文化遺産登録を目指しています。薩摩が日本の近代化に果たした役割を世界にPRする時です。

 その基礎作りに貢献した「開成所」や「薩摩藩英国留学生」の偉業を学ぶことで、人材教育の大切さを知る機会にもしたいものです。

        資料:鹿児島市【明治維新150年カウントダウン事業】付録より

No.307 新航路開設で新たな需要開拓を~沖縄と差別化された情報の発信が誘客につながる~

2014年4月14日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 鹿児島から南へ約380キロの洋上に浮かぶ奄美大島、県の離島で一番大きな島で、鹿児島市から中心都市名瀬港まで、約12時間の船旅が楽しめます。エメラルドグリーンの海には、サンゴ礁がいたるところに見られ、熱帯魚の群れがひときは美しく観察できます。

 奄美群島には亜熱帯の植物やルリカケスやオオトラツグミ、アカヒゲ等の天然記念物、特別天然記念物のアマミノクロウサギなど固有種の動物が多く生育し、その生態系の貴重さが、世界自然遺産登録の候補地ともなっており、2016年度中の正式登録を目指しています。

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 レジャー・リゾート路線を展開するLCC,バニラエアが7月1日より、成田~奄美大島間に新路線を開設することを発表しました。首都圏から奄美大島への定期航空路線の就航は、羽田~奄美大島路線以来であり、大きな期待がかります。運航機材はエアバスA320-200型が1日1往復予定されています。

 A320型は座席数が160~180席で、グループの予約が可能となり、観光客誘致に弾みがつくのではないでしょうか。

 就航に当たり代表取締役社長の石井知祥氏は、「成田空港から奄美大島まで片道、約2時間半。手つかずの美しい自然が残り、その豊かさを後世に伝えるべく、世界自然遺産登録をめざしているリゾートです。

 この度『奄美群島振興交付金制度』が創設され、その中で『交流需要喚起対策事業』との連携を前提に今回の就航を決定した。地域の皆さまと一緒に奄美大島の魅力をより多くの方にお届けしたいと思います」と抱負を語られました。奄振事業が大きな役割を果たしていると思います。

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 奄美群島への誘客について従来ネックになっているのが、航空運賃の高さです。現在東京から奄美大島と沖縄への片道普通運賃を比較すると、距離的に短い奄美大島が5,400円高くなっています。さらに旅行エージェントの2泊3日のフリータイムの商品で比較すると、2万円以上奄美の商品が高くなっています。

 沖縄への観光客が伸びている理由として、沖縄(那覇)へは全国20の空港から路線があり、競合路線が多いことや、米軍基地が多くあることから、振興策の中で航空運賃への支援策が充実し、運賃が割安になっていることも大きく影響しています。(3月末現在)

 今回のバニラエアの就航により航空運賃の低廉化が図られることが、観光客の誘致に大きな効果を発揮するものと思います。東京からの便はビジネスの需要が高く、搭乗率も安定しており、観光客の誘致には不都合な点もありました。今回の就航は、関東地域から広く誘客が可能となったことが大きなメリットです。

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 次に成田空港という国際空港がもたらす効果も大きいものがあります。奄美群島は「奄美・琉球」として2016年度の世界遺産登録を目指しています。世界遺産登録を目指す島として世界中で注目されており、海外からの誘客が成田乗り継ぎで可能となります。

 課題としては、奄美群島の魅力が県内外にあまり知られていないことであり、今後いかに情報発信を強化して認知度を高めるかが重要な点です。

 おりしも昨年奄美群島は本土復帰60周年の節目の年を迎え、メディアで取り上げられた機会も増えてきました。また今年は、大島高校が21世紀枠として選抜高校野球大会に初出場し、優勝チームに大敗しましたが、はつらつとしたプレーが話題となりました。しかも島出身者だけのチームであり、そのことも併せて島の存在が大きく取り上げられたことも大きかったと思います。

 これから沖縄とは違う魅力をいかに消費者に届けるかです。奄美の自然は手つかずの自然が至るところに残り、その生態系が注目されています。また、どこか哀愁漂う旋律が心に響く島唄は、集落に伝わる民話が原点となっており、各集落で唄い継がれ、居酒屋では宴が深まると、だれともなくサンシンの音で興が始まります。

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 鶏飯、油ソーメン、ヤギ料理等を中心とした郷土料理、奄美でしか作れない黒糖焼酎、伝統職人が作りだす大島紬、国の重要無形民俗文化財に指定されている「ショチョガマ」、「平瀬マンカイ」「諸鈍シバヤ」など奄美独特の風習を伝える祭りは、都会の人々には興味津津に映るのではないでしょうか。




 就航が7月1日であることから、夏に向けて若者へのマリーンスポーツのスポットの提供や、大学生のゼミ旅行などの誘致も欠かせません。手つかずの自然が残る奄美の海は、どこにもまして素晴らしいと自負して憚りません。体験型の交流プログラムの充実も求められます。奄美海峡にある近畿大学水産試験場は、クロマグロ研究施設として見学も可能です。

 ところで平成26年度中には奄美市から古仁屋までトンネルが全通し、45分で行くことができます。空港からは2時間程度で加計呂麻島まで行くことができ、奄美本島南部地域の観光が便利になります。

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 古仁屋の対岸に位置する加計呂麻島は戦跡が多く、文学者島尾俊雄の代表作「死の棘」や「出孤島記」の舞台となっています。また、「寅さんシリーズ」の最後の撮影地であり、昨年はNHKの土曜ドラマ「島の先生」の舞台にもなりました。


 加計呂麻島の魅力と世界自然遺産地域をセットでPRすることで滞在客も増加するものと思います。空港からのレンタカーや小型バスの利便性を図ることが重要です。

 現在日本人の国内観光は成熟しており、従来の物見遊山を中心とした観光地は苦戦を強いられています。最大の需要がある首都圏地域から、自然豊かな奄美大島への利便性を確保することは永年の課題でした。その意味で今回のバニラエアの就航は、奄美大島にとって飛躍できる大きなチャンスとなりました。

 空港に近い龍郷町は都会からのIターン者がペンションや、エコガイド等で生活を営んでいます。利便性が高くなることから、首都圏の人々に冬場の温かい気候や花粉症が少ないことをPRし、「2地域2居住」をすすめることも定住促進につながります。

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 奄美群島観光物産協会が設立されて2年が経過しました。群島全体の観光地、物産等を点検し、首都圏のお客さまが行きたくなる、沖縄と違ったより斬新な情報発信を提供しなければなりません。首都圏で奄美の物産を手掛けるバイヤーに話を聞くと、奄美の物産は人気が高いという。それは自然豊かな未知の島の物産で、安全・安心が魅力となっているように感じます。

 このようにハンディが大きい奄美大島に、LCCが飛ぶことが大きなインパクトとなり観光客には行きにくい島だからこそ、行きたくなる場所になるのではないでしょうか。 観光客の増加に対する「おもてなしの心」の充実も大切です。就航が待ち遠しい路線です。

No.306 消費税アップに伴う旅行需要の冷え込みをいかに乗り切るか~商品企画と積極的なPRを展開しよう~

2014年4月7日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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桜花 時は過ぎねど 見る人の

    恋(こ)ふる盛(さか)りと 今し散るらむ

                万葉集~作者不詳~


 消費税が上がる前の駆け込み需要で、今年の春休みは例年になく交通機関や宿泊施設は混雑していました。満開の桜は、週末の強風と大雨にさらされ無残な姿となり、楽しみにしていた今年の桜の宴は、幻に終わりました。ぱっと咲いて惜しまれながら散る桜は日本人の心に残ります。これから桜前線は北上し、ゴールデンウィークの頃には北海道に上陸し、松前城や五稜郭は花見客でにぎわいます。

 ところで4月1日に消費税が8%となり、一時的に消費が冷え込むことが予想されます。これから旅行シーズンを控えて観光客の出足が懸念されますが、各エージェントの企画担当者の話によると、4月の商品は売れ行きが悪く、軒並み前年を割っています。

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 今年のゴールデンウィークは、5月に4連休があり後半は好調に推移しています。これから新年度の行事が終わり、ゴールデンウィークの話題がでてくるとお客様の動きも活発になってくるのではないかと思います。昨年は伊勢神宮や出雲大社の式年遷宮、東京ディズニーランド30周年、NHK大河ドラマ「八重の桜」の放映等があり、4月~7月は南九州への入込は低迷しました。今年に期待したいと思います。


 県内の話題を紹介すると、4月2日から甑島に川内港から高速新造船の運行が開始され、新たなスポットとして賑わいを増すのではないでしょうか。断崖絶壁の岩や奇岩、美しい長目の浜、ニシノハマカンゾウやカノコユリが咲き、ウミネコが生息する島は自然そのものが魅力です。

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 例年ゴールデンウイーク期間の大型イベントである「吹上浜砂の祭典」が、連休期間の1週間から5月2日~31日まで長期に渡って開催されることから、県内外からのバスツアー等が増えるものと予想しています。連休中は団体の部屋が取りにくく、平日に期間が延長されたことが好材料となり、バス旅の企画も増え、指宿方面が混んでくるのではないでしょうか。エージェントの商品企画に取り込んでいただく必要があります。

 また、修学旅行の農家民泊が増加しており、農漁業体験の途中に砂の芸術作品を見せる時間を作って欲しいと願っています。南薩摩地域はこのイベントを活かして、自分の地域への誘引効果をもたらして欲しいと思います。

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 新燃岳噴火が落ち着いた霧島地域は、新緑やミヤマキリシマが美しい時期となります。えびの高原周辺の池めぐりも大いに宣伝しなければなりません。今年は、国立公園「霧島」指定80周年の節目の年です。霧島地域の温泉は、泉質や色など多種多様な湯が湧出する日本屈指の温泉郷であり、温泉の魅力を前面にPRが必要です。

 連泊を可能とするには、宿泊地周辺の市町村との連携が欠かせません。特に「悠久の森」や「桐原の滝」、「溝ノ口洞穴」、「関之尾滝」等曽於市、都城市との連携が欠かせません。翌日の行程を宿泊客に具体的に説明できるように、職員に対して日頃からの研修等が必要ではないでしょうか。一方韓国の人にはオルレのコースが人気となっています。

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 海外路線が4つに増えて外国人の誘客が一段と便利になりました。3月30日から就航した香港路線は、予約状況が好調であり、これから1年先まである程度の集客が期待されます。FITが増える中で、レンタカーやレストランの外国語対応、鹿児島らしい体験メニュー等受入態勢の整備が求められます。

 ゴールデンウイークから急激に増えるのが、屋久島への登山客です。縄文杉や宮之浦岳への登山が多くなり、宿泊施設は、ホテルや旅館だけでなく、民宿までいっぱいとなりテントでキャンプする人が増加します。決められた場所でのキャンプ、また、トイレのし尿処理問題も決められたルールを徹底して守って欲しいと思います。旅行エージェントの皆さまにも、来島者に対して屋久島登山の注意事項を徹底してもらいたいと思います。

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 今旅行先として注目されるのが大隅地域です。お薦めのスポットを紹介します。 岬までの取り付け道路が無料化された佐多岬は、昨年10月の無料化以来観光客が増加しています。九州本土最南端の岬が整備され、かつての賑わいが戻りつつあります。晴れた日の展望は絶差に尽くしがたい景観が広がります。開聞岳、種子島、屋久島、硫黄島を洋上はるかに望めます。


 南大隅町の雄川の滝や諏訪神社、パノラマパーク西原台などの景勝地も一緒に回ることをお薦めします。また錦江町の「神川の大滝」、「花瀬公園」はこれから川岸の緑が一段と鮮やかになり、見ごろを迎えます。

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 海上自衛隊鹿屋航空基地では、「エアーメモリアルinかのや2014」が開催されます。南九州最大のイベントであり、今年は基地内見学ツアーも新たに開かれます。史料館の庭に展示されている飛行機の数々は、子供たちにとって最高の思い出づくりになるのではないでしょうか。

 おりしも、鹿屋航空基地が登場する映画「永遠の0」がヒット中であり、過去最高の人出が予想されます。会場周辺での地域産品の展示販売の強化が求められます。

 近くにある「かのやばら園」では8haの敷地に5万本のばらが植栽されており、6月1日までばら祭りが開催されます。出口にあるショップが混雑するため、見学の途中に中でお土産品を買える施設の設置が不可欠です。

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 また、宇宙基地のある肝付町の内之浦では、4月12日から5月4日まで「春のえっがね丼祭り」が開催されます。全店統一の価格2,500円で販売されます。宇宙基地見学と一緒に地元で獲れた新鮮なえびを堪能してください。錦江湾側から田代~内之浦と抜ける国道448号は、景観が素晴らしく県内一のドライブコースと思います。

 ところで、ゴールデンウイークの宿泊客の主流は近隣の客で、しかも家族旅行等は出足が遅い傾向にあります。メディア等でゴールデンウイークの人出の予想やイベント情報等が発表されると、急に予約が増えるなどこれから動きが活発となります。タウン誌や大型商業施設等で県内の人たちへの情報発信を強化してもらいたい。

 宿泊施設では空き情報を前広に把握して料金体系を換えるなど、臨機応変の対応が望まれます。特に4月後半の需要が鈍いと捉えておく必要があります。 国民が楽しみにしているゴールデンウィークまで1カ月余り、準備怠りなく需要を吸収できる態勢づくりが望まれます。

No.305 環境にやさしい宿泊者に~日本型宿泊スタイルからの脱皮を~

2014年3月31日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 春休みに入り、若い観光客の姿が目に付くようになりました。卒業旅行でパワースポットや、露天風呂巡りなどを楽しんでいるのではないでしょうか。 鹿児島県は南北600キロに及び、鹿児島市から大阪市までの距離に相当します。


 大分県に次ぐ第2位の泉源数があり、多彩な泉質を含む温泉地が点在しています。また屋久島の世界自然遺産や、二つのロケット基地は他県にない魅力です。近代化日本の礎を築いた偉人を多く輩出し、歴史遺産も鹿児島市内を中心に整備されており、まち歩きなどにも最適です。

多様な生態系が見られる奄美群島は、2016年度「奄美・琉球」として世界自然遺産を目指しています。近代化遺産群と奄美が世界遺産に登録されると、飛躍的に観光客が伸びると思われます。

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 平成25年、鹿児島県における宿泊客数は703万人で、前年比102.3%の伸びとなり、観光客の約80%が鹿児島市、指宿地域、霧島地域に宿泊しています。(暫定値) 宿泊観光客の増加に伴い、ゴミ処理、汚水対策、ペットポトル、空き缶対策など宿泊客が残した廃棄物の処理に、各自治体は多額の費用がかかり、その対策に頭を悩ましているのも事実です。観光客が滞在する宿泊箇所での環境対策が今必要になってきています。

 欧米系の観光客は、小さいころから環境への対応をきちんと学びその習慣が定着しており、自然の大切さや環境に負荷を与えない行動ができていると感じます。一方日本人の宿泊パターンは、非日常を求めて、過度の快適さと利便性を追い求める宿泊スタイルになっており、環境に負荷を与えているように感じます。また、宿泊施設の過度のサービスが、環境悪化を招いているようにも感じます。

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 エコホテルの定着を目指している施設が多くなっているのも事実ですが、宿泊者と事業者が環境を守るという同じ考え方に立ち、実現可能な項目から着手する必要に迫られています。2005年には京都議定書が締結され、日本も本格的に環境対策に力を注いでいます。これから東アジアからの観光が急激に伸びることが予想されることから、環境対策を徹底していくことの重要性が問われています。

 宿泊者とそれを受け入れる施設の実情や、100ルームの部屋を持つホテルの支配人から聞き取り調査等を行い課題について整理しました。

1.宿泊者がもたらす環境問題については、
 ・宿泊者は平均して、滞在中に2回以上入浴し、泡立ちの良いシャンプーやリンス等を大量に使用し、化粧品、ヘアケア、歯磨きなど化学物質を含んだものを水と一緒に流す。大浴場で月平均63リットルのシャンプーが使用される。
 ・一人平均3枚以上のタオルを使用し使用後の洗濯に使う洗剤も膨大となる。
 ・夕食、朝食は平均して20%程度を残し、残飯として処理される。食後の使用済皿は、 洗浄に多量の洗剤が必要になる。
 ・使い捨ての歯ブラシや、煙草の吸殻、飲み食いの残飯処理に時間がかかる。チェックアウト後1晩で約20袋のゴミが収集される。
 ・宴会中のクーラー、電気のつけっぱなしが多く見られる。
 ・貸切バスやマイカー利用者が到着時に大量のゴミを持ちこむ。
  等が施設の抱える環境問題です。

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2.環境に負荷を与えない取組としては
 ・化学物室を含まない石鹸の提供も必要である。
 ・連泊のお客様にはタオル、シーツの連続使用をお願いし理解してもらう。
 ・生ごみは肥料や飼料にして再利用を考える。
 ・宿泊者への啓蒙運動を推進する。(環境への取組の理解、水や電気はまめに消す)

3.宿泊者への理解を深める方策としては
 ・分別収集のお願いをする。連泊においてはタオル、シーツは連続使用とする。
 ・宴会等部屋不在時の電気を消すことを了解してもらう。
 ・洗面道具(歯ブラシ、洗髪用のグッズ等)はフロントに置き、必要な方のみ渡す。

4.地域・業界の取組としては
 ・環境問題は一施設だけで取組んでも限界がある。地域全体で取り組むことに意義がある。実現可能なものから宿泊者、従業員の理解の元にすすめる必要があります。
 ・宿泊施設は、夕方のチェックインから翌朝まで安心して滞在できるよう常に警備等に配慮しています。また2度の食事の提供、片づけ、布団敷など重労働です。それに対する対価としての宿泊代があまりに安く設定されているように感じます。双方が満足できる料金体系が必要であり、そのことで環境対策にも取り組むことができます。

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 交流人口の拡大が不可欠な今、経済効果を追求すれば、消費の拡大を促し環境問題が惹起されることは当然です。従来日本人の宿泊スタイルは顧客の要望に応じて、過度のサービスを提供してきたと感じます。そのことがゴミ問題や水の汚染、有害物質の氾濫などが生活や健康に悪影響を与えています。

 余暇活動を享受できることは、素晴らしいことであり、周りの環境に配慮した行動が 求められる時代になってきたのではないでしょうか。自然と地域住民、観光客が共生で きる環境づくりが必要であると感じます。

No.304 ムスリム市場への取組~相手の慣習を理解することから~

2014年3月24日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 2013年の訪日外国人は、過去最高の1,036万4千人となり、前年比24.0%の伸びとなりました。中でも東南アジアからの訪日外国人が急増しています。主な要因として査証免除や緩和、経済発展に伴う中間層の増大、LCCの就航、円安による日本への旅行の割安感があげられます。

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 先日インドネシアの高校生12名が鹿児島を訪れて、垂水市での民泊や垂水漁協のいけすの餌やり体験などを楽しみました。今後の波及効果が楽しみです。インドネシアはムスリム(イスラム教信者)が人口の87%をこえており、約2億700万人に及びます。ムスリム市場は拡大しており、2010年の統計では、世界で約16億人の人口を占めています。

 ムスリムが多いインドネシア、マレーシア、シンガポールからの2013年訪日観光客数は、50万2千人を超え、35%の伸びとなっています。今後も大きな伸びが期待されるムスリムの受け入れに当たって、留意すべき点について述べたいと思います。

 まずムスリムの受け入れに当たっては、宿泊施設などでは礼拝場所の設置が不可欠です。1日5回の礼拝が戒律となっており、男女別に礼拝と小浄ができる清潔な部屋が必要です。部屋には礼拝の方角を示すキブラの設置や、礼拝時に必要な備品の設置も求められます。先日鹿児島空港国際線ターミナルの一角に礼拝場所が設けられました。ムスリムの受け入れの一歩ができたと思います。

 また、ムスリムにはハラール(認証)の食事の提供が求められます。豚肉は厳禁であり、またそれらを原料とした調味料なども口にすることは禁じられています。料理の処理方法によっては、口にできない食事もあり十分な点検が必要です。

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 ムスリムで禁じられているのが、酒を飲むことです。食事の際だけでなく、日常も許されていません。ムスリムにとって、ハラールの食品のみを口にすることは神の教えに忠実に従うこと、すなわち信仰そのものなのです。

 また、イスラム教にはラマダーンと呼ばれるヒジュラ暦の第9月(西暦2014年では6月28日~7月27日にあたる)。この月の日の出から日没まで間、「断食」として食事を立つことが行われ、約1か月間続きます。かつて小生がモロッコを旅した時、ドライバーがラマダーンの期間に入ったら断食を実行していたのを覚えています。

 このようにムスリムの受け入れに当たっては事前に理解しておくべきことが多々あります。取扱旅行社と事前の確認を行うことが必要であり、やたらに不安がるのではなく、日々しっかりと検証していくことが大切です。

 先日、九州観光推進機構が鹿児島市で開催した「おもてなしフォーラムin九州」の分科会で、ムスリムの受け入れについての研修会もありました。福岡にあるムスリム寺院の関係者は、受け入れに当たって神経質になるのではなく、旅行者とのコミニュニケーションを図りながら楽しい旅を提供すことが大切であると語っていました。

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 ムスリム市場はASEAN地域が多く、これからも訪日が一番期待される地域です。 昨年7月1日からのビザ免除の追い風もあり、今年は、インドネシア、シンガポール、マレーシアの3国だけでも70万人を越えるのではないかと想定されます。


 ASEAN諸国の若者は、テレビ、アニメ、漫画、ドラマ、映画等に加えて、桜、紅葉、美しい清流、海等美しい日本の自然景観に憧れを持っています。また、温泉にも関心があります。湯船の中に集団で裸になる習慣がないムスリムの人々には、個室の貸切風呂での温泉の入り方や、効能等について説明する必要があります。

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 世界無形文化遺産に登録された「日本の食」にも関心を示します。鹿児島は「本物。鹿児島県」に代表される豊富な食材があり、ムスリムの観光客には喜ばれるのではないでしょうか。県内を走る観光列車「おれんじ鉄道」、「はやとの風」、「いぶすきの玉手箱」等も売りの一つです。

 ムスリム市場に対して、鹿児島が誇る火山、温泉、ロケット基地、美しい海、「日本式旅館でのおもてなしの姿や食」等を前面に、受入態勢ができるガイドブック等の制作の必要性を感じます。

 現在はASEAN諸国から鹿児島への直行便がなく、当面は上海、台北、ソウル、香港、福岡からの経由便やチャーター便に頼らざるを得ません。

 各県もムスリムの誘致に力を入れてきました。礼拝室の設置、ホテルの部屋にはメッカの方向を示すキブラ(矢印)をつける、ハラール料理の提供等、今後新たな市場としてムスリムの誘致を図るべく、基本的な受け入れ態勢の知識を深めることの大切さを感じます。

No.303 九州本島最南端の町の魅力を活かす ~田舎の景観保護と魅力ある情報発信が課題~

2014年3月17日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 南大隅町は大隅半島の最南端に位置し、西側は錦江湾および東シナ海、東側は太平洋、南側は大隅海峡に囲まれて、佐多岬の近くを北緯31度線が通り、エジプトのカイロと同じ緯度に位置します。旧佐多町と旧根占町が合併した2005年当時の人口は、9,897人でしたが、2014年2月には7,925人と約1000人減少しており、県内で高齢化率が一番進んでいる町です。今後も人口減が続くことが想定されます。

 最南端にある佐多岬という最大の観光地が魅力となり、昭和40~50年代にかけては新婚旅行のメッカとして、年間20万人にのぼる観光客が訪れていましたが、その後観光客は激減して、平成24年は年間38,000人でした。平成25年10月末の佐多岬公園線が無料化されたこともあり、昨年は約69,000人と1.8倍となりました

 南大隅町の景観保護と観光振興について考える「景観セミナー」が開催され、森田町長をはじめ3名の町の有識者、町民を交えて意見を交換する機会に恵まれました。

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 人口と観光客の減少は、地域経済に大きな影響を与えており、観光振興による交流人口 の拡大が求められています。南大隅町には佐多岬をはじめ、パノラマパーク西原台、雄川 の滝など有数の景勝地があり、これらの良好な景観を活かし、来町される方々に対して、 住民が一体となり「おもてなし」を伝えるために,自然・景観(風景)を守り、調和のと れた観光まちづくりをどのように進めていくかを考える機会となりました。

 まず森田町長から、観光振興に対する取組の方向性が示されました。「平成17年3月から、南端まちづくり活動として、地域の小中高校生や一般、老人クラブの皆様方が中心となって、毎月第3土曜日に清掃活動をするなど、継続的な取組がなされている。

 また、平成25年から「花いっぱい活動」を庁舎各課、ボランティア団体「ハイビスカス」のグループが島泊から大泊までの県道区間において、花壇等ハイビスカスなどの花の植栽を実施している。先進地視察として、花いっぱい運動を進めている長島町を訪れて研修し、地域の景観形成に活かしている」ことなどが報告されました。

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 パネラーの方からは、町の海・山・川の観光資源はすばらしいが、その魅力を十分活かし切れないでいる。また、南大隅町の住民が自分の町の良さを知らない実態などについて、地域資源を守り景観を活かしたまちづくりには,人が重要であるという考え方を強調されました。リーダーとなる人材育成が急務であると。また、景観を活かすには、南大隅町のオリジナルとしての看板、街路灯、カラー歩道など、統一性を持たせることが必要である。

 新しい箱ものは必要ない。今ある田舎の有様を大切にし「おもてなし」を伝えて行くこ とが重要である。人の連携が第一であり、異年齢との交流の場を増やすことで、伝統芸能、伝統文化を伝えていくことにつながる。

 観光客を呼ぶには、観光資源である海・山・川の自然を活用したイベントの開催(ソフ ト)事業がもっと必要であると。「ドラゴンフェスティバル」は地域住民含めて国内外から2万人の参加者があり、大隅地域を代表するイベントに成長している。イベント開催時は周辺市町村までの宿泊効果が出ている。

 そして、町に来てくれてありがとうと思う「おもてなしの心」も芽生えつつあり、行政・住民・関係団体との連携や食や女性の心をつかむ商品づくりが必要である」との意見も出されました。

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 今後の南大隅町の観光に求められるものについて考え方を述べたいと思います。まず観光客誘致には地域の生活文化、歴史遺産等を四季折々の魅力とともに情報発信することが求められます。季節の移ろいを感じる旬の情報が必要です。


 最南端にある御崎神社では、神輿が集落を巡るという伝統的祭りが行われ、中央からのメディア取材もありました。日本で最古の通貨である通貨の和同開珎(708年)の開基である神社で、現在では縁結びの神として、訪れる恋人たちが願かけをしています。

 また、諏訪神社の二重の鳥居は珍しく、この対になっている鳥居が縁結びにとても御利益があると言われています。左から入って右の鳥居から出る習わしです。2つの神社をパワースポットとして売り出すのも効果があると思います。

 最近話題の「雄川の滝」や小生が県下一の絶景地と自認する「パノラマパーク西原台」は、遊歩道や頂上までのアクセスの整備が不可欠ですが、行政サイドですでに検討されていることはありがたいことです。自然景観が素晴らしく見過ごしできない観光地です。 

 「最南端」というロゴを活用した観光客誘致もおもしろいと思います。町内にある郵便局、学校、幼稚園、神社、お寺、銀行、食堂、漁協、農協、商店など「本土最南端○○○」と表示することで、そこを目指して観光客が訪れます。

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 これからの観光振興には地域連携が大切です。「鹿屋航空基地史料館」、「かのやばら園」、「内之浦宇宙空間観測所」、「花瀬公園」、「神川の大滝」等に来た観光客を誘客する必要があります。各自治体のパンフレットにはぜひ近隣の町の名所を掲載して欲しいものです。

 港の近くにあるネッピー館は、高校生、大学生のスポーツ合宿への活用方が求められます。特に町内に全国に数少ない自転車競技練習場を持つことから、信号機の少ない道路を活用したイベントを積極的に誘致する必要があります。

 ところで、山川・根占を結ぶフェリーの再開は指宿地域からの誘客を可能にしました。指宿地域には鹿児島に宿泊する観光客の約20%が宿泊しています。日帰りの旅としては、最適の地です。根占港から佐多岬までのシャトルバスの運行やレンタカーの設置が欠かせません。

 また、観光地の魅力は地域ならではの食です。獲れたての魚や農産物を活用した地域グルメの開発やお土産品の開発も求められます。そのことが地域に経済的効果をもたらします。

 最後に景観保護の必要性について述べたいと思います。良好な景観は、地域の個性(魅力)を伸ばすことにつながります。地域の自然・歴史・文化等と人々の生活、経済活動との共生が重要になってきます。農村景観・自然景観を守ることが大切です。特に棚田、川、畑、池、石垣、渓谷、港、滝、夕日のスポット等は点検が必要です。

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 また、古い町並み、路地は、日本の伝統を醸し出す重要な要素となります。古い街並みの保存や大規模な土地利用の転換を図る再開発事業では、既存の地区をどのように整備するかが課題です。美しい農村景観や水路を守り、電柱の地中化を図るなど、日本の原風景を大切にしてほしいと思います。川の生物が住める環境を確保し、堤防はできるだけ石積みにする等の配慮が必要です。

 田舎の「道」は貴重な観光資源であり、街道沿いの竹藪、雑木を伐採し景観を保ち、駐 車場の整備、花を植栽、案内板を統一した形、色とすることで調和が保てます。ガードレールや橋の色、形に配慮が必要です。山や川、道路は多くの自治体をつなぐパイプであり、景観形成には周辺の市町村が統一して取組まないと進展しないと思います。

 最後に最南端の町のオンリーワンの魅力や旬の情報をいかに楽しく情報発信するかです。歴史的遺産はストーリー性を持たせることが重要です。南九州市の「釜蓋神社」は、釜の蓋をかぶって参拝する姿が、「ナニコレ珍百景」で放映され、その後エージェントの商品企画に組み入れられ今では、年間20万人を超える観光客が訪れます。

 最南端の町には、大きな看板、旗、幟、原色の屋根等は似合いません。道路沿いの四季の草花や、錦江湾に映える幻想的な夕陽、観光客に手を振り、頭を下げる姿に観光客は感動します。童謡や唱歌に歌われた日本の原風景が、南大隅町にはいたるところに残っています。新婚旅行で訪れた世代は、現役を退き今国内旅行の最大のターゲット客です。 最南端という不利性を、逆にプラスと捉え、優位性に変える取組を展開したいという思いにかられたセミナーでした。

No.302 島立ちは新造船にのって~ウミネコがあなたの来島を歓迎します~

2014年3月10日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

カノコユリ.jpg

 薩摩川内市の西約30キロの東シナ海に浮かぶ島が甑島で、上甑島、中甑島、下甑島と縦に3つの島が連なり、奇岩と断崖が海にせまり、釣り人のメッカとして人気があります。


 その甑島に川内港から上甑島・里港―下甑島・長浜港を結ぶ高速船が4月2日から就航します。甑島商船が運行する「高速船甑島」は、全長45・7メートル、幅7メートル、総トン数199トンで定員は200名となっています。

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 JR九州の「はやとの風」、「指宿のたまて箱」、「ななつ星in九州」等の観光列車を設計された、水戸岡鋭治さんが手掛けたものです。新幹線の川内駅から港までの電気バスや、港の待合所も水戸岡さんのデザインです。船体は白を基調に、内装は「ななつ星in九州」でもファンを唸らせたウッドが使われており、乗船客に新たな驚きと感動を与えるのではないでしょうか。

 甑島へは現在串木野港から船が出ていますが、高速船は川内港からとなり、従来のシーホークに代わって新高速船に代わることになります。30日には市民400人の体験試乗会も予定されています。新幹線とのアクセスが便利になることから、観光客が増加することが想定されています。

 島には一般の宿泊施設が少ないことや島内のアクセスに課題がありますが、民宿や観光施設の従業員を対象におもてなしの研修会や、またコミュニティバスの活用を図る等受入体制の整備にも努めています。

 甑島は四方を海に囲まれているため、良い漁場に恵まれ太公望が訪れます。きびなごをはじめ、赤イカ、石鯛、シマアジ、タカエビ等が獲れ、豊富な海の幸が宿泊施設で味会うことができます。

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 自然が作り出した甑島の地形は、地学の教科書に登場する生きた教材となります。沿岸流と波の作用で海底の砂礫が水面上に現れた細長い地形のトンボロ上に、里地区の集落が形成されています。砂州の内海にできた池はナマコ池と呼ばれ、「長目の浜」から全長4キロにも及ぶ景観が望めます。

 荒波に削られた鹿島断崖には、奇岩、巨石が多く遊覧船で近づくことができます。下甑の瀬々野浦の海上に突き出た高さ127mの奇岩(通称ナポレオン岩と呼ばれる)は、自然が造り出した芸術品です。

 下甑島では恐竜の化石が発見され、化石の島とも呼ばれています。大学生のゼミ旅行や教育旅行の体験場所として最適の環境が整っています。 また、手打集落の入江に沿って武家屋敷通りが700メートルも続き、積み上げられた玉石群に、きれいに刈り込まれた木々の並木が調和し、落ち着いた雰囲気を醸し出しています。

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 甑島にはウミネコが住み着いており、漁船に乗っての餌付け体験が5月~6月頃にかけて楽しめます。餌をめがけて集まる300~500羽のウミネコは圧巻です。上陸したら海岸で海鮮バーベキューも甑島ならではのツアーです。6月になると、ニシノハマカンゾウが黄色い花をつけ、続いて薩摩川内市の花となっているカノコユリが、鹿島断崖の一帯の草原を薄紅色に染めます。

 ところで、甑島島内には高校がないため、中学生は卒業と同時に島から旅立っていきます。これを甑島では「15の島立ち」といい、子どもたちを励ます会を開いて見送ります。また、三年生になると、自らの手で芋を植え、その芋でできた焼酎が『島立ち』と名付けられ、年間数百本しか製造されない幻の焼酎となっています。

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 一升瓶を封印する小さなラベルには、中国の唐の時代の詩人・王維が友人の旅立ち送る「元二の安西に使するを送る」の詩の一節、『勧君更盡一杯酒(君に勧む更に盡くせ一杯の酒を)』が書かれています。卒業生が5年後二十歳になって帰ってきたときに最初に飲むのがその時の芋で作った焼酎『島立ち』です。


 甑島にはこのような心温まる絆が受け継がれています。ふるさとを忘れない心が自然に育っていくのではないでしょうか。辛いとき、悲しいとき島のことを忘れずがんばって欲しいと願わずにはいられません。

 甑島を舞台にした「島立ちの春」という曲がありますが、里港の乗降場の正面に次の詩が刻まれた歌碑が建立されています。子供を送り出すさびしい気持ちと、将来へ夢を託す 親の愛情が心にしみる歌詞です。

     俺も十五で島立ちしたが 倅(せがれ)もこの春 島を立つ
             海は広いが、世間も広い デッカイ男になって来い
                    笑顔がかわいいヨオー  嫁でもつれて来い

 今年は新造船で子供たちは島を旅立っていくのではないでしょうか。

 鹿児島県旅行業協同組合が主催している「魅旅」では、甑島のコースが県民にも人気となっていますが、九州新幹線全線開通後、関西方面から島を訪れる観光客が増えています。県の大阪事務所に出向している薩摩川内市の職員の地道な営業努力が、エージェントの商品企画に反映されています。

 薩摩川内市と隣接するいちき串木野市の羽島に、7月20日「薩摩藩英国留学生記念館」がオープンします。一緒にPRすることで地域への誘客効果が高まります。 藺牟田瀬戸架橋が平成29年完成(予定)すると島はひとつに結ばれ、1日で観光巡りが可能となり、多くの観光客が訪れものと期待がかかります。

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 「長目の浜」、「鹿島断崖」、「鹿の子大橋」、「瀬尾の観音三滝」、「武家屋敷通り」等の名勝や「Dr.コトーのモデルの医師」、「孤島の野犬」等の舞台となった甑島を新造船でぜひおたずね下さい。船が鹿島の沖に近づくと、ウミネコが船の周辺を飛び回りあなたの来島を歓迎してくれるでしょう。

No.301 小説の舞台や、童謡・唱歌に歌われた景観とは ~美しい日本の原風景を大切に~

2014年3月3日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

道がつづら折りになって、いよいよ天城峠に近づいたと思う頃、雨脚が杉の密林を白く染めながら、すさまじい早さで麓から私を追って来た。
                ~川端康成『伊豆の踊子』から

 上記の文章は、ノーベル文学賞を受賞した川端康成の「伊豆の踊子」の冒頭の文です。何回読んでも素晴らしい文章です。川端康成は、「上海」や「旅愁」の著で知られる横光利一と並んで、新感覚派を代表する作家の一人です。「伊豆の踊子」や「雪国」は、過去何回も映画化され、小説の舞台となった伊豆の湯ヶ島や下田、越後湯沢温泉等はロケ地として有名になりました。

 伊豆の天城峠を訪ねると、苔の生えた石造りの天城トンネルやスギ林に囲まれた坂道が続き、小説の舞台がそのままあり、川端康成が愛してやまなかった伊豆の魅力を醸し出しています。

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 ところで、童謡や唱歌は、日本の美しい田園風景や四季の移ろいが詩となり、それにメロディが付けられ、子供のころから口ずさんでいる歌が多いのではないでしょうか。「故郷」、「春の小川」、「夏の思い出」、「赤とんぼ」等美しい日本の四季が浮かび上がります。

 小学生のころ音楽が苦手で、いつも口をもごもごして声を出さないでいると、先生に叱られた記憶や、中学生になり声の変性期と重なり「椰子の実」の歌を男子生徒が歌わず、音楽の先生を泣かしたのを覚えています。

 今ではその頃のやんちゃな頃を忘れて、日本の美しい情景が唱歌と一緒に流れると、菜の花やレンゲ畑の畔道を、ミツバチを追いながら自転車で中学校に通った頃を思い出します。「メダカ」や「うなぎ」が泳ぐ小川が校庭の隅を流ており、美しい田舎の原風景がそこにはありました。

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 国語学者金田一春彦氏は、ある式典で同席された美智子皇后様から、「私が好きな唱歌は『朧月夜』と・・・・『冬景色』です」とお聞きして、自分と同じ曲であるとポンとひざを打ちたかったという。二つの曲は、春と冬の日本の自然の情景が美しく描かれ、目の前に出てくるような錯覚を覚える素晴らしい曲です。

 奈良時代に編纂された「万葉集」やその後の「古今和歌集」、「新古今和歌集」には、美しい四季の歌がありますが、自然現象に託して故郷への想いや恋心を伝えています。

 日本は四季がはっきりし、気候の変化は美味しい農水産物をも生み育てます。穀物やくだもの、野菜、近海の豊饒な海では、タイやアジ、キスなどが獲れます。山林や火山が多い地形は、美味しい水が湧きでるという恵みをもたらしています。また、冬は赤い椿が白い雪に映え、春になると桜前線が日本列島を縦断し、夏は朝顔やひまわりが咲き、秋になると野山は紅葉し、色とりどりの景観が列島を南下します。

 桜や紅葉の美しさは日本人だけでなく、多くの外国人の心をひきつけます。外国人は桜や紅葉の美しさに憧れて日本を訪れます。訪日外国人が1000万人を超えた今、鹿児島が持つ自然の美しさ、温泉、食、おもてなしの心を持って誘客に努めなければなりません。

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 鹿児島では「郷中教育」、「日新公のいろは歌」、「出水兵児修養掟」など、人として生きる心構えを教えており、薩摩の偉人が育つ環境づくりに役立ったと感じます。 子供のころから、古里の美しい田園風景や、歴史、祭り等を学ぶ機会を増やして行かねばなりません。そのことが故郷を愛する心を育むことにつながります。

 また、日本の伝統的生活や文化、歴史、美しい自然が歌われている、童謡・唱歌の舞台を訪ねるのも旅の楽しみではないでしょうか。

 鹿児島にはいたるところに、日本の原風景が残されています。白砂青松の海岸、レンゲソウの美しい畑、田植えの後のきれいに水を張った棚田、整然と植えられた杉林、石を積み重ねて造られた段々畑等人々の知恵が生きています。

 都市周辺部では、開発が進み昔フナやコイが泳いでいた小川は、コンクリートの蓋で隠れて見る影もありません。滝廉太郎が作曲した「花」では、当時の隅田川は次のように表現されています。

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春のうららの隅田川 上り下りの舟人が 
櫂(かい)のしずくも 花と散る
ながめを何に たとふべき
見ずやあけぼの 露浴びて われにもの言ふ 桜木を
見ずや夕ぐれ 手をのべて
われさしまねく 青柳(あおやぎ)を

 明治時代の隅田川は清流の川でした。われわれは、美しい日本の原風景をいつまでも残していくことが求められています。そのことが、外国人にも支持される国になるのではないでしょうか。

No.300 これからの鹿児島の観光に求められるものとは~インバウンドやMICEへの取組強化を~

2014年2月24日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

          岩ばしる 垂水の上の さわらびの
             もえいずる春に なりにけるかも
                           志貴王子~万葉集~

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 一雨ごとの温かさにひがん桜が満開となり、メジロの鳴き声が一段と美しい音色に変わってきました。3年前の3月12日、九州新幹線が全線開業し、「みずほ600号」が多くの人々の万歳の声に送られて新大阪駅にむかった姿が、鮮明によみがえります。東日本大震災直後で人の動きが懸念されましたが、その年のゴールデンウイーク以降急速に回復してきました。

 ここ3年間の宿泊客数は、何とか前年を超えて推移しています。2018年が明治維新150周年に当たることから、これから5年間関連する行事が予定されており、新しい情報を提供して誘客を図らねばなりません。

 今後の鹿児島の観光にとっての課題を整理したいと思います。 日本人の人口が減少していくことから、国内旅行の大きな伸びは期待できず、各地域と も外国人の誘客が課題となっています。平成25年、県内の外国人宿泊客数は、約14万人で全体の4%程度に過ぎませんが、年々増加の傾向にあります。昨年日本への外国人の入り込み客数は、待望の1000万人を越え、東アジアを中心にタイやシンガポール、マレーシアなどASEAN諸国からの伸びが顕著となっています。(25年観光動向調査<サンプル調査>)

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 鹿児島県におけるインバウンドの実績は、台湾、韓国、香港、中国の順となっています。3月30日から香港便が就航し、海外が4路線となり、今後大幅な伸びが期待されます。先日JNTOのシンガポール事務所の加藤次長をお招きし「外国人観光客受入体制推進講習会」を開催しました。

 インバウンドに対する受入施設の関心も高まっています。各施設では多言語のホームページが必要になっていますが、少なくとも英語だけでも対応できるように準備を進めて欲しいと思います。

 海外からの誘客は、現地エージェントやランドオペレーターを介する場合が多くありますが、最近はインターネットで直接予約する人が急増しています。FITが主流となっており、ブロガー対策として有力メディアの招聘、鹿児島でのWiFiや外国語表記の充実が求められます。ミッションのあり方について再検討の必要性を感じます。

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 東日本大震災被災地での日本人の整然とした行動や支援の姿に、外国人は日本人のモラルの高さに驚嘆の声をあげました。また昨年日本食がユネスコの世界無形遺産に登録され、日本への旅行の関心が高まっており、今後のインバウンドに期待がかかります。 路線が増え、鹿児島からの海外旅行も身近なものとなり、若いうちから海外の文化を学ぶべく、修学旅行や少年の翼等研修の機会を増やすことが大切ではないかと思います。

 個人旅行が7割を占める中で、団体の集客が見込めるMICEへの取組強化が求められます。MICEのM(Meeting)はミーティングです。企業や団体が主催する各種の会議やセミナー、講演会などの開催は数日に及ぶこともあり、宿泊費や飲食代など経済的な効果も大きくなります。経済セミナーや著名人によるスキルアップ研修など、教育の機会として捉え多くの会議を誘致すべきです。

 I(Incentive)は、インセンティブです。企業が従業員や代理店等の売上や貢献度に応じて、実施する報奨旅行です。旅費、パーティ、ゴルフ等現地で消費される金額は大きく、数千名を超す規模のものもあります。車のディラー、外資系の保険会社、化粧品会社、女性の服飾チェーン等が定期的に実施しており、大型のリゾートホテルやゴルフ場が隣接していることは、誘致が可能となります。福岡市内での大会、会議の後のインセンティブの行き先として、鹿児島を提案しており、エージェントへのセールスを強化しています。

 C(Convention)は、コンベンションです。学術団体や業界団体の会議、国際会議と様々です。大都市圏では国際会議の誘致に力を注いでいます。昨年鹿児島市で開催された世界火山会議などがその例です。医学部系の大学がある都市では、各種の病理の研究学会が、また、経済関連の業種別大会、ロータリー、ライオンズクラブ等の組織団体、教育関連では、校長会、PTA、各教科等は、九州、全国大会が持ち回りで毎年必ず開かれています。  県都だけではなく地方での大会誘致が必要です。

 E(Exhibition / Event)は、エキシビションとイベントです。エキシビションは、出展者と来場者の商談を目的とした展示見本市や、数ヶ月に渡って開催されるエキスポや花の博覧会等があります。2011年県内各地で開かれた「都市緑化フェア」は成功事例です。

 イベントは全国規模のスポーツ大会があり、国体、インターハイ、各種競技、文化団体では、合唱コンクール、吹奏楽や来年開かれる「国民文化祭」等があり、大きな集客力が見込め、観光資源としては多くの人を集めるコンテンツにもなります。  指宿の「菜の花マラソン」や「菜の花マーチ」は、毎年2万人近くが集まる大会となっています。また、地域興しの手法として、地域の食材を活用した「Show ― 1グランプリ」など食のイベントも集客効果が見込めます。

 MICEは、広い分野に経済効果をもたらします。料飲、宿泊、輸送機関といった観光業者だけでなく、広告、印刷等イベント関連業者への波及効果がも大きくなります。現在、県内で開催されるMICEの多くは鹿児島市内に集中していますが、規模や業種によっては、指宿、霧島、鹿屋、薩摩川内市などで開催することも一つの方策です。 

 また、鹿児島の優位性を活かした自然遺産や宇宙科学等、離島で開催するのも参加者が増える要素にもなります。参加者が、大会後県内各地に足を運ぶことから、地域に関する情報発信がなされることも大きなPR効果をもたらします。鹿児島県は九州本島最南端にあり、温泉、食、火山、自然遺産、離島、歴史、宇宙科学等MICEの誘致には、魅力的な観光、研究素材が豊富です。積極的な誘致が求められます。

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 比較的順調に伸びている教育旅行の課題です。関西・中国地域から27年は集約臨時列車で7,000人の中学生が訪れます。農業・漁業体験を実施する学校が増加し、知覧の平和学習、桜島や霧島の火山・自然学習、鹿児島市の歴史探訪等が、優位性を発揮しています。

 県内全域に、約1000軒の農家民泊の供給が広がる中で、「簡易宿所営業」許可を取得している施設は15%程度にすぎず、学校側から「簡易宿所営業」取得が民泊先の条件として提示されると、鹿児島は、教育旅行の行先からはずされてしまい、既存の宿泊施設にも影響が及びます。

 他県では「簡易宿所営業」の許可を取る施設が増えており、ぜひ各地域でこの問題に取組むことが必須となっています。各自治体、NPO法人、エージェントと連携し早期の取組が望まれます。そのことが安定的に鹿児島へ教育旅行を誘致できる条件となります。

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 2015年には「明治日本の産業革命遺産 九州・山口及び関連地域」が、世界文化遺産に正式登録の準備が進められており、そのリストに「近代化産業遺産」の5箇所が入っています。明治維新150年周年と文化遺産の価値をセットでPRしなければなりません。そのことが近代日本を創りあげた薩摩の偉大さを世に示すこととなり、観光客誘致につながります。

 また、スポーツツーリズムの推進も急がれます。2020年には、東京オリンピックとパラリンピックの開催が決定しており、事前キャンプ誘致等もスタートします。特にバリアフリーに整備の重点を置き、他県との差別化を図ることが誘致のプラス効果をもたらします。

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 鹿児島県は南北600キロに及び魅力多彩な観光資源があります。「鹿児島市」、「霧島地域」、「指宿地域」から、いかに宿泊先を広げるかが問われています。今年は、ここ数年で一番厳しい1年になると想定しており、スピード感をもって諸課題に取り組まねばなりません。 


 最後に、今回のコラムが300回目となりました。これまでの叱咤激励に心から感謝申し上げます。これからも引き続き手厳しい批判をお寄せいただきますようよろしくお願いいたします。

          いにしへの 道を聞いても 唱えても
               わが行いに せすばかひなし
                          日新公(島津忠良) ~いろは歌~

地域情報を顧客にいかに届けるか~インターネット利用者80%時代を迎えて~

2014年2月17日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 先日、福岡市内のホテルにエージェント・マスコミ等70名を招き、県内19の自治体・関係団体によるランチミーティングを開催しました。各地域の新しい情報や商品企画の素材を提供し、鹿児島から持ち寄った食材のPRも行いました。


 今年の鹿児島の話題としては、4月2日に川内港から甑島へ、JR九州の観光列車生みの親である水戸岡鋭冶さんが設計された「高速船の運航」、7月20日にいちき串木野市羽島に「薩摩藩英国留学生記念館」のオープン、南さつま市では、5月2日から30日まで延長された「砂の祭典」の開催等が上げられます。

 また、2018年の明治維新150周年に向けた取組や、今後「旧集成館」事業等の世界文化遺産や「奄美・琉球」の世界自然遺産登録への話題等も提供しました。 エージェントのこれからの商品に反映されるものと思います。

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 県と観光連盟では毎年県内の自治体に呼びかけて、共同でエージェントへの説明会を開催してきました。関係者が一堂に会することから経費的にも安く上がり効果も大きいと判断しています。個人情報の管理が厳しくなり、個々によるエージェントの訪問も限られてきています。特にエージェントの企画担当者が集まることから、個別商談方式を行っており、人間関係作りにも役立ちその後のセールスやプレゼンがしやすくなります。

 各自治体の商品企画支援策については、エージェントは宣伝費用の補填や継続して商品を造ることができ重宝がられます。又全国的に販売する商品は半年先の情報が必要であり、担当者間の連携を図ることも大切と考えています。

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 ところで自治体や観光協会が、地域の宣伝をする手法として、○○大使を帯同し大都市圏の地下街等でパンフレットや名産品を通行人に配るなどしてPRするケースを見かけます。通行人がどっと押し寄せ、たちまちのうちに配布物がなくなります。関係者はパンフレットが何万部配布できたと喜んでいます。しかしその効果の程はどうでしょうか。地下街のトイレやくず箱に、パンフレットが捨てられていることがよくあります。

 単に景品もらいに集まり、何回も並ぶ人を見かけます。来訪につながるプレゼンが必要であり、地域の売りは何なのか、来訪したらどのような楽しみ方があるのか、周辺のアクセス等の説明が必要です。施設の割引クーポンや現地でしか入手できない特産品の購入抽選券等を配ることなども求められます。

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 せっかく○○大使等を連れて行くのであれば、マスコミ等を訪問して情報番組に出演し、地域の旬の情報をきちんと伝え、応募していただいた方に抽選で、宿泊券や特産品をプレゼントするなどその後の検証ができる方法が重要と考えます。


 消費者は、旅行先や宿泊施設の決定について何を参考にしているか、日本観光振興協会が毎年調査しているデータでみると、インターネットの活用、ガイドブック、パンフレットの情報、家族・友人の話と続いています。多くの資料を集めて、旅行に行って体験した人の口コミが最後の一押しとなっているように感じます。おもてなしの充実など旅先の印象が重要な要素となっています。

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 今インターネットによる情報収は当たり前となり、しかも家庭での活用が顕著となっています。総務省の調査によると、日本人の79.5%に当たる約9,652万人が、13歳~49歳では90%の人インターネットを活用しており、家庭での利用が1位となっています。

 24時間いつでも利用できることから、観光情報等の入手については自治体や観光協会、施設等のホームページが有効な情報源となっています。 シームレスにワンストップで検索できるホームページの充実が求められており、多言語化は必須になっています。 

 自治体の観光パンフレットは地域情報を網羅するため、多岐にわたりしかも多くのページを用いています。祭り、イベント、旬の花、食、紅葉等は、タイムリーにホームページで詳しく紹介していくことが重要です。特に歴史や地域文化を訪ねる人に対しては、カルチャーセンター、文化講座、生きがい大学など、趣味の団体に情報を発信することが効果をもたらすと思います。

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 また、自治体のパンフレットはわが町だけの位置を掲載しているものを多く見かけますが、県の中のどの位置にわが町があるのか、また、隣接する著名な市町村を一緒に示すことが不可欠です。最近高校の社会科の授業では地理を選択しない学校が増え、各県の位置がわからない学生が多いと、観光学部のある大学の先生が嘆いていました。初めて訪れる人にも市町村の位置を把握できるようにすることが大切です。

 エージェントの社員も添乗を経験することが少なく、現地事情に疎くなりがちです。企画や店頭社員の現地研修も欠かせません。海外からの誘客については、キーマンの招聘が求められます。

 一方観光客は、遠方から来る人ほど広域に回ります。自治体の宣伝は、広域の観光協議会を組織して活動することで効果があると思います。九州観光推進機構は定期的に大都市圏で、「九州は一つ」の合言葉で広域の宣伝活動を展開しており、一定の効果をあげています。大都市圏での知名度は、「北海道」、「沖縄」が圧倒的であり、まず九州を売り込み、その後は各県が競争して誘客に努めることが重要と思います。特に海外からの誘客には九州全体のイメージアップが必要です。

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 ここ3年程度で見ると、県内で観光地としての魅力度が高まっているところは、甑島、南九州市の番所鼻やタツノオトシゴハウス、釜蓋神社、垂水千本いちょう園、垂水漁協、加計呂麻島等です。共通していることは、いずれも地域の人が頑張っており、メディアに積極的に取り上げられていることです。

 地域の人々の協力を得て生活・文化に触れる機会を提供し、「直売店」や「農家レストラン」を活用するなど地域ならではの魅力発信に努めています。国内旅行が成熟している中で、地域の観光資源を売り出すには、より地域の物語性が求められています。

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 今、県内における宿泊客の7割は個人客です。九州新幹線全線開業に伴い、観光列車の運行や周遊バスの充実が図られています。自分たちの地域に来ていただき滞在させるためには、インターネットコミニュケーションの充実を図り、より細かい情報の発信も必要になっています。

 情報を顧客に届けるためには、費用対効果を検証することも大切です。いつどこで宣伝するのか、どの地域からお客を呼ぶのか、誰を対象とするのか、来ていただいたら何を見せて体験させるのか、どの媒体を活用するのか、もう一度自分の地域の宣伝手法を見直してみませんか。

参考:平成24年通信利用動向調査:総務省 

驚きの顧客満足度経営~待っても乗りたいタクシー会社、お客様が先、利益が後~

2014年2月10日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 九州新幹線が全線開業し、3月で4年目に入ります。25年の県の観光動向調査によると、年間の延宿泊者数は前年比0.7%増加となっています。特に外国人は前年比26.3%の増加とななっており、台湾線の就航や韓国からのゴルフ客が大幅に増加したことが要因の一つです。

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 県では、国内外から来られるお客様に対して、「鹿児島に来て良かった、そしてまた来てみたい」という印象を持っていただけるよう、県民一人一人が心を配り、「温かいおもてなし先進県鹿児島づくり」の実現に向けて「おもてなしセミナー」を開催してきました。今年はタクシー会社の経営者、乗務員を対象に接遇研修会を開催し、277名の参加者がありました。

  今回はお客様からの感謝の手紙が絶えず、優良運転手表彰を数多く受賞され、今年めでたく定年を迎えられた旭交通の稲満運転手の体験談と、さくらコミニュケーションズ の古川智子さんの「最高のおもてなしをするために 行えるようにしておかねばならない10のこと」と題しての実践を通した講習会でした。

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 稲満さんは日頃から地域の観光地を廻り勉強し、各種の試験も受けて資格を取る等自己研鑚に努めています。知覧の特攻記念館にある兵士の手記を暗記するため、奥様をお客様に見立てて何回も練習するなど涙ぐましい努力をされ、観光客に車内で披露されています。その一端を会場でも披露されました。

 特に近距離利用の客にもいやな顔をせず、「3分間で600円も払ってくださる大切なお客様」として真心を持って接しておられます。 また、自分はタクシードライバーとして、当然のことを自然体で日々行っており、そのことで表彰されることについて謙遜されていました。

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 古川さんは、永年東京の老舗企業に努めて、人材教育・教育研修講師を担当された経験に基づき、おもてなしの心の真髄を語っていただきました。おもてなしには、「身だしなみ」、「笑顔」、「一生懸命さ」、「やさしさ」、「感謝の心」が必要であると、実践を交えての講義は、参加者の誰一人として眠ることなく集中した内容でした。

 常におもてなしの心を持って顧客に接することがいかに重要であるか、リピーターづくりが企業の信頼度アップにも貢献していくことの大切さを知る機会となりました。お客様におもてなしの心を持って接することは、今の消費者にとっては当然の心理であり、次回利用するときに、たくさんある選択肢の中から選んでもらえるかの一つにすぎません。

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 「値段(もの)」を「価値(こと)」に変えて提供することが、「感動」をもたらします。それに必要な要素は人間の感性であり、これこそがホスピタリティです。一度の出会いで感動を提供し、リピーターになってもらうためには、積極的にお名前を笑顔で呼ぶことも大切です。徹底したサービス精神の姿が、口コミで伝わり多くの顧客を獲得することになります。

 長野市に「中央タクシー」という会社があります。車両数は100台あまりですが、売 り上げが約15億円で県下NO1、しかも地方で経営するタクシーの9割が赤字と言われる中、2012年度の経営利益は過去最高を記録しています。市内のタクシー会社はⅠ2社ありますが、「1日当たりの運行回数」や「1台当たり月間売上」で、他社を圧倒的に引き離しての1位です。たとえば1台当たりの月間売上で、中央タクシーは平均120万弱、他の11社の平均は60万円程で2倍も違うのです。

 この会社は、90%が予約客で埋まるほどのリピーターの信頼を得ていることが特徴で、会社の転機は、1998年に開催された長野オリンピックでした。他社はオリンピック特需を狙って、選手や報道各社優先に予約を受けていましたが、中央タクシーは従来からのお年寄り、病人、お得意さんを大事にし、オリンピック期間の特需に見向きもせず、従来の顧客を大事にしてきたのです。そのことがオリンピック後の不況時にも、従来の顧客が大きな支えとなり今の隆盛を築いています。

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 宇都宮恒久会長は、「仕事を通してお客様の人生を守るというのが、私どもの仕事と思っている。」「当社の仕事は、お客様をただA地点からB地点にお乗せするだけでなく、地域を楽しくするお手伝いです。」と語る言葉に、顧客を大事にする姿勢が表れています。

 経営理念の一部を紹介しますと、「私たちはお客さまにとって、いつまでもこのうえなく、なくてはならない人としてあり続け、この人がいてくれて本当に助かりますと、思わず涙とともに喜んでいただける。わが社はそんな人々によってのみ構成されている会社です。」とうたっています。従業員をまず大切にしている会社でもあります。

 中央タクシーには、接客マニュアルは存在せず、質の高いサービスを支えているのは、 従業員の仲の良さです。「社内の良い人間関係こそが、良いサービスを生み出す」としており、社員の切磋琢磨の行動がサービスに磨きをかけています。

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 また、ドライバーは皆、親切すぎるほど親切。高齢者にはさっと手を貸し、さりげなく 買い物袋を運び、雨の日には傘もさす。そして車内の会話を通して客の家族のことを気に かけ、300メートルという超近距離でも喜んで運行することを大切にしています。

 赤字知らずの会社ですから、本社は市内の一等地に建つと考える方が多いかもしれませ んが、中央タクシーは長野駅から30分、人里離れた山奥にあります。建物はプレハブ造 りで、洗車には井戸水を使用し、しかも無料というメリットを活かしています。

 ホスピタリティという感性を身につけるには、日常生活の中で日々実践していくことが 大切です。身の周りで誕生日やお祝い事等があったら、電話やメールで喜びを伝えることが、自分の中に感性を育てていく非常に大事な要素となっていきます。

 ホスピタリティへの取組強化は、経営者自ら実践することであり、会社本来の目的に立ち返り従業員の声に耳を傾けることが可能となります。そのことが、接遇のレベルアップをはかり、観光客を温かく迎える態勢の確立につながると考えています。

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 観光客の地域の最終的評価は、そこに住む「人の接遇」です。一度訪れた観光客が、こんな素晴らしいおもてなしを実践する従業員のいるタクシー会社が鹿児島にあったのかと、認識してもらうことが重要です。長野市の「中央タクシー」のように、今回の研修会がホスピタリティという感性を育て、各企業の発展につながるきっかけとなることを期待します。

参考:驚きの顧客満足経営で愛される長野の中央タクシーとはーNAVERまとめ

大島高校のセンバツ出場を祝す~全国に奄美群島の魅力を伝える機会に~

2014年2月3日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 鹿児島市内から南約380キロ位置する島が奄美大島です。島ではもう緋寒桜が咲き始め、九州本土より一足早く春の訪れを感じます。昨日の「第6回奄美観光桜マラソン」には、全国から1600人余りの参加者があり、ハイビスカスの花や、コバルトブルーの海に白波が打ち寄せる海岸沿いを、ランナーたちは地元の温かい声援に励まされながら走り抜けていきました。

 奄美群島は昨年12月25日に日本復帰60周年を迎えましたが、その節目を飾るのにふさわしいビッグな朗報が届きました。第86回選抜高校野球大会の21世紀枠として、硬式野球部ができて42年目になる大島高校が選ばれました。鹿児島の離島校としては初めてであり、数々のハンディを乗り越えての出場は全国的に話題になりそうです。昨年は大隅半島から初めて「尚志館高校」が選抜大会に出場し話題となりました。

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 鹿児島県からは九州代表5校の1校として「神村学園高校」も出場します。21世紀枠の選考基準は「部員不足や恵まれない環境の克服、文武両道の実践、清新の気風あふれたチーム、積極的な地域貢献活動など他の学校の模範となる学校」となっています。

 野球部員は日頃から地域貢献活動にも積極的に参加しています。2010年に奄美大島を襲った豪雨で大きな被害が発生しましたが、部員は復旧活動に尽力し、また近隣の海岸の清掃活動にも参加しています。

 大島高校は、離島というハンディがあり、鹿児島まで来るのに船で約12時間、試合ごとに前泊代、交通費等の経費がかかります。雨で試合が中止になると宿泊代が追加となるなど思いがけない出費も発生します。また、離島ということで練習試合をするにも学校が少なく、実践を積む機会も限られています。

 昭和46年、徳島県の山あいにある小さな公立高校が甲子園初出場ということで話題になりました。その池田高校は昭和49年の大会では、さわやかイレブンの名のごとく11名の部員で闘い、見事に準優勝しています。甲子園での大島高校の活躍が楽しみです。

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 奄美群島のある首長さんは、試合当日は大島高校の応援席が関西の奄美群島出身者で満員になるでしょうと語ってくれました。関西地域にある奄美群島の郷友会の活動は特に活発であり、各市町村単位で毎年ふるさと会を開いています。島唄や、太鼓や口笛を鳴らしながらの踊りは、奄美の出身者の絆の深さを感じます。その姿が見られるのが待ち遠しく思われます。


 ところで、関西地域への直接の交通機関は、飛行機が奄美空港から大阪空港へ一日一便(定員144席)と、船は神戸・大阪航路が週1便であり、島からの応援団の移動が課題です。試合決定日が間際となるため、鹿児島までの船の定期船と新幹線の利用、チャーター船等の手配が不可欠ですが、関西地域の奄美群島出身者が応援団の中心になるのではないでしょうか。

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 一方離島から初出場ということで、全国的に奄美群島をPRするチャンスです。今、「奄美・琉球」の世界自然遺産登録の準備が進められていますが、甲子園出場を機に、島民が一致団結するチャンスにし奄美群島の魅力を語ることも大切なことです。

2013年の奄美空港の乗降客利用状況によると、総乗降客数は55万6111人となり、前年比2万745人の増加となっています。本土復帰60周年効果も表れていると思いますが、全国的には奄美群島の位置や魅力については、十分知られていないのが実情です。

 甲子園球場では大きな旗やのぼり等での応援は規制されており、奄美群島の位置を印刷した応援のうちわを作り、スタンドで応援するのも一つです。 恒例となっていますが、広島県代表は、必勝と書いた宮島シャモジを持って応援しています。

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 昨年大隅半島から初めて出場した尚志館高校は1回戦を突破しました。大島高校も離島のハンディを乗り越えて、全国の離島の高校の皆さんに元気と勇気を与えて欲しいと思います。また一緒に出場する神村学園は甲子園ではなじみの学校となりました。中学校から学園で学んでいる生徒も多く活躍が期待されます。

 甲子園球場は新幹線の新神戸駅からも、50分の場所にあり鹿児島中央駅から日帰りもできます。今年の春休みは、甲子園球場に出かけて郷土チーム2校を応援しませんか。

   奄美の代表的島唄  「朝花節」より
       ハレーカナー 稀(ま)れ 稀れ 汝(な)きゃ拝(うが)でぃ
       (イチヤヌカラン ナマヌカランヨ)
       神ぬ引き合わせに ハレ 稀れ稀れ 汝きゃ拝でぃ

       「久しぶりにあなた方にお会いできて嬉しいです。
       神様のお引き合わせによって こうしてまたお会いできたのですね。」

スポーツツーリズムの推進を ~鹿児島ユナイテッドFCを支援しよう~

2014年1月27日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

    花の香を 風の便りに たぐへてぞ
                うぐいす誘ふ しるべには遣(や)る
                            紀友則~古今和歌集~

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 出水平野に越冬していたツルは17季節連続1万羽を超え、多くの観光客が訪れていますが、まもなく北帰行が始まります。また、今年の「指宿菜の花マラソン」には1万8千人余りが参加し、開聞山麓の黄色い絨毯を敷いたような満開の菜の花畑の中を、ランナー達が駆け抜けていきました。一方北国では大雪に見舞われ、厳しい寒さが続いています。南国鹿児島は春がそこまで来ています。

 プロ野球やプロサッカーのキャンプインが近づきました。今年はブラジルで「2014FIFAワールドカップ」が開催されます。日本チームも参加することから、6月12日から1ヶ月間テレビに釘付けとなる人が多くなるのではないかと思います。

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 日本チームの司令塔である遠藤保仁選手の激例会が、約850人の参加のもと盛大に開催されました。鹿児島市長やガンバ大阪の社長、県内外の後援会関係者等が激励の言葉を送り、JIリーグやワールドカップでの活躍に期待を寄せました。


 ところで、将来のプロサッカーリーグ(Jリーグ)加盟をめざし、2つの地元のクラブが合併して「鹿児島ユナイテッドFC」が誕生しました。クラブ名については、「連合・合併」という意味に加えて、薩摩・大隅の両半島を含む鹿児島県民全体で協力してチームを盛り上げていくことや、県内外の鹿児島を愛する人々の団結力が込められています。

 統合クラブは昨年のJFL理事会で、JFLの入会が承認され、ホームスタジアムは、「鹿児島県立鴨池陸上競技場」となっています。これからJ3、J2、そしてJ1を目指すことになります。

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 高校サッカーにおいては、鹿児島実業、神村学園、城西高校等が全国大会で活躍してきました。また、前園、遠藤兄弟、城、大迫選手等多くの優秀な選手を輩出してきましたが、ほとんどが県外に本拠地を置くチームに所属しています。プロサッカー選手を目指す若者には、地元での活躍の場がなかっただけに、今度のチーム誕生は大きな励みとなります。また、県民も郷土チームの応援に熱が入ると思います。

 プロリーグの開催試合は、ホームとアウェーで半分ずつ行われるため、アウェーチームの来鹿の際はサポーターも宿泊するため、宿泊、飲食等大きな経済効果をもたらします。 鹿児島に来たサポーターを温かく迎え、鹿児島ならではのおもてなしで歓迎しなければ なりません。鹿児島中央駅前の「かごっまふるさと屋台村」は、試合終了後のたまり場になるのではないかと思います。また、関連グッズの販売も欠かせません。

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 今年のサッカーのキャンプは、宮崎県で23チーム、県内では韓国のチームを含めて12チームが、鹿児島市、霧島市、指宿市、薩摩川内市、南さつま市、さつま町でキャンプを張ります。J1リーグの清水エスパルス、浦和レッドダイヤモンズ、柏レイソルや、J2のジュビロ磐田、京都サンガF・C、は永年にわたり県内でキャンプを張っており、多くのサポーターも訪れます。

 プロの選手はキャンプ期間中練習だけでなく、キャンプ地の住民との交流会や野球・サッカー教室等を開くなど交流を深めています。そのことが人気に拍車をかけています。県内でキャンプしているサッカーチームには、郷土出身者も在籍しています。 球場に親子で出かけて、日ごろはなかなかできない貴重なふれあいを深め、サッカーファンになって欲しいと思います。

 ところで今年のプロ野球のキャンプは、沖縄県で11チーム、宮崎県が5チームと両県に集中しています。キャンプチームが集中していることは、練習試合にも都合がよく、開幕に向けての調整もしやすい環境にあります。

 県内では薩摩川内市で、千葉ロッテマリーンズのファームが、鹿児島市で韓国のロッテジャイアンツがキャンプを張ります。練習場に恵まれ、温泉があること、市民あげての温かいおもてなしが定着していることも、鹿児島が選ばれている理由ではないでしょうか。

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 キャンプ地として選ばれることは、選手の宿泊だけでなく多くの応援ツアー、取材陣が訪れます。キャンプ地レポートとして毎日地域のことが全国に放送されることから、観光地としての知名度アップにもなります。2013年の沖縄県におけるプロキャンプによる、関係者、マスコミの取材、ファンの訪問者等宿泊、飲食施設の利用等その経済効果は81億円と推定しています。(りゅうぎん総合研究所試算)

 今回「鹿児島ユナイテッドFC」が誕生しましたが、有力スポンサーを核に県民からの寄付も募り、支援体制を確立することが重要です。ファンクラブの創設による応援団の確保も不可欠です。

 最期に2020年に東京オリンピック開催が決定し、事前キャンプ誘致や大会後の観光客誘致にも力を注がねばなりません。オリンピックは夏に開かれるため、体調を慣らす意味では、鹿児島は事前キャンプを行うには適地と思います。情報発信や人材の活用等オリンピックの対応窓口も求められます。同じ年に鹿児島国体も開催され話題も豊富です。

 鹿児島県は冬場の気候は温暖で、温泉も県内各地にあり、また、豊富な食材、飛行機や新幹線等交通アクセスも格段に整備されキャンプ誘致の条件も整っています。 今回のプロサッカーチーム誕生をまちづくりや交流人口の拡大につなげ、スポーツツーリズムの推進になお一層努めたいものです。   

感動・感激をもたらすおもてなしとは~加賀屋の流儀に学ぶ~  

2014年1月20日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 北陸の能登半島は冬場は厳しい寒さにさらされ、観光客も少なくなります。その玄関口にある七尾湾に面し、温泉旅館が立ち並ぶ場所が全国有数の高級温泉街と知られる和倉温泉です。

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 その中でも旅館「加賀屋」は、「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」(旅行新聞社主催)の総合部門で、34年間第1位の表彰を受けている日本を代表する旅館の一つです。ちなみに、指宿温泉のホテル秀水園が料理部門で30連覇しています。

 加賀屋は客室数248、総宿泊客室定員が1450人、年間宿泊者は約22万人、客室稼働率は70~80%であり、それを従業員650人で支えています。徹底したサービス精神の姿が、口コミで伝わり多くの顧客の支持を得ています。2010年には、台湾に「加賀屋 北投」をオープンしています。

 加賀屋は、建物、客室、浴場、オープンスペースともすばらしい造りとなっていますが、企業理念として「笑顔で気働き」を掲げ、おもてなしのサービスを最大の商品として位置づけ、宿泊者に対しそこで働く従業員で最高のおもてなしを提供することを目指しています。女将がすべての客室に出向いて挨拶するなどトップ自らおもてなしを実践しています。 

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 お客様の来館の目的を事前に察知すれば、可能な限りそれに沿ったサービスを提供しています。還暦の旅行と知れば、赤い帽子や服装の準備を、法事の等に関する旅行では、亡くなったひとのために陰膳を準備します。期待を超えるサービスを、お客様から言われる前に提供して行くことを徹底しているのが加賀屋の流儀です。

 また、過去に宿泊した顧客のデータベース化を進め、サービス提供につなげています。人は自分の名前を呼ばれた時に、その存在を認められたものとして、喜びを感じるものですが、一度の出会いで感動を提供し、リピーターになってもらうため、積極的に相手の名前と顔を知ることにも努めています。

 寝床の枕の硬さの具合、薬を常用される方の部屋には、氷無しの水だけのポット、アレルギーの有無、食事の好き嫌い等事前のチエックを十分行っています。

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 お客様が到着してお部屋に案内するまでの間に、館内の説明や翌日の予定を聞き的確な方法でサービスを提供できるよう心がけています。体の不自由な方が、翌日の指定券が取れていない場合は、乗車予定の列車の席を確保する為、前の駅まで職員が行きそこで自由席に座り、「和倉温泉駅」で交代してその席に座らせる努力も惜しまないといいます。

 「お客様の思い」を具体的な「こと」に変えて提供することが、「価格」を超えた「感動」を生みます。それは人の行動であり、これこそがホスピタリティです。

 和風旅館で高品質のおもてなしを機械化することは難しいことです。加賀屋では、料理の運搬等の機械化を進め、客室係がお客様にサービスを提供する時間をできるだけ長く確保できるよう改善を図っています。そのことで盛り付けの崩れや食器等の破損も少なくなるなどの効果も生まれています。

 従業員の定着や子供の教育環境改善にも努めており、企業内保育所の設置や母子家庭の社宅も併設されています。そのことが客室係にとっては、おもてなしに専念できる精神的な支えとなっています。

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 加賀屋では、誰がやっても同じサービスを提供できる仕組みづくりや、経験豊かな客室係が、新しく入ってきた客室係に伝承していくことなど社員教育にも日頃から取組んでいます。年間3万通のアンケートを分析し、指摘された課題は速やかに対応し、お褒めの言葉は掲示するようにして、すべての従業員が共有できるようにしています。

 また、従業員の仕事の効率化をすすめ、チェックアウト時は人手が要るため、フロント や売店やコーヒーショップ等へ作業の支援を行っています。人をお送りするとき細かい配慮がなされています。

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 顧客への「満足」が創り出すものは、次回の宿泊先として、たくさんある選択肢の一つに残してもらえることです。サービスに接する時、お客様はこれまでの体験から事前期待を持ちます。この期待を超えた時に、感動が生まれます。 加賀屋の従業員一人ひとりが、感動・感激を与えるサービスを提供するんだという自信と誇りを持っていることが、施設への信用と人気となっていると感じます。


 ところで、大手情報誌リクルート社「じゃらん宿泊旅行調査2013」の調査によると、鹿児島県の観光地としての総合評価は、沖縄県に次いで2位、おもてなし好感度は第4位となっています。鹿児島弁でおの出迎え、新茶とふるさとの駄菓子によるおもてなし、野に自然に咲く花をお部屋に飾る、火山灰の入った灰皿を置く、見送りは車が見えなくなるまで手を振る等鹿児島らしい優しい対応が求められます。

 観光客の地域の最終的評価は、そこに住む「人」です。一度訪れた観光客が、リピーターとなり、居住してみたいと思わせる環境づくりも必要です。

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 鹿児島県では、観光客を温かく迎える「観光まごころ県民運動」を展開しています。しかしながら企業によって取組みに差があり、十分徹底してないところもあります。 「司馬遷」の「史記」の中に「桃李もの言わざれども 下自ずから渓を成す」という言葉があります。信頼される施設への努力を日頃から全従業員で取組む必要性を感じます。  企業経営における顧客に対するおもてなしの姿勢が問われます。

 日本の和食が、昨年ユネスコの世界の無形文化遺産に登録されました。日本旅館での「おもてなし」が今以上に国内外から注目されています。アベノミクス効果も徐々に表れており、宿泊単価の上昇も見られるようになり、高品質を売りとする宿泊施設の稼働が顕著となっています。

 日本は成熟社会を迎え、モノの豊かさより心の豊かさが求められる時代となっています。 加賀屋のおもてなしに学ぶべきことが多いのではないでしょうか。

          参考:「最強のサービス」の教科書 内藤耕 講談社現代新書

焼酎文化でおもてなしの提供~焼酎の消費拡大につなげよう~

2014年1月14日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 1月も半ばとなり、開聞山麓は菜の花が見ごろを迎え、観光客の目を楽しませています。年明けの各種会合では、焼酎での宴会が例年になく話題となったのではないでしょうか。焼酎は鹿児島県の特産品であり、平成22年度の本県製造品の出荷額としては、配合肥料、部分肉(冷凍肉含む)に次いで第3位で、約1,260億円となっています。

 また、焼酎は製造に従事する製造業者が、特定の企業の独占状態ではなく、全県的に分布していることが他県との違いです。また、原料生産者(農家)、酒販業、料飲業等関連産業が多い産業です。

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 第一次産業として、さつまいも、米、さとうきびの活用、第2次産業として、包装資材、燃料、飼料製造、第3次産業としては、運送業、宿泊施設、料飲店、酒販店等多くの分野に経済効果をもたらしています。本県の農産物を加工・販売を行うという農商工等連携のモデルと位置づけられています。

 県内の焼酎蔵元数は111あり、銘柄は1000種類を超え、さつまいもを主原料とする「薩摩焼酎」と、奄美群島に限って製造が認められている「奄美黒糖焼酎」があります。出荷量については、本格焼酎ブームがおきた平成18年度が最高となり、1升瓶換算で約1億2千万本相当となっていましたが、その後減少し平成24年度では、1億本相当(18年比84%)となっています。焼酎の販売を維持・拡大していくためには、県内産のさつま芋の安定的確保が不可欠です。

 ところで観光庁では、昨年「酒蔵ツーリズム推進協議会Ⓡ」を設立し、日本の伝統的酒である日本酒をPRし販売拡大につなげるとともに、酒蔵を観光資源として地域の活性化に活かす取組を推進しています。時あたかも、日本の伝統的な和食文化が認められ、ユネスコの無形文化遺産への登録が決定しました。外国人の入込客が1,000万人を超えたこともあり、日本酒文化を定着させる良い機会が訪れたと思います。

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 全国的に「日本酒での乾杯」をすすめる条例の施行が相次いでおり、すでに京都市を皮切りに9市町と佐賀県で成立しています。県内では、いちき串木野市が「焼酎で乾杯」条例をつくり、地元焼酎での乾杯の習慣を広めようと、市や業者、市民が協力して取り組んでいます。

 鹿児島県議会は昨年のⅠ2月の議会で、特産品の焼酎の普及を目指し、県外からの来客を焼酎でもてなすことを求めた「かごしま本格焼酎の産業振興と焼酎文化おもてなし県民条例」を全会一致で可決し、今年の1月1日から施行されました。条例に規定する取組等が強制とならないよう「個人の嗜好と意思を尊重する」ことも明記されており、また、乾杯だけにこだわらず焼酎によるおもてなしに努めることを盛り込んでいます。

 特産品の焼酎の普及を目指し、県外からの来客を焼酎でおもてなしすることを目的に、需要拡大、鹿児島のイメージアップにもつなげる必要があります。 販路拡大や認知度向上の取組としては、「ボージョレヌーボー」の解禁日がメディアで大々的に宣伝され国民にも定着しています。

 「新酒まつり」や「本格焼酎の日」、「黒糖焼酎の夕べ」、「焼酎ソムリエのイベント」等を開催することで、新たな需要開拓が可能となります。他の業界では『バレンタインデー』や『ホワイトデー』等の事例が需要拡大につながっています。

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 一方観光客や県外客に対し新商品開発やおいしい飲み方の提案が欠かせません。度数の低い焼酎、口当たりまろやかな飲物、スパークリング、季節(夏用、冬用)や食材(肉料理、魚料理)、場所(ビヤホール、結婚式、法事)等にあった焼酎の提供も求められます。

 また、時間をかけて寝かせる前割、お茶割、水割、ロック割、お湯との配分を変える割り方等原料の味を失わない中で、飲み方の工夫や伝授が必要です。目盛りのついたグラスを用意することも喜ばれます。

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 外国人観光客が急増する中で、飲食時に焼酎を提供しファンになっていただき、PR効果をもたらす取組が必要です。焼酎は蒸留酒であり、ワイン好きの外国人には親しみやすい飲みものではないかと思います。原料や製造法について書かれた外国語表記のパンフも欠かせません。

 観光地のルート上にある蔵元を訪ねるツアーを提案し、焼酎づくりの体験や購入予約をパッケージにした旅行商品の企画も求められます。記念品として、ラベルにオンリーワンの工夫をしたマイボトルを作ることをお勧めします。

 薩摩の焼酎造りは、明治時代薩摩半島の風光明媚な笠沙の地で、3人の若者が焼酎造りの技術を伝え、黒瀬の集落にまたたく間に広がり、彼らは季節になると九州一円の酒造に出稼ぎにおもむき杜氏、蔵子として腕をふるったと言われています。「杜氏の里笠沙」に行くとその歴史を学ぶことができます。鹿児島の経済を支えている焼酎を、県外客にもっと広める意味でも、おもてなしの視点で、焼酎文化を作り上げることが重要です。

 ところで、子供の頃正月や祭りの宴席で大人たちが、木の棒を手に隠して、面白い言葉で数当てをし、焼酎を楽しく飲みながら親睦を図っている光景がよく見られました。南九州に古くから伝わる「なんこ遊び」です。

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 なんこは対戦する二人が向き合い、固い樫の木でつくられた10センチ程度のなんこ珠を3本後ろ手に隠して持ち、その何本かを右手に移して畳の上(なんこ盤)に突き出し、合計数を予想して言い、互いに手を開いて持っている本数を見せ合い、勝ち負けを決める遊びです。負けた方が、事前に盃に盛られた焼酎を飲むことになります。

 手つきでなんこ棒を出す姿は滑稽であり、仲間の笑いを誘います。次から次に選手が交代し、座は一変に盛り上がっていき、焼酎の量も増えていきます。又外国人に教えると、手のしぐさや数字の言い方になど伝統的日本文化の遊び方に興味を示します。

 焼酎の需要が足踏みしている中で、なんこ遊びを定着させ焼酎の新たな楽しみ方を提供し、おもてなしの一環として焼酎のファンを開拓して売り上げにつなげたい思いがあります。又、特産品の薩摩焼の一つである「黒じょか」に焼酎を入れ盃につぐという伝統的飲み方を教えることで、お土産としてセットで買ってもらうことにもつながります。

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 なんこは漢字では「南交」と書き、南方と交易が盛んであった薩摩藩が取引の祭、接待の一つとして活用した高尚な遊びと言われています。県外の方がみえた時、なんこ遊びを教えることで交流も深まり、思い出に残ります。 鹿児島の伝統的遊びである「なんこ遊び」を復活させ、焼酎文化の復活に一躍を担いたいものです。

 かごしまの固有の歴史、伝統、自然が育んだ地域の食文化を保護・継承し発展させていくことも重要なことです。県内のいたるところに焼酎の蔵元が点在しており、今回の「かごしま本格焼酎の産業振興と焼酎文化おもてなし県民条例」の制定を機に、食と一緒に地域ならではのおもてなしを提供したいものです。
 参考:かごしま本格焼酎の産業振興と焼酎文化でおもてなし県民条例の制定について

2014年を果敢に戦い抜こう ~足元を見つめ自ら行動する年に~

2014年1月6日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 明けましておめでとうございます。年末年始は最大で9連休となり、1泊以上の旅行に出かけた人は、過去最高の旅行者数となったのではないでしょうか。近隣の温泉地で正月を過された方も多いのではないですか。


 今年の干支は「午」で、動物にあてはめると馬になります。十二支の7番目、午の刻は、昼の12時およびその前後2時間のことで、そのため昼の12時を「正午」といい、「午前」「午後」という言葉が生まれました。

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 日本では、初詣や受験前に「絵馬」に願い事を書いて奉納します。神様が乗る神馬を奉納する習わしが、馬の絵を描いて代用する「絵馬」の由来です。 今年は、怒涛の如く走りだす馬にあやかり、年初からスピード感を持って対処していくことが求められます。

 アベノミクス効果等で日本経済は、ゆるやかな回復基調にあり、個人消費も伸びています。また、円安効果でインバウンドが好調で、昨年の12月20日念願の1000万人を達成しました。

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 ところで日本経済は、4月に消費税が8%に上がることから、3月までは駆け込み需要で多くの分野で拡大が望めますが、その後は買い控えなどの動きが顕著となり、レジャー等への支出は減速しかねません。

 また、世界中が1カ月間熱狂する「2014FIFAワールドカップ」が、6月12日から7月13日までブラジルで開催されます。4年に一度のサッカーの祭典には、日本チームも参加することから、その期間中は国内旅行に出かける人が少なくなることが、前回大会でも示されています。

 日本経済が回復傾向にあることから、政府も様々な施策を推進し、消費税アップに伴う経済減速の歯止めに期待しているところです。昨年後半から国内旅行の回復基調が見られるのは明るい話題です。和食がユネスコの世界の無形文化遺産に登録されたことも、日本食の価値を高めています。

 今年の取組について触れたいと思います。まず県民が県内の魅力を知り、県外の方々に自らPRできることが重要であることから、域内観光の販促にも力を注ぎます。 県と観光連盟では次の3つの施策を展開します。
 ①主要観光地域(指宿・霧島・鹿児島)発の広域観光周遊ルートの整備
 ②源泉数全国2位を誇る本県温泉地の優位性を生かした温泉地めぐりルートの整備
 ③鹿児島のNO1の観光素材である桜島の再評価と眺望スポットめぐりルートの整備
  を中心にPRの強化と受入体制の充実も図っていきたいと考えています。  

 県内の話題としては、4月2日から川内港から甑島(里、長浜)へ高速船の運行が開始 されます。JR九州の観光列車を手掛けた水戸岡氏のデザインによるものです。

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 初夏に「ニシノハマカンゾウ」が黄色い花を咲かせると、その後を追うように薄紅色の「カノコユリ」が草原一体に咲き乱れ、甘い香りを漂わせます。テレビドラマ「Drコトー」や、椋鳩十の小説「孤島の野犬」ゆかりの島が脚光を浴びると思います。


 次に「吹上浜砂の祭典」が従来のGW期間中から、5月2日~31日まで会期が延長さ れて開催されます。連休中はバスが渋滞に巻き込まれる懸念があることから、エージェントがツアー企画を渋っていましたが、平日の企画が可能となり、バスツアー等の企画が多くなることが想定され、周辺の観光地、宿泊地は新たな需要が発生します。

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 7月20日には薩摩藩英国留学生記念館がオープンします。近代日本の若き原動力とな った薩摩人の偉業を学ぶことができる施設で、教育旅行には最適な施設であり、一日遠足や修学旅行誘致の目玉にしなければなりません。また、留学生にちなんだ飲料やグッズ等の開発も求められます。甑島とセットでコースが組めるのではないでしょうか。

 3月16日は、霧島国立公園が指定80年周年を迎えます。日本で初めての国立公園で あり、様々な誘客対策が計画されています。えびの高原一帯のトレッキングや韓国岳登山、変化した新燃岳の姿等、登山愛好者だけでなく、外国人、霧島温泉の連泊対策としてぜひ PRしていただきたい。周辺の人吉市、えびの市、曽於市、都城市との連携も不可欠です。

 地域の隠れた観光素材の商品化には、エージェントと自治体との連携が欠かせません。着地型観光については、「鹿児島県旅行業協同組合」が「魅旅」のネーミングで商品化に努めており、地域の活性化に寄与しています。今後も積極的な支援体制が地域への交流人口の拡大や人材育成に繫がると考えています。地域は素材を提供し、主要観光地からの誘客を働きかけて欲しい。

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 離島については、FDAやJACを活用し、オンラインのない空港からのチャーター便を増やし、時間的短縮を図ることで旅費の割高感を払しょくできると思います。また、時間にゆとりのある熟年層には豪華な船旅を、若者には夏の美しい海や大学のゼミのフィールドとして売り込まねばなりません。

 種子島の宇宙基地、屋久島の世界自然遺産、「奄美・琉球」の世界自然遺産を目指す取組等が、離島の魅力を引き出すことになります。

 鹿児島市は、日本を代表する都市型観光の魅力を備えた街で、歴史、自然、温泉に加え、食の魅力が観光客の滞在を可能にしています。県都として県内全域を見据えた観光振興策が重要であり、県内各地域の魅力が増すことが結果として鹿児島市に宿泊することになります。アクセスや大会設備の充実等を活かし、MICEの積極的誘致も不可欠です。

 2015年には「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」が、世界文化遺産に正式登録の準備が進められており、そのリストに「近代化産業遺産」の5箇所が入っています。明治維新150周年と文化遺産の価値をセットでPRしなければなりません。

 大都市圏からの若者層を誘客すべく、体験を主とした現地研修を進めてきました。今年は具体的に商品造成し誘客する年です。若者に共感されるパワースポット、貴重な動植物の生態系、ストーリー性のある旅、マリンスポーツなどゼミの教材にも使える情報等の提供が、九州本島最南端の県に向かわせるきっかけになると思います。

スポーツキャンプ6.jpg

 スポーツツーリズムの推進も求められます。スポーツ合宿は「さんふらわあ」の活用で大隅地域が特に増加しています。昨年県内3箇所で、韓国のプロ野球チームが秋季キャンプを張りました。今後はサッカーのキャンプ誘致も必要であり、プロが使用できるサッカー場として整備することで、温暖な気候と宿泊施設の充実がそれを可能にします。

 温泉地指宿は野球場の整備を急ぎ、プロ野球のキャンプ誘致が不可欠です。2020年には、東京オリンピック開催が決定しており、事前キャンプ誘致等もスタートします。

教育旅行(桜島).jpg

 今年も比較的順調に伸びるのが教育旅行です。関西地域から集約臨時列車で6,000人の中学生が訪れます。農業・漁業体験を実施する学校が増加し、知覧の平和学習、桜島や霧島の火山・自然学習、鹿児島市の歴史探訪等が、優位性を発揮しています。県内全域に、約1000軒の農家民泊の供給が広がる中で、「簡易宿所営業」の取得を強力に進めていかねばなりません。

 キャンペーンの中心は、今年も最大のマーケットである関東地域や、身近に来ることができる福岡地区でのPRに努めていくことが得策と考えます。東京線は航空機の供給量が多く、商品企画が容易であり、MICEが誘致しやすいことも上げられます。

外国人の後ろ姿.jpg

 今後日本の人口は確実に減少することから、外国人観光客の誘致は欠かせません。イン バウンドについては上海線の利用促進やソウル線の夏場の搭乗率アップ、台湾線は宮崎線が週3便となり両県で7便体制となり、職場旅行や教育旅行の誘客対策が必要になっています。    

 特に上海線については、上海からの誘客が課題であり、現地エージェントの招聘と企画 商品造成支援、現地でのPR体制の強化が、鹿児島の認知度を高めることになります。またFITが主流となってきており、ブロガー対策や有力メディアの招聘、鹿児島でのWiFiや外国語表記の充実が求められます。ビザ解禁で観光客が急増しているタイ、マレーシア等ASEAN諸国からの誘客態勢の整備も必要です。

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 WEB販売が急激に伸びる中で、情報化社会に対応できる新たな需要吸収の仕組みづくが必要となっています。楽天やじゃらん等とタイアップし、旬の情報提供が欠かせません。また、インターネットの普及で可視化が進む中、コンプライアンスの向上と迅速・正確な情報提供が求められます。

 今年は土曜日を入れた3連休以上が8回あり、旅行需要を喚起する取組を各機関自ら早目に展開することが必要です。春は、卒業式や入社式等の歓送迎会、GWのファミリー対策、夏は納涼や滞在型企画、秋は熟年旅行や企業のインセンティブ、冬は慰労会や忘・新年企画と早目の季節感あふれる企画が必要です。周辺市町村の祭りや、花、食、伝統行事等を組み込んだ、生活・文化の香りがする商品企画が求められています。

 鹿児島県は南北600キロに及び魅力多彩な観光資源があります。これからは、県民が足元の魅力を知り、住んでいる街を誇りに思うことが「おもてなしの心」につながります。厳しい1年になりますが、スピードをもって果敢に挑戦する気概で取り組まねばなりません。2014年が皆様にとって素晴らしい年になりますよう心からお祈りいたします。

  新しき 年の初めの 初春の
              今日降る雪の いやしけ吉事(よごと)
                             ~大伴家持~ 万葉集  


2013年を振り返る~地域連携の取組が始まる~

2013年12月24日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 今年も1週間余りとなりました。日本経済はアベノミクス効果等もあり、少しずつではありますが回復基調にあるのではないでしょうか。日経平均株価が久しぶりに1万5千円を超え、個人消費の拡大が観光業界にも好影響を与えています。また円安効果も寄与して、インバウンドが好調であり外国人の入込客は念願の1000万人に達することが確実視されています。

東京スカイツリー .jpg

 大きな周年行事や大河ドラマの舞台は、日本列島の東がメインとなった年でした。 東京ディズニーランドが開業30周年を迎えて、新しいアトラクションが次々に導入され、1年を通して賑いました。大人から子供まで幅広く人気が定着し、入場者数は、2,000万人を超え過去最高が予想されています。また1昨年オープンした「東京スカイツリー」効果も続き、富士山が「世界文化遺産」に登録されたこともあり、東京周辺の観光地は盛況の1年でした。

   今年のNHKの大河ドラマは「八重の桜」で、戊辰戦争では銃を持って勇敢に戦い、後に同志社大学の創始者新島襄と結婚した「新島八重」が主人公でした。前半は会津若松、後半は京都が舞台となりましたが、関連する地域には多くの観光客が訪れました。あらためて大河ドラマ放映の効果が示されています。東日本大震災で大きな被害を受けた東北地域は、官民挙げての取組が成果を上げ観光客が戻りつつあります。

西郷隆盛銅像2.jpg

 県では官民あげて27年の大河ドラマに誘致に努力しましたが、長州が舞台となる「花燃ゆ」に決定しました。「八重の桜」には西郷隆盛や大山巌等薩摩ゆかりの人物が登場し、幕末における薩摩藩の影響力の強さを感じました。

 「花燃ゆ」は吉田松陰の妹が主人公で、幕末の動乱期の物語ですが、薩長同盟の関係もあり観光面では、プラスになると思います。28年の大河ドラマ誘致に向けて官民挙げての動きがスタートしました。粘り強い誘致活動を展開していきたいと思います。  

 三重県の伊勢神宮では、20年に一度の式年遷宮が開かれ、近年のパワースポットブームが追い風となり、予想をはるかに上回る約1300万人が訪れました。また出雲大社も式年の行事が行われ、周辺の玉造温泉や松江地域の宿泊施設は、連日満員という盛況でした。

 このように日本列島の東に話題が多かった中で、九州新幹線開業3年目を迎えた鹿児島の現状はどうだったでしょうか。宿泊人員でみると、5月から9月までは前年を超え、大きなイベントがない中、頑張っている地域の取組が実績としてあらわれています。宿泊施設では、高額商品の販売が好調となっています。日本食が、ユネスコの世界無形文化遺産に登録され、日本旅館の良さが再認識された年であったと思います。

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 3月から「おれんじ食堂」が運行し、エージェントの企画や台湾、韓国の観光客に大好評でした。10月からは「ななつ星イン九州」の豪華観光列車も運行され、霧島温泉地域が宿泊地に選ばれ話題となりました。沿線のおもてなしも話題となり、来年の6月出発分までは予約が埋まるほどの人気です。

 2014年4月には、川内港から甑島に高速船が運行予定です。JR九州の観光列車を手掛ける水戸岡悦治さんのデザインによるもので、甑島への来島者が一段と増えるものと思われます。

佐多岬01.jpg

 九州本土最南端の佐多岬への道路が無料化され、また老朽化した施設の撤去などが進み、昨年1年間の1,5倍の観光客が訪れています。(10月末現在)大隅地域は、交通の不便さや宿泊施設が少ないこともあり、旅行商品化やPRが課題となっていました。今年から指宿地域と連携したルートづくりを進めています。

 第一次産業を活用した教育旅行への「民泊」の推進や、「さんふらわあ」を利用したスポーツ合宿が伸びています。「鹿屋航空基地史料館」は、新たな学習先として人気が高まっています。

 霧島地域は新燃岳の噴火が落ち着き、温泉地としての魅力が復活してきました。霧島は「九州オルレ」の認定コースとなり、韓国からのウオーカーも増加しています。ホテルの従業員自ら山に登り、コースを確認するなど地域を学ぶ取組も始まりました。

霧島温泉2.jpg

 南薩地域では、「釜蓋神社」、「番所鼻公園」、「タツノオトシゴハウス」が脚光を浴びています。「茶寿会」を中心に、お茶を観光に活かす取組を始めており、温泉地指宿と連携したさらなる活動が期待されます。枕崎や坊津等を組み込んだ着地型商品の定着がかぎとなります。

 世界で一番美しいロケット基地のある種子島へは、「SSH」(スーパーサイエンスハイスクール)の修学旅行が、「世界自然遺産登録20周年」を迎えた屋久島では、縄文杉登山に加えて新たに里を廻るツアーが商品化され、オフ時期の誘致強化になるのではないかと思います

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 奄美群島は本土復帰60周年を迎え、また、「琉球・奄美」が世界自然遺産の暫定リストに記載されました。今後国立公園の指定を経て、2016年の登録に向けて環境整備が進むものと思います。

 着地型観光の推進については、「鹿児島県旅行業協同組合」が「魅旅」のネーミングで各地域の隠れた観光素材を商品化に努めています。今後も積極的な支援体制が地域の活性化と人材育成に繫がると考えています。

 九州新幹線全線開業による時間短縮効果もあり、関西地域から修学旅行専用の集約臨時列車を利用して、5,200人の中学生が訪れました。初めて鹿児島を訪れる学校が多く、農業・漁業体験や知覧での平和学習、鹿児島市内の歴史散策等鹿児島が誇る体験メニューが優位性を発揮しています。また、県内全域に、約1000軒の農家民泊の供給が広がる中で、学校の信頼を得る意味でも「簡易宿所営業」の取得を強力に進めていかねばなりません。

 若者層の誘客を進めるべく「鹿児島カレッジ」を展開し、エージェントの商品化を推進しました。柏木由紀さんをモデルにした鹿児島の観光PRが若者に共感を与え、パワースポット、食、マリンスポーツ等の認知度が高まっており、息の長い情報発信が必要になっています。

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 ターゲット先としては、最大のマーケットである首都圏での誘客をさらに強化していくことが得策と考えます。東京線はJAL.ANA,スカイマーク、ソラシドエア等航空機の供給量が多く、商品企画が容易であり、また、修学旅行やインセンティブの仕向地としても選択肢が広がります。

 ところで日本人の国内旅行は成熟しており、大きな伸びは期待できず、加えて日本の人口減少による経済規模縮小は明らかであり、アジアの時代における鹿児島県の将来の発展の基盤づくりとして、地理的優位性を活用した交通ネットワークの拡大が求められており、海外との交流人口の拡大は不可欠です。

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 上海は大きな経済成長が見込まれる環黄海地域の主要都市の一つです。南に開かれたアジアの玄関口として、上海はその中心に位置し、また、鹿児島県と同緯度にあり、100分程度で行けることからも、益々重要な都市となります。中国東方航空の上海線利用率アップが課題となっています。

 上海での鹿児島の魅力を紹介するメディアの出稿を増やす取組や、上海経由の東アジアへの商品企画の充実等官民挙げての支援が必要であり、相互交流が重要です。

 一方、台湾線については、宮崎便が3便となり、両県でデーリー化され、福岡とも連携した新たなコースの設定が可能となりました。修学旅行や職場旅行など安定的な需要開拓が必要です。

 ソウル線は12月22日から3月2日までデーリー化されますが、ゴルフ客や富裕層を中心に誘客に努め、年間のデーリー化が必要です。秋には韓国のプロ野球3球団が、鹿児島市、日置市、薩摩川内市で1カ月間秋季キャンプを張りました。延約5,000人が宿泊し経済効果は1億円を上回ると想定されます。地理的に近く、温暖な気候をPRしてキャンプ地定着に努めなければなりません。

 香港へは定期便はありませんが、ブロックチャーター等の取組で今年も多くの観光客が訪れました。また、シンガポール、タイ、マレーシア等ASEAN諸国へのアプローチも求められています。

鹿児島県観光サイト「本物。の旅かごしま」トップ画面.jpg

 インターネットやスマホを活用したWEB販売等の急速な進展に伴い、情報発信力の強化を図り、新たな需要層の獲得が不可欠です。県のホームページには毎日約6,000件のアクセスがあります。英語、韓国語、中国語「簡体字、繁体字」の4カ国語の対応も行っており、観光連盟に専門の担当者を配置し、観光地、歴史、アクセス、施設、イベント、食等の情報提供を行っています。また各自治体と連携を強化し、解りやすくシームレスな対応ができるよう改善に努めているところです。

 県のキャラクター「ぐりぶー」の動きも活発になっています。県民にどんどん利用され、国内外での宣伝のチャンスを増やすことが重要です。

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 ところで、「明治日本の産業革命遺産 九州・山口その関連地域」が、世界遺産の国内候補地に選ばれ、2年後の世界文化遺産の登録を目指しています。薩摩藩が始めた「集成館事業」は後に日本が飛躍的な近代化を果たす大きな原動力になりました。「日本近代化の原点は鹿児島にあり」と世界の人々に伝えることが、県民としての誇りであり永続的な誘客につながると考えます。

 鹿児島県は南北600キロに及び魅力多彩な観光資源があり、域内観光も推進しなければなりません。観光客は、地域に残る行事、祭り、花、地元の人が食べる食材や居酒屋、田舎流のおもてなし、地域で輝いている人等に魅力を感じます。

 住民が地域の魅力を知りPRできることが、何回も訪れたくなる施設・地域になることにつながります。リピーターを増やすことが何よりも大切です。「観光立県」の確立には、県民一人ひとりの「おもてなし」が不可欠です。

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 最後に今年も毎週コラムをお届けでき、292回目となりました。叱咤激励をいただき感謝申し上げます。来年の干支は「午」です。怒涛の如く駆け抜ける馬のようにスタートから頑張りたいものです。よいお年をお迎えください。

田舎の自然の魅力にひかれる旅 ~地域資源を活かした広域観光の推進を~

2013年12月16日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

霧島温泉郷(昼).JPG

 鹿児島を代表する宿泊地といえば、霧島、鹿児島、指宿があげられます。平成24年の宿泊人員で見ると全体の64%がこの3地域に泊っています。最近は連泊も増加しており、この3地域を基点に周辺の観光地に足を伸ばしているのではないでしょうか。

 他の地域は観光素材はあるものの宿泊施設が少ないために、昼間の交流人口を増やす努力が必要であり、3地域はそこと連携して宿泊者を創出することが求められています。

 県と観光連盟ではこれまで拠点地域間のルートづくりや特性を活かした観光地づくりに努めてきましたが、主要地域からの複数の広域観光周遊コースの整備が必要になっています。各地域は拠点地域からの誘客を図るため、地域素材の商品化やPR戦略が重要となってきており、観光素材の発掘や人材育成も求められています。

 今回は、霧島発広域観光周遊ルート(北大隅地域)のモニターツアーを実施し、霧島地域のホテル従業員、姶良・伊佐地域振興局、大隅地域振興局、霧島市、曽於市、県、観光連盟から45名の参加者がありました。

大川原峡2.jpg

 今回のモニターツアーの対象となった曽於市の財部地域の魅力について触れたいと思います。財部町はJRの駅が3箇所あり、また鹿児島空港から90分、都城インターチェンジが近くにあり交通アクセスは便利な環境にあります。


 清流の森「大川原峡」は奇岩と清流が織りなす渓谷が2キロにも及びます。水しぶきや冷気が顔を洗い、川面に映る森林を堪能しながら、トレッキングが楽しめます。

 また「全国遊歩百選の森」に認定されている「悠久の森」は、片道3,5キロの川岸をエコガイドさんの説明を受けながら、珍しい植物の生態系にふれることができます。「今後永久に木を伐採せず、子孫に引き継ぐこと」を曽於市では条例で定めています。

 毎年11月には「悠久の森ウオーキング大会」が開催され多くのウオーカーが訪れます。近くの「大川原駅」に特急電車も臨時停車します。

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 もみじの植栽に力を注いでおり、数年後には1万本を超える森となり、垂水市の「千本いちょう」と並んで、大隅地域の2大紅葉の地になるのではないでしょうか。  今後森の中には、植物の説明書以外の看板は一切なくして、自然の姿を守っていかねばなりません。

 キャンプ場管理事務所から5分の場所に「桐原の滝」があります。水しぶきをあげて流れ落ちる滝は爽快であり、周辺には春は菜の花、夏はひまわり、秋は紅葉、冬は椿の花が咲き、青い水とのコントラストが見事です。CMの撮影場所にも選ばれました。

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 車で10分の場所には霧島ジオパークのジオサイトのひとつ「三連轟」や縄文人が住んだ遺跡が残る「溝ノ口洞穴」があります。道路の幅が狭いので、離合や案内標識に注意しなければなりません。 



 少子高齢化が進み疲弊していく地域が多い中で、財部地域には元気な集落「中谷地区」の存在があげられます。宮崎県境にある山林に囲まれた水田地帯にあり、人口300人余りの限界集落ですが、地域ぐるみで地域活性化に取り組んでいます。

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 これまで知事賞や農林水産大臣賞、「共生・協働のむらづくり表彰」を受賞しています。平成22年7月、地区を記録的な豪雨が襲い、一夜にして多くの農道や道路が泥や流木等で埋め尽くされる大きな被害を受けました。


 しかし地区の団結の強さは災害にも負けず、「中谷地区むらづくり委員会」を中心に、用水路の整備や彼岸花の植栽を行うなど住民一丸となって復興に取り組み、ほぼ元通りの姿となりました。今美しい緑と水に恵まれた中谷地区の村おこしが注目されています。

 そのひとつに「ふるさとを思いやる会ゴッタン倶楽部」の取組があります。ゴッタンは、旧薩摩藩の領域だった鹿児島と宮崎の一部に古くから伝わる民俗楽器で、板三味線や箱三味線とも呼ばれています。

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 今回中谷公民館で、倶楽部の皆さんが、ゴッタンの音色を奏でて我々を歓迎してくれました。懇談会ではゴッタンの講習会も開かれ、手取り足とりの指導に参加者は皆さん大感激、踊りまで始まりました。出張も可能ということで宿泊ホテルで演奏する機会をつくっていただければと思います。

 霧島地域の宿泊施設に、ゴッタンの説明書や観光パンフレットを置くのも一つの方策です。ボランティアということですが、交通費や一定の出演料を収受することで、後継者の育成やスキルアップにつながるのではないでしょうか。

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 県境にある「関之尾の滝」には天然記念物の甌穴があり、滝とともに周辺の紅葉も見応えがあります。大川原峡、悠久の森、桐原の滝、三連轟、溝ノ口洞穴と続く、ルートづくりには欠かせない観光地です。


 今回の研修で感じたことは下記の点です。
 今回の参加者は、財部方面は初めての方が大半であり、身近にある観光地を関係者が知らないという現実にふれ、PRや現地研修の大切さをまず感じました。また、国道やJRの駅から大川原峡に至る案内板や渓谷の整備が必要です。散在しているゴミや、飲食施設の撤去を急がねばなりません。

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 次に悠久の森については、入口からの距離の表示、中間地点に自然にマッチしたトイレの設置、携帯がつながらない為緊急用の電話があれば、安心してウオーキングができるのではないでしょうか。また桐原の滝や溝ノ口洞穴に至る道路は、マイクロバスでも離合が厳しく案内表示が求められます。

 美しい自然が残る「悠久の森」一帯の魅力を県民もほとんど知らないのが実情です。交通手段はレンタカーやマイカーがメインとなりますが、行程や周辺の物産館の紹介も不可欠です。

 最近の観光客は安全・安心の食材を求めて、地域の直売所に立ち寄るケースが多く、顔の見える商品の品揃えが大切です。今回訪ねた「きらら館」はアクセスが便利な場所にあり、さらなる充実が求められます。

 最後に、財部地域は中谷地区をはじめ農業の盛んな地域です。団結の強さをグリーツーリズムに活かし、教育旅行の受け入れ態勢づくりが求められます。地区全体で一つの学校の受入が可能であり、ゴッタンのおもてなしも感動するのではないでしょうか。

 ゴッタンの講習会をしている公民館横のグランドでは、老人たちが大きな声を出しながらグランドゴルフに講じていました。いつまでも元気で明るい地域であってほしいと願って一首。

       里山の柿や紅葉は色づきて
                 ゴッタンの音(ね)に明日を思えり
                                      ~英光~

身近な場所に貴重な観光資源が~かごしまの石橋文化を訪ねる~

2013年12月9日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 

楓 橋 夜 泊  張継

月 落 烏 啼 霜 満 天
江 風 漁 火 対 愁 眠
姑 蘇 城 外 寒 山 寺
夜 半 鐘 声 到 客 船

 楓橋の近くに泊めた船の中で休んでいたが、チラチラする漁火に照らされた赤いもみじが眼にしみる。寒山寺から真夜中を告げる鐘の音が船まで届いてきた。何ともいえない旅愁をそそる旅人の心を歌にしたものです。

寒山寺2.jpg

 東洋の「ベネチア」と呼ばれる蘇州は、江蘇省の東南部、長江下流のデルタ地帯に位置する江南地方を代表する都市です。蘇州の旧市街から西に約5キロの場所にあるのが、「楓橋夜泊」に歌われている寒山寺です。蘇州は水郷を中心として発展し、いたるところに小さな石橋がかけられていますが、有名なのが江村橋とこの楓橋です。

 上海から1時間半の位置にある蘇州市の寒山寺は、大晦日の除夜の鐘で良く知られており、年末年始多くの日本人が訪れます。また、世界遺産で中国四大名園の一つ「拙政園」やイタリアのピサの斜塔と並び称せられる「虎丘」、冬の味覚「上海蟹」も有名です。鹿児島からの上海便を利用してぜひお気軽にお出かけください。

 ところで中国では隋~唐の時代からアーチ式石橋が独自に発展します。7世紀初め架橋された河北省の安斉橋には、洗練された意匠と高度な技術が使われています。

 また、北京市の南西約15Kmの場所に「盧溝橋」がありますが、マルコポーロが「東方見聞録」の中で「世界中どこを探しても匹敵するものはないほどの見事さ」と書いた橋です。「日中戦争」の発端となった衝突事件が発生した場所で、源頼朝が征夷大将軍に任命された1192年に架橋されています。今では観光地として多くの人が訪れます。

 鹿児島でも江戸時代に造られた石橋を見ることができます。 石橋記念館展示解説書 鹿児島城下と五石橋によると「近世鹿児島の城下町は、鶴丸城を中心に整備され、文政9年(1826年)には人口が約7万2千人達し、名古屋、金沢と並ぶ有数の都市になります。

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 しかし、西から南へ城下を囲むように流れる甲突川はたびたび氾濫する暴れ川でした。天保9年(1838年)の氾濫を契機に、新上橋から下流の河川工事が行われ、合わせて4つの木橋を石橋に架け替え、さらに玉江橋が新しく架けられます。


 石工は肥後(熊本)から招かれた岩永三五郎で、4キロメートルの区間に5つの長大石橋が架かる城下町が誕生することになったのです。架橋に至る経緯が書かれています。

 その五つの石橋は、創建以来150年余の間、鹿児島市内の街々を結ぶ重要な橋として利用されてきました。しかし平成5年8月6日の集中豪雨で2つの橋(新上橋と武之橋)が流失したことから、残された3つの橋(玉江橋、高麗橋、西田橋)を貴重な文化遺産として後世に残すことになりました。5石橋の歴史や架橋技術を伝える「石橋記念館」が整備され、石橋記念公園として平成12年にオープンしました。

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 かつて薩摩藩主が参勤交代で通行した西田橋は、石橋記念公園に、また、高麗橋と玉江橋は隣接の祇園之洲公園に移設されました。特に城下の玄関口にあった西田橋は、欄干の擬宝珠や扇状の石積みなど薩摩藩の威厳を示す豪華な橋として造られています。

 NHKの大河ドラマ「篤姫」では、江戸に興入れの際の一行の行列シーンが撮影されました。アーチ越しに眺める桜島の絶景はすばらしく、旅番組や映画のロケもよく行われています。橋の下の「水の流れ」は、水道水が循環されており、子供たちの格好の遊び場として提供されています。一日遠足や家族連れで弁当を広げているシーンを見かけます。

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 石橋記念公園では、全国的にめずらしい子供ガイドが活躍しています。授業の合間に勉強を重ね、休日には観光客にガイドを行っており、大好評を博しています。子供の頃から地域の歴史に親しみ、おもてなしの心を習得することは観光鹿児島にとって大変ありがたいことです。

 その努力に対し心から敬意を表したいと思います。資料館も公園も無料開放となっており、皆様もぜひ石橋記念公園を訪れて鹿児島の石橋文化を学び、公園から見る桜島の雄大さを確認してください。

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 石橋記念公園の周辺には多賀山公園、仙巌園、水族館、桜島桟橋、ドルフィンポート等など散策コースとして楽しめるスポットが点在しています。一方では、鹿児島駅を基点に、海岸線等の整備も急がれます。


 また、磯地域の5つの近代化遺産群が、2015年世界文化遺産への正式登録を目指しています。2018年は明治維新150周年の節目の年を迎えます。これからイベントの開催も多くなりますが、身近にあるすばらしい歴史遺産や観光施設を訪ねて、鹿児島の先人たちの偉業とその価値を確かめ、国内外に発信することが求められているのではないでしょうか。

参考:鹿児島県立石橋記念公園 鹿児島県発行

「第6回かごしま観光人材育成塾」を開催~おもてなしの極意は人の感動にあり~ 

2013年12月2日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 今年もカレンダーが1枚となり、街角にはジングルベルの音が賑やかな季節となりました。年末年始は日並びが良く、観光関連業界の方にとっては明るい話題ですが、おもてなしの心を持って対応したいものです。

 県内の観光の概況は、宿泊客数で見ると5月から前年を越えて、9月までは前年をクリアーしており高止まりで推移している状況です。今年は奄美群島日本復帰60周年、屋久島世界自然登録から20年、イプシロンの打ち上げ成功や佐多岬の無料化等による大隅地域への観光客の増加、関西、中国地域からの修学旅行専用列車の運行による教育旅行の増加、インバウンドの好調等に支えられています。

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 また、「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連施設」が、ユネスコの世界文化遺産への推薦が決定し、2015年に正式登録を目指しています。県内には5つの遺産群がありますが、県民がその価値を認識し、明治日本の原動力になった薩摩藩の偉業を世界にPRして行かねばなりません。

 ところで日本の人口はこれから減り続け、少子高齢化が顕著となり、鹿児島県では30年後には、約40万人減少します。地域の活性化には交流人口の拡大が不可欠であり、観光振興による地域づくり・観光地づくりが求められています。

 観光客誘致には、地域素材の商品化やPR戦略が不可欠であり、人材育成も欠かせません。その手法を学ぶ一つとして、今年も「第6回かごしま観光人材育成塾」を開催しました。従来の2日間全講座受講から、希望の講座だけでも受講できるように変更したこともあり、過去最高の86名の参加者がありました。

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 今年の講義の主眼は、明治維新150周年を5年後に控えて、かごしまの魅力をどのようにPRし、誘客に繋げていくかでした。 全国的に話題となっているJR九州の列車「ななつ星in九州」の取組や、観光振興に特に力を入れている薩摩川内市の観光客受入態勢づくり、誘客に欠かせないおもてなしの心の極意等について学ぶ7つの講座を開催しました。



 まず、県観光課の森対策監が「鹿児島の観光の現状と佐多岬の今後の展望について」、5月から宿泊観光客が増加している現状や、外国人誘致の重要性についての説明がありました。九州本島最南端の佐多岬については、無料化以降前年の2倍近い観光客が訪れている現状や今後の開発・整備についての概要の報告がありました。

 特に最南端佐多岬への入込客を増やすことが、大隅地域だけではなく、薩摩半島の活性化につながるとの指摘がありました。かつての賑わいが復活すべくこれからの整備が楽しみです。

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 第1講座は、霧島山上ホテル営業支配人の内山竹文氏が「まちの駅ネットワークを活かした地域づくり」について講演しました。
 まちの駅は、「みちの駅」に比べて認知度は低いものの、設置数は138駅にもなり、今では観光を強く意識した取組も行っています。「休憩」、「案内」、「交流」、「連携」のルールのもと、観光客が迷った時に何でも相談できる「よろず相談所」の役割も果たしています。

 地域コミュニティの活性化のために「ストリートピアノ」を11台寄贈するなど、社会奉仕にも取り組んでいます。また、「まちゼミ商店塾」を開催し、人と人、そして経済が循環する活動等まちづくりに取り組んでいます。200の駅づくり取組むという力強い発表もありました。県内全域のネットワークを活かし、地域産品の販売や観光PRなど大きく飛躍できる仕組みが出来上がりつつあると感じます。

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 第2講座は、有限会社 オフィスフィールド代表 砂田光紀氏が、「★鹿児島ななつ星プラン★民官チームで描く最良の観光未来像」として鹿児島をどのようにデザインしていくか」について講演しました。砂田氏は、来年いちき串木野市にオープンする「薩摩藩英国留学生記念館」を手掛けており、1865年の旅立ちを思い出させるそのコンセプトについて詳しく語りました。

 また、観光が「地域を開き発展の一助となり、定住促進につながり雇用や生きがいを生み出す。住民とっても快適な豊かな生活がそこにあることが求められる。デザインが観光の真の価値をもたらす」と携わる人の周辺や立ち振る舞いが問われると厳しい注文を付けました。海外の街並や伝統的文化財を例に「古きを守り、新しきを拒まず」の姿勢を貫くことが大切であると説いていました。

 仙厳園地域一帯の「近代化遺産群」、が世界文化遺産に推薦することが決定した今、都市と地方の未来像と「鹿児島ならでは観光」の創出について考えさせられる講演でした。

 第3講座は、山口県観光連盟の専務理事松井邦昭氏による「薩長連携による観光振興と紙芝居を通した地域づくり」でした。薩摩と長州は明治維新に深く関わり、また観光客誘致においても連携した取組を推進しています。

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 紙芝居への取組は、平成20年から始まりイベントへの参画、ボランティア活動を通じての地域振興に役立てています。また、紙芝居を通じて高齢者の生きがいや社会参加の促進等幅広い波及効果が表れています。


 現在我々の日常生活における娯楽は、テレビや映画、ゲームなど一方向のメディアです。紙芝居は読み手と観客の双方向のメディアであり、特に人間的な温かさが必要であり、そこに詠み手の演技力も問われますが、松井専務の演じる姿は、プロ顔負けの演技でした。鹿児島でも各地に残る民話を紙芝居に変えて伝えるのも一つの方策ではないかと思います。  

 第4講座は、JR九州のクルーズトレイン本部次長の仲義雄氏が、『JR九州の地域づくり戦略「ななつ星in九州」』について講演しました。

 10月15日からスタートした列車は、3泊4日コースの最高金額が55万円もする豪華な旅ですが、来春6月の出発分までは完売となっています。なぜ今この豪華列車に人気が集まるのか、JR九州の熱い想いが語られました。

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 唐池社長と水戸岡デザイナーの二人三脚での一流・本物へのこだわり、車内で使われている調度品の選択にも熟慮を重ね、微塵の妥協も許さない姿勢が随所に見られます。九州という地を売るため、ターゲットはヨーロッパの客層であり、そのことが九州各県のPRにつながるという壮大な考えが、ななつ星の魅力を作り上げていると感じました。

 ななつ星の構想発表以来、メディア効果は100億円を超え、製造コスト33億円の3倍以上となっています。社員教育に1年を重ねるなど、おもてなしの心にも細心の注意を払う姿勢にも感激しました。今後どのように進化していくのか夢多い列車です。

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 第5講座は、観光ネットワーク奄美の水間忠秀氏が、「奄美のエコツアーの歩みと世界遺産登録に向けた取組」について講演しました。奄美群島は、特異な動植物群の生態系が保護されていることから、本年2月「世界遺産暫定一覧表」に「奄美・琉球」を記載することが決定しました。

 水間さんは日頃から、観光客に美しい奄美の自然の姿を案内しながら、動植物の保護に努めています。自然と観光が共生することの大切さを強く訴えており、小さな虫一匹も轢かないように車の運転にも気をつけている姿勢が講義の中で感じられました。世界遺産登録に向けて今後の活動が楽しみであり、県民ももっと奄美の自然の美しさを学んで欲しいと思います。

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 第6講座は、「薩摩川内市のシティセールス~観光による地元盛り上げ作戦」と題して、薩摩川内市の古川英利氏が講演しました。薩摩川内市は九州新幹線の終着駅一つ前の駅であり、全線開業後も苦戦が予想されていました。


 地域の活性化には交流人口の拡大が不可欠であり、周辺の観光資源の磨き上げと商品化が必要と考え、着地型観光の推進(きゃんぱくの開催)、甑島の商品化、観光人材の発掘、観光協会と特産協会が合併した株式会社の設立、高速船の運行(24年春予定)等新しい取組を次々に推進しています。地域サポーターが4300人を超え、住民を動かし地域を愛する人が育っていることが薩摩川内市の強みです。

 これといった観光の目玉がない中で、地域をいかに盛り上げるかの取組がひしひしと伝わってくる講義内容でした。自治体からの参加した人にとって良い研修の場になったと思います。

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 第7地講座は、「おもてなしの極意」と題してのトークショーでした。旭交通のドライバーで、顧客から多くの礼状が寄せられている稲満和明氏と、JTBの顧客満足度90点以上を13年連続受賞している城山観光ホテルで、フロント業務を担当している西田朱里さんです。お二人とも常におもてなしの心を持って顧客に接しており、企業の信頼度アップにも貢献しています。

 稲満さんは日頃から地域の観光地を廻り勉強し、各種の試験も受けて資格を取る等自己研鑚に努めています。知覧の特攻記念館にある兵士の手記を暗記して、車中で観光客に語る等涙ぐましい努力をされています。その一端を会場でも披露されました。 また、自分はタクシードライバーとして、当然のことを自然に日々行っており、そのことで評価されることについて謙遜されていました。

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 西田さんは、忙しいフロント業務でもいつも笑顔を絶やさず、外国語の会話や業務知識の習得に勤しんでいます。クレームへの的確な対応処理、帰路につく外国人に対して航空券の手配等献身的に対応し、感謝の礼状が届くなどおもてなしの達人でいらっしゃいます。二人とも常に満足を超えた感動・感激を提供しています。このような従業員が増えて欲しいと願うばかりです。

   今回の講師の方々はそれぞれの部署で活躍され、経験とそれに裏打ちされた話は、皆さんの心を捉え、これからの業務に必ず役立つものと信じます。 地域づくりには、人材の育成が重要と考えています。今まで人材育成塾を受講した方の多くが、それぞれの地域で頑張っていることは、鹿児島の観光にとって大きな財産となっています。

   2014年には「薩摩藩英国留学生記念館」のオープン、甑島航路への水戸岡氏デザインによる観光高速船の運航、2015年には「国民文化祭」の開催、2016年は薩長同盟、霧島への坂本龍馬新婚旅行から150年と続きます。 そして2018年が明治維新150周年の節目の年になります。それぞれ節目の年でイベントが予定されています。

 この講座を受講された方々が、地域でのイベントに積極的に参画し地域活性化に取り組んでいただけたら幸いです。来年の参加もお待ちしています。

第30回国民文化祭・かごしま2015の開催の意義とは~文化を県民の身近なものに近づける好機に~

2013年11月25日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 甲斐の守護大名であり、軍旗に「風林火山」の文字を掲げ「甲斐の虎」の異名を取った武田信玄(晴信)は、領国経営に優れた戦略家といわれています。

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 「甘柿も渋柿も、ともに育てよ」、「渋柿は渋柿として使え、継木をして甘くすることなど小細工である。」、「晴信の弓矢は欲の為でなく、民百姓を安楽にするためだと民に知らせれば、わしが軍を進めるのを待ち望むようになる。」、「人は城、人は石垣、人は掘、情けは見方、仇は敵なり」等多くの名言を残しており、現在でも通用する組織運営や人身掌握の術を語っています。

 甲府駅前には高さ3.1mの台座の上に、同じ高さの信玄侯の銅像が鎮座しており、像は川中島の戦いの陣中における姿を模したものといわれ名将にふさわしい堂々とした姿です。

 その山梨県で「第28回国民文化祭・やまなし2013」文化まるごとフェスティバルが開催され、第30回鹿児島大会の参考にするため視察に出かけました。富士山が世界文化遺産に正式に登録されたこともあり、夏は観光を兼ねた参加者が多かったと関係者が語ってくれました。

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 県立図書館会場で開催された茶道の祭典には、多くの県民が訪れており、日本古来の文化に親しんでいるようでした。隣の会場では華道の31の流派の作品の展示がされており、足を止めて静かに観賞しているご婦人方を多く見かけました。


 また、初めての経験でしたが、公益財団法人「お香の会」による香木の香りを聞く会に参加しました。香二種四包を聞き、各々の聞きに応じて名目を書き添える優雅な香の世界に浸る遊びです。  次の歌が証歌となっています。

        秋風の 吹きあけにたてる 白菊は
                花かあらぬか 波の寄するか
                          ~古今集 菅原道真~

 めったに体験できない伝統文化ですが、「公益社団法人お香の会」の事務局長は鹿児島の大会にも参加したいと意欲を語ってくれました。鹿児島での再会が楽しみです。

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 秋のステージ総合フェスティバル閉会式は、富士吉田市で開催され、大会の裏方で活躍した県民やボランティア団体、次期開催県秋田県の関係者の姿がそこにあり、富士山のモチーフやナマハゲに扮した人物も登場し印象的なフィナーレでした。


 来年の開催県に大会旗が引き継がれ、10ヶ月にわたる大会の幕が下ろされました。 来年の秋田での閉会式では鹿児島大会を印象付け、参加したくなる余韻を残す演出が必要ではないかと思いました。

 鹿児島大会の意義は、県民一人ひとりが先人が創り上げてきた誇るべき鹿児島の風土や文化芸術に触れ親しむなかで、我々が「違い」に寛容で、進取と含羞の心を併せ持つ「鹿児島県民」であることへの誇りを共有し、再認識することです。

 また、県、国境を越えた地域や人々との連携交流などから生まれる新たな文化芸術の創造や脈々と受け継がれてきた伝統的な文化芸術の価値や重要性を尊重しつつ、未来へと繋ぐ契機となるような国民文化祭にしたいとしています。(大会要綱から抜粋)

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 開催期間は、
(1)主催事業 2015年 10月31日(土)~11月15日(日)[16日間 ]
(2)協賛事業 2015年  7月 ~ 11月 [5か月間 ]です。
 テーマは、「本物。鹿児島県」~文化維新は黒潮に乗って~で、  愛称は、「ひっとべ!かごしま国文祭」となっています。

 県内全ての43市町村で何らかの文化イベントが開催されることから、地域での国民文化祭への関心を高めることが第一です。各自治体ではすでに実行委員会がスタートしていますが、来年の秋田大会には関係者が参加し、多くの来訪者の誘致につなげてもらいたい。

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 ところで文化イベントは、集客が難しい大会です。そのためには、地域の自然や文化、 周辺の観光地などを定期的に所属団体にPRするなど情報発信力が問われます。さらに、参加者との事前の接点を増やす努力や「お茶一杯の心」、「お客様に手を振る」等地域のおもてなし醸成の機運を高めていかねばなりません。

 鹿児島大会は離島でも各イベントが開催されることから、大会スローガンにある黒潮に乗ってのイメージを大切にしたいと思います。県内には28の有人の離島がありますが、それぞれ独特の文化や風土があり、観光を兼ねて多くの大会参加者が島に行くことが考えられます。世界自然遺産、ロケット基地、島唄、美しいサンゴ礁の魅力等が旅情を誘います。

 また、2015年は、「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」が世界遺産登録を目指しています。鹿児島の近代化産業遺産が5つ含まれており、関心を集めることになります。国民文化祭において、薩摩藩が日本の近代化に貢献したストーリーを発信し、その価値を知るいいチャンスにしなければなりません。

 教育の現場でも、地域の文化を知る機会を増やし郷土愛を育てるきっかけにしてほしいと思います。開催まで県民の関心をいかに引き寄せることができるかが問われています。

地域を知ることの大切さ~故郷の山に登りかごしまの魅力を体感しよう~

2013年11月18日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 霧島市の牧園町にある霧島ホテルでは、従業員有志によるトレッキング部が発足し、火口湖めぐりや韓国岳登山、大浪の池めぐりを実施しました。部員は現在15名で、フロント、客室、調理、警備等管内の多くの部署から集まっており、職員の結束とホテルのPR強化につながると信じます。

 霧島に住みながら初めての登山の方もおり、今後宿泊客に対し積極的な情報伝達ができるのではないでしょうか。特に若い職員には山歩きの注意点やコースの特徴など自らの足で体験できたことは、大きな収穫と思います。 霧島には温泉の魅力に惹かれた観光客が大半ですが、連泊して楽しんでいただくには、職員自らが霧島山の季節ごとの魅力を知り、それらの魅力を職員自らの言葉で語ることが大切です。

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 また、観光客は施設の魅力ではなく、地域の魅力に惹かれます。職場などで、観光客を温かくお迎えする心を醸成するなど、地域総力戦で取り組む必要があります。来られた方々が、「また来たい」と感じられる魅力ある地域であり続けることが大切です。霧島ホテルの動きが霧島地域全体に広がる取組になることを期待します。

 リピーター創りには強力なリーダーシップのもと、人材育成も欠かせません。なお一層のサービス態勢づくりが必要であり、日頃と変わらないおもてなしが何よりも求められています。

 一方、宿泊施設に恵まれた鹿児島市、霧島地域、指宿地域から、周辺地域に観光客を広げることができるかが、鹿児島への観光客の安定的確保につながると信じます。 誘客活動は激化しており、常に新しい感動に出会えるというワクワクする情報を提供し ていく必要があります。

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 観光客が求めているものは、地域のオンリーワンの情報です。「今だけ、ここだけ、あなただけ」の情報をタイムリーに届けて行くことが重要です。生産者が運営している直売店や居酒屋など地域を感じる店等、「本物。鹿児島県」の魅力を積極的に提供することが求められています。

 県のホームページを英語、韓国語、中国語(簡体語、繁体語)の表示にしていますが、 海外からのアクセスもかなり増加しています。バナーを増やすなどワンストップで検索でき、シームレスな情報提供に向けて努力していきたいと思います。

 毎年2,000万人を超える入場者数を誇る東京ディズニーランド(TDL)は、リピーター率が、2回以上で98%と驚異的な数字となっています。社員、アルバイトが同じ気持ちで、入場者(ゲスト)に対し「おもてなしの心」をもって接しています。常に社員教育に力を注いでおり、「子供とは同じ目線で話をする」、「トイレは子供が遊べる状態に掃除を徹底する」、「誰に尋ねても園内のことは答えることができる」等サービスに対する徹底がなされています。来園者に常に感動を与える姿が支持を得ています。

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 県と観光連盟では観光関連業界の皆様を対象に、「おもてなしの心」を徹底すべく研修会を定期的に実施してきました。サービスの改善に努めている機関も多くありますが、クレームが発生しているのも事実です。乗客に名前を名乗り、挨拶を励行し評判の良かったタクシー会社が、最近では挨拶もしない運転手が多くなっているのが気になります。 「観光立県」の確立には、県民一人ひとりの「おもてなし」が不可欠です。

 鹿児島県は南北600キロメートルに及び、鹿児島市から大阪市までの距離になり、また、有人の離島が28あるなど観光資源は豊富です。子どもたちは学校を卒業すると県外の大学や企業に就職する生徒が多く、ふるさとを離れてしまいます。生まれた土地の魅力をできるだけ多く吸収して旅立ち、県外でのPR役を務めて欲しいと願っています。

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 ところで鹿児島県の人口は、1956年(昭和31年)には210万人でしたが、2010年(平成22年)の国勢調査によると、約170万人となっています。これからも人口は減少し、2030年には145万人になると予想され、25万人も減少します。 これからは交流人口の拡大は地域活性化に欠かせない取組です。

 地域に行くと、自分の町には観光客が来るような魅力はありませんと、そっけなく語る人が多いのは残念なことです。日本人の国内旅行は成熟しており、温泉地で豪遊し、名勝旧跡を主とする観光客は減少しています。観光客は、地域に残る行事、祭り、神社・仏閣、地元の人が食べる食材や居酒屋、田舎流のおもてなし、地域で輝いている人等に魅力を感じます。住民が地域を知ることにもっと力を注ぎたいものです

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 新規顧客の開拓には、リピーターを確保するより大きなエネルギーと時間を要します。来ていただいたお客様を大事にし、リピーターに変える努力が今必要です。都会からの誘客に力を注ぐことも欠かせませんが、まず地元の客を大事に、何回も訪れたくなる施設・地域になることが求められています。


 2年後に世界文化遺産の登録を目指す「集成館事業」の価値を県民が知り、「日本近代化の原点は鹿児島にあり」と世界の人々に伝えることが、県民としての誇りであり永続的な誘客につながると考えます。

 民俗学者で知られた宮本常一は、父から旅に出たら地域の一番高い所に登り、町の景観を確かめよと諭されたという。皆さんも故郷の山に登り、住んでいる我がまちの魅力を確認しませんか。

  ふるさとの 山に向かひて 言ふことなし
               ふるさとの山は ありがたきかな  ~石川啄木~

心がなごむ時を持とう~見えないものに感謝する心の大切さ~

2013年11月11日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

     けふもまた こころの鉦(かね)を うち鳴らし
                    うち鳴らしつつ あくがれて行く
                                     ~若山牧水~

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 会社の行き帰りに利用するバス停の近くに、小さなお地蔵さまが立っています。誰が掃除をしているのか、いつも小さな季節の花が飾られています。私は毎朝必ずこのお地蔵さまに手を合わせて、「いつも見守ってくれてありがとうございます。今日も一日よろしくお願いします」と数秒頭を垂れます。こうすることで、なんとなく心が落ち着き安心して一日がおくれるのです。


 松尾芭蕉の「奥の細道」では、旅に誘う神様として道祖神が冒頭に登場します。

 月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり。舟の上に生涯を浮かべ、 馬の口とらへて老いを迎ふる者は、日々旅にして、旅を栖とす。・・・・途中略
 やや年も暮れ、春立てる霞の空に、白河の関越えんと、そぞろ神の物につきて心を狂はせ、道祖神の招きにあひて取るもの手につかず、ももひきの破れをつづり、笠の緒つけ替へて・・・・・・以下略     「奥の細道」より

 かつて民間の旅行エージェントに勤めていたころ、添乗員として国内外に多くのお客さまをお連れしていましたが、そのお客様の道中の無事を祈り、朝夕近くのお地蔵様に頭を下げる習慣が身に着きました。信州の安曇野の里を歩くと、500体を超える道祖神に会うことができ、昔から地域の人々の暮らしや旅人の安全を見守っているように感じられます。

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 鹿児島でも農村地帯を歩くと、ユーモラスでにこやかな顔をした田の神様(さあ)が、田畑の片隅やあぜ道の曲がり角に鎮座しいています。姿も様々で、手にしゃもじやたすきを持ったものや、頭にシキの網目の傘、田植えをしている姿など見て回るだけでも楽しいものです。南九州の農村地帯ではおよそ2000体あると言われています。

 大地に生きる人たちは、風水害や干ばつなど人の力ではどうすることもできない自然の脅威を、昔から伝え聞いて育っています。だからこそ太陽、水、風、土など自然に日頃から感謝する心を持ち「今年も豊作でありますようにと」と石像を作り祭ってきたのです。

 小生が子供のころは、田の神様を1年ごとに持ち回りで農家に預ける習慣があり、集落の若者が籠に乗せて次の家に運んでいました。預かった家では、守り神としてひな壇に据えて、毎朝掃除とお供え物をしていました。県内には姶良、加治木、蒲生周辺や大隅地域にさまざまな形をした田の神さまが見られます。稲刈りの終わった田んぼを歩くと、ほほえましい田の神さまに会うことができ、先人たちの心に思いをはせることがあります。

 ところで日本人は初詣で神社やお寺に参拝する習慣が定着しています。境内に掲げられた絵馬には、「大学受験に合格しますように」、「家族全員が一年無事に暮らせますように」、「いい就職口が見つかりますように」等のお願い事が書かれています。

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 無理なお願いごとと思いながら、静かな祈りに時間を忘れます。旅の途中車中からでも通りすがりの神社に手を合わせ、また道すがら出会うお地蔵さまに自然と頭を下げることで、感謝の気持ちが生まれ、心に余裕ができるのではないでしょうか。


 県内には、日本一のお地蔵さまが出水市の八坂神社の境内にあります。一刀彫りの石像で台座まで含めると高さが4・15mにもなります。近くに寄るとさすがにその大きさに驚かされます。

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 また、近くの箱崎八幡神社の境内には、日本一の大鈴があり、直径3.4m、重さ5tにもなり総金箔の鈴で作られています。社殿、神門の上に吊下がっている光景は、参拝者の度肝を抜く感じです。

 米どころ出水平野には今年もツル飛来の知らせが届きました。冬の訪れが近いことを知らせてくれます。来年の初詣はこの2箇所を廻り、縁起もののツルを見学し御利益を祈願したらいかがですか。

 小さいころから人だけではなく、見えないものにも感謝する心を持つということは、大切なことと思います。
           参考 かごしまよかとこ100選:かごしま再発見「浪漫の旅」

PR大使の笑顔が観光かごしまを支える~ひとの印象が旅行先の決定に~

2013年11月5日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

それとなく 郷里(くに)のことなど 語りいでて
                  秋の夜に焼く 餅のにほいかな
                                       ~石川啄木~

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 九州新幹線全線開業から3年目に入りましたが、県内に宿泊する観光客の数は、5月以 降前年を上回り、各地域とも必死に頑張っている姿が数字に表れています。夏から台風の 接近も多く大きな被害が心配されましたが、24号による与論島の被害を除けば、大きな 被害は発生していません。与論島の復旧を急ぐとともに、これ以上台風が来ないことを祈 りたいと思います。

 ところで消費者が宿泊先を決める要素として、インターネット、旅行社、パンフレット、 雑誌等からの情報収集があげられますが、最後には行った人の口コミをあげている人が多く、人の伝えることの重要さが問われています。

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 鹿児島には「心温まるおもてなしの心」を実践する人がたくさんいらっしゃいますが、 観光の顔として地域を売り出すのが、親善大使やPR大使です。 その役割と「おもてなしの心」の極意を学ぶ研修会が開かれ、県内12地区から23名 のPRレディーと2014ミスユニバースの鹿児島の最終選考会に残っている3名の26名が参加しました。

 最初に県観光課の倉野課長が「鹿児島県の観光事情」と題して、入込状況や観光振興策等を説明しました。PR大使にも鹿児島の観光の概要を理解して、今後の活動に活かして欲しいと思います。

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 11月2日で任期が終わる鹿児島市の「かごしま親善大使」である田中瑛子さんは、「親善大使の役割とは何か」、「親善大使として活躍するための大切なことはなにか」について、1年間の実践を通して感じたことを解りやすく話してくれました。


 「大切なのは技術よりも心。一生懸命な想いは聞き手に必ず伝わる。」とまた、「興味ある分野だけでも、知識を深める」、「自分なりの切り口で、鹿児島を再発見、再体験することが、自分のPRの幅を広げてくれる」と自ら地域を知ることの大切さについて自信を持って語ってくれました。

 最後に「親善大使の役割は「プロ」には出せない、鹿児島を愛する一市民としての等身大の情熱でかごしまをPRすること」、「生き生きとして活躍するには、自分なりの見つめ方、学び方、感じ方で鹿児島の魅力を再認識し、それを自分の言葉で伝えること」と語りました。自分のありのままの姿が鹿児島の印象となる、いつも笑顔を持って対応することの大切さを述べていました。

 田中さんの自信に溢れた堂々とした発表の姿に1年間の活動の成果が凝縮されているように感じました。彼女の今後の活躍に期待したいと思います。

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 今回の研修会では、講師の中村朋美さんがPR大使としての「大衆の前での話し方」、「座るときのマナー」、「おもてなしの仕方」、「名刺の受け取り方」等について2時間あまり実践スタイルで講義しました。各PR大使も中村講師の緊張の中にユーモアあふれる話に、後半は楽しく勉強していたように感じます。

 これからの親善大使、PR大使に望むことは次の点です。
・自ら地域を愛し語れる人になってほしい。そのためには、日頃から地域を回り、歴史、 食、温泉、自然、農水産物、観光施設等を知ることが大切です。特にストーリーを交えて自分の言葉で地域を楽しく語れる人が印象に残ります。

・観光客は訪れたい地域の情報を、出来るだけ多く事前に収集したいと考えています。 周辺の市町村の魅力やアクセス等にも理解を深めることも大切です。最近の観光は個人旅行が主流であり、地域の生活・文化を語ることも求められます。説明会の会場では、地域を覚えてもらうためには、名産品や歴史上の人物、スポーツ等で活躍している人を例に出し、郷土色を出すのもいいと思います。

・滞在したときの「時間」の過ごし方や「情報」を伝授する場所でもあります。「鹿児島の人が行く温泉や食を堪能したい」「明治維新のルーツを訪ねたい」、「もう一度大使の住む鹿児島の魅力を知りたい」等、かごしまのファン作りに努力して欲しい。  

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 今回の研修会でPR大使同士のコミュニケーションも深まりました。相互に切磋琢磨し ながら、実践力を培って鹿児島の観光の誘客に努力して欲しい。 鹿児島の観光は、地域の人々の日頃の情報発信やおもてなしの心で支えられおり、PR 大使の発する微笑みや印象が、鹿児島に行ってみたい旅心を誘う役割を担っています。

 鹿児島中央駅前では、時々各県の親善大使やPR隊が誘客宣伝を行っており、皆さん一生懸命努力されている姿が伝わってきますが、他の地域との魅力の違いがはっきりせず、物産の提供におわれているように感じます。「わが地域の売りはこれです。来ていただければこのような体験ができます」等の強力なアピールも必要です。

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 東京オリンピック招致会場における滝川クリステルさんの「お・も・て・な・し」のPRは歴史に残る最終プレゼンでした。 観光地の最終的な評価は人です。県民一人ひとりがPR大使に負けず観光客を温かく迎える取組を定着させたいものです。

「ななつ星in九州」の運行開始~最高のおもてなしでかごしまの思い出を提供しよう~

2013年10月28日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 JR九州の豪華寝台列車「ななつ星in九州」(以下ななつ星)の第一便が15日、博多駅を出発し大分、宮崎県を通り16日、霧島市の隼人駅に到着しました。豪華列車を一目見ようと地元住民や、鉄道ファンなど約2000人が小旗を振って出迎え、ホームや駅は賑わいました。

 乗客たちは、鹿児島神宮で初午祭で披露される「鈴懸け馬踊り」を見学し、宿泊地である隼人町の温泉地に向かいました。乗車したバスの豪華さに、見物に来ていた多く方から感嘆の声が上がっていました。駅前では、地域づくりに頑張っている若者たちが、「ななつ星」の"7"にこだわり、7本で7,777円の焼酎セットを販売し、少しでも地域の発展につなげようと頑張っている姿が印象的でした。

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 「ななつ星」はJR九州が約30億円かけた国内初のクルーズトレインで、ワインレッド色の鮮やかな車体が青空に映え、一段と豪華にみえました。 客車5両とラウンジ車、ダイニング車、機関車の8両で構成され、客室は14室で定員は30人となっています。

 一人当たりの料金(2名1室利用の場合)は最高客室で55万~56万6000円と高額になりますが、来年の6月出発分までの国内向け予約はすでに完売となっています。JR九州の発表によると、申込者は年代別では60歳代が26%と一番多く、50歳代と続いています。仕事をリタイアし、時間と経済的に余裕のあるシニア世代が多いのが特徴です。

 豪華列車の代名詞といえば、1883年にパリとインスタンブール間に就航した「オリエント急行」が知られています。アガサクリスティのミステリー小説や映画の題材にも登場しました。

 今ではオリエント急行の誕生当時を彷彿させる豪華寝台列車「ベニス・シンプロン・オリエント・エクスプレス」が、ロンドン~パリ~ベニスや、ベニス~フィレンツェ~ローマ、ウイーンやブタペスト行きが運行され、日本人向けのツアーも人気商品となっています。

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   国内では豪華寝台列車といえば、大阪駅と札幌駅を結ぶ「トワイライトエクスプレス」や上野駅と札幌駅を結ぶ「カシオペア」、「北斗星」が有名ですが、どの列車も予約が取りづらいことで有名ですが、「ななつ星」はさらに予約が取りにくい列車となっています。

 数十万円もかかる旅行代金は、国内の列車を利用した商品としては初めてであり、予約状況が心配されましたが、今年秋以降の分も7倍を超える抽選倍率となり、人気の高さを物語っています。

 鹿児島県は、始発の博多駅から一番遠いという地理的条件が、県内へのななつ星の運行につながっていると思います。 鹿児島に入るコースは、博多発が毎週火曜日で、大分、宮崎を経由して翌日の14時18分に隼人駅に到着し、宿泊は霧島市隼人町の温泉です。鹿児島市内の観光が木曜日となっており、その日の夕方肥薩線経由で熊本、阿蘇、大分と廻り金曜日に博多駅に着く3泊4日の行程です。

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 また、香港の最大の旅行会社「EGLツアーズ」との旅行商品への販売契約が締結され、アジアからの富裕層が増えることが予想されます。鹿児島への外国人観光客が増加することを考えれば大きな経済効果がもたらされます。県民としては、県内の温泉地が宿泊地として選ばれたことに対し、感謝するとともに今後とも最高のおもてなしを続けていかねばなりません。


 「いぶすきのたまて箱」が高乗車率を維持できているのは、錦江湾の景観の美しさ、沿線の住民が列車に手を振る歓迎の姿、指宿駅でのおもてなし等が定着していること等が口コミで広がり、一度は乗ってみたい列車の人気につながっていると思います。

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 ところで我々の時代は、1990年代後半までは長距離の移動にはブルートレインの愛称で親しまれた夜行寝台車が人気でした。西鹿児島駅(現在鹿児島中央駅)と東京駅を結んでいた「はやぶさ」、日豊本線を経由していた「富士」、新大阪駅とは「なは」や「あかつき」、等が運行され、車中で巡り合った人との飲み会は、時間を忘れて楽しんだものでした。

 その意味でも今回の豪華列車の運行は、チケットを入手することは困難ですが、一度は乗りたいという願望にかられる列車です。

 「ななつ星」自体が観光商品ですが、美しい街を走る光景は絵葉書きにもしたくなります。藪払いや古びた看板の撤去などに日頃から目配りするなど、沿線の景観整備には特に注意を払わねばなりません。

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 新幹線というスピードが売り物の列車に加えて、道中を楽しむというクルーズトレインの運行は鹿児島にまた、新しい魅力をもたらしました。「第6回かごしま観光人材育成塾」では、JR九州の仲義雄氏を講師に迎えて、《JR九州の地域づくり戦略「ななつ星in九州」》と題して講演をしていただきます。

 「ななつ星」が走り、乗客の宿泊地に選ばれたことは、「本物。鹿児島県」の知名度をアップさせる好材料が揃いました。いつまでも大事に育てていきたい列車でありたいと思います。

スポーツ合宿15万人を目指して~地域連携とホスピタリティをいかに提供できるか~

2013年10月21日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 「かごしまスポーツ合宿セミナーin関西」が、10日京都、11日大阪で開催され、両日で17大学56サークルから合わせて114名の学生が参加しました。

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 一昨年から京都と大阪と別れて開催しているのは、両地域の学生の利便性の確保や、同席することに遠慮がちになる気風をかんがみ、2箇所で実施しています。県内から13市町村の行政・宿泊・運動施設関係者も同席し、受入体制の状況や支援制度など詳しく説明し、誘客を図りました。

 垂水市からは尾脇市長自らトップセールスを展開されました。自治体のトップが参加することで、自治体の熱心さが解りサークルも安心して申し込みするのではないでしょうか。

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 相談会での意見は、学生が合宿地を決める要件として、「宿泊施設と料金」、「自由に使える運動施設」、「温泉と食の魅力」、「夜遅くまで懇親会ができる」、「近くに海水浴場や観光地がある」ことなどをあげていました。


 合宿終了後は、鹿児島の観光地を訪ねて帰る学校が多くあります。特に十分な練習時間が確保できることが、遠い鹿児島まで足を伸ばすことの大きな理由になっているように思います。チームによっては、鹿児島での宿泊地と練習会場が別の自治体となるケースもありますが、今後に繋げる意味でも各施設は温かく迎えて欲しいと思います。

 また、学生は夕食の後ミーティングを兼ねて遅くまで懇親を深める傾向があり、その点も理解して欲しいと思います。 学生が合宿地に求める条件には、宿泊先の近くにコンビニやコインランドリー、緊急の時診療を受けることができる病院があることが望ましいと思います。 自治体の担当部署と担当者を明確にし、合宿期間中の相談窓口を設けることが持続的に合宿地に選ばれる条件ではないかと思います。

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 セミナー終了後は、各自治体から提供された食材が料理されてテーブルに並び、生徒さんは鹿児島の食の魅力に感嘆の声をあげていました。 また、各施設から提供された無料宿泊券や「さんふらわあ」の乗船券が当たる抽選会もあり、いやがおうにもキャンプ誘致のセールスが盛り上がっていました。 関西でのセミナー開催効果もあり鹿児島で合宿をする大学は毎年増加しており、10年前に比べると倍増しています。

 スポーツ合宿のメリットは、一度に多くの学生が、数日に亘って宿泊するのが特徴です。今そのスポーツ合宿の受け皿づくりが、県下に広がりつつあります。 県の統計によると、平成21年度から2年連続で9万5千人を記録し、平成24年度は、12万2千人と過去最高となっています。

教育旅行と人員では拮抗しています。増加している理由として、県に専任の担当者を配置していることや、官民による積極的な誘致活動を継続してきたこと、一度訪れたサークルの口コミ等で魅力が浸透していることがあげられます。

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 平成24年度は市町村別では、鹿屋市、南さつま市、志布志市、さつま町、鹿児島市の順で、鹿屋市と南さつま市が大きく伸びており、両市とも韓国からの学生が増えています。 11月には、関西地域から大隅地域への「かごしまスポーツ合宿招待ツアー」を実施し、誘致に繋げたいと考えています。

 ところで、プロのチームの誘致には、整備された冬芝のあるグランド、充実した宿泊施設、歓楽街が近くにあることなど条件が厳しいことが上げられますが、その点学生は、条件を多くは求めません。県内にある公的施設等でも十分と考えており、オフ時期の利用促進にもつながります。

 ここ数年学校の統廃合で、不使用のグランドや体育館が増えています。廃校が決定した有明高校の跡地には、「大隅地域スポーツ合宿の拠点施設整備計画」の検討が進んでいます。県内外のチームが利用したくなる施設の建設がのぞまれます。

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 また、学生の財政事情を考えると、一定の補助金の支援制度がある自治体も選択肢の条件ではないかと思います。今回参加の自治体は、宿泊日数に合わせて補助金を出しており、学生も候補地として決定しやすいのではないかと思います。


 従来の観光客誘致は、一般客や修学旅行を対象としたものがメインでしたが、これからは新たな需要開拓と、県下全域に波及効果をもたらす意味からも、スポーツ合宿の誘致は重要であり、受入態勢づくりを広げなければなりません。

 スポーツ合宿の誘致は、大規模な宿泊施設がない地域でも誘致が可能です。学生のスポーツ合宿を誘致することで、その後のリピーター化につながり、地域の活性化にもなります。

 2019年には鹿児島でのインターハイ、2020年には東京オリンピックが開催され、スポーツに関心が高まり施設の充実も進みます。プロチームやオリンピック事前合宿の誘致ができる環境整備も必要です。 3年後には15万人を達成すべく多くの自治体が今後もスポーツ合宿誘致に力を入れることを望みます。

 現在より2万人以上増やすためには、新たな学校と多岐にわたるクラブの勧誘、滞在期間の延長、補助金の充実などの取組が必要です。 今回のセミナーをコーディネートしたエージェントの話によると、他県で学生のスポーツ合宿に積極的に取り組んでいる県は少なく、九州では鹿児島県だけの取組であると語っていました。

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 「さんふらわあ」の協力態勢や県と各自治体が日頃から連携が取れているからこそ実施できるセミナーであり、今後も継続して開催していく必要があります。誘客にあたっては、各自治体は競争関係にありますが、それぞれの地域のマイナス部分を補完し合っていることも事実です。

 鹿児島県への観光客誘致にあたって、県外で他県の関係者と同席する機会が多くあります。県や各自治体、民間組織の協力態勢がうまく機能していることに他県の担当者は、学ぶべきことが多いと羨ましがっていました。 皆さんでスポーツ合宿15万人目指して頑張りましょう。

農業の6次産業化の推進を~生産者から経営者の育成を~

2013年10月15日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 南北600キロに及ぶ鹿児島県は、豊かな自然や多彩な観光資源に恵まれ、農業の産出額は、4,011億円にもなり北海道、茨城県、千葉県に次いで第4位となっています。また、観光客がもたらす消費額は3,538億円で、農業と観光は鹿児島の経済を支えている基幹産業です。(平成22年県政概況および観光交流局統計)

 特に九州新幹線全線開業による時間短縮効果で、関西から以西の観光客がのびていますが、鹿児島が誇る多彩な温泉や、世界遺産、歴史、文化、豊富な農水産物が観光客に喜ばれています。観光客と農業との接点をいかに多くつくることができるかが、地域に大きな経済効果をもたらすことになります。宿泊先では地元産品を提供し、農家はより新鮮なものを安定的に供給することが相互のメリットとなります。

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 今「道の駅」や農協・生産者の「直売店」が人気を集めているのは、顔の見える安全・安心の食材が魅力となっており、ドライブや旅行の帰りの立ち寄りどころとして定着しています。観光客は、「本物。鹿児島県」の魅力に気づき始めていると思います。


 一方、農産物は季節波動や価格競争にさらされ、鮮度の管理も難しいものがあります。原産品を調味料や干物、お菓子などに加工して観光客に提供できれば、販路の拡大にもつながるのではないでしょうか。

 農業の所得を増やすためには生産(一次産業)だけにとどまらず、加工(二次産業)、流通・販売(三次産業)まで手がける"六次産業化"が求められています。 一般的に農家が誰よりも立派なものを作っても、販売が他人任せでは他の人と一緒の市場に流れ、価格も市況に左右されます。

 自分の意図する値段で買ってもらうためには、「作った人の顔が見える」ことが大切です。作る人、買う人が一緒になって農業に参画していくことがこれからの農業には必要であり、農家の生きる道ではないかと思います。

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 零細農家の生きがいづくりとして、農家民泊の推進もその一つではないかと思います。 南さつま地域からスタートした農家民泊は、25年度は県下全域に広がり(一部離島を除く)、教育旅行の取扱が2万人を超えています。1泊2日の滞在期間、さつまいもや果物の収穫、家畜の世話など、日頃農家の方が行っている仕事の体験と民泊が子供達に感動を与えています。


 都市部に住む人にはグリーンツーリズムは人気ですが、従来から鹿児島に住んでいる人は、子供の頃から何らかの形で農業と関係し、また農村地域に住んでいた人も多く、農家民泊より、収穫体験やランチを組み合わせたメニューが人気を呼ぶのではと思います。 一方、鹿児島の農産物のブランド化、PRの強化が求められています。特に温暖な気候で鹿児島が優位性を発揮できる農産物の消費者へのメッセージが必要です。

 鹿児島が誇る「緑茶」や指宿地域で取れる早出しの「ソラマメ」のブランド化、沖永良部で収穫される春ジャガイモ、くだものでは、「徳光すいか」、「マンゴウ」、「パッションフルーツ」、「桜島小みかん」、屋久島の「たんかん」など、季節感と、地域を象徴するネーミングが必要であり、観光客にも収穫体験させることで、旅行の企画にも組み入れられます。また、最近注目を浴びている「薩摩なた豆」や「うこん」などの栽培拡大も課題の一つです。

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 熊本県の菊池市にある「コッコファーム」は、農業の循環型テーマパークです。地域との共生を柱に、「都市と農村の交流」、「農業の未来」、「地域の未来」、「環境の未来」の4つのテーマを掲げ、観光バナナ園、ふれあい館、健康館などをオープンし、その核となるのが年間93万人も訪れる「たまご庵」です。

 「たまご庵」のレストランでは、とれたての野菜やくだもの、新鮮な肉、たまごをたっぷり使った食事を楽しむことができます。体験工房では、自分たちで作った大豆を使って味噌や醤油づくりの体験もできます。また、蓋なしのダンボールに、バラに詰めたたまごを「三キロ入り朝取りたまご」として売り出したところ、1日に千箱も売れるほどのヒット商品となり、毎朝行列ができるほどになっています。

 近燐の住民をはじめドライブ帰りの観光客、貸切バスの立ち寄りも多く、多くのリピーターがおとずれています。売上高は23億円、167名の雇用も生み出しており、地域活性化に大きな貢献をしています。(平成23年実績)

 創業者の松岡義博会長は、【生活者にとって大切な農業は、「生産者の顔が見える」ということである。生活者は自分や家族が口にするものをどこの誰が、どんなふうにして作ってくれて、食卓に届けているのがわかると、買ってくれる人も安心できるし、一面では農業に参画していることになると思う】と語っています。

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 これから日本は人口減少が顕著となり、農業従事者も高齢化が進み農村地域の発展は厳しいものがあります。儲かる農業、生きがい作りのある農業を推進するためには、若い世代の就農者を増やすことが求められます。また、企業との契約栽培の拡大も安定的経営に繫がります。農業生産者で経営者の感覚を持った人を育て・支援することが重要と思います。

 地域はこれまで、自動車、電気、IC等の工場誘致に努めてきましたが、今ではその多くが海外に移転し撤退する企業も相次いでいます。これからは、地域の特産物を加工・商品化して売り出し、地域の雇用を確保することが重要ではないかと思います。

 観光による交流人口を増やし、地域を守るためには農業の発展は不可欠です。日本には美しい山河があり、各地においしい湧水が出るのは田畑があるからだと思います。 農業の六次産業化で雇用を増やし、地域を活性化していくことが問われています。

参考文献:コッコファーム創業者の「人生十訓」松岡義博

価格≪価値となるおもてなしの心を~リピーターの確保が企業の成長を支える~

2013年10月7日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 10月に入り、えびの高原のススキが色づき、コスモスは彩りが鮮やかとなり、秋の風に吹かれている姿が美しく感じられます。韓国岳や出水市にある上場高原は、今度の連休は賑わうのではないでしょうか。


 9月29日~10月1日の2泊3日の日程で、日本旅行作家協会のメンバーと関係者が初めて鹿児島を訪問し、県、観光連盟、4市(鹿児島市、霧島市、指宿市、南九州市)が協力して、受入の準備を行いました。

 会長は「不良老年のすすめ」、「二人暮らしを楽しむ」、「この1句 108人の俳人たち」等の著書で知られる元NHKアナウンサーの下重暁子さん、専務理事は、「YS―11世界を翔けた日本の翼」など、飛行機に関する著書で知られる航空評論家の中村浩美さんです。

 29日の夜霧島で開かれた交流会は民家を開放して行われ、地域の皆様手作りによる郷土料理に舌鼓を打っていました。旅行作家協会の会員の話では、民家を利用した交流会は初めてのことであり、周囲の景観がかがり火に映え、クラッシク音楽の演奏、太鼓や島唄、地元焼酎等のおもてなしもあり、参加者は感激していました。

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 また、鹿児島での行程は、黒酢工場、牛根側から噴火する桜島の観察、世界文化遺産への推薦が決定した尚古集成館、美しい庭園が魅力の仙巌園、山川ヘルシーランドでの入浴、釜蓋神社の参拝、知覧武家屋敷、特攻記念館等を見学し、鹿児島の奥深い魅力を堪能できたのではないかと思います。 いつか鹿児島を題材とした小説やエッセイを発表していただければと思っています。

 九州新幹線が全線開業して2年半が経過しましたが、5月から前年を越えるなど開業効果がなんとか維持されていると感じます。しかし宿泊数は、好調な施設とそうでない施設がはっきりしてきており、リピーターの確保が数字に反映しています。国内外から来られるお客様に対して、「鹿児島に来て良かった、そしてまた来てみたい」という印象を持っていただけるよう、「温かいおもてなし先進県鹿児島づくり」を推進していかねばなりません。

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 ところで、大手情報誌「と-りまかし」から「じゃらん宿泊旅行調査2013」の結果が発表されました。それによると「総合的な満足度」は、鹿児島県は、沖縄県に次いで2位となっています。3位が京都府、以下北海道、広島県、大分県と続き、熊本県が10位に入っています。沖縄県は調査依頼8年連続でトップを維持し、その差は2,6ポイントで、1位を目指してさらなる努力が必要です。


 「地元のホスピタリティを感じた」では、1位は沖縄県で2位、3位は震災の影響を払拭するべく頑張っている「秋田県」、「岩手県」です。鹿児島県は、昨年から大きく順位を上げ4位となっています。 「魅力ある特産品や土産物が多かった」では、沖縄県が1位で、鹿児島県は4位と健闘しています。

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 「地元ならではのおいしい食べ物が多かった」では、沖縄県がやはり1位で、鹿児島県は8位です。海の幸、ブランド肉等のほか、ソーキそば(沖縄県)、讃岐うどん(香川県)などご当地グルメが人気のエリアが上位に入っています。「黒豚・黒牛・黒さつま鶏」、「かごしま茶」、「芋焼酎・黒糖焼酎」、「さつまあげ」、「さつま汁や豚骨料理」、「鶏飯」等に加えて、最近S1グランプリで注目度が高く、鹿児島を感じる食の魅力をもっとPRする必要を感じます。

 ところで誘客には「おもてなしの心」が不可欠ですが、「株式会社観光ビジネスコンサルタンツ」の西川丈次さんは、「リピーターの育て方」について次のように語っています。 リピーターを育てるには一人一人が鹿児島の四季の魅力を語る必要があります。「満足」 は当たり前、これが今の消費者である。「満足」が創り出すものは、次回の購買時にたくさんある選択肢の一つに残してもらえることです。

 観光客が初めての土地で立ち寄る案内所の雰囲気が、旅人が訪れる街の最初の印象となる。最高のホスピタリティは、お客様に言われる前に実行することである。「もの」の価値の行き着く場所は「価格競争」である。「もの」を「こと」に変えて提供することが、「価格」を超えた「感動」を生む。「こと」化に必要な要素は、人間力であり、これこそがホスピタリティである。

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 人は自分の名前を呼ばれた時に、その存在を認められたものとして、喜びを感じるもの である。一度の出会いで感動を提供し、リピーターになってもらうためには、積極的にお名前を笑顔で呼ぶことである。


 サービスに接する時、お客様はこれまでの体験から事前期待を持つ。この期待を超えた 時に、感動が生まれる。サービスを受けるということに、今では当たり前の行為と捉えています。ホスピタリティへの取組強化を、経営者自ら実践し、おもてなしの心を職場、地域ぐるみで醸成していくことが重要です。
          ~平成20年おもてなし研修会より~

 また、ベストサービスセンターの国友隆一氏はサービスについて次のように語っています。
①不快にするサービス
店内は倉庫のように雑然として、きちんと接客する気もない。従業員同士、私語に夢 中になり声をかけると話を中断されたため不快そうな顔をする。通常と違う業務を頼むと、 あからさまに面倒くさそうに対応する。
②不満を残すサービス
お客さまにサービスを提供する意思はあるが、それが気分の段階にとどまっているため 対応にむらがある。個人的な感情に支配されがちである。機嫌のいいときは愛想がいい。 しかし気分次第で不機嫌な顔を露わにする。
③満足を与えるサービス
お客様の立場にたって対応することの必要性や意義は頭で理解しているが、ただそれを 「義務」ととらえているため、どこかとってつけたような感じが残り、なかなか平均点以上にいかない。マニュアル通りにできても、心が通っていない。
④感動を与えるサービス
一人ひとりのお客さまのニーズに焦点を合わせ、オンリーワンのサービスを展開する。 お客さまの、自分できづいていなかったニーズを引き出し、それが満たされるようにする。
⑤無償のサービス
お客さまからいただいた代金以上の価値を提供する。心を込めたワン・ツゥー・ワンの サービスを、人間性のレベルで、あえて意識しなくても実行できる。それが「感動を与え るサービス」です。
               ~9割のお客がリピーターになるサービス~国友隆一著

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 価格=価値ではなく、価格≪価値になることがお客様に感動を与えるサービスとなるのではないでしょうか。鹿児島への観光客を増やすためにはリピーターの確保が最重要であり、加えてメディアでの魅力発信が欠かせません。そのためには、おもてなしの心をさらに向上させる取組が必要です。


 先日福岡で乗車したタクシードライバーには感激しました。手を挙げると車を止めて自らドアを開け、乗車したら会社名と名前を名乗り「暑くありませんか冷房を強くしましょうか」、「いつも通っている道はありますか」、「会議時間まで余裕はありますか」と話しかけてくれて、到着地まで会話が弾み、降りる時もドアを開け帽子を取り挨拶してくれました。都会のまん中でしかも猛暑の中での数分間の時間でしたが、爽やかな印象が残りました。鹿児島でもこのような運転手が増えて欲しいと思います。

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 日本旅館協会に加盟している宿泊施設は、約3300軒ありますが、隆盛をきわめている施設は、日本の伝統的良さである「おもてなしの心」を大切にして、リピーターに支持されています。


 従業員は「いつまでも初々しい新入社員」の心で接することで顧客に指示され、水で薄めない温かいサービスの提供がお客様に喜んでもらうことになります。 サービスを提供する側も、達成感が高まり従業員は成長していきます。多くの職場で実践できることが、企業発展にも繫がります。 観光客から、素晴らしいおもてなしを提供する施設であると推奨され、口コミで広がっていくことが今求められています。 

「第6回かごしま観光人材育成塾」の開催について 明治維新150周年に向けて~地域づくりに求められるものとは~

2013年9月30日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 今年は猛暑に加えて異常気象が続き、日本各地が水害に見舞われましたが、鹿児島では桜島の爆発が続いているものの大きな被害は発生していません。 宿泊客数で見ると5月から前年を越えており、夏も好調に推移した機関が多く見られ、なんとか踏ん張っている感じです。

 奄美群島日本復帰60周年、イプシロンの打ち上げ成功、「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連施設」が、本年度にユネスコの世界文化遺産への推薦が決まるなど、鹿児島が話題となる出来事があったことも幸いしています。

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 ところで「かごしま人材育成塾」を開催しますが、今年で6回目となります。これからの地域づくり・観光地づくりには人材の育成が不可欠です。今年は、明治維新150周年を5年後に控えて、鹿児島を毎年どのようにPRしていくのかを主題に置いています。

 地域連携の必要性、全国的に話題となっているJR九州の列車「ななつ星in九州」の取組、世界自然遺産の登録を目指す奄美のエコツアーへの取組、九州新幹線開業前から観光振興に特に力を入れている薩摩川内市の観光客受入態勢づくり、誘客に欠かせないおもてなしの心の極意等150周年に向けて、地域づくりのあり方について学ぶ8つの講座を開催します。

 講師と講座の内容について簡単に紹介します。
 第1講座は、魅力ある観光地づくりについて、「佐多岬の今後の展望について」県観光課の森対策監が講演します。大隅地域はスポーツ合宿の増加やイプシロンの打ち上げ成功、「鹿屋航空基地史料館」への学生団体の増加、「永遠の0」の映画の舞台になるなど話題の地域です。九州本土最南端の佐多岬がかつての賑わいを復活すべく、その展望が語られると思います。

 第2講座は、霧島山上ホテル営業支配人の内山竹文氏が「まちの駅ネットワークを活かした地域づくり」について講演します。内山支配人は、第1回から連続して参加している受講者の一人ですが、今回は講師としての登場です。
 まちの駅は、「みちの駅」に比べて認知度は低いものの、設置数においては県内だけでも100箇所を越えています。「休憩」、「案内」、「交流」、「連携」のルールのもと、観光客が迷った時に何でも相談できる「よろず相談所」の役割を果たしています。各地の観光パンフレットや地域ならではの土産品を置くなど地域貢献にも積極的です。これからの地域活性化に向け組織の連携と情報発信に努めています。

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 第3講座は、有限会社 オフィスフィールド代表 砂田光紀氏が、「明治維新150周年に向けて 鹿児島をどのようにデザインしていくか」について講演します。砂田氏はまちづくりや博物館などの専門家であり、仙巌園の集成館事業や来年いちき串木野市にオープンする「薩摩藩英国留学生記念館」も手掛けています。

 海外の街並や伝統的文化財の保護・保存等にも造詣が深く、多くの市町村の事業に係わっています。鹿児島市の「旧集成館」、「寺山炭窯跡」、「関吉の疎水溝」が世界文化遺産に推薦することが決定した今、タイミング的にも絶好の機会ではないでしょうか。 明治維新150年に向けて鹿児島のまちづくり・地域づくりについて専門的な眼での話が楽しみです。

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 第4講座は、山口県観光連盟の専務理事松井邦昭氏による「薩長連携による観光振興と紙芝居を通した地域づくり」です。薩摩と長州は明治維新に深く関わり、また観光客誘致においても旅連を中心に一緒に取り組んでいます。1865年に薩摩藩が英国に派遣した留学生14人が現地でお世話になったのが、その2年前にロンドン大学に留学していた伊藤博文を中心とした長州ファイブのメンバーでした。

 共に激動の時代を駆け抜けた薩長の連携が今また、脚光を浴びる日が近いのではないかと思います。山口県は、全国的に珍しい「紙芝居」による地域の再発見に取り組んでいます。松井専務の紙芝居を演じる姿も見ものです。こうご期待待下さい。

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 第5講座は、JR九州のクルーズトレイン本部次長の仲義雄氏が、『JR九州の地域づくり戦略「ななつ星in九州」』について講演します。10月15日から出発するこの列車は、3泊4日コースの最高金額が55万円(二人一部屋)もする豪華な旅です。


 最初の宿が霧島地区の妙見温泉となっており、すでに秋の出発分は完売となっています。なぜ今この豪華列車に人気が集まるのか、また次々に生み出される観光列車の魅力について、JR九州の思いが語られるのではないでしょうか。

 第6講座は、観光ネットワーク奄美の水間忠秀氏が、「奄美のエコツアーの歩みと世界遺産登録に向けた取組」について講演します。奄美群島は、特異な動植物群の生態系が保護されていることから、本年2月国の「世界遺産暫定一覧表」に「奄美・琉球」を記載することが決定しました。

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 今後国立公園等の保護地域指定、ユネスコ世界遺産センターへの推薦書の提出、国際自然保護連合による現地調査、世界遺産委員会の審査を経て、早ければ平成28年の世界遺産登録を目指しています。水間さん達は日頃から、観光客に美しい奄美の自然の姿を案内しながら、動植物の保護に努めています。奄美の自然を守る取組、観光と共生することの大切さが語られると思います。


 第7講座は、「薩摩川内市のシティセールス~観光による地元盛り上げ作戦」と題して、薩摩川内市の古川英利氏が講演します。薩摩川内市は九州新幹線の終着駅一つ前の駅であり、開業後も苦戦が予想されていました。地域の活性化には交流人口の拡大が不可欠であり、周辺の観光資源の磨き上げと商品化が必要です。
 その中心として活躍されているのが観光・シティセールス課長の古川氏です。着地型観光の推進(きゃんぱくの開催)、甑島への商品化、観光人材の発掘、観光・特産品の株式会社の設立、高速船の運行(24年春予定)等新しい取組を次々に推進しています。その戦略が語られると思います。

 第8地講座は、「おもてなしの極意」と題して3人によるトークショーです。
 一人目は、顧客の評価が高いタクシー会社・旭交通のドライバーで、顧客から多くの礼状が寄せられている稲満和明氏です。
 もう一方はJTBの顧客満足度90点以上を13年連続受賞している城山観光ホテルで、フロント業務を担当している西田朱里さんです。お二人とも顧客からの評価は抜群であり、企業の信用にも貢献しています。 小生がコーディネーターとしてお二人から、なぜおもてなしの心なのか、その神髄に迫りたいと思います。

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 どの講師の方々もそれぞれの部署で活躍され、鹿児島の観光に大いに貢献しています。経験とそれに裏打ちされた話は、皆さんの心を捉えこれからの業務に必ず役立つものと信じます。また、夜学塾は、参加者同志や講師陣とのコミニユケーションの場であり、講座で聞けないより具体的な話が聞けると思います。

 これからも地域づくりには、まず人材の育成が重要と考えています。今まで人材育成塾を受講した方の多くが、それぞれの地域で頑張っていることは、鹿児島の観光にとって大きな財産となっており、すでに6回連続で受講を申し込んでいる方もいらっしゃいます。

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 2018年が明治維新150周年の節目の年になります。2014年には「薩摩藩英国留学生記念館」のオープン、甑島航路への観光高速船の運航、2015年には「国民文化祭」、その後明治150周年までは様々なイベントが予定されています。 この講座が人材育成と地域活性化につながることを期待し、多くの受講者が集まることを期待します。

第6回 かごしま観光人材育成塾 イベントページ

タイからの誘客促進を~成長著しいASEAN諸国~

2013年9月24日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 東南アジアの中心に位置し、国土面積が日本の約1.4倍、マレーシア、カンボジア、ラオス、ミャンマーと国境を接しているのが今注目のタイです。人口は日本の約半分の6387万人で、主な宗教は仏教(91.8%)、イスラム教(4,5%)となっています。


 2012年の訪日人数は26万859人で、前年比21.4%の伸びとなり、韓国・中国・台湾・香港・アメリカ人に次ぐ第6位となっています。 今年は、1月~7月で23万人を超え、前年同期比56%増と好調に推移しており、国別の伸び率は訪日外国人の中でトップとなっています。7月1日からのビザ免除の追い風もあり、年間では40万人を越えるのではないかと想定されます。

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 そのタイの首都バンコクで、九州運輸局の支援のもと、九州管内の自治体、宿泊施設、運輸機関等の関係者による観光客誘致の商談会と交流会が開催されました。鹿児島県からは7県で一番多い18名が参加し、タイの観光団体、旅行エージェント等約90名との交流を図りました。

 商談会の冒頭では、TJTA会長で泰信旅遊有限公司の社長であるクン・アネーク氏からの歓迎の挨拶があり、また、九州運輸局の橋本企画観光部長もわざわざ福岡から駆けつけていただき、九州の魅力や訪日の要請を行っていただきました。

 個別相談会では、九州各県の参加者がブースごとに別れて具体的なPRを行いました。 タイ側の参加者は、九州各県の名所旧跡や祭り、食、ショッピング等に熱心に聞き入り質問をしていました。特にタイ語で書かれたパンフレットは人気でした。商談会後は交流会が開催され、両国の新たな交流のスタートになったのではないかと思います。

 商談会の前には、タイ国観光・スポーツ省のオフィスを訪問して、クン・アネーク氏も同席する中で、省の大臣であるドクター・スワット氏と1時間会談することができました。 大臣はまず、東京オリンピックが決定したことにお祝いを述べられ、タイ国として協力を惜しまない旨の発言をされました。

 またタイへの観光客が増加していることに触れられ、観光客の安全確保には全力を注いでいることを強調されました。日本への誘客については、タイでの広報活動の強化、メディアやエージェントのファムトリップの積極的展開、九州を印象づける観光素材の提供とPR活動の徹底等を述べられました。予定をオーバーする会談で気さくな人柄が印象に残りました。

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 翌日から2日間、JNTOバンコク事務所、タイ語でのガイドブックを制作している「まるごとタイランド」の丸山社長、今年の秋九州へのファムツアーを予定しているAAトラベル、鹿児島への送客を手掛けている「ROONGSARP TORAVEL」、「SAY HI」という訪日旅行専門番組を制作・放映している「ノーススタータイランド」の岡田社長の事務所を訪ね、鹿児島への誘客をお願いをしました。

 最終日には前述のクン・アネーク氏の事務所も訪問し、今回のミッションのお礼と今後の取組課題をご教授いただきました。夜には、タイ鹿児島県人会の大山会長、宮内事務局長とも交流を深め、今後の鹿児島のPRや誘客について懇談しました。

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 現在タイには200人余りの鹿児島県人が在住していますが、ASEAN地域全体で定期的な交流を実施しているとの報告がありました。ASEAN地域は、「経済成長が著しい、中流階級が増加している、平均年齢が若い」ことなどが成長の追い風となっていると思います。


 ところでタイは、ASEAN10カ国(ベトナム、シンガポール、ブルネイ、カンボジア、ラオス、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、タイ)の構成メンバーです。ASEAN全体で、人口は6億人を抱え経済的にも急激な発展を遂げており、毎年訪日客も増えています。

タイ人の平均年齢は、34.2歳で若者を中心に日本の文化に憧れを持っており、特に7月からNOビザとなり、日本への関心が急速に高まっていることがあげられます。 誘客の第一にあげられるのが「日本の食事」の魅力です。タイ国内で日本食を提供できる施設は、約1000軒あり、今生活に深く浸透しています。

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 我々がバンコク市内で訪れた日本食レストランには、タイの若者が多く訪れており従業員も片言の日本語で応対していました。経営者は社員を定期的に日本に研修に出し、おもてなしの心などを勉強させていると話していました。鹿児島は豊富な食材があり、タイ人観光客には喜ばれるのではないでしょうか。

 次に「日本の四季や自然」に関心を持っていることです。雪、桜、紅葉、美しい清流、海等美しい景観に憧れを持っています。説明会の会場で配布したパンフレットの写真を見ながら、開聞山麓の菜の花やミヤマキリシマ、仙巌園から見る桜島、屋久島の渓谷、農村風景等に興味を示していました。タイは熱帯性の気候で四季がなく、田畑も日本ほど整備されていないために、優れた日本の自然の光景にあこがれるのでしょう。

 また、桜島の噴煙の姿や砂蒸し温泉にも関心があり、噴煙の生活への影響や湯船の中に集団で裸になる習慣がないタイの人々に、温泉の入り方や効能にについて詳しく説明しました。特に砂蒸し温泉には驚いていました。県内を走る「おれんじ食堂」、「はやとの風」、「いぶすきの玉手箱」等レトロな列車にも興味を示していました。 今タイの若者は、テレビ、アニメ、漫画、ドラマ、映画等にも関心があり、鹿児島を題材としたドラマや歴史・文化をいかに伝えていくが重要です。

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 タイの人々の今の訪問エリアは、雪やラベンダーの花咲く北海道、ショッピングや食が楽しめる東京、大阪が中心となっていますが、リピーターが増加しており、そこに九州への誘客のチャンスがあると判断します。


 鹿児島が誇る火山、温泉、ロケット基地、美しい海等、タイにない自然や「日本式旅館でのおもてなしの姿や食」を前面に、継続的なメディアでのPRが必要と感じます。「これは鹿児島だ」と意識させるものが必要と感じます。

 現在はタイから鹿児島への直行便がなく、当面は上海、台北、ソウルからの経由便やチャーター便に頼らざるを得ません。福岡への直行便を利用して、九州新幹線で1時間余りのメリットを活かし、まず噴火する桜島の景観や世界遺産の登録が目前の「産業革命遺産群」を印象づけるなど鹿児島を意識した戦略が求められます。JRのインバウンド料金の軽減化も不可欠です。今年はタイからの誘客に向けて努力したいと思います。

人口減少とインターネットの普及が市場を変える~マーケットの変化にどのように対応するか~

2013年9月17日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 日本の人口は1億2,700万人(2012年統計)ですが、今後毎年減少し2035年には1億1,200人となり1,500万人減少します。 国立社会保障・人口問題研究所から人口および世帯の将来推計が発表されました。

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 2035年には一人暮らし世帯が、全世帯の37.2%、夫婦のみ世帯が21.2%となり約60%が二人以下の世帯となります。要因として結婚しない人や離婚する人が増加していることなどがあげられます。また夫婦と子供が暮らす世帯は、2010年の27.9%から23.3%となり核家族が一段と進みます。一方全世帯数は5184万世帯から2019年には5307万世帯へと増加します。

 このような世帯構成人員の減少は、マーケットにどのような変化をもたらすのでしょうか。まず消費のサイズが小さくなり、一度に大量に物を買う人が減少することに現れています。かつて旅行に行くと、10数個入りのお菓子や、同じお土産を複数個買う人が多くいましたが、最近は宿泊先の土産コーナーでも大量に買う人は少なくなっています。 またお菓子でも、違ったものを数個ずつチョイスして買う人が目立っています。

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 核家族化が進み、近所との付き合いも少なくなり、昔ほどお隣さんにお土産を渡す必要もなくなっています。お土産は自分のために買う人が多くなり、好きなものをチョイスして必要な分だけ買うスタイルが益々定着しています。観光施設ではお土産の並べ方、包装紙のデザインの工夫、地域の特色を出すなどして、購買意欲を刺激する演出をしないと売れない時代ではないかと思います。

 また旅行の参加者も、単独、二人参加者、夫婦と子供1人など少数化しています。二人部屋のニーズが高まっています。バブル全盛期に新築・増築した施設は、部屋の広さが大きく、団体向けに造られており効率が悪くなっています。改築する際は、このような状況も考慮して小さめな部屋を増やす努力が必要です。温泉地が多い県内の宿泊施設では、世帯のサイズに合わせた料金体系や受入態勢作りも求められています。

 最近スーパーマーケットのお米売場に行くと、20キロ、10キロの袋よりも5キロ、3キロといった小さなサイズのコーナーが目立ちます。世帯の変化に的確に対応していると思います。またコンビニの惣菜コーナーは、1人の適量に合うサイズで売られており、ひとり暮らしや深夜の時間でも買物し易い環境を整えています。

 二つ目はインターネット利用者の急激な増加に対する対応です。 平成24年通信利用動向調査(総務省)によると「日本のインターネット人口」は9,652万人で、人口普及率は79.5%となっています。平成14年の調査では18.0%であり大幅な伸びとなっています。子供や老人を除くとほとんどの人がインターネットを駆使していることがあげられます。

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 宿泊業界の関係者に聞くと、全宿泊者数の3割程度はインターネット経由であり毎年増加しているとのことです。ビジネスマンをターゲットにしたホテルでは価格競争も激しくなり、朝の料金を、夕方には下げざるを得ない状況が続いていると苦悩を語っていました。また地元と県外資本の戦いも厳しさを増しており、経営体質の強化が問われています。 



 ある大型ホテルでは、インターネットの部屋数を限定し、他のサービスの充実や「おもてなしの心」など本来の宿泊者の滞在を楽しくする施策を展開し、価格を維持しながら高稼働を維持しています。近燐の施設との連携や地産地消を徹底するなど顧客の満足を提供し、リピーター作りにも努めています。

 県の観光ホームページには毎日6,000件を越えるアクセスがあります。英語、韓国語、中国語「簡体字、繁体字」の4カ国語の対応も行っており、観光連盟に専門の担当者を配置し、観光地、歴史、アクセス、施設、イベント、食等の情報提供を行っています。 また各自治体と連携を強化し、解りやすくシームレスな対応ができるよう改善に努めているところです。

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 ところで、社団法人日本観光振興協会の「平成24年度版 観光の実態と志向」によると、宿泊観光旅行の目的地を決定する際に参考にするものは、「インターネット」、「ガイドブック」、「パンフレット」等と並んで「友人・知人の話」が常に上位にランクしています。多くの情報を集めて、最終的な決め手は経験した人の話、評価ではないかと思います。

 情報入手の手段は多岐に及んでいますが、やはり人の話が説得材料になります。「おもてなしの心」を大切にまた来たい観光地、施設を目指したいものです。

資料:南日本新聞

今年の反省を来夏の対策に活かす~7月の宿泊統計から~

2013年9月9日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

    秋風に たなびく雲の 絶間より もれいづる月の 影のさやけさ
                      左京大夫顕輔~新古今集~

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 朝夕の涼しさに猛暑が少しずつ和らいでいるのを感じ、夕方の空には赤とんぼが飛び、秋が近づいていることを教えてくれます。四季の変化は美しい自然の光景を生み出し、そこに詩や歌が生まれます。また、田や畑、山では美味しい味覚が育ち、秋は旅行をするのにベストなシーズンです。

 ところで、平成25年7月の観光動向調査が発表されました。「宿泊施設(調査対象85施設)」の宿泊数は、関東地域や九州地域、海外では特に台湾・香港からの観光客が増加したことにより、前年同期比4.5%の増となり、5月から連続で増加しています。 一方「観光入場施設・ドライブイン(調査対象23施設)」の入場・来場者数は全体として2.5%減少しています。猛暑の影響で日中の観光を控えたことが、減少の要因ではないでしょうか。

 地区別で見ると鹿児島・指宿・北薩・奄美地区が増加しています。猛暑に見舞われた今年の夏でしたが、比較的涼しい霧島地域や屋久島地区が減少しているのが気になります。 首都圏の登山用品専門店では、例年夏は屋久島が人気ですが、今年富士山が世界文化遺産に登録されたことにより、富士登山の人気が高まっていると話していました。

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 そのことが屋久島への一時的減少につながっていると思います。トレッキング愛好者や登山者は地域の気候に熟知していますが、一般の人はその実情をあまり知らないと思います。霧島は平地と比較した毎日の温度差を、屋久島は世界自然遺産の植物の生態や渓谷の魅力に加えて、里の魅力をもっとPRして誘客に努める必要があります。



 発地別宿泊客数は、九州地域が全体の50.1%で最も多く、その中でも県内の宿泊者が53,000人で49.1%を占めています。従来から域内観光の重要性について述べてきましたが、地元のお客様をもっと大事にして情報発信していく必要があります。地域と共に生きる施設であって欲しいと思います。 夏休みは特に県内客が増加しますが、それは家族旅行が多くなるシーズンであるからです。来年に向けてファミリー向けの商品のいっそうの充実が求められます。

 県外では関東地域から46,800人が訪れています。羽田空港からの便数が多いことや5月31日から成田空港からのジェットスターが就航し、新たな需要開拓がなされたことも寄与しています。 何といっても東京という最大のマーケットをいかに取込むかが常に問われています。東京からの情報発信を欠かさず、需要を喚起できる商品提供が求められます。

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 これからの商品企画に活かせる鹿児島の新たな情報について述べたいと思います。 ロケット・イプシロンの発射基地「内之浦宇宙空間観測所」は今話題の場所です。「秋のえっがね祭り」も始まりました。新鮮な魚介類が多く、また佐多岬に到る沿線は自然景観がすばらしく、ぜひドライブコースとしてお勧めしたい。

 百田尚樹さんのベストセラー「永遠の0」が12月21日から全国で公開になります。小説の舞台に鹿屋海軍航空基地が登場し、主題歌「蛍」はサザンオールスターズが手がけ話題となっています。大隅地域をPRする良い機会です。

 また、鹿児島が舞台となり撮影が行われた「六月燈の三姉妹」が、11月9日から鹿児島、宮崎で先行ロードショーされます。話題の「薩摩剣士隼人」も出演しています。鹿児島の夏の伝統的風物詩「6月灯」を、観光に活かすきっかけにしたいものです。

 来春には川内港から甑島の里港へ高速船が就航します。「はやとの風」、「指宿のたまて箱」等JR九州の観光列車を手がけている水戸岡悦治さんの設計であり、「おれんじ食堂」と組み合わせることで水戸岡ワールドが楽しめ、甑島への来島者が増加するものと想定されます。

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 鹿児島では2018年の明治維新150周年に向けて、毎年様々な行事が計画されていきます。2014年春には、いちき串木野市羽島に「薩摩藩英国留学生記念館(仮称)」がオープン予定です。留学生の滞在中の足跡、帰国後の活躍等の資料が展示され、当時の薩摩藩の先見性を学ぶ施設となるのではないでしょうか。学生をターゲットに誘客を図る必要があります。

 日本列島今年は猛暑、集中豪雨等異常気象が重なり、全国的に甚大な被害が出ました。鹿児島では大きな水害はなかったものの、噴煙が5千メートルにおよぶ桜島の大噴火があり、メディアでも大きな話題となり宿泊客のキャンセルという事態が起こりました。 世界的に温暖化現象が見られる中で、猛暑や豪雨などの異常気象は、来年もまた日本で発生するのではないかと、私は懸念しています。

 今年の夏の取組を反省し、商品企画や情報発信に活かさなければなりません。 秋の旅行の中心は熟年で、比較的ゆっくりした旅行が好まれます。「おもてなしの心」を忘れず、リピーターへ繋げて欲しいと思います。 最後に「本物。鹿児島県」の魅力を積極的にPRし、夏の落ち込み分をカバーし、来春を睨んだ展開も進めたいものです。

桜島の噴火の影響を最小限に~日常と変わらない生活の姿を発信~

2013年9月2日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 先月18日に桜島が、観測史上最も高い噴煙を上げ、5000メートルの上空まで達しました。現在噴火しているのは昭和火口で、爆発は今年500回目を数えました。 噴火のたびに、鹿児島市内や周辺の街に大量の火山灰が降り、市民はその対策に頭を痛めているのが実情ですが、自然現象であり大きな災害につながらないよう防災の意識を日頃から徹底しなければなりません。

 鹿児島を訪れた観光客は、錦江湾に浮かぶ桜島の雄姿、もくもくと上がる噴煙のスケールの大きさに驚嘆の声を上げ、特に外国人にはその驚きが顕著なようです。

 今回の爆発的噴火で鹿児島市内が薄暗くなり、マスクをした市民、ライトを付けた車が走り、フロントガラスに降り注ぐ大量の火山灰の様子等が、当日の夕方のNHKトップニュースで報道されました。また民放各社は、翌朝のワイドショーでも大きく取り上げていました。

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 噴火の翌日、小生は教育旅行誘致で神奈川県と横浜市役所の訪問、首都圏での説明会等にのぞみました。会う人ごとに「桜島が大爆発しましたね」、「大量の火山灰による健康被害はないですか」、「生活はちゃんとできますか」等心配する声とともに、「秋に修学旅行を予定していますが、大丈夫ですか」と旅行実施を危惧する質問もありました。

 訪問先で述べたのは、「鹿児島では桜島の噴火は日常茶飯事であり、特別生活に支障はありません。火山灰が堆積し、風により舞い上がり、その除去や洗車、洗濯物が外に干せないなどの影響はあります。」と桜島の影響を払拭するのに大変でした。 桜島の噴火を経験していない県外の方々は、メディアで報道される桜島や市民の姿に驚きと恐怖感を覚えたのではないでしょうか。

 爆発による取消等が発生しているのも事実です。特に桜島近辺の施設は影響が大きくなっています。きちんとした情報を提供し、噴火の風評被害の終息を図らねばなりません。

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 これから2学期になると、修学旅行生が多く訪れます。通常の時期であればバスガイドさんが、「鹿児島に滞在中に皆さんに桜島の噴火の雄姿をぜひ見せてあげたい」と説明します。運良く噴火をし、生徒さんが感激したという話を聞きました。生きた火山の姿を目のあたりにするのも、鹿児島ならではの観光の魅力ではないでしょうか。

 霧島の新燃岳噴火の際は、影響が長引き観光に大きな影響がでました。在福のメディアや都市圏のエージェントを訪問し、霧島温泉の実情や日頃と変わらない生活の実態を説明し、風評被害の拡大防止に努めました。

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 今回の噴火後はすぐに、県のホームページに桜島の噴火の情報を詳しく掲載しました。また、JNTOや東南アジアのエージェント、県の海外事務所、九州観光推進機構、国内のエージェントに対し、観光には全く支障がない旨の情報を発信しました。

 ところで今運行している「よりみちクルーズ」に加えて、9月から「錦江湾魅力再発見クルーズ」が運行されます。(9/14~11/9の土曜日、10/5を除く) 海から見る鹿児島市と反対側から見る桜島の魅力や奥錦江湾、昭和火口、新島等違った景観が眺められるのが今回の就航船の特徴です。

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 噴火が続いている桜島ですが、厳しい生活環境の中でも約5,800人の住民が住み、限られた農地では「びわ」、「桜島大根」、「桜島小みかん」などの農産物が収穫され、島の特産品として人気があります。


 桜島には、桜島ビジターセンター、国際火山砂防センター、黒神埋没鳥居など火山に関する施設、噴火遺跡があるのに、その魅力が意外と伝わっていないのではないかと思います。噴火は現実問題として捉え、桜島を1つのフィールドとして位置づけ、自然と対峙している島民の暮らしにもっとスポットを当て、生きている火山を学ぶ教材として小中学校の勉強にも活かすべきです。

 桜島の噴火を負の遺産として捉えるのではなく、噴火がもたらす自然の贈り物をプラスに変える取組が必要ではないでしょうか。

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 一方、観光客は県内を広域に回るため爆発と報じられると桜島だけでなく、県内の宿泊地にも多くの宿泊のキャンセルが発生します。霧島の新燃岳噴火のときは、霧島温泉だけでなく県全体への観光客の減少につながり、情報発信の正確性が問われました。

 毎年桜島では、避難訓練が行われるなど万全の体制で危機管理がなされており、そのような情報もきちんと伝える必要を感じています。

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 作家梅崎春生は、小説「桜島」の最終章で、桜島を次のように表現しています。 「崖の上に、落日に染められた桜島岳があった。私が歩くに従って、樹々に見え隠れした、赤と青との濃淡に染められた山肌は、天上の美しさであった。」桜島の美しさは今でも変わらず魅力的です。


 県民の皆さんも国内外の友人に、桜島の噴火による影響等について、正しい情報発信を宜しくお願いします。

先人が成し遂げた改革に学ぶ~明治維新150周年~

2013年8月26日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 2018年は、明治維新150周年の節目の年となり、偉人たちの足跡をたどり、薩摩の新進気鋭の精神を学び、受け継いでいく取組が求められています。 250年以上続いた幕藩体制に終止符を打ち、新しい政治体制を作り上げたのが薩摩藩、長州藩、土佐藩、肥前藩を中心とする西南の雄藩でした。


 28代当主島津斉彬は、日本の近代化を牽引した名君と称せられます。早くから海外事情や科学、文化などに造詣が深く、欧米列強の力が日本に及ぶことをいち早く察知して様々な事業を展開します。

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 1865年串木野の羽島港を出立した14名の「薩摩藩英国留学生」は、斉彬公の生前の発案と言われ、国禁を犯して渡欧した若き薩摩の俊英たちは、帰国後多くの分野で近代日本の礎となり活躍しました。

 初代文部大臣となった森有礼、東京国立博物館を創設した町田久成、東京開成学校(後の東京大学)初代校長の畠山義成、日本初のビール工場の設立に尽くした村橋久成、アメリカに渡り、ぶどう農園の経営に成功してカリフォルニアのぶどう王と呼ばれナガサワワインで有名な磯長彦助(後の長沢鼎)らです。

 2014年春には、羽島の地に記念館がオープンします。鹿児島の小・中・高校生に必ず見ていただき、海外への夢を抱いて欲しいと思います。(島津斉彬は1858年急死している。)

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 また、斉彬公は近代国家建設には、新しい産業の創出が不可欠と考え、反射炉、製鉄溶鉱炉、ガラス製造所、紡績工場など日本で初めて近代的な工場群「集成館」事業を展開します。当時アジア地域では最大の工場群といわれています。


 また、新田開発、かんがい事業などの農業、真珠やコンブの養殖等の漁業、錫の増産する鉱業等の事業にも着手します。それはやがて明治維新の「富国強兵」や「殖産興業」という大きな政策として受け継がれていきます。

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 一方、斉彬公は人を見抜く才能に長けており、身分を問わず積極的に人材登用につとめ、西郷隆盛、大久保利通、小松帯刀らは、幕末・明治維新体制の中枢として活躍していきます。

 大局を見抜く能力、将来の人材として見抜き育てる力、新しい産業の創出と、島津斉彬が展開した日本近代化への道筋には、学ぶべき事が多くあります。彼なくして日本の変革はありえず、このことは世界にも十分PRしていかねばならないことです。  不透明感のぬぐえない現在の時代において、十分活かせるものがあるのではないでしょうか。

 勝海舟は、著書『開国起源』の中で「幕末において世界の大勢を察する活躍を有した人は、薩摩侯斉彬だけだった。・・・・その辛苦経営の力によって開国の基礎はできた」と称賛しています。

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 幕末から明治にかけて西郷隆盛、大久保利通らの活躍は、現在放映中のNHK大河ドラマ「八重の桜」でも描かれています。 明治維新150周年まで5年足らずです。「近代化遺産事業」の世界遺産登録は、150周年事業の最大のテーマであり、鹿児島の魅力を世界に発信する最大の力となります。

 薩摩藩とりわけ島津斉彬が先見の明を持って日本の近代化に取組んだ偉業を、県民の皆様がもっと関心を持ち広げていくことが、明治維新150周年の意義であり、鹿児島の風土や文化を受け継いでいくことになります。

 県、市町村、経済界、観光団体と一緒になり、薩摩を題材とした次の大河ドラマ制作の働きかけを行っています。新幹線開業効果が、一段落しつつある中で継続した運動が必要です。明治維新150周年という年に向けて、毎年話題性のある取組を展開していきたいと思います。

参考:かごしまよかとこ100選

環境保護の取組が屋久島の魅力に~世界自然遺産登録20周年~

2013年8月19日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 屋久島と白神山地(青森県、秋田県)の世界自然遺産登録20周年を記念するトークセッションが開催されました。両県知事をはじめ関係者が参加し、世界遺産保護や環境問題について活発な討議がなされました。 鹿児島県と青森県は、湾を挟んで2つの半島があり地図を反対にすると、地形が似たような県であることがわかります。

 日本で初めて屋久島と同時に世界自然遺産に登録された白神山地について説明したいと思います。

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 白神山地は「神々の住む森」といわれます。遥か彼方まで広がる広大な森の姿に、人知を超えた偉大な力を感じ、神々の姿を想起したのかもしれません。白神山地とは、青森県南西部から秋田県北西部にまたがる13万ヘクタールに及ぶ広大な山地帯の総称で、このうち原生的なブナ林で占められている約1万7千ヘクタールが世界自然遺産に登録されました。

 ここには、東アジアで最大級の原生的なブナ林、約500種の植物相、ニホンカモシカ(特別天然記念物)、ニホンザル、イヌワシ(天然記念物)、クマゲラ(天然記念物)、クマタカ、無脊椎動物などによる、豊かな生態系が存在しています。 こうした豊かな自然あふれる白神山地は、一般に「原生林」として知られていますが、決して人々の暮らしと離れた場所ではなく、マタギをはじめとする人々が古くから暮らしの糧を得てきた場所でした。

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 ブナの森は、薪炭、山菜、熊を与え、森が蓄えた水は川魚育むとともに穀倉地帯の水源となり、伏流水とともに海に流れ出た水は豊富な魚介を育んできまし礎となり、白神山地の恵みや厳しさと共生してきた人々の暮らしは、多くの文化人も惹きつけてきました。白神山地の周りの地域=環白神地域には、そうした、様々な魅力があふれています。

 一方屋久島は、鹿児島港から高速船で約2時間で行くことができます。洋上アルプスと呼ばれる屋久島最高峰の宮之浦岳をはじめ、1000メートルを越える山が連なり高い地域は北海道と同じ亜寒帯の気候と植生となっています。島の低い地域は亜熱帯であり、日本列島が縦に並んでいるのが、屋久島の姿です。

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 かつて屋久杉は藩の重要な財源であり、多くの木が切り出され、島外に搬出されました。切り出された屋久杉は、トロッコで麓まで運ばれていましたが、今でもその名残の線が残されています。 縄文杉登山には、毎年約10万人が訪れていますが、そのトロッコ列車の軌道を歩きながら渓谷を登っていくのも魅力の一つです。



 また、屋久島は文化人にも愛され、林芙美子の「浮雲」、椋鳩十の「片耳の大鹿」、「大造じいさんとガン」などの文学作品の中に屋久島の自然の美しさが描かれています。映画「もののけ姫」で一躍有名になった「白谷雲水峡」は、散歩姿で訪れることができ幻想的な森の姿に遭遇できます。

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 屋久島は「大川の滝」、「千尋の滝」、「ヤクスギランド」など気軽に車で行ける観光地も多く、年間の入込み観光客は25万人を越えています。(平成11年度) 二つの町が合併して島は一つになり人口減が少ないのは、安定した観光客の入込みによる観光産業の発展が地域への経済効果をもたらしているからだと思います。

 一方では今、屋久島の自然をいかに守るかが問われおり、登山者増による縄文杉の保護対策、繁忙期の一部地域への車の乗り入れ規制や、環境に優しいエコカーの導入等などが進められています。


 ところで昔から葛飾北斎や安藤広重などの絵で有名な富士山が、世界文化遺産に登録されました。富士山は日本の象徴として親しまれています。

 この度静岡県と山梨県では、富士山の保全協力金の名目で「入山料」の徴収を試験的に実施しました。その結果7月25日から10日間で、34,327人の登山者から3,412万円の協力金が得られました。両県では今回の協力金を環境保全に役立てる計画であり、来年度からの本格的導入に向けて検討を進めることにしています。

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 今回のシンポジウムで両県の知事は環境問題の大切さを再発信すべきと訴えていました。伊藤知事は、現在の任意の協力金で管理されている山岳トイレ問題にふれ、入山料を公的に徴収した方が良いかもしれないと問題提起されました。

 また、三村知事は地球環境をみんなで考え、ブナ型文化の動きにつなげようと訴えていました。いずれにしても環境問題と地域経済の発展が両立できることの重要性を感じました。

 2つの世界自然遺産は日本で最初の登録であり、その後、知床、小笠原と続きました。今「奄美・琉球」が暫定リストに掲載されています。正式登録が待たれるところです。

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 世界自然遺産20周年を機に、屋久島の自然保護の大切さについて入山者のみならず、県民ももっと理解を深める必要があります。屋久島での自然保護が徹底されることが、屋久島の魅力を世界に発信することにつながり、そのことが持続できる観光地になるのではないでしょうか。

参考:世界自然遺産 白神山地 発行環白神エコツーリズム推進協議会

武家屋敷を観光に活かす取組~日本の四季をいかした情報発信が必要~

2013年8月12日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 薩摩川内市の入来町にある入来麓は「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されており、歴史的景観に優れた「建築物」、門・石垣・土塀などの「工作物」、生垣・樹木・水路などの「環境物件」が残されています。

 今年の4月には、入来麓武家屋敷群の「旧増田家住宅」が3年かけて大正期の姿に復元され、現在一般公開されています。

 薩摩藩は、領内を113の区画にわり、それぞれに地頭仮屋を設け、その周囲に「麓」という武士の集落を作り、その地域の行政と軍備を管轄させました。この制度は島津家当主の内城に対して外城といい、歴史用語として外城制と言われています。県内では、「出水麓」、「知覧」、「入来麓」の3地域が保存地区に選定されており、いずれの地域も武家屋敷群を中心とした武家町の名残を留めています。

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 このたび、出水市の渋谷市長、南九州市の霜出市長、地元薩摩川内市の岩切市長や、武家屋敷保存会、観光協会の役員等が参加し、3市の貴重な観光資源である「武家屋敷群」を観光に活かす取組をメインとした「重要伝統的建造物群保存地区」~武家屋敷サミット2013~が、入来麓の「旧増田家住宅」で開催されました。

 入来麓は、江戸時代の古い建築物もありますが、中世から近世の遺稿が残り、石垣と生垣が連続した区割りと入口から玄関まで何度も折れ曲がる入口が配され、これらの武家住宅の様相が残る武家屋敷群となっています。3つの武家屋敷群の中では、歴史的に一番古く、特に屋敷の配置や区割り、庭園・石垣など全体的な歴史的な景観が魅力的です。

 3つの「重要伝統的建造物群保存地区」を観光にいかに活かすかが課題となっており、3市が協調し連携することで新たな観光に発展させることを目的に、サミットを開催してきました。今までモニターツアー、共同宣伝などの取組を推進し一定の成果も上がっています。一方では武家屋敷群を核に、地域に波及効果をいかにもたらすかが問われています。武家屋敷群の活用方について述べてみたいと思います。

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 まず「知覧」に比べて他の武家屋敷群は県民にも十分知られていないと思います。メディアでの四季の情報発信や旅行エージェントの商品企画に反映させることが認知度を高めることになります。


 武家屋敷群を活用した様々なイベントの取組も必要です。日本の各地には四季折々に伝統的行事が残されており、それを活かす場所としてふさわしいと思います。 正月の式典、3月のひな祭りの人形の展示、春の桜の開花に合わせた花見の宴、5月の節句のこいのぼりの掲揚、秋の月見の宴、静かな音楽のコンサート、年越しの行事、年間を通しての野点や生花展等会場としては最高の舞台となります。そして女性を意識したイベントの中身が問われます。

 今多くの県民が訪れている大隅地域をめぐる「かごしま宝探し大冒険の旅」の武家屋敷版も面白いのではないかと思います。それぞれの武家屋敷に3つ程度の宝箱を設置して、回遊してもらえば全体の魅力を感じてもらえるのではないでしょうか。県民が訪れていない歴史的遺産であり、夏休みの親子の旅を誘因できる企画となります。 鹿児島で開催される歴史に関する学会のアフターコンベンションや、大学生のゼミの教材の場所としてPRすれば誘客のチャンスにもなります。

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 また、景観保護の大切さと地域全体に観光の波及効果をもたらす取組も求められます。 「旧増田住宅」では、高台の城跡に入来小学校が、目の前に民家がありますが、色彩に配慮し広告がなく景観が守られています。伝統的町並みが残る地域では、看板・広告等景観に特に配慮しなければなりません。

 観光客が地域を訪れる楽しみは、食や農産物などそこでしか味わえないものに触れる期待感です。手づくりの調味料や飲料水、スイーツ、地域の産物を加工したおみやげ物などを求めます。

 入来麓の古民家レストランでは、大馬越地区で取れたシソに、炭酸を入れたジュースがのどを潤おしてくれました。また、東京からIターンした女性従業員のおもてなしがすばらしく、地元野菜や豚肉を活用したランチが提供され、夏の盛りのひと時を過すことができました。

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 観光地の評価は人のおもてなしであり、そのことがリピーターを育て、持続できる観光地になるのではないでしょうか。子供たちが観光客に挨拶をし、手を振る姿は印象に残ります。

 3市の連携により、武家屋敷群をはじめ地域全体の活性化がなされることを期待し、ミンミンゼミが鳴き、緑の池垣と美しい田園風景が続く入来を後にしました。

         不来方(こずかた)のお城の草に 寝ころびて
                   空に吸われし 十五の心
                                   ~石川啄木~

参考:清色城跡と入来麓:薩摩川内市教育委員会
フリー百科辞典「ウィキペディア」

夏から秋を見据えた商品企画を~需要を的確に取込む為に~

2013年8月5日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

          ころがりし カンカン帽を 追うごとく
                    ふるさとの道駆けて帰らん
                              ~寺山修司~

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 夏休みも佳境に入り、日本人の民族移動が始まりました。高速道路や交通機関はお盆でふるさとへ帰る人や、旅行に行く人で大混雑です。 日本人は正月とお盆にはふるさとへ帰る習慣があり、心のよりどころであるふるさとに何かを求めているのではないでしょうか。

 戦後日本は、どちらかというと農魚村から離れることが当たり前となっていました。鹿児島では高度成長時期に多くの若者が職を求めて都会に旅立ちました。人の流れは田舎から都会へ、農業から工業へと転換し、その結果過疎や過密、田畑の崩壊、限界集落の増加、環境汚染、高齢化と少子化等様々な問題が浮き彫りになっているのが現状ではないかと思います。

おんぶの親子.jpg

 田舎を出た若者は都会で結婚し定住します。生まれた子ども達にとって親が生まれ育ったふるさとを訪ねて、日本の原風景や祖母や祖父の元気な姿に触れさせることは、子供の教育にとっても貴重な経験と思います。

子供たちに魚が泳ぐ清流や、稲穂が黄色づいた田やさつまいも畑、クワガタムシ、セミが鳴く森林等を訪ね、美しい景観や自然の生態を見せることは、子供の心に大きな印象を与えることになります。

 また、帰省を機に3世代一緒に旅行に出かけることが多くなります。宿泊施設では、子供たちに夏の思い出作りのため工夫が必要であり、ロビーに縁日を作り金魚すくいや風船釣り、外では昆虫採集や花火のイベント等の演出が必要です。 親が子供のころ体験したことを、宿泊施設や周辺の自然の中でできる環境を与えることが必要です。

霧島連山-2.jpg

 お盆が過ぎると観光地や宿泊施設では、暇の時期となります。誘客対策として、夏休み終盤の企画として、「夏山トレッキング」、「静かな部屋で残りの宿題をすませませんか」、「課題のテーマとして昆虫採集や貝掘りなどしませんか」などの名目で、夏休みにまだ旅行に行ってない人達をその気にさせる努力が必要です。

 また、子供たちのお世話で忙しく、休む暇がなかったお母さん方のために「お母さんの夏休み」と題して、女性向けのリラックスできる宿泊企画も求められます。

 鹿児島の観光にとって9月以降は、大きなイベントや大会もなく正念場を迎えます。紅葉の美しい北海道、TDL30周年や東京スカイツリーで賑わいが続く東京、「八重の桜」効果が出てきた東北、式年遷宮が佳境を迎える伊勢神宮と、東の方が相変わらず話題となります。

おれんじ食堂(外観).jpg

 そのためには、秋の鹿児島の魅力をPRしなければなりません。秋は熟年層の旅行が多くなります。「七つ星in九州」が運行され話題となり、「はやとの風」、「いぶすきのたまて箱」、「いさぶろう・しんぺい号」、「おれんじ食堂」等の観光特急列車も運行されています。 以前鹿児島に来ていただいた人々には列車の旅がお勧めです。県民の皆様もぜひ乗ってもらいたい列車です。

 また、無料化になった佐多岬や、イプシロンロケットの打ち上げのある内之浦等大隅半島も見どころ満載です。

 28日のNHKの「ダーウィンが来た」でアマミノクロウサギが取り上げられ、その生態と奄美の自然の素晴らしさが放映されました。奄美群島は、琉球諸島とともに世界自然遺産の登録候補地として暫定リストに記載され、平成28年度登録を目標に準備が進められています。(平成25年1.31政府決定) 奄美群島は、離島観光の目玉の一つであり、皆様もぜひ奄美の夏を訪ね、美しい自然美を堪能しPRしていただきたい。

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 海岸をウォーキングしていると、夕方の夏空に赤とんぼが飛んでいました。「アブラゼミ」とともに「ミンミンゼミ」の鳴く声が木々の間から聞こえて来ます。夏の暑さも少しずつ和らいでいるように感じます。 各観光施設では夏休みの後半から秋にかけての商品企画を、早めに顧客に提供していくことが求められています。

         思い出の一つのようで そのままにしておく
                     麦わら帽子のへこみ
                              ~俵万智~

奄美のすばらしさとは~自然を守る人達の取組に感謝~

2013年7月22日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

あやまる岬.jpg

 日本には多くの島がありますが、沖縄本島、佐渡島に次いで大きいのが奄美大島です。県内には、28の有人の島があり、それぞれ独特の文化、歴史、自然の魅力があり訪ねてみたい島ばかりです。しかし多くの島は交通が不便であり、必ずしも観光客誘致には恵まれているとは言えません。

 厳しい自然や離島というハンディの中で生きてきた島の人々の暮らしの知恵は、われわれの生活に多くの示唆を与えてくれます。

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 島に客を呼ぶ方法としていくつかの方策が考えられます。イベントを開催する場合には、限られた船便や飛行機には定員があり、一度に多くの誘客は厳しくなりますが、南の島でしか見ることができない動植物などの希少価値や美しい海を活用した体験などを売りにPRすることが必要です。

 今年も13日から、「あまみシマ博覧会」が始まりました。 奄美の郷土料理をつくる、味わう。自然を歩き野生動物を見る、観察する。伝統的な工芸や芸能を体験する。美しい海でのマリンスポーツを体験する等、奄美群島で70のプログラムが用意されています。取材のために奄美を訪ね、今年のプログラムを体験しました。

 一日目は、観光ネットワーク奄美事務所の水間さんのガイドによる「亜熱帯の森・金作原原生林探検」です。 原生林の近くは道路の横まで木々が生い茂っているため、途中で車を乗り換えることとなった。

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 奄美の市街地から車で30分、金作原(きんさくばる)原生林では、10メートルを超えるヒカゲヘゴやイタジイ、タブノキ、イジュといった巨大な植物群をみることができます。また、アマミノクロウサギやルリカケスなど貴重な動物が生息する固有林で、その神秘的なジャングルは、映画「ゴジラ」の舞台ともなっています。

 水間さんのガイドは、奄美の成り立ちから、現在の動植物の生態系まで具体的な説明があり、理解しやすく興味深く聞いていました。原生林はひんやりとして涼しく、下界とは別世界の感じです。鳥や虫の鳴き声がいたるところからきこえてきます。いつまでも美しい神秘な自然が保たれることを祈りながら2時間あまり散策しました。

 2日目は奄美群島観光物産協会の石原さんの案内で、南部にある黒糖焼酎工場の見学と宇検村、湯湾岳、大和村を廻りました。奄美特産のひとつである「奄美黒糖焼酎」は、古くから長寿の酒として楽しまれており奄美群島でしか作ることができない焼酎です。

 黒糖焼酎の命は黒砂糖と水にありますが、宇検地域は後背に奄美で一番高い湯湾岳があり、そこに降る雨が湧き水となり、美味しい酒を作り出しています。特に音楽の振動音で美味しい酒を造る手法には、興味が惹かれました。また、工場誘致は地域での雇用を生み出していることで、地域づくりのあり方を示唆しているように感じます。

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 湯湾岳に到る渓谷沿いには、奄美独特の植物で他の植物に着生し成長する「オオタニワタリ」が見られます。豊富な水がこの植物を育てています。山頂から見る奄美の自然はすばらしく、世界遺産候補の一部になっている地域は特定できませんが、どこまでも続く森林とはるかに見える海の青さが印象的であり、この自然をぜひ世界自然遺産に登録したい思いにかられました。

 大和村に入ると、「島育ち」の歌詞に歌われている立神のある美しい海岸線にでます。 高倉を集めた群倉(ぼれぐら)が道路沿いにありますが、工事中の看板の置き方や休憩用に置かれた長椅子の背には飲料水メーカーの広告があるなど、まわりの景観に不具合で残念な気持ちになりました。美しい自然の中では、景観には特に配慮する必要があります。

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 夜は、24時間眠らない奄美の森、夜行生の生物が多く生息する山中の見学で「奄美の森のナイトウォーク・リスニングツアー」です。「観光ネットワーク奄美事務所」の越間さんに案内していただいた。暗い山道をゆっくりと車を運転しながら移動し、ウサギを見つけると、車のライトを消して息を止めて観察です。夜行性であるため灯りを警戒しています。

 今回は特別天然物のアマミノクロウサギ、オオトラツグミ、アマミイシカワガエル等貴重な動物に遭うことができました。特に絶滅危惧種に指定されているアマミノクロウサギには、7羽ほど会うことができ一同大感激です。暗い夜道にはカエルや昆虫がおり、ガイドさんは虫一匹も轢かないようにと慎重に運転していました。エコガイドの皆さんはそのような心構えで自然保護に努めていると、語った言葉が印象的でした。

 ハブは猛毒を持つ動物ですが、エコガイドさんの話によると、本来ハブは人間を襲うものではなく、従来から健康食品や傷薬に加工され共存共栄の道を歩んできたのも事実であり、最近では街角ではほとんど見かけることはないとのことです。 我々も3日間の滞在中、野生のハブに出会うことはありませんでした。奄美の大自然と共生していくことの大切さを教えてくれました。

 今後島への誘客に当たっては、エージェントのクラブ組織、大学やカルチャーセンター等で島の生活や文化を学ぶ機会を増やす取組や、自然保護の重要性を事前に学習する必要があると思います。そのことが奄美の価値を高めることになります。

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 最後の日に赤木名の海岸で、スタンドアップパドルというマリンスポーツを体験しました。台風接近で、予定していた笠利の東海岸は荒れてできませんでしたが、半島の反対側の海岸は凪の状態で海の魅力を堪能できました。


 サーフボートに立ちパドルで漕ぎ進むNEWスポーツで、小学生からご年配まで楽しめます。東京からのIターンの福田さんは、永年ハワイに住み、そのすばらしさを知り尽くしているひとりですが、今後奄美の海をこのスポーツのメッカにしたいと意気込んでいました。

 ところで2013年1月31日に、「奄美・琉球」を世界遺産暫定リストに記載することが決定しました。その理由として「地史を反映した独特な種文化・系統的多様化の過程を明確に表す見本」があることと、「世界的に重要な絶滅のおそれのある種の生育・生息地など生物多様性の生息域内保全にとってもっとも重要な自然の生育・生育地を抱合した地域」であることをあげています。

 日本で初めて「世界自然遺産」に登録された屋久島は、登山者の急増で、ごみやし尿処理が大きな課題となっており、登山制限や入山料などの問題が議論されています。登録前にきちんと条例を定めて、自然保護の大切さを知らしめる必要があります。

 また、地域一体となり、自然保護の重要性、世界自然遺産に登録されることの価値を共有しなければなりません。その意味でもエコガイドさんの考え方をいかに浸透させるかが「世界自然遺産登録」の重要なかぎとなると信じます。

宇検村田検バス停.jpg

 45年前から奄美を訪ねていますが、あらためて奄美の自然のすばらしさ、貴重な動植物を保護することの重要性を認識しました。 13日から「あまみシマ博覧会」が始まっていますが、エコガイさんの案内で島の自然の魅力に触れてください。今年の夏は新たな体験で、本土と違った自然の姿に感動するのではないでしょうか。

少年たちは異国に何を求めたか~日本の近代化に貢献した若者の息吹を感じる施設に~

2013年7月8日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 1865年(慶応元年)4月17日19名の若者を乗せた蒸気船「オースタライエン号」が、密かに英国に向けて串木野の羽島を出港しました。 当時日本は鎖国状態であり、甑島、大島出張という名目での密航でした。2か月後の6月21日にロンドンに到着しロンドン大学に留学しますが、途中の船上で髷を切り落としています。

 留学生を派遣した理由は、産業革命を経たヨーロッパ列強は、19世紀初頭には市場を求めてアジアに進出して来ていました。当時の薩摩藩は日本本土最南端の藩として、琉球を治めており、地理的位置からも外国の危機に直面していました。

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 特に清国とイギリスとの間に1840年アヘン戦争が起こり、危機感を感じた28代藩主島津斉彬は集成館事業に代表される、近代事業に取組み、その一貫として欧米への留学生の派遣を計画していました。しかし1858年斉彬候が急死したため、計画は中断されていました。

 しかし1863年、薩摩藩は生麦事件が発端となり、イギリスと戦争(薩英戦争)をおこし、欧米列強の圧倒的な強さを知ることとなります。それでも薩摩藩は、1865年江戸幕府が鎖国令が出ている中、4人の使節団と15名の留学生を旧敵のイギリスに派遣することになったのです。留学生たちはロンドン大学で勉強した後それぞれの道を歩み、日本に帰った若者は明治維新の政府の中心として活躍しました。

 1865年といえば、幕末の志士坂本龍馬が長崎で日本で最初の貿易商社「亀山社中」を創設した年です。日本が激動の中で薩摩藩がいかに先見の明を持って、若者を異国の文化に触れさせる努力をしていたかが解ります。

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 この度留学生が船出した、いちき串木野市の羽島港の近くに「薩摩藩英国留学生記念館」が開設されることになり、先日新築工事の安全祈願祭が行われました。完成は2014年の春の予定であり、命をかけて世界を見聞しようとした若者たちの情熱や生きざまが甦ります。

 主な人の足跡を紹介します。
 村橋久成は、戊辰戦争の際砲台長として活躍し、その後北海道開拓使となり、サッポロビールの生みの親として語り継がれています。鹿児島で「サッポロビールの愛飲の会」が結成されていることなども、彼の足跡が大きいと思います。

 留学当時13歳と最年少であった長沢鼎は、その後アメリカに渡り生涯を過ごし、広大なぶどう園の経営とぶどう酒製造に尽くし、ワインの帝王と称されました。鹿児島でもナガサワワインとして親しまれています。

 畠山義成は、出航からロンドン到着直後の様子をまとめた「畠山義成洋行日記」を遺しています。1866年にはフランスに渡り見聞を広めています。帰国後「岩倉使節団」にも招集されました。その後文部省に出仕し、東京開成学校(現在の東京大学)初代校長として、日本の大学の基礎作りに貢献しています。 

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 羽島港の建設予定地の海岸には、彼の
「君か為 忍ふ旅路と知りながら きょうの別れをいかて 忍ひん」
の句碑があります。若者に託された使命と異国への旅立の不安が交錯している気持ちを歌った句です。

 鹿児島中央駅前は「薩摩藩英国留学生」の若き群像のモニュメントが建立されていま す。ぜひ碑に刻まれた彼らの功績をご覧下さい。

 ところで来春開館する記念館を観光客誘致にいかに活かすかが問われています。全国の博物館や仙巌園など近代化遺産群のまちづくりをコーディネートされた砂田光紀さんが、総合プロデューサーとして開設の準備に当たっています。

羽島海岸2.jpg

 JRの串木野駅から20分の距離で国道から離れていることもあり、観光ルートに繰り込むには、かなりの宣伝力とエージェントへの売り込みが必要です。海外に船出した留学生の年齢を考えると、若者にPRすることが大切です。

 インターネットや各種メディアの普及により、リアルに海外の情報が入手できるようになり最近の若者は以前ほど海外に興味を示しません。その意味からも海外に渡ることの必要性をもっと抱かせるチャンスです。留学生たちの思いのこもった貴重な資料が展示される予定であり、校外学習の格好の教材になります。

 県内の小中高生に在学中に一度は、遠足等で訪れて欲しいと思います。学校行事のカリキュラムに組み入れてもらう必要があります。また、薩摩川内、いちき串木野地域へのグリーンツーリズムも増加傾向にあります。民泊先と提携し、体験のメニューとして会館の見学をぜひ組み入れていただきたいと思います。県外の学生さんに、留学生の夜明けは鹿児島から始まったことを伝える良い機会にもなります。

 また、知名度が十分でないため、NHKの「歴史秘話ヒストリア」や土曜劇場などの番組で取り上げていただく運動も引き続き行わなければなりません。くしくも2015年は、留学生派遣から150年目の節目の年を迎えます。「薩摩藩英国留学生」のヒストリーを語り、若いうちに海外に行くことの重要性を問いかける必要があります。

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 串木野の中心部から離れた羽島の海岸に立つと、広大な海が前に広がり、後背は緑の山に囲まれ、密航するには都合の良い地ではなかったかと想像されます。  若者に海外への志向を惹起させる会館として、大いにPRして多くの人々が訪れる施設にしたいものです。  

「六月灯」を日本の祭りに~郷愁の思いがつのる伝統行事に触れる機会を~

2013年7月1日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 通勤の途中に見かける団地の庭先に植えられた朝顔が、一雨ごとに上に伸びていく姿が見え、花が咲くのも間近であることを感じます。七月に入り八坂神社を皮切りに県内各地の神社、お寺では「六月灯」が始まります。

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 「六月灯」の始まりは、江戸時代2代藩主島津光久候が上山寺新照院の観音堂を造り仏像を安置した折、供養のために旧暦6月18日に沿道に灯籠を掲げ、道の明かりにしたのが始まりといわれ、鹿児島の夏の風物詩となっています。

 子供の頃浴衣姿に着替えて、金魚すくいや、かき氷、風船、綿飴、アニメの仮面等夜店が並ぶ参道を親に連れられて、そろぞ歩きした思い出があるのではないでしょうか。六月灯が始まると梅雨明けが間近となり、夏休みへ思いをはせる時期でもあります。

 ふるさとを離れた人々にとって「六月灯」は、郷愁を感じさせる場所であり、また子どものころを懐かしむ時間でもあります。今年も多くの場所で「ふるさとのかおり」を求めて出かける人が多いのではないでしょうか。


        ふるさとの 訛りなつかし 停車場の
                  人ごみの中に そを聴きにゆく
                                ~石川啄木~

         はなび花火 そこに光を 見る人と
                   闇を見る人いて 並びおり
                                 ~俵 万智~

 鹿児島市の照国神社の六月灯は、7月15日、16日の2日間にわたって開催され、境内には大小1000個あまりの燈篭が献燈され、沿道にはたくさんの夜店が並び、毎年多くの市民で賑わいます。その数は2日間で10万人を超え、県下最大の「六月灯」となっています。

六月燈の三姉妹パンフレット.jpg

 ところで今年の5月に鹿児島でオールロケを敢行した「六月燈の三姉妹」がクランクアップしました。11月から鹿児島では先行ロードショーが行われます。

 大型ショッピングセンターの進出により客足が減少し、経営に苦しんでいる家族経営の菓子屋の再建物語です。複雑な家庭環境をかかえながら、一つの目標に向かって、夏祭り六月燈の夜にそれぞれが必至に起死回生の大作戦に出るが、その結末は・・・


 今、人口減少やモータリゼーションの発達、大型店の郊外進出、インターネットの普及等で消費構造の急激な変化がおこり、かつて賑わっていた商店街は苦戦を強いられています。 日本各地で同じような現象が起きていますが、映画は「六月灯」という地域に残る伝統的祭りを通して、家族の再結集を図り、お互いの信頼関係を取り戻す心温まる協奏曲です。

 主演は鹿児島出身の西田聖志郎が、他に、市毛良枝、吹石一恵、吉田羊、徳永えり、井上順等が出演します。市内の神社が舞台となり、地元の多くの人がエキストラとして映画づくりに参加しまし た。公開が楽しみな映画です。

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 ところで鹿児島の「六月灯」は県外の方には意外と認知度が低いと感じます。京都の「祇園祭」、博多の「祇園山笠」、熊本県の「山鹿灯籠まつり」等に比べてもメディアに登場することもなく、地域の祭りに終わっている気がします。

 一か月以上にわたって県下全域で行われている祭りは、全国にはなく大変貴重な祭りです。旅行パンフレットでの紹介や宿泊施設、飲食店、運輸機関等では期日ごとの開催場所を記載したパンフレットの設置や、「県人会」を通して知らせることが、誘客につながるのではないでしょうか。

 特に7月は鹿児島県への観光客が減少する時期であり、鹿児島らしさを感じる「六月灯」をもっと活かして宿泊客を増やす努力が必要です。

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 鹿児島には「六月灯」以外にも様々な夏祭りがありますが、長年人々の生活や風習に育まれ、四季の風情を感じさせる地域ならではの伝統行事となっています。 特に夏休み期間の祭りは、都会に出た人々の帰省の時期と相まって、懐かしい人との再会など感慨深いものがあります。

 人口減少が進む中地域の守り神の象徴である神社・寺院に集まり、年一回の祭りを集落の人総出で準備しているのがこの頃の祭りの姿ではないでしょうか。地域に残る先祖崇拝、神々への感謝の心は根強いものがあります。伝統的祭りを引き継いでいくことで、ふるさと意識が目覚め、魅力ある地域として生き残っていけるのではないでしょうか。

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 しかし最近の祭りは、厳粛な行事というよりも華やかさも組み込まれた祭りに変化しており、屋台(縁日広場)、特設舞台での歌謡ショーや、アニメのヒーローを中心としたキャラクターショーなども行われています。そのことは子どもの参加が増え賑わいの演出に繫がっているのかもしれません。

 今年の夏は、近くの六月灯に家族で出かけ、「ふるさとのかおり」を味わいましょう。そして秋に公開される「六月燈の三姉妹」のPRに努力したいものです。
  参考:「六月燈の三姉妹」のパンフレット

三県連携による教育旅行の誘致~各県の優位性を活かす~

2013年6月24日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

沖縄はすでに梅雨明けとなりましたが、本土では梅雨も中休み、紫陽花の花に雨が恋しいこの頃の暑さです。

紫陽花に 草子干す時 暑さかな  ~飯田蛇忽~

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5月の連休以降鹿児島中央駅は関西・中国地域からの修学旅行生で連日賑わっていましたが、春の集約臨時列車の運行も終わり、今一段落という状況です。

県内への平成24年の修学旅行の入込状況がまとまりました。学校数は674校で、前年の642校と比較すると32校増加し、人数(延宿泊者数)も94,348人で、前年か1,143人の増となっています。

地区別では指宿地区、鹿児島地区、種子・屋久地区が大きく伸びたのに対し、奄美地区、南薩摩地区が減少しています。奄美地区は台風の来襲でヨロン島の受入が大幅に減少したことが影響しています。

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南薩摩地区は、県内における農家民泊受入のパイオニア的な存在でしたが、県内全域で受入が可能になっていることで、分散化傾向となりつつあることが減少の要因です。大隅、伊佐地区は、従来修学旅行の行先でなかった地域ですが、民泊の受入態勢が整い増加傾向にあります。

子ども達は生物の生態、農産物の植え付け・収穫体験を通して、自然の営みの大切さ・不思議さに感動します。両地域は元来農業生産地帯であり、体験メニューが豊富でありこれからが楽しみな地域です。

垂水市漁業体験201306.jpg

最近の学校現場の修学旅行のニーズは、平和学習、農漁業体験、環境・自然学習、まちあるき等ですが、鹿児島県はそれに対応できる豊富なメニューが揃っており入込増の要因となっています。また、九州新幹線の全線開業による時間短縮効果も関西・中国地域からの誘客を可能にしています。

現在、熊本県、宮崎県、鹿児島県の三県で「南九州修学旅行誘致受入対策会議」を組織して、南九州への修学旅行誘致に努めています。三県全体での修学旅行の受入実績は、平成22年度187,571人となっています。

ちなみに長崎県は、433,710人、沖縄県は、426,163人で圧倒的に差を付けられており、今後三県の連携による誘致促進が求められています。

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ここ10年来首都圏、関西地域からの修学旅行の行先は沖縄が主ですが、九州方面では福岡~長崎~佐世保方面がメインのコースとなっています。長崎に行く理由としては、原爆に関する平和学習、ペーロン競争など海の体験、松浦、島原地区での民泊体験等が充実していることがあげられます。

また、永年に渡り、集約列車の運行や民泊の条件整備、市民を巻き込んだ「まちあるきボランティアガイド」育成等官民あげて修学旅行誘致に取り組んできたことが実績として表れています。

毎年東京、名古屋、大阪等で九州観光推進機構主催による「九州七県修学旅行誘致説明会」が開催されます。東京での説明会の終了後は、三県合同による教育旅行関係支店を訪問しPRと誘致に努めています。

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今後三県へ誘致するにあたっては、下記の点に配慮しながら誘致を強化する必要があります。まず首都圏のターゲットとしては、旅費と日程の関係で高校生が中心となり、輸送手段としては、航空機が主流となります。長崎は福岡空港を利用することで大量輸送が可能です。三県では往路と復路の発着地を変えるなど効率的なルート設定が可能です。

関西・中国地域からは九州新幹線が全線開業し、集約臨時列車の運行による時間短縮効果が顕著となり、高校、中学校とも誘致しやすくなりました。南九州三県ならではの教育ニーズにマッチしたメニュー提供や地域の特徴を活かしたコースを作ることが重要です。

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阿蘇地域でのホーストレッキング、天草での化石採掘、水俣の環境学習、人吉のラフティング、宮崎青島でのマリンスポーツ体験、霧島や桜島での火山・防災学習、垂水での漁業体験、鹿屋・知覧での平和学習、内之浦や種子島での宇宙基地見学、鹿児島市での歴史探訪と多彩なカリキュラムが提供できます。

今後は日修協や全修協の組織を活用して先生方に、三県の新たな魅力を直接見ていただく機会を提供しなければなりません。また、エージェントの新人の営業マンを対象に現地視察を積極的に勧める必要があります。

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ところで、経費や日程に制限のない学校に対しては、離島の屋久島や種子島、甑島等をお勧めします。世界自然遺産の屋久島は環境学習に、種子島にはロケット発射基地がありSSH校を、甑島は地形・地質など特徴があり地学の学習に最適です。 最近では、海の体験を望む学校が増えており、農業体験の後、砂浜での貝殻採集、砂像作り、海に沈む夕陽の見学などが都会の子ども達は喜びます。

先日開かれた「南九州修学旅行誘致受入会議」では、バスとガイドさん不足が指摘されました。単県での解決は難しく、運輸局、教育委員会、学校、エージェント等に対し、実施時期の平準化、JR輸送の拡大などの要望が出されました。三県で関係機関への陳情も必要です。

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特に県内の春の学生の修学旅行は、関西・中国地域からの入込時期と重なり、バス不足に拍車がかかっています。課題解決の一つが、JRの運賃、料金が半額となる鹿児島中央発の集約臨時列車を活用できる仕組みをつくりあげることです。このことが行先の選択肢を広げ、バス問題解決の糸口にもなります。

新幹線を活用した修学旅行の実施に向けて、教育委員会の理解を得るための粘り強いアプローチが重要です。各県にとっては、実施時期の平準化と安定的入りこみが最も求められています。

最後に教育旅行の利点は、一度に多くの生徒が動く団体旅行であり、又、好、不況に関係なく実施され、しかも2年前に決定することから経営的にも経済的効果も大きいと言えます。

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教育旅行の際に取り入れられる農業体験などのグリーンツーリズムの推進は、地域活性化にも繫がります。 宿泊、運輸、食事等の機関にとって、修学旅行の受入は経営の見通しが立てられるなど 安定した顧客といえます。今の時代に修学旅行に変わる大型団体は見つかりません。それほど重要な顧客です。

修学旅行は1887年(明治20年)に始まり、教育課程の中でずっと続いてきた伝統行事で日本独特の文化の一つです。これからも子供達の思い出づくりの場として、大切にされる時間であり、「温かいおもてなしの心」で迎える環境づくりが必要です。 各県の優位性を尊重し、また、不足するメニューは補完し合い、新しいメニューの開発、共同セールスの実施等で三県への修学旅行の誘致に努めたいものです。

上海線の重要性について~環黄海経済地域の発展を学ぶ機会に~

2013年6月17日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 昨年から就航している格安航空会社ピーチや、中華航空台北線はこの1年順調に推移してきましたが、一方、上海線は現在週2便体制ですが、尖閣問題や環境問題等の影響もあり利用者が伸び悩み、フライトキャンセルの便がでるなど苦戦を強いられています。そこで県では、この路線の重要性に鑑み、上海派遣短期特別研修として民間の方々も含め1,000人を派遣する計画です。

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 上海線の重要性について述べてみたいと思います。日本の人口減少による経済規模縮小は明らかであり、アジアの時代における鹿児島県の将来の発展の基盤づくりとして、地理的優位性を活用した交通ネットワークの拡大が求められており、交流人口の拡大は不可欠です。

 また、農林水産物の輸出促進は、アジアの活力を取り込み、地域活性化の観点から極めて重要なことです。上海は大きな経済成長が見込まれる環黄海地域(中国では、北京市、天津市、河北省、遼寧省、上海市、江蘇省、山東省。韓国では釜山、仁川、光州、太田、京幾道、中清南道、済州道、全羅北道、慶尚南道)の主要都市の一つです。  南に開かれたアジアの玄関口として、上海はその中心に位置し、また、鹿児島県と同緯度にあり、100分程度で行けることからも、これから益々重要な都市となります。

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 中国の環黄海地域の沿岸部には、3億人の人口がおり比較的富裕層が多いとされており、3千万人が海外旅行に行くともいわれ、日本への渡航者も増えています。これからも医療、観光、物流等上海との交流は、鹿児島として大きな経済効果が期待されます。特に鹿児島が誇る「温泉」、「世界自然遺産」、「おもてなし」、「食」、「ゴルフ」等は、魅力です。

 鹿児島から上海経由で中国の主要都市、ヨーロッパ各地へも行けます。また、全線開通した九州新幹線と福岡空港・鹿児島空港を組み合わせることで、ベトナム、タイ、シンガポール、台湾、ソウル、香港等アジアの主要都市との交通ネットワークが形成されます。

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 今回の研修で、発展する都市上海の姿をつぶさに勉強し、人脈を広げることで鹿児島との大きな経済交流が広がります。また、教職員にとっては、中国3千年の歴史に触れ、古い中国と新しい中国の姿をみて、将来の若者の交流に繋げて欲しいと思います。路線開設当初は多くの青少年交流団体が往来し、両国の絆を強くしました。

 また、「歴史部会」、「地理部会」、「書道部会」、「国語部会」等教職員の専門分野の訪中団も活発でした。修学旅行先として、県内の多くの高校が上海を訪れ、事前の生徒同士の交流や学校訪問も行いました。観光は平和のパスポートです。中国への再訪を期待したいと思います。

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 ところで上海周辺には、歴史的遺産を始め多くの観光地がありますが、その魅力についてご紹介します。上海市から1時間の距離にある蘇州は、絹織物の一大産地でシルクの工場が多いことで知られています。また、運河による水運が生活に溶け込んでいることから、旧市街地及び周辺の水郷地帯を含めて運河が多く、「東洋のヴェニス」とも呼ばれます。


 また、世界遺産の拙政園は池や堀が多くあり、四季の草花が池に映え、その景観を参考にする日本の造園業者の視察が絶えません。虎丘は、8角7層の虎丘塔からなり、現在少し傾いているため「イタリアのピサの斜塔」と比べられます。 高校の国語の教科書にも出てくる寒山寺の旅情を詠った「楓橋夜泊」の漢詩は有名です。

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 江蘇省の省都である南京市の郊外には、広大な敷地に中山陵がありますが、近代中国建国の祖孫文の墓陵です。孫文は日本に通算約9年間滞在していたこともあり、日本での生活を支えていた人は千人をこえていると言われており、彼の人物像が日本でも語り継がれています。

 「無錫旅情」で有名な無錫は、太湖に接し典型的な中国の古い城壁に囲まれた都市で、日本からの進出企業が多いことでも知られています。 杭州は、かつてマルコポーロが東洋一美しい街と賞賛した中国八大古都の一つです。市の西側には世界遺産の西湖があります。

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 上海は、中華人民共和国の経済の中心地であり、その発展にはすさまじいものがあります。京セラやSONY、トヨタ等日本の一流企業が進出し、鹿児島県人も多く働いています。中心部にある外灘(ワイタン、バンドとも呼ぶ。)は、昔の面影が残る黄浦区にあり、上海随一の観光エリアです。外灘の「観光地下トンネル」の演出には驚かされます。

 また、上海は、租界時代の行政と経済の中心であったことから、現在でも金融関係や官庁が多くありますが、大型のブランドショップや洋装店、レトロな雰囲気を活かした飲食店が多く、おしゃれな街に変貌をとげています。最近の街づくりも参考としたいものです。

 さらに、空港から市内までリニアモーターカーで結ばれており、時速400キロの高速鉄道の快適さを堪能して欲しいと思います。また、高さ492m、101階を誇る上海ヒルズからの眺望は必見の価値があります。

 小生は、これまで中国には40数回渡航し、変化する中国の姿を見てきました。鹿児島とほぼ同じ緯度に位置する上海は、東京より近く、気軽に行ける国際観光都市です。今、アジアの拠点である上海とのアクセスが無くなると、鹿児島の将来にとって、大きな損失となります。上海線の路線維持については、官民挙げての支援が必要であり、相互交流が重要です。

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 県交通政策課にある鹿児島空港国際化促進協議会(099-286-2459)では、鹿児島空港国際線ご利用の6人以上の団体・グループに、渡航経費の一部を助成しており、6月から補助金額も増額されています。県民の皆さんもこの補助制度を利用して、NOビザで行くことができる上海へでかけませんか。                     

大隅半島と薩摩半島を繋ぐ取組~田舎の魅力発信とアクセスの整備が課題に~

2013年6月10日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 拠点地域と各地域双方の活性化を目的としたツアーの第2弾を実施しました。今回は、指宿発の広域観光周遊ルート(南大隅方面)モニターツアーを実施し、指宿のホテル、運輸、メディア、行政関係者50名が参加しました。行きは山川港から新造船「フェリーなんきゅう」(136トン)に乗船しました。

 船は大型バス2台と乗用車6台、旅客95人が同時に乗船出来るようになっていますが、客室に全員が入れるスペースがないために、半分近くは到着までの50分デッキで過ごすことになります。冬場や年寄りが多いツアーへの対応が課題となります。

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 根占港からバスに分乗して、無料開放となった佐多岬を訪ねました。あいにくの雨と突風で、灯台も煙に巻かれている感じでしたが、九州本土最南端の自然の姿を見ることができたように感じます。展望台や廃墟となっていたレストラン跡地は更地となり、本来の自然の姿に戻っていました。建物がないことが逆に新鮮に映ります。

 霧に煙っていた佐多岬灯台は、九州本土最南端の太平洋に突き出した半島の先端にあり、「日本の灯台50選」に選ばれています。太平洋の黒潮が押し寄せる海は荒く、錦江湾や南の島へ行き交う船舶の目印として重要な役割を果たしています。対岸には薩摩半島の開聞岳を望み、東シナ海に沈む夕日は格別です。晴れた日には、種子島、屋久島を望むことができます。岬には下記の句碑があります。

 「黒潮の海に昇りし天津日は 佐多乃岬を日ねもす照らす」 川田順

 ところで佐多岬は、かつて「宮崎~日南海岸~鹿屋~佐多岬~根占~山川~指宿」を巡る新婚客のゴールデンルートとして賑わいました。その後新婚旅行が海外に移り、団体旅行も激減し、また、フェリーの休止等もあり佐多岬への観光客も減少し、広範囲に影響がでてきました。

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 しかし、団塊の世代の退職や国内旅行の個人化・多様化が進み、今では交通の便が悪く秘境と呼ばれる地域が脚光を浴びています。その意味でも佐多岬の魅力づくりが、宿泊者の多い指宿方面からの観光ルート定着につながり、双方にメリットが出てくると思います。今年度は県の予算で調査費が付いており、佐多岬の課題が改善されることを期待しています。

 次に訪ねたのが、雄川の滝です。県の魅力ある観光地づくり事業で、錦江町側から滝を臨む場所に展望台が設置されました。南大隅町側からも行くことができますが、駐車場までの道路の拡幅が課題です。川岸を歩いて滝まで行くこともお勧めします。

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 昼食は花瀬公園でした。地域興しグループ「うんめもんの会」の方々が、地元で取れた食材を中心に盛り付けた「竹皮弁当」で環境にも配慮した包装でした。旅の楽しみは食であり、やはり安全・安心が旅人の心に残るのではないでしょうか。

 花瀬には、歴代の薩摩藩主が訪れたお茶亭跡や、2kmに及ぶ千畳敷の石畳があり、春から秋にかけて花や紅葉が水に映えて一段と魅力的になります。

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 その後高さ25m、幅30mもある神川の大滝を訪ねました。雨の影響でいつもより下り落ちる水量が多く一段と迫力を感じました。これからの季節、近くの「大滝の茶屋」は、そうめん流しで賑わいます。是非大隅地域で訪れたい場所です。

 港に向かう途中に二つの鳥居が並ぶ「諏訪神社」がありますが、参拝者が増えています。吾平山上陵と諏訪神