2013年6月17日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
昨年から就航している格安航空会社ピーチや、中華航空台北線はこの1年順調に推移してきましたが、一方、上海線は現在週2便体制ですが、尖閣問題や環境問題等の影響もあり利用者が伸び悩み、フライトキャンセルの便がでるなど苦戦を強いられています。そこで県では、この路線の重要性に鑑み、上海派遣短期特別研修として民間の方々も含め1,000人を派遣する計画です。
上海線の重要性について述べてみたいと思います。日本の人口減少による経済規模縮小は明らかであり、アジアの時代における鹿児島県の将来の発展の基盤づくりとして、地理的優位性を活用した交通ネットワークの拡大が求められており、交流人口の拡大は不可欠です。
また、農林水産物の輸出促進は、アジアの活力を取り込み、地域活性化の観点から極めて重要なことです。上海は大きな経済成長が見込まれる環黄海地域(中国では、北京市、天津市、河北省、遼寧省、上海市、江蘇省、山東省。韓国では釜山、仁川、光州、太田、京幾道、中清南道、済州道、全羅北道、慶尚南道)の主要都市の一つです。 南に開かれたアジアの玄関口として、上海はその中心に位置し、また、鹿児島県と同緯度にあり、100分程度で行けることからも、これから益々重要な都市となります。
中国の環黄海地域の沿岸部には、3億人の人口がおり比較的富裕層が多いとされており、3千万人が海外旅行に行くともいわれ、日本への渡航者も増えています。これからも医療、観光、物流等上海との交流は、鹿児島として大きな経済効果が期待されます。特に鹿児島が誇る「温泉」、「世界自然遺産」、「おもてなし」、「食」、「ゴルフ」等は、魅力です。
鹿児島から上海経由で中国の主要都市、ヨーロッパ各地へも行けます。また、全線開通した九州新幹線と福岡空港・鹿児島空港を組み合わせることで、ベトナム、タイ、シンガポール、台湾、ソウル、香港等アジアの主要都市との交通ネットワークが形成されます。
今回の研修で、発展する都市上海の姿をつぶさに勉強し、人脈を広げることで鹿児島との大きな経済交流が広がります。また、教職員にとっては、中国3千年の歴史に触れ、古い中国と新しい中国の姿をみて、将来の若者の交流に繋げて欲しいと思います。路線開設当初は多くの青少年交流団体が往来し、両国の絆を強くしました。
また、「歴史部会」、「地理部会」、「書道部会」、「国語部会」等教職員の専門分野の訪中団も活発でした。修学旅行先として、県内の多くの高校が上海を訪れ、事前の生徒同士の交流や学校訪問も行いました。観光は平和のパスポートです。中国への再訪を期待したいと思います。
ところで上海周辺には、歴史的遺産を始め多くの観光地がありますが、その魅力についてご紹介します。上海市から1時間の距離にある蘇州は、絹織物の一大産地でシルクの工場が多いことで知られています。また、運河による水運が生活に溶け込んでいることから、旧市街地及び周辺の水郷地帯を含めて運河が多く、「東洋のヴェニス」とも呼ばれます。
また、世界遺産の拙政園は池や堀が多くあり、四季の草花が池に映え、その景観を参考にする日本の造園業者の視察が絶えません。虎丘は、8角7層の虎丘塔からなり、現在少し傾いているため「イタリアのピサの斜塔」と比べられます。
高校の国語の教科書にも出てくる寒山寺の旅情を詠った「楓橋夜泊」の漢詩は有名です。
江蘇省の省都である南京市の郊外には、広大な敷地に中山陵がありますが、近代中国建国の祖孫文の墓陵です。孫文は日本に通算約9年間滞在していたこともあり、日本での生活を支えていた人は千人をこえていると言われており、彼の人物像が日本でも語り継がれています。
「無錫旅情」で有名な無錫は、太湖に接し典型的な中国の古い城壁に囲まれた都市で、日本からの進出企業が多いことでも知られています。 杭州は、かつてマルコポーロが東洋一美しい街と賞賛した中国八大古都の一つです。市の西側には世界遺産の西湖があります。
上海は、中華人民共和国の経済の中心地であり、その発展にはすさまじいものがあります。京セラやSONY、トヨタ等日本の一流企業が進出し、鹿児島県人も多く働いています。中心部にある外灘(ワイタン、バンドとも呼ぶ。)は、昔の面影が残る黄浦区にあり、上海随一の観光エリアです。外灘の「観光地下トンネル」の演出には驚かされます。
また、上海は、租界時代の行政と経済の中心であったことから、現在でも金融関係や官庁が多くありますが、大型のブランドショップや洋装店、レトロな雰囲気を活かした飲食店が多く、おしゃれな街に変貌をとげています。最近の街づくりも参考としたいものです。
さらに、空港から市内までリニアモーターカーで結ばれており、時速400キロの高速鉄道の快適さを堪能して欲しいと思います。また、高さ492m、101階を誇る上海ヒルズからの眺望は必見の価値があります。
小生は、これまで中国には40数回渡航し、変化する中国の姿を見てきました。鹿児島とほぼ同じ緯度に位置する上海は、東京より近く、気軽に行ける国際観光都市です。今、アジアの拠点である上海とのアクセスが無くなると、鹿児島の将来にとって、大きな損失となります。上海線の路線維持については、官民挙げての支援が必要であり、相互交流が重要です。
県交通政策課にある鹿児島空港国際化促進協議会(099-286-2459)では、鹿児島空港国際線ご利用の6人以上の団体・グループに、渡航経費の一部を助成しており、6月から補助金額も増額されています。県民の皆さんもこの補助制度を利用して、NOビザで行くことができる上海へでかけませんか。
2013年6月10日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
拠点地域と各地域双方の活性化を目的としたツアーの第2弾を実施しました。今回は、指宿発の広域観光周遊ルート(南大隅方面)モニターツアーを実施し、指宿のホテル、運輸、メディア、行政関係者50名が参加しました。行きは山川港から新造船「フェリーなんきゅう」(136トン)に乗船しました。
船は大型バス2台と乗用車6台、旅客95人が同時に乗船出来るようになっていますが、客室に全員が入れるスペースがないために、半分近くは到着までの50分デッキで過ごすことになります。冬場や年寄りが多いツアーへの対応が課題となります。
根占港からバスに分乗して、無料開放となった佐多岬を訪ねました。あいにくの雨と突風で、灯台も煙に巻かれている感じでしたが、九州本土最南端の自然の姿を見ることができたように感じます。展望台や廃墟となっていたレストラン跡地は更地となり、本来の自然の姿に戻っていました。建物がないことが逆に新鮮に映ります。
霧に煙っていた佐多岬灯台は、九州本土最南端の太平洋に突き出した半島の先端にあり、「日本の灯台50選」に選ばれています。太平洋の黒潮が押し寄せる海は荒く、錦江湾や南の島へ行き交う船舶の目印として重要な役割を果たしています。対岸には薩摩半島の開聞岳を望み、東シナ海に沈む夕日は格別です。晴れた日には、種子島、屋久島を望むことができます。岬には下記の句碑があります。
「黒潮の海に昇りし天津日は 佐多乃岬を日ねもす照らす」 川田順
ところで佐多岬は、かつて「宮崎~日南海岸~鹿屋~佐多岬~根占~山川~指宿」を巡る新婚客のゴールデンルートとして賑わいました。その後新婚旅行が海外に移り、団体旅行も激減し、また、フェリーの休止等もあり佐多岬への観光客も減少し、広範囲に影響がでてきました。
しかし、団塊の世代の退職や国内旅行の個人化・多様化が進み、今では交通の便が悪く秘境と呼ばれる地域が脚光を浴びています。その意味でも佐多岬の魅力づくりが、宿泊者の多い指宿方面からの観光ルート定着につながり、双方にメリットが出てくると思います。今年度は県の予算で調査費が付いており、佐多岬の課題が改善されることを期待しています。
次に訪ねたのが、雄川の滝です。県の魅力ある観光地づくり事業で、錦江町側から滝を臨む場所に展望台が設置されました。南大隅町側からも行くことができますが、駐車場までの道路の拡幅が課題です。川岸を歩いて滝まで行くこともお勧めします。
昼食は花瀬公園でした。地域興しグループ「うんめもんの会」の方々が、地元で取れた食材を中心に盛り付けた「竹皮弁当」で環境にも配慮した包装でした。旅の楽しみは食であり、やはり安全・安心が旅人の心に残るのではないでしょうか。
花瀬には、歴代の薩摩藩主が訪れたお茶亭跡や、2kmに及ぶ千畳敷の石畳があり、春から秋にかけて花や紅葉が水に映えて一段と魅力的になります。
その後高さ25m、幅30mもある神川の大滝を訪ねました。雨の影響でいつもより下り落ちる水量が多く一段と迫力を感じました。これからの季節、近くの「大滝の茶屋」は、そうめん流しで賑わいます。是非大隅地域で訪れたい場所です。
港に向かう途中に二つの鳥居が並ぶ「諏訪神社」がありますが、参拝者が増えています。吾平山上陵と諏訪神社、佐多岬にある御崎神社の3箇所をパワースポットとして売りだすのも期待がもてます。かつてヒットした「岬めぐり」にあやかり都井岬、佐多岬、長崎鼻を巡るツアーの復活も楽しみです。
帰路、根占ドームで「NPO法人愛・あいネット」の皆さんによる「地元産の十割そば」の提供があり、参加者一同大感激です。移動販売を通して、障がい者と健常者との交流を増やし、健常者の方々の「心のバリアフリー」の推進と同時に障がい者の方々の「社会参加の意欲」の後押しに繫がると事業を推進しています。地元産の食材にこだわり、高齢化対策にも貢献している事業に感動しました。
最後の「なんたん市場」では、参加者のほとんどが地元の旬の魚や野菜を買いもとめていました。旅先にこのような直売店があると、立ち寄りたくなります。直売店の職員も多くの物産が売れたことに喜びを感じ、全員が手を振って見送りしてくれました。地域の温かさに触れた旅でした。
北海道の最北端宗谷岬はこれからの季節、本州方面から多くの観光客が訪れます。最北端と最南端を訪ねた方には、抽選で記念品を渡す取組を両地域で計画し、発信すればおもしろいと感じます。九州本土最南端の地に来たことを実感できる岬でありたいと思います。
ところで人口と観光客の減少は、地域経済にも大きな影響を与えており、観光振興による交流人口の拡大が求められています。今、日本人の国内旅行は成熟し、旅行スタイルも変化してきており、地域のニューツーリズムが注目をあびてきています。グリーンツーリズム、ブルーツーリズム、エコツーリズム、まち歩きなどがその代表です。
従来の物見遊山的な観光、温泉での豪遊などから、個人の趣味や価値観を大切にする時間消費型の観光スタイルに変化してきています。田舎の良さを活用した旅が求められています。
大隈地域は海、山、川の豊穣な自然がつくりだした食の宝庫であり、スローライフ、スローフードに最適な地です。 今グリーンツーリズムの体験は、教育旅行には欠かせない素材です。担い手の育成を図 り、地域をコーディネートする人の存在が大事になってきました。
新幹線の全線開業で鹿児島への観光客は伸びています。鹿児島市から垂水経由で大隅地 域を観光して1泊し、翌日は内之浦、田代、佐多岬などを廻り山川に渡るコースも出来るようになりました。大隅地域で活用できる「無料レンタカープラン」も是非利用してもらいたい。
今国内旅行の7割は個人旅行です。公共交通の整備されていない観光地へは、車での移動が主流となりますが、移動の足のない客には目的地までの利便性を図ることが大切です。そのためには、港を集合場所として、観光地までの巡回バスやタクシープランを充実させることも一つの方法と考えます。指宿のあるホテルでは、プランを作り宿泊者に案内しています。
県内を回って感じることは、大隅半島に行ったたことのない県民が多いことに驚かされ ます。日本の原風景が至るところに残る大隅路を訪ねて、地域の生活・文化にも触れてほしいと思います。指宿地域と大隅地域が連携し、それぞれに恩恵をもたらし持続できる観光地になるには、アクセスの改善と行きたくなる地域としての魅力の発信が今以上に求められています。
2013年6月3日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
天然の良港を抱える大島海峡を挟んで、瀬戸内町の古仁屋の街の対岸にあるのが、映画「男はつらいよ」の最終作の舞台となった加計呂麻島です。
大島海峡をステージに開かれる「奄美シーカヤックマラソンin加計呂麻」は、シーカヤックの国内最大級の大会です。また、湖を思わせるおだやかな豊穣な海では、クロマグロや黒真珠の養殖も行われています。
奄美大島最南端の港町・古仁屋から定期船で25分の位置にあり、海岸線はどこにいっても綺麗で美しい砂浜が続きます。西安室の集落から見る東シナ海に沈む赤々とした夕陽は、心が動かさずにはいられません。
諸鈍にあるデイゴの並木は5~6月にかけて真っ赤な花を咲かせ、青い空と海に映えて一段と美しく感じられます。毎年旧暦9月9日には、近くの大屯神社で国指定重要文化財の伝統芸能「諸鈍シバヤ」が奉納され多くの人で賑わいます。
また、明治末期から太平洋戦争時にかけ、本土防衛のために設けられた砲台や弾薬庫、特攻艇の艇庫が、この島にありました。今なお残る、戦争の傷跡がいたるところに残っています。戦争末期この島で震洋艇の指揮官として作家島尾敏雄は、出撃を待った。しかし出撃の命令は下らずに終戦を迎えています。
そうした極限状況の体験をもとに「出弧島記」、「出発は遂に訪れず」等の作品を残しています。加計呂麻島は島尾敏雄の妻ミホさんの生まれた島ですが、小説「死の棘」では極限状態で結ばれた夫婦が、断絶の危機に合い、絆を取り戻そうとする様を情感豊かに描いたもので、映画化されました。静かな入江となっている呑之浦には、文学碑が建立されています。
NHKの土曜ドラマ「島の先生」が始まりましたが、諸鈍の美しい海岸も登場します。小さな小学校を舞台に、教師と子どもたちの成長の日々をハートフルに描くドラマです。
ドラマの〈内容〉は、
離島の学校(小中併設)には、東京や大阪などから、さまざまな問題を抱えた児童・生徒たちが留学し、里親のもとで暮らしている。
都会のマンモス校でいじめや不登校に苦しみ、集団の中で隠れるように過ごしてきたこどもたちも、全校わずか十数人の学校では、生徒会・運動会・学習発表会・・、何をやるにも毎日が主役となる。
島人たちの深い人情や温かい視線に育まれ、自分がこの世界で必要とされて入ることを実感し、こどもたちは再生への糸口をつかむ。島を必要としているのは、こどもたちだけではない。日々の生活に疲れた大人たちにとっても、島は、限りなく深い癒しと新しい活力を与えてくれる。"島は日本の保健室"なのだ。
島の学校で教師をしているのは、ヒロインの夏村千尋(なつむら・ちひろ)先生。千尋自身が、実母との関係に苦しみ、中学生時代にこの島で留学生活を送ったことがある。生徒たちの問題を一緒になって悩みながら、千尋先生も、もう一度人生をやり直そうと励んでいる・・・。
NHK広報局 土曜ドラマ 『島の先生』より
主演の先生役は仲間由紀恵さんが演じ、チーフディレクターの屋敷陽太郎氏と音楽担当の吉俣良さんは、大河ドラマ「篤姫」のコンビで、主題歌「未来」は長淵剛さんが担当します。
美しい自然と、地域の温かい感情が生み出すドラマは、大きな感動をもたらし、終了後は多くの観光客が訪れると予想されます。 今回のドラマは6回シリーズで放映されます。ぜひご覧下さい。
ところで鹿児島市から100キロの地にある三島村も山村留学を受け入れています。三島村の硫黄島は人口112名程度であり、小中学校生は13名で典型的な過疎の島です。島の北部には、旅人が是非一度は訪れたい温泉に上げられている「東温泉」という天然の露天風呂があります。白浪が打ち寄せる岩場に湧く天然の温泉で、全国の秘湯ファンの人気を集めています。朝日や夕日を拝みながら入る風呂は格別です。
また、島では5月中旬から6月初旬にかけては、タケノコ刈りが楽しめ、2月には椿が満開になり、9月には椿油作りが楽しめます。又落人伝説の史跡や太公望にはたまらない釣りの良場、恋人岬など歴史、自然、温泉などが自然にコンパクトに配置された魅力的な島です。西アフリカ発祥の伝統楽器「ジャンベ」を本格的に習得できるアジアで唯一の施設もあります。今は亡き中村勘三郎さんが、二度「俊寛」を題材とした歌舞伎を演じた島としても知られています。
また、県内には28の有人の島があり、それぞれ自然の魅力や文化、歴史があり訪ねてみたい島ばかりですが、多くの島は交通が不便です。島独特の祭りや食文化は観光素材として欠かせません。またユニークな海岸線、砂浜、生物、温泉などは魅力です。厳しい自然や離島というハンディの中で生きてきた島の人々の暮らしの知恵や、島唄、伝統芸能はわれわれの生活に多くの示唆を与えてくれます。
島に観光客を呼ぶ方法としていくつかの方策が考えられます。島でしか取れない産物や、島でしか咲かない花、珍しい生物など希少価値を売りに、情報発信することが重要です。
大学とタイアップし、ゼミの講座の一つに島の生活や文化を取り上げてもらう取組や、カルチャーセンターや市民講座のカリキュラムに、島を訪れるコースを加えることで一定の入込客を確保できます。夏休みの若者向けのキャンプも売りの一つです。最近のエージェントの企画では、「日本の島を巡る旅」が人気を博しています。
離島と言う不便性を、むしろ稀少価値として捉え、優位性に転換することが大事です、
南北600キロある鹿児島県ですが、海岸線は本土の長さより離島の長さが上回ります。
ぜひ今年は、まず「島の先生」の舞台加計呂間島を訪ねて、離島の学校の魅力を発見しませんか。美しい自然と温かいおもてなしが、あなたの来訪を歓迎するでしょう。
〔参考〕しま旅:鹿児島県観光連盟、かごしまよかとこ100選:鹿児島県
2013年5月27日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
昭和40年代の初めからから50年代前半にかけて、指宿駅に新婚客を乗せた列車が着くたびに、次の曲が流れ歓迎していました。
『南国情話』 作詞:石本美由紀 作曲:三界 稔
岬の風に 泣いて散る 浜木綿悲し 恋の花
薩摩娘は 長崎鼻の 海を眺めて 君慕う
開聞岳の 山の巣に 日暮れは鳥も 帰るのに
君は船乗り 竹島遙か 今日も帰らず 夜が来る
悲しい恋の 舟歌を 歌うて一人 波枕
あの娘思えば 男のくせに 握る櫓綱(ろずな)もままならぬ
逢えない人を 慕わせる 今宵の月の 冷たさよ
可愛いあの娘も 長崎鼻で 一人眺めて 泣くだろう
何となく情感がこもった詩とメロディは、指宿を訪れる人々の心に深い印象を残してきました。 「あこがれのハワイ航路」や「長良川艶歌」、「矢切の渡し」と2年連続日本レコード大賞を受賞した石本美由紀さんが、昭和29年に作詞されたもので、来年が発表から60周年にあたります。
この歌に出てくる「長崎鼻」は、薩摩半島の最南端に位置し、荒波が押し寄せる灯台の近くまで行くと、西には開聞岳が、晴れた日には、屋久島や硫黄島を臨むことができ風光明媚な場所として知られています。
かつて都井岬、佐多岬と岬を巡るツアーや、新婚旅行全盛期には近くの長崎鼻パーキングガーデンや開聞山麓の新婚植樹園とともに多くのカップルで賑わいました。 しかし、バブルの崩壊による景気低迷で団体客が減り、新婚客は海外へシフトし、昔の賑わいはなくなりました。
そこで、九州新幹線が全線開業し、「いぶすきのたまて箱」も運行され注目を浴びている今、地域の人たちが立ち上がり、もう一度長崎鼻に観光客を取り戻そうと竜宮城からの招待状と銘打った「指宿長崎鼻龍宮城まつり」というユニークなイベントを開催しました。
イベントの中心となったのは、長崎鼻の近くで「休憩店」を営む有村隆雄社長で、有志で集めた資金や人手を動員し手作りのイベントを創り上げました。
「癒し、美と健幸、ふれあい」をコンセプトに、国内外で大活躍中のヨガの第一人者chamaさん、新進気鋭のストリートダンサーNayuさん、日本一の栄冠に輝いた山川ツマベニ少年太鼓、まち歩きの達人東川隆太郎氏らが参加する一大イベントでした。
当日は小雨の降る天気でしたが、長崎鼻を臨む海岸の砂浜ではchamaさんによるヨガ教室もあり、老若男女多くの参加者があり、小生も元気をもらった感じです。
また、オリビン万華鏡つくり体験や、長崎鼻から3つの海に向かって大声で叫ぶイベントには、近隣の小中学生が参加し盛り上げていました。有村会長は今日がスタートであり、来年はもっと多くの人を集めたいと語っていました。イベントの開催に尽力された有村様の並々ならぬご苦労に心からの感謝の気持ちを申し上げたいと思います。
岬の近くにある「龍宮神社」は、浦島太郎の伝説で有名であり、御祭神は豊玉姫命(とよたまひめのみこと・乙姫様)です。龍宮神社は、観光特急「いぶすきのたまて箱」のネーミングの由来にもなっており、人気急上昇中のパワースポットです。
参道の近くには、地域グルメや農産物の展示即売会も開かれており、多くの観光客で賑わっていました。
指宿から「長崎鼻」に至る海沿いのルートは、遠回りにはなりますが、山川港、琉球貿易の遺跡、かつお節工場、ヘルシーランド、砂蒸し温泉、地熱発電、フラワーパークなど素晴らしい景観が残りもっとPRが必要です。
山川~根占航路が再開されましたが、全盛期は多くの新婚客で賑わい、タクシーの積み残しが出るほどの人気でした。観光客は、大型バスで宮崎から日南海岸をめぐり、都井岬、志布志、鹿屋、佐多岬と大隅半島の沿線の魅力を堪能し、対岸の指宿に宿泊するツアーが人気でした。
今、国内ではかつて観光客が押し寄せて賑わっていた大型温泉地が苦戦を強いられています。高速道路の開通による観光ルートの変更、宴会型団体旅行の激減、物見遊山の旅行の減少、少子高齢化による旅行需要の停滞等マーケットは変化しており、観光地は常に進化している姿を提供しなければなりません。地域の生活・文化に触れる取組が重要です。 担い手の育成を図り、地域をコーディネートする人の存在が大事になってきました。
鹿児島を代表するパワースポットとして多くの参拝客が訪れているのが、南九州市頴娃町にある釜蓋神社です。頭の上に釜蓋を乗せて鳥居から賽銭箱までの約10mを歩ききったら願いが叶うというユニークな願掛けが人気となり、勝負・武の神を祀ることからスポーツ選手も多く参拝しています。
この神社が有名になったのは、テレビ番組の「ナニコレ珍百景」で紹介されたのが始まりです。その後ロンドンオリンピックの女子サッカーチーム「なでしこジャパン」の活躍が、この神社に参拝したご利益のおかげとのスポーツ紙の報道もあり、一気にその人気に火が付きました。今では多くの旅行エージェントの企画にも取り上げられています。
3年前まではほとんど無名に近かった釜蓋神社が、多くの参拝客を呼ぶようになったのは、神社のストーリーとともに珍しい参拝スタイルが、メディアで取り上げられたことが大きいと思います。「龍宮神社」、「枚聞神社」、「釜蓋神社」の3社を巡るツアーも人気がでています。
また、熟年層を対象に、かつてハネムーンのメッカであった南九州ゆかりの地を訪ねる企画も求められます。長崎鼻のストーリーを語ることで新しい魅力が生まれるのではないでしょうか。
新幹線の全線開業から3年目に入り一服感がある鹿児島ですが、指宿地域は善戦しています。新幹線のブームが続いている間に次の魅力を創出する必要があります。指宿に連泊させる方策としては、2日目は、大隅半島にわたる企画も考えられます。
冒頭の「南国情話」の美しいメロディは、岬に至る参道のお店から流れてきます。口ずさみながら歩くと目の前に広い海が広がり、振り返ると秀麗な開聞岳が眺められ、この歌が長崎鼻の雰囲気を醸し出していると感じます。
長崎鼻を訪れたら、「龍宮神社」に参拝し、「南国情話」のCDをぜひお買い求め下さい。「南国情話」の復活が、地域の活性化の一翼になればと思います。
大隅の佐多の岬は 海越しに
突き出て青し 鷹棲むといふ
川田 順
2013年5月20日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
県内に住む皆さん、また、ふるさとが鹿児島である人々にとって、最近明るい話題が発表されました。
日経リサーチがまとめた「2013地域ブランド調査」によると、都道府県を総合評価したブランド力指数(PQ)で、鹿児島県は7位にランクされています。2010年の調査では10位であり、3つランクをあげたことになります。
首位は北海道、京都、沖縄、東京都が続き、上位陣の顔ぶれは変わりません。九州では福岡県が8位で、「くまモン」人気が追い風になった熊本県が、21位から18位にランクを上げています。
2010年にも熊本、宮崎、鹿児島の3商工会議所が合同で全国イメージ調査を実施しています。全国の商工会議所の協力をえて、南九州3県以外に居住または通勤する人に、九州7県で行きたい県や観光地、食、人物などについて質問し、36都道府県から回答があり、「九州で行きたい県」では1位が鹿児島県、2位が長崎県、3位が宮崎県となっています。
県民は鹿児島県が九州本土最南端の県であることを不利と感じるのではなく、そのことがかごしまの魅力であり、自身を持ってもっとPRしなければなりません。県と観光連盟ではホームページの改善を図りながら情報発信に取組んでいますが、今一番アクセス件数が多いのが桜島です。
大正の大噴火から来年100周年を迎えます。噴火がもたらす不利性だけが注目されがちですが、桜島の時間ごとの山の色の変化、観光スポット、船から見る桜島、島の人々の暮らしや産業など自然が作り出す魅力を知らせることが大切です。
鹿児島県はPRが下手と言われますが、一般消費者から見ると魅力ある県の一つにあげられるのではないでしょうか。2010年に放映されたNHKの大河ドラマ「篤姫」や日本で最初の世界自然遺産に登録された「屋久島」、「本物。鹿児島県」の浸透、何と言っても九州新幹線の全線開業効果が知名度をあげているのではないでしょうか。
また、特色のある温泉、本物の食材、2箇所の宇宙発射基地、これから世界遺産登録を目指す「近代化産業遺産群」や「奄美群島」などポテンシャルの高い地域も存在します。
仙巌園や尚古集成館を見学し、日本の近代化に島津斉彬がいかなる思いで取組んだのかを理解することで、世界産業遺産登録の必然性を自ら感じることになるのではないでしょうか。2018年には明治維新150年を迎えます。その大変革をもたらした薩摩の風土や文化を学び、ふるさとの魅力をPRすることが重要です。
九州新幹線が全線開業し、今、関西・中国地域から多くの修学旅行生が訪れていますが、初めて鹿児島に来たと語る生徒がほとんどです。若い人の鹿児島の認知度はまだ低く、教育界への働きかけも重要と考え、集約臨時列車の利用地域拡大、農家民泊の整備、体験メニューの充実など仕組みづくりが必要であり、そのことで行先としての定着がはかられます。
ところで、新幹線開業前と街の様子が一変したと観光客は口々に言います。終着駅となる「鹿児島中央駅」周辺は、ホテルや「かごっまふるさと屋台村」のオープン、高見橋周辺の甲突川河畔のライトアップ等で夜遅くまで賑わいが増しています。 これから鹿児島の食のブランド化、大隅・南薩摩地域の観光ルートの開発、離島の魅力発信等まだまだPRしなければなりません。
地域で愛される「焼酎」や蔵元見学、「酒ずし」、「鶏飯」、最近話題のグルメ丼やラーメン等、伝統食と鹿児島の旬の情報提供等が求められます。 また、伝統的祭りに加えて若者が主体の新しいイベントも積極的なPRが必要です。
九州新幹線という幹から、枝となるローカル線への誘客が不可欠です。これからは連泊を可能とする態勢作りが重要であり、周辺地域を取り込んだ滞在型観光地づくりが求められます。
「指宿のたまて箱」は好調を維持しており、指宿温泉の宿泊を支えています。就航間もない「おれんじ食堂」はメディアで頻繁に取り上げられ、国内外のお客様が乗車しています。皆様にも一度は体験して欲しい列車です。エージェントの貸切企画も増えており、新幹線と結び北薩地域の知名度アップに繋げなければなりません。
10月15日から運行される「ななつ星in九州」は今話題の列車で、内装も豪華で旅行代金も高額になります。ツアーは、鹿児島が観光と宿泊先にも選ばれています。列車のコンセプトに合わせた地域での温かいおもてなしや沿線の景観整備が急がれます。日本各地だけでなく東アジアからの申し込みがあり、鹿児島のブランドをあげるチャンスにしたいものです。
最近の観光客は、顔の見える産物の購入や美しい田舎の景観が残る場所に足を延ばします。「地域の農水産物の直売所や直営レストラン」の充実など第一次・第二次産業の振興と連携が不可欠であり、行政の枠を超えた取組が大事になってきました。
かつて隆盛を極めた全国の大型温泉地が苦戦をしいれられているのは、癒しと宴会等娯楽だけに力を注いだことや、周辺地域の振興という視点が薄かったことが今の状況を生み出していると思います。
観光客の7割が個人旅行である現状では、滞在時間を増やす方策は、消費者ニーズの多様化に対し、地域の生活・文化や農水産物に触れさせる機会をいかに提供できるかにかかっています。生産現場や直売所など顔の見える場所を自然な形でみせる演出が不可欠です。
「本物。鹿児島県」を提供し続けることが、鹿児島県のブランド力強化になると信じます。
最後に何と言っても「おもてなしの心」の充実です。指宿市役所の方々の「指宿のたまて箱」に手を振る姿は、メディアでも取り上げられ大好評です。観光地の最終的な評価は地域に住む人々の対応次第です。
新幹線全線開業から3年目に入り、勢いに陰りが見えるのは事実ですが、常に進化している鹿児島の姿を県民が体感し、発信のチャンスと捉え、「住んで良し、訪れて良し」の鹿児島にしていかねばなりません。 自信を持ってふるさと鹿児島をPRしていきましょう。
春過ぎて夏来たるらし白妙(しろたえ)の
衣(ころも)干してふ 天の香具山
持統天皇
雨に濡れし夜汽車の窓に映りたる
山間(やまあい)の町のともしびの色
石川啄木
列車にて遠く見ている向日葵(ひまわり)は
少年のふる帽子のごとし
寺山修司
参考:日経リサーチ 「地域ブランド戦略サーベイ2013」
2013年5月13日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
ゴールデンウィークが過ぎ、県内各観光地には修学旅行生の姿が多くなりました。今年は日並びが悪く観光客の出足が心配されましたが、比較的天気に恵まれ、観光地はまずまずの盛況ではなかったかと思います。
3月の宿泊統計を見ると、前年比0.1%減ということで下げ止まり感も感じますが、これからの取組の真価が問われます。
昨年から就航している格安航空会社ピーチや、中華航空台北線はこの1年好調に推移してきましたが、一方、上海線は尖閣問題や鳥インフルエンザ等で苦戦を強いられています。
官民挙げての支援が必要であり、県民も補助制度を活用し大いに旅行してもらいたい。特にこれから気候も良くなり、上海から中国各都市に行きやすくなります。上海線は、絶対に維持しなければならない路線です。
鹿児島中央駅に新幹線が着くと、噴煙を上げる桜島が目に飛び込んできます。鹿児島市は目の前に美しい錦江湾があり、自然、温泉、歴史、食、文化施設、路面電車等観光資源に恵まれた県都です。私は北の都「札幌」と並んで、都市型観光の魅力が集積された街だと思います。
世界を旅してこれだけの観光資源に恵まれた都市は少ないのではないかと思います。
ところで、鹿児島中央駅近くの「かごっまふるさと屋台村」が、4月26日オープン1周年を迎えました。当初目標の年間30万人を大幅に上回る50万人が訪れました。関係者の方々の努力が来店客の増加に結びついていると感じます。
26日には、知事や鹿児島市長、関係者が出席し盛大な1周年の式典が行われました。 屋台村は、鹿児島中央駅近くの一角に固定された屋台の集合体ですが、南国殖産グループが、市街地の活性化、地産地消を中心に地域産業の振興、情報発信基地として県内のイベントや観光地の紹介、若手起業家の育成等を目的に始めた事業です。 かごっまふるさと屋台村は、25軒の個性あふれる屋台と1軒の焼酎専門店が軒を並べます。
現在、固定式の屋台村が全国にできていますが、業界関係者の話を聞くと、盛況を呈している屋台村は、鹿児島を入れて数カ所しかないということで、あらためて開設に携わってこられた方々に心からの敬意を表したいと思います。
成功の要因と今後の課題について述べてみたいと思います。 まず屋台村は、鹿児島中央駅の近くにあり、しかも電車通りに面していることから顧客に目につきやすいということです。観光客にとっても、発車時刻ぎりぎりまで滞在できるメリットがあります。
次に建物の構造上路地が多く、客が一度に先まで見渡せないため、気兼ねなく食事ができることです。混雑しているときは、酔客同士の肩がふれ合うこともありますが、狭い空間の中では、それがかえって和む雰囲気づくりにつながります。
各店舗が特徴あるメニューを提供していることも人気の要因の一つです。従来ラーメンやお好み焼きの専門店等が並ぶ場所では、店舗間の人気ランクがつき、店舗同志のコミュニケーションが減り、一方の店が退去するなどの弊害がありました。
鹿児島では、同種の店舗は少なく、焼酎料金の統一、ふるさとフェアなど屋台村全体の発展を目指す取組が継続されています。各地域の代表という意識で取り組んでおり、地産地消にこだわり、そこに行けばふるさとの人に会えるかも知れないという期待感も湧きます。人情感あふれる屋台村の存在が人を惹きつけます。
また、オープン当初から鹿児島弁にこだわることを提案してきましたが、これからも屋台村にいけば鹿児島人に会えると言うことを目指して欲しいと思います。
現在海外便が、ソウル、上海、台北へ就航して居ますが、東南アジアの人々は、屋台で食事することが定着しており、今後その観光客をいかに屋台村に誘客するかが問われます。 外国語表記のメニューの充実、従業員も外国語を学ぶ必要があります。簡単な言葉を覚え観光客と交流の場所になればと思います。
現在来店客の6割は、地元客でありそのことが盛況を維持している要因と思います。これからも定期的なイベントや県内各市町村のふるさと祭りを開き、話題を提供して欲しいと思います。
持続できるスポットになるには、県外観光客にどのようにPRしていくかも重要です。エージェントの商品企画に掲載される機会も増えてきましたが、旅行者だけでなくエージェントへのメリット提供も必要になっています。
「かごっまふるさと屋台村」の周辺は、近代日本の礎を築いた偉人を輩出した地です。夜は甲突川がライトアップされ一段と魅力的な一帯となりました。観光客が夜の街を楽しむことで、天文館も活性化し、地域の経済が循環することになります。従業員が夜の鹿児島の魅力を語ることを心がけて欲しいと思います。
屋台村ができたことで既存の店との競合も発生しています。それぞれの店が、「一期一会の心」を持ってサービスの向上に努め、相乗効果で来店客を増やして欲しいと思います。また、近隣のホテルの方々も積極的に屋台村をPRすることで、リピーターにつなげて欲しいと思います。
九州新幹線全線開業から、3年目に入り開業効果に陰りが見えつつあります。これからが鹿児島の真価が問われます。各施設は、おもてなしの充実、新たなメニュー開発やより地域色を出した演出に心がけ、常に進化している姿が求められます。
1周年式典では、『人情屋台「かごっまふるさと屋台村」おもてなし宣言』も読み上げられました。「かごっまふるさと屋台村」に行けば「鹿児島がある」ことを徹底的に貫いていただきたいと思います。
2013年5月7日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
霧島連山の新燃岳は、2011年1月に大きな噴火をしましたが、現在は噴火警戒レベルは3(入山規制)で、火口から半径2kmの範囲は立入規制区域となっています。 新燃岳(1421㍍)を望む韓国岳(1700㍍)や高千穂峰(1574㍍)は登山ができます。
県は、高千穂河原の登山口から新燃岳方面に向かう中岳探勝路を、4月27日から開放しました。探勝路はミヤマキリシマの群生地として登山者にはよく知られていますが、2011年の1月から立ち入りが規制となっていましたが、霧島連山の登山路拡大に大きな期待がかかります。
探勝路は、噴火の影響が心配されましたが、関係者によるとミヤマキリシマの新芽やつぼみが確認されており、5月の中旬が見頃と予想されています。
これから新緑とミヤマキリシマが美しい季節となり、多くの登山者で賑わい近くの霧島温泉郷は、宿泊者が増えるのではないかと思います。インターネットや顧客に対し情報発信の必要性を感じます。
ところで、新燃岳噴火当時は連日マスメディアで山の様子が報道されて、宿泊のキャン セルが相次ぎました。また、韓国人に人気のある韓国岳トレッキング、ゴルフツアー等が相次いでキャンセルとなったことも大きな痛手でした。
しかし、観光客が落ち込んだ時期に、霧島温泉地域では、おもてなしセミナーや接遇研修等サービス向上に努力した結果、「じゃらん人気温泉地ランキング2012」では、「温泉地満足度第一位」に選ばれるなど、地域ぐるみのおもてなしが評価されました。 その後の回復も早く、今でも九州を代表する温泉地として多くのファンに支持されています。
これからの霧島地域の課題は、連泊させる取組の推進です。従来の登山客、湯治客だけでなく、遠方からのお客様が周辺地域の観光地に出かけ、もう一泊させる態勢づくりが求められます。
まず地域連携の強化です。近隣の大隅地域には、悠久の森、大川原峡、溝ノ口洞穴、桐原の滝や都城市の関之尾滝があり、駅を起点にウオーキング等に最適な場所です。四季折々に変化する渓谷や田園風景を見ながら歩くと、美しい日本の原風景に出会えます。 湧水町には「霧島アートの森」が、伊佐市には「曽木の滝」、「曽木発電所遺構」等文化施設や名勝旧跡が点在します。
また、人吉までも約1時間30分の距離です。人吉は、青井阿蘇神社を中心に酒蔵廻りや醤油・味噌蔵など街の佇まいが中高年の旅情をかきたてる場所です。
霧島地域は鉄道の路線にも恵まれおり、「はやとの風」は人気の列車です。嘉例川駅に車を置き、吉松駅で「いさぶろう」「しんぺい」号を利用し、人吉で半日程度滞在し、嘉例川駅に戻る旅も沿線の風景が懐かしく、小旅行が楽しめます。
これからの霧島地域での重要課題は、教育旅行の誘致です。関西地域から25年度は5,200名、26年度は5,500名の生徒が集約臨時列車を利用し鹿児島を訪れます。
現在出水駅や鹿児島中央駅で下車し、県内に2泊していますが、新八代駅で下車した後、人吉でラフティングを体験し宿泊は霧島温泉で、翌日大隅地域で漁業やグリーンツーリズムを体験し、民泊する新しいコースを提案してはいかがでしょうか。
新幹線を利用し大隅地域に宿泊すれば錦江湾内のフェリーと運賃が補助される制度もあります。大隅地域は今グリーンツーリズムの誘致促進を図っています。 夏場の涼しい気候をPRして勉強やスポーツ合宿、各業界団体の県・九州大会等のコンベンションをもっと誘致しなければなりません。
他の地域に比べてJRの駅が多く、しかも空港や高速道路のインターが近く、移動する にはまさに恵まれた地域です。 また、温泉の質が多彩で、食、おもてなしの心、四季折々の自然が美しく何回訪れても飽きない地域です。多くの露天風呂が存在することから、外湯と農家レストラン、直売所廻りで過ごすのも良いのではないでしょうか。
ところで、霧島山の開放を心待ちしているのは、韓国の人々も同じだと思います。原発事故、竹島問題等課題は多くありますが、円安傾向になり、鹿児島を訪れる韓国人は増加傾向にあります。
今年の2月には、九州オルレに霧島妙見コースが選定されました。コースは約11km、 所要時間は4~5時間で連泊する条件としては、大きなインパクトになるのは間違いありません。しかも鹿児島に宿泊する外国人の33%は韓国人であり、大きな経済効果も見込めます。(24年実績)
夏休み旅行のエージェントの商品造成もこれからが本番です。霧島への商品企画をぜひ増やして欲しいと思います。
県と観光連盟では、噴火、登山、イベント、食、花等について、ホームページで適宜紹介しています。今回も早速ホームページで探勝路の開放について掲示しました。県民の皆さんも、霧島山へ出かけていただき、新しい霧島の魅力を県外の方々に伝えて欲しいと思います。
九州新幹線も、3年目に入り開業業効果の勢いにも陰りが感じられます。今回の探勝路開放でも新燃岳の近くまでは行けませんが、久しぶりにミヤマキリシマの群生が観察できるのではと思います。
新燃岳にできた新しい山の形は、霧島の名所になっています。霧島地域は世界ジオパークの認定を目指して、地域で様々な取組も推進しています。特に観光関連業界の方々は、自らの足で霧島地域周辺魅力を知り語って欲しいと願わずにはいられません。そのことが滞在者を増やすことになります。
県民の皆さんも山に登ることで、変化する霧島の山々の美しい姿に感動するのではないでしょうか。
2013年4月30日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
5月の4連休が間近となり、民家の庭先に高々と鯉のぼりが泳ぐ姿が美しい季節となりました。
【歌詞】こいのぼり 作詞:近藤宮子 作曲:不明
屋根より高い 鯉のぼり
大きい真鯉は お父さん
小さい緋鯉は 子どもたち
おもしろそうに およいでる
【歌詞】こいのぼり 作詞:不詳 作曲:弘田龍太郎
いらかの波と くもの波
重なる波の なかぞらを
橘かおる 朝風に
高く泳ぐや こいのぼり
2曲とも端午の節句に飾られる鯉のぼりをテーマとした日本の童謡・唱歌です。 こいのぼりは、元来日本の伝統的風習で、江戸時代に武家で始まったとされ、男児の出世を願って、家庭の庭先で鯉に模した吹き流しが飾られました。端午の節句である旧暦の5月5日までの梅雨の時期に飾られることから、「皐月のぼり」とも呼ばれます。
最近、田舎では子どもの出生が少なくなり、高々と大きな鯉のぼりを掲げる家庭も少なくなりました。一方、都会では集合住宅のベランダ内に飾る程度のこいのぼりしか見られなくなり、四季を表す日本の伝統的文化を強く受け継ぎたいものです。
日本各地では、こいのぼりにちなんだ行事をおこなっているところがあります。 熊本県と大分県の県境にある杖立温泉では、杖立川の両岸をロープでつなぎ全国から集められた3,500匹の鯉のぼりを泳がせており、その数は日本一と言われています。 多くのメディアにも取り上げられ、その光景をカメラに収めるため全国から観光客が訪れます。佐賀県の川上峡や南九州市の万之瀬川でも同様な光景が見られます。
土佐和紙の産地で知られる高知県いの町では、水にぬれても破れない和紙を用いて作られたこいのぼりが仁淀川に流され、川下りをしながら水中を泳ぐこいのぼりを見ることができます。普通は空を泳ぐこいのぼりですが、これを仁淀川という清流の中で生きる鯉のように泳がします。
これは、和紙文化と清流との関わりの深さを次世代に引き継がせるためであると、主催者は語っています。「鯉は水に帰って自由に泳ぐ」という発想から生まれたイベントが今や四国を代表する観光イベントになっています。
県内では薩摩川内市が川内川河川敷に幟を立て、こいのぼりを泳がせており、国道3号や新幹線からも臨むことができ、河畔を散策する人の目を楽しませています。伝統的行事を、子どもの頃から四季折々に見せることは、地域を愛する心を育てる良い機会になると思います。
ゴールデンウィーク中には県内でもさまざまなイベントが開催されます。
かのやばら園では、「かのやばら祭り2013春」が開かれています。8haの敷地に、約4,000種類5万株のばらが植栽され、GWが見頃となります。日本最大級のばら園では、切り花の体験やスケッチ大会等多彩なイベントが開かれます。
今年はイングリッシュローズガーデンも順調に開花しており例年にない美しい光景が見られるのではないでしょうか。かのやばら園は、静岡市のNPO法人から県内唯一の「恋人の聖地」にも認定されています。
近くにある鹿屋航空基地史料館は無料で見学でき、会館の外にある展示品は、かつて日本の空で活躍した実物の飛行機であり、親子で楽しめる施設ではないかと思います。
佐多岬に通ずる公園道路が無料化されたことにより、九州本島最南端の佐多岬に多くの観光客が訪れることが想定されます。GW期間中は旧レストハウス先の歌碑広場まで行くことができます。
山川~根占港を結ぶフェリーは、便数と車搭載に限度がありますので、GW期間中は、陸路で岬に行くことをお勧めします。周辺の諏訪神社、雄川の滝、神川の大滝、花瀬公園、岸良海岸、パノラマパーク西原台等春の自然の息吹が感じられる場所です。
南さつま市の「2013吹上浜砂の祭典」では、大小60数基の砂像展示、音と光のファンタジー、人気キャラクターショー等の演出など、子どもも一緒に楽しめるイベントが開催されます。
第1ステージ(2~6日)の期間中は、鹿児島中央駅と祭典会場を往復する便利な直行臨時バスも運行されます。松林から吹き抜ける風が爽やかで、多くの出店がありグルメも楽しめます。地元で収穫された「砂丘らっきょう」は、地域の特産として人気があります。 少し足を伸ばして、笠沙の大当の石垣群の里、谷山の段々畑、杜氏の里等美しい日本の原風景が残る地域を訪ねてみてはいかがですか。
枕崎内港水揚場一帯では、「こどもの日かつおまつり」があり、かつお一本釣り大会や、鰹節削り大会など枕崎ならではの催し物が開催されます。新鮮な魚や水産加工品、お茶などの展示即売会も大人気です。
JRの最南端の終着駅である枕崎の駅舎が復活しました。どこか旧駅舎を思わせるレトロ館漂うノスタルジックな造りで、六角形の屋根にはステンドグラスが施されています。
枕崎市では、商店街NO1決定戦Show-1グランプリで2年連続グランプリに輝いた「枕崎鰹船人めし」を売り出し中です。沿線の美しい茶畑や開聞岳の姿が美しい指宿枕崎線のゆったりとした汽車の旅も風情があります。ぜひ港町の風情が残る枕崎をお訪ね下さい。
鹿児島市の仙巌園では、島津家に伝わる大きな五月幟(のぼり)が登場します。高さは13mにもなります。GW期間中は、「GWは君が殿様だ!」の名の下に家族で楽しむことができるイベントが開かれます。遠出ができない方は、鹿児島の歴史に触れる最適の場所であり、噴煙を上げる桜島の雄姿も庭園から見ると格別です。
霧島山は、大浪池、韓国岳、高千穂峰への登山ができます。美しい新緑と変化した新燃岳の姿に会えると思います。登山で疲れた体を温泉で癒してはいかがですか、魅力的な露天風呂も点在しています。
その他、垂水市の高峠など県内各地でツツジが見頃を迎え、長島町では花フェスタ等も開催されています。
今年のゴールデンウィークは、5月5日にまだ空室のある施設があります。インターネット等の情報を検索してください。
こいのぼりが大空に高く泳ぐ日本の原風景を求めて、ゴールデンウィークは旅に出かけませんか。 今県内には、農林・水産物の直売所やレストランが165箇所あります。(25年3月15日現在:公益社団法人 鹿児島県農業・農村振興協会調査) 県内各地を訪ね鹿児島の農水産物、ふるさとの魅力を再発見する機会にしませんか。
ふるさとの 山にむかいて 言うことなし
ふるさとの山は ありがたきかな ~石川啄木~
2013年4月22日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
新学期に入り、修学旅行のシーズン到来です。
鹿児島中央駅に、学生服に真新しい旅行バッグを抱えた集団が見られるようになりました。JR西日本とJR九州の協力のもと、関西地域からの新幹線の修学旅行専用列車の運行が間もなく始まります。
平成25年度は、25校、5,200名の中学生が初めて関西地域から集約臨時列車を利用して鹿児島を訪れます。集約臨時列車とは、学生団体専用の貸切新幹線のことで、時間も特別に設定した列車です。(一部定期列車の利用あり)
普通学生団体の場合、運賃は半額になりますが、特急料金の割引はありません。この列車の特徴は料金が半額になることです。九州新幹線が全線開通したことにより、時間短縮効果が図られ、関西からの行く先として鹿児島の魅力が増したと言えます。
関西地域からの修学旅行の行先は、飛行機利用の沖縄や、博多までの新幹線を活用した西九州地域が主流です。時間短縮効果や集約臨時列車運行による料金軽減、体験メニューの豊富さ等が、行先の変更先として鹿児島への選択肢が増えたといえます。
最近の教育旅行のニーズは、名勝旧跡等の見学中心の旅行から農業・漁業などの自然体験、ものづくり、街を歩きながらの歴史の勉強、戦跡や史料館を通しての平和学習、ゴミ問題や水質汚染についての環境学習、地震・火山など災害への対応等さまざまであり、複数のカリキュラムを取り入れる学校が増えています。
通常鹿児島中央駅に着くと、桜島での火山学習をして鹿児島市内や指宿温泉に宿泊し、翌日は昼から南さつま地域でのグリーンツーリズムと民泊の体験、翌日は知覧での平和学習と鹿児島市内でのまち歩き歴史探訪等複数のプログラムを組み入れた旅行が多くなっています。
桜島の自然の凄さ、初めて触れる土の感触、新鮮な食べ物、親に勝る心で接してくれた民泊先の人々の温かさに感激し、また来たいと涙を流す生徒もいると聞きます。
鹿児島を修学旅行先として選ぶ学校が増えているため、体験民泊地は南さつま地域から大隅、種子島地域へと広がりをみせています。九州新幹線の全線開業で、時間短縮効果と、集約臨時列車の運行で、27年以降も鹿児島方面へ行先を変える学校が増加するのではないかと期待されます。
体験型教育旅行においては、大分県の安心院、長崎県の松浦や島原、小値賀、佐賀県の唐津が人気を博しています。鹿児島の優れた自然環境、歴史等を活かして他の地域との差別化を図り、新規需要の開拓が求められます。
そのためには、鹿児島ならではの体験メニューの提供、おもてなしの向上、また、受入側の安全面に対する意識を向上させ、体験学習における安全性を確保することが何よりも重要です。
昨年、旅行出発3日前に受入家庭が数軒変更になるという事態が発生し大きなクレームになりました。変更理由は、主人に業務が入って受入ができないということでした。 業務が入ることが想定されれば、最初から受入をしないことが相手に迷惑をかけないことになります。
学校側は修学旅行の出発前から十分な時間をとり、受入地域の研究、民泊に対する準備や指導を行っており、受入地域や家庭が変わることは、事前研究の見直し、父兄への連絡、プリントの印刷変更と大変な業務を伴います。学生の受入に当たっては慎重な対応が求められます。
また、生徒の宿泊先は登録許可をもつ簡易宿所ではなく、一般の農家・漁家がほとんどです。料理はみんなで作るというのが絶対的なルールであり、保健所の指導により、手洗いの励行、生ものを出さない、火を通すなど保健衛生面での格段の配慮が必要です。
また農業体験では、農機具などでの怪我や事故にあわないような格段の注意が必要です。都会の生徒の多くは、家での家族との会話が少なく、民泊先での温かい心のふれあいに 涙する生徒が多く、家族同様のおもてなしに感動します。
鹿児島県は、教育旅行のニーズに対応できる環境が九州のどの地域よりも揃っていると思います。そのためには、地域での人材の確保、学校現場が安心して生徒を宿泊できる環境にある簡易宿泊所の登録推進が求められます。
長崎県の松浦地区は年間3万人の学生を受け入れていますが、90%以上が「簡易宿所営業の許可」を取得していますが、鹿児島では、約1000件の受入農家のうち10%程度です。ぜひ許可を取得して、学校側の信頼を確保して欲しいと思います。
25年度は、24,800人の民泊が予定されていますが、もう1泊は、温泉地や市内でのホテル宿泊がほとんどです。連携し新しい需要開拓で相乗効果をもたらす努力が必要です。
新幹線による集約臨時列車の運行は、永続的に顧客を確保する一番の安定策であり、鹿児島への教育旅行が増加することは、経済的効果も大きく大変ありがたいことです。 一方では鹿児島の学校と実施時期が重なります。貸切バスやガイドさんの確保が厳しくなっています。昨年の高速バス事故等でより安全なバスの運行態勢がもとめられています。
また、ガイドさんへの就職希望者が少なく、各社ともガイドさんの絶対数が足りません。 県内の学校は、2泊3日の行程で九州管内をバスで利用する修学旅行のため、シーズンのガイドさん不足は切実な問題となっています。
県教育旅行受入対策協議会、鹿児島県観光連盟、鹿児島県バス協会で関係団体に、実施時期変更等の要請も行っています。学校行事を考えると大幅な変更は難しいのが現状です。 県外の学校は集約臨時列車の関係で2年前に実施時期が決定するのに対し、県内はほほ1年前に決定するのが通例となっており、計画の段階でバス不足が懸念されます。 このような状況が続くと教育的価値の高い修学旅行の実施が危ぶまれるため、何らかの打開策が必要です。
関西地区と同様に鹿児島中央駅発の集約臨時列車の設定を行い、現地で他県のバスを利用する方法も考えられます。また、オフ時期のバス、宿泊代等の軽減化で実施時期の変更も考えられます。関係する団体で協議会をつくり、諸問題の解決を図ることが求められています。
一度鹿児島を訪れた子供達は、成人したらまた来てくれるリピーターにもなります。温かいおもてなしで、子供達に大きな夢をもって帰ってもらいたいものです。 生徒さんたちに学生時代のよき思い出として残る修学旅行を提供できる場を提供していきたいものです。
2013年4月15日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
国民文化祭は、全国各地で行われている各種の文化活動を全国規模で発表、競演する機会を提供することにより、国民への文化活動への参加の機運を高め、新しい芸術文化の創造を促すことを目的として開催されます。
昭和61年から毎年、各都道府県持ち回りで開催されている国内最大の文化の祭典であり、記念すべき第30回大会が、2015年鹿児島県で開催されます。
本県で国民文化祭を開催する意義として、
県民一人ひとりが、企画・運営に主体的に携わり、常に進取の気性に富み、異文化とのふれあいを通じて先人が創り上げてきた誇るべき鹿児島の風土や文化芸術に触れ親しむなかで、我々が「違い」に寛容で、進取と含羞の心を併せ持つ「鹿児島県民」であることへの誇りを共有し、再認識することです。
また、県、国境を越えた地域や人々との連携交流などから生まれる新たな文化芸術の創造や脈々と受け継がれてきた伝統的な文化芸術の価値や重要性を尊重しつつ、現代の「鹿児島らしさ」を失ってしまった「鹿児島らしさ」を見つめ直し、未来へと繋ぐ契機となるような国民文化祭にしたいとしています。
今回の国民文化祭の特徴として、県下43の全ての市町村で何らかのフェスティバルが開催されることです。これまで「ねんりんピック」や「都市緑化フェア」など大型のイベントが開催されましたが、参加人員では、それらを大幅に上回る参加者が予定されています。平成22年の岡山大会では、190万人が参加しました。
すでに実行委員会が組織され、準備がスタートしています。
1 開催期間については、
(1)主催事業 2015年 10月31日(土)~11月15日(日)[16日間 ]
(2)協賛事業 2015年 7月 ~ 11月 [5か月間 ]
2 テーマは、
本物。鹿児島県 ~文化維新は黒潮に乗って~ です。
3 マスコットキャラクターは、
かごしまPRキャラクター「ぐりぶー」とかごしまPRサポーターの「さくらじまん」を活用します。
4 愛称、ロゴマーク
ひっとべ!かごしま国文祭 です。
5 主催事業開催等
(1)総合フェスティバル(2事業)
(2)シンポジウム(5事業)
(3)分野別フェスティバル(102事業)
(4)県民自主提案事業
となっています。
今後大会の成功に向けて、県民あげての協力が必要であり、観光振興にも役立てていかねばなりません。
まず始めに県内全ての43市町村で何らかの文化イベントが開催されることから、国民文化祭への関心をいかに高めるかが第一です。
開催まで2年あまり、プレイベントを開催するなど告知を徹底する必要があります。文化イベントは、スポーツイベントに比べて集客が難しく、日頃から趣味で楽しんでいる人々しか参加しないケースがよくあります。多くの市民に参画させる努力が必要です。
そのためには、前年に開かれる大会の下見ツアー等を実施して市民の関心を高める必要があります。また、地域の自然や文化、周辺の観光地なども定期的に所属団体にPRして、開催地としての情報発進力が問われます。さらに、交流を第一に参加者との事前の接点を増やす努力や地域のおもてなし力が問われます。
今回の大会は離島でも各イベントが開催されます。大会のスローガンにあるように、黒潮に乗ってのイメージを大切にしたいと思います。県内には28の有人の離島がありますが、それぞれ独特の文化や風土があり、大会後の観光客誘致のためのPRの大切さを感じます。
国民文化祭では、多くの子どもやお年寄りを参加させることで、後継者の養成にもつなげねばなりません。学校を卒業すると地元を離れることが多い鹿児島の子ども達にとって、地域の文化を知ることは郷土愛を育てることになります。
県内で文化事業を興行しても、中々集客が厳しい土壌であると関係者から聞きます。今回の国民文化祭は、カルチャー文化を育てるいいチャンスにしたいものです。開催まで市民の関心をいかに引き寄せることができるか問われています。国民文化祭がその機会になることを期待します。
偶 成
少 年 易 老 学 難 成
一 寸 光 陰 不 可 軽
未 覚 池 塘 春 草 夢
階 前 梧 葉 已 秋 声
2013年4月8日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
平成19年1月に施行された観光立国推進基本法に基づき、政府は観光立国の実現に関するマスタープランを作成しましたが、その重点施策の一つが国際会議の誘致促進です。 2010年日本での国際会議の開催件数は741件で、東京(190件)、横浜(82)、京都(61)、神戸(45)、大阪(32)、札幌(31)と続き、大都市圏に集中しています。
日本が国際会議への取組強化を進める背景には、交流人口の拡大は国の成長戦略に不可欠であり、特に急激な経済発展を続けるアジアからの誘客は、重要な戦略となっています。 国内外を問わずビジネス・観光を兼ねた多くの人が集まることから、経済効果は宿泊、交通、通信、通訳、飲食店、お土産品、観光関連施設等多くの業種に及びます。
アジアでは、24時間空港を持つシンガポールやソウルが国際会議の誘致に力を注いでいます。 国際会議の誘致しやすい条件としては、会議場や宿泊施設が整っている。国際空港が近い。会場までの交通アクセスが便利である。通訳・案内業務がスムーズにいく態勢ができていることなどです。
日本国内でも国際会議の誘致を含めて、MICEに積極的に取り組んでいる自治体が増加しています。
MICEとは下記の4つの頭文字「M」「I」「C」「E」からとった造語です。
・Meeting
企業の会議、セミナー等
グループ企業の表彰式、投資向け金融セミナー、商談会、キックオフセミナー
銀行が行うクライアント向けの投資セミナー、企業の支店長会議、周年事業
・Incentive Travel
従業員やその代理店の表彰や研修などの目的で実施する旅行
保険会社が保険獲得優秀社員への報奨旅行、ディーラーや電気店の販売店の目標達成旅行、ホテル貸切による社員感謝祭
・Convention
国際団体、学会、業界団体、学術会議や総会
世界ロータリークラブ大会、ライオンズクラブ大会、商工会議所大会、
日本PTA大会、校長大会、医学界総会、全国法人会総会、商工会全国大会、
弁護士会総会、各教科別の研究大会、各業種の大会
・Event/Exhibition
音楽・文化・スポーツイベント、展示会、見本市、農業祭
国民文化祭、モーターショー、オリンピック、ワールドカップ、郷土芸能祭
市民マラソン会、ウォーキング大会、国体、県民体育大会、インターハイ等
一つの大きな国際会議を開くためには、メイン会場の他にいくつかのサブ会場が必要です。東京、大阪、京都、神戸、札幌の大都市に比べると、鹿児島は、本格的な国際会議場の不足はゆがめません。また、外国語表記、通訳の確保、銀聯カードの使用店の拡大等も不可欠です。
九州においては、北九州市、福岡市、別府市、長崎市、宮崎市、熊本市に国際会議場を備えた施設があります。国際会議の誘致にはこれから各都市がしのぎをけずります。コンベンション誘致態勢の強化や会場整備を急ぎたいものです。
一方国内コンベンションの開催は鹿児島市での一極集中であり、指宿市、霧島市、鹿屋市、出水市、薩摩川内市、奄美市などでも大会を誘致する必要があります。 また、桜島ハーフマラソン、指宿菜の花マラソン、菜の花ウォーク、霧島市のハネムーンウォーク、屋久島ツーデーマーチ、ヨロンマラソン、出水ツルマラソン、種子島ロケットマラソン、南さつま市の砂の祭典等県内には多くのイベントがあります。イベントを活性化させるには、隣県や県内からいかに集客するかが問われています。
1000名程度の大会であれば、国内の会議やスポーツ大会等の開催は、地方でも可能ではないでしょうか。そのためには、誘致するための組織体制の確立が必要です。 行政や観光団体と連携し、定期的に各種団体の事務局や教育委員会、大学等をセールスし我が町での開催を働きかけねばなりません。春休み、夏休みを利用した学生のスポーツ大会等は、スポンサーを確保して運営することが経費の面でも助かります。
自治体の統廃合や学校の閉校などで、グランドや体育館等の空きは多く、宿泊施設の不足分は近隣の市町村と連携すれば解消できます。特に離島は、生活文化の違いや自然の魅力を売りに、大会誘致を進めることが得策です。離島甲子園や離島サミット、島巡りマラソン、ウォーク等は、離島の知名度アップにつながります。
「世界自然遺産登録20周年」の屋久島、「日本復帰60周年」の奄美群島は、今年は大会誘致にはいいタイミングではないかと思います。
一方ではアフターコンベンションの受入を強化することも重要です。鹿児島で全国大会を開くと、終了後のエクスカーションの参加者が多くなります。それは観光資源に恵まれていることや、九州本土最南端の県であることから、延泊して指宿や霧島、離島などに行く人が多くなるからです。屋久島へのツアーは特に集客が見込めます。
鹿児島は豊かな自然に恵まれ「本物。鹿児島県」の魅力は、観光客の心を捉えます。特産品や飲食店への波及効果も大会誘致のメリットです。 自治体は、最初から国際会議や全国規模の大会ではなく、九州大会や県大会などのコンベンションの誘致、食やスポーツのイベント等を開催することから始めるのが得策ではないかと思います。
MICEの分野は広く、受入可能な市場から開拓し地域の活性化に繋げることが必要です。交流人口の増大は、多くの経済的効果を生み出します。今こそ地域総力戦で、MICEに取り組むことが求められています。
2013年4月1日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
平成25年度が今日からスタートとします。4月1日が月曜日ということでなにかと良い年の巡り合わせを感じます。 自治体や学校では新年度が始まりますが、新しい組織や新たなポストでのスタートの人にとっては、気の引き締まる年度始めではないかと思います。
石ばしる
たるみの上のさわらびの
萌えいづる春になりにけるかも
志貴 皇子~万葉集~
新学期になると、まもなく修学旅行も始まります。鹿児島県において民泊型教育旅行の受入は平成16年からであり、関東からの高校生が最初でした。
特定非営利活動法人エコ・リンク・アソシエーションの調査によると、2校360名の受入が、25年度は67校、19,224人の取り扱いとなります。出水地域と与論島は独自の組織で受入を行っており、その数を合わせると93校、人員で24,800人になります。 受入農家は約1030軒(平成24年10月末現在)となり、一部の離島を除いて県下全域に広がっているのが他県との違いであり、今年から種子島での受入も始まります。
先日種子島で「グリーン・ツーリズムフォーラム」が開催され、熊毛支庁、西之表市、中種子町、南種子町、観光協会、受入農家等が参加して研修会を実施しました。南さつま市で「陽なたぼっこのよしおちゃん家」という民宿を経営している宮崎トミ枝さんから、受入の実情についての具体的説明がありました。受入前と帰るときの生徒さんの生活態度が大きく変わることについて、驚きや受入体制の責任の重さを感じました。
種子島の本格的な受入は、26年度から始まりますが、1市2町の農家・漁家では定期的な研修会や先進地視察等を行って受入体制づくりの強化をはかっています。 26年には東京の著名な女子高校を受入する予定であり、これが試金石になると思います。
これからの課題としては、簡易宿所営業の許可を取得する農家・漁家を増やすことであり、それが他地域との差別化になります。取得には25,000円程度の経費がかかりますが、自治体の支援を含めて後押しが必要です。
種子島は、本土最南端の佐多岬から南東約40Kmの位置にあり、鹿児島港から高速船で1時間45分と比較的本土に近い島です。日本で初めて鉄砲が伝わった地で、また、世界で一番美しいといわれるロケット基地があり、小中学校の社会の教科書には必ず掲載される島です。しかし県外の方には、どこにあるのか、どのような魅力があるのか、正確に答えられる人は少ないと思います。今後のPRが必要です。
行先として種子島という離島を選択していただいたからには、島ならではのオンリーワンの体験メニューとおもてなしを提供する必要があります。日本でいちばん早く収穫されるお米、糖度の高い安納芋、サトウキビ、レザーリーフファンなど豊富にあり、平坦な土地を活用し、グリーンツーリズムによる体験型教育旅行の誘致は最適と思います。
島の東南端の海に囲まれたまばゆい景勝の地に、「種子島宇宙センター」があります。同敷地内にある「宇宙科学技術館」には、実物大のモデルやゲームなどを通して、宇宙開発におけるさまざまな分野を楽しみながら理解することができ、子供たちが宇宙に興味を持つことができる貴重な施設です。また発射場の近くまで行ける無料の見学バスがあり、大人も一緒に楽しめる場所です。子ども達に、いつか本番の打ち上げと、その迫力を体験させたいものです。特にSSH(スーパーサイエンスハイスクール)の誘致には最適な施設です。
また、島は遠浅のビーチが数多くあり、太平洋の荒波が打ち寄せる鉄浜海岸などは、絶好のポイントとなり、全国から多くのサーファーが集まり1年中楽しんでいます。農業体験の終了後、砂浜を素足で歩き、打ち上げられた漂流物や、貝殻を集めるなど海の体験は都会の子どもたちにとっては、貴重な体験です。
千座(ちくら)の岩屋は、太平洋の荒波で削られてできた洞窟であり、千人が座れる広さがあることからその名前が付いています。白砂を踏みしめながら、近づくと潮の満ち引きで変化する洞窟が現れます。洞窟から太平洋に沈む夕日を見ると、生徒たちは感動に震えるのではないかと思います。生徒達にぜひ体験させたいメニューです。
西之表市内には赤尾木城址、日本初の火縄銃製造に成功した「種子島時堯公」の像、鉄砲の歴史が一目でわかる鉄砲館などがあります。また「月窓亭」は、大日本池坊総会頭職を務めた羽生道則などを輩出し、名だたる名家である羽生家の屋敷であり、明治以降においては、歴代種子島当主が居住するなどたいへん由緒ある建物であり、歴史の勉強に役立つのではないでしょうか。特に女子生徒には、生け花や茶道の体験場所としては最適です。
また、西之表港は種子島の玄関口であり、鹿児島、指宿、屋久島との高速船の発着港として恵まれた場所です。
種子島への誘客には、「世界遺産の島・屋久島」との連携が不可欠です。それぞれの違った島の魅力を提供し、両島に宿泊させる取組が重要です。 佐世保市から定期船で3時間かかる小値賀島は、人口2700人の小さな島ですが、民泊を中心に年間修学旅行を10校受け入れており、島の活性化に大きく貢献しています。
24年度からスタートした錦江湾・離島航路修学旅行利用促進事業補助金制度もあります。九州新幹線全線開業による時間短縮効果が図られ近くなった種子島へ、グリーンツーリズムの魅力を活かし、教育旅行を誘致したいものです。
2013年3月25日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
人口減少や少子高齢化の進展に伴う地域の疲弊が進む中、交流人口の拡大で地域を活性化しようという動きが各地で見られるようになりました。受入側の地域が、地域資源を活用した旅行商品や体験プログラムを企画運営する体制が整いつつあります。
鹿児島県旅行業協同組合は、"魅旅"という愛称で着地型商品を造成し、地域への観光客誘致に努めています。
「発地型旅行」は「着地型旅行」と比較すると、都市圏の大手旅行エージェントが中心となり、交通機関や宿泊施設、観光施設を一括して安く仕入れして、大量にしかも安価で販売しているのが特徴であり、しかも大型温泉地や観光地巡りなど型にはまった旅行になりやすい。
一方着地型旅行は、地域の旅行会社が、従来大手エージェントが手掛けてこなかった地域資源を活用し、自治体や地域住民を参画させた独自性の高い旅行企画となっています。
ここ数年着地型旅行が人気を博しているのは、まず、最近の旅行者のニーズが多様化していることがあげられます。鹿児島県の平成23年の宿泊統計で見ると、団体旅行が3割、個人旅行が7割となっており圧倒的に個人中心の旅行となっています。従来の名勝旧跡の見学、宴会型旅行が敬遠され、目的がはっきりした個人趣向の要素が強くなっています。
旅先で「現地をゆっくり歩きたい」、「地元の人が集まる店で一緒に歌い地元料理を食べたい」、「地元のひとの暮らしをもっと勉強したい」、「田舎の祭りに自分も参加したい」等個人が求めるニーズも多岐にわたっています。
そのことで地域と連携し、観光客のニーズに答えることが求められており、自治体の協力も得やすい環境になっています。地域に眠る資源の掘り興しと商品化で「観光まちづくり」にもつながります。
一方では地元の人たちも知恵を出し、工夫をこらしたプログラムづくりが必要です。 観光まちづくりを進めることで、地域の新たな価値を創りだし、交流人口が増加し、そこに住んでいる人々も我が町に誇りを持つようになるのではないでしょうか。
ところで、「魅旅」は24年度は89本のツアーを催行し、2,004人を集客しています。方面別実績で見ると大隅地域が41本、離島の三島が16本、北薩方面が17本、南薩方面が6本、その他が8本となっており、圧倒的に大隅方面へのツアー催行率が高くなっています。
やはり大隅地域は未開拓の観光地であり、県民も行っていない場所が多いのではないかと思います。大隅地域へのツアー参加者のアンケート分析結果を報告します。
男女別では全体の73%が女性で、男性は27%となっており、年齢別では60歳以上の占める割合は、男性参加者で83.9%、女性参加者が77.9%、合わせて78.8%となっており高齢者の参加者が多いのが特徴です。定年退職者は生活にゆとりがあり、自分の時間を自由に使える世代ではないかと思います。
参加者の居住地で見ると、鹿児島市内の方が82%と圧倒的で、企画募集の際は人口の多い大都市圏が有利です。県外をターゲットするよりまず鹿児島市からの誘客に力を注ぐべきです。同伴者では女性が友人・知人が多いのに対し、男性は家族同伴が主流であり、他人より身内を優先しています。男性は奥様に引っ張られて旅行に出かける人が多いのが特徴です。
参加回数は、初めての方が61%を占め、大隅地域の知名度の低さがあげられますが、2回以上の方も38%います。しかも参加者の満足度では、87%が満足しており大隅地域の魅力発信が重要であり、今後の企画にはずみが付くのではないでしょうか。
情報入手の方法は、新聞告知に続いて口コミが多くなっています。口コミは経験者が直接語ることで、確実に集客につながります。 また、申込みの手段としてHPからの情報入手は少なく、インターネットの活用が高齢者に一般化するのには、まだ時間がかかると判断せざるを得ません。
参加した理由は、「行先に魅力を感じる」がもっとも多く、「体験メニュー」や「知人の勧め」、「食」と続き、行ったことのない大隅地域の未知の部分に惹かれているのではないでしょうか。
最後にツアー中の買い物金額は1千円~3千円が55%で多く、意外と消費金額が少ないと感じます。特産品やお土産を買う施設が少ないことをあげています。大隅地域は鹿児島県有数の農業生産地であり、直売店や魅力ある商品の開発が求められます。また、女性は物づくり体験や買い物、男性は散策や歴史、自然観賞、広域の観光等を望んでいることが伺えます。
地域の魅力を探し出し、磨き、地域のブランド力を高める取組が今強く求められています。大隅地域は従来著名な観光地が少なく、行ったことのない県民が多いのも事実です。 九州本土最南端の佐多岬公園が無料化され、観光客を呼べる環境が整います。地域の人たちが住んでいる何気ないまちの日常生活や祭り、イベント、食等が新たな視点と感性で、着地型の商品に生まれ変わります。
鹿児島県旅行業組合の「魅旅」は、県民には知られていなかった地域資源を探し、磨き上げ商品化し誘客に努力しています。
これからの商品造成に期待するとともに、引き続き支援を強化していく必要があります。
そのことが県全体に新幹線開業効果を広げることになると信じます。
参考:体験交流型観光ビジネスモデル確立事業
鹿児島県旅行業協同組合 魅旅
2013年3月18日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
錦江湾に浮かぶ桜島は、大正3年の大爆発で大隅半島と陸続きとなり、来年がその噴火から100年になり、記念イベントも計画されています。
私の祖父はかつて桜島の対岸の牛根に住んでいましたが、大爆発の影響で大隅半島に転居を余儀なくされました。今でも牛根地区に親戚が住んでいることから、子供の頃は夏休みになると、近くの海岸でよく泳いだものでした。小生のルーツは桜島を望む地であり、噴火には特に関心があります。 近年爆発の回数が増え、今年はすでに250回を超えています。(3月15日現在)
活発な噴火活動を続ける桜島には約5,000人が、海を挟んでわずか4kmの市街地には60万人の人口が住んでいます。常に噴火を繰り返す活火山の近くに、このような大きな都市が存在している地域は世界中どこにもありません。
爆発は大量の火山灰を伴い、周辺地域の農畜産物に大きな被害をもたらします。しかし訪れる観光客は桜島の噴火を目の当たりに接すると、自然の凄さに感嘆の声をあげます。先日海外のお客様を案内していると、垂水の牛根付近を通過中に桜島が爆発し、路肩に車を止めて噴火の姿をカメラに収めました。彼らは「ワンダフル」と驚嘆の声をあげていました。まさに世界に誇る鹿児島の観光資源です。
鹿児島中央駅前(以前は西鹿児島駅)に大きなビルがない時代は、駅前広場で観光客は、錦江湾にそびえる桜島をバックに記念写真を撮る姿がよく見られました。今では新幹線が到着すると、ホームの先端まで行き写真を撮る観光客が目につきます。
市内に宿泊した観光客は、対岸にある湯之平展望所や桜島一周等に出かける人は意外に少ないと感じます。城山に登れば全体が見える山ですが、ぜひ島を巡ってその魅力を体感して欲しいと思います。
フェリーは24時間運行で一日83往復あり、わずか15分で桜島港(袴腰)と結ばれ気軽に行くことができます。
桜島に渡ることで、大自然の息吹に直接触れることができ、桜島の偉大さに気づくのではないでしょうか。宿泊者に対するホテルの従業員のお勧めや市民の後押しが必要です。
桜島周辺には、豊富な温泉や、おいしい水など自然の恵みが湧き出ています。また、溶岩園や噴火口の近くを望める「湯之平展望所」、歌手の長渕剛さんがオールナイトコンサートを実施した「赤水展望広場・叫びの肖像」、大噴火の記憶をとどめる「黒髪埋没鳥居」等観光の名所となっています。
海から桜島と錦江湾の魅力を探る「よりみちクルーズ」が新たな観光コースに加わりました。春になると「ビワ」、秋は世界一小さい「さくらじま小みかん」、冬は世界一大きい「桜島だいこん」と厳しい自然のなかで育った農産物は、桜島の名産品として観光客に喜ばれています。
桜島を訪ねたらぜひ立ち寄って欲しいのが、「さくらじま旬彩館」です。桜島で収穫された農産物を加工した製品が並べられています。特産の小みかんを活用したドレッシング、スパイス、ジャム、酢味噌等「おふくろ」たちの手による、おいしいアイデアあふれた加工品が観光客に人気です。
また、桜島には多くの文人墨客が訪れています。文化の香りが漂う句碑巡りも楽しみの一つです。名作「放浪記」を残した林芙美子の文学碑は、古里温泉を見下ろす公園にあり、彼女の生き様を表すような「花のいのちはみじかくて苦しきことの多かりき」の文章が刻まれています。林芙美子の母親の本籍地は、古里温泉であり「放浪記」の書き出しの部分にその記述があります。
桜島港を望む高台にある月読神社の近くには、高浜虚子の「溶岩に秋風の吹きわたりけり」の句が、なぎさ遊歩道周辺には、金子兜太、角川晴樹、水原秋桜子や、志布志市出身の藤後左右の「夏山と溶岩(らば)の色とはわかれけり」の句碑があります。
また、太平洋戦争中、通信隊の基地があった桜島の洞窟陣地で終戦を迎えた梅崎春生は、戦後その体験を元に小説「桜島」を発表しています。
「溶岩なぎさ公園」の中にある文学碑には次の文章が刻まれています。 「赤と青との濃淡に染められた山肌は、天上の美しさであった」。今も昔も変わらない桜島の美しさを表現しています。 公園内には全長100mもある日本最大級の足湯があります。熱い温泉で旅の疲れを癒し、桜島の雄大な景色を堪能してはいかがですか。
また、桜島では子どものイベントがよく開催されていますが、応援のため家族も一緒にわたることから観光の面からもメリットが大きく、これからも市街地に近い利点を活かしスポーツイベントの開催などを積極的に推進することが求められます。
また最近では、教育旅行のフィルドとして人気があり、NPO法人桜島ミュージアムの職員が、同行し説明を行っており、桜島の自然を活用した貴重な体験ができるメニューが人気を博しています。「温泉掘り」や「桜島ガイドウォーク」、「溶岩でピザ釜&ピザづくり」等は桜島ならでの経験です。 降灰という負の遺産を優位性に変え、身近に観察できる大自然の息吹を活かすことが大切です。
錦江湾にもし桜島がなければ、鹿児島市は印象の薄い都市となり、観光客を呼ぶことは大変厳しいと思います。
ぜひ多くの県民が桜島に渡り、その魅力に直接触れていただき、また、クルーズ船に乗り、海から見る桜島や鹿児島市街地の魅力も知っていただき全国にPRすることが、今求められています。
2013年3月11日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
啓蟄(けいちつ)が過ぎ一雨ごとに温かくなっているように感じるこの頃です。北国では厳しい天候が続き、3月になっても雪に覆われた地域もあり、春はまだ遠いという状況ではないかと思います。狭い日本の中でこれほど気象の差に驚かされます。
日本は四季がはっきりしており、そのことが春夏秋冬それぞれ美しい自然景観をつくり出しています。美しい山河がもたらす自然の恵みを、私たちは草花や食を通して感じることができます。
春と言えば桜の開花が気になります。ウエザーマップ『さくら開花予想2013』によると、今年の開花日は高知県が3月21日で一番早く、鹿児島は3月25日で九州では一番遅い開花日予想となっています。桜前線は日本列島を北上し、北海道の函館での開花日は、4月30日となっています。(3月1日発表)
開花予想は、ソメイヨシノの木を対象に全国54地点(奄美・沖縄地方をのぞく)の予想を発表しています。なぜ桜の開花予想がソメイヨシノかと言うと日本で一番多い桜の品種であり、全国的に生育している桜であるからです。
桜の開花予想は、旅行商品の販売には重要なポイントとなります。桜は開花から満開、葉桜へと長くても2週間程度で推移するため短期間の販売となります。
桜の開花に合わせて周辺の観光地を組み入れるツアーは苦労します。特に開花予想から雨や気温の差で早まったり遅くなったりで、常に緊張感を持って臨んでいるのが桜の旅行商品企画ではないかと思います。
全国に桜の名所は数多くありますが、日本の5大桜と言えば、福島県の「三春滝桜」、埼玉県北本市の「石戸蒲桜」、山形県北杜市の「神代桜」、岐阜県本巣市の「薄墨桜」、静岡県富士宮市の「狩宿の下馬桜」です。
他にも北海道の松前城、五稜郭公園、東北の角館、弘前城公園、上野公園、長野県の髙遠城址公園、京都岡崎公園、大阪造幣局、奈良吉野山、福岡舞鶴公園、熊本城、都城市の母智丘公園、などが有名です。県内では、日本さくら100選の伊佐市の忠元公園、知覧平和会館、鹿児島市の吉野公園、甲突川河畔などが有名です。
今年全国的に話題となるのは、福島県の会津若松城や三春の滝桜ではないかと思います。 NHKの大河ドラマ「八重の桜」が放映中ということもあり、多くの見物客で賑わうことと思います。ちなみに福島の開花予想は4月10日となっています。
桜は奈良、平安の時代から多く小説や歌の中で取り上げられています。源氏物語、枕草子、土佐日記等に加えて、万葉集、古今和歌集、新古今和歌集などがあります。また近代の文人にも愛され多くの文学作品や短歌、俳句の題材となっています。 戦争に行く若者の激励や戦争で亡くなった人々を祀る神社等の歌詞にも使われています。
また、百円硬貨や警察官や自衛官の階級章等にも使用され日本人には、とりわけ愛着のある花ではないかと思います。豊臣秀吉は醍醐寺に700本の桜を植えさせ、盛大な花見を催したと言われています。
これほど桜が慕われるのは、開花から散るまでの期間が短くて潔い印象が残り、また、色鮮やかさと木全体に彩りを放ちます。そのことが日本人の心を捉えるのではないでしょうか。 また入学や社会人へのスタートの時期と重なり思い出に残る花として、植樹される機会も必然的に多くなります。桜の前で撮影した思い出の写真をお持ちの方は多いと思います。
桜の咲いている期間は短いですが、多くの人々を惹きつけ、夜桜見物や花見の宴は楽しいものです。熊本県阿蘇にある九州一の銘木「一心行の桜」は、全国から多くの観光客を集め、公園の周辺には物産展や夜店が並びます。
皆様の地域にも立派な枝振りで多くの花を付ける桜があるはずです。たとえば地域の銘木10本を選定し、簡単なパンフレットと位置図を作りPRしてはいかがですか。ウオーキング大会等で神社の境内や公園の桜を見せる努力が必要です。そして地域に来た人に農家レストランや直売店に立ち寄ってもらうことで、地域産品の販売につながります。まず周辺の住民や県民へのPRが必要です。
また桜の巨木や多くの桜が咲く公園では、地域の伝統芸能の発表会や農業市等を開催することで多くの誘客が図れます。地域の桜をもう一度点検されたらいかがでしょうか。桜の開花まで後2週間です。
山桜 咲きそめしより 久方の
雲居に見ゆる 滝の白糸
源俊頼
清水へ 祇園をよぎる 桜月夜
こよひ逢ふ人 みなうつくしき
与謝野晶子
夕桜あの家この家に 琴鳴りて
中村草田男
2013年3月4日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
3月に入り各自治体では25年度予算の議会審議が始まりました。最近では観光振興に力を注ぐ自治体が増えており、議会の行方にも注目したいものです。
2008年10月1日に「国土交通省」の外局として「観光庁」が設置されました。 日本も国策として観光が推進されることになったのですが、外国に目を転じると観光大臣を置いている国が多く、日本はむしろ遅すぎるぐらいの庁の設置ではなかったかと思います。本格的な少子高齢化社会を迎え、交流人口拡大による地域活性化は、自治体にとって重要な政策であり、観光振興は不可欠なものとなっています。
観光振興の推進にあたっては、行政、経済団体、業界、民間事業者の力が大きな柱になります。観光振興をすすめる観点で捉えると、それぞれの壁をいかに乗り越えるかが課題となっています。 まず、行政と行政の壁です。各自治体は税収が伸び悩む中で、多岐にわたる町の振興が必要であり、効率的な予算執行が求められています。
そこで観光のパンフレットを点検すると、ほとんどが自分の市町村に関することしか掲載されていません。少なくとも県内のどの位置にあるのか、最寄駅もしくはインターチェンジ、空港等に合わせて隣接する市町村を載せることで相乗効果が生まれます。自分の町は知られていると思っている人が多いのではないでしょうか。
町民も訪ねたことがない遺跡や渓谷、神社仏閣が多いのが事実であり、我が町の存在を知らせるためには、他の町との連携が欠かせません。有名温泉地を持つ自治体は隣町と共同でPR活動を行うことで、着地型観光の誘客が宿泊につながります。
ところで、単独で大阪や福岡の地下街等でPR大使を伴って宣伝をするケースが多く見られますが、その効果は疑問です。パンフレットを1万枚配ることができたと喜んではいられません。多くのパンフレットが地下街のゴミ箱に捨ててあり、来店客は商品欲しさに何回も並んでいる人が多くいます。 むしろ広域連携でPR組織を作り、テレビ局訪問等で情報番組に出演し、地域特産品の提供等を行うことが大きな宣伝効果を生み出します。
また、旅番組の誘致も知名度アップとなります。エージェントに対しては、ホテル等での説明会や商談会を開催することで、旅行商品の造成や人脈づくりにつながりその後のセールスにも役立ちます。
旅行エージェントの担当者と話をすると、単独の町で来られても個人情報の関係で店内での面談には制限があり、挨拶程度に終わり兼ねないと印象が薄いと言っています。 我が町をPRし、誘客したい理由はわかりますが、認知度、商品造成等を考えると自治体の連合でやる方が、費用も少なくてすみ効果が上がるのではないでしょうか。
例年福岡、京都、大阪で毎年スポーツ合宿のセミナーを開催していますが、着実に実績が上がっています。県内の多くの自治体が参加しており、また、セミナーへの大学の参加校が増えているのは、一度に多くの自治体の施設・補助金・受入体制等の概要がわかり選択肢が広がり、その後の人脈づくりと合宿誘致に結びついています。行政と行政の壁を越え、連携体制が誘客に効を奏しています。
次は行政と業界との壁です。観光振興には商工会議所、商工会、農協、漁協、NPO法人等民間組織の役割も大きいものがあります。地域のイベントを実施する場合は行政と業界の協力なしには開催できないのがほとんどです。協賛金等の収受も大きな課題となります。 また、実施本部を作るとなると、誰をトップに据えるかでもめることがよくあります。プロジェクトの立ち上げにおいても同様で、組織作りに時間がかかり、肝心の実務体制 が後手に回ることがよくあります。
地域全体でイベントに取り組む場合は、自治体の関係者をトップに据えて、民間のリーダーを実行委員長において業務遂行した方がスムーズに行くのではないでしょうか。
指宿の「菜の花マラソン」と「菜の花マーチ」は、行政と業界の役割分担がはっきりしており、成功しているイベントと思います。現場で時間的制約を受けにくいのは、民間の力ではないかと思います。組織作りに時間をかけるよりいかに動ける組織を作り上げるかが課題と感じます。
次に民間事業者と民間事業者との壁です。かつて日本の温泉地は、夕食の後は浴衣がけで歓楽街に出かけて、地域住民が行く店に繰り出し街もそれなりの活気を誇っていました。 バブル時期の日本の有名温泉地は、大型ホテルの建設、部屋の増設と多額の投資を行いました。また、「カラオケ酒場」や「夜食店」等二次会ができる施設を館内に作ったために宿泊客は外に出なくなり、歓楽街は寂れてしまいました。現在では個人旅行が主流となり、大型施設の中に作られた飲食店に入る人も少なく、施設の維持も困難となり、倒産や競売の施設が多く見られます。
一方地域ぐるみで街づくりを行っている温泉地や県民が支持している地域は、いまでも活気があります。黒川温泉は、個々の施設よりも地域全体のまちづくりが重要と捉え、各施設が看板をなくすなど、地域の景観づくりに協力しています。山口県湯田温泉の西の雅「ホテル常磐」では、女将自ら演じるナイトショーは人気があります。自館の宿泊者だけでなく温泉街の他の施設の宿泊者にも無料で開放しています。
経営という面から捉えると自分の施設の売上げが優先しますが、他の施設とも連携して誘客に努めることが、地域全体の活性化になると思います。
スポーツキャンプやコンベンション等は一度に多くの宿泊客があるため、地域全体で受け皿を整える必要があります。地域で1軒の施設のみが栄えるより、魅力に富んだ個々の施設が生まれることが地域全体の魅力につながります。
日本は本格的な少子高齢化時代に入り、大きな消費拡大も望めず地域間競争も激しくなり誘客も難しくなっています。連携を強化して動ける組織を構築し、形より実のある成果が出るよう努力したいものです。 行政と行政、行政と業界、民間事業者と民間事業者それぞれ自分の立つ位置を貫けば、摩擦が起き仕事の成果は難しくなります。
観光の6次産業化が言われていますが、それぞれの部門の垣根を越えることは容易ではありません。しかし今や地域総力戦の気概で取り組まないと、持続できる観光地づくりは厳しいものがあります。
観光振興の基本は、いつまでに何をし、どのような成果が期待できるかであり、そのことで組織や役割分担も決まってくるのではないでしょうか。これからは費用対効果がより厳しく問われることになり、行政・業界・民間事業者それぞれの壁を越えた取組が求められます。
最後に今回のコラムが250回目となりました。皆様の叱咤激励で今日までくることができました。心から御礼申し上げます。
感 謝
2013年2月25日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
奄美諸島は、鹿児島の南380~580キロメートルの海上に点在する島々で、奄美群島とも呼ばれています。環境省は今回の世界自然遺産暫定リストでは、奄美大島、徳之島、沖縄本島北部、西表島の4島を軸に対象地域を検討しています。 早ければ2015年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)へ推薦し、2016年夏の世界自然遺産登録実現を目指しています。
奄美・琉球が登録されると、県内では屋久島に次いで2箇所目となり、鹿児島県の知名度が飛躍的に上がるのは確実です。国内では白神山地(青森、秋田県)、知床(北海道)、小笠原諸島(東京都)に次いで5件目の世界自然登録となります。
また、「九州・山口の近代化産業遺産群」はすでに暫定リスト入りしており、その中に鹿児島の「集成館事業」も含まれており登録が待たれるところです。
ところで、知床や小笠原諸島は世界遺産の有力候補にあがりながら暫定リスト入りが遅れたのは、重要地域の法的保護担保措置が不十分であったためとも言われており、環境省は、奄美群島について2013年度の国立公園化にむけて、林野庁は奄美大島、徳之島の国有林の森林生態系保護地域の指定に向けてそれぞれ取組を進めています。
このことから世界自然遺産登録への大きな一歩が踏み出されたと言えます。長い年月をへて育まれた奄美群島の豊かな自然、貴重な動植物の保護とともに、観光客への自然保護に対する意識向上、地域住民との共生をいかに図っていくかが問われています。
登録に向けて観光の視点から、屋久島を例に課題を整理したいと思います。 今年12月屋久島は、世界自然遺産登録から20周年を迎えます。屋久島は、亜熱帯から冷温帯の連続した植物の垂直分布が見られ、また、樹齢千年を超える屋久杉は標高700mから1800mくらいまでの樹林帯で見られます。1993年「白神山地」と一緒に世界自然遺産に登録されました。
その後観光客は増え続け、2007年には屋久島への入込客は40万人を超え最高となりました。遺産登録時は1万人にすぎなかった入山者は、2011年は約9万3千人となっています。今では登山家の憧れの島として人気が定着しています。(入山者数は環境省屋久島自然保護官事務所の調査)
しかし登山者の増加に伴い縄文杉の展望デッキ、登山道やトイレの設置など整備は進んでいますが、植生の荒廃、し尿処理問題等が大きくクローズアップされています。 屋久島の自然を守るために町が2011年6月議会に提出した「入山制限条例案」は、様々な意見もあり否決されました。自然保護と観光振興の狭間で屋久島は、世界自然遺産の島を守りながらいかに経済的価値を求めていくかが問われています。
遺産登録時の山岳ガイド数は20人程度でした。一般の観光客が山に登る機会が増えて、屋久島地区エコツーリズム協議会は、2006年からガイド登録制度を始めました。しかし従来から登録ガイドの基準が明確でないため、2012年11月現在82人が登録しているにすぎません。また、観光協会も登録制度を持っていますが、両方合わせて200人程度で正確な人数把握はできていません。また、夏場だけのにわかガイドの存在も指摘されています。
これからも自然保護や安全対策上登録ガイドの資格取得をぜひ進めて欲しいと思います。また入島者に対しては、「屋久島憲章」を、旅行エージェントに対しては、募集段階でのパンフレット上での自然保護の遵守等の告知徹底が必要です。
奄美群島はこれから「世界自然遺産登録」に向けて、エコガイドの養成や登録制度、自然を守る取組を、屋久島の取組を参考に進めていく必要があります。「世界自然遺産登録の意義」や「観光客増加への対応」等地域住民への日頃からの細かい情報発信も求められます。
また、沖縄と差別化したPR戦略が求められます。奄美は手つかずの美しい海や森林地帯が多く、多種にわたる動植物が生息していることから、自然の生態を見せることが求められます。春先は本土に比べて花粉が少ない島であることから、ヘルスツーリズムの推進も欠かせません。島唄や伝統的踊り、島料理など本土と異質な生活・文化も残っています。 名瀬港は大型クルーズ船の寄港が容易であり、登録後は外国人観光客が増加することから、受入体制の充実も求められます。
奄美群島は、すでに世界自然遺産に登録されている「白神山地」、「知床」に比較すると、温暖な気候に恵まれ1年中行くことができます。また、「小笠原諸島」は飛行機の定期便がなく、東京から船で24時間かかります。同じ離島にありながら奄美大島と徳之島は、飛行機の定期便もありアクセス的には優位性があります。
ところで奄美群島は、今年日本復帰60周年にあたります。「世界自然遺産暫定リスト」入りの効果を奄美大島と徳之島の2島に終わらせるのではなく、群島全体にメリットもたらすことが重要です。各地を訪問した際は、「日本復帰60周年」、「世界自然遺産暫定リスト入り」の二つのロゴ入り名刺やパンフレットを渡してPRしてもらいたい。また奄美群島出身者の県人会は、関西、関東、鹿児島等多く組織されており、その人たちを通じてのPRもお願いしたい。
長年観光の仕事に携わっていますが、県外の方々は、意外と奄美群島の位置や魅力を知りません。今回の暫定リスト入りはPRの絶好の機会と捉えて、奄美群島一体となり宣伝を強化して、群島の知名度アップと経済的浮揚に繋げる必要があります。昨年発足した奄美群島観光物産協会は、大きな重責を担うことになります。奄美全体をコーディネートする人材の育成も急務です。
小生が始めて奄美大島を訪れたのは、44年前ですが当時は、1500トンクラスの船は、デッキまで人があふれており、特に若い女性層が奄美群島を訪れていました。 今後は年代層を問わず世界各国から世界自然遺産の島を訪ねることが予想されます。周到な準備を進めたいものです。
世界自然遺産登録が奄美に大きな変化をもたらすとともに、交流人口が増大し新たな産業や雇用が生まれます。県民あげて盛り上げをはかりたいものです。
2013年2月18日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
卒業式のシーズンがやってきました。それぞれ学校での思い出を胸に、進学や社会人となる新しい人生へのスタートにあたり、夢を持ってがんばって欲しいものです。
小生の50年前の小学校の卒業式は、在校生も参列する中で古い木造の講堂で行われたことを記憶しています。外では桜のつぼみも大きくなり開花間近の春の陽気でした。式の最後は在校生、卒業生、先生、父兄全員で「仰げば尊し」の歌の合唱です。当時は歌詞の意味が良く解らず歌っていましたが、静かな雰囲気の中で、格別な思い出として残っています。
しかしながらこの歌が、様々な理由により卒業式で歌われないのは残念です。歌詞は、先生方に対する感謝の気持ち、学校を育っても何事にも心を尽くすことの大切さ、慣れ親しんだ学び舎でのお互いの努力への感謝、希望にふくらませて卒業することへの誇り、お世話になった人々へのお礼と感謝、人間として努力することの誓い等を表しています。
教育の価値は、卒業後30年たって理解できると言った人がいましたが、私にとってこの歌は何事にも替えられない「絆の大切さ」を問うているように感じます。 裕福な時代ではなかったけれども、明るく、みんなが一生懸命前向きに過ごしていた子供時代が懐かしく思い出されます。
ところで、卒業を機にふるさとを離れる人が多くなる時期です。日本は少子高齢化が進み、地方を中心に過疎化が進んでいます。かつて学んだ学校は閉校となり、今では地域の交流の場所として、衣替えしているところが多くなっています。 県内を旅すると、廃校になった校門の横に学校の歴史を刻む記念碑を見ることがよくあります。かって子ども達が走り周ったりキャッチボールをした運動場は、土のグランドが消え一面に草が茂り、過ぎた月日の長さを物語っています。
鹿児島県は南北600キロメートルに及び、これは鹿児島市から大阪市までの距離になります。有人の離島は28ありますが、その中に小さな学校が多いのも特徴の一つです。子ども達は島に高校が無いためにやむなく県本土の学校に進学する生徒が多くなります。 また、高校を卒業すると県外の大学や企業に就職する生徒が多く、ふるさとを離れてしまいます。卒業後地元に帰る人は少なく、生まれた土地の魅力を語る機会も少なくなっています。
鹿児島県は、1956年(昭和31年)には210万人の人口でしたが、2010年(平成22年)の国勢調査によると、約170万人となっています。これからも人口は減少し、2030年には145万人と予想され25万人も減少します。 これからは交流人口を拡大することが不可欠であり、地域活性化の一つになるのではないでしょうか。
そのためには、県民が地域の魅力を悟り、自らPRすることで誘客を可能にすることが問われています。 地域に行くと、自分の町には観光客が来るような魅力はありませんと、語る人が多いのは残念なことです。日本人の国内旅行は成熟しており、温泉地で豪遊したり、名勝旧跡を主とする観光客は減少しています。
今観光客は、地域に残る行事、祭り、ローカル線沿線の景観、地元の人が食べる食材、田舎のおもてなし、地域で輝いている人等に魅力を感じています。地域の情報発信力が問われています。 中央駅前にある「かごっまふるさと屋台村」が賑わっているのは、そこに行けば「かごしまの味」があり、「かごしまの人」に会えるからです。
今地域に人を呼び込むには、地域の生活・文化を旅人に提供することです。 雇用基盤が十分確立していない地域で生活することは大変厳しいことですが、交流人口を増やすことで新たな事業展開が可能となり、生活基盤を安定させる取組も欠かせません。 鹿児島は観光素材に恵まれ、また九州新幹線全線開業で県内各地へも行きやすくなりました。
地域の魅力に触れる着地型観光が定着しつつあります。 ぜひ県外に出て行く若者に、鹿児島の魅力を語る人になって欲しいと思います。若者の旅立ちにエールを送るとともに、いつまでも「ふるさと」を忘れないで欲しいと思います。
石がけに 子ども七人 こしかけて
ふぐをつりおり 夕焼け小焼け
北原白秋
海恋し 潮の遠鳴り 数えては
少女(おとめ)となりし 父母の家
与謝野晶子
2013年2月12日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
冬ながら 空より花の 散りくるは
雲のあなたは 春にやあるらむ
清原 深養父(清少納言の曾祖父)
(注釈) 冬なのに 空から花が舞い散ってきた。
雲のかなたはもう春だというのだろうか
*「空より花」は、雪のことを表し、雪→白→梅の花を連想している
立春が過ぎ、県内各地から早い春の便りが届いています。出水平野に越冬していたツルの北帰行が始まりました。開聞山麓では黄色い絨毯を敷いたような満開の菜の花畑に、薩摩富士と呼ばれる開聞岳が一段と美しく映えています。
奄美大島では、早春の訪れを告げるヒカンザクラが満開となり、3日には「奄美さくらマラソン」が開催され、全国からの多くの参加者で賑わいました。 先日春一番が吹き、鹿児島は春近しという感じです。
プロ野球もキャンプインしました。沖縄県で8チーム、宮崎県が4チームと両県に集中していますが、途中から海外にキャンプ地を移すチームもあります。キャンプ地の選定には冬の気象条件が重要であり、平均気温が高いことや、晴天の日が多い場所が選ばれています。
その点両県はキャンプに適していると言えるのではないでしょうか。 また、沖縄県内に野球チームが集中していることは、練習試合にも都合がよく、開幕に向けての調整もしやすい環境にあります。
県内では薩摩川内市で、千葉ロッテマリーンズのファームが1ヶ月間キャンプを張ります。練習場に恵まれ、温泉があることや、市民あげての温かいおもてなしが定着していることが、毎年キャンプ地として選ばれている理由ではないでしょうか。
一方サッカーでは、宮崎県で22チーム、県内では韓国のチームを含めて15チームが、鹿児島市、霧島市、指宿市、薩摩川内市、南さつま市、さつま町でキャンプを張っています。J1リーグのジュビロ磐田、清水エスパルス、浦和レッドダイヤモンズ、柏レイソル、J2の京都サンガF・C、は永年にわたり県内でキャンプを張っており、多くのファンが付いています。
キャンプ地として選ばれることは、地域に大きな経済効果をもたらしています。選手の宿泊、飲食に伴う経費は大きなものがあります。また多くの取材陣が訪れます。キャンプ地レポートとして毎日地域のことが全国に放送されることから、観光地として知名度アップにもなります。
2011年の沖縄県におけるプロ野球キャンプによる、関係者、マスコミの取材、ファンの訪問者等宿泊、飲食施設の利用等その経済効果は110億円と推定しています。(琉球銀行系研究所試算)
ところで、週末には一流選手の技を見るため多くの観光客や県民が訪れます。キャンプを受け入れている地域では、最大限の歓迎を持って受け入れる体制づくりが求められます。 交通整理や選手の安全確保にも努めて欲しいと思います。キャンプ滞在中怪我なく過ごせることが重要であり、地域の皆様の協力体制も不可欠です。
また、プロ選手は、練習後や休日には飲食街に出かけたり、ゴルフを楽しんだりしますので、そこで選手に会えるチャンスもあります。 キャンプ期間中は、練習だけでなく、キャンプ地の住民との交流会や野球・サッカー教室等を開くなど交流を深めています。そのことが人気に拍車をかけています。県内でキャンプしているサッカーチームには、郷土出身者もいます。キャンプの休養日には親子で出かけて、日ごろはなかなかできない貴重なふれあいを深めて、ファンになって欲しいと思います。
鹿児島県は子供の頃からサッカー熱が高く、高校サッカーの全国大会では、優勝校を輩出しながらも、今までJリーグ所属のチームは誕生していません。いつまでも選手供給県でいるのではなく、一日も早くJリーグに加盟できるチームを育てなければなりません。有力スポンサーを核に県民からの寄付も募り、支援体制を確立することが重要です。九州新幹線全線開業で、福岡からの応援団も日帰りが可能となりました。
そのことで鹿児島での公式戦が可能となり、サッカーファンの増加、雇用の確保、応援ツアーによる宿泊者増、物販の販売等地域に大きな経済効果をもたらすことにつながります。
ところでプロサッカーチームの誘致には、気象条件も大切な要素ですが、冬芝の完備されているグランドが不可欠です。県内には自治体や学校の統廃合で遊休地となっているグランドが多くあります。ぜひ数年かけて冬芝の育成に取組、プロを呼べる施設を作り上げて欲しいものです。県内には豊富な温泉が湧き、練習後の休養には最適な地域が多くあります。官民あげての誘致活動も必要です。
プロのキャンプが終わり春休みになると、学生の合宿・キャンプがスタートします。最近は県内全域に広がっているのが特徴です。鹿児島が誇る自然環境、練習場の豊富さ、温泉、食の魅力、おもてなしの心、宿泊に対する補助制度の充実を図り誘致を強化しなければなりません。
最後に県観光課では、「キャンプ地めぐりスタンプラリー」を実施しています。各キャンプ会場に設置されているスタンプを2種類集め、各キャンプ地に設置されている応募箱に入れると、後日抽選で特産品やチームグッズやユニホームが当たります。多くのキャンプ地を訪れてどんどん応募してください。(詳しくはパンフレットを参照)
今年はキャンプ地を訪ね、地域の食材にも触れ、鹿児島の素晴らしさを再確認しませんか。春はそこまで来ていますよ。
2013年2月4日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
志布志市は宮崎と県境を接する農業と漁業の町です。古くは密貿易の港町として栄え、宝満寺跡や大慈寺等の名刹を持つ門前町と栄えました。志布志は、かつて国鉄の3線の始発・終着駅でした。鹿屋から国分に至る大隅線、末吉から宮崎県西都城に至る志布志線がありましたが、現在では油津を通り南宮崎駅に至る日南線1線が残るのみです。
志布志湾はかつて美しい白砂青松の海岸が数十キロに渡って続いていました。しかし現在では湾の埋め立てにより、大崎から波見にかけての海岸がその面影を一部残しています。 湾周辺には、多くの古墳や伝説が残されており、鹿屋市吾平町には、初代天皇である神武天皇御父君・御母君の墓塚「吾平山稜」があり、正月には多くの参拝客で賑わいます。 また、戦時中は急造の飛行場や、防空壕等が築かれ、戦争遺跡として一部は公開されています。
市内の宝満寺跡境内で、4月29日に行われる「お釈迦祭り」は、花嫁を乗せたしゃんしゃん馬や、踊り連のパレード、多くの市民や観光客で賑わう県内指折りの大きな祭りです。境内には湧き水が流れ、安産の地と知られ妊婦さんの参拝がたえません。
また、大隅の國やっちく松山藩「秋の陣まつり」も見応えのある祭りです。まつりの期間だけ見ることができる「幻の一夜城」をはじめ、奉納武者行列は必見です。地元の若者たちが独自にアレンジした城下町風の会場は、驚きと感動の連続です。入場待ちの列がとぎれることのない「忍者屋敷」や「やっちくサスケ」等は、様々な仕掛けが施されており、一日遊んでも飽きることはありません。今年の秋の祭りにはぜひお出かけ下さい。
ところで第85回記念選抜高校野球大会が、3月22日から13日間の予定で阪神甲子園球場で開催されます。出場校は36校(一般選抜32校、21世紀枠4校)で、組合せ抽選会は3月15日に行われます。
昨年秋の九州大会でベスト4まで勝ち進んだ志布志市の「尚志館高校」の出場が決定しました。大隅半島から春夏を通じて甲子園初出場となり、地域にとっても朗報です。従来鹿児島県の甲子園出場校と言えば、鹿児島市内の学校がほとんどであり、中には県外出身者が主力を占めている学校も従来見受けられました。
尚志館高校は、部員26人全員が大隅半島出身者であることが、地域の大きな誇りであり自信を持って甲子園に送り出せるチームです。甲子園という大舞台での活躍が今から楽しみです。
志布志市では、昨年の秋に志布志高校3年生の山口観弘(やまぐち あきひろ)くんが、岐阜県で行われた国民体育大会の競泳200メートル平泳ぎで、2分7秒01の世界記録を樹立しました。鹿児島県の期待の星誕生です。
山口君は大脇雄三さんという名伯楽に子供の頃から育てられ、世界のトップスイマーに成長しました。卒業後は、オリンピック2連覇を達成した北島康介選手を育てた平井コーチの元で次のオリンピックでのメダル獲得を目指し、東洋大学に進学します。 志布志という地が高校生の活躍で、日本中に知れ渡りました。山口君のこれからの活躍に期待がかかります。
大隅半島は錦江湾を隔てて対岸にあり、交通アクセスも不十分なことから、観光客誘致にはなにかと不便を囲っているのも事実です。しかしスポーツ合宿の誘致においては、関西の大学生をターゲットに、京都・大阪で毎年セミナーを開催していますが、大阪南港と志布志港を結ぶ「さんふらわあ」の活用や練習グランドの充実、自治体の補助金の拡充等もあり、大隅地域の魅力が浸透し実績に結びついています。また、高校生を中心にグリーンツーリズムを活用した、「民泊」という取組が大隅全体に広がっているのも地域の活性化につながっています。
ところで昨秋には、永年の懸案であった佐多岬公園に通ずる道路問題が解決し、佐多岬周辺の整備とあわせて大隅地域の観光を大きく前進させる年です。
道路の無料化は誘客の大きな要因となります。しかも佐多岬は、九州本島最南端の岬であり、宮崎県の都井岬、指宿市の長崎鼻を巡る「岬ツアー」が脚光を浴びると思います。 大隅半島へのアクセスは、先述の「さんふらわあ」の利用、宮崎からの列車、バスやマイカー利用が大半です。県民の多くに大隅地域の魅力を知らせることが求められています。
今回の甲子園大会出場で、大隅地域のことがメディアで放映され、その知名度が上がることは間違いありません。「篤姫」放映の際、番組の後半で必ず「その時薩摩では」というナレーションで、薩摩のことが話題になり、鹿児島への認識が深まりました。
大会期間は春休みであり、「さんふらわあ」や全線開通した新幹線を活用し、甲子園に出かけましょう。最後に尚志館高校生の活躍により、大隅地域が全国的に話題になるよう皆さんで応援しましょう。
2013年1月28日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
川内髙城温泉は、国道3号線から6キロ、JR川内駅から北方15キロの山間にある静かな佇まいの温泉で、その泉質の良さと湯量の豊富さから平成2年に「日本の名湯百選」に選ばれています。
泉質は単純硫黄泉で神経痛、リューマチ、腰痛、婦人病、病後の疲労回復に効能があるとされ、秘湯として人気があります。九州新幹線の川内駅からバスで30分、肥薩おれんじ鉄道の西方駅から車で5分の距離にあり、アクセスは十分ではありませんが時間的には恵まれた場所にあります。
川内髙城温泉の課題とこれからの取組について整理したいと思います。
まず認知度をいかに高めるかが問われています。県民がその場所や、魅力を知らないことがあげられます。西郷隆盛が愛好した温泉であり、指宿の「鰻温泉」、霧島市の「日当山温泉」もよく訪れたと言われ、それぞれの地にゆかりの記念碑があります。3つの地域で連携し、情報発信力を高める必要があり、手作りの温泉街のPRパンフや、情報誌の取材等を積極的に受け入れる必要があります。
2点目は団体依存の宴会型宿泊からの脱皮が求められます。高度経済成長期やバブル時代に全盛を極めた団体型宴会旅行は減少し、個人旅行中心の旅行が主流となり、企業のインセンティブも激減しています。宿泊客がゆっくり滞在し、そぞろ歩きを楽しむことができる温泉地への脱皮が不可欠です。また今の観光客は地域ならではの食を求めて、旅先を選びます。周辺に農家レストランや直売店があることが宿泊客を増やすことになります。
そして他地域、施設との連携が不可欠です。今の旅行は自分の地域だけでは完結しません。肥薩おれんじ鉄道と連携しPRに努めることが誘客につながります。3月から観光列車「おれんじ食堂」が運行されます。観光列車で川内駅で下車した人を、髙城温泉に宿泊してもらう取組が必要です。
3点目は各温泉施設の整備と他施設への入浴を可能とすることが重要です。地域内の外湯巡りを可能にするには、入湯手形を販売し、3箇所程度の温泉施設に入ることができれば、滞在時間も増加し消費につながります。特に女性の脱衣場のプライバシーの保護や清潔感を保つことも重要なことです。
イベントの開催には工夫が必要です。ウォーキング大会やマラソン大会の開催に当たっ ては、ゴールを温泉街にすることで終了後の入浴と宿泊を可能とします。また、多くの人 が参加することで、温泉地全体に波及効果をもたらします。
4点目は地域の人がたまり場となる施設を整備し、丸太づくりの椅子や卓袱台を用意し地域の人もくつろげる場所が必要です。お茶一杯の心で、井戸端会議のできる店が必要なのではないでしょうか。地元の人と観光客が交流できる場所としても活用できます。
最後に消費の主役は女性であり、女性が訪れたくなる施設と仕掛けが必要です。露天風呂 の作りや洗面台の仕切り等女性は清潔感を求めます。小物の販売店や魅力あふれるカフェの設置も訪問意欲を駆り立てます。女性は、「美」や「健康」、「食」等に敏感です。また、女性の口コミは確実に広がります。ぜひ女性に好まれる温泉地を目指して欲しいと思います。
景観保護の観点から髙城温泉全体の景観を保つ取組が重要で、地域の自然・歴史・文化等と人々の生活、経済活動との共生を基本にまちを整備する必要があります。まちづくりをリードする公共施設の整備や周辺の自然景観を守り、看板や旗を無くすることも求められており、街道には木や花を植栽し、季節感を出すことが街に潤いを与えます。 街並みの前面からごみ箱を撤去し、宿泊施設や飲食店の位置を一つの看板にまとめることで、通りが甦ります。
熊本県黒川温泉では、宿泊施設の位置は温泉街の入口の看板にまとめて書かれており、落ち着いた温泉の雰囲気を醸し出しています。髙城温泉も温泉の入口に案内板を設置することで、温泉街から余計な広告物が消えて、古い温泉情緒が出るのではないでしょうか。また、街灯もレトロ調の灯りに替えることで夜の雰囲気が変わります。
終わりに、地域住民が我が町に誇りを持つことが大切であり、地域に経済的効果をもたらすことが持続的な観光地となります。地産地消にこだわり、街全体に賑わいが戻ることが大切です。また、人の心に残るものはその土地の人の第一印象であり、琴線に触れるおもてなしの提供が求められます。
日本の温泉地を見ると、バブル期に大型投資をした多くの地域・施設が今では、苦境に立たされています。古い建物を活用し、民具や人形を飾り、花や木を植栽し地域全体で落ち着いた小綺麗な街づくりを行っているところが元気です。若者の経営者を中心に新しいまちづくりに取り組んでは行くことも求められています。
地元のお客様を大切にし、徹底的に田舎にこだわることが人を感動させるのではないでしょうか。髙城温泉の復活を期待します。
2013年1月21日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
出水市の出水平野には、今年は1万3138羽のツルが飛来し、史上2番目の羽数となりました。(1月12日の調査) これほどのツルが永年にわたり飛来してくるのは、行政、地域の人々、ツル監視員の皆様の温かい保護政策が、これまでの実績づくりにつながっていると思います。 餌やり、傷ついたツルの保護、観光客の車の整理と越冬地でのツルの安全確保に努めています。
23年1月には鳥インフルエンザが発生し、ツルへの感染が心配されましたが、県や出水市、各機関の皆様の協力体制の下で危機を乗り切りました。小生も出水平野の近くまで取材に行きましたが、万全の防疫体制が敷かれていました。
今年の年末年始は天候に恵まれ多くの観光客が訪れました。朝、ねぐらから飛び立ち、夕方太陽が沈む頃ねぐらに帰りますが、朝日・夕日に映えるツルの姿はまことに秀麗です。 多くのカメラ愛好家がその姿を収めるために待ち構えている様子が、あちこちで見られます。また、ツルは縁起の良い動物で、長寿やお祝いの象徴として重宝されます。
遣唐使で中国に渡る吾が子の無事をツルに託した詩です。
旅人の 宿りせむ野に 霜降らば
吾が子 羽ぐくめ 天(あま)の鶴群(たづむら)
~遣唐使人の母 万葉集より~
(注釈)舟で唐に旅する人は碇泊して野宿するという。
霜が降りたら吾が子をあなたの羽根の下に
つつんでやっておくれ 空と飛ぶ鶴たちよ
ツルの越冬は地域への観光客誘致につながり、地域経済への発展にも寄与しています。 ツル観察センターは1989年に開館されましたが、入館者は今年1月13日には150万人目となり、記念式典も開かれました。出水市では、秋には「ツルマラソン」が開催され、全国から参加者があります。
まもなくツルの北帰行が始まります。荒崎の田畑の上空で別れを惜しむかのように何回も旋回し、北に向けて飛び立ちます。長島町の行人岳はツルの北帰行を見る人で賑わいます。ツルが全部飛びたつと出水平野に春が訪れます。
毎年ツルの越冬地として選ばれることは、永年お世話になっている地域の人々への「ツルの恩返し」として感謝し、これからも大事に育て見守ることが大切です。ツルはまさに出水のリピーター客です。
出水平野を走る肥薩おれんじ鉄道からもツルの姿を見かけることがあります。また、沿線の景観がすばらしいことから、東南アジアの観光客に人気となっています。 3月24から観光列車「おれんじ食堂」が運行されます。旅の楽しみがまた一つ増えることになり、運行が待ち遠しい列車です。
ところで観光施設では、リピーターを年間通していかに獲得するかが問われています。 毎年2,000万人を超える入場者数を誇る東京ディズニーランド(TDL)は、リピーター率が、2回以上で98%、10回以上で60%と驚異的な数字となっています。 常に感動を提供し、社員2,000人、アルバイト18,000人が同じ気持ちで、入場者(ゲスト)に対し「おもてなしの心」をもって接しています。
TDLは常に社員教育に力を注いでおり、「子供とは同じ目線で話をする」、「大切な言葉は何度も口に出す」、「常にごみ拾いのスタッフがいる」、「誰に尋ねても園内のことは答えることができる」等統一されたサービスが徹底されています。 来園者に常に感動を与える姿が、支持を得ているのではないでしょうか。
先日博多に出張の折タクシーに乗りましたが、久しぶりの感動体験に出会いました。 車が止まると、運転手が車を降りてドアを開け閉めし、発車前に後ろを向いて帽子を取り挨拶しました。車中では、「寒くありませんか、暖房の温度上げましょうか」と、また行き先について「いつものルートがありますか」と客に対する気配りを感じました。 降りるときも運転席を離れ、ドアの開け挨拶をしてくれました。さわやかな気持ちで車を送りました。
福岡市内はタクシー会社が多くて顧客獲得競争が激しく、このようなタクシー会社が増えることが、街の印象が良くなり観光客が安心して利用するようになるのではないでしょうか。
県と観光連盟では新幹線開業を見据えて、観光関連業界の皆様を対象に「おもてなしの心」を徹底すべく研修会を2年間に渡って実施してきました。マナーの改善がなされた機関も多くありますが、一部にはクレームが発生しているのも事実です。 帽子を取り、名前を名乗ることを励行していたタクシー会社が、最近では挨拶もしない運転手が多くなっているのが気になります。おもてなしの徹底は、トップの姿勢が問われていると感じます。
先日日頃から全国の宿泊機関に泊まっている女性グループの代表者と話す機会がありました。宿泊施設の印象は、建物や部屋の立派さより到着したとき従業員の最初の挨拶や応対が、その施設の評価になると話していました。また、女性の声に積極的に耳を傾けて欲しいとも注文がありました。消費はまさに女性に左右されると思います。
挨拶や「おもてなしの心」を徹底するなど従業員に対する教育に力を注ぐことが、リピーターづくりの基本ではないかと思います。 人口減少が続き経済のスモール化が進む中で、消費拡大を図るには感動体験を与えることが不可欠であり、そのことが企業の価値を高め発展につながると信じます。
「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」で32年連続総合日本一に輝く「加賀屋」は、おもてなしの神髄が徹底され、国内外から多くの支持を得ています。
永年にわたり出水を訪れるツルのごとく、リピーターに愛される地域、施設を目指したいものです。
2013年1月15日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
何となく 今年は良い事 あるごとし
元旦の朝 晴れて風無し
石川啄木
各種団体の新年互礼会も終わり、経済活動も本格的にスタートしました。 観光業界に目を転じると、年末から年始にかけて日並びが良く、天気に恵まれたこともあり各地の観光地は例年になく賑わっていました。
宿泊関連では、1月4日まで満室の施設が多く、関係者は出足が良いと喜んでいました。新幹線や航空機の利用者も前年を上回り、今年の観光業界はまずまずのスタートではないかと思います。今年は巳年ですが、蛇は脱皮することから「復活と再生」を連想させます。果敢にチャレンジし逞しく戦い抜く姿勢が大切ではないでしょうか。
鹿児島にとって今年は、年初のコラムで述べたように厳しい試練が待ち受けており、しっかりとした計画をたて着実に実行することが求められます。今年の最大の関心事は政府による東北復興支援であり、大河ドラマ「八重の桜」の動向です。第1回の放送をご覧になった方の感想を聞くと、このドラマは展開が楽しみで、福島や京都が話題になると語っていました。初回の視聴率(総合テレビ)は、ビデオリサーチの調査によるとは関東地区で21.4%でした。ちなみに昨年の「平清盛」の初回視聴率は17.3%で、鹿児島が舞台の「篤姫」は、20.3%でした。
首都圏や関西地区の旅行エージェントの店頭には、大河ドラマ関連の多くの商品が並んでおり、GW以後観光客は東北に向くと考えておかねばなりません。東京ディズニーランド30周年や東京駅の改装、東京スカイツリーの話題に加えて、伊勢神宮の「式年遷宮」と日本の東方でなにかと話題が多いのが今年の特徴です。
我々はこの状況の中で誘客を図って行かねばなりません。今年は、地方での周年行事や話題があり、九州新幹線開業効果を県内全域に広めるため、ローカルツーリズムを浸透させる良い機会ではないかと思います。
今年の県内の話題と言えば、JR九州の観光列車を手掛ける水戸岡悦治さんのデザインによる肥薩おれんじ鉄道の観光列車「おれんじ食堂」が3月24日から運行されます。 2両編成で、1日3便、定期運行日数は215日間で、貸切運行も38日程度予定されています。1号車(ダイニング・カー)は、旅行商品として「運賃+座席指定席料金+飲物付き」の飲食パッケージプランのみで、全区間(新八代・八代と川内往復)乗車を原則としています。
料金は12,800円~(小人8,200円)となっていますが、車内でのおもてなしが話題になると思います。おれんじ食堂1号は、新八代を10時16分に出て川内駅に13時33分に到着します。川内駅に到着したお客様を高速船で甑島に誘導するのも一つの方策です。また、新幹線と「おれんじ食堂」、そして周辺の観光地を組み合わせた宿泊に繋がる旅行商品が増えて欲しいと思います。北薩地域の鄙びた温泉も魅力です。事前の人気も上々で、すでに旅行エージェントから貸切予約が殺到しています。
10月からクルーズトレイン「ななつ星in九州」も運行されますが、3泊4日のコースに鹿児島も行程に入っており話題になるのではないでしょうか。
屋久島は、世界自然遺産登録から20年を迎えます。登録後、縄文杉や九州一の宮之浦岳を目指す登山客は増加し、地域経済の活性化に繫がっているのは紛れもない事実です。 しかし増え続ける登山に伴い、植生の荒廃、し尿処理問題が提起されています。登山道入口では、山の環境整備のための協力金を頂いていますが、登山者の善意に頼っているのが現状です。登山者の意識改革と山岳ガイドさんの協力を得て、一定金額の協力金を収受し、登山道の安全対策や自然保護に力を注いでいくことが重要なことです。
日本が世界に誇れる屋久島の自然を守り、次世代に引き継ぐことが屋久島の価値を高めることになります。世界自然遺産登録の原点に返り、その趣旨を島民だけでなく登山者にも徹底させることが求められています。
また、屋久島は、山だけでなく各集落にも魅力があります。特に登山ができない冬場は、インタープリターを活用するなど、里の魅力を語り観光客を惹きつける努力が必要と感じます。昨年は屋久島への入りこみ客は減少しましたが、今年はメディアでの発信が増え、多くの登山者が見込まれます。世界自然遺産登録20年という節目の年を活かし屋久島の魅力を全国にPRしたいものです。
隣の種子島は、ジェット機が離発着できる空港があり、本土からのチャーター機の運行も可能です。鉄砲伝来の地、千座の岩屋、世界で一番美しいと言われる宇宙センター基地の見学等を教育旅行の教材としてPRし、SSH校の誘致が求められます。またグリーンツーリズムの推進も課題です。
奄美群島は、本土復帰60年の年です。沖縄がブームになる昭和50年代前半までは、奄美が若人の夏のメッカでした。その後は空港の拡張や大型機の導入で、格安の運賃が魅力の沖縄に取って代わられましたが、開発が進み自然の美しさが失われつつあります。
その点奄美群島は手つかずの自然が残っており、「奄美・琉球諸島」として世界自然遺産暫定登録をめざしています。秋から冬場にかけてプロのキャンプ地として、春先は花粉症に悩む人の避処地に、夏場は時間に余裕のある大学生へのPRが欠かせません。特に加計呂麻島、与論島は、滞在して時間を忘れる程の魅力があります。 また、島唄や長寿の島として観光客との交流を組み入れた観光が求められます。
大隅地域では、佐多岬が無料化され老朽化した施設の撤去などが終わるGW以降は、人気が復活するものと思います。佐多周辺地域への旅行商品化やPRを推進するため、指宿地域と連携したルートづくりを進めます。
大隅地域はスポーツ合宿の取組が成果を上げていますが、昨年に引き続いて、宝探しプランや、無料レンタカープランの継続で新規顧客の開拓が必要です。「花瀬公園の渓谷」や「神川の大滝」「照葉樹の森」は他地域にない魅力です。「さんふらわあ」を利用した関西からの誘客も必要です。
また、南薩地域では、「釜蓋神社」、「番所鼻公園」や坊津地域への観光ルートづくりにも欠かせません。指宿での宿泊者を両地域へ誘導することが、滞在につながります。
霧島地域は、新燃岳の噴火が落ち着きトレッキングや、「霧島アートの森」、「みやまコンセール」等のアートの旅が人気を得ています。霧島地域に宿泊した人を翌日は、曽於市の「悠久の森」、「桐原の滝」、「溝ノ口洞穴」都城市の「関之尾の滝」、人吉市内等に案内することで連泊に繫がります。
宿泊施設の整った地域では、地域の人、ホテル、観光施設の従業員が周辺の魅力を自ら知り、語ることが重要です。鹿児島市のある観光施設では、鹿児島中央駅の案内所の職員を自らの施設に招待し、詳しい説明をするなど直接見ていただく機会をつくり成果を上げています。
ところで、ひと頃ブームになった焼酎の魅力を再度PRすることも必要です。鹿児島では会合後の懇親会は、ビールで始まるケースがほとんどですが、焼酎で乾杯というスタイルを定着させたらと思います。また、地域にある蔵元の見学や「黒じょか」による飲み方の伝授、なんこ遊びの復活等鹿児島ならではの焼酎文化を、これからのツーリズムとして定着させたいと考えています。
鹿児島県は南北600キロに及び魅力多彩な観光資源があります。県民が県内の魅力を知るためにも、県内をもっと旅行して欲しいと思います。
年度末になると、卒業謝恩会や、職員の異動送別会、旅立ちの祝いなど身近なところで宿泊を伴う行事が多くなり、地元、県内のお客様の掘り起こしも大切です。今年は日並びが良く土曜日を入れた3連休以上がこれから9回あり、遠方に行きやすくなります。
今年こそ鹿児島市、指宿、霧島と言った観光地だけでなく、ローカルにお客様を引っ張る努力が必要ではないでしょうか。
2013年1月7日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
明けましておめでとうございます。 先行き不透明感がぬぐえない日本経済ですが、昨年末に日経平均株価が8か月半ぶりに1万円を超えました。景気回復につながり、個人消費の拡大が観光業界にも波及効果をもたらすことを期待したいものです。
今年は巳年です。巳(み、し)は十二支の一つで、第6番目に数えられます。「巳」は『漢書』律歴志によると、「巳(い:「止む」の意味)」で、草木の生長が極限に達した状態を表しています。蛇が冬眠から覚めて地上にはい出す姿を表していると言われ「起こる、始まる」などの意味があります。また、蛇は脱皮することから「復活と再生」を連想させ、餌を食べなくても長く生きることから、全国に蛇神を守る神社もあります。いずれにしても今年は、逞しく生き抜く姿勢が大切ではないでしょうか。
今年の日本の観光を取り巻く環境は、東高西低という現状ではないかと思います。 東京ディズニーランド(以下TDL)が開業30周年を迎え、新しいアトラクションが登場し、1年を通して賑わうものと思います。TDLは大人から子供まで幅広く人気が定着しており、年間2000万人が訪れる日本最大の観光地です。また昨年オープンした「東京スカイツリー」も相変わらずの人気で、2つのビッグ施設で大きな集客効果があります。
今年のNHKの大河ドラマは「八重の桜」です。戊辰戦争では銃を持って勇敢に戦うなど「幕末のジャンヌ・ダルク」と言われ、後に同志社大学の創始者新島襄と結婚した「新島八重」が主人公で、福島県と京都府が舞台になるのではないかと思います。春の桜、新緑、東北四大祭り、紅葉と東北地域は話題に欠きません。 東日本大震災から復興しつつある東北地域への誘客に向けて、官民挙げての取組が進められています。
首都圏の旅行エージェントの店頭には、早くも大河ドラマ関連の多くの商品が並んでおり、ドラマの放映が始まるとさらに認知度が高まり、特にGW以後観光客は東北に向くと考えておかねばなりません。
次に三重県でも大きな行事が年間を通して開催されます。伊勢神宮では、20年に一度の式年遷宮が開かれます。「お伊勢詣り」という旅が日本の旅行の始まりとされていますが、遷宮は社殿を造り替える大祭で、690年から始まり、今年は第62回式年遷宮にあたり、年初から10月の「遷御」の式典まで様々な行事が行われます。
前回の遷宮では800万人が訪れており、近年のパワースポットブームが追い風となり、今回は約1000万人が訪れるものと想定されています。全国にある8万の神社関連の人だけではなく、多くの観光客が訪れるものと思います。
このように日本列島の東に話題が多い中で、九州新幹線開業効果を県内全域に広め、年間を通していかに誘客できるかが問われています。 今年の県内の話題と言えば、まず3月から就航する「おれんじ食堂」の運行であり、列車ファンのみならず海外の方々に大いにPRできる列車で、すでに旅行エージェントから貸切予約が殺到しています。ぜひ宿泊に繋がる企画が増えて欲しいと思います。
また2014年春には、川内港から甑島に高速船が運行予定であり、関西地域で抜群の認知度を誇る島への観光客が増加するものと期待されます。高速船は、「おれんじ食堂」などJR九州の観光列車を手掛ける水戸岡悦治さんのデザインによるものです。
大隅地域では、佐多岬が無料化され老朽化した施設の撤去などが進み、人気が復活するものと思います。大隅地域は従来観光素材に恵まれながら、旅行商品化やPRのための推進体制が課題となっていました。今年は指宿地域と連携したルートづくりを進める予定です。また、「釜蓋神社」、「番所鼻公園」や県内屈指のお茶どころ南薩地域への観光ルートづくりにも取り組みます。
地域の隠れた観光素材の商品化には、地元エージェントと自治体の連携が欠かせません。着地型観光の定着には時間と労力を要します。「鹿児島県旅行業協同組合」は「魅旅」のネーミングで商品化に努めており、積極的な支援体制が地域の活性化と人材育成に繫がると考えています。
今年はまた、「離島キャンペーン」の展開が必要と考えています。世界で一番美しいロケット基地のある種子島へは、「SSH」(スーパーサイエンスハイスクール)の教育旅行を、世界遺産屋久島へはエコツアーに加えて、里の魅力をPRすることでオフの誘致強化になります。 奄美大島は世界自然遺産への暫定登録に向けて、島民の意識向上と体験メニュー充実など沖縄との違いを打ち出した展開が必要です。
鹿児島市は、今や日本を代表する都市型観光の魅力を備えた街です。歴史、自然、温泉に加え、食の魅力が観光客の滞在を可能にしています。県都として県内全域を見据えた観光振興策が重要であり、県内各地域の魅力が増すことが結果として鹿児島市に宿泊することになります。
また、JRとの連携は欠かせません。1月から全国主要駅1300箇所に柏木由紀さんのポスターが掲示され注目を浴びると思います。鹿児島中央駅」が新幹線最南の終着駅になり、新大阪駅から直通の新幹線が運行され、時間短縮効果が顕著となりましたが、3月から広島始発の新幹線が運行予定であり、教育旅行を中心に利用が増えると予想しています。これからは、名古屋、京都、滋賀、奈良、和歌山や、四国の高松地域でのPRも必要です。
昨年秋から「鹿児島カレッジ」を展開し、若者層へのアプローチを進めていますが、今年は具体的に商品造成し誘客する年です。柏木由紀さんをモデルにした鹿児島の観光PRが、海外志向の強い若者にどのようにフィットするかが楽しみです。関西・中国地域の若者に共感を与えるパワースポット、食、マリンスポーツ等の体験、ゼミの教材等の情報の提供が必要ではないでしょうか。
新幹線停車駅からルートの設定も必要です。出水駅から天草地域へ、川内駅から甑島等への誘客の重要性が増していると思います。指宿は、今年が正念場で、種子・屋久や大隅地域、南薩地域と連携し、連泊の定着に取り組むべきです。
霧島地域は、新燃岳の噴火が落ち着き「トレッキング」の魅力や、「霧島アートの森」、「みやまコンセール」等のマニアックな旅の提案も霧島ならではのものです。 鹿児島を訪れる観光客の主流は熟年層であり、新たな需要層開拓に向けてアクティブシニアへの取組も求められます。
今日本人の国内旅行は成熟しており、大きな伸びは期待できず、今後の人口減少を考慮すると外国人の誘致は欠かせません。海外からの誘客については、台湾線のデーリー化に向けて修学旅行の誘致や職場旅行の行先としてのPRが欠かせません。韓国からはゴルフ、トレッキング等の誘客に、上海からは、有力なエージェントを中心に民間交流が必要です。
好調な台湾線については、宮崎や福岡と連携した新たなコースの設定が、香港は定期便がないため、ブロックチャーター等の取組が必要です。また、シンガポール、タイ、マレーシア等へのアプローチも求められています。
今年比較的順調に推移するのが教育旅行です。関西地域から集約臨時列車で5,600人の中学生が訪れますが、定期列車でも修学旅行生が訪れます。特に初めて鹿児島を訪れる学校が多く、漁業・農業体験を実施する学校が増加しています。県内全域に、約1000軒の農家民泊の供給が広がる中で、他県との差別化を図る意味でも「簡易宿所営業」の取得を強力に進めていかねばなりません。
今年は東に観光客が流れる中で、首都圏での消費者の選択肢を広げるため、最大のマーケットでPRに努めていくことが得策と考えます。東京線は航空機の供給量が多く、商品企画が容易であり、また、オフ期の設定を増やすことが必要です。北九州地域も鹿児島にとっては重要な地域であり、自動車を利用した商品企画にも力を注ぐべきです。
インターネットやスマホを活用したWEB販売の強化等を進めるなど、情報化の急激な進展への新たな観光客誘致が必要となってきます。 今年は日並びが良く土曜日を入れた3連休以上が10回あり、旅行需要を喚起するには恵まれています。
鹿児島県は南北600キロに及び魅力多彩な観光資源があります。これからは県民が自分の地域だけでなく、他の地域の魅力も語れる人をいかに増やせるかが大切なことです。そして県民が県内の魅力を知る機会を増やすため、域内観光を推進しなければなりません。
「鹿児島はすばらしかった。また行きたい」と心に残る「感動」と「感激」を与え、リピーターを増やすことが何よりも大切です。一期一会の心で観光客をおもてなしすることを定着させることが重要です。厳しい年になりますが、果敢に挑戦する気概で取り組まねばなりません。
2013年が皆様にとって素晴らしい年になりますよう心からお祈りいたします。
2012年12月25日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
今年も残り1週間となりました。九州北部災害や高速道路でのツアーバス事故、トンネル崩壊等災害に見舞われた年でしたが、ロンドン五輪での「なでしこジャパン」や「女子バレーボール」の活躍などの明るい話題もありました。九州新幹線全線開業2年目を迎え、開業効果に陰りが見える鹿児島の観光ですが、2012年を振り返ってみたいと思います
観光業界でまず話題になったことといえば、「東京スカイツリー」の開業であり、鹿児島にも大きな影響をもたらしました。5月22日の開業から半年間で入場者は330万人に上り、東京の新たな名所となっています。 また、震災から1年が経過し、東北全域を博覧会会場に見立てた東北観光博も開催されました。 今春まで西へ流れていた客が東に向き、鹿児島を訪れる観光客は減少傾向となり、6月以降の宿泊実績にも如実に表れています。これからも「TDL」と「東京スカイツリー」のビッグな施設がある東京への流れが加速するのではないかと捉えています。
次はLCCの台頭です。ピーチに続き、ジェットスター、エアアジアなどが国内線に就航し、格安航空運賃を武器にシェアを伸ばし、新たな空の旅需要の開拓につながっていることです。
関西空港~鹿児島線に就航したピーチ・アビエーションは搭乗率が8割を超え、12月15日からは6便体制となりました。長距離バス料金と変わらない運賃が人気となり、その煽りで関西からの運行を休止したバス会社も出ています。東南アジアの航空会社がこれからも日本への乗り入れを計画しており、LCCの人気は定着していくものと思います。
観光業界におけるネット販売は勢いを増しています。楽天トラベルやじゃらん、一休の取扱高の伸びは既存のエージェントを脅かし、またスマホ、タブレットPCは旅行ツールとしての可能性をさらに認識させた年でもありました。
鹿児島の観光に目を転じれば、インバウンドは震災の影響が残り、中国や韓国からの入り込が回復していません。それに拍車をかけたのが竹島や尖閣諸島問題で、秋以降大きな落ち込みとなっています。中でも上海線は11月以降3割を切り、週2便体制となっても厳しい状況が続いています。公的な需要の復活が遅れており、当面は民間交流で路線の維持を図っていく必要があります。
一方3月に就航した台北線は好調で、11月の利用率は71%となり、また、7月~8月にかけて香港からのチャーター便の運行もあり、鹿児島空港の国際線の年間利用者数が、11月末現在約8万7000人となり、これまでもっとも多かった平成2年の約7万8000人を上回り、2012年は過去最高の利用実績となっています。
今年も韓国、上海、台北、香港、シンガポールへ官民一体で誘致セールスを展開しました。東名阪などゴールデンルートがメインコースとなっている人たちを誘客するためには、温泉、ゴルフ、食、自然等他県にない鹿児島の魅力を発信し、エージェントの選択、招聘事業の絞込み、需要層にあった支援体制が必要と感じます。今後も国内旅行の伸びが期待できない中で、インバウンドの推進にあたっては、継続した人脈作りの重要性を感じています。
鹿児島への入り込み客は6月以降苦戦が続いていますが、地域での新しい動きも出ています。県観光課が進めている「魅力ある観光地づくり事業」は、毎年10億円の予算をかけ地域づくりに貢献しており、それを活用した整備が進んでいます。
頴娃町は従来、知覧や指宿、坊津に抜ける通過場所に過ぎませんでしたが、「大野岳」、「釜蓋神社」、「番所鼻公園」等の整備が進み多くの観光客が訪れています。 頴娃の活性化には人材育成による観光地づくりが必要と考え、業種や、官民の枠を超えた「NPO法人頴娃おこそ会」を結成し、定期的に会合を開き、地域づくりの勉強会や先進地視察を行い誘客に努めています。
垂水市でも、地域づくりの取組が活発になっています。秋の風物詩となった「千本イチョウ園」、牛根地域の「埋没鳥居展望公園」、「宇喜多秀家候ゆかりの地」の整備が進んでいます。
また桜島の噴火口を望む「道の駅たるみず湯っ足り館」の横に「昇平丸モニュメント」、「記念石碑」、「国旗掲揚塔」が建立されました。「垂水市は近代造船発祥の地・国旗日の丸のふるさと」という歴史・文化を伝えたいという地域の熱い思いが、寄付金として寄せられ実現の運びとなりました。垂水市だけではなく大隅地域の新たな魅力になるのではないでしょうか。
鹿児島県旅行業組合が、「魅旅」のネーミングで企画している着地型のツアーが成果を上げています。今まで知られていなかった地域の生活、文化、人、祭り、食等にスポットを当てており、新たな需要開拓につながっています。着地型ツアーは始まったばかりで、地域素材の掘り興しや人材育成等地域活性化に大きく貢献しており、今後も定着させるべく強力な支援が必要と思います。
鹿児島中央駅前に4月に誕生した「かごっまふるさと屋台村」は、半年あまりで年間目標の30万人を突破しました。屋台村は、25軒の個性あふれる屋台と1軒の焼酎専門店が軒を並べます。それぞれの店は小規模ですが家族的な雰囲気が味わえるのが特徴で、鹿児島の食文化を堪能できる場所としての魅力が浸透しています。地域づくりのヒントになる施設です。
また、指宿枕崎線の観光列車「指宿のたまて箱」は週末に増結し運行されていますが、乗車率が80%を超え好調を維持しています。地域の皆様方が観光客に手を振るなど温かいおもてなしが評価され、JR九州より「指宿商業高校」、「今和泉地域づくり団体」等4団体が表彰されました。 指宿は九州新幹線全線開業時、急激な観光客の増加におもてなしが追いつかず、クレームが寄せられましたが、地域ぐるみでサービス向上の回復に努めたことが今回の受賞に繫がったと思います。
霧島温泉地域は、トレッキングの観光客が回復基調にあります。今後も熊本、宮崎両県と連携した取組が求められます。
種子・屋久地域、奄美群島は台風が4回襲来し、観光客は伸び悩みました。気候が温暖であることから、夏、秋以外の誘客が重要であり、大学生、島旅ファンなどターゲットを絞ったお客さんの開拓が必要です。 「鹿児島カレッジ」を開催し、若者の意見を商品企画に活かす取組がスタートしました。今後エージェントでの商品造成が楽しみです。次のターゲットは、アクティブシニアと感じます。
教育旅行の誘致は確実に成果が上がっています。JR西日本とJR九州による修学旅行専用列車の設定がなされ、25年度には新たに関西地域から25校5,200名が訪れますが、26年度はそれを上回る学校の申し込みがきています。
学生が体験する農家民泊も順調に伸びています。2012年は16,000名でしたが、2013年は約20,000人の予約が入っており、農業県鹿児島の魅力が高まっています。県内では受入可能な家庭は約1000家庭にもなり、県全体に広がっていることがあげられます。 ところで、民泊について提起されているのがコンプライアンスです。農家民泊先進地の長崎県の松浦地区は、年間30,000人の受入を行っていますが、ほとんどの農家が「簡易宿所営業」の許可を取得しています。旅館業法で定められた許可を取得することが学校の信頼を得ることになります。
修学旅行は、一度に多くの生徒が動き、不況時でも実施され、取消しがなく、受入機関にとっては経営の見通しが立てられるなど安定した顧客といえます。これからも誘致に力を注ぎたいと思います。
また、学生のスポーツキャンプ・合宿を誘致すべく、福岡、大阪、京都でセミナーを開催しました。学生のスポーツ合宿は、プロに比べて宿泊施設や天然芝の運動施設等の条件が厳しくなく、十分に運動ができる施設が整っていることが大切です。大隅地域は「さんふらわあ」利用による関西からの誘客がしやすく、人気が高まっています。 廃校となる高校跡地にスポーツキャンプの新たな施設ができる予定であり、誘致に拍車がかかるものと思います。
大隅半島への観光客が伸びてきました。夏の「かごしま宝さがし大冒険の旅」の展開や「無料でレンタカーでおおすみへ行こう」の実施で大隅地域の魅力が認知されるようになりました。また山川~根占航路の復活や、11月から佐多岬公園が無料化されたことなど、これからのPRに弾みがつきます。かつて新婚旅行のメインルートであり、都井岬、佐多岬、長崎鼻を巡る「岬めぐりツアー」の復活も楽しみです。
今年は鹿児島市電が開業100年を迎えましたが、「九州・山口の近代化産業遺産群」の世界遺産登録や「第30回国民文化祭・かごしま2015」開催に向けての準備も着実に進められています。
2016年は薩長同盟150周年、2017年は明治維新150周年を迎えます。鹿児島の歴史を再認識させる取組も大切です。鹿児島ゆかりの人物や歴史を題材にした大河ドラマや番組の制作を要請するため、官民一体で定期的にNHKへの働きかけを行ってきました。26年の大河ドラマは「軍師官兵衛」に決まりましたが、引き続きドラマ制作の要請を行っていきたいと思います。メディアの観光への波及効果は大きく、年間を通してしかも県全体に及ぶことです。
九州新幹線は来年3年目に入り、鹿児島の観光の真価が問われる年です。日本全体で見ると、来年はTDLが30周年を迎え、またNHK大河ドラマは「八重の桜」で福島が舞台で、観光客は東に向くことが予想されます。鹿児島市、霧島、指宿地域は、離島や北薩、南薩、大隅地域とのさらなる連携が重要です。 また販促活動は、首都圏対策が重要と捉えています。
県民の方々が、メインな観光地だけでなく、それぞれの地域の魅力を語ることで観光の広域化が可能となり、持続的に観光客が訪れる「観光立県鹿児島」の確立に繫がるものと思います。地域・ふるさとを思う人をどれだけ創るかが求められています。
最後に今年も毎週コラムを配信でき、通算241号となりました。1年間ご支援いただき心から感謝申し上げます。ありがとうございました。 来年は1月7日からスタートします。皆様良いお年をお迎えください。
2012年12月17日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
自治体や観光業界等の依頼で、年間50回程度の講演やシンポジウムのコーディネーターを引き受けていますが、中でも楽しみなのは学生を対象にした講義です。 今年は、九州産業大学、鹿児島国際大学、鹿児島ホテル短期大学で行い、来春に鹿児島大学で講義する予定です。
先日鹿児島国際大学で、120名の生徒に対し「観光立県鹿児島のこれから」と題して90分の講義をしました。卒業後は観光業界や自治体に入社して観光分野の仕事につきたいという学生が多く、熱心にメモを取っており大変緊張した講義でした。
日本は都市圏に人口が集中し、加えて少子高齢化の進展に伴い、地域は過疎化に拍車がかかり限界集落等が顕著となっています。これからも日本の人口は減少し、鹿児島県では2030年には、現在よりも約25万人の人口が減少します。今後活力ある地域として生き残るためには観光振興も一つの方策であり、交流人口の拡大を図り、それを担う人材の育成が求められています。
「観光立国日本」の推進を図る目的で、2008年10月1日に、国土交通省の外局として発足したのが観光庁です。 それまで日本における観光は、地域経済に大きく貢献しながらも国の重要な政策と捉えられませでしたが、観光庁の発足を機に、観光振興の意義が認識されるようになりました。
大学での観光学部の創設や、自治体における観光予算の増額など観光を取り巻く環境は大きく前進しています。 大学で観光を学ぶ学生が増えていることも事実です。卒業後受け入れる企業や自治体、地域を増やすことが大きな課題です。
最近の観光を取り巻く環境と課題について整理したいと思います。
九州新幹線全線開業効果で、第3次産業を中心に雇用の拡大が図られ、飲食店やホテル関連業種では採用が増加し、特に九州新幹線の終着駅である鹿児島中央駅周辺は、新設の店舗が目立っており、賑わいに拍車がかかっています。
今年の宿泊実績の推移を見ると、6月以降減少し開業効果に陰りが出ていますが、一昨年よりはまだ増加しており、これを維持することが重要なことです。
一方、市町村においては、担当部署の人員増等で組織強化を図っているところが多くなり、他の部署と一緒になって地域のPRや県の大阪、東京事務所に職員を派遣して営業強化に努めています。 また、観光協会においても、部外から新たな人材を登用するなど従来の案内業務から、営業に力を注いできています。
観光分野の発展は、雇用に結びつき、新たなビジネスが生まれます。今、着地型観光の推進が求められていますが、地域資源を点検し、生活・文化を核に、地域の食を組み合わせるなどプログラムづくりに経験者を採用し、誘客を図っているところもあります。若者は汗をかくことを厭わず、積極的に地域づくりに貢献できると思います。
県内ではIターンの人ががんばっている地域もあります。甑島、頴娃、垂水、種子島、屋久島、奄美大島、加計呂麻島、与論島等鹿児島の魅力に惹かれて移り住み、特産品の開発、ペンション経営や観光ガイドとして働いている人もいます。
鹿児島県は南北600キロに及び、これは鹿児島市から大阪市の距離に匹敵し、多くの観光資源が点在します。これらの豊富な観光資源を活用して観光客を誘致し地域経済の発展に繋げることが重要です。 そのためには観光客を増やす努力が必要です。そのことが、雇用を確保し、観光客の受け皿を増やすことになります。
これから誘客に力を注がねばならないのは、まず外国人です。鹿児島県へのこれまでの外国人の延べ宿泊入員の最高は12万6千人ですが、それでも長崎県の3分の1、熊本県の40%程度です(平成22年実績)。 日本人の国内宿泊人員は毎年減少しており、人口減を考えると今後の伸びは期待できません。ここに外国人誘致に力を入れる理由があり、そのことが通訳ガイドなどの雇用が発生します。
また、九州新幹線全線開業で大幅な伸びが期待されるのが教育旅行です。関西からの専用列車の運行もあり、25年は大きな伸びが期待できます。体験型修学旅行が主流となり、農家民泊の需要が増加し、コーディネートできる人材の育成も急務です。
最近の観光は、物見遊山から体験・交流・滞在というスタイルに変化しています。それに対応できる人材の育成が必要であり、また、観光客は、様々な手段で情報を入手しており、ホームページのリニュアルや定期的情報をリアルタイムで更新できる人材が求められます。
観光従事者として地元の人しか知り得ないオンリーワンの情報を提供することが、顧客満足度のアップにつながり滞在を可能とします。また、自然・環境・風土・文化を大切にする心を育み、特に地域の生活や文化を語ることが今求められています。
鹿児島県は多彩な観光資源に恵まれており、お客様がこれらの情報を得て、様々な体験をすることでリピーターになります。かごしまの魅力を語れる人材も求められています。
リピーター確保には、ソフトの充実があげられます。「指宿のたまて箱」の髙い乗車率は、地域の人々が歓迎の手をふるなど地域ぐるみのおもてなしが定着してきたことです。 観光の仕事の基本は「サービス イズ アワビジネス」です。一生懸命努力する姿に人は感動します。経験不足は、働くその姿で解消されると信じています。
最後に学生に望むことは、常に勉強し時代の変化に対応できる素養を身につけることです。インターネットや携帯電話等のめざましい普及により、情報は簡単に入手できるようになりました。日頃から勉強していないと逆に情報に流されてしまいます。
若い頃から読書の習慣があると情報を部品として使いこなし、判断力が養われます。1日30分でも活字に目を通し、いろいろなジャンルの本を読み社会への造詣を深くして欲しいと思います。その積み重ねが、仕事をする上での貴重な財産として役に立つと思います。
学生が観光について興味を持ち勉強し、卒業後就職できる場所を確保できることが、地域への居住、地域の活性化をもたらし、一方では大学の存在意義を高めることになります。観光で地域を元気にしたい、学生に観光の魅力を伝えたい、そんな思いで学生に講義を続けています。
2012年12月10日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
鹿児島を訪れる観光客の主流は、65才以上の熟年層ですが、今年は若い人を誘致する目的で、JR西日本とタイアップした「鹿児島カレッジ」が開催されました。関西・中国地域の大学生を鹿児島に招聘し、商品づくりに向けての現地視察を行いました。先日の発表会では、エージェントに対して具体的な商品企画案も提案され、春からの展開が楽しみです。
ところで、鹿児島の次のターゲットは40代後半から50代にかけてのアクティブシニアではないかと思います。 この世代の多くは、子どもが高校生以上になり、ようやく子育ても一段落したところです。しかし、これからの教育費やローンの返済等家庭の支出を考えると、まだまだ余裕はありません。家事や仕事といった日々の暮らしに忙しく、これまでの夫婦関係を振り返ったり、将来の二人きりの老後生活を考える余裕がないというのが典型的なシニア層ではないかと思います。
これら日々厳しい経済・労働環境の中で、家族を支え必死にがんばっている人に向けてのメッセージが「新しい大人世代の旅」の支援です。
そのミドル層への様々なアンケート分析によると、「生まれ変わっても一緒になりた いか」との問いに対して、イエスは男性が67.2%、女性は50.4%で、しかも、女性の4人に一人は『NO』と否定的な回答をしています。(博報堂の調査)
しかし別のアンケートでは、「お金や時間は、夫婦関係をよくするために使いたい」かと いう問いに対しては、肯定的な回答が男性68.3%、女性は68.1%とほぼ同じ結果となっており、「夫婦関係を良くするためには努力したい」という姿勢が伺え、男女とも夫婦関係の改善には前向きです。
また、40代後半の世代は、一昔前とは異なる「新しい大人世代」であることも見逃せ ません。消費意欲も旺盛であり、「自分の年齢層は、これからもいつも新しい生き方やライフスタイルをつくっていく世代でありたい」かという問いでは、40代が67.3%、50代が76.0%という肯定的な結果です。 従来のお仕着せのサービスには満足せず、自分のスタイルを貫き、良いものであればお 金に糸目を付けず進んで買う世代ではないか思います。
一方海外旅行を多く経験した人ほど国内旅行への回帰がより強くなります。 ここにアクティブシニアに対する旅行の需要が発生すると考えており、鹿児島へ誘客す る方策として、この層にどのようなメニューを提供できるかが課題です。 アクティブシニア層の多くは、新婚旅行でハワイに行った人が多く、フリータイム型の のツアーには抵抗がなく、個人で自由に動けることで行動範囲が広いのが特徴です。
鹿児島県は日本第2位の泉源を誇り、多様な温泉施設があります。桜島を望める鹿児島 市内の温泉、天然砂むし温泉のある指宿・山川地区、2012年温泉地満足度第1位に輝いた霧島温泉、世界遺産屋久島のリゾート温泉等他地域にない魅力ある温泉が点在しています。
また、奄美大島や与論島には、ハワイに負けない美しいエメラルドグリーンのビーチが望める地域があります。このような地域の施設を活かし、アーリーチェックイン・レイトチェックアウト等ゆったりと滞在できる、「一つ上の」「ちょっと贅沢な」「上質な」な宿泊プランが求められます。
またおもてなしの心も不可欠です。本格フレンチレストランやカップルで楽しめるアロ ママッサージ、部屋は贅沢にプレミアムオーシャンビューでのステイや記念日を彩る思い出プレゼントなどサプライズの仕掛けも必要です。
この年代層は自分で車を運転して観光地を巡ることに慣れています。「錦江湾しおかぜ街 道」や南薩方面、大隅方面は、海を見ながらの景観が優れドライブが楽しめます。沿線で休憩できるカフェや地産地消を推奨しているレストランや直売店のPRも必要です。 また、県内には多くのゴルフ場があり、ゆっくりとプレイでき都会に住む人にとっては、まさにリゾート感覚で楽しむことができます。
一方では、身近な手段で手軽に情報が入手できることから、価値ある情報の発信が欠かせません。アクティブシニアにフィットするには、鹿児島ならではの滞在メニューをWEBサイト上で提供することも重要です。薩摩焼やガラス工房でおそろいの皿やグラスづくりの体験も興味をそそるのではないでしょうか。また、四季折々の花の開花、夕陽のスポット、ライブハウス、イベント、祭り、食の情報も欠かせません。
平成23年3月に発生した東日本大震災では、東北地方を中心に甚大な被害が発生し、
人生で一番大切なのは家族や夫婦の絆であることが認識されました。アクティブシニアに対し、鹿児島で夫婦の絆やライフスタイルについて考える機会を提供し、思い出づくりをお手伝いしたいものです。
参考 ;観光とまちづくり:社団法人日本観光振興協会
;沖縄観光コンベンションビューロー;サイト
2012年12月3日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
師走に入り、街角ではクリスマス飾りも賑やかとなり、また、鹿児島市役所前のみなと大通公園のイルミネーションの灯りに誘われて、行き交う人も楽しそうです。衆議院選挙が予定され、街は忙しさに拍車がかかるのではないでしょうか。
県内では、佐多岬公園が無料化され、大隅地域への観光客が増えており、また従来無名であった頴娃町の「釜蓋神社」、「タツノオトシゴハウス」などにも観光客が訪れています。一方、開業効果で急激に観光客が増えてサービスが追いつかず、顧客からの不満が寄せられた地域もありましたが、地域ぐるみの「あらたなおもてなし」の取組をスタートさせ成果が実りつつあります。
これから地域の観光を担う人材育成を目指し、「第5回かごしま人材育成塾」が開催され、「地域づくりやJRとタイアップした商品づくり」、「グリーンツーリズムと食の魅力づくり」、「外国人受入の態勢づくり」、「顧客管理とおもてなし」、「地域資源の開発」、など、今後取り組むべき課題等について7つの講座を実施しました。
最初に県観光課の本課長から「鹿児島県における観光の現状と取組」について、6月以降宿泊客が前年を割り込むなど新幹線効果に陰りが見えていますが、クルーズ船の寄港や教育旅行、スポーツ合宿が順調に推移していることの説明がありました。また、24年度の観光PR関係の主な施策、アジアの時代を迎えて鹿児島の可能性について、詳しい内容の説明があり、受講者は鹿児島の観光の現状が理解できたのではないかと思います。
講座の内容について簡単に報告いたします。
第1講座は、九州旅客鉄道株式会社鹿児島支社長の松本喜代孝氏が、「JR九州の概要と今後の取組について」講演しました。支社長は鹿児島に赴任以来、精力的に県内を廻っておりその感想として、「市内の銭湯は温泉である」、「お墓にいつも生花が耐えない先祖崇拝の文化が残る」、「大隅地域には日本の原風景がいたるところに残っている」、「美しい渓谷や水が豊富」など、県民がもっと鹿児島の魅力をPRする必要があると語りました。
また博多から鹿児島中央駅まで最速1時間17分となり、時間短縮効果が図られ、観光列車も好調に推移しており、地域はもっと駅を活用したイベントや誘客に努めて欲しいと語りました。また、2013年10月から運行される九州一周寝台列車「ななつ星in九州」は、鹿児島への運行も決まり予約は順調に推移しています。一度は乗ってみたい列車です。
第2講座は、郷土の家庭料理「ひまわり亭」を経営している本田節さんが「食資源を活かした交流によるまちづくり」について講演しました。 本田さんは、人吉市で郷土料理伝承塾を主宰しており、食文化の研究にも熱意を注いでいます。
地域づくりは、ふるさとに自信を持つ人を育てることであり、特にまちづくりには、Star(人)、Story(物語性)、Service(おもてなし)、Special(差別化)、Surprise(わくわく、驚き)、Smile(笑顔)、Small Bisiness(地域への経済効果)、Social Bisiness(社会貢献)の8つのSが求められる。地元食材にこだわり、安全・安心を追求し、地域に経済が循環することが地域の発展につながると語っています。 また、「日本食文化の世界無形文化遺産」の登録にむけての運動の必要性も語りました。
最後に行政への批判を言っても始まらない。むしろ行政と協調してそれぞれの役割分担を強化することが必要と語りました。 本田さんは、年100回を超える講演活動で全国を飛び回っている元気なお母さんですが、日頃は朝早くから、梅干やラッキョウ漬けに自ら取り組まれています。
レストランは開店と同時にお客さんが埋まるなど、その人気は驚くばかりです。常にチャレンジ精神を持って、全力で生きていらっしゃるパワフルな本田社長の講演でした。
第3講座は、香港エバーグロスツアーズ 代表取締役社長 袁 文英氏で、「香港からみた鹿児島のインバウンド」でした。GLツアーズの日本向けの送客数は、香港の業界でそのシェアはNO1です。今年の7月15日から8月30日にかけて実施した香港から鹿児島への22回の連続チャーターでは、2,892人の送客がありました。
また、事業規模が拡大する中でも、常に社員を大切にされ、お客様の視点での経営を貫いています。社会貢献活動にも積極的に取り組まれており、東日本大震災では多額の寄付をされました。
「おもてなしの極意」について、サプライズの提供をどこで行うかそのタイミングの重要性を認識しました。また、個人旅行が増える中で、客室のあり方、常に温かい食事の提供、館内表示は絵が解りやすい等、ホテル・旅館の受入体制についての示唆に富んだ講義でした。
第4講座は、東京港区芝にある「セレスティンホテル」の取締役総支配人の若林正雄氏が、「薩摩とセレスティンホテルの歴史的・文化的つながりと心に残るおもてなし」について講演しました。
ホテルのある芝・三田エリアは、「ビジネス」・「文化」・「教育」の拠点で、週末は人通りも少なく、立地条件に恵まれているとはいえません。所在地のある芝3丁目は、旧薩摩藩屋敷跡という由緒ある場所で、食材に鹿児島産のお茶や黒牛、黒豚などを使ったメニューの提供を行い、ホテル周辺住民にもその人気が定着しており、フェア等を定期的に開催するなど、顧客にも細かい情報発信に努めています。
リピーター率が60%、年間稼働率が90%を超えるまでになったその取組の一端を披露しましたが、特に女性と外国人の誘客に力をそそいでいます。おもてなしの極意として、お客様から言われる前にする、無いものは探す、常にお客様の声に耳を傾け、実践することなど、常にお客様目線の経営姿勢が人気の源となっていると感じます。
ホテルは感動を与える場所であり、それをいかに実践できるかにかかっている言う言葉が印象的でした。首都圏での厳しいホテル戦争を勝ち抜くため、顧客をいかに大事にしているかその戦略が理解できた講座でした。
第5講座は、南国殖産(株)取締役執行役員都市開発事業部長・企画部長の今村浩氏が、「『かごっまふるさと屋台村』など鹿児島中央駅東口開発について」講演しました。
4月26日に鹿児島中央駅東口近くのホテルの跡地にオープンした「かごっまふるさと屋台村」は、目標の30万人を半年で達成しました。また、相乗効果で、南国センタービルや鹿児島中央ターミナルビルにも多くの人が訪れています。この事業を進められた南国殖産グループの「地域の発展なくして企業の発展はない」という企業精神が冒頭に語られ感銘を受けました。
屋台村は、鹿児島の産品の情報発信基地であり、中心市街地の活性化、観光かごしまのおもてなしの拠点、企業家の育成等を設置目的にしています。また、店舗代表者による問題提起やコミユニケーションの場づくり、新たなイベント作りに知恵を絞っており、そのことが各店舗の緊張感をもたらし、お店が順調に推移している要因ではないかと思います。鹿児島の食材にこだわり、そこに行けば鹿児島に会えるというコンセプトが誘引効果を高めていると感じます。
一方九州新幹線全線開業で、鹿児島中央駅前一番街の再開発や交通混雑の解消など新たな課題にも直面していますが、将来を見据えた東口開発の構想の一部が語られました。その中心メンバーとしてこれからの今村様の活躍が期待されます。鹿児島中央駅東口の将来の姿が楽しみです。
第6講座は、垂水千本イチョウ代表 中馬吉昭氏が、「垂水千本イチョウに育てるまで」について講演しました。中馬さんは、東京でのサラリーマン生活を切り上げて垂水の地で、30年前から夫婦2人で育ててきたのが、今の千本イチョウです。
帰省後地域の疲弊に危機感を感じた中馬さんは、ふるさとの山に多くの果樹や木々を植栽し、また「道の駅たるみず」では、オープン当初出展者の代表を務めるなどその礎を築かれました。「大隅よかとこ博覧会」では、中心メンバーとして、着地型観光メニューの開発に取り組み、多くの参加者を集めました。
千本イチョウ園の一般への開放に当たっては、「第1回かごしま観光人材育成塾」に塾生として参加したことがきっかけとなったと話しました。今では多くのメディアでの発信効果もあり、昨年の黄葉の時期には、昼食場所を求めて観光客が詰め掛け、垂水市の飲食店が満杯になりました。鹿児島県の第1回景観大賞も受賞しています。
今年の見頃は、例年より早く12月の上旬であり、垂水港からシャトルバスの運行も予定されています。30年間イチョウづくりに懸けた熱い思いが感動を呼びました。
第7講座は、観光養殖場「タツノオトシゴハウス」のオーナー加藤潤氏でした。加藤氏は、埼玉からのIターン者で「NPO法人頴娃おこそ会」のメンバーとして、よそ者視点での、地域素材の発掘に取組んでいます。タツノオトシゴは、オスが出産するという珍しい生物で、しかも夫婦仲が良いことから、施設には若いカップルや熟年の女性が多く訪れています。
頴娃町はこれまで、観光というイメージとはほど遠い地域でしたが、「タツノオトシゴハウス」、「釜蓋神社」、「番所鼻公園」の人気定着は、新しい観光ルートの開発につながったといえます。おこそ会では、今大野岳、番所鼻公園から釜蓋神社までの海岸ルートの歩道、石垣地域のまち歩き等の整備を課題としてあげており、「県の魅力ある観光地づくり」等の事業にも積極的に応募しています。地域づくりは点から線、線から面への広がりが重要であり、その手法を学ぶ良い機会になりました。
どの講師の方々も、経験とそれに裏打ちされた講演は、塾生の皆さんに心深く伝わり、これからの活動に必ず役立つと信じます。また、夜学塾は、参加者同志や講師陣とのコミニユケーションの場となりました。
これからの地域づくりについては、下記の視点で取組んで欲しいと思います。
・地域資源を点検し、ストーリーを磨くことが重要であり、オンリーワンの素材を売り出す。誘客に当たっては、近隣市町村、鹿児島市をまずターゲットとする。
・地域にないもの(宿泊や休憩施設)をカバーするには、他地域と連携しPRすることで誘客が可能となる。広域の観光ルート設定や情報発信が必要
・メディアに積極的に情報を提供し、着地型メニューなどは体験して取材してもらう。外国人、子供、女性、老人が主役のイベントの創出が不可欠
・地域の食材を活用した安全・安心のメニューの提供。地域を感じる産品の開発を優先
・消費の主役は女性であり、女性を対象としたマーケティングが必要
・道の駅や農家直売所を充実させ、都会からの応援団を確保する。
・おもてなしの心の醸成し地域あげての取組が必要
・地域を愛し、自ら汗をかく人をどれだけ育てられるかが重要
・地域をまとめるリーダーを育てる環境が必要
今まで人材育成塾を受講した方の多くが、それぞれの地域で頑張っていることは、鹿児島の観光にとって大きな財産となっています。この講座で学んだ人が地域で自ら汗をかき、ネットワークを構築し、地域活性化に努力されることを期待します。
2012年11月26日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
今、鹿児島を代表するパワースポットとして多くの参拝客が訪れているのが、南九州市頴娃町にある釜蓋神社で、正式名称は射楯浜主神社となっています。頭の上に釜蓋を乗せて鳥居から賽銭箱までの約10mを歩ききったら願いが叶うというユニークな願掛けが人気となり、勝負・武の神を祀ることからスポーツ選手も多く参拝しています。
この神社が有名になったのは、テレビ番組の「ナニコレ珍百景」で紹介されたのが始まりです。その後ロンドンオリンピックの女子サッカーチーム「なでしこジャパン」の福元選手が、ゴールキーパーとしてシユートをことごとく防いだのは、この神社に参拝したご利益のおかげとのスポーツ紙の報道もあり、一気にその人気に火が付きました。
今では、サッカーの中村俊輔や澤ほまれなどのプロスポーツ選手や、県内外のスポーツ団体の参拝がたえません。旅行エージェントの企画にも取り上げられ、今秋から週末には指宿観光協会が、唐船峡と釜蓋神社を巡る着地型のバスツアーを始めました。海に突き出た場所にある朱塗りの神社の両岸は、白波が押し寄せ旅情をかきたてます。
3年前まではほとんど無名に近かった釜蓋神社が、多くの参拝客を呼ぶようになったのは、神社のストーリーとともに珍しい参拝スタイルが、メディアで取り上げられたことが大きいと思います。皆様の地元でも地域に眠る観光素材を点検し、ストーリーを語ることで新しい魅力が生まれるのではないでしょうか。
また、釜蓋神社から5分の所にある「タツノオトシゴハウス」も注目の施設です。 頴娃町の海にはタツノオトシゴが生息していますが、この施設は国内唯一の専業養殖場で、養殖出荷量は日本一となっています。 竜の容貌を持ち、夫婦仲がよく、オスが子供を身ごもるという珍しい生物で、そのことが観光客の話題となり、「タツ年」である今年は、月平均4000名を超える観光客が訪れており、無料で公開しています。
タツノオトシゴは、「幸運、健康、恋愛成就&夫婦円満、子宝、安産」のシンボルで、一度に1000匹の子供を生みます。施設では、Iターン者で代表の加藤潤さんが、映像を通しての出産シーンや、生簀の中で生き生きと動き回るタツノオトシゴの生態を詳しく説明してくれます。オンリーワンの施設で、オスが出産するというストーリーが観光客の人気の秘密ではないかと思います。
小生が訪れたとき、若いカップルや熟年の女性グループが、加藤さんのユーモアあふれる説明に笑い声が起こっていました。釜蓋神社までの海岸散策ルートの整備が急がれます。
すぐ近くにある番所鼻自然公園も見所の一つです。「薩摩富士」と呼ばれる開聞岳から昇る日の出は特にすばらしい。
江戸時代に日本全国を歩いて測量し日本地図を作った伊能忠敬が、『けだし 天下の絶景なり』と、日本一の絶景として称賛した場所で、元内閣総理大臣の鳩山一郎氏の揮毫による伊能忠敬の石碑が建てられています。海を見下ろす場所に、「幸福の鐘(吉鐘)」があり、下にはタツノオトシゴをモチーフにしたハート型のかわいいオブジェも作られています。
訪れる人が鳴らす鐘の音に、散策している人の足も一時止まります。絶景の地に立つ「いせえび荘」で、開聞岳の雄姿を眺めながら味わう「いせえび料理」も格別です。ぜひお尋ねください。
360度のパノラマが広がる標高466mの大野岳も、見ごたえがあります。自動車で頂上付近まで登ることができ、展望台までの茶寿と呼ばれる108の階段には、還暦や喜寿、米寿などの記載があり、楽しみながら登れる場所です。東シナ海、桜島、佐多岬を一望でき、空気が澄んでいると遠くに種子島、屋久島、硫黄島を望むことができ、四季折々の展望が楽しめます。 課題としては、大野岳までの案内標識やトイレの整備が急がれます。
ところで、頴娃町は従来知覧や指宿、坊津に抜ける通過の場所に過ぎず、番所鼻に食事に来る人しか目だった観光客はいませんでした。 頴娃の活性化には観光地づくりが必要と考え、業種や、官民の枠を超えた組織が結成されています。今地域一体での魅力発信に取組んでいるのが、「NPO法人頴娃おこそ会」のメンバーです。
いせえび荘の西村社長やタツノオトシゴハウスの加藤潤さんを始め、地域の若者から年配者まで集まり定期的に会合を開き、地域づくりの勉強会や先進地視察を行っています。
これからは、指宿、知覧、坊津に行く途中、立ち寄りたくなる地域になって欲しいと思います。頴娃町は温暖で県下屈指のお茶・花の産地であり、これを活用した地域ならではの特産品作りが求められます。宿泊施設が少ない中で、滞留人口を増やすことが地域経済の発展には不可欠です。 これから活力のある地域や商店街になるには、食の魅力が求められます。
釜蓋神社、タツノオツシゴハウス、番所鼻自然公園、大野岳に続く地域の観光素材の掘り起こしが望まれます。指宿枕崎線沿線は自然の原風景が残り、無人駅を活用した列車とバスを組み合わせたツアーも魅力があります。
頴娃の茶畑は美しく、農道も整備されドライブにも最適であり、途中に美味しいお茶を飲む休憩施設や体験メニューの充実も急がれます。冬の風物詩「大根やぐら」もまもなく見られますが、やぐらのライトアップも一度試してみたらどうだろうか。
1月には、「いぶすきなのはなマラソン」と、「なのはなマーチ」の2大イベントが開催されます。イベントに参加されたお客様を頴娃地域に誘客することも可能です。
ところで頴娃地域から30分あまりの場所には、坊津があります。 坊津は、梅崎春生が自分の軍隊生活の経験をもとに、小説「桜島」の舞台として取り上げた場所で往昔、遣唐使が船出したところでもあります。また、遺作となった「幻化」でも美しい坊津の景観と人々の暮らしが描かれています。
かつて、日本三津とうたわれ、古来から仏教文化が伝来して栄え、また中世から続いた交易港として多くの船が出入りしました。坊泊小学校の近くの高台にある「上人墓地」は四角形の珍しい墓であり、南北朝時代から明治維新までの勅願寺一乗院の歴代住職の墓所となっています。仁王像や石垣が残り当時の栄華を伝えています。
「輝津館(きしんかん)は、中国や琉球の交易の軌跡、一乗院を中心とした坊津の仏教文化や漁に関する民族資料など、坊津の歴史を語るものが展示されています。
坊津は、酒造メーカーのCMの舞台に、また、ショーン・コネリー、丹波哲郎、浜美枝が共演した「007は二度死ぬ」ではロケ地になり、秋目の鑑真和上上陸記念碑近くの駐車場に「007撮影記念碑」が建立されています。坊津には旅情をかきたてる場所が多く残っています。また、ゆっくりと歩きながらいにしえ人の行き交った石畳や、石垣が残る路地を巡るのも坊津を知る一つの方法と思います
頴娃町は、鹿児島市から知覧、指宿のルートに加え、坊津に出かける人の休憩地点としての位置づけができます。観光客に境界はなく、知名度の高い地域とも連携し、ルートのPRも誘客には得策です。
頴娃町の恵まれた地理的条件を活かし、立ち寄りたくなる地域としての更なるブラッシュアップが求められます。 地域の皆様のご活躍に期待します。
2012年11月19日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
九州新幹線全線開業から1年9か月が経過しましたが、宿泊者の実績で見ると今年の6月から前年を下回り一服感が見られるのも事実です。一昨年の実績と比較すると上回っていますが、大幅に伸びていた関西以西からの宿泊客が鈍化しており、これから格段のPRと誘客対策が求められています。
ところで鹿児島中央駅前に4月に誕生した「かごっまふるさと屋台村」が、10月末で年間目標の30万人を突破しました。半年間での目標達成であり、関係者の努力に敬意を表します。
「かごっまふるさと屋台村」は、25軒の個性あふれる屋台と1軒の焼酎専門店が軒を並べます。それぞれの店は小規模で8席しかなく、隣席の方とすぐに仲良くなれるなど家族的な雰囲気が味わえるのが特徴です。
また、鹿児島の旬の食材を活かしたこだわりの料理と焼酎をリーズナブルな価格で提供しており、鹿児島の食文化を堪能できる場所としての魅力が浸透しています。 現在屋台村は全国にできていますが、震災で大きな被害を受けた宮城県気仙沼市にも「復興屋台村 気仙沼横丁」がオープンし話題となっています。
屋台村の盛況の要因と今後の課題等について述べてみたいと思います。
まず屋台村は、鹿児島中央駅に近くてアクセスに恵まれ、出張のビジネスマンの時間つぶしや帰りがけのサラリーマンにとって便利な場所にあることです。また、電車通りに面しており宣伝効果は抜群で、レトロ調の入口とあわせて、のれんをくぐってみたいという気持ちに駆り立てられます。
特に地産地消を中心とした地元食材にこだわっていることが人気の要因です。 10月5日から31日まで秋の大収穫祭と銘打ってイベントが開催されました。南さつま市、鹿屋市、長島町、姶良市各地域の自慢の食材を使って、各店舗が腕によりをかけたメニューを提供し、来店客をもてなしました。屋台でしか味わえない楽しさや、雰囲気がお客様に感動を与えました。
11月3日には、秋の収穫祭のフィナーレを飾るイベントが行われ、4つの市町村の名産品が当たる抽選会も開催されました。当選された方は、必ずやリピーターになるのは確実です。
従来ラーメン横丁やお好み焼きの専門店等が並ぶ場所では、人気店舗とそれ以外の店舗との優劣が付き、店舗同志のコミュニケーションがなくなり、店が退去するなどの弊害も起こっています。
そのような弊害を少なくする方策の一つとして、スタンプラリーを実施し、屋台村全体の発展を目指す取組が効を奏しています。また、同業種が少ないことや、それぞれの店が切磋琢磨しながら、競争と協調の心をもって一体感を維持していることで常に緊張感を持った経営がなされていると判断します。
これからも屋台村は、貪欲に鹿児島らしさにこだわる必要があり、鹿児島の魅力を発信する場所にしなければなりません。従業員は今以上に鹿児島弁で、観光客に鹿児島の魅力を語ることが求められます。
「かごっまふるさと屋台村」は、青森県の「八戸屋台村 みろく横丁」がモデルとなっていますが、みろく横丁では、15日からボージョレイヌーボー祭りが開催され、ご来店の方にヌーボーが1杯サービスされるイベントが開かれています。常に話題を集めるイベントを開催しているのも特徴です。
今後、餅つき大会、クリスマス会、年始や成人の祝いなどの開催等で常に季節を感じる話題を提供することが集客効果をもたらします。来春になると市内でのプロスポーツのキャンプもスタートします。プロ選手との出会いも楽しみです。メディアでの積極的な情報発信が求められます。
屋台村の成功は、若い起業家の誕生をサポートする機会にもなり、これからの成長が期待されるプロジェクトになると信じます。
ところで、鹿児島市は錦江湾越しに桜島を望み、歴史、温泉、食、路面電車、海など県都としての魅力が集約され、宿泊施設の充実等観光客誘致には大変恵まれた環境にあります。屋台村の周辺は、近代日本の礎を築いた偉人を輩出した地域であり、中でも「維新ふるさと館」は大変人気がある施設です。夜は甲突川がライトアップされ一段と魅力的な一帯となります。
しかし天文館までの客足は伸びず、地域全体に経済が循環するまでには至っていません。「2次会は天文館で」を合い言葉に、各店舗のオーナーは観光客に天文館の魅力を語って欲しいと思います。
一方、屋台村にはビジネスマンが多く訪れていますが、新幹線の時間短縮効果は、ビジネスマンの日帰出張を加速し、鹿児島市内はホテルが供給過多となりシングル料金の値下げ合戦も見られ、中央と地元資本との戦いになっています。このまま行くと資金力が弱い地元のホテルは苦戦が予想されます。 屋台村内でも県内でのイベント開催や花の開花、紅葉、釣り等の情報提供を行うことで、遠方まで足を伸ばすきっかけをつくり、滞在させる取組が求められます。
周辺の既存の店との競合も激化していますが、「おもてなしの心」を持ってサービスの向上に努め、相乗効果で来店客を増やして欲しいと思います。また、近隣のホテルの方々も積極的に屋台村をPRすることで、連泊につなげて欲しいと思います。
また、現在海外路線は、台北、ソウル、上海便が就航していますが、アジアの人々は、屋台で食事することが定着しており、今後東アジアの観光客が増加すると思います。外国語標記の徹底や簡単な言葉を覚えることで、海外観光客との交流の場所になればと思います。市民にも屋台村の魅力が浸透しており、より多くの人々が訪れる場所として定着することを期待します。
「ふるさとかごっま屋台村」に行けば「本物。鹿児島県」、日常のかごしまに会えると、観光客に誇れる場所であり続けてほしいと願っています。
2012年11月12日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
11月15日、鹿児島市喜入一倉町に、グリーンファーム(鹿児島市観光農業公園)がオープンします。 交流と体験のフィールドとして大きな期待がかかる施設です。東京ドーム約9個分の敷地にグリーンツーリズム関連施設やキャンプ場、遊歩道などが整備され、豊かな自然の中で、農業や食・環境などについて体験や学習を楽しむことができます。
ところで農産物をブランド化し、その加工品で収益をあげ、地元農家と連携したレストランや体験型メニューで観光客を呼び、それらの複合的な事業を一貫して行う「ファーム」というスタイルを成功させたのが、三重県伊賀市の農事組合法人「伊賀の里モクモク手づくりファーム」(以下ファーム)です。
「安全・安心」にこだわり、「生産者と消費者とのつながり」を重視したファームのファンづくりが、人気を集めています。その結果ファーム自体が一種のブランドとなり、近郊に直営のレストラン7店舗を出店するまで成長しており、JR名古屋駅の駅ビル・セントラルタワー内にも店があります。自然ビュッフェのお店で、昼食時間には100名以上が並ぶほど賑わっています。
ファームは、名古屋、大阪から車でおよそ1時間半。三重と滋賀の県境近くの山中、西湯舟にあり、近燐の県から年間50万人が訪れています。ファームでは、生産だけでなく、加工、直販、レストラン経営まで含めた複合的な手法、いわゆる6次産業化を進めています。
さらに会員制の宅配サービス、手づくりウインナー教室などの体験メニューや温泉・宿泊施設、さらには定年帰農のニーズを見込んだ体験農園など食や農業に関心の高い消費者と観光客を巻き込む仕掛けづくりで大きな注目を集めています。 また、年間を通じて50以上のイベントを開催し集客に努めており、家族連れが多く訪れます。直営レストランを含めて全体の売り上げは43億円にも上っています。(2008年の実績)
観光客が体験し、買い物のできる農業関係施設としては、従来から観光農園(みかん狩りやイチゴ狩り、芋ほり等)や、観光牧場が各地にありますが、「モクモクファーム」は地元ブランドの食材を開発し、そこを核にして近燐の野菜農家や県内の農家とも連携して地域全体にお金を落とすシステムをつくりあげていることです。
消費者ニーズを具体化して体験型メニューを実施しており、特に好評をえているのがウインナー教室です。餌や飼育方法を変えながら試行錯誤して改良し、「伊賀豚」をつくり上げ、その肉を使って完成させたのがファームのウインナーです。
現在では、生産者の顔、生産現場を見せ、「安全・安心」、「本物の味わい」というコンセプトを感動的な体験として具体的に提示し、大人も子供も楽しめることが人気を博しています。
2005年に制定された「食育基本法」では、子どもたちに農業体験や食の安全、地場の農産物に触れる機会を作ることを奨励しています。 ファームでは、早くから体験施設をつくり、地元の農産物を使うレストランを運営し、子どもたちのための田んぼの生き物調査や、牛や豚の観察、星の観察などのイベントをカリキュラム化してきた。そんな活動が多くの小・中学校に注目されることになり、体験や修学旅行で訪れる人がどっと増え、2006年以降訪れた小・中学校の数は毎年500校をこえています。
今度オープンするグリーンファームは、「育てる」、「楽しむ」、「味わう」、「学ぶ」の4つの体験ができる県内では初めての本格的施設です。その魅力と課題について整理したいと思います。
まず体験メニューの充実をいかに図るかです。単なる農業体験は、既存の観光農園や農家で体験することができます。入園者が広い農園の中で、自然との触れ会いを通して、生産する喜びや収穫、「安全・安心」の食材の魅力をいかに感じることができるかが重要です。すでに収穫してある農作物を集めるだけでは本物の体験になりません。
農園で生産される農産物から十割そばの提供や絞りたての牛乳、ジェラート、飼育されている豚や牛の肉を使ったバーベキュー等のメニューは人気を呼ぶものと思います。スーパーやコンビニとの差別化を図り無添加の安全・安心の商品づくりが必要です。周辺住民が、農産物を買いに訪れ、また、ファームのレストランでは、園内で収穫される農産物や地元食材にこだわった食事を提供することが求められます。
次に平日にいかに集客効果を高めるかです。休日は一定の入場者は見込めますが、市内から1時間程度の場所に出かけるとなると、平日は一般の人ではそれなりの目的がある人になります。その意味でも教育現場のカリキュラムを平日にいかに組み入れるかが重要です。
まず市内の小・中学校は、9年間の中で必ず1回は、グリーンファームでの体験を入れることが、年間入園者を確保することになります。また、子供の体験が親の誘因効果をもたらすものと思います。数時間の体験メニューや、雨の時のメニューの準備も求められます。 また団塊の世代が多く退職する時代となり、農業に関心をもつ人も増えて、趣味の一つとして農園を利用したい人が増加しています。そのような人に対する指導者の配置も求められます。
また、グリーンファームは、国道から離れており、気軽に立ち寄ることは大変厳しいと言わざるをえません。エージェントとのタイアップ企画や四季折々の魅力をメディアでPRすることが不可欠です。1年間は市民の関心もありますが、持続的な誘客には、施設のブランド化が何よりも求められており、市民の皆さんに愛され、支持される施設になることです。
一方、県内ではグリーンツーリズムの取り組みが盛んになってきました。平成25年度は、南さつま地域、北薩地域、大隅地域を中心に約2万人を超える学生の農家民泊の予約が入っており県内全域に広がっています。一般のお客様を受け入れるため「簡易宿所営業」の認可を取得する地域も出てきており、誘致、受入競争も激化しています。
「道の駅」や「農家の直売所」が増え、身近な処で気軽に「安全・安心」の食材を購入することができます。グリーンファーム独自のオリジナル商品を作ることが重要です。 観光振興にとって大切なことは、地域全体に経済効果をもたらすことです。観光客に地域産品や加工品を購入していただく取り組みが求められており、 魅力ある加工品づくりと販売ルートの確立も必要です。
距離のハンディを克服し顧客を獲得するためには、他の地域に負けない「おもてなしの心」をいかに提供できるかも大切なことです。 グリーンファームが、県内のグリーンツーリズムのリード役になることを期待します。
参考:田舎力 ヒト・夢・カネが集まる5つの法則 金丸弘美著作
2012年11月5日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
鹿児島を教育旅行の行先に選ぶ学校が増加していますが、教育旅行は、定期的に行先を変える傾向があります。それはマンネリ化を防ぎ、先生方が新しい旅行先を求めていることや、教育課程の変更等が大きな要因です。その際、新しい体験メニューの開発やアクセスが整備されると、行先として選ばれるチャンスが訪れることになります。
従来県外の学校があまり関心を示していなかった大隅地域が注目をあびています。九州 新幹線の全線開業効果で、大きな時間短縮が図られ行き易くなったことや、新大阪から集約臨時列車や直通列車が増発されたことが大きく、25年度以降の誘致に向けて大隅地域をPRしていきたいと思います。
そのポイントとなるのが3つの施設と考えています。 一つは、「鹿屋航空基地史料館」です。史料館に行くとまず目に入るのが前庭に展示されている二式大型飛行艇12型。昭和15年当時世界一高性能の大型飛行艇と言われています。
米国国内に保管されていた、世界に一機しかない当時の技術を駆使してつくられた飛行機で、関係者の努力で、その後海上自衛隊第一航空隊が引き渡しを受け現在の場所に展示されているもので、当時の日本のものづくりの水準の高さを知ることができます。 前庭に展示されている数々の飛行機は、かつて日本の空を飛び、災害や人命救助等に活躍したものです。
特攻基地と言えば南九州市知覧が有名であり、旧日本陸軍の航空基地がおかれた場所です。鹿屋市には旧日本海軍航空基地があり、太平洋戦争のとき特攻基地として使用され、多くの尊い命が飛び立っていきました。鹿屋航空基地からは908名が飛び立って再び帰ることはできず、その数は知覧の数を上回っています。現在は海上自衛隊鹿屋航空基地が置かれ、東シナ海・日本海・太平洋地域等の防衛警備や災害派遣、医師のいない離島等への急患輸送等も行っています。
海上自衛隊鹿屋航空基地正面横にあるのが「鹿屋航空基地史料館」で、現在無料で見学できます。海上自衛隊の歴史、特別攻撃隊関連の資料展示があり、戦争を知らない学生さんには、ものづくり、平和、日本の国防等考えさせられる施設で、「知覧特攻平和会館」と違った施設であることも魅力の一つです。
日本領土を取り巻く国際環境は緊張感が高まっていますが、国のあり方等も考えさせられる施設ではないかと思います。 駐車場に隣接して鹿屋市の物産館が設置されています。教育旅行の誘致を通してさらなる充実が望まれます。
次に教育旅行の注目をあびているのが、「内之浦宇宙空間観測所」です。 内之浦宇宙空間観測所は、昭和37年に東京大学生産技術研究所の付属施設として設置され、昭和45年、日本で初の人工衛星「おおすみ」を打ち上げて以来、大小385機にのぼる科学観測ロケット及び科学衛星の打ち上げを行い、またそれらの追跡・データ取得等も行っています。
市街地から離れた場所にあり、物資の輸送が便利で東側に開けており、かつ国内で地球の自転速度が速い地域ということで選定された、世界でも珍しい山地に設置されたロケット基地です。
平成15年5月9日には、小惑星「イトカワ」でのサンプル採取とリターンをミッションとした小惑星探査機「はやぶさ」もここから打ち上げられており、「はやぶさ」の母港としても有名です。 打ち上げから帰還までの取組を題材とした映画「はやぶさ」も作られ話題となりました。多くの人々の苦労が偲ばれる映画でした。来年の6月から9月にあらたなロケットの発射も予定されており、全国的に注目されている地域です。学生たちがロケットの歴史や科学衛星について楽しく学び、宇宙開発への憧れを持って欲しいと思います。
先日もSSH(スーパー サイエンス ハイスクール)の認定校である福岡市のT高校が、研修旅行先として訪れていました。これからもSSHを中心に誘致を進めたいと思います。内之浦地域ではここ数年「えっがね祭り」を開催し、食の魅力が多くの人を呼んでいます。種子島にも宇宙センターがありますが、ここの施設のPRもしていきたいと考えています。
3箇所目は「垂水市漁協」です。 垂水市漁協は錦江湾に浮かぶ桜島と大隅半島が接続している南側に位置し、波静かな湾と桜島を望む好位置にあります。 かつて高倉健が主演した映画「ホタル」の撮影地になった場所でもあります。平成20年から始まった「餌やり体験」は人気が高まり、24年度は11校の予約が入っています。
安全対策には特に配慮しており、学校側の信頼を得ています。県外に同様な好条件に恵まれた漁港は少なく、漁業体験をしたい学校が増えている中で、大きな誘致の柱になっています。垂水市では漁業体験に続いて漁師の家での民泊の受け入れも始まりました。
このように教育現場のニーズにあったメニューを提供できることが魅力ですが、加えてグリーンツーリズムの素材に恵まれているのも大隅地域です。学生を受け入れる魅力としては、食の宝庫であり、いろいろな体験ができることです。サツマイモ、ピーマン、米、お茶、メロン、みかん、落花生、牛、豚など農畜産が盛んであり、地域全体での受け入れが可能で大型の農家が多いのが特徴です。また、気候が温暖で一年中受入ができることです。
また、今年から農家民泊の受入もスタートしました。最近の教育旅行のニーズは、名所 旧跡の見学から農業・漁業などの体験、火山や震災などの自然学習、街を歩きながらの歴 史・文化の探訪、戦争に関する資料を通しての平和学習、宇宙への興味を抱かせる科学学 習等さまざまであり、複数のカリキュラムを取り入れる学校が増えています。体験型修学旅行においては、農業・漁業体験を組み込む学校がほとんどです。そのためには、他県にないユニークな体験メニューの提供、また、受入側の体験学習における安全性を確保することが何よりも重要です。
受入の課題としては生徒の宿泊先の多くは、「簡易宿所営業」の登録許可をもつ民宿ではなく、農家、漁家であり、料理はみんなで作る等コンプライアンスの徹底が重要です。また、保健所の指導により、手洗いの励行、絶対に生ものを出さないなど保健衛生面での格段の配慮が必要です。農業体験では、農機具などでけがや事故にあわないような最善の注意が必要です。
また、民泊のスタート、解散地の集合場所をどこに置くかが重要になります。クラス別に受け入れ地域を決めるため、中心となる公民館や集会所のある場所が必要になります。受け入れに当たっては、エージェントと学校、農家との様々な折衝が必要になります。体験メニューの設定、保健衛生面の指導、受け入れ農家の割り当てなどです。そのためには地域を熟知したコーディネーターの存在が不可欠です。
大隅地域の魅力は、県民にも十分浸透していませんが、スポーツ合宿の誘致では大きな成果が出てきています。また、佐多岬公園が無料化され、九州本土最南端としての魅力も増しています。 教育旅行で新幹線を利用し大隅地域に宿泊すると、錦江湾内のフエリー等が補助される制度もできました。
他県になく優位性が発揮できる「鹿屋航空基地史料館」、「内之浦宇宙空間観測所」、「垂水市漁協」の3箇所の魅力と、大隅地域が誇るグリーンツーリズムの体験、民泊を前面に教育旅行の誘致に努めたいと思います。
参考:アスナビ、Wikipedia、垂水市漁港HP
2012年10月29日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
新幹線時間短縮効果で、九州本土最南端の県であることがプラス要素となり、鹿児島には多くの観光客が訪れています。最初に降り立つのが駅や空港であり、第1印象がその地域の印象となります。案内所、タクシー、バス、街の人等の接遇の大切さが問われています。
昨年の九州新幹線全線開業以来、運輸機関、観光施設、そこで働く従業員、また、市民 に対して多くの温かい評価の言葉を頂いています。 その事例をいくつか紹介します。
『タクシーについて』
・タクシーに乗降する際、帽子を取り名刺を渡して挨拶し、ドアを開け閉めしてくれた。前日観光地で撮影した写真を額に入れてわざわざ届けてくれた。
・宿泊施設から駅まで短い距離であったが、沿線のことを丁寧に説明してくれた。
・タクシーで3時間コースを事前に予約しておいたが、時間に余裕があることを伝えるとルート以外の場所も追加料金を取らず案内してくれた。
・30分間の乗車中、鹿児島の歴史や観光地について詳しく説明してくれた。また、利用したい。
『宿泊施設で』
・子供が料理をこぼし畳が汚れたが、すぐ雑巾を持ってきて、明るい応対で対処してく
れた。新しい茶碗をすぐ用意してくれた。
・夜に子供に熱が出たが、フロントの方がわざわざ薬を届けてくれた。
・料理の内容について、メイドさんが丁寧に地域の食材について説明してくれた。
・出発の際、置かれた主人の靴がきれいに磨いてあり、今までの旅行で初めての経験で嬉しかった。ホテルの細かい気配りに感心した。
・忘れ物を駅までわざわざ届けてくれた。親切心に感動した。
・ホテルは大変混んでおり、若い新入社員が対応したが、一生懸命な姿が好感を持てた。自分の娘にも見習わせたい。
『案内所で』
・ホテルを尋ねたら道路まで出て方向や信号機を目印に親切に教えてくれた。
・初めての鹿児島であったが、観光地への交通、名物料理、お土産等について地図を広
げながら親切に説明してくれた。
・空港に着いたらおいしい湯茶のサービスがあり驚きであった。お土産にも買った。
『街角で』
・行きたいレストランを聞いたら、近くまで同行して連れて行ってくれた。
・ガイドブックを持っていたら、どこかをお探しですかと聞いて親切に教えてくれた。鹿児島の人は親切である。
鹿児島には「心温まるおもてなしの心」を実践する人がたくさんいらっしゃることは、うれしい限りです。
ところで、観光の顔として地域を売り出すのが、各市町村のPR大使ですが、その役割 と「おもてなしの心」の極意を学ぶ研修会が開かれ、県内9地区から20名のPRレディーが参加しました。県観光課の本課長が最近の観光動向を説明し、県内各方面への入込状況や、大都市圏からの誘客の大切さ、地域の情報発信の重要性を説明しました。
11月で任期が終わる鹿児島市の「かごしま親善大使」である原口優さんは、PR大使の仕事の役割やPRの手法について、1年間の実践を通して感じたことを解りやすく話してくれました。
鹿児島市のPRだけでなく、県内各地域の説明もできるだけするように心がけたこと、また、自分の印象が鹿児島の印象となる、いつも笑顔を持って対応することの大切さを述べていました。小生は昨年のPR大使の審査に加わった一人として、原口さんの成長振りに目を見張りました。
今回の研修会では、講師の中村朋美さんからPR大使としての心構えやマナー、コミュニケーション方法等について2時間あまり熱心に学びました。各PR大使が連携しながら、鹿児島のPRに努めて欲しいと思います。1年後の成長が楽しみです。
これからのPR大使に望むことは次の点です。
・主役はいつもお客様です。最初の印象が大切。いつも笑顔を忘れず、自ら先に頭を下
げることを心がけて欲しい。
・自ら地域を愛し語れる人になってほしい。そのためには、日頃から地域を回り、歴史、
食、温泉、特産品、観光施設等を知ることが大切です。また、周辺地域の魅力も知り、観光ルートを語れる人が求められています。
・一生懸命には信頼がついてくる。お客様がフォローしてくれる。「わかりません」、「できません」はその場で言わない。調べて後で連絡することが大切です。
・観光客は訪れたい地域の情報を、出来るだけ多く事前に収集したいと考えている。訪問先では自分の地域を解りやすく説明する必要があります。
・説明会等では、滞在したときのくつろぐ「時間」の過ごし方や「情報」を伝授する場所である。「もう一度あの人に会いたい」、「大使のふるさとを訪ねたい」と言われる人になり、かごしまのファン作りに努力して欲しい。
鹿児島の観光は、地域の人々の日頃の情報発信やおもてなしの心で支えられています。PR大使が鹿児島の観光伝道師として、観光客が訪れてみたいという旅心を誘う役割 を担って欲しいと思います。
新幹線開業効果に陰りが見える鹿児島ですが、観光地の最終的な評価は人です。そして、県民一人ひとりが観光客を温かく親切に迎える「おもてなし先進県鹿児島づくり」を定着させたいものです。
2012年10月22日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
垂水市は、錦江湾を挟んで鹿児島市の対岸に位置していますが、人口減少が続き、現在約1万6千人余りであり、県下の市では西之表市に次いで人口の少ない市です。最近は桜島の爆発が増加し、1年を通して降灰に悩まされている地域です。桜島の噴火を身近に感じる地域として、それをプラスに捉える取組が求められています。
その垂水市が地域活性化の柱として取り組んでいるのが「第1次産業の6次産業化と観光振興」です。
垂水市の魅力と取組について紹介します。歴史については、「垂水島津家」の存在があげられます。島津77万石を支える一門家(加治木・重富・垂水・今和泉)のひとつである垂水島津家は、初代忠将から16代貴暢まで約250年間垂水を治めていました。
垂水島津家墓地内には歴代領主や、一族、大小100余の豪壮な墓碑が一堂に並び、歴史的に大変貴重な史跡です。13代将軍徳川家定の妻『篤姫』より先に妻候補に挙がった『八百姫』もこの墓地に眠っています。ぜひ見学を兼ねて参拝下さい。
垂水市は、近代造船発祥の地・国旗「日の丸」のふるさとと言われています。幕末、西欧列強が東アジアに進出してきた時代に、島津家28代当主島津斉彬は、溶岩で埋没する以前の「大隅半島と桜島の間の海峡」の造船所で洋式帆船を建造しました。
その後日本各地で船が造られましたが、日本の船の印が必要となり、斉彬が提案したのが「白地に朱丸一つ」の日の丸です。これが幕府に受け入れられ、日本の総船印となり、後に国旗になったのです。そして、はじめて日本を示す旗として、日の丸が「大隅半島と桜島の間の海峡」で造られた昇平丸に掲げられたと言われています。
このように近代日本の創業時と歴史的関連が深い垂水市では、有志による「国旗日の丸発祥の碑建立期成会」が発足し、「道の駅たるみず 湯っ足り館」の敷地内に「昇平丸モニュメント」、「記念石碑」、「国旗掲揚塔」を建立する計画が進んでおり、12月12日に除幕式典を予定しています。
道の駅たるみずは、桜島の噴火する姿を真正面に望む絶好の場所にあり、九州の道の駅177箇所の中で、顧客満足度第7位にランクされています。(じゃらん24年度調査)桜島を望む足湯や、新鮮な魚介類が豊富なレストランも人気です。
そこに碑が建立されることは、新たな名所になると思います。近くにある牛根埋没鳥居展望公園は、県の「魅力ある観光地づくり事業」で整備が進み、今年の4月から一般公開されています。
また、関ヶ原の戦いで敗れた宇喜多秀家が、島津義弘に匿われた場所が国道220号沿いの辺田駅跡近くにあり、潜居跡の石碑が立っています。近くにある平野家では秀家公を上屋敷に匿い、下屋敷に移り住みました。現在では、36代目の平野利孝さんご一家がお住まいです。
牛根地域には仏教遺跡など歴史遺産も多くあります。松ヶ崎地区では、郷土史研究会の方々が、駐車場の確保やガイドの養成、休憩施設の設置などを要望しており、これからの周辺整備が課題となっています。
垂水市出身の著名人としては、瀬戸口藤吉がいます。「軍艦マーチ」の作曲家で知られる瀬戸口翁は、明治元年に垂水市に生まれ、錦江湾の海を見て育ち、海洋と人間への感動を歌に託しました。市では、平成11年から、『瀬戸口藤吉翁記念行進曲コンクール』が開催されています。
もう一人は、洋画家として活躍した和田英作です。明治・大正・昭和にわたり、富士とばらの画家として有名となりました。「海辺の早春」、「波頭の夕暮」、「思郷」、「斜陽」等多くの名画を残しており、市の中心部に「和田英作画伯顕彰碑」も建立されています。
「猿ヶ城渓谷森の駅 たるみず」も魅力あふれる施設です。猿ヶ城渓谷は、県立自然公園・おおすみ自然休養林に指定されている高隈山の麓に位置します。すばらしい緑の中に清冽な水が流れ落ち、所々に花崗岩の奇岩・巨岩が連なり、体全体に降り注ぐ緑と水のシャワーは爽快です。刀剣山の断崖には、岩から生え出たような赤松が枝を張り、水墨画のような景観を呈しています。
夏場を中心に、学校行事のキャンプや登山者の宿泊基地、家族旅行、職場旅行、地域コミュニティの場所として活用されています。渓谷のスリルと自然のダイナミックをたっぷり味わえるワクワク、ドキドキのアドベンチャーランドとして、都会の喧騒を離れ、おいしい森林の空気と清流の音に触れる癒しの場所として人気が高まっています。
1年を通して一般の方の利用をいかに高めるか、季節ごとの魅力発信が重要と考えます。特に教育市場で、年間の半分程度を確保することが安定的な経営になると思います。大隅地域では、格好な登山が楽しめる山として高隈山がありますが、スタートになるのが猿ヶ城です。 週末には「道の駅たるみず 湯っ足り館」との連携による宿泊者を増やす対策が欠かせません。
尾脇市長は、就任以来まちづくりの重要政策の1つとして、交流人口の拡大による地域の活性化をあげており、その中心となるのが観光振興です。
先日大阪市内で、大学生を中心とした「かごしまスポーツ合宿セミナーIN関西」が開催されましたが、市長自ら学生の相談相手になって誘客に努めていました。練習場に恵まれ、豊富な温泉や水、おもてなしの心は学生たちに感動をもたらすことは間違いありません。これから関西からのスポーツキャンプが増えるものと思います
20年度から教育旅行のメニューとして、垂水市漁業協同組合は「海の桜勘カンパチ餌やり体験」の受入を行っています。1校で始まった漁業体験旅行が、24年度は9校1161名の受入となり、今後も増加していくと予想しています。錦江湾の波静かな海と桜島の絶景を望む位置にあることや、比較的に空港や鹿児島中央駅に近いこと、漁協の安全対策や対応の良さなどが学校の信頼を得ていると思います。
また、定期的に一般消費者向けにPRイベントを開催するなどの取組が、漁協が経営する直営レストラン「桜勘」の人気定着に繋がっています。漁業体験だけでなく、教育旅行における民泊も定着してきました。降灰というマイナスの要素を、噴火を真正面から見ることができる場所であるというプラスに変えることが大切です。海潟漁港は、映画「ホタル」のロケ地にもなっておりもっとPRしていきたいものです。
また、大野地区には、地元の中馬さんが30年に渡って育てて、NPO法人かごしま探検の会の東川隆太郎氏が「世間遺産」の一つにあげた「垂水千本イチョウ園」があります。 1200本のイチョウが棚田状に山の斜面に植えられており、11月中旬から色づき12月になると美しい黄色の絨毯が楽しめます。
高台からは、桜島や開聞岳が一望できる絶景ポイントです。今や鹿児島の秋を代表する一大観光地となっています。今年の週末には、垂水港からシャトルバスが運行される予定です。地域づくりに地元の人の力がいかに大切か、そのモデルとなるのではないでしょうか。
ところで九州新幹線が全線開業し1年8か月経過しました。今まで鹿児島は、鹿児島市、霧島、指宿、といった地域に観光客が集中していました。全線開業により、博多駅と鹿児島中央駅間が最速1時間17分で結ばれ、鹿児島中央駅から垂水市までは、1時間程度で行くことができます。
大隅半島は、長年観光ルートから外れていましたが、新幹線の時間短縮効果や、「錦江湾なぎさ街道」の整備、「大黒イルカランド」のオープン、宇宙衛星「はやぶさ」の帰還、また、佐多岬公園が11月から無料になることから大隅地域へ誘客するチャンスです。今の観光のニーズは、食、体験、交流など地域の人・生活・文化にふれることを求めています。
道の駅、森の駅、漁港のレストラン、温泉、歴史等をうまく繋ぐことが重要です。
垂水地域は県都鹿児島市の対岸にあり、アクセスも恵まれています。桜島の噴火を優位に捉えて、年間を通して交流人口を増やし、地域の活性化につなげたいものです。
2012年10月15日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
10月3日の新聞に、古里温泉の老舗旅館「ふるさと観光ホテル」の閉鎖と「佐多岬道 町購入へ」の対象的な記事が載りました。両方とも鹿児島の観光にとって大きな意味を持つ発表の記事でした。
まず古里温泉については、皆様も観光やドライブの途中に立ち寄った経験があり、身近な温泉として親しみをもっていた方は多いと思います。かつて林芙美子の小説の舞台にも登場しています。
[私は北九州の或る小学校で、こんな歌を習った事があった。
更けゆく秋の夜 旅の空
侘しき 思いに 一人なやむ
恋しや古里 なつかし父母
私は宿命的に放浪者である。私は古里を持たない。父は四国の伊予の人間で、太物(ふともの)の行商人であった。母は、九州の桜島の温泉宿の娘である。母は他国者と一緒になったというので、鹿児島を追放されて父と落ちつき場所を求めたところは、山口県の下関という処であった。私が生まれたのはその下関の町である。――故郷に入れられなかった両親を持つ私は、したがって旅が古里であった。それ故、宿命的に旅人である私は、この恋しいや古里の歌を、随分侘しい気持ちで習ったものであった。]
「放浪記」:林芙美子
錦江湾に面した入り江に古里温泉はあり、露天風呂から見る朝日や夕陽は格別です。国道の高台には、林芙美子の文学碑があり
「花の命は短くて苦しきことのみ多かりき」
女性を花にたとえ、楽しい若いときは短く、苦しい時が多かった自らの半生を歌った文が刻まれています。
ふるさと観光ホテルの閉鎖は、一ホテルの閉鎖ということではなく、地域全体に大きな影響があると考えねばなりません。ホテルの露天風呂は、目の前に海があり、白い浴衣を身につけて入る姿が多くのメディアで取り上げられ、「龍神風呂」の魅力は全国的に知られています。また、近くにある有村展望所から見る噴煙を上げる桜島の姿は、迫力があります。
今度のホテルの閉鎖は桜島や古里温泉のイメージだけでなく、大隅地域にまで影響が出ると判断しなければなりません。また、現在垂水からや霧島市に至る一周のルートに人気がでてきています。せめて龍神風呂と休憩施設の存続を望みたいものです。
次に佐多岬道を南大隅町が購入した件です。旧佐多岬ロードパークは1963年に開通し、64年に有料道路として開業しました。昭和40年代の前半から50年代の前半までは新婚旅行のメッカとして、宮崎から佐多岬、指宿温泉に至るゴールデンルートとして人気がありました。また、指宿温泉は大安の翌日は、ほとんどのホテルが新婚客であふれていました。
しかし、その後新婚旅行が海外に移り、バブルが終焉し団体旅行も激減し、薩摩半島との架け橋であったフェリーが休航した期間もあり、いつのまにか佐多岬も忘れられた存在となりました。岬にあったレストハウスは閉店し、展望台も永年の風雨にさらされ老朽化が目だっています。
一方、太平洋に突き出した半島の島には黒潮が押し寄せ、先端にある灯台は九州本土最南端にあり「日本の灯台50選」にも選ばれ、錦江湾や南の島へ行き交う船舶の目印として重要な役割を果たしています。対岸に薩摩半島の開聞岳を望み、東シナ海に沈む夕日は格別です。
晴れた日には、種子島、屋久島を望むことができます。佐多岬の入口に位置する大泊には、北緯31度線(エジプトのカイロと同じ位置)の表示塔が立っており、車を止めて写真に納める観光客が見受けられます。
しかし、佐多岬展望公園に入るのに500円の入園料も徴収されることから改善策が求められていましたが、この度南大隅町が道路を購入することとなり、それにあわせて11月1日から園内の入園料が無料となります。
団塊の世代の退職や国内旅行の成熟化・多様化が進み、今では交通の便が悪く秘境と呼ばれる地域が脚光を浴びています。佐多岬も、例外ではありません。
これからの佐多岬の魅力づくりが、宮崎、鹿屋、佐多岬、指宿、鹿児島への観光ルート定着になり、両県にメリットが出てくると思います。今年度は県の予算で調査費が付いており、佐多岬の公園整備を進める第一歩になると捉えています。 灯台が望める最先端まで行く途中には、かつて灯台守が住んでいた「灯台守の館」が藪の中にひっそりと佇んおり、整備すれば産業遺産として活かせると思います。
鹿児島県旅行業協同組合(中間幹夫会長)では、大隅の地域資源を活用した着地型商品「魅旅」を造成し集客も堅実で、地域からの大きな支持を得ています。大隅地域への誘客は県の観光振興にとって重要課題であり、今後佐多岬を組み入れた多くのツアーが造成されるものと思います。
山川~根占フェリーは、車の搭載には限度があり、お客様だけ根占港で受けてバスで、佐多岬周辺の観光を楽しむ方策も検討しなければなりません。
岬にはハイビスカス、ブーゲンビリアなど数多くの亜熱帯植物が生い茂り、熱帯のジャングルにいるような気分に浸ることができます。ソテツの自生地も圧巻です。 かつて「岬めぐり」というツアーがヒットしましたが、都井岬、佐多岬、長崎鼻を巡るツアーの復活も楽しみです。
最南端の神社として有名な御崎神社は、吾平山上陵と諏訪神社と一緒にパワースポットとして売りだすのも期待がもてます。
また、御崎神社からジャングルの道を下ると、黒潮が押し寄せている海岸に出ることができ、灯台を目の前に望むことができます。ロープを頼りに一人ずつしか登り降りできないというスリリングな箇所もあり、トレッキング等体験型観光の醍醐味を味わうことができます。
大隅地域の「錦江湾なぎさ街道」周辺には、荒平天神、かのやばら園、神川の大滝、雄川の滝、並列鳥居のある諏訪神社等特色のある観光地や、農・漁家の直売所、錦江湾に沈む幻想的な夕陽が望めるレストランなど旅情を感じさせる店もあります。
根占港の隣には、南大隅町の農産物や採れたての魚等を取り揃えた「なんたん市場」もオープンしています。フェリーの待ち時間に立ち寄り地産品を買って欲しいものです。
最南端にある役場、郵便局、小学校、ガソリンスタンド、駐在所、展望台等を訪ね、記念スタンプを押し九州最南端の地に来たことを実感したいものです。
最後に、佐多岬道の無料化に合わせて、佐多岬公園の整備が進むこととなり、これからの誘客についても弾みがつくものと確信します。そのためには、まず県民に訪ねてもらうことが大切ではないかと思います。
2012年10月9日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
学校を卒業し県外に就職すると、なにかにつけて想い出されるのは故郷の懐かしい光景ではないでしょうか。日本各地で、山の風景はどこでも見られることですが、故郷の山となれば格別です。校歌に故郷の山河を取り入れた歌詞が多く見られますが、日本の四季の美しさは、歌人にも歌われています。
ふるさとの 山に向かいて 言う事なし
ふるさとの山は ありがたき哉
~石川啄木~
はてもなく 菜の花つづく 宵月夜
母が生まれし 国美しき
~与謝野晶子~
9月28日、霧島市の霧島、日当山中学校の生徒約250人が鹿児島大学の井村准教授や霧島ジオパークのガイドさんの案内で、昨年1月に大噴火した霧島連山・新燃岳の火口にたまった溶岩や変化した火口の様子を、韓国岳の山頂から見学しました。生徒さんたちは、今しか経験できない貴重な体験をしたと思います。きっと霧島市を離れても、今回の登山で確認した霧島連山の美しさ、新燃岳の変化、遠くに望む錦江湾や桜島の姿が脳裏に刻まれたことと思います。
昭和生まれの世代の方々は、小・中学校の遠足や修学旅行で高千穂峰登山の経験がある方が多いのではないでしょうか。子供の頃から地域のシンボル的な山に登ることは貴重な経験になると思います。
また、垂水中央中学校の生徒さんが、県外の修学旅行で人気沸騰中の垂水漁港での給餌や加工を経験しましたが、地域の一大産業である水産業への理解を深める機会となり、県外の方々にも自らPRできる体験となりました。 地元にいると地元の良さが理解できず、子供のころから地域を知る機会を増やすことが大切と感じます。
ところで、観光による交流人口の拡大は、地域活性化の重要な方策の一つですが、鹿児島県は、南北600キロに及び、自然、温泉、歴史、食、離島の多さ等全国的に類のない魅力に富んだ県です。子ども達は、就職や大学入学等で県外へ出て行く人が多いため、それまでに郷土の魅力を知る機会を増やすことが重要となっています。
子ども達に体験させたい鹿児島の魅力を述べたいと思います。
まず自然の素晴らしさに触れる機会が大切です。
新幹線が到着しまず目に入るのが、爆発を繰り返す活火山桜島の雄姿です。観光客は時折噴煙を上げ、錦江湾に雄々しく鎮座する山に感嘆の声をあげます。対岸から見る鹿児島市街地も素晴らしく、ぜひ「よりみちクルーズ」に乗船し、下船後桜島を一周し島の魅力を体感して欲しいと思います。噴火している霧島新燃岳、硫黄島、口永良部島も同じく生きた教材です。
薩摩川内市の西にある甑島には、砂州が形成した美しい「なまこ池」や「トンボロ」の景観が見られ、その地形の成り立ちは地理の勉強にも最適です。島では中学校を卒業すると「旅立ち」の行事で見送り、成人式には一時島に戻り、中学時代に造った焼酎を飲むという楽しい盛大な伝統行事が残っています。故郷意識が高揚する行事です。
次に歴史の魅力です。鹿児島は多くの偉人を輩出し、日本の近代化実現に大きな役割を果たしました。早くから西洋の技術を導入し、集成館事業の偉業を成し遂げ、「殖産興業」の土台を築きました。
また、郷中教育の精神から学ぶことが多くあります。出水兵児の教え、日新公のいろは歌など、今でも子供の精神修養になる教材です。薩摩藩英国留学生の残した資料を集めた史料館が、25年度に、英国に船出した「いちき串木野市」の羽島にオープンします。子ども達にぜひ見学させたい資料館です。
関ヶ原合戦での"島津の退き口"で知られる薩摩武士の心意気は、今では20kmを歩いて参拝する「妙円寺詣り」として、その敵中突破の伝統が引き継がれています。小・中学生時代に遠行にぜひ参加させたいものです。
文化面では、「吉井淳二」、「海老原喜之助」など郷土の有名な画家の作品が展示されている「鹿児島市立美術館」や、「霧島アートの森」、「上野原縄文の森」は、ゆっくり見学させたい施設です。また、みやまコンセールでは、毎年夏には「霧島国際音楽祭」が開催されており、国内外で有名な奏者の演奏を聴く機会を提供しなければなりません。
日本で初めて世界自然遺産に登録された屋久島は、貴重な植物の垂直分布が見られ、登山家の憧れの山です。島の子ども達は、在学中に宮之浦岳登山や自転車で屋久島一周のサイクリングをするなど島を知る体験を行っています。
奄美大島は、手つかずの自然や貴重な生態系が見られることから、東洋のガラパゴスとして称されています。科学的分野では、「はやぶさ」が帰還した内之浦宇宙空間観測所や、世界で一番美しいロケット基地のある種子島宇宙センターは、宇宙科学に興味を持たせる絶好の施設です。
離島は大人になっても行く機会が少なく、「少年の船」や「スポーツ合宿」等の場所としても最適であり、小・中学生時代に行かせたい所です。
また、県内には先祖崇拝の精神が脈々と受け継がれており、奄美群島などは特にその心が色濃く今でも残っています。本土でもお墓に毎日生花を飾る習慣があり、南薩地域のお墓は観光客が訪ねるほどの名所となっています。命の大切さを教える意味でも、子供の頃から、墓参りをさせることは大切なことと思います。
九州新幹線が全線開業し、県外観光客が増加していますが、観光客に手を振ったり、駅でお茶のサービスをするなど地域ぐるみの温かいおもてなしが話題となっています。おもてなしの心を小さい頃から身につけることは、人にやさしい心豊かな人材を育てます。子どもの頃から故郷の自然や歴史に接し、地域を知ることは郷土愛の構築にも役立ちます。
これからの鹿児島のためには、「郷土愛」を育む取組が必要と感じます。
①地域の自然、歴史、伝統文化を学ぶ機会をつくる。
②農業や漁業体験に親しみ、食糧の大切さや生物の真の姿を教える。
③南方文化、先祖崇拝、海の大切さを知り、離島の魅力を語る。
④近代産業の歴史、郷土料理、特産品など地元の産業・企業から学ぶ機会を増やす。
⑤郷土が生んだ偉人の足跡を学ぶ。
⑥おもてなしの心を小さい頃から身につける機会を提供する。
ことではないかと思います。
最近の修学旅行は、県外のアミュズメント施設が主流となり、地元の良さを知る機会は、少なくなっています。せめて遠足や課外活動で故郷の良さを知る機会を子ども達に提供し、郷土を愛する心を育む取組が大切です。
世界情勢も緊迫しており、郷土愛の構築や日本を愛する心を育てることが今求められているのではないでしょうか。
2012年10月1日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
柿や栗の実が色づき、本格的な秋の到来です。週末の朝になると、運動会の開催を知らせる花火が、清んだ秋空に上がっています。また、芋焼酎の新酒の出荷を控え、新酒祭りの広告も目立つようになりました。
旅を愛し、旅にあって各所で歌を詠んだ若山牧水は、大の酒好きで知られていました。
酒を入れる容器として竹筒や瓢箪を持ち歩いて旅を続けていたといわれています。明治18年宮崎県東臼杵郡東郷村(現日向市)の生まれで、延岡中学校に入学してから短歌と俳句を始め、18才のとき、号を牧水としています。友人であった石川啄木の臨終にも立ち合っています。
今の季節にぴったりの歌として
白玉の 歯にしみとおる 秋の夜の
酒は静かに 飲むべかりけり
幾山河 越えさり行かば 寂しさの
はてなむ国ぞ 今日も旅ゆく
があります。
酒と言えば鹿児島では焼酎ですが、現在約100社の蔵元があり、銘柄は800種類にもなり、県内各地で造られているのが特徴です。原料となる米、サツマイモ、サトウキビや水に恵まれていることが、鹿児島の多種の焼酎を造り出しています。
9月20日に福岡市内のホテルで、「第7回かごしま焼酎を楽しむ会」が開かれ、これまで最も多い愛飲家240人が参加しました。今回のテーマは「奄美」で、各島の観光PRや島唄の披露があり、特に「黒糖焼酎」に関心を持っている方が多かったと思います。
黒糖焼酎の歴史と特徴について簡単に触れたいと思います。
奄美におけるサトウキビ栽培の歴史は、今から400年ほど前に遡るといわれています。1609年奄美の島々は薩摩藩の直轄地になりますが、その14年後には、焼酎の貢納を命じていることから、このとき、すでに蒸留技術があったと推測されます。
明治になると、泡盛の製法は沖縄から奄美に伝えられ、自家製造が盛んになりますが、第二次世界大戦後の米軍統治下では、不足する米の替わりに黒糖を溶かし入れるようになり、現在にいたる黒糖焼酎が完成しました。 昭和28年12月、奄美群島が日本に復帰するときに、この実績が配慮され、日本の酒税法の特例通達で、黒糖を使っての製造は奄美群島にかぎり認められたものです。
現在、黒糖焼酎が造られている奄美群島の5つの島(奄美大島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島)には25の蔵元があり、代表銘柄(18銘柄)を含む約170銘柄の多種多様な黒糖焼酎が造られています。
この多彩な銘柄が生まれる理由には、各蔵元の製法の違いとともに、各島々の自然が大きく関係しています。水は黒糖焼酎造りには大切な原料の一つです。喜界島や沖永良部島、与論島はサンゴ礁が隆起した島であるため、カルシュウムとマグネシウム量が多い硬水で、古い地層の山や森が多い奄美大島はその分量が少なくソフトな口当たりの軟水、またその両方を持つ徳之島では硬水と軟水が取水され、それぞれの製法の違いを生み出しています。
また、島ごとに黒糖焼酎を育んでいる歴史や文化に違いが見られます。奄美黒糖焼酎は、島々の自然と伝統文化を受け継ぐ情熱的な島民に育まれ、歴史を刻んできたのです。
奄美の島々に出かけて、黒糖焼酎を地元の人々が集う居酒屋や集会所で飲むことで島の自然や文化に触れることになります。島の人々は、旅人を温かく迎えてくれます。与論島では客をもてなす「与論献奉」が根付いており、杯を交換すると一晩で友人になれるのではないかと思います。
黒糖焼酎は、ロックやお湯割りやカクテルなど、いろいろなバリエーションが楽しめるのも大きな特徴で、二日酔いになりにくく、健康にやさしいお酒としても幅広い人気を集めています。
お酒は昔から「百薬の長」といわれていますが、ギネスブックに長寿世界一と認定された泉重千代さん(享年120才)、明治から平成の世を明るく生きた本郷かまとさん(享年116才)はともに徳之島の伊仙町の出身で、黒糖焼酎を少し嗜んでいたことが長生きの秘訣になったのではないでしょうか。
また、奄美には自然の恵みを活かした多様な郷土料理があり、ニガウリ、よもぎ、ハンダマ、肉では、豚や鶏、ヤギ等を利用した料理が有名です。郷土料理を堪能しながら、奄美の唄と踊りに興じるのも旅の楽しみです。
奄美の島唄の特徴は、裏声を多用することで、世界的に珍しい歌唱法だといわれています。奄美を代表するアーティスト、元ちとせ、中孝介にも継承されていますが、民謡日本一を5名も輩出しています。
八月踊りは、豊作への感謝と五穀豊穣を願って一年の節目(旧暦8月)に踊られた踊りで、男女が円陣になり、チヂン(太鼓)のリズムにあわせて交互に歌い踊る風習は古代の歌垣に通じるといわれています。歌い継がれる島唄と踊りに参加し地元の黒糖焼酎で語り合うのが島旅の魅力ではないでしょうか。
また、9月27日から奄美~沖縄航路に、新船「フェリー波之上」(8072トン)が就航しました。現行船より大型となり旅客スペースを拡大し、授乳室を設けるなど女性にも配慮した部屋の設置、車椅子の人と介護者が泊まれる専用個室を設けるなどバリアフリーに配慮した設計となっています。
奄美群島では、世界自然遺産登録に向けた取組もスタートしています。ぜひ船内でも黒糖酒を飲みながら奄美群島への船旅を味わってください。
ところで、子供の頃正月や祭りの宴席で大人たちが、木の棒を手に隠して、面白い言葉で数当てをし、焼酎を楽しく飲みながら親睦を図っている光景がよく見られました。いまではあまり目にする機会は少なくなりましたが、南九州に古くから伝わる「なんこ遊び」です。
なんこは漢字では「南交」と書き、南方と交易が盛んであった薩摩藩が取引の際、接待の一つとして活用した高尚な遊びと言われています。 地域の伝統祭事は高齢化が進み、行事の後に必ずおこなっていた宴会も減ってきており、なんこ遊びを伝授することが難しくなっています。地域コミュニティの衰退が、伝統的遊びにも影響しています。
ひところの焼酎ブームが去り需要が足踏みしていましたが、昨年度は焼酎の売上げが伸びました。かごしまが誇る特産品に薩摩焼がありますが、その一つの「黒じょか」に焼酎を入れ盃につぐという伝統的飲み方を教えることで、お土産として焼酎もセットで買ってもらうことになります。 これからも焼酎のいろいろな飲み方を提供し、焼酎のファンを開拓して売り上げにつなげたいものです。
地域での祭事が減り、地域住民の寄り合う機会が少なくなり、ますます地域の伝統文化は忘れられていきます。また宿泊施設での宴席の後は、カラオケ遊びと変わっています。
南九州の伝統的遊びである「なんこ遊び」の復活や黒糖焼酎の魅力を伝え、焼酎文化の新たな復活を目指したいものです。
2012年9月24日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
九州新幹線全線開業から1年半が経過し、開業効果に陰りが見えるものの、鹿児島には多くの観光客が訪れています。
また、二次交通の整備や新しい地域づくりが進み、従来無名であった地域に観光客が押し寄せるなど変化が起きています。一方では、急激な観光客の増加に「おもてなしの心」が追いつかず、サービスの低下が指摘されているのも事実です。
これからの観光を担う人材の育成と地域づくりを目指し、「第5回かごしま人材育成塾」を開催します。今年は、グリーンツーリズムの推進、地域づくりやJRとタイアップした商品づくり、情報発信、顧客管理、地域資源の開発、外国人受入の態勢づくりなど、鹿児島が今後取り組むべき課題について学ぶ7つの講座を開催します。
講師と講座の内容について簡単に紹介します。
第1講座は、九州旅客鉄道株式会社鹿児島支社長の松本喜代孝氏が、「JR九州の概要と今後の取組について」講演します。

松本支社長は、九州新幹線博多駅の開業プロジェクトを担当されました。博多から鹿児島中央駅まで最短1時間17分となり、時間短縮効果は人、物、金の流れを大きく変えています。2013年10月から運行される九州一周寝台列車「ななつ星in九州」は、九州の新たな魅力発掘と需要開拓になると信じます。 JR九州の今後の戦略が語られるのではないでしょうか。
第2講座は、人吉市で地産地消をコンセプトに、郷土の家庭料理「ひまわり亭」を経営している本田節さんが「食資源を活かした交流によるまちづくり」について講演します。
本田社長は、「国土交通省地域振興アドバイザー」や「地域づくり団体全国協議会幹事」など多くの要職を兼務しながら、グリーンツーリズムに関する活動を精力的に展開されています。また、郷土料理伝承塾を主宰し、食文化の研究にも熱意を注がれています。
講演は年100回に及び、食、農、女性、教育、リーダー育成、グリーンツーリズム、地域づくりなど、様々なテーマで講演を行うなど全国を飛び回っている元気なお母さんです。常にチャレンジ精神を持って夢をかなえる為、全力で生きていらっしゃるパワフルな本田社長の講演になることは間違いありません。
第3講座は、香港エバーグロスツアーズ 代表取締役社長 袁 文英氏で、「香港からみた鹿児島のインバウンド」です。
EGLツアーズの日本向けの送客数は10万人を超え、香港の業界でそのシェアはNO1です。今年の7月15日から8月30日にかけて実施した香港から鹿児島への22回の連続チャーターでは、2,892人の送客がありました。
袁社長の経営方針を学びたいと、全国の自治体から講演依頼が絶えないなど有名な企業経営者です。仲間6人と1986年に会社を設立され、昨年25周年を迎えています。昨年の11月には香港のコンベンションセンターで盛大な25周年パーティが開催され、日本からの500人を含む国内外から1500人が参加し、その偉業を称えました。
また、事業規模が拡大する中でも、常にお客様の視点での経営を貫いています。社会貢献活動にも積極的に取り組まれており、平成17年のスマトラ津波・地震の際は、被災地に対し従業員と会社で多額の義捐金を送られています。また、昨年の東日本大震災で被災した岩手県、宮城県、福島県に総額1億1955万円を届けています。
「おもてなしの極意」や鹿児島におけるインバウンドの在り方について示唆に富んだ話が聞けるのではと思います。
第4講座は、東京港区芝にある「セレスティンホテル」の取締役総支配人の若林正雄氏が、「薩摩とセレスティンホテルの歴史的・文化的つながりと心に残るおもてなし」について講演します。
ホテルのある芝・三田エリアは、「ビジネス」・「文化」・「教育」の重要拠点として、また、幕末の歴史が各所に刻まれている地として知られています。ホテルの所在地である芝3丁目は、旧薩摩藩屋敷跡という由緒ある場所です。ホテルでは、食材に鹿児島産をふんだんに使ったメニューの提供や休憩フロアーには、鹿児島県を紹介する書籍がづらりと並ぶなど、いたる所に鹿児島色を感ずることができます。
首都圏での厳しいホテル戦争を勝ち抜くため、顧客獲得をいかに進めているのか、その戦略が語られるのではないかと思います。
第5講座は、南国殖産(株)取締役執行役員都市開発事業部長・企画部長の今村浩氏が、「『かごっまふるさと屋台村』など鹿児島中央駅東口開発について」講演します。

2012年4月26日に鹿児島中央駅東口近くのホテルの跡地にオープンしたのが、「かごっまふるさと屋台村」です。オープン当時から県内外から多くの人で賑わっていますが、そのプロジェクトリーダーが、今村浩氏です。また、中央駅前には、南国センタービルや鹿児島中央ターミナルビルが開設され、多くの観光客が訪れています。
一方九州新幹線全線開業で、駅前1番街の再開発や交通混雑の解消など新たな課題にも直面しています。その中心メンバーとしてこれからの取組が期待されます。鹿児島中央駅東口の将来の姿が語られるのではと楽しみです。
第6講座は、垂水千本イチョウ代表 中馬吉昭氏が、「垂水千本イチョウに育てるまで」について講演します。
中馬さんは、東京でのサラリーマン生活を切り上げて垂水の地で、30年前から夫婦2人で育ててきたのが、今の千本イチョウです。 春先の枝の伐採から、定期的な堆肥まき、雑草の除去等日頃からの手入れが、現在の千本イチョウを作りだしています。多くのメディアでの発信効果もあり、昨年の黄葉の見頃には、昼食場所を求めて観光客が詰め掛け、垂水市の飲食店が満杯になりました。

また、垂水市内で信号待ちの車が発生し、千本イチョウを見に来た観光客の多さを物語っています。見頃は11月末から12月の上旬であり、今年は垂水港からシャトルバスの運行も予定されています。中馬さんは第1回から観光人材育成塾に参加されています。30年間イチョウづくりに懸けた熱い思いが聞けるのではないかと楽しみです。
第7講座は、観光養殖場「タツノオトシゴハウス」のオーナー加藤潤氏です。南九州市は、知覧が観光の中心ですが、最近話題になっているのが、「タツノオトシゴハウス」です。
加藤氏は、埼玉からのIターン者で「NPO法人頴娃おこそ会」のメンバーとしても活躍されています。よそ者視点での、地域素材の発掘が成功に結びついたのではないでしょうか。頴娃町はこれまで、観光というイメージとはほど遠い地域でしたが、知覧、指宿との3角地点にあることから、加藤氏らの努力が実り「タツノオトシゴハウス」、「釜蓋神社」、「番所鼻公園」の人気定着は、新しい観光ルートの開発につながったといえます。講演は地域づくりの手法を学ぶ良い機会になると思います。
どの講師の方々もそれぞれの部署で活躍されており、経験とそれに裏打ちされた講演は、皆さんのこれからの活動に必ず役立つと信じます。また、夜学塾は、参加者同志や講師陣とのコミニユケーションの場であり、講座で聞けないより具体的な話が聞けると思います。

地域づくりには、まず人材の育成が重要と考えています。今まで人材育成塾を受講した方の多くが、それぞれの地域で頑張っていることは、鹿児島の観光にとって大きな財産となっており、5回連続で受講を申し込んでいる方もいらっしゃいます。九州新幹線全線開業から1年半、この講座が人材育成と地域活性化につながることを期待し、多くの受講者が集まることを期待します。
2012年9月10日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

九州・沖縄地域で地域づくりに取組む団体の関係者が集まり、「九州沖縄地域づくり会議INかごしま」が、黎明館で開催されました。会議のメンバーは市長、大学の先生、商店街のリーダー、NPO法人、一般市民等、地域の活性化に取り組んでいる人など多彩なメンバーが参加し、地域資源を活かした地域づくりや後継者の養成、新しいコミュニティづくりなどについて活発な議論が展開されました。
ワークショップでは、県内3地域からコミュニティづくりを中心とした事例発表があり、参加者の関心を引いていました。取組について紹介します まず、南さつま市大坂地区からは、『元気集落「高齢化率60%超」からの挑戦』の発表がありました。
南さつま市の大坂地区は、鹿児島市の谷山地区から15分の位置にありながら、高齢化 率60%超の集落が点在しており、交流人口を増やし地域をどう活性化していくかが大きな課題となっています。
このような状況の中、山間のいわゆる限界集落である「長谷集落」では、『NPO法人プロジェクト南からの潮流』を中心に各種のプロジェクトに取り組んでおり、最近では笑顔にあふれた人々が集う元気あふれた集落となり、平成23年度には、「交流人口拡大のため、棚田づくりをはじめ、地域資源や歴史を活動を積み重ね、地域の絆をつくった」ことが評価され、総務省と全国過疎地域自立促進連盟から、過疎地域の自立・活性化に取り組む優良事例として表彰を受けています。
そして今年の4月に物産販売・交流施設「大坂ふれあい館」がオープンし、コミニュティビジネスに向けた動きも出てくるなど、新しい風が吹き始めています。市内から南さつま市に到る道路沿いにあることから、小生も「砂の祭典」の見学の帰りに立ち寄りました。
地元の産品がところ狭しと並び、また地域住民が手塩にかけて育てた野菜の苗や、花が販売されており、生き生きとして働いている高齢者の姿が印象的でした。また、秋には「竹とうろう」のイベントも予定されており、多くの見学者で賑わうものと思います。ぜひお出かけください。
次に薩摩川内市の大馬越地区コミニュティ協議会の「コミニュティ復活で村おこし」の事例発表です。 大馬越(おおまごえ)地区は、薩摩川内市入来町の山間部に位置する約350世帯の小さな地区です。入来町大馬越地区コミニュティ協議会は、市町村合併を受けて平成17年に大馬越小学校校区に設置されました。日本の原風景が到るところに残り、農林業を主な産業とし、お茶、キンカン、ゴーヤ等が特産品として知られています。
大きな商業施設や産業があるわけでもなく、年々小学校の生徒数も減少傾向にあり、「過 疎化」という大きな問題を抱えています。しかし地区に住む大人から子供まで元気に活動しており、特産品づくりや手芸教室、オヤジバンド、短歌教室、さらに小学生と一緒の運動会、飛び入り参加自由の「大盛り上がり文化祭」など住民が生き生きと活動しています。

地域ぐるみで地区の活性化に取り組んでいる印象を受けました。地区の取組は、全国的に話題となり、国、県、地域づくり団体、メディアの取材もたえません。交流会では、年長者の詩吟に合わせて、地区の子ども達が元気よく演舞を披露し、コミュニティが定着しているなと地域の強い絆を感じました。
地区で手作りしている「しそジュース」を買って帰りましたが、飲んでみると新鮮なし その香りがなんとも言えないほど、地域の本物のおいしい味がしました。 この地区で育った子ども達はふるさとを離れても、きっと故郷での想いをいつまでも大 切にする人になるだろうと思います。
石川啄木は故郷 渋民村を想い次のように歌っています。
かにかくに渋民村は恋しかり
おもいでの山 おもいでのかわ
その昔小学校の柾屋根に
我が投げし鞠 いかになりけむ
次に志布志市松山町の「大隅の國やっちく松山藩」のイベントを活かした地域活性化の 取組です。 松山町は、大隅半島の東部、かつての曽於郡のほぼ中央部に位置し、人口4,600人、 農業が基幹産業で、野菜と畜産の複合経営が盛んな地域です。近年は企業立地の取組、若者定住住宅の整備、むらおこし活動、産業振興等により、人口の減少は鈍化しています。

パロディ王国大隅の國やっちく松山藩は、平成元年、若者有志が町内各種団体に呼びかけて発足し、「秋の陣まつり」というイベントを開催して、町民に大きなインパクトを与えました。地域づくりの第一に「人づくり」を掲げ、毎月定例企画会議を開催し、「若者が住みたくなるまちづくりとは何か」をメインテーマに掲げ、行政と連携しながら、あらゆる分野の検討・協議を重ねています。
イベント開催中には、地域で収穫された野菜の無料配布や牛の丸焼きなど「やっちく」の町にふさわしいイベントの充実を図り、人と人とのふれあいと、そこでの温かいおもてなしの心を提供しています。
イベントが継続できている要因として、「手づくり」へのこだわりです。地域に残る歴史 物語を、独自でアレンジをして祭りで表現しています。自分たちで企画したものを自分たちの手で制作し、実現していく。「手づくり」にこだわるかぎり、「人」の力が必要となります。地域づくりの第一に「人づくり」を掲げ、様々な人材がお互いに知恵を出し、汗を出し合う事をその手法とし、「手つくり」にこだわる事を実践し続けていることがすばらしいことです。
スタッフとして係わった一人一人を大切にし、その協力の度合い関係なしに、それぞれが主役になるよう役割を与え、活動の底辺を広げています。現在では中高校生も多数ボランティアとして係わっています。行政は、"お金は出すが口は出さない"という姿勢であり、行政職員が黒子に徹していることも継続できている大きな要因かも知れません。

3地域の活動に共通していることは、箱物づくりから地域の自然、歴史、文化、生活を経済活動と結びつけ、「地域特性」を生かした地域づくりをおこなっていることです。 農・商・工連携による地域全体の連携を図り「食」、「祭り」、「特産品」、「花」、「灯り」などを有機的につなぐことが、地域の魅力付けにつながります。
また、地域住民の理解と協力を得て、多くの住民を参画させることが大切であり、そのことが我が町に誇りを持つことになります。「地産地消」を推進することで、多くの分野で経済効果が生まれます。
大分県の「日田市」、「佐伯市」、「竹田市」、鹿児島の「さつま町の宮之城地域」では、地元産の竹を使った「灯りのイベント」を開催して交流人口を増やしています。「大坂の竹とうろう」のイベントも同様に、認知度を高めて鹿児島市からの集客が必要です。

最後に地域をまとめるリーダーの存在が重要であり、地域の様々な課題を整理し、ネットワーク化を進め、事業を展開することが求められています。今地域活性化の手段として、多くの省庁が支援策を発表していますが、その多くは地域の団体をまとめて事業実施主体を組織し、事業を進めることが条件になっています。地域に適任者を配置することで、組織は機能すると思います。
是非新たな視点で地域を見つめ直し、地域が元気になる取組を今以上に進めて欲しいと思います。
観光の在り方も大型の箱物をつくり、マスメディアを使って大量に集客することから、地域主導で個人のニーズに対応できる地域に人は集まります。十人十色から一人十色に、個人の趣向も複雑になっており、個性ある地域がこれから脚光をあびます。

都会の人が地域に求めるものは、「地元での交流の機会をつくり、固有の体験をしてみたい」、「原材料は地場のものを使い、地元の人と一緒に会話しながら食べたい」、「製造元の見学や体験がしてみたい。地場の本物を手に入れたい」など地域ならではの取組を肌で感じことです。地域資源に磨きをかけ、交流人口を増やし、経済的価値をもたらすことが地域の活性化には求められています。
その意味でも3地域の地域づくりは、大いに参考になります。今後他の地域にも波及させたいと感じたフォーラムでした。
参考:九州沖縄地域づくり会議INかごしま:パンフ
2012年9月3日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
「秋きぬと 目にはさやかに 見えねども
風の音にぞ おどろかれぬる」
藤原敏行:古今和歌集
日中は猛暑が続いていますが、赤とんぼが飛び交い、朝晩はひんやりとした風が吹き抜け、秋の気配を感ずる季節となりました。

上の短歌は、立秋の頃に詠まれた歌として知られていますが、立秋は、夏至と秋分の中間で、昼夜の長短を基準に季節を区分する場合、この日から立冬の前日までが秋となります。暦の上ではこの日が暑さの頂点となり、翌日からの暑さを「残暑」といい、手紙や文書等の時候の挨拶などに用いられます。
ところで、日本の四季の移り変わりは、美しい自然景観を作りだしています。秋は紅葉が美しく、また、多彩な食材が収穫され1年を通して、人々が一番旅行に出かけたくなる雰囲気をつくりだしています。
鹿児島県は日本列島の南に位置することから残暑が厳しく、紅葉も11月後半になりますが、北の北海道ではこれから一ヶ月間が、紅葉を楽しむ観光の最盛期となります。 まず大雪山系が色づき、全道に広がり、阿寒湖周辺では、10月8日から10日までの「まりも祭り」が終わると冬支度に入ります。札幌の大通公園は、「とうもろこし売り」のお店が並び賑わいを増します。
漂泊の詩人、石川啄木の歌碑と銅像が大通公園にあり、多くの観光客が訪れています。
しんとして 幅広き街の 秋の夜の
玉蜀黍(とうもろこし)の 焼くるにほいよ
昨年の3月九州新幹線が全線開業しましたが、10月から12月まで3か月間に渡って、JR6社による「熊本・宮崎・鹿児島DCキャンペーン」が、さらに今年の3月まではJR九州による「列車で巡る極上の旅南九州キャンペーン」が展開され、多くの観光客が南九州を訪れました。
県内の宿泊者数は、大きく伸び、特に県境を越えて広域に観光客が増加しました。
しかし新幹線開業から一年6か月経過して、新幹線効果の勢いに陰りが見えるのが、最近の状況と判断しています。今年の秋は、同様なキャンペーンがないことから、従来通りの販促活動では、かなりの苦戦が予想されます。また、総選挙が実施されると、旅行意欲は減少することも考えられます。早めにエージェントとタイアップした企画商品や間際の需要を取り込むためのネット販売への迅速な対応が求められます。
秋の予約動向を見ると、外国人と修学旅行は順調に伸びていますが、一般の旅行が低迷しており、募集ツアーの集客状況も昨年の勢いが感じられません。
秋は個人旅行が主流で、しかも熟年層の旅行がメインとなり、空港や終着駅の案内所等での相談や問い合わせが多くなっており、親切な対応が求められます。
タクシーを利用する観光客も増えており、乗車された際ドライバーの方の最初の挨拶が地域の印象となります。今までコラムで何回も取り上げましたが、車中ではドライバーとお客様との会話が大切であり、そのことが翌日の予約につながるケースが多々あります。近距離でも温かい心で接して欲しいと思います。
期待を超える対応が感動を呼び、また、「価格」以上の価値を提供することがリピーターになります。
宿泊施設では、周辺の観光地や名産品等を問われたら、きちんと情報提供してあげることが大切です。最近観光客で多いのが、一泊目は温泉地、二日目は鹿児島市内というケースが増えています。一日目は、会席料理で満足しますが、二日目は自分の好む店で、好きなものを食べるスタイルが定着しています。お客様の期待に応えるためには、日頃から周辺の飲食店のメニューや味、お客様の口コミ等を入手することが顧客の要望に応えることになります。
心のこもったサービスを特別に意識しなくても自然体で行うことが、「感動を与えるサービス」となります。日頃からお客さまに喜んでもらうことを提供することが、自分自身の喜びや満足感にもつながります。これからはリピート率をいかにあげるかが地域の勝ち残りの要諦と思います。

ところで、秋の鹿児島の話題と言えば霧島への登山が上げられます。7月に新燃岳の周 辺の登山規制が一部緩和され、韓国岳や高千穂峰、大浪池等に登ることができるようになり、新燃岳の火口の変貌や紅葉を見ることができます。また、天降川の渓谷沿いの国道は整備が進み、美しく紅葉した木々を身近に見ることができます。
また、新燃岳の様子が観察できる「神話の里公園」からは、紅葉と錦江湾と桜島の景観も一緒に見ることができる絶景のポイントです。
霧島温泉は「人気温泉地ランキング2012・満足度第一位」に輝きました。新燃岳噴火で観光客が激減した際、地域全体で努力した結果の賜と思います。そのことを忘れず今後の地域での取組を期待します。
南薩方面では、頴娃町の「釜蓋神社」が人気を博しています。頭に釜の蓋をかぶって、最後まで落とさずに参拝すると願いがかなうというストーリーが人気で、「なでしこジャパン」の福元選手や澤選手が、ロンドンオリンピックを前に祈願に訪れた神社として有名になっています。今では、竜宮神社、枚聞神社と3箇所をパワースポットとして売りだしています。休日は駐車場が満杯になるなど話題のスポットで、今が旬の観光地です。

ぜひ一度見て欲しいのが、2010年度の鹿児島県の「景観大賞」に輝いた「垂水千本 イチョウ」です。夫婦二人で開墾した山に30年かけて植え育てた1200本のいちょうの木があります。昨年の休日は、垂水市内の昼食場所が一杯になるなど、多くの観光客が訪れました。
北海道大学のキャンパスや東京の神宮外苑を彷彿させる程、黄色に色づいた美しいイチョウの並木は見応えがあります。見ごろは、11月の下旬から12月の初旬です。新しい大隅の観光地で、大阪から「さんふらわあ」を利用したツアーが人気です。

その他、新曽木大橋が開通した曽木の滝公園、曽於市の悠久の森と都城市の関之尾の滝、垂水市牛根麓埋没鳥居展望公園、大隅地域の志布志湾大黒イルカランド、吾平山上陵、花瀬自然公園、二つの鳥居のある諏訪神社等知られていない観光地がまだまだ多くあります。
誘客のターゲットとして大都市圏ばかりが注目されますが、もう少し隣県、県内の方々に来ていただく努力が必要と感じます。近隣の客は、何回も来ていただく顧客になります。また、年末の忘年会などの需要を取り込むため、新しい企画も求められます。
秋の旅行需要は、夏休みが明けて暑さが落ち着いた頃から動き出します。各施設は早め の準備と情報提供を密にして誘客に繋げて欲しいものです。
参考:ウィキペディア
2012年8月27日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
夏休みが明け2学期になると、県内各地には多くの修学旅行生が訪れます。先陣を切って、福岡県から筑紫地区の中学校23校が訪れ、平和学習、農水産業体験、まち歩きなど鹿児島ならではの体験型修学旅行を楽しみます。
筑紫地区の中学校は、30年にも渡って鹿児島を訪れており、今年は地区の全学校が訪れます。鹿児島県教育旅行受入協議会では、毎年学校に出かけて事前打合会や反省会にも積極的に参加してきましたが、今年も鹿児島中央駅や宿泊施設で歓迎(出迎え)のセレモニーを実施します。
最近の教育旅行のニーズは、名所旧跡巡りの旅行から農業・漁業などの自然体験、工場でのものづくり、街を歩きながらの歴史の勉強、戦争史跡を通しての平和学習、ゴミ問題や水質汚染についての環境学習、火山や地震に関する防災学習、月や地球、ロケット等の科学学習等さまざまであり、複数のカリキュラムを取り入れる学校が増えています。
鹿児島を選ぶ学校が増加している要因としては、九州新幹線全線開業による時間短縮効果、知覧の平和学習や県内各地での農業体験、垂水での漁業体験、屋久島での環境学習、鹿児島市のまち歩き等が学校のニーズに合致していることがあげられます。
体験型宿泊旅行においては、大分県の安心院、長崎県の松浦や平戸、佐賀県の唐津が人気を博していますが、鹿児島の優れた自然・環境・科学・歴史等を活かし、他地域との差別化を図ることが、新たな需要の開拓が可能となります。
生徒が宿泊する農家の多くは、簡易宿所の登録や食品衛生法に基づく飲食店営業許可を取っていません。料理はみんなで作るというのが絶対的なルールであり、学校のキャンプの延長線として捉えなければなりません。また、保健所の指導により、手洗いの励行、生ものを出さないなど保健衛生面での格段の配慮が必要です。コンプライアンスの徹底が不可欠です。
新幹線の全線開業は、鹿児島への観光客の誘因効果を高めていますが、永続的に利用客を確保するためには、京都に代表されるように修学旅行生を誘致することが、一番の方策です。
この度受入協議会では、修学旅行受入のサービス改善を図るため、京都の老舗旅館の視察をおこないました。その旅館は、年間9万人余りの学生が宿泊しており、鹿児島を訪れる修学旅行生とほぼ同じ人員を1施設で扱っており、年間約250日が修学旅行生で埋まる程の人気旅館です。
小説の中でも取り上げられていますのでご紹介します。
「京都に、聖護院という天台宗の名刹がある。光格天皇や孝明天皇が、一時、御所に使われたこともある由緒ある寺院で、七千坪もある広大な境内には、重要文化財に指定された建物もある。ただ、檀家がないため、戦後は一時、寺の経営が苦しくなった。このため、客殿の一部を「御殿荘」として、修学旅行の宿に当てることにした。(中略)
古びてはいるが、いかにも古都の宿らしいし、環境は抜群。収容力が大きく、分宿の必要がないし、いざとなれば、広い庭に避難できるとあって、たちまち評判になり、他の旅行代理店からの申し込みも殺到するようになった。」以下続く
小説「臨3311に乗れ」:城山三郎著:集英社文庫より
この旅館の特徴についてご紹介します。
ハード部分においては
・由緒ある聖護院の境内にあり、建物は2階建で全ての部屋が庭に面しています。
・京情緒豊かな広い庭園は、緊急時の避難場所にもなります。
・緊急避難時に、廊下が迷路とならないように、回廊式設計となっています。
・境内の中にあり、他校とのトラブルがほとんど無く安心して滞在できます。
・生徒の癒しの場として、庭には足湯がつくられています。
・大文字の送り火が見える部屋もあります。
・夜間は、フロント宿直者1名、専任の警備員が3名、管内を巡回し防犯・防災につとめています。
・日々の防火訓練に対し、市より優良防火事業所京都市消防局長賞を受賞しています。
・館内8箇所に赤外線暗視モニターを設置し、24時間、防犯・防災に努めています。
・自動火災通報装置、煙感知器、熱感知器、屋内消火栓、屋外消火栓などの最新防災設備を完備しています。
など徹底して、生徒さん方の安全確保に努めています。
ハード部分に加えて、学校の支持を得ているのがソフトの充実です。
・到着時には、京都名菓と飲み物のサービスがあります。
・連泊する際、見学から帰った生徒に京の和菓子で出迎え、夏はおしぼりや冷蔵庫に麦茶が用意されています。
・雨雪の日など濡れた靴、制服などを乾かす乾燥室を完備しています。
・メインデッシュには、4つのカテゴリーから自由にチョイスできます。
・朝食は要望に応じて洋食も選択できます。
・仲居さんが親切で、家族的な雰囲気が感じられる施設です。
・部屋がどこも整理整頓されており、清潔感が感じられます。
・病院が近くにあり緊急時の対応がスムーズにできます。
全体を通して、入館時からチェックアウトの時間までくつろいだ時間を過ごすことができ、京都らしさを至る所に感じることができます。特に庭にある木々は、春から夏にかけては新緑、秋は紅葉が美しく部屋から秋の京都を堪能できます。
「御殿荘」は3年前から予約を受け、しかも3年間予約する学校も少なくなく、常連校が多いのが特徴です。鹿児島の学校でも宿泊希望がありますが、1年前に修学旅行の行く先を決める学校が多く、予約する時点で満館のケースが多いのが実情です。夏休みや12月の後半には一部空き日があります。一般の方も宿泊できますので、ぜひ一度はお泊まり下さい。きっと「しばし京都人」になれると思います。
「御殿荘」の素晴らしい所は、設備やサービスが優れた施設でありながら、常に学校、生徒の要望を聞いて、改善に努めているところです。生徒の滞在時間中は最大の注意を払い、快適に過ごしていただく環境整備に努めていると感じます。
一方、修学旅行でのホテルの利用も増えて危機感を感じているのも事実です。日本の伝統文化の一つである修学旅行を生徒さんの思い出づくりの場とするため、和室の良さを最大限活かし、施設ができることを最大限提供したいと支配人は熱い思いを語ってくれました。修学旅行に懸ける想いを感じた懇談会となりました。
2日目に参加者でミーティングを開催し、鹿児島の施設でもできることから実行し、受入体制の充実を図ろうと誓い、また泊まりたいという念に駆られながら施設を後にしました。 一度鹿児島を訪れた子供達は、成人したらまた来てくれるリピーターにもなります。温かいおもてなしで、子供達に大きな夢をもって帰ってもらうよう努力したいものです。
2012年8月20日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
「じゃらんリサーチセンター」が、実施した「じゃらん宿泊旅行調査2012」の結果が公表されました。 この調査は、観光などを目的とした宿泊を伴う旅行実態を把握するために行っている調査で、昨年度1年間(2011年4月~2012年3月)の出張・帰省・修学旅行などを除いたマーケットの動向が把握できます。
鹿児島県においては、昨年の3月九州新幹線が全線開業しましたが、その後1年間の状況が把握できる興味あるデータです。
この調査で、鹿児島県の評価について、
①九州新幹線全線開業で、郷土料理や黒牛、黒豚など地域の食材の評価が高まった。
②駅、ホテル、運輸機関、観光スポット等で地域の詳細な情報入手が容易にできることや顧客満足の高い情報が多くなっている。
ことなどです。
一方、大変残念なことは、「地元の人のホスピタリティを感じた」評価がトップ10からはずれたことです。開業後には多くの観光客が訪れることが予測され、新幹線開業前後に県内7箇所で「おもてなしセミナー」や接遇研修を実施してきました。東日本大震災が発生して、観光客の動向が心配されましたが、昨年の5月から今年の5月までは、大きな伸びとなりました。
しかし、一部の宿泊施設やタクシー会社、休憩施設等では、観光客の増加に対し「おもてなしの心」が追いつかず、クレームが発生したのも事実です。このことが調査に反映しているのではと思います。

ところで、新燃岳の噴火で観光客が大幅に落ち込んだ霧島温泉地域は、地域ぐるみで観光客をもてなし、じゃらんの「人気温泉地ランキング2012・満足度一位」に輝きました。
また、東日本大震災で観光客が大きく落ち込んだ東北4県(山形県、秋田県、福島県、岩手県)が、「地元のホスピタリティを感じた」調査の項目では、2位から5位となっており、必至になって観光客へのおもてなしをしていることが、顧客の心を捉えていると思います。
また、沖縄県は、2012年度調査の8つのテーマで、全て3位以内にランクインしており、県民あげて観光客の受入に当たっている姿勢が伺えます。
もう一度「おもてなしの心」の定着に向けてを職場、地域ぐるみでその取組を強化していく必要があります。
取組として
・リピーターを確保するには、自ら県内の多くの場所に出かけて鹿児島の魅力を知り、語る必要があります。特に大隅地域や離島の魅力が伝わっていない。
・「顧客満足」は当たり前であり、「琴線に触れる対応」で「顧客感動」が求められています。 鹿児島弁で語り、鹿児島に来たことを感じさせることも必要です。
・観光客が初めての土地で立ち寄るのは、空港や駅の案内所です。お客様が自分の方に歩いてきたら立ち上がり、「いらっしゃいませ」とまず挨拶することです。案内所の雰囲気
が、旅人が訪れる街の最初の印象となり。最高のホスピタリティは、お客様に言われる前に挨拶することから始まります。
・「もの」の価値の行き着く場所は「価格競争」になりがちです。「もの」を「こと」に変えて取り組むことが、「価格」を超えた「感動」を生みます。「こと」に必要な要素は、人の心であり、ホスピタリティの原点です。
・施設等においては、売上など業績による管理から、顧客満足度を従業員評価の中心に据
えることで顧客目線の経営管理が浸透し、お客様への「おもてなし向上」につながると思います。
・人は自分の名前を呼ばれた時に、喜びを感じるものです。事前に予約されている方には、名前で呼ぶことが安心感にもつながります。特に駅等での迎えでは、名前を書いたボードを見ると観光客は安心します。
一度の出会いで感動を提供し、リピーターになってもらうためには、積極的にお名前を笑顔で呼んでいただきたい。サービスを受けるということは、当たり前の行為と消費者は捉えています。「サービス イズ アワ ビジネス」を基本にホスピタリティへの取組強化を、経営者自ら実践し、おもてなしの心を職場、地域ぐるみで醸成していくことが重要です。
顧客の不満を解消し、温かいおもてなしの心でお迎えするため、地域ぐるみの新たな取組が始まっているのも事実です。挨拶の励行や観光列車に手を振ったり、到着時に駅等での湯茶の接待も実施しています。また、新しい地域グルメの開発も進められています。
最後に、観光客の地域の最終的評価は、そこに住む「人」です。一度訪れた観光客が、リピーターとなり、「日本にもこのように素晴らしい県があった」、「また訪れたい」、「友人に鹿児島の魅力を紹介したい」、「あの従業員のいるホテルにまた泊まりたい」と認識していただくよう、「おもてなしの心」の再構築を目指したいと思います。
鹿児島県の評価が2013年の調査では、トップ3に返り咲くよう皆さんで努力したいと思います。
参考:じゃらん宿泊旅行調査2012、おもてなしセミナー 2010
2012年8月13日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

県本土から約552キロの南に位置する沖永良部島は、沖縄本島に近く知名町と和泊町の2つの町があり、琉球文化の流れをくみ、「花と鍾乳洞の島」として知られています。 世界的に有名なエラブユリをはじめ、色鮮やかな草花が一年中咲き、島内には300あまりの鍾乳洞があり、隆起さんご礁の海岸は変化にとんでいます。
空港の近くにある「フーチャ」は、東シナ海の荒波に浸食されてできた大きな洞窟で、海が荒れると海水を10m以上も豪快に吹き上げ、ハワイにある潮吹き岩に似て見ごたえがあります。
また、ウジジ浜は巨大な隆起さんご礁の奇岩が並び、特に朝焼けの浜は幻想的で必見の価値があります。
鍾乳洞の代表格が「昇竜洞」で、長い時をかけて大自然がつくりだした彫刻は、東洋随一といわれる美しさで、鹿児島県の天然記念物に指定されています。一般公開されているのは、全長の3.3kmのうち600mのみとなっています。最近メディアで、昇竜洞の美しさが報道され、洞窟探検アウトドアスポーツ「ケイビング」の聖地として、注目を浴びている場所です。
南西諸島に多く自生しているのが、幸福をもたらす精霊が宿るといわれているガジュマルの木です。和泊町の国頭小学校校庭には枝ぶり日本一のガジュマルの大木があり、観光客にも公開されています。その際は当日学校の了解をとることが大切です。

1898年に第一回卒業生が植栽したもので、高さは7mながら円形に広がった枝の直径は22mあります。枝は現在鉄柱で支えられており、木陰は涼しく、訪れたとき子供たちが木の下で無邪気に遊んでいる姿が印象的でした。
今回知名町の北西部に位置する「田皆岬」の景観づくりのセミナーに参加しました。
奄美屈指の景勝地「田皆岬」は、東シナ海に突き出た高さ40m~50mの断崖があり、「奄美十景」の一つで、奄美群島国定公園にも指定されています。岬の周辺一帯は、侵食された石灰岩の石塔原で代表される「カルスト地形」になっており、遊歩道も一部整備されています。

遊歩道沿いには奇岩が並び、まさに自然の芸術が鎮座しているように感じられます。また放し飼いされたヤギが野生化し、群れながら岩と岩との間を散歩している姿や青い海では、数匹のウミガメが遊泳しているのが印象的でした。田皆岬では、昭和40年代まで石灰岩が再結晶化してできるトラバーティン大理石が採取され、高級建築資材として利用されていました。今はその石切場の跡が残っており、貴重な産業遺産です。

ところで知名町と田皆集落の人々は、この岬の魅力ある景観と自然を活かした観光地づくりを目指しています。住民が自ら地域づくりに動き出すことは、地域活性化の重要な事と考えています。セミナーに参加された方は、学校長、区長、Iターン者、歴史研究家、植物研究者、農業・商業従事者、青年団、婦人会等の方々でしたが、地域を何とか活性化しようという意気込みが伝わってきました。
セミナーで議論した事は
・岬の景観を保護するため、廃墟になっている施設(休憩、売店、レストラン)を整備するか、撤去する。
・岬に群生している貴重な植物の写真をとり、パンフレットを作成し観光客に渡す。
・看板は色、形、素材を統一する。藪を払い海を美しく見せる
・奇岩については公募してネーミングをつける。
・30分程度の遊歩道を整備し、海の傍には転落防止の枠を設ける。
・砕石跡の建物は産業遺産として残す。ボランティアガイドを養成し、ストーリーを語ることが大切。
・地域ならではの食・お土産を開発し、地域全体に経済効果をもたらす。
・景観を活用し、テレビ、映画、CMの舞台としてPRする。
・岬にある広い芝生、奇岩、海と空の青さ等南の島を活かす定期的イベント等の開催が必要。
・沖永良部全体で誘客に努める。
田皆岬に行く途中、車を止めるとユリ農家の方が農作業の手を休めて、収穫中のユリの球根を袋一杯プレゼントしてくれました。島の方々の温かさにふれた思いです。
田皆集落の皆様方の活動が、今後の地域の発展につながることを期待します。
最後に景観についての考え方を整理したいと思います。
日本でも景観法が施行されましたが、その対象は多岐にわたっています。基本理念に
<良好な景観は、国民共通の資産>であると位置づけられており、地域の自然、歴史、文化等、地域の特性や特色を伸ばす必要性が指摘されています。
景観を守ることは、観光まちづくりの根本をなすものと考えます。鹿児島市は錦江湾を はさんで、目の前に雄大な桜島がそびえており、その景観は世界に類の無いものです。しかし最近では至るところに高層ビルが建ち、いつのまにかその雄姿が見れないポイントが増えており、高さ制限の必要性を感じることがあります。有名な観光地に行っても、旗の林立や派手な商品広告にがっかりさせられます。
歴史的遺産や美しい自然を望める地域周辺では、看板の大きさ、字体を統一することが景観を守ることにつながります。また、古い建物や庭園が残る場所では、広告物そのものを規制することで地域としての評価が高まり、落ち着いた雰囲気が観光客の人気となります。
景観を守ることの大切さについては、小さい頃から学校や家庭で教えることも重要です。また、景観保全に取組んでいる先進地を視察し、地域の景観保護についてどのようにして合意形成を進めているか研究する必要があります。美しい日本の原風景や歴史遺産、自然景観等を大事にする心を育てたいものです。
2012年8月6日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
江戸時代、他国から薩摩にいたる街道は、出水街道、大口街道、日向街道の三本が主要街道であり、関所では常に厳重な取締を行い他国との交流を制限していました。 中でも出水街道の「野間の関」は肥後に出入りする本街道として、出水の麓(外城)とともに肥後に対する防衛上からもっとも重要視されていた拠点でした。かつて坂本龍馬は、始めての薩摩を訪れようとした際には、野間の関所を通過することができず、長崎に引き返しています。
この度出水市と水俣市は、観光面で相互に連携して活動する「県境観光連携協定」を結び、調印式がその「野間の関」で行われ、小生も立会人として出席しました。江戸時代には通過することが厳しかった場所での調印式は、これからの観光交流へ懸ける両市の想いを伝えているように思います。
出水市への観光客は、九州新幹線が部分開業した平成16年は伸びましたが、その後は苦戦し、全線開業の23年度以降は少し回復基調にあります。しかし3月のダイヤ改正で新大阪までの直通が17本に増発されたことを考えると、その効果を十分に活かしきれてないと思います。

出水市の荒崎の田畑には、秋から冬にかけてツルが越冬し、その数は世界一で多くのツル見客で賑わいます。また武家屋敷は、知覧、入来と並んで伝統的建造物保存地区に指定され、薩摩の外城制度を残す貴重な文化財のひとつです。また、武家屋敷は規模が大きく見応えがありますが、敷地内の自動販売機は木の枠組みで囲み、宣伝広告板や旗は禁止するなど景観保護に努める工夫が必要です。そのことが魅力アップになります。
一方観光資源に恵まれながら、温泉や宴会施設を備えた和室の宿泊施設が少ないことで、観光客は日帰りとならざるを得ません。少しでも滞在時間を確保するためには、宿泊施設の多い地域との連携が欠かせません。
水俣市も九州新幹線の部分開業時に「新水俣」駅ができましたが、期待した程の観光客は増えていませんが、同市は、環境先進地「エコタウン水俣」として、全国的に脚光を浴びている市です。ゴミの分別収集は、教育旅行の体験メニューとして、いち早く取り入れられました。又、水俣湾を埋め立ててできた「エコパーク水俣」の入口には「バラ園」があり、600種類5千株のバラが栽培されており、訪れる観光客を楽しませてくれます。今後の観光客の増加に期待しています。

市内には海辺の「湯の児温泉」と山あいの「湯の鶴温泉」があり宿泊施設は整っています。しかし一般に知られた観光地は少なく、宿泊客を増やす方策には、他地域との連携が欠かせません。
両市の連携は従来民間の組織が中心となって進められてきました。出水市元気再生創出協議会では、NPO法人環不知火プランニングと協力して、農家民泊体験と環境学習のプログラムづくりが進み、教育旅行の実績が上がっています。
新幹線の利便性を前面に出し、駅からスタートできるグリーンツーリズムのメリットが誘致をより可能にしており、24年度は11校、2,326名の農家民泊が決定しています。対象エリアは関西・中国地域で到着が他地域よりも早く、より充実した体験ができることが他地域との差別化につながっています。今後は簡易宿所の登録拡大やコンプライアンスの徹底により、学校に対して安全・安心をアピールする取組も求められます。
また出水と水俣・芦北地域が連携し食のイベントやウォーキング大会なども開かれており、出水市の新ご当地グルメ「いずみ親子ステーキごはん」が、人気を呼んでいます。また、新しい出水ブランドの『いずみさん』の展開を進めており、6つの商品を選定しました。出水市の自然や文化を継承し、地域の食材にこだわった商品であり、観光客に指示されるものと信じています。観光振興には地域の食の魅力が欠かせません。
昨年武家屋敷の中にオープンした「麓・なごみ亭」は、竹林や四季の草花が咲き落ち着いた雰囲気を醸し出しています。大阪で予約の取れないフレンチレストラン「ル・クロ」のオーナーシエフ黒岩功氏がプロデユースしており、訪ねる価値があるお勧めの施設です。
九州新幹線全線開業を機にスタートした出水駅と蔵ノ元港を結ぶ「出水・天草ロマンシャトル」は、8月1日から1日5往復となり、天草地域との交流がさらに深まると思います。
また、海外からの誘客も重要です。昨年シンガポールの旅行エージェント招聘を実施しましたが、農家民泊や農園レストラン、肥薩おれんじ鉄道への期待が高かったと思います。
肥薩おれんじ鉄道で両市は結ばれていますが、今後観光列車の運行も計画されており、車内では琴の演奏、日本舞踊、お茶、生け花、ゆかた着付等伝統的日本文化を堪能していただく仕掛けも重要です。3月25日から就航した台湾便や、香港からのチャーター便では鉄道の旅が人気です。
今後祭りやイベントでは、両市の若者の相互交流を積極的に進め、お互いの地域を知る機会を提供しなければなりません。子ども達の野球やバレーボール大会を開催することで、親の移動も多くなり、経済活動も活発になります。市民が協定の意義を実感することが必要と感じており、特に若者のリーダーを前面に出しPRをしていくことが重要です。
ところで、各自治体とも人口の減少や税収の伸び悩みで各種の事業展開が厳しくなっています。観光振興に国の公募事業を活用するのも一つの方策で、国土交通省、農林水産省、経済産業省、総務省などの支援事業や、県の魅力ある観光地づくりにも積極的に応募して欲しいと思います。
九州観光推進機構の調査によると、首都圏女性の九州観光に対するイメージは、北海道、沖縄に比べてかなり劣っています。南九州の魅力ある観光ルートを定着するためには、県境を越えた連携が不可欠です。
昨年秋にはJR6社の「デスティネーションキャンペーン」が展開され、大きな成果がありました。遠方から来る観光客は広域に回り、県境の意識はありません。両市とも観光客誘致で不足する部分をそれぞれ補完し、協調しながら誘客に努め、一方では競争して地域を磨くことも必要ではないでしょうか。両市の活性化の方策の一つとして、今回の「県境観光連携協定」を最大限に活かすことが求められており、他の地域にも波及することを期待しています。
2012年7月30日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

今年の梅雨明けは例年よりおそくなりましたが、ようやく澄み切った青空に入道雲が現われて、本格的な夏の到来です。朝6時過ぎになると、私の住まいの真向かいにある松林に囲まれた公園から、小学生の元気な声が聞こえてきます。
「全国の皆さんおはようございます。」とラジオから流れるかけ声とともに、付き添いの親や小さな子供まで一斉にラジオ体操が始まります。
私もベランダ越しに子供の動きに合わせて、一緒にラジオ体操をするのが毎朝の日課となっています。子ども達は体操が終わると記録簿にチェックを受け、PTA係の誘導で横断歩道を渡り、家路に急いで帰ります。地域の皆さんの協力体制が、子ども達の朝のラジオ体操を支えていると感じます。
我々の小学生のころは、どこの地域でも見られた光景です。集落単位で広場に集まり、先輩がラジオ体操を教えてくれたことが懐かしく思い出されます。最後に記録簿にスタンプを押してもらい、皆勤賞をもらうことが何よりも楽しみでした。
今では集団でこのようなラジオ体操をする姿は珍しくなりましたが、子ども達の夏休みの思い出づくりに役立つものと思います。世間では「いじめ」や「校内暴力」等が話題になっていますが、子供の頃から集団生活の中での規律や支え合う心を育むことは、必要なことと思います。
また、お盆には故郷に帰り先祖の墓に一緒に手を合わせて、先代からずっとつながっている命の大切さを教えることは、貴重な経験にもなります。 夏休みの間事故に遭わないよう、また熱中症に気をつけて元気に過ごして欲しいと願わずにはいられません。
ところで節電の必要性が叫ばれていますが、昔は扇風機もなく夏はどこの家でも蚊帳をつって寝ていました。 夏になると次の歌をいつも思い出します。
たらちねの 母がつりたる 青蚊帳を
すがしといねつ たるみたれども
長塚節:明治時代の小説家で詩人、長編小説「土」が有名
皆さんは今年の夏の旅行計画は立てられましたか。今年はぜひ、日本の原風景がいたる所に残り、美しい自然や美味しい食材が豊富な大隅路を訪ねて見ませんか。大隅地域は県本土で陸続きでありながら、県民が意外と行ったことがない場所ではないでしょうか。
大隅地域を旅する人が活用して欲しい3つの特典付きプランを紹介します。
1つは昨年度から引き続き実施している「無料レンタカーでおおすみへ行こう」プランです。指定レンタカー会社で借受手続・料金支払の上、利用申込書を受け取り大隅地域へのドライブがスタートです。3つのブロック(北部・中部・南部)の内2つのブロックのチェックポイントでスタンプを押してもらい、指定宿泊施設で宿泊の翌日に証明をもらい、レンタカー会社に返却する際に利用申込書を提出すると、24時間分のレンタカー料金がキャッシュバックされます。
20のチェックポイントはドライブの行程上、休憩ポイントとして最適の場所にあり、地域の特産品を取り揃えている所もあります。また、Wチャンスとして、抽選で大隅の特産品がプレゼントされます。このプランは、25年の3月31日まで展開されます。
2つ目のプランは、かごしま宝探し大冒険の旅~'おおすみ'に眠る四秘宝を捜せ!~です。
JR鹿児島中央駅案内所やファミリーマート等で「宝の地図」を手に入れ、宝の地図にある謎を解読して、大隅半島に隠されている宝箱を捜し出します。宝箱に書かれている[キーワード]を発見したら、4箇所ある最寄りの発見報告所に報告すると、正解者の中から抽選で豪華賞品がプレゼントされます。
見つけた[宝箱の数]が多いほど当選対象の商品が増えます。前述の「無料レンタカーでおおすみへ行こう!」プランを利用して家族で参加すれば、当選確立もアップします。9月の30日まで展開されますので、ぜひ今年の夏は「ナゾトキ宝探しゲームin大隅」に家族全員でチャレンジしてください。
3つ目のプランは、大隅半島の民間と行政が連携して取り組む「Oh!すみっこクラブ」で、大隅一円の観光施設を巡るスタンプラリーです。
同クラブは、大隅半島4市5町の観光協会や観光施設が主体となり、自治体をオブザーバーに5月に結成された団体です。スタンプラリーは、大隅一円の観光地の知名度アップを図る目的で実施されるものです。
スタンプ会場は、かのやばら園、志布志湾大黒イルカランド、道の駅根占等大隅地域の市町推薦の場所17カ所になっています。各観光施設にある自治体ごとに1個押印でき、最高9個を集めると3万円相当の特産品が詰まった「大隅ふるさと箱」に応募できます。この企画も9月30日まで展開されます。
ところで、県と観光連盟では九州新幹線全線開業効果を県内全域にもたらす取組を推進してきましたが、大隅地域の各観光施設は、全国的にはまだ知名度が低く、アクセスの面や、宿泊施設が少ないなど、年間を通して誘客することは現状では厳しい状況です。
大隅地域は、四季折々の美しい草花が咲き乱れる田畑や、森林、太平洋の黒潮に洗われた九州本土最南端の佐多岬や白砂青松の美しい海岸線が南北に伸びる志布志湾、また、大隅半島の河川は、小鮒が泳ぐ清流が多く、日本の原風景がいたる所に残り、小学唱歌の「故郷」や「赤とんぼ」、「夕焼小焼」、「早春賦」などが似合う地域です。
また、最近では2010年に「はやぶさ」が7年ぶりに帰還し、それが発射された「内 之浦宇宙空間観測所」が話題となりました。佐多岬から見る開聞岳や種子島・屋久島、硫黄島等の景観は、見応えがあります。「かのやばら園」は今年の4月イングリッシュガーデンとしてリニュアルオープンしました。
志布志市に隣接し串間市高松の海岸沿いにオープンした「志布志湾大黒イルカランド」は、話題の人気スポットであり、また、近くのダグリ岬には遠浅の美しい海水浴場もあります。夏休みに子供を連れてぜひ訪ねたい場所です。
大隅半島は、豊かな自然、美味しい食材などが豊富にあり、「道の駅」や「農家レストラン」、「農家・漁協直売所」も充実しています。各種の特典プランを利用して、今年の夏は大隅地域へ家族で出かけませんか。
2012年7月23日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
九州新幹線全線開業で多くの観光客が鹿児島を訪れていますが、主流はシニア層であり、 しかも女性のグループが多いのが特徴です。最近若者の「車離れ」「酒離れ」「ゴルフ離れ」「スキー離れ」等の声を聞きますが、「若者の旅行離れ」も例外ではありません。
かつて旅行需要を牽引してきた若者世代に意識の変化がおきているのではないでしょうか。我々の学生の頃は、アルバイトでの資金を元に、北海道や離島に行くことが何よりも楽しみでした。また、就職してもGWや休日を利用して旅行に出かけることも良くありました。
ところで1960年代までの日本では、男性が中心の団体型慰安旅行が盛んで、温泉地は賑わい、また、中高年が主体の神社・仏閣の見学ツアーも多く見られました。
しかし1970年代中期から1980年代にかけて、ファッション雑誌(an・anやNon・no)やガイドブックを片手にひとり旅や少人数で旅行する若い女性が増え、「アンノン族」と呼ばれました。旅行の主役として女性客が重視される最初の契機となった現象です。大学生(女子大生)から若いOLの、18・19歳から20代の年頃の女性でした。
当時のJR(旧国鉄)のキャンペーンと同時進行的に始まった「アンノン族現象」は、従来の旅行とはまったく異なる旅行スタイルであり、歌手山口百恵を起用した「いい日旅たち」のコマーシャルソングも大ヒットしました。(1978年にリリースされた曲)
「いい日旅立ち」 谷村新司作詞・作曲
雪解け間近の 北の空に向かい 過ぎ去りし日々の夢を 叫ぶとき
帰らぬ人たち 熱い胸をよぎる せめて今日から一人きり 旅に出る
ああ 日本のどこかに 私を待ってる 人がいる
いい日旅立ち 夕焼けを探しに 母の背中で聞いた 歌を道連れに
ああ 日本のどこかに 私を待ってる 人がいる
いい日旅立ち 幸せを探しに 子供の頃に歌った 歌を道連れに

日本各地に残る小京都(角館、飛騨高山、金沢、妻籠・馬込宿、萩、津和野等)に女性客が訪れるようになり、旅先では、名所旧跡を駈足で巡るのではなく、地域の美味しい食べ物(郷土料理や菓子)を食べ、温泉に入る等癒しをテーマとした旅でした。 アンノン族現象に示されたように、女性客を呼び込むことが観光地の発展につながることが認識され始めました。
ところで、最近の若者は携帯電話やパソコンの購入などにお金をかける比重が高くなり、 生活に余裕のないこともありますが、旅行に対してのニーズはあるものの、旅行に行く回数は減少しています。

総務省が公表した「2011年の社会生活基本調査」の結果によると、過去1年間に旅行をした10歳以上の国民の割合は。73.2%で、前回06年の調査から3.0%低下しています。旅行経験割合で見ると女性が75.3%で、男性より4.2ポイント高くなっています。国内旅行は1986年、海外旅行は96年をピークに減少しています。
業界の調査でも、若者の旅行離れは同様です。こうした世代が増えると、将来観光地や温泉地は衰退していく可能性があり、若者の旅行離れを現実として受け止め、「どのようにしたら若者の関心を惹きつけ、地域に誘客できるか」具体的対策を考える必要に迫られています。旅行することが若者の日々の行動の選択肢に入っていないことは、残念なことです。
社会人に成り立ての20代が「休みが取りにくい」「資金的な余裕がない」ことは納得できます。このため、経済的・時間的拘束から「友人との付き合いや趣味を楽しむことで日々を過ごす」ことに価値を置いているのではないでしょうか。これらの阻害的要因を解決し、高い満足を得られる観光地になれば、旅行先として選択される可能性があります。

現在の若者は、今の中高年世代の当時に比べると、子供のころから観光旅行の機会は多く経験しています。旅行は好きだけれども、時間とお金の余裕があれば出かけるが、生活の中で旅行が特別のものではなくなっています。さらに旅行への意識が「どこに旅行に行くか」もさることながら、「誰とどういう時間を過ごすか、その選択肢として旅行がある」という意識が高まっていると思います。
(株)ツーリズム・マーケティング研究所が、20代の女性の旅行意識調査を1997年と10年後の2007年に実施しています。それによると「1年に1回は旅行をしなければ気がすまない」と「旅行をしない年があっても気にならない」の問いに対して、1997年の調査では旅行への執着心が強く、10年後の調査では旅行への関心が無い層が増加しています。
「誰と行くかよりも、どこへ行くかを優先する」と「どこへ行くかよりも、誰と行くかを優先する」項目では、1997年の調査では行先を優先していましたが、後の調査では誰と行くかが2倍以上に増加しており、同行の有無で旅行動機が左右されることが示されています。
今の若者にとって旅行とは、身の回りにあふれる数々の娯楽のうちの一つに過ぎず、「どこに行くのか」よりも、最も関心を引くのは、「旅先で何をするのか」であり、「旅のきっかけづくり」が重要になっています。
また、じゃらんリサーチセンターが20~24才の独身有識者を対象に行った調査(2009年3月)によると、最近1年間に実施した旅行の同行者は「友人」「恋人」「家族」「ひとり」と続いています。男子では、3割強が「ひとりで」「家族と」旅行を実施しており、「会社の同僚」を上回っています。また、女子の1位は「友人」で以下「家族」「恋人」が続いています。同行者が旅行の実施に影響を与えています。
ところで、今年の9月「観光かごしま大キャンペーン推進協議会」では、若年層の旅行意欲の喚起を図るため、JR西日本とタイアップし、関西・中国エリアの大学生が県内各地で様々な体験を通して交流を深め、おもてなしの心を知ってもらい、本県の魅力を若者の視点で情報発信するプログラム「鹿児島カレッジ」を展開します。
関西・中国地区の6大学約60名の学生が鹿児島を訪れます。6斑に別れて8エリアを訪ね、体験を通して若者の視点で情報発信し、また旅行プランの企画提案を行うものです。
「鹿児島カレッジ」のポイントは
①鹿児島の人々との交流を通じて、旅のすばらしさを経験してもらう。
②地元を巻き込んだコミュニケーションづくりを行う。
③学生の企画をJRおでかけネット等(JR西日本媒体)で広く告知する
ことです。
情報発信ツールとしては、facebookページを活用し、学生の友達への旅行需要を高め、交流の様子を一般ユーザーにも見てもらい、旅行喚起を図ることも大きな目的のひとつです。冒頭に述べたように、若者の旅行に対する意識は高いものの、そのきっかけづくりが大事であり、今回の企画がそれを可能ならしめる機会になるのではないでしょうか。
鹿児島は南北600キロに及び、多彩な自然、歴史、温泉、本物の食材は学生たちを魅了するものと思います。 特に女性は、「美」、「食」、「健康」、「本物」、「限定」、「パワースポット」といったものに関心があります。鹿児島ならではのオンリーワンの体験メニューの提供が欠かせません。
国内旅行は成熟しており、日本の原風景が至る所に残る鹿児島県は、参加者に新鮮に映るのではないでしょうか。「日本の中に鹿児島県があって良かったと」という印象を持って帰っていただき、県民も一期一会の心で迎えたいものです。
参考:ツーリズムマーケティング研究所:週刊東洋経済:じゃらんリサーチセンター:ウィキペディア
2011年7月17日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
2011年度九州食料・農業・農村情勢報告書(九州農業白書)が、公表されました。 白書によると、九州7県で農家民宿を営む経営体(許可を取得している施設)は、2010年時点で309を数え、5年前から約2.7倍に増加し、農産物の直売所は約1.3倍、農家レストランは約1.5倍にそれぞれ増加しています。そして、受入対象は従来の一般の個人客から、学生を中心とした教育旅行の団体客に移りつつあります。
一般消費者と農家民宿実践者へのアンケートも実施しており、「余暇(休日)を過ごす場所(訪れる場所)としての農山漁村の魅力」については、9割の人が魅力を感じていますが、「余暇を過ごす目的での農山漁村訪問の経験」は6割にとどまっており、行きたいけれども意外と行く機会に恵まれていない人が多いことがあげられます。
また、「農山漁村を訪れる主な目的」では、「直売所での買物」と「自然や美しい景観を楽しむ」が8割近くになっていますが、「農家民宿などでの宿泊」、「農林漁業の体験」は、1割にとどまっており、実際の体験者が少ないことも指摘しています。
農山漁村を訪れた時に困ったことは、「交通機関が充実していなくて不便」や「予約するのが大変」、「予想とイメージが違う」ことなどをあげており、情報発信の在り方が問われています。機会があれば農山漁村に行き、直売所での買い物もしたいという潜在的需要が高くなっているのは事実です。一方では、情報発信や都市と農村との交流を仲立ちするコーディネーターの確保が求められています。

初めて農業体験する人の中には、植え付けをした後の日々の管理は農家に委託し、収穫作業を楽しみにするなどレジャー感覚で取り組んでいる人もいます。 また、地域によっては、宿泊施設と連携し宿泊した翌日に農業体験のメニューを設け、採れたての食材で昼食を提供したり、地元産品を購入できる機会をつくるなどの取組を行っている地域もあります。
若い頃農業を経験した県民が多く、あらためて農家に泊まる需要は限られると判断しており、県内の人に対しては、日帰体験が得策と考えます。都市圏の人に対しては農家民泊がお勧めです。それを可能にするため地域の自然、歴史、温泉、食、特産品、伝統文化等'地域力'のアップが不可欠であり、滞在して飽きない場所になることが求められます。
今、農業に関心を持つ人が増え、産地直売の安全・安心の食材を求める背景には、次のような点があげられます。BSE問題、牛肉偽装事件、中国産の食品に農薬の混入、鳥インフルエンザ、口蹄疫、東日本大震災が発生し福島原発による放射能汚染など食にかかわる事件が頻発していることが、食の安全性に対する意識の高さに表れています。
今、旅の途中に気軽に立ち寄れる「道の駅」が注目されていますが、道の駅の食材は、生産者の顔が見えることが購買者の心を捉えており、作り手の熱意が感じられ一層親近感を覚えるのではと感じます。顧客は、最初はツアー等で店の存在を知り、その後日常の顧客になっている場合が多くなっています。
一方、スーパーでは、規格外の食材は販売されず、今までほとんど廃棄処分でしたが、道の駅では売られており、農家の生産意欲向上にもつながっています。
「道の駅」の中でも、レストランと農産物直売所の両方を兼ね備えている店舗が人気で、店舗周辺の川や田畑を活用することで景観に配慮し、観光客が立ち寄りたくなる雰囲気づくりに努めています。特産品を加工した調味料なども販売することで、地域色を出し販売に繋げている店舗や、定期的なメニューの入れ替えに、農家の意見を反映させるなど、地域全体に波及効果をもたらす取組を展開している店もあります。

現在、県内には農産物直売所が170店舗あり、地域、店舗の競争も激しくなっています。(24年2月1日現在)顧客に選ばれる店舗になるためには、地域を感じるこだわり商品の開発、旬な情報の発信、一番採りでオンリーワンの農産物の提供などが人を惹きつけます。「地域のブランド力構築」、「コンセプトの認知度」を高めることが重要であり、そのことがリピート客の拡大に繫がります。
ところで、旅行形態が団体旅行から個人旅行に加速する中で、学校現場のニーズは、「ふれあい・本物体験」であり、農漁業体験と民泊が教育旅行の主流となってきています。 県内では民泊を受け入れる家庭が900軒を超え九州一であり、しかも県内全域に広がっているのが特徴です。
垂水漁港での「漁業体験」は、他県に同様な環境施設が少なく、鹿児島への誘客の大きな柱となっています。教育旅行は、「一度に多くの生徒が動く」、「予約が遅くても1年前」、「平日に動く」、「取消が少なく継続する」ことなど、前広な計画が立てやすく、受け入れ家庭のメリットも大きいことです。
鹿児島県は全国第4位の農業県で、気候が温暖で1年中どこかで農産物が収穫され、体験メニューの豊富さ、受入家庭のおもてなし等他県に負けない環境が揃っています。
九州新幹線全線開業で時間短縮効果もあり、関西・中国地域からの誘客がより可能となっています。平成23年度には、県外から1万1千人を超える学生の民泊の実績があり、24年度は1万3千人で、25年度はさらに予約者が増加しています。農業・漁業の生産現場での様々な体験学習が、鹿児島への教育旅行の定着につながります。
最後に、鹿児島市の喜入町に今年の秋農業公園が開設され、レストランが併設されます。教育旅行も大いに誘致して欲しいと思います。鹿児島市民60万人も応援団となり、産品の定期購入者となることで持続的な運営が可能となります。
観光と農業が連携することで、農村と都市の交流の機会が活発となり、活力ある地域づくりの一翼を担うことができるのではないでしょうか。
参考:九州農業白書:かごしまの農産物直売所ガイドブック
2012年7月9日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
霧島連山の新燃岳は、2011年1月26日大きな噴火をし、その後小規模の噴火を繰り返していましたが、現在は火山性地震も少なくなっています。これまで新燃岳火口から3kmの範囲で立入規制区域となっていました。
鹿児島地方気象台は、6月26日霧島連山・新燃岳の警戒範囲を3キロから2キロに縮小することを発表しました。噴火警戒レベル3(入山規制)は継続されています。警戒範囲縮小は約1年3か月ぶりで、関係者は霧島連山の登山復活に大きな期待を寄せています。
噴火以来、宮崎県の高原町や都城市一帯に降灰があり、地域住民に大変厳しい生活を強いてきました。新燃岳噴火当時は連日マスメディアで報道されて、霧島温泉では、宿泊のキャンセルが相次ぎました。
また、韓国のお客様に人気のあるトレッキング、ゴルフ等のツアー等が相次いでキャンセルとなったことも大きな痛手でした。観光は多くの分野に波及効果があることから、地域経済にも大きな影響を与えたことも紛れもない事実です。
しかし、観光客が落ち込んだ時期に、霧島温泉地域では、おもてなしセミナーや接遇研修等を実施したこともあり、「じゃらん人気温泉地ランキング2012」では、「温泉地満足度第一位」に選ばれるなど、地域ぐるみのおもてなしが評価されています。 霧島温泉は、その後九州新幹線の全線開業効果もあり、昨年の8月からは回復基調となっています。
ところで、鹿児島を訪れた観光客は2泊以上する人が多く、今回の警戒範囲の縮小は、鹿児島県全体にとっても大きなプラス効果をもたらすものと期待しています。
従来霧島連山には、春は「ミヤマキリシマ」、夏は新緑、秋は紅葉、冬は霧氷と四季それぞれの魅力があり、多くの登山客やトレッキング客が毎年訪れており、再開が待たれていました。
特にこれまで新燃岳の火口近くを通り、縦走する登山者が多く見られました。今回の警戒範囲縮小でも新燃岳の近くまでは行けませんが、韓国岳から望める新燃岳の火口の変化に興味があります。一日も早く見たいというのが皆さんの気持ちと思います。
小生も、2010年のNHK大河ドラマ「龍馬伝」の霧島のロケの折、福山雅治さんやおりょう役の真木よう子さんと一緒に撮影隊の補助として高千穂峰に登山しましたが、その後降登っていません。一日も早く山の変化を見たい心境です。
また、山の開放を心待ちしているのは、日本人だけではなく韓国の人々も同じだと思います。新燃岳噴火、東日本大震災と原発事故、円高等が重なり、鹿児島を訪れる外国人は昨年1月から激減していました。
しかし台湾や香港からの観光客は、回復基調にありますが、鹿児島を訪れる外国人の5割を占める韓国人が戻っていません。その意味でも今回の警戒範囲の縮小は朗報です。皆様も韓国の友人に、今回の経過をぜひ伝えていただき一日も早く霧島に来ていただくよう要請していただきたいと願うばかりです。
新幹線が全線開業し、好調を維持している鹿児島の観光にとって一番の課題は、新燃岳の噴火がおさまる事でした。夏休みという最大の需要がある時期に、登山が可能になることは何よりも嬉しいことです。
噴火予知連の見解を受けて霧島市は27日、「新燃岳火山活動に対する情報共有会議」を開催し、今後の対応を話し合い、立ち入り規制の看板、ロ-プを設置し直すことや、登山道の安全対策等を早急に進めることを確認しています。
鹿児島県と宮崎県は、近く国や市町と登山道を現地調査して安全確認や整備を実施し、規制解除の範囲などを検討し、7月下旬には開放する方針です。
旅行エージェントは、全国にネットワークがあり、迅速に情報を伝達できる強みがあります。これまで地元支店と連携して情報収集を行い、定期的にイントラで社内での情報発信に努めていただきました。しかし警戒範囲が縮小されたことが発表されても、集客がスムーズに行くまでは時間がかかります。
夏休みの旅行エージェントの商品もほぼ出揃い、店頭に並んでいますが、霧島山の登山開放の際はPRをぜひお願いしたいと思います。
また、社員研修を実施し、霧島地域の実情を見て販売につなげていく機会を作って欲しいと思います。
県、観光連盟では、新燃岳火山状況、降灰、道路状況、登山、イベントの開催状況等について、関係者と連絡を取りながら、ホームページで適宜発表しています。今回も早速ホームページで第一報を掲示しました。県民の皆さんも、開放日が決まったら霧島山へ出かけていただき、新しい霧島の魅力を県外の方々に伝えて欲しいと思います。
九州新幹線の全線開業という100年に一度のビッグイベントは、鹿児島に大きな変化をもたらしていますが、全線開業効果の勢いにも陰りが感じられます。
今度は、霧島連山・新燃岳の警戒範囲縮小を新たな需要の掘り起こしに結び付けなければなりません。新燃岳にできた新しい山の形は、霧島の名所になることは疑いのないことです。
霧島地域は世界ジオパークの認定を目指して、地域で様々な取組を推進しています。
皆さんもぜひ家族で登山し、変化した霧島の山の姿を確認しませんか。
2012年7月2日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
奄美群島は、鹿児島の南方380~580キロメートルの海上に有人の8つの島(奄美大島、加計呂麻島、請島、与路島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島)が点在し、世界的にもまれな亜熱帯性降雨林をはじめ、温帯林の特徴を残す山地林から河口域のマングローブ林、熱帯性植物からなる海岸植生、砂浜からサンゴ礁までバラエティーに富んだ景観美を呈しています。
各島の魅力に触れたいと思います。
奄美大島は、鹿児島の離島の中で一番大きい島です。中でもぜひ訪れたいのが、「金作原原生林」です。天然の亜熱帯広葉樹が多く残る貴重な森に入ると、生きた化石といわれる巨大なヒカゲゴケの群生には驚かされます。天然記念物のルリカケスやアマミのクロウサギなど固有種の動物も多く生息し、世界自然遺産候補に価する地域です。
住用村にある「マングローブ原生林」は、住用川の河口にマングローブが71ha以上も自生し、その規模は西表島に次いで国内2番目の広さを誇ります。ガイドさんと一緒にカヌーを漕いでいると時の立つのを忘れ、童心にかえった気分になります。
奄美空港の近くにある「田中一村記念美術館」では、孤髙の天才画家の世界にふれることができ、美術ファンなら必ず一度は訪れたい施設です。空港から30分の位置にある龍郷町は、西郷隆盛が暮らした地です。島では子ども達に読み書きを教え、島民との交流を深め、33歳の時龍郷の名家である龍家の娘・愛加那(あいかな)さんと結婚し、長男菊次郎は、後に台湾宜蘭庁長や京都市長、永野金山の鉱山館長を務めています。また、東海岸の「手広ビーチ」は島内屈指のサーフポイントで、サーファー憧れの地です。
大島海峡を渡ると、自然の宝庫、加計呂麻島があります。ディゴの並木や夕陽が美しい西安室の海岸は必見です。また、映画「男はつらいよ」や、島尾敏雄の自伝小説『出発は遂に訪れず』等、映画や文学の舞台となっています。
島の沖合には、サンゴを積み重ねた石垣が連なる与路島や、珍しい昆虫や植物が見られる請島があります。大学生のゼミやカルチャーセンターのフィルドとして、最適な環境の場所と思います。
奄美大島の東方約25kmにある喜界島は、サンゴ礁が隆起した島でハブがいない島であり、中央部に広がる「百之台公園」は奄美十景に選ばれた景勝の地です。また、島は、白ゴマの生産量が日本一です。

徳之島は、天城町、徳之島町、伊仙町の3町からなり、長寿と子宝の島として全国的に知られています。500年の歴史がある闘牛大会は、全島一決定戦が年3回、3町持ち回りで開催され、超大型牛が激しく角を突き合わせ戦う姿は、息を飲む迫力です。優勝牛が決まると、指笛と太鼓の音が鳴り響き、観光客もつられて踊り出し、大会は最高潮に達します。ぜひ見たい伝統行事の一つです。
シドニーオリンピックの女子マラソンで金メダルを獲得した高橋尚子選手は、かつて天城町でキャンプを行っており、彼女が練習した道路の横に、「尚子ロードの碑」が建てられています。また、天城町は、毎年「徳之島トライアスロン」が開かれ、鉄人レースに全国から参加者が集まります。
子宝の島として、子育ての環境の良さをもっと全国にアピールし、U・Iターンにつなげて欲しいと思います。
沖永良部島は「花と鍾乳洞の島」と呼ばれ、エラブユリは世界的に有名です。農業が盛んで早出しのじゃがいもは、関東・関西・北九州方面に出荷されており、農家所得は県内でも高い位置にあります。

国頭小学校の校庭にあるガジュマルの木は、1898年の第一回卒業生が植えた記念樹で、円形に広がった枝の直径は22mにもなり「新日本銘木百選」に選ばれており、空港の近くにあることから観光客も気軽に立ち寄り記念写真に納まっています。また、海が荒れると潮水を10m以上も吹き上げる潮吹き洞窟「フーチャ」は、ハワイ・オアフ島東海岸にある「潮吹き岩」を彷彿させ見応えがあります。
与論町は、澄み切ったエメラルドグリーンの海とサンゴ礁に囲まれた周囲22kmの 小さな島で、その島の美しさは「東洋の真珠」と呼ばれています。昭和40年代の初め頃は当時日本最南端の島であり、都会の若者が連日押し寄せ、干潮時に姿を現す「百合ヶ浜」の美しさに感嘆の声をあげていました。 今では沖縄経由で訪れる人が多く、「島を1校で貸し切る」というネーミングで、学生のグリーンツーリズム誘致に成功しています。
小説、エッセイ、翻訳を手掛け52歳という若さで亡くなった森瑤子さんは、与論島をこよなく愛し、島を舞台に「アイランド」という小説を執筆しています。海のすぐ側に別荘と彼女のお墓があり、取り囲む木々にはいつもきれいな花が咲いています。
大陸、琉球、日本文化の接点に位置した奄美の島々には、多彩な伝統文化、風俗、祭事、食文化などが残り、旅人を楽しませてくれます。 伝統的祭りである八月踊りは、太鼓のリズムに合わせて唄い、額に汗して笑顔で踊るシマンチューのパワーを感じる踊りで、観光客も踊りの輪にすぐ入ることができます。また、各地に残る島唄は、集落に伝わる恋物語を唄にしたもので、どこか哀愁漂う旋律は心に響きます。
日本民謡協会奄美連合大会で総合優勝した「中孝介」や、奄美民謡大賞を受賞した「元ちとせ」は共に奄美の出身で、幼い頃から島唄の調べで育ち、今では日本を代表する歌手に成長しています。「居酒屋かずみ」は、唄者西和美さんが経営する店で、中孝介が唄の勉強に通った店です。黒糖焼酎片手に島料理に舌鼓をうち、西さんの唄に聞き入り、夜が更けると誰ともなく三味線の音で踊りが始まります。旅の思い出づくりにぜひお尋ね下さい。
各島には長寿の人が多く、集落を訪ねて生活・文化に触れるのも観光の魅力の一つです。加計呂麻島に伝わる「諸鈍(しょどん)シバヤ」は、日本各地に伝わる平家伝説に由来 する民俗芸能で、国の重要無形民族文化財で、2009年ユネスコ無形文化遺産リストの 登録候補になっています。
龍郷の秋名集落に残る伝統の稲作儀礼「秋名アラセツ行事」で は、「ショチョガマ」「平瀬マンカイ」の二つの祭りが行われ、どちらも国の重要無形民族文化財に指定されておりぜひ見て欲しい祭りです。
ところで、沖縄県には、全国30数県から定期便があり、しかも東京、名古屋、大阪、福岡の大都市圏から毎日約140便が発着しており、多くの観光客は、開発が進んだ先島まで足を伸ばしています。しかし、奄美の島々は、今まで大きな開発がされず、手つかずの自然が残る貴重な島であり、都会の人にとってはまさに秘島です。沖縄にない自然、文化、生活、環境の良さを全面に、差別化を図ることが奄美の優位性となり誘客を可能とします。
昭和40年代の初めは第一次離島ブームであり、奄美の島々には多くの若者が押し寄せ、1500トンの客船は、デッキまで人があふれていました。現在就航している船は、5000トン~8000トンの大型船で、車も運ぶフェリーでフィンスタビライザー(横揺れ防止装置)が設置され、外洋に出ても揺れは少なく感じます。船内には大浴場もあり、快適な船旅が楽しめます。家族旅行もゆったりした船旅が楽しめると思います。
九州新幹線が全線開業し、時間短縮効果もあり、奄美の島々にも行きやすくなりました。 夕方18時に鹿児島を出港した船は、奄美大島の名瀬港(5:00)、徳之島の亀徳港(09:10)、沖永良部の和泊港(11:30)、与論港(13:40)に着き各港では、賑やかな出迎え風景が見られます。船旅を楽しんだ後は、各島のエメラルドグリーンの浜辺でマリンスポーツが楽しむことができます。赤々とした太陽が東シナ海に沈む瞬間は感動的です。
今年の夏は、奄美の島々への船旅を楽しみませんか。奄美の海がきっとあなたを待っています。
2012年6月25日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
鹿児島では7月に入ると、神社やお寺で夏の風物詩「六月灯」が県内各地で始まります。
「六月灯」の始まりは、島津19代藩主久光候が新昌院(現新照院町)の上山寺の観音堂を再建した折、旧暦6月18日に沿道に燈篭を掲げ、道の明かりにしたのが始まりといわれています。盆踊りなどの行事が少ない鹿児島で発生した鹿児島独特の夏の行事です。
県下の神社や寺院に灯籠が奉納され、8月上旬頃まで、各地の神社仏閣で日を違えてほぼ毎夜開かれています。 中でも鹿児島市の照国神社の六月灯は、7月15日、16日の2日間にわたって開催されます。境内には企業や商店街の奉納した大小1000個あまりの燈篭が献燈され、沿道にはたくさんの夜店が並び、毎年多くの市民で賑わいます。
これだけ毎日開催される祭りながら、観光客には意外と知られていません。また、旅行企画でも六月灯の見学が入ったツアーはほとんどありません。新幹線開業で鹿児島県内には多くの宿泊を伴う観光客が訪れています。観光客にもぜひすすめて、鹿児島の夏の風物詩を肌で感じて欲しいと思います。
2009年から本年にかけて、舞台での芝居として公演された「六月灯の三姉妹」が、映画化されることになりました。「六月灯の三姉妹」は、今まで鹿児島県内4ヶ所を含め、全国9ヶ所での公演を行い、観客動員13,000人を超える記録を出しました。そしてこの度、「六月灯の三姉妹」を劇場用映画として制作することになり、7月から撮影が始まり、来年の5月が公開の予定です。
企画は西田聖志郎氏、音楽は「篤姫」「江~姫たちの戦国」を手掛けた吉俣良氏で、二人とも鹿児島県出身者です。関係者によると、撮影場所はほとんどが県内で行われる予定であり、実際の六月灯の様子が撮影されるとのことで、今から公開が楽しみです。
子供の頃から皆様の近くの神社でも「六月灯」が開催されており、浴衣に着替え、親に連れられて、金魚すくいや花火で楽しんだ記憶はありませんか。 特に子供の頃から地域の伝統行事に触れさせる機会を作ることは、必ずやふるさとへの愛着心を育て、郷土愛の構築に繫がると思います。
ところで、日本各地には、祇園祭、しょうろう流し、灯籠まつり、8月踊り、東北三大祭り、郡上踊り、阿波踊り、よさこい祭り等様々な夏祭りがあります。伝統的祭りは、地域の人々の生活や風習に育まれ、四季の風情を感じさせる日本ならではの行事です。 8月の旧盆の時期をはさんだ夏祭りは、帰省の時期と相まって、懐かしい人との再会など感慨深いものがあります。
しかし、地域によっては若者が少なくなり、祭りの開催そのものが難しくなっていますが、地域の守り神の象徴である神社・寺院に集まり、集落の人総出で準備しているのがこの頃の祭りの姿ではないでしょうか。人口の減少は、地域の祭りの存続も危うくしているのが実情であり、なんとか後世に残せないものかと感じます。
鹿児島では夏から秋にかけて、「七夕踊」、「十五夜行事」、「八月踊り」、「川内大綱引き」「おはら祭り」、「弥五郎どん祭り」、「流鏑馬」など各地を代表する祭りが開催されます。
最近の祭りは、厳粛な行事というよりも華やか行事になっており、屋台(縁日広場)、山車、特設舞台での歌謡ショーや、アニメのヒーローを中心としたキャラクターショーなどが行われています。また、地域産品の展示即売会も開かれ、町が一体となったPRの場にもなっており、地域づくりにも役立っています。祭りは子供の出番を増やすことで、後継者の養成にもなり、また近隣の市町村にもPRし多くの人を集めることが、祭りの賑やかさを演出することになります。
地域の活力が低下し、交流人口の拡大が不可欠となっています。伝統的祭りの開催は同郷の人が集まり、故郷を見直す良い機会となります。
皆様も故郷の祭りに家族揃って出かけませんか。
2012年6月18日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
九州観光推進機構と九州各県共同で実施してきた大都市圏でのエージェントとマスコミ向けの観光素材説明会と相談会が終了しました。今年は初めて札幌でも開催され、東京、大阪、福岡の4会場の説明会に参加しました。
11日には京都でのJR西日本とJR九州主催の「関西・九州交流会」に出席し、関係者との意見交換を行いました。それぞれの会場で寄せられた意見をもとに、秋以降の対策を急ぐ必要があると感じています。
現況を見ると、「鹿児島中央駅」が新幹線最南の終着駅であることや、新大阪駅から直通列車の運行、増発と時間短縮効果が顕著な実績となって表われています。昨年のGW頃から動きが活発となり、昨年5月から今年の4月までは前年を大きく上回る観光客が訪れています。
地区別に見ると、指宿地域は、「指宿のたまて箱」が週末には増結されていること、西大山駅周辺の整備、釜蓋神社などの新しいパワースポットの誕生、地域ぐるみで観光客を迎える態勢が評判となり好調が続いています。霧島地域は本来の温泉地の魅力が再認識され、新燃岳噴火の影響から立ち直り、昨年の夏から増加しています。
鹿児島市は終着駅効果による「街の魅力」の定着、桜島の「よりみちクルーズ」や「アイランドビュー」効果が浸透しています。市内は、時間短縮効果でビジネスマンの日帰り出張が増えており、シングルの多いホテルは苦戦を強いられていますが、一方観光客の利用率が高く、ツインが多いホテルは善戦しています。
鹿児島中央駅から5分の場所にオープンした「かごっまふるさと屋台村」は、年間目標が30万人ですが、オープン1ヶ月ですでに10万人を超えており、このまま推移すると100万人も夢ではありません。これからも徹底的に鹿児島らしさに、しかも貪欲にこだわり、「おもてなしの心」を定着させ、各店舗が一品一品にこだわって欲しいと思います。
姶良市の「アイラビュー号」はワンコインバスとしての人気が定着しており、今後は地域への経済効果を調査し、あり方を検討すべきと考えています。
開業後に鹿児島を訪れた観光客は、関西、中国地域からの初めての方が多く、知名度の高い観光地を訪れていることがあげられます。一方では、大隅地域や種子島・屋久島地域、奄美地域は予想した程伸びていないのが現状です。
ところで、大都市圏の各会場でのエージェントの企画担当者や、JRの関係者の話を分析すると、鹿児島への観光客の流れは今までの好調さに陰りが見えていると感じています。
その理由は
等です。
3月17日のダイヤ改正で、新大阪直通の列車が大幅に増加していますが、旅行エージェントの商品企画においては、秋以降は必ずしも十分な集客に結びついてはいないと認識しなければなりません。
そこで我々は今、秋から来春に向けての積極的な提案を継続していかねばなりません。秋の最大の需要はシニア市場であり、春は卒業を控えた女子学生を中心とした学生マーケットです。
特に団塊の世代が65歳を迎え、年金を満額受け取れる環境が整っています。シニア世代は平日も動けるフットワークのいいお客様です。しかも値段にあまり左右されず質の良い旅行を求めます。鹿児島が誇る温泉、食、おもてなしの心、かつて新婚旅行で訪れた南九州の魅力を活かした商品造成をエージェント各社に働きかける必要があります。
一方、若い女性への情報発信力も求められており、鹿児島のイメージ確立には、「パワースポット」、「食」、「歴史」、「温泉」など女性の琴線に触れる場の提供が求められます。旅の情報誌、フェイスブック等の積極的活用も検討していきたいと思います。
観光連盟では、夏に向けては島の魅力のPR強化、秋以降については企画商品の造成支援、オフ期の手配団体への貸切バス支援等を強化します。
各施設では、WEB販売の強化等を進めるなど地域のイベントや着地型旅行商品の紹介、周辺観光地へのルートやPRなどエージェントに積極的に提案してもらいたいと考えます。
温かい気候をPRして、スポーツ合宿の誘致も欠かせません。伝統的祭りでは、観光客が参加する機会や席の優先的確保等集客しやすい環境を整えて欲しいです。また宿泊施設では、空き日に積極的に商品造成を要請するなどの取組が必要です。
ところで、山陽・九州新幹線の沿線の人口は2,800万人を超えており、まだまだ新規需要の開拓は可能です。特に中国地域からの県内の宿泊人員に占める割合は、6%程度に過ぎません。3時間程度で来れるこれらの地域は、1泊圏内として鹿児島は最適の地域であり、これからも伸びる余地が大いにあります。
また、最大のマーケットである首都圏において引き続き最大のPRに努めていく必要があります。
3月から中華航空が台北~鹿児島間に週3便運航して、インバウンドの回復に大きな力となっており、また、夏休みにかけては香港からのチャーター便の運航も計画されており、現地エージェントとの連携強化に努めています。
今までの新幹線開業では、2年目から観光客が減少していますが、4月までは鹿児島は伸びています。しかし先行きには不透明感があるのも事実です。今を持続できる観光地への正念場と捉え、緊張感を持って先を読んだ展開を積極的に推進していきたいと思います。
2012年5月1日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
ゴールデンウィークが始まり、県内各地は観光客で賑わっていますが、今年は昨年の東日本大震災や原発事故の影響も薄らぎ、全国的に観光地は好調な出足です。
3月のダイヤ改正により、新大阪から鹿児島中央への直通便が増発されたことや、格安航空会社ピーチの就航、中華航空台北線の新設などにより一段と鹿児島への観光客の伸びが期待されます。
ところで鹿児島市は、目の前に桜島を仰ぎ、自然、温泉、歴史、文化、食、アクセス、宿泊施設の充実等観光客誘致には大変恵まれた環境にあります。
この度、鹿児島中央駅東口から5分の場所に「かごっまふるさと屋台村」がオープンしました。オープンセレモニーには、就任したばかりの井手観光庁長官も出席されて盛大なお披露目となりました。
屋台の定義ははっきりしませんが、物を売る台に屋根を付けたもので、組み立てや収納が容易であり、移動が簡単な店のことです。江戸時代の享保年間に生まれ、第二次世界大戦後の闇市などで、戦争引揚者や戦災で店を失った人たちが生活のために始めたものが広まったものです。
しかし、その後食品衛生法や道路交通法、消防法等の制定により規制が強化され、公共空間での営業形態の屋台は、東京オリンピックの開催を機に減少していきました。現在では移動式の屋台は、博多では、約180軒が営業していますが、営業者の高齢化が進み減少しているのが現状です。
最近の屋台は敷地が公共空間ではなく、私有地の中に固定・常設され、街の活性化を目的に地域づくりの一つとして進められています。
現在は、固定式の屋台村が全国にできていますが、小樽市・おたる屋台村、青森市・青森さんぶり横丁、八戸市・屋台村みろく横丁等は人気があります。最近では、震災で大きな被害を受けた気仙沼市に復興屋台村・「気仙沼横丁」がオープンし話題となっています。
「かごっまふるさと屋台村」は、25軒の個性あふれる屋台と1軒の焼酎専門店が軒を並べます。それぞれの店は小規模で8席しかなく、家族的な雰囲気が味わえるのではないかと思います。鹿児島の旬の食材を活かしたこだわりの料理と焼酎をリーズナブルな価格で提供するなど、鹿児島の食文化を堪能できる場所としての魅力が売りの一つです。
これからの屋台村の展望と課題等について述べてみたいと思います。
屋台村の設置は、市街地の活性化や地産地消を中心とした地元食材の提供、情報発信基地として県内のイベントや観光地の紹介、若手起業家の育成等に繋げなければなりません。
屋台村は、鹿児島市内としては初めて平地にできた食の集合体の施設です。従来ラーメンやお好み焼きの専門店等が並ぶ場所では、人気店舗とそれ以外の店舗との優劣が付き、不人気の店は客が入らなくなり、店舗同志のコミュニケーションが減り、一方の店が退去するなどの弊害も起こっています。
スタンプラリーを実施し、25店舗を巡ると記念品を贈るなど、屋台村全体の発展を目指す取組も不可欠です。それぞれの店が切磋琢磨しながら、競争と協調の心をもって一体感を維持していくことがまず大切です。
屋台村は鹿児島の地産地消を徹底し、あくまでも鹿児島らしさにこだわる必要があり、鹿児島の魅力を発信する場所にしなければなりません。また従業員は鹿児島弁を積極的に使い、観光客に鹿児島の魅力を語ることが求められます。
季節を通してイベントを開催し、市民も訪れる場所にする必要があります。新年の振る舞い酒、餅つき大会、節分、ひな祭り、七夕、月見の宴、クリスマス会などの開催が誘客に繫がります。テレビや映画の舞台として提供するのもPR効果を高めます。
ところで、鹿児島市は北海道の札幌と並んで、都市としての魅力が集約された街です。公共空間の整備が進み、滞在して飽きない街になりつつあります。
「かごっまふるさと屋台村」の周辺も、西郷隆盛、大久保利通など近代日本の礎を築いた偉人を輩出した地域であり、リニューアルされた「維新ふるさと館」は観光客に大変人気な施設です。夜は甲突川がライトアップされ一段と魅力的な一帯となります。
観光客が夜の街を楽しむことで、天文館も活性化し、地域の経済が循環することになります。市民が鹿児島市の魅力を語ることを心がけて欲しいと望んでいます。
一方では、新幹線の時間短縮効果は、ビジネスマンの日帰出張を加速しています。600キロに及ぶ鹿児島の魅力を語ることで、遠方まで足を伸ばすきっかけをつくり、滞在に変える取組が求められます。
また、現在海外便が、ソウル、上海、台北へ就航しており、その国の人々は、屋台で食事することが定着しており、今後東アジアの観光客が増加すると思います。簡単な言葉を覚え海外観光客と市民の交流の場所になればと思います。
屋台村ができたことで既存の店との競合も発生します。特に中央駅西口との競争は激化しますが、「おもてなしの心」を持ってサービスの向上に努め、相乗効果で来店客を増やして欲しいと思います。また、近隣のホテルの方々も積極的に屋台村をPRすることで、連泊につなげて欲しいと思います。
「本物。鹿児島県」の魅力が観光客に定着しつつあります。「ふるさとかごっま屋台村」に行けば「鹿児島に会える」、と観光客の合言葉になるよう積極的にPRしていきたいと思っています。
2012年4月23日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
「黒潮の海に昇りし天津日は 佐多乃岬を日ねもす照らす」
この歌は、佐佐木信綱門下の歌人であり、「新古今集」の研究家として知られる川田順の歌で、佐多岬の展望所近くに歌碑が建立されています。川田順が昭和11年に長崎鼻を訪れた際、対岸に見える佐多岬を見て詠んだ歌と言われており、当日は快晴ではなかったかと想像されます。
佐多岬灯台は、1871年(明治4年)に完成しましたが、戦争で被害を受け、1950年に建て替えられ現在の白亜の灯台として生まれ変わりました。太平洋に突き出した半島の先端にあり、九州本土最南端にある灯台で、「日本の灯台50選」にも選ばれています。
太平洋の黒潮が押し寄せる突端に立つ灯台は、錦江湾や南の島へ行き交う船舶の目印として重要な役割を果たしています。対岸に薩摩半島の開聞岳を望み、東シナ海に沈む夕日は格別です。晴れた日には、種子島、屋久島を望むことができます。
佐多岬の入口に位置する大泊には、北緯31度線(エジプトのカイロと同じ位置)の表示塔が立っており、車を止めて写真に収める観光客が見受けられます。
ところで佐多岬への観光客は、昭和40年代の前半から50年代の前半までがピークでした。新婚客のゴールデンルートとして、宮崎~日南海岸~鹿屋~佐多岬~根占~山川~指宿が賑わいました。その後新婚旅行が海外に移り、バブルが終焉し団体旅行も激減し、薩摩半島との架け橋であったフェリーが休航した期間もあり、いつのまにか佐多岬も忘れられた存在でした。
佐多岬への観光客が減少したことにより、広範囲に影響がでてきました。かつての宮崎からのゴールデンルートを通る観光客はほとんどいません。「かのやばら園」まで来た客は、引き返して鹿児島に戻っていきます。一方対岸の指宿方面からの観光客の流れも減少しました。
しかし、団塊の世代の退職や国内旅行の個人化・多様化が進み、今では交通の便が悪く秘境と呼ばれる地域が脚光を浴びています。佐多岬も、例外ではありません。
しかしながら、現在の佐多岬の周辺は休憩施設もなく、展望台は修復工事の傷跡が深く観光客が楽しめる雰囲気が感じられません。灯台が望める最先端まで行く途中には、かつて住んでいた「古い灯台守の館」が藪の中にひっそりと佇んおり、整備すれば産業遺産として活かせると思います。
その意味でも佐多岬の魅力づくりが、鹿児島市、指宿、宮崎からの観光ルート定着になり双方にメリットが出てくると思います。今年度は県の予算で調査費が付いており、佐多岬の課題が改善されることを期待しています。
佐多岬周辺の魅力をあげると、大泊港から出ている半潜水艦の水中展望船があります。「さたでい号」と名付けられ、ビロウ島、佐多岬沖など佐多岬海中公園内を30分かけて周遊し、黒潮の中を泳ぐ熱帯魚を目のあたりに鑑賞できます。
また、岬では、ハイビスカス、ブーゲンビリアなど数多くの亜熱帯植物が生い茂り、熱帯のジャングルにいるような気分に浸ることができます。ソテツの自生地も圧巻です。
自力歩行で最南端を目指すトレッキングツアーもあります。いくつかの山越、崖越え、しかもロープを頼りに一人ずつしか登り降りできないというスリリングな箇所もあり、それゆえに最南端への到達したときの達成感は大きいものがあります。体験型観光の醍醐味を味わうことができます。
九州新幹線が全線開通したことにより、時間短縮効果で大隅地域への誘客もより可能となりました。
佐多岬のある南大隅町までの沿線には、かのやばら園、吾平山上陵、内之浦宇宙空間観測所、花瀬公園、神川の大滝、雄川の滝、並列鳥居のある諏訪神社等特色のある観光地や、農・漁家の直売所、錦江湾に沈む幻想的な夕陽が望めるレストランなど旅情を感じさせる店もあります。
これらの観光地を線で結び、地域全体に波及効果をもたらす取組が重要であり、そのためには、まず県民に訪ねてもらうことが大切ではないかと思います。そして県外の方々に南大隅地域の魅力を語って欲しいと思います。
最南端の神社として有名な御崎神社は、最近パワースポットとして人気があり記念写真に納まるカップルの姿が多く見受けられます。吾平山上陵と諏訪神社、御崎神社の3箇所をパワースポットとして売りだすのも効果が期待できます。
北海道の最北端宗谷岬はこれからの季節、本州方面から多くの観光客が訪れます。その後日本海に浮かぶ利尻島、礼文島まで足をのばします。最北端と最南端を結ぶツアーもおもしろいと思います。
根占~山川フェリーの再開で薩摩半島との往来もできるようになりました。かつて「岬めぐり」というツアーがヒットしました。都井岬、佐多岬、長崎鼻を巡るツアーの復活も楽しみです。
根占港の隣には、新たに南大隅町の農産物や採れたての魚等を取り揃えた「なんたん市場」もオープンしました。フェリーの待ち時間に是非立ち寄って欲しい場所です。
最南端にある大泊郵便局を訪ね、記念スタンプを押し九州本土最南端の地に来たことを実感し、喜んでくださるお客さんを多く呼びたいものです。
参考:南大隅町観光ガイドマップ:南大隅町役場企画振興課
2012年4月16日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
夜来の激しい風雨にさらされて、満開の桜もいつのまにか散り葉桜となり、これから新緑が一段と映える時期になります。
みかんの一大産地である出水地方では、5月の初め頃になると、みかんの木が花を咲かせ、丘陵全体が白い花で覆われ、その美しさを新幹線の車内からも臨むことができます。
出水市は、毎年1万羽を超えるツルが越冬し、規模の大きい武家屋敷群や野間之関、鎮国山感応禅寺、日本一の大鈴のある箱崎神社、日本一のお地蔵さんのある八坂神社、上場高原のコスモス等恵まれた観光地があります。
しかし今まで観光客が来ても、土産物としての特産品や地域を感じる食事のメニューが少なく、出水ブランドとしての商品の開発が待たれていました。
出水商工会議所では、中小企業庁の「平成23年度地域力活用新事業∞全国展開プロジェクト」に応募し、自然に恵まれた出水市の農・畜・水・のそれぞれの食材を使った新たな特産品を農商工連携で開発し、「出水ブランド」として全国に発信し、出水市地域の活性化を図る事業に取り組んできました。私も今回プロジェクトメンバーの一人として参加しました。
この度の事業で、鶏肉を中心としたグルメ3品、柑橘類とさつま芋を使用したスイーツ3品が誕生し、出水ブランド「薩摩出水のいずみさん」として売りだすことになりました。「薩摩出水のいずみさん」とは、出水市の自然や文化を継承し、自然に恵まれた出水市の特産品である鶏肉や柑橘類等の食材を活用した商品や出水市内で製造された商品等で、地域活性化に繫がる商品のブランドネームです。
ロゴマークは女性の顔にツルをイメージして、キャッチフレーズは、「ツルも出水に、恋をした。」が選ばれました。出水市は永年1万羽を超えるツルが訪れている土地であり、それにあやかった良いロゴマークとキャッチフレーズと思います。
今回選ばれたグルメとスイーツの商品概要は次の通りです。 グルメは、出水市の2大ブランドである鶏肉「南国元気鶏」と「赤さつま」を中心に、出水市の歴史的逸話をもとに開発した鍋物や鹿児島の特産品であるさつま揚げをアレンジした一品等、旬の野菜や地場産の食材にこだわり、「出水らしさ」「鹿児島らしさ」がある料理です。 スイーツは、1年中獲れる柑橘類の中でも、旬の柑橘類だけを使用した和菓子やさつま芋を使う鹿児島の郷土菓子をアレンジした洋菓子等、旬の食材や地場産の食材にこだわり「出水らしさ」「鹿児島らしさ」がある菓子です。
3つのグルメとは、
しょうがん炊き・・戦国時代に島津家縁の武家屋敷に住む、ぼっけもん(快男児)昌巌 (出水3代地頭)さんの逸話と大正時代の国有林田畑開拓時に詠まれた詩を元に 出水のおいしい鶏肉(全国生産2位)と、季節の新鮮な野菜を地元産の麦味噌 で仕立てたコラーゲン・ビタミンたっぷりな出水のおもてなし料理です。
出水んまか巻・・地場産の鶏肉と、あえてシンプルなごぼうと人参を使用した八幡巻ですが、そこへ出水産の蜜柑を加えることで、さっぱりした酸味と爽やかな余韻を楽しめ、中の野菜は出水で採れる旬の野菜を使用することで、季節の味が楽しめます。
出水んまか棒三姉妹・・出水市の特産品である鶏肉や焼き海老、鹿児島県の特産品である黒豚を活かしたさつま揚げで、中に入っている具も地場産や鹿児島産の食材にこだわった一品です。また、海老姫、鶏姫、黒豚姫のキャラクターも魅力の一つです。
3つのスイーツとは、
まるごと出水(みかん)・・優秀な農家の方々が一つ一つ丁寧に大切に生産されたみかんを最大限に使ったお菓子です。ほど良い甘さの求肥(ぎゅうひ)と飴がみかんの味を引き立てます。夏から冬の期間限定の商品です。
チョコっとねったぼ・・・昔から地域のおやつとして親しまれてきた"ねったぼ(芋もち)"を若い世代にも伝えたいと思い、出水市の特産品である紅甘夏の皮をシロップ漬けにして中に生チョコと混ぜ、アレンジした新感覚のお菓子です。
いもクロ(IMOCLO)・・鹿児島県の特産品であるさつま芋と出水市の特産品である紅甘夏の皮を使用した餡子を、出水産米粉が入ったクロワッサン生地で包み込み、安心安全の食材にこだわった一品です。
資料提供:出水商工会議所 平成23年度地域力活用新事業∞全国展開プロジェクト
出水商工会議所では、8月頃をめどにグルメ、スイーツとも取扱店舗の募集を行い、また現在ある特産品の中でも一定の基準を満たした商品だけ、「薩摩出水のいずみさん」の認定を行う予定です。
これから「薩摩出水のいずみさん」のブランド力をいかに高めていくかが課題です。 「ブランド」とは、元々はヨーロッパの山中での牛や羊の放し飼いで、他者の家畜との区別をするため押した「焼印」に由来しています。現在ではブランドとは、商品が「差別化されている」、「品質が保証されている」、「地域での広がりがある」ことなどがあげられます。
商品開発は多くの地域で行われていますが、知名度アップと販売拡大策が課題です。まず地域住民にどのように浸透を図るかです。
家庭での広がりには、レシピを作成することで統一感が生まれます。また、各種宴席では、「しょうがん炊き」や「出水んまか巻」、「出水んまか棒」を推奨するようにし、お客様にストーリを語ることが定着への一歩になると思います。
また、県外でのPR効果を発揮するには、行政や地域団体等の職員の皆様は、「薩摩出水のいずみさん」のロゴマークを印刷した名刺を渡して欲しいと思います。
スイーツは、市外の人への贈り物の定番とならなければなりません。その際包装紙は、ツルや、ミカンがたわわになっているデザインを使うのもPR効果を高めると思います。出水地域では、グリーンツーリズムが人気となり県外からの学生さんの民泊体験が増加しています。メディアへの発信を強め、口コミ効果を高めることで、帰りに人気のおみやげとして、誰もが購入するようになるのではないかと思います。
ダイヤ改正で新大阪への直行の新幹線も大幅に増え、観光客の誘致もより可能になりました。先にデビューした新ご当地グルメ「いずみ親子ステーキごはん」は浸透してきました。 地域一体となった取組が経済効果をもたらし、「薩摩出水のいずみさん」の定着に繫がると思います。
2012年4月9日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
観光交流局では、この度九州新幹線の全線開業効果を大隅半島に波及させる取組の一つとして、「おおすみ観光100選」を発行しました。隠れた観光資源や体験型観光メニュー、飲食店等が掲載されており、大隅地域の魅力満載の情報誌となっています。
九州新幹線全線開業で、鹿児島市内、指宿、霧島地域は昨年の5月以降観光客の伸びが顕著となっていますが、大隅地域は十分な効果が見られません。要因として大隅地域の魅力が県民にも十分浸透していないことなどがあげられます。
しかし、大隅地域の4市5町の市長・町長は観光振興に力を注いでおり、今後が楽しみな地域ばかりです。情報誌は地域の観光素材の掘り起こしの一助になればと思いますが、具体的な行動を起こさなければ誘客はできません。各市町村の職員の方々もまず観光地に足を運び、自らその魅力を体感すべきであり、オンリーワンの観光素材にストーリーをつけてPRすることが今求められています。
鹿児島県旅行業協同組合では、「かごしまふた旅 魅旅」として、地域の人しか知らない情報をもとに商品造成をしており、ぜひ参画して欲しいと思います。
地域の祭りやイベントについては前広にメディアに情報を発信し、隣町からの集客につなげねばなりません。町外から人が集まることが、飲食店の利用が増え、農・水産物の販売など地域経済の発展に貢献します。特に鹿児島市民をターゲットに大隅半島に足を運んでもらう努力が必要と思います。
昨年から始まった「大隅地域レンタカー無料プラン」の継続も決まりました。大隅地域の2箇所を周り1泊すれば、使用料は無料となります。昨年度は約1千台の利用がありました。今年も多くの県民に利用をお願いしたいと思います。
大隅地域で大きな動きとしては、グリーンツーリズムとブルーツーリズムの受入が進んできました。修学旅行での農業や漁業体験、農家・漁家民泊が人気です。今年度は新幹線を利用し、大隅地域に宿泊する小・中・高校生の修学旅行に対して、錦江湾航路のバス輸送運賃・旅客運賃を助成する制度が始まります。大隅地域への誘客を促進し、修学旅行先として定着させることを目指しています。鹿屋航空基地史料館の平和学習等も併せて販促を強化していきます。
今年度の予算で佐多岬の調査費が計上されました。佐多岬は九州本土最南端であり、昭和40年代から50年代の後半まで多くの新婚旅行客で賑わった場所です。古い建物の撤去や突端の近くまでの道の整備が進むと昔の賑わいを取り戻せるのではないかと期待がかかります。
北海道の最北端宗谷岬を訪ねるツアーは人気があり、最南端まで来る観光客が増えることは、大隅地域だけではなく根占~山川フェリーの利用促進、宿泊施設の多い指宿地域の活性化にもつながります。南大隅町の森田町長は、佐多岬の整備がこれからの地域振興の最大のポイントと考えており、私も同様な意見です。
また、内之浦宇宙空間観測所は映画「はやぶさ」の放映で話題となっており、修学旅行の新しいルートとして脚光を浴びています。
大隅地域の最大の観光施設である「かのやばら園」がリニューアルされ、今回新しく「イングリッシュローズガーデン」が造られました。本場イギリスからの苗木を植栽し、4月の下旬から5月の初めには美しい花が見られるのではないかと思います。
鹿屋航空基地の「2012エアーメモリアルinかのや」が4月29日~30日に開催されることもあり、両方を見学し、大隅半島に宿泊していただければゆっくりした旅が過ごせると信じます。
ところで、大隅地域に行くには曽於市と志布志市は陸路が、その他の地域へは錦江湾を渡るのが便利です。鹿屋までは直通バスが運行され利用度が高くなっています。やはり乗り換えずに行けることが、利用度アップにつながっています。その意味でも新幹線の終着駅の鹿児島中央駅からの2次交通の整備は今後も不可欠と考えています。
今回発行された「おおすみ観光100選」の「あとがき」に大隅地域の魅力を下記の通り記述しました。
『 魅力ある美しい自然の残る大隅地域は、四季折々の美しい草花が咲き乱れる田畑、森林、小鮒が泳ぐ清流が多く、太平洋の黒潮が押し寄せる荒々しい岬や白砂青松の美しい海岸等日本の原風景がいたる所に残っている。
最南端の「佐多岬」は、太平洋の荒い波が打ち寄せ、突端に立つ灯台は、錦江湾や南の島へ行き交う船舶の目印とし重要な役割を果たしている。対岸に薩摩半島の開聞岳を望み、東シナ海に沈む夕日は格別である。
照葉樹の森から稲尾岳のトレッキングは、景観や植生に見応えがあり、「花瀬自然公園」は、川の中に見渡すかぎり石の絨毯を敷き詰めたような景観が珍しい。
ドライブの途中、老夫婦が仕事を休めにっこりと手を振ってくれた。田舎の良さは自然の美しさだけでなく、人の魅力をも残していることである。
国産ロケットの発射は「内之浦宇宙空間観測所」から始まり、2003年5月に打ち上げられた「はやぶさ」は、7年ぶりに約60億Kmの旅を経て無事帰還した。
日本最大級の「かのやばら園」は、「恋人の聖地」として人気があり、北の曽於市には、「悠久の森」、「溝の口洞穴」など話題のパワースポットがある。
志布志市は、室町時代に創建された大慈寺や江戸時代に造られた庭園が残るなど往時を偲ばせる。串間市との境に、家族で楽しめる「イルカランド」がオープンした。
大隅地域は、「うなぎ」、「黒牛・黒豚」、「ちりめん」、「さつまいも」、「ピ-マン」、「お茶」等の一大産地で美味しい食材が豊富にあり、漁港、農協の直営レストランも人気が高い。未知との旅での多くの人との出会いが、きっとあなたの旅情を高めてくれるはずである。』
今年は大隅地域の活性化に向けて様々な施策が展開されます。県民のみなさんもぜひ錦江湾を渡り大隅地域の魅力にふれてください。
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
平成24年2月20日
大宰府天満宮の樹齢1000年を超えるとされる飛梅が、今年は2月7日に開花しました。3月の上旬頃まで、境内にある約200種類、6000本の梅の花を見ることができ、受験生や進学・就職する人、外国人等が多く訪れ賑わいます。
菅原道真は梅をとても好んでおり、大宰府に左遷された際に詠んだ次の歌はあまりにも有名です。
東風吹かば匂ひをこせよ梅の花
主なしとて春な忘れそ ~菅原道真~
梅の花が終わると、桜のシーズンになり海外からのお客様が増加します。車体の側面に「EGLツアーズ」と書かれた団体バスが鹿児島でもよく見られるのもこの春先からで、毎年1000人を超えるお客様がEGLツアーズを利用して鹿児島を訪れています。
この度、文部科学省大学教育推進プログラム採択事業の一環として、「取材学習を取り入れた循環型初年次教育」の平成23年度公開シンポジウムが、鹿児島大学で開催されました。
アジアの中の鹿児島―交流、観光、映画を通して、他県や海外から見た鹿児島の魅力や映画の素材としての鹿児島に注目し、これからの地域文化や街づくり、行政、産業のあり方について考えるのが今回のテーマでした。
基調講演の一人がEGLツアーズの社長袁文英氏でした。 EGLツアーズの日本向けの送客数は10万人を超え、香港の業界でそのシェアはNO1です。袁社長の経営方針を学びたいと、全国の自治体から講演依頼が絶えないなど有名な企業経営者です。
袁社長はかつて日本の大学で勉強され、香港人に対して日本で観光ガイドもされていました。その後香港での旅行エージェント勤務を経て、仲間6人と1986年に会社を設立され、昨年25周年を迎えています。昨年の11月には香港のコンベンションセンターで盛大な25周年パーティが開催され、日本からの500人を含む国内外から1500人が参加し、その偉業を称えました。
袁社長の人となりと経営哲学について御紹介したいと思います。自分が社長と呼ばれるより「袁さんと呼んでくれ」といつも言われており、これから袁さんとして紹介します。
昭和54年から日本各地でガイドを担当し、その時自ら作ったガイド手引書は今でも多くのガイドの虎の巻として活用されており、数百名のガイド養成もされてきました。
昭和60年まで6年間香港の有力エージェントに勤務され、日本出張所の責任者もされました。その後自分で会社を興される際には、勤め先の会社にきちんと挨拶され、その会社の取引先には決してセールスには行かない等固い約束もされています。自分を育ててくれた会社に義理を尽くし、一方では自らの会社を発展させることで恩を返せたと語っています。
会社を発展させる中で、転機になるような事件も発生しました。それは平成7年の神戸大震災、地下鉄サリン事件、史上空前の円高(1ドル=¥79)であり、多くの香港の旅行社は日本向けのツアー販売を中止しました。
しかし袁さんは、これまでの仕事を見直し、日本でのランドオペレーター事業から香港でのリテーラー業務に切り替え、他社が日本ツアーを敬遠する中で、航空会社から仕入れた席を売り切り大きく業績を伸ばしました。
このことが航空会社や日本のホテル、運輸機関から絶大な信頼を得ることとなり、会社が飛躍する大きな節目の年になりました。袁さんは「危機はチャンスよりも 危機こそチャンス」と語っています。
また、事業規模が拡大する中でも、常にお客様の視点での経営を貫いており、頭を低くし、決して傲慢な企業体質は全く見受けられません。私も観光ミッション等で本社を訪問することがありますが、まさにサプライズの連続です。
ビルの1階で社員が、訪問者一人ひとりの名前を書いた「ウェルカムボード」を持って迎えてくれます。13階の応接フロアーに着くと、今度はエレベーター前のテレビのモニター画面に、一人一人の名前が映し出されます。
応接間には日本全国の自治体より受けた感謝状や各施設からのアワードが展示されており、改めて会社の存在のすごさを感じます。帰る際も見送りが徹底しており、バスが見えなくなるまで手を振ってくれます。ここまでのおもてなしを受けると感動・感激しない客はいません。
最近の日本へのツアーは深夜便が多いこともあり、顧客に対し新たな取組を提供しています。「夜の快眠を妨げないで」と表示してあるステッカーの配布や、日本到着後の待合室での歯ブラシの提供等常にお客様にサプライズの感動をいかに与えるかということに気を使っています。
日本におけるホテル、バス会社等これまで長期にわたり団体、FITで利用している機関に対しては、前金もしくは保証金による支払いの方法をとり絶対の信頼を得ています。
また、社会貢献活動にも積極的に取り組まれており、平成17年のスマトラ津波・地震の際は、被災地に対し従業員と会社で多額の義捐金を送られています。また、昨年の東日本大震災で被災した岩手県、宮城県、福島県に総額1億1955万円を届けています。
一方、袁さんは従業員を大切にされており、平成16年のサーズ発生で自らの企業が大変厳しい時でも、従業員の給料カット、人員削減、自宅待機等は一切行っていません。むしろ逆に添乗員の賃金をあげるなどの方策をとっています。
危機管理対策にも常に気を配っています。困難な時ほど逆に従業員に気持ち良く働いてもらうことが、従業員へのお返しだとも語っています。日本の企業経営者も学ぶべき点が多いと思います。
鹿児島大学の講演では、生徒たちに「変化に対応できる判断力を養う」ことや、「おもてなしの心」を持つことの大切さを語っていました。時にはユーモアを交え語りかけるように話される姿は、永年の企業経営で培われた謙虚な姿勢と確かな自信に裏打ちされていると感じました。
翌日は出水の武家屋敷、肥薩おれんじ鉄道、農家レストラン、阿久根等を視察され鹿児島の地方都市の魅力に触れてもらいました。今後新たな企画が生まれるものと期待されます。有志による歓迎会では、県知事からの「薩摩大使」の任命状も渡されました。
今後ますますの袁さんのご活躍をお祈りしたいと思います。
2011年6月6日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光
6月に入り、屋久島の登山客が増える時期となりました。ヤクシマシャクナゲは、年によって花の咲き具合が変わり、今年は花の状況が良くないとのことですが、宮之浦岳に登る登山道では、今年も美しい花が見られるのではないかと思います。
志戸子の「ガジュマル園」、吉田の日高姓のルーツとされる「日高神社」や「トンボレ」、ラムサール条約に登録された永田の「いなか浜」や「ウミガメ館」、栗生の「水辺の石楠花の森公園」、中間の「ガジュマルの気根のアーチ」、安房の「流れ船」、平内や湯泊の「海の露天風呂」など、本土では見られない光景があります。
また、屋久島は文学の舞台にもなりました。屋久島の至る所で、シカやさるに遭遇しますが、児童文学者の椋鳩十は、命の尊さと人間と動物とのふれ合いを題材に「片耳の大鹿」を書いています。小学校の教科書にも登場します。宮之浦港近くのなごりの松公園の中に、「道は雑草の中にあり」という著者の文学碑があります。
屋久島には、その自然に惹かれて多くの文化人が移り住んでいます。そのひとりである日吉眞夫さんは、大手飲料メーカーの宣伝部を退職し、36歳の時家族と共に屋久島に移り住み農作業をしながら、屋久島の自然と人の暮らしを「生命の島」という本で紹介しています。残念ながら数年前に本人は亡くなられましたが、奥様と息子さんが一緒に空港の近くで喫茶店を営み、店内には創刊号から最終号までの「生命の島」が展示されており、島の自然を守りたいという熱い思いが伝わってきます。是非店を訪ねて見てください。
屋久島の自然は、日本が誇る世界の財産です。これまで以上に地域で環境を守る取組を強化し、観光客も「屋久島憲章」の趣旨を理解し、世界自然遺産の島を守っていく姿勢が重要ではないでしょうか。
2011年3月28日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の影響は、直接の被害がなかった鹿児島でも大きな影を落としており、1月26日の新燃岳の噴火で霧島地域を中心に宿泊客が激減しているところに加えて、今回2つの出来事が重なり、全域で宿泊の取り消しが顕著となっています。
観光は多くの産業に関連しており、宿泊客の減少は地域経済にとって大きな損失をもたらしています。宿泊業のみならず、お土産品店、クリーニング業、近辺の飲食店、ガソリンスタンド、遊技場、タクシー業界など従業員の雇用まで及び、地域は深刻な状態です。
12日の九州新幹線全線開業を、鹿児島の観光振興の起爆剤と位置づけていただけに残念な思いがあります。しかし亡くなった方や、家もろとも被災した方のことを考え、開業イベントは派手な行事はやめて、節度ある観光展や物産展のみを実施したことは良かったと思います。当日鹿児島中央駅を利用した方々は、心のこもったお迎えやお見送りに満足されたのではと思います。
一方3月には、多くの祭りやイベントの開催が予定されていました。中止になったものや規模を縮小しての実施、賑やかな演出を控え開催にこぎつけたイベントなど様々でした。
先週開催された「龍馬ハネムーンウォーク」は、歩くことがメインの2日間のイベントでしたが、開催できたのは良かったと思っています。小生も雨の中、全国から集まったウォーカーと一緒に20Kmを歩きましたが、地域の人々の湯茶や手作りのお菓子の提供などがあり、参加者は心温まるおもてなしに感激していました。
ところでこのような時期にイベントを開催することについて、その是非が問われているのも事実です。「震災で東北地域は、多くの人が亡くなっているのにお祭り騒ぎとは何事だ」、「沈んでいる時こそ元気を出すために、できるイベントはやるべきだ」、「長い時間かけて準備してきた方々のことを考えると実施するべきだ」、「外から観光客は呼ばずに、内輪の人たちだけでやれば」などいろいろな意見があります。
鹿児島ではこれから、志布志市の「お釈迦祭り」、いちき串木野市の「浜競馬」、鹿屋市の「ばら祭り」、南さつま市の「砂の祭典」など大規模なイベントが予定されています。
私は地域に元気をもたらすイベントは、基本的には実施してもらいたいと考えています。しかし従来とはやり方に工夫を加えて欲しいと思います。まず開会式等では、花火や太鼓など派手なパフォーマンスはやめて、節度のあるオープニングに配慮して欲しい。事故で亡くなった方々に黙祷を捧げ、会場では義援金を募る趣旨を書いたチラシを配り、参加者から募金を頂くなどの努力が必要です。会場に足を運んでくださる方は、東北地域の地震の被災状況を鑑み、募金には協力していただけると思います。
県内全域において、昨年の口蹄疫問題や奄美の水害、今年の新燃岳の噴火、東北地震、原発事故等が続き、宿泊施設等を中心に多くの取り消しが発生し、地域経済はまさに瀕死の状況が続いています。
新幹線全線開業後も事態は好転していません。予定されていたイベントが中止になると、更なる経済的困窮が発生するのではと危惧されます。主催者は是非開催に向けて努力して欲しいし、参加者への協力要請も怠りなく実施してもらいたい。
日頃から各自治体、観光協会、旅館組合等は自分の地域へ観光客を誘致するため、さまざまな形で誘客活動を行っており、新聞、テレビ、パンフ、情報誌などメディアを使って多額の費用をかけ宣伝をしてきました。ホームページを充実させて、最新の情報を掲示することも展開してきました。また、今の旅行者は旅行先や宿泊施設を決定するにあたっては、一番参考にするのが実際行ったことのある家族・友人の話で、次いでインターネットの情報、そしてガイドブック、パンフレットの情報と続いています。体験した人の口コミを最も信頼しており、その意味で来ていただくお客様の声は貴重です。
イベントへの誘客方法として、エージェントを集めて個別の相談会も開催してイベントの認知度を高め、旅行商品企画に反映させ集客を図ってきました。
一方観光客は、遠方から来る人ほど広域に回ります。イベントを中止することは、他の観光地への影響も大きくなります。このように長年時間と労力をかけて作り上げ地域に根付いたイベントを中止することなく、ぜひ開催に向けて努力して欲しいと願うばかりです。
選抜高校野球が始まり、大会スローガンは「がんばろう!日本」です。新燃岳噴火による規制も変化が見え始めました。元気でいつもと変わらない鹿児島の魅力をぜひ発信したいものです。
最後に今回のコラムが150回目となりました。皆様のご支援の賜物と感謝しています。来年度200回に向けて頑張ります。今後ともよろしくお願いいたします。
2011年3月21日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
第28回全国都市緑化かごしまフェア「花かごしま2011」が18日に盛大に開幕しました。会期は5月22日までの66日間で、80万人の入場者を見込んでいます。
このイベントは、都市緑化の意識高揚と、都市緑化に関する知識の普及等を図ることにより、緑豊かな潤いのある都市づくりに寄与することを目的として、建設省(現国土交通省)の提唱により、昭和58年から毎年開催されている花と緑の祭典です。
鹿児島でのメイン会場は吉野公園で、サブ会場が鹿児島ふれあいスポーツランドとなっており、かごしまフェアのテーマは「南からの風にのせて ! ~よかまち、よか花、よか緑~」となっています。また、各地にある県立公園や駅前、商店街、公的施設などにも花壇が設置され、花の魅力で鹿児島をPRするチャンスとして活かさなければなりません。
今回のイベントは2箇所での分散開催ですが、鹿児島中央駅と鹿児島駅からシャトルバス(無料)が運行され、利便性が確保されています。高校生以下、18才未満、満70才以上、身障者手帳等保持者やその介護者1名、学校行事等での参加は無料となっており、平日がゆっくり見学できるのではと思います。
花は、誰もが親しみを持って接することができる植物です。両会場で約900種類、110万株の花と植物が展示されています。メイン会場では、屋外展示として、鹿児島の懐かしい田舎風景をモチーフとした「暮らしの庭」、県内各地に残る武家屋敷の庭園を再現した「さむらいの庭」、鹿児島のヒロイン篤姫をイメージしたバラ「篤姫ローズ」を中心とした3つの庭園から構成される癒しの庭(ヒーリングガーデン)が人気を博しそうです。特に深紅のバラ「篤姫ローズ」は是非見て欲しいものです。
「花かごしま2011」を盛り上げる豪華アーティストの出演も予定されています。華道家の假屋崎省吾氏による素敵なトークとフラワーデモンストレーション、大河ドラマ「篤姫」「江」音楽を手掛ける吉俣良氏によるトーク&ライブ、NHKの「趣味の園芸」の前キャスターで園芸家の柳生真吾氏のトークショー、また、歌手の堀ちえみさんのステージも予定されています。
会場内ではガーデニングの講習会や生け花展、スケッチ大会などが定期的に開催され、期間中には大規模な植替えを行うことも計画されており、リピーターが増えるのではと期待されています。花に興味にある方は、全期間入場券(パスポート)1、200円がお得です。3月18日から最終日まで毎日、「花みどりふれあい教室」があり、多くのカリキュラムが予定されており、好きな講座を受講できます。また、休日には市町村デーが予定されており、会場でのふるさと談義で賑わうことと思います。
両会場は高速道路のICから近く観光地へのルート上にあり、旅行エージェントの企画にも取り入れられています。桜島の美しい景観が望める吉野公園の会場では、一面に敷き詰められた草花が観光客を温かく迎えてくれます。また、ボランティアガイドさんの案内による定時ツアーも実施されます。
12日に全線開業した九州新幹線により、日本列島が新青森から鹿児島中央まで1本のレールで結ばれました。鹿児島県にとって100年に一度のビッイベントです。開業の話題については、東北地方太平洋沖地震の影響等があり、大きく報道されることはありませんでしたが、大阪から以西で認知度が高まり、旅行エージェントの鹿児島への旅行商品の販売は少しずつ上向いています。多くの観光客が訪れてくれるものと思っています。
「花かごしま2011」は、鹿児島市内2箇所で開催される身近なイベントです。しかも、無料で入場できる年代が幅広く設定されており、職場・家族単位で気軽に出かけて欲しいと思います。新年度には入社式、歓迎会、花見など様々な行事が行われます。会場でこれらの行事を開催してはいかがですか。花は見るだけでも気持ちが和みます。そして県内外の人々に大いにPRしていただきたいと思います。
陽気も良くなり、桜の開花も間近となりました。県民の皆様がまずこのイベントに出かけていただき、博覧会の魅力を体感していただきたい。そして今後地域、職場、家庭などを花で飾るなど美しい地域づくりに努めて欲しいと願うばかりです。
2011年3月14日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
N700系の新型車両で一番列車「みずほ600号」は、3月12日6時58分満員の乗客を乗せ、多くの関係者、報道陣が見守る中、万歳の音頭で新大阪駅に向けて出発しました。
小生にとっては、平成16年の部分開業のときの出発式にも参加しましたが、今回はあらたな緊張感を覚えました。
1973年新幹線整備計画の決定から、37年余り歴代の知事、国会議員、経済界のご尽力に加え、県民の総意が新幹線の開業を可能にしたのではないかと思います。 鹿児島県は沖縄県を除いて、本土最南端に位置し、何かにつけて不利性をかこっていましたが、「鹿児島中央駅」が新幹線南の終着駅としてこれからその存在価値を大きく発揮できるチャンスになるのではないでしょうか。
前日に東北地方を中心に強い地震が発生し、莫大な被害が出ていることも考慮しイベント等はすべて中止され、ささやかな歓迎行事が行われました。
県、市、商工会議所、観光連盟等が協力し、列車が到着する度に、小旗を振りながら地域産品や観光パンフレットの入った袋を手渡し、出迎えを行いました。新大阪駅からの一番列車「みずほ601号」で、関西県人会総連合70名の方が到着され、県知事、商工会議所会頭、観光スタッフ等がお出迎えし花束贈呈等を行いました。 久しぶりの帰省で、しかも新幹線の開業日ということもあり、「お帰りなさい」という声をかけると涙ぐんでいるご夫婦の方もいらっしゃいました。 関西地域には鹿児島県出身者が多く、新幹線を利用して気軽に帰省する方々が増えるのではないかと願っています。
新幹線開業は、時間短縮効果により、人・もの・情報の流通の大きな変革をもたらします。新大阪まで3時間45分、広島まで2時間24分となりビジネス客に加え観光客の大きな伸びが期待されます。
開業後の鹿児島向けのJRを利用した宿泊付き個人型旅行商品について、大手エージェント3社に聞いたところ、開業日から3ヶ月の予約状況は、前年比130%から170%と好調に推移しています。開業についてのメディアでの発信が続けば、今後もかなりの期待が持てると企画担当者は語っていました。GWまでは最初のブームが続くのではと思います。
また博多までは、最速1時間19分となり、まさに日帰り圏内です。開業日にも新装オープンした博多駅のデパートに行くという人達が多くいました。ビジネスマンの出張は、ほとんど日帰りとなり、鹿児島中央駅周辺の居酒屋は、今後出張帰りの人で賑わいが増すことが想定されます。天文館は、宿泊者をターゲットに、接遇アップ、エンターティメントの提供など新たな取組が求められます。
新幹線の開業により、ストロー減少が心配されていますが、県の人口は170万人、大阪以西の新幹線沿線の人口は2840万人であり、鹿児島の魅力を発信できれば十分カバーできると考えます。特に離島へは、新幹線時間短縮が誘引効果を高めています。
県ではこれまで2次、3次交通の整備を進めてきました。しかし観光客が地域に足を延ばすには、地域の魅力アップ(地域力)が不可欠です。 観光客が滞在しやすい体験メニューの提供、食、人材の育成、おもてなしの心の醸成、、ワンストップサービスの構築などです。 宿泊施設が少ないところは、日帰り客の誘致が必要であり、隣町に宿泊させるなど地域連携が問われています。今後も観光客の目線が重要と考えます。
一方日本人の国内旅行は成熟し、人口の減少等を考えると大きな伸びは期待できないと思います。九州新幹線が全線開業したことにより、外国人の誘客が容易となり、東アジアに目を向けた戦略が必要です。成長を続ける中国、韓国、タイ、シンガポール等です。外国語表記、生活文化を学ぶ機会を増やす、社員教育などが求められます。
九州新幹線は、快適で利便性の高い乗り物です。沿線の利用者を拡大し、人口増加に繋げる取組も必要です。定住促進のための「学校や医療設備の情報提供」、「安価な住宅の確保」、「農業用地の提供」なども必要です。
開業効果を県内全域にいかに広めるかがこれからも大きな課題となっています。県民の皆様も、鹿児島に来てくださいということだけでなく、自ら乗る機会を増やし、新幹線の魅力を体感し、鹿児島の魅力を多くの方に語ることが新幹線線開業の意義であり、今後の鹿児島の発展につながるのではないでしょうか。新幹線の開業にあたり、明治維新を成し遂げた偉人に学び、全国に向け鹿児島のチャレンジの狼煙をあげたいものです。
2011年3月7日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
1月26日の大きな噴火以来、霧島連山の新燃岳は、時々小噴火をしていますが、霧島温泉地域は平常どおり営業を行っています。新燃岳火口から4kmの範囲で立入規制区域となっているだけで、観光には別に支障はありません。
一方、霧島地域のホテル・旅館は降灰の影響は無いものの、新燃岳噴火の状況が連日マスメディアで報道されたこともあり、キャンセル等が相次ぎ、多くのホテルで2月の宿泊客数は、前年を大きく下回る結果となりました。観光客の減少は、多くの業種に影響が出ており、地域経済にも大きな影を落としています。
今まさに風評被害をいかに食い止めるかが問われています。
一方では、韓国の3大紙で噴火の影響や地域の生活、宿泊施設の正確な営業状況等が報道されたこともあり、人気のあるゴルフやおれんじ鉄道を利用するツアー等が再開されるなど明るい兆しも出てきています。
鹿児島県、霧島市、鹿児島県観光連盟、霧島市観光協会では、2月1日に福岡市で開催した旅行商談会で、福岡地区の旅行会社等20社に対し霧島地域の情報提供を行いました。
10日には、福岡市内の旅行エージェント、マスコミ、韓国観光公社、ハナツアー等13社の事務所を訪問し、道路の規制や登山への影響、通常と変わりなく営業している霧島温泉の情況報告を行い、送客と適切な報道のお願いをし、17日には、鹿児島市内のテレビ局と各新聞社を訪問し同様のお願いをしました。24日には、首都圏のメディアを主要に扱っているエージェントを訪問し、企画募集展開の強力な要請を行いました。
さらに今回3月4〜5日2日間で、東京、大阪から大手エージェントの社員10名、新聞、雑誌社の10名の計20名を招待し、直接自らの目で現地を見ていただき、意見交換会では、的確な情報発信や霧島地域への旅行商品の造成、送客を働きかけました。
最初に訪れた「神話の里公園」では、リフトで新燃岳を望む地点まで上がり、周りの地形や爆発の影響等を説明した係員に、参加者は詳しい状況を尋ねるなどし、薄く水蒸気を吹き上げている山の姿を身近に見て安心している様子でした。遠くに望める桜島が偶然にも噴煙し、2箇所の火山が見えるスポットは珍しく、新たな魅力としてPRしたいと語っていました。
情報交換会では、霧島市の担当者から噴火に対する取組状況を、観光関係者からは、住民が日頃と変わらない生活を送り、施設も正常に運営しているので安心して送客して欲しいと訴えました。
旅行エージェントの社員からは
・地元支店からの情報をもとに定期的にイントラで社内での情報発信に努めている。
・新燃岳の噴火が、霧島温泉地区全体に影響があると消費者は感じており、企画募集のツアーが集まらない。
・単発に情報を流すより一本化して定期的に情報を提供する体制が必要である。
・「霧島は元気でがんばっている」ことの情報を発信する方法として、イベント等を開催しその様子を発信したらどうか。
・九州新幹線が全線開業するので、一緒にPRしたらイメージアップにつながる。
・200名の団体が、取り消しになると予想していたが、状況をきちんと説明し噴火を 逆にまたとないチャンスと捉え、実施したらお客様に喜ばれた。
・現地視察で通常と変わらない状況が理解できた。社内でのイントラの情報を早急に徹底したい。
・地域の食、B級グルメなどを加えることで地域のイメージアップにつながる。
メディアの担当者からは
・地域から明るい情報が発信されていない。首都圏の人は、霧島の新燃岳がどこにあるかわからない。噴火のシーンが報道されると鹿児島も宮崎と同じに捉えてしまう。口蹄疫でも同じである。区別された情報発信が必要である。
・霧島地域の情報発信のため、首都圏で大々的なキャンペーンの展開が必要である。
・観光施設で会う働く人に元気がない。下を向いている感じである。こういう時ほど元気を出そう。
その他、霧島の温泉は、施設、泉質ともすばらしい。湯煙のでる温泉地は少なくなっている。
エージェント、メディアの方々から支援を強化したいと強いメッセージをいただきました。翌日訪れた「まほろばの里」では、天降川焼の陶芸体験や薩摩切子カット体験を楽しみ、霧島地域の魅力を再確認していました。
鹿児島県観光連盟では、新燃岳火山状況、道路状況等について、関係機関と連絡を取りながら、ホームページで適宜発表しています。県や霧島市では、職員に霧島地域に出かけて宿泊するなど地域への支援を強く要請しています。県民の皆さんにも、今こそ観光客が激減している霧島地域へ出かけていただき、真の姿を県内外の方々に伝えて欲しいと思います。九州新幹線全線開業まで1週間、霧島地域が元気になってこそ、県全体での祝賀の輪が広がると思います。「がんばろう霧島」を合言葉に、霧島地域へのご支援を何卒よろしくお願いいたします。
2011年2月28日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
鹿児島県商工会連合会は、地域の商店街の活性化に必至に取り組んでいます。今全国どこの地域でも、かつて賑わった商店街がシャッター通りとなり、人通りも少なく後継者もいないなど街の再生が問われています。
今回訪れた吉松駅は、肥薩線と吉都線が交差する交通の要所として栄えてきました。しかし周辺の人口減、高速道路の開通、新幹線の開通などで鉄道の利用者が激減し、駅前商店街への人の流入が激減し、今では数店舗が営業しているだけの寂しい駅前となっています。地域の皆様と駅前の活性化について懇談する機会に恵まれ、商店街の再生について議論しました。
吉松地域の課題とは
(1)鉄道の街の賑わいをいかに復活させるか。鉄道へのこだわりが重要である。
(2)熊本、宮崎県との県境を活かし、イベントの開催による3県との交流促進を図る。
(3)新幹線と肥薩線の魅力を活かし、速さと+ローカル線の活用により湧水町地域への誘客には、SLやブルートレインの運行が最適である。
(4)観光客に地域の産品をどのようにふれさせるか。地域全体に経済効果を持続させるには。特産品の開発が不可欠である。
(5)地域活性化には、若者が定着できる雇用の確保が重要である。
(6)吉松駅周辺には、珍しい泉質をもつ温泉が多い。秘湯として売りだす価値がある。
今後の吉松駅前商店街の活性化については
(1)「一気にかごしま。」効果を吉松地域へ。駅を核に各地域を繋ぎ、商店街を四季折々の魅力付けの中心とし花、祭り、食やイベントの開催を行う。また、吉松駅、嘉例川駅、霧島温泉駅、横川駅のスタンプラリーの展開で回遊性を促進する。
・若者(高校生)を中心とした「市」や吉松駅OBの集いを開催し、駅の応援団を結成することも活性化に繋がる。映画やCMの舞台に売り込むことも方策である。
(2)湧水町の名前を活かし、地域の自然や四季折々の魅力を情報発信する。他の地域にない祭りの仕方や、雛人形の展示やこいのぼりを泳がせる魅力づくりが必要。
・地域の農産物を活用した加工品の販売
・調味料やスイーツの限定販売例:幸田の棚田で取れたお米、丸池湧水で炊いたご飯
(3)地域への教育旅行の誘致促進
・農業体験を組み入れた教育旅行の誘致や日帰り収穫体験のプログラム化で地域への集客を図る。
(4)イラストマップにお店、地域の特産品を落とし込み、田舎流のおもてなしには、店先に木製の椅子を置き、お花を飾るなどの工夫が必要である。
(5)駅から商店街の端までの店の運営状況、空き店舗、駐車場等の利用状況を把握し再開の予定のない店舗は、積極的に貸し出すことが必要。
観光客を呼ぶには、食、小物、地域産品で手作りのお土産品が必要。
休日は商店街を歩行者天国に変え、散策できる街に。テラスや椅子を配置し、古民家やかやぶき屋根の施設をそのまま活用する。
(6)地域の情報をいかに伝えるか。旅番組、朝のワイドショーの中継。人の存在がポイントイントであり「よそ者」、「若者」を積極的に活用する。
(7)観光客が、食事をとり散策できる商店街に。肥薩線を利用して、吉松駅で下車して観光バスに乗る団体もある。町内で取れる農産物の直売店を設置し、休憩施設を設けるなどして、立ち寄りなど滞在時間を可能にすることが求められている。
商店街の活性化には方程式はありませんが、人が集まるところには何らかの魅力があり、それは「食」、「イベント」、「買物」、「温泉」、「人の存在」等ではないかと思います。オンリーワンの情報をメディアを通していかに発信するかが鍵です。地域で汗をかく人が必要であり、その輪を広げなければなりません。九州新幹線の開業効果をぜひ吉松地域に波及させたいものです。
議論の中でこのままでは、駅前商店街はみんなシャッターが閉まることも想定されるという厳しい意見も出され、商店街をなんとかしようという気持ちが伝わってきました。吉松駅は、北薩の交通の要所であり、「いさぶろう」「しんぺい」号、「はやとの風」の始発・終着駅です。乗換客には停車時間が短く、商店街への誘因は困難ですが、地域産品の販売や周辺の温泉を紹介するなどの取組強化が求められます。
宿泊した鶴丸温泉は、吉都線の鶴丸駅のホームから30Mで、駅長も兼ねているということで全国的に珍しい場所です。温泉がモール泉で、古代の植物が地下に眠りその植物からの成分が温泉に溶け、コーヒー色のお湯がとても珍しいものでした。鶴丸という駅を活用した入場券を作り、志望校を目指す受験生に提供することも知名度を上げる方策ではないかと思います。女将さんは地域の衰退に危機感を感じており、移住者には物心両面の支援を行いたいと語ってくれました。
吉松駅周辺には、珍しい泉質を持つ温泉が点在しています。鄙びた温泉情緒をぜひあじわっていただきたいと思います。早朝に女将さんの見送りを受け、地域で頑張る人をなんとかしたいという思いにかられながら、鶴丸駅を後にしました。
平成23年2月21日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
県内の商店街グルメナンバーワン決定戦「S−1グランプリ」本大会が、2月12、13日の両日、鹿児島市内で開催されました。初代グランプリには、大隅の志布志中央商店街の「背白ちりめん三昧丼」が選ばれました。地方大会得票率、本大会各日の得票数いずれもトップの成績でした。大会には県内10商店街・通り会と招待ゲストとして「富士の宮やきそば」と「久留米の焼き鳥」の県外団体が参加。人気のB級グルメも参加していることもあり、2日間で延べ2万1千人が来店するほどの人気で、昼過ぎには完売のものもありました。
グランプリに輝いた「背白ちりめん三昧丼」は、地元の志布志湾で取れるチリメンジャコを使った、釜揚げ・かき揚げ・きんぴらの三種が一度に味わえる丼です。地元では知られたメニューですが、あまり浸透していません。県民にもっとPRし、観光客にも広めるためには、統一したロゴマーク、食材の選定、作り方を徹底し、ストーリー等を添えるなどしてブランド化への徹底を図って欲しいと思います。また、商店街の「まち歩きマップ」に取扱店を記入し、相乗効果をもたらすよう工夫が必要です。
ところで、全国的にB級グルメによる地域起こしが活発になっています。国内旅行が成熟している中で、観光客が地域ならではの「食」を求めている姿があります。観光客は旅行先では、1泊目は宿泊先で、2泊目は宿泊施設以外で食べる傾向が顕著になっています。これからも地域の食材を、地域で提供できるしくみ作りが必要です。
鹿児島県は指折りの農業・水産県であり、農業産出額は4、151億円(平成20年実績)、海面漁業・養殖業生産額は853億円(平成19年実績)にもなり、ともに全国第4位となっています。
新幹線全線開業で訪れる観光客に、「本物。鹿児島県」の農水産物をいかに提供するかが求められています。今まさに食の安全・安心が問われており、旅行の途中に気軽に立ち寄れる「道の駅」などの直売店が注目されています。直売店の食材は、生産者の顔が見えることが購買者の心を捉えていると思います。顔写真が掲示されており、産品に作り手の熱意が感じられ、値段も自ら付ける等一層親近感が高まります。農家や漁師にとって規格外の食材は販売できず、今までほとんど廃棄処分でしたが、直売店では出荷することができ生産意欲向上にもつながっています。顧客は、最初はツアー等で店の存在を知り、その後日常の顧客になっています。
また、ホテルでは積極的に県産品の食材を提供し、翌日は農業体験をして昼食を取るなど地元産品に触れる機会を増やし、連泊につなげている地域や、飲食店では、地場産品応援のシンボルである「緑の提灯」を掲げる店が増えています。
今個人旅行が主流となっており、観光客が気軽に立ち寄りたくなる店舗には、四季折々の草花を植え、生簀に地元の海で取れる魚を泳がせたり、景観に配慮するなど雰囲気づくりが必要です。また、地域の特産品を加工した調味料や干物、スイーツ、ジャム、などを販売し、地域を感じる品揃えが求められます。都市と農村・漁村との交流事業を進めることで、都市生活者が応援団となり、産品の定期購入者となり持続的な経済効果をもたらします。一方では、地域住民との交流の時間も増やし地域全体の活性化に繋げて行く姿勢も大切です。
ところで、団塊の世代の大量退職時代を迎え、田舎暮らしを希望する人も増えています。新たなチャレンジとして、古民家や漁師の家を活用した民宿やレストランを始める人も出てきています。県全体として、グリーンツーリズムやブルーツーリズムへの取組の動きが活発となってきました。平成23年度には、県外から1万人を超える学生の農業・漁業体験と民泊の予約が入っており、教育旅行の受け皿としての産業の価値が高まっています。
新幹線全線開業で増える観光客に、「本物。鹿児島県」の食材に触れる絶好の機会を提供することで、地域の新たな魅力を再認識することにもなるのではないでしょうか。地域グルメの展開は、地域全体で比較的取り組み易い事業と思います。来年はもっと多くの商店街が参加することを期待します。
2011年2月14日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
霧島連山の新燃岳は、1月26日以降噴火を繰り返し、新燃岳河口から4kmの範囲で立入規制区域となっています。この噴火による降灰は現在、宮崎県の高原町や都城市を被い、地域住民は大変厳しい生活を強いられています。
一方、霧島地域のホテル・旅館は降灰の影響は無いものの、2月1日の新燃岳噴火の空振により窓ガラス等が破損しましたが、宿泊客等には何事もなく、直ちに復旧を行い、安全を期しながら、通常通り営業を行っています。
ところが、新燃岳噴火の状況が連日マスメディアで報道されていることから、宿泊等のキャンセルが相次ぎ、2月7日現在で宿泊が約2万人、日帰りが1900人にのぼっています。また、韓国のお客様に人気のあるゴルフやトレッキングのツアー等が相次いでキャンセルとなっています。
まさに風評被害が、大きな取り消しとなって表れています。観光は多くの分野に波及効果があることから、地域経済にも大きな影響を与えています。
噴火の状況や宿泊施設の運営状況を理解していただくため、2月1日に福岡市で開催した旅行商談会で、福岡地区の旅行会社等20社に対し霧島地域の情報提供を行いました。
10日には鹿児島県、霧島市、鹿児島県観光連盟で福岡市内の旅行エージェント、マスコミ、韓国観光公社、ハナツアー等13社の事務所を訪問し、道路の規制や登山への影響、通常と変わりなく営業している霧島温泉の情況報告を行い、送客と適切な報道への要請を行いました。
旅行エージェントからは、地元支店と連携し情報把握を行い、定期的にイントラで社内での情報発信に努めているとの報告がありました。また、九州域内では実情は理解できても、噴火のシーンが連日報道されている状況下では、東京、関西地域などからの完全なツアー再開には少し時間がかかるのではとの指摘もありました。
韓国最大の旅行社であるハナツアーは、11日から鹿児島へのツアーを再開するとの報告があり、ほっとしているところです。
あるメディアの報道担当者は、噴火の実情はきちんと伝える一方、地域経済に大きな影響を及ぼしている出来事であり、雲仙普賢岳の時の経験を活かし、ホテルの運営状況等についても適切に報道していきたいと語りました。
ところでこのような自然災害が発生した場合、迷惑を掛けるのではと地域を訪れることをためらう人が多くなります。風評被害で観光客が減っている時こそ、観光や温泉を楽しむことで、地域経済に少しでも貢献することが、相手にとっては大きな励みになると思います。また、各種団体の会議を霧島地域で開催することは、地域の真の姿を知ることとなり、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。又、ある旅行エージェントの企画担当者は、霧島地域への社員研修を実施し、実情を見て販売につなげていく機会を作りたいと語っていました。また、ネットを活用した商品造成を緊急に始めるという会社もありました。
旅行エージェントは、全国にネットワークがあり、迅速に情報を伝達できる強みがあります。霧島地域のPRを心からお願いしました。
鹿児島県観光連盟では、新燃岳火山状況、降灰、道路状況、登山、イベントの開催状況等について、関係者と連絡を取りながら、ホームページで適宜発表しています。年度末には、歓送迎会が多くなります。ぜひ霧島地域での開催をお願いしたい。県民の皆さんには、今こそ観光客が激減している霧島地域へ出かけていただき、真の姿を県外の方々に伝えて欲しいと思います。九州新幹線全線開業まで1ヶ月を切り、旅行エージェントの南九州への商品もほぼ出揃い、新幹線企画が店頭に並んでいます。100年に一度のビッグイベントは、鹿児島全体で祝ってこそ、喜びの輪が広がると思います。厳しい状況が続いている霧島地域へのご支援を何卒よろしくお願いいたします。
2011年2月7日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
九州新幹線全線開業まで33日となり、1ヶ月前の指定券の発売も秒読みとなりました。昨年の7月から県内7地区(鹿児島市、霧島市、指宿市、奄美市、西之表市、薩摩川内市、鹿屋市)で開催してきたおもてなしセミナーが終了し、合わせて804名の参加者がありました。7回とも講師は、観光ビジネスコンサルタントの西川じょうじ氏が担当され、自らの経験に基づいた話は、琴線にふれる話が多く参加者は感動していました。
これまでにおもてなしセミナーに参加した方々が、地域、職場で中心となり、広くおもてなしの心を持って観光客に接する環境づくり努めて欲しいと思います。
西川先生は、サービスを実践するに当たっては、やっていること(作業)から、できていること(仕事)を常に意識して物事に取り組んでいかねばならないと語りました。
日本に於ける最大の観光施設であるTDLのスタッフの意識の変化について、興味ある事例を挙げていました。TDLは、サービスのマニュアルが全従業員に徹底していることで有名であり、それを経営に取り入れている企業が多くあります。観光客をゲストとして扱い、従業員はスタッフとして奉仕する精神が末端まで浸透しています。
観光客が写真を撮ろうとすると、スタッフが取りましょうと声を掛けてくれた場面に遭遇した方は多いと思います。オープン当時子供と行った時の写真を見ると、シンデレラ城全体を背景に家族が全員写っているが、ここ数年撮ったものは、シンデレラ城が途中で切れている家族写真がある。その写真の撮り方が作業になっているという指摘です。
本来写真を撮るとき、シンデレラ城を背景に家族を写す場合、カメラを縦にすれば良い写真が取れる。しかしながら、最近も写真を撮ってくれる行為は従来どおりですが、カメラを縦ではなく横向きのまま使用するスタッフがいるため、シデレラ城全体が写らなくなっており、出来上がったものに感動がない。つまり写真を撮る行為が、仕事になっていないのです。 カメラを縦にし写すことへの配慮に欠けており、マンネリの怖さを指摘しています。
また、朝食を食べる行為を例に、サービスを事と捉えることの大切さを指摘されました。
東京にあるペニンシュラホテルの朝食は、4800円です。従業員の挨拶、雰囲気作り、マナー、どれをとっても一流です。しかし朝食の中身は、市中のファミリーレストランの500円のものとそれ程の変わりはありません。10倍の経費を掛けてもそこで食べることの価値があるからです。そこの場所で過ごす時間の価値が、顧客を惹き付けるのです。
商売の行き着く先は価格競争になりがちですが、それにも勝るサービス、雰囲気作り、価値ある時間の提供がこれからのマーケティングの基本ではないかと思います。
我々の職場でも改善しなければならないことがよくあります。
来客があったとき「いらっしゃいませ」の声が聞こえますが、お客様の顔を見るのでもなく、ただ声を出しているだけです。来客に気づいたら仕事の手を休めて頭を下げる、電話中の社員は立って頭を下げるなどの行動が求められます。これが作業ではなく、仕事をしていることだと思います。
ところで新幹線全線開業で多くの観光客が訪れます。県民が、温かいおもてなしの心をもってお迎えをする取組が問われます。高いお金を出して接遇する必要はありません。まず、観光客を挨拶と笑顔でお迎えすることが大切です。特に観光客が最初に降り立つ駅や案内所の従業員は、一期一会の精神で応対することが、人の心に伝わると思います。
鹿児島の観光について聞かれる機会が多くなりますが、地域の歴史、文化、食などを知ることが重要です。観光客に聞かれて、「この地域には魅力的なところはありません」と応える方がいますが、わが町を誇りに思わないところには人は来ません。わが町、隣町、県内各地の魅力を伝え、周遊し泊まっていただく取組が求められます。タクシー業界でも、接遇アップの取組をする会社が増加しているのは嬉しい限りです。
旅行者の心に残るものは人の印象(おもてなし)です。人は人に魅せられて旅に出ます。感動がリピート客になり、創客を可能にします。おもてなしセミナーで受けた感動を、単なる話題として終わらせるのではなく、おもてなしの心を実践することで今後に活かしていただければありがたいと思っています。
2011年1月31日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
南大隅町は九州本島の最南端に位置する町であり、旧佐多町と旧根占町が合併し、人口8,900人の町です。高齢化が進み1世帯当たり2.16人で、今後も人口減が続くことが想定されています。地元の商工会の依頼で、商店街の活性化と観光振興について話す機会がありました。
南大隅町は最南端の佐多岬を最大の観光資源として、昭和40〜50年にかけては年間20万人にのぼる観光客が訪れ、特に新婚旅行のメッカとして賑わった時代がありました。しかしながら新婚旅行は海外が主流となり、また九州自動車道宮崎ルートの開通により、団体旅行のバスツアーも日南海岸〜都井岬〜志布志〜佐多岬〜根占〜山川というコースが減少していき、佐多岬ロードパークの入り込み客は、今では4万人程度まで落ち込んでいます。
人口と観光客の減少は、地域の商店街にも大きな影響を与えており、観光振興による交流人口の拡大が求められています。今後の商店街の活性化と観光の在り方に考えてみたいと思います。
商店街の活性化については、地域のイラストマップにお店や特産品を記入し、住民や観光客に目につきやすい場所に置く等のPRが必要です。またお年寄りが多くなり自由に動けない人が出てきており、電話やFAXなどでの申し込みを受け付け配達するなどの配慮が必要です。一人暮らし、二人暮らしが多くなり消費のサイズが小さくなっており、商品はこまめにしてチョイスできるような工夫が必要と感じます。田舎流のおもてなしを心がけ、店先に木製の椅子や花を飾るなど入りやすい雰囲気づくりをしたり、団らんの場所としてたまり場をつくることも大切と思います。
観光については地域の自然・歴史遺産を四季折々の魅力とともに情報発信することが求められます。花の季節(桜、つつじ、菜の花、コスモス、梅)やくだもの(みかん、ぶどう、レイシなど)の旬の情報が必要です。県内で定着してきたグリーンツーリズムの受け皿づくりも重要です。遊休地の活用は経済効果をもたらし、年寄りの生き甲斐づくり、コミニティの確立には最適であり、最南端の町での体験は話題になります。 地域にある神社の階段に赤絨毯を敷き、家庭に眠っているひな人形を展示したり、鯉のぼりを河川に泳がせる演出で人を呼べるのではないでしょうか。
公共交通の整備されていない観光地へは、車での移動が主流となりますが、目的地までの誘導が大切です。そのためには、パーク&ライドの推進が必要です。国道沿いの「道の駅」まで車で来ていただき、そこを集合場所として観光地までの巡回バスを走らせることも一つの方法と考えます。特にトレッキングや田園・山岳方面へは活用方があると思います。帰路には元の場所に戻り、地域産品を購入する機会にもなります。
南大隅町は九州本島最南端の町であり、それを活用した観光客誘致もおもしろいと思います。町内にある郵便局、学校、幼稚園、神社、お寺、銀行、食堂、漁協、農協など最南端100選を選定してスタンプラリーを展開し、訪問箇所数に応じて観光客に町の証明書を発行すれば記念になります。最初は10箇所から始めてもいいと思います。
これからの観光は地域連携が大切です。鹿屋航空隊の航空ショーや「かのやばら園」にきた観光客を誘客する必要があります。二つのパンフレットにはぜひ南大隅町の魅力を掲載して欲しいものです。 根占にあるネッピー館は、大学生のスポーツ合宿への活用方が求められます。周辺のグランドや信号機の少ない道路を活用し球技、陸上競技など利便性があると思います。昼間は地域の住民に、夜は合宿所としての利用拡大が地域への経済効果をもたらします。
ところで、大隅半島と薩摩半島を結ぶフェリーの休止が、観光客誘致の妨げになっていることは言うに及びません。陸路佐多岬を訪ねて、また同じ道を引き返すことの不便性を観光客にはPRできません。新幹線も全線開業する機会に一日も早い再開が望まれます。そのことが南大隅町にとっては観光客誘致の生命線と考えています。
最南端という不利性を、全線開業を糧にぜひ優位性に変える取組を展開したいと思います。
2011年1月24日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
3月12日の九州新幹線全線開業まで、1ヶ月あまりとなりました。川内駅には、新大阪直通の「さくら」が1日上下計21本停車します。市、議会、市民団体が足並みをそろえて陳情した成果が、結果として示されたのではないかと思います。しかし終着駅鹿児島中央駅に近く、お客様が素通りにするのではないかと懸念されており、受け皿づくりが急がれる地域であります。川内駅で観光客を下車させるためには、魅力ある街づくりと地域の情報発信が求められます。先日「第6回おもてなしセミナー」を薩摩川内市で開催したところ、今まで最高の230人もの参加者があり、開業の熱気であふれていました。
ところで、「旅の思い出」になる「ふれあいの"モト"」を体験できるプログラムが完成し、2月11日から5月8日まで「きゃんぱく」と銘打って、地元の人が主役となる博覧会を開催することになり、すでに予約がスタートしています。
「創る」、「味わう」、「めぐる」、「動く」、「いやす」をキーワードに、薩摩川内市全域を対象に102の旅のプログラムが用意されています。薩摩川内市は、平成16年に1市4町4村が合併し、県内一の面積を誇る市です。九州新幹線全線開業に合わせて、街を全国にPRするいい機会となると思います。今回の「きゃんぱく」では、各地域に3、500人を超えるサポーターが登録されており、集客や運営に大きく貢献してくれるものと思います。サポーターが、1人集客すれば催行率が高まります。また、市の職員も積極的に参加し、一市民の立場で街を観察し、これからの業務に活かして欲しいと願っています。
薩摩川内市のこれからの街づくりについて、考え方を述べたいと思います。国道3号線が走るメインストリートは、シャッターの閉まっている店が目立ってきました。やはり新幹線の駅を中心に、賑わいの創出が求められています。3月18日から「花かごしま2011」が、開催されます。川内駅が人の集まる場所となり、四季折々の花を飾るなど情報発信の中心とならなければなりません。駅から3号線まで花壇をつくり、美しいプロムナードが必要です。
また、川内川河畔にも四季折々の草花を植え、春には「こいのぼり」、夏は「河原でのビヤガーデン」、秋には「月見の宴」、冬には「竹灯り」のイベントなどを開催するなど市民が出かけやすい雰囲気を創り出し、市中に人が流れる仕組みが必要です。
川内川を活用したボート、カヌーなどのスポーツイベントを積極的に誘致することが需要です。川内まごころ文学館には、有島3兄弟の文学、絵画の資料や総合雑誌「改造」を創設した山本實彦と交友のあった著名な文学者の資料が多く展示されており、大学の文化系サークルやカルチャーセンターなどへの全国的なPRが不足しているのではないでしょうか。また、丸武産業は、時代劇の着用甲冑シェア90%以上の製造を行う現代に甦る甲冑工房であり、大河ドラマの武士の衣装の多くはここで作られており、旅番組などへの紹介が誘因効果をもたらします。西郷隆盛が好んだ温泉として知られている川内?城温泉は、景観の保護に努め、昔の風情を保つなど秘湯としての魅力を発信することが求められます。
薩摩川内市の西に位置する甑島は、市が誇る最大の魅力ある観光地です。串木野港から高速船と定期船が就航していますが、新幹線と結びつけ、観光客がいかに行きやすくすることができるかが課題です。また個人旅行が主流となっており、交通体系の整備やワンストップで予約が完了する仕組み作りが必要です。伝統的行事の「トシドン」は、2009年鹿児島県として初めて、ユネスコの無形文化遺産に登録されており、観光客に披露する機会を増やしてほしいと思います。一方では島の魅力が知られていないので、テレビドラマの舞台として売りだすこともPRの方法です。「Dr、コトー」のモデルの院長先生も健在です。業務に支障がない程度に観光にもっと活かすべきです。漁業体験など着地型のメニューが充実しており、教育旅行の誘致にも力を注ぎたいものです。
入来の武家屋敷は、ボランティアガイドさんの案内で回ることをお勧めします。市比野温泉は、かつて与謝野鉄幹・晶子夫妻も訪れており、鹿児島の奥座敷として栄えました。 田舎の良さを売りに体験型のメニューを充実し、教育旅行の誘致やスポーツイベントの開催などで宿泊者を増やすことが新たな顧客づくりになります。
グリーンツーリズムの誘致や、プロスポーツキャンプが増え街に活気が出てきました。しかし、九電関連の宿泊者の固定客がいることなどで旧市の宿泊施設は、今のところ安定していますが、大型資本の進出も目立っており安閑としてはおられません。業界全体として観光客をどのように受け入れるかその姿勢が問われています。また、沿線の魅力が豊富な肥薩おれんじ鉄道を利用した韓国人のツアーが好評です。新幹線との組合せが乗降客を増やします。
今までの新幹線開業では、2年目から苦戦を強いられています。新幹線全線開業という100年に一度のビッグイベントを、地域の活性化につなげる最大のチャンスです。「きゃんぱく」の開催は持続的な観光地づくりの一歩になると思います。今後の取組を期待するとともに、観光連盟でも「きゃんぱく」の魅力を大いにPRしていきたいと考えています。
2011年1月17日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
先日、ある企業の研修会で講演する機会がありました。代表者から、本店内の従業員に対して行った鹿児島の観光地に対する認知度のアンケート調査の報告があり、興味深く聞いていました。 過去2年間に次の観光地に行った経験のある人や新幹線などに関する認知度の割合です。
(1)観光地を訪問した人
屋久島・・19% 桜島・・51% 指宿の砂蒸し温泉・・34%
知覧の武家屋敷・・80% 東郷平八郎の銅像・・35%
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(2)新幹線の認知度や食への関心など
開業日を知っている・72% 新幹線の列車の名称・・・・67%
黒豚を食べた・・・・94% 鹿児島の醤油は甘い・・・・72%
比較的若い社員が多い職場であるため、東郷元帥の銅像がある場所などは、歴史に興味がなければなかなか行かないのではと感じました。鹿児島が誇る代表的な観光地である屋久島への訪問者が少ないことは、PRや県民に対してもっと行きやすくする環境整備が必要ではないかと思います。
新幹線に対する認知度が高いのは、開業への期待感と鹿児島が大きく変わる予感を感じます。若い人たちにどんどん新幹線に乗車してもらい、そしてまた県外の友人達に鹿児島の魅力をPRしてもらいたいと思います。アンケートからやはり食に対しての関心が高いということを感じました。誘客には、食の魅力の発信が重要と感じています。
ところで停車駅となる「出水駅」と「川内駅」からは、駅発着観光周遊バス「クレイン号」と「きゃんせ号」の実証実験が始まっています。(クレイン号はコースを変更して運行中)。市民にもっと地域の魅力を知ってもらい、誘客につなげるの目的です。しかしながら告知期間が短かったこともありますが、乗車人員が少ないのが気になります。議会や市の職員が積極的に乗車して地域の魅力や課題を知る機会と捉え、今後につなげてほしいと思います。
また、鹿児島市の「まちあるき」や「よりみちクルーズ」も同様です。好評を博している「長崎さるく」は、参加者の7割は市民であり、市民自らがわがまちの魅力を語ることなくして広がりは生まれないのではないでしょうか。
鹿児島県は南北に600kmに及ぶ広い県であり、鹿児島市から大阪市までの長さになります。域内の観光を積極的に推進し、県民はまず地元の良さを体感し、自らの言葉でその魅力を語る必要を感じます。鹿児島に宿泊した観光客から「どこか次にお勧めできる観光地はありませんか」と聞かれたら、ぜひ各地の魅力を語って欲しいものです。そのためには、我が町の魅力を知らなければなりません。市町村合併により、PRも広域となっています。まず自分が住んでいる町の生活・文化を語ることが大切です。指宿地域を訪ねると、お墓にいつも新鮮な花が供えてありますが、その理由をガイドさんが説明すると観光客は感激し、地域の伝統文化の素晴らしさに改めて地域の魅力を再確認しています。
また、自治体の宣伝PRは、大都市圏に眼が行きがちですが、まず隣町、鹿児島市などに力を注ぐ必要があると思います。そのことが広がりをもたらすと感じます。一方では、自分の町には観光客に見せるものは何もありませんと応える人が多くいます。よそ者の視点でみると、観光素材はたくさんあります。観光素材はつくるではなく、探して拾い活用するものだと思います。漂流物、清流、棚田、橋、ローカル線、突端の地、伝統行事、神社の長い階段、火山灰、お花畑など鹿児島には活用できる観光素材が至るところに残っています。新幹線で訪れた方々に再訪を促す意味でも、我が町の魅力を多くの住民が語って欲しいものです。
2011年1月10日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
九州新幹線開業まで2か月あまりとなり、県内各地で地域づくりや、新しいホテルのオープン、店舗の進出が最終段階を迎えています。開業効果で増加する観光客を見込んだ戦略の一つと考えられます。
これからのマーケティングについて考え方の一端を述べてみたいと思います。
まず女性を意識した戦略が重要と考えます。今の消費は女性が主役であり、業界の調査によると、ご夫婦旅行の行き先については8割の女性が決定権をもっており、購買動機を喚起する仕掛けが必要と思います。女性は、「美」、「食」、「健康」、「ファッション」、「本物」、「限定」といったものに関心があります。選ばれる宿泊施設になるためには、女性だけの特徴ある洗面グッズの提供、食後のスイーツの提供、浴衣の選択など工夫をこらす必要があります。また、道の駅の人気の背景には、安全・安心で顔の見える食材の購入ができるからです。日帰り旅行の帰りに、道の駅に立ち寄ることが当たり前となってきています。
女性の口コミから広がる人気度は、確実性があります。日置市にある「江口蓬莱館」は、九州管内でも指折りの売上げを誇り、平日でも行列ができるほどの店舗に成長しています。
次に消費のサイズが小さくなっていることへの対応が求められています。バブルの頃までは、貸切バスで来た観光客は、立ち寄る休憩店で大量のおみやげを購入していました。しかし最近では、おみやげが売れないという声を聞きます。不況ということもありますが、旅行参加者の構成も変わっています。かつては、企業のインセンティブや職場旅行等の団体旅行が主であり、従業員や近所へのおみやげとして必然的に購入していましたが、いまではご夫婦や友達同士の小さな単位となり、費用は家計からの支出がほとんどで、財布のひもも堅くなっています。
おみやげは、自分自身のために買う時代となり、量も少なくなっています。箱にたくさん入っているお菓子を買うのではなく、チョイスして種類を多く選ぶ時代です。そして良いものを何回も買っていただくことが、顧客として定着していきます。現在日本の人口の世帯構成比は、2010年の統計では、単身とご夫婦二人暮らしの総数が半分を超えており、今後その構成比が高くなり、消費のサイズはますます小さくなることが明らかです。宿泊する際は二人部屋が主流となり、バブル時代につくった大部屋は効率が悪くなっています。改築時には、このような状況を考慮した部屋タイプにすべきと考えます。
かつて旅行需要を牽引してきた若者世代の意識の変革もおきています。好景気には、卒業旅行がはやりましたが、今はそのスタイルは減少しています。就職できない学生が多くなった影響もありますが、旅行に対してのニーズはあるものの、携帯電話やパソコンの購入などにお金をかける比重が高くなっています。
また居酒屋でのスタイルも、畳に座ることより椅子や掘りごたつ形式が好まれており、飲食店の在り方も問われています。また、若者は祭り好きですが、規制にはめられた祭りは人気がありません。若者を集めて賑わいの創出を図るには、踊りでは最低限のフレーズだけ決めて、後のパフォーマンスは自由にして競わせることが大切です。北海道の「よさこいソーラン祭り」の成功は、コスチュームやパフォーマンスを自由にしたことが、出演団体の増加につながっています。伝統的祭りは別として、夏祭りやイベントでの若者の動員には、工夫が必要と感じます。
最後に団塊の世代が大量に定年を迎えることもありますが、レトロ感覚のモノが見直される時代となっています。和の作りが脚光を浴びています。九州新幹線つばめの車内は、木目模様が施され、窓ガラスのすだれは、い草が使われています。新型車両のさくらには、川辺仏壇に使用されている金箔が使用されています。
また、田舎を感じさせるものも人気を博しています。3年連続九州の駅弁コンクールで1位となった「100年の旅物語かれい川」の駅弁の中身は「がねの天ぷら」、「しいたけの煮物」、「タケノコ」など田舎の素材と味にこだわっており、弁当箱も竹の皮でできており、鉄道ファンの心を惹きつけています。古い駅舎とレトロな列車が走る肥薩線の人気が続いているのも、時代を反映しているのではないかと思います。日本人の国内旅行は成熟しており、また飽食の時代となり逆に素朴な田舎の懐かしい味が好まれる状況となっています。
これから新幹線の速さとゆっくりしたローカル列車の旅が、人気を博すのではないかと思います。物事が効率的に運ぶデジタルの世界から、柱時計がひとつひとつ時を刻むように、ていねいな応対が求められるアナログの世界が貴重になっています。一人一人のお客様を大事にすることの大切さが今問われているのではないでしょうか。マーケットは変化しても、ひとの心は変わらないと思います。新幹線で多くの観光客が訪れます。一期一会の心で迎えたいものです。
2011年1月3日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
明けましておめでとうございます。
昨年はリーマンショックによる経済の停滞と4月に発生した口蹄疫の影響で、鹿児島の観光は、未曾有の苦しさを経験し、鹿児島の経済に大きな影を落とした1年でした。また、羽田空港国際化が強化され、割安の海外ツアーが鹿児島の誘客にも影響が出ています。今年は、いよいよ九州新幹線が全線開業します。鹿児島が変わる明るい年にしたいものです。
今年の干支は「卯」です。「卯」は十二支の中で第4番に数えられ、『史記』律書によると「茂る」(ぼう:しげるの意味)で、また『漢書』律暦志によると「冒」(ぼう:おおうの意味)草木が地面を蔽うようになった状態を表しているとされ、後に覚え易くするために動物の兎が割りあてられたということです。兎に関することわざとして「兎の上り坂」がありますが、兎は坂を上るのが早いということから、ものごとが良い条件で順調に進むことを言います。出典:『ウィキペディア』
また、草木からは多くの芽が出ていずれは若葉が姿を現すことから、兎年が持つ春の気のおかげで、これまで動きのなかった人、モノ、地域が動き出して欲しいものです。
ところで九州新幹線の全線開業まで2か月あまりとなり、県内各地の地域づくりも忙しくなってきました。博多駅から鹿児島中央駅まで最速1時間19分となり、人の流れが大きく変わることが予想されます。停車駅がある出水、川内地域では、特に下りに降ろすことの重要性が増していると思います。「出水駅」と「川内駅」からは、駅発着観光周遊バス「クレイン号」と「きやんせ号」の実証実験が始まり、地域の魅力や課題を知る機会と捉え、開業に活かしてほしいと思います。
終着駅から遠い大隅地域では、新幹線開業効果をもたらすことが大変厳しい条件の中で、新たな取組が始まっています。垂水漁港での漁業体験には、今年は関西・中国地域から昨年より10校多い14校の予約が入り、鹿屋・志布志地域では、スポーツ合宿が増加しており、地域の自然環境を活かした取組が大きな成果となって表れています。安全と教育的価値の提供が仕向地として定着につながると考えております。また、大隅地域の売りは、「食」の魅力を全面に出したルートの設定が必要と考えています。関西地域からの「さんふらわ」の利用拡大が不可欠です。
霧島地域では、肥薩線のレトロな列車のゆっくりした旅と新幹線のスピードを活用した企画がおもしろいですね。「霧島アートの森」や「「みやまコンセール」を訪ねるカルチャーツーリズムの提案も新しい企画となるでしょう。
東北新幹線の話題が一段落し、次は南の終着駅「鹿児島中央」が脚光を浴びます。博多からは日帰り圏内となり、宿泊させるには駅から天文館、照国神社周辺の回遊性を高め、滞在したくなる街づくりが求められます。「まちあるき」は市民がもっと参加し、また、桜島に渡らせる努力も必要です。「長崎さるく」は市民が多く参加しており、市民自らがわがまちの魅力を語ることなくして広がりは生まれないと思います。「指宿のたまて箱」という観光特急の運行も決まり、指宿駅からの周遊バスも、夢を与える演出が必要です。特に種子・屋久との連携を強めることで、滞在するメリットを強調していく必要があります。
日本の国内旅行は成熟し、しかも人口の減少を考慮すると、外国人の誘致は欠かせません。特に新幹線を活用した福岡からの誘客が必要で、韓国、中国人にはリーズナブルな料金と目的にあったコース設定が重要であり、誘致に大きな影響力を持つランド業者等の招聘を積極的に進めたいと考えています。
鹿児島県と鹿児島県観光連盟では、「かごしま観光人材育成塾」、県下7箇所での「おもてなしセミナー」、「タクシー乗務員接遇研修」等を開催し、「おもてなし先進県鹿児島」づくりを進めています。観光はまさに人が財産であり、リピーター創りには人材が欠かせません。
ところで、開業時は「花かごしま2011」が開催されます。県内いたる所を花で飾り、開業を盛り上げたい。また、エージェントの「開業ツアー」が多くなり、その効果はGW頃までは続くと考えられますが、その後の展開が重要になっており、季節ごとの鹿児島の魅力や行きやすくなる離島の情報発信、エージェントとの商品造成による共同キャンペーン等を展開し、持続的な観光客誘致が必要となってきます。鹿児島県に行くとどこかでイベントが開催され、常に新しい感動に出会えるという楽しみを提供していきたい。また、観光客の楽しみは地域ならではの食である。施設では、お品書きを添えるなどストーリーを語り、「本物。鹿児島県」の食材を積極的に提供すべきです。
ところで、開業効果で観光客が増え、サービスが低下し地域のイメージを失墜させ、その後お客が遠ざかっていった事例が今まで多くありました。一期一会の心で観光客をもてなしたい。
今までの新幹線開業では、2年目から観光客が激減し、特に終着駅に近い駅が苦戦を強いられています。観光客に境界はなく、県民が県内の魅力をPRすることが連泊につながります。初めて鹿児島に来られた方々に、「鹿児島はすばらしかった。ぜひ友人に勧めたい」と心に残る「感動」と「感激」を与えリピーターを創造することです。「九州新幹線全線開業」という100年に一度のイベントで、県内に大きなうねりを起こすことが鹿児島が大きく変わるきっかけになるのではないでしょうか。
2011年が皆様にとって素晴らしい年になりますよう、心からお祈りいたします。
2010年12月27日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
2010年も残り少なくなりました。今年の鹿児島の観光は、スタートから緩やかな回復基調にありましたが、4月の宮崎での口蹄疫発生後未曾有の苦戦を強いられた年でした。県の観光動向調査(サンプル調査)によると、延べ宿泊客数は、10月までは前年比約90%であり、厳しい現状となっています。6月が11.5%、7月が20.2%、8月が6.3%、9月が11.1%、10月が6.7%と厳しい落ち込みとなっています。特に指宿地域が6月以降15%以上の落ち込みが続いており、根本的な対策が必要になっています。しかし昨年落ち込んだ外国人は、円高にもかかわらず、韓国を中心として40%以上の伸びとなっています。観光関連産業にとっては厳しい1年となりましたが、県全体としても観光客の減少は、地域経済にも大きく影を落としています。
口蹄疫が終息後、観光客回復策として、指宿、霧島では独自の取組を、県全体としては、「おいでよ!かごしまキャンペーン」を展開し、かごしまの「ありがとう!」プレゼントには、県外宿泊者から5000名を超える応募がありました。今後利用者の声を分析し、次の展開に活かしたいと考えています。
今年は、来年の九州新幹線全線開業をにらみ、受入体制の整備と観光客の誘致促進、鹿児島県のイメージアップなどに取り組んできました。
受入体制については、「かごしまよかとこ旅」の発行や地域観光を担う人材育成に力を注ぎ、「かごしまよかとこ博覧会」は2年目を迎え、旅行会社での商品化も図られ、参加者も増加しています。
「おもてなし先進県鹿児島」づくりでは、「かごしま人材育成塾」、「タクシー乗務員接遇研修会」、県内7箇所での「おもてなしセミナー」など観光客を温かく迎える運動を推進してきました。
新幹線停車駅からの2次交通の整備も進んでいます。出水駅からは、「クレイン号」、川内駅から「きやんせ号」の周遊観光バスの実証事業がスタートしました。しかし乗車人員が少なく、市の職員も参加し市民への関心を高め、PRにつなげて欲しいと思います。
観光客誘致促進では、全国のJR1400の駅に「すぐそこに、鹿児島県」をキャッチコピーとする本県観光宣伝用5連貼ポスターを掲出しました。
誘致促進では、スポーツ合宿に成果が表れており、関西、福岡地域での誘致活動が実を結びつつあります。また教育旅行誘致では、グリーンツーリズムの受入体制が整いつつあり、今年は7000人、来年度はすでに1万人の予約が入っており、鹿児島の体験メニューの優位性が学校側に認識されてきております。
鹿児島のイメージアップについては、「本物。鹿児島県」の魅力PR事業を展開し、東京、大阪では知事のトップセールスも行いました。新幹線の認知度はまだまだですが、各地の県人会が「ふるさとかごしま」を支援しており、開業ツアーの計画も進んでいます。
今年の大河ドラマ「龍馬伝」のロケが、7月霧島で行われ、県、連盟、霧島市などの協力で無事終了し、そのシーンは日本初の新婚旅行ということで全国に放映されました。整備された塩浸公園には、放映後多くの観光客が訪れています。口蹄疫の影響で心配された霧島地域ですが、「龍馬伝」効果もあり指宿に比較して急速に客足が回復しています。しかし大河ドラマやイベントに左右されることなく観光客を誘致するためには、食や伝統文化、人のおもてなし、祭りなど四季折々の魅力アップを図り、年間を通しての誘客に努めることが重要と感じています。
今日本の国内旅行は成熟し、今後の人口の減少を考えると今後大きな成長は望めません。旅行マーケットは、田舎、レトロ、和への回帰が顕著となっています。「はやとの風」、「いさぶろう・しんぺい号」、「SL人吉」が走る肥薩線は、列車の人気に合わせてと、日本の原風景の残る沿線の魅力が重なり、郷愁を誘う「嘉例川駅」や「大隅横川駅」などには多くの観光客が訪れています。ローカル列車の魅力と新幹線のスピード感を楽しむ旅をもっとPRしていくことが大切です。
地域観光を支えるボランティアガイドで、県の連絡協議会に加盟している団体は29あり、ガイドが646人います。会員の交流やスキルアップ講習会などを実施し、出番を増やす機会をつくって行くことが重要と考えています。2月には、ボランティアガイドの九州大会が鹿児島で開催され、九州管内から500名を超える会員が集まり連携強化を図りました。新幹線全線開業時には、鹿児島中央駅が終着となり、市内のガイドさんの活躍が期待されます。
ところで九州新幹線の全線開業まで2か月余りとなり、各地域で受け皿づくりが進んでおり、開業の最大のイベントである「花かごしま2011」も開催されます。開業効果を県内全域にもたらすためには、開業への取組を県民が自分のこととして捉え「おもてなしの心」をもって観光客に温かく接する必要があります。北の「新青森駅」と南の終着駅「鹿児島中央駅」までが1本のレールでつながり、全国的に話題となります。しかし新幹線は、「魔法の杖」ではありません。100年に一度のビッグイベントをいい機会と捉え、鹿児島の観光の魅力を積極的に情報発信し、全国有数の観光地としての位置を築きたいものです。
最後に今年も「プロデューサーズコラム」は、毎週月曜日52回すべて掲載できました。(通算137回)読んでいただいている皆様に心から感謝いたします。来年は、九州新幹線が全線開業し、記念すべき年になります。いろいろな話題を提供していきます。次回は1月3日に掲載します。皆さん良いお年をお迎えください。
感謝を込めて
2010年12月20日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
沖永良部島は、鹿児島市から南へ552km、北緯27度線の上に浮かぶ周囲55.8km、面積93.8k?の隆起サンゴ礁の島です。人口は、和泊、知名両町合わせて1万4千人あまり。年間平均気温22度という温暖な気候に恵まれ、四季を通じて熱帯、亜熱帯の花が咲き、エラブユリ、スプレーキクなどの栽培が盛んです。最近では春先に収穫されるジャガイモが市場で優位性を保っています。また、東洋一の鍾乳洞・昇龍洞をはじめ200〜300の大鍾乳洞群が見られ「花と鍾乳洞の島」として知られています。奄美群島の中でもハブがいない島であり、農業が主産業となっています。
私が初めて島を訪れたのが、41年前の大学1年の夏休みでした。クラブ活動の調査で両町に2週間滞在し、島民との交流が思い出に残っています。その後何回となく島を訪れましたが、平坦で開拓された耕地には、いつも四季折々の植物がまばゆい太陽に照らされ、道路は整備され、家々の回りには花が咲き、落ち着いた雰囲気を醸し出している島の魅力にいつも安堵感を感じます。
島への入込客は、平成20年で海路、空路合わせて82.540人で毎年2.000人程度減少しています。この度、「街おこし指導事業講習会」で講師として知名町中央通り会の方々と懇談する機会がありました。米軍から引き継いだ自衛隊のレーダー基地が大山にある関係で、飲食店は多くありますが、かつての街の賑わいはありません。農業のさらなる発展が見込めない中で、産業として観光の振興に期待を寄せています。やっと動き出した島に、観光客を呼び入れる方策について懇談しました。
島が抱える課題としては、
・港湾の設備は充実し大型船が就航しているが、船の利用客は減少している。
・航空機は、DH400の導入により時間短縮が図られている。生活路線であり、観光用の運賃は沖縄に行くより割高であり、使いづらい。
・島には就業できる職場が少なく、卒業後島を出て行くため若者が少ない。
・島の魅力が県外だけでなく、県内の人にも知られていない。情報発信の強化が求められていますが、強力なリーダーシップを持った人材が不足している。
・沖永良部島は一つという発想で観光振興の重要性が問われている。等があげられます。
このような不利性を抱えながら島に観光客を呼び込む方策として次のような点が考えられます。
運輸機関については
・観光客の利便性を確保するため、奄美群島を自由に乗り降りできる周遊キップの導入が必要である。
・船旅は時間がかかるため、定期的に船内での展示会、カルチャースクール、撮影会、音楽の発表会などを行い、船内でゆっくり楽しむための仕掛けが必要。
・第一次離島ブームを創った世代が、退職の時期に入っている。「なつかしの船旅」を提案し、島でのイベントを開催することで再訪を促す。
島が積極的に取り組むべきことは、
・知名度を高める戦略として、島の自然の魅力を映画、ドラマ、CMの舞台として売り込むため情報発信を強化する。
・ダイビングや洞窟探検など島の魅力を盛り込んだ体験メニューをつくり、私立高校を中心として、教育旅行の新たな魅力として売り込む。
・大学とタイアップして、島でのゼミ講座を開設し、交流人口の定着を図る。
・県本土からの誘客については、教育、PTA,業界団体、スポーツ等の大会、会議を積極的に誘致することが、街に活性化をもたらす。特に女性の大会を誘致する。
・早取りジャガイモなど島の特産品を、菓子やスナック等に加工して出荷するなど新たな産業を誘致し、雇用拡大につなげる。
・大都市圏や鹿児島市内で島の物産展を開催し、地域産品の流通促進を図る。
・温暖な気候と花粉が少ないことをPRし、都市圏居住者に2地域2居住を勧める。
・島一周道路が約42kmで、起伏が少ない道路状況は、マラソン開催には好条件であり、大会スポンサーを確保し、島外者を対象にした大会を開催する魅力がある。また、島民が一体となるイベントになる可能性がある。等があげられます。
人口が減少する中で、交流人口を増やすことが街の活性化には不可欠です。居酒屋で働いている若い店員は、育った島が忘れられず戻ってきたと言っています。働く場所があれば、都会から戻って来る人が増えると語ってくれました。
島の活性化には、農業・水産業・商業・工業など多くの分野の人々が参画できる事業に取り組む必要があり、また、地元で利益が循環することが大切です。離島という不利性を優位に変えるには、「今だけ、ここだけ、あなただけ」の魅力を観光客に提供することが重要であり、加えて地元住民が島を愛し、四季折々の魅力を情報発信し続けることで、認知度が高まり、誘客に結びつきます。誘客については、鹿児島からだけでなく沖縄からのルートも考えられます。島の人々の素朴で厚い人情は、旅人を和ませてくれます。島が一つとなって発展することを祈りながら、機上から手を合わせていました。
参考資料:沖永良部島観光ガイドブック:沖永良部島観光連盟
2010年12月13日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
九州経済連
合会熊本地域委員会の主催による「九州新幹線全線開業と地域振興」のシンポジウムが熊本市で開催され、パネラーとして参加しました。 久しぶりに降り立った熊本駅は、新幹線と在来線との駅舎の連絡通路の整備、駅前の道路の拡幅工事と信号機の変更など開業準備に余念がないという感じです。3か月先には新大阪と博多から「みずほ」、「さくら」、「つばめ」の3本の列車が運行され、一段と賑やかになることと思います。
会議では、誘客やPRの方法、まちづくり等について議論が展開されました。九経連の松尾会長からは、地域の魅力が十分に発信されていないことや、福岡との交流を促進するには人的交流が重要、との指摘がありました。熊本から博多まで30分となり、物流だけでなく人の往来がますます激しくなるという印象を持ちました。

観光振興について、熊本県としては横軸の重要性を説いていました。阿蘇から由布院、別府にいたるコースと天草、雲仙、長崎への観光ルートが定着するのではないかと感じています。各地域をつなぐバスの運行が計画されています。福岡が日帰り圏内になるという危機感から、関西方面に誘客の軸足を置いている印象を受けました。今話題のタレントである熊本出身のスザンヌを宣伝部長に起用し、イメージづくりに努めておりかなり浸透していると思います。
一方、熊
本城を中心とした街並み整備にも取り組んでおり、回遊性のある街づくりをめざしている姿勢が伺えました。鹿児島中央駅が九州新幹線の終着駅となることで、観光客が南に下るという危機感から、熊本に途中下車させる様々な取組を展開していると感じています。
鹿児島県の取組としては、南北600キロに及ぶ広いエリアに、いかに開業効果をもたらすか、また開業後も持続的な観光地になることを目指して取り組んでいる「増やす」、「広げる」の施策について紹介しました。また「おもてなし先進県鹿児島」づくりとして、「おもてなしセミナー」や「タクシー乗務員接遇研修」などを実施し、観光客を温かく迎える運動を推進していることなども報告致しました。時間短縮効果を活かし、川内で下車して甑島へ、指宿から種子島、屋久島などへ誘客することが滞在効果をもたらし、鹿児島への乗車率を高めることになります。
隣接す
る地域では、連携した観光客誘致の取組が始まっています。出水市元気再生創出協議会では、NPO法人環不知火プランニングと協力して、農家民泊体験と環境学習のプログラムづくりが進み、教育旅行の実績が上がっています。また出水と水俣・芦北地域が連携し食のイベントやウォーキング大会なども開かれています。今年の秋からは、出水駅から蔵ノ元港までの定期バスの運行も始まり、牛深との連携を図っています。
霧島温泉から1時間の位置にある人吉地域は、国宝に指定された青井阿蘇神社や味噌醤油蔵、焼酎工場など、「まち歩き」しながら滞在型の観光が楽しめます。また、球磨川でのラフティングは、教育旅行で人気を博しています。全線開業で肥薩線沿線の魅力と共に、レトロな列車、古い駅舎は旅人を惹きつけます。あるホテルの経営者は、今後霧島地域からの誘客に力を注ぐと語ってくれました。
九州観光推進機構の調査によると、首都圏女性の九州観光に対するイメージは、北海道、沖
縄に比べてかなり劣っています。TVや雑誌での露出が少ないこと等があげられています。南九州の魅力ある観光ルートを定着するためには、県境を越えた連携が必要です。九州観光推進機構や南九州3県の広域観光ルート連絡協議会などと連携した共同キャンペーンの展開が誘客につながります。来年秋に展開されるJR6社の「デスティネーションキャンペーン」は、大きな成果が期待されます。遠方から来る観光客は広域に回り、県境の意識はありません。これからも熊本県と協調しながら誘客に努め、一方では競争して地域を磨くことも必要ではないでしょうか。新幹線開業効果をそれぞれの県が最大限に活かすことが求められています。
2010年12月6日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
3月12
日の九州新幹線全線開業まで、100日を切りました。九州新幹線は、2004年3月に部分開業しましたが、開業した1年間で約323万人が利用し、3年目には1000万人を突破しています。今年の3月には、2000万に達し、また、通勤・通学に利用しているエクセルパスは1300人を超え、県民の足として定着しており、全線開業で更なる利用増が見込まれます。
12月4日には東北新幹線が新青森まで延び、九州新幹線の全線開業時には、南北を縦断する多くの旅行商品が誕生することを期待しています。開業に合わせて指宿駅まで、「いぶすきのたまて箱」という観光特急の運行も決まりました。ドアを開けるとミストが吹き出し、座席はすべて海側を向くなどJR九州の熱い思いが伝わってきます。観光特急の多い九州ですが、新たな話題になると思います。
九州新幹
線全線開業関連イベント実行委員会では、新幹線“さくら”により鹿児島と関西、中国、北部九州などがダイレクトにつながることを「鹿児島さくら街道」という新しい道の誕生と見立てて、〜往来、オーライ!〜を基調に、相互交流の拡大を目指しています。開業記念イベントとしては出水駅、川内駅では、地域の特色ある祭・イベントの活用・創出を図る中で、ふるさとフェスタ、ご当地グルメグランプリなどを開催する計画です。
鹿児島中央駅では商店街イベントと連携し、花と灯りによる装飾やライトアップなど新しい演出を行うことが決まっており、賑わいの創出が図られると期待しています。
県民の皆様にも、全線開業ロゴマーク・キャッチコピー、ポスターや全線開業関連の総合WEBサイトを大いに活用し、県外の知人にPRして欲しいと思います。
先月広島
市内で初めて開かれた九州観光推進機構の説明会には、10社のエージェントの社員60名が参加し、九州新幹線への関心の高さが伺えました。エージェントからは、「従来の観光地に代わる新しい鹿児島の情報を提供して欲しい」、「桜島の噴火の影響」、「離島へのアクセス」、「開業時のイベント」などの相談が多くありました。広島からは最速で2時間24分となり、1泊2日の旅行に適した場所である、とうれしい言葉もあり、今後のPR活動を強化しなければならないと感じています。
観光客は、「今だけ、ここだけ、あなただけ」の体験が感動につながり、オンリーワンの情報をいかに伝えることが出来るかがポイントであり、情報発信の重要性が問われています
。
鹿児島県特産品協会では、新特産品づくりやコンクールを実施し、「鹿児島フェア」等ホテルやレストランと連携し、鹿児島の食材を使ったメニューの定番化を促進する取組を進めてきました。観光客の楽しみは地域の食であり、観光客との接点を増やし購買を促進することが、地域に大きな経済効果をもたらすことにつながると思います。
新幹線による時間短縮で日帰り観光客の増加が見込まれ、いかに宿泊者に変えるか、泊まりたくなるまちづくりの仕掛けが必要です。また遠方からの誘客も可能となり、新幹線の駅から遠い地域は、停車駅からのルートの設定と2次交通の確保が重要です。そして観光客が訪れるお店では、安全・安心の地元産品を提
供し、再訪に繋げることが重要です。
大きなイベントで多くの観光客が一気に増えると、料金の便乗値上げやサービスの低下が顕著となり、信用を失墜しその後お客が遠ざかっていった地域が多く見られました。日頃と変わらないサービスの提供が、求められます。観光客は施設の魅力ではなく、地域の魅力に惹かれます。住民、職場などで、観光客を温かくお迎えする心を醸成するなど、地域総力戦で取り組む必要があります。
東京から北の新青森まで新幹線がつながり、次は南の鹿児島ということで、県内の地域づくりや誘客のための取組の話題がメディアで取り上げられ、九州新幹線開業の認知度も高ま
ってきています。しかし九州新幹線が全線開業するからといって、黙っていても観光客が来るということは、安易な考えであり、新幹線は「魔法の杖」ではありません。積極的なPR活動が求められます。
鹿児島に来られた方々が、「日本の中に鹿児島というすばらしい地があって良かった」、「また来たい」と感じられる魅力ある地域であり続けたいと願っています。100年に一度のビッグチャンスを県民総ぐるみで迎えたいものです。
2010年11月29日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
鹿児島市、霧島地域と並んで、鹿児島を代表する観光地の一つである指宿地域の宿泊客が低迷している。先日、
鹿児島市在住者で組織されている「鹿児島指宿会」で講演する機会があり、指宿地域の現状と課題について話をした。
指宿地区の宿泊者は、4月から9月まで前年実績を割り込んでおり、特に7月は29.1%、9月は、23.8%の大幅な減少となっている。同じ温泉地を持つ霧島地区が、減少幅が小さく回復傾向にあるのに対して不振を極めている。県全体として、宮崎県で発生した口蹄疫の影響が大きく影を落としているが、指宿地域の現状は、必ずしも口蹄疫の影響だけではなく、地域の魅力が薄れてきているのではないだろうか。先月首都圏でのエージェントの企画担当者と話す機会があったが、指宿の売り方に苦心していると語っていた。
指宿地域の課題について整理したいと思う。
指宿地域は、かつては新婚旅行のメッカとなり、第一次ブームが起きた。その後はバブルの恩恵で招待旅行や、大都市圏からの企画商品がヒットし、団体旅行を中心としてにぎわいを継続してきた。指宿の人気を支えてきたものは、世界に類のない「天然の砂蒸し温泉」であったが、あまりにもそれに頼ってきたのではないか。また近隣の知覧にある「
武家屋敷と特攻平和会館」を訪れる観光客の恩恵も受けてきたが、年代層も代わり入館者も激減しており、その影響も受けている。また、団体旅行にあわせてつくった大きな部屋、宴会場などは、個人旅行が主流の今では効率が悪くなっているのも現状である。
最近の観光客は、宿泊施設では洋室を好み、和室が主流の指宿温泉は敬遠されつつあるのも事実である。観光を済ませた後は、鹿児島市内のホテルに宿泊する人が多いという声を聞いている。飽食の時代になり、毎晩出される会席料理は観光客に飽きられており、街にでて好きな料理を食べることが望まれている。その意味で洋室が多く、1泊朝食型に対応できる施設が多い鹿児島市に人を集めているのではないだろうか。
指宿の街づくりでは、まず駅前の賑わいの創出が不可欠である。観光客が降り立つ駅周辺は、街の印象を左右する。宿泊したいと思わせる商店街の復活が望まれる。また温泉地には、人が集まりやすいたまり場が必要である。草津温泉の「湯畑」が代表的な存在であるが、指宿温泉はホテルが点在しており、その意味でも各ホテルから中心的位置にある指宿港に隣接した市場や物産館の設置が望ましい。

また、指宿港からは、世界で一番美しいといわれるロケット基地のある種子島や、世界遺産の屋久島に高速船が就航しており、指宿を拠点に日帰り観光も可能となる。もっと連携したPRや商品企画が求められる。JR最南端の駅「西大山駅」を基点に、レンタサイクルなどで近辺の観光地めぐり、坊津などローカル列車を活用した商品企画が滞在につながると思う。佐多岬、鹿屋バラ園との共同宣伝、周遊ルート定着には、一日も早いフェリーの再開が望まれる。
温暖な気候を利用したスポーツキャンフの誘致や、グリーンツーリズムの推進は、宿泊施設だけでなく、農・水・商工業者にも大きな経済効果をもたらすと思う。将来的には、錦江湾を活用したヨットのサンセットクルーズや医療観光も指宿のイメージアップにつながると期待される。
ところで
、新幹線全線開業に合わせて、指宿まで新たに観光特急「指宿のたまて箱」が運行されることとなった。外装が黒と白に半分ずつ分けられ、ドアが空くとミストが吹き出す仕掛けとなっており、座席は30席の2両編成で、すべて錦江湾を向いているなど快適な車両となっている。早く乗ってみたいという思いが募る列車だ。運行開始日には、観光協会の職員が乗車し、おしぼりのサービスや到着駅からレトロなバスを運行するなど盛り上げが必要である。また、列車はすべて指定席のため座席を満席にする努力が地域でも問われている。
最後に指宿地域には、
・感動を共有できるまちづくりを基本に、地域の素材を磨く、活かす発想で公共空間をいかに魅力的に創造できるか。
・一つの企業が恩恵を受けるだけでは継続できない。地域全体に経済効果をもたらすことが重要である。
・知林ヶ島や
フラワーパーク、開聞山麓などを活用し、半日もしくは1日観光客が楽しめる着地型メニューを提供し、多くの団体が協力して販売する仕組みが必要である。
・マーケットの主役は女性である。女性を意識した地域づくりと商品企画が求められる。・新幹線は多くの人を運んで来るけれども、誘客できるかは地域の取組にかかっており、四季折々の魅力アップと情報発信、人材の育成が求められる。
新幹線開業まで3か月足らず、1月には、「いぶすきなのはなマラソン」と、「なのはなマーチ」の2大イベントが開催される。指宿温泉の復活ののろしを上げたいものである。
2010年11月22日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
島の今後の観光を担う人材の育成と地域づくりを目指して、「第3回かごしま人材育成塾」を開催し、今年は、過去最高の70名が受講しました。今年は九州新幹線の全線開業を意識して、新幹線がもたらす影響や今後の地域づくり、商品づくり、増加する県外観光客に対するおもてなしの態勢づくりなど、取り組むべき課題について7講座を設けました。
講座で述べられた内容について簡単に紹介したいと思います。
講座は、九州旅客鉄道(株)取締役鹿児島支社長の宮崎正純氏が、「九州新幹線全線開業について」講義されました。最速で新大阪から3時間45分、博多から1時間20分となり、その時間短縮効果は人、物、金の流れが大きく変わり、博多まで通勤距離圏内となる。ストロー現象も懸念されるが、大阪以西の沿線の人口は、2,827万人で大きな経済効果が期待される。鹿児島県にとっては2度目の開業であり、その効果を最大限活用してほしい。指宿まで新たに運行される観光特急「指宿のたまて箱」は、外装が黒と白に半分ずつ分けられ、ドアが空くとミストが吹き出す仕掛けとなっている。座席は30席の2両編成で、すべて錦江湾を向いているなど快適な車両の概要説明がありましたが、早く乗ってみたいという思いが募る列車です。列車はすべて指定席のため、座席を満席にする努力が地域でも問われると思います。
第2講
座は、オフィスフィールドノート代表取締役の砂田光紀氏による「観光の原点〜ドラマを生む素材と思想〜」についての講義であった。鹿児島には古くから「石の建造物」、「近代建築」、「美しい庭園」、「匠の技」等が残り、それらにもう一度光を当て、街を磨き、心を洗って旅人を迎えることがドラマを生み、旅人達に光を観せる原点となる。新幹線全線開業前夜の今、新しい視点で鹿児島の魅力を見つめるチャンスである。感動を共有できるまちづくりを基本に、地域の素材を磨く、活かす発想で公共空間の創造をいかに魅力的に作り上げるかではないかという内容でした。
第
3講座は、「おもしろ旅企画ヒラタ屋」の平田信也氏の「選ばれる観光地、施設とは」で、90分間舞台をいっぱい使いながら、観光客が満足する究極のおもてなし等について話があり、感動の連続であった。お客様には、非日常を徹底的に提供し、元気にさせることが第一である。マーケットを支えているのは女性であり、美、健康、食など差別化された商品を提供し、期待を裏切ることなく驚きと満足を与えることである。平田氏は2万2000名の「ファンクラブ」を持ち、まさに「カリスマ」的存在である理由が理解でき、90分の話に飽きることなく「おもてなしのこころ」の神髄に聞き惚れていました。
第4講
座は、(財)飫肥城下町保存会の郡司均事務局長の、「賑わいと営みを復活させた飫肥城下町のまちづくり」についてでありました。飫肥は九州で最初に国の「伝統的建造物群保存地区」に選定されましたが、城から150m離れた本町通り商店街は衰退の危機に瀕していました。様々な団体を取り込み、町ぐるみで再生に取り組んでいるのが「食べあるき・町あるき」事業です。難産の末12軒の商店などでスタートした事業は、今では参加が41軒に増え、通りに賑わいが戻り商店街も活気が出てきたとのことです。地域の商店を取り込んだチケット販売の発想と、定期的イベントの仕掛けによる誘客は、まちづくりの参考になり、メディアの取材や自治体の視察が絶えないとのことでした。地域総力戦での取組が、町を復活させたと感じています。
第5講
座は、九州観光推進機構事業本部副本部長の高橋誠氏が、「九州のインバウンド戦略」について講義しました。日本の人口はこれから減少し、国内旅行も伸びない。今後は外国人の受入が、地域活性化の一つである。受入にあたっては、それぞれの国の文化を知ることが大切である。ソウル〜釜山の新幹線線が開通し、ビートルを利用した観光客が鹿児島に来ることが可能となる。なお一層の受入態勢の充実が求められる。中国人には個人ビザが解禁となったが、日本では東名阪が主要なコースであり、九州まではもう少し時間がかかるのではないか。クルーズ船は順調に伸びており、今後も博多港を母港とするクルーズが定着するのではとの期待を込めた報告もありました。鹿児島でも外国船受入協議会の充実が求められます。
第6講
座は、「森の弁当やまだ屋」の山田まゆみ氏が、「百年の旅物語かれい川の駅弁〜3年連続九州一になった秘訣」について、そのスタートから今までの成功の物語を熱く語りました。100年の歴史を持つ嘉例川駅周辺の活性化に役立ちたいという思いが、弁当の開発につながった。最初は30個作ったが売れず、近所の人に販売した苦労があった。メディアや九州駅弁コンクールで入賞するなどして人気が高まり、3年連続1位に輝くなどその弁当の人気は全国に広がっている。駅弁は、肉、魚等贅沢な食材を使っているのではなく、素朴な地元の食材にこだわり、また、お品書きにその履歴を表示し安全・安心の内容が評価されていると思う。販売箇所を「はやとの風」の車内と嘉例川駅に限定していることなども根強い人気につながっていると思います。
第
7講座は、JR九州リテール(株)鹿児島支店長の中村修氏が「おもてなし=思いやり=目配り・気配り」について熱く語りました。新入社員時代にトイレ掃除で表彰され、それがその後の人生の大きな励みとなった。九州新幹線部分開業時の鹿児島中央駅の初代駅長となり、同駅を九州管内の駅で「おもてなしNO1の駅」に育てた秘訣は、構内の美化とおもてなしであった。クレームに対しては、お詫びと感謝の気持ちを相手に伝えることが次につながると、自らの経験にもとづいた話は、時には熱くなり、涙を交えることもあり参加者の感動を呼びました。 全体を通して講師の方々の話を要約すると
けがもうかってもだめである。多くの企業が参画し、地域にお金が循環することが大切である。
には、人の心は動かない。良い商品は高くても買ってくれる。
など参加者の皆さんの心に深く刻まれた講義内容と信じております。
また、夜学塾では、参加者同志や講師陣とのコミニユケーションが図られたと思います。今まで人材育成塾を受講した方の多くが、それぞれの地域で頑張っていることは大きな励みになります。3回続けて受講された方が5人いました。新幹線開業まで4か月足らず、この講座が地域活性化の人材育成につながることを期待し、来年も多くの参加者が集まることを期待します。
2010年11月15日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
セミナー」で、種子島を訪れました。本土最南端の佐多岬から南東約40Kmの位置にあり、鹿児島空港から35分、鹿児島港から高速船で1時間45分と比較的本土に近い島です。島の魅力とPRについて考えてみたいと思います。種子島の東南端の海に囲まれたまばゆい景勝の地に、日本最大のロケット発射場である「種子島宇宙センター」があります。同敷地内にある「宇宙科学技術館」には、実物大のモデルやゲームなどを通して、宇宙開発におけるさまざまな分野を楽しみながら理解することができます。打ち上げの模様を大画面で体感することができ、子供たちが宇宙に興味を持つことができる貴重な施設と思います。小中学生にぜひ見学してほしい施設です。また定期的に発射場の近くまで行ける無料の見学バスがあり、大人も楽しめる場所です。いつか本番の打ち上げを見学し、その迫力を体験したいものです。
千座
(ちくら)の岩屋は、太平洋の荒波で削られてできた洞窟であり、千人が座れる広さがあることからその名前が付いています。白砂を踏みしめながら、近づくと潮の満ち引きで変化する洞窟の姿が現れます。洞窟の中から望む夕日は格別です。また、近くにはメヒルギの自生地があり、教育旅行の体験に行かせるのではないかと思います。
島は遠浅のビーチが数多くあり、シーカヤックやダイビングなどマリンスポーツには最適な場所です。まだ、太平洋の荒波が打ち寄せる鉄浜海岸など、絶好のサーフポイントとなる海岸には、全国から多くのサーファーが集まり1年中楽しんでいます。島の飲食店には、昼はサーフィンで、夜は店で働いている若い男女を多く見かけます。サーフィンの全国大会を開催し、島のビッグイベントに育ててほしいと思います。
西之
表市内には赤尾木城址、日本初の火縄銃製造に成功し日本の歴史を大きく変えた「種子島時堯公の像、鉄砲の歴史が一目でわかる鉄砲館などがあります。また「月窓亭」は、大日本池坊総会頭職を務めた羽生道則などを輩出し、名だたる名家である羽生家の屋敷であり、明治以降においては、歴代種子島当主が居住するなどたいへん由緒ある建物です。西之表港は、大型クルーズ船が寄港します。島内観光だけでなく入港時には、島の特産品の販売や街でショッピングが楽しめ、経済効果をもたらす仕組づくりが求められます。 一方、種子島空港はジェット機が就航できる体制が整い
ましたが、乗降客は低迷しています。新たな航空路線の開拓やチャーター便の誘致も重要です。そのためには、世界遺産の島として知名度の高い屋久島との連携が不可欠です。両方の島に宿泊させるため、それぞれの違った島の魅力を提供することが求められます。共同パンフレットを作成するなど宣伝効果を高め誘客に努める必要があります。
島には新鮮な魚介類、日本でいちばん早く収穫されるお米、糖度の高い安納芋など食材も豊富です。グリーンツーリズムによる教育旅行の誘致は最適です。おもてなしの心を島ぐるみで醸成し、多くの観光客に応えていくことも重要です。また九州新幹線全線開業により、鹿児島、指宿がより近くなり日帰り観光も可能となります。これからの種子島の発展を心から期待します。
2010年11月8日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
大隅地
域で、「おおすみわっぜよかど博覧会?」が始まりました。九州新幹線全線開業に向けて、各地域では観光客を呼び込もうと、さまざまな取組を行っています。昨年の「おおすみわっぜよかど博覧会」には、900名を超える参加者がありました。地域の人が主役となった滞在メニューの新鮮さが、参加者の心を捉えたと感じています。
魅力ある美しい自然の残る大隅地域と、今年の主なプログラムを紹介します。
大隅半島の最南端の「佐多岬」は、太平洋の荒い波が打ち寄せ、突端に立つ灯台は、錦江湾や南の島へ行き交う船舶の目印とし重要な役割を果たしています。展望台からは、種子島、屋久島、硫黄島、対岸の薩摩半島の開聞岳を望むことができ、東シナ海に沈む夕日は格別です。佐多岬のある南大隅町では、地元の隠れた食材を使った「星空の下のディナー」が開催されます。厳選した、南大隅のフルコースをご堪能ください。
道を北
上し、内陸部に入ると「花瀬自然公園」があり、川の中に見渡すかぎり石の絨毯を敷き詰めたような景観は、流れる水から湧き上がるしぶきが白い花のように見えることから「花瀬」と名づけられました。かつて薩摩藩主「島津斉彬」が開いた茶会のお茶亭跡が、川の近くに残っており、当時の情景が偲ばれます。花瀬では、「猪鹿倉集落の歴史散歩と郷土色ランチ」のメニューです。山奥の原生林を訪ねて、歴史ある猪鹿倉集落に在住する名人が作った、絶品のお弁当を手にゆっくり、のんびり秋の風景を楽しんでください。
「花瀬」から渓谷を抜けると、「岸良」の海岸に出ます。近くの畑を通ると老人が仕事を休めにっこりと手を振ってくれることがよくあります。田舎の良さは自然の美しさだけでなく、人の魅力をも残していることです。旅先で温かい人情にふれると心が和みます。
なだらかな坂道を走らせると、太平洋を見下ろす場所に「内之浦宇宙空間観測所」があり、
国産ロケットの発射はここから始まりました。国見トンネルを抜け国道448号から220号線を行くと志布志に着きます。志布志は、古くから港町として栄え、古い商家の佇まいや、国指定名勝の武家屋敷が軒を連ねます。また、古くからの湧水が至るところにあり、番所跡や城址に神社仏閣など、歴史を感じさせる街づくりが旅人を魅了します。志布志観光ガイドが案内する「歴史探訪と自分探しの旅」を紹介します。まずは座禅(写経)で自分を見つめ、夜は田んぼに囲まれた民宿で芋焼酎を飲みながら満天の星と語りあいます。秋の虫の音色が聞こえそうです。大隅地域は焼酎工場が多く、体験として「世界に1本!オリジナルラベルの焼酎をつくりませんか?」のメニューにチャレンジしませんか。世界に一つの焼酎をつくり友人にプレゼントしませんか。
鹿
屋には、「かのやばら園」がありますが、4000種、50000株のばらは、西日本一の規模で、大隅地域の観光の核となる施設です。近くの鹿屋市漁港では、「突撃!漁師の晩ごはん」の体験メニューを準備します。カンパチ漁師が腕を揮うプリプリのカンパチの刺身、芳醇な燻製・アツアツのカマ焼き。どれをとっても価値ある逸品です。秋の夜長を楽しんでください。
垂水地域では、「宇喜多秀家公潜居跡を訪ねて」の400年前にタイムスリップしたメニューが実施されます。平家の落人・平野氏は、牛根に隠れ住み、財力をつけて、関が原の戦いで破れた西軍の武将・宇喜多秀家の世話をしたと伝えられています。子孫の方が供養されている場所を、地元の案内人と一緒に訪ねます。興味ある関が原の戦いが語られるのではないかと思います。
最後に桜島の絶景を見ながら快適フィッシング「錦江湾イカダ釣り」です。船で錦江湾に浮かぶ大きなイカダに渡り、桜島の雄姿を間近に見ながら釣りを楽しみ、船上では、バーベキューコンロで船上パーティです。桜島の噴火する姿を見るチャンスもあるかもしれません。
今年は
、紹介したメニューを含めて93のプログラムが実施されます。大隅地域は、美しく移らう四季、豊かな自然、美味しい食材などが豊富にあり、郷愁を感じさせます。多くの人との出会いが、きっとあなたの旅情を高めてくれるはずです。四季折々の美しい草花が咲き乱れる田畑、森、太平洋の黒潮が押し寄せる荒々しい岬や白砂青松の美しい海岸、小鮒が泳ぐ清流など日本の原風景がいたる所に残り、「故郷」や「赤とんぼ」、「夕焼小焼」、「早春賦」などの小学唱歌が似合います。あなたもぜひ「おおすみわっぜよかど博覧会?」に参加し、大隅の魅力を堪能しませんか。
参考:みちくさ10月号
2010年11月1日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
先日の
記録的な豪雨で奄美大島は、大きな被害を受けました。赤木名から古仁屋に至る国道58号線は、数カ所が崖崩れで通行止めになり、沿線の住民の一部は、避難生活を送るなど不自由な生活を強いられています。集落に通じる道路が寸断され、ライフラインの復旧が遅れた奄美市住用町戸玉と市の2集落は、24日ようやく停電が解消されました。
今回の豪雨で奄美大島への観光客の入込みが懸念されます。連日現地の状況が全国に報道され、奄美大島には行けないと錯覚してしまうからです。過去にも地震や水害が発生するたびに、国内で同じようなケースが発生しています。災害が発生した地域に行くのは、地域に迷惑がかかるという考えを持つ人が多いのも事実です。道路が復旧し、ライフラインが整備された場合は、観光に積極的に出かけて、人々を励まし、宿泊施設や飲食店を利用することが、地域貢献になると思います。
被害が大き
かった住用町の住用川と役勝川の河口には、マングローブの林が広がります。両河川には、絶滅危惧種リュウキュウアユが生息し、マングローブ周辺が冬場の稚魚の成育場所にもなっています。その原生林をカヌーで回ることができ、水面からみる風景は、ジャングルの奥地を探検している気分になります。学生団体や熟年の体験ツアーが人気となっており、今では年間2万人の利用があります。1日も早い再開を望んでいます。
心配されていた「横浜ベイスターズ」の秋季キャンプは、予定通り実施されることが決まり、奄美の関係者はほっとしていることだろうと思います。
奄美はこれからが観光のシーズンです。温暖な気候と、地域住民のおもてなしが観光客を温かく迎えます。県民の皆様もぜひ奄美に観光に出かけて欲しいものです。
ところで、奄美の島々は港が整備され、クルーズ客船の寄港が可能となり、今では国内外か
ら観光客が訪れています。しかし一方では、ジェット機の就航が可能となり、入込客は昭和50年に比較すると、船が2分の1に,飛行機が2.3倍となり、完全に空路優先となっています。時間短縮効果は大都市圏からの誘引効果を高め、ゴルフ客や冬場のスポーツ合宿等の新たな客層の需要開拓につながっています。奄美には生活に根ざした独特の伝統文化が残っており、島唄は、集落に伝わる民話を唄に託したもので、三線の音色に誰ともなく輪ができ、居酒屋では遠来の客も時を忘れ、島唄の調べに宴が盛り上がってきます。50才の時奄美に移り住み、清貧で孤高な生き方を通した田中一村は、奄美の自然をこよなく愛し、絵筆でその美しさを表しており、彼の魂の鼓動が聞こえる奄美パークは、島のシンボルといえる建物です。
また、奄美群島は、太陽に輝くエメラルドグリーンの海や珊瑚礁に色とりどりの熱帯魚が遊泳し
、ダイバーを楽しませてくれます。歩けばサクッサクッと音がする白い砂浜を、ソテツやアダンの並木が取り囲み、海の青とのコントラストが映えて一段と美しく、誰もが感動します。金作原原生林には、巨大なシダ、ヒカゲヘゴが育ち、ルリカケスやオオトラツグミ、アカヒゲ、オオゴマダラが生息しており、これら貴重な動植物が織りなす幻想的な大自然は、「東洋のガラパゴス」と呼ばれています。
環境省は、国の天然記念物アマミノクロウサギなど固有種が生息する奄美群島を新たな国立公園候補にあげ、早ければ2011年度の指定を目指しています。 奄美群島は沖縄に比べて手つかずの自然が残っており、稀少種が生息し生物の多様性が世界的な価値をもつと言われています。そして今回国立公園候補地になったということは、世界自然遺産登録への条件整備が進むことにもなり、大きな意義があります。海、山、川の自然生態系に癒される奄美を、皆さんで応援し、1日も早く元気な島を取り戻して欲しいと願うばかりです。
2010年10月25日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
来年3月12日に九州新幹線は全線開業しますが、JRグループでは、来年秋のデスティネー
ションキャンペーンを熊本・宮崎・鹿児島の三県を対象に実施することを決定しています。
そこで今月の27日に全国宣伝販売促進会議を開催し、旅行エージェントを招聘して、観光施設の売り込みや現地研修を実施し、今後の商品造成に繋げようとするものです。今回の会議には、全国エージェント、JR関係者、三県観光関係者等約400名が参加します。
12月4日に東北新幹線が新青森まで開通し、次の話題は九州新幹線の全線開業です。三県にとって今回の会議は、自分の地域を売り込むチャンスであり、開業後の商品造成や継続的な誘客を図るための、人間関係づくりにもつながると思います。
鹿児島県は、南北600キロにも及び、歴史、温泉、景観、食など魅力ある観光素材にこと欠きません。県では新幹線開業効果を県下全域に広げる取組として、「増やす」、「広げる」、「活かす」視点で取り組んでいます。主要な取組をあらためて紹介します。
「増やす」取組は、県内への交流人口を増やすことです。 主な取組としては、関西・中国地方に“鹿児島ブーム”を巻き起こすことを主眼に、知事のトップセールス、新大阪駅でのサインボード広告の設置や、全国主要駅1350箇所での5連ポスターの掲示、「鹿児島さくらWeek」の開催などで認知度向上図ってきました。また、ロゴマーク・PRポスター等の制作、全線開業のホームページを開設し全国に向けたPR態勢づくりに取り組んでいます。さらに、鹿児島観光ボランティアガイド連絡協議会の設立や、「かごしま地産地消推進店」の登録、「温泉・銭湯を生かしたまちづくり」の推進のための温泉マップの作成を行うなど、魅力あるまちづくりの推進やその紹介も行っています。
「広げる」
取組は、増えた交流人口を各地域に広げることです。 主な取組としては、終着駅鹿児島中央駅のターミナルとしての拠点性を高めることです。公共交通総合案内システム(交通ナビかごしま)の整備や、鹿児島中央駅〜鹿屋間の中央バスの運行等が進められています。また、“途中でとぎれないサイン”を整備する目的で、魅力ある観光地づくり事業を進め、県内各地で街並み整備、沿道修景、案内標識整備等を推進してきました。
“かごしまの路地裏”を創り、一歩奥へ案内する事業では、交流拠点として「肥薩おれんじ鉄道」の駅の魅力の発信のほか、甲突川リバーサイドウォークの整備が鹿児島市を中心に進められて中央駅周辺の散策コースができ、観光客の待ち時間の解消になるのではないかと期待がかかります。
「活かす」取組は、増えた交流人口を地域の活性化に活かすことです。主な取組では、求心力のあるイベントの創出です。「全線開業関連イベント」を開催することで、観光客の誘致や県産品の販売促進など様々な効果を県内全域に波及させることを目的としています。また、開業の最大のイベントが、「第28回全国都市緑化かごしまフェア」の開催です。現在多くのイベントに参加して、そのPRに努めていますが、県民の皆様にも前売券の購入に協力してもらいたいものです。
次に既存産業の交流産業化の促進です。本格焼酎「蔵元巡り」の実施による地場産業への理解促進や、かごしまグリーン・ツーリズムネットワーク機能強化等を進めています。
特に県外中高校生の修学旅行誘致には、農家民泊などの需要が高まっており、条件整備も急がねばなりません。新幹線の乗車率の向上には、修学旅行生の安定的確保が一番です。
訪れた観光客に、「本物」を提供する仕組みづくりにも取り組んでいます。「かごしまの新産品コンクール」や「地域特産品コンクール」を開催し、誘客促進や地場産業の活性化を図っています。「活かす」取組の成果が、地域に大きな経済効果をもたらし、新たな事業展開にもなります。各振興局や自治体でも、新しい食のブランド化や着地型メニューの開発など独自の取組を行い、新幹線開業効果を地域にもたらす取組を推進しています。
様々な取組が相乗効果をもたらし、新幹線開業の認知度アップ、地域の活性化、その後の永続的な観光客誘致に結びついて行くことが最大の目的です。
今回のDC会議は、三県が協力して観光ルートの設定や魅力をPRする良い機会です。遠方か
ら来る観光客は、広域に回ります。熊本からSLに乗り換え、川線の魅力に堪能しながら人吉へ、そして「いさぶろう号」でスイッチバックの軌道の山線に入り、日本三代車窓を見ながら吉松へ、「はやとの風」に乗換え鹿児島へ行くコースなどは、三県をまたぐ代表的なコースです。また、出水と長島・牛深との連絡バスの運行、出水と水俣の教育旅行や食、ウォークのイベント、霧島市を中心とした環霧島会議やジオパーク構想の推進、日南と志布志による日南線の活性化など、県境を越えた連携が進んでいます。三県で連携し、北部九州に流れている観光客を呼び込むことが、何よりも問われています。
新幹線の停車駅について、熊本県、鹿児島県とも要請活動を展開してきましたが、20日にJR九州から、新大阪から最速の「みずほ」が、鹿児島中央まで3時間45分で朝夕4往
復することが発表され、安堵している方が多いと思います。しかし鹿児島としては、鹿児島中央駅発・着の乗車率を高めることが重要であり、そのことが増発などにつながると思います。沿線の出水、川内でも観光客誘致だけでなく、一方では修学旅行や地域の団体の新幹線利用を増やし、地元発の利用度を高めなければなりません。
今までの新幹線開業では、一年目は観光客が増えますが、翌年から苦戦を強いられています。観光客を維持するためには、県内全域へ広げる取組が欠かせません。四季折々の魅力発信、来訪時の過ごし方、食の魅力等の提供が必要です。そして何よりも大切なことは「おもてなしの心」です。観光客に「満足」ではなく「感激」、「感動」を与えなければリピート客は増えないと思います。
DC会議で訪れたJR関係者、エージェントの皆様が鹿児島に対して良い印象をもっていただき、多くの新しい旅行商品が造成されることを期待したいものです。
2010年10月18日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
今年3月の東京での開催に引き続き、「つなグッド!青森・鹿児島」〜東北・九州新幹線全線開
業共同キャンペーン〜の青森・鹿児島「2倍満足フェスタ」が、今月の8日に大阪のホテルで開催されました。青森県からは三村知事が、鹿児島県からは岡積副知事が壇上に登り、互いに握手して共同キャンペーン宣言を行い、それぞれの県のお国自慢のPRをおこないました。
東北新幹線は、2010年12月4日に新青森まで、九州新幹線は、2011年3月12日に鹿児島中央まで全線開通し、日本列島が北から南まで1つのレールで結ばれます。
青森県は、三方を日本海・太平洋・津軽海峡に囲まれ、うち懐には陸奥湾という穏やかな内海を抱き、寒流と暖流が織りなす海々は、多様で豊富な魚たちの宝庫となっています。
また、背後には八甲田連峰や世界自然遺産の白神山地、そして津軽の霊峰岩木山を擁し、そこか
らは清らかな水の流れが生みだされ、それが豊かな川の流れとして大地を潤し、多くの実りをもたらしてくれます。
豊かな恵まれた自然環境の中で、「にんにく」、「ながいも」、「ごぼう」などの野菜、「りんご」、「さくらんぼ」、「西洋なし」などのくだもの、「ほたて」、「いか」、「まぐろ」などの海産物、おいしい「青森米」や「初雪たけ」と呼ばれる「なめこ」が育ち、四季折々に訪れる旅人を、美味しい郷土料理でもてなしてくれます。
両県の地図を比較すると、類似点が多いのがわかります。青森県は、陸奥湾を囲んで、下北半島と津軽半島が、鹿児島県には、錦江湾を囲んで、大隅半島と薩摩半島があり、両県の半島の外側は、2つの海流が流れ豊穣な海となっています。
また、三内丸山遺跡と上野原遺跡は共に縄文遺跡群であり、白神山地は、世界最大級(13万ha)の原生ブナ林が、屋久島には、樹齢7千年にもなる縄文杉などがあり、2つの地域は同時に、日本で初めて世界自然遺産に登録されました。国立公園としても、十和田・奥入瀬・八甲田地区が、鹿児島は、霧島・屋久島地区があり、温泉が豊富なことに加え、山岳公園としての魅力を併せ持っています。
青森県は、津軽地方の伝統的な楽器である津軽三味線の競演会や、東北四大祭りの一つである「青森ねぶた祭り」が開かれ、特に夏場には全国から多くの観光客が訪れます。
「斜陽」、「津軽」、「人間失格」などの小説を発表し、昭和を代表する作家である太宰治は、金木町(現在五所川原市)の出身であり、生家は太宰治記念館「斜陽館」として一般公開さ
れており、全国から多くの文学ファンが訪れ、その人気は衰えることはありません。
また、例年4月の下旬に満開となる弘前城のしだれ桜は、背景に雪を頂いた岩木山やリンゴ畑を仰ぎ、その景観は必見の価値があります。夜桜見物も多くの観光客で賑わいます。
青森県は冬の寒さが厳しく、その時期は観光客誘致には必ずしも恵まれているとは言えません。従来からストーブ列車の運行などで冬場の誘客を図っていましたが、最近では、「十和田湖冬物語」というイベントを開催し、冬ねぶたと花火の競演、「津軽ひろさき冬の旅」では、津軽三味線酒場ライブや弘前城ライトアップと雪灯籠など冬の魅力を前面に、人々が交わる新しい旅のスタイルを提供し、誘客に努めています。
気候が温暖で、1年中観光客の誘致に恵まれた鹿児島にとっては、学ぶべき点が多いと思います。
今回北と南が1本のレールでつながることにより、日本を縦断するツアーも生まれるのではな
いかと期待がかかります。今年の3月、東京での九州観光推進機構の説明会の折、九州新幹線の開業日に、新青森発鹿児島中央行きのツアーを造成したいというエージェントの担当者もいました。実現できれば大きな話題となると思います。
南九州市の知覧町では、夏の風物詩「知覧ねぷた祭り」が開催され、街の大地を揺るがし熱く燃え上がる祭りに、県内外から多くの観光客が訪れました。このねぷたは、南津軽地域にある平賀町(現在は平川市)の協力で開催できる祭りであり、知覧での開催は、今年で15回目になります。今後新幹線がつながるという魅力を、観光客誘致だけではなく、北と南の端という地理的条件の違いで生まれた伝統文化の交流に繫げたいものです。また、雪の降る津軽の冬と、真夏の南国の海を体験できるなど、季節感を加味した青少年交流もはじめたいものです。
最後に新幹線の開業により日本の南北が結ばれ、新たな終着駅が誕生したという話題性が全国にPRされ、交流人口が増大して経済的効果をもたらし、さらに地域の発展の起爆剤になることを望みたいものです。
参考:青森うまいものたち:青森県農林水産部総合戦略課発行
2010年10月11日
鹿児島県観光プロデユーサー 奈良迫英光 宮崎県
で発生した口蹄疫の影響により、観光客の減少等の打撃を受けた県内主要観光地への誘客を促進するための緊急対策として、キャンペーンを実施することになりました。 本県への誘客を促進するため、下記期間に本県に宿泊した県外在住観光客に対し、抽選で特産品をプレゼントするキャンペーンを実施し、誘客を促進するものです。
選びいただけます。また、これらの抽選にもれた方にも「鹿児島黒牛、黒豚」の肉を、再度抽選して提供します。
告知強化のため、有力なWEBサイトと連携した事業を展開することとします。
口蹄疫の発生後、県内では風評被害で修学旅行の延期や企画商品の取消し、各種イベントの中止による旅行手控えなどの影響もあり、7月の宿泊実績は、県内全体で20%近くダウンしました。(実績は、鹿児島県調査)
鹿児島県は、宮崎県に比べて宿泊施設が多く、部屋数は2.5倍以上あり、被害額も大きくなっています。県外観光客が周遊し宿泊する霧島地域と指宿地区は特に影響が大きく、7月の宿泊実績は30%近くダウンしています。そこで霧島市は、「いざ霧島!!100万人キャンペーン」を、指宿市では、「いぶすき絆プロジェクト」キャンペーンを展開しています。秋の旅行シーズンを迎えることもあり、今回のキャンペーンでは、それぞれの地域の観光施設や
商店も巻き込んで、魅力ある地元の素材を県外の方々にPRすることで、誘客を図る努力をしています。 今回は、来年3月に迫った新幹線開業を見据え、鹿児島の魅力を再認識させる取組と位置づけ成果を積み上げ、「一気にかごしま。」のPRを徹底し、本番に繫げたいと思います。
2010年10月4日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
九州新
幹線全線開業を半年後に控え、鹿児島の今後の観光を担う人材の育成と地域づくりを目指し、「第3回かごしま人材育成塾」を11月17日(水)〜18日(木)開催します。
今年は九州新幹線の全線開業を意識して、新幹線がもたらす影響や今後の地域づくり、商品づくり、増加する県外観光客に対するおもてなしの態勢づくりなど、取り組むべき課題について7講座を開催します。 講師と講座の内容について簡単に紹介します。
2講座は、オフィスフィールドノート代表取締役の砂田光紀氏が「観光の原点〜ドラマを生む素材と思想〜」について語ります。砂田氏は鹿児島の出身で「笠沙恵比寿」、「知覧ミュージアム」、「仙巌園」等をプロデュースされ、感動を共有できるまちづくりを基本に、地域の素材を磨く、活かす発想で公共空間の創造をしておられます。「九州遺産」の著者としても知られ、肥薩線100周年の歴史遺産の価値創造にも寄与されています。新幹線開業で人の流れが変わる鹿児島のまちづくりのヒントが得られるものと思います。
第3
講座は、「おもしろ旅企画ヒラタ屋」の平田信也氏の「選ばれる観光地、施設とは」です。自ら添乗した経験のなかから、観光客に受け入れられる魅力ある地域、施設とは何か、また、究極のおもてなし等について本音の話が聞けると思います。平田氏は国内外の旅行を企画し、自ら添乗も積極的におこなっています。彼のユニークなトークと変身術を駆使してお客様を感動させ、今や2万2000名の「ファンクラブ」を持つ、まさに「カリスマ」です。90分の話に飽きることなく「おもてなしのこころ」を体得できると思います。
第
4講座は、(財)飫肥城下町保存会の郡司均事務局長が、「賑わいと営みを復活させた飫肥城下町のまちづくり」について語ります。飫肥は九州で最初に国の「伝統的建造物群保存地区」に選定され、飫肥城は全国100名城に選ばれています。これまで低迷していましたが、最近では急激に観光客が増え、その取組が話題となっています。今地域の活性化の取組として注目をあびているのが、「食べあるき・町あるき」事業です。地域の商店を取り込んだチケット販売の発想と、定期的イベントの仕掛けによる誘客は、まちづくりの参考になるものと思います。
時の鹿児島中央駅の初代駅長となり、同駅を九州管内の駅で「おもてなしNO1の駅」に育てました。今回で3回目になりますが、自らの経験にもとづいた話は、時には熱くなり、涙を交えることもあり参加者の感動を呼びます。今回も熱き語りが楽しみです。
どの講師もそれぞれの部署で活躍され、経験とそれに裏打ちされた話は、皆さんの心に深く刻まれると信じております。また、夜学塾は、参加者同志や講師陣とのコミニユケーションの場であり、講座で聞けないより具体的な方策が見つかると思います。
今まで人材育成塾を受講した方の多くが、それぞれの地域で頑張っていることは大きな励みになります。3回続けて受講を申し込んでいる方もいらっしゃいます。新幹線開業まで半年足らず、この講座が地域活性化の人材育成につながることを期待し、多くの参加者が集まることを期待します。
2010年9月27日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
初めて訪
ねた土地の空港や駅で、観光客が最初に利用するのがタクシーです。タクシーの乗務員が、帽子を取って名前と歓迎の挨拶をしたことで、旅先の第1印象が快く感じられた経験のある方は、多いのではないかと思います。 九州新幹線全線開業を半年後に控えて、タクシー乗務員の接遇アップを目的に、鹿児島県タクシー協会と共催して接遇研修会を開催しましたが、離島を含む県内全域から82社270名の参加者があり、業界の置かれた厳しさとともに、新幹線に対する熱い期待を感じました。今回の研修会は、日本観光協会九州支部の全面的な支援のもとに開催できました。観光鹿児島のマナー向上に役立つことと思います。
タクシー業界は、過当競争と需要の減少で各社とも厳しい状況にあるのは、周知のとおりです。新婚旅行の全盛期であった昭和46年頃から55年頃までは、大安の翌日の鹿児島空港は、新婚客の迎えのタクシーであふれていました。その後行く先が海外へ移り、タクシー観光は激減しました。その後バブルの到来で、ゴルフ客や企業の報奨旅行が増え、需要が復活しましたが、長くは続かず、規制緩和等で新規参入業者も増え過当競争に拍車がかかり、乗務員の売り上げも半分程度に落ち込む等厳しい環境にさらされているのが現状です。
クレームも多く寄せられています。釣り銭が少ないので指摘すると恫喝された。急用で乗車し近距離を詫び
たにもかかわらず、下車するまで無言であった。急発進、急ブレーキを掛ける乗務員が多い。外国人からは、パンフに掲載されている料金より高く請求されたなど、苦情が絶えないのも事実です。
一方、見知らぬ土地で友人のお墓を探し当ててくれた親切な運転手、急病で倒れた家族を病院まで運び、抱えて診察室まで連れ添ってくれた人、観光地の歴史や人物について造詣が深く、プロ顔負けのガイドをし、道中飽きさせることなく過させてくれた名物ドライバー等、心温まる便りも寄せられています。
来年3月12日に九州新幹線が全線開業します。100年に一度のビッグイベントに、多くの観光客が訪れるものと期待が高まっています。観光客が利用する機会の多いタクシーの接遇アップも欠かせません。利用客の満足度を高め、また来たいと思わせるためには、鹿児島のタクシーは親切でおもてなしの心に優れているということを、業界あげて取り組まねばなりません。
その方
策等についてJALアカデミーの川崎美紀さんを講師に研修会を開催しました。
豊かな表情を身に付けるための訓練、身だしなみ、接客用語の使い方、接客動作、障害を持つお客様の接客、苦情への対応など3時間にわたって、きめ細やかな研修会となりました。参加者は、お互いに向き合い挨拶の仕方の実践を繰り返すなど、講師の指導にまじめに対応していました。参加者のアンケートを見ると、参加している運転手からは、「観光客には親切に対応している。ここに来ていない人が問題である。」、「クレームが発生したら会社名を公表して欲しい。」など厳しい指摘がありました。親切な運転手が多いにもかかわらず、一部の人の応対が鹿児島の印象を悪くしていると感じました。
今後乗務員の皆さんにお願いしたいことは次の事柄です。
・服装は清潔に、髪は整える。
・乗車されたら帽子を取って挨拶し、名前を名乗る。
・お客様に積極的に話しかける努力をする。
・日頃から、鹿児島の名所・旧跡や飲食店、旬の情報を知る努力をする。
・下車するときは
、きちんとお礼の挨拶を心がける。
・できれば名刺を渡し、定期的な顧客につなげる。 ことなどが大切なことです。 会社では、経営者自らが先頭に立って、マナー向上に努めることが大切なことです。
・最近は、WEBでの照会も増えており、とっておきのコースの造成や宿泊機関、エージェントとのタイアップも求められています。
・優良な運転手を確保するには、福利厚生の充実など労働条件整備も不可欠です。
北海道では、接遇マナーの研修や試験を行うなどして、おもてなしの向上を目指して「北海道観光おもてなしタクシー乗務員認定制度」が導入されました。接客マナーなどタクシーの差別化を明確にするための取組と言えます。
また、都内のホテルでは運転手のマナーが悪い会社は、乗り入れを規制しているホテルまであります。
アメリカの心理学者メラビアンは、人物の第一印象は、初めて会った時の3〜5秒で決まり、また、その情報の
90%が「視覚情報」から得ていると言っています。初対面の人物を認識する割合は、「見た目/表情/しぐさ/視線等」の視覚情報が55%、「声の質/話す速さ/声の大きさ/口調/等」の聴覚情報が38%、「言葉そのものの意味/話の内容等」の言語情報が7%と言われています。つまり表情の大切さが、問われています。笑顔をいかにお客様に提供できるか、キープ・スマイリングがいかに大切かわかります。自分に笑顔ができない人は、お客様に笑顔を提供できないと思います。相手が喜んでくれることを率先してやり、それがまた自分の喜びにもつながると思います。
九州新幹線で増加する観光客が、タクシーを利用し、鹿児島に行ったら○○タクシーの乗務員はみんなすばらしいといわれるように、多くの会社が努力されることを期待します。
2010年9月20日
鹿児島県観光プロデユーサー 奈良迫英光
新
しいかごしまの黒「黒さつま鶏」が誕生しました。9月13日、鹿児島市内のホテルで、県関係者、農協、ホテル、飲食店、マスコミ関係者など多くの参加者を集めて試食会が開かれました。料理は、煮物、鶏刺し、唐揚げ、しゃぶ、ロースト、マリネサラダ等幅広く、和食、洋食合わせて10のメニューが用意され、出席者は新しい食材を堪能していました。 「黒さつま鶏」は、江戸時代より古くから観賞用、闘鶏用として主に鹿児島県内で飼育されてきた天然記念物「薩摩鶏」と、明治以前国内に伝わった在来種「横斑プリマスロック」をかけ合わせて作られた新しい地鶏です。
「黒さつま鶏」の特徴としては、
・在来種由来100%の地鶏では発育が良い。
・筋繊維が細かく、歯切れの良さと適度な歯ごたえがある。
・脂肪分が多い。
・うま味成分のアミノ酸含量が多い。
・肉色は黄身がやや強い。
・幅広い料理に対応できる。等があげられます。
鹿児島県地鶏振興協議会では、「黒さつま鶏」を全国的に宣伝し、優位な生産・販売体制を確立するため、ロゴマークを製作し、商標登録も行っていま
す。ロゴマークのコンセプトは、「鹿児島の黒シリーズ」や、一目で鹿児島をイメージでき、広く一般に親しまれるものとなっています。また、九州新幹線の全線開業に向けて、23年2月から鶏肉の先行出荷が始まりますが、本格的には8月以降となり、23年度は50,000羽の鶏肉の出荷を予定しています。
ところで、新しいかごしまの「黒」が付いた「黒さつま鶏」をいかに浸透させるかが課題です。販売の拡大とPR戦略が重要だと思います。
まず、従来の地鶏とどのように違うのか、誕生までの履歴など消費者への説明が必要かと思います。そのことが新品種の価値を高め、価格的にもプライオリティが発揮できると思います。
次に、
いかに消費拡大を図り増産につなげるかです。まず県民に「黒さつま鶏」の美味しさの魅力を伝え、家庭での消費を増やすことが重要です。料理メニューの提供を含めて女性層への関心を高めなければなりません。また、家政学部系の先生の協力を得て、授業の中で「黒さつま鶏」に関するカリキュラムを組んでいただきたい。研究者としての顔だけではなく、一消費者としての視点でもとらえてくれるのではないでしょうか。
取り扱う飲食店や宿泊施設を増やし、お品書きの中で説明を加えることが大切であり、また、調理専門学校での実習やメディアの料理番組での紹介が波及効果をもたらします。学校給食に出すことで食育効果も上がり、子供にとっても「黒さつま鶏」に親しみがわいてくると思います。
やはり、地元での盛り上がり、浸透がなければ、ブランドとして定着させることは厳しいと思います。いままでの薩摩鶏より高級感を出したメニューを提供し、より差別化を図ることで価値も高まると考えます。
一方、県
外向けの宣伝の仕方にも工夫が必要です。「黒」と言えばかごしま産、と言うイメージが定着しています。大都市圏では、「かごしま黒豚」、「鹿児島黒牛」と並んで「黒さつま鶏」を一緒にPRすることが、より認知度が高まると思います。また、同じ環境の中で育てられたことが安全・安心ということにもつながります。
九州新幹線全線開業まで6か月となりました。観光地を訪れる選択肢の一つに、「食」の魅力があげられますが、「本物。鹿児島県」に「黒さつま鶏」の新しい魅力が加わることになります。
家庭や、県内外のホテル飲食店で「黒さつま鶏」を使ったメニューが並び、その魅力が浸透していくことを期待します。
参考:黒さつま鶏: ―鹿児島県地鶏振興協議会―
2010年9月13日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
桜島の噴火が
783回(9/8現在)となり、今年は1000回を超すのではないかと予想されています。噴火のたびに、鹿児島市内や周辺の街に大量の火山灰が降り、市民はその処理に頭を痛めています。
一方、鹿児島を訪れた観光客は、桜島の噴火に遭遇すると、もくもくと上がる噴煙のスケールの大きさに一様に感嘆の声を上げます。特に外国人は身近で見られる光景に、驚いています。
桜島への観光PRについて、桜島の噴煙が写っている絵を載せることに否定的な声が聞こえてきます。理由を尋ねると噴煙のシーンは危険であり、観光客の誘致にマイナスになるという答えが返ってきます。
改めて、桜島の魅力と情報発信の在り方について、考えてみたいと思います。
桜島の現状については・桜島は火山活動による三分類では、Aランクに属する最も活発な活火山である。
・噴火が日常
茶飯事に起こっているが、厳しい生活環境の中でも約5,800人の住民が桜島には住んでいる。
・島の85%が「霧島屋久国立公園」となっており、限られた農地では「桜島大根」、「桜島小みかん」、「ビワ」などの農産物が収穫されている。
・爆発とメディアで報道されると、古里温泉では宿泊のキャンセルが発生する。観光に支障のないことは、ホームページ等で発信しているが、危険と感じている。
・多くの観光客に驚きと感動を与えているが、PRポスターには意外と桜島の噴煙を写したものが少ない。
・桜島定期観光バスの乗車人員は、市内・桜島コースが13,381人、桜島自然遊覧コースが10,937人であり、鹿児島市を訪れた観光客の総数が902万を超えていることを考えると、わずか2.6%であり意外と観光客は桜島に渡っていない人が多い。(平成20年の統計)
桜島には山の魅力だけでなく、湯之平展望所、有村展望所、戦争遺産、叫びの肖像、埋没鳥居、林芙美子や梅崎春生の文学碑など観光名所が多くあるのに、その魅力が意外と県外の人に伝わっていないのではないかと思います。
今後の桜島の観光振興と情報発信の在り方については、次のように考えています。
・噴火は現実
問題として捉え、桜島を1つのフィールドとして位置づけ、常に厳しい自然と対峙している島民の暮らしにもっとスポットを当てるべきである。
・桜島には多くの住民が住んでいることの誇りを大切にし、観光客を増やすことで地域に経済的効果をもたらすことが重要である。
・桜島の特産品である「桜島大根」、「桜島小みかん」、「びわ」等の収穫を観光客に体験してもらうことで、厳しい自然と共生している島民の生活、文化に触れることになる。
・「桜島ビジターセンター」、「桜島国際火山砂防センター」は生きた火山を学ぶ教材として教育旅行に活かす。また、避難シェルター、ヘルメット通学など、現在ではきちんとした安全対策が施されていることを前面にPRすべきである。
・多くのジオガイドの養成を図り、溶岩トレッキングなど新たな魅力発信も必要
・火山灰はやっかいなものから、小さな袋に入れて、身近な地球の贈り物としてプレゼントすることで桜島訪問の印象として残る。
・外国人は桜島が身近な場所にあり、しかも多くの住民が住んでいることに驚きの声を上げる。外国人が気軽に安心して観光できるよう外国語表記の更なる充実が求められる。
・サッカーやソフトボールなど子供のスポーツ大会を開催することで、大人も同行する機会となり、それに合わせた食のイベントなどを開き対岸の魅力発信に努める。
・桜島一周道路の整備や農業の降灰対策も桜島の振興には欠かせない。
桜島のPRの
仕方については、さまざまな方法があります。噴火している現実はきちんと伝えることが大切と感じます。噴煙を上げている姿が本来の桜島であり、そのことがイメージとなり、観光客の呼び水となります。そして来島した観光客を桜島の地産品の購入や、宿泊、休憩につなげることが経済的効果をもたらすと信じます。「NPO法人さくらじまミュージアム」では、「桜島まるごと体験フェア」を今年から始めており、桜島を生きた教材として活用しています。桜島の噴火を負の遺産として捉えるのではなく、プラスに変える取組が必要です。
「よりみちクルーズ」も始まり、新たな桜島の魅力発信につながると思います。 桜島は今日も噴煙をあげています。九州新幹線全線開業まで6か月、噴煙を上げる生きた桜島をもっとPRし、多くの観光客を呼びたいものです。
2010年9月6日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
鹿児島で
海外留学を目指す学生が教育を受けている「iBS外語学院」の創立30周年の式典に参加しました。南学院長はこれまで、観光功労者の九州運輸局長賞と日本観光協会九州支部長賞、鹿児島県観光まごころ県民運動会長賞を受賞されており、鹿児島の観光振興や人材育成にも大きく貢献されています。特に、海外クルーズ船の受入対応や外国人向けガイドなど国際交流に大きな功績を残されています。
全国展開している外国語のスクールが経営破たんに追い込まれましたが、利益確保のための人集めに奔走し、本来の外国語教育の理念をないがしろにしたのではと思います。
才で最年少の長沢鼎は、アメリカに渡りぶどう酒製造に新生面を開き、ぶどう王と言われました。 ところで今、世界の大交流時代が始まっていると感じます。8月末に4日間、知事のミッションで上海に行ってきました。30数年前から中国には行っていますが、中国の発展振りには、目を見張るものがあり、昨年行ったときと比べて一段と街の動きの変化に驚かされます。次々と日本の商社や企業の進出、自治体の事務所設置などが続いており、日本人在住者もニューヨークを抜いて上海が1位となり、10
万人を超えています。私が驚くのは若者の意識の変化です。多くの人が日本語、英語の外国語を学んでおり、積極的に海外の政治、経済、歴史、文化等に目が向いていることです。中には日本から学ぶべきものは吸収した、次は他の先進国を学びたいと言っていました。つい数年前までは、中国に対して理解不足の点が多く、足が一歩引いていたのではと思いますが、中国の若者たち
は、いまや日本を追い越し、世界第二位の経済国家としての誇りを感じています。iBS外語学院は、今年30周年を迎えられましたが、企業においては30周年が節目の年といわれます。30年を境に伸びる企業、衰退していく企業が多いからです。iBS外語学院が30年を機に益々積極的な姿勢で業界をリードされ、社会・地域に新たな風を吹き込んでいただくことを期待します。
参考:レポート「薩摩藩英国留学生」より
2010年8月30日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
中国産ギョ
ウザへの農薬の混入、ラベル張替えによる産地や日付の偽装など食の安全をめぐる報道が目に付きます。かつて問題となったBSEや食の大量廃棄なども、本質的には日本の食料問題に関することがらです。今まさに
食の安心・安全が問われており、日本の農業の在り方が問われています。旅行の途中に気軽に立ち寄れる「道の駅」が注目されていますが、道の駅の食材は、生産者の顔が見えることが購買者の心を捉えていると思います。顔写真が掲示されており、産品に作り手の熱意が感じられ一層親近感が高まります。ところで、団塊の世代の大量退職時代を迎え農業に関心を持つ人が増え、田舎暮らしを希望する人も増えています。貸し農園や果樹などのオーナー制度を導入する地域も増えており、食と農の在り方について見直しの環境が整いつつあると思います。
い環境を整備することが必要です。簡単な植え付けはやるけれども、日々の管理は農家に委託し、収穫作業は楽しんでするなどレジャー感覚で取り組んでいる人もいます。今農協の直営店舗である大分県大山農協の「木の花ガルテン」が話題となっています。福岡市に2店舗、大分県内に6店舗営業しており、形態も「農家もてなしバイキング」と農産物直売所の両方を兼ね備えている店舗3軒と、農産物直売所のみに別れています。特
に大山町の本店は、近くを流れる川や木々の緑が美しく、景観に配慮し、店舗に観光客が立ち寄りたくなる雰囲気づくりがなされています。また、地域の特産品を加工した調味料や梅製品、ジャム、ジェラードなどを販売しており、地域を感じる品揃えがなされており、通信販売に活かされています。 福岡県
岡垣町にあり「グラノ24K」が経営する「ぶどうの樹」は、農場の中にレストランを併設し、農園の中で結婚式やパーティを実施するなど多角的経営で話題となっています。自分の農場や近くの農家で収穫された農産物を積極的に取り入れ、パン、ハムソ−セージの製造、レストランでは定期的なメニューの入れ替えに農家の意見を反映させるなどお客様に対する安全・安心だけでなく、また地域全体の繁栄に主眼をおいています。
2つの会社に共通していることは、安全・安心の地域の産品にこだわっており、周辺の農家とともに地域全体の繁栄を目指して行く姿勢が明確です。特に「こだわりの商品」など地域ならではの商品開発に力を注いでいます。
鹿児島では新たな取組みとして、グリーンツーリズムへの動きが活発となってきました。平成23年度には、県外から1万人を超える学生の農業体験と民泊の予約が入っており農村の振興にもなると思います。新たな農業へのチャレンジとして、農業公園の設置や古民家を活用した農家レストランを始める人も出てきています。農村との都市との交流の機会が活発となり、活力ある地域づくりに寄与することを信じてやみません。
2010年8月23日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
ナポリ通
り沿いの甲突川右岸緑地等において、「“今の鹿児島”を体感!にぎわいの交流空間“ナポリ広場”の創造」を基本コンセプトに、市民や観光客が楽しく周遊・散策できるよう観光交流センターやオープンテラス等が整備され、8月4日に共用が開始されました。交流センター2階のテラスからは、桜島や甲突川沿いの緑、また夜間のライトアップも見ることができます。10月にはレストランもオープンの予定であり、女性が集まり観光客を呼び込む起爆剤にと期待が膨らみます。対岸にあ
り1994年4月に開館した「維新ふるさと館」は、鹿児島を代表する歴史資料館です。大河ドラマ「篤姫」が放映された翌年は、多くの観光施設の入場者が減少した中でも入館者が増加しており、根強い人気を誇っています。ところで甲突川
右岸緑地整備事業が完成したことで、中央駅を基点とする一つの観光のゾーンができたのではないかと思います。中央駅で下車した観光客は、今までシティビューに乗車して市内観光する人がほとんどです。これから新幹線の待ち時間に、ナポリ通りから甲突川右岸を散策し、交流センターで休憩し、南州橋を渡り「維新ふるさとの道」、「維新ふるさと館」、西郷隆盛や大久保利通の生誕地等を巡り、駅に戻る1時間程度のコースが人気を博すると思います。
ところで鹿児島市には、12の「鹿児島ぶらりまち歩き」コースもありますが、まず市民が参加し、わが街の魅力を知り語る必要があります。また、200名余りが登録している鹿児島ボランティアガイドさんの稼働率を上げるのも課題です。
鹿児島市は、加治
屋町一帯だけでなく、城山周辺、南州神社、磯地域、天保山海岸地区など、長崎に優る多くの魅力ある歴史遺産、観光施設等があります。12のコースに多くの市民が参加されることが、鹿児島の観光にとっても多くの宣伝マンを育てることになります。そして12すべてのまち歩きコースに参加者された方には、マスター賞などの称号を与えることで、励みと良い記念になると思います。市民の1%でもその称号を手に入れることで、鹿児島の観光に弾みがつきます。また、「○○サンと歩く」など常に話題を提供し、参加者の増を図らねばなりません。歩くことで日頃見えない鹿児島市の新たな魅力を発見することにつながり、また健康にもいい効果をもたらします。
来年の3月には、九州新幹線が全線開業し、終着駅効果で鹿児島市内には多くの観光客が訪れることが予想されます。案内所を訪れた観光客に、鹿児島の歴史をまず理解していただく場所として、今回整備された地域をPRしてほしいものです。新しい魅力が増えた甲突川河畔に、多くの観光客が集まる姿が浮かびます。温かいおもてなしの心をもって、観光客を迎えたいものです。
2010年8月16日
観光庁
によると、2009年の訪日外国人の総数は679万人で前年比18.7%と大幅な減少となりましたが、要因としてリーマンショックによる世界的経済不況、新型インフルエンザ等の影響があげられます。国・地域別で見るとアジア地域(韓国、台湾、中国、香港、タイ、シンガポール)から481万人と全体の70.9%を占めています。中国は、101万人で0.6%の伸びとなりましたが、他の地域は大幅な減少となっています。
ところで、鹿児島県を訪れる外国人は、韓国人が最も多く、次いで台湾、香港、中国となっており、
中国からの誘客が課題となっています。誘客については、定期的に韓国、香港、台湾、中国へのエージェントセールスを展開しています。鹿児島には、現在上海線が週2便、ソウル線が3便ありますが、台湾、香港はチャーター便に頼っているのが実情です。特に台湾については、定期便のある宮崎と連携した誘客が必要です。訪日旅行市場において、中国での最大のシェアは、華東地域(上海市、浙江省、江蘇省)です。7月中旬に中国の深セン、広州地域から誘致のため現地大手旅行社5社を訪問しましたが、各旅行社の日本担当者は、九州へは直行便が1路線(広州〜福岡)しかなく、しかも席数が少なくて料金が高く、ツアーの設定が難しいと語っていまし
た。広州地域からの九州への誘客は当面厳しいと捉えており、本県から距離的にも近く、定期便のある上海からの誘致を強化すべきと考えます。
現在福岡を訪れた外国人の次の訪問先は、長崎、大分、熊本の隣県に集中しており、要因としては、JRや高速道路を利用して2時間程度で行ける利便性にあります。長崎にはハウステンボスが、大分には人気の湯布院があり、熊本は阿蘇など話題に欠きません東アジアの観光客の主流は2泊3日であり、「福岡」+「熊本・阿蘇」+「湯布院・別府」のゴールデンコースに人気があります。幸い、来年3月に鹿児島まで九州新幹線が全線開通し、博多と1時間20分で結ばれます。
鹿児島県としては、
、今の中国人の旅行スタイルを見ると、その時代を彷彿させているようです。
2010年8月9日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
7月
30日に発表された6月の観光動向調査によると、県内主要ホテル・旅館の宿泊客数は14万6400人で、前年同時期より11.5%減少しました。宮崎県で発生した口蹄疫問題が大きく影響していると考えられます。地区別では指宿地区、霧島地区が17%、鹿児島地区も8%の減少となっています。特にゴールデンウイークの大型イベントの中止や入園施設の閉園が続いたことが、人の移動の制限になりました。宿泊を伴う旅行だけでなく日常の経済活動にも影響が出ました。
非常事態宣言の解除を受けて県では、観光客が落ち込んでいる地域の観光協会等の団体に対して、客を呼び込む活動経費などを助成することになりました。対象の経費は、リーフレットやノベルティの作成費用、キャン
ペーン特典経費、インターネット・文書発送等の経費、県外誘客活動の旅費・会場使用料などで、交付額は、1団体100万円が上限となっており、多くの団体に活用して欲しいと思います。
口蹄疫の風評被害が今回の落込みの最大の要因と考えられますが、通常時と変わらない鹿児島の観光地の現況についてあらためてPRするとともに、誘客促進を図らなければなりません。即効性のある商品の展開や延期になっている教育旅行を早めに実施することで回復機運が高まると思います。先日霧島市、姶良市、鹿児島市で撮影された大河ドラマ「龍馬伝」の新婚旅行等のシーンが、9月19日全国放映されますが、茶の間の話題となり、問い合わせも増加することが予想されます。ぜひ誘客の起爆剤にしたいと思います。
宮崎県では、対策として宿泊した県外観光客を対象に宮崎牛等が当たるキャンペーンなど
を実施していますが、鹿児島県では地域の連絡協議会や観光協会等の組織支援が中心となります。それぞれの地域の取組や安全面を強調することで、地域全体としてのPR効果を高めることが望ましいと考えています。サーズや新型インフルエンザ、家畜の伝染病が発生するたびに観光客はメディアの情報
に敏感に反応し、県内は観光客が減少していますが、終息宣言が出ると一気に回復してくるのが今までの傾向です。今回も回復にはそれほどの時間はかからないと思いますが、秋は全国的に紅葉、祭り、気候に恵まれ、一年で一番の観光シーズンとなります。通常でも需要が増加する時期であり、観光施設も供給には限界があります。口蹄疫で影響を受けた分をカバーするためには、施設によっては、シーズンオフとなる8月末から9月の中旬、12月に企画を集中させることも一つの方策と思います。
今回でも明らかになったように、消費者は安全・安心ということに敏感であり、また、隣県はもちろん、九州全体が口蹄疫に汚染されていると捉えているのではないか
と思われます。予約のキャンセルが6月以降急激に増加したことや、宮崎県や熊本県から入る観光コースが影響を受けたのもその例です。地域連携の重要性があらためて問われていると思います。
隣県ということで、本県の家畜が影響を受けることがないよう県境を中心として万全の防疫体制がしかれました。結果として発症家畜は出ませんでした。対策業務に従事された関係者に改めて敬意を表したいと思います。鹿児島の特産品である「黒牛」、「黒豚」は鹿児島のトップブランドであり、今回経済的に大きなダメージを受けたことは事実です。しかし「本物。鹿児島県」の信頼は保っていかねばなりません。これからも観光客に対して正しい情報を伝えることが何よりも大切ではないかと思います。
2010年8月2日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
NHKの大
河ドラマ「龍馬伝」の撮影が、霧島市、姶良市、鹿児島市で行われました。今回の
ロケは、霧島での龍馬とおりょうの新婚旅行の行動が中心です。ロケが実現したのは、伊藤知事をはじめ、鹿児島市、霧島市、鹿児島商工会議所、県誘致協、観光連盟などのNHKへの訪問など、日頃の働きかけの賜と思います。27日に行われた高千穂登山のロケは、県、観光連盟、霧島市のボランティアスタッフに加えて、NHKの撮影スタッフ合わせて200名あまりの協力のもと実施されました。スタッフ全員が高千穂河原に早朝4時に集まり、撮影は6時過ぎからスタートし、高千穂河原から高千穂峰の山頂までのシーン撮影が無事に終わり、高千穂河原に着いたのは夕日が沈む頃となっていました。登山道、山頂など足元の悪い厳しい自然環境の中で、無事に撮影ができたのも、ボランティアスタッフの協力あってのことと思います。
坂本龍馬と薩摩は、小松帯刀、西郷隆盛、吉井幸輔などを通して関係が深く、二人の霧島への旅行は、日本で最初の新婚旅行と言われています。慶応2(1866)年1月22日、京都の小松帯刀邸において薩長同盟が成立したその2日後、寺田屋で襲撃を受けた坂本龍馬は、手に傷を負い薩摩藩にかくまわれます。そして西郷隆盛などの薦めもあり、寺田屋のおりょうとともに鹿児島に向かうことになります。初めは鹿児島城下で過ごしますが、日頃から霧島の温泉の効用を知っていた小松帯刀らの助言により、ふたりはけがの治療のため霧島
への旅に出ます。日当山や塩浸、硫黄谷の栄之尾といった温泉を楽しみ、犬飼の滝や高千穂峰などの霧島の大自然にもふれる旅は、龍馬とおりょうの両人に深い印象を残したことと思います。二人の人生にとって霧島への旅行は、つかの間の休息であり、充実した時間ではなかったかと思います。
ところで、県内は宮崎県で発生した口蹄疫の影響等で観光客の減少という厳しい経済環境にありますが、宮崎県に隣接している霧島地域に特に大きな影響が出ています。県では、対策として観光関連団体が実施する事業への支援策を計画しており、一
日も早い回復を祈るばかりです。
2010年7月26日
鹿児島県
教育旅行受入対策協議会と観光連盟では、最近急激に増加している農業・漁業体験や農家民泊の課題について、受入側と送客側(エージェント)そして管轄する自治体など関係者の意見交換会を開催しました。
最近体験観光への高まりもあり、農家、漁協、地域づくりNPO法人、ホテル関係者、地域振興局、県の農村振興課、バス会社、旅行エージェントの担当者など70名が参加し、今抱えている問題点、今後の方向性について活発な議論が展開されました。
はじめに、県教育旅行受入対策協議会の中原幹事長から、県内公立高校の修学旅行復活の経緯や県外での誘致セールスの苦労話が披露され、教育旅行の重要性を改めて認識した出席者が多かったのではないかと思います。また、増加する農家民泊については、競合する旅館・ホテル関係者からは
、反対の声も上がっており、双方がウインウインの関係になるよう努力すべきとの話がありました。
旅行エージェントからはJTB、NTA、KNTの3社から担当者が参加し、学校現場の生の声として、民泊体験を希望する学校が増えていることや、受入地域の競争も激しくなり体験メニューの質が問われていること、コンプライアンスが求められていることなどが報告されました。また、九州新幹線の全線開業を控えて、行先を変更するなど南九州への関心が高まっているという嬉しい報告もあり、関係者は意を強くしていました。
受入をしている農家の方からは、専業農家は繁忙期の受入は厳しいが、早めに期日が決まり、受入人員、メニュー等の確認ができれば受け入れやすいという報告がありました。入込み時間については、午後体験メニューを一つ経験してから、夕食懇
談に入る方がより親密感が深まるとの注文もありました。着いた時は、よそよそしい生徒が、帰る時には涙を流してお礼を言う姿に感激し、受け入れて良かったと言う農家の話に、ホテル関係者は接遇のあり方を学びたいと話していました。
ところで、県内における農家民泊はここ3年急激に増加しており、来年度は延べ1万人を超えるものと思われます。鹿児島における農家民泊を最初から取り組んできた「エコ・リンク・アソシェーション」代表の下津公一郎氏によると、受入地域は南さつまから日置、さつま町、薩摩川内市、出水地区に広がっています。漁業体験の受入れで注目をあびている垂水地域でも、民泊の受入準備が進められています。下津氏は、これから大隅半島全体に拡大し、県全域での受入体制を確立
したいと語っています。
増加する民泊に対して、問題として提起されているのがコンプライアンスです。現在の受入家庭のほとんどが、旅館業法で決められた「簡易宿泊所営業」の許可を取っていないということです。
旅館業法では、人を泊めて宿泊代として収受できる業種として「ホテル営業、旅館営業、簡易宿泊所営業、下宿営業」の4つがあり、宿泊施設として営業するには、旅館業法による許可をはじめとして、建築基準法、消防法、食品衛生法等の様々な規制があります。ペンションや民宿は、簡易宿泊所営業の許可を取得しているケースがほとんどです。
現在体験民泊を受け入れている農家のほとんどが、簡易宿泊所営業の許可を取得していないため、宿泊代を請求できません。農業体験や農家の皆さんと生徒たちが一緒に食事を作るなどしたり、夜は農家の一室を借りて寝起きすることで、体験料として支払っているのが現状です。
大分の安心院や長崎の松浦の受入家庭は、簡易宿泊所営業の許可を取得しています。旅行エージェントの教育旅行担当者
からは、簡易宿泊所営業の許可を持っている施設が、学校サイドから求められる宿泊地としての条件であると話していました。2003年には、農林漁業従事者が営む農林漁業体験民宿の認可条件が、緩和されています。
現在は、体験型教育旅行の受け皿として農家や漁師の家を利用していますが、これからは、許可を持った施設を利用し、体験料と宿泊代をきちんと収受できることが条件になると思います。今は、県が作成した受入指針に基づき受入を行うということを必ず遵守しなければなりません。教育現場では、一旦問題が起こると厳しい対応が求められます。
自治体の担当部署に相談し、簡易宿泊所営業の許可をぜひ取得していただきたいと切望します。また自治体も許可取得の手数料を援助するなど、地域ぐるみで受け皿づくりに努めてほしいと思います。
九州新幹線全線開業でアクセスに恵まれる鹿児島へ、今まで来ていなかった地域から教育旅行を誘致し、ホテル・旅館と農家に1泊ずつ宿泊し、それぞれがウインウインの関係になることが重要ではないかと思います。体験メニューの充実を図り、農村・漁村で交流人口を増やし、物流を増加させることで、地域活性化につながることを期待します。
2010年7月19日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
来年
3月に九州新幹線が全線開業し、多くの観光客が鹿児島を訪れることが予想されます。県では、国内外から来られるお客様に対して、「鹿児島に来て良かった、そしてまた来てみたい」という印象を持っていただけるよう、県民一人一人が心を配り、「温かいおもてなし先進県鹿児島づくり」の実現に向けて「おもてなしセミナー」を県内7箇所で開催いたします。13日、第一回目のセミナーを鹿児島市の東急ホテルで開催し、バスの運転手、バスガイド、ボランティアガイド、お土産品店やホテルの従業員、タクシードライバー、外国語講師、観光案内所職員、自治体職員、エージェントなど多方面にわたり、参加者は200名にもなりました。
鹿児島県観光
交流局 福壽局長から、JR九州が主催する「南九州観光調査開発委員会」のホットハート南九州キャンペーンでは、鹿児島の観光施設や従業員が、表彰を受けている事例が、常に多いことが報告されました。さらに「日本一のおもてなし先進県を目指そう」という励ましの挨拶がありました。 今回のメイン講
師である西川丈次氏は、観光専門の経営コンサルタントチームを率いる業界のスペシャリストであり、かつて旅行会社の勤務経験もあります。講演は自ら訪れたホテル、レストラン、観光入場施設、案内所、タクシー会社などの接遇をつぶさに分析されており、いつも琴線にふれる話が多くあります。
DLの対応には疑問を感じる。子供を連れて良くTDLに行ったが、昔の写真は画像が、縦になってシンデレラ城全体が背景に写っている。最近のものは、横の画像が多くメインの城全体が入っていない。撮影を依頼したTDLの従業員(スタッフ)が、そこまでの気配りをしていない。写真を撮ってあげる行為が、作業になって仕事になっていない。慣れの怖さがあらわれている。いずれの話も自らの体験にもとづくもので、説得力のある話ばかりです。サービスを受
けるということは、今では当たり前の行為と消費者は捉えています。「サービス イズ アワ ビジネス」からホスピタリティへの取組強化を、経営者自ら実践し、おもてなしの心を職場、地域ぐるみで醸成していくことが重要です。 セミナー」を開催し、接遇のレベルアップをはかり、観光客を温かく迎える態勢を確立して行きたいと考えています。新幹線全線開業の機運も高まりつつあります。県内各地で多くの方がこのセミナーに参加されることを期待します。
2010年7月12日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
「九州クル
ーズシンポジウム」が、福岡市で開催され、パネラーとして参加しました。最近のインバウンドへの高まりもあり、自治体関係者、エージェント、ホテル、交通運輸機関、商工会議所、金融機関、教育、メディアなど多方面から300名が参加し、クルーズ誘致に対する関心の表れと捉えています。
南北600キロに延びる本県には、マリンポートをはじめとして多くの良港があり、クルーズ船の寄港には恵まれた環境にあります。2010年は、これまで最高の93隻の入港が予定されています。中心となるマリンポートには、51隻が寄港予定であり、内30隻は中国を発着するツアーとなっているのが特徴で、乗客の定員は52、700名にもなります。
クルーズ船の受入にあたっては、県、市、コンベンション協会、商工会議所、観光連盟で組織された「鹿児島海外観光客受入協議会」が、港での歓迎行事・観光案内等を行っているのが現状です。今後は、地元企業・市民など民間の参画を得ながら、もっ
と身近な組織として運営していくことが必要と考えます。
連盟では、増加する外国人観光客に対応するため、昨年度より外国人観光客受入推進員を3名(中国語、韓国語、英語)を配置し、状況調査による改善や多言語化等への取組を強化しています。また、ホームページの充実、通訳案内士試験セミナーや外国人観光客受入体制推進講習会の開催などを行い、県内各地の受入態勢の充実に努めています。今年2月には、外国人観光客の現状と展望、宿泊、観光、販売所等でのわかりやすい外国語表示の方法や接遇等についての講習会を開催し、昨年の倍の150名が参加しました。
3月25日には、中国人乗船客による天文館買物ツアーがはじめて実施されました。これまで中国人観光客が乗船したクルーズ船は、団体客の管理のしやすさ、大型バス
の駐車場の確保等の理由で、港の近くの大型ショッピングセンターでの買物ツアーが実施されてきました。受入協議会では1年ほど前から天文館での買物ツアー実現に向けて商店街、百貨店等関係者と協議、先進地視察(長崎市)を行うなど準備を進め、今回山形屋周辺部にバスの駐車場を確保できるようになったことで、安全・便利な乗降場所確保という課題が解決し、初めて中心街での買物ツアーが実現しました。今回の鹿児島寄港は、県上海事務所の船会社(ロイヤルカリビアン社)へのセールスの成果でもあります。
中心街での買物ツアーには、1400人もの中国人乗船客が参加し、4時間程度の滞在時間の内、買い物は90分程度と短いものでしたが、1400万円の売上げが、報告されています。沈滞気味の中心市街地が久しぶりに賑わい、あらためて中国人の購買力のすごさを感じました。しかし買い物は、百貨店、電気店、化粧品店などが主流であり、一部の商店は、売り
上げが期待したほどは無かったと語っていました。中国語による表示や品ぞろえなどが更に充実していれば、売上げは更に伸びたことでしょう。地域全体に経済的効果をもたらすことが一体感をもたらすことになり、中国を出発する前に、乗船客に市街地や商店の情報をいかに発信できるかが重要と感じました。
一方観光客からは、鹿児島の街はきれいで衛生的であると感嘆の声があがっていました。また、大島紬を着た方との記念撮影や市民とのふれあいが好評であり、やはり観光客は、買物だけでなく日本の生活・文化に触れることを期待していることが伺えます。
受入にあたっても、課題も多くありました。銀聯カード使用可能店が少ないことや外国語表記、両替等の対策が不十分であり、クルーズで来た観光客が、次は個人旅行者として再来してもらえるように取り組んでいかねばなりません。
今回の鹿児島での取組について、多くのメディアが取り上げ、内外に大きな反響をもたらしました。今後もクルーズ船には積極的に対応していかねばなりません。
本県の課題としては(長崎港とマリンポートを比較した場合)
?マリンポートは市街地から遠く、ツアーバスに乗らない乗客のスムーズな案内等に課題がある。
?着岸料や無料シャトルバスサービスの有無で差がある。
?受入協議会の構成団体が官に偏っており、人的、経費的不足から来るサービスの低下が懸念される。船会社からも、観光素材はあるものの、港での受入体制は他港(長崎港)に劣ると言われている。
今後の九州のクルーズ船受入の課題としては
?寄港地は、絶対的必然性(位置関係)、絶対的価値判断(観光地や受入態勢の充実)で選ばれる場合と、相対的判断(釜山や神戸の次はどこか等)で選ばれることを認識する必要がある。地域間の更なる連携と切磋琢磨が求められます。
?九州全体
としてのブランドの押し出しが必要であり、港別の特色ある観光地づくりと、統一感のある受入体制サービスの提供が欠かせない。港から始まる観光コース(半日もしくは1日)の魅力付けが重要です。
?船会社からは、日本の港は各港単位でしかポートセールスや情報提供をしていない。船会社担当者や乗船客から、クルーズで描ける日本や九州の全体像が見えず、情報収集も極めて不便といわれている。ワンストップの多言語サイトで、各港の特徴と、各港から得られるサービスや、各港から広がる観光の魅力を統一的に紹介すべきである。
最後に観光の成功の鍵は、「おもてなしの心と人と人との温かい触れ合いです」。今後も受入に関して市民への啓蒙を積極的に行い、地域全体で外国人を親しく迎える雰囲気づくりに努めなければなりません。中国人に対する個人観光ビザの見直しも実施されました。今後1600万世帯が訪日の対象客となります。団体観光客からさらに個人客を誘致するためには、まずクルーズ客の対応をきちんとやることが今求められていると思います。
2010年7月5日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
家畜
のウイルス性感染症口蹄疫が、宮崎県で確認されてから2か月以上経過しましたが、鹿児島の観光関連産業にも大きな影響がでています。特に宿泊施設においては、取消しや教育旅行の延期、予約の減少など事態は深刻です。鹿児島を訪れる観光客は、宮崎経由のコースで来る人が多く、その影響もあると思います。口蹄疫は、人には感染せず、また感染した肉が口に入ることはないなど、きちんとした情報の発信が求められています。特に風評被害には惑わされないよう注意したいものです。
口蹄疫に感染した疑いがある牛がえびの市で確認された4月28日、湧水町や伊佐市、霧島市、さつま町の一部が直ちに「搬出制限区域」に指定されました。近隣の市町村でも消毒ポイントの設置や大型車のタイヤや車体に塩素系の消毒液をかけるなどの必至の防止体制がしかれ、県内では今まで感染は発生していません。このまま発生がなく、一日も早く終息宣言
が出されることを祈っています。
宮崎県で口蹄疫が確認されてから、県内では、多くのイベントが中止となり、日帰り観光客も減少しています。また、観光入場施設、ドライブイン、運輸機関も影響を受けており、終息後は、観光関連産業への応援キャンペーンを展開しなければと考えています。延期になった会議や大会など積極的に宿泊施設を利用してほしいものです。
日本の伝統的文化を継承している旅館について、現状をお伝えしたいと思います。旅館の代表的な組織である「国際観光旅館連盟」と「日本観光旅館連盟」の加盟施設は、平成21年4月現在で4,785軒となっていますが、平成17年の同時期
に比べると1,483軒も減少しています。また主要旅館の定員稼働率は、平成20年で全国平均が39.9%、九州全体では、36.0%となっており旅館経営の厳しさが浮き彫りになっています。従業員確保の厳しさ、景気低迷による宴会や旅行の見合わせなどによる宿泊者の伸び悩みは、伝統的日本のサービスを提供する旅館をも苦しめており、今回の口蹄疫問題がさらに追い打ちをかけています。
ところで最近、宿泊の募集企画で、1泊2日の格安な料金が目に付きます。旅館は、チェックインから12時間以上人の命を預かり、浴衣の提供、お風呂の使用、夕食・朝食と人手のかかるサービスが求められます。安価な料金でも一定のサービスを求めたがるのが、消費者の心理です。やはりサービスの対価として相応の宿泊料金の設定が必要と考えます。
教育旅
行では、1部屋に3人から5人程度宿泊しますが、一般の場合は、ほとんどが2人1部屋が基本です。しかも、学生はあまり手がかからないのに、宿泊料金は、教育旅行よりも一般が安くなっている場合が多いです。
経営のしわ寄せが、従業員に跳ね返るのであれば、いい人材の確保は難しくなると思います。エージェントの皆様も、ぜひ宿泊料金については、ぜひ考えていただきたいと思います。送る側と受ける側に、ウィン、ウィンの関係が構築されてはじめて、良い商品ができると思います。
口蹄疫問題でも、宿泊施設は大きな打撃を受けています。今こそ旅館にお返しをするべきと考えます。日本の伝統的文化を守ってきた旅館を、これからもぜひ支援してもらいたいものです。
2010年6月28日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
大手情報会社
「じゃらんリサーチセンター」が発刊している「とーりまかし」に、全国の「ご当地愛」研究のデータが紹介されています。調査の内容は、47都道府県の性・年代別の人口比にあわせてスクリーニング調査を実施し、18才までに住んでいた地域を「ご当地」と呼び、ご当地に今も住んでいる人を?地元定着者、首都圏在住の地方出身者を?上京者、と分けて分析しています。
地元定着者への調査では、地元への愛着を感じる「ご当地愛ランキング」では、1位が沖縄県、続いて北海道、京都府、福岡県、宮城県、となり鹿児島県は6位となっています。
愛着の対象で見ると沖縄県では、「人情に厚い」「気候が良い」に加えて「方言・なまり」「郷土料理」など地域文化が入っており、北海道では、圧倒的に自然に関する項目が上位になっています。京都では、神社仏閣や街並みの景観だけでなく「四季の変化」が美しいことを上げています。鹿児島県では、温泉がスゴイと思っており、「のんびり」「義理人情あり」の性格の良さも自慢しています。皆様の意見はいかがですか。
地元定着者
と上京者に対して、「ご当地」については、「何が知られていると思うか」、「何に愛着を感じるか」を尋ねています。「愛着を感じるテーマ別ランキング」では、鹿児島県は「温泉」と「甲子園・高校サッカーなど学生スポーツ」が2位、「地酒」が3位、「方言・なまり」が5位となっています。意外と低いのが「祭り・イベント」や「郷土料理」、「ご当地グルメ」となっており、祭りや伝統芸能のPR不足、農業県鹿児島の食材の活用方が問われていると感じます。
上京者に対しての「地元に愛着を感じるか」の調査では、1位が沖縄県、2位が福岡県、3位が北海道で、鹿児島県は13位となっており、地元定着者より愛着度が低くなっています。鹿児島の魅力を体感することなく、上京している人が多いのではないでしょうか。
また、全
国的には地元定着者では、「気候」、「住環境・教育環境」など暮らし安さに関心が高く、上京者では、「神社、仏閣、城、文化遺産」に加えて、「海の幸」「郷土料理」といった食、地域の文化に関する項目が高くなっています。地元にいると意外に気づかない地域のくらしが、首都圏に出るとその良さに気づくということは、日常に根付いた言葉や文化、郷土出身者の活躍が影響しているのではないでしょうか。首都圏の人には、一段と魅力的に感じられる地域の良さを、観光の商品に組み入れる必要があると思います。
ところで鹿児島県は、南北600キロに及び、これは鹿児島市から大阪市までの距離であり、多彩な観光資源に恵まれています。魅力的な離島が多いのにかかわらず、訪ねる人は少ないと思います。また、錦江湾を挟んで大隅半島と薩摩半島に分かれており、相互の交流も十分ではありません。まず県民が郷土の良さを知ることが大切と感じています。地域に行って、ここの地域の売りはなんですかと尋ねると、我が町には何もありませんと応える人が多く驚きます。やはり地域の人が、我が町を誇りに思わないところに誰が来てくれるのでしょうか。景観とか、温泉、歴史だけが観光の対象ではありません。地域に住む人、生活、文化そのものが観光素材です。域内の交流を進めて、地域への愛着を深め
る必要性を感じています。
ところで、伊佐市出身の榎木孝明さんが企画・主演した映画「半次郎」の完成試写会が開かれ、製作に携わった関係者で賑わいました。この映画は、榎木さんが13年間構想を温めたもので、2カ年の製作期間を要し、逞しく美しい日本人の精神文化を問う渾身の作品です。幕末から西南の役までの半次郎(桐野利秋)の活
躍を描いたもので、薩摩が舞台となっており、美しい錦江湾と桜島が幾度となく出てきます。
鹿児島をこよなく愛する榎木さんの思いが込められており、観光のPRにも役立つのではないかと期待しています。また、県では鹿児島での勤務者の中から「薩摩大使」を任命しており、鹿児島の宣伝にも一役買ってもらっていますが、やはり地元定住者が地域の魅力を情報発信してくれることが、より誘客に結びつきます。
来年の3月には、九州新幹線が全線開業しますが、郷土を離れて都会に住んでいる人たちに声をかけ、家族、友人、知人を誘って多くの観光客が来てくれることを期待しています。そして、鹿児島を訪れた方々が、日本にこんな素晴らしい県があったことを認識してくれることを願っています。
2010年6月21日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光 JR九
州主催による平成22年度下期商品造成のための説明会が指宿で開催され、九州各地の旅行エージェント19社45名の企画担当者が参加しました。
鹿児島県としても、エージェントの皆さんに鹿児島の新しい情報の提供や商品造成支援の具体策を説明できる絶好の機会と捉え、国内誘致部長と参加しました。県内の情報として、「龍馬伝」の主役である坂本龍馬とお龍さんの新婚旅行の地である霧島市塩浸温泉に、龍馬公園がオープン、映画「半次郎」とロケ地のPR,指宿市の縁結びの島「知林ヶ島」に幸せの鐘Chirin’s BELLが完成し
たこと、「かごしま よかとこ旅」の発行、桜島のよりみちクルーズや甲突河畔の「観光交流センター」の設置、最近のかごしまの食の話題、そして開業イベントの目玉である「全国都市緑化かごしまフェア」の開催概要について説明を行いました。特に、商品造成支援策については、企画担当者の関心が高かったと思います。
JR九州からは、来年3月の九州新幹線全線開業を控え、九州内の観光列車のネットワーク、新幹線の概要やフィーダーアクセス商品の説明があり、開業が身近になったなと感じられる雰囲気でした。
ところ
で、日本経済新聞の「NIKKEIプラス1」が4月に行った「初夏に乗りたい行楽列車」ベスト10に、JR九州の「SL人吉」が1位に、「特急海幸山幸」が4位、「特急ゆふいんの森」が6位、「いさぶろう・しんぺい」が9位と、4つの列車がランクインしています。いずれの列車もデザイナーの水戸岡悦治氏がデザインしたものです。原色の外観、天然木、革といったさまざまな素材が使われており、このようなデザインが女性ファンの増加につながっていると思います。懐かしさだけでなく、より洗練された雰囲気の列車が求められており、その代表が、郷愁とデザイン性の両方を兼ね備えた「SL人吉」です。これらの列車と、新幹線を組み合わせたファースト&スローな列車の旅が、今後益々注目されるのではないかと思います。昨年度は、肥薩線と新八代〜鹿児島中央駅間の「ぐるっと一周 肥薩きっぷ」が、前年の2倍の売上げになったということで、沿線の風景や駅弁の魅力と合わせて列車の旅が見直されていると感じます。
全線開業
時には、鹿児島中央駅から指宿駅間に観光特急列車の運行が計画されており、「さくら」から乗り換え、錦江湾沿いを走るレトロ調の列車の姿は話題になると思います。 そして翌日は、指宿から高速船で種子・屋久に行くツアーに関心が高まり、離島ブームが起こるのではと期待がふくらみます。
これからエージェントでは、今回の説明会で提供された素材を活用した旅行商品造成がはじまりますが、団体型、個人型商品の中に、添乗員付きやフリープランなど各社のアイデアを組み込んだ多くの企画商品が、展開されます。インタ
ーネットをはじめ、情報入手の方法は多岐に渡っていますが、エージェントがつくる商品は、座席の確保、旅行条件の明確化など、顧客の安全・安心の確保に努力しており、素材を提供する機関、自治体などは、大いに提携すべきと考えています。JR商品の造成箇所は、今までのJR券の発売認可会社に限定されており、それほど多くありません。その意味でも、地域情報を売り込むターゲットとなるエージェントは明確であり、双方にメリットのある商品造成のためには、顧客が求めるオンリーワンの情報提供が必要になります。
九州新幹線の時間、料金、座席枠等の発表は12月頃と予定されており、旅行商品の価格設定をしてエージェントの店頭に並ぶのは、1月の後半になると思います。キップの売出しは、1か月前から始まります。エージェントの商品造成に県内の情報を
反映させるために、遅くとも12月の前半までに各社に説明する機会をつくる予定です。新幹線の停車駅からのアクセスやルートを明確にし、加えて地域での体験型メニューをつくり、滞在できる環境づくりに努め、誘客を図る必要があります。エージェントの企画担当者との有効的な人間関係づくりを構築し、継続的な商品づくりに活かしていかねばなりません。
九州新幹線開業時には、出水駅、川内駅、鹿児島中央駅など新幹線停車駅を起点とした多くの旅行商品が発表されることを期待したいものです。 参考:日本経済新聞 2010年4月10号「NIKKEI プラス1」
2010年6月14日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
鹿児島の
観光の将来を語る「鹿児島観光フォーラム」が、140名の参加のもと、盛大に開催されました。このフォーラムは、鹿児島県観光連盟、日本経済新聞メディアプロモーション、日本経済新聞社西部支社販売部の3社の共同主催であり、全国旅行業協会鹿児島県支部の後援を得て、九州新幹線全線開業を見据えた観光の現状と将来について考えるフォーラムでした。
最初は、観光庁の観光地域振興課長の笹森秀樹氏による「日本の観光産業の魅力と将来について」と題した講演でありました。
笹森課長の発言要旨は(数値は平成20年1月〜12月 確定値)
?延べ宿泊者数で見ると、鹿児島県は全国で21位、九州では福岡県に次いで2位、外国人宿泊者数は24位、九州では5位となっており、特に外国人について、東アジアからの誘客促進が課題である。
?鹿児島県の宿泊者は、地元が16.2%で一番多く、次いで東京都、福岡県、大阪府となっており、地域構成比では九州全体で50%を超えており、関東地区、関西地区と続き、中四国地区からが少なく、新幹線全線開業を捉えて誘客を強化する必要がある。
?ぜひ行ってみたい県の希望調査(日経リサーチ調査)では、4位となって九州では一番関心度が高く、鹿児島の観光のポテンシャルの高さが表れており、今後の販促強化や情報発信の工夫が必要である。
?日本の人口は、これから20年後には東京都分が、九州では福岡市分の人口分が減
少し、消費も確実に縮小していく。交流人口の拡大による地域活性化が不可欠である。
?旅行の形態は、団体旅行から個人旅行にシフトし、滞在型の観光地づくりが求められている。農山漁村交流促進事業や観光圏整備事業との連携を図り、新しいプログラムづくりが欠かせない。地産地消を推進するためには、都市と農村の新たな関係を構築することが必要であり、そのことが持続的な事業展開につながっていく。
?観光地づくりには、体験メニューの造成、情報発信やホスピタリティの向上のための研修会の開催など、地域を担う人材の育成が必要である。
これからの観光振興の在り方についての示唆に富んだ多くの課題を提起していただきました。鹿児島に行きたい人が多いということは、新幹線全線開業という話題性に加えて、今後の商品企画、情報発信の方法、大都市圏でのプロモーションの手法について期待が大きいと捉え、格段の努力が必要だと考えています。
また、鹿児島県は全国第二位の農業県であり、観光客が求める安全・安心の食材を提供する機会を増やし、地域経済に貢献していかねばならないと思います。
後半は、肥薩おれんじ鉄道の古木圭介社長をコーディネーターに、「鹿児島の魅力ある将来 観光産業興し」として4人のパネリストによるディスカッションが開かれました。全国旅行業協会鹿児島県支部の中間支部長からは、隠れた素材を活用し、地域の人が主役となり、ストーリー性を加えた「魅旅」の取組の事例が発表されました。旅行者のニーズの高い着地型メニューづくりが着実に進んでいると感じました。
JR九州リテール鹿児島支店長の中村
氏からは、鹿児島中央駅長として新幹線部分開業時に取り組んだおもてなしの心の実践例や、JR屋久島ホテルのオープン前後の社員接遇教育の一端が報告されました。鹿児島中央駅が、九州一のすばらしい接遇の駅として認められた背景には、中村氏の「すべてはお客様の視点で、目配り、気配りが大事である。」という姿勢が裏打ちされていると感じました。
笹森課長からは、休暇の分散化や中国人への個人ビザ取得の緩和など、観光客を誘致しやすい環境づくりに努めている観光庁の施策が報告されました。日本人の労働時間は、先進国では長く、時間短縮の仕組みづくりが、宿泊増加につながると思
います。
小生もパネラーの1人として、観光振興に対する取組が各自治体で増えていることや、人材教育の必要性、情報発信の工夫や教育旅行におけるグリーンツーリズム、漁業体験、体験民泊の整備等への対応を急ぐべきであると話しました。
最後に古木社長から、新幹線はあくまでも人を運ぶ手段であり、停車駅からどのように誘客するかは、地域の取組にかかっている。観光施設や運輸機関、そこ携わる従業員ひとりひとりが、おもてなしの心をもって観光客に接することが大切であると話されました。
今回のフ
ォーラムに予想を上回る参加者が集まったことは、新幹線開業への関心が高まっていることと、地域のかかえる問題解決には、観光による交流人口の増大が欠かせないという考えが浸透しつつあると感じました。
新幹線開業効果を県内全域にもたらすため、県では「増やす」、「広げる」、「活かす」視点で観光客誘致に取り組んでいます。
観光客誘致に当たっては、地域全体の魅力付けが必要であり、観光は、農業、水産業、商業、工業、土木・建設業、教育など多くの分野に波及効果があります。新幹線は、魔法の杖ではありません。100年に一度のビッグイベントを、地域総力戦で取り組みたいものです。
2010年6月7日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
桜島フェリ
ーの「よりみちクルーズ」が5月19日から運行され、好調なスタートを切っています。第2回の5月26日は、定員450人対して200人以上上回る希望者が詰めかけ、一時混乱し、急きょ整理券を配った程の人気ぶりでした。
運航コースは、鹿児島港から神瀬灯標、大正溶岩沖を通り、45分かかって桜島港に到着します。桜島と錦江湾の魅力を海上から身近に感じることができる絶好のコースではないかと思います。途中に見える神瀬は、干潮時には海面に現れ、満潮時には海中に沈む瀬です。薩英戦争時にはイギリス艦の侵攻に備えて周囲に石を積み台場を築きましたが、その後激しい潮流と波浪に浸食され昔の面影はありません。しかし白色の円形コンクリート造りの神瀬灯標が、船の往来の「道しるべ」になっています。鹿児島市民や桜島に住む人でも、神瀬の近くに行った人は少なく、今回のクル
ーズの人気の高さにつながっています。
今後10月と11月に合わせて6回の運航が予定されていますが、夏休みの多客期や休日に実施すればもっと集客できるのではないかと思います。クルーズの料金は、船の滞在時間が3倍かかるのに、現在の桜島フェリーと同一金額であり、人の料金だけアップしても、乗客は納得するのではないかと思います。運行回数が多くなれば、旅行社の新たな商品企画にも反映でき、鹿児島への入込が増えるのではないかと思います。
運行に当たっては、通常の乗船ルートとの区別、乗務員や船の配置等課題は多いと思いますが、ぜ
ひ増便に向けて関係者の努力をお願いしたいと思います。
ところで、関西中国地域である情報誌が行った調査によると、新幹線開業時に、南九州3県で行きたい場所のトップにあげているのが、桜島となっています。大河ドラマ「篤姫」の放映や噴火のたびにメディアで話題になっていることもあげられます。しかしながら、近くに住む鹿児島市民の多くは、桜島に渡っていないのではないかと思っています。やはり地元の人が桜島の素晴らしさを知り、PRすることが必要と感じます。錦江湾を間に、雄大な桜島の景観は、初めて鹿児島を訪れた観光客が感嘆の声を上げます。桜島には、足湯の新設や湯之平展望所の改装、赤水広場の整備、オールナイトコンサート記念モニュメント「叫びの肖像」などが揃い、観光地づくりが進んでいます。また、今着地型メニューの造成や、地場産品を活用した新商品の開発もすすめられています。
将来的には錦江湾をクルーズしながらランチを味わい、袴腰に着いたら定期観光バスと連動させ、桜島の一周や体験メニューで桜島の魅力を体感して欲しいと思います。そのため
には、定期的な運動体制の確立が何よりも必要であり、そのことが団体での予約につながり、安定的なお客の確保につながります。便が少なく観光客が乗れないということは、避けなければなりません。
ところで博多駅から鹿児島中央駅まで80分となり、新幹線が開業しても日帰り観光客が多くなるのではと懸念されています。毎日噴火し、火山灰に見舞われる地域は大変な影響を受けていますが、観光客は噴煙を上げる姿に感激します。鹿児島市の目の前にそびえる桜島を、我々は観光かごしま最大の財産としてとらえるべきです。桜島の滞在時間を増やすことで、宿泊にも結びつきます。ぜひ多くの人を桜島に渡らせるために、よりみちクルーズの更なる充実を望みたいものです。そのことが桜島や錦江湾の活性化にもつながると確信します。
参考資料:鹿児島市船舶部 (桜島フェリー)
2010年5月31日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
平成21年の本県への修学旅行等の入込状況がまとまりました。学校数は506校で、前年と比較すると28校増加し、人数(延宿泊数)も66,053人で4,467人の増となりました。
地区別の人数では、指宿地区が3,945人、種子屋久地区が1,535人、奄美地区が3,359人増加しているのに対し、鹿児島地区が1,602人、霧島地区が、2,
770人減少しています。
増えた要因として、指宿地区は知覧の平和学習や南薩、指宿での農業体験等のニーズが高いこと、種子屋久地区は屋久島の世界自然遺産を背景とした環境学習への関心が高いこと、奄美地区は奄美の自然や文化に対する人気の高まりがあると思います。
一方鹿児島地区は、中学校は増加しているものの小学校と高等学校が2,100人減少し、大幅な落ち込みとなっている霧島地区は、学校のニーズが高いグリーツーリズムの体験ができる環境整備が遅れていることがあげられます。
最近の教育旅行のニーズは、物見遊山的な旅行から農業・漁業などの自然体験、工場でのものづくり、街を歩きながらの歴史の勉強、原爆や戦争を通しての平和学習、ゴミ問題や水質汚染についての環境学習などさまざまであり、複数のカリキュラムを取り入れる学校が増えています。
昨年に続いて、鹿児島県を修学旅行先に選んだ奈良県の大瀬中学校のコースを検証し
たいと思います。鹿児島空港から、福山経由で垂水漁港に向かい、いけすでの餌やりとカンパチのにぎりずし体験からスタートです。生徒達は、初めて見る魚の飛び跳ねる姿に驚きの声を上げていました。その日は指宿温泉に宿泊し、翌日の昼から南さつま地域でのグリーンツーリズムと民泊の体験、翌日は知覧での平和学習と鹿児島市内でのまち歩き歴史探訪と、多くのプログラムを組み入れた旅行でしたが、生徒達は鹿児島に来て良かったと、満足していると、校長先生は語っていました。従来の行先は東京ディズニーランドだったということで、体験学習について心配されていましたが、自然の生き物の姿や初めて触れる土の感触、応対してくれた漁協、農家の人々の温かさが子供達を感激させたのではないかと思いま
す。
ところで、大瀬中学校は来年度も同コースでの実施を予定していますが、鹿児島を修学旅行先として選ぶところが、奈良県から兵庫県、広島県と広がりをみせています。九州新幹線が全線開業することにより、新大阪から直通の「さくら」が運行されることもあり、来年以降鹿児島方面へ行先を変える学校が増加するのではないかと期待がふくらみます。
体験型教育旅行においては、大分県の安心院、長崎県の松浦や平戸、佐賀県の唐津が人気を博しています。鹿児島の優れた自然環境、歴史等を活かして他の地域との差別化を図り、新たな需要の開拓が求められます。
そのためには、学校のニーズに合うユニークな体験メニューの提供、また、受入側の安全面に対する意識を向上させ、体験学習における安全性を確保することが何よりも重要です。
鹿児島県で
は、農山漁村生活体験学習に係わる取扱指針を平成21年3月に作成しました。主な内容は、体験学習の範囲の明確化、受入農家等が食事を提供する際の制限、安全対策責任者の配置と講習会への参加、対価の受け取り範囲の明確化などを示しています。
生徒の宿泊先は、現在は登録許可をもつ民宿ではなく、農業体験をする農家であり、料理はみんなで作るというのが絶対的なルールであり、学校のキャンプの延長線として捉えなければなりません。
また、保健所の指導により、手洗いの励行、生ものを出さない、火を通すなど保健衛生面での格段の配慮が必要です。また農業体験では、農機具などでけがや事故にあわないような体験メニュ
ーを組み入れる必要があります。 また、受入農家等に対しては農林漁業体験、調理、家での団らん等の機会を併せて提供することを指導しています。特に感動するのは、夕食後の農家の人との団らんの時間です。都会の生徒の多くは、家庭での両親との会話が少なく、民泊先での温かい心のふれあいに涙する生徒が多く、子供達の情操教育にも役立っているのではと感じます。
新幹線の全線開業は、鹿児島への観光客の誘因効果を高めることは間違いありません。しかし永続的に安定した利用客を確保するためには、京都に代表されるように修学旅行生を誘致することが、一番の安定策です。鹿児島県は、教育旅行のニーズに対応できる環境が九州のどの地域よりも揃っていると思います。そのためには、地域での人材の確保、宿泊代として収受できる簡易宿泊所の登録推進、他の温泉地との連携などが必要と感じます。 また、教育旅行でのもう1泊は、温泉地でのホテル宿泊がほとんどです。経営者は、民泊先にお客が取られると非難するのではなく、新しい需要開拓で相乗効果をもたらすという考えに立つべきと思います。 一度鹿児島を訪れた子供達は、成人したらまた来てくれるリピーターにもなります。温かいおもてなしで、子供達に大きな夢をもって帰ってもらいたいものです。
2010年5月24日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
夏のイベントである「第17回超自然・屋久島ツーデーマーチ」が、15日・16日の2日間にわたって開催され、島外、島内から合わせて、750名の参加者がありました。この大会は、平成5年12月に、太古からはぐくまれてきた屋久島の貴重な自然が、世界自然遺産として登録されたのを記念して始められたものです。
歩きながら屋久島の大自然を堪能できる素晴らしい大会であるといつも感じています。コースには、映画「もののけ姫」の舞台となった白谷雲水峡コース、ラムサール条約に登録された永田浜の近くをスタートし、西部林道を歩き大川の滝をゴールとする世界遺産コース、安房や尾
之間集落など里山を歩きながら地域住民の身近な生活を感じることができるコースなど6コースがあり、参加者は屋久島の大自然を満喫している様子でした。小生は12回目の参加ですが、今回は白谷雲水峡の周辺の5キロを歩くコースと、13キロの里山を歩くコースに参加しました。白谷雲水コースでは、空き缶やごみが
一つも落ちていないことに、ウォーカーも一様に感嘆の声を上げていました。また、さくらツツジが満開で、渓谷のせせらぎにその姿が映え一段とその美しさが印象的でした。また里山コースでは、到着地の尾之間温泉入浴が疲れた体を癒してくれました。透明な温泉ながら、つるつるした感触が屋久島の温泉の魅力であると改めて感じました。
ところで来春の3月に九州新幹線が全線開業しますが、屋久島は再びブームが起きるのではないかと、期待と不安を持っています。終着の鹿児島中央駅まで博多から80分、広島から2時間余りと近くなり、世界自然遺産の屋久島に行きやすくなります。また、新幹線の到着に合わせて指宿枕崎線には特急列車の運行も計画されており、その指宿から高速船で屋久島に行くこともでき、広域の観光ルートが可能
となります。
しかし課題は、増加する観光客に対して屋久島の自然をどのように守っていくかということです。縄文杉登山者のメインルートである荒川登山口までは、車の乗り入れが季節によって規制されています。しかしトイレの設置や携帯トイレ等の準備はまだまだ不十分です。登山者のマナー遵守を徹底させる取組が必要です。旅行エージェントのパンフでは、屋久島の環境保護の取組を掲載していますが、クーポンを渡すときに顧客への説明をするなど出発地で徹底することが事前準備につながると思います。また、宿泊先での事前指導や登山ガイドさんの協力なしには徹底できません。経済的価値を追求するあまり、環境保護が後手になるようでは、世界自然遺産の島が守れません。
屋久島で開校している「屋久島おおぞら高校」には、年間に全国から5千人を超える生徒が、訪れて美しい自然環境の下で勉強しています。島には学校の統廃合により空
いた施設があり、これらを使って、全国の大学やカルチャーセンターなどを対象に、屋久島の自然環境を題材にしたカリキュラムを提供することも、シーズンを通して入り込み客の確保や屋久島の環境保護を理解させる機会にもなります。屋久島は、秋から春までの来島者の確保が課題と思います。
一方屋久島では、景観保護の取組も重要になってきています。最近量販店やコンビニの広告などが目立っており、道路沿いの旗や看板は、島のイメージを悪くします。観光客は、世界自然遺産の島として期待を持って島を訪れます。景観条例の制定など先進地の事例を参考に取り組んで欲しいと思っています
2010年5月17日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光
一大イベントである「かごしま春祭り大ハンヤ2010 〜はじける想い かごしま一直線〜」が、4月24日(土)・25日(日)に天文館をはじめ鹿児島市中心市街地(全13会場)で、盛大に開催されました。開催に努力された鹿児島商工会議所をはじめ、協賛企業、実行委員会の皆様の努力に心から感謝したいと恩います。 久しぶりに中心市街地が賑わった2日間であり、やはり若者が街に集まることが、商店街の活性化につながると感じました。鹿児島中央駅地区、天文館地区、ウォーターフロント地区の3地区の会場を回る人が多くみられ、日頃から回遊性を確保する街づくりが必要であることを、示唆してくれた祭りであったと思います。
市民参加型の祭りとして、高知の「よさこい」を取り入れた祭りが、全国的に広がりを見せています。県内では薩摩川内市の市比野温泉で、11月下旬に「よさこい祭り」が開催されていますが、そのきっかけとなったのが、毎年6月、北の都札幌市で開催される「YOSAKOIソーラン祭り」です。この祭りは、平成3年8月、当時北海道大学の1人の学生が、高知のよさこい祭りに感動したことに始まります。
街中で
きこえるよさこい節と、鳴子のリズム、同年代の若者が積極的に祭りに参加し、輝く姿の踊り子や、参加者だけでなく観光客も感動に包まれ、北海道民みんなが参加できる祭りをやりたい。参加者の生き生きとした姿を見たい。そんな思いを集まった学生たちに呼びかけ、官公庁や企業と交渉して、よさこい祭りと北海道の民謡ソーラン節を組み合わせた「YOSAKOI」が始まりました。
平成4年6月の第1回の参加チームは、10チーム、参加者は1000名で、観客は20万人でした。その後、年々成長し、2009年、第18回を迎えた祭りは、参加316チーム、参加人員3万3000人、観光客動員数は、延べ178万7700人にものぼり、祭りの経済効果は220億3850万となり、「さっぽろ雪まつり」と並んで北海道の夏の一大イベントに成長しています。
この祭りの柱は、?ルールとマナーを守ることを条件に、誰でも参加できる祭りづくりを目指す。?市民の自由な創造を基本とし、創意工夫を尊重する。?地域社会のコミュニケーションを大切にし、地域社会に元気と感動を届けることを目指す、の3つとなっています。
ところで、日
本各地には伝統芸能として、「神楽」、「文楽」、「田舎歌舞伎」、「薪能」、「田楽」など人々が日常生活の中で生み出し、継承してきた民族無形文化財があり、根強い人気があります。しかしながら、それを演じる人は高齢化しており、各種イベントでの出演の機会を増やしたり、観光客が鑑賞できる場を提供するなどして若者に興味を持たせ、後継者を養成していく取組が求められています。
一方では、新しい祭りを創り出したり、従来の祭りのスタイルを変えるなどして、参加者を増やし、観光客誘致など地域の活性化つなげていく取組をしている地域もあります。
「YOSAKOI」がその代表ですが、ここ数年急激に観光客が増加している「長崎ランタンフェステ
ィバル」や、「大道芸ワールドカップIN静岡」、一部の山車を観光客に引かせる「ねぶた祭り」などがあります。若者を惹きつけ、参加型の祭りで盛り上げを図ろうとする動きが感じられます。県内でも、後継者不足から伝統的芸能の継承が厳しくなっている祭りもあります。やはり若者を積極的に起用することが、求められています。