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坊津の魅力

 2008年10月27

  坊津の洛陽 坊津は、梅崎春生が自分の軍隊生活の経験をもとに、小説の舞台として取り上げた場所です。小説「桜島」の冒頭は「7月初、坊津にいた。往昔、遣唐使が船出したところである。その小さな美しい港を見下す峠で、基地隊の基地通信に当たっていた。私は暗号員であった。毎日、崖を滑り降りて魚釣りに行ったり、山に楊梅を取りに行ったり、朝夕峠を通る坊津郵便局の女事務員と仲良くなったり、よそめにはのんびりと日を過した。」で始まり、坊津の港の情景が伝わってきます。

 一方、遺作となった「幻化」では美しい坊津の景観と人々の暮らしを次のように書いています。「道に行き交う人々は、名も知らない者ばかり。頭に荷物を乗せた女が通る。女学生、小学生が通る。長い釣竿をかついだ男が通る。夕方になったので、磯釣りを終わった土地の男だろう。芭蕉、フェニックスが生えている。町を通り抜けると、まただらだら坂となる。高くなるにつれて、風景はいよいよ鮮明に立体化して来る。湾内に小島がいくつか見える。島々のために港の入口がせまい。大きな船は出入りが出来ない。しかし水路の複雑さのために、密貿易には好適の港だったのだろう。五郎は足を止めた。そして道から斜面に降りていく。首を傾けた。」今も変わらない坊津の姿があります。

 先日、「坊津やまびこ会」が主催する「まち歩き」に参加し 坊津 一乗院跡 ました。坊津はかつて、日本三津とうたわれ、古来から仏教文化が伝来して栄え、また中世から続いた交易港として多くの船が出入りしました。まちのあちこちに当時を偲ぶ史跡が残っています。坊泊小学校の近くの高台にある「上人墓地」は四角形の珍しい墓であり、南北朝時代から明治維新までの勅願寺一乗院の歴代住職の墓所となっています。仁王像や石垣が残り当時の栄華を伝えています。また、まち歩きガイドさんの話によると、小学校は現在100名程度ですが、半世紀前は1000人を超える生徒が在学しており、運動会になると町民もこぞって参加し盛大に行われていたということで、坊津の当時の繁栄が偲ばれます。

 真珠のような美しい入江の近くにある「双剣石」は、大小の剣を立てた姿に似ていることから名づけられた言われています。海底は白砂清澄で美しく、安藤広重もここの風景を描いています。近くには太公望を楽しませる豊富な漁礁にめぐまれ、釣り船でにぎわっています。最近特に増えたのが、澄み渡る珊瑚の海でのダイビングを楽しむ人達で、ダイバー向けのお店も充実しています。

 「輝津館」は、中国や琉球の交易の軌跡、一乗院を中心とした坊津の仏教文化や漁に関する民族資料など、坊津の歴史を語るものが展示されています。また、ここから見る坊浦に沈む夕日は、必見に値します。横にある和楽園公園の中には、戦争中通信兵として滞在し、戦後この地を舞台にして小説を書いた梅崎春生の「人生幻花に似たり」の文学碑があります。小説「幻化」を読むと坊津の魅力が一段と深まると思います。

 坊津はまた、酒造メーカーのCMの場所として登場したり、ショーン・コネリー、丹波哲郎、浜美枝が共演した「007は二度死ぬ」のロケ地にもなったことがあり、秋目の鑑真和上上陸記念碑近くの駐車場に「007撮影記念碑」が建立されています。坊津には旅情をかきたてる場所が多く残っています。また、ゆっくりと歩きながらいにしえ人の行き交った石畳や、石垣が残る路地を巡るのも坊津を知る一つの方法と思います。皆さんもぜひ一度訪ねて見てはいかがですか。

最後に坊津の魅力を彷彿させる「坊津旅情」(作詞 寺田鉄五郎)の詞を紹介します。

  1.赤い帆あげた南蛮船の 坊の昔が懐かしや
    おぼろ絵巻の昔の夢を 問えど語らぬ
    なぜに語らぬ雲の野間 夢の坊津よいところ

  4.坊の岬の灯台さえも 涙じめりの灯りをともす
    遠い浮島 硫黄か屋久か 霞む黒島 霞む竹島 波の上
    夢の坊津よいところ

  7.昔栄えし面影とめて 偲ぶ名残の仁王様 入日金色
 一乗院に 秋が逝きます 秋が逝きます さえざえと
    夢の坊津 よいところ
          (全11番)
                     参考資料 「坊津 まち歩きマップ」

さんふらわあの利用促進を

2008年10月20日       
       

  志布志港から大阪南港に就航しているさんふらわああの利用促進を図るためのミッションが実施され、伊藤知事を始め、諏訪鹿児島商工会議所会頭、本田 さんふらわあ 志布志市長、鹿屋市議会副議長や大隅地区の若手経済人など50名を超えるメンバーが参加しました。

 さんふらわあは物産の輸送だけでなく観光客の誘致にとっても重要な航路です。しかし旅客が思うように伸びず、昨年宮崎港への航路変更が取りざたされましたが、鹿児島県側の強い要請で志布志航路は維持されることになりました。知事を団長とするミッションは昨年に続き2回目であり、航路の重要性が再認識される機会となりました。
  航路存続には今後とも、官民一体となった利用促進が必要です。まずさんふらわあについての利便性をもっとPRし、観光客誘致の取組みを強化することが重要です。鹿児島と大阪を13時間あまりで結び、しかも航路は夕方出港し朝方到着というパターンで、時間を有効に使えます。船内には大浴場やレストランを備え、個室の部屋もありファミリー層にも十分対応できます。

  また、旅行会社との商品企画の充実も求められています。かつて南九州はハネムーンのメッカでしたが、そのころ南九州に来た人々は団塊の世代に入り、退職の時期を迎えています。思い出ハネムーンなどの企画提案が功を奏すると考えます。旅行エージェントに対する金銭的支援も発表されており、多くの会社で企画提案がなされることを期待しています。
 鹿児島県サイドでもさんふらわあを利用した修学旅行が増えてきたことは注目されます。本年は地元の志布志高校や甲南高校が利用しましたが、来年は鶴丸高校が利用します。支援制度を積極的に修学旅行に活用してほしいものです。
 
 関西の大学生が冬場の合宿に大隅地区を選ぶことが多くなっており、足としてさんふらわあを利用しています。大隅地区は冬場でも温暖な気候であり、しかも各種のキャンプ施設や宿泊施設の充実も図られてきました。また、学生のキャンプに欠かせないコンビニやコインランドリーが近くにあることなどを明記したパンフなどを作成し、滞在条件に合った地域であることをPRし学生団体の誘客拡大を図るべきです。
 
 一方、大隅地区への観光客誘致のためには、アクセスの整備や観光ルートの設定、タイムリーな情報提供が求められます。鹿児島市内との連絡バスは設定されましたが、大隅地域を回遊するためには、ルートの設定が不可欠です。大隅地区は食の宝庫であり、観光客には魅力的ですが、最近の旅行の流れである個人旅行に対応するためには、タクシーやレンタカーの拠点整備や飲食店、観光施設との連携、旬の情報提供が必要です。

元気印  最近注目をあびているグリーンツーリズムについては、態勢づくりが大事になっています。地域をまとめて受け皿をつくり、豊富な体験メニューをつくり観光客に提供していくためには、コーディネーターの存在が大きな役割を果たします。受入に不安を持つ農家を説得し、グリーンツーリズムの持つメリットを享受できるようにすることが、定着に繋がります。特に学生市場に対するグリーンツーリズムが大隈地域は最適の地と考えます。

 その意味でグリーンツーリズムは地域活性化のキーポイントになると思います。
 2年半後に九州新幹線が全線開業しますが、大隅地域は県内の他の地域にくらべて、新幹線波及効果をもたらすことが厳しいと考えています。もしさんふらわあが廃止されたら大隅地域にとって大きな打撃を受け、そのことは鹿児島の観光にも大きな影響を与えることになることを肝に銘じて、今後の大隅地域の観光客誘致戦略を考えるべきと思います。

鹿児島県観光プロデューサーの提言を発表しました。

 

9月12日、奈良迫鹿児島県観光プロデューサーが提言を発表いたしました。

「九州新幹線全線開業に向けた観光振興方策についての提言」はこちら。

 

「まちの駅」をご存知ですか

2008年10月14日

 鹿児島の西南端に位置する枕崎市は、日本一の「かつおのまち」です。いま枕崎駅から続く市役所通りが、青空美術館として話題を集めています。著名な作家の26基の彫刻作品が数十メートル置きに並んでおり、必見の価値があります。ぜひ出かけて観てください。

 ところで「まちの駅」という存在をご存知ですか。県内には79箇所のさまざまなスタイルの駅が存在し、枕崎市内には9箇所あります。先日その枕崎市で開催された「南薩ブロックの研修会」に参加しました。まちの駅には次のルールが決められています。
 ① 誰でもトイレが利用でき、無料で休憩ができる [休憩機能]
 ② まちの案内人(スタッフ)が地域の情報について丁寧に教えられる [案内機能]
 ③ 地域の人と訪れた人の出会いと交流のサポートができる [交流機能]
 ④ 参加されるみんなが相互ネットワーク化して、一緒に“おもてなし”の地域づくりを目指す [連携機能]

 以上4つの機能が備わっていれば、団体でも個人でも[まちの駅]に参加できます。現代版の[よろず相談所]と[情報ステーション]の位置付けになるのではないかと思います。
 駅のネーミングから、多彩な機能があると判断できます。「手作り菓子の駅」、「陶芸の駅」、「ギャラリーの駅」、「語らいの駅」、「福祉の駅」、「けんこうの駅」、「農・畜産の駅」、「さつま琵琶の駅」、「ふもとパソコンの駅」、「からだにやさしい駅」など一度はぜひ訪れてみたい駅名になっています。

 今後の「まちの駅」のあり方について考えてみました。いま地域で好評を博している店として、「道の駅」があります。採れたての農産物や魚介類、無添加の食品が並び観光客に人気です。大きな駐車場にレストランを備えており大型バスの駐車も可能であり、購買力も高く店によっては10億近い年商を上げているところもあります。しかし「まちの駅」は多くが家族的な小規模のお店が大半であり、大型団体には対応が難しい面があります。しかしマイカーなど個人旅行する人にとっては、良き相談窓口になると思います。

 また、地域コミュニティの場所として存在価値があります。観光客と地域住民の出会いと交流をサポートし、再会の場所としても最適の場所です。駅のあり方としては、奉仕事業だけでは限界があり、経済的効果を生み出すことが駅の活性化に繋がると思います。
 地域の特産品や手作りの小物を置き、販売につなげ収益を生み出すことが大切です。旅人は、地方を訪れたときそこで食べた食材や工芸品に感激します。旅の思い出に記念品を購入するきっかけ作りにもなると思います。

 また、会員同士のネットワークを強化し、地域の魅力を相互に発信することで観光客の回遊の楽しみ方が増えます。旅行者は遠方から来るほど、広域にまわります。地域の人の情報が貴重な「旅情報」です。親切な対応を受ければ、その場所の良さが口コミで広がります。ぜひ各会員がおもてなしの心を醸成し、温かく迎えることを地域ぐるみで育てることが大事です。また地域住民にも認知度を向上させ、利用者が増加すれば地域活性化に繋がると考えます。今後の発展を期待しています。
        参考 「かごしま まちの駅」パンフレットより

「地産地消」の推進

2008年10月6日   

    
  観光の振興には農業を初め、商業、工業、教育関連など多くの分野と連携し、地域総力戦で取り組む必要があります。また、鹿児島は国内第二位の農業県であり、豊富な農産物が県内至るところで作られ、観光により消費拡大が求められています。
  
 いま食に関してはその品質と合わせて、安心・安全が国民の関心の的になっています。
地域の生産物を地域で消化しようとする活動を通して、生産者と消費者を結びつける「地産地消」を推進する機運が高まってきました。観光振興と連携した取組みについて考えてみたいと思います。

  黒豚   観光客は旅行先での「食」への関心度は高く、「旅先で美味しい新鮮なものを食べたい」という欲求は強いものがあります。「食」が観光地づくりに欠かせない理由がここにあります。観光客はまずチェックイン時にお茶のサービスを受けます。鹿児島は全国2位のお茶の生産量を誇り、美味しいものを出すことで第一印象が違います。夕食時にさまざまな食材を活用した料理が出ますが、地元の食材を使ったお品書きや表示があれば、客は喜びます。
 
 また従業員がそれとなく説明を付け加えれば、コミュニケーションが図られ、食事が楽しくなり、宿やエリアのイメージアップにも繋がります。地元産のマーク等の表示で県産の食材、産地をわかりやすくお客様に伝えることができれば購買にも繋がると思います。地元の農産物が地域で消費されることは、地域経済が活性化され農業振興に結びつきます。「地産地消」を中心とした観光地づくりを積極的に進め、メディアにも情報をリリースして地域のイメージアップを図ることも一方では必要な事です。


 国内では「緑提灯」と呼ばれる活動が広がっています。国産の食材を半分以上使って食事を提供している店先に、緑色の提灯を掲げることで日本の食料自給率を向上させようとするボランティア運動です。日本の食料自給率は40%であり、今こそ地場産を消費する運動を広げたいものです。

 今地域に足を運ぶと、「道の駅」や「農家の直売店」が盛況を呈していますが、特に露地栽培での取れたての野菜や農家の人が地元食材で作った無添加の食品が、人気を博しています。生産の履歴や生産者表記で安心して買い物ができることがあげられます。

 曲がった「にんじん」、2つに分かれた「ダイコン」、大きさの違う「きゅうり」などは、市中のデパート、スーパーでは商品価値がありませんが、それらのものは品質としては変わりなく、安価であり家庭で消費する分としては問題ありません。今まで廃棄していたものが市場では受け入れられ、農家にとっても生産意欲を高めることに繋がります。
 農業後継者が少なくなり、高齢者が増え、農業の荒廃が進んでいます。地産地消が拡大することで、農業の振興が進めば農家所得も向上し農業に従事する人も増加することが考えられます。今一度地場産の食材の購買に県民が関心を持ち、販売拡大に貢献していくことが大切です。
            参考資料「広報 いぶすき 10月号」