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2008年12月8日
バブル絶頂期に隆盛を極めた温泉地で、いま苦戦を強いられているところが多くあります。関東の「鬼怒川」、「熱海」、北陸の「片山津」、「山代」、関西の「白浜」、「雄琴」、九州では、「嬉野」、「雲仙」などが上げられます。いずれの地域も、全盛期は宴会を伴う団体宿泊が主流でした。しかしバブル崩壊後団体旅行は激減し、個人旅行が多くなると、その対応に不慣れな施設は敬遠され客足が遠のき、次第に温泉地自体が寂れていきました。
市比野温泉と宮之城温泉(かつては湯田温泉と呼んでいた)もご他聞にもれず、全盛期は男性が中心の宴会型宿泊が多く全国からお客さんが来ていました。しかし時代の変遷とともに旅行スタイルが変化したにもかかわらず、昔の経営スタイルを転換できず長い間苦戦を強いられている地域です。昔の活気を取り戻そうと努力している両温泉地の取組みについて紹介します。
一つ目は、今年
で5回目を迎える市比野温泉の「よさこい祭り」です。全国から集まった60チームが2日間にわたり競演し、こどもから92歳までの参加者がさまざまなコスチュームに身を包み、激しいパフォーマンスを披露する楽しい祭りが開催され、観光客も飛び入り参加するなど大会を盛り上げていました。
昭和4年にはみどりや旅館(現在も営業中)に与謝野鉄幹・晶子夫妻が宿泊しており、そのとき晶子が詠んだ歌の歌碑の除幕式が行われました。市比野温泉は、昔は鹿児島市の奥座敷として賑わっており、由緒ある温泉のひとつです。バブル崩壊後観光客が遠のいた街をもう一度活性化しよういう機運が高まり、商工会、観光協会、薩摩川内市などが中心となって地域活性化協議会を立ち上げ、廃屋の取り壊し、道路のカラー舗装化、河川の整備、スポーツイベントの誘致、宣伝強化などに取り組んでいます。
そのひとつがよさこい祭りの開催です。祭りも年毎に参加団体が増えており、今後の展開が楽しみです。周辺の「入来武家屋敷」、「倉野磨崖仏」、ラムサール条約に登録されている「いむた池」、「道の駅樋脇遊湯館」など地域の観光素材とグリーンツーリズムを組み合わせたニューツーリズムの定着が今後の誘客の課題です。
二つ目にさつま町湯田の「みやんじょ温泉竹ホタル」の取組
みです。湯田温泉は、市比野温泉と同様かつては、歓楽を主とする宿泊地として賑わっていました。旅行スタイルの変化や幾度の水害もあり、かつての温泉地としての活力は失われてしまいました。そこで地域の旅館経営者たちが、水害からの復興と川内川のホタル再生を願って始めたのが「竹ホタル」のイベントで、今年で3回目の開催です。
実行委員会のメンバーは、竹灯りイベントの先進地である大分県の日田温泉や竹田市の実施状況を見学し、そのスケールと美しさに身震いし計画を進めたといいます。おりしも宮之城地域は、鹿児島県で最大の竹の産地です。材料に使う竹は豊富にあり、しかも竹山にとって、古い竹を切ることが山の再生にも繋がることになるとのことです。
今年は湯田八幡神社から温泉街までの700メートルにわたって、7千本の竹灯篭が並べられ竹の切り口から温かみのあるオレンジ色の光が浮かび上がり、幻想的な光景を目のあたりにした観光客は感激していました。澄み切った夜空には星がきらめき、歩きながら幻想の世界に引き込まれる雰囲気です。点灯は地域の小中学生が協力していますが、その美しさに感嘆の声を上げるとのことで、その感激は地域を離れても、ふるさとを誇りに思うことにつながると信じます。また、地域全体での新しい取組みが、竹ホタルを鹿児島を代表する冬のイベントに育てることになると思います。
2つのイベントに共通して言えることは、推進組織は民間の方々が中心であることです。地域づくりで「自治体が何もしてくれない」という声を聞きますが、やはり地域づくりは民間のリーダーが引っ張っていくことが重要と思います。行政は「芽だし後押し」に徹すべきと思います。また、子供からお年よりまで多くの方々が関わる《参加型イベント》であることです。そのことが地域活性化の大きな力になり、持続可能な観光地づくりに繋がると考えます。周辺の歴史、生活、文化を取り込み回遊できる魅力ある地域になることが、泊まりたくなる温泉地に蘇ることになると信じます。