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市民が育てた2大イベント

 2009年1月25日

 北国では大雪注意が出される中、この時期薩摩半島の開聞山麓周辺や池田湖畔は、菜の花が満開となり、黄色い絨毯を敷き詰めたように鮮やかな景観が広がっています。
今年も南薩路に春を告げる「第28回いぶすき菜の花マラソン」が、大会史上最大の1万7千人の参加を得て、また、「第17回いぶすき菜の花マーチ」が、1万2百人の参加者で盛大に開催されました。2つの大会は全国でも指折りのマラソンとウオーキングの大会です。

  この2つの大会が、これほどまでに大きく成長した 菜の花 要因がいくつかあります。2つの大会のスタート時期は違いますが、その成長の軌跡は似通っています。まず大会のスタート時は、県外からの参加者はほとんどなく集客に苦労し、参加人数を確保するため観光関係者やその家族、市の職員を動員したとのことです。大会を重ねるごとにスポンサーの確保やメディアの露出も増え、全国的にその名が知られるようになり参加者が1万人を超え、全国屈指の大会に成長しました。

 2つめは大会の主役は市民であり、推進母体も民間が中心に構成されていることです。イベントを開催するとなると、官に頼りがちになりますが、観光関連業者を中心にホテルの従業員やボランティアの団体が、大会スポンサーの旗や標識を立て、交通整理するなど大会の運営にあたっています。大会1週間前は、ホテルの関係者は自分の職場をかえりみず大会の準備にあたっています。マラソンにおいては、制限時間が過ぎても、最終ランナーが到着するまでゴールあけて待っており参加者は感激するとのことです。

 3つめは沿道での市民のボランティア活動が、大会を支えていることです。特産のサツマイモやキャラメル、お茶などを提供しており、そのおもてなしの心は日本一と参加者から称えられており、そのことが口コミで広がり参加者増につながっています。昨年は大河ドラマ「篤姫」の人気で、今和泉地区にある篤姫の関連施設には、多くの観光客が押し寄せました。近くにある今和泉小学校の子供達の観光客に対する礼儀正しさが話題になりました。やはりこの2つのイベントで示されたおもてなしの心が、子供達にも伝わっていると思います。

白水館  4つめは、各ホテルの協力態勢が確立していることです。日頃から「オーナー会」や女将さんの集まりである「華の会」の結束の堅さには定評のある地域ですが、終了後ホテルの風呂を解放し参加者に疲れを癒してもらっています。参加者の多くがリピーターとなるのもこのような温かいおもてなしがあるからだと思います。

 5つ目は海外からの参加者が増加していることです。特にマラソンは韓国からの参加者の伸びが顕著です。現在インバウンドは、旅行費用が為替レートに大きく影響を受け、観光客が激減しているのが実情です。しかしスポーツ大会となるとその影響は少なく、しかも国際親善にも役立つと考えます。今後とも定期便のある上海、香港の方々にもPRし参加者の増加を図っていくこと重要です。

 今世界的な不況を受けて日本経済も先行き不透明感が浸透し、消費が低迷しており、温泉地もかなりのダメージを受けています。指宿温泉は、観光経済新聞社の人気のある温泉地の、第3位にランクされています。今後も二大イベントで培われたおもてなしの心を前面に出し、「観光いぶすき」をPRして誘客に努めてほしいものです。

『南さつま海道八景』と沿線を訪ねる(1)

2008年11月25日

 「南さつま海道八景」は、南さつま市内国道226号沿線から眺望できる雄大な自然景観や文化遺産など、南さつま市の代表的な八つの景観です。この海道は、県内で残された数少ない未開拓の観光ルートと捉えています。この度福岡市内の旅行エージェントの皆様とこの海道を見学・体験する機会がありました。2回にわたって海道の魅力と課題について報告いたします。

 はじめに「石垣の里 大当(うとと読む)」です。海から急速に上昇している丘陵地の南東下りの斜面に、強い北西の風を避けて石垣が形成されております。総延長千二百五十メートルに及ぶ石垣路は、地山に多く含まれる転石を集め無造作に積み上げられています。集落を取り囲むように通された道路の最高部からは、リアス式海岸の神之島、立羽島が見渡せ、まさに絶景のポイントとなっています。沿道を歩くと、庭先の柿の木が赤い実をたわ 吹上浜砂の祭典 わに実らせ、海の青さに映えて秋の風情を感じさせます。案内のガイドさんによると、お年寄りが多く、空き家も目立つようになり、また地域の小中学生が少なくなり将来が不安だと語られていました。地域に住むお年寄りの知恵をいかし、手作りの工芸品や伝統食を観光客に提供するなど、交流を主体とした地域づくりが必要と感じました。
また、大当地区だけでなく黒瀬集落、高崎山集落、谷山集落などにも段々畑の景観を見ることができ、先人が築いた「石」文化のすばらしさをぜひ後世に残していきたいものです。

 次に「杜氏の里笠沙」を紹介します。風光明媚な笠沙の地に伝えられた焼酎作りの技術は、黒瀬の集落にまたたく間に広まり、ここで学んだ男たちは季節になると九州一円の酒造場に出稼ぎにおもむき、杜氏、蔵子として腕を振るったといわれています。彼らは「黒瀬杜氏」と呼ばれ焼酎醸造の一切をまかされました。機械化が進む中で、ここでは手作りの焼酎にこだわり、笠沙に息づく黒瀬杜氏の技を垣間見ることができます。ここで7時間に及ぶ焼酎作りを体験することができました。洗浄されたサツマイモの切り落とし、製麹、一次仕込み、一次モロミの管理、イモの仕込み、二次仕込み、貯蔵、ビン洗浄、紐の結びと重労働の工程は続きます。決められた蒸し時間、モロミをゆっくりかき混ぜ均等に変化させながら炭酸ガスを抜く作業と、タイミングや温度の加減など重要な工程がきちんと管理されており、焼酎ができるまでの苦労を理解することができました。
 杜氏の里では、4人の職員が2人交代で寝泊りし、8月から12月まで24時間勤務で、焼酎の管理にあたっているとのことです。一本の焼酎ができるまでの時間と重労働を考えると、焼酎の価格は安すぎると思う次第です。現在ここで作られた焼酎は、現地だけでの販売となっており、人気の「一どん」は抽選のみとなっています。抽選は月1回のみで約20倍の倍率とのことです。当選者は 笠沙町 クジラ・イルカウォッチング 宅配便を受け付けていますが、現地購入を義務付けることも観光振興につながると思います。
 「杜氏の里笠沙」には資料館も併設され、焼酎に関する興味深い展示品がところ狭しと並べられています。また、向かいにある「笠沙美術館」は風光明媚な場所にあり、東シナ海が望め、ゆっくりと美術を鑑賞するには最適な環境です。
 地域に根付いた杜氏の文化が、これからも受け継がれていくことを心から期待し、心地よい疲れを感じながら現地を後にしました。

参考資料「南さつま海道八景」パンフレット

地域づくりに頑張る女性グループ―かごしまルネッサンスアカデミーから-

2008年9月1日

ルネッサンス1   鹿児島大学で開催された「かごしまルネッサンスアカデミー」の受講生の終了課題発表会に出席しました。この事業は、平成18年度から文部科学省より、鹿児島大学が受託した人材育成プログラムです。今回大学より健康管理文化コースで学ぶ2期生の成果の講評を依頼されました。
 このコースは、鹿児島の食を中心とした魅力を発信することを通して地域を再生していくことを目的としたコースで、飲食業、観光従事者、退職者や主婦など幅広い年齢層の方が受講しています。
 特に興味を持ったのは、チーム名が「かごしまプロジェクトX‘」で、4人の女性が取り組んでいる「おじゃったもんせ薩摩郡山」の発表でした。取組の趣旨は郡山の魅力を広く発信し、多くの人が何度も訪れたくなる地域になり、地域内外の人々との交流を通して、郡山地域が活性化することを目指しています。

 チームは、持続可能な観光には「楽しさ」が必要であり、 ルネッサンス3 また異なる感性や価値観を持った人たちでも「良識を共有する」ことでもっと密度の濃いコミュニケーションができ、そのことが持続可能な観光に繋がると考え、この2つのキーワードをもとに体験交流ツアーを実施しました。彼女たちは実施に当たり、自分たちがまず地元の方々となじみになることが重要と考え、昔の民家やお寺の住職を訪ね地域を知ることに努め、また棚田での農業体験に参加し住民との交流をするなど、本番の下地づくりを行っています。このような事前の取組をすることで、本番のツアーがスムーズに展開できたと考えます。

実証による分析・評価は次のようになっています。まず地元住 ルネッサンス2 民は他地域から人々が来ることを歓迎しており、今後も地域活性化のためには自然、農業、歴史を活かした交流が必要と感じています。交流は自分が変わり、地域が変わり、みんなが変わるとしています。   
 今後リピーターを増やして行くためには、なじみの店でのおいしい食事、催物の実施、なじみの人とのふれあい、温泉の活用などが必要だと分析しています。また、季節に応じた企画やコミュニケーションの時間を取るなどして郡山フアンを増やし、地元の人々との顔の見える交流をすることで輪が広がるとし、人間関係の構築が基本であると提案しています。
  信頼関係ができると定期的に訪問者が増え、農産物の購入にもつながり、地域経済に対する貢献も大きくなります。郡山は市内中心部から30分の距離です。旬の情報を伝達することが交流人口の拡大を可能にします。

 観光地づくりは、訪れる人と住む人がともに楽しく感じる「訪れて良し、住んで良し」の地域づくりです。人口の高齢化と少子化は、地域の活力を少しづつ失わせています。行政に頼るだけでなく、まず地域の取り組が大事です。また地域資源の活用は、一過性のものではなく継続した循環型の市場の創出が必要です。
  地域活性化に取り組む団体が、県内でも多くなってきましたが、女性だけによる取組はまだ少ないと思います。その意味で今回の事業に取り組んでいる篠原さん、小野さん、松元さん、幸福さんの4名グループの一生懸命な活動に拍手を送るとともに、今後の活動に期待したいと思います。

「おもてなしの心」が旅先の評価を決める

2008年7月28日

まごころわっぺん   「観光まごころ県民運動」は、観光客を温かく親切に迎え、良質のサービスを提供することにより、鹿児島を訪れる多くの観光客が、再び訪れたいと思うような観光かごしまづくりを進めるために始められた県民運動です。
 その目標は1つには、シンポジウムの開催や、優れたおもてなしをした人を表彰をするなどして、県民のホスピタリティの醸成を図るものです。2つ目は、まごころワッペンの着用を通して、観光従事者等の資質向上を進めるものです。3つ目は、観光地の美化運動の推進や表彰を行うことにより、きれいな観光地づくりを目指すものです。

  先日2つの会社のタクシーに乗る機会があり、運転手にこの運動についての会社の取り組みを聞いてみました。A社の運転手は次のように答えました。「1回社長名で運動の主旨を書いた書面を渡され、中身はサービスを良くするようにとのことで、あまり詳しく覚えていない」という返事でした。B社の運転手は「毎日朝礼で、接客のマナーを朗読し、まごころ運動の主旨を徹底している。」との答えでした。2社の会社でも取り組みに大きな差があります。当然運転手さんたちにも、サービスに対する考え方が態度として現れるのは目に見えています。

 観光課では、従来の取り組みに加えて「観光まごころ体験だより」を料金受取人払化して、より投稿しやすくします。また、観光客を温かく親切に迎える宣言的内容のステッカーをタクシーに掲示するとともに、旅館・ホテル・観光施設等の観光まごころ体験設置箱を更新することにしています。

 この運動は県民1人1人が内容を理解して、実行しなければマナーは向上しません。いま、国内旅行はどの地域も苦戦しています。少子高齢化が急速に進む中で、交流人口を増やし、地域活性化の方策として観光振興を掲げている自治体が90%を超えています。地域間競争は熾烈をきわめており、まさに地域総力戦で取り組まないといけません。ホスピタリティの醸成は「観光立県鹿児島の確立」のためには、当然のことです。
 
 今年秋には「ねんリンピック」が開催され、全国から延べで50万人が参加します。来年には今世紀最大の「皆既日食」が鹿児島で観測され、世界から40万人の人が来ると予想されています。鹿児島を訪れる人々を温かく向かえることで、観光客がその思い出をPRしていただくことが次に繋がります。
 
 旅行の目的は、歴史的遺産や景観のすばらしさ、温泉、名物料理等を堪能することが楽しみのひとつです。しかし旅先から帰ったとき一番こころに残ることは、「旅先で受けた運転手の心遣い」、「宿泊先でのおもてなしの良さ」、「観光地で親切に道を教えてくれた地域住民」です。県全体に「観光まごころ県民運動」が定着することで、観光客を持続的に迎える体制ができると判断します。それぞれの事業所、地域で今以上に取り組まれることを期待します。

祭りから興す「まちづくり」

2008年6月16日

  いちき串木野市で開催された「いちき串木野元気祭り」に参加しました。
  この祭りは、いちき串木野商工会議所青年部が中心に、地域興しの一環として始めた若者の祭りです。3回目の開催ですが、今年は鹿児島商工会議所青年部の大会と合わせての祭りとなり、県下一円から若者が参加しました。
 前段の青年部総会で「観光まちづくり」について講話する機会があり、多くの青年実業家が熱心に耳を傾けていただき感激しました。

串木野元気まつり  祭には若者だけでなく子ども、お年寄りなど2000名あまりが参加し、さまざまなスタイルのショーや踊りに拍手を送り、提供された地域の食材を使った料理に満足そうでした。いちき串木野市は今「まぐろラーメン」でまち興しを展開しています。「さのさ祭り」に続く祭として「元気祭り」が成長することを期待しています。

 ところで日本国内の祭りには、いろいろな形があります。伝統を引き継ぐ歴史的な祭りとして、「京都時代祭り」や「博多祇園山笠」、「鹿児島神宮初午祭」などがあります。東北4代祭りのように、4県の祭りを一定の期間に集中させ、観光客を呼び込んでいるものもあります。また「よさこいソーラン祭り」や「かごしま春祭大ハンヤ」などは市民参加型祭りです。イベント参加型の祭りが最近増えています。

 イベント参加型祭りが多くなっている背景には、祭りによる地域おこしが主眼になっていることがあげられます。
 祭りの開催について、地元マスコミを通じて前広に告知をして、PRしなければなりません。協賛の企業を求めることも、祭りの価値が高まり運営上役に立ちます。どの地域から誘客するかターゲットを絞ることも重要です。参加者を増やすため、子供、若者特に女性が参加しやすいイベントに配慮すべきです。また、服装に制限を加えず自由なスタイルで参加できるようにすることが、祭りを賑わいのあるものにします。

  経済的効果をもたらすことが、地域のまち興しには重要です。旬の地元食材を使った料理のお店や、地域産物の即売ができるスペースを確保し、物販とPRを強化すべきです。祭りのほとんどがいままでは縁日の型にこだわってきましたが、時代も変化しており消費スタイルも多様になってきています。
地域に愛される祭りになることが、交流人口を増やすためには、欠かせません。
観光は地域総力戦であり、地域を巻き込んだ祭りの開催が、まちづくりに役立つと確信します。