『旅情報』コラム 2008年1月号
我が家で無くてはならないモノの一つに七輪がある。
福岡でのマンション住まいも10年を超したがいまだに家の中で魚を焼いたことがない。さすがに朝食では七輪に代わり魚焼器を使うがそれでも必ず外で焼く。
お叱りを受けるかも知れないが私の住む官舎でも季節になれば七輪でサンマを焼いている。外で焼くには理由がある。家の中が煤けて臭いが残るのが嫌というのもその一つだがせめて美味そうな匂いだけでもご近所の皆様にお裾分けしたいという気持ちもある。だいたい私が高校の頃までは隣近所がどんな料理を作っているか、煙と一緒に流れてくる匂いですぐに分かったものだ。どこの家も言葉を交わさずとも今からこんな料理を食うぞって自慢していたような気がする。だから夕飯時に我が家から煙が立たず、匂いもしないと家禄の低さを示しているようで子供心にも嫌だった。
炭にも気を使っている。今の炭は2年前に熊本で仲間と一緒に焼いた炭、つまりマイ炭を使っている。
釜の中に入り込んで長さ70cm位の丸太1本1本を心を込めて並べ立て、煙突を立てて、交代で火の見張りをして焼いた炭だ。実際市販の炭と比べると火持ちが断然違う。マイ炭以外にお気に入りの炭を県外から取り寄せもしている。福岡に2箱、鹿児島に1箱を常備している。
七輪は何も家の軒先だけで活躍するモノではない。先週も遠出をしたが七輪を2個も車に乗せて持って行った。早朝家を出て目指す場所に陣取り、先ずは朝食の用意だ。熱々のコーヒーを点て、最近市内で開店した福岡や宮崎にもあるショッピングセンターの中のパン屋が作るねじりドーナツを食べる。このねじりドーナツ、実は15年ほど前シンガポールに住んでいた頃は毎週日曜の朝食に欠かさず食べていた。きっと子供の頃のひもじい思いのはるかかなたにこのパンがあったんだろう。
話が逸れたが朝食が済めば七輪にヤカンを架ける。シュンシュンと口から湯気を出す様は冬にピッタリだ。七輪の火は火力に優れ、風に強く、火持ちもいいし暖も取れる。昼は飯炊きに始まり、キムチ鍋と続く。弁当もいいが外で食べる鍋はまた格別だ。更にアルミホイルに芋を包んで網の上におけば余熱で焼き芋も簡単だ。こんな便利な七輪2個を抱えてのお遊びは10年前から始まり年間2回ある。