『旅情報』コラム 2007年9月号
このところ毎週のように中国から船で800人のお客様がやってくる。中国の人達も鹿児島まで船でやってくる時代になったんだと感慨深げに港に立っていたら、突然自分は一度も船旅なるものを経験していない事に気が付いた。これはいけないと先日船で東北を旅する機会を得た。横浜から三陸海岸を経てあのまぐろの1本釣りで有名な下北半島突端の大間を廻って秋田に到着、竿燈祭りを見て次に青森のねぶたを見学するというコース。
船は荷物の移動もなく、寝ている合間に移動でき、三度三度の食事、更におやつや夜食もあり、各種講座、落語、プロの音楽もあり、確かに楽だ。日本の船だと立派なお風呂まで付いていて日常の延長線上で旅ができる。だから世界一週も毎回満員盛況なんだろうと納得した。
一体この世のすべての乗り物の中で船長さんという職業は別格でステイタスが高い。船長主催のカクテルパーティーなんて言われれば有り難くも、本当に彼が払うんだろうかって考えてしまうのはあまりに貧相か。人類史上最初に世に登場した乗り物が船ということで威厳を保ってるんだろう。でも飛行機のパイロットもいれば、電車の運転手さんもいるし、バスやトラックの運ちゃんもいて世界は動いている。エアバス最新型機では何と555名もの人が一度に搭乗できるらしい。でも毎日お世話になるバスの運転手さんは安全運転はもとより、運賃の精算と案内放送、場合によっては洗車までも一人で担当されているんだろうからもっとすごいよなって結論に達した。こういう思考の時間も船旅の効用なんだろう。

