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第二の故郷/プロデューサーズコラム

 『旅情報』コラム 2007年11月号

 

 

タイ  出張でタイに4日間滞在した。自分が10年ほど前まで住み、日々苦楽を積み重ねた貴重なフィールドだけに今もってかなりの愛着を感じている国だ。面積だけは日本の1.4倍だがタイには富士山や桜島のような美しい山なんか無い。日本の桜や紅葉なども無い。平均海抜数メートルという平坦きわまりない国に6,200万人が住む国だ。山岳民族を含むこのタイ人の屈託のない微笑みが国の最大の魅力であり、観光資源とさえ言える。

 

タイ駐在中ビルの火災で2,3度逃げたことがある。鎮火すれば社員が戻るのは当たり前だが、タイでは戻らない。やっと携帯が繋がったので日本流に何やってんだと叱ると、今電話で話してるんだと言う。誰と話してるんだと聞くと私だと言う。もはや私の怒りはどこかに行ってしまい、笑いさえ込み上げた。

 ある時タイの東部の街で皆既日食の撮影班用に事前に頭金を払い予約マネージャーのサインを貰ってホテルの確保をした。ところが一ヶ月前になって約束通り氏名の報告をすると予約が無いと言う。かねて確保していたホテル発行の確認書を送るとこれは無効だと言う。怒り心頭で理由を聞くとその予約マネージャーは辞めたんだと。組織より人が優先することを思い知った。 

 こんな珍問答みたいなやり取りを何度も経験すると徐々にこの国の思考パターンが分かる。国の法制度がどうなっているかというより、はるかに人とのパイプが重要な国だ。西側の論理が通じないアナログの世界に居心地の良さを感じ始めるともう抜けられない。自分はアジア人だったと自覚する。

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