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世界自然遺産の島・屋久島を楽しもうとしたら、私の場合山登りが苦手なので、選択肢が限定されてくる。とりあえず島の周囲に点在する集落の散策をする。
時には縄文杉や宮之浦岳を見てみたいという気持ちが湧いてくることもあるが、奄美大島などへ飛行機を利用して行く際に、上空からそれらを眺めることで満足し、やっぱり足は集落へと向かってしまう。 しかしながら、集落の散策は本当に面白い。 壮大な自然が広がる島だけに、山々を意識した信仰や風習の遍歴も、集落で求めることができる。また文化財や名所・旧跡も数多く点在している。私だけの屋久島、なんてものを探したい方には、それこそ集落散策がベストだと思う。 そこで今回は、私が勝手に認定し、地域らしさを表現した個人的遺産である「世間遺産」を世界遺産の島で発見しようと、屋久島では二番目に大きな集落である安房をじっくり散策することにする。 安房集落は、林芙美子の代表的な小説のひとつである「浮雲」の舞台にもなった場所でもある。戦後すぐの頃になるが、もちろん林芙美子自身も取材に訪れ、現在の森林管理所や、かつて安房川に架かっていたつり橋を散策し、国有林事業の中心地であった小杉谷集落へと続くトロッコにも揺られる経験をしたようである。このつり橋がとんでもなく風情があり、地域のシンボル的な役割を果たしていたらしいが、そのつり橋はシロアリの被害などにより破損が目立ったため、新しい橋に架け替えられている。それでもなお、安房川に架かるその姿は、なかなか様になっている。 さてさて安房集落には、他にも魅力的な文化財や神社が点在しているので先を急ごう。なんといっても安房集落を代表する史跡は如竹廟である。祀られている泊如竹は江戸時代の儒学者で、屋久島の杉の伐採について岳の神様と相談したといわれる人物である。学のある方だけに用水路も築き、これが如竹掘として一部残っている。 |
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