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読む旅 - 「地の果て」の色彩

読む旅
「地の果て」の色彩
文・イラスト
大寺 聡



西鹿児島駅(現・鹿児島中央駅)は自分にとって、アンドロメダ終着駅に他ならない。小学生の頃、何度か「寝台特急はやぶさ」に乗って東京│西鹿児島間、22時間の旅を経験した。当時はブルートレインブーム。「銀河鉄道999」の人気にも拍車がかかっていたので、主人公の星野鉄郎と自分を重ね合わせた。夜、寝台が準備されても楽しくて眠る訳にはいかず、横たわったまま夜明けまでずっと流れる景色を見続けていた記憶がある。知らない街、知らない駅。見逃すわけにはいかなかった。そうして降り立った西鹿児島駅は、首都圏では目にすることの出来ない鮮やかな色彩を持って僕を出迎えてくれた。空気の色自体が違う。何か、図り知れない「エネルギー」を感じる事が出来たのだった。終着駅に相応しい、まさに南国という印象があちこちで重なり合う場所だった。
 東京から念願の鹿児島移住を果たして丸10年が過ぎ、何人かの友人にこの話しを聞かせた。その中でも鮮烈に残っている反応は「貴方には終着駅でも、我々にとっては始発駅なんだよ」という言葉で

あった。なるほど、そうなのかも知れない。始発駅らしさ、或いはその名の通り「中央」を意識した結果が今の中央駅周辺の雰囲気なのだろうか。確かに、洗練されてきたり、便利になってきているのだろう。でも、何かを失った事も事実だ。あの頃の熱量はあるのか。中でも僕は、取り壊されてしまった観光案内所の独特の佇まいを想い出す。夕方になると「温泉都市鹿児島」というネオン管が灯って、実にムーディーだった。今では駅ビルの1ブースでしかない。観光客はどちらに惹かれるだろうか。
 九州新幹線全面開通で、人や情報はますます流動する。そんな時に、昔はきちんと存在していた「鹿児島の色」までが、乾ききっていない水彩画の様に滲んで消えていっては困るのだ。画面に定着する姿勢、何より「本土最南端で暮らしている」という客観が必要になってくるだろう。中央よりも、地の果ての方がカッコイイ。他都市とは違う何か・・・昔、無意識的にあった鹿児島らしさを想い出していきたい。

「地の果て」の色彩

おおてらさとし
1966年、鹿児島県生まれ。1990年に武蔵野美術大学デザイン学科卒業以降、フリーイラストレーターとして活動。2000年に東京から鹿児島県日置市に移住し、自然の恵みとデジタル技術の融合をテーマに創作活動を続けている。
http://www.ohtematic.com