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読む旅 - 「種子島便り」 松田圭子

読む旅
「種子島便り」

文・写真
まつだ けいこ



私は、十九才でサーフィンを初め、以来、波があれば毎日浸かっている、おばさん専業サーファーである。一九八七年の夏、友人と初めてサーフトリップで種子島を訪れ、島の自然や素朴な人々に感動。以来、度々、島を訪れる様になり、一九年前、当時小学五年生だった娘を連れて家族で島へ移住した。島にいると、素晴らしい自然もであるが、いたる所で、ノスタルジーな風景と出会う。


5月、島の小さな小学校では運動会が開かれる。


田舎は人が少ないから、車も少ない。高齢者が多い島では、都会流の運転が通用しない時が多々ある。指示器が右に出てるかなと思えば、左に曲がる。対向車が知り合い同士であると、道の真ん中で車同士が止まり、世間話が始まる。移住して来た頃、私の住む町には信号が一つしかなかった。しばらくして、『小学生が信号に慣れるために』と、ある交差点にもう一つ信号が出来たのであるが、この信号が危険極まりなかった。赤でも悠々と走ってくる車が多かったからである。ない所に突然出来る信号程、恐いものはない。最近、トリップで来ている人達が島内でもナビを使っている、と聞く


昔、友人達とトリップで来ていた時、夜のドライブに出掛け、一面のサトウキビ畑の中、道に迷ってしまった事があった。辺りには目印になる物も、人影もなく、あるのはザワザワとした風の音と、空には煌々と月が輝いていた。仕方なく、その月を頼りに走り、無事に民宿へと帰れたのであるが、その時の体験は今も心に残っている。都会では「ナビ」が必要かもしれない。 しかし、島へ来た時くらいは、地図を片手に、時には、道に迷う事を楽しみ、島のゆっくりと流れる時間に身を委ねてみてはどうだろうか。

「地の果て」の色彩

まつだけいこ
奈良県生まれ。
種子島在住の画家松田大児の妻。1991年、家族と共に種子島へ移住。夫の仕事のサポートをしながらエッセイを執筆。波があれば毎日海へ浸かる専業サーファーである。

●ブログ
http://blogs.yahoo.co.jp/oban1957
●大児HP
http://www4.synapse.ne.jp/oban/