特急「いさぶろう・しんぺい」

日本三大車窓の絶景&スイッチバック体験!霧島温泉旅にも便利
熊本、宮崎、鹿児島の3県にまたがる肥薩線。その中でも熊本県人吉駅~鹿児島県吉松駅間は日本三大車窓と呼ばれる大パノラマや山肌をジグザグに上り下りするスイッチバック、蒸気機関車のために考案されたループ走行なども体験できる、見応え、乗り応え満載の区間です。ここでの列車旅をより楽しませてくれるのが、特急「いさぶろう・しんぺい」号。今回は熊本発、霧島温泉行きのルートとしても便利なこの山岳特急を紹介します。
明治42(1909)年に開通した肥薩線。その開通に尽力した当時の通産省大臣「山縣伊三郎」氏、鉄道院総裁「後藤新平」氏の名前を冠した特急が「いさぶろう・しんぺい」号です。吉松行きの下り列車を「いさぶろう」号、人吉行きの上り列車を「しんぺい」号と呼び、熊本駅~人吉駅~鹿児島県吉松駅間を1日2往復運行しています。
ボディカラーは古代うるし色と呼ばれる濃いあずき色。肥薩線が持つ長い歴史と風格を感じさせる外観同様、車内もレトロ調な照明や格子状の背もたれがついた木製のシートやべンチが配置された、とてもノスタルジックな雰囲気。さらに、車両中央にあるカウンター付きの展望スペースや運転席からの眺めを映しだすモニターなど、山あり谷あり絶景ありの列車旅を盛り上げるさまざまな仕掛けも用意されています。
まずは、人吉駅発、吉松駅行きの下り列車「いさぶろう」号の旅へとご案内しましょう。最初の停車駅、大畑(おこば)駅を過ぎたところで、さっそくスイッチバックを体験。スイッチバックとは前進後退を繰り返して急こう配の坂を上る方法です。車内モニターで線路が切り替わる様子を見ることもできますよ。旅の後半にもう1度、スイッチバックを行う場面がありますので、そちらもお見逃しなく。その後、山の周りを旋回しながら登るループ線の走行を楽しみ、さらに全長2096mの矢岳第一トンネルを抜けると、目の前に雄大な霧島連山が姿を現します。これぞ、日本三大車窓の1つ「矢岳越え」!快晴時はその右手のはるか先に桜島の姿も見ることができます。この矢岳越えをはじめ、数々の絶景ポイントに差し掛かると列車は減速や一時停車をし、山岳風景をゆっくり楽しませてくれます。
車窓はもちろん、人吉~吉松駅間にある風情あふれる3駅での停車も特急「いさぶろう・しんぺい」号の旅の魅力のひとつ。たとえば大畑駅では「ここに名刺を張ると出世する」という噂から、駅舎の壁という壁に名刺がびっしり!出世を願う方はぜひ、名刺とピンのご準備を。矢岳(やたけ)駅にはかつて肥薩線で活躍したSLが保存されており、その姿を間近に見ることができます。縁起のいい駅名として人気の真幸(まさき)駅には、ホームに幸せの鐘を用意。ちょっと幸せな人は1回、もっと幸せになりたい人は2回、もう幸せいっぱいですという方は3回、鐘を鳴らしてくださいね。

下り列車「いさぶろう」号の終点・吉松駅は、特急「はやとの風」の始発駅でもあります。接続時間によっては、同じホームに並ぶ2ショット写真が撮れることも。このまま「はやとの風」に乗り換えて、2駅先の霧島温泉、あるいは鹿児島市内に行く方もいますが、せっかくなら吉松駅で降りて近隣を散策してみてはいかがでしょう。駅舎に隣接するSL会館では地元スイーツ「湧水プリン」を販売。地元牛乳と種子島で栽培されたサトウキビからの粗糖、無農薬の餌を食べた鶏の卵で作られた、とってもなめらかなプリンです。時間があれば、駅前の天然温泉や霧島の大自然の中で楽しむアートミュージアムなどを訪れるのもおすすめです。
その名の通り、吉松駅の真正面にある日帰り温泉施設。加水加温、循環なしの天然温泉100%の湯が、なんと250円で楽しめます。地下480mから湧く温泉は無色透明、とろりとした湯ざわりが特徴のアルカリ性単純温泉。源泉からの湯が注ぐあつ湯とぬる湯が楽しめる大浴場のほか、館内には2つの貸切内湯もあります。

電話/0995-75-2026 住所/鹿児島県姶良郡湧水町川西935 
営業時間/8:30~20:00 定休日/不定 入浴料/中学生以上250円、小学生150円、未就学児100円
吉松駅からタクシー(車)で約20分。標高約700mの霧島山麓に広がる野外美術館には、草間彌生をはじめ、国内外のアーティストが作り出した23もの現代アートが点在しています。豊かな自然の中をお散歩しながら、多彩なアートに出会い、驚き、実際に手で触れて楽しむ。子どもも大人もワクワクする、体験型のミュージアムです。敷地内のアートホールには、芝生広場を望むカフェテリア、草間彌生グッズや展覧会図録などを販売するショップもあります。