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広域連携による観光振興の重要性

2009年4月27日

             

 

各地域の道路網の整備やレンタカーのネットワーク等が進み、観光客が広域に回ることができる環境が整って来ました。鹿児島県は本土で熊本県、宮崎県と、海を挟んで沖縄県と県境を接していますが、最近県境を越えた観光振興の動きがでてきました。観光庁では、観光立国の実現に向けて、国際競争力の高い魅力ある観光地の形成を促進するため、複数の観光地が連携して23日以上の滞在型観光を目指す観光圏の形成を促進する取組を推進しています。

 平成20年度は、観光圏整備実施計画認定対象地域として、九州地域では熊本県阿蘇市周辺から大分県竹田市に至る阿蘇くじゅう観光圏と、大分県別府市から宮崎県延岡市に至る新東九州観光圏の2つの地域が認定されています。21年度は平戸・佐世保地域と雲仙天草地域が認定されました。  

 
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 県内でも県境を越えて観光客誘致に取り組む動きが出てきています。出水市は、水俣地域と連携しイベントを開催し、相互交流による地域活性化を目指しています。霧島市、曽於市、湧水町は、えびの市、小林市、都城市、高原町の周辺の7市町村で「環霧島会議」を設立して、「霧島山」をキーワードに、市・町境や県境を越えて連携し、環境、観光、防災等に関わる様々な施策・事業について、お互いに知恵を出し合い、共通する課題や目的に向かって協働することにより、地域活性化を目指しています。志布志市は串間市との定例会議を開催し、相互の観光振興に取り組んでいます。最南端の与論町は、時間が短縮でき運賃の安い航路を利用して、沖縄経由で関東・関西地区から一般観光客や修学旅行を誘致しています。これからも誘客にあたっては、広域に渡る連携が重要になると思います。

 

ところで旅行エージェントの南九州方面の旅行は、23日のコースが一番多く、2県を回る企画が大勢を占めています。団体バスのコースは、宮崎空港から日南海岸〜霧島〜鹿児島市内〜南薩〜指宿〜鹿児島が多く、個人のツアーでは、九州自動車道を利用して人吉〜霧島〜桜島〜鹿児島〜知覧〜指宿のコースが人気です。いずれも県境を越えて広く回ります。特に遠方から来る観光客ほど広域に回る傾向があります。

 

先日内之浦方面を視察に行った際、ある地元料理店のオーナーから、次のような要望を受けました。観光客がお店に来たときに、翌日他の地域を観光するための情報が欲しいと尋ねられ、町内のどこにもその資料が置いてないことに疑問を感じ、お店の一角に県内のパンフレットコーナーを設置したとの話がありました。フリーで観光をする人も増えており、情報伝達の改善が必要と感じました。今後観光客が多く集まる入場施設、ホテル、案内所等に、各地のパンフを置いてもらうよう働きかけていきたいと考えています。各自治体には自分の町のパンフはおいてありますが、他の地域のものはあっても、前面に出してないことが当たり前になっています。ぜひ観光客の視点に立ちPRして欲しいと思います。

 

市町村合併が実施され、新しい市・町になり名称が浸透していない地域が多くなりました。地域のパンフを作る場合は、県全体の地図の中に自分の自治体を表し、初めての方でもわかるような表記が必要です。自治体のパンフを見ると自分の町は大きく載っていますが、隣町がないために位置関係がわからないケースがよくあります。少なくとも隣町は、記入することで観光客が自分の町を知ることになります。そのことが地域を越えた観光客誘致につながると考えます。

 

3月から高速道路の料金が土曜日と日曜日、休日が1000円となり、マイカー利用者による観光客が増加することが予想されます。特に今まで注目されていなかった地域に行けるようになり、その意味で地域の埋もれた観光地を紹介し、食、祭り、イベントなどを一連の物語として繋げることで観光客の行動範囲が広がると思います。今後観光圏確立のためには、体験・交流・食などのメニューの充実、宿泊の魅力、移動の快適化など滞在環境整備も必要です。ぜひ来年度は、観光圏整備事業に参画して行きたいと思います。

   

知覧の今後の観光を考える

2009年4月20日

 
 知覧は鹿児島が誇る代表的な観光地の一つですが、順調に伸びていた観光客が、昨年は苦戦を強いられました。その最大の要因に、大河ドラマ「篤姫」の放映があげられます。従来旅行エージェントの企画では、南薩摩方面へのコースには、知覧は欠かせない観光地の一つでした。しかし篤姫ゆかりの地を訪ねる企画が好評であり、限られたスケジュールの中で行程上はずされたことが大きいと思います。又篤姫ガイドの語りが人気を博し、ドラマの高視聴率とともにJRの駅に近くアクセスに恵まれた今和泉地区に観光客が流れたことも、要因の一つです。

 
 

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 今後の知覧の観光のあり方について考えてみたいと思います。知覧の観光の目玉は「武家屋敷」と「特攻平和記念館」です。「武家屋敷」は日本の伝統庭園としてその美しさと整備された通りが多くの観光客を魅了します。しかし観光客は庭園を一度見学すると、再度見ることは少なくなります。リピーターを呼ぶには、季節ごとに移り変わる庭園の見せ方と、庭園を活用した日本の伝統的行事を演出する必要があります。冬には正月人形や羽子板、雛人形の展示を、5月頃にはこいのぼりや兜を、夏には風鈴、秋には野点の茶会など日本の美を再現させることで、庭園がいっそう価値あるものとなり1年を通して観光客を呼ぶことが出来ると思います。庭園通り周辺は、色、高さ、干し物、広告の制限をするなど景観を守る取組みをいっそう強化することが大切です。

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 次に「特攻平和記念館」ですが、戦争体験者、遺族だけでなく観光客の多くの涙を誘う施設です。しかし年代を経過するごとに戦争関係者は少なくなり、大人の見学者は減少していくことと思います。最近では多くの修学旅行生が訪れています。広島、長崎と比較すると平和学習の位置づけは違っており、館内に展示されている修学旅行生たちの感想文を読むと、平和に対する子供たちの純粋な気持ちが伝わってきます。新幹線の全線開通に合わせて、中国方面からの新たな誘致を進めていますが、武家屋敷から特攻平和記念館までの散策ルートが学習の場として活用できると思います。アクセスの確保と観光ガイドのさらなる確保が重要です。

 
今南さつま地域では、グリーンツーリズムの体験と農家民泊の予約が急増しています。知覧地域でも農家民泊を受け入れる家庭が増えていますが、知覧の平和学習と組み合わせることで、さらに誘客ができると思います。修学旅行は1回来ると3年、6年と定着することになります。県の農村振興課では、教育旅行におけるグリーンツーリズムの受入指針を作成しました。体験メニューの充実と受入農家が増えることが誘致につながります。又知覧のある南九州市は、お茶やお花の産地でもあり農業体験の素材は豊富にあり、鍵は地域をコーディネートする人の育成です。 

 最後に知覧町が南九州市となり、観光宣伝の位置づけも変わってきました。従来は知覧町としての情報発信がほとんどで、認知度を高めることが出来ました。今後は南九州市の中における知覧をどれだけPRできるかが課題です。観光客は広域に回ります。鹿児島市、南さつま市、指宿市と連携した広域観光の戦略が必要です。知覧の観光復活を期待します。

「篤姫館」の閉館に思う

2009年4月13日

  

 平成20年1月6日から設置され2009041310275330250.jpgていた「篤姫館」は、本年3月31日に無事閉館しました。当初は1月12日に閉館の予定でしたが、大河ドラマの人気に併せて観覧者が増加し、延長になっていました。当初目標の20万人の3倍となる66万人が入場し、人気の高さを示しました。

   人気を博した要因はいくつか挙げられると思います。まず、放映回数を重ねるごとに視聴率があがり、国民的な人気ドラマとして定着する中で、ドラマで使用された篤姫関連の衣装、映像、資料、小道具が公開されたことです。また、主演の宮崎あおいさんは、開館当日を含め、鹿児島には3回来鹿され、親しみやすいキャラクターと相まって、ドラマを身近なものとて捉え、県民の多くが入場することにつながったと思います。


  次に会場が、桜島が目の前に見えるドルフィンポートに設置したことも観光客が入りやすい環境にあったと考えられます。元来歴史資料館等は、歴史的遺産に隣接するところにあり、難いイメージがありましたが、今回の篤姫館は、アクセスに恵まれ日々人々が来店するアミューズメントゾーンに開設したことが良かったと思います。今まで大河ドラマ放映に合わせて、関連するドラマ館が開設されましたが、どの施設よりも人気を博し、入場者が多かったことは今後の博覧会等の開催に多くの示唆を与えてくれました。

 

2009041310281830253.jpg一方篤姫の放映効果は県内の観光の随所に現れました。指宿の今和泉地区ではボランティアガイドが誕生し、多くの観光客を案内しました。番組終了後解散の予定であったガイド協会は、延長されることになり、現在半年先まで予約が入るほどの人気ぶりです。また地域全体で観光客を温かく迎える態勢が出来たことは、今後の地域づくりへの大きな指針となりました。関連する鹿児島市内の施設も、入館者数は前年同時期の二桁の伸びとなり、県民が鹿児島の歴史に興味を持つきっかけとなりました。

 

しかし篤姫効果は番組終了と共に少しずつ後退していることも事実です。また 世界の経済不況に連動して日本経済も低迷し、加えて円高が重なりインバウンドが激減しています。また、国内旅行も低迷し本県の観光も影響が出ており、ここ2年間新幹線開業に向けて観光客誘致にどのように取り組んでいくかが大きな課題です。

 

今年は、先見性を持ち集成館の近代化事業を進めた島津斉彬の生誕200年にあたります。ドラマでは篤姫との関係が興味深く描かれていました。今までは、彼を取り巻く西郷隆盛と大久保利通が、鹿児島での観光の中心でしたが、今後は小松帯刀と篤姫を加えて同等の観光素材としてPRして誘客に繋げる取組が重要です。篤姫関連の資料が、引き続き黎明館と維新ふるさと館で展示されることで、話題の提供には事欠かないと思います。

 

  市内では維新ふるさと館がリニューアルされ、周辺の整備も進んでいます。中央駅から歩いて5分の距離であり、列車の待ち時間に散策できる散策コースのPRが必要です。また、対岸の桜島には日本一の足湯ができましたが渡らせる仕掛けが必要です。霧島地域では、坂本龍馬の新婚旅行先として話題を提供しましたが、塩浸温泉は十分に活用されてないと思います。

 来年度の大河ドラマは「龍馬伝」となっています。日本各地にある龍馬会の全国大会誘致や、彼が訪ねた足跡をたどるなどの商品企画が必要です。指宿地域では砂蒸し温泉を核とした健康的イメージや山川港の歴史的魅力再発見、離島への拠点など全国的に知名度の高い地域のさらなるPRが、求められます。 

 

篤姫人気を支えた要因は、女性たちの支持があったからであり、鹿児島が、女性達に選ばれ、旅行に行ってみたい地域となるためには、滞在して飽きない観光地づくりが必要です。女性は流行に敏感であり、本物を求めて旅に出ます。食の店、しゃれた工芸店、花と緑の雰囲気作りなど非日常を感じる雰囲気づくりを求めています。

 

  地域の魅力に惹かれて人は旅に出ます。地域間競争は激化しており、篤姫の余韻に浸る余裕はありませんが、常に新しい話題を提供し続けることが重要です。新幹線全線開業まで2年を切った今、自らの地域の魅力を地域の人が語り、地域総力戦で誘客に努めたいものです。

  

鹿の子百合の咲く甑島の魅力

2009年4月6日

 

 

薩摩川内市の西に位置する甑島を30年ぶりに訪ねました。合併して薩摩川内市となりましたが、以前は4つの村に分かれていました。串木野港から高速船に乗り50分で上甑の里港に到着します。今回訪れたのは、鹿島町、上甑町、里町です。観光振興の視点で考えてみたいと思います。最初に訪ねた鹿島町は、断崖絶壁が多く景観がすぐれた箇所が多くあり、市の花にも指定されている鹿の子百合の自生地もあります。
 
 初夏になり二シノハマカンゾウが黄色い花を咲かせると、鹿の子百合はそのあとを追うように、草原一帯に、薄紅色の花がじゅうたんを敷きつめたように咲き乱れます。現在百合の野生の花や球根を取ることは禁じられています。しかし許可を受けて休耕田を活用し植え付けを行い、場所と期間を限定し、観光客が百合の花摘みをすることが可能になれば、観光客誘致につながると思います。


 
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 また断崖絶壁の岩の巣には、ウミネコが生息しており、クルージングをしながら餌をやる体験ができます。船上からきびなごの餌を空中に投げると、あっという間に餌を捕まえて飛んでいきます。その姿は壮観であり学生が喜ぶ海の体験の一つになります。波が荒く起伏に富んだ海岸線は、シーカヤックの訓練には好条件がそろっています。昼飯は港の近くの浜辺で船長と一緒に、取れたてのあじやきびなご、いかなどの海の幸のバーベキューをいただきました。まさに自然がくれた恵みです。


 近くにある旧鹿島村の役場は田舎に似つかぬすばらしい施設ですが、空き部屋等を今後宿泊施設として活用することも検討した方が良いと考えました。野球の城島選手は、オフになると鹿島町の民宿に滞在して、磯づりを楽しむと漁師の方が教えてくれました。

 

夕方の船で中甑港に向かいました。港の近くにある鹿の子大橋から見る夕日は、絶賛に価する魅力があります。翌朝はクロマグロの餌付けと捕獲の現場を見学しました。30キロを超えるクロマグロが、いけすの中で養殖されており、漁師の巧みな手さばきで一瞬のうちに捕獲され、内蔵を取りのぞき大きな箱に格納されていきます。毎日100本近くを捕獲し東名阪の市場に出荷しています。甑島はクロマグロの養殖場としては、水温、海流、海面の深さなど日本でも有数の好条件に恵まれた場所とのことです。今後も生産設備を拡充し、クロマグロの生産を増やして行くとのことでした。雇用の増大が地域経済への貢献になると思います。また漁業体験やシーカヤックなどブルーツーリズムのメニューは教育旅行にも十分生かせると思います。

 

最終日は里町と上甑町の視察を行いました。里町は島の中では、平坦地が多く美しい入り江と自然が造った景勝地がいたるところにあります。里はトンボロと呼ばれる地形の上に発展した町です。海底の砂礫が海岸流によって運ばれ、波の作用によって水面上にあらわれたものです。函館市も同じような地形の所に発展した町です。地学の授業で学んだ記憶があると思います。里町には、丸い石を丹念に積み重ねた玉石垣の美しい街並みが残っており、昔の風情を感じられる通りがあります。その石垣から四季の花々が顔を出し観光客を和ましてくれます。ぜひ一度ゆっくり散策したいものです。

 

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 甑島で忘れてならない魚にキビナゴがあります。近海で獲れたキビナゴは、その日のホテルの朝食に並びます。刺身やちょっと火であぶることで甘みが残り、おいしく食べられます。今甑島で「キビナゴ丼」を
B級グルメとして売りだそうという動きがありますが、その日に獲れた魚だけを使い、甑島ならではの味を出し売りだしてほしいと思います。メニューとして出す店は、キビナゴのロゴマークを統一し、共同でパンフをつくるなどして観光客に宣伝することが、浸透することに結びつきます。

 

夜、島の青年達と懇談する機会があり今後の島の観光について議論しましたが、過疎化が進む島を何とかしたいという気持ちがひしひしと伝わってきました。10年後には中甑と下甑が橋で結ばれます。現在工事は始まっており、完成後の島は里町から下甑島まで2時間程度となり大きく変貌すると思います。下甑町の手打には、漫画のドクターコトーで有名になった診療所があります。ぜひ訪ねて島の魅力について尋ねたいものです。

 

今後の観光客誘致を図るためには、島ならでの体験メニューを充実させることで、教育旅行を誘致することが得策と考えます。2年後に九州新幹線が全線開通します。都会の子供達に、素朴な自然と人情豊かな島の体験をぜひ味わいさせたいものです。

プロフィール

古木 圭介プロデューサー
鹿児島県
観光プロデューサー
古木 圭介
(平成29年4月より就任)
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