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「小値賀町の地域づくりに学ぶ」  〜観光プロデューサーズコラム〜

                     2009年10月5日              

            鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光  

 長崎県佐2009100423151029724.jpg世保市の西に位置する小値賀(おぢか)町は、佐世保港から高速船で1時間30分、フェリーで2時間半の距離にあります。昭和30年代には1万2千人の人口がありましたが、今では3千人と4分の1に減少し、高齢化率は40%を超え長崎県でNO1であり、典型的な過疎の島となっています。 
 島の基幹産業は農業と水産業です。しかしながら後継者不足や農水産物の価格低迷で先行きは厳しいものとなっています。今年島の高校を卒業した生徒は、全員が島を出て進学や就職しており、島内の子供達の数はさらに減少することが明らかであり、高校の存続さえも危ぶまれています。
 

 そこ2009100423193729893.jpgで今後の島の活性化に期待されているのが観光振興です。4年前に関西から家族と共に小値賀島に移住し活性化に取り組んでいるのが、「NPO法人おぢかアイランドツーリズム協会」の高砂専務です。観光の産業化による小値賀町の観光事業規模を現在の1億から5億円にすべく様々な取組を展開しています。来島者のために、島の宝である「手つかずの自然」、「人々のくらし」、「島人とのふれあい」を盛り込んだ体験メニューを商品化するなど活性化に取り組んでいます。  

 対岸にある無人島となった野崎島は、小値賀島から船で20分の距離ですが、最盛期には3集落800人も暮らしており、廃村に残る教会、神社、家屋、石積みの段々畑など時が止まったような風景が残っています。島には世界遺産の暫定リスト入りしたレンガ造りの旧野首教会があり巡礼者がたえず、また隣接する「自然学塾村」は旧野崎小中学校を改築した木造校舎の宿であり、自然体験の拠点として活用しています。  

 小値賀町が2009100423220430081.jpg注目される背景には、ホスピタリティに優れリピーターが多いことがあげられます。また予約窓口を一本化し、ワンストップできめ細かい対応ができ、オーダーメイドの旅ができることが、お客様の信頼を得ています。ここ3年間で、オーライ!ニッポン大賞、エコツーリズム大賞特別賞、グリーンツーリズム大賞優秀賞など5つの大きな賞を受賞し、マスコミ掲載も14回にものぼっています。  

 今後の展開について高砂専務は、「小値賀の自然と文化を守っていくことが一番大切であり、安かろうだけで何十万もお客様を増やすのはダメである。少数のお客さんでも、多くの経済効果をもたらす層をターゲットとした観光をめざす。島にはリゾートホテルはいらない。今後は島に残る古民家を修復して大人の島暮らし体験にふさわしい滞在施設をつくり、昼間は体験プログラムで過ごし、夜は古民家レストランで地域の農産物、畜産物、水産物など地域特性を生かした食材を使い、一流のシェフが料理した食事を提供する。」と述べるなど、観光客の受入仕組作りを2009100423231830081.jpg模索しています。昼食は、地元のお母さんたちが作った料理を、帰りには小値賀の特産品をおみやげとして買ってもらうなど、まさに地産地消で島の活性化を目指しています。 

 今後は小値賀の漁師、農家、町民からの人材派遣や農産物の買取りなどで、地域にお金が循環し島全体が潤うという計画を推進しています。また継続的な事業展開を可能にするためにはNPOだけでは「運転資金」、「免許」の関係で限界があると判断し、事業拡大のため旅行業の免許も取得しています。 

 今野崎島と小値賀島の魅力に取りつかれた人にアレックス・カーさんがいらっしゃいます。アレックスさんは、京都・町屋の再生に取り組まれるなど知日派外国人の代表的な存在ですが、いま「おぢか観光まちづくり大使」に就任され、高砂専務と一緒に小値賀の地域づくりに尽力されています。
  

 我々が小値賀町に学ぶことは   
 ?島全体をひとつのフィールドと捉え、地域の自然、島人の天然の
  ホスピタリティをそのまま生かした地域づくりを展開している
 
  
 ?地域にある農業、水産業、食、そして島人が活躍する体験メニュ
  ーを商品化して地域全体に経済効果もたらしている。
   

 ?人数にこだわらず島の良さを理解できる客層をターゲットにして
  いる。
   

 ?予約機能を一本化しワンストップで予約が完了し、お客の利便性を
  図っていることなどです。
 

 
鹿児島県は離島が多く、参考になることが多いと思います。11月25、26日に開催する「かごしま観光人材育成塾」に高砂専務の講義があります。ぜひ多くの参加者に聞いてほしいと思います。小値賀から帰って1週間ですが、島の美しさと民泊先のご夫婦の温かいおもてなしが、脳裏から離れません。小値賀町の発展を心からお祈りいたします。

プロフィール

古木 圭介プロデューサー
鹿児島県
観光プロデューサー
古木 圭介
(平成29年4月より就任)
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