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「大隅路を訪ねて」 〜観光プロデューサーズコラム〜

                                    2010年1月25日

            鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光 

              

E-45R.jpg 大隅路は、「故郷」、「赤とんぼ」、「夕焼小焼」、「早春賦」などの文部省唱歌や童謡が似合う地域です。四季折々の美しい花が咲き乱れる田畑、太平洋の黒潮が押し寄せる荒々しい岬や白砂青松の美しい海岸、小鮒が泳ぐ清流など日本の原風景がいたる所に残っており、今回の旅先に選びました。垂水から国道220号、269号を経て大隅半島の最南端「佐多岬」に到着しました。太平洋の荒波が打ち寄せる岬の突端に立つ灯台は、錦江湾や南の島へ行き交う船舶の目印とし重要な役割を果たしています。展望台からは、種子島、屋久島、硫黄島、対岸の薩摩半島の開聞岳を望むことができ、東シナ海に沈む夕日は格別です。 

 国道を北上しIMG_5658.jpg、内陸部に入ると「花瀬自然公園」があります。川の中に見渡すかぎり石の絨毯を敷き詰めたような景観は、流れる水から湧き上がるしぶきが白い花に見えることから、「花瀬」と名づけられたとのことです。桜の咲く頃の石畳は一段と美しく感じられます。
 
かつて薩摩藩主「島津斉彬」が開いた茶会のお茶亭跡が、川の近くに残っています。「花瀬」から渓谷が美しい「船間」を抜けると、「岸良」の海岸に出ます。太平洋の荒波が打ち寄せてできた断崖や、歩くとサクサクと音のする白浜が青い海に映えて印象的です。
 
近くの畑2010012500094825144.jpgを通ると、老夫婦が仕事を休めにっこりと手を振ってくれました。田舎の良さは自然の美しさだけでなく、人の魅力をも残していることです。旅先で温かい人情にふれると心が和みます。 

 なだらかな坂道を走らせると、太平洋を見下ろす場所に「内之浦宇宙空間観測所」があり、ロケット発射のない時期は、施設の見学ができます。道を下ると内之浦の街です。秋には「えっがね祭り」が開催され、美味しい伊勢えびや新鮮な魚を求めて多くの観光客が訪れます。地元の漁師が営む食事処である「網元」では、地域の情報だけでなく周辺の観光地のパンフも置くな2010012500082324475.jpgどして、観光客をもてなしています。地域活性化に努力されている姿に頭が下がります。
 
国見トンネルを抜けて旅の最終目的地「かのやばら園」を訪ねました。4000種、50000株のばらが咲き誇る西日本一の広大なバラ園であり、大隅地域の観光の核となる施設です。門倉園長のばらに対する熱い思いを聞く機会にも恵まれました。 

 ところで最近の旅は、体験・交流などのニューツーリズムへの関心が高まっており、グリーンツーリズム、エコツーリズムなど田舎の良さを活用した旅が求められています。昨年大隅地域で開催した「よかとこ博覧P1030254_1.jpg会」には750名もの参加があり、地域の観光素材発掘に地元の多くの人々が参画してくれました。地域の人が地域の魅力を語り、「地域愛」を育てることが地域の活性化につながると思います。九州新幹線全線開業に向けて、鹿児島中央駅から鹿屋までの直通バスの運行も始まりました。アクセスに恵まれない大隅地域にとっては、利便性の確保が観光客誘致にはいちばん必要なことです。乗車率を高めて開業後も継続して運行していきたいものです。 

 今回巡った大隅半島は、1日のドライブコースです。美しく移ろう四季、豊かな自然、美味しい食事、そこに住む人々は旅人を温かく迎えます。郷愁を感じる大隅路をぜひ訪ねてみませんか。 

「後姿に感謝の気持ちを込めて」 〜観光プロデューサーズコラム〜


                  2010年1月18日 
                                                                                               
          鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 ホテル2010011723112217755.jpgではお迎えの時より、送る時により気を遣っておられます。指宿温泉のSホテルの社長さんから心温まる話を聞きました。このホテルは、業界誌が毎年行っている「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」の中で料理部門では1位、総合評価でも常に上位にランクされています。
 
ある夫婦が宿泊したいと、部屋の下見をさせてくださいと来店され、メイドさんが丁寧にお部屋を案内し、その間脱いだ履物はきちんと磨いて準備しました。お客さんは別に不満があったわけではないですが、他のホテルも見たいと言って帰られ、そのとき従業員は宿泊したお客様と同じようにお送りしました。ところが数分すると夫婦の車が引き返してきて、やはり泊めてくださいとお願いされたとのこと。後で話を伺ったところ、車から後ろを振り返ると、予約もしていないのに見えなくなるまで手を振ってくれており、夫婦はその姿に感動し、このホテルなら間違いはないだろうと宿泊先に決めたとのこと。実際に宿泊されたとき、きめ細かなサービスに感激し、その後ずっとそのホテルのファンになっているとのことです。 

 オープン2010011723384218676.jpgまもない屋久島のJホテルの支配人の話。朝並んで団体のバスを見送り、見えなくなったところで従業員がありがとうございましたと深々と頭を下げました。その光景を三階のベランダ越しに見ていた宿泊者の方が降りてきて、どうして見えなくなったバスに頭を下げるのですかと聞くと、感謝の気持ちと、これからの旅のご無事を祈っているのですと。支配人は「人は気づかないところでもいつも誰かに見られている。人がいない場所でも手抜きせず、一生懸命に業務に励むことが大切である。」と従業員に話しているという。このホテル経営は今でも順調に進んでいるとのことです。 
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二つのホテルは、従業員全員が「おもてなしの心」をもって仕事に取り組んでおり、そのことがお客様の評価として表れていると思います。県では観光客を温かく親切に迎え、良質のサービスを提供することにより、本県を訪れる多くの観光客が再び訪れたいと思うような観光かごしまづくりを進める目的で、「観光まごころ県民運動」を展開中です。観光客と接する機会の多い施設では、ぜひ定着させてほしいものです。 

 ところで家に不意の客が来て、夜更けに客を送り、客が出た後玄関の電気をすぐ消してしまうケースが多いのではないかと思います。客にとってみるとすぐに電球が消えると、自分は招かざる客ではなかったかと寂しい思いで帰ると思います。マンションの住人を訪ねた後、階下に降りて道路から訪問nano.jpg先を振り返ることがよくあり、玄関に灯りがついているとほっとします。
 
玄関から道路に出て客を見送り、歩き出して客が見えなくなってから帰路の無事を祈って頭を下げ、家の中に入り灯りを消すぐらいの配慮がほしいものです。

「スポーツキャンプ・合宿の誘致について」 〜観光プロデユーサーズコラム〜


                                      2010年1月11日

                     鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光 

           

  最近プロだけPC220245.jpgでなくノンプロや大学生を中心として、冬場に温かい地域でキャンプ・合宿する傾向が強くなってきました。県の統計によると、平成20年度の県外からのスポーツキャンプ・合宿の受入実績は、647団体、延べ84,373人となり、過去最高を記録しました。増加した理由として、地元関係者を介したものが増えたことや、韓国の高校・大学が長期にわたり合宿したこと、官民による積極的な誘致活動により受入態勢の照会や下見が行われ、スポーツキャンプ・合宿が実現したことなどがあげられます。 

  21年度もスPC220267.jpgポーツキャンプ・合宿を誘致すべく、10月には大隅地区で関西地区のスポーツ団体(12大学、19団体38名)を対象に「かごしまスポーツ合宿招待ツアー」を実施し、その結果これまでに7件の合宿が決定しています。12月22日には、博多都ホテルで福岡地区のセミナーを開催し、県内の13の自治体が参加し、福岡地区の5大学から27団体72名の出席がありました。今回は、交通の利便性の高い駅に隣接しているホテルを会場とし、参加自治体からは地元の食材を提供してもらい、参加者に試食してもらいました。地元の食材を提供することで、より身近な説明ができたのではないかと思います。 

  参加者のアンケートによると、7割の団体が鹿児島での合宿を希望しており、大きな成果があったと判断しています。学生が合宿地を決める要件として、観光地としての魅力ではなく、「宿泊料金」、「運動施設」、「宿泊施設」、「温暖な気候」などをあげています。また、学生の財政事情を考えると、一定の補助金の支援制度がある自治体が選択肢の条件ではないかと思います。 今回参加の自治体は、宿泊日数に合わせて補助金を出しており、学生も候補地として決定しやすかったのではないかと思います。 

 学生が合宿先に求2010011101360022610.jpgめる条件には下記の点も上げられます。一つには宿泊先の近くにコンビニやコインランドリーがあることが望ましいと思います。合宿は長期に渡りますので、生活必需品や食料など緊急に購入の必要が生じることが多く、近くにあるコンビニは重宝がられます。また、ユニホームの洗濯には施設内の設備では間に合わず、大型のコインランドリーを使うケースが多くなります。 

 2つめには、近くに大学があったり、合宿地が隣接している場合は、他チームとの練習試合を望むケースがあります。合宿地のチームとの情報交換を密にし、対外試合の場を設定してあげることも必要ではないかと思います。自治体の担当窓口をきちんとすることが、持続的に合宿地に選ばれる条件ではないかと思います。 

 ところで隣の宮崎県は、プロチームのキャンプ地として定着しており、21年春季には、プロ野球(5球団)、J1(9チーム)、J2(9チーム)などが県内各地でキャンプを実施しました。その経済効果は107億円にも及ぶと試算しています。

  一方本県内IMG_0025_1.jpgではJリーグのキャンプが多く、鹿児島市で清水エスパルス、ジュビロ磐田が、指宿市で浦和レッズと名古屋グランパス、霧島市で柏レイソルがキャンプをしています。薩摩川内市では、プロ野球のロッテマリーンズが秋季キャンプを行っています。各市とも特産の黒牛や黒豚の肉を差し入れするなどして激励しています。プロチームがキャンプすることで、県外からの応援ツアーや報道関係の取材などが多くなり、経済効果が高まります。その意味でプロチームの誘致も積極的に推進しなければと考えています。今年に入り、韓国の野球チームが、40日間鹿児島市内で初めてキャンプをするという朗報も届いています。県内出身者のいるプロ野球やサッカーJIチームのキャンプも、ぜひ誘致したいものです。 

 プロのチー2010011101363922357.jpgムの誘致には、整備された芝のあるグランド、交通アクセスが便利、充実した宿泊施設、歓楽街が近くにあることなど条件が厳しいことが上げられますが、その点学生はプロチームほどの条件は求めません。県内にある公的施設で十分と考えており、自治体にとってもオフ時期の利用促進にもつながります。
 
 
 鹿児島は県内各地に温泉があり、豊富な食材と温暖な気候などは、他県には負けない要件が揃っています。また、乗用車等で移動する学生にとって高速道路の料金低減化は、鹿児島に来ることを容易にしています。おもてなしの心を醸成し、多くのスポーツ合宿を誘致することが、周辺地域の観光客誘致にもつながり、地域の活性化に繫がると思います。
 
今年も関西地区と福岡地区でセミナーを開催する予定です。多くの自治体がスポーツ合宿を推進することを望みます。

「2010年を迎えて」 〜観光プロデューサーズコラム〜


                      2010年1月4日 

            鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫 英光

 明けましておめでとうございます。昨年は経済不況や新型インフルエンザ等の影響2010010323045224986.jpgで観光業界にとっては、大変厳しい1年でした。今年の干支は「寅」です。「寅」は十二支の中で第3番に数えられ、「螾」(いん:「動く」の意味)で、春が来て草木が生ずる状態を表しているとされ、後に覚えやすくするために動物の虎が割り当てられたものです。「虎」は強いもの、豪傑の代名詞としてよく用いられます。「虎穴に入らずんば虎子を得ず」、「虎の威を借る狐」や「虎は千里往って千里還る」などのことわざ・慣用句があります。観光業界として今年の干支の「寅」にあやかり、強く明るく生きたいものです。 

 今年も厳しい経済環境が続くと考えられますが、下記の点を中心に取り組んで行く予定2010010323122625188.jpgです。1点目は、国内の観光客誘致対策です。厳しい経済環境が続く中で、東名阪からの大きな伸びは期待できません。ターゲット先の中心は九州管内、特に福岡と南九州に軸足を置くべきと考えます。県外観光客は、全体の40%を北部九州が占めており、高速道路料金の低減化などによりリピートしやすい環境にあります。また、昨年山口県の観光連盟と姉妹盟約を結びましたが、相互の誘客を促進すべく具体的ターゲットを決めて展開していきます。
 
一方では域内観光の活性化が必要になっており、県民が南北600キロにわたり点在する「自然」、「歴史」、「食」、「温泉」など鹿児島の良さを体感すべきです。そのことが鹿児島のPRにつなが2010010323132625260.jpgると確信します。 
 
3年前から進めてきた「よかとこ100選」は、5冊目の「食彩の旅」が刊行され、県内の隠れた観光素材が一応出揃ったと考えています。5冊のテーマのなかから、「ベスト100選」を選定する準備を進めています。昨年から実施してきた「よかとこ博覧会」が、今年は桜島地域と奄美大島で開催します。今の観光の潮流である体験・交流・滞在といったニーズに対応すべく、地域が主役の「着地型メニュー」を造成し、少しずつではありますが体制が整いつつあります。人材の育成が観光振興には欠かせません。域内観光の推進にも役立つと考えています。 

 2点目は外国人の誘致対策です。昨年は急激な円高の進行と香港線の運休などで外国人が2010010323372825366.jpg半減しました。昨年の秋ごろから、韓国からのゴルフツアーが回復基調にあります。また、中国人への個人ビザの解禁、宮崎空港への中華航空の路線開設などで鹿児島への入りこみも期待できます。香港、台湾についてはチャーター便の運行も予定されています。日本人の国内旅行市場は成熟している中で、人口は減少し、しかも地域間競争は激化してきており、外国人の誘致はその対策としては重要な位置付けであると考えます。引き続き現地エージェントセールス、招聘事業、企画支援などを推進していきたいと考えています。

  3点目は、新幹線の開業に備えて、アクセスの整備と情報発信です。九州新幹線の全線開業まで1年2か月あまりとなり、県内各地2010010323501625220.jpgの地域づくりも忙しくなってきました。博多駅から鹿児島中央駅まで80分となり、人の流れが大きく変わることが予想されます。開業効果を県内全域にもたらすためには、2次交通の整備が必要です。駅から観光地、観光地間の連携など、観光地における交通弱者の足をどのように確保するかが課題です。県として秋には実証実験を予定していますが、地域においてもモニターツアーなどを実施して問題点を整理して、対策を練る必要があります。停車がある出水、川内地域では、観光ルートの設定、それに合わせたアクセスの確保、食の魅力発信が必要になっています。特に下りに降ろすことが重要です。 

 また、情design_1.jpg報発信については、12月の「新青森駅」に続いて、3月には、南の終着駅「鹿児島中央駅」までつながることを、あらゆる機会を捉えてPRすることが重要です。九州新幹線の全線開通については、九州以外ではほとんど知られていません。メディアの話題も、北と南を取り上げるのでいい機会だと思います。観光連盟では、離島、街、食など地域の魅力を、年間を通して特集を組んで宣伝していく予定です。 

 ところ2010010323174725220.jpgで、日本の経済はデフレスパイラルにあり、観光産業も苦しんでいます。特に宿泊価格は、12食数千円というのもあり、経営としては大変厳しいと思います。宿に泊まり、お風呂、食事、寝具の提供と、サービスには限界があると判断します。あまりの低価格競争のしわ寄せは、従業員の労働条件にも影響すると思います。腕を磨いた調理人の料理、メイドさんの接遇、お部屋の雰囲気など「旅館」は日本文化そのものであり、これからも残していきたいものです。鹿児島の宿泊施設の接遇のすばらしさを、内外にPRしていきたいと考えています。 

 一昨年は、2010010323180725201.jpg「篤姫」で賑わった鹿児島ですが、今年の話題は「龍馬伝」です。人気歌手の福山雅治さんが主役を演じることで、老若男女を問わず人気が盛り上がっています。高知と長崎、京都が舞台の中心ですが、霧島は、龍馬とおりょうさんが新婚旅行に訪れた場所として有名であり、多くのエージェントが旅行商品化しています。今年の鹿児島の観光の目玉になると期待しています。 

 最後に観光は総合産業であり、観光の低迷は鹿児島の地域経済に大きな影響をもたらします。昨年全国商工会議所の会員の調査で、九州の中で行きたい県の第1位に選ばれており、ポテンシャルの高い鹿児島県を自信を持って全国にPRできます。九州新幹線の全線開業まで1年2ヶ月あまりとなり、今年の取組が、県内全域に新幹線開業効果もたらすことにつながることを期待します。

プロフィール

古木 圭介プロデューサー
鹿児島県
観光プロデューサー
古木 圭介
(平成29年4月より就任)
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