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好調を維持している鹿児島の観光~リピーター対策と次年度への取組強化を~

2011年12月5日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

今年のカレンダーも最後の1枚となりました。今年は年初から、鳥インフルエンザの発生や新燃岳噴火、九州新幹線全線開業前日の東日本大震災と原発事故の発生など、鹿児島の観光に先行き不安を感じさせる出来事が続きました。
特に、東日本大震災等の発生で旅行の自粛ムードが広がっておりましたが、4月の後半から回復基調となり、一部の地域を除き県全体としては宿泊観光客の増加は顕著に推移しています。

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鹿児島中央駅が新幹線の南の終着駅になったことや、指宿枕崎線に「指宿のたまて箱」という観光特急が走ることなどが話題となり、メディアでの取材も多くなりPR効果が浸透してきています。 鹿児島県は九州本土最南端の県であり、これまでなにかと不自由をかこっていましたが、今では逆にそのことが新幹線の全線開業による時間短縮効果が顕著となり、終着駅まで行って見ようという好奇心にかられ、旅行先に選ばれていることが宿泊者増加につながっているのではないでしょうか。

先日、日曜日の午後、鹿児島中央駅に出かけた際に、アミュプラザのエスカレターで右側を一直線に並ぶ中高年の女性グループに出会いました。エスカレターを降りたところで話を聞くと、関西から1泊2日の同窓会で指宿旅行に来たということでした。

感想を聞くと、「鹿児島への旅は、修学旅行や新婚旅行以来で、昔の事が思い出されて懐かしかった。鹿児島がこんなに近くなるとは思わなかった。食べ物もおいしく温泉も良かったけど、対応が今一つであった。要件を依頼しても要領を得ず待たされた。精算に時間がかかった。表情に笑顔が無いなどおもてなしの心が欠けていた。」という厳しいご指摘も受けました。
最後に「鹿児島は街で会う人々が親切であり、しかも自然が素晴らしい。桜島の噴火が出迎えてくれていい思い出ができた。」と笑顔で語ってくれました。

先日発表された県の10月の観光動向調査によると、主要宿泊施設の宿泊客数は、278,384人で前年同月比28.6%増となっています。

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特に関西・中国・北部九州などからの宿泊客の大幅な増加により、前年を大きく上回り、地区別では指宿地区が前年比170%を超え、鹿児島地区、種子・屋久地区も20%を超えるなど、平成20年以来全ての地区で対前年を上回っています。

ホテルによっては、平日も満室の日が多く、従業員の勤務体制の確保が厳しいところもあります。また、最近減少してきた団体客が例年より5割も増加しているのも特徴であり、新幹線の停車駅から貸切バスを利用した旅行が顕著となり、バスが不足する日も多くなっています。指宿地区では来年の3月ぐらいまでは、エージェントの企画が設定できないほど混んでいるホテルもあります。

しかし、このように好調な時ほど、お客様の信頼を裏切らないような対応が求められます。先日福岡で開催した商品説明会でも、主要エージェントからクレームが上がりました。
電話をしたけど愛想が無く、事務的に断られた。予約担当者においては、休前日等断るのに苦労すると思いますが、空き日や他施設への誘導などの丁寧な対応が必要です。宿泊が不可能な場合は、近隣の日帰りのコースを説明し、他の地域の宿泊をお勧めすることもお客様の印象を良くすることにもなります。
篤姫放映翌年の反動を教訓にすべきであり、行政、観光協会、観光施設それぞれの役割、取組は何なのか検証すべきではないでしょうか。

ところで、現在の各エージェントの予約状況等から判断すると、大規模な自然災害の発生や世界的な経済危機がない限り、本県の観光はゴールデンウイーク頃までは好調に推移するものと思います。各宿泊機関や観光施設等にはすでに来年に向けての取組をお願いしているところです。

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その意味からも5月以降の商品企画や新たなイベントの創出、キャンペーン等の展開が必要です。特にリピーター対策として離島を加えた商品展開や着地型メニューを組み込んだ新しい企画が求められます。


来年は、国は震災復興対策として東北への支援を強化する方針であり、観光庁ではその予算を組んでいます。エージェントもそれに呼応して、東北の地域活性化策や商品企画が増加するものと思います。鹿児島としては、それをじっとして見ているのではなく、最大の需要を擁する関東地域での販促を強化する必要があります。
また、全線開業で便利となった関西地域では、京都、滋賀、奈良、和歌山などの大阪周辺部、さらに中国・四国地域では山陰、高松、今治地域がこれからのターゲットです。

南九州3県には、7つの観光特急列車が運行され、それを目当てに新幹線を利用する方が増えています。特に今年は「指宿のたまて箱」に乗りたい方が多くいましたが、予約が取れず断念した方が多いと感じています。

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来年にもう一度来たいと思わせるためには、ローカル線を組み入れたコース、パワースポット、食の魅力の発信や、地域の新しい滞在・体験メニューが必要であり、より広範囲の連携も必要になります。
肥薩おれんじ鉄道は、今韓国の方に大人気です。新幹線の速さとローカル線のゆっくりした旅も売り込みたいものです。

ところで、来春に中華航空の台湾便の就航が予定されており、インバウンドの回復に大きな期待がかかります。上海線、ソウル線に台北線が揃うと、東アジアをにらんだ新たな展開が可能になります。国内旅行が先行き大きな期待が望めない中で、外国人誘致は不可欠です。

また、平成25年には、関西地域から新幹線集約臨時列車の運行が決定しており、多くの学生が修学旅行で南九州へ来るものと思われます。平和学習、グリーンツーリズム・ブルーツーリズム体験、環境学習、桜島などの自然学習、歴史散策など鹿児島の教育旅行の素材はどこにも負けません。安定的顧客である教育旅行の市場開拓も重要な取組です。

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持続的に鹿児島への観光客を誘致するため、今日のお客様を大事にし、次へつなげることが重要です。新規顧客の開発には、リピーターの数倍の時間と経費がかかります。 新幹線開業に沸く鹿児島ですが、気を引き締めて常に先をにらんだ展開が今必要ではないでしょうか。

プロフィール

古木 圭介プロデューサー
鹿児島県
観光プロデューサー
古木 圭介
(平成29年4月より就任)
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