鹿児島県観光サイト かごしまの旅

    • 学校・法人の方へ
    • 観光

トップページ > プロデューサーズコラム

北さつま路を旅する

平成24年1月30日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

轟の瀬.jpg

この度、「みちくさ」の取材で、さつま町と伊佐市を訪ねました。さつま町は旧宮之城町、薩摩町、鶴田町が合併した人口24,000人の町で、県内の町村の中では一番大きな町です。1987年までは国鉄宮之城線が運行しており、旧3町に9つの駅がありました。

旧宮之城線は大正・昭和初期の文明の産物であり、地域の発展に大きく寄与しました。旧薩摩永野駅は金山でうるおい、旧宮之城線では比較的大きな駅で、今では跡地を整備して永野鉄道記念館が残されています。車両、踏切、線路など懐かしい鉄道機械は屋外に、駅舎の中には当時の駅員の制服、駅名個印、駅名看板が展示されており、多くの鉄道ファンが訪れています。

また、この駅はスイッチバックの駅として親しまれた駅でした。旧薩摩永野駅前は長閑な田園地帯が広がっており、四季折々の草花が生い茂ります。戦争中多くの若者が万歳に送られて戦場に、高度成長期には中・高校卒業者が職を求めて涙とともに東名阪へ、その景色を振り返りながら旅立ったことでしょう。

駅舎跡のバス停で、川内の歯医者に行くという二人の老人を見かけました。駅が無くなり生活の不便さを感じるけれども、育った故郷が好きだという笑顔が印象的でした。
近くにあった永野金山は、隣町の山ヶ野金山と坑道がつながっており、江戸時代から金の採掘が行われ、戦後廃坑となりました。金採掘の全盛期の明治42年当時、東洋一と言われた大精錬所と鉱山館(金山の本部事務所)がおかれ、現在は石垣だけが残されています。

永野金山跡.jpg

鉱山館には、西郷隆盛の長子で、台湾宜蘭庁長、京都市長を経た西郷菊次郎が明治42年から大正8年まで第8代館長として就任しました。鉱業館夜学校を建て、多くの人材輩出に努力しました。彼の功績を称えた碑が学校の跡地に建てられています。

今その鉱山跡が整備されつつあり、永野金山の史跡や梅の花を見ながら歩く「結の郷さつま永野ウォーキング大会」が2月12日に永野地区で開催されます。
梅園や棚田、永野金山の坑口跡、鉄橋跡の巨大橋脚をめぐるコースです。休憩所やゴール地点では、住民の手作りのがね、お茶、豚汁とおにぎりでのおもてなしが待っています。ぜひ昔の栄華の跡を訪ね、早春のさつま路を歩きませんか。

伊佐市は、鹿児島県の最北に位置し、熊本、宮崎と県境を接した美しい田園地帯に囲まれた地域です。美味しい米が生産され、伊佐米のブランドとして人気を博しています。
伊佐市(当時は伊佐郡大口村)生まれの作家海音寺潮五郎は、幕末期に近い天保年間の薩摩を背景として、『二本の銀杏』(ふたもとのぎんなん)を書いており、司馬遼太郎をして「名作」と言わしめた小説です。

この小説は幕末の薩摩の農村の風土や生活が描かれており、肥後と国境を接した赤塚郷が舞台となっています。この小説のモデルとなった神社や銀杏の巨木が残っており、訪ねて小説の醍醐味を味わうのもいいものです。

曽木の滝(夏).jpg

伊佐市には、名所・旧跡が数多くありますが、高速道路のインターチェンジ、空港、鹿児島本線の駅から離れていることもあり、観光客は霧島、鹿児島市内、指宿等へ流れています。しかし、九州新幹線全線開業による時間短縮や「新曽木大橋」の開通などで注目を浴びている地域です。 その魅力を紹介します。

川内川上流に位置する「曽木の滝」は、滝幅210m、高さ12mの大きな滝で、特に滝の幅は日本一を誇り、「東洋のナイアガラ」と呼ばれています。昨秋その滝に新曽木大橋がかかり、新たな観光名所となっています。特に春の桜や秋の紅葉の時期は、水の色とのコントラストが一段と映えます。

曽木発電所遺構.jpg

曽木の滝から1,5km下流にある「曽木発電所遺構」は、明治42年に竣工された発電所の跡で、昭和40年に鶴田ダムが完成したため雨季には水没しますが、渇水期にはヨーロッパの城や居住跡を感じさせるレンガ造りの建物がその姿を現わします。湖上に現れる幻の煉瓦の建物は、日本における化学工業の原点です。

忠元公園.jpg

忠元公園は日本桜の名所100選に選ばれ、2kmに及ぶ桜並木があり、満開時にはおよそ千個の提灯が灯され、その下で花見の宴を楽しむ人で賑わいます。
また、島津家の名将といわれた新納武蔵守忠元公を祀る忠元神社や諏訪神社もあり、市民の憩いの場ともなっています。

忠元公は、豊臣秀吉が九州攻めの際、最後まで大口城で抵抗した武将で、島津義久の命で抵抗を止めますが、その会見した場所が「天堂ヶ尾関白陣跡」であり、伊佐市を一望する場所にあります。

伊佐市で忘れてならないのが焼酎です。ブランド米の「伊佐米」と良質の水、そして、さつま芋と盆地ならではの過酷な風土が、美味しい焼酎を作りだしています。
昭和29年、郡山八幡神社の解体修理の際、本殿北東の柱貫の先端から宮大工の落書きが発見され、その中の一部に「焼酎」という文字が見つかり、これがわが国における「焼酎」の初見といわれています。

伊佐美.jpg

現在入手困難な焼酎がいくつかありますが、その走りとなったのが「伊佐美」という銘柄で、個人の蔵元として現在も生産を続けています。
昭和45年、伊佐地区の11の蔵元が協業化することで、大口酒造が誕生しました。曽木の滝のイラストを背景にした「伊佐錦」の商品ラベルは、海音寺潮五郎の筆文字によるもので、その豪快な筆使いは、彼の偉大さを象徴しているようです。

伊佐市の著名人として活躍しているのが、「榎木孝明」さんです。桐野利明の活躍を描いた映画「半次郎」の主役を演じ、伊佐市でもロケが行われました。彼は画家としても有名であり、世界を旅した際のスケッチ集を展示したサロンが生家の近くにあり、多くのファンが訪れています。

伊佐市は、南九州一の大河川内川がゆったりと流れ、肥沃な田園地帯をつくりだしており、最近では学生の農業体験やスポーツ合宿を誘致しています。

伊佐の写真.jpg

また、湯之尾温泉は、古くから本格的な温泉として知られ、泉質は炭酸水素温泉で神経痛や冷え性等に良いといわれて、近燐の住民の癒しの場所として賑わっています。 あなたも山紫水明の地伊佐路で、温泉に浸り美味しい焼酎で疲れを癒しませんか。

                              参考:かごしまよかとこ旅

平成24年度の観光振興策について

平成24年1月23日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

2012年がスタートしてまもなく1カ月となります。観光関連の各部署では、24年度に向けての取組が議論されていますが、観光プロデューサーとしての考え方をまとめました。

桜島(空撮).jpg

24年度は新幹線開業2年目に入り、開業効果も薄れてくるのではと懸念されますが、積極的な営業展開で県内全域に波及効果をもたらすことを念頭に取組を進めたいと思います。


まず現況については
 ①新幹線開業効果により宿泊者数は平成23年5月から11月まで7ヶ月連続で
   前年を超えています。

 ②鹿児島、指宿、霧島といった従来からの観光地は好調ですが、出水、川内、
   大隅地域及び離島は苦戦しています。

 ③海外は上海線が週4便体制となりましたが、搭乗率は厳しい状況にあります。

 ④指宿等は、観光客が急激に増加しサービスの低下が顕著となり、クレームが
   発生しています。

24年度の基本戦略として、過去にとらわれない積極的な営業施策の展開が必要です。

 ①九州新幹線対策として、
   関西、中国、北九州と併せて、名古屋、岐阜、高松、松山をターゲットに積極
   的な営業展開をします。また、エージェントと連携した大隅、北薩、離島地域
   への商品造成を促進します。

 ②首都圏対策としては、
   観光庁は東北対策に全力を上げるも、消費者の選択肢を広げるため、回復
   基調にある首都圏をターゲットに、航空機利用の商品企画を支援します。

 ③今まで力を入れてこなかった隣県を対象とした誘客促進が必要になっていま
   す。本県宿泊者の半数を占める九州のうち、特に宮崎、熊本両県からの誘
   客を促進します。

 ④近年急激に伸びているWEB販売対策として、オフ時期に個人旅行のキャン
   ペーンを展開します。

個別重点戦略として

教育旅行.jpg

 ①安定的市場である教育旅行の誘致が必要
   不可欠であり、修学旅行専用列車のPRと、
   鹿児島ならではの体験メニュー(自然、平
   和、環境、農業、漁業、歴史等)を提案して
   いきます。


 ②グリーンツーリズム、ブルーツーリズムの推進のため、受入施設のコンプライ
   アンスの徹底と、「簡易宿所許可」の取得を推進します。

 ③スポーツ合宿への取組は、「フェリーさんふらわあ」利用のメリット等を前面に、
   関西、北部九州地域で定期的なセミナーを開催します。また、学校の統廃合
   による空きグラウンドをスポーツ施設として整備することを促進していきます。

 ④着地型観光やニューツーリズムの積極的推進のために、県旅行業協同組合
   と提携し、着地型商品「魅旅」の販売強化を図っていきます。

 ⑤3月に就航する台北線は、福岡、宮崎と連携し、新幹線の活用など多様なコー
   スを提案することで搭乗率アップにつなげていきます。日中国交正常化40周
   年を迎え相互交流が不可欠です。上海線は、インが厳しく、鹿児島サイドの搭
   乗率を高めることが最優先であり、特別施策を求めていきます。

 ⑥国内の航空会社対策では、FDAのチャーター企画で本州から屋久島、奄美大
   島等への誘客を促進し、また、LCCを活用し、大阪南部や和歌山地域での商
   品企画の支援を行います。

 ⑦地域をコーディネートする人材の育成のため「第5回かごしま観光人材育成塾」
   を開催します。

 ⑧おもてなしの心の醸成がリピーターの確保につながります。重点地域として霧
   島、指宿での「おもてなしセミナー」を、鹿児島市内で「タクシー乗務員研修」を
   実施し、県民あげて温かく観光客を迎える体制づくりを推進します。

地域別戦略としては、特に大隅、北薩、離島地域の対策が必要と考えています。

大隅地域は、
 ①「おおすみ新観光100選」(仮称)を活用した新しいルート開発とPR、エージェ
   ントの商品造成の支援を行います。
 ②曽於地域の教育旅行グリーンツーリズムを推進するため、曽於地域ならでは
   の体験メニューの開発と受入農家の研修、「簡易宿所許可」の取得を推進し
   ます。

かのやのバラと空.jpg

 ③リニューアルされる「かのやバラ園」やトレッ
   キング、食の魅力の情報発信を推進します。

 ④「フェリーさんふらわあ」を活用した熟年の船
   旅の支援や、スポーツ合宿の誘致、鹿屋体
   育大学の人脈を活用したスポーツ大会の誘
   致を推進します。

北薩地域は、
 ①出水は、ツル見学や武家屋敷観光に加え農家民泊が増加しており、「簡易宿
   所許可」の取得推進などにより新たな客層の定着を促進します。

曽木の滝(夏).jpg

 ②伊佐地域は、「新曽木大橋」が完成し、新た
   なルート確立が必要であり、春の桜、秋の
   紅葉等シーズンごとの魅力を発信し誘客
   を促進します。

 ③甑島は、旅行エージェントの企画が増加し
   ており、民間へのバス事業委託により大
   きく伸びる体制ができます。砂州、トンボロ等地理学的魅力の積極的なPRを推進します。

離島地域は

種子島ロケット11月.jpg

 ①種子島は、クルーズ船や屋久島のハブ空港
   としての誘客を推進します。屋久島は、自然
   を守る取組が世界自然遺産の価値を高める
   こととなります。オフ時期のPRと里の魅力を
   情報発信します。

 ②奄美は、関西・九州内からは船旅を、関東地
   域からは飛行機の旅を売り込んでいきます。

 ③奄美の豊かな自然を、大学のゼミやスポーツキャンプの基地としてPRしてい
   きます。

 ④加計呂麻島や島唄など、奄美独特の観光資源を前面に出したPRを推進しま
   す。

最後に24年度以降に向けては
 ①26年度の教育旅行の誘致に向け、専用列車の利用拡大と霧島・桜島・屋久
   島等の自然、知覧の平和学習のPR、漁業、農業等の体験メニューの充実に
   努めます。

 ②鹿児島を舞台とするNHK大河ドラマの実現に向け、官民一体となった運動を
   引き続き展開します。

以上の取組を中心に、24年度の鹿児島への誘客を進めていきたいと考えています。新幹線開業2年目のジンクスを打ち破るべく、皆さんと連携して施策の展開を図りたいと思います。

上海便の利用促進を

2011年1月16日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

海外旅行は、円高という追い風を受けて回復基調にあり、年末年始を海外で過す方が今年も多く見られました。

寒山寺.jpg

上海市から1時間の距離にある蘇州の寒山寺では、そこの除夜の鐘を聴くと10歳若返ると言われ、その鐘を聞くことを目的に訪れる観光客で毎年賑わいます。
高校の国語の教科書にも出てくる寒山寺の旅情を詠った下記の漢詩は有名です。

楓 橋 夜 泊 ~張継~

月落烏啼霜満天   月が西に落ち闇の中に烏が啼いて、霜が降りそうな空模様だ。
江楓漁火對愁眠   運河沿いに繁る楓と漁火が、旅愁を深め眠りにつけない。
姑蘇城外寒山寺   そのとき姑蘇の町はずれの寒山寺から
夜半鐘声到客船   夜半を告げる鐘の音が私の乗る船にまで聞こえてきた。

[楓橋] 蘇州の寒山寺近くの石橋の名前、現在は寒山寺の北100mの場所 にかけられている
[姑蘇城]江蘇省蘇州府   [寒山寺]寺の名前

ところで、昨年の夏から上海便が4便となり、搭乗率アップが課題となっています。上海周辺には、歴史的遺産を始め多くの観光地がありますが、その魅力についてご紹介します。

シャンハイガニ.jpg

寒山寺のある蘇州は、江蘇省の東南部に位置し、絹織物の一大産地でシルクの工場が多いことで知られています。また、日本人が好きな上海蟹が獲れることでも有名であり、この蟹を食べるために、蘇州を訪ねる方もいます。

また、蘇州は運河による水運が生活に溶け込んでいることから、旧市街地及び周辺の水郷地帯を含めて運河が多く、「東洋のヴェニス」とも呼ばれます。

小生も10年ほど前、ある企業の周年旅行に同行し、寒山寺の境内で記念植樹を行いました。寒山寺の周りはかつて農村地帯でした。今では多くの家並みが立ち並び運河が昔の面影を留めています。

拙政園.jpg

世界遺産の拙政園は池や堀が多くあり、四季の草花が池に映え、その景観を参考にする日本の造園業者の視察が絶えません。虎丘は、8角7層の虎丘塔からなり、現在少し傾いているため「イタリアのピサの斜塔」と比べられます。

江蘇省の省都である南京市の郊外には、広大な敷地に中山陵がありますが、近代中国建国の祖孫文の墓陵です。初代中華民国の臨時大統領で、1911年から1912年にかけて辛亥革命を起こし、今年で101年目にあたります。

孫文は日本に通算約9年間滞在していたこともあり、日本での生活を支えていた人は千人をこえていると言われており、彼の人物像が日本でも語り継がれています。街は長江が東西に貫いており、また、多くの中洲や湖が散在する美しい街です。南京大橋の展望台に登ると、長江のスケールの偉大さに驚かされます。

尾形大作が歌ってヒットした「無錫旅情」で有名な無錫は、太湖に接し典型的な中国の古い城壁に囲まれた都市で、日本からの進出企業が多いことでも知られています。
杭州は、かつてマルコポーロが東洋一美しい街と賞賛した中国八大古都の一つです。市の西側には世界遺産の西湖があり、湖上遊覧をしながら美しい景観が望め、訪れる人々を魅了します。

上海1.jpg

上海は、中華人民共和国最大の経済の中心地であり、その発展はすさまじいものがあります。上海の中心部にある外灘(ワイタン、バンドとも呼ぶ。)は、中心部の黄浦区にあり上海随一の観光エリアで、黄浦江西を走る中山東一路沿い、全長1.1kmほどの地域をさしています。外灘の「観光地下トンネル」の演出には驚かされます。

また、上海は、租界時代の行政と経済の中心であったことから、現在でも金融関係や官庁が多くありますが、大型のブランドショップや洋装店、レトロな雰囲気を活かした飲食店が多く、おしゃれな街に変貌をとげています。

ショーロンポー.jpg

なかでも豫園は上海一の商店街であり、お土産品店やレストランが並び、ここで食べる小ロン包の味は格別です。上海での楽しみは、食にあるかも知れません。
空港から市内までリニアモーターカーで結ばれており、ぜひその速さと快適さを堪能して欲しいものです。

また、高さ492m、101階を誇る上海ヒルズからの眺望は必見の価値があります。 小生は、中国には40数回渡航していますが、上海を起点に魅力的な観光地が数多くあります。春から秋にかけては、シルクロードや西安、黄山、北の北京、大連、旅順等が人気です。NHKでの「坂の上の雲」の放映もあり、203高地のある旅順は今年、観光客が増加するのでは思います。

東方航空飛行機.jpg

鹿児島とほぼ同じ緯度に位置する上海は、東京より近く、週4便となってより行きやすくなり、また、上海を経由して北京やヨ-ロッパ、東南アジアに行くにも便利です。


県交通政策課にある鹿児島空港国際化促進協議会(099-286-2459)では、鹿児島空港国際線ご利用の6人以上の団体・グループに、渡航経費の一部を助成しています。ぜひ活用して、NOビザで行くことができる上海へでかけませんか。

参考:フリー百科事典ウィキペディア

水産業を観光に活かす取組とは

2012年1月10日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

甑島漁港.jpg

鹿児島県は南北600Km、28の有人離島があり、その面積と人口は日本一となっています。 厳しい地理条件におかれていますが、県内には139箇所の漁港があり、東シナ海と太平洋に囲まれた豊穣な海では、多くの種類の魚が捕獲され、また波静かな入江では養殖漁業が盛んに行われています。

長島、甑島、錦江湾、笠沙地域、大島海峡等では、カンパチ、クロマグロなどが養殖され、「かごしまブランド」として海外にも輸出されています。海面漁業・養殖業の生産額は814億円に上り、全国第5位となる漁業県です。(県の20年の統計)

しかし、最近の漁業を取り巻く環境は厳しいものがあります。海外から安い魚が輸入される上に日本人の魚離れが顕著であることです。食事スタイルが洋風化し、ファーストフード等は肉中心のメニューとなっています。解体後の生ゴミの処理が負担となり、家庭から魚料理が敬遠されていることも上げられます。
また、子どもの頃から食育の不足があげられます。魚が健康に役立つ教えが不足しており、食べやすい料理の提供が不可欠となっています。

ところで、鹿児島県には毎年800万人前後の宿泊観光客が訪れています。大手情報会社の調査によると、観光客の鹿児島に対する食のイメージは、黒牛や黒豚が人気であり、「かごしまのさかな」はあがらない状況であり、魚のPR不足は否めません。宿泊施設でのPRや、おみやげ物としても魅力ある加工品が少ないのではないかと思います。

九州新幹線が全線開業して多くの観光客が鹿児島を訪れており、水産業を観光に活かす取り組みが必要と考えています。海に囲まれた鹿児島は美しい自然景観にも恵まれ、そこで獲れたおいしい新鮮な魚に触れる機会をつくり、地域に経済効果をもたらすことが必要ではないかと考えています。

海の桜勘旗.jpg

漁協の直営店舗を積極的に活用し、身近な海で捕獲される魚のPRをすることが、安全・安心のブランドの推奨につながります。定期的に錦江湾での鯛釣り大会等を実施して一般の参加者を増やすことも、鹿児島の海と魚を身近に感ずる機会ともなります。
また、大隅半島の漁港から直接仕入れした魚を、午後には店頭に並べて販売している大型スーパーもあります。顧客の信頼度が増しているのではないでしょうか。

旅行エージェントとの提携も必要です。バスツアーの行程に漁港を組み入れて、そこで小魚や貝類を販売することが集客につながっています。県外客には、大きな魚はクール宅急便等で送るなどの利便性を図ることも大切です。

垂水修学旅行体験.jpg

最近では、体験型教育旅行の誘致を積極的に推進している漁協があります。
垂水漁協では、昨年11校を受け入れました。カンパチの餌やり体験や、魚の解体が生徒の感動を呼んでいます。操業の空き時間を活用し、漁協の経営にプラスになることが前提であり、今後も拡大の基調にあります。

25年関西地域から、専用の新幹線を利用して5000名の学生が鹿児島を訪れます。多くの学校に体験漁業を売り込んで行きたいと計画しています。直営の食堂での昼食も人気のひとつにもなっています。

お魚ツアー1.jpg

また、魚類市場でのフェアの開催も魚を身近なものとする取組です。日常のファンづくりのためには地域ぐるみで盛り上げ、農産物や特産品の提供も一緒にする必要があります。
最近では、宿泊者に早朝の市場見学をコースに組み込み人気を博しています。旅番組、テレビのロケなどは積極的に受け入れてイメージアップにつなげている地域もあります。 

一方では、魚の魅力を定着させるために二次産品の開発と広く観光客に支持されるブランドづくりを推進する必要があります。
今B級グルメや「新ご当地グルメ」が人気となっており、日南市の「日南一本釣りカツオ炙り重」や、志布志の「背白ちりめん三昧丼」は地域で作り上げた新しいメニューです。日南市は、広島東洋カープ、埼玉西武ライオンズのキャンプ地であり、また近くの飫肥は急激に観光客が増加している地域であり、そこからの誘引効果があります。

これからの水産業の活性化には、魚を利用した調味料など女性に支持される商品づくりが求められており、生魚を加工し、干し物、菓子の原料、調味料にして履歴を添付し駅や空港での販売を強化する必要もあります。千歳空港では、観光の帰りに水産物の購入が多いのは、地域をイメージできコンパクトに持ち帰れる商品があるからです。

漁協の成功事例では、福岡市にある「志摩の四季」は人気店の一つです。イオンの敷地にある独立店で、水産物がメインですが、農産物、地域産物の加工品、手作り菓子、弁当の販売や、買った魚の処理や簡単な料理が食べられることも人気のひとつです。

道の駅「蓬莱館」は、海岸のそばで開放感ある施設です。食事施設が充実しており、観光客がドライブの途中に気軽に立ち寄ることができ、目の前の東シナ海で獲れた魚が人気です。農産物、おみやげなども豊富にそろっています。

ぶえんかん.jpg

また、垂水や鹿屋、東町、阿久根漁協などの直営の食堂が人気なのは、新鮮で安全・安心のブランドとしての認知度が高まっているからです。
これからのマーケティングを考えるとき、消費のサイズは小さくなり、消費の拡大は「安全」・「安心」の顔が見える商品がポイントであり、女性の感性をくすぐる商品が売れると思います。

最後に、週末に都会の住民が農水産物を買いに訪れ、地元食材を活用した食事を提供できる施設がある地域が求められています。
日本の人口は減少し、家族構成も小さくなり今のままでは魚の消費拡大は望めません。県内で獲れる魚の様々な料理法や食べ方、魚が健康に役立つことなど、身近な食材である魚の魅力を消費者にPRすることも重要です。

かのこのマグロ寿司.jpg

今、観光客に黒牛・黒豚に続くものとして「かごしまのさかな」をPRする取組が求められています。

プロフィール

古木 圭介プロデューサー
鹿児島県
観光プロデューサー
古木 圭介
(平成29年4月より就任)
詳しいプロフィールはこちら

月別アーカイブ