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地域の魅力に触れる旅 ~「魅旅」~

2012年5月28日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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日本には1万社を超える旅行会社があり、観光庁長官登録が必要な第1種旅行業と、本社所在地の都道府県知事の登録が必要な第2種旅行業、第3種旅行業、旅行業者代理業があります。業界の団体組織としては、一般社団法人日本旅行業協会(JATA)と社団法人全国旅行業協会(ANTA)があります。

JATAは、正会員1142社と協力会員528社、賛助会員552社、旅行業に密接な関係のある人552人が加入し、全国8支部が設けられており比較的全国的に営業を展開しているのが特徴です。(2012年3月16日現在) 一方、ANTAは、全国47の都道府県に支部を置き、日本全国の5500社を超える会員により、地域に密着した活動をしているのが特徴です。

ANTAの各社が企画造成しているのが、着地型旅行「地旅」と呼ばれるもので次の特徴があります。

①「テーマや目的」が明確になっている
②自然景観、生活文化、歴史遺産など地域資源の保全に取り組んだ旅行
③地元の人達、地域の各種団体(自治体、観光協会、NPO法人)等と協力して企画造成されている
④地域の食材や伝統工芸など、地域の物産を活かした広く地域振興に貢献している旅行
⑤地元の人たちとの交流や体験が設定され当該地域ならではの生活・文化などの魅力を楽しく伝えるための観光素材(地域のボランティアガイドの確保)などが含まれていること

などです。日頃から地元と密着している会社ならではの商品が特徴です。

ANTAでは、毎年「国内旅行活性化フォーラム」を開催し、地元の観光素材を生かしたさまざまなモデルプランを造成し、旅行需要の拡大を図っています。また、顕著な実績を収めた話題の商品を「地旅大賞」として表彰しています。

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ところで、鹿児島支部72社で「鹿児島県旅行業協同組合」を組織し、「魅旅」というネ ーミングで「地旅」を企画販売しています。そのコンセプトは、「めぐる・味わう」、「元気になる(健康)」、「わくわくする(体験)」、「感じる(季節)」、「学ぶ(文化)」、「つながる(フレンドシップ)」で、42の商品が企画され、どの商品も地旅のテーマが明確に示されています。

鹿島断崖やナポレオン岩など超ド級の大自然をクルージングし、語り部と巡り海の幸に触れる甑島の旅は人気です。また、椿油石鹸づくりとジャンベ体験や天然温泉「東温泉」がある硫黄島、トレイルランレース黒島、竹島遊歩などの三島村の旅、秋に実施される大隅半島の3大紅葉巡り(花瀬川と吾平山上陵の紅葉、垂水千本イチョウ)も見ものです。

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曽於市にある悠久の森・大川原峡・桐原の滝を散策するコースは、奥入瀬渓流を思わせる森と川と渓谷を歩くことで心が癒されます。その他錦江湾での釣り、イカダ体験や郷土料理作り体験等、今までにないユニークなコースが企画されています。

               

日本の国内旅行市場は、「発地型旅行」を中心にマスツーリズムで拡大してきましたが、現在は、地域主導・地域密着による個人の「着地型旅行」が人気を博しています。大手旅行社は、先ほど説明したコースなど、地域の奥まで出かけて、しかも手間暇かけて旅行商品を造成することに積極的には取り組んではいません。そこを取り込んでいるのがANTAの会員で、地域を熟知している住民や観光協会、NPO団体、自治体職員等と会員が一緒になり、創意工夫に満ちた新しい商品を造成しています。

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一方、著名な観光地が少なく、大きな宿泊施設を持たない地域では、小グループやマニアックな旅が好きな客を対象に、様々な情報手段を活用し、地域の魅力を届けることが重要となっています。地域住民総参加の伝統的祭り、1年に1回しか公開されない神社・仏閣の宝蔵品、外部に流通してない旬の食材、集落に残る行事、珍しい木や花、めったに見ることができない自然現象等地域を総点検し、商品化を進めて欲しい。

               

鹿児島県旅行業協同組合は、理事長の中間幹夫氏を中心に積極的に事業展開をしています。今物見遊山では飽きたらず、他の地域ではできない体験、地元の人々とのふれあいを求めている旅行者が増加していることもあり、「魅旅」の販売も伸びています。 中間氏は、これからはバリアフリーや空き家対策など社会貢献のツアーや地域経済の活性化に積極的に取り組みたいとその意気込みを語っています。

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鹿児島の観光は、従来の観光地だけでなく離島を含めて県下全域で魅力創出に努めることが、新幹線の波及効果をもたらし、再訪や滞在につながると信じます。 「魅旅」については県も支援をしていますが、県民の皆様も参加されると、必ずや鹿児島で今まで感じたことない新たな感動に出会えると思います。

鹿児島県旅行業協同組合の活動が、地域の活性化に繫がっており、観光連盟として最大の支援をしていきたいと思います。

               

問合わせ先:鹿児島県旅行業協同組合  魅旅 099-201-9897

スポーツ合宿に求められる要件について

 

2012年5月21日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

大学生は、春、夏、秋休みを中心に合宿する傾向が強くなっており、一度に多くの学生が宿泊するのが特徴です。今そのスポーツ合宿の受け皿づくりが、県内全域に広がりつつあります。

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県の統計によると、2009年度から2年連続で9万5千人を記録し、11年度は、過去最高となる見込みで、教育旅行に匹敵する人員になります。 増加している理由として、官民による積極的な誘致活動を継続して来たこと、県に専任の担当者を配置していることや、一度訪れた学校の口コミ等で鹿児島の魅力が浸透していることがあげられます。

平成22年度は市町村別では、南さつま市、鹿屋市、奄美市、さつま町、日置市、鹿児島市、志布志市の順で、競技別では、野球、サッカー、陸上の順となっています。

今年の福岡地区の説明会には、19団体、45名の学生が参加しました。県、観光連盟、13市町村の担当者が出席し、各地区の受入施設の特徴について個別相談会の方式で実施しました。

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今回も参加者が出席しやすいよう、利便性の高い駅に隣接しているホテルを会場とし、参加自治体からは地元の食材を提供してもらい、参加者に試食してもらいました。地元の食材を提供することで、より身近な説明ができたのではないかと思います。


新幹線の全線開業などで鹿児島での合宿の機運が高まっており、学生達は新幹線で鹿児島に行ってみたいと語っていました。

志布志では、大阪からの「さんふらわあ」を利用したサッカーの合宿が、徳之島町では冬場に、東京からの大学の野球の合宿が増えています。 6月には、「かごしまスポーツ合宿招待ツアー」を実施し、誘致に繋げたいと考えています。秋には、大阪と京都でそれぞれセミナーを開催し、誘客を図る予定です。

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相談会での意見は、学生が合宿地を決める要件として、「宿泊施設と料金」、「自由に使える運動施設」、「温泉」、「食の魅力」、「夜遅くまで懇親会ができる」、「近くに観光地がある」ことなどをあげていました。


特に十分な練習時間が確保できることが、鹿児島まで足を伸ばすことの大きな理由になっているように思います。宿泊地が温泉地で、練習会場が他の自治体というケースもありますが、今後に繋げる意味でも温かく迎えて欲しいと思います。

また、学生は夕食の後ミーティングを兼ねて遅くまで懇親を深める傾向があり、その点も理解して欲しいと思います。 学生が合宿地に求める条件には下記の点も上げられます。一つには宿泊先の近くにコンビニやコインランドリー、緊急の体制が取れる病院があることが望ましいと思います。

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合宿は長期に渡るので、生活必需品や食料など緊急に購入の必要が生じることが多く、コンビニは重宝がられます。また、ユニホームの洗濯には施設内の設備では間に合わず、大型のコインランドリーを使うケースが多くなります。


また、合宿地が隣接している場合は、他チームとの練習試合を望むケースがあります。合宿地のチームとの情報交換を密にし、対外試合の場を設定してあげることも必要ではないかと思います。自治体の担当部署と担当者を明確にし、合宿期間中の相談窓口を設けることが持続的に合宿地に選ばれる条件ではないかと思います。

ところで、プロのチームの誘致には、整備された天然芝のあるグランド、交通アクセスが便利、充実した宿泊施設、歓楽街が近くにあることなど条件が厳しいことが上げられますが、その点学生は、条件を多くは求めません。県内にある公的施設等でも十分と考えており、オフ時期の利用促進にもつながります。
ここ数年学校の統廃合で、不使用のグランドや体育館が増えています。テニスコートやサッカー場へ転用し、利用促進を図る必要もあります。

また、学生の財政事情を考えると、一定の補助金の支援制度がある自治体も選択肢の条件ではないかと思います。今回参加の自治体は、宿泊日数に合わせて補助金を出しており、学生も候補地として決定しやすいのではないかと思います。

各地に温泉施設があり、豊穣な食材とおもてなしの心など他県には負けない要件が揃っているのが鹿児島の魅力です。

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鹿児島の従来の観光は、鹿児島市、霧島地域、指宿地域がメインでしたが、これからは県内全域における魅力創出が、持続できる観光鹿児島の受入態勢づくりになると思います。増加してきた農家民泊やスポーツ合宿の誘致は、大規模な宿泊施設がない地域でも誘致が可能です。

学生のスポーツ合宿を誘致することで、その後のリピーター化につながり、地域の活性化にもなります。多くの自治体が今後もスポーツ合宿誘致に力を入れることを望みます。

かごしまゆかりの文学作品の地を訪ねて

2012年5月14日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

ゴールデンウイークも終わり、新緑が一段と目にしみる季節となり、鹿児島中央駅には関西・中国方面から毎日修学旅行生が降り立ち、噴煙をあげる桜島に感嘆の声を上げています。

皆様は今年のGWはどこを旅しましたか。私は久しぶりに、作家梅崎春生のデビュー作である「櫻島」のゆかりの地、南さつま市の坊津を訪ねました。

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坊津はかつて遣唐使船が寄港し、東南アジア方面との密貿易で隆盛を極めた港です。小説は、太平洋戦争の末期、海軍の通信下士官として配属されていた坊津や桜島が舞台となっています。戦時下の出来事を綴るなかに、死ぬことが決まっている極限状態の心象風景など戦争の実相と戦争の狂気が描かれている興味ある作品です。

梅崎春生は「櫻島」の20年後に、「幻化」を発表しています。この小説は彼の遺作で戦後文学の完成点と絶賛された小説です。「人生幻化に似たり」の文学碑が、湾を見下ろす公園の中にあります。石畳の続く路地裏を歩くと、昔の栄華が偲ばれる場所が随所にみられます。彼が坊津を訪ねて宿泊した倉浜荘は現在宿泊できませんが、密貿易の館として知られており、道路からその姿を見ることができます。

ところで、文学作品には、地名を題材にしたものが多くあります。「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。」は、ノーベル文学賞を受賞した川端康成の「雪国」の冒頭の文で、彼がよく滞在した越後湯沢温泉が舞台であることはよく知られています。

他にも日本各地を旅すると、小説の舞台になった場所が数多くあります。 三浦綾子の「塩狩峠」や、渡辺淳一の「阿寒に果つ」は北海道が舞台です。太宰治は郷里を舞台に「津軽」を書いています。中里介山の「大菩薩峠」も読み応えのある作品です。

国木田独歩は、まだ自然が残っていた頃の東京を「武蔵野」の題名で、志賀直哉はよく訪れた温泉地で「城の崎にて」を書いています。志賀直哉が滞在していた旅館は、今でも地元の老舗の温泉宿として名を馳せています。島崎藤村は木曽路を「夜明け前」で、三島由紀夫は京都の名所「金閣寺」、田宮虎彦は四国の「足摺岬」、菊池寛は大分県の青の洞門を舞台に「恩讐の彼方に」を作品として残しています。

かごしまは、豊富な自然や歴史、人物に恵まれており、多くの文学作品が生まれています。

「寺内貫太郎一家」や「7人の孫」などのテレビの脚本家と知られた向田邦子は、小学校の高学年を山下小学校で過し、その頃の思い出を「父の詫び状」に書いています。

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天保山公園近くの海での海水浴や、じゃんぼ餅やさつま揚げの味等彼女が自分の人格形成に、鹿児島の人々とのふれあいから大きな影響を受けたという記述があり、「第二のふるさと」としての鹿児島を語っています。また、彼女が住んだ家も残っており、ぜひ足跡を訪ねて欲しいと思います。

古里温泉には、「花の命は短くて 苦しきことのみ多かりき」という林芙美子の人生を物語っているような歌碑があります。また、屋久島を舞台に「浮雲」を書いています。主人公のゆき子は、愛する人を追って屋久島を訪ねますが、小説では屋久島の気候、山の自然がふんだんに描かれています。安房川下流のつり橋の近くにあり、彼女が滞在したホテルは、今でも営業を続けています。屋形船に乗り安房川を上ると、いっそう屋久島の旅情を感じるのではと思います。

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屋久島をこよなく愛したのが、児童文学者椋鳩十で、屋久島の過酷な自然を背景に、「片耳の大鹿」を書いており、動物を主人公に人間と自然とが共生することの大切さを訴えています。また、彼は甑島を舞台に「孤島の野犬」も書いており、下甑の手打の高台に野犬の像が建っています。


甑島は、九州新幹線開業後観光客が増加しており、なまこ池、鹿島の断崖、武家屋敷、テレビや映画の舞台となる等魅力が尽きない島です。「椋鳩十文学記念館」は、姶良市加治木町にあります。

ところで、今子供たちが本を読まなくなっていると言われますが、椋鳩十はかつて「母と子の20分間読書運動」を提唱しました。子ども達が読書の習慣を身につける意味でも、親の努力も必要かと思います。

奄美の加計呂麻島を舞台に、「出孤島記」や「出発は遂に訪れず」の作品を残しているのが、島尾敏雄です。太平洋戦争末期の特別攻撃隊の指揮官として従事し、死との呪縛の中で、出撃命令を待つ人間の生と死の極限状態が描かれています。加計呂麻島には、震洋基地跡と文学碑があります。また後年妻ミホさんとの葛藤を描いた「死の棘」もこの島が舞台です。

司馬遼太郎をして名作と言わしめた「二本の銀杏」を書いたのが、海音寺潮五郎です。

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この小説は、江戸末期の天保年間の薩摩を背景に、肥後と国境を接した赤塚村(現在の伊佐市大口)が舞台です。 また、長編小説「西郷隆盛」は、彼のライフワークでした。羽月川の河畔には、「ふる里のさつまの国は空あをし、ただあおあおと澄み通るなり」と刻まれた望郷の歌碑が建っています。

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司馬遼太郎は、日置市美山を舞台に「故郷忘じがたく候」を書いています。朝鮮出兵後島津義弘が薩摩に連れてきた朝鮮陶工たちの数奇な運命と、忘れがたい望郷の念を乗り越え、力強く生きる姿を描いており、14代の沈寿官さんがモデルです。沈寿官邸の庭には同名の文学碑があり、また併設された陶磁器博物館は必見の価値があります。薩摩焼のふるさとをぜひお尋ねください。

主人公万里子が、三島村の黒島に20日間滞在し、島の人々の過酷な生活と交流を通して、自分の生き方が変化していく過程を物語にしたのが、1960年ドラマ化された有吉佐和子の「私は忘れない」です。今でも気象条件によっては、島に行くことが厳しくなりますが、当時の黒島への旅がいかに大変だったかが偲ばれる作品です。硫黄島、竹島と3つの島を巡ることで、それぞれの島の印象が変わるのではと思います。

鹿児島市には、かごしま近代文学館・かごしまメルヘン館があり、ゆかりの作家の作品を紹介しています。 ところで、小説を書く時、作家は自分のイメージに合った場所を求めて何度も訪れ、滞在すると言います。また、生まれた境遇や経験が、小説の中に色濃く反映していることが多くあります。

小説の主人公になり、その地を訪ねるのも旅のもうひとつの楽しみです。 文学のゆかりの地を訪ねることで、鹿児島の新たな魅力発見につながるのではないでしょうか。

                           参考:かごしまよかとこ旅

好調を持続する鹿児島市の観光~魅力と今後の課題~

2012年5月7日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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鹿児島中央駅に新幹線が着くたびに、初めて鹿児島市を訪れた観光客が驚くのが錦江湾に雄大にそびえ、噴煙を上げる桜島です。今年の噴火はすでに480回を超え、このままでいくと過去最高の噴火をするのではないかと予想されます。

その桜島の魅力が観光客を惹き付けており、「よりみちクルーズ」や「サクラジマアイランドビュー」等の集客にも繋がっており、鹿児島市への観光客の入込が好調に推移しています。

23年度の宿泊客数は、久しぶりに300万人の大台を超え、平成2年のNHK大河ドラマ「翔ぶが如く」以来となります。市内の観光地などを巡る周遊バス「カゴシマシティビュー」は、乗客数が22万4288人となり、「篤姫」が放映された2008年に次いで2番目の実績となっています。 民間のバス会社が11年から同じようルートで周遊バスを運行しており、2社で合計するとおそらく過去最高の乗車数ではないかと思います。

鹿児島県は九州の最南端に位置し、何かにつけて不便と言われていましたが、「鹿児島中央駅」が新幹線最南の終着駅になり、また、新大阪駅から直通の新幹線が運行され時間短縮効果が顕著となり、玄関口鹿児島市への集客効果を高めています。

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2次交通についても、鹿児島中央駅を基点に観光周遊バスが整備されたことが鹿児島市への滞在を増やす結果となっています。姶良市周遊観光バス「あいらびゅー号」、「知覧ライナー」、「鹿屋直行バス」、桜島フェリーから乗り継ぐ「サクラジマアイランドビュー」も新たに運行され成果を上げています。

これらの2次交通の運行で、観光地における交通弱者(特に熟年)などの利便性が高まり、新幹線停車駅からなかなか行けない観光地を訪ねたり、バスの始発地に戻ることができるなど荷物を持っての乗り降りがないことが人気となっています。

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ところで、鹿児島市は、歴史、自然、温泉、文化、アクセスに恵まれた魅力ある街です。先日、福岡大学の研究グループが調査した結果によると、鹿児島市の繁華街・天文館地区を核とする市中心部への一日当たりの来訪者が、新幹線開通前と比べ推計約25%増え、経済効果は約180億3800万円に上ると発表しています。
                     [福岡大学:斉藤参郎教授(都市計画学)]

現在のところ新幹線開業効果が市街地中心部まで及んでいることを示しています。観光客は、1泊は温泉地(離島)で、2泊目は市内に泊まり外で食べるというパターンが定着していることもあげられます。今度東千石町に複合の映画館が復活することもあり昼間の流入人口は増加すると思いますが、札幌のようにエンターテイメントの充実など夜の天文館の賑わいの創出が求められます。

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4月26日に鹿児島中央駅から徒歩5分のところに、「かごっまふるさと屋台村」がオープンし、競争が激しくなることが想定されます。特に25店舗の集約された食の店が並び、観光客にとっては一箇所で選択できることが魅力です。中心街にとっては脅威の存在です。

また、鹿児島市内は、中央のビジネスホテルが進出し、過当競争が熾烈を極めています。インターネットで検索していくと、夕方には料金が朝の半額以下になるホテルも散見されます。

時間短縮効果でビジネスマン出張は日帰りが多くなり、シングルの多いホテルは苦戦を強いられており、この状態が続くと資金力の弱い地場のホテルは淘汰されることも予想されます。今後市場見学や街めぐり等、地元ならではのきめ細かなサービスで大手との差別化が求められます。

新幹線全線開業で、鹿児島でのグリーンツーリズムやブルーツーリズムのニーズが高まっています。中心になるのが教育旅行で、平成25年度からは新大阪発の修学旅行専用列車の運行も決定し、鹿児島市でも農業、漁業を活かすチャンスが到来しています。

今年の秋オープンする「鹿児島市観光農業公園(仮称)」を活かす方策が重要です。しかし「農業公園」は、指宿へ行く国道から離れていることや、鹿児島市周辺には「道の駅」や「農家の直売店」が増えており、苦戦が予想されます。

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平日の一般の誘客をどう図るか、また、市内の小学校から中学校までの9年間に、必ず課外授業で農業体験のメニューを組み入れるなど、積極的な営業を展開しないと運営は厳しいと思います。県内では農家民宿の受入家庭は、すでに800軒近くになり、競争も激化しています。

3月25日から、台北便が就航しています。宮崎県や毎日運航している福岡県と連携し、新幹線を活用した広域連携も重要になっています。台湾だけでなく、ソウル便、上海便を加えて東アジアをにらんだ新たな展開が可能になってきました。中央駅、甲突川、天文館ウォーターフロント、城山、磯公園、桜島への回遊性の確保、さらなる公共空間の整備が必要です。

また、インターネット経由の予約が急増しており、WEBの情報強化等を進めるなど、若い人達に対する鹿児島市のイメージ定着が求められます。3月のダイヤ改正では新大阪直通の列車が大幅に増加し、旅行エージェントの商品も造成し易くなっています。リピーターを定着させると同時に、新たな誘客先を広げ顧客を開発する取組みも大切です。

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今までの新幹線開業では、2年目から苦戦を強いられました。鹿児島では今のところ好 調に推移していますが、持続的に観光客を呼ぶためには、市民が我が街の魅力を知り、継続してPRできる態勢づくりが求められます。鹿児島市内のボランティアガイドさんは、250人を超え、もっと出番を増やす取組が大切です。

2006年の4月から10月に長崎市で開かれた「長崎さるく博06」では、1007万9千人が参加し、しかも市民の参加が多く、長崎市民の観光に対する意識が変わったといわれています。鹿児島市でも、同様のイベントを開催することで、市民がわが街に誇りを持ち、「おもてなしの心」の向上が図られ、PRの役割を担っていただくことで、その後の鹿児島市の観光振興に大きな効果をもたらすものと思います。

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これからの観光は、今あるものをいかに活用するかが問われています。自然や歴史が残したものに、観光客が触れ合う機会を増やすことで、心に残る「感動」と「感激」を覚え、リピーターづくりにつながります。九州新幹線の全線開業で市民の観光に対する認識も変わってきました。今こそ市民力アップのため必要なイベントではないかと思います。

鹿児島市に人が集まることが、県内各地に波及効果をもたらすことになり、鹿児島県が持続できる観光地になっていくのではないでしょうか。

プロフィール

古木 圭介プロデューサー
鹿児島県
観光プロデューサー
古木 圭介
(平成29年4月より就任)
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