鹿児島県観光サイト かごしまの旅

    • 学校・法人の方へ
    • 観光

トップページ > プロデューサーズコラム

今年の夏は奄美の島々へ船旅を楽しみませんか

2012年7月2日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

須子茂海岸.jpg

奄美群島は、鹿児島の南方380~580キロメートルの海上に有人の8つの島(奄美大島、加計呂麻島、請島、与路島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島)が点在し、世界的にもまれな亜熱帯性降雨林をはじめ、温帯林の特徴を残す山地林から河口域のマングローブ林、熱帯性植物からなる海岸植生、砂浜からサンゴ礁までバラエティーに富んだ景観美を呈しています。

各島の魅力に触れたいと思います。

奄美大島は、鹿児島の離島の中で一番大きい島です。中でもぜひ訪れたいのが、「金作原原生林」です。天然の亜熱帯広葉樹が多く残る貴重な森に入ると、生きた化石といわれる巨大なヒカゲゴケの群生には驚かされます。天然記念物のルリカケスやアマミのクロウサギなど固有種の動物も多く生息し、世界自然遺産候補に価する地域です。

マングローブカヌー.jpg

住用村にある「マングローブ原生林」は、住用川の河口にマングローブが71ha以上も自生し、その規模は西表島に次いで国内2番目の広さを誇ります。ガイドさんと一緒にカヌーを漕いでいると時の立つのを忘れ、童心にかえった気分になります。


奄美空港の近くにある「田中一村記念美術館」では、孤髙の天才画家の世界にふれることができ、美術ファンなら必ず一度は訪れたい施設です。空港から30分の位置にある龍郷町は、西郷隆盛が暮らした地です。島では子ども達に読み書きを教え、島民との交流を深め、33歳の時龍郷の名家である龍家の娘・愛加那(あいかな)さんと結婚し、長男菊次郎は、後に台湾宜蘭庁長や京都市長、永野金山の鉱山館長を務めています。また、東海岸の「手広ビーチ」は島内屈指のサーフポイントで、サーファー憧れの地です。

諸鈍デイゴ並木.jpg

大島海峡を渡ると、自然の宝庫、加計呂麻島があります。ディゴの並木や夕陽が美しい西安室の海岸は必見です。また、映画「男はつらいよ」や、島尾敏雄の自伝小説『出発は遂に訪れず』等、映画や文学の舞台となっています。
島の沖合には、サンゴを積み重ねた石垣が連なる与路島や、珍しい昆虫や植物が見られる請島があります。大学生のゼミやカルチャーセンターのフィルドとして、最適な環境の場所と思います。

奄美大島の東方約25kmにある喜界島は、サンゴ礁が隆起した島でハブがいない島であり、中央部に広がる「百之台公園」は奄美十景に選ばれた景勝の地です。また、島は、白ゴマの生産量が日本一です。

闘牛(徳之島).jpg

徳之島は、天城町、徳之島町、伊仙町の3町からなり、長寿と子宝の島として全国的に知られています。500年の歴史がある闘牛大会は、全島一決定戦が年3回、3町持ち回りで開催され、超大型牛が激しく角を突き合わせ戦う姿は、息を飲む迫力です。優勝牛が決まると、指笛と太鼓の音が鳴り響き、観光客もつられて踊り出し、大会は最高潮に達します。ぜひ見たい伝統行事の一つです。

シドニーオリンピックの女子マラソンで金メダルを獲得した高橋尚子選手は、かつて天城町でキャンプを行っており、彼女が練習した道路の横に、「尚子ロードの碑」が建てられています。また、天城町は、毎年「徳之島トライアスロン」が開かれ、鉄人レースに全国から参加者が集まります。
子宝の島として、子育ての環境の良さをもっと全国にアピールし、U・Iターンにつなげて欲しいと思います。

沖永良部島は「花と鍾乳洞の島」と呼ばれ、エラブユリは世界的に有名です。農業が盛んで早出しのじゃがいもは、関東・関西・北九州方面に出荷されており、農家所得は県内でも高い位置にあります。

日本一のガジュマル.jpg

国頭小学校の校庭にあるガジュマルの木は、1898年の第一回卒業生が植えた記念樹で、円形に広がった枝の直径は22mにもなり「新日本銘木百選」に選ばれており、空港の近くにあることから観光客も気軽に立ち寄り記念写真に納まっています。また、海が荒れると潮水を10m以上も吹き上げる潮吹き洞窟「フーチャ」は、ハワイ・オアフ島東海岸にある「潮吹き岩」を彷彿させ見応えがあります。

与論町は、澄み切ったエメラルドグリーンの海とサンゴ礁に囲まれた周囲22kmの 小さな島で、その島の美しさは「東洋の真珠」と呼ばれています。昭和40年代の初め頃は当時日本最南端の島であり、都会の若者が連日押し寄せ、干潮時に姿を現す「百合ヶ浜」の美しさに感嘆の声をあげていました。 今では沖縄経由で訪れる人が多く、「島を1校で貸し切る」というネーミングで、学生のグリーンツーリズム誘致に成功しています。

小説、エッセイ、翻訳を手掛け52歳という若さで亡くなった森瑤子さんは、与論島をこよなく愛し、島を舞台に「アイランド」という小説を執筆しています。海のすぐ側に別荘と彼女のお墓があり、取り囲む木々にはいつもきれいな花が咲いています。

ユンヌ楽園.jpg

大陸、琉球、日本文化の接点に位置した奄美の島々には、多彩な伝統文化、風俗、祭事、食文化などが残り、旅人を楽しませてくれます。 伝統的祭りである八月踊りは、太鼓のリズムに合わせて唄い、額に汗して笑顔で踊るシマンチューのパワーを感じる踊りで、観光客も踊りの輪にすぐ入ることができます。また、各地に残る島唄は、集落に伝わる恋物語を唄にしたもので、どこか哀愁漂う旋律は心に響きます。


日本民謡協会奄美連合大会で総合優勝した「中孝介」や、奄美民謡大賞を受賞した「元ちとせ」は共に奄美の出身で、幼い頃から島唄の調べで育ち、今では日本を代表する歌手に成長しています。「居酒屋かずみ」は、唄者西和美さんが経営する店で、中孝介が唄の勉強に通った店です。黒糖焼酎片手に島料理に舌鼓をうち、西さんの唄に聞き入り、夜が更けると誰ともなく三味線の音で踊りが始まります。旅の思い出づくりにぜひお尋ね下さい。

諸鈍シバヤ.jpg

各島には長寿の人が多く、集落を訪ねて生活・文化に触れるのも観光の魅力の一つです。加計呂麻島に伝わる「諸鈍(しょどん)シバヤ」は、日本各地に伝わる平家伝説に由来 する民俗芸能で、国の重要無形民族文化財で、2009年ユネスコ無形文化遺産リストの 登録候補になっています。

龍郷の秋名集落に残る伝統の稲作儀礼「秋名アラセツ行事」で は、「ショチョガマ」「平瀬マンカイ」の二つの祭りが行われ、どちらも国の重要無形民族文化財に指定されておりぜひ見て欲しい祭りです。 

ところで、沖縄県には、全国30数県から定期便があり、しかも東京、名古屋、大阪、福岡の大都市圏から毎日約140便が発着しており、多くの観光客は、開発が進んだ先島まで足を伸ばしています。しかし、奄美の島々は、今まで大きな開発がされず、手つかずの自然が残る貴重な島であり、都会の人にとってはまさに秘島です。沖縄にない自然、文化、生活、環境の良さを全面に、差別化を図ることが奄美の優位性となり誘客を可能とします。

奄美航路の船.jpg

昭和40年代の初めは第一次離島ブームであり、奄美の島々には多くの若者が押し寄せ、1500トンの客船は、デッキまで人があふれていました。現在就航している船は、5000トン~8000トンの大型船で、車も運ぶフェリーでフィンスタビライザー(横揺れ防止装置)が設置され、外洋に出ても揺れは少なく感じます。船内には大浴場もあり、快適な船旅が楽しめます。家族旅行もゆったりした船旅が楽しめると思います。

九州新幹線が全線開業し、時間短縮効果もあり、奄美の島々にも行きやすくなりました。 夕方18時に鹿児島を出港した船は、奄美大島の名瀬港(5:00)、徳之島の亀徳港(09:10)、沖永良部の和泊港(11:30)、与論港(13:40)に着き各港では、賑やかな出迎え風景が見られます。船旅を楽しんだ後は、各島のエメラルドグリーンの浜辺でマリンスポーツが楽しむことができます。赤々とした太陽が東シナ海に沈む瞬間は感動的です。

今年の夏は、奄美の島々への船旅を楽しみませんか。奄美の海がきっとあなたを待っています。

参考:しま旅 公益社団法人鹿児島県観光連盟

「六月灯」の季節到来 ~子どもの頃の体験が、ふるさと意識を高める~

2012年6月25日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

鹿児島では7月に入ると、神社やお寺で夏の風物詩「六月灯」が県内各地で始まります。

照国神社六月灯.jpg

「六月灯」の始まりは、島津19代藩主久光候が新昌院(現新照院町)の上山寺の観音堂を再建した折、旧暦6月18日に沿道に燈篭を掲げ、道の明かりにしたのが始まりといわれています。盆踊りなどの行事が少ない鹿児島で発生した鹿児島独特の夏の行事です。

県下の神社や寺院に灯籠が奉納され、8月上旬頃まで、各地の神社仏閣で日を違えてほぼ毎夜開かれています。 中でも鹿児島市の照国神社の六月灯は、7月15日、16日の2日間にわたって開催されます。境内には企業や商店街の奉納した大小1000個あまりの燈篭が献燈され、沿道にはたくさんの夜店が並び、毎年多くの市民で賑わいます。

六月灯その1.jpg

これだけ毎日開催される祭りながら、観光客には意外と知られていません。また、旅行企画でも六月灯の見学が入ったツアーはほとんどありません。新幹線開業で鹿児島県内には多くの宿泊を伴う観光客が訪れています。観光客にもぜひすすめて、鹿児島の夏の風物詩を肌で感じて欲しいと思います。

2009年から本年にかけて、舞台での芝居として公演された「六月灯の三姉妹」が、映画化されることになりました。「六月灯の三姉妹」は、今まで鹿児島県内4ヶ所を含め、全国9ヶ所での公演を行い、観客動員13,000人を超える記録を出しました。そしてこの度、「六月灯の三姉妹」を劇場用映画として制作することになり、7月から撮影が始まり、来年の5月が公開の予定です。

企画は西田聖志郎氏、音楽は「篤姫」「江~姫たちの戦国」を手掛けた吉俣良氏で、二人とも鹿児島県出身者です。関係者によると、撮影場所はほとんどが県内で行われる予定であり、実際の六月灯の様子が撮影されるとのことで、今から公開が楽しみです。

金魚すくいの金魚.jpg

子供の頃から皆様の近くの神社でも「六月灯」が開催されており、浴衣に着替え、親に連れられて、金魚すくいや花火で楽しんだ記憶はありませんか。 特に子供の頃から地域の伝統行事に触れさせる機会を作ることは、必ずやふるさとへの愛着心を育て、郷土愛の構築に繫がると思います。

ところで、日本各地には、祇園祭、しょうろう流し、灯籠まつり、8月踊り、東北三大祭り、郡上踊り、阿波踊り、よさこい祭り等様々な夏祭りがあります。伝統的祭りは、地域の人々の生活や風習に育まれ、四季の風情を感じさせる日本ならではの行事です。 8月の旧盆の時期をはさんだ夏祭りは、帰省の時期と相まって、懐かしい人との再会など感慨深いものがあります。

しかし、地域によっては若者が少なくなり、祭りの開催そのものが難しくなっていますが、地域の守り神の象徴である神社・寺院に集まり、集落の人総出で準備しているのがこの頃の祭りの姿ではないでしょうか。人口の減少は、地域の祭りの存続も危うくしているのが実情であり、なんとか後世に残せないものかと感じます。

いちき串木野七夕踊.jpg

鹿児島では夏から秋にかけて、「七夕踊」、「十五夜行事」、「八月踊り」、「川内大綱引き」「おはら祭り」、「弥五郎どん祭り」、「流鏑馬」など各地を代表する祭りが開催されます。


最近の祭りは、厳粛な行事というよりも華やか行事になっており、屋台(縁日広場)、山車、特設舞台での歌謡ショーや、アニメのヒーローを中心としたキャラクターショーなどが行われています。また、地域産品の展示即売会も開かれ、町が一体となったPRの場にもなっており、地域づくりにも役立っています。祭りは子供の出番を増やすことで、後継者の養成にもなり、また近隣の市町村にもPRし多くの人を集めることが、祭りの賑やかさを演出することになります。

地域の活力が低下し、交流人口の拡大が不可欠となっています。伝統的祭りの開催は同郷の人が集まり、故郷を見直す良い機会となります。 皆様も故郷の祭りに家族揃って出かけませんか。

参考:夏祭り-- Wikipedia

勢いが続くか鹿児島の観光 ~秋以降に向けての対策を~

2012年6月18日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

九州観光推進機構と九州各県共同で実施してきた大都市圏でのエージェントとマスコミ向けの観光素材説明会と相談会が終了しました。今年は初めて札幌でも開催され、東京、大阪、福岡の4会場の説明会に参加しました。

11日には京都でのJR西日本とJR九州主催の「関西・九州交流会」に出席し、関係者との意見交換を行いました。それぞれの会場で寄せられた意見をもとに、秋以降の対策を急ぐ必要があると感じています。

新幹線みぎむき.jpg

現況を見ると、「鹿児島中央駅」が新幹線最南の終着駅であることや、新大阪駅から直通列車の運行、増発と時間短縮効果が顕著な実績となって表われています。昨年のGW頃から動きが活発となり、昨年5月から今年の4月までは前年を大きく上回る観光客が訪れています。

地区別に見ると、指宿地域は、「指宿のたまて箱」が週末には増結されていること、西大山駅周辺の整備、釜蓋神社などの新しいパワースポットの誕生、地域ぐるみで観光客を迎える態勢が評判となり好調が続いています。霧島地域は本来の温泉地の魅力が再認識され、新燃岳噴火の影響から立ち直り、昨年の夏から増加しています。

鹿児島市は終着駅効果による「街の魅力」の定着、桜島の「よりみちクルーズ」や「アイランドビュー」効果が浸透しています。市内は、時間短縮効果でビジネスマンの日帰り出張が増えており、シングルの多いホテルは苦戦を強いられていますが、一方観光客の利用率が高く、ツインが多いホテルは善戦しています。

屋台村看板1.jpg

鹿児島中央駅から5分の場所にオープンした「かごっまふるさと屋台村」は、年間目標が30万人ですが、オープン1ヶ月ですでに10万人を超えており、このまま推移すると100万人も夢ではありません。これからも徹底的に鹿児島らしさに、しかも貪欲にこだわり、「おもてなしの心」を定着させ、各店舗が一品一品にこだわって欲しいと思います。

姶良市の「アイラビュー号」はワンコインバスとしての人気が定着しており、今後は地域への経済効果を調査し、あり方を検討すべきと考えています。

開業後に鹿児島を訪れた観光客は、関西、中国地域からの初めての方が多く、知名度の高い観光地を訪れていることがあげられます。一方では、大隅地域や種子島・屋久島地域、奄美地域は予想した程伸びていないのが現状です。

ところで、大都市圏の各会場でのエージェントの企画担当者や、JRの関係者の話を分析すると、鹿児島への観光客の流れは今までの好調さに陰りが見えていると感じています。
その理由は

  • ・5月にオープンした「東京スカイツリー」の話題が連日メディアで放送され、観光客の話題が東京方面に移りつつある。
  • ・震災の地域を見てみたいという心理が芽生え、また、東北博覧会が開催されていることもあり、東北の代表的夏祭りを見るツアーの企画も多くなっている。
  • ・JR西日本の説明によると、関西地域でのエージェントの南九州への企画商品の予約状況が、2010年度比でもよくない。
  • ・11年は観光の流れが西に向いていたが、ここに来て去年ほどの勢いが見られない。
  • ・昨年はJRの3県DCキャンペーンがあり、JR各社が多くの企画商品を造成・販売したが、今年は他方面への戦略となっている。
  • ・各エージェントの担当者からは、昨年は鹿児島向けの企画はすぐ完売し、追加設定した状況であったが、今年の秋以降は受注そのものが減っている。
  • ・各自治体が積極的にセールスを実施しているが、去年と比べて新しい提案が少ない。
  • ・屋久島は運賃が正常化され、昨年に比べて今年の夏は、民宿を中心に予約状況が今一歩である。

等です。

3月17日のダイヤ改正で、新大阪直通の列車が大幅に増加していますが、旅行エージェントの商品企画においては、秋以降は必ずしも十分な集客に結びついてはいないと認識しなければなりません。

女二人旅.jpg

そこで我々は今、秋から来春に向けての積極的な提案を継続していかねばなりません。秋の最大の需要はシニア市場であり、春は卒業を控えた女子学生を中心とした学生マーケットです。



特に団塊の世代が65歳を迎え、年金を満額受け取れる環境が整っています。シニア世代は平日も動けるフットワークのいいお客様です。しかも値段にあまり左右されず質の良い旅行を求めます。鹿児島が誇る温泉、食、おもてなしの心、かつて新婚旅行で訪れた南九州の魅力を活かした商品造成をエージェント各社に働きかける必要があります。

一方、若い女性への情報発信力も求められており、鹿児島のイメージ確立には、「パワースポット」、「食」、「歴史」、「温泉」など女性の琴線に触れる場の提供が求められます。旅の情報誌、フェイスブック等の積極的活用も検討していきたいと思います。

百合ヶ浜.jpg

観光連盟では、夏に向けては島の魅力のPR強化、秋以降については企画商品の造成支援、オフ期の手配団体への貸切バス支援等を強化します。
各施設では、WEB販売の強化等を進めるなど地域のイベントや着地型旅行商品の紹介、周辺観光地へのルートやPRなどエージェントに積極的に提案してもらいたいと考えます。

スポーツキャンプ4.jpg

温かい気候をPRして、スポーツ合宿の誘致も欠かせません。伝統的祭りでは、観光客が参加する機会や席の優先的確保等集客しやすい環境を整えて欲しいです。また宿泊施設では、空き日に積極的に商品造成を要請するなどの取組が必要です。


ところで、山陽・九州新幹線の沿線の人口は2,800万人を超えており、まだまだ新規需要の開拓は可能です。特に中国地域からの県内の宿泊人員に占める割合は、6%程度に過ぎません。3時間程度で来れるこれらの地域は、1泊圏内として鹿児島は最適の地域であり、これからも伸びる余地が大いにあります。
また、最大のマーケットである首都圏において引き続き最大のPRに努めていく必要があります。

3月から中華航空が台北~鹿児島間に週3便運航して、インバウンドの回復に大きな力となっており、また、夏休みにかけては香港からのチャーター便の運航も計画されており、現地エージェントとの連携強化に努めています。

今までの新幹線開業では、2年目から観光客が減少していますが、4月までは鹿児島は伸びています。しかし先行きには不透明感があるのも事実です。今を持続できる観光地への正念場と捉え、緊張感を持って先を読んだ展開を積極的に推進していきたいと思います。

夏休み対策は十分ですか

2012年6月11日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

磯海水浴場.jpg

鹿児島地方は梅雨入りとなり、しばらくは長雨との戦いが続きます。梅雨期間中の自然災害の発生に注意しながら、入道雲がみられる本格的な夏の到来を待ちたいと思います。
7月中旬から学校は夏休みに入ります。子供の頃よく歌い、日本の夏の美しい風景を想い出させる爽やかな歌があります。

それは「われは海の子」です。

「我は海の子 白浪の さわぐいそべの松原に
                   煙たなびくとまやこそ 我がなつかしき住家なれ。
生まれてしほに浴して 浪を子守の歌と聞き
                   千里寄せくる海の気を 吸ひてわらべとなりにけり。
高く鼻つくいその香に 不断の花のかをりあり
                   なぎさの松に吹く風を  いみじき楽と我は聞く。」

この歌、われは海の子(我は海の子)は、1910年(明治43年)に『尋常小学読本唱歌』で発表された日本の童謡・唱歌です。文部省の懸賞募集に応募した鹿児島市加治屋町出身の児童文学者、宮原晃一郎(1882-1945)の詩が採用されたとされています。その「海は」錦江湾ということになります。鹿児島市の祇園之洲公園には、この歌の歌碑が建てられています。ぜひ訪ねてください。
(参考:http://yamamomo02.web.fc2.com/)

かつての日本の海岸は、いたるところに美しい砂浜が続き、夏になると家族連れの海水浴客で賑わっていました。

浦田海水浴場.jpg

しかしその後高度成長期における海岸の埋め立てや工場排水などの汚染で泳げる浜辺も少なくなり、もっぱら室内プールが子ども達の遊び場となっています。それでも県内には水質基準に合格した海水浴場が、離島を中心にいくつも見られます。


ところで夏は旅行の最大の需要が発生する時期であり、しかも対象は、ファミリー層と若者です。観光施設では、この需要を取り込むため早めの仕掛けが必要です。子供が求める学習環境の提供や、親子が一緒になって楽しめる体験を商品化することが重要と感じます。

宿泊機関においては、滞在時間を楽しく過ごすことができるよう、子供の学習に役立つ情報提供が求められます。

大川原峡.jpg

ロビーに昆虫等を展示するなどして興味を惹きつけ、翌日セミやカブトムシを捕獲できる森林や、フナやメダカなど水遊びのできる河川、貝堀りなどができるビーチ、渓谷のトレッキングなど、日頃体験することができない自然の姿に触れる機会を増やし、感動する場を提供することが必要と思います。

また、夜は宿泊施設では夜店の開設や、大人も一緒になり子供向けの映画を共に鑑賞する場を提供すれば、喜ばれると思います。各部屋に風鈴を吊り下げ、玄関先での花火大会や朝のラジオ体操なども、思いで作りには欠かせません。また、子供達に宇宙への興味をいだかせる良い機会でもあります。鹿児島にはきれいな星空を見ることのできるスポットが多くあり、親子での星空観察も有意義な体験になります。

二十数年前までは、子供達にとって地域ぐるみでキャンプに出かけたり、「少年の船」など集団研修の場がありましたが、今ではそのような行事も減少し、社会的規律を学ぶことも少なくなりつつあります。また、親子のふれあいが少なくなった今、夏休みの体験を通してその機会を増やすことが大事と思います。

おんぶの親子.jpg

子どもに対する接し方について、興味あるデータがあります。子どもが小学生までの時期に、子どもと一緒にいる時間がもっと欲しいと思ったのは、母親が26.2%に対し、父親は57.2%となっています。40代も傾向は同じです。20代~40代の父親は、その上の世代と比べて子供と一緒に過ごす時間をより強く求めているのに対し、母親は若い世代ほど子供と一緒でない時間を求める傾向が見られます。
若い母親ほど子育ての最中でも、おしゃれや友人との付き合いに時間をかける傾向があり、自分の行動に少し制約になると感じているのではないかと思います。

また、子供の頃の「自然体験」と現在の「意欲・関心」との関係は、子供の頃に海や山での体験、自然観察の経験が多いほど、学習意欲や知らないことへのチャレンジ精神、外国へのあこがれなど意欲・関心度が高くなっています。子供が小さいころから親子のスキンシップを高め、夏休みなどは自然体験など親子で楽しむ「旅育」の必要性を感じます。 資料「日本経済新聞社」2006年11月「キッズ市場」調査(3才~19才の子を持つ父母対象) 

ところで、GWを過ぎても鹿児島の観光は好調を維持しています。その背景には、新幹線直通便の増便、修学旅行の増加、台湾便の就航によるインバウンドの回復などがあげられます。今年の夏の旅行はどうなるでしょうか。今年も猛暑が予測されますが、一方では昨年以上に節電の取組が求められており、帰省の早期化や長期の夏休みを取る人が増えるのではないかと思います。7月になり休暇計画が決定すれば、家族旅行の予約が急激に増えることが予想されます。また、涼しさを考慮すると海より山の宿泊地が混むと想定しています。

風鈴.jpg

一方では、ファミリー層が主体の夏休みは、経費軽減の意味では近場の旅行が増えることも考えられます。最近のお客様のニーズは、物見遊山ではなく、時間を過ごす時(こと)の充実を求めています。山や海、渓谷の魅力や地域の生活・文化の発信、体験メニューの充実等で連泊促進を図るべきです。

今年の夏のキーワードは"涼"です。滞在してゆっくり時を過ごし、涼しさと癒しのできる場所としての魅力を発信していきたいものです。  

20万人の修学旅行の誘致に向けて

2012年6月4日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

2011年の本県への修学旅行等の入込状況がまとまりました。学校数は642校で、前年と比較すると90校増加し、人数(延宿泊数)も93,205人で15,727人の増となり、16年ぶりに9万人を突破しました。

修学旅行1.jpg

地区別の人数では、鹿児島地区が8,291人と最も増加し、南薩摩、北薩、大隅地域も農家・漁家の民泊が増加し、1,400人それぞれ増加しました。 学校種別では、中学校が9,944人増え、福岡、大阪、兵庫、中国地域からの増加が めだっています。

高校は7,092人増加し、東京、静岡、大阪、埼玉県などから航空機利用の修学旅行が主となっています。 鹿児島に来た学生の多くが利用しているのが、農家・漁家での民泊です。県農村振興課の調査によると、2011年は11,364人と、前年の倍近くに増加しています。 受入家庭は800軒を超え、県内各地域に広がっているのが特徴です。

垂水修学旅行体験.jpg

最近の鹿児島への修学旅行のニーズは、農作物の植え付け・収穫、漁港での餌やり体験、街歩き、1日乗車券と桜島のフェリーを利用した鹿児島市内歴史散策と桜島での火山体験、知覧や鹿屋での平和学習、霧島や桜島での防災対策、屋久島での環境学等さまざまであり、複数のカリキュラムを取り入れる学校が増えています。

4年前、垂水漁港での漁業体験を初めて修学旅行に取り入れた奈良県の大瀬中学校が、今年も来鹿しました。生け簀での餌やりやさしみづくり体験後の生徒さんの明るい笑顔が忘れられません。今年はイルカも歓迎しました。垂水漁港での受入は、24年度は14校にもなります。垂水市では、民泊の受入も推進しており地域全体の活性化に繋げています。

また、鹿児島を修学旅行先として選ぶ地域が、奈良県から大阪府、兵庫県、広島県、山口県、福岡県と広がりをみせています。九州新幹線が全線開業したことにより、新大阪から直通列車や専用列車が運行されることもあり、来年以降鹿児島方面へ行先を変える学校がさらに増加するのではないかと期待がふくらみます。

種子島ロケット.jpg

体験型修学旅行において、受入態勢は大分県や長崎県等に遅れを取っておりましたが、受入家庭数においては、他県を凌いでいます。さらに鹿児島の優れた自然環境、歴史、温泉、宇宙科学、食の魅力、新幹線の時間短縮効果を活かして、他の地域との差別化を図り、新たな需要先を開拓する必要があります。県内への修学旅行生は、最盛期には25万8千人が訪れており、4年後には、20万人の目標を達成すべく誘致を強化していきたいと思います。


鹿児島県は多種の農産物が収穫され、しかも生産高は全国第4位を誇り、様々な体験が1年を通して可能です。現在実施時期が5月や10月に集中している受入を、1月~2月、6月、9月、11月~12月まで広げるなど、平準化を図ることで多くの地域からの学生の誘致ができます。

また、九州新幹線が全線開業した今、時間短縮と集約臨時列車活用による旅行費用の軽減化は、県内各地への誘致を可能にしています。

新幹線×2.jpg

また、本年度から九州新幹線と錦江湾・離島航路を利用し大隅地域又は離島地域で宿泊する修学旅行の団体に、1人当たり上限3,000円の補助金を出す制度が設けられました。この方面への修学旅行が増加するものと期待しています。


一方では、受入側の安全面に対する意識を向上させ、体験学習における安全性を確保することが何よりも重要です。県では、「農山漁村生活体験学習に係わる取扱指針」を平成21年3月に作成しました。主な内容は、体験学習の範囲の明確化、受入農家等が食事を提供する際の制限、安全対策責任者の配置と講習会への参加、対価の受け取り範囲の明確化などを示しています。

生徒の宿泊先は、現在は登録許可をもつ民宿ではなく、農業体験をする一般の農家であり、料理はみんなで作るというのが絶対的なルールです。

農業体験.jpg

農業体験では、農機具などでけがや事故にあわないような体験メニューを設定する必要があります。また、手洗いの励行、生ものを出さない、火を通した食品を食べることなど保健衛生面も含めてコンプライアンスの徹底が不可欠です。


また、生徒達が感動するのは、夕食後の農家の人との団らんの時間です。都会の生徒さんの多くは、家庭での両親との会話が少なく、民泊先での温かい心のふれあいに涙する生徒が多く、子供達の情操教育にも役立っているのではと感じます。

学生.jpg

今後新幹線の安定した利用客を確保するためには、東京・京都に代表されるように修学旅行生を誘致することが、一番の策と思います。修学旅行は2年前には決定し、取消しもほとんどなく安定した顧客になります。鹿児島県は、教育旅行のニーズに対応できる環境が九州のどの地域よりも揃っていると思います。そのためには、地域での人材の確保、受入施設の定期的研修会の開催、宿泊代として収受できる簡易宿所の許可取得の推進、他地域との連携などが必要と感じます。

一度鹿児島を訪れた生徒達は、成人したらまた来てくれるリピーターにもなります。鹿児島中央駅に降り立った生徒達は、まず桜島の雄姿に感嘆の声をあげます。これからも温かいおもてなしの心を持って迎え、生徒達に大きな感動と感激を提供することが大切ではないかと思います。

プロフィール

古木 圭介プロデューサー
鹿児島県
観光プロデューサー
古木 圭介
(平成29年4月より就任)
詳しいプロフィールはこちら

月別アーカイブ