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黒糖焼酎を愛飲しよう ~奄美に息づく地域の文化~

2012年10月1日 
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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柿や栗の実が色づき、本格的な秋の到来です。週末の朝になると、運動会の開催を知らせる花火が、清んだ秋空に上がっています。また、芋焼酎の新酒の出荷を控え、新酒祭りの広告も目立つようになりました。


旅を愛し、旅にあって各所で歌を詠んだ若山牧水は、大の酒好きで知られていました。 酒を入れる容器として竹筒や瓢箪を持ち歩いて旅を続けていたといわれています。明治18年宮崎県東臼杵郡東郷村(現日向市)の生まれで、延岡中学校に入学してから短歌と俳句を始め、18才のとき、号を牧水としています。友人であった石川啄木の臨終にも立ち合っています。

今の季節にぴったりの歌として
              白玉の 歯にしみとおる 秋の夜の
                 酒は静かに 飲むべかりけり
              幾山河 越えさり行かば 寂しさの
                 はてなむ国ぞ 今日も旅ゆく
があります。

酒と言えば鹿児島では焼酎ですが、現在約100社の蔵元があり、銘柄は800種類にもなり、県内各地で造られているのが特徴です。原料となる米、サツマイモ、サトウキビや水に恵まれていることが、鹿児島の多種の焼酎を造り出しています。

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9月20日に福岡市内のホテルで、「第7回かごしま焼酎を楽しむ会」が開かれ、これまで最も多い愛飲家240人が参加しました。今回のテーマは「奄美」で、各島の観光PRや島唄の披露があり、特に「黒糖焼酎」に関心を持っている方が多かったと思います。

黒糖焼酎の歴史と特徴について簡単に触れたいと思います。

奄美におけるサトウキビ栽培の歴史は、今から400年ほど前に遡るといわれています。1609年奄美の島々は薩摩藩の直轄地になりますが、その14年後には、焼酎の貢納を命じていることから、このとき、すでに蒸留技術があったと推測されます。

明治になると、泡盛の製法は沖縄から奄美に伝えられ、自家製造が盛んになりますが、第二次世界大戦後の米軍統治下では、不足する米の替わりに黒糖を溶かし入れるようになり、現在にいたる黒糖焼酎が完成しました。 昭和28年12月、奄美群島が日本に復帰するときに、この実績が配慮され、日本の酒税法の特例通達で、黒糖を使っての製造は奄美群島にかぎり認められたものです。

現在、黒糖焼酎が造られている奄美群島の5つの島(奄美大島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島)には25の蔵元があり、代表銘柄(18銘柄)を含む約170銘柄の多種多様な黒糖焼酎が造られています。

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この多彩な銘柄が生まれる理由には、各蔵元の製法の違いとともに、各島々の自然が大きく関係しています。水は黒糖焼酎造りには大切な原料の一つです。喜界島や沖永良部島、与論島はサンゴ礁が隆起した島であるため、カルシュウムとマグネシウム量が多い硬水で、古い地層の山や森が多い奄美大島はその分量が少なくソフトな口当たりの軟水、またその両方を持つ徳之島では硬水と軟水が取水され、それぞれの製法の違いを生み出しています。

また、島ごとに黒糖焼酎を育んでいる歴史や文化に違いが見られます。奄美黒糖焼酎は、島々の自然と伝統文化を受け継ぐ情熱的な島民に育まれ、歴史を刻んできたのです。

奄美の島々に出かけて、黒糖焼酎を地元の人々が集う居酒屋や集会所で飲むことで島の自然や文化に触れることになります。島の人々は、旅人を温かく迎えてくれます。与論島では客をもてなす「与論献奉」が根付いており、杯を交換すると一晩で友人になれるのではないかと思います。

黒糖焼酎は、ロックやお湯割りやカクテルなど、いろいろなバリエーションが楽しめるのも大きな特徴で、二日酔いになりにくく、健康にやさしいお酒としても幅広い人気を集めています。

お酒は昔から「百薬の長」といわれていますが、ギネスブックに長寿世界一と認定された泉重千代さん(享年120才)、明治から平成の世を明るく生きた本郷かまとさん(享年116才)はともに徳之島の伊仙町の出身で、黒糖焼酎を少し嗜んでいたことが長生きの秘訣になったのではないでしょうか。

また、奄美には自然の恵みを活かした多様な郷土料理があり、ニガウリ、よもぎ、ハンダマ、肉では、豚や鶏、ヤギ等を利用した料理が有名です。郷土料理を堪能しながら、奄美の唄と踊りに興じるのも旅の楽しみです。

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奄美の島唄の特徴は、裏声を多用することで、世界的に珍しい歌唱法だといわれています。奄美を代表するアーティスト、元ちとせ、中孝介にも継承されていますが、民謡日本一を5名も輩出しています。

八月踊りは、豊作への感謝と五穀豊穣を願って一年の節目(旧暦8月)に踊られた踊りで、男女が円陣になり、チヂン(太鼓)のリズムにあわせて交互に歌い踊る風習は古代の歌垣に通じるといわれています。歌い継がれる島唄と踊りに参加し地元の黒糖焼酎で語り合うのが島旅の魅力ではないでしょうか。

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また、9月27日から奄美~沖縄航路に、新船「フェリー波之上」(8072トン)が就航しました。現行船より大型となり旅客スペースを拡大し、授乳室を設けるなど女性にも配慮した部屋の設置、車椅子の人と介護者が泊まれる専用個室を設けるなどバリアフリーに配慮した設計となっています。

奄美群島では、世界自然遺産登録に向けた取組もスタートしています。ぜひ船内でも黒糖酒を飲みながら奄美群島への船旅を味わってください。

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ところで、子供の頃正月や祭りの宴席で大人たちが、木の棒を手に隠して、面白い言葉で数当てをし、焼酎を楽しく飲みながら親睦を図っている光景がよく見られました。いまではあまり目にする機会は少なくなりましたが、南九州に古くから伝わる「なんこ遊び」です。

なんこは漢字では「南交」と書き、南方と交易が盛んであった薩摩藩が取引の際、接待の一つとして活用した高尚な遊びと言われています。 地域の伝統祭事は高齢化が進み、行事の後に必ずおこなっていた宴会も減ってきており、なんこ遊びを伝授することが難しくなっています。地域コミュニティの衰退が、伝統的遊びにも影響しています。

ひところの焼酎ブームが去り需要が足踏みしていましたが、昨年度は焼酎の売上げが伸びました。かごしまが誇る特産品に薩摩焼がありますが、その一つの「黒じょか」に焼酎を入れ盃につぐという伝統的飲み方を教えることで、お土産として焼酎もセットで買ってもらうことになります。 これからも焼酎のいろいろな飲み方を提供し、焼酎のファンを開拓して売り上げにつなげたいものです。

地域での祭事が減り、地域住民の寄り合う機会が少なくなり、ますます地域の伝統文化は忘れられていきます。また宿泊施設での宴席の後は、カラオケ遊びと変わっています。
南九州の伝統的遊びである「なんこ遊び」の復活や黒糖焼酎の魅力を伝え、焼酎文化の新たな復活を目指したいものです。

参考資料:「奄美黒糖焼酎」宣伝・販売拡大委員会/奄美大島酒造協同組合
:しま旅 公益社団法人鹿児島県観光連盟

第5回かごしま観光人材育成塾」の開催について ~受講経験者が地域活性化の力に~

2012年9月24日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

九州新幹線全線開業から1年半が経過し、開業効果に陰りが見えるものの、鹿児島には多くの観光客が訪れています。

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また、二次交通の整備や新しい地域づくりが進み、従来無名であった地域に観光客が押し寄せるなど変化が起きています。一方では、急激な観光客の増加に「おもてなしの心」が追いつかず、サービスの低下が指摘されているのも事実です。

これからの観光を担う人材の育成と地域づくりを目指し、「第5回かごしま人材育成塾」を開催します。今年は、グリーンツーリズムの推進、地域づくりやJRとタイアップした商品づくり、情報発信、顧客管理、地域資源の開発、外国人受入の態勢づくりなど、鹿児島が今後取り組むべき課題について学ぶ7つの講座を開催します。

講師と講座の内容について簡単に紹介します。

第1講座は、九州旅客鉄道株式会社鹿児島支社長の松本喜代孝氏が、「JR九州の概要と今後の取組について」講演します。

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松本支社長は、九州新幹線博多駅の開業プロジェクトを担当されました。博多から鹿児島中央駅まで最短1時間17分となり、時間短縮効果は人、物、金の流れを大きく変えています。2013年10月から運行される九州一周寝台列車「ななつ星in九州」は、九州の新たな魅力発掘と需要開拓になると信じます。 JR九州の今後の戦略が語られるのではないでしょうか。


第2講座は、人吉市で地産地消をコンセプトに、郷土の家庭料理「ひまわり亭」を経営している本田節さんが「食資源を活かした交流によるまちづくり」について講演します。

本田社長は、「国土交通省地域振興アドバイザー」や「地域づくり団体全国協議会幹事」など多くの要職を兼務しながら、グリーンツーリズムに関する活動を精力的に展開されています。また、郷土料理伝承塾を主宰し、食文化の研究にも熱意を注がれています。
講演は年100回に及び、食、農、女性、教育、リーダー育成、グリーンツーリズム、地域づくりなど、様々なテーマで講演を行うなど全国を飛び回っている元気なお母さんです。常にチャレンジ精神を持って夢をかなえる為、全力で生きていらっしゃるパワフルな本田社長の講演になることは間違いありません。

第3講座は、香港エバーグロスツアーズ 代表取締役社長 袁 文英氏で、「香港からみた鹿児島のインバウンド」です。

EGLツアーズの日本向けの送客数は10万人を超え、香港の業界でそのシェアはNO1です。今年の7月15日から8月30日にかけて実施した香港から鹿児島への22回の連続チャーターでは、2,892人の送客がありました。
袁社長の経営方針を学びたいと、全国の自治体から講演依頼が絶えないなど有名な企業経営者です。仲間6人と1986年に会社を設立され、昨年25周年を迎えています。昨年の11月には香港のコンベンションセンターで盛大な25周年パーティが開催され、日本からの500人を含む国内外から1500人が参加し、その偉業を称えました。

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また、事業規模が拡大する中でも、常にお客様の視点での経営を貫いています。社会貢献活動にも積極的に取り組まれており、平成17年のスマトラ津波・地震の際は、被災地に対し従業員と会社で多額の義捐金を送られています。また、昨年の東日本大震災で被災した岩手県、宮城県、福島県に総額1億1955万円を届けています。

「おもてなしの極意」や鹿児島におけるインバウンドの在り方について示唆に富んだ話が聞けるのではと思います。

第4講座は、東京港区芝にある「セレスティンホテル」の取締役総支配人の若林正雄氏が、「薩摩とセレスティンホテルの歴史的・文化的つながりと心に残るおもてなし」について講演します。

ホテルのある芝・三田エリアは、「ビジネス」・「文化」・「教育」の重要拠点として、また、幕末の歴史が各所に刻まれている地として知られています。ホテルの所在地である芝3丁目は、旧薩摩藩屋敷跡という由緒ある場所です。ホテルでは、食材に鹿児島産をふんだんに使ったメニューの提供や休憩フロアーには、鹿児島県を紹介する書籍がづらりと並ぶなど、いたる所に鹿児島色を感ずることができます。
首都圏での厳しいホテル戦争を勝ち抜くため、顧客獲得をいかに進めているのか、その戦略が語られるのではないかと思います。

第5講座は、南国殖産(株)取締役執行役員都市開発事業部長・企画部長の今村浩氏が、「『かごっまふるさと屋台村』など鹿児島中央駅東口開発について」講演します。

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2012年4月26日に鹿児島中央駅東口近くのホテルの跡地にオープンしたのが、「かごっまふるさと屋台村」です。オープン当時から県内外から多くの人で賑わっていますが、そのプロジェクトリーダーが、今村浩氏です。また、中央駅前には、南国センタービルや鹿児島中央ターミナルビルが開設され、多くの観光客が訪れています。
一方九州新幹線全線開業で、駅前1番街の再開発や交通混雑の解消など新たな課題にも直面しています。その中心メンバーとしてこれからの取組が期待されます。鹿児島中央駅東口の将来の姿が語られるのではと楽しみです。

第6講座は、垂水千本イチョウ代表 中馬吉昭氏が、「垂水千本イチョウに育てるまで」について講演します。

中馬さんは、東京でのサラリーマン生活を切り上げて垂水の地で、30年前から夫婦2人で育ててきたのが、今の千本イチョウです。 春先の枝の伐採から、定期的な堆肥まき、雑草の除去等日頃からの手入れが、現在の千本イチョウを作りだしています。多くのメディアでの発信効果もあり、昨年の黄葉の見頃には、昼食場所を求めて観光客が詰め掛け、垂水市の飲食店が満杯になりました。

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また、垂水市内で信号待ちの車が発生し、千本イチョウを見に来た観光客の多さを物語っています。見頃は11月末から12月の上旬であり、今年は垂水港からシャトルバスの運行も予定されています。中馬さんは第1回から観光人材育成塾に参加されています。30年間イチョウづくりに懸けた熱い思いが聞けるのではないかと楽しみです。

第7講座は、観光養殖場「タツノオトシゴハウス」のオーナー加藤潤氏です。南九州市は、知覧が観光の中心ですが、最近話題になっているのが、「タツノオトシゴハウス」です。

加藤氏は、埼玉からのIターン者で「NPO法人頴娃おこそ会」のメンバーとしても活躍されています。よそ者視点での、地域素材の発掘が成功に結びついたのではないでしょうか。頴娃町はこれまで、観光というイメージとはほど遠い地域でしたが、知覧、指宿との3角地点にあることから、加藤氏らの努力が実り「タツノオトシゴハウス」、「釜蓋神社」、「番所鼻公園」の人気定着は、新しい観光ルートの開発につながったといえます。講演は地域づくりの手法を学ぶ良い機会になると思います。 

どの講師の方々もそれぞれの部署で活躍されており、経験とそれに裏打ちされた講演は、皆さんのこれからの活動に必ず役立つと信じます。また、夜学塾は、参加者同志や講師陣とのコミニユケーションの場であり、講座で聞けないより具体的な話が聞けると思います。

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地域づくりには、まず人材の育成が重要と考えています。今まで人材育成塾を受講した方の多くが、それぞれの地域で頑張っていることは、鹿児島の観光にとって大きな財産となっており、5回連続で受講を申し込んでいる方もいらっしゃいます。九州新幹線全線開業から1年半、この講座が人材育成と地域活性化につながることを期待し、多くの受講者が集まることを期待します。

筑紫地区連合中学校の修学旅行始まる~鹿児島が誇る学習素材で新しいターゲットの開拓を~

2012年9月18日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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鹿児島中央駅のコンコースに中学生の明るい声が響き、今年も秋の修学旅行シーズン到来です。5日には筑紫地区の先陣を切って、「春日野中学校」と「筑山中学校」の2校460名の生徒さんたちが到着しました。

鹿児島県教育旅行受入対策協議会では、鹿児島市の中央公園と宿泊先のホテルで歓迎セレモニーを今年も実施しました。11月まで全校の出迎えを実施します。

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筑紫地区は、昨年まで18校が鹿児島を旅行先に選んでいましたが、今年から5年ぶりに23校全校が来ることになり、生徒数は、4,600名にもなります。しかも県内に2泊することから、宿泊代、交通費、昼食、入場料、おみやげ代を含めると、一人当たり25,000円程度の消費額が想定され、経済効果も1億円を超します。

今後も継続的に鹿児島を行先として選定してもらうよう、今以上の努力が必要です。修学旅行の誘致は熾烈を極めており、常に新しい情報の提供、他県にまさるおもてなしの心を提供しなければなりません。

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また、集約列車活用による修学旅行は、学校側に経費的に大きなメリットがあり、今後もJRさんに積極的に輸送体系の充実を求めていかねばなりません。来年年5月から、関西地域からの連合体の輸送が始まります。

誘致の重点地域として、姫路市、岡山市、広島市、山口市、福岡市、久留米市や鳥栖市など新幹線沿線地域の中学校連合をターゲットに営業展開していく必要があります。

ところで、25年10月に奈良県からスーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定校が、屋久島、種子島を訪れます。文部科学省では、将来の国際的な科学技術人材を育成することを目指し、理数教育に重点を置いた研究開発を行うSSH事業を、平成14年から実施しています。これまでの既存校を含め、平成24年度のSSHの学校数は計178校となります。

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SSHの指定を受けた学校は、科学技術振興機構が活動に必要な支援を実施しています。 修学旅行のカリキュラムは、屋久島での縄文杉登山や白谷雲水峡見学による自然環境学習、種子島ではJAXA種子島宇宙センターの施設見学が入っています。

特に種子島の宇宙センターの見学は、ロケットの発射予定日等が明確でないため、どこまで見学できるか現在の時点では解りませんが、県、熊毛支庁、種子島観光協会、JAXAと連携しながら、学校の要望に応えていきたいと思います。

ロケット施設が見学できるのは、本県の内之浦と種子島だけで他県にはありません。 これらのロケット施設は、SSH誘致には最高の売りとなる地域資源です。今後の試金石となる修学旅行と捉えています。

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離島では、甑島も教育旅行の誘致先としてはおもしろいと思います。特に上甑島の砂州や陸繫島、下甑島の断崖などは地学や地理の勉強には最適です。離島は交通費が高く誘致のハンディがありますが、最高の教材を提供することで、その目的を達成する手助けになると考えます。

日本独特の学校行事の一つである修学旅行は、春と秋の2シーズンに集中していますが、昨年3月の九州新幹線全線開業により、今年は例年になく年間を通して修学旅行の予約が入っています。今まで九州の他の地域に行っていた学校が、時間短縮効果で鹿児島に行先を変えています。

学校は定期的に行先を変える傾向があり、それはマンネリを防ぎ、新しいデスティネーションを求めていることや、教育課程の変更等が大きな要因です。その際、目新しい施設のオープンやアクセスが整備されると行先変更がし易くなります。

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これからの鹿児島の売りとしては、農業県鹿児島を全面に出し、県内全域での「農業体験と民泊」、ブリ、カンパチ、クロマグロ養殖生産量日本一を誇る漁業の「えさやり体験」、明治維新の舞台を巡る鹿児島市での「歴史学習」、知覧や鹿屋での「平和学習」、桜島や霧島での火山・防災に関する「自然学習」、世界自然遺産屋久島での「環境学習」、種子島や内之浦での先端技術を知る「科学学習」、亜熱帯の島で、5感を使って生命の息吹を感じ、地球環境を大切にする心を育てる「生態系学習」などどれをとっても、他県に負けないカリキュラムになっています。

最近では、クラスごとの選択メニューや複数のカリキュラムを取り入れる学校が増えています。学校のニーズに合うユニークな体験メニューの提供、また、受入側の安全面に対する意識を向上させ、体験学習における安全性を確保することも求められています。

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農家民泊が増加していますが、都会の生徒さんの多くは、家庭での両親との会話が少なく、民泊先での農家の方々との温かい心のふれあいに涙する生徒が多く、子供達の情操教育にも役立っているのではと感じます。

鹿児島でのもう1泊は、市内や温泉地でのホテル宿泊がほとんどです。農家民泊と既存の宿泊施設との摩擦が懸念されますが、新しい需要開拓という視点に立ち、「競争」と「協調」の姿勢が相乗効果をもたらすと思います。

最後に、受入施設も大変苦労を重ねていることを理解していただきたい。到着すると、非常口の説明や貴重品を預かり、夜の見回りと息付くが暇がないほど24時間安全面に配慮しています。また、翌朝には生徒が持参した水筒にお茶を入れる作業が待っています。水筒を洗い、中に入れる作業は早朝から始まり大変な重労働です。人数が多い学校は300名近くになり、しかも無料になっているのが実情です。

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生徒さんは宿泊施設でほとんど買い物もする機会が少なく、宿泊施設としても、せめて飲み物1本でも買っていただければというのが本音ではないでしょうか。旅行エージェントの方も何とかご協力を願えればと思います。


修学旅行は学生にとって、一生の思い出になる行事です。1963年にヒットした「修学旅行」という歌をご存知の方は多いと思います。皆様も修学旅行に想いを廻らせてください。

                   「修学旅行」
            作詞:丘 灯至夫 作曲:遠藤 実

      二度とかえらぬ  思い出乗せて クラス友達 肩よせあえば
      ベルが鳴る鳴る  プラットホーム ラララ・・・・・・・・
      汽車は行く    汽車は行く はるばると はるばると
      若い僕らの修学旅行

      地図を広げて   夢見た町を 僕のカメラで 撮した君を
      想い出すだろ   いつまでも ラララ・・・・・・・・
      汽車は行く    汽車は行くひとすじに ひとすじに
      若い僕らの修学旅行
                      以下3番に続く

            *1963年8月 舟木一夫の2番目の曲として発売

地域資源を活かしたまちづくり ~これからのコミュニティづくりと地域再生~

2012年9月10日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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九州・沖縄地域で地域づくりに取組む団体の関係者が集まり、「九州沖縄地域づくり会議INかごしま」が、黎明館で開催されました。会議のメンバーは市長、大学の先生、商店街のリーダー、NPO法人、一般市民等、地域の活性化に取り組んでいる人など多彩なメンバーが参加し、地域資源を活かした地域づくりや後継者の養成、新しいコミュニティづくりなどについて活発な議論が展開されました。

ワークショップでは、県内3地域からコミュニティづくりを中心とした事例発表があり、参加者の関心を引いていました。取組について紹介します まず、南さつま市大坂地区からは、『元気集落「高齢化率60%超」からの挑戦』の発表がありました。

南さつま市の大坂地区は、鹿児島市の谷山地区から15分の位置にありながら、高齢化 率60%超の集落が点在しており、交流人口を増やし地域をどう活性化していくかが大きな課題となっています。

このような状況の中、山間のいわゆる限界集落である「長谷集落」では、『NPO法人プロジェクト南からの潮流』を中心に各種のプロジェクトに取り組んでおり、最近では笑顔にあふれた人々が集う元気あふれた集落となり、平成23年度には、「交流人口拡大のため、棚田づくりをはじめ、地域資源や歴史を活動を積み重ね、地域の絆をつくった」ことが評価され、総務省と全国過疎地域自立促進連盟から、過疎地域の自立・活性化に取り組む優良事例として表彰を受けています。

そして今年の4月に物産販売・交流施設「大坂ふれあい館」がオープンし、コミニュティビジネスに向けた動きも出てくるなど、新しい風が吹き始めています。市内から南さつま市に到る道路沿いにあることから、小生も「砂の祭典」の見学の帰りに立ち寄りました。

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地元の産品がところ狭しと並び、また地域住民が手塩にかけて育てた野菜の苗や、花が販売されており、生き生きとして働いている高齢者の姿が印象的でした。また、秋には「竹とうろう」のイベントも予定されており、多くの見学者で賑わうものと思います。ぜひお出かけください。

次に薩摩川内市の大馬越地区コミニュティ協議会の「コミニュティ復活で村おこし」の事例発表です。 大馬越(おおまごえ)地区は、薩摩川内市入来町の山間部に位置する約350世帯の小さな地区です。入来町大馬越地区コミニュティ協議会は、市町村合併を受けて平成17年に大馬越小学校校区に設置されました。日本の原風景が到るところに残り、農林業を主な産業とし、お茶、キンカン、ゴーヤ等が特産品として知られています。

大きな商業施設や産業があるわけでもなく、年々小学校の生徒数も減少傾向にあり、「過 疎化」という大きな問題を抱えています。しかし地区に住む大人から子供まで元気に活動しており、特産品づくりや手芸教室、オヤジバンド、短歌教室、さらに小学生と一緒の運動会、飛び入り参加自由の「大盛り上がり文化祭」など住民が生き生きと活動しています。

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地域ぐるみで地区の活性化に取り組んでいる印象を受けました。地区の取組は、全国的に話題となり、国、県、地域づくり団体、メディアの取材もたえません。交流会では、年長者の詩吟に合わせて、地区の子ども達が元気よく演舞を披露し、コミュニティが定着しているなと地域の強い絆を感じました。 

地区で手作りしている「しそジュース」を買って帰りましたが、飲んでみると新鮮なし その香りがなんとも言えないほど、地域の本物のおいしい味がしました。 この地区で育った子ども達はふるさとを離れても、きっと故郷での想いをいつまでも大 切にする人になるだろうと思います。

  石川啄木は故郷 渋民村を想い次のように歌っています。

       かにかくに渋民村は恋しかり
                    おもいでの山 おもいでのかわ
       その昔小学校の柾屋根に
                    我が投げし鞠 いかになりけむ

次に志布志市松山町の「大隅の國やっちく松山藩」のイベントを活かした地域活性化の 取組です。 松山町は、大隅半島の東部、かつての曽於郡のほぼ中央部に位置し、人口4,600人、 農業が基幹産業で、野菜と畜産の複合経営が盛んな地域です。近年は企業立地の取組、若者定住住宅の整備、むらおこし活動、産業振興等により、人口の減少は鈍化しています。

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パロディ王国大隅の國やっちく松山藩は、平成元年、若者有志が町内各種団体に呼びかけて発足し、「秋の陣まつり」というイベントを開催して、町民に大きなインパクトを与えました。地域づくりの第一に「人づくり」を掲げ、毎月定例企画会議を開催し、「若者が住みたくなるまちづくりとは何か」をメインテーマに掲げ、行政と連携しながら、あらゆる分野の検討・協議を重ねています。

イベント開催中には、地域で収穫された野菜の無料配布や牛の丸焼きなど「やっちく」の町にふさわしいイベントの充実を図り、人と人とのふれあいと、そこでの温かいおもてなしの心を提供しています。

イベントが継続できている要因として、「手づくり」へのこだわりです。地域に残る歴史 物語を、独自でアレンジをして祭りで表現しています。自分たちで企画したものを自分たちの手で制作し、実現していく。「手づくり」にこだわるかぎり、「人」の力が必要となります。地域づくりの第一に「人づくり」を掲げ、様々な人材がお互いに知恵を出し、汗を出し合う事をその手法とし、「手つくり」にこだわる事を実践し続けていることがすばらしいことです。

スタッフとして係わった一人一人を大切にし、その協力の度合い関係なしに、それぞれが主役になるよう役割を与え、活動の底辺を広げています。現在では中高校生も多数ボランティアとして係わっています。行政は、"お金は出すが口は出さない"という姿勢であり、行政職員が黒子に徹していることも継続できている大きな要因かも知れません。

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3地域の活動に共通していることは、箱物づくりから地域の自然、歴史、文化、生活を経済活動と結びつけ、「地域特性」を生かした地域づくりをおこなっていることです。 農・商・工連携による地域全体の連携を図り「食」、「祭り」、「特産品」、「花」、「灯り」などを有機的につなぐことが、地域の魅力付けにつながります。

また、地域住民の理解と協力を得て、多くの住民を参画させることが大切であり、そのことが我が町に誇りを持つことになります。「地産地消」を推進することで、多くの分野で経済効果が生まれます。

大分県の「日田市」、「佐伯市」、「竹田市」、鹿児島の「さつま町の宮之城地域」では、地元産の竹を使った「灯りのイベント」を開催して交流人口を増やしています。「大坂の竹とうろう」のイベントも同様に、認知度を高めて鹿児島市からの集客が必要です。

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最後に地域をまとめるリーダーの存在が重要であり、地域の様々な課題を整理し、ネットワーク化を進め、事業を展開することが求められています。今地域活性化の手段として、多くの省庁が支援策を発表していますが、その多くは地域の団体をまとめて事業実施主体を組織し、事業を進めることが条件になっています。地域に適任者を配置することで、組織は機能すると思います。

是非新たな視点で地域を見つめ直し、地域が元気になる取組を今以上に進めて欲しいと思います。

観光の在り方も大型の箱物をつくり、マスメディアを使って大量に集客することから、地域主導で個人のニーズに対応できる地域に人は集まります。十人十色から一人十色に、個人の趣向も複雑になっており、個性ある地域がこれから脚光をあびます。

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都会の人が地域に求めるものは、「地元での交流の機会をつくり、固有の体験をしてみたい」、「原材料は地場のものを使い、地元の人と一緒に会話しながら食べたい」、「製造元の見学や体験がしてみたい。地場の本物を手に入れたい」など地域ならではの取組を肌で感じことです。地域資源に磨きをかけ、交流人口を増やし、経済的価値をもたらすことが地域の活性化には求められています。

その意味でも3地域の地域づくりは、大いに参考になります。今後他の地域にも波及させたいと感じたフォーラムでした。

参考:九州沖縄地域づくり会議INかごしま:パンフ

プロフィール

古木 圭介プロデューサー
鹿児島県
観光プロデューサー
古木 圭介
(平成29年4月より就任)
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