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行ってみたいと旅心を誘うPR大使に~Smile is Everything and Cost Nothing~

2012年10月29日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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新幹線時間短縮効果で、九州本土最南端の県であることがプラス要素となり、鹿児島には多くの観光客が訪れています。最初に降り立つのが駅や空港であり、第1印象がその地域の印象となります。案内所、タクシー、バス、街の人等の接遇の大切さが問われています。

昨年の九州新幹線全線開業以来、運輸機関、観光施設、そこで働く従業員、また、市民 に対して多くの温かい評価の言葉を頂いています。 その事例をいくつか紹介します。

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『タクシーについて』
・タクシーに乗降する際、帽子を取り名刺を渡して挨拶し、ドアを開け閉めしてくれた。前日観光地で撮影した写真を額に入れてわざわざ届けてくれた。
・宿泊施設から駅まで短い距離であったが、沿線のことを丁寧に説明してくれた。
・タクシーで3時間コースを事前に予約しておいたが、時間に余裕があることを伝えるとルート以外の場所も追加料金を取らず案内してくれた。
・30分間の乗車中、鹿児島の歴史や観光地について詳しく説明してくれた。また、利用したい。

『宿泊施設で』
・子供が料理をこぼし畳が汚れたが、すぐ雑巾を持ってきて、明るい応対で対処してく れた。新しい茶碗をすぐ用意してくれた。
・夜に子供に熱が出たが、フロントの方がわざわざ薬を届けてくれた。
・料理の内容について、メイドさんが丁寧に地域の食材について説明してくれた。
・出発の際、置かれた主人の靴がきれいに磨いてあり、今までの旅行で初めての経験で嬉しかった。ホテルの細かい気配りに感心した。
・忘れ物を駅までわざわざ届けてくれた。親切心に感動した。
・ホテルは大変混んでおり、若い新入社員が対応したが、一生懸命な姿が好感を持てた。自分の娘にも見習わせたい。

『案内所で』
・ホテルを尋ねたら道路まで出て方向や信号機を目印に親切に教えてくれた。
・初めての鹿児島であったが、観光地への交通、名物料理、お土産等について地図を広 げながら親切に説明してくれた。
・空港に着いたらおいしい湯茶のサービスがあり驚きであった。お土産にも買った。

『街角で』
・行きたいレストランを聞いたら、近くまで同行して連れて行ってくれた。
・ガイドブックを持っていたら、どこかをお探しですかと聞いて親切に教えてくれた。鹿児島の人は親切である。
鹿児島には「心温まるおもてなしの心」を実践する人がたくさんいらっしゃることは、うれしい限りです。

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ところで、観光の顔として地域を売り出すのが、各市町村のPR大使ですが、その役割 と「おもてなしの心」の極意を学ぶ研修会が開かれ、県内9地区から20名のPRレディーが参加しました。県観光課の本課長が最近の観光動向を説明し、県内各方面への入込状況や、大都市圏からの誘客の大切さ、地域の情報発信の重要性を説明しました。

11月で任期が終わる鹿児島市の「かごしま親善大使」である原口優さんは、PR大使の仕事の役割やPRの手法について、1年間の実践を通して感じたことを解りやすく話してくれました。

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鹿児島市のPRだけでなく、県内各地域の説明もできるだけするように心がけたこと、また、自分の印象が鹿児島の印象となる、いつも笑顔を持って対応することの大切さを述べていました。小生は昨年のPR大使の審査に加わった一人として、原口さんの成長振りに目を見張りました。

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今回の研修会では、講師の中村朋美さんからPR大使としての心構えやマナー、コミュニケーション方法等について2時間あまり熱心に学びました。各PR大使が連携しながら、鹿児島のPRに努めて欲しいと思います。1年後の成長が楽しみです。



これからのPR大使に望むことは次の点です。
・主役はいつもお客様です。最初の印象が大切。いつも笑顔を忘れず、自ら先に頭を下 げることを心がけて欲しい。
・自ら地域を愛し語れる人になってほしい。そのためには、日頃から地域を回り、歴史、 食、温泉、特産品、観光施設等を知ることが大切です。また、周辺地域の魅力も知り、観光ルートを語れる人が求められています。
・一生懸命には信頼がついてくる。お客様がフォローしてくれる。「わかりません」、「できません」はその場で言わない。調べて後で連絡することが大切です。
・観光客は訪れたい地域の情報を、出来るだけ多く事前に収集したいと考えている。訪問先では自分の地域を解りやすく説明する必要があります。
・説明会等では、滞在したときのくつろぐ「時間」の過ごし方や「情報」を伝授する場所である。「もう一度あの人に会いたい」、「大使のふるさとを訪ねたい」と言われる人になり、かごしまのファン作りに努力して欲しい。

鹿児島の観光は、地域の人々の日頃の情報発信やおもてなしの心で支えられています。PR大使が鹿児島の観光伝道師として、観光客が訪れてみたいという旅心を誘う役割 を担って欲しいと思います。

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新幹線開業効果に陰りが見える鹿児島ですが、観光地の最終的な評価は人です。そして、県民一人ひとりが観光客を温かく親切に迎える「おもてなし先進県鹿児島づくり」を定着させたいものです。

今垂水の観光が熱い~不利性を優位に変える取組~

2012年10月22日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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垂水市は、錦江湾を挟んで鹿児島市の対岸に位置していますが、人口減少が続き、現在約1万6千人余りであり、県下の市では西之表市に次いで人口の少ない市です。最近は桜島の爆発が増加し、1年を通して降灰に悩まされている地域です。桜島の噴火を身近に感じる地域として、それをプラスに捉える取組が求められています。

その垂水市が地域活性化の柱として取り組んでいるのが「第1次産業の6次産業化と観光振興」です。

垂水市の魅力と取組について紹介します。歴史については、「垂水島津家」の存在があげられます。島津77万石を支える一門家(加治木・重富・垂水・今和泉)のひとつである垂水島津家は、初代忠将から16代貴暢まで約250年間垂水を治めていました。

垂水島津家墓地内には歴代領主や、一族、大小100余の豪壮な墓碑が一堂に並び、歴史的に大変貴重な史跡です。13代将軍徳川家定の妻『篤姫』より先に妻候補に挙がった『八百姫』もこの墓地に眠っています。ぜひ見学を兼ねて参拝下さい。

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垂水市は、近代造船発祥の地・国旗「日の丸」のふるさとと言われています。幕末、西欧列強が東アジアに進出してきた時代に、島津家28代当主島津斉彬は、溶岩で埋没する以前の「大隅半島と桜島の間の海峡」の造船所で洋式帆船を建造しました。

その後日本各地で船が造られましたが、日本の船の印が必要となり、斉彬が提案したのが「白地に朱丸一つ」の日の丸です。これが幕府に受け入れられ、日本の総船印となり、後に国旗になったのです。そして、はじめて日本を示す旗として、日の丸が「大隅半島と桜島の間の海峡」で造られた昇平丸に掲げられたと言われています。

このように近代日本の創業時と歴史的関連が深い垂水市では、有志による「国旗日の丸発祥の碑建立期成会」が発足し、「道の駅たるみず 湯っ足り館」の敷地内に「昇平丸モニュメント」、「記念石碑」、「国旗掲揚塔」を建立する計画が進んでおり、12月12日に除幕式典を予定しています。

道の駅たるみずは、桜島の噴火する姿を真正面に望む絶好の場所にあり、九州の道の駅177箇所の中で、顧客満足度第7位にランクされています。(じゃらん24年度調査)桜島を望む足湯や、新鮮な魚介類が豊富なレストランも人気です。

そこに碑が建立されることは、新たな名所になると思います。近くにある牛根埋没鳥居展望公園は、県の「魅力ある観光地づくり事業」で整備が進み、今年の4月から一般公開されています。

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また、関ヶ原の戦いで敗れた宇喜多秀家が、島津義弘に匿われた場所が国道220号沿いの辺田駅跡近くにあり、潜居跡の石碑が立っています。近くにある平野家では秀家公を上屋敷に匿い、下屋敷に移り住みました。現在では、36代目の平野利孝さんご一家がお住まいです。

牛根地域には仏教遺跡など歴史遺産も多くあります。松ヶ崎地区では、郷土史研究会の方々が、駐車場の確保やガイドの養成、休憩施設の設置などを要望しており、これからの周辺整備が課題となっています。

垂水市出身の著名人としては、瀬戸口藤吉がいます。「軍艦マーチ」の作曲家で知られる瀬戸口翁は、明治元年に垂水市に生まれ、錦江湾の海を見て育ち、海洋と人間への感動を歌に託しました。市では、平成11年から、『瀬戸口藤吉翁記念行進曲コンクール』が開催されています。

もう一人は、洋画家として活躍した和田英作です。明治・大正・昭和にわたり、富士とばらの画家として有名となりました。「海辺の早春」、「波頭の夕暮」、「思郷」、「斜陽」等多くの名画を残しており、市の中心部に「和田英作画伯顕彰碑」も建立されています。

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「猿ヶ城渓谷森の駅 たるみず」も魅力あふれる施設です。猿ヶ城渓谷は、県立自然公園・おおすみ自然休養林に指定されている高隈山の麓に位置します。すばらしい緑の中に清冽な水が流れ落ち、所々に花崗岩の奇岩・巨岩が連なり、体全体に降り注ぐ緑と水のシャワーは爽快です。刀剣山の断崖には、岩から生え出たような赤松が枝を張り、水墨画のような景観を呈しています。

夏場を中心に、学校行事のキャンプや登山者の宿泊基地、家族旅行、職場旅行、地域コミュニティの場所として活用されています。渓谷のスリルと自然のダイナミックをたっぷり味わえるワクワク、ドキドキのアドベンチャーランドとして、都会の喧騒を離れ、おいしい森林の空気と清流の音に触れる癒しの場所として人気が高まっています。

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1年を通して一般の方の利用をいかに高めるか、季節ごとの魅力発信が重要と考えます。特に教育市場で、年間の半分程度を確保することが安定的な経営になると思います。大隅地域では、格好な登山が楽しめる山として高隈山がありますが、スタートになるのが猿ヶ城です。 週末には「道の駅たるみず 湯っ足り館」との連携による宿泊者を増やす対策が欠かせません。

尾脇市長は、就任以来まちづくりの重要政策の1つとして、交流人口の拡大による地域の活性化をあげており、その中心となるのが観光振興です。

先日大阪市内で、大学生を中心とした「かごしまスポーツ合宿セミナーIN関西」が開催されましたが、市長自ら学生の相談相手になって誘客に努めていました。練習場に恵まれ、豊富な温泉や水、おもてなしの心は学生たちに感動をもたらすことは間違いありません。これから関西からのスポーツキャンプが増えるものと思います

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20年度から教育旅行のメニューとして、垂水市漁業協同組合は「海の桜勘カンパチ餌やり体験」の受入を行っています。1校で始まった漁業体験旅行が、24年度は9校1161名の受入となり、今後も増加していくと予想しています。錦江湾の波静かな海と桜島の絶景を望む位置にあることや、比較的に空港や鹿児島中央駅に近いこと、漁協の安全対策や対応の良さなどが学校の信頼を得ていると思います。

また、定期的に一般消費者向けにPRイベントを開催するなどの取組が、漁協が経営する直営レストラン「桜勘」の人気定着に繋がっています。漁業体験だけでなく、教育旅行における民泊も定着してきました。降灰というマイナスの要素を、噴火を真正面から見ることができる場所であるというプラスに変えることが大切です。海潟漁港は、映画「ホタル」のロケ地にもなっておりもっとPRしていきたいものです。

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また、大野地区には、地元の中馬さんが30年に渡って育てて、NPO法人かごしま探検の会の東川隆太郎氏が「世間遺産」の一つにあげた「垂水千本イチョウ園」があります。 1200本のイチョウが棚田状に山の斜面に植えられており、11月中旬から色づき12月になると美しい黄色の絨毯が楽しめます。

高台からは、桜島や開聞岳が一望できる絶景ポイントです。今や鹿児島の秋を代表する一大観光地となっています。今年の週末には、垂水港からシャトルバスが運行される予定です。地域づくりに地元の人の力がいかに大切か、そのモデルとなるのではないでしょうか。

ところで九州新幹線が全線開業し1年8か月経過しました。今まで鹿児島は、鹿児島市、霧島、指宿、といった地域に観光客が集中していました。全線開業により、博多駅と鹿児島中央駅間が最速1時間17分で結ばれ、鹿児島中央駅から垂水市までは、1時間程度で行くことができます。

大隅半島は、長年観光ルートから外れていましたが、新幹線の時間短縮効果や、「錦江湾なぎさ街道」の整備、「大黒イルカランド」のオープン、宇宙衛星「はやぶさ」の帰還、また、佐多岬公園が11月から無料になることから大隅地域へ誘客するチャンスです。今の観光のニーズは、食、体験、交流など地域の人・生活・文化にふれることを求めています。

道の駅、森の駅、漁港のレストラン、温泉、歴史等をうまく繋ぐことが重要です。 垂水地域は県都鹿児島市の対岸にあり、アクセスも恵まれています。桜島の噴火を優位に捉えて、年間を通して交流人口を増やし、地域の活性化につなげたいものです。

参考:垂水市観光パンフレット、広報たるみず、国旗日の丸発祥の碑建立期生会

古里温泉と佐多岬の観光について~鹿児島固有の観光資源をいかに活かすか~

2012年10月15日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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10月3日の新聞に、古里温泉の老舗旅館「ふるさと観光ホテル」の閉鎖と「佐多岬道 町購入へ」の対象的な記事が載りました。両方とも鹿児島の観光にとって大きな意味を持つ発表の記事でした。



まず古里温泉については、皆様も観光やドライブの途中に立ち寄った経験があり、身近な温泉として親しみをもっていた方は多いと思います。かつて林芙美子の小説の舞台にも登場しています。

 

 [私は北九州の或る小学校で、こんな歌を習った事があった。
              更けゆく秋の夜 旅の空
                  侘しき 思いに 一人なやむ
                        恋しや古里 なつかし父母
私は宿命的に放浪者である。私は古里を持たない。父は四国の伊予の人間で、太物(ふともの)の行商人であった。母は、九州の桜島の温泉宿の娘である。母は他国者と一緒になったというので、鹿児島を追放されて父と落ちつき場所を求めたところは、山口県の下関という処であった。私が生まれたのはその下関の町である。――故郷に入れられなかった両親を持つ私は、したがって旅が古里であった。それ故、宿命的に旅人である私は、この恋しいや古里の歌を、随分侘しい気持ちで習ったものであった。]
                                   「放浪記」:林芙美子

錦江湾に面した入り江に古里温泉はあり、露天風呂から見る朝日や夕陽は格別です。国道の高台には、林芙美子の文学碑があり
             「花の命は短くて苦しきことのみ多かりき」
女性を花にたとえ、楽しい若いときは短く、苦しい時が多かった自らの半生を歌った文が刻まれています。

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ふるさと観光ホテルの閉鎖は、一ホテルの閉鎖ということではなく、地域全体に大きな影響があると考えねばなりません。ホテルの露天風呂は、目の前に海があり、白い浴衣を身につけて入る姿が多くのメディアで取り上げられ、「龍神風呂」の魅力は全国的に知られています。また、近くにある有村展望所から見る噴煙を上げる桜島の姿は、迫力があります。

 

今度のホテルの閉鎖は桜島や古里温泉のイメージだけでなく、大隅地域にまで影響が出ると判断しなければなりません。また、現在垂水からや霧島市に至る一周のルートに人気がでてきています。せめて龍神風呂と休憩施設の存続を望みたいものです。

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次に佐多岬道を南大隅町が購入した件です。旧佐多岬ロードパークは1963年に開通し、64年に有料道路として開業しました。昭和40年代の前半から50年代の前半までは新婚旅行のメッカとして、宮崎から佐多岬、指宿温泉に至るゴールデンルートとして人気がありました。また、指宿温泉は大安の翌日は、ほとんどのホテルが新婚客であふれていました。

 

しかし、その後新婚旅行が海外に移り、バブルが終焉し団体旅行も激減し、薩摩半島との架け橋であったフェリーが休航した期間もあり、いつのまにか佐多岬も忘れられた存在となりました。岬にあったレストハウスは閉店し、展望台も永年の風雨にさらされ老朽化が目だっています。

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一方、太平洋に突き出した半島の島には黒潮が押し寄せ、先端にある灯台は九州本土最南端にあり「日本の灯台50選」にも選ばれ、錦江湾や南の島へ行き交う船舶の目印として重要な役割を果たしています。対岸に薩摩半島の開聞岳を望み、東シナ海に沈む夕日は格別です。

 

晴れた日には、種子島、屋久島を望むことができます。佐多岬の入口に位置する大泊には、北緯31度線(エジプトのカイロと同じ位置)の表示塔が立っており、車を止めて写真に納める観光客が見受けられます。

 

しかし、佐多岬展望公園に入るのに500円の入園料も徴収されることから改善策が求められていましたが、この度南大隅町が道路を購入することとなり、それにあわせて11月1日から園内の入園料が無料となります。
団塊の世代の退職や国内旅行の成熟化・多様化が進み、今では交通の便が悪く秘境と呼ばれる地域が脚光を浴びています。佐多岬も、例外ではありません。

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これからの佐多岬の魅力づくりが、宮崎、鹿屋、佐多岬、指宿、鹿児島への観光ルート定着になり、両県にメリットが出てくると思います。今年度は県の予算で調査費が付いており、佐多岬の公園整備を進める第一歩になると捉えています。 灯台が望める最先端まで行く途中には、かつて灯台守が住んでいた「灯台守の館」が藪の中にひっそりと佇んおり、整備すれば産業遺産として活かせると思います。

鹿児島県旅行業協同組合(中間幹夫会長)では、大隅の地域資源を活用した着地型商品「魅旅」を造成し集客も堅実で、地域からの大きな支持を得ています。大隅地域への誘客は県の観光振興にとって重要課題であり、今後佐多岬を組み入れた多くのツアーが造成されるものと思います。
山川~根占フェリーは、車の搭載には限度があり、お客様だけ根占港で受けてバスで、佐多岬周辺の観光を楽しむ方策も検討しなければなりません。

岬にはハイビスカス、ブーゲンビリアなど数多くの亜熱帯植物が生い茂り、熱帯のジャングルにいるような気分に浸ることができます。ソテツの自生地も圧巻です。 かつて「岬めぐり」というツアーがヒットしましたが、都井岬、佐多岬、長崎鼻を巡るツアーの復活も楽しみです。

最南端の神社として有名な御崎神社は、吾平山上陵と諏訪神社と一緒にパワースポットとして売りだすのも期待がもてます。

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また、御崎神社からジャングルの道を下ると、黒潮が押し寄せている海岸に出ることができ、灯台を目の前に望むことができます。ロープを頼りに一人ずつしか登り降りできないというスリリングな箇所もあり、トレッキング等体験型観光の醍醐味を味わうことができます。

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大隅地域の「錦江湾なぎさ街道」周辺には、荒平天神、かのやばら園、神川の大滝、雄川の滝、並列鳥居のある諏訪神社等特色のある観光地や、農・漁家の直売所、錦江湾に沈む幻想的な夕陽が望めるレストランなど旅情を感じさせる店もあります。


根占港の隣には、南大隅町の農産物や採れたての魚等を取り揃えた「なんたん市場」もオープンしています。フェリーの待ち時間に立ち寄り地産品を買って欲しいものです。 最南端にある役場、郵便局、小学校、ガソリンスタンド、駐在所、展望台等を訪ね、記念スタンプを押し九州最南端の地に来たことを実感したいものです。

 

最後に、佐多岬道の無料化に合わせて、佐多岬公園の整備が進むこととなり、これからの誘客についても弾みがつくものと確信します。そのためには、まず県民に訪ねてもらうことが大切ではないかと思います。

子供たちに故郷の良さを感じさせるために~南北600キロの魅力をいかに伝えるか~

2012年10月9日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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学校を卒業し県外に就職すると、なにかにつけて想い出されるのは故郷の懐かしい光景ではないでしょうか。日本各地で、山の風景はどこでも見られることですが、故郷の山となれば格別です。校歌に故郷の山河を取り入れた歌詞が多く見られますが、日本の四季の美しさは、歌人にも歌われています。

    ふるさとの 山に向かいて 言う事なし
                   ふるさとの山は ありがたき哉
                                 ~石川啄木~

    はてもなく 菜の花つづく 宵月夜
                   母が生まれし  国美しき
                                 ~与謝野晶子~

9月28日、霧島市の霧島、日当山中学校の生徒約250人が鹿児島大学の井村准教授や霧島ジオパークのガイドさんの案内で、昨年1月に大噴火した霧島連山・新燃岳の火口にたまった溶岩や変化した火口の様子を、韓国岳の山頂から見学しました。生徒さんたちは、今しか経験できない貴重な体験をしたと思います。きっと霧島市を離れても、今回の登山で確認した霧島連山の美しさ、新燃岳の変化、遠くに望む錦江湾や桜島の姿が脳裏に刻まれたことと思います。

昭和生まれの世代の方々は、小・中学校の遠足や修学旅行で高千穂峰登山の経験がある方が多いのではないでしょうか。子供の頃から地域のシンボル的な山に登ることは貴重な経験になると思います。

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また、垂水中央中学校の生徒さんが、県外の修学旅行で人気沸騰中の垂水漁港での給餌や加工を経験しましたが、地域の一大産業である水産業への理解を深める機会となり、県外の方々にも自らPRできる体験となりました。 地元にいると地元の良さが理解できず、子供のころから地域を知る機会を増やすことが大切と感じます。

ところで、観光による交流人口の拡大は、地域活性化の重要な方策の一つですが、鹿児島県は、南北600キロに及び、自然、温泉、歴史、食、離島の多さ等全国的に類のない魅力に富んだ県です。子ども達は、就職や大学入学等で県外へ出て行く人が多いため、それまでに郷土の魅力を知る機会を増やすことが重要となっています。

子ども達に体験させたい鹿児島の魅力を述べたいと思います。

まず自然の素晴らしさに触れる機会が大切です。
新幹線が到着しまず目に入るのが、爆発を繰り返す活火山桜島の雄姿です。観光客は時折噴煙を上げ、錦江湾に雄々しく鎮座する山に感嘆の声をあげます。対岸から見る鹿児島市街地も素晴らしく、ぜひ「よりみちクルーズ」に乗船し、下船後桜島を一周し島の魅力を体感して欲しいと思います。噴火している霧島新燃岳、硫黄島、口永良部島も同じく生きた教材です。

薩摩川内市の西にある甑島には、砂州が形成した美しい「なまこ池」や「トンボロ」の景観が見られ、その地形の成り立ちは地理の勉強にも最適です。島では中学校を卒業すると「旅立ち」の行事で見送り、成人式には一時島に戻り、中学時代に造った焼酎を飲むという楽しい盛大な伝統行事が残っています。故郷意識が高揚する行事です。

次に歴史の魅力です。鹿児島は多くの偉人を輩出し、日本の近代化実現に大きな役割を果たしました。早くから西洋の技術を導入し、集成館事業の偉業を成し遂げ、「殖産興業」の土台を築きました。

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また、郷中教育の精神から学ぶことが多くあります。出水兵児の教え、日新公のいろは歌など、今でも子供の精神修養になる教材です。薩摩藩英国留学生の残した資料を集めた史料館が、25年度に、英国に船出した「いちき串木野市」の羽島にオープンします。子ども達にぜひ見学させたい資料館です。

関ヶ原合戦での"島津の退き口"で知られる薩摩武士の心意気は、今では20kmを歩いて参拝する「妙円寺詣り」として、その敵中突破の伝統が引き継がれています。小・中学生時代に遠行にぜひ参加させたいものです。

文化面では、「吉井淳二」、「海老原喜之助」など郷土の有名な画家の作品が展示されている「鹿児島市立美術館」や、「霧島アートの森」、「上野原縄文の森」は、ゆっくり見学させたい施設です。また、みやまコンセールでは、毎年夏には「霧島国際音楽祭」が開催されており、国内外で有名な奏者の演奏を聴く機会を提供しなければなりません。

日本で初めて世界自然遺産に登録された屋久島は、貴重な植物の垂直分布が見られ、登山家の憧れの山です。島の子ども達は、在学中に宮之浦岳登山や自転車で屋久島一周のサイクリングをするなど島を知る体験を行っています。

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奄美大島は、手つかずの自然や貴重な生態系が見られることから、東洋のガラパゴスとして称されています。科学的分野では、「はやぶさ」が帰還した内之浦宇宙空間観測所や、世界で一番美しいロケット基地のある種子島宇宙センターは、宇宙科学に興味を持たせる絶好の施設です。

離島は大人になっても行く機会が少なく、「少年の船」や「スポーツ合宿」等の場所としても最適であり、小・中学生時代に行かせたい所です。

また、県内には先祖崇拝の精神が脈々と受け継がれており、奄美群島などは特にその心が色濃く今でも残っています。本土でもお墓に毎日生花を飾る習慣があり、南薩地域のお墓は観光客が訪ねるほどの名所となっています。命の大切さを教える意味でも、子供の頃から、墓参りをさせることは大切なことと思います。

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九州新幹線が全線開業し、県外観光客が増加していますが、観光客に手を振ったり、駅でお茶のサービスをするなど地域ぐるみの温かいおもてなしが話題となっています。おもてなしの心を小さい頃から身につけることは、人にやさしい心豊かな人材を育てます。子どもの頃から故郷の自然や歴史に接し、地域を知ることは郷土愛の構築にも役立ちます。

これからの鹿児島のためには、「郷土愛」を育む取組が必要と感じます。
①地域の自然、歴史、伝統文化を学ぶ機会をつくる。
②農業や漁業体験に親しみ、食糧の大切さや生物の真の姿を教える。
③南方文化、先祖崇拝、海の大切さを知り、離島の魅力を語る。
④近代産業の歴史、郷土料理、特産品など地元の産業・企業から学ぶ機会を増やす。
⑤郷土が生んだ偉人の足跡を学ぶ。
⑥おもてなしの心を小さい頃から身につける機会を提供する。
ことではないかと思います。

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最近の修学旅行は、県外のアミュズメント施設が主流となり、地元の良さを知る機会は、少なくなっています。せめて遠足や課外活動で故郷の良さを知る機会を子ども達に提供し、郷土を愛する心を育む取組が大切です。
世界情勢も緊迫しており、郷土愛の構築や日本を愛する心を育てることが今求められているのではないでしょうか。

プロフィール

古木 圭介プロデューサー
鹿児島県
観光プロデューサー
古木 圭介
(平成29年4月より就任)
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