鹿児島県観光サイト かごしまの旅

    • 学校・法人の方へ
    • 観光

トップページ > プロデューサーズコラム

子供たちに故郷の良さを感じさせるために~南北600キロの魅力をいかに伝えるか~

2012年10月9日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

高千穂の峰.jpg

学校を卒業し県外に就職すると、なにかにつけて想い出されるのは故郷の懐かしい光景ではないでしょうか。日本各地で、山の風景はどこでも見られることですが、故郷の山となれば格別です。校歌に故郷の山河を取り入れた歌詞が多く見られますが、日本の四季の美しさは、歌人にも歌われています。

    ふるさとの 山に向かいて 言う事なし
                   ふるさとの山は ありがたき哉
                                 ~石川啄木~

    はてもなく 菜の花つづく 宵月夜
                   母が生まれし  国美しき
                                 ~与謝野晶子~

9月28日、霧島市の霧島、日当山中学校の生徒約250人が鹿児島大学の井村准教授や霧島ジオパークのガイドさんの案内で、昨年1月に大噴火した霧島連山・新燃岳の火口にたまった溶岩や変化した火口の様子を、韓国岳の山頂から見学しました。生徒さんたちは、今しか経験できない貴重な体験をしたと思います。きっと霧島市を離れても、今回の登山で確認した霧島連山の美しさ、新燃岳の変化、遠くに望む錦江湾や桜島の姿が脳裏に刻まれたことと思います。

昭和生まれの世代の方々は、小・中学校の遠足や修学旅行で高千穂峰登山の経験がある方が多いのではないでしょうか。子供の頃から地域のシンボル的な山に登ることは貴重な経験になると思います。

垂水漁港.jpg

また、垂水中央中学校の生徒さんが、県外の修学旅行で人気沸騰中の垂水漁港での給餌や加工を経験しましたが、地域の一大産業である水産業への理解を深める機会となり、県外の方々にも自らPRできる体験となりました。 地元にいると地元の良さが理解できず、子供のころから地域を知る機会を増やすことが大切と感じます。

ところで、観光による交流人口の拡大は、地域活性化の重要な方策の一つですが、鹿児島県は、南北600キロに及び、自然、温泉、歴史、食、離島の多さ等全国的に類のない魅力に富んだ県です。子ども達は、就職や大学入学等で県外へ出て行く人が多いため、それまでに郷土の魅力を知る機会を増やすことが重要となっています。

子ども達に体験させたい鹿児島の魅力を述べたいと思います。

まず自然の素晴らしさに触れる機会が大切です。
新幹線が到着しまず目に入るのが、爆発を繰り返す活火山桜島の雄姿です。観光客は時折噴煙を上げ、錦江湾に雄々しく鎮座する山に感嘆の声をあげます。対岸から見る鹿児島市街地も素晴らしく、ぜひ「よりみちクルーズ」に乗船し、下船後桜島を一周し島の魅力を体感して欲しいと思います。噴火している霧島新燃岳、硫黄島、口永良部島も同じく生きた教材です。

薩摩川内市の西にある甑島には、砂州が形成した美しい「なまこ池」や「トンボロ」の景観が見られ、その地形の成り立ちは地理の勉強にも最適です。島では中学校を卒業すると「旅立ち」の行事で見送り、成人式には一時島に戻り、中学時代に造った焼酎を飲むという楽しい盛大な伝統行事が残っています。故郷意識が高揚する行事です。

次に歴史の魅力です。鹿児島は多くの偉人を輩出し、日本の近代化実現に大きな役割を果たしました。早くから西洋の技術を導入し、集成館事業の偉業を成し遂げ、「殖産興業」の土台を築きました。

薩摩英国留学生渡欧の地.jpg

また、郷中教育の精神から学ぶことが多くあります。出水兵児の教え、日新公のいろは歌など、今でも子供の精神修養になる教材です。薩摩藩英国留学生の残した資料を集めた史料館が、25年度に、英国に船出した「いちき串木野市」の羽島にオープンします。子ども達にぜひ見学させたい資料館です。

関ヶ原合戦での"島津の退き口"で知られる薩摩武士の心意気は、今では20kmを歩いて参拝する「妙円寺詣り」として、その敵中突破の伝統が引き継がれています。小・中学生時代に遠行にぜひ参加させたいものです。

文化面では、「吉井淳二」、「海老原喜之助」など郷土の有名な画家の作品が展示されている「鹿児島市立美術館」や、「霧島アートの森」、「上野原縄文の森」は、ゆっくり見学させたい施設です。また、みやまコンセールでは、毎年夏には「霧島国際音楽祭」が開催されており、国内外で有名な奏者の演奏を聴く機会を提供しなければなりません。

日本で初めて世界自然遺産に登録された屋久島は、貴重な植物の垂直分布が見られ、登山家の憧れの山です。島の子ども達は、在学中に宮之浦岳登山や自転車で屋久島一周のサイクリングをするなど島を知る体験を行っています。

種子島ロケット基地.jpg

奄美大島は、手つかずの自然や貴重な生態系が見られることから、東洋のガラパゴスとして称されています。科学的分野では、「はやぶさ」が帰還した内之浦宇宙空間観測所や、世界で一番美しいロケット基地のある種子島宇宙センターは、宇宙科学に興味を持たせる絶好の施設です。

離島は大人になっても行く機会が少なく、「少年の船」や「スポーツ合宿」等の場所としても最適であり、小・中学生時代に行かせたい所です。

また、県内には先祖崇拝の精神が脈々と受け継がれており、奄美群島などは特にその心が色濃く今でも残っています。本土でもお墓に毎日生花を飾る習慣があり、南薩地域のお墓は観光客が訪ねるほどの名所となっています。命の大切さを教える意味でも、子供の頃から、墓参りをさせることは大切なことと思います。

おもてなし(お茶).jpg

九州新幹線が全線開業し、県外観光客が増加していますが、観光客に手を振ったり、駅でお茶のサービスをするなど地域ぐるみの温かいおもてなしが話題となっています。おもてなしの心を小さい頃から身につけることは、人にやさしい心豊かな人材を育てます。子どもの頃から故郷の自然や歴史に接し、地域を知ることは郷土愛の構築にも役立ちます。

これからの鹿児島のためには、「郷土愛」を育む取組が必要と感じます。
①地域の自然、歴史、伝統文化を学ぶ機会をつくる。
②農業や漁業体験に親しみ、食糧の大切さや生物の真の姿を教える。
③南方文化、先祖崇拝、海の大切さを知り、離島の魅力を語る。
④近代産業の歴史、郷土料理、特産品など地元の産業・企業から学ぶ機会を増やす。
⑤郷土が生んだ偉人の足跡を学ぶ。
⑥おもてなしの心を小さい頃から身につける機会を提供する。
ことではないかと思います。

長目の浜.jpg

最近の修学旅行は、県外のアミュズメント施設が主流となり、地元の良さを知る機会は、少なくなっています。せめて遠足や課外活動で故郷の良さを知る機会を子ども達に提供し、郷土を愛する心を育む取組が大切です。
世界情勢も緊迫しており、郷土愛の構築や日本を愛する心を育てることが今求められているのではないでしょうか。

プロフィール

古木 圭介プロデューサー
鹿児島県
観光プロデューサー
古木 圭介
(平成29年4月より就任)
詳しいプロフィールはこちら

月別アーカイブ