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今垂水の観光が熱い~不利性を優位に変える取組~

2012年10月22日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

道の駅たるみず.jpg

垂水市は、錦江湾を挟んで鹿児島市の対岸に位置していますが、人口減少が続き、現在約1万6千人余りであり、県下の市では西之表市に次いで人口の少ない市です。最近は桜島の爆発が増加し、1年を通して降灰に悩まされている地域です。桜島の噴火を身近に感じる地域として、それをプラスに捉える取組が求められています。

その垂水市が地域活性化の柱として取り組んでいるのが「第1次産業の6次産業化と観光振興」です。

垂水市の魅力と取組について紹介します。歴史については、「垂水島津家」の存在があげられます。島津77万石を支える一門家(加治木・重富・垂水・今和泉)のひとつである垂水島津家は、初代忠将から16代貴暢まで約250年間垂水を治めていました。

垂水島津家墓地内には歴代領主や、一族、大小100余の豪壮な墓碑が一堂に並び、歴史的に大変貴重な史跡です。13代将軍徳川家定の妻『篤姫』より先に妻候補に挙がった『八百姫』もこの墓地に眠っています。ぜひ見学を兼ねて参拝下さい。

垂水日の丸ポスター.JPG

垂水市は、近代造船発祥の地・国旗「日の丸」のふるさとと言われています。幕末、西欧列強が東アジアに進出してきた時代に、島津家28代当主島津斉彬は、溶岩で埋没する以前の「大隅半島と桜島の間の海峡」の造船所で洋式帆船を建造しました。

その後日本各地で船が造られましたが、日本の船の印が必要となり、斉彬が提案したのが「白地に朱丸一つ」の日の丸です。これが幕府に受け入れられ、日本の総船印となり、後に国旗になったのです。そして、はじめて日本を示す旗として、日の丸が「大隅半島と桜島の間の海峡」で造られた昇平丸に掲げられたと言われています。

このように近代日本の創業時と歴史的関連が深い垂水市では、有志による「国旗日の丸発祥の碑建立期成会」が発足し、「道の駅たるみず 湯っ足り館」の敷地内に「昇平丸モニュメント」、「記念石碑」、「国旗掲揚塔」を建立する計画が進んでおり、12月12日に除幕式典を予定しています。

道の駅たるみずは、桜島の噴火する姿を真正面に望む絶好の場所にあり、九州の道の駅177箇所の中で、顧客満足度第7位にランクされています。(じゃらん24年度調査)桜島を望む足湯や、新鮮な魚介類が豊富なレストランも人気です。

そこに碑が建立されることは、新たな名所になると思います。近くにある牛根埋没鳥居展望公園は、県の「魅力ある観光地づくり事業」で整備が進み、今年の4月から一般公開されています。

垂水牛根麓埋没鳥居.jpg

また、関ヶ原の戦いで敗れた宇喜多秀家が、島津義弘に匿われた場所が国道220号沿いの辺田駅跡近くにあり、潜居跡の石碑が立っています。近くにある平野家では秀家公を上屋敷に匿い、下屋敷に移り住みました。現在では、36代目の平野利孝さんご一家がお住まいです。

牛根地域には仏教遺跡など歴史遺産も多くあります。松ヶ崎地区では、郷土史研究会の方々が、駐車場の確保やガイドの養成、休憩施設の設置などを要望しており、これからの周辺整備が課題となっています。

垂水市出身の著名人としては、瀬戸口藤吉がいます。「軍艦マーチ」の作曲家で知られる瀬戸口翁は、明治元年に垂水市に生まれ、錦江湾の海を見て育ち、海洋と人間への感動を歌に託しました。市では、平成11年から、『瀬戸口藤吉翁記念行進曲コンクール』が開催されています。

もう一人は、洋画家として活躍した和田英作です。明治・大正・昭和にわたり、富士とばらの画家として有名となりました。「海辺の早春」、「波頭の夕暮」、「思郷」、「斜陽」等多くの名画を残しており、市の中心部に「和田英作画伯顕彰碑」も建立されています。

森の駅たるみず.jpg

「猿ヶ城渓谷森の駅 たるみず」も魅力あふれる施設です。猿ヶ城渓谷は、県立自然公園・おおすみ自然休養林に指定されている高隈山の麓に位置します。すばらしい緑の中に清冽な水が流れ落ち、所々に花崗岩の奇岩・巨岩が連なり、体全体に降り注ぐ緑と水のシャワーは爽快です。刀剣山の断崖には、岩から生え出たような赤松が枝を張り、水墨画のような景観を呈しています。

夏場を中心に、学校行事のキャンプや登山者の宿泊基地、家族旅行、職場旅行、地域コミュニティの場所として活用されています。渓谷のスリルと自然のダイナミックをたっぷり味わえるワクワク、ドキドキのアドベンチャーランドとして、都会の喧騒を離れ、おいしい森林の空気と清流の音に触れる癒しの場所として人気が高まっています。

猿ヶ城渓谷.jpg

1年を通して一般の方の利用をいかに高めるか、季節ごとの魅力発信が重要と考えます。特に教育市場で、年間の半分程度を確保することが安定的な経営になると思います。大隅地域では、格好な登山が楽しめる山として高隈山がありますが、スタートになるのが猿ヶ城です。 週末には「道の駅たるみず 湯っ足り館」との連携による宿泊者を増やす対策が欠かせません。

尾脇市長は、就任以来まちづくりの重要政策の1つとして、交流人口の拡大による地域の活性化をあげており、その中心となるのが観光振興です。

先日大阪市内で、大学生を中心とした「かごしまスポーツ合宿セミナーIN関西」が開催されましたが、市長自ら学生の相談相手になって誘客に努めていました。練習場に恵まれ、豊富な温泉や水、おもてなしの心は学生たちに感動をもたらすことは間違いありません。これから関西からのスポーツキャンプが増えるものと思います

垂水修学旅行体験.jpg

20年度から教育旅行のメニューとして、垂水市漁業協同組合は「海の桜勘カンパチ餌やり体験」の受入を行っています。1校で始まった漁業体験旅行が、24年度は9校1161名の受入となり、今後も増加していくと予想しています。錦江湾の波静かな海と桜島の絶景を望む位置にあることや、比較的に空港や鹿児島中央駅に近いこと、漁協の安全対策や対応の良さなどが学校の信頼を得ていると思います。

また、定期的に一般消費者向けにPRイベントを開催するなどの取組が、漁協が経営する直営レストラン「桜勘」の人気定着に繋がっています。漁業体験だけでなく、教育旅行における民泊も定着してきました。降灰というマイナスの要素を、噴火を真正面から見ることができる場所であるというプラスに変えることが大切です。海潟漁港は、映画「ホタル」のロケ地にもなっておりもっとPRしていきたいものです。

千本イチョウ園①.jpg

また、大野地区には、地元の中馬さんが30年に渡って育てて、NPO法人かごしま探検の会の東川隆太郎氏が「世間遺産」の一つにあげた「垂水千本イチョウ園」があります。 1200本のイチョウが棚田状に山の斜面に植えられており、11月中旬から色づき12月になると美しい黄色の絨毯が楽しめます。

高台からは、桜島や開聞岳が一望できる絶景ポイントです。今や鹿児島の秋を代表する一大観光地となっています。今年の週末には、垂水港からシャトルバスが運行される予定です。地域づくりに地元の人の力がいかに大切か、そのモデルとなるのではないでしょうか。

ところで九州新幹線が全線開業し1年8か月経過しました。今まで鹿児島は、鹿児島市、霧島、指宿、といった地域に観光客が集中していました。全線開業により、博多駅と鹿児島中央駅間が最速1時間17分で結ばれ、鹿児島中央駅から垂水市までは、1時間程度で行くことができます。

大隅半島は、長年観光ルートから外れていましたが、新幹線の時間短縮効果や、「錦江湾なぎさ街道」の整備、「大黒イルカランド」のオープン、宇宙衛星「はやぶさ」の帰還、また、佐多岬公園が11月から無料になることから大隅地域へ誘客するチャンスです。今の観光のニーズは、食、体験、交流など地域の人・生活・文化にふれることを求めています。

道の駅、森の駅、漁港のレストラン、温泉、歴史等をうまく繋ぐことが重要です。 垂水地域は県都鹿児島市の対岸にあり、アクセスも恵まれています。桜島の噴火を優位に捉えて、年間を通して交流人口を増やし、地域の活性化につなげたいものです。

参考:垂水市観光パンフレット、広報たるみず、国旗日の丸発祥の碑建立期生会

プロフィール

古木 圭介プロデューサー
鹿児島県
観光プロデューサー
古木 圭介
(平成29年4月より就任)
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