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2013年をいかに乗り切るか~厳しい時代へ果敢なチャレンジを~

2013年1月7日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

明けましておめでとうございます。 先行き不透明感がぬぐえない日本経済ですが、昨年末に日経平均株価が8か月半ぶりに1万円を超えました。景気回復につながり、個人消費の拡大が観光業界にも波及効果をもたらすことを期待したいものです。

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今年は巳年です。巳(み、し)は十二支の一つで、第6番目に数えられます。「巳」は『漢書』律歴志によると、「巳(い:「止む」の意味)」で、草木の生長が極限に達した状態を表しています。蛇が冬眠から覚めて地上にはい出す姿を表していると言われ「起こる、始まる」などの意味があります。また、蛇は脱皮することから「復活と再生」を連想させ、餌を食べなくても長く生きることから、全国に蛇神を守る神社もあります。いずれにしても今年は、逞しく生き抜く姿勢が大切ではないでしょうか。

今年の日本の観光を取り巻く環境は、東高西低という現状ではないかと思います。 東京ディズニーランド(以下TDL)が開業30周年を迎え、新しいアトラクションが登場し、1年を通して賑わうものと思います。TDLは大人から子供まで幅広く人気が定着しており、年間2000万人が訪れる日本最大の観光地です。また昨年オープンした「東京スカイツリー」も相変わらずの人気で、2つのビッグ施設で大きな集客効果があります。

今年のNHKの大河ドラマは「八重の桜」です。戊辰戦争では銃を持って勇敢に戦うなど「幕末のジャンヌ・ダルク」と言われ、後に同志社大学の創始者新島襄と結婚した「新島八重」が主人公で、福島県と京都府が舞台になるのではないかと思います。春の桜、新緑、東北四大祭り、紅葉と東北地域は話題に欠きません。 東日本大震災から復興しつつある東北地域への誘客に向けて、官民挙げての取組が進められています。

首都圏の旅行エージェントの店頭には、早くも大河ドラマ関連の多くの商品が並んでおり、ドラマの放映が始まるとさらに認知度が高まり、特にGW以後観光客は東北に向くと考えておかねばなりません。

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次に三重県でも大きな行事が年間を通して開催されます。伊勢神宮では、20年に一度の式年遷宮が開かれます。「お伊勢詣り」という旅が日本の旅行の始まりとされていますが、遷宮は社殿を造り替える大祭で、690年から始まり、今年は第62回式年遷宮にあたり、年初から10月の「遷御」の式典まで様々な行事が行われます。

前回の遷宮では800万人が訪れており、近年のパワースポットブームが追い風となり、今回は約1000万人が訪れるものと想定されています。全国にある8万の神社関連の人だけではなく、多くの観光客が訪れるものと思います。

このように日本列島の東に話題が多い中で、九州新幹線開業効果を県内全域に広め、年間を通していかに誘客できるかが問われています。 今年の県内の話題と言えば、まず3月から就航する「おれんじ食堂」の運行であり、列車ファンのみならず海外の方々に大いにPRできる列車で、すでに旅行エージェントから貸切予約が殺到しています。ぜひ宿泊に繋がる企画が増えて欲しいと思います。

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また2014年春には、川内港から甑島に高速船が運行予定であり、関西地域で抜群の認知度を誇る島への観光客が増加するものと期待されます。高速船は、「おれんじ食堂」などJR九州の観光列車を手掛ける水戸岡悦治さんのデザインによるものです。

大隅地域では、佐多岬が無料化され老朽化した施設の撤去などが進み、人気が復活するものと思います。大隅地域は従来観光素材に恵まれながら、旅行商品化やPRのための推進体制が課題となっていました。今年は指宿地域と連携したルートづくりを進める予定です。また、「釜蓋神社」、「番所鼻公園」や県内屈指のお茶どころ南薩地域への観光ルートづくりにも取り組みます。

地域の隠れた観光素材の商品化には、地元エージェントと自治体の連携が欠かせません。着地型観光の定着には時間と労力を要します。「鹿児島県旅行業協同組合」は「魅旅」のネーミングで商品化に努めており、積極的な支援体制が地域の活性化と人材育成に繫がると考えています。

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今年はまた、「離島キャンペーン」の展開が必要と考えています。世界で一番美しいロケット基地のある種子島へは、「SSH」(スーパーサイエンスハイスクール)の教育旅行を、世界遺産屋久島へはエコツアーに加えて、里の魅力をPRすることでオフの誘致強化になります。 奄美大島は世界自然遺産への暫定登録に向けて、島民の意識向上と体験メニュー充実など沖縄との違いを打ち出した展開が必要です。

鹿児島市は、今や日本を代表する都市型観光の魅力を備えた街です。歴史、自然、温泉に加え、食の魅力が観光客の滞在を可能にしています。県都として県内全域を見据えた観光振興策が重要であり、県内各地域の魅力が増すことが結果として鹿児島市に宿泊することになります。

また、JRとの連携は欠かせません。1月から全国主要駅1300箇所に柏木由紀さんのポスターが掲示され注目を浴びると思います。鹿児島中央駅」が新幹線最南の終着駅になり、新大阪駅から直通の新幹線が運行され、時間短縮効果が顕著となりましたが、3月から広島始発の新幹線が運行予定であり、教育旅行を中心に利用が増えると予想しています。これからは、名古屋、京都、滋賀、奈良、和歌山や、四国の高松地域でのPRも必要です。

昨年秋から「鹿児島カレッジ」を展開し、若者層へのアプローチを進めていますが、今年は具体的に商品造成し誘客する年です。柏木由紀さんをモデルにした鹿児島の観光PRが、海外志向の強い若者にどのようにフィットするかが楽しみです。関西・中国地域の若者に共感を与えるパワースポット、食、マリンスポーツ等の体験、ゼミの教材等の情報の提供が必要ではないでしょうか。


新幹線停車駅からルートの設定も必要です。出水駅から天草地域へ、川内駅から甑島等への誘客の重要性が増していると思います。指宿は、今年が正念場で、種子・屋久や大隅地域、南薩地域と連携し、連泊の定着に取り組むべきです。

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霧島地域は、新燃岳の噴火が落ち着き「トレッキング」の魅力や、「霧島アートの森」、「みやまコンセール」等のマニアックな旅の提案も霧島ならではのものです。 鹿児島を訪れる観光客の主流は熟年層であり、新たな需要層開拓に向けてアクティブシニアへの取組も求められます。

今日本人の国内旅行は成熟しており、大きな伸びは期待できず、今後の人口減少を考慮すると外国人の誘致は欠かせません。海外からの誘客については、台湾線のデーリー化に向けて修学旅行の誘致や職場旅行の行先としてのPRが欠かせません。韓国からはゴルフ、トレッキング等の誘客に、上海からは、有力なエージェントを中心に民間交流が必要です。

好調な台湾線については、宮崎や福岡と連携した新たなコースの設定が、香港は定期便がないため、ブロックチャーター等の取組が必要です。また、シンガポール、タイ、マレーシア等へのアプローチも求められています。

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今年比較的順調に推移するのが教育旅行です。関西地域から集約臨時列車で5,600人の中学生が訪れますが、定期列車でも修学旅行生が訪れます。特に初めて鹿児島を訪れる学校が多く、漁業・農業体験を実施する学校が増加しています。県内全域に、約1000軒の農家民泊の供給が広がる中で、他県との差別化を図る意味でも「簡易宿所営業」の取得を強力に進めていかねばなりません。

今年は東に観光客が流れる中で、首都圏での消費者の選択肢を広げるため、最大のマーケットでPRに努めていくことが得策と考えます。東京線は航空機の供給量が多く、商品企画が容易であり、また、オフ期の設定を増やすことが必要です。北九州地域も鹿児島にとっては重要な地域であり、自動車を利用した商品企画にも力を注ぐべきです。

インターネットやスマホを活用したWEB販売の強化等を進めるなど、情報化の急激な進展への新たな観光客誘致が必要となってきます。 今年は日並びが良く土曜日を入れた3連休以上が10回あり、旅行需要を喚起するには恵まれています。

鹿児島県は南北600キロに及び魅力多彩な観光資源があります。これからは県民が自分の地域だけでなく、他の地域の魅力も語れる人をいかに増やせるかが大切なことです。そして県民が県内の魅力を知る機会を増やすため、域内観光を推進しなければなりません。

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「鹿児島はすばらしかった。また行きたい」と心に残る「感動」と「感激」を与え、リピーターを増やすことが何よりも大切です。一期一会の心で観光客をおもてなしすることを定着させることが重要です。厳しい年になりますが、果敢に挑戦する気概で取り組まねばなりません。

2013年が皆様にとって素晴らしい年になりますよう心からお祈りいたします。

2012年を振り返る~地域資源を点検し、観光に活かす取組が始まる~

2012年12月25日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

今年も残り1週間となりました。九州北部災害や高速道路でのツアーバス事故、トンネル崩壊等災害に見舞われた年でしたが、ロンドン五輪での「なでしこジャパン」や「女子バレーボール」の活躍などの明るい話題もありました。九州新幹線全線開業2年目を迎え、開業効果に陰りが見える鹿児島の観光ですが、2012年を振り返ってみたいと思います

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観光業界でまず話題になったことといえば、「東京スカイツリー」の開業であり、鹿児島にも大きな影響をもたらしました。5月22日の開業から半年間で入場者は330万人に上り、東京の新たな名所となっています。 また、震災から1年が経過し、東北全域を博覧会会場に見立てた東北観光博も開催されました。 今春まで西へ流れていた客が東に向き、鹿児島を訪れる観光客は減少傾向となり、6月以降の宿泊実績にも如実に表れています。これからも「TDL」と「東京スカイツリー」のビッグな施設がある東京への流れが加速するのではないかと捉えています。

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次はLCCの台頭です。ピーチに続き、ジェットスター、エアアジアなどが国内線に就航し、格安航空運賃を武器にシェアを伸ばし、新たな空の旅需要の開拓につながっていることです。

関西空港~鹿児島線に就航したピーチ・アビエーションは搭乗率が8割を超え、12月15日からは6便体制となりました。長距離バス料金と変わらない運賃が人気となり、その煽りで関西からの運行を休止したバス会社も出ています。東南アジアの航空会社がこれからも日本への乗り入れを計画しており、LCCの人気は定着していくものと思います。

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観光業界におけるネット販売は勢いを増しています。楽天トラベルやじゃらん、一休の取扱高の伸びは既存のエージェントを脅かし、またスマホ、タブレットPCは旅行ツールとしての可能性をさらに認識させた年でもありました。


鹿児島の観光に目を転じれば、インバウンドは震災の影響が残り、中国や韓国からの入り込が回復していません。それに拍車をかけたのが竹島や尖閣諸島問題で、秋以降大きな落ち込みとなっています。中でも上海線は11月以降3割を切り、週2便体制となっても厳しい状況が続いています。公的な需要の復活が遅れており、当面は民間交流で路線の維持を図っていく必要があります。

一方3月に就航した台北線は好調で、11月の利用率は71%となり、また、7月~8月にかけて香港からのチャーター便の運行もあり、鹿児島空港の国際線の年間利用者数が、11月末現在約8万7000人となり、これまでもっとも多かった平成2年の約7万8000人を上回り、2012年は過去最高の利用実績となっています。

今年も韓国、上海、台北、香港、シンガポールへ官民一体で誘致セールスを展開しました。東名阪などゴールデンルートがメインコースとなっている人たちを誘客するためには、温泉、ゴルフ、食、自然等他県にない鹿児島の魅力を発信し、エージェントの選択、招聘事業の絞込み、需要層にあった支援体制が必要と感じます。今後も国内旅行の伸びが期待できない中で、インバウンドの推進にあたっては、継続した人脈作りの重要性を感じています。

鹿児島への入り込み客は6月以降苦戦が続いていますが、地域での新しい動きも出ています。県観光課が進めている「魅力ある観光地づくり事業」は、毎年10億円の予算をかけ地域づくりに貢献しており、それを活用した整備が進んでいます。

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頴娃町は従来、知覧や指宿、坊津に抜ける通過場所に過ぎませんでしたが、「大野岳」、「釜蓋神社」、「番所鼻公園」等の整備が進み多くの観光客が訪れています。 頴娃の活性化には人材育成による観光地づくりが必要と考え、業種や、官民の枠を超えた「NPO法人頴娃おこそ会」を結成し、定期的に会合を開き、地域づくりの勉強会や先進地視察を行い誘客に努めています。

垂水市でも、地域づくりの取組が活発になっています。秋の風物詩となった「千本イチョウ園」、牛根地域の「埋没鳥居展望公園」、「宇喜多秀家候ゆかりの地」の整備が進んでいます。

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また桜島の噴火口を望む「道の駅たるみず湯っ足り館」の横に「昇平丸モニュメント」、「記念石碑」、「国旗掲揚塔」が建立されました。「垂水市は近代造船発祥の地・国旗日の丸のふるさと」という歴史・文化を伝えたいという地域の熱い思いが、寄付金として寄せられ実現の運びとなりました。垂水市だけではなく大隅地域の新たな魅力になるのではないでしょうか。

鹿児島県旅行業組合が、「魅旅」のネーミングで企画している着地型のツアーが成果を上げています。今まで知られていなかった地域の生活、文化、人、祭り、食等にスポットを当てており、新たな需要開拓につながっています。着地型ツアーは始まったばかりで、地域素材の掘り興しや人材育成等地域活性化に大きく貢献しており、今後も定着させるべく強力な支援が必要と思います。

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鹿児島中央駅前に4月に誕生した「かごっまふるさと屋台村」は、半年あまりで年間目標の30万人を突破しました。屋台村は、25軒の個性あふれる屋台と1軒の焼酎専門店が軒を並べます。それぞれの店は小規模ですが家族的な雰囲気が味わえるのが特徴で、鹿児島の食文化を堪能できる場所としての魅力が浸透しています。地域づくりのヒントになる施設です。

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また、指宿枕崎線の観光列車「指宿のたまて箱」は週末に増結し運行されていますが、乗車率が80%を超え好調を維持しています。地域の皆様方が観光客に手を振るなど温かいおもてなしが評価され、JR九州より「指宿商業高校」、「今和泉地域づくり団体」等4団体が表彰されました。 指宿は九州新幹線全線開業時、急激な観光客の増加におもてなしが追いつかず、クレームが寄せられましたが、地域ぐるみでサービス向上の回復に努めたことが今回の受賞に繫がったと思います。

霧島温泉地域は、トレッキングの観光客が回復基調にあります。今後も熊本、宮崎両県と連携した取組が求められます。

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種子・屋久地域、奄美群島は台風が4回襲来し、観光客は伸び悩みました。気候が温暖であることから、夏、秋以外の誘客が重要であり、大学生、島旅ファンなどターゲットを絞ったお客さんの開拓が必要です。 「鹿児島カレッジ」を開催し、若者の意見を商品企画に活かす取組がスタートしました。今後エージェントでの商品造成が楽しみです。次のターゲットは、アクティブシニアと感じます。

教育旅行の誘致は確実に成果が上がっています。JR西日本とJR九州による修学旅行専用列車の設定がなされ、25年度には新たに関西地域から25校5,200名が訪れますが、26年度はそれを上回る学校の申し込みがきています。

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学生が体験する農家民泊も順調に伸びています。2012年は16,000名でしたが、2013年は約20,000人の予約が入っており、農業県鹿児島の魅力が高まっています。県内では受入可能な家庭は約1000家庭にもなり、県全体に広がっていることがあげられます。 ところで、民泊について提起されているのがコンプライアンスです。農家民泊先進地の長崎県の松浦地区は、年間30,000人の受入を行っていますが、ほとんどの農家が「簡易宿所営業」の許可を取得しています。旅館業法で定められた許可を取得することが学校の信頼を得ることになります。

修学旅行は、一度に多くの生徒が動き、不況時でも実施され、取消しがなく、受入機関にとっては経営の見通しが立てられるなど安定した顧客といえます。これからも誘致に力を注ぎたいと思います。

また、学生のスポーツキャンプ・合宿を誘致すべく、福岡、大阪、京都でセミナーを開催しました。学生のスポーツ合宿は、プロに比べて宿泊施設や天然芝の運動施設等の条件が厳しくなく、十分に運動ができる施設が整っていることが大切です。大隅地域は「さんふらわあ」利用による関西からの誘客がしやすく、人気が高まっています。 廃校となる高校跡地にスポーツキャンプの新たな施設ができる予定であり、誘致に拍車がかかるものと思います。

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大隅半島への観光客が伸びてきました。夏の「かごしま宝さがし大冒険の旅」の展開や「無料でレンタカーでおおすみへ行こう」の実施で大隅地域の魅力が認知されるようになりました。また山川~根占航路の復活や、11月から佐多岬公園が無料化されたことなど、これからのPRに弾みがつきます。かつて新婚旅行のメインルートであり、都井岬、佐多岬、長崎鼻を巡る「岬めぐりツアー」の復活も楽しみです。


今年は鹿児島市電が開業100年を迎えましたが、「九州・山口の近代化産業遺産群」の世界遺産登録や「第30回国民文化祭・かごしま2015」開催に向けての準備も着実に進められています。

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2016年は薩長同盟150周年、2017年は明治維新150周年を迎えます。鹿児島の歴史を再認識させる取組も大切です。鹿児島ゆかりの人物や歴史を題材にした大河ドラマや番組の制作を要請するため、官民一体で定期的にNHKへの働きかけを行ってきました。26年の大河ドラマは「軍師官兵衛」に決まりましたが、引き続きドラマ制作の要請を行っていきたいと思います。メディアの観光への波及効果は大きく、年間を通してしかも県全体に及ぶことです。

九州新幹線は来年3年目に入り、鹿児島の観光の真価が問われる年です。日本全体で見ると、来年はTDLが30周年を迎え、またNHK大河ドラマは「八重の桜」で福島が舞台で、観光客は東に向くことが予想されます。鹿児島市、霧島、指宿地域は、離島や北薩、南薩、大隅地域とのさらなる連携が重要です。 また販促活動は、首都圏対策が重要と捉えています。

県民の方々が、メインな観光地だけでなく、それぞれの地域の魅力を語ることで観光の広域化が可能となり、持続的に観光客が訪れる「観光立県鹿児島」の確立に繫がるものと思います。地域・ふるさとを思う人をどれだけ創るかが求められています。

最後に今年も毎週コラムを配信でき、通算241号となりました。1年間ご支援いただき心から感謝申し上げます。ありがとうございました。 来年は1月7日からスタートします。皆様良いお年をお迎えください。

観光振興による雇用の拡大を~地域を担う若者の人材育成の必要性~

2012年12月17日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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自治体や観光業界等の依頼で、年間50回程度の講演やシンポジウムのコーディネーターを引き受けていますが、中でも楽しみなのは学生を対象にした講義です。 今年は、九州産業大学、鹿児島国際大学、鹿児島ホテル短期大学で行い、来春に鹿児島大学で講義する予定です。

先日鹿児島国際大学で、120名の生徒に対し「観光立県鹿児島のこれから」と題して90分の講義をしました。卒業後は観光業界や自治体に入社して観光分野の仕事につきたいという学生が多く、熱心にメモを取っており大変緊張した講義でした。

日本は都市圏に人口が集中し、加えて少子高齢化の進展に伴い、地域は過疎化に拍車がかかり限界集落等が顕著となっています。これからも日本の人口は減少し、鹿児島県では2030年には、現在よりも約25万人の人口が減少します。今後活力ある地域として生き残るためには観光振興も一つの方策であり、交流人口の拡大を図り、それを担う人材の育成が求められています。

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「観光立国日本」の推進を図る目的で、2008年10月1日に、国土交通省の外局として発足したのが観光庁です。 それまで日本における観光は、地域経済に大きく貢献しながらも国の重要な政策と捉えられませでしたが、観光庁の発足を機に、観光振興の意義が認識されるようになりました。

大学での観光学部の創設や、自治体における観光予算の増額など観光を取り巻く環境は大きく前進しています。 大学で観光を学ぶ学生が増えていることも事実です。卒業後受け入れる企業や自治体、地域を増やすことが大きな課題です。

最近の観光を取り巻く環境と課題について整理したいと思います。

九州新幹線全線開業効果で、第3次産業を中心に雇用の拡大が図られ、飲食店やホテル関連業種では採用が増加し、特に九州新幹線の終着駅である鹿児島中央駅周辺は、新設の店舗が目立っており、賑わいに拍車がかかっています。 今年の宿泊実績の推移を見ると、6月以降減少し開業効果に陰りが出ていますが、一昨年よりはまだ増加しており、これを維持することが重要なことです。

一方、市町村においては、担当部署の人員増等で組織強化を図っているところが多くなり、他の部署と一緒になって地域のPRや県の大阪、東京事務所に職員を派遣して営業強化に努めています。 また、観光協会においても、部外から新たな人材を登用するなど従来の案内業務から、営業に力を注いできています。

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観光分野の発展は、雇用に結びつき、新たなビジネスが生まれます。今、着地型観光の推進が求められていますが、地域資源を点検し、生活・文化を核に、地域の食を組み合わせるなどプログラムづくりに経験者を採用し、誘客を図っているところもあります。若者は汗をかくことを厭わず、積極的に地域づくりに貢献できると思います。



県内ではIターンの人ががんばっている地域もあります。甑島、頴娃、垂水、種子島、屋久島、奄美大島、加計呂麻島、与論島等鹿児島の魅力に惹かれて移り住み、特産品の開発、ペンション経営や観光ガイドとして働いている人もいます。

鹿児島県は南北600キロに及び、これは鹿児島市から大阪市の距離に匹敵し、多くの観光資源が点在します。これらの豊富な観光資源を活用して観光客を誘致し地域経済の発展に繋げることが重要です。 そのためには観光客を増やす努力が必要です。そのことが、雇用を確保し、観光客の受け皿を増やすことになります。

これから誘客に力を注がねばならないのは、まず外国人です。鹿児島県へのこれまでの外国人の延べ宿泊入員の最高は12万6千人ですが、それでも長崎県の3分の1、熊本県の40%程度です(平成22年実績)。 日本人の国内宿泊人員は毎年減少しており、人口減を考えると今後の伸びは期待できません。ここに外国人誘致に力を入れる理由があり、そのことが通訳ガイドなどの雇用が発生します。

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また、九州新幹線全線開業で大幅な伸びが期待されるのが教育旅行です。関西からの専用列車の運行もあり、25年は大きな伸びが期待できます。体験型修学旅行が主流となり、農家民泊の需要が増加し、コーディネートできる人材の育成も急務です。


最近の観光は、物見遊山から体験・交流・滞在というスタイルに変化しています。それに対応できる人材の育成が必要であり、また、観光客は、様々な手段で情報を入手しており、ホームページのリニュアルや定期的情報をリアルタイムで更新できる人材が求められます。

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観光従事者として地元の人しか知り得ないオンリーワンの情報を提供することが、顧客満足度のアップにつながり滞在を可能とします。また、自然・環境・風土・文化を大切にする心を育み、特に地域の生活や文化を語ることが今求められています。


鹿児島県は多彩な観光資源に恵まれており、お客様がこれらの情報を得て、様々な体験をすることでリピーターになります。かごしまの魅力を語れる人材も求められています。

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リピーター確保には、ソフトの充実があげられます。「指宿のたまて箱」の髙い乗車率は、地域の人々が歓迎の手をふるなど地域ぐるみのおもてなしが定着してきたことです。 観光の仕事の基本は「サービス イズ アワビジネス」です。一生懸命努力する姿に人は感動します。経験不足は、働くその姿で解消されると信じています。



最後に学生に望むことは、常に勉強し時代の変化に対応できる素養を身につけることです。インターネットや携帯電話等のめざましい普及により、情報は簡単に入手できるようになりました。日頃から勉強していないと逆に情報に流されてしまいます。

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若い頃から読書の習慣があると情報を部品として使いこなし、判断力が養われます。1日30分でも活字に目を通し、いろいろなジャンルの本を読み社会への造詣を深くして欲しいと思います。その積み重ねが、仕事をする上での貴重な財産として役に立つと思います。

学生が観光について興味を持ち勉強し、卒業後就職できる場所を確保できることが、地域への居住、地域の活性化をもたらし、一方では大学の存在意義を高めることになります。観光で地域を元気にしたい、学生に観光の魅力を伝えたい、そんな思いで学生に講義を続けています。

新しい大人世代への旅のPRを~アクティブシニアが旅のスタイルを変える~

2012年12月10日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

鹿児島を訪れる観光客の主流は、65才以上の熟年層ですが、今年は若い人を誘致する目的で、JR西日本とタイアップした「鹿児島カレッジ」が開催されました。関西・中国地域の大学生を鹿児島に招聘し、商品づくりに向けての現地視察を行いました。先日の発表会では、エージェントに対して具体的な商品企画案も提案され、春からの展開が楽しみです。

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ところで、鹿児島の次のターゲットは40代後半から50代にかけてのアクティブシニアではないかと思います。 この世代の多くは、子どもが高校生以上になり、ようやく子育ても一段落したところです。しかし、これからの教育費やローンの返済等家庭の支出を考えると、まだまだ余裕はありません。家事や仕事といった日々の暮らしに忙しく、これまでの夫婦関係を振り返ったり、将来の二人きりの老後生活を考える余裕がないというのが典型的なシニア層ではないかと思います。

これら日々厳しい経済・労働環境の中で、家族を支え必死にがんばっている人に向けてのメッセージが「新しい大人世代の旅」の支援です。

そのミドル層への様々なアンケート分析によると、「生まれ変わっても一緒になりた いか」との問いに対して、イエスは男性が67.2%、女性は50.4%で、しかも、女性の4人に一人は『NO』と否定的な回答をしています。(博報堂の調査)

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しかし別のアンケートでは、「お金や時間は、夫婦関係をよくするために使いたい」かと いう問いに対しては、肯定的な回答が男性68.3%、女性は68.1%とほぼ同じ結果となっており、「夫婦関係を良くするためには努力したい」という姿勢が伺え、男女とも夫婦関係の改善には前向きです。

また、40代後半の世代は、一昔前とは異なる「新しい大人世代」であることも見逃せ ません。消費意欲も旺盛であり、「自分の年齢層は、これからもいつも新しい生き方やライフスタイルをつくっていく世代でありたい」かという問いでは、40代が67.3%、50代が76.0%という肯定的な結果です。 従来のお仕着せのサービスには満足せず、自分のスタイルを貫き、良いものであればお 金に糸目を付けず進んで買う世代ではないか思います。

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一方海外旅行を多く経験した人ほど国内旅行への回帰がより強くなります。 ここにアクティブシニアに対する旅行の需要が発生すると考えており、鹿児島へ誘客す る方策として、この層にどのようなメニューを提供できるかが課題です。 アクティブシニア層の多くは、新婚旅行でハワイに行った人が多く、フリータイム型の のツアーには抵抗がなく、個人で自由に動けることで行動範囲が広いのが特徴です。

鹿児島県は日本第2位の泉源を誇り、多様な温泉施設があります。桜島を望める鹿児島 市内の温泉、天然砂むし温泉のある指宿・山川地区、2012年温泉地満足度第1位に輝いた霧島温泉、世界遺産屋久島のリゾート温泉等他地域にない魅力ある温泉が点在しています。

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また、奄美大島や与論島には、ハワイに負けない美しいエメラルドグリーンのビーチが望める地域があります。このような地域の施設を活かし、アーリーチェックイン・レイトチェックアウト等ゆったりと滞在できる、「一つ上の」「ちょっと贅沢な」「上質な」な宿泊プランが求められます。

またおもてなしの心も不可欠です。本格フレンチレストランやカップルで楽しめるアロ ママッサージ、部屋は贅沢にプレミアムオーシャンビューでのステイや記念日を彩る思い出プレゼントなどサプライズの仕掛けも必要です。

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この年代層は自分で車を運転して観光地を巡ることに慣れています。「錦江湾しおかぜ街 道」や南薩方面、大隅方面は、海を見ながらの景観が優れドライブが楽しめます。沿線で休憩できるカフェや地産地消を推奨しているレストランや直売店のPRも必要です。 また、県内には多くのゴルフ場があり、ゆっくりとプレイでき都会に住む人にとっては、まさにリゾート感覚で楽しむことができます。

一方では、身近な手段で手軽に情報が入手できることから、価値ある情報の発信が欠かせません。アクティブシニアにフィットするには、鹿児島ならではの滞在メニューをWEBサイト上で提供することも重要です。薩摩焼やガラス工房でおそろいの皿やグラスづくりの体験も興味をそそるのではないでしょうか。また、四季折々の花の開花、夕陽のスポット、ライブハウス、イベント、祭り、食の情報も欠かせません。

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平成23年3月に発生した東日本大震災では、東北地方を中心に甚大な被害が発生し、 人生で一番大切なのは家族や夫婦の絆であることが認識されました。アクティブシニアに対し、鹿児島で夫婦の絆やライフスタイルについて考える機会を提供し、思い出づくりをお手伝いしたいものです。

参考 ;観光とまちづくり:社団法人日本観光振興協会 ;沖縄観光コンベンションビューロー;サイト

プロフィール

古木 圭介プロデューサー
鹿児島県
観光プロデューサー
古木 圭介
(平成29年4月より就任)
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