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離島ならではの魅力発信を~NHKの土曜ドラマ「島の先生」始まる~

2013年6月3日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 天然の良港を抱える大島海峡を挟んで、瀬戸内町の古仁屋の街の対岸にあるのが、映画「男はつらいよ」の最終作の舞台となった加計呂麻島です。

高知山から大島海峡.jpg

 大島海峡をステージに開かれる「奄美シーカヤックマラソンin加計呂麻」は、シーカヤックの国内最大級の大会です。また、湖を思わせるおだやかな豊穣な海では、クロマグロや黒真珠の養殖も行われています。

 奄美大島最南端の港町・古仁屋から定期船で25分の位置にあり、海岸線はどこにいっても綺麗で美しい砂浜が続きます。西安室の集落から見る東シナ海に沈む赤々とした夕陽は、心が動かさずにはいられません。

諸鈍シバヤ.jpg

 諸鈍にあるデイゴの並木は5~6月にかけて真っ赤な花を咲かせ、青い空と海に映えて一段と美しく感じられます。毎年旧暦9月9日には、近くの大屯神社で国指定重要文化財の伝統芸能「諸鈍シバヤ」が奉納され多くの人で賑わいます。

 また、明治末期から太平洋戦争時にかけ、本土防衛のために設けられた砲台や弾薬庫、特攻艇の艇庫が、この島にありました。今なお残る、戦争の傷跡がいたるところに残っています。戦争末期この島で震洋艇の指揮官として作家島尾敏雄は、出撃を待った。しかし出撃の命令は下らずに終戦を迎えています。

寅さんロケ地(スリ浜).jpg

 そうした極限状況の体験をもとに「出弧島記」、「出発は遂に訪れず」等の作品を残しています。加計呂麻島は島尾敏雄の妻ミホさんの生まれた島ですが、小説「死の棘」では極限状態で結ばれた夫婦が、断絶の危機に合い、絆を取り戻そうとする様を情感豊かに描いたもので、映画化されました。静かな入江となっている呑之浦には、文学碑が建立されています。

 NHKの土曜ドラマ「島の先生」が始まりましたが、諸鈍の美しい海岸も登場します。小さな小学校を舞台に、教師と子どもたちの成長の日々をハートフルに描くドラマです。

 ドラマの〈内容〉は、
 離島の学校(小中併設)には、東京や大阪などから、さまざまな問題を抱えた児童・生徒たちが留学し、里親のもとで暮らしている。
 都会のマンモス校でいじめや不登校に苦しみ、集団の中で隠れるように過ごしてきたこどもたちも、全校わずか十数人の学校では、生徒会・運動会・学習発表会・・、何をやるにも毎日が主役となる。

渡連海岸.jpg

 島人たちの深い人情や温かい視線に育まれ、自分がこの世界で必要とされて入ることを実感し、こどもたちは再生への糸口をつかむ。島を必要としているのは、こどもたちだけではない。日々の生活に疲れた大人たちにとっても、島は、限りなく深い癒しと新しい活力を与えてくれる。"島は日本の保健室"なのだ。

 島の学校で教師をしているのは、ヒロインの夏村千尋(なつむら・ちひろ)先生。千尋自身が、実母との関係に苦しみ、中学生時代にこの島で留学生活を送ったことがある。生徒たちの問題を一緒になって悩みながら、千尋先生も、もう一度人生をやり直そうと励んでいる・・・。
                        NHK広報局 土曜ドラマ 『島の先生』より

 主演の先生役は仲間由紀恵さんが演じ、チーフディレクターの屋敷陽太郎氏と音楽担当の吉俣良さんは、大河ドラマ「篤姫」のコンビで、主題歌「未来」は長淵剛さんが担当します。

 美しい自然と、地域の温かい感情が生み出すドラマは、大きな感動をもたらし、終了後は多くの観光客が訪れると予想されます。 今回のドラマは6回シリーズで放映されます。ぜひご覧下さい。

 ところで鹿児島市から100キロの地にある三島村も山村留学を受け入れています。三島村の硫黄島は人口112名程度であり、小中学校生は13名で典型的な過疎の島です。島の北部には、旅人が是非一度は訪れたい温泉に上げられている「東温泉」という天然の露天風呂があります。白浪が打ち寄せる岩場に湧く天然の温泉で、全国の秘湯ファンの人気を集めています。朝日や夕日を拝みながら入る風呂は格別です。

硫黄島の東温泉.jpg

 また、島では5月中旬から6月初旬にかけては、タケノコ刈りが楽しめ、2月には椿が満開になり、9月には椿油作りが楽しめます。又落人伝説の史跡や太公望にはたまらない釣りの良場、恋人岬など歴史、自然、温泉などが自然にコンパクトに配置された魅力的な島です。西アフリカ発祥の伝統楽器「ジャンベ」を本格的に習得できるアジアで唯一の施設もあります。今は亡き中村勘三郎さんが、二度「俊寛」を題材とした歌舞伎を演じた島としても知られています。

 また、県内には28の有人の島があり、それぞれ自然の魅力や文化、歴史があり訪ねてみたい島ばかりですが、多くの島は交通が不便です。島独特の祭りや食文化は観光素材として欠かせません。またユニークな海岸線、砂浜、生物、温泉などは魅力です。厳しい自然や離島というハンディの中で生きてきた島の人々の暮らしの知恵や、島唄、伝統芸能はわれわれの生活に多くの示唆を与えてくれます。

諸鈍長浜デイゴ並木.jpg

 島に観光客を呼ぶ方法としていくつかの方策が考えられます。島でしか取れない産物や、島でしか咲かない花、珍しい生物など希少価値を売りに、情報発信することが重要です。

 大学とタイアップし、ゼミの講座の一つに島の生活や文化を取り上げてもらう取組や、カルチャーセンターや市民講座のカリキュラムに、島を訪れるコースを加えることで一定の入込客を確保できます。夏休みの若者向けのキャンプも売りの一つです。最近のエージェントの企画では、「日本の島を巡る旅」が人気を博しています。

 離島と言う不便性を、むしろ稀少価値として捉え、優位性に転換することが大事です、 南北600キロある鹿児島県ですが、海岸線は本土の長さより離島の長さが上回ります。 ぜひ今年は、まず「島の先生」の舞台加計呂間島を訪ねて、離島の学校の魅力を発見しませんか。美しい自然と温かいおもてなしが、あなたの来訪を歓迎するでしょう。
        〔参考〕しま旅:鹿児島県観光連盟、かごしまよかとこ100選:鹿児島県

長崎鼻の魅力発信の取組~南国情話のふるさと~

2013年5月27日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 昭和40年代の初めからから50年代前半にかけて、指宿駅に新婚客を乗せた列車が着くたびに、次の曲が流れ歓迎していました。

        『南国情話』 作詞:石本美由紀 作曲:三界 稔

   岬の風に 泣いて散る 浜木綿悲し 恋の花
                 薩摩娘は 長崎鼻の 海を眺めて 君慕う

   開聞岳の 山の巣に  日暮れは鳥も 帰るのに
                 君は船乗り 竹島遙か 今日も帰らず 夜が来る

   悲しい恋の 舟歌を 歌うて一人 波枕
             あの娘思えば 男のくせに 握る櫓綱(ろずな)もままならぬ

   逢えない人を 慕わせる 今宵の月の 冷たさよ
                 可愛いあの娘も 長崎鼻で 一人眺めて 泣くだろう

長崎鼻(灯台).jpg

 何となく情感がこもった詩とメロディは、指宿を訪れる人々の心に深い印象を残してきました。 「あこがれのハワイ航路」や「長良川艶歌」、「矢切の渡し」と2年連続日本レコード大賞を受賞した石本美由紀さんが、昭和29年に作詞されたもので、来年が発表から60周年にあたります。

 この歌に出てくる「長崎鼻」は、薩摩半島の最南端に位置し、荒波が押し寄せる灯台の近くまで行くと、西には開聞岳が、晴れた日には、屋久島や硫黄島を臨むことができ風光明媚な場所として知られています。

グラジオラスと開聞岳.jpg

 かつて都井岬、佐多岬と岬を巡るツアーや、新婚旅行全盛期には近くの長崎鼻パーキングガーデンや開聞山麓の新婚植樹園とともに多くのカップルで賑わいました。 しかし、バブルの崩壊による景気低迷で団体客が減り、新婚客は海外へシフトし、昔の賑わいはなくなりました。

 そこで、九州新幹線が全線開業し、「いぶすきのたまて箱」も運行され注目を浴びている今、地域の人たちが立ち上がり、もう一度長崎鼻に観光客を取り戻そうと竜宮城からの招待状と銘打った「指宿長崎鼻龍宮城まつり」というユニークなイベントを開催しました。

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 イベントの中心となったのは、長崎鼻の近くで「休憩店」を営む有村隆雄社長で、有志で集めた資金や人手を動員し手作りのイベントを創り上げました。
 「癒し、美と健幸、ふれあい」をコンセプトに、国内外で大活躍中のヨガの第一人者chamaさん、新進気鋭のストリートダンサーNayuさん、日本一の栄冠に輝いた山川ツマベニ少年太鼓、まち歩きの達人東川隆太郎氏らが参加する一大イベントでした。
 当日は小雨の降る天気でしたが、長崎鼻を臨む海岸の砂浜ではchamaさんによるヨガ教室もあり、老若男女多くの参加者があり、小生も元気をもらった感じです。

 また、オリビン万華鏡つくり体験や、長崎鼻から3つの海に向かって大声で叫ぶイベントには、近隣の小中学生が参加し盛り上げていました。有村会長は今日がスタートであり、来年はもっと多くの人を集めたいと語っていました。イベントの開催に尽力された有村様の並々ならぬご苦労に心からの感謝の気持ちを申し上げたいと思います。

龍宮神社.jpg

 岬の近くにある「龍宮神社」は、浦島太郎の伝説で有名であり、御祭神は豊玉姫命(とよたまひめのみこと・乙姫様)です。龍宮神社は、観光特急「いぶすきのたまて箱」のネーミングの由来にもなっており、人気急上昇中のパワースポットです。


 参道の近くには、地域グルメや農産物の展示即売会も開かれており、多くの観光客で賑わっていました。 指宿から「長崎鼻」に至る海沿いのルートは、遠回りにはなりますが、山川港、琉球貿易の遺跡、かつお節工場、ヘルシーランド、砂蒸し温泉、地熱発電、フラワーパークなど素晴らしい景観が残りもっとPRが必要です。

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 山川~根占航路が再開されましたが、全盛期は多くの新婚客で賑わい、タクシーの積み残しが出るほどの人気でした。観光客は、大型バスで宮崎から日南海岸をめぐり、都井岬、志布志、鹿屋、佐多岬と大隅半島の沿線の魅力を堪能し、対岸の指宿に宿泊するツアーが人気でした。

 今、国内ではかつて観光客が押し寄せて賑わっていた大型温泉地が苦戦を強いられています。高速道路の開通による観光ルートの変更、宴会型団体旅行の激減、物見遊山の旅行の減少、少子高齢化による旅行需要の停滞等マーケットは変化しており、観光地は常に進化している姿を提供しなければなりません。地域の生活・文化に触れる取組が重要です。 担い手の育成を図り、地域をコーディネートする人の存在が大事になってきました。

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 鹿児島を代表するパワースポットとして多くの参拝客が訪れているのが、南九州市頴娃町にある釜蓋神社です。頭の上に釜蓋を乗せて鳥居から賽銭箱までの約10mを歩ききったら願いが叶うというユニークな願掛けが人気となり、勝負・武の神を祀ることからスポーツ選手も多く参拝しています。

 この神社が有名になったのは、テレビ番組の「ナニコレ珍百景」で紹介されたのが始まりです。その後ロンドンオリンピックの女子サッカーチーム「なでしこジャパン」の活躍が、この神社に参拝したご利益のおかげとのスポーツ紙の報道もあり、一気にその人気に火が付きました。今では多くの旅行エージェントの企画にも取り上げられています。

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 3年前まではほとんど無名に近かった釜蓋神社が、多くの参拝客を呼ぶようになったのは、神社のストーリーとともに珍しい参拝スタイルが、メディアで取り上げられたことが大きいと思います。「龍宮神社」、「枚聞神社」、「釜蓋神社」の3社を巡るツアーも人気がでています。

 また、熟年層を対象に、かつてハネムーンのメッカであった南九州ゆかりの地を訪ねる企画も求められます。長崎鼻のストーリーを語ることで新しい魅力が生まれるのではないでしょうか。

 新幹線の全線開業から3年目に入り一服感がある鹿児島ですが、指宿地域は善戦しています。新幹線のブームが続いている間に次の魅力を創出する必要があります。指宿に連泊させる方策としては、2日目は、大隅半島にわたる企画も考えられます。

長崎鼻パーキングガーデンと開聞岳.jpg

 冒頭の「南国情話」の美しいメロディは、岬に至る参道のお店から流れてきます。口ずさみながら歩くと目の前に広い海が広がり、振り返ると秀麗な開聞岳が眺められ、この歌が長崎鼻の雰囲気を醸し出していると感じます。
 長崎鼻を訪れたら、「龍宮神社」に参拝し、「南国情話」のCDをぜひお買い求め下さい。「南国情話」の復活が、地域の活性化の一翼になればと思います。

         大隅の佐多の岬は 海越しに
                  突き出て青し 鷹棲むといふ
                                    川田 順

皆さん、ふるさとかごしまに自信を持とう~地域ブランド力調査で第7位に躍進~

2013年5月20日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

県内に住む皆さん、また、ふるさとが鹿児島である人々にとって、最近明るい話題が発表されました。

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日経リサーチがまとめた「2013地域ブランド調査」によると、都道府県を総合評価したブランド力指数(PQ)で、鹿児島県は7位にランクされています。2010年の調査では10位であり、3つランクをあげたことになります。

首位は北海道、京都、沖縄、東京都が続き、上位陣の顔ぶれは変わりません。九州では福岡県が8位で、「くまモン」人気が追い風になった熊本県が、21位から18位にランクを上げています。

2010年にも熊本、宮崎、鹿児島の3商工会議所が合同で全国イメージ調査を実施しています。全国の商工会議所の協力をえて、南九州3県以外に居住または通勤する人に、九州7県で行きたい県や観光地、食、人物などについて質問し、36都道府県から回答があり、「九州で行きたい県」では1位が鹿児島県、2位が長崎県、3位が宮崎県となっています。

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県民は鹿児島県が九州本土最南端の県であることを不利と感じるのではなく、そのことがかごしまの魅力であり、自身を持ってもっとPRしなければなりません。県と観光連盟ではホームページの改善を図りながら情報発信に取組んでいますが、今一番アクセス件数が多いのが桜島です。

大正の大噴火から来年100周年を迎えます。噴火がもたらす不利性だけが注目されがちですが、桜島の時間ごとの山の色の変化、観光スポット、船から見る桜島、島の人々の暮らしや産業など自然が作り出す魅力を知らせることが大切です。

鹿児島県はPRが下手と言われますが、一般消費者から見ると魅力ある県の一つにあげられるのではないでしょうか。2010年に放映されたNHKの大河ドラマ「篤姫」や日本で最初の世界自然遺産に登録された「屋久島」、「本物。鹿児島県」の浸透、何と言っても九州新幹線の全線開業効果が知名度をあげているのではないでしょうか。

また、特色のある温泉、本物の食材、2箇所の宇宙発射基地、これから世界遺産登録を目指す「近代化産業遺産群」や「奄美群島」などポテンシャルの高い地域も存在します。

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仙巌園や尚古集成館を見学し、日本の近代化に島津斉彬がいかなる思いで取組んだのかを理解することで、世界産業遺産登録の必然性を自ら感じることになるのではないでしょうか。2018年には明治維新150年を迎えます。その大変革をもたらした薩摩の風土や文化を学び、ふるさとの魅力をPRすることが重要です。

九州新幹線が全線開業し、今、関西・中国地域から多くの修学旅行生が訪れていますが、初めて鹿児島に来たと語る生徒がほとんどです。若い人の鹿児島の認知度はまだ低く、教育界への働きかけも重要と考え、集約臨時列車の利用地域拡大、農家民泊の整備、体験メニューの充実など仕組みづくりが必要であり、そのことで行先としての定着がはかられます。

ところで、新幹線開業前と街の様子が一変したと観光客は口々に言います。終着駅となる「鹿児島中央駅」周辺は、ホテルや「かごっまふるさと屋台村」のオープン、高見橋周辺の甲突川河畔のライトアップ等で夜遅くまで賑わいが増しています。 これから鹿児島の食のブランド化、大隅・南薩摩地域の観光ルートの開発、離島の魅力発信等まだまだPRしなければなりません。

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地域で愛される「焼酎」や蔵元見学、「酒ずし」、「鶏飯」、最近話題のグルメ丼やラーメン等、伝統食と鹿児島の旬の情報提供等が求められます。 また、伝統的祭りに加えて若者が主体の新しいイベントも積極的なPRが必要です。


九州新幹線という幹から、枝となるローカル線への誘客が不可欠です。これからは連泊を可能とする態勢作りが重要であり、周辺地域を取り込んだ滞在型観光地づくりが求められます。

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「指宿のたまて箱」は好調を維持しており、指宿温泉の宿泊を支えています。就航間もない「おれんじ食堂」はメディアで頻繁に取り上げられ、国内外のお客様が乗車しています。皆様にも一度は体験して欲しい列車です。エージェントの貸切企画も増えており、新幹線と結び北薩地域の知名度アップに繋げなければなりません。

10月15日から運行される「ななつ星in九州」は今話題の列車で、内装も豪華で旅行代金も高額になります。ツアーは、鹿児島が観光と宿泊先にも選ばれています。列車のコンセプトに合わせた地域での温かいおもてなしや沿線の景観整備が急がれます。日本各地だけでなく東アジアからの申し込みがあり、鹿児島のブランドをあげるチャンスにしたいものです。

最近の観光客は、顔の見える産物の購入や美しい田舎の景観が残る場所に足を延ばします。「地域の農水産物の直売所や直営レストラン」の充実など第一次・第二次産業の振興と連携が不可欠であり、行政の枠を超えた取組が大事になってきました。

かつて隆盛を極めた全国の大型温泉地が苦戦をしいれられているのは、癒しと宴会等娯楽だけに力を注いだことや、周辺地域の振興という視点が薄かったことが今の状況を生み出していると思います。

竹皮弁当(錦江町).jpg

観光客の7割が個人旅行である現状では、滞在時間を増やす方策は、消費者ニーズの多様化に対し、地域の生活・文化や農水産物に触れさせる機会をいかに提供できるかにかかっています。生産現場や直売所など顔の見える場所を自然な形でみせる演出が不可欠です。

「本物。鹿児島県」を提供し続けることが、鹿児島県のブランド力強化になると信じます。

最後に何と言っても「おもてなしの心」の充実です。指宿市役所の方々の「指宿のたまて箱」に手を振る姿は、メディアでも取り上げられ大好評です。観光地の最終的な評価は地域に住む人々の対応次第です。

新幹線全線開業から3年目に入り、勢いに陰りが見えるのは事実ですが、常に進化している鹿児島の姿を県民が体感し、発信のチャンスと捉え、「住んで良し、訪れて良し」の鹿児島にしていかねばなりません。 自信を持ってふるさと鹿児島をPRしていきましょう。

      春過ぎて夏来たるらし白妙(しろたえ)の
                 衣(ころも)干してふ 天の香具山
                                     持統天皇
      雨に濡れし夜汽車の窓に映りたる
                 山間(やまあい)の町のともしびの色
                                     石川啄木
      列車にて遠く見ている向日葵(ひまわり)は
                 少年のふる帽子のごとし
                                     寺山修司

参考:日経リサーチ 「地域ブランド戦略サーベイ2013」

「かごっまふるさと屋台村」の1周年を祝う ~地産地消と「一期一会の心」を持って接しよう~

2013年5月13日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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ゴールデンウィークが過ぎ、県内各観光地には修学旅行生の姿が多くなりました。今年は日並びが悪く観光客の出足が心配されましたが、比較的天気に恵まれ、観光地はまずまずの盛況ではなかったかと思います。

3月の宿泊統計を見ると、前年比0.1%減ということで下げ止まり感も感じますが、これからの取組の真価が問われます。

昨年から就航している格安航空会社ピーチや、中華航空台北線はこの1年好調に推移してきましたが、一方、上海線は尖閣問題や鳥インフルエンザ等で苦戦を強いられています。

官民挙げての支援が必要であり、県民も補助制度を活用し大いに旅行してもらいたい。特にこれから気候も良くなり、上海から中国各都市に行きやすくなります。上海線は、絶対に維持しなければならない路線です。

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鹿児島中央駅に新幹線が着くと、噴煙を上げる桜島が目に飛び込んできます。鹿児島市は目の前に美しい錦江湾があり、自然、温泉、歴史、食、文化施設、路面電車等観光資源に恵まれた県都です。私は北の都「札幌」と並んで、都市型観光の魅力が集積された街だと思います。

世界を旅してこれだけの観光資源に恵まれた都市は少ないのではないかと思います。

ところで、鹿児島中央駅近くの「かごっまふるさと屋台村」が、4月26日オープン1周年を迎えました。当初目標の年間30万人を大幅に上回る50万人が訪れました。関係者の方々の努力が来店客の増加に結びついていると感じます。

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26日には、知事や鹿児島市長、関係者が出席し盛大な1周年の式典が行われました。 屋台村は、鹿児島中央駅近くの一角に固定された屋台の集合体ですが、南国殖産グループが、市街地の活性化、地産地消を中心に地域産業の振興、情報発信基地として県内のイベントや観光地の紹介、若手起業家の育成等を目的に始めた事業です。 かごっまふるさと屋台村は、25軒の個性あふれる屋台と1軒の焼酎専門店が軒を並べます。

現在、固定式の屋台村が全国にできていますが、業界関係者の話を聞くと、盛況を呈している屋台村は、鹿児島を入れて数カ所しかないということで、あらためて開設に携わってこられた方々に心からの敬意を表したいと思います。

成功の要因と今後の課題について述べてみたいと思います。 まず屋台村は、鹿児島中央駅の近くにあり、しかも電車通りに面していることから顧客に目につきやすいということです。観光客にとっても、発車時刻ぎりぎりまで滞在できるメリットがあります。

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次に建物の構造上路地が多く、客が一度に先まで見渡せないため、気兼ねなく食事ができることです。混雑しているときは、酔客同士の肩がふれ合うこともありますが、狭い空間の中では、それがかえって和む雰囲気づくりにつながります。

各店舗が特徴あるメニューを提供していることも人気の要因の一つです。従来ラーメンやお好み焼きの専門店等が並ぶ場所では、店舗間の人気ランクがつき、店舗同志のコミュニケーションが減り、一方の店が退去するなどの弊害がありました。

屋台村(電車通り側).jpg

鹿児島では、同種の店舗は少なく、焼酎料金の統一、ふるさとフェアなど屋台村全体の発展を目指す取組が継続されています。各地域の代表という意識で取り組んでおり、地産地消にこだわり、そこに行けばふるさとの人に会えるかも知れないという期待感も湧きます。人情感あふれる屋台村の存在が人を惹きつけます。

また、オープン当初から鹿児島弁にこだわることを提案してきましたが、これからも屋台村にいけば鹿児島人に会えると言うことを目指して欲しいと思います。

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現在海外便が、ソウル、上海、台北へ就航して居ますが、東南アジアの人々は、屋台で食事することが定着しており、今後その観光客をいかに屋台村に誘客するかが問われます。 外国語表記のメニューの充実、従業員も外国語を学ぶ必要があります。簡単な言葉を覚え観光客と交流の場所になればと思います。

現在来店客の6割は、地元客でありそのことが盛況を維持している要因と思います。これからも定期的なイベントや県内各市町村のふるさと祭りを開き、話題を提供して欲しいと思います。

持続できるスポットになるには、県外観光客にどのようにPRしていくかも重要です。エージェントの商品企画に掲載される機会も増えてきましたが、旅行者だけでなくエージェントへのメリット提供も必要になっています。

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「かごっまふるさと屋台村」の周辺は、近代日本の礎を築いた偉人を輩出した地です。夜は甲突川がライトアップされ一段と魅力的な一帯となりました。観光客が夜の街を楽しむことで、天文館も活性化し、地域の経済が循環することになります。従業員が夜の鹿児島の魅力を語ることを心がけて欲しいと思います。

屋台村ができたことで既存の店との競合も発生しています。それぞれの店が、「一期一会の心」を持ってサービスの向上に努め、相乗効果で来店客を増やして欲しいと思います。また、近隣のホテルの方々も積極的に屋台村をPRすることで、リピーターにつなげて欲しいと思います。

屋台村宣言.jpg

九州新幹線全線開業から、3年目に入り開業効果に陰りが見えつつあります。これからが鹿児島の真価が問われます。各施設は、おもてなしの充実、新たなメニュー開発やより地域色を出した演出に心がけ、常に進化している姿が求められます。

1周年式典では、『人情屋台「かごっまふるさと屋台村」おもてなし宣言』も読み上げられました。「かごっまふるさと屋台村」に行けば「鹿児島がある」ことを徹底的に貫いていただきたいと思います。

プロフィール

古木 圭介プロデューサー
鹿児島県
観光プロデューサー
古木 圭介
(平成29年4月より就任)
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