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大隅半島と薩摩半島を繋ぐ取組~田舎の魅力発信とアクセスの整備が課題に~

2013年6月10日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

なんきゅうフェリー.jpg

 拠点地域と各地域双方の活性化を目的としたツアーの第2弾を実施しました。今回は、指宿発の広域観光周遊ルート(南大隅方面)モニターツアーを実施し、指宿のホテル、運輸、メディア、行政関係者50名が参加しました。行きは山川港から新造船「フェリーなんきゅう」(136トン)に乗船しました。

 船は大型バス2台と乗用車6台、旅客95人が同時に乗船出来るようになっていますが、客室に全員が入れるスペースがないために、半分近くは到着までの50分デッキで過ごすことになります。冬場や年寄りが多いツアーへの対応が課題となります。

佐多岬01.jpg

 根占港からバスに分乗して、無料開放となった佐多岬を訪ねました。あいにくの雨と突風で、灯台も煙に巻かれている感じでしたが、九州本土最南端の自然の姿を見ることができたように感じます。展望台や廃墟となっていたレストラン跡地は更地となり、本来の自然の姿に戻っていました。建物がないことが逆に新鮮に映ります。

 霧に煙っていた佐多岬灯台は、九州本土最南端の太平洋に突き出した半島の先端にあり、「日本の灯台50選」に選ばれています。太平洋の黒潮が押し寄せる海は荒く、錦江湾や南の島へ行き交う船舶の目印として重要な役割を果たしています。対岸には薩摩半島の開聞岳を望み、東シナ海に沈む夕日は格別です。晴れた日には、種子島、屋久島を望むことができます。岬には下記の句碑があります。

 「黒潮の海に昇りし天津日は 佐多乃岬を日ねもす照らす」 川田順

 ところで佐多岬は、かつて「宮崎~日南海岸~鹿屋~佐多岬~根占~山川~指宿」を巡る新婚客のゴールデンルートとして賑わいました。その後新婚旅行が海外に移り、団体旅行も激減し、また、フェリーの休止等もあり佐多岬への観光客も減少し、広範囲に影響がでてきました。

御崎神社2.jpg

 しかし、団塊の世代の退職や国内旅行の個人化・多様化が進み、今では交通の便が悪く秘境と呼ばれる地域が脚光を浴びています。その意味でも佐多岬の魅力づくりが、宿泊者の多い指宿方面からの観光ルート定着につながり、双方にメリットが出てくると思います。今年度は県の予算で調査費が付いており、佐多岬の課題が改善されることを期待しています。

 次に訪ねたのが、雄川の滝です。県の魅力ある観光地づくり事業で、錦江町側から滝を臨む場所に展望台が設置されました。南大隅町側からも行くことができますが、駐車場までの道路の拡幅が課題です。川岸を歩いて滝まで行くこともお勧めします。

竹皮弁当(錦江町).jpg

 昼食は花瀬公園でした。地域興しグループ「うんめもんの会」の方々が、地元で取れた食材を中心に盛り付けた「竹皮弁当」で環境にも配慮した包装でした。旅の楽しみは食であり、やはり安全・安心が旅人の心に残るのではないでしょうか。

 花瀬には、歴代の薩摩藩主が訪れたお茶亭跡や、2kmに及ぶ千畳敷の石畳があり、春から秋にかけて花や紅葉が水に映えて一段と魅力的になります。

神川大滝.jpg

 その後高さ25m、幅30mもある神川の大滝を訪ねました。雨の影響でいつもより下り落ちる水量が多く一段と迫力を感じました。これからの季節、近くの「大滝の茶屋」は、そうめん流しで賑わいます。是非大隅地域で訪れたい場所です。

 港に向かう途中に二つの鳥居が並ぶ「諏訪神社」がありますが、参拝者が増えています。吾平山上陵と諏訪神社、佐多岬にある御崎神社の3箇所をパワースポットとして売りだすのも期待がもてます。かつてヒットした「岬めぐり」にあやかり都井岬、佐多岬、長崎鼻を巡るツアーの復活も楽しみです。

 帰路、根占ドームで「NPO法人愛・あいネット」の皆さんによる「地元産の十割そば」の提供があり、参加者一同大感激です。移動販売を通して、障がい者と健常者との交流を増やし、健常者の方々の「心のバリアフリー」の推進と同時に障がい者の方々の「社会参加の意欲」の後押しに繫がると事業を推進しています。地元産の食材にこだわり、高齢化対策にも貢献している事業に感動しました。

なんたん市場.jpg

 最後の「なんたん市場」では、参加者のほとんどが地元の旬の魚や野菜を買いもとめていました。旅先にこのような直売店があると、立ち寄りたくなります。直売店の職員も多くの物産が売れたことに喜びを感じ、全員が手を振って見送りしてくれました。地域の温かさに触れた旅でした。

 北海道の最北端宗谷岬はこれからの季節、本州方面から多くの観光客が訪れます。最北端と最南端を訪ねた方には、抽選で記念品を渡す取組を両地域で計画し、発信すればおもしろいと感じます。九州本土最南端の地に来たことを実感できる岬でありたいと思います。

 ところで人口と観光客の減少は、地域経済にも大きな影響を与えており、観光振興による交流人口の拡大が求められています。今、日本人の国内旅行は成熟し、旅行スタイルも変化してきており、地域のニューツーリズムが注目をあびてきています。グリーンツーリズム、ブルーツーリズム、エコツーリズム、まち歩きなどがその代表です。

 従来の物見遊山的な観光、温泉での豪遊などから、個人の趣味や価値観を大切にする時間消費型の観光スタイルに変化してきています。田舎の良さを活用した旅が求められています。

諏訪神社2.JPG

   大隅地域は海、山、川の豊穣な自然がつくりだした食の宝庫であり、スローライフ、スローフードに最適な地です。 今グリーンツーリズムの体験は、教育旅行には欠かせない素材です。担い手の育成を図 り、地域をコーディネートする人の存在が大事になってきました。

 新幹線の全線開業で鹿児島への観光客は伸びています。鹿児島市から垂水経由で大隅地 域を観光して1泊し、翌日は内之浦、田代、佐多岬などを廻り山川に渡るコースも出来るようになりました。大隅地域で活用できる「無料レンタカープラン」も是非利用してもらいたい。

 今国内旅行の7割は個人旅行です。公共交通の整備されていない観光地へは、車での移動が主流となりますが、移動の足のない客には目的地までの利便性を図ることが大切です。そのためには、港を集合場所として、観光地までの巡回バスやタクシープランを充実させることも一つの方法と考えます。指宿のあるホテルでは、プランを作り宿泊者に案内しています。

佐多岬到達証明書.jpg

 県内を回って感じることは、大隅半島に行ったたことのない県民が多いことに驚かされ ます。日本の原風景が至るところに残る大隅路を訪ねて、地域の生活・文化にも触れてほしいと思います。指宿地域と大隅地域が連携し、それぞれに恩恵をもたらし持続できる観光地になるには、アクセスの改善と行きたくなる地域としての魅力の発信が今以上に求められています。  

プロフィール

古木 圭介プロデューサー
鹿児島県
観光プロデューサー
古木 圭介
(平成29年4月より就任)
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