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三県連携による教育旅行の誘致~各県の優位性を活かす~

2013年6月24日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

沖縄はすでに梅雨明けとなりましたが、本土では梅雨も中休み、紫陽花の花に雨が恋しいこの頃の暑さです。

紫陽花に 草子干す時 暑さかな  ~飯田蛇忽~

修学旅行(新幹線のホーム).jpg

5月の連休以降鹿児島中央駅は関西・中国地域からの修学旅行生で連日賑わっていましたが、春の集約臨時列車の運行も終わり、今一段落という状況です。

県内への平成24年の修学旅行の入込状況がまとまりました。学校数は674校で、前年の642校と比較すると32校増加し、人数(延宿泊者数)も94,348人で、前年か1,143人の増となっています。

地区別では指宿地区、鹿児島地区、種子・屋久地区が大きく伸びたのに対し、奄美地区、南薩摩地区が減少しています。奄美地区は台風の来襲でヨロン島の受入が大幅に減少したことが影響しています。

農家民宿お迎えの風景.jpg

南薩摩地区は、県内における農家民泊受入のパイオニア的な存在でしたが、県内全域で受入が可能になっていることで、分散化傾向となりつつあることが減少の要因です。大隅、伊佐地区は、従来修学旅行の行先でなかった地域ですが、民泊の受入態勢が整い増加傾向にあります。

子ども達は生物の生態、農産物の植え付け・収穫体験を通して、自然の営みの大切さ・不思議さに感動します。両地域は元来農業生産地帯であり、体験メニューが豊富でありこれからが楽しみな地域です。

垂水市漁業体験201306.jpg

最近の学校現場の修学旅行のニーズは、平和学習、農漁業体験、環境・自然学習、まちあるき等ですが、鹿児島県はそれに対応できる豊富なメニューが揃っており入込増の要因となっています。また、九州新幹線の全線開業による時間短縮効果も関西・中国地域からの誘客を可能にしています。

現在、熊本県、宮崎県、鹿児島県の三県で「南九州修学旅行誘致受入対策会議」を組織して、南九州への修学旅行誘致に努めています。三県全体での修学旅行の受入実績は、平成22年度187,571人となっています。

ちなみに長崎県は、433,710人、沖縄県は、426,163人で圧倒的に差を付けられており、今後三県の連携による誘致促進が求められています。

南九州修学旅行誘致受入対策会議2.JPG

ここ10年来首都圏、関西地域からの修学旅行の行先は沖縄が主ですが、九州方面では福岡~長崎~佐世保方面がメインのコースとなっています。長崎に行く理由としては、原爆に関する平和学習、ペーロン競争など海の体験、松浦、島原地区での民泊体験等が充実していることがあげられます。

また、永年に渡り、集約列車の運行や民泊の条件整備、市民を巻き込んだ「まちあるきボランティアガイド」育成等官民あげて修学旅行誘致に取り組んできたことが実績として表れています。

毎年東京、名古屋、大阪等で九州観光推進機構主催による「九州七県修学旅行誘致説明会」が開催されます。東京での説明会の終了後は、三県合同による教育旅行関係支店を訪問しPRと誘致に努めています。

青島(宮崎).jpg

今後三県へ誘致するにあたっては、下記の点に配慮しながら誘致を強化する必要があります。まず首都圏のターゲットとしては、旅費と日程の関係で高校生が中心となり、輸送手段としては、航空機が主流となります。長崎は福岡空港を利用することで大量輸送が可能です。三県では往路と復路の発着地を変えるなど効率的なルート設定が可能です。

関西・中国地域からは九州新幹線が全線開業し、集約臨時列車の運行による時間短縮効果が顕著となり、高校、中学校とも誘致しやすくなりました。南九州三県ならではの教育ニーズにマッチしたメニュー提供や地域の特徴を活かしたコースを作ることが重要です。

ホーストレッキング(イメージ).jpg

阿蘇地域でのホーストレッキング、天草での化石採掘、水俣の環境学習、人吉のラフティング、宮崎青島でのマリンスポーツ体験、霧島や桜島での火山・防災学習、垂水での漁業体験、鹿屋・知覧での平和学習、内之浦や種子島での宇宙基地見学、鹿児島市での歴史探訪と多彩なカリキュラムが提供できます。

今後は日修協や全修協の組織を活用して先生方に、三県の新たな魅力を直接見ていただく機会を提供しなければなりません。また、エージェントの新人の営業マンを対象に現地視察を積極的に勧める必要があります。

種子島ロケット基地.jpg

ところで、経費や日程に制限のない学校に対しては、離島の屋久島や種子島、甑島等をお勧めします。世界自然遺産の屋久島は環境学習に、種子島にはロケット発射基地がありSSH校を、甑島は地形・地質など特徴があり地学の学習に最適です。 最近では、海の体験を望む学校が増えており、農業体験の後、砂浜での貝殻採集、砂像作り、海に沈む夕陽の見学などが都会の子ども達は喜びます。

先日開かれた「南九州修学旅行誘致受入会議」では、バスとガイドさん不足が指摘されました。単県での解決は難しく、運輸局、教育委員会、学校、エージェント等に対し、実施時期の平準化、JR輸送の拡大などの要望が出されました。三県で関係機関への陳情も必要です。

修学旅行とバス.jpg

特に県内の春の学生の修学旅行は、関西・中国地域からの入込時期と重なり、バス不足に拍車がかかっています。課題解決の一つが、JRの運賃、料金が半額となる鹿児島中央発の集約臨時列車を活用できる仕組みをつくりあげることです。このことが行先の選択肢を広げ、バス問題解決の糸口にもなります。

新幹線を活用した修学旅行の実施に向けて、教育委員会の理解を得るための粘り強いアプローチが重要です。各県にとっては、実施時期の平準化と安定的入りこみが最も求められています。

最後に教育旅行の利点は、一度に多くの生徒が動く団体旅行であり、又、好、不況に関係なく実施され、しかも2年前に決定することから経営的にも経済的効果も大きいと言えます。

教育旅行(農業体験).jpg

教育旅行の際に取り入れられる農業体験などのグリーンツーリズムの推進は、地域活性化にも繫がります。 宿泊、運輸、食事等の機関にとって、修学旅行の受入は経営の見通しが立てられるなど 安定した顧客といえます。今の時代に修学旅行に変わる大型団体は見つかりません。それほど重要な顧客です。

修学旅行は1887年(明治20年)に始まり、教育課程の中でずっと続いてきた伝統行事で日本独特の文化の一つです。これからも子供達の思い出づくりの場として、大切にされる時間であり、「温かいおもてなしの心」で迎える環境づくりが必要です。 各県の優位性を尊重し、また、不足するメニューは補完し合い、新しいメニューの開発、共同セールスの実施等で三県への修学旅行の誘致に努めたいものです。

プロフィール

古木 圭介プロデューサー
鹿児島県
観光プロデューサー
古木 圭介
(平成29年4月より就任)
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