鹿児島県観光サイト かごしまの旅

    • 学校・法人の方へ
    • 観光

トップページ > プロデューサーズコラム

「第6回かごしま観光人材育成塾」の開催について 明治維新150周年に向けて~地域づくりに求められるものとは~

2013年9月30日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 今年は猛暑に加えて異常気象が続き、日本各地が水害に見舞われましたが、鹿児島では桜島の爆発が続いているものの大きな被害は発生していません。 宿泊客数で見ると5月から前年を越えており、夏も好調に推移した機関が多く見られ、なんとか踏ん張っている感じです。

 奄美群島日本復帰60周年、イプシロンの打ち上げ成功、「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連施設」が、本年度にユネスコの世界文化遺産への推薦が決まるなど、鹿児島が話題となる出来事があったことも幸いしています。

第6回かごしま観光人材育成塾.jpg

 ところで「かごしま人材育成塾」を開催しますが、今年で6回目となります。これからの地域づくり・観光地づくりには人材の育成が不可欠です。今年は、明治維新150周年を5年後に控えて、鹿児島を毎年どのようにPRしていくのかを主題に置いています。

 地域連携の必要性、全国的に話題となっているJR九州の列車「ななつ星in九州」の取組、世界自然遺産の登録を目指す奄美のエコツアーへの取組、九州新幹線開業前から観光振興に特に力を入れている薩摩川内市の観光客受入態勢づくり、誘客に欠かせないおもてなしの心の極意等150周年に向けて、地域づくりのあり方について学ぶ8つの講座を開催します。

 講師と講座の内容について簡単に紹介します。
 第1講座は、魅力ある観光地づくりについて、「佐多岬の今後の展望について」県観光課の森対策監が講演します。大隅地域はスポーツ合宿の増加やイプシロンの打ち上げ成功、「鹿屋航空基地史料館」への学生団体の増加、「永遠の0」の映画の舞台になるなど話題の地域です。九州本土最南端の佐多岬がかつての賑わいを復活すべく、その展望が語られると思います。

 第2講座は、霧島山上ホテル営業支配人の内山竹文氏が「まちの駅ネットワークを活かした地域づくり」について講演します。内山支配人は、第1回から連続して参加している受講者の一人ですが、今回は講師としての登場です。
 まちの駅は、「みちの駅」に比べて認知度は低いものの、設置数においては県内だけでも100箇所を越えています。「休憩」、「案内」、「交流」、「連携」のルールのもと、観光客が迷った時に何でも相談できる「よろず相談所」の役割を果たしています。各地の観光パンフレットや地域ならではの土産品を置くなど地域貢献にも積極的です。これからの地域活性化に向け組織の連携と情報発信に努めています。

薩摩英国留学生記念館.jpg

 第3講座は、有限会社 オフィスフィールド代表 砂田光紀氏が、「明治維新150周年に向けて 鹿児島をどのようにデザインしていくか」について講演します。砂田氏はまちづくりや博物館などの専門家であり、仙巌園の集成館事業や来年いちき串木野市にオープンする「薩摩藩英国留学生記念館」も手掛けています。

 海外の街並や伝統的文化財の保護・保存等にも造詣が深く、多くの市町村の事業に係わっています。鹿児島市の「旧集成館」、「寺山炭窯跡」、「関吉の疎水溝」が世界文化遺産に推薦することが決定した今、タイミング的にも絶好の機会ではないでしょうか。 明治維新150年に向けて鹿児島のまちづくり・地域づくりについて専門的な眼での話が楽しみです。

若き薩摩の群像.jpg

 第4講座は、山口県観光連盟の専務理事松井邦昭氏による「薩長連携による観光振興と紙芝居を通した地域づくり」です。薩摩と長州は明治維新に深く関わり、また観光客誘致においても旅連を中心に一緒に取り組んでいます。1865年に薩摩藩が英国に派遣した留学生14人が現地でお世話になったのが、その2年前にロンドン大学に留学していた伊藤博文を中心とした長州ファイブのメンバーでした。

 共に激動の時代を駆け抜けた薩長の連携が今また、脚光を浴びる日が近いのではないかと思います。山口県は、全国的に珍しい「紙芝居」による地域の再発見に取り組んでいます。松井専務の紙芝居を演じる姿も見ものです。こうご期待待下さい。

ななつ星.jpg

 第5講座は、JR九州のクルーズトレイン本部次長の仲義雄氏が、『JR九州の地域づくり戦略「ななつ星in九州」』について講演します。10月15日から出発するこの列車は、3泊4日コースの最高金額が55万円(二人一部屋)もする豪華な旅です。


 最初の宿が霧島地区の妙見温泉となっており、すでに秋の出発分は完売となっています。なぜ今この豪華列車に人気が集まるのか、また次々に生み出される観光列車の魅力について、JR九州の思いが語られるのではないでしょうか。

 第6講座は、観光ネットワーク奄美の水間忠秀氏が、「奄美のエコツアーの歩みと世界遺産登録に向けた取組」について講演します。奄美群島は、特異な動植物群の生態系が保護されていることから、本年2月国の「世界遺産暫定一覧表」に「奄美・琉球」を記載することが決定しました。

金作原原生林2.jpg

 今後国立公園等の保護地域指定、ユネスコ世界遺産センターへの推薦書の提出、国際自然保護連合による現地調査、世界遺産委員会の審査を経て、早ければ平成28年の世界遺産登録を目指しています。水間さん達は日頃から、観光客に美しい奄美の自然の姿を案内しながら、動植物の保護に努めています。奄美の自然を守る取組、観光と共生することの大切さが語られると思います。


 第7講座は、「薩摩川内市のシティセールス~観光による地元盛り上げ作戦」と題して、薩摩川内市の古川英利氏が講演します。薩摩川内市は九州新幹線の終着駅一つ前の駅であり、開業後も苦戦が予想されていました。地域の活性化には交流人口の拡大が不可欠であり、周辺の観光資源の磨き上げと商品化が必要です。
 その中心として活躍されているのが観光・シティセールス課長の古川氏です。着地型観光の推進(きゃんぱくの開催)、甑島への商品化、観光人材の発掘、観光・特産品の株式会社の設立、高速船の運行(24年春予定)等新しい取組を次々に推進しています。その戦略が語られると思います。

 第8地講座は、「おもてなしの極意」と題して3人によるトークショーです。
 一人目は、顧客の評価が高いタクシー会社・旭交通のドライバーで、顧客から多くの礼状が寄せられている稲満和明氏です。
 もう一方はJTBの顧客満足度90点以上を13年連続受賞している城山観光ホテルで、フロント業務を担当している西田朱里さんです。お二人とも顧客からの評価は抜群であり、企業の信用にも貢献しています。 小生がコーディネーターとしてお二人から、なぜおもてなしの心なのか、その神髄に迫りたいと思います。

第5回かごしま観光人材育成塾.jpg

 どの講師の方々もそれぞれの部署で活躍され、鹿児島の観光に大いに貢献しています。経験とそれに裏打ちされた話は、皆さんの心を捉えこれからの業務に必ず役立つものと信じます。また、夜学塾は、参加者同志や講師陣とのコミニユケーションの場であり、講座で聞けないより具体的な話が聞けると思います。

 これからも地域づくりには、まず人材の育成が重要と考えています。今まで人材育成塾を受講した方の多くが、それぞれの地域で頑張っていることは、鹿児島の観光にとって大きな財産となっており、すでに6回連続で受講を申し込んでいる方もいらっしゃいます。

明治維新と鹿児島みて歩き.jpg

 2018年が明治維新150周年の節目の年になります。2014年には「薩摩藩英国留学生記念館」のオープン、甑島航路への観光高速船の運航、2015年には「国民文化祭」、その後明治150周年までは様々なイベントが予定されています。 この講座が人材育成と地域活性化につながることを期待し、多くの受講者が集まることを期待します。

第6回 かごしま観光人材育成塾 イベントページ

タイからの誘客促進を~成長著しいASEAN諸国~

2013年9月24日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

タイ0.jpg

 東南アジアの中心に位置し、国土面積が日本の約1.4倍、マレーシア、カンボジア、ラオス、ミャンマーと国境を接しているのが今注目のタイです。人口は日本の約半分の6387万人で、主な宗教は仏教(91.8%)、イスラム教(4,5%)となっています。


 2012年の訪日人数は26万859人で、前年比21.4%の伸びとなり、韓国・中国・台湾・香港・アメリカ人に次ぐ第6位となっています。 今年は、1月~7月で23万人を超え、前年同期比56%増と好調に推移しており、国別の伸び率は訪日外国人の中でトップとなっています。7月1日からのビザ免除の追い風もあり、年間では40万人を越えるのではないかと想定されます。

タイ3.jpg

 そのタイの首都バンコクで、九州運輸局の支援のもと、九州管内の自治体、宿泊施設、運輸機関等の関係者による観光客誘致の商談会と交流会が開催されました。鹿児島県からは7県で一番多い18名が参加し、タイの観光団体、旅行エージェント等約90名との交流を図りました。

 商談会の冒頭では、TJTA会長で泰信旅遊有限公司の社長であるクン・アネーク氏からの歓迎の挨拶があり、また、九州運輸局の橋本企画観光部長もわざわざ福岡から駆けつけていただき、九州の魅力や訪日の要請を行っていただきました。

 個別相談会では、九州各県の参加者がブースごとに別れて具体的なPRを行いました。 タイ側の参加者は、九州各県の名所旧跡や祭り、食、ショッピング等に熱心に聞き入り質問をしていました。特にタイ語で書かれたパンフレットは人気でした。商談会後は交流会が開催され、両国の新たな交流のスタートになったのではないかと思います。

 商談会の前には、タイ国観光・スポーツ省のオフィスを訪問して、クン・アネーク氏も同席する中で、省の大臣であるドクター・スワット氏と1時間会談することができました。 大臣はまず、東京オリンピックが決定したことにお祝いを述べられ、タイ国として協力を惜しまない旨の発言をされました。

 またタイへの観光客が増加していることに触れられ、観光客の安全確保には全力を注いでいることを強調されました。日本への誘客については、タイでの広報活動の強化、メディアやエージェントのファムトリップの積極的展開、九州を印象づける観光素材の提供とPR活動の徹底等を述べられました。予定をオーバーする会談で気さくな人柄が印象に残りました。

タイ4.jpg

 翌日から2日間、JNTOバンコク事務所、タイ語でのガイドブックを制作している「まるごとタイランド」の丸山社長、今年の秋九州へのファムツアーを予定しているAAトラベル、鹿児島への送客を手掛けている「ROONGSARP TORAVEL」、「SAY HI」という訪日旅行専門番組を制作・放映している「ノーススタータイランド」の岡田社長の事務所を訪ね、鹿児島への誘客をお願いをしました。

 最終日には前述のクン・アネーク氏の事務所も訪問し、今回のミッションのお礼と今後の取組課題をご教授いただきました。夜には、タイ鹿児島県人会の大山会長、宮内事務局長とも交流を深め、今後の鹿児島のPRや誘客について懇談しました。

アセアンmap.jpg

 現在タイには200人余りの鹿児島県人が在住していますが、ASEAN地域全体で定期的な交流を実施しているとの報告がありました。ASEAN地域は、「経済成長が著しい、中流階級が増加している、平均年齢が若い」ことなどが成長の追い風となっていると思います。


 ところでタイは、ASEAN10カ国(ベトナム、シンガポール、ブルネイ、カンボジア、ラオス、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、タイ)の構成メンバーです。ASEAN全体で、人口は6億人を抱え経済的にも急激な発展を遂げており、毎年訪日客も増えています。

タイ人の平均年齢は、34.2歳で若者を中心に日本の文化に憧れを持っており、特に7月からNOビザとなり、日本への関心が急速に高まっていることがあげられます。 誘客の第一にあげられるのが「日本の食事」の魅力です。タイ国内で日本食を提供できる施設は、約1000軒あり、今生活に深く浸透しています。

タイ5.jpg

 我々がバンコク市内で訪れた日本食レストランには、タイの若者が多く訪れており従業員も片言の日本語で応対していました。経営者は社員を定期的に日本に研修に出し、おもてなしの心などを勉強させていると話していました。鹿児島は豊富な食材があり、タイ人観光客には喜ばれるのではないでしょうか。

 次に「日本の四季や自然」に関心を持っていることです。雪、桜、紅葉、美しい清流、海等美しい景観に憧れを持っています。説明会の会場で配布したパンフレットの写真を見ながら、開聞山麓の菜の花やミヤマキリシマ、仙巌園から見る桜島、屋久島の渓谷、農村風景等に興味を示していました。タイは熱帯性の気候で四季がなく、田畑も日本ほど整備されていないために、優れた日本の自然の光景にあこがれるのでしょう。

 また、桜島の噴煙の姿や砂蒸し温泉にも関心があり、噴煙の生活への影響や湯船の中に集団で裸になる習慣がないタイの人々に、温泉の入り方や効能にについて詳しく説明しました。特に砂蒸し温泉には驚いていました。県内を走る「おれんじ食堂」、「はやとの風」、「いぶすきの玉手箱」等レトロな列車にも興味を示していました。 今タイの若者は、テレビ、アニメ、漫画、ドラマ、映画等にも関心があり、鹿児島を題材としたドラマや歴史・文化をいかに伝えていくが重要です。

タイ1.JPG

 タイの人々の今の訪問エリアは、雪やラベンダーの花咲く北海道、ショッピングや食が楽しめる東京、大阪が中心となっていますが、リピーターが増加しており、そこに九州への誘客のチャンスがあると判断します。


 鹿児島が誇る火山、温泉、ロケット基地、美しい海等、タイにない自然や「日本式旅館でのおもてなしの姿や食」を前面に、継続的なメディアでのPRが必要と感じます。「これは鹿児島だ」と意識させるものが必要と感じます。

 現在はタイから鹿児島への直行便がなく、当面は上海、台北、ソウルからの経由便やチャーター便に頼らざるを得ません。福岡への直行便を利用して、九州新幹線で1時間余りのメリットを活かし、まず噴火する桜島の景観や世界遺産の登録が目前の「産業革命遺産群」を印象づけるなど鹿児島を意識した戦略が求められます。JRのインバウンド料金の軽減化も不可欠です。今年はタイからの誘客に向けて努力したいと思います。

人口減少とインターネットの普及が市場を変える~マーケットの変化にどのように対応するか~

2013年9月17日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 日本の人口は1億2,700万人(2012年統計)ですが、今後毎年減少し2035年には1億1,200人となり1,500万人減少します。 国立社会保障・人口問題研究所から人口および世帯の将来推計が発表されました。

人々.jpg

 2035年には一人暮らし世帯が、全世帯の37.2%、夫婦のみ世帯が21.2%となり約60%が二人以下の世帯となります。要因として結婚しない人や離婚する人が増加していることなどがあげられます。また夫婦と子供が暮らす世帯は、2010年の27.9%から23.3%となり核家族が一段と進みます。一方全世帯数は5184万世帯から2019年には5307万世帯へと増加します。

 このような世帯構成人員の減少は、マーケットにどのような変化をもたらすのでしょうか。まず消費のサイズが小さくなり、一度に大量に物を買う人が減少することに現れています。かつて旅行に行くと、10数個入りのお菓子や、同じお土産を複数個買う人が多くいましたが、最近は宿泊先の土産コーナーでも大量に買う人は少なくなっています。 またお菓子でも、違ったものを数個ずつチョイスして買う人が目立っています。

人々(子ども).jpg

 核家族化が進み、近所との付き合いも少なくなり、昔ほどお隣さんにお土産を渡す必要もなくなっています。お土産は自分のために買う人が多くなり、好きなものをチョイスして必要な分だけ買うスタイルが益々定着しています。観光施設ではお土産の並べ方、包装紙のデザインの工夫、地域の特色を出すなどして、購買意欲を刺激する演出をしないと売れない時代ではないかと思います。

 また旅行の参加者も、単独、二人参加者、夫婦と子供1人など少数化しています。二人部屋のニーズが高まっています。バブル全盛期に新築・増築した施設は、部屋の広さが大きく、団体向けに造られており効率が悪くなっています。改築する際は、このような状況も考慮して小さめな部屋を増やす努力が必要です。温泉地が多い県内の宿泊施設では、世帯のサイズに合わせた料金体系や受入態勢作りも求められています。

 最近スーパーマーケットのお米売場に行くと、20キロ、10キロの袋よりも5キロ、3キロといった小さなサイズのコーナーが目立ちます。世帯の変化に的確に対応していると思います。またコンビニの惣菜コーナーは、1人の適量に合うサイズで売られており、ひとり暮らしや深夜の時間でも買物し易い環境を整えています。

 二つ目はインターネット利用者の急激な増加に対する対応です。 平成24年通信利用動向調査(総務省)によると「日本のインターネット人口」は9,652万人で、人口普及率は79.5%となっています。平成14年の調査では18.0%であり大幅な伸びとなっています。子供や老人を除くとほとんどの人がインターネットを駆使していることがあげられます。

パソコン.jpg

 宿泊業界の関係者に聞くと、全宿泊者数の3割程度はインターネット経由であり毎年増加しているとのことです。ビジネスマンをターゲットにしたホテルでは価格競争も激しくなり、朝の料金を、夕方には下げざるを得ない状況が続いていると苦悩を語っていました。また地元と県外資本の戦いも厳しさを増しており、経営体質の強化が問われています。 



 ある大型ホテルでは、インターネットの部屋数を限定し、他のサービスの充実や「おもてなしの心」など本来の宿泊者の滞在を楽しくする施策を展開し、価格を維持しながら高稼働を維持しています。近燐の施設との連携や地産地消を徹底するなど顧客の満足を提供し、リピーター作りにも努めています。

 県の観光ホームページには毎日6,000件を越えるアクセスがあります。英語、韓国語、中国語「簡体字、繁体字」の4カ国語の対応も行っており、観光連盟に専門の担当者を配置し、観光地、歴史、アクセス、施設、イベント、食等の情報提供を行っています。 また各自治体と連携を強化し、解りやすくシームレスな対応ができるよう改善に努めているところです。

旅行カバン.jpg

 ところで、社団法人日本観光振興協会の「平成24年度版 観光の実態と志向」によると、宿泊観光旅行の目的地を決定する際に参考にするものは、「インターネット」、「ガイドブック」、「パンフレット」等と並んで「友人・知人の話」が常に上位にランクしています。多くの情報を集めて、最終的な決め手は経験した人の話、評価ではないかと思います。

 情報入手の手段は多岐に及んでいますが、やはり人の話が説得材料になります。「おもてなしの心」を大切にまた来たい観光地、施設を目指したいものです。

資料:南日本新聞

今年の反省を来夏の対策に活かす~7月の宿泊統計から~

2013年9月9日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

    秋風に たなびく雲の 絶間より もれいづる月の 影のさやけさ
                      左京大夫顕輔~新古今集~

アカトンボ.jpg

 朝夕の涼しさに猛暑が少しずつ和らいでいるのを感じ、夕方の空には赤とんぼが飛び、秋が近づいていることを教えてくれます。四季の変化は美しい自然の光景を生み出し、そこに詩や歌が生まれます。また、田や畑、山では美味しい味覚が育ち、秋は旅行をするのにベストなシーズンです。

 ところで、平成25年7月の観光動向調査が発表されました。「宿泊施設(調査対象85施設)」の宿泊数は、関東地域や九州地域、海外では特に台湾・香港からの観光客が増加したことにより、前年同期比4.5%の増となり、5月から連続で増加しています。 一方「観光入場施設・ドライブイン(調査対象23施設)」の入場・来場者数は全体として2.5%減少しています。猛暑の影響で日中の観光を控えたことが、減少の要因ではないでしょうか。

 地区別で見ると鹿児島・指宿・北薩・奄美地区が増加しています。猛暑に見舞われた今年の夏でしたが、比較的涼しい霧島地域や屋久島地区が減少しているのが気になります。 首都圏の登山用品専門店では、例年夏は屋久島が人気ですが、今年富士山が世界文化遺産に登録されたことにより、富士登山の人気が高まっていると話していました。

千尋の滝.jpg

 そのことが屋久島への一時的減少につながっていると思います。トレッキング愛好者や登山者は地域の気候に熟知していますが、一般の人はその実情をあまり知らないと思います。霧島は平地と比較した毎日の温度差を、屋久島は世界自然遺産の植物の生態や渓谷の魅力に加えて、里の魅力をもっとPRして誘客に努める必要があります。



 発地別宿泊客数は、九州地域が全体の50.1%で最も多く、その中でも県内の宿泊者が53,000人で49.1%を占めています。従来から域内観光の重要性について述べてきましたが、地元のお客様をもっと大事にして情報発信していく必要があります。地域と共に生きる施設であって欲しいと思います。 夏休みは特に県内客が増加しますが、それは家族旅行が多くなるシーズンであるからです。来年に向けてファミリー向けの商品のいっそうの充実が求められます。

 県外では関東地域から46,800人が訪れています。羽田空港からの便数が多いことや5月31日から成田空港からのジェットスターが就航し、新たな需要開拓がなされたことも寄与しています。 何といっても東京という最大のマーケットをいかに取込むかが常に問われています。東京からの情報発信を欠かさず、需要を喚起できる商品提供が求められます。

内之浦ロケット.jpg

 これからの商品企画に活かせる鹿児島の新たな情報について述べたいと思います。 ロケット・イプシロンの発射基地「内之浦宇宙空間観測所」は今話題の場所です。「秋のえっがね祭り」も始まりました。新鮮な魚介類が多く、また佐多岬に到る沿線は自然景観がすばらしく、ぜひドライブコースとしてお勧めしたい。

 百田尚樹さんのベストセラー「永遠の0」が12月21日から全国で公開になります。小説の舞台に鹿屋海軍航空基地が登場し、主題歌「蛍」はサザンオールスターズが手がけ話題となっています。大隅地域をPRする良い機会です。

 また、鹿児島が舞台となり撮影が行われた「六月燈の三姉妹」が、11月9日から鹿児島、宮崎で先行ロードショーされます。話題の「薩摩剣士隼人」も出演しています。鹿児島の夏の伝統的風物詩「6月灯」を、観光に活かすきっかけにしたいものです。

 来春には川内港から甑島の里港へ高速船が就航します。「はやとの風」、「指宿のたまて箱」等JR九州の観光列車を手がけている水戸岡悦治さんの設計であり、「おれんじ食堂」と組み合わせることで水戸岡ワールドが楽しめ、甑島への来島者が増加するものと想定されます。

薩摩英国留学生渡欧の碑.jpg

 鹿児島では2018年の明治維新150周年に向けて、毎年様々な行事が計画されていきます。2014年春には、いちき串木野市羽島に「薩摩藩英国留学生記念館(仮称)」がオープン予定です。留学生の滞在中の足跡、帰国後の活躍等の資料が展示され、当時の薩摩藩の先見性を学ぶ施設となるのではないでしょうか。学生をターゲットに誘客を図る必要があります。

 日本列島今年は猛暑、集中豪雨等異常気象が重なり、全国的に甚大な被害が出ました。鹿児島では大きな水害はなかったものの、噴煙が5千メートルにおよぶ桜島の大噴火があり、メディアでも大きな話題となり宿泊客のキャンセルという事態が起こりました。 世界的に温暖化現象が見られる中で、猛暑や豪雨などの異常気象は、来年もまた日本で発生するのではないかと、私は懸念しています。

 今年の夏の取組を反省し、商品企画や情報発信に活かさなければなりません。 秋の旅行の中心は熟年で、比較的ゆっくりした旅行が好まれます。「おもてなしの心」を忘れず、リピーターへ繋げて欲しいと思います。 最後に「本物。鹿児島県」の魅力を積極的にPRし、夏の落ち込み分をカバーし、来春を睨んだ展開も進めたいものです。

プロフィール

古木 圭介プロデューサー
鹿児島県
観光プロデューサー
古木 圭介
(平成29年4月より就任)
詳しいプロフィールはこちら

月別アーカイブ