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PR大使の笑顔が観光かごしまを支える~ひとの印象が旅行先の決定に~

2013年11月5日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

それとなく 郷里(くに)のことなど 語りいでて
                  秋の夜に焼く 餅のにほいかな
                                       ~石川啄木~

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 九州新幹線全線開業から3年目に入りましたが、県内に宿泊する観光客の数は、5月以 降前年を上回り、各地域とも必死に頑張っている姿が数字に表れています。夏から台風の 接近も多く大きな被害が心配されましたが、24号による与論島の被害を除けば、大きな 被害は発生していません。与論島の復旧を急ぐとともに、これ以上台風が来ないことを祈 りたいと思います。

 ところで消費者が宿泊先を決める要素として、インターネット、旅行社、パンフレット、 雑誌等からの情報収集があげられますが、最後には行った人の口コミをあげている人が多く、人の伝えることの重要さが問われています。

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 鹿児島には「心温まるおもてなしの心」を実践する人がたくさんいらっしゃいますが、 観光の顔として地域を売り出すのが、親善大使やPR大使です。 その役割と「おもてなしの心」の極意を学ぶ研修会が開かれ、県内12地区から23名 のPRレディーと2014ミスユニバースの鹿児島の最終選考会に残っている3名の26名が参加しました。

 最初に県観光課の倉野課長が「鹿児島県の観光事情」と題して、入込状況や観光振興策等を説明しました。PR大使にも鹿児島の観光の概要を理解して、今後の活動に活かして欲しいと思います。

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 11月2日で任期が終わる鹿児島市の「かごしま親善大使」である田中瑛子さんは、「親善大使の役割とは何か」、「親善大使として活躍するための大切なことはなにか」について、1年間の実践を通して感じたことを解りやすく話してくれました。


 「大切なのは技術よりも心。一生懸命な想いは聞き手に必ず伝わる。」とまた、「興味ある分野だけでも、知識を深める」、「自分なりの切り口で、鹿児島を再発見、再体験することが、自分のPRの幅を広げてくれる」と自ら地域を知ることの大切さについて自信を持って語ってくれました。

 最後に「親善大使の役割は「プロ」には出せない、鹿児島を愛する一市民としての等身大の情熱でかごしまをPRすること」、「生き生きとして活躍するには、自分なりの見つめ方、学び方、感じ方で鹿児島の魅力を再認識し、それを自分の言葉で伝えること」と語りました。自分のありのままの姿が鹿児島の印象となる、いつも笑顔を持って対応することの大切さを述べていました。

 田中さんの自信に溢れた堂々とした発表の姿に1年間の活動の成果が凝縮されているように感じました。彼女の今後の活躍に期待したいと思います。

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 今回の研修会では、講師の中村朋美さんがPR大使としての「大衆の前での話し方」、「座るときのマナー」、「おもてなしの仕方」、「名刺の受け取り方」等について2時間あまり実践スタイルで講義しました。各PR大使も中村講師の緊張の中にユーモアあふれる話に、後半は楽しく勉強していたように感じます。

 これからの親善大使、PR大使に望むことは次の点です。
・自ら地域を愛し語れる人になってほしい。そのためには、日頃から地域を回り、歴史、 食、温泉、自然、農水産物、観光施設等を知ることが大切です。特にストーリーを交えて自分の言葉で地域を楽しく語れる人が印象に残ります。

・観光客は訪れたい地域の情報を、出来るだけ多く事前に収集したいと考えています。 周辺の市町村の魅力やアクセス等にも理解を深めることも大切です。最近の観光は個人旅行が主流であり、地域の生活・文化を語ることも求められます。説明会の会場では、地域を覚えてもらうためには、名産品や歴史上の人物、スポーツ等で活躍している人を例に出し、郷土色を出すのもいいと思います。

・滞在したときの「時間」の過ごし方や「情報」を伝授する場所でもあります。「鹿児島の人が行く温泉や食を堪能したい」「明治維新のルーツを訪ねたい」、「もう一度大使の住む鹿児島の魅力を知りたい」等、かごしまのファン作りに努力して欲しい。  

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 今回の研修会でPR大使同士のコミュニケーションも深まりました。相互に切磋琢磨し ながら、実践力を培って鹿児島の観光の誘客に努力して欲しい。 鹿児島の観光は、地域の人々の日頃の情報発信やおもてなしの心で支えられおり、PR 大使の発する微笑みや印象が、鹿児島に行ってみたい旅心を誘う役割を担っています。

 鹿児島中央駅前では、時々各県の親善大使やPR隊が誘客宣伝を行っており、皆さん一生懸命努力されている姿が伝わってきますが、他の地域との魅力の違いがはっきりせず、物産の提供におわれているように感じます。「わが地域の売りはこれです。来ていただければこのような体験ができます」等の強力なアピールも必要です。

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 東京オリンピック招致会場における滝川クリステルさんの「お・も・て・な・し」のPRは歴史に残る最終プレゼンでした。 観光地の最終的な評価は人です。県民一人ひとりがPR大使に負けず観光客を温かく迎える取組を定着させたいものです。

「ななつ星in九州」の運行開始~最高のおもてなしでかごしまの思い出を提供しよう~

2013年10月28日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 JR九州の豪華寝台列車「ななつ星in九州」(以下ななつ星)の第一便が15日、博多駅を出発し大分、宮崎県を通り16日、霧島市の隼人駅に到着しました。豪華列車を一目見ようと地元住民や、鉄道ファンなど約2000人が小旗を振って出迎え、ホームや駅は賑わいました。

 乗客たちは、鹿児島神宮で初午祭で披露される「鈴懸け馬踊り」を見学し、宿泊地である隼人町の温泉地に向かいました。乗車したバスの豪華さに、見物に来ていた多く方から感嘆の声が上がっていました。駅前では、地域づくりに頑張っている若者たちが、「ななつ星」の"7"にこだわり、7本で7,777円の焼酎セットを販売し、少しでも地域の発展につなげようと頑張っている姿が印象的でした。

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 「ななつ星」はJR九州が約30億円かけた国内初のクルーズトレインで、ワインレッド色の鮮やかな車体が青空に映え、一段と豪華にみえました。 客車5両とラウンジ車、ダイニング車、機関車の8両で構成され、客室は14室で定員は30人となっています。

 一人当たりの料金(2名1室利用の場合)は最高客室で55万~56万6000円と高額になりますが、来年の6月出発分までの国内向け予約はすでに完売となっています。JR九州の発表によると、申込者は年代別では60歳代が26%と一番多く、50歳代と続いています。仕事をリタイアし、時間と経済的に余裕のあるシニア世代が多いのが特徴です。

 豪華列車の代名詞といえば、1883年にパリとインスタンブール間に就航した「オリエント急行」が知られています。アガサクリスティのミステリー小説や映画の題材にも登場しました。

 今ではオリエント急行の誕生当時を彷彿させる豪華寝台列車「ベニス・シンプロン・オリエント・エクスプレス」が、ロンドン~パリ~ベニスや、ベニス~フィレンツェ~ローマ、ウイーンやブタペスト行きが運行され、日本人向けのツアーも人気商品となっています。

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   国内では豪華寝台列車といえば、大阪駅と札幌駅を結ぶ「トワイライトエクスプレス」や上野駅と札幌駅を結ぶ「カシオペア」、「北斗星」が有名ですが、どの列車も予約が取りづらいことで有名ですが、「ななつ星」はさらに予約が取りにくい列車となっています。

 数十万円もかかる旅行代金は、国内の列車を利用した商品としては初めてであり、予約状況が心配されましたが、今年秋以降の分も7倍を超える抽選倍率となり、人気の高さを物語っています。

 鹿児島県は、始発の博多駅から一番遠いという地理的条件が、県内へのななつ星の運行につながっていると思います。 鹿児島に入るコースは、博多発が毎週火曜日で、大分、宮崎を経由して翌日の14時18分に隼人駅に到着し、宿泊は霧島市隼人町の温泉です。鹿児島市内の観光が木曜日となっており、その日の夕方肥薩線経由で熊本、阿蘇、大分と廻り金曜日に博多駅に着く3泊4日の行程です。

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 また、香港の最大の旅行会社「EGLツアーズ」との旅行商品への販売契約が締結され、アジアからの富裕層が増えることが予想されます。鹿児島への外国人観光客が増加することを考えれば大きな経済効果がもたらされます。県民としては、県内の温泉地が宿泊地として選ばれたことに対し、感謝するとともに今後とも最高のおもてなしを続けていかねばなりません。


 「いぶすきのたまて箱」が高乗車率を維持できているのは、錦江湾の景観の美しさ、沿線の住民が列車に手を振る歓迎の姿、指宿駅でのおもてなし等が定着していること等が口コミで広がり、一度は乗ってみたい列車の人気につながっていると思います。

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 ところで我々の時代は、1990年代後半までは長距離の移動にはブルートレインの愛称で親しまれた夜行寝台車が人気でした。西鹿児島駅(現在鹿児島中央駅)と東京駅を結んでいた「はやぶさ」、日豊本線を経由していた「富士」、新大阪駅とは「なは」や「あかつき」、等が運行され、車中で巡り合った人との飲み会は、時間を忘れて楽しんだものでした。

 その意味でも今回の豪華列車の運行は、チケットを入手することは困難ですが、一度は乗りたいという願望にかられる列車です。

 「ななつ星」自体が観光商品ですが、美しい街を走る光景は絵葉書きにもしたくなります。藪払いや古びた看板の撤去などに日頃から目配りするなど、沿線の景観整備には特に注意を払わねばなりません。

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 新幹線というスピードが売り物の列車に加えて、道中を楽しむというクルーズトレインの運行は鹿児島にまた、新しい魅力をもたらしました。「第6回かごしま観光人材育成塾」では、JR九州の仲義雄氏を講師に迎えて、《JR九州の地域づくり戦略「ななつ星in九州」》と題して講演をしていただきます。

 「ななつ星」が走り、乗客の宿泊地に選ばれたことは、「本物。鹿児島県」の知名度をアップさせる好材料が揃いました。いつまでも大事に育てていきたい列車でありたいと思います。

スポーツ合宿15万人を目指して~地域連携とホスピタリティをいかに提供できるか~

2013年10月21日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 「かごしまスポーツ合宿セミナーin関西」が、10日京都、11日大阪で開催され、両日で17大学56サークルから合わせて114名の学生が参加しました。

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 一昨年から京都と大阪と別れて開催しているのは、両地域の学生の利便性の確保や、同席することに遠慮がちになる気風をかんがみ、2箇所で実施しています。県内から13市町村の行政・宿泊・運動施設関係者も同席し、受入体制の状況や支援制度など詳しく説明し、誘客を図りました。

 垂水市からは尾脇市長自らトップセールスを展開されました。自治体のトップが参加することで、自治体の熱心さが解りサークルも安心して申し込みするのではないでしょうか。

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 相談会での意見は、学生が合宿地を決める要件として、「宿泊施設と料金」、「自由に使える運動施設」、「温泉と食の魅力」、「夜遅くまで懇親会ができる」、「近くに海水浴場や観光地がある」ことなどをあげていました。


 合宿終了後は、鹿児島の観光地を訪ねて帰る学校が多くあります。特に十分な練習時間が確保できることが、遠い鹿児島まで足を伸ばすことの大きな理由になっているように思います。チームによっては、鹿児島での宿泊地と練習会場が別の自治体となるケースもありますが、今後に繋げる意味でも各施設は温かく迎えて欲しいと思います。

 また、学生は夕食の後ミーティングを兼ねて遅くまで懇親を深める傾向があり、その点も理解して欲しいと思います。 学生が合宿地に求める条件には、宿泊先の近くにコンビニやコインランドリー、緊急の時診療を受けることができる病院があることが望ましいと思います。 自治体の担当部署と担当者を明確にし、合宿期間中の相談窓口を設けることが持続的に合宿地に選ばれる条件ではないかと思います。

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 セミナー終了後は、各自治体から提供された食材が料理されてテーブルに並び、生徒さんは鹿児島の食の魅力に感嘆の声をあげていました。 また、各施設から提供された無料宿泊券や「さんふらわあ」の乗船券が当たる抽選会もあり、いやがおうにもキャンプ誘致のセールスが盛り上がっていました。 関西でのセミナー開催効果もあり鹿児島で合宿をする大学は毎年増加しており、10年前に比べると倍増しています。

 スポーツ合宿のメリットは、一度に多くの学生が、数日に亘って宿泊するのが特徴です。今そのスポーツ合宿の受け皿づくりが、県下に広がりつつあります。 県の統計によると、平成21年度から2年連続で9万5千人を記録し、平成24年度は、12万2千人と過去最高となっています。

教育旅行と人員では拮抗しています。増加している理由として、県に専任の担当者を配置していることや、官民による積極的な誘致活動を継続してきたこと、一度訪れたサークルの口コミ等で魅力が浸透していることがあげられます。

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 平成24年度は市町村別では、鹿屋市、南さつま市、志布志市、さつま町、鹿児島市の順で、鹿屋市と南さつま市が大きく伸びており、両市とも韓国からの学生が増えています。 11月には、関西地域から大隅地域への「かごしまスポーツ合宿招待ツアー」を実施し、誘致に繋げたいと考えています。

 ところで、プロのチームの誘致には、整備された冬芝のあるグランド、充実した宿泊施設、歓楽街が近くにあることなど条件が厳しいことが上げられますが、その点学生は、条件を多くは求めません。県内にある公的施設等でも十分と考えており、オフ時期の利用促進にもつながります。

 ここ数年学校の統廃合で、不使用のグランドや体育館が増えています。廃校が決定した有明高校の跡地には、「大隅地域スポーツ合宿の拠点施設整備計画」の検討が進んでいます。県内外のチームが利用したくなる施設の建設がのぞまれます。

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 また、学生の財政事情を考えると、一定の補助金の支援制度がある自治体も選択肢の条件ではないかと思います。今回参加の自治体は、宿泊日数に合わせて補助金を出しており、学生も候補地として決定しやすいのではないかと思います。


 従来の観光客誘致は、一般客や修学旅行を対象としたものがメインでしたが、これからは新たな需要開拓と、県下全域に波及効果をもたらす意味からも、スポーツ合宿の誘致は重要であり、受入態勢づくりを広げなければなりません。

 スポーツ合宿の誘致は、大規模な宿泊施設がない地域でも誘致が可能です。学生のスポーツ合宿を誘致することで、その後のリピーター化につながり、地域の活性化にもなります。

 2019年には鹿児島でのインターハイ、2020年には東京オリンピックが開催され、スポーツに関心が高まり施設の充実も進みます。プロチームやオリンピック事前合宿の誘致ができる環境整備も必要です。 3年後には15万人を達成すべく多くの自治体が今後もスポーツ合宿誘致に力を入れることを望みます。

 現在より2万人以上増やすためには、新たな学校と多岐にわたるクラブの勧誘、滞在期間の延長、補助金の充実などの取組が必要です。 今回のセミナーをコーディネートしたエージェントの話によると、他県で学生のスポーツ合宿に積極的に取り組んでいる県は少なく、九州では鹿児島県だけの取組であると語っていました。

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 「さんふらわあ」の協力態勢や県と各自治体が日頃から連携が取れているからこそ実施できるセミナーであり、今後も継続して開催していく必要があります。誘客にあたっては、各自治体は競争関係にありますが、それぞれの地域のマイナス部分を補完し合っていることも事実です。

 鹿児島県への観光客誘致にあたって、県外で他県の関係者と同席する機会が多くあります。県や各自治体、民間組織の協力態勢がうまく機能していることに他県の担当者は、学ぶべきことが多いと羨ましがっていました。 皆さんでスポーツ合宿15万人目指して頑張りましょう。

農業の6次産業化の推進を~生産者から経営者の育成を~

2013年10月15日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 南北600キロに及ぶ鹿児島県は、豊かな自然や多彩な観光資源に恵まれ、農業の産出額は、4,011億円にもなり北海道、茨城県、千葉県に次いで第4位となっています。また、観光客がもたらす消費額は3,538億円で、農業と観光は鹿児島の経済を支えている基幹産業です。(平成22年県政概況および観光交流局統計)

 特に九州新幹線全線開業による時間短縮効果で、関西から以西の観光客がのびていますが、鹿児島が誇る多彩な温泉や、世界遺産、歴史、文化、豊富な農水産物が観光客に喜ばれています。観光客と農業との接点をいかに多くつくることができるかが、地域に大きな経済効果をもたらすことになります。宿泊先では地元産品を提供し、農家はより新鮮なものを安定的に供給することが相互のメリットとなります。

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 今「道の駅」や農協・生産者の「直売店」が人気を集めているのは、顔の見える安全・安心の食材が魅力となっており、ドライブや旅行の帰りの立ち寄りどころとして定着しています。観光客は、「本物。鹿児島県」の魅力に気づき始めていると思います。


 一方、農産物は季節波動や価格競争にさらされ、鮮度の管理も難しいものがあります。原産品を調味料や干物、お菓子などに加工して観光客に提供できれば、販路の拡大にもつながるのではないでしょうか。

 農業の所得を増やすためには生産(一次産業)だけにとどまらず、加工(二次産業)、流通・販売(三次産業)まで手がける"六次産業化"が求められています。 一般的に農家が誰よりも立派なものを作っても、販売が他人任せでは他の人と一緒の市場に流れ、価格も市況に左右されます。

 自分の意図する値段で買ってもらうためには、「作った人の顔が見える」ことが大切です。作る人、買う人が一緒になって農業に参画していくことがこれからの農業には必要であり、農家の生きる道ではないかと思います。

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 零細農家の生きがいづくりとして、農家民泊の推進もその一つではないかと思います。 南さつま地域からスタートした農家民泊は、25年度は県下全域に広がり(一部離島を除く)、教育旅行の取扱が2万人を超えています。1泊2日の滞在期間、さつまいもや果物の収穫、家畜の世話など、日頃農家の方が行っている仕事の体験と民泊が子供達に感動を与えています。


 都市部に住む人にはグリーンツーリズムは人気ですが、従来から鹿児島に住んでいる人は、子供の頃から何らかの形で農業と関係し、また農村地域に住んでいた人も多く、農家民泊より、収穫体験やランチを組み合わせたメニューが人気を呼ぶのではと思います。 一方、鹿児島の農産物のブランド化、PRの強化が求められています。特に温暖な気候で鹿児島が優位性を発揮できる農産物の消費者へのメッセージが必要です。

 鹿児島が誇る「緑茶」や指宿地域で取れる早出しの「ソラマメ」のブランド化、沖永良部で収穫される春ジャガイモ、くだものでは、「徳光すいか」、「マンゴウ」、「パッションフルーツ」、「桜島小みかん」、屋久島の「たんかん」など、季節感と、地域を象徴するネーミングが必要であり、観光客にも収穫体験させることで、旅行の企画にも組み入れられます。また、最近注目を浴びている「薩摩なた豆」や「うこん」などの栽培拡大も課題の一つです。

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 熊本県の菊池市にある「コッコファーム」は、農業の循環型テーマパークです。地域との共生を柱に、「都市と農村の交流」、「農業の未来」、「地域の未来」、「環境の未来」の4つのテーマを掲げ、観光バナナ園、ふれあい館、健康館などをオープンし、その核となるのが年間93万人も訪れる「たまご庵」です。

 「たまご庵」のレストランでは、とれたての野菜やくだもの、新鮮な肉、たまごをたっぷり使った食事を楽しむことができます。体験工房では、自分たちで作った大豆を使って味噌や醤油づくりの体験もできます。また、蓋なしのダンボールに、バラに詰めたたまごを「三キロ入り朝取りたまご」として売り出したところ、1日に千箱も売れるほどのヒット商品となり、毎朝行列ができるほどになっています。

 近燐の住民をはじめドライブ帰りの観光客、貸切バスの立ち寄りも多く、多くのリピーターがおとずれています。売上高は23億円、167名の雇用も生み出しており、地域活性化に大きな貢献をしています。(平成23年実績)

 創業者の松岡義博会長は、【生活者にとって大切な農業は、「生産者の顔が見える」ということである。生活者は自分や家族が口にするものをどこの誰が、どんなふうにして作ってくれて、食卓に届けているのがわかると、買ってくれる人も安心できるし、一面では農業に参画していることになると思う】と語っています。

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 これから日本は人口減少が顕著となり、農業従事者も高齢化が進み農村地域の発展は厳しいものがあります。儲かる農業、生きがい作りのある農業を推進するためには、若い世代の就農者を増やすことが求められます。また、企業との契約栽培の拡大も安定的経営に繫がります。農業生産者で経営者の感覚を持った人を育て・支援することが重要と思います。

 地域はこれまで、自動車、電気、IC等の工場誘致に努めてきましたが、今ではその多くが海外に移転し撤退する企業も相次いでいます。これからは、地域の特産物を加工・商品化して売り出し、地域の雇用を確保することが重要ではないかと思います。

 観光による交流人口を増やし、地域を守るためには農業の発展は不可欠です。日本には美しい山河があり、各地においしい湧水が出るのは田畑があるからだと思います。 農業の六次産業化で雇用を増やし、地域を活性化していくことが問われています。

参考文献:コッコファーム創業者の「人生十訓」松岡義博

価格≪価値となるおもてなしの心を~リピーターの確保が企業の成長を支える~

2013年10月7日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 10月に入り、えびの高原のススキが色づき、コスモスは彩りが鮮やかとなり、秋の風に吹かれている姿が美しく感じられます。韓国岳や出水市にある上場高原は、今度の連休は賑わうのではないでしょうか。


 9月29日~10月1日の2泊3日の日程で、日本旅行作家協会のメンバーと関係者が初めて鹿児島を訪問し、県、観光連盟、4市(鹿児島市、霧島市、指宿市、南九州市)が協力して、受入の準備を行いました。

 会長は「不良老年のすすめ」、「二人暮らしを楽しむ」、「この1句 108人の俳人たち」等の著書で知られる元NHKアナウンサーの下重暁子さん、専務理事は、「YS―11世界を翔けた日本の翼」など、飛行機に関する著書で知られる航空評論家の中村浩美さんです。

 29日の夜霧島で開かれた交流会は民家を開放して行われ、地域の皆様手作りによる郷土料理に舌鼓を打っていました。旅行作家協会の会員の話では、民家を利用した交流会は初めてのことであり、周囲の景観がかがり火に映え、クラッシク音楽の演奏、太鼓や島唄、地元焼酎等のおもてなしもあり、参加者は感激していました。

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 また、鹿児島での行程は、黒酢工場、牛根側から噴火する桜島の観察、世界文化遺産への推薦が決定した尚古集成館、美しい庭園が魅力の仙巌園、山川ヘルシーランドでの入浴、釜蓋神社の参拝、知覧武家屋敷、特攻記念館等を見学し、鹿児島の奥深い魅力を堪能できたのではないかと思います。 いつか鹿児島を題材とした小説やエッセイを発表していただければと思っています。

 九州新幹線が全線開業して2年半が経過しましたが、5月から前年を越えるなど開業効果がなんとか維持されていると感じます。しかし宿泊数は、好調な施設とそうでない施設がはっきりしてきており、リピーターの確保が数字に反映しています。国内外から来られるお客様に対して、「鹿児島に来て良かった、そしてまた来てみたい」という印象を持っていただけるよう、「温かいおもてなし先進県鹿児島づくり」を推進していかねばなりません。

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 ところで、大手情報誌「と-りまかし」から「じゃらん宿泊旅行調査2013」の結果が発表されました。それによると「総合的な満足度」は、鹿児島県は、沖縄県に次いで2位となっています。3位が京都府、以下北海道、広島県、大分県と続き、熊本県が10位に入っています。沖縄県は調査依頼8年連続でトップを維持し、その差は2,6ポイントで、1位を目指してさらなる努力が必要です。


 「地元のホスピタリティを感じた」では、1位は沖縄県で2位、3位は震災の影響を払拭するべく頑張っている「秋田県」、「岩手県」です。鹿児島県は、昨年から大きく順位を上げ4位となっています。 「魅力ある特産品や土産物が多かった」では、沖縄県が1位で、鹿児島県は4位と健闘しています。

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 「地元ならではのおいしい食べ物が多かった」では、沖縄県がやはり1位で、鹿児島県は8位です。海の幸、ブランド肉等のほか、ソーキそば(沖縄県)、讃岐うどん(香川県)などご当地グルメが人気のエリアが上位に入っています。「黒豚・黒牛・黒さつま鶏」、「かごしま茶」、「芋焼酎・黒糖焼酎」、「さつまあげ」、「さつま汁や豚骨料理」、「鶏飯」等に加えて、最近S1グランプリで注目度が高く、鹿児島を感じる食の魅力をもっとPRする必要を感じます。

 ところで誘客には「おもてなしの心」が不可欠ですが、「株式会社観光ビジネスコンサルタンツ」の西川丈次さんは、「リピーターの育て方」について次のように語っています。 リピーターを育てるには一人一人が鹿児島の四季の魅力を語る必要があります。「満足」 は当たり前、これが今の消費者である。「満足」が創り出すものは、次回の購買時にたくさんある選択肢の一つに残してもらえることです。

 観光客が初めての土地で立ち寄る案内所の雰囲気が、旅人が訪れる街の最初の印象となる。最高のホスピタリティは、お客様に言われる前に実行することである。「もの」の価値の行き着く場所は「価格競争」である。「もの」を「こと」に変えて提供することが、「価格」を超えた「感動」を生む。「こと」化に必要な要素は、人間力であり、これこそがホスピタリティである。

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 人は自分の名前を呼ばれた時に、その存在を認められたものとして、喜びを感じるもの である。一度の出会いで感動を提供し、リピーターになってもらうためには、積極的にお名前を笑顔で呼ぶことである。


 サービスに接する時、お客様はこれまでの体験から事前期待を持つ。この期待を超えた 時に、感動が生まれる。サービスを受けるということに、今では当たり前の行為と捉えています。ホスピタリティへの取組強化を、経営者自ら実践し、おもてなしの心を職場、地域ぐるみで醸成していくことが重要です。
          ~平成20年おもてなし研修会より~

 また、ベストサービスセンターの国友隆一氏はサービスについて次のように語っています。
①不快にするサービス
店内は倉庫のように雑然として、きちんと接客する気もない。従業員同士、私語に夢 中になり声をかけると話を中断されたため不快そうな顔をする。通常と違う業務を頼むと、 あからさまに面倒くさそうに対応する。
②不満を残すサービス
お客さまにサービスを提供する意思はあるが、それが気分の段階にとどまっているため 対応にむらがある。個人的な感情に支配されがちである。機嫌のいいときは愛想がいい。 しかし気分次第で不機嫌な顔を露わにする。
③満足を与えるサービス
お客様の立場にたって対応することの必要性や意義は頭で理解しているが、ただそれを 「義務」ととらえているため、どこかとってつけたような感じが残り、なかなか平均点以上にいかない。マニュアル通りにできても、心が通っていない。
④感動を与えるサービス
一人ひとりのお客さまのニーズに焦点を合わせ、オンリーワンのサービスを展開する。 お客さまの、自分できづいていなかったニーズを引き出し、それが満たされるようにする。
⑤無償のサービス
お客さまからいただいた代金以上の価値を提供する。心を込めたワン・ツゥー・ワンの サービスを、人間性のレベルで、あえて意識しなくても実行できる。それが「感動を与え るサービス」です。
               ~9割のお客がリピーターになるサービス~国友隆一著

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 価格=価値ではなく、価格≪価値になることがお客様に感動を与えるサービスとなるのではないでしょうか。鹿児島への観光客を増やすためにはリピーターの確保が最重要であり、加えてメディアでの魅力発信が欠かせません。そのためには、おもてなしの心をさらに向上させる取組が必要です。


 先日福岡で乗車したタクシードライバーには感激しました。手を挙げると車を止めて自らドアを開け、乗車したら会社名と名前を名乗り「暑くありませんか冷房を強くしましょうか」、「いつも通っている道はありますか」、「会議時間まで余裕はありますか」と話しかけてくれて、到着地まで会話が弾み、降りる時もドアを開け帽子を取り挨拶してくれました。都会のまん中でしかも猛暑の中での数分間の時間でしたが、爽やかな印象が残りました。鹿児島でもこのような運転手が増えて欲しいと思います。

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 日本旅館協会に加盟している宿泊施設は、約3300軒ありますが、隆盛をきわめている施設は、日本の伝統的良さである「おもてなしの心」を大切にして、リピーターに支持されています。


 従業員は「いつまでも初々しい新入社員」の心で接することで顧客に指示され、水で薄めない温かいサービスの提供がお客様に喜んでもらうことになります。 サービスを提供する側も、達成感が高まり従業員は成長していきます。多くの職場で実践できることが、企業発展にも繫がります。 観光客から、素晴らしいおもてなしを提供する施設であると推奨され、口コミで広がっていくことが今求められています。 

プロフィール

古木 圭介プロデューサー
鹿児島県
観光プロデューサー
古木 圭介
(平成29年4月より就任)
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