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身近な場所に貴重な観光資源が~かごしまの石橋文化を訪ねる~

2013年12月9日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 

楓 橋 夜 泊  張継

月 落 烏 啼 霜 満 天
江 風 漁 火 対 愁 眠
姑 蘇 城 外 寒 山 寺
夜 半 鐘 声 到 客 船

 楓橋の近くに泊めた船の中で休んでいたが、チラチラする漁火に照らされた赤いもみじが眼にしみる。寒山寺から真夜中を告げる鐘の音が船まで届いてきた。何ともいえない旅愁をそそる旅人の心を歌にしたものです。

寒山寺2.jpg

 東洋の「ベネチア」と呼ばれる蘇州は、江蘇省の東南部、長江下流のデルタ地帯に位置する江南地方を代表する都市です。蘇州の旧市街から西に約5キロの場所にあるのが、「楓橋夜泊」に歌われている寒山寺です。蘇州は水郷を中心として発展し、いたるところに小さな石橋がかけられていますが、有名なのが江村橋とこの楓橋です。

 上海から1時間半の位置にある蘇州市の寒山寺は、大晦日の除夜の鐘で良く知られており、年末年始多くの日本人が訪れます。また、世界遺産で中国四大名園の一つ「拙政園」やイタリアのピサの斜塔と並び称せられる「虎丘」、冬の味覚「上海蟹」も有名です。鹿児島からの上海便を利用してぜひお気軽にお出かけください。

 ところで中国では隋~唐の時代からアーチ式石橋が独自に発展します。7世紀初め架橋された河北省の安斉橋には、洗練された意匠と高度な技術が使われています。

 また、北京市の南西約15Kmの場所に「盧溝橋」がありますが、マルコポーロが「東方見聞録」の中で「世界中どこを探しても匹敵するものはないほどの見事さ」と書いた橋です。「日中戦争」の発端となった衝突事件が発生した場所で、源頼朝が征夷大将軍に任命された1192年に架橋されています。今では観光地として多くの人が訪れます。

 鹿児島でも江戸時代に造られた石橋を見ることができます。 石橋記念館展示解説書 鹿児島城下と五石橋によると「近世鹿児島の城下町は、鶴丸城を中心に整備され、文政9年(1826年)には人口が約7万2千人達し、名古屋、金沢と並ぶ有数の都市になります。

桜島(石橋記念公園から).jpg

 しかし、西から南へ城下を囲むように流れる甲突川はたびたび氾濫する暴れ川でした。天保9年(1838年)の氾濫を契機に、新上橋から下流の河川工事が行われ、合わせて4つの木橋を石橋に架け替え、さらに玉江橋が新しく架けられます。


 石工は肥後(熊本)から招かれた岩永三五郎で、4キロメートルの区間に5つの長大石橋が架かる城下町が誕生することになったのです。架橋に至る経緯が書かれています。

 その五つの石橋は、創建以来150年余の間、鹿児島市内の街々を結ぶ重要な橋として利用されてきました。しかし平成5年8月6日の集中豪雨で2つの橋(新上橋と武之橋)が流失したことから、残された3つの橋(玉江橋、高麗橋、西田橋)を貴重な文化遺産として後世に残すことになりました。5石橋の歴史や架橋技術を伝える「石橋記念館」が整備され、石橋記念公園として平成12年にオープンしました。

石橋.jpg

 かつて薩摩藩主が参勤交代で通行した西田橋は、石橋記念公園に、また、高麗橋と玉江橋は隣接の祇園之洲公園に移設されました。特に城下の玄関口にあった西田橋は、欄干の擬宝珠や扇状の石積みなど薩摩藩の威厳を示す豪華な橋として造られています。

 NHKの大河ドラマ「篤姫」では、江戸に興入れの際の一行の行列シーンが撮影されました。アーチ越しに眺める桜島の絶景はすばらしく、旅番組や映画のロケもよく行われています。橋の下の「水の流れ」は、水道水が循環されており、子供たちの格好の遊び場として提供されています。一日遠足や家族連れで弁当を広げているシーンを見かけます。

石橋記念公園子供ガイド.jpg

 石橋記念公園では、全国的にめずらしい子供ガイドが活躍しています。授業の合間に勉強を重ね、休日には観光客にガイドを行っており、大好評を博しています。子供の頃から地域の歴史に親しみ、おもてなしの心を習得することは観光鹿児島にとって大変ありがたいことです。

 その努力に対し心から敬意を表したいと思います。資料館も公園も無料開放となっており、皆様もぜひ石橋記念公園を訪れて鹿児島の石橋文化を学び、公園から見る桜島の雄大さを確認してください。

東郷平八郎12.jpg

 石橋記念公園の周辺には多賀山公園、仙巌園、水族館、桜島桟橋、ドルフィンポート等など散策コースとして楽しめるスポットが点在しています。一方では、鹿児島駅を基点に、海岸線等の整備も急がれます。


 また、磯地域の5つの近代化遺産群が、2015年世界文化遺産への正式登録を目指しています。2018年は明治維新150周年の節目の年を迎えます。これからイベントの開催も多くなりますが、身近にあるすばらしい歴史遺産や観光施設を訪ねて、鹿児島の先人たちの偉業とその価値を確かめ、国内外に発信することが求められているのではないでしょうか。

参考:鹿児島県立石橋記念公園 鹿児島県発行

プロフィール

古木 圭介プロデューサー
鹿児島県
観光プロデューサー
古木 圭介
(平成29年4月より就任)
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