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田舎の自然の魅力にひかれる旅 ~地域資源を活かした広域観光の推進を~

2013年12月16日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

霧島温泉郷(昼).JPG

 鹿児島を代表する宿泊地といえば、霧島、鹿児島、指宿があげられます。平成24年の宿泊人員で見ると全体の64%がこの3地域に泊っています。最近は連泊も増加しており、この3地域を基点に周辺の観光地に足を伸ばしているのではないでしょうか。

 他の地域は観光素材はあるものの宿泊施設が少ないために、昼間の交流人口を増やす努力が必要であり、3地域はそこと連携して宿泊者を創出することが求められています。

 県と観光連盟ではこれまで拠点地域間のルートづくりや特性を活かした観光地づくりに努めてきましたが、主要地域からの複数の広域観光周遊コースの整備が必要になっています。各地域は拠点地域からの誘客を図るため、地域素材の商品化やPR戦略が重要となってきており、観光素材の発掘や人材育成も求められています。

 今回は、霧島発広域観光周遊ルート(北大隅地域)のモニターツアーを実施し、霧島地域のホテル従業員、姶良・伊佐地域振興局、大隅地域振興局、霧島市、曽於市、県、観光連盟から45名の参加者がありました。

大川原峡2.jpg

 今回のモニターツアーの対象となった曽於市の財部地域の魅力について触れたいと思います。財部町はJRの駅が3箇所あり、また鹿児島空港から90分、都城インターチェンジが近くにあり交通アクセスは便利な環境にあります。


 清流の森「大川原峡」は奇岩と清流が織りなす渓谷が2キロにも及びます。水しぶきや冷気が顔を洗い、川面に映る森林を堪能しながら、トレッキングが楽しめます。

 また「全国遊歩百選の森」に認定されている「悠久の森」は、片道3,5キロの川岸をエコガイドさんの説明を受けながら、珍しい植物の生態系にふれることができます。「今後永久に木を伐採せず、子孫に引き継ぐこと」を曽於市では条例で定めています。

 毎年11月には「悠久の森ウオーキング大会」が開催され多くのウオーカーが訪れます。近くの「大川原駅」に特急電車も臨時停車します。

悠久の森4.jpg

 もみじの植栽に力を注いでおり、数年後には1万本を超える森となり、垂水市の「千本いちょう」と並んで、大隅地域の2大紅葉の地になるのではないでしょうか。  今後森の中には、植物の説明書以外の看板は一切なくして、自然の姿を守っていかねばなりません。

 キャンプ場管理事務所から5分の場所に「桐原の滝」があります。水しぶきをあげて流れ落ちる滝は爽快であり、周辺には春は菜の花、夏はひまわり、秋は紅葉、冬は椿の花が咲き、青い水とのコントラストが見事です。CMの撮影場所にも選ばれました。

桐原の滝2.jpg

 車で10分の場所には霧島ジオパークのジオサイトのひとつ「三連轟」や縄文人が住んだ遺跡が残る「溝ノ口洞穴」があります。道路の幅が狭いので、離合や案内標識に注意しなければなりません。 



 少子高齢化が進み疲弊していく地域が多い中で、財部地域には元気な集落「中谷地区」の存在があげられます。宮崎県境にある山林に囲まれた水田地帯にあり、人口300人余りの限界集落ですが、地域ぐるみで地域活性化に取り組んでいます。

ゴッタン体験1.jpg

 これまで知事賞や農林水産大臣賞、「共生・協働のむらづくり表彰」を受賞しています。平成22年7月、地区を記録的な豪雨が襲い、一夜にして多くの農道や道路が泥や流木等で埋め尽くされる大きな被害を受けました。


 しかし地区の団結の強さは災害にも負けず、「中谷地区むらづくり委員会」を中心に、用水路の整備や彼岸花の植栽を行うなど住民一丸となって復興に取り組み、ほぼ元通りの姿となりました。今美しい緑と水に恵まれた中谷地区の村おこしが注目されています。

 そのひとつに「ふるさとを思いやる会ゴッタン倶楽部」の取組があります。ゴッタンは、旧薩摩藩の領域だった鹿児島と宮崎の一部に古くから伝わる民俗楽器で、板三味線や箱三味線とも呼ばれています。

ゴッタン演奏1.jpg

 今回中谷公民館で、倶楽部の皆さんが、ゴッタンの音色を奏でて我々を歓迎してくれました。懇談会ではゴッタンの講習会も開かれ、手取り足とりの指導に参加者は皆さん大感激、踊りまで始まりました。出張も可能ということで宿泊ホテルで演奏する機会をつくっていただければと思います。

 霧島地域の宿泊施設に、ゴッタンの説明書や観光パンフレットを置くのも一つの方策です。ボランティアということですが、交通費や一定の出演料を収受することで、後継者の育成やスキルアップにつながるのではないでしょうか。

関之尾の滝3.jpg

 県境にある「関之尾の滝」には天然記念物の甌穴があり、滝とともに周辺の紅葉も見応えがあります。大川原峡、悠久の森、桐原の滝、三連轟、溝ノ口洞穴と続く、ルートづくりには欠かせない観光地です。


 今回の研修で感じたことは下記の点です。
 今回の参加者は、財部方面は初めての方が大半であり、身近にある観光地を関係者が知らないという現実にふれ、PRや現地研修の大切さをまず感じました。また、国道やJRの駅から大川原峡に至る案内板や渓谷の整備が必要です。散在しているゴミや、飲食施設の撤去を急がねばなりません。

悠久の森0.jpg

 次に悠久の森については、入口からの距離の表示、中間地点に自然にマッチしたトイレの設置、携帯がつながらない為緊急用の電話があれば、安心してウオーキングができるのではないでしょうか。また桐原の滝や溝ノ口洞穴に至る道路は、マイクロバスでも離合が厳しく案内表示が求められます。

 美しい自然が残る「悠久の森」一帯の魅力を県民もほとんど知らないのが実情です。交通手段はレンタカーやマイカーがメインとなりますが、行程や周辺の物産館の紹介も不可欠です。

 最近の観光客は安全・安心の食材を求めて、地域の直売所に立ち寄るケースが多く、顔の見える商品の品揃えが大切です。今回訪ねた「きらら館」はアクセスが便利な場所にあり、さらなる充実が求められます。

 最後に、財部地域は中谷地区をはじめ農業の盛んな地域です。団結の強さをグリーツーリズムに活かし、教育旅行の受け入れ態勢づくりが求められます。地区全体で一つの学校の受入が可能であり、ゴッタンのおもてなしも感動するのではないでしょうか。

 ゴッタンの講習会をしている公民館横のグランドでは、老人たちが大きな声を出しながらグランドゴルフに講じていました。いつまでも元気で明るい地域であってほしいと願って一首。

       里山の柿や紅葉は色づきて
                 ゴッタンの音(ね)に明日を思えり
                                      ~英光~

プロフィール

古木 圭介プロデューサー
鹿児島県
観光プロデューサー
古木 圭介
(平成29年4月より就任)
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